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第61回地盤工学シンポジウム

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タイトル 造成宅地の新たな液状化流動破壊モードとそのメカニズム―平成30年北海道胆振東部地震での札幌市清田区の事例―
著者 國生 剛治
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 1〜8 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000001
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タイトル 胆振東部地震による火山灰盛土地盤の液状化
著者 小合 克弥・ハザリカ へマンタ・國生 剛治・石橋 慎一朗・山本 茂雄・金子 広明
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 9〜12 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000002
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タイトル 2018年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析
著者 橋本 隆雄
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 13〜20 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000003
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タイトル 平成30年北海道胆振東部地震による地盤・土構造物の被害に関する一考察
著者 藤本 哲生・野谷 正明・栗林 健太郎・坂部 晃子・傅 斌・黒田 修一
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 21〜26 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000004
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タイトル 平成30年北海道胆振東部地震における斜面崩壊の特徴
著者 細矢 卓志・西江 俊作・山口 弘志・池田 光良・荒井 靖仁・東畑 郁生
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 27〜30 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000005
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タイトル 熊本地震における滑動崩落被害を受けた造成宅地の土質特性及び再現解析
著者 門田 浩一・佐藤 成・本橋 あずさ・東郷 智・金子 俊一郎
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 31〜36 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000006
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タイトル 2016年熊本地震で被災した補強土壁における変状要因の分析
著者 佐藤 登・澤松 俊寿・藤田 智弘・新田 武彦・宮武 裕昭
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 37〜44 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000007
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タイトル 1964年新潟地震における新潟市内の建物と地盤の被害分布と地形条件の関係
著者 保坂 吉則
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 45〜50 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000008
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タイトル 地震時におけるグラウンドアンカーの損傷と抑止効果について
著者 常川 善弘・酒井 俊典・近藤 益央・藤田 智弘・高梨 俊行・田口 浩史・山下 英二
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 51〜58 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000009
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タイトル Dynamic Characteristics of Volcanic Soil and Its relation to Landslide Mechanism in Gentle Slope
著者 Sumartini Wa Ode・Hazarika Hemanta・Kokusho Takaji・Kochi Yoshifumi・Ishibashi Shinichiro
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 59〜64 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000010
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タイトル 振動式コーンを用いた定点振動の適用性に関する室内土槽実験
著者 石村 陽介・谷本 俊輔・佐々木 哲也
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 65〜72 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000011
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タイトル 土被り厚が実橋脚の振動特性に及ぼす影響に関する実験
著者 村田 和哉・佐名川 太亮・生井 貴宏・内藤 直人・渡邉 諭
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 73〜78 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000012
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タイトル 観測地震動からS波の地盤増幅特性を抽出する方法
著者 川瀬 博・仲野 健一・伊藤 恵理
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 79〜84 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000013
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タイトル 杭基礎擁壁の地震時残留変位算定法に関する検討
著者 藤本 達貴・中島 進・佐名川 太亮・村田 和哉・西岡 英俊
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 85〜92 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000014
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タイトル 杭を用いた壁背面土の液状化抑制効果に関する数値実験
著者 藤原 覚太
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 93〜98 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000015
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タイトル 液状化対策型貯水槽の浮き上がり防止効果に関する簡易模型実験
著者 中澤 博志・濱田 貴嗣・原 忠・河上 修士
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 99〜104 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000016
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タイトル 平成29年九州北部豪雨によるため池の被災分析と室内越流模型実験の試行
著者 石藏 良平・内野 隆文・毛利 栄征・東 孝寛
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 105〜110 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000017
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タイトル 西日本豪雨災害における斜面災害の特徴と過去の災害との相違点
著者 鈴木 素之・荒木 功平・石田 幸二・岩佐 直人・宇次原 雅之・北爪 貴史・後藤 聡・橋口 昭彦・美馬 健二・吉川 修一
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 111〜116 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000018
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タイトル 平成30年7月豪雨による山口県南東部の地盤被害の状況
著者 鈴木 素之・太田 岳洋・大和田 正明・河内 義文・楮原 京子・片岡 知・西山 健太・西川 智樹
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 117〜124 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000019
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タイトル 平成30年7月豪雨での広島県と岡山県のため池の被害
著者 柴田 俊文・西村 伸一
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 125〜128 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000020
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タイトル 平成30年7月豪雨による岡山県内のため池被害と破壊メカニズムについての一考察
著者 藤本 哲生・栗林 健太郎・坂部 晃子・黒田 修一
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 129〜132 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000021
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タイトル 平成30年7月豪雨における近畿地方の土砂災害
著者 芥川 真一・鏡原 聖史・鳥居 宣之・小田 和広・小泉 圭吾・片岡 沙都紀
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 133〜138 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000022
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タイトル 西日本豪雨における堤防決壊に伴う浸水時の冠水井戸の簡易水質調査
著者 藤田 真理子・小林 薫・安原 一哉・黒田 修一・臼倉 和也
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 139〜142 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000023
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タイトル 平成25年台風18号による福井県嶺南地域の土石流災害
著者 平成25年台風18号による地盤災害調査団 (竜田 尚希)
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 143〜150 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000024
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タイトル 山間地域における住民参加型斜面監視・モニタリングシステムの構築
著者 小山 倫史・近藤 誠司・小林 泰三・芥川 真一・ 佐藤 毅・中田 勝行・下嶋 一幸
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 151〜158 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000025
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タイトル 簡易現場試験による崩壊斜面の原位置強度の推定
著者 大嶺 聖・杉本 知史・出口 資門
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 159〜162 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000026
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タイトル 地質的断裂に起因する斜面崩壊のγ線測定による事例的考察
著者 吉村 辰朗・福田 直三
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 163〜168 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000027
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タイトル 災害協力協定に基づく岐阜県内豪雨災害の合同調査
著者 沢田 和秀・中井 健太郎
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 169〜172 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000028
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タイトル GISを利用した斜面崩壊危険箇所の要因分析
著者 南部 啓太・西岡 孝尚・澁谷 啓
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 173〜178 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000029
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タイトル 確率応答曲面法を用いた三次元斜面安定解析
著者 笠間 清伸・古川 全太郎
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 179〜184 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000030
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  • タイトル
  • 造成宅地の新たな液状化流動破壊モードとそのメカニズム―平成30年北海道胆振東部地震での札幌市清田区の事例―
  • 著者
  • 國生 剛治
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 1〜8
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000001
  • 内容
  • 造成宅地の新たな液状化流動破壊モードとそのメカニズム―平成 30 年北海道胆振東部地震での札幌市清田区の事例―Unprecedented liquefaction failure mode in residential fill and its mechanism-Case study at Kiyota ward, Sapporo city, during 2018 Hokkaido earthquake國生剛治*Takaji KOKUSHO2018 年 9 月 6 日午前 3 時 08 に起きた地震では,札幌市清田区の造成宅地で今までに見られなかった液状化被害が発生し,多数の戸建て住宅に従来では考えられない大きさの沈下・傾斜被害が生じた。旧谷地形の水田を埋めた砂質地盤が液状化で非常に流動的になり地表には噴砂せず,大量の砂が地下からなくなり最長 200m も緩勾配地盤中を流動し造成地端部から流失したためである。稀ではあるが類似の破壊モードは 2003 年十勝沖地震で北見市郊外農地でも起きており,大量に含まれた非塑性細粒分と粒子破砕性により緩傾斜地盤中で火山起源の細砂が流動性を増した可能性がある。従来の液状化関連設計での考え方と大きく異なる今回の液状化流動破壊モードの重要性に鑑み,本稿では地震直後の限られた情報に基づきその破壊メカニズムについて検討した。キーワード:造成宅地,液状化,地中砂流動,体積収縮性,細粒分含有率Residential landfill, liquefaction, subsurface flowable-sand-, contractility, fines content丘陵部とそれに挟まれた帯状の水田と畑地からなる谷地1.はじめに2018 年 9 月 6 日午前 3 時 08 に起きた北海道胆振東部形であった。1984 年までにほぼ平坦な宅地に造成してお地震(MJ=6.7)では,図-1 に示すように震央から約 50 kmり,造成盛土としては丘陵地の凝灰質の砂質土が使われ離れた札幌市清田区里塚 1 丁目の造成宅地で大規模な液たと推定される。状化が生じ,多くの戸建て住宅で非常に大きな沈下や傾液状化地点から 8 km ほど離れた防災科研の K-NET斜が生じた。本稿では,従来の液状化関連の設計で考慮HKD182 広島での加速度の時刻歴と応答スペクトルを図してこなかったこのような破壊モードの重要性に鑑み,-2 に示すが 2),地表最大加速度 PGA=200gal 弱,卓越振被災直後の現時点(原稿締切日:2018 年 9 月 16 日)ま動数は 2.5~5Hz,継続時間は 20~30 秒程度であった。図-3 は国土地理院 1)による今回被災した造成宅地の地での筆者による調査結果や見解について報告する。図であるが,1968 年以前は丘陵とその間に入り込んだ沖積低地からなり,一番の低地は水田でその横は畑地に利2.被災速報この宅地は国土地理院の航空写真 1)によると 1978 年以用されていた。住民の方からの情報でも確認できたが,前は支笏火砕流堆積物(溶結・非溶結凝灰岩)から成る40 年ほど前から一帯の開発が始まり,周辺の丘陵を切土NS: 199 cm/s2EW: 177 cm/s2UD: 107 cm/s2104mrutc 103eps 2sen 10opse 101rn0iota 10rele10-1ccA10-2(D=5%)00図-1 平成 30 年北海道胆振東部地震震央位置など*60 80 100 120 140 (s)名誉教授246Period (s)810図-2 平成 30 年北海道胆振東部地震本震の加速度時刻歴と加速度応答スペクトル 2)1)中央大学20 40Professor Emeritus, Chuo University1 図-3 札幌市清田区里塚 1 丁目付近地図と液状化沈下影響範囲図-4 同上地図と国土地理院航空写真(1961~1969)1) から読み取った水田・畑地・丘陵地を重ね合わせして,最大厚さ 8~9 m ほどの盛土によりほぼ平坦ではあここで指摘すべきこととして,盛土の S 波速度を 100 mるが平均勾配 1.5~3%で東に向かって緩く傾斜した宅地程度とした場合,盛土厚さを底部の軟弱層も含め 10 mが造成されたようである。図中には宅地街路に沿って地とするとその固有振動数は f=100m÷(4×10m)=2.5 Hz とな盤が大沈下を生じた箇所を(筆者が目視調査)黄色の帯り,図-2 の地震入力によって増幅し他の造成埋立地よりで重ね書きしている。今後正確な測量が必要であるが,液状化し易かった可能性が考えられる。図 -4 に は 図 -3 と 同 じ 地 図 上 に , 国 土 地 理 院 の沈下をしていないように見える近辺の地盤との最大相対1)から筆者が読み取った旧地形沈下は 3m を越え,沈下帯の幅は 30 m 前後はあると思わ1961~1969 年の航空写真れた。沈下の帯はこの造成宅地の東側端部に当たる地点の水田・畑地・丘陵地の範囲を書き入れている。図-3 にA から始まり徐々に高度を上げながら造成地の奥方向に記入した最大沈下の帯が水田や畑地の分布と概略一致し延長約 200m にわたり連続していた。ていることが読み取れ,液状化による大沈下量は旧地形A:液状化砂流出箇所Before(2016, Google street view)after図-5 造成宅地における撮影位置①での地震前後の比較2 図-6 造成宅地における撮影位置②での地震前後の比較図-7 造成宅地における撮影位置③での地震前後の比較Before(2016, Google street view)after図-8 造成宅地における撮影位置④での地震前後の比較図-9 造成宅地における撮影位置⑤での地震前後の比較3 図-10 造成宅地における撮影位置⑥での地震前後の比較図-11 造成宅地における撮影位置⑦での地震前後の比較図-12 造成宅地における撮影位置⑧での地震前後の比較の低地部の埋立厚さに支配されと推定される。地に大亀裂が発生しておらず,噴砂がほとんど見られ図-5~図-12 はこの造成エリアで地盤沈下に巻き込まない点である。これらの大沈下を引き起こした地下の土れた戸建て住宅の写真(2018 年 9 月 7, 8 日筆者撮影)のはどこに行ってしまったのか?その土は地盤中を長距離例である。撮影位置①~⑧は図-3 に示されている。Google流動し造成宅地東側で地上に流出し,下流側一帯の低地ストリートビュー(2016~2017 年撮影)を使った地震前を埋め尽くしたと考えられる。その流出箇所は図-3 に示後の比較写真としているが,ほぼ平坦であった宅地が地す造成宅地端部の地点 A であることは,大沈下の帯がそ震後に通常の液状化では起き得ない大きさの沈下と傾斜こで止まっていることからも判定できる。による甚大な被害を蒙っていることが分かる。もう一つ図-13~図-15 は地点 A から下流低地側の地震前後の比指摘すべきは,これだけの大沈下にも関わらず道路や敷較写真である。地震前は Google ストリートビュー(20164 A:液状化砂流出箇所Before(2016, Google street view)after (住民の方よりご提供いただいた)図-13 造成宅地下流における撮影位置⑨での地震前後の比較A:液状化砂流出箇所Before(2016, Google street view)after ( 住 民の方よりご提供いただいた)図-14 造成宅地下流における撮影位置⑩での地震前後の比較Before(2016, Google street view)after (住民の方よりご提供いただいた)図-15 造成宅地下流における撮影位置⑪での地震前後の比較年),地震後は外部の人間は立ち入り規制されていたため,3.液状化砂の長距離流動性地元住民の方からご提供いただいた写真を使わせていただいている。地震前に道路であった舗装面に大きな亀裂造成宅地の広域にわたって液状化した砂は途中で地表が口をあけ,その上流側には砂は見られず下流から砂のを突き破って噴出することなく,最長 200m ほど地中を堆積がはじまっていることからここが噴出位置であった長距離流動し地点 A から噴出したことになる。造成地はことは確実である。旧地形図によればこのあたりは旧水流出方向に平均 1.5~3%の緩い勾配があったが,大量の田地帯に至る水路が通っており,宅地造成に当たり排水砂が地中からほぼ水平方向に流失したことで宅地に最大管などの排水設備を設置していたとすれば,この地点 A3m ほどにもおよぶ大沈下を 200m の長さにわたり引き起に排水設備出口があった可能性があり,それが砂の流出こした。これが生じるには勿論ある程度の時間が必要でを促進したことも考えられる。あった思われ,宅地の沈下も徐々に進んだと推定される。5 えられるが,砂自身の特性にその根本的原因があると思10080通過重量百分率 (%)われる。取り急ぎ実施した流出堆積砂(ホテルクラウン2018年胆振東部地震清田区宅地盛土①清田区宅地盛土②2003年十勝沖地震 端野町農地盛土前歩道とセイノーエクスプレス前の歩道の 2 か所で採取)の物理試験による粒度分布を図-16 に示す。採取地点は 50 m ほど離れているが,極めて近い粒度分布であ60ることが分かる。平均粒径 D50=0.13 mm,均等係数 Uc=2540~35 の細砂で,細粒分の含有率は Fc=35~36%で非塑性(NP)であり,土粒子密度は ρs=2.26~2.28 t/m3 と異常にmm570.02001E-30.01低いことから,軽石(パミス)を多く含むと考えられる。今回のような液状化流動事例は筆者の知る限り極めて0.11稀ではあるが,例外的に 2003 年十勝沖地震(MJ=8.0)の10粒径'(mm)際に北海道北見市郊外端野町の造成農地で今回と酷似し図-16 清田区造成宅地から下流に流出・堆積した砂た液状化による地盤破壊が起きていた 3)。図-17(a)のようの粒度分布と 2003 十勝沖地震で類似地盤破に液状化サイトは震源から 230 km も離れており,そこ壊を生じた端野町造成農地の砂との比較から 10km ほど離れた防災科研の K-NET HKD054 北見では図-17(b)のように PGA=54gal の弱い加速度が主要動 1実際,砂が堆積した下流域の地元住民の方から得られた分間ほど記録されていた証言では,「午前 3:08 分の地震発生時は暗かったため外地数か所で液状化が起きたが,なかでも以前は水田であで何が起きているか分からなかったが,水が流れるようった谷地形を 30 年ほど以前に盛土造成した緩傾斜(3º)2)。これにより一帯に拡がる農な音が絶え間なく聞こえ水道管の破裂かと思った。5 時畑地が、長さ 150m 幅 35m にわたって最大 3.5m 沈下し過ぎに明るくなり外に出ると家の周りは既に砂で埋め尽た。図-17(c)の写真のように亀裂も噴砂も少なく小麦畑のくされており,付近の溝からはまだ砂の噴出が続いてい畝筋は乱れることもなく整然と並んだままであった。図た」とのことである。-18(a)(b)にはこの陥没エリアの全景とその下流端近くか液状化した砂のこれほど長距離の地中流動が可能となら噴出した砂の流下軌跡を含んだ航空写真と地盤調査点った理由については,宅地造成時に地中排水設備が設置を含む平面図されていたとすればそれがある程度関わった可能性も考2 か所から噴出し下流 1 km にわたり流れ下った。噴出砂3)を示す。液状化した砂は陥没エリア端部の粒度分布を図-16 に重ね合わせているが,今回と酷似している。平均粒径 D50=0.2 mm,均等係数 Uc=30 の火山北⾒市端野町(a)起源の細砂で多少のパミスを含み土粒子密度 ρs=2.465t/m3 と低めの値が報告されている3) 。細粒分含有率はFc=33%で,細粒分は非塑性(NP)である。地盤調査と約230km× 震源(b)加速 度 (ガル)10 0EW500-5 0-10 020406080100120140時 間 (s)(c)図-17 2003 年十勝沖地震と端野町液状化地点(a),図-18 十勝沖地震での陥没農地の航空写真と下流域への砂流出の航空写真(北見工大提供)(a)と地盤調査位置 3)をK-NET 北見(EW)(b),陥没した畑と畝筋(c)含む平面図(b)6 図-19 富津砂+非塑性細粒分供試体の中空ねじり非排水単調載荷試験:(a)供試体粒度分布,(b)有効応力経路,(c)応力~ひずみ関係 8)して図-18(b)の平面図に示す点でスウェーデン式サウンい (a)に示す粒径分布からなる富津砂に非塑性細粒分をディング(SWS)が行われたが 3),換算 N 値は地表から異なる細粒分含有率 Fc で混合した試料を使った中空ねGL-6 m の範囲で N=1~8 と極めて低かった4)。じりせん断による (b) τ~σc’関係と(c) τ~γ’関係を示す 7)。相対密度 Dr≈30%の緩い供試体にも関わらず Fc=0%のク畑地の地表は沈下した後も小麦などの畝が整然と並び,陥没範囲で噴砂は全く起こっていなかった点も今回の事リーンサンドでは膨張性であるのに対し,Fc =10%では例に酷似している。つまり宅地のように地表が道路舗装ひずみ軟化を伴った収縮傾向に転じ,Fc =20%ではさらや建物基礎などで覆われていなくても,地表への噴砂はに収縮性が強まり残留強度ゼロの状態まで激しく変化す起きていない。液状化した砂はやはりここでもかなりのることが明瞭に分かる。実際,端野町の液状化地盤の砂流動性を持っていたと考えられる。は Fc =33%の非塑性細粒分を含んでいたし,今回の清田区でも Fc =35~36%で非塑性である。これは細粒分含有率 Fc により砂のダイレイタンシ―特性が大きな影響を4.液状化砂の流動性メカニズム受け,限界状態線 CSL が変化するためである。液状化した砂がこれほどの流動性を発揮するための重要な分れ目は,間隙水圧が上昇し液状化した砂が流動しさらに,これら 2 地点の砂がいずれも火山起源の周辺非排水せん断される時に膨張性を示すか収縮性を示すか地山を切り崩したものであり,河川沖積砂に比べて粒子である。膨張する場合には間隙水圧は低下し有効応力が破砕性が大きい可能性があり,これが収縮性を発揮する増加して流動性は失われるのに対し,収縮する場合は流上で大きな影響をおよぼしたことも考えられる。実際に動中も 100%の水圧を維持し液体のような流動性が継続清田区の砂は土粒子密度が ρs=2.26~2.28 t/m3 で通常の砂できるからである。に比べて極端に小さく,パミス系の破砕性に富む粒子かせん断される砂の膨張と収縮を分ける条件として限界らなっている可能性がある。端野町についても ρs=2.465状態線(CSL: Critical State Line)の存在が知られており 5),t/m3 の低い値のため,同じ可能性が疑われる。砂礫材(神密度が緩い砂で有効土被りが大きいほど収縮側となり易戸マサ土)についての実験例ではあるが,粒子破砕性がい。通常の液状化問題においてはクリーンサンドは膨張大きい材料は堅硬な粒子を持つ材料に比べて繰返し非排側にあり,非排水繰返し載荷条件では水圧が 100%上昇水せん断強度(液状化強度)だけでなく,液状化時の流し液状化するものの,一方向せん断では膨張側に転ずる動に関わる一方向非排水せん断強度も明瞭(1/10 程度まために一方向への流動は起きにくいと言える。一方向へで)に低下することが示されている 9)。ちなみに今回液状化した清田区の造成宅地から 1~2の非排水せん断でも砂が収縮性を示し流動しうるためにkm に 位 置 す る ゴ ル フ 場 斜 面 が 2010 年に MJ=4.6 ,は,いくつかの可能性が考えられる。まず本震以降も余震が継続して小震動により砂の流動PGA=40gal 程度の直下地震により小規模な地すべり・流性が維持される場合で,室内実験や振動台実験などによ動破壊を起こしたとの報告がある 10)。これら小地震でも例えば 6)。しかしその多少不安定化する特徴は 2003 年十勝沖地震での端野町液状の貢献度は否定できないものの,常に流動性を維持する化とも共通しており,北海道の火山起源の砂の特性を反ほどの余震の継続性が確保されるかは疑問である。映している可能性もある。りある程度の効果が確認できるそれより重要なのは,砂に含まれる細粒分の効果と思最後に残された大きなナゾとして,「なぜ清田区と端野われる。非塑性細粒分が混じるとクリーンサンドのダイ町の液状化で噴砂は地表に吹き上げなかったのか」があレイタンシ―特性が劇的に変化し,膨張的から収縮的にる。北海道特有の火山起源砂の性質や気候的条件が関わ明瞭に変化することが室内力学試験により示されてきたっているのか現時点では想像の域を出ない。ただし,上例えば 7)8)記いずれのケースでも共通的に,地盤は緩傾斜していた。図-19 には一例として,今回液状化した砂と近7 ことと沈下した地盤に明瞭な亀裂が発生していないこと謝辞:(株)テレビ朝日報道局の山本将司様には液状化は一考に値する。この共通的条件の下では,地中の砂が地点調査の機会をいただき,関連資料の準備もしていたある深さで連続的に液状化し緩勾配を下流方向に移動しだいた。また防災科学技術研究所の石澤友浩氏には緊急ようとすると,地盤の気密性により上流側に負圧が生じ的に砂の物理試験を引き受けていただいた。末筆ながら表層を突き破る噴砂が生じにくくなるのではないだろう深謝申し上げます。か。負圧は本来液状化で発生した過剰間隙水圧を下げることになるはずだが,それでも砂粒子間の有効応力の回参考文献復が起こらず流動性を保持しうる何らかのメカニズムが1)存在するのではないであろうか。2)いずれにしても,従来の設計では想定してこなかった国土地理院地図:://maps.gsi.go.jp/防災科学技術研究所:http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/大きな地盤沈下・傾斜により家屋などへの甚大な被害を3)Tsukamoto, Y. Ishihara, K., Kokusho, T., Hara, T. and与えた今回の液状化流動破壊モードについて,メカニズTsutsumi, Y. (2009): Fluidisation and subsidence ofム解明と対策の研究が必要である。gently sloped farming fields reclaimed with volcanicsoils during 2003 Tokachi-oki earthquake in Japan,5. まとめGeotechnical Case History Volume, Balkema, 109-118.1) 北海道胆振東部地震により札幌市清田区の造成宅地4)で起きた液状化では,多くの戸建て住宅に従来想定してこなかった規模の最大 3 m ほどの沈下・傾斜を5)もたらした。2) その大沈下メカニズムは従来とは全く異なり,沈下6)家屋近傍では噴砂は起きず,液状化した大量の砂はKokusho,T.(2017):InnovatedEarthquakeSoilDynamics, Chap. 5.6, P.328.Casagrande, A. (1971): On liquefaction phenomena,Geotechnique, London, England, Vol.XXI, No.3,197-202.Meneses, J., Ishihara, K. and Towhata, I. (1998):長距離離れた噴出箇所まで緩やかな勾配で地中を流“Effects of superimposing cyclic shear stress on the動し失われることで,従来にない大きな沈下が引きundrained behavior of saturated sand under monotonic起こされた。loading.” Soils and Foundations, Vol.38, No.4, 115-1277)3) 液状化した砂が継続的に地中流動できるためには,Ishihara, K. (1993): Liquefaction and flow failure duringせん断され続ける砂の体積収縮性が鍵であり幾つかearthquakes, 33rd Rankine Lecture, Geotechnique,の可能性が挙げられるが,特に密度の緩い砂に含まVol.43, No.3, 351-415.8)れていた非塑性細粒分の働きが重要と考えられる。Kokusho, T. (2016): Major advances in liquefaction4) 類似の地盤破壊が 2003 年の十勝沖地震の時に造成農research by laboratory tests compared with in situ地で起きたことがあり,砂が大量の非塑性細粒分をbehavior, Fifth Ishihara Lecture, Special Issue of Soil含んでいたこと,土粒子の密度が小さく破砕性が高Dynamics and Earthquake Engineering, Vol. 91, 3–22.9)いと推定されることや地盤が緩く傾斜していたこと國生剛治 (2014):地震地盤動力学の基礎-エネルギー的視点を含めて-,鹿島出版会。など共通点が多い。10) 田丸5) 現時点でこの種の破壊モードの発生例は多くはない淳・石丸聡・川上源太郎・岡崎紀俊・横浜が、被害の深刻さを考えると今後,この新たなタイ勝司・三浦精一(2012):浅い内陸地震(M4.6)にプの液状化沈下に対するメカニズムの解明と対策法より発生した札幌市清田区の地すべり,報告,J. ofの確立が必要である。Jpn, Landslide Soc., Vol.49, No.2pp.27-3。An MJ6.7 earthquake of Sep. 6, 2018 in Hokkaido caused unprecedented severe liquefactiondamage to private houses due too excessive settlement (exceeding 3 m) and inclination in a landfillresidential area constructed by filling shallow valleys with cut and bank method.. A large quantity ofliquefied sands laterally flowed underground 200 m in the longest in very-gently inclined land andspilled from a margin portion. This means that the sand should be very contractive to be able tobecome so much flowable. This case combined with a similar case occurred only once in a 2003earthquake also in Hokkaido suggests non-plastic fines mixed in sands as well as crushability of sandparticles may play a key role in this strange flow behavior. Thus, possible mechanisms involved inthis liquefaction case has been discussed based on information available at this moment just after theearthqauke.8
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  • タイトル
  • 胆振東部地震による火山灰盛土地盤の液状化
  • 著者
  • 小合 克弥・ハザリカ へマンタ・國生 剛治・石橋 慎一朗・山本 茂雄・金子 広明
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 9〜12
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000002
  • 内容
  • 胆振東部地震による火山灰盛土地盤の液状化A study on liquefaction of reclaimed volcanic soil during the Eastern Iburi Earthquake小合克弥*, ハザリカ へマンタ**, 國生剛治***, 石橋慎一朗****, 山本茂雄*****,金子広明******Katsuya OGO, Hemanta HAZARIKA, Takaji KOKUSHO, Shinichiro ISHIBASHI,Shigeo YAMAMOTO and Hiroaki KANEKO2018 年 9 月 6 日午前 3 時 8 分に発生した Mj 6.7 の地震により,札幌市清田区の宅地において局所的な液状化による沈下被害を生じた。当該地域は,従来は谷であったが,1970 年代後半の造成工事により,火山灰土を用いた盛土地盤が形成された。著者らは地震発生から約 1 か月後の 10 月 9 日に,同区里塚において現場試験,サンプリングを行った。回収したサンプルに加えて,不攪乱と再構成の試料では力学的特性の変化が大きい火山灰土の特性を考慮するため,参考試料として 2016 年の熊本地震でも液状化しなかった熊本県益城町の火砕流堆積物のボーリングサンプルの結果と比較しつつ,繰返し三軸試験を行った。原位置試験で得られた結果と,室内試験で得られた物理・力学特性から,里塚地区における液状化発生のメカニズムに関する検討を行った。キーワード: 液状化, 火山灰土, 繰返し三軸試験, 平成 30 年北海道胆振東部地震Liquefaction, volcanic ash soil, cyclic triaxial testing, the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake1. はじめに2018 年 9 月 6 日午前 3 時 8 分に発生した北海道胆振東部地震により,札幌市清田区里塚(図-1)において,大規模な沈下を伴う液状化被害を生じた。里塚から約 8 km 離れた位置にある防災科学技術研究所の K-NET HKD182広島 2)では,NS,EW の成分において地表最大加速度で200 Gal 弱を観測しており,強い揺れが 20~30 秒継続して観測された。しかし,図-2(a)に赤丸で示す沈下をした地点には噴砂が発生しておらず,その北東側に砂質土が集中して堆積している箇所(黄丸のエリア)が見られた。同宅地は緩斜面になっており,液状化した地盤が地図-1 震央と里塚の位置(a) 地震直後(2018 年 9 月 13 日撮影)(b) 従来の土地利用(1974-1978 年撮影)図-2 里塚 1 丁目の航空写真比較(国土地理院の航空写真に加筆)* 九州大学大学院工学府** 九州大学大学院工学研究院*** 中央大学名誉教授**** 日本地研株式会社***** 中央開発株式会社****** 日本基礎技術株式会社Graduate Shool of Engineering, Kyushu University教授Professor, Graduate Shool of Engineering, Kyushu UniversityProfessor Emeritus, Chuo UniversityNihon Chiken Co., Ltd.Chuo Kaihatsu CorporationJapan Foundation Engineering Co., Ltd.9 (a) 道路沈下の様子図-4 ボーリングデータ(左)と簡易動的コーン貫入試験結果(右)なかったが,路肩に残っていた噴砂を回収した。図-4 に全国地質調査業協会連合会が公開するボーリングデータ内の土質,N 値,孔内水位と筆者らが行った簡易動的コーン貫入試験の結果を示す。位置は図-2 (a)内でそれぞれ,点 B がボーリング地点,点 P が簡易動的コーン貫入試験実施地点である。また,点 P の地点は周囲に比べて沈下をしていない地点である。ボーリングデー(b) 採取した砂(手前)と砂の流出地点(黄丸)タによると,深度 5 m までは火山灰によって埋め立てら図-3 清田区里塚の被災状況れた盛土であり,5 m 以深の火山灰は支笏火砕流堆積物の地盤である。盛土部分では N 値が 10 を下回っている盤内を流動し,下流側(東側)の噴出点に集中して現れ一方で,その下部の火山灰土の N 値は 30 近いことから,たと考えられる。また,地震の前日 9 月 5 日には北海道盛土と自然堆積状態の強度の違いが大きいことが考えらに台風 21 号が上陸しており,これによる多量の雨水がれる。また,簡易動的コーン貫入試験は約 4.5 m の深度地盤に流れ込み,液状化の起こりやすい状況になっていまで行っており,盛土火山灰の強度に関するデータのみたと考えられる。が得られている。なお,同試験の実施中,地下水の痕跡図-2 (b)に宅地の造成以前にとられた航空写真を示に関するデータは得られていない。ここでも換算 N 値はす。これによると同地区は支笏火砕流堆積物から成る丘ほとんどの点で 10 を下回っており,2~4 m の深度ではボ陵地帯であったが,谷の部分が埋め立てられほぼ平坦なーリングの N 値を下回っていることが分かる。簡易動的土地に造り替えられている。今回液状化したエリアは従コーン貫入試験では,貫入深さ 10 cm ごとに値をプロッ来水田であった地点にほぼ一致しており,盛土の液状化トしているが,深度 2~3 m のあたりでプロットの深度方が考えられる。ボーリングデータより,住宅地の盛土材向の間隔が大きくなっている。これは一度の打撃で 10料は火山灰土であるが,火山灰土は粒子間の固結等といcm 以上沈下した場合であり,この深さの地盤が非常に弱った年代効果が考えられるため,攪乱する前と後とで力いか,あるいは空洞になっていることが考えられる。砂学的性質が大きく変化する。本研究では,不かく乱状態が沈下地点から離れた場所から流出したメカニズムを考と再構成された状態の火山灰土の比較のため,熊本県益えると,液状化した深度における地盤が流出し空洞が残城町で採取した火砕流堆積物による力学試験の結果に言されている可能性が考えられる。地下水位は,ボーリン及し,里塚における液状化のメカニズムに関する検討結グデータの孔内水位を参考にすると盛土以深に水面があ果について報告する。るが,地震前日の台風 21 号により多量の雨水が流れ込み,換算 N 値の小さい深度まで地下水位が上昇したと考2. 被災状況えると,3 m 程度の深度において液状化があった可能性図-3 (a)は里塚の住宅地内において沈下を生じた箇所が考えられる。の写真である。沈下を生じていない箇所との相対的な標高差が約 3 m ある一方で,この周辺に噴砂は生じていな3. 里塚の火山灰土の液状化強度試験かった。図-3 (b)は砂が集中して流出していた箇所である。上記の議論から,地下水位が地表面下 2 m まで上昇し,すでに幾分か修繕がなされ,砂が流出した箇所の痕跡は3 m の深度において液状化が発生した場合を想定して条10 式を用いる。表-1 里塚の試料の物理情報相対密度%土粒子密度 g/cm3乾燥密度3g/cm40 湿潤密度 g/cm32.19含水比 38.6 % 時1.080.781.42飽和時𝐶𝑆𝑅 = 0.65𝑎𝑚𝑎𝑥 𝜎𝑣(1 − 0.015𝑧)𝑔 𝜎𝑣′(1)里塚の液状化時の地下水位が 2 m まで上昇しており,深度𝑧 = 3 mの地盤要素を仮定して式(1)の鉛直土圧𝜎𝑣 と有効鉛直土圧𝜎𝑣′ を求め,地表最大加速度𝑎𝑚𝑎𝑥 を K-NET表-2 益城の試料の物理情報相対密度70 湿潤密度 g/cm32.59含水比 48 % 時%土粒子密度 g/cm3乾燥密度3g/cmHKD182 により観測された値を用いて式(1)を計算すると,地震時に地盤に作用したせんだん力は,正弦波を用いた1.64繰返し三軸試験における応力比として𝐶𝑆𝑅 = 0.18 程度1.14の値となる(𝑔は重力加速度)。これを図-6 の結果と比較すると,里塚の火山灰盛土に対して𝐶𝑆𝑅 = 0.18は液状化を通貨質量百分率 (%)100.0起こすのに十分に大きいといえる。一方で,益城の試料は,2016 年の熊本地震を受けても80.0液状化しなかった火砕流堆積物からボーリング採取した60.0試料であるが,里塚の試料に比べて再構成でも液状化強度が高く,不攪乱試料ではより大きな強度を示している40.0益城ことが分かる。里塚20.0次に,益城の試料の不攪乱と再構成の試料の差を過剰間隙水圧比とひずみに着目して説明するが,各試験が異0.00.0010.010.11粒径 (mm)10100なる CSR 値によって行われているため,比較をしやすくするために損失エネルギーの考え方を導入する。繰返し図-5 粒径加積曲線三軸試験において任意のサイクル数までに供試体に与え件を設定し,里塚で採取した火山灰試料に対して繰り返られた累計損失エネルギー𝛴𝛥𝑊𝑘 は,供試体に作用するし三軸試験を行った。モールド内での湿潤突き固め法にせん断応力𝜏と供試体のせん断ひずみ𝛾を用いて式(2)5)のより,相対密度が 40 %になるようにして,直径 5 cm,高ように表される。さ 10 cm の円柱供試体を作成した。液状化強度の比較対∑ Δ𝑊𝑘 = ∑ (∮ 𝜏 𝑑𝛾)象として,益城町でボーリング採取した火砕流堆積物の(2)𝑘試料を用いた。益城の試料はボーリングの径と同じ直径図-7 と図-8 に過剰間隙水圧比と両振幅せん断ひずみのの 6.5 cm,高さ 13 cm,そして自然状態の密度である相対密度 70 %程度に試料を調整し,試験を行った。益城の試料はボーリング試料をトリミングしたのみの不攪乱試1過剰間隙水圧比, Du/sc'料と,モールド内の湿潤突き固め法により再構成した試料の 2 種類を比較した。これらの試料の繰返し三軸試験から得られた,繰返し載荷回数と応力振幅比の関係を図-6 に示す。里塚で採取した試料は益城の試料よりもはるかに低い応力振幅比により液状化した。また,今回の液0.8Undisturbed 20.6不攪乱0.4Undisturbed 40.2Disturbed 1再構成状化地点の情報を CSR の値に反映させるために下記のDisturbed 2000.20.40.60.81累積損失エネルギー, ΣΔW/ sc'0.8図-7益城で採取した試料の累積損失エネルギーと過0.25益城(不攪乱)0.6剰間隙水圧比の関係益城(再構成)両振幅せん断ひずみ, gDA (%)0.50.25里塚(再構成)0.40.30.20.10.2Shear Strain, gDA (%)0.7繰返し応力振幅比, sd/2s'0Undisturbed 30.150.10.05凡例は図-6と同じ000.00.11.010.00.20.40.60.81累積損失エネルギー, ΣΔW/ sc'100.0繰返し載荷回数, NC図-8 益城で採取した試料の累積損失エネルギーと両振幅せん断ひずみの関係図-6 繰返し三軸試験の結果11 変化を,供試体の初期有効拘束圧𝜎𝑐′ によって無次元化した累積損失エネルギー4)に関してまとめた。図-7土を液状化しやすい状態にしていたと考えられる。による4. 繰返し三軸試験の結果から,緩詰の火山灰土層を想定と過剰間隙水圧比の上昇の仕方は不攪乱と再構成との間した場合,地震の加速度等を考慮して計算した応力比で大きな違いはないが,図-8 に示すように,ひずみとエ𝐶𝑆𝑅 = 0.18 は液状化を発生させるのに十分な外力条ネルギーの関係には不攪乱と再構成の間に大きな違いが件であるといえる。見られる。液状化基準の一つである𝛾𝐷𝐴 = 7.5 %に着目す5. 益城の試料で示したように,不攪乱の火山灰土には強いると,不攪乱試料を液状化させるためには再構成試料を液状化抵抗が存在しているため,里塚の盛土以深に存液状化させるのに必要なエネルギーのおよそ2倍必要で在する自然堆積の火山灰層などは液状化しづらいため,あるあることが分かる。また,再構成試料は載荷に伴い盛土地盤が液状化したと考えてよいと思われる。急激にひずみが増大し,過剰間隙水圧比が 1,0 を達成するのとほとんど同時に𝛾𝐷𝐴 = 7.5 %となるが,不攪乱試料謝辞:益城町におけるボーリングサンプリングに協力してくだでは,過剰間隙水圧比が 1.0 に近づいてしばらくしてかさった中央開発株式会社の岩崎誠二様に感謝いたします。ら𝛾𝐷𝐴 = 7.5 %に達していることが分かる。このことから,不攪乱試料は過剰間隙水圧比が 1.0 まで上昇しても急激参考文献にひずみが進行しないような粒子間の結びつき(固結作1)用等)が存在していることが考えられる。このように自然2)状態の火山灰土には強い液状化抵抗が存在しているため,国土地理院: https://maps.gsi.go.jp防災科学技術研究所: http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/里塚の地盤においても,火山灰盛土の下の自然に堆積し3)た火山灰土が液状化した可能性は低いと考えられる。全国地質調査業協会連合会: https://geonews.zenchiren.or.jp4)國生剛治, 金子陽輔, 岡田侑子(2018): 正弦波・不規4. 結論則波繰返し載荷による砂の損失エネルギーと液状化1. 3 m ほどの大規模な沈下減少と液状化砂が別々の場所挙動, 地盤工学ジャーナル Vol. 13, No. 3, pp. 205-221で観測される現象が,清田区里塚の火山灰盛土地盤に5)石原研而(2017): 地盤の液状化, 朝倉書店おいて発生していた。6)小合克弥, ハザリカ へマンタ, 國生剛治, 山本茂雄,2. 簡易動的コーン貫入試験の結果から,液状化地点の地松本大輔, 石橋慎一朗, スマルティーニ ワ オデ盤の深度 4.5 m ほどまでは N 値(換算 N 値)が 10 に満(2018): 2016 年熊本地震における火山灰土の液状化たない層が連続しており,一部では一度の打撃で規定特性に関する基礎的研究, 第 53 回地盤工学研究発表値の 10 cm 以上の貫入が起きた場所が深度 2~3 m に集会講演原稿, pp.1871-1872中していたのが確認された。地盤内で液状化が生じ,そ7)Ogo, K., Hazarika, H., Kokusho, T., Yamamoto, S.,の地点の砂が外部へ流出したことによる空洞化が原因でIshibashi, S., Matsumoto, D. and Sumartini, W. O.(2018):あると考えられる。Liquefactionstrengthevaluationofundisturbed3. 簡易動的コーン貫入試験中に地下水の痕跡は観測されpyroclastic soil focusing on excess pore water pressureておらず,また,ボーリングデータにおいても孔内水位はand strain, The Eighth Japan-Taiwan Workshop on地下 5.7 m であったが,これは火山灰盛土層よりも下側Geotechnical Hazards from Large Earthquakes and Heavyの強固な火山灰土層内である。地震前日の台風 21 号にRainfalls, pp. 61-62より流れ込んだ雨水が地下水位を上昇させ,火山灰盛The Eastern Iburi Earthquake occurred at 03:08 JST on September 6, 2018 and registered Mj 6.7. Due to thisearthquake, large liquefaction-induced settlement took place in the residential area in Satozuka, Kiyota-ku,Sapporo-shi, Hokkaido, Japan. This residential area was constructed by filling the valley with volcanic ash soil inlater 1970s. The authors conducted a field survey for in-situ testing and sampling on October 9, 2018 at Satozuka.In addition to the sample collected in Satozuka, the borehole sample collected from Mashiki town was used in orderto investigate the difference between undisturbed specimens and reconstituted specimens of volcanic ash soil. Basedon the results obtained from in-situ testing and laboratory tests such as physical testing and mechanical testing, themechanism of the liquefaction during the earthquake was investigated.12
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  • タイトル
  • 2018年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析
  • 著者
  • 橋本 隆雄
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 13〜20
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000003
  • 内容
  • 2018 年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析Analysis of residential land damage in the Omagari-namiki district ofKitahiroshima City by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake橋本隆雄*Takao HASHIMOTO2018 年北海道胆振東部地震は,9 月 6 日 3 時 7 分に発生し,震源深さ 37km(気象庁暫定値),地震の規模マグニチュード 6.7 で,厚真町で最大震度 7 を観測し,厚真町,安平町をはじめ,北海等南西部の広い範囲の低地から丘陵地で斜面崩壊を生じた。一方,札幌市から北広島市にかけては,震中から 50km 以上離れているにも関わらず,地震による液状化,宅地擁壁や斜面の崩壊も生じた。本論分では,北広島市からアドバイザーとして依頼を受け,これまで宅地地盤・擁壁・道路等の公共施設の被害調査及び土質調査に基づく宅地被害分析結果ついて,以下に述べる。キーワード:北海道胆振東部地震,地震,宅地,盛土,被害Hokkaido Iburi Eastern Earthquake, earthquake, residential land, embankment, damage1.はじめに北海道胆振東部では,9 月 6 日 3 時 7 分に震源深さ 37km(気象庁暫定値),地震の規模マグニチュード 6.7 の大地震が発生した。北海道の石狩地方南部から胆振地方中∼東部,日高地方北部までの広い範囲で震度 5 を観測し,厚真町で最大震度 7 を観測した。この地震に伴い,厚真(a)宅地地盤のクラック町,安平町をはじめ,北海等南西部の広い範囲の低地から丘陵地で斜面崩壊が生じた。一方,札幌市から北広島(b)建物基礎部のクラック写真-1 宅地の被害状況市にかけては,震中から 50km 以上離れているにも関わdらず,地震による液状化,宅地擁壁や斜面の崩壊も生じた。本論文は,北広島市からアドバイザーとして依頼を受け,これまで宅地地盤・擁壁・道路等の公共施設の被害調査,土質調査について,現時点で住民説明会を通して報道に公開している内容について以下に述べる。2.宅地被害調査2.1 調査概要宅地は,大曲川の河川に沿って写真-1 に示すように盛土の崩壊等の被害を生じた。そこで,宅地地盤の被害状況を把握するために,図-1 に示すように 147 件の宅地被害調査を行った。2.2 建物の平均傾斜建物の被害状況は,写真-2 のように家屋の平均傾斜は,盛土縁辺部が大きくなっている。建物の平均傾斜について調査を行った結果は,図-2 のようになった。この図は,罹災証明と異なり,No16 の宅地の傾斜がほとんど無いことが分かる。* 国士舘大学理工学部図-1 宅地被害調査箇所教授Prof., Faculty of Engineering, Kokushikan University13 2.4 石積擁壁の変状調査2.3 建物の最大傾斜写真-3 は,図-4 の宅地間の練石積擁壁の被害調査箇所図-3 は,計測した建物の最大傾斜量と方向を示したもの被害状況である。被害状況は,石積みが布積みであるのである。ために,横にクラックが入り建物上部の荷重が大きいために崩壊する恐れがある。3.公共施設の被災調査谷側の盛土内部では,写真-4 に示すように道路のクラック及び液状化による噴砂が発生している。沈下は図-5に示す地区南側の切土部で発生しており,下水道の埋戻(a)No.81(b)No.16し土が沈下している。下水道本管は被災していない。写真-2 建物被害状況写真-3 練石積擁壁の変状図-2 建物の平均傾斜図-4 宅地間の練石積擁壁の被害調査結果(a)道路のクラック図-3 建物の最大傾斜量(b)液状化による噴砂箇所写真-4 道路に発生したクラック状況14 4.土質調査結果現地の地盤状況を確認するために,以下のように土質調査を行った。①ボーリング調査:10 か所(図-7∼図-12)②高密度表面波探査1側線.高密度表面波探査は,図-10 に示すように道路上に地震計を設置して,カケヤで起振(人工的に起振させる)することで発生した表面波を測定した。図-7 土質調査位置図図-5 公共施設(道路・下水道等)の被災状況図-8 地層想定断面位置図図-6 罹災証明に平均傾斜補正した図と公共施設被災の図-9 地質構造重ね図15 図-10 高密度表面波探査(a)断面1(b)断面 2(c)断面 3図-11 地質断面図16 (d)断面 4(e)断面 5(e)断面 6(e)断面 7図-12 地質断面図17 5.安定解析結果16 宅地は,写真-5 に示すようにφ200mm の RC 杭で最小安全率:Fs=1.436支持されているために,建物の傾斜が無かった。しかし,地盤は両側の 17 宅地および 15 宅地の石積擁壁の崩壊に伴う土砂流出による沈下のみで水平移動も無く,石積擁壁の南側変状無し(両側は崩壊の影響を受けている。そこで,地質断面 3 の地盤モデル(17 番宅地,16 番宅地)を用いて,安定解析を実施した。解析条件としては以下の 4 ケースで実施した。①定常時水位(地下水位が低い状態):常時②豪雨時水位(地下水位が高い状態):常時③定常時水位の地震時④複合災害(豪雨時の地震時)図-14 16 宅地の安定解析結果(豪雨時)16 番宅地は,図-13 及び図-14 に示すように杭基礎の最小安全率:Fs=0.891為,盛土上部の上載荷重を見込んでいない。17 番宅地は,,図-15 及び図-16 に示すように直接基礎の為,盛土上部の家屋上載荷重を考慮している。安定解析の結果を表-1に示す。図-15 17 宅地の安定解析結果(豪雨時+地震時)写真-5 宅地の安定解析の比較箇所最小安全率:Fs=1.293最小安全率:Fs=1.038図-16 17 宅地の安定解析結果(豪雨時)表-1 安定解析結果一覧表図-13 16 宅地の安定解析結果(豪雨時+地震時)※16 番宅地については杭基礎の為,盛土上部の上載荷重を見込んでいない。18 6.液状化判定表-1 PL 値と液状化による影響の関係液状化を起こす要因としては以下の3つがあり,一般的には①∼③をすべて満たさない場合は液状化しないものと考えられる。①緩い砂地盤であること②飽和した(地下水位よりも深い深度にある)土層③地震動の強さが大きいことや,継続時間がある程であること表-2 地表変位量(Dcy)と液状化の程度の関係度長いこと表-1 は,PL 値と液状化による影響の関係である。表-2 は,地表変位量(Dcy)と液状化の程度の関係である。表-3 は,ボーリング調査の結果から液状化解析の結果である。液状化の安定は,液状化による被害はほとんどない結果となった。しかし,擁壁を含めて崩壊した B-2 および B-10 では,PL 値および地表変位量(Dcy)から液状化による可能性表-3 液状化解析結果あることが分かった。現地では,道路部で噴砂現象が見られたが,宅地部で噴砂現象が見られない。ボーリング調査の結果からは,元の地盤相当の大曲川の対岸であるB-1 の表層から 2m の沖積砂質土層の N 値が 1 と 2 であり,崩壊した B-2 地点表層から 5m で 4,1,0,0,0 と他の地点と比較して極端に低下していることから液状化が発生した考えられる。7.地下水の影響の検討大曲団地西側に発達する氾濫原低地には,図-18 及び写真-6 に示すように湧水箇所が認められ,今回の調査ボーリングから判明した地質構造より,図-19 に示すような火山灰層(Dv)下位に不透水層である洪積粘土層(Dc)が比較的連続性を持って分布することから,降雨は地層深部まで浸透することができず,氾濫原低地に湧水しているものと考えられる。図−20 は,北広島市周辺の地震前の日降雨量の合計で前日に大量の降雨があったことがわかる。このため,豪雨の際には湧水箇所から排水できない地下水が残留し,地下水位が上昇しやすい地質構造であることが考えられる。図-21 は集水地形図あり,降雨後に集まる流域が広いことが分かる。8.被災要因のまとめ図-18 湧水箇所位置図被害状況の分析を行った結果、以下のことが考えられる。①今回被災した住宅地及び公共施設等は,盛土造成したエリアに大半が集中しており,特に沢部の谷埋め盛土を造成した箇所で被害が顕著であった。②9 月 6 日に発生した北海道胆振東部地震により盛土が激しく揺さぶられ,液状化の発生等により家屋などの上載荷重を支え切れないで,宅地が滑動崩落した。③地震発生直前に到来した台風 21 号の影響により盛土部の地下水位が非常に高い状態に地震が重なっ写真-6 湧水状況た複合的要因により大きな被害となった。19 図-19 地下水位が上昇しやすい地質構造図−20 北広島市周辺の地震前の日降雨量の合計図-21 集水地形図謝辞:資料の提供・調査にご協力頂きました北広島市,㈱千代田コンサルタント,日測㈱,㈱シーウェイエンジニアリングの皆様に感謝します。参考文献1)北海道北広島市・国士舘大学橋本隆雄:第1回北海道胆振東部地震に係る大曲並木地区住民説明会,平成 30 年 9 月 24 日2)北広島市災害対策本部・国士舘大学橋本隆雄:第 2回北海道胆振東部地震に係る大曲並木地区住民説明会,平成 30 年 11 月 11 日。Residential land in the Omagari-namiki district of Kitahiroshima City was collapsed the retainingwalls and slopes by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake.In this paper, we analyzed damage by residential land and soil quality survey.As a result, the embankment had a high groundwater level after the typhoon, and was unable tosupport the top load of houses due to a large earthquake. Therefore, it became clear that the residentialretaining wall collapsed.20
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  • タイトル
  • 平成30年北海道胆振東部地震による地盤・土構造物の被害に関する一考察
  • 著者
  • 藤本 哲生・野谷 正明・栗林 健太郎・坂部 晃子・傅 斌・黒田 修一
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 21〜26
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000004
  • 内容
  • 平成 30 年北海道胆振東部地震による地盤・土構造物の被害に関する一考察A Study on the Damage to the Ground and Earth StructuresCaused by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake藤本哲生*,野谷正明**,栗林健太郎**,坂部晃子**,傅斌**,黒田修一**Tetsuo FUJIMOTO, Masaaki NOTANI, Kentaro KURIBAYASHI, Akiko SAKABEBin FU and Syuichi KURODA本文では,2018 年(平成 30 年)9 月 6 日に発生した平成 30 年(2018 年)北海道胆振東部地震について,現地調査により確認した地盤・土構造物の被害状況について述べる。なお,対象とした構造物は,河川堤防,港湾・漁港施設,フィルダム・ため池,自然斜面・切土法面,宅地造成地である。キーワード:平成 30 年北海道胆振東部地震,災害調査,地盤,土構造物,液状化The 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake,disaster investigation, ground,earth structure,liquefactionに関わる被害が多く発生した。本文では,地震後に実施1.はじめに2018 年 9 月 6 日 3 時 7 分頃,北海道胆振地方中東部のした現地調査により確認した河川堤防,港湾・漁港施設,深さ 37km(暫定値)を震源とするマグニチュード 6.7(暫フィルダム・ため池,自然斜面・切土法面,宅地造成地定値)の地震が発生し,北海道厚真町で震度 7,北海道の被害状況について述べる。安平町及び北海道むかわ町で震度 6 強が観測された 1)。この地震は,気象庁により「平成 30 年(2018 年)北海2.調査概要2)されたが,北海道全域が停電図-1 に,著者らが調査を実施した土木構造物の位置図となったほか,北海道厚真町等における広範囲にわたるを示す。構造物毎に調査位置の詳細を述べると,河川堤3),地盤防として沙流川及び石狩放水路,港湾・漁港施設として道胆振東部地震」と命名斜面崩壊や札幌市清田区における液状化被害等石狩放水路明春辺貯水池右図に拡大クオ-ベツダム瑞穂ダム追分若草団地(安平町内)凡 例★:震央厚真町幌内地区国道 234 号切土法面(安平町内)●:河川堤防厚真町桜丘地区■:港湾・漁港施設沙流川左岸 20kp○:自然斜面・切土法面勇払マリーナ△:宅地造成地苫小牧漁港白老港20km苫小牧港(東港)周辺道路鵡川漁港富浜漁港 門別漁港図-1 調査位置図 (背景地図:国土地理院地図*沙流川右岸 5.6kp沙流川右岸 2.0kp登別漁港**沙流川右岸二風谷ダム上流 8.9kp震央▼:フィルダム・ため池4))大阪工業大学Osaka Institute of Technology株式会社エイト日本技術開発Eight-Japan Engineering Consultants Inc.21厚賀漁港 太平洋沿岸部の登別漁港から厚賀漁港までの 9 箇所,フィルダム・ため池として瑞穂ダム及びクオーベツダム,明春辺貯水池,自然斜面・切土法面として厚真町幌内地区・桜丘地区及び国道 234 号切土法面(安平町内),宅地造成地として追分若草団地(安平町内)を対象とした。現地調査では主として被害状況を把握するための現地踏査を実施し,一部において土試料を採取して室内土質試験(物理試験)を実施した。なお,調査日は,平成 30年 9 月 15 日から 17 日までの 3 日間である。3.各構造物の被害状況写真-1 沙流川堤防の縦断亀裂(左岸 20.0kp の例)3.1 河川堤防(1) 沙流川沙流川は,北海道日高振興局管内を流れる一級河川である。沙流川では,左岸 20.0 kp,右岸 2.0 kp,5.6 kp 及び二風谷ダム上流 8.9 kp において堤防天端に主として縦断方向の亀裂がみられた。その一例として,写真-1 に左岸 20.0 kp の状況写真を示す。当該箇所では延長 450 m5)にわたり堤防天端の中央部及び法肩付近に縦断方向の亀裂が生じており,調査日には応急対策としてブルーシートによる養生がなされていた。なお,沙流川の堤防被害箇所と旧地形との関係性を治水地形分類図6)により確認した結果,二風谷ダム上流 8.9 kp は扇状地,それ以外の3 箇所については旧河道及びその近傍となっており,河写真-2 石狩放水路の堤防護岸の被害(左岸 0.1kp の例)川堤防の地震被害が旧河道で生じやすいという既往の知見 7)と一致する傾向がみられた。(2) 石狩放水路石狩放水路は,石狩川水系茨戸川の洪水を日本海へ流すために昭和 57 年に建設された放水路である 8)。石狩放水路では,左右岸 0.1 kp~0.8 kp5)において堤防護岸に被害がみられた。その一例として,写真-2 及び 3 に左岸 0.1kp の状況写真を示す。当該箇所ではすべり破壊が生じ,堤防護岸の沈下や前面へのせり出しがみられた。また,法尻付近には漏水や噴砂がみられたことから,当該すべり破壊は液状化によるものではないかと推察される。ここで,写真-4 に示すように,被害箇所では広範囲にわたり法尻付近からの漏水がみられたが,近傍の石狩気象観測所における調査日から 10 日前までの降雨量を確認9)写真-3 左岸 0.1kp の法尻にみられる噴砂,漏水したところ,調査日の 4 日前に少量の降雨(日降雨量 6.5mm)があっただけであることから,被害箇所の地下水位は比較的高い位置に分布しているのではないかと考える。なお,これらの被害箇所と旧地形との関係性を治水地形分類図6)により確認した結果,いずれも砂州・砂丘であった。3.2 港湾・漁港施設本文では,震央付近の北海道太平洋沿岸部に位置する港湾・漁港の計 9 箇所を対象として被害状況を確認した結果について述べる。図-2 に,調査を実施した港湾・漁港施設において確認された被害状況を示す。著者らが調査を実施した 9 箇所のうち,被害が確認されたのは西側写真-4 石狩放水路の被害箇所にみられる漏水(右岸の例)から勇払マリーナ,苫小牧港(東港),鵡川漁港,富浜漁22 震央苫小牧漁港勇払マリーナ(路面の亀裂・段差)苫小牧港(東港)(周辺道路の噴砂・変形)鵡川漁港(路面の亀裂、噴砂)白老港登別漁港富浜漁港(路面の亀裂、噴砂)凡 例■:被害あり□:被害なし門別漁港(路面の亀裂、噴砂)10km厚賀漁港図-2 北海道太平洋沿岸部における港湾・漁港施設の被害調査結果 (背景地図:国土地理院地図 4))写真-5 勇払マリーナの歩道部の段差写真-6 門別漁港の護岸工の目地からの噴砂100港,門別漁港の計 5 箇所である。確認された被害は,い通過質量百分率 P(d) (%)ずれも比較的軽微なものであり,主として写真-5 に示す路面の段差・亀裂や写真-6 に示す噴砂がみられた。なお,噴砂のうち門別漁港については,現地で採取した土試料を対象として物理試験を実施したところ,土粒子の密度ρs=2.706 g/cm3,自然含水比 wn=10.0 %,最大粒径 Dmax=2.0mm,細粒分含有率 Fc=7.0 %,均等係数 Uc=2.1 であり,図-3 に示す粒径加積曲線は文献 10)に示される「液状化8060液状化の可能性あり(Uc≧3.5)402000.0011E-3の可能性あり」の範囲に収まる粒度分布であることを確液状化の可能性あり(Uc<3.5)噴砂(門別漁港)0.010.1110100粒径 d (mm)認した。3.3 フィルダム・ため池図-3 噴砂の粒径加積曲線(門別漁港)(1) 瑞穂ダム瑞穂ダムは,安平町に位置する堤高 25.9 m,堤頂長427.1 m の農業用ロックフィルダムであり,竣工年は平成 10 年(1998 年)であるお,遠景ではあるものの,貯水池の斜面崩壊が発生して11)。調査日の貯水位は満水位いることも確認した。(EL.83.5 m)よりも数メートル下方に位置していた。堤(2) クオーベツダム頂部への立ち入りはできなかったが,堤体には目立ったクオーベツダムは,由仁町に位置する堤高 21.3 m,堤被害はみられなかった。一方,右岸アバットの駐車場で頂長 124.0 m の農業用アースフィルダムであり,竣工年は路面に亀裂(幅 1 cm 未満)がみられたほか,アバットは大正 14 年(1925 年)の歴史あるダムである 11)。当該と堤体との境界部にも亀裂(幅 3 cm 程度)がみられた。ダムでは,写真-8 に示すように,堤頂部の大部分に縦断また,写真-7 に示すように,左岸上流に建設された盛土方向の亀裂がみられたほか,右岸アバットにも亀裂が多表面にすべりによると思われる亀裂が数条みられた。なくみられた。このような状況から,調査日には応急対策23 写真-7 瑞穂ダム左岸上流の盛土表面にみられる亀裂写真-9 クオーベツダムの貯水位の状況写真-8 クオーベツダムの堤頂部の縦断亀裂写真-10 明春辺貯水池の導流壁の亀裂としてブルーシートによる養生がなされていたほか,斜崩壊が数多く発生した 14)。著者らは,厚真町を中心とし樋からの緊急放流によって貯水位がほとんど無い状況でて自然斜面の被害状況を確認したが,その一例として,あった(写真-9 参照)。なお,被害の程度については,写真-11 及び 12 に幌内地区(厚幌ダム右岸下流)及び桜文献 12)に示される被災度で評価した場合,被災度 2(天丘地区の斜面崩壊の状況写真を示す。これらの崩壊部の端にクラックが入っているが,段差は生じていない。そ厚さは数メートル程度であり,比較的薄層であることがの他,堤体に変状はない。)であるが,竣工年が古いこと特徴として挙げられる。崩壊部の地質は,表層に黒色土から本格的な復旧に向けては十分な検討が必要であると(腐植土),その下位に茶褐色~白色の軽石が分布してい考える。た。なお,桜丘地区の斜面崩壊については,崩壊箇所か(3) 明春辺貯水池ら崩壊土砂までの移動距離が比較的長く,かつ,上部に明春辺貯水池 13)は,安平町内に位置するため池(アー樹木が残存した状態であることから,すべり面は流動性スフィルダム)である。ため池台帳等の情報が無いために富む地質であったと推察される。詳細な諸元は不明であるが,堤高は 5 m 程度,堤頂長は(2) 国道 234 号線切土法面50 m 程度の小規模なため池であり,直上流に位置するコ安平町内の国道 234 号線に面する切土法面において,ンクリート製の堰堤と合わせて重ね池(親子池)となっ写真-13 に示すような表層崩壊がみられた。当該切土法ている。当該ため池では,写真-10 に示すように,洪水面の勾配は 1:1 程度であり,崩壊部の厚さは 1~2m 程度吐に設置された導流壁に幅 1 cm 程度の亀裂や土圧によである。写真-14 に示すように,滑落崖にみられる地質ると思われる前面側への傾倒がみられた。その他に,堤は,表層が黒色土(腐植土)(ρs=2.577 g/cm3,wn=132.2 %),体下流面からの漏水もみられたが,堤頂部に水位観測孔その下位が茶褐色の粘性土(ρs=2.730 g/cm3,wn= 65.3%)が設置されていたことから,地震前から堤体の透水性等と軽石(ρs=2.766 g/cm3,wn=33.5 %)であり,軽石は水について注視されていたため池であると推察される。を多く含んでいた。3.4 自然斜面・切土法面3.5 宅地造成地本文では,宅地造成地として安平町内の追分若草団地(1) 厚真町幌内地区,桜丘地区平成 30 年北海道胆振東部地震では,安平町北東部~厚の被害状況を調査した結果について述べる。当該地では,写真-15 及び 16 に示すように,水道管埋設部が延長 200m真町北部~むかわ町西部にわたる広範囲において,斜面24 写真-11 厚真町幌内地区(厚幌ダム右岸下流)の斜面崩壊写真-13 国道 234 号線沿いの切土法面の表層崩壊写真-12 厚真町桜丘地区の斜面崩壊写真-14 写真-13 の表層崩壊の滑落崖(近景)程度にわたり沈下(最大 30cm 程度)していたほか,マンホールの浮き上がり(最大 40cm 程度)がみられた。これらは,水道管埋設部の埋戻し土が地震によって液状化したことが原因となって生じたのではないかと推察される。なお,水道管埋設部の一部では,水溜まりがみられたことから,地下水位が比較的高い位置に分布しているのではないかと考える。4.まとめ本文では,平成 30 年(2018 年)北海道胆振東部地震による地盤・土構造物の被害について,現地調査により写真-15 水道管埋設部の沈下(追分若草団地)確認した被害状況及び一部の土試料の物理特性について述べた。それらをまとめると以下の通りである。1)沙流川の堤防被害箇所の多くは旧河道であり,既往の知見と一致する傾向がみられた。2)石狩放水路の堤防護岸のすべり破壊は液状化によるものではないかと推察されるが,被害箇所の地下水位が比較的高い位置に分布していることが素因であると考える。3)震央付近の北海道太平洋沿岸部に位置する港湾・漁港施設のうち被害が確認されたのは 5 箇所であり,主として路面の段差・亀裂や噴砂がみられた。なお,噴砂については,物理試験の結果から「液状化の可写真-16 マンホールの浮き上がり(追分若草団地)25 震による被害状況等について(第 20 報),pp.13-14.能性あり」と判定される粒度分布であった。4)6)フィルダム・ため池の被害について,竣工年の古い( http://maps.gsi.go.jp/#6/38.419166/137.548828/&bが多く確認されたことから,本格的な復旧に向けてase=std&ls=std%7Clcmfc2&blend=0&disp=11&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1),2018.11 閲覧は十分な検討が必要であると考える。5)7)自然斜面及び切土法面の崩壊について,崩壊部の厚例 え ば , 関 東 地 方 河 川 堤 防 復 旧 技 術 等 検討 会さは比較的薄い傾向にあるが,崩壊土砂の移動距離(2011):河川堤防における地震対策の検討とりまが長いものもみられることから,すべり面は流動性とめ,pp.3.8)に富んだ地質であると推察される。6)国土地理院:治水地形分類図平成 19 年度更新版クオーベツダムでは堤頂部や右岸アバットに亀裂国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部:札幌宅地造成地の水道管埋設部の沈下及びマンホール河 川 事 務 所 施 設 の 紹 介 - 石 狩 放 水 路の浮き上がりについては,埋戻し土が地震によって( https://www.hkd.mlit.go.jp/sp/sapporo_kasen/kluhh液状化したことが原因ではないかと推察される。40000008ks3.html),2018.11 閲覧9)気象庁:過去の気象データ検索(https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=66&block最後に,今回の地震で被災された方々に心よりお見舞_no=1531&year=&month=&day=&view=),2018.11い申し上げます。閲覧10) 日本港湾協会(2007):港湾の施設の技術上の基謝辞: 本文の作成にあたり,エイト日本技術開発 谷元典子氏,大阪工業大学 工学部 都市デザイン工学科 地盤準・同解説(上巻),pp.383-384.環境工学研究室の中野卓也氏,田中甫氏,香川亮太氏に11) 一 般 財 団 法 人 日 本 ダ ム 協 会 : ダ ム 便 覧 2018ご協力を頂いた。ここに記して謝意を表す次第である。( http://damnet.or.jp/Dambinran/binran/TopIndex.html),2018.11 閲覧12) 福 島 県 農 業 用 ダ ム ・ た め 池 耐 震 性 検 証 委 員 会参考文献1)2)3)気象庁(2018):平成 30 年北海道胆振東部地震に(2012):農業用ダム・ため池の耐震性簡易検証手ついて(第 9 報)法の確立報告書(要旨),pp.2-4.13) 安平町役場農林課(2017): ため池ハザードマッ気象庁(2018):平成 30 年 9 月 6 日 03 時 08 分頃の胆振地方中東部の地震について(第4報)プ , 明 春 辺 ハ ザ ー ド マ ッ プ ( https://www.土木学会(2018):2018 年 9 月 6 日に発生した北town.abira.lg.jp/webopen/parts/516/akeshunbe_hazard海道胆振東部地震の被害調査速報会資料_map.pdf),2018.11 閲覧14) 国土地理院:平成 30 年(2018 年)北海道胆振東(http://committees.jsce.or.jp/eec2/node/136)2018.94)5)閲覧部地震に関する情報,6.斜面崩壊・堆積分布図国土地理院:地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/),( http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H30-hokkaidoiburi-e2018.11 閲覧ast-earthquake-index.html#10)2018.11 閲覧国土交通省(2018):平成 30 年北海道胆振東部地This paper describes the results of the field survey on the damage to the ground and earth structurescaused by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake. The target structures are the river banksharbors and fishing ports, filldams and reservoirs, natural slopes and cut slopes, housing sites.26
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  • タイトル
  • 平成30年北海道胆振東部地震における斜面崩壊の特徴
  • 著者
  • 細矢 卓志・西江 俊作・山口 弘志・池田 光良・荒井 靖仁・東畑 郁生
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 27〜30
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000005
  • 内容
  • 平成 30 年北海道胆振東部地震における斜面崩壊の特徴The characteristics of the slope failures induced by the 2018 Hokkaido EasternIburi earthquake細矢卓志*,西江俊作*,山口弘志*,池田光良*,荒井靖仁* ,東畑郁生**Takashi HOSOYA, Shunsaku NISHIE, Hiroshi YAMAGUCHI, Mitsuyoshi IKEDA,Yasuhito ARAI,Ikuo TOWHATA北海道胆振東部地震では,厚真町付近を中心に多数の斜面崩壊が発生した。筆者らは斜面崩壊の特徴や斜面崩壊の原因を明らかにするため,現地調査やドローンでの撮影を実施した。その結果,今回の斜面崩壊は流出長が崩壊長と比べ長いこと,崩壊の多くは樽前降下軽石層内で生じていること,崩壊は地下水が影響していることなどを明らかにした。キーワード:胆振東部地震,斜面崩壊,ドローン,崩壊長,流失長,地下水2018 Hokkaido Eastern Iburi earthquake, slope failure, drone, length of slope failure,washed away length, groundwaterの間にクロボク層を挟んでいる。厚さは場所によるが 3m1.はじめに北海道胆振東部地震は,2018 年(平成 30)年 9 月 6 日 3程度である。これら火山噴出物(テフラ)は,すべて降時 7 分に,北海道胆振地方中東部を震源として発生した。下テフラであり,厚真町から比較的近くの場所(支笏湖地震の規模は気象庁マグニチュード Mj 6.7,震源の深さ周辺の火山)から供給されているため,非常に粒径が大は 37 km(いずれも暫定値),最大震度は 7 で,北海道できく粒子と粒子の間隙が多い特徴がある。は初めて観測された。この地震では,大規模停電(ブラ今回の地震による斜面崩壊はすべて,これらテフラ層ックアウト)が発生した他,各地で大きな被害を及ぼし内において崩壊が生じている。すべり面の層序は樽前テた。筆者らは,地震直後に調査団を結成し,主に厚真町フラ層内で生じている場所とその下位である支笏テフラの斜面崩壊を調査した。本論では,厚真町の斜面崩壊を調査した結果を報告する。2.調査場所及び調査方法調査を行った厚真町は,苫小牧市の北東 20 ㎞ほどの場札幌市所に位置する丘陵に囲まれた町である(図-1)。今回,厚真町の中でも,斜面崩壊が顕著に認められた桜丘地区,厚真町吉野地区(南北 2 地区),東和地区,富里地区(給水塔地区,カボチャ畑)の 4 地区計 6 か所の斜面の変状を調査苫小牧市した(図-2)。調査内容は,崩壊箇所の形態確認,地質層序の確認,図-1 厚真町の位置図強度測定等である。なお,調査に当たって,余震継続中であり,調査員の安全を考慮して崩壊規模の大きい吉野地区や富里地区では崩壊ブロック内に入ることは避け,富里カボチャ畑外観調査とドローンによる空中からの調査を行った。桜富里給水塔坂地区及び東和地区では,規模の大きいブロックは避け,吉野北小規模なブロック を選択して調査した。ド ローンは「Phantom4pro」を使用し,撮影した連続写真より 3D モ吉野南デルを作成し,3D モデルより断面図の作成を行った。東和3.斜面崩壊の層序とすべり面桜丘厚真町の斜面には,上位より,樽前火山噴出物,恵庭図-2 厚真町調査地区火山噴出物,支笏火山噴出物が成層して厚く分布し,そ* 中央開発株式会社** 東京大学 名誉教授Chuo Kaihatsu CorporationEmirates Prof., The University of Tokyo27 層内で生じている場所がある。桜丘地区では,樽前テフ測した。その結果,富里地区の1測線と,吉野地区の 3ラ中ですべり面が認められ,東和地区では,支笏テフラ測線では,崩壊長より流出長の方が長い測線が認めら中ですべり面が認められる(図-3,図-4)。れた(表-1,表-2)。図-6 富里地区断面表-1 富里地区における流失長と崩壊長図-3 桜丘地区崩壊斜面断面測線流出長(m)崩壊長(m)流出長/崩壊長①123.7436148.60060.83②89.25618171.45620.52③113.9991104.48091.09富里地区崩壊地における 3D モデルと断面①~③の位置を図-5 に示す。①~③の断面を図-6 に示す。①崩積土の流出延長が 124mと長い。元々植林が成されていなかったまたは伐採されていたので,流木が少ないこと,流出先が稲刈直前の水田であったため,崩壊土砂がスムーズに移動したものと考えられる。②崩積土の流出延長が 90mとやや短い。植林が成されて図-4 東和地区崩壊斜面断面おり,流木が発生して,流出土塊自体の摩擦が大きいこと,流出先が水田の手前にカボチャ畑があったことから,4.斜面崩壊の特徴流れがスムーズにならなかったことが推測される。流出厚真町で見られた斜面崩壊の特徴の一つは,崩壊斜面先の高まりは,流木が集積している箇所である。の長さ(崩壊長)と比較して,崩積土の流出長が長い③ 崩積土の流出延長が 113mとやや長い。植林が成されことである。ており,流木が発生して,流出土塊自体の摩擦が大きかそこで,富里地区カボチャ畑,吉野地区南北の 3 地区ったが,流出先が稲刈前の水田であったため,崩壊土砂では,ドローンで撮影した写真より 3D 画像を作成し,がスムーズに移動したものと考えられる。流出先の高まその画像より,主な測線における崩壊長と流出長を計りは,流木が集積している箇所である。図-5 富里地区崩壊地における 3D モデル28 図-7 吉野地区崩壊地における 3D モデル樽前 b 降下軽石クロボク1.2kg樽前 c 降下軽石図-8 吉野地区断面(④)342 kN/m2表-2 吉野地区における流失長と崩壊長測線流出長(m)崩壊長(m)流出長/崩壊長④81.5551673.051991.12⑤128.283692.340611.39⑥78.806999.652210.79⑦82.5599873.625461.12クロボク樽前 d 降下軽石SKR01-196.1~115kN/m227.5~38.3kN/m27.8~16.7kN/m2富里地区崩壊地における 3D モデルと測線④~⑦の位置を図-7 に,断面を図-8 示す。④~⑦の流失長と崩壊長の関係を表-2 に示す。④断面の特徴は以下の通りである。図-9 土壌硬度計測定結果(桜丘地区:上位)④植林が成されており,流木が発生して,流出土塊自体の摩擦が大きかったが,流出先が稲刈前の水田であったため,崩壊土砂がスムーズに移動したものと考えられクロボクる。流出先の高まりは,流木が集積している箇所である。5.斜面崩壊の原因樽前 d1 降下軽石5.1 テフラ層の強度今回,テフラの強度を調べるため,桜丘地区において,土壌硬度計を使用した強度測定を行った。測定結果は,樽前d2 降下軽石黒ボク層が 342kN/m2,軽石層では樽前 d1 降下軽石が96.1 ~ 115kN/m2 , 樽 前 d2 降 下 軽 石 上 部 が 27.5 ~38.3kN/m2,下部が 27.5kN/m2 程度であった。層序が下部に従うにつれ,すなわち,すべり面に近い層では土壌硬度による貫入抵抗値が小さくなる傾向にあった。特にすべり面直上の樽前 d2 降下軽石は他の軽石層と比べて樽前d下部ロームも小さい(図-9,図-10)。この試料は,土粒子密度 2.509~2.527g/cm3,含水比 159~279%を示し,車両運搬時の振動によりサンプル袋に入れた試料から採取時は試料が図-10 土壌硬度計測定結果(桜丘地区:下位)保有していた水が流れ出ていることが判明した。このような状況から今回のすべりに関係している可能性が高い(図-11)。29 ったため,地震発生直前に樽前 d 層中に宙水が発生したか,または飽和度が上昇し,このことが斜面崩落の要因の1つとなった可能性は高いと考えられる。表-3 厚真町における地震前の降水量1 日前降水量(9/5)12.0直前連続降水量(9/4-9/5)13.0半旬前降水量(9/1-9/5)13.01箇月前降水量(8 月)217.56.まとめ厚真町で発生した斜面崩壊を調査した結果,以下のことが判明した。図-11 樽前 d 降下軽石の車両運搬後の状況5.2 地下水の影響①今回発生した斜面崩壊は厚いテフラ層内で発生した。(1)宙水の役割②崩壊が生じたテフラは,樽前,恵庭,支笏と言った厚既存の調査研究では,宙水に関する下記①~③のよう真町から比較的近い場所からの降下軽石を主体としていな知見が得られている。また,多くの箇所で,表土~樽る。このため,粒子が荒く,基質を含まないため,強度前 d 層までが崩落していることから,地震発生時に樽前が非常に低い特徴がある。d 層中に宙水が発生したか,または飽和度が高かったと③発生した崩壊斜面の特徴は,傾斜が緩い斜面でも発生ことが斜面崩壊の要因の1つと推測される。していること,崩壊長に対して流失長が長いという特徴①樽前-d,恵庭-a 降下軽石層は宙水の帯水層を形成し,がある。その下部には,難透水層であるローム~粘土層が分布す④流失長が長い原因として,テフラ層内に含まれていたることが多く,これらが宙水の帯水層の基盤となってい大量の水と,斜面前面の崩壊土砂流出先が稲刈り前の水る。田であったため,抵抗が少なく滑らかに移動したことが②千歳に近い美々川流域の場合,降水の大部分は地下に考えられる。浸透する。その比率は,表面流出:5%,中間流出:5%,⑤崩壊の誘因については,直接は地震動であるが,直前基底流出:90%である1)。中間流出は宙水の流出によっの降雨により,宙水が発生したか,または飽和度が上昇ている。し,崩壊に際して泥流化した可能性がある。③宙水は豊水期(融雪期と秋の豊水期:降水量 30mm/d 以上)で発生する2)。参考文献1)(2)事前の降水量池田光良(2003): 流域蒸発散量の推定式について,地下水技術, 45(7), pp.3-16.厚真観測点における地震発生(9 月 6 日)前の降水量と2)地下水との関係を考察してみると次のようになる(表-3)。池田光良ほか(1997):恵庭 a 火山灰中の地下水に1箇月前の8月の降水量が多く,帯水層中の地下水位の関する二,三の知見,北海道応用地学合同研究会上昇に加え,火山灰中の飽和度が高まっていた可能性が論文集,pp.71-80.大きい。そこへ地震直前にある程度まとまった降水があThe slope failures induced by the Hokkaido Eastern Iburi earthquake were investigated, and thefollowing results were obtained.1) The slope failures occurred in the thick tephra beds.2) The tephra are mainly composed of pumice fall deposits originated from Tarumae, Eniwa andShikotsu volcanoes located nearby Atsuma town, the most serious disaster area. Therefore, thetephra show very low strengths, related to the coarse particles and very few matrixes.3) The features of the slope failures were that the failures occurred in the gentle slopes, and thelonger washed away lengths were found compared to the inclined lengths of the failures.4) It was presumed that the washed away lengths were extended due to smooth sliding caused by theinfluence of rice paddy before reaping.30
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  • タイトル
  • 熊本地震における滑動崩落被害を受けた造成宅地の土質特性及び再現解析
  • 著者
  • 門田 浩一・佐藤 成・本橋 あずさ・東郷 智・金子 俊一郎
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 31〜36
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000006
  • 内容
  • 熊本地震における滑動崩落被害を受けた造成宅地の土質特性及び再現解析Earthquake landslide damage simulation for the hillside residential land due tokumamoto earthquake and the soil property of residential land門田浩一*,佐藤成*,本橋あずさ*,東郷智*,金子俊一郎*Hirokazu KADOTA, Shigeru SATO, Azusa MOTOHASHI, Satoshi TOGO, Shunichirou KANEKOand Saburo KISO平成 28 年 4 月の熊本地震においては,がけ崩れ及び滑動崩落等に伴う数多くの宅地被害が発生した。その中でも,震源となる布田川断層帯周辺の市町村に宅地被害が集中し,西原村においても,石積み等の宅地擁壁の崩壊,盛土造成地のすべり変形などの甚大な被害が発生した。本稿では,西原村における盛土造成地の被害形態を整理すると伴に,被災した黒ボク盛土の土質・地質特性について分析し,被害発生要因について推定した。さらに被害発生要因を考慮した二次元動的有限要素法解析による被害再現解析のケーススタディを行い,宅地擁壁の崩壊及び盛土のすべり変形の発生機構について検討した。検討の結果,地震動の作用により,宅地擁壁背面・基礎部における黒ボク盛土材のせん断強度が低下し,盛土のすべり変形が発生した可能性が大きいと考えられる。キーワード:火山灰質粘性土,繰返し荷重,地震応答解析,斜面の安定解析Volcanic cohesive soil, Cyclic load, Seismic response analysis, Slope stability analysis1.はじめに2.西原村における盛土造成地の被害形態平成 28 年 4 月に発生した熊本地震により,震源に近い盛土造成地における被害形態は,宅地擁壁背面及び基西原村では震度 7 を記録し,道路等の社会インフラの被礎部における黒ボク盛土のすべり,宅地擁壁の崩壊及び害に加えて,滑動崩落等による甚大な宅地被害が発生し変形などである。また,宅地擁壁部におけるすべりは,た。宅地の主な被害形態は,宅地擁壁背面の盛土のすべ下段の宅地から上段までのひな壇部において,概ね連続り,それに伴う石積み擁壁等の崩壊及び盛土造成地全体的に発生している(図-1,写真-1)。の変形である。宅地擁壁部のすべりは,下段の宅地から想定すべり面上段まで概ね連続的に発生しているのが特徴である。想定すべり面宅地盛土の主な材料は,有機物含有量が多い黒ボクなどの火山灰質粘性土である。地下水位はひな壇部分や盛想定すべり面土内部には確認されず,盛土とその下位の赤ボクとの境界面(GL-3m∼-4m 程度)または地山内に確認された。一般に黒ボクは土粒子間の結合力が大きく,透水性及び保水性が高い団粒構造を有しており,常時は安定状態図-1 盛土造成地における宅地擁壁部の連続的すべりにある。このため,乱れ等により黒ボク盛土の強度が低下しないと,すべりの発生は考えにくい。既往研究1)において,同じ締固め方法で作製した黒ボク供試体の動的せん断抵抗角は,静的せん断抵抗角のほぼ 1/2 になることが報告されていることから,すべりの発生は地震動に黒ボク盛土よる乱れの影響の可能性はある。本稿では,上記の背景を踏まえて,盛土造成地の被害ブロック積擁壁形態の整理及び被災盛土の地質・土質特性について分析し,被害発生要因を推定した。さらに,被害発生要因をすべり面考慮した円弧すべり法及び二次元動的有限要素法解析による被害再現解析のケーススタディを行い,盛土造成地におけるすべり変形の発生機構について考察した。* パシフィックコンサルタンツ株式会社写真-1 宅地擁壁背面部における黒ボク盛土のすべりPresident, Pacific Consultants co.,LTD.31 この連続的に発生している黒ボク盛土のすべりは,宅地擁壁と伴に崩壊まで至る箇所,沈下や傾斜等の変形に留まっている箇所など様々であり,そのすべり面の勾配は概ね 40 度∼60 度である。また被災盛土造成地は全体的に亀裂,隆起,沈下等が発生している。3.被災盛土造成地の地質・土質特性3.1 被災盛土地区の地質特性及び黒ボク盛土の N 値熊本県西原村は,阿蘇外輪山の南西部に位置し,被災地区の多くは西原村西部の台地(溶岩台地面)や低地(谷底平野),中央部の丘陵地に認められる。また,西原村は北東-南西方向に複数の地質構造体により構成されており,主に阿蘇カルデラ壁輝石安山岩類,阿蘇-1∼-3 火砕写真-2 Ⅰ断面における被災直後の宅地擁壁部:P2流堆積物,大峰火山,崖錐堆積物が分布する。被災盛土地区の中から A 地区における平面図及び代表的な地質断面図を図-2,図-3 に示す。また同断面の被災擁壁部の状況を写真-2 及び写真-3 に示す。Ⅰ断面写真-3 Ⅰ断面における平成 29 年 8 月の宅地擁壁部:P3A 地区は黒ボク盛土,黒ボク,赤ボク,段丘堆積物及No.2び阿蘇 4 火砕流堆積物の順に堆積している。ただし,黒P2,P3ボク盛土と地山の黒ボクとの区分は明確でない。黒ボク凡例+→開口・段差を伴う亀裂(盛土含む)の性状は有機物を含む火山灰質粘性土であ開口・段差を伴わない亀裂り,N 値は 1∼5(N=2∼3 が主体)と軟らかい。一方,地盤の隆起Ⅰ断面の宅地において,擁壁崩壊を伴うすべり発生後,擁壁の崩壊黒ボク盛土は高さ約 4m,勾配 60 程度の状態で安定を維変位の方向持している(写真-3)。N 値は打撃エネルギーとサンプラ図-2 被災盛土地区の平面図(A 地区)ーの貫入抵抗により測定されることから,測定時に黒ボク自体が乱され,N 値が小さくなっている可能性がある。このため,黒ボク盛土は N 値から強度を推定すると,過小評価になる場合もあると考えられる。赤ボク(火山灰質粘性土)の N 値は 2∼10 程度であり,黒ボクと比較すると N 値は大きくなっている。地下水位は表層の浅い位置ではなく,GL-3m∼4m 以深の地山内または黒ボクと赤ボクの境界面付近に分布している。3.2 黒ボク盛土の土質力学特性被害が大きかった A 地区及び B 地区において実施された室内土質試験結果より,黒ボク盛土の物理特性,力学特性及び静的強度と動的強度の比較等について考察する。(1)物理特性及び締固め特性黒ボク盛土の粒度分布,自然含水比及び液性・塑性限界の深度分布を図-4,図-5 に示す。含水比との関係として,締固め試験結果とコーン指数試験結果を重ねて図-6図-3 A 地区における地質断面図(Ⅰ断面)に示す。また物理特性をまとめて表-1,表-2 に示す。32 表-1 黒ボク盛土の物理試験結果(その 1)試料番号No含水比 w h(%)88.4158.6148.364.668.7123.066.146.7A地区1A地区2A地区3B地区1B地区2B地区3B地区4B地区5液性限界w L (%)88.7172.8183.271.476.3134.180.863.1塑性限界w p (%)塑性指数 I p(%)63.577.373.644.145.067.547.337.425.295.5109.627.331.366.633.525.7表-1 黒ボク盛土の物理試験結果(その 2)図-4 黒ボク盛土の粒度分布試料番号No間隙比 eA地区1A地区2A地区3B地区1B地区2B地区3B地区4B地区52.093.893.871.851.863.251.811.22湿潤密度 r t 乾燥密度 r d 締固め度 D c33(%)(g/cm )(g/cm )1.431.231.251.481.531.351.551.720.790.480.500.900.910.610.931.1785.970.184.785.893.2黒ボク盛土は,砂礫混じりの火山灰質粘性土または砂質シルトに分類され,自然含水比は wn =45∼160%,間隙比は e =1.2∼3.9,乾燥密度は rd =0.5∼1.2g/cm3 とばらつきがある。これは,黒ボクが団粒構造を有しており,有機物の混入量等により団粒構造自体が変化するためと考えられる。また,コンシステンシー指数は 0.2∼0.3 前後が主体であり,乱れの影響を受けやすい状態にある。さらに,図-6 の含水比と乾燥密度及びコーン指数の関係を見ると,最適含水比より加水側になると,強度が大きく低下している。このため,施工時の締固め度を一定にする管理が難しく,締固め度が Dc =70%∼93%と大きく図-5 黒ボク盛土の含水比,液性・塑性限界の深度分布ばらついたことも,自然含水比,間隙比及び乾燥密度のばらつきに影響を及ぼしていると推定される。(2)力学特性黒ボク盛土のせん断強度を求める室内試験としては,通常の圧密非排水三軸圧縮試験に加えて,地震動に伴う強度低下を推定するため,非排水繰り返し非排水三軸試験により一定ひずみを発生させた後,圧密非排水三軸圧縮試験(以降,繰返し載荷後の単調載荷試験 2))を実施した。この繰返し載荷後の単調載荷試験により,地震動に伴う強度低下を推定する手順は以下のとおりである。①初めに JGS 0523 の「圧密非排水(CUB )三軸圧縮試験」を実施し,黒ボク盛土供試体の全応力表示の静的強度定数(粘着力 ccu,内部摩擦角Φcu)を求める。②次に同じ採取箇所の供試体を用いて,上記①の試験による圧密後(有効圧密応力は 100kPa),非排水条件で一定振幅の繰返し応力を供試体に作用させる。図-6 黒ボク盛土の締固め試験結果(含水比と乾燥密度③繰返し載荷過程で両振幅軸ひずみが 10%に達した後,の関係)及び含水比とコーン指数の関係非排水条件を保ったままで直ちに単調載荷を実施する。33 ④手順②での繰返し応力振幅として,異なる 4 つの値を粒構造の土粒子間の結合力に大きく支配され,団粒構造設定し,手順②-③の試験を実施する(繰返し応力振幅のが発達している状態(間隙比大,乾燥密度小など)ほど,値は,両振幅軸ひずみ 10%に達するまでの繰返し載荷回強度が大きくなっていると考えられる。数が 1-200 回程度となるように設定する)。次に図-11 の間隙比と強度低下率の関係をみると,間隙⑤上記①の試験結果のモール円と,「繰返し載荷後の単調比が大きくなると,粘着力及び内部摩擦角の強度低下率載荷試験」のモール円を比較し,全応力表示の動的強度(cR,ΦR)も大きくなっており,その最大値は約 32%で定数(粘着力 cD10,内部摩擦角ΦD10)を求める(図-7)。ある。これは繰返し載荷により,団粒構造が損傷して結⑥動的強度定数と静的強度定数の比率より,繰返し載荷合力(粘着力に相当)が低下すると伴に,土粒子間の摩による強度低下率(cR,ΦR)を求める。擦抵抗も低下していることを示している。以上のことより,間隙比が大きく団粒構造が発達した状態では,土粒子間の結合力が強く,静的強度定数も大きくなるが,地震動等の影響により団粒構造が損傷すると,結合力が弱まり強度も低下すると考えられる。表-3黒ボク盛土の静的・動的強度定数及び強度低下率試料番号NoA地区1A地区2A地区3B地区1B地区2B地区3B地区4B地区5図-7 繰返し載荷による強度低下の推定方法「A 地区 3」の試料における繰返し載荷後の単調載荷試験結果を図-8 及び図-9 に示す。4 試料の試験結果の最大静的強度定数動的強度定数強度低下率c cuc D10cRΦ cu2(kN/m )9.923.128.29.928.152.018.311.22(°)(kN/m )16.315.820.015.719.016.39.714.323.87.743.016.823.7-Φ D102(°)(kN/m )13.413.832.610.72.015.915.312.217.36.4-軸ひずみ(%)値を黒ボク盛土の地震動に伴う強度低下率とした。軸ひずみ=10(%)図-8 繰返し載荷試験による発生ひずみ200強度低下前t (kN/m2)強度低下後1000図-10間隙比と静的強度定数の関係図-9 繰返し載荷後の単調載荷試験結果による強度低下A 地区及び B 地区における黒ボク盛土の静的強度定数,動的強度定数及び強度低下率をまとめて表-3 に示す。また,間隙比と静的強度定数の関係,及び間隙比と強度低下率の関係を図-10,図-11 に示す。図-10 より,静的強度定数の粘着力 ccu は間隙比が大きくなると増加する傾向を示し,内部摩擦角Φcu は逆にやや減少する傾向を示す。また,乾燥密度と静的強度定数の関係では,乾燥密度が小さくなると粘着力は大きくなる傾向を示す。すなわち,黒ボク盛土の静的強度は,団図-1134間隙比と強度低下率の関係ΦR(°)-12.731.82.514.716.9- 4.二次元有限要素法による残留変形の再現4.3 入力地震動の設定4.1 二次元有限要素モデルの作成当該地区に最も近い地震観測点である西原村役場の観図-3 に示すⅠ断面を対象に有限要素法による地震応答測記録(2016 年 4 月 16 日 1:25,M7.3)をもとに工学的解析を行い、被災状況の再現性について確認を行った。基盤面(Aso-3g 上面)における地震動を設定した。なお,解析コードは FLIP3)を用い,文献 4)に示される円弧すべ基盤への引戻しは西原村村民体育館位置のボーリングをり計算法による設計に配慮し,全応力条件を前提としたもとに,文献 5)に示される初期せん断波速度 Vs の推定式多重せん断機構による応力ひずみ関係を適用した。およびひずみ依存特性(G/G0∼γ,h∼γ)を用いて 14.2 解析パラメータの設定次元の地盤モデルを作成し,重複反射理論に基づく等価図-12 にメッシュ分割図,表-4 に解析パラメータを一線形化法地震応答解析を実施して露頭波を抽出した。図覧にして示す。再現性を確認するため,前述の静的強度-13 に設定した工学的基盤面における入力地震動(露頭定数を用いた CASE1,繰返し載荷後の強度低下を考慮し値)を示す。た動的せん断強度定数を用いた CASE2 について比較を行った。なお,初期せん断波速度 Vs は近傍で実施したPS 検層の結果を用いた。また,側方および底面は粘性境界とし,工学的基盤は Aso-3g 層(Vs=830m/s, =0.341)上面とした。図-13入力加速度時刻歴(工学的基盤面露頭値)盛土4.4 二次元地震応答解析黒ボク図-14 の着目点における主な応答結果を表-5,図-15,赤ボク図-16 に残留時の最大せん断ひずみγmax 分布図を示す。Vf動的定数を用いた CASE2 において 10%を超える大ひずAso-4cみ領域が顕著である。図-17 にτmax∼γmax の履歴を示す。せん断強度の低下により,擁壁前後の自重作用によAso-4sる残留ひずみが顕著となっている。Aso-3g図-12メッシュ分割図(上:全体,下:拡大)表-5 主な応答結果一覧表表-4 解析パラメータ一覧解析パラメータ湿潤密度3(t/m )nV s (m/s)t間隙率S波速度盛土黒ボク赤ボク段丘堆積物vf1.31.42.00.767750.7851200.450190初期せん断剛性G ma (kPa)74622057173673体積弾性係数K ma (kPa)19459536471921299.80.330.518.422.712.315.10.2034.70.330.513.230.39.321.50.2071.30.330.535.00.035.00.00.24基準化拘束圧ポアソン比拘束圧依存パラメタCASE1 せん断抵抗角(静的) 粘着力CASE2 せん断抵抗角(動的) 粘着力最大減衰定数'ma (kPa)mφf (°)C (kPa)φf (°)C (kPa)h max阿蘇4火砕流 阿蘇4火砕流Aso-4cAso-4s解析パラメータ3着目点成分1210 節点前面地盤水平鉛直1506 節点擁壁天端水平鉛直2175 節点背後地盤水平鉛直残留変位(m)-0.197(-0.307)0.010(0.070)-0.260(-0.714)-0.093(-0.210)-0.229(-0.567)-0.136(-0.327)石積擁壁1.41.41.80.7522300.752230-初期せん断剛性G ma (kPa)75571755711800001210体積弾性係数K ma (kPa)1970781970784694121224108.40.330.514.325.214.325.20.20108.40.330.514.325.214.325.20.2098.00.330.535.020.035.020.00.24基準化拘束圧ポアソン比拘束圧依存パラメタCASE1 せん断抵抗角(静的) 粘着力CASE2 せん断抵抗角(動的) 粘着力最大減衰定数t'ma (kPa)mφf (°)C (kPa)φf (°)C (kPa)h max最大加速度(Gal)-546(-605)-224(-394)-684(-714)-213(-211)650(-714)-217(-211)※上段:CASE1 静的定数,下段:(CASE2 動的定数)(t/m )nV s (m/s)湿潤密度間隙率S波速度最大変位(m)-0.577(-0.698)0.019(0.094)-0.787(-1.209)-0.126(-0.221)-0.759(-1.209)-0.149(-0.221)2175節点番号1506要素番号図-1435196116371361着目点節点番号および要素番号 5.まとめ本稿では,盛土造成地の被害形態の整理,被災盛土の地質・土質特性についての分析を通して被害発生要因を推定し,二次元動的有限要素法解析による被害再現解析のケーススタディを行い,盛土造成地におけるすべり変形の発生機構について考察を行った。その結果を以下にまとめる。0%10%図-15(1) 西原村における盛土造成地では,宅地擁壁基礎部お残留時最大せん断ひずみγmax 分布図(CASE1)よび背面の黒ボク盛土のひな壇部における連続的な変状(亀裂,隆起,沈下)が発生した。(2) 通常の圧密非排水三軸圧縮試験(静的定数)と,圧密非排水繰返し載荷後の単調載荷試験(動的定数)を行った結果,黒ボク盛土のせん断強度が 30%程度に低下することが明らかとなった。(3) 西原村の観測記録をもとに工学的基盤の加速度時刻歴を求め,二次元有限要素法による地震応答解析を10%0%図-16CASE1302010tmax(kN/m2)tmax(kN/m2)501224始点終点40030謝辞:熊本県西原村関係者の方々には貴重なデータを提供いただきました。ここに深く謝意を表します。2010参考文献00.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35gmax(-)gmax(-)1)501361始点終点40302010tmax(kN/m2)tmax(kN/m2)1224始点終点400.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35500302)200.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35gmax(-)gmax(-)び強度低下を考慮したため池堤体の滑動変位量解析例, ため池等地震時斜面変形予測手法研究会 HP ,302010tmax(kN/m2)50400http://serid.jp/pdf/02-019ueno.pdf.1637始点終点40303)2010Port and Harbour Res. Inst. Vol.29, No.4,pp57-8300.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35gmax(-)gmax(-)4)1961始点終点3020100tmax(kN/m2)504030国土交通省都市局(2015):大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン及び同解説,Ⅲ編 復1961始点終点40旧対策編,pp.33-46205)10熊本県地質調査協会(2003):熊本市周辺地盤図,pp.103-108.00.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.350.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35gmax(-)gmax(-)図-17Iai,S., Matsunaga,Y. and Kameoka,T.(1990): ParameterIdentification for a Cyclic Mobility Model, Rep. of the0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.3550上野和広,毛利栄征,田中忠次,龍岡文夫(2018):非排水繰り返し載荷による強度低下の評価法およ100.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.351637始点終点大原資生,山本哲朗(1980):山口大学工学部研究報告,30 巻,2 号,pp225-231.1361始点終点40050tmax(kN/m2)背後で変状が大きくなり被災状況に整合的となった。CASE250tmax(kN/m2)行った。その結果,動的定数を適用すると擁壁の前残留時最大せん断ひずみγmax 分布図(CASE2)着目要素τmax∼γmax 履歴The purpose of this study is to study causing factors of landslide deformation as well as analysis bysimulation. Landslide deformation was most significant damage in seismic landslide disasters causedat elevated residential land in Nishihara Village due to the Kumamoto Earthquake. Property ofvolcanic cohesive soil which is the embankment material, and sliding surface were analyzed based ongeologic survey data at damaged residential land. Modelling of 2-dimensional dynamic total stresswere applied to conduct case studies of simulation analysis on landslide deformation. Result of ourstudy showed that cyclic load by earthquake occurs decrease in shear strength of the embankment.Such occurrence causes sliding failure and deformation.36
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  • タイトル
  • 2016年熊本地震で被災した補強土壁における変状要因の分析
  • 著者
  • 佐藤 登・澤松 俊寿・藤田 智弘・新田 武彦・宮武 裕昭
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 37〜44
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000007
  • 内容
  • 2016 年熊本地震で被災した補強土壁における変状要因の分析Analysis of the damage factor of reinforced soil walldamaged by 2016 Kumamoto earthquake.佐藤登*,澤松俊寿**,藤田智弘***,新田武彦 *,宮武裕昭 ****Noboru SATO, Toshikazu SAWAMATSU, Tomohiro FUJITA, Takehiko NITTA and Hiroaki MIYATAKE道路土工構造物は,適切に設計・施工を行えば緩やかに変形をしつつ安定を保つ構造物である。道路土工構造物の多くは,極限釣り合い法による安定計算を基本としており,変形が生じた際の性能評価が難しいのが現状である。そのため土工構造物の変形を考慮した性能評価手法を構築する必要がある。本報告では,事例の分析を通じて変状形態,変状要因及び力学的な観点から許容しうる変形の程度を明らかにしていくことを目的に,2016 年熊本地震で被害を受けた補強土壁を対象に,Newmark 法による残留変形解析を実施し,被害の状況と比較した。解析では被害の程度の異なる複数の断面を対象とし,室内試験で得た盛土材の力学特性および補強材の引抜き特性を用いた。解析の結果は実際の壁面変位量と同様の傾向を得た。キーワード:補強土壁,熊本地震,現地調査,ニューマーク法Reinforced soil wall, the 2016 Kumamoto earthquake, site investigation, Newmark method1.はじめに道路土工構造物の多くは極限平衡法に基づき設計されており,変形量は設計には考慮されていない。そのため,現状の設計法では変形した道路土工構造物の性能を評価★するのは困難である。地震や降雨による道路土工構造物の性能を評価するためには,変形を考慮した性能の評価手法が必要である。特に,道路土工構造物の中でも補強土壁は,従来型のコンクリート擁壁と比較してより柔軟であるため,変形した補強土壁の性能評価は重要である。変形を考慮した性能の評価手法を確立するにあたり,道★路土工構造物の変形に影響を与える要因を明らかにする図-1 地表面最大加速度分布 1)ことが重要である。本研究では,2016 年に発生した熊本a) 被害小地震で崩壊に至る損傷を受けた補強土壁を対象に,現地b) 被害中c) 被害大調査に基づく変状の形態に応じた試験,およびニューマーク法を用いた残留変形解析を実施して,変状メカニズム及び変状要因を推定した。図-2 道路土工構造物技術基準 4)の要求性能に関する考え方 a)健全性に問題がなく,道路としての通行機能に支障無し b)一時通行規制を行うが,簡易な復旧により通行機能を回復 c)全面通行規制を行うが,復旧工事により通行規制を回復2.熊本地震の概要2016 年 4 月 16 日に,熊本県益城町を震源にマグニチュード 7.3 の地震が発生した。最大震度は震度 7 を記録した。最大加速度は,熊本県大津町の強振観測所にて1791gal(三成分合成)を記録した。図-1 に熊本地震の地表面最大加速度分布 1)を示す。2017 年 12 月 14 日の内閣府での発表主に熊本県,大分県,宮崎県の震度 5 以上が記録された2)では,死者 249 名,負傷者 2790 名,8674 棟地域に集中していた。93 箇所の国道及び県道が通行止めの家屋が倒壊した。斜面崩壊等の道路構造物の被害は,となった。* 土木研究所交流研究員Collaborating Researcher, Public Works Research Institute** 土木研究所主任研究員Senior Researcher, Public Works Research Institute研究員Researcher, Public Works Research Institute上席研究員Team Leader, Public Works Research Institute*** 土木研究所**** 土木研究所37 3.補強土壁の調査被害中11(1.3%)3.1 補強土壁の被災の概要被害大3(0.3%)熊本地震で震度 5 強以上を観測した地域において,871件の現地調査を実施した。調査対象とした補強土壁は,道路土工-擁壁工指針3)に記載されている代表的な構造形式のものとした。補強土壁の損傷の程度は,図-2 に示すように道路土工構造物技術基準 4)を参考に,3 つのレベルに分類した。調査の結果を図-3 に示す。補強土壁の98.4%は損傷なし,または被害小と評価され,高い耐震被害無、または小857 (98.4%)調査件数: 871性を示していた。一方,3 件(0.3%)は被害大と評価され,図-3道路機能も損失する結果となった。このうち 2 件については,基礎地盤を含む全体的なすべりにより補強土壁が2016 年熊本地震における補強土壁の被災状況(871 件)崩壊後損傷を受けたものであったため,これ以外の残りの事例as崩壊前に対して詳細な調査を行った。70403.2 現地調査(1) 補強土壁の概要調査対象とした補強土壁は,延長 160m,最高壁高 8.5m,8250嵩上げ盛土 7.0m を有していた。補強土壁の壁面材の基礎部にはコンクリート製の重力式基礎が用いられており,前面側が河川となっている。壁面は重力式基礎に乗っているため,根入れはなされていなかった。布田川断層帯から 1.5km 離れた場所に位置しており,2.4km 離れた最寄りの強振観測所では,補強土壁の壁面の法線方向に最図-4 崩壊部の断面図大加速度 1253gal を観測した。1010(2) 崩壊部水抜き孔2車線道路の1車線が延長約 160m のうち約 40m にわ壁高H(m)Height(m)たり崩壊し,路面に数メートルの段差が発生していた。88高さ(m)図-4 は崩壊部の横断図である。崩壊部において,露出している部材を目視した範囲では補強材や補強材と壁面材の接続部の破断は認められなかった。また,重力式基礎の変位や傾斜等は認められなかった。664422(3) 残存部00残存部においても変状が認められる箇所があり,その変形を定量的に評価するために,様々な調査を行った。20 4040 606000 20水平変位量(cm)HorizontalDisp.(cm)水平変位D(cm)H具体的には,道路上面の高さ,壁の水平変位,滑動変位,図-6 残留部におけるはらみだし状況最下段壁面材の傾斜度を測定した。図-5 は補強土壁の壁面の方角と各調査の結果を示す。図-5(a)~(d)より,崩壊-6 に示したとおり,壁面の著しいはらみ出しが認められ部の付近で変形が著しいことは明確である。以下に,変た崩壊部近傍においては重力式基礎に水抜き孔が設置さ状の程度が著しかった範囲についてその状況を示す。れていない。一方で,はらみ出しが小さい又は変状が認a)はらみ出しめられない範囲では水抜き孔が設置されており,この範図-6 に崩壊部近傍の残存部の壁面の状況とレーザー囲では重力式基礎の天端は比較的に乾燥していた。ただ距離計で測定した壁面の水平変位分布を示す。この図でし,補強土壁撤去時の崩壊部背面切土の調査では,切土は壁面下端を DH=0 と仮定して,水平変位 DH を示していからの湧水等は認められなかったことから,崩壊における。壁面に著しいはらみ出しが生じており,水平変位量る水の影響は小さかったものと考えられる。は最大で 48.4cm(壁高と水平変位の比 DH / H=5.9%),最c)滑動下段壁面材の傾斜度は 35%であった。左右の隣り合う壁図-5(c)の滑動変位 S は,重力式基礎天端の肩部から壁面材間の目地の詰まり及び壁面材の損傷が認められた一面材までの設計値 S0 から,現在の肩部から壁面材までの方で,壁面材間がずれるような変形は卓越しておらず,離隔 S1 を差し引いて求めた。崩壊部に近づくにつれて離盛土材のこぼれ出しは認められなかった。隔 S1 が狭くなっており,崩壊範囲端部から 2m の位置でb)水の状況は 20cm であった。変状の認められない箇所の離隔が約本事例は重力式基礎の上に設置されたものである。図40cm であったことから,地震動により補強土壁が前面側38 200440Gravity type foundation100HeighHeigh3000070605040302010壁面水平変位: DH + S (mm)0Height(mm)高さ (m)8408H4重力式基礎60010000b)2000030000400000500006000070000A (mm)2004002005020000c)H+H1021f)0Remaining section壁面の方角Gravity type foundatione)10070000ESWNE106000010壁面材の0100 現在の位置5010Road top surfaced)205000002壁面材の設計時の位置20030500400重力式擁壁天端の肩部から壁面材までの離隔の設計値40200010040000A (mm)30000S (mm)12H1Height (m)a)7010000D (mm): レーザー距離計による計測箇所0400 (%)崩壊部上部道路表面600500400300200100140001200010000800060004000200000400H1/H残留部100 200 300 400 500 6000-100Height (mm)140001200010000880004600040000200000高さ (m)-100g)7012840Height (m)0Failed section06050DH SESWNE403020崩壊部からの距離(m)D :上部道路の段差量DH:壁面の水平変位量S :最下段壁面材の滑動量でS0 - S1S0 :重力式基礎天端の肩部から壁面材までの離隔の設計値S1 :現在の重力式基礎天端の肩部から壁面材までの離隔10HH1S1S0重力式基礎0:壁高:嵩上げ盛土高:最下段壁面材の壁面傾斜度図-5 補強土壁の診断図162.930試料Aに滑動したものと考えられる。0~2m の範囲は調査実施試料Bの安全を考慮して計測していないが,崩壊箇所では補強14252.88216盛土材適用範囲141.9812土壁が滑動により重力式基礎から滑り落ちた可能性も考えられる。なお,他の箇所も含め,問題となるような重1220102.868力式基礎の傾斜や滑動(根入れ地盤の変状)は認められ2.84ない。1581.9463.3 盛土材の物理的特性及び力学的特性101.96610442.82現地から採取した補強土壁の盛土材を対象に,物理的2特性試験及び力学的特性試験を実施した。採取した盛土2.8材は,崩壊部の異なる 2 箇所(試料 A,試料 B)から採rs0(g/cm3)取した。室内試験結果を図-7 に示す。1.925Wn(%)200Fc 2(%)1.9rdmax0(g/cm3)Wopt(%)図-7 土の物理的・締固め特性試験結果物理的特性試験の試験結果は,2 試料に多少のばらつきを有するものの概ね同等の値を得ている。また,細粒試料 A が細粒分混じり礫質砂,試料 B は細粒分混じり砂分含有率は 13.6%,8.8%であり,補強土壁の基準に適合質礫であった。した材料が使用されていた。土質材料の工学的分類は,39 55試料A試料B補強材エアバッグスクリュージャッキ引抜き方向20045400せん断抵抗角 fd (deg.)50レギュレータカバー(壁面との摩擦を低減させるため)施工管理基準値(建造当時)40200ロードセル80035変位計設計値30(Unit : mm)1000図-9 土中引抜き試験機の概略図2580859095100三軸圧縮試験供試体の締固め度 Dc (%)105図-8 せん断抵抗角と締固め度の関係力学的特性試験については,異なる供試体密度の三軸圧縮(CD)試験を実施した。供試体密度は,当時の補強土壁の施工管理基準値 5)である締固め度 90%以上を目安としたものを基準に,85%,90%,95%,および 100%を目標に試験を実施した。なお,現地調査においては,補強土壁の補強領域部の密度試験は実施していない。図-10 土中引抜き試験機 (補強材設置状況)三軸圧縮(CD)試験供試体の締固め度とせん断低抵抗角の関係を図-8 に示す。せん断抵抗角は締固め度 90%を20ピーク荷重目標とした試験結果で 41.7°,44.0°であり,補強土壁に引抜き荷重 (kN)適した良質な盛土材が用いられていた事が確認された。また,締固め度を施工管理基準値より低い 85%を目標とした試験においても,40.2°の結果を得ており,設計上の仮定値である 30°を上回る結果を得た。ただし,本試料においては,締固め密度の違いによるせん断抵抗への180kN/m215120kN/m2105影響は,設定した締固め度の範囲内においては明確には残留荷重: 引抜き変位が150mmの時の荷重60kN/m2sv = 30kN/m2表れず,数値の違いはばらつきによるものと考えられる。0なお,採取した試料は砂分,礫分を多く含む土質であ0り,粘着力を有しない土であった。503.4 補強材の引抜き特性100150200引抜き変位 (mm)250図-11 引抜き荷重と引抜き変位補強材の引抜き抵抗特性を把握するために,現地調査において採取した補強土壁の盛土材を用いて補強材の土4Dc = 90%中引抜き試験を実施した。f0* = 3.5113.5a)試験方法図-9 に土中引抜き試験機の概略図を示す。引抜き試験3みかけの摩擦係数 f*装置は土槽,引き抜きのための加力装置(スクリュージャッキ)から構成されており,土槽の上蓋に設置されたエアバックを用いて空気圧により上載圧を載荷することができる。土槽の内寸は横 1000mm,奥行き 600mm,高さ 400mm である。引抜き試験は次のような手順で行なった。引抜き試験装置の土槽内において,所定の締固め2.52f0* = 1.5571.5y = 41.4°1度 Dc となるように仕上がり厚さを 50mm で管理しながらタンパーで締め固めて地盤を作製した。地盤の作製中0.5y = 24.7°に,所定の位置に補強材およびカバーを設置し(図-10),0補強材と加力装置を連結した。その後,土槽に上蓋を設0置して所定の上載圧を載荷し,加力装置により補強材を246土被り厚 (m)8図-12 土被り厚と見かけの摩擦係数引抜いた。荷重計および変位計により補強材の引抜き荷重および引抜き変位を測定した。引抜きは変位制御で行4010300 (m)い載荷速さは 1mm/min とした。大変位までの引抜き特性を把握するために,約 300mm まで引き抜いた。締段差位置,崩壊後断面(現地調査)202固め度 Dc は 90%とし,上載圧は 30,60,120,180kN/mの 4 ケースとした。10b)試験結果臨界円弧(数値解析)図-11 に引抜き荷重と引抜き変位の関係を示している。引抜きの初期では,引抜き変位の増加とともに引0抜き荷重も増加し,30mm から 40mm のあたりでピーク荷重を迎えた。その後,引抜き変位の増加とともにCase L-10徐々に引抜き荷重は低下し,ほぼ一定の残留荷重に収-10010203040 (m)NW束する傾向にあった。SE図-12 は拘束圧から換算した土被り厚さと見かけの摩擦係数の関係である。ここで,見かけの摩擦係数は段差位置(現地調査)(m)引抜き荷重を拘束圧と補強材の表面積で除した値であ臨界円弧(数値解析)10り,引抜き荷重の最大値をピーク時,引抜き変位量150mm 時を残留時の値として表記した。見かけの摩擦係数は土被り厚さに対して一定ではなく,土被り厚さ0が小さいほど大きな値を示している。これは既往の試験結果設計値Case M6)と同様のものである。また黒の破腺で示した-10-206)を上回る摩擦係数を得ている。残留時につい-10NW0102030 (m)SEて見かけの摩擦係数はピーク時の約半分に低下た。(m)4.シミュレーション解析臨界円弧(数値解析)104.1 解析の方法段差位置(現地調査)これまでの地震後等の現地調査の結果に基づき補強土壁の変形形態を大きく分類すると,補強材の引抜け0等により補強領域がせん断変形し壁面が前傾する形態,Case S内部にすべりが発生して壁面がはらみ出す形態,壁面-10-20が局所的にはらみ出す形態,基礎地盤を含む全体的な-10W0すべりにより壁面が後傾する形態 7) 等がある。本事例項目入力値単位体積重量 γ tによる残留変形解析を盛土材実施した。ニューマーク法は,すべり土塊が剛体で,すべり面における応力-ひずみ関係が剛塑性と仮定して地震時のすべり土塊の滑動変位量を計算する方法である。円補強材f残留強度 fピーク強度せん断抵抗角peak(kN/m3 )(deg.)41.7, 44.0, 40.0res(deg.)33.8, 35.9, 32.9見かけの摩擦係数(z=0m)ピーク摩擦係数 f 0*peak -見かけの摩擦係数(z>6m)ピーク摩擦係数残留摩擦係数 f 0*resに基づいて修正フェレニウス法とし,補強材の引抜19.63.5111.557peak-(deg.)res(deg.)24.7幅W(mm)60厚さ T破断強度 s(mm)5400y残留摩擦係数 y弧すべりの計算式については,道路土工-盛土工指針9)E表-2 ニューマーク解析に用いたパラメータら,補強領域内部にすべりが発生し,はらみだしが発生したと推定された。そのため,本解析では円弧すべりを仮定したニューマーク法30 (m)20図-13 解析モデルでは,壁面の変位分布,および道路路面の損傷状況か8)1041.4(N/mm2 )き抵抗力は,補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工指針15006)に基づいて考慮した。補強材の引抜き抵抗力SEは,補強材が破断するか,引抜けるまで抵抗モーメン500トに考慮した。なお,円弧すべりについては,重力式-500基礎に変状が認められなかったことから重力式基礎よ-15001500最大加速度 1253galNWEり下面でのすべりは考慮しなかった。盛土材のピーク500強度,盛土材と補強材のピーク摩擦係数を用いて臨界-500円弧を検索し,降伏震度を計算した。地震波を入力し,最大加速度 955galW-1500降伏震度に相当する加速度が入力された時に,瞬間的0に残留強度,残留摩擦係数まで低下させ,残留変位量10203040時間 t (sec.)図-14 入力加速度を計算した。415060 解析は図-13 に示すように崩壊部(CaseL,壁高 H =表-2 解析ケース8.25m),著しいはらみ出しの認められた崩壊部近傍の残盛土材の強度定数存部(CaseM,H = 7.50m)及び崩壊部から約 50m の位置被害Caseではらみ出しが軽微であった残存部(CaseM,H = 3.75m)パラメータCase L1の 3 断面を対象とした.なお,設計図書は入手できなかっ大Case L2Case L3たことから現地調査の結果及び近隣の同年代の補強土壁Case M 1の設計図書を基に復元設計を行った。設計水平震度は,中Case M 2Case M 3kh = 0.13 とし,当時の指針 5)に則り復元を行った。Case S1小Case S24.2 解析のパラメータCase S3表-1 に解析で用いた盛土材,補強材のパラメータを示す。盛土材の強度定数はピーク強度と残留強度の 2 つをピーク強度見かけの摩擦係数残留強度f peakf res(deg.)(deg.)141.733.8244.035.9340.032.9141.733.8244.035.9340.032.9141.733.8244.035.9340.032.9ピーク強度f 0*peakypeak実測水平変位残留強度yf 0*res(deg.)DH + Sres(mm)(deg.)測定不能3.51141.41.57772424.7= 240 + 48473= 0 + 73D H : 壁面のはらみだしの最大水平変位で,レーザー距離計より得たS: 壁面材の水平滑動量で,初期離隔から現在の離隔を差し引いて得た設定した。ピーク強度の強度定数(f peak, c peak)には三10Observed実測値Calculated解析値軸圧縮(CD)試験の結果を用い,残留強度(f res, c res)には既往の研究 10)を参考に設定した。8図-10 に解析で用いた見かけの摩擦係数と土被り厚の壁高 (m)6関係を示している。補強材の摩擦抵抗は,補強材の土中引抜き試験で得たピーク及び残留強度を拘束圧に対してそれぞれバイリニアでモデル化した摩擦係数を用いた。42ピーク強度から残留強度への減少は 50%程度の低減であった。010005000壁面水平変位(mm)図-12 に入力加速度を示す。入力加速度は,補強土壁から 2.4km 離れた場所に位置する最寄りの強震動観測所図-15 解析値と実測値の比較 (Case M1)動観測所の工学的基盤層から地盤までの最大速度の増幅15002.0率 12)は 1.2~1.4 程度で同程度の値であった。また,補強SEも等しかった。入力加1000速度は上記観測波の NS および EW 方向のデータを,壁5001)加速度 a (gal)土壁と強震動観測所の推定震度面法線方向に座標変換することで用いた。 CaseL,M は最大加速度 1253gal,CaseS では 955gal であり,非常に大きな地震動である。実測値1.5解析値1.0入力地震動0.50変位 (m)の観測波 11)を用いた。なお,補強土壁の設置箇所と強震0.0降伏震度-0.5-500-1.0解析ケースを表-2 に示す。本事例では,現場復旧工事-1000-1.5NWの都合上,現地調査において補強土壁の補強領域部の密-1500度試験を実施できていない。ため,条件設定においては-2.010152025時刻 t (sec.)303540当時の施工管理基準値である締固め度 90%以上を参考に,図-16 時刻歴変位の結果(Case M1)それぞれ 3 つのパラメータを設定した。パラメータ 1 として,試料 A の三軸圧縮(CD)試験供試体の締固め度 Dc=90.3%の試験結果,f peak=41.7°(tan f peak = 0.891)を設3000試験供試体の締固め度 Dc=90.3%の試験結果, f解析値の水平変位 (mm)定した。パラメータ 2 として,試料 B の三軸圧縮(CD)peak =44.0°(tan f peak = 0.966)を設定した。なお,この値は採取土の一連の三軸圧縮(CD)試験結果の中で,最も高い数値である。パラメータ 3 として,採取土の一連の三軸圧縮(CD)試験結果の中で,最も低い数値であるfpeak=40.0°(tan f peak = 0.839)を設定した。崩壊部残留部35002500Case SCase MCase Lfpeak= 44.0●●●fpeak= 41.7▲▲▲fpeak= 40.0■■■30002500Case L2000150020001500Case M10001000Case S5005000005.解析結果35002004006008001000実測値の水平変位 (mm)図-13 に臨界円弧の形状と,上部道路における段差お図-17 解析値と実測値の水平変位の比較よびクラック発生位置を示している。臨界円弧は,現地調査で得た実際の段差およびクラック発生位置と比較す果を実測の水平変位と比較して示す。ニューマーク法にると,大きく離れていない距離にあると考える。よる解析では滑り土塊は剛体を仮定していることから,図-15 に壁面の水平変位分布の例として,CaseM1 の結壁面の水平変位は壁高に対して線形の分布となる。実際42 表-3 現地調査、室内試験及びシミュレーション解析結果のまとめ項目現地調査2.4km離れた最寄りの強震動観測所で、地震の影響壁面の法線方向に最大1253gal復旧時の調査では崩壊部背面地山に水の影響湧水を認めず補強土壁周辺の基礎地盤に基礎地盤隆起などの変状を認めず周辺地形斜面の全体すべりの痕跡などは認めず壁面の変形モードはらみだしモード滑動量+残留水平変位 724mm壁面の残留部 重力式基礎上で240mm滑動、残留変形重力式基礎からの壁面の滑り落ちは無し・残留水平変位は不明滑動崩壊部 重力式基礎天端の肩部から壁面までの離隔が、崩壊部に近づくにつれて狭い壁面材残留部では明確な曲げ破壊を認めず残留部/崩壊部境界の断面において補強材補強材の破断を認めず盛土材土のこぼれ出し-残存部では認めず盛土材と補強材の摩擦重力式基礎-室内試験-[地震動として入力]---------壁つま先の残留水平変位で約 700mm (Case M1)-壁つま先の残留水平変位で約 1100mm (Case L1)----設計値以上のせん断抵抗角および盛土材適用範囲内の細粒分含有率を確認-設計値以上の摩擦係数を確認変状を認めずシミュレーション解析-[盛土材のパラメータとして入力]-[ピーク,残留の摩擦係数をバイリニアでモデル化][重力式基礎以深にすべり線を通さない][シミュレーション解析の入力条件として使用]の壁面材の下端部には重力式基礎との摩擦があり,壁面6.変状要因の分析材間はヒンジに近い構造となっていると考えらる。最下本被害事例での現地調査,室内試験,およびシミュレ段の壁面材は前傾が顕著となっているが,壁面の下端部ーション解析の結果を表-3 に示す。を除くと解析値と実測値の変位分布は調和的である。し現地調査のおよび室内試験の結果,補強土壁が崩壊すたがって,本事例においては壁面の水平変位においてする直接的な要因は確認されなかった。これより,非常にべりによる変位が卓越しているものと考えられる。これ大きな地震動の作用が補強土壁の崩壊の主な要因であるより解析により実際の挙動の傾向を再現できていると判ことが考えられる。断し,以後は補強領域のつま先の水平変位量について議補強土壁の被害状況は,残留部においてはらみだし変形モードによる最大約 500mm の水平変位が発生した。論する。図-16 に Case M1 における各断面の残留変位の時刻歴崩壊部付近の壁面では,最下段パネルの角度が  = 約を一例として示している。入力加速度は 17.3 秒付近で降50%の大変形が発生したにもかかわらず,粘り強く変形伏震度に達し,17 秒~25 秒で残留変位が累積している。に追随していた。また,壁面材およびジョイント部は,入力地震波は 17.3 秒付近で SE から NW 方向,および E盛土材のこぼれ出し防止機能を保持していた。これは,から W 方向(補強土壁の主働方向)へ 458~674gal の加速補強土壁の補強メカニズムにおいて,盛土材のこぼれ出度が作用しており,Case L ,Case S の断面においても同様しの防止は重要な要求事項であることから,有意な知見の時刻周辺で降伏震度に到達した。であったと考える。図-17 に補強土壁つま先の残留水平変位の解析値と実崩壊部の付近では,崩壊部に近づくにつれて滑動変位測値の関係を示す。解析値は,概ね実測値と大きく乖離量の増加が認められた。この事実より,崩壊部では地震のない範囲で一致しており,補強土壁の被災状況とニュ動による影響によって重力式基礎から壁面材がすべり落ーマーク法による解析結果の大小関係は概ね一致する傾ちた可能性が考えられる。また,ニューマーク法による向を示した。 Case L の断面は,実際には完全に崩壊しシミュレーション解析結果では,崩壊部において約ており,実測値が得られていないため解析値との比較は1100mm の残留水平変位量が発生し,この変位に達するできない。壁高や壁面の方角等,条件も類似しており,までに崩壊に至ったものと考えられる。この変位は,変崩壊部との距離も近かった Case M では,パラメータ 1状が認められなかった箇所の重力式擁壁天端肩部から壁で最も実測値と解析値が近い値を得た。Case L1 の結果面までの設計離隔(450mm)より大きい。前述のとおり残では,1087mm(壁高と水平変位の比 dx/H=13.2%)であっ留部では崩壊部に近づくにつれ離隔が狭くなっているこた。また,パラメータを変えた場合の残留変形量への影とからも,補強土壁が重力式基礎から滑り落ちた可能性響は,壁高の高い程影響度合いが大きく,壁高の小さいは否定できない。程影響が小さい事がわかる。これは,臨界円弧の形状,壁面がすべり落ちた場合,盛土材の漏出とともに補強すべり線の長さの影響によるものと考えられる。土壁の補強メカニズムが失われ致命的な損傷を招くと考43 えられる。そのため,このような滑動の発生を防止する参考文献対策も必要と考える。既往の研究では,擁壁の根入れに1)関する重力式擁壁を模した遠心模型実験が実施されてお地震ハザードステーションJ-SHIS Map (http://www.j-shis.bosai.go.jp):防災科学技術研り,根入れ深さが地震動による壁面変形を抑制する効果究所があることが報告 13)されている。補強土壁を含め擁壁の2)根入れによる壁面変形の抑制効果の定量的な評価と,根平成 28 年(2016 年)熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について(2017):内閣府入れと同等の効果が得られるような重力式基礎天端での3)滑動を抑制する対策を検討していくことも必要と考える。道路土工-擁壁工指針(2012):公益社団法人日本道路協会4)7.まとめ道路土工構造物技術基準(2015):国土交通省(http://www.mlit.go.jp/road/sign/kijyun/bunya02.html)平成 28 年熊本地震で被害を受けた補強土壁について,5)現地調査と室内試験を実施し変状要因を分析した。その補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第 2 回改訂版(1999):一般社団法人土木研究センター結果,湧水による影響や,盛土材不良など明確に崩壊に6)繋がるような要因は確認されなかった。また,変形の著補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル第 4 回改訂版(2014):一般社団法人土木研究センターしい残留部では崩壊部に近づくにつれ重力式基礎肩部と7)壁面の離隔が狭くなっていくことが確認された。佐藤登・澤松俊寿・新田武彦・宮武裕昭(2017):壁面変位による補強土壁の健全性評価に関する一考察,第 73 回ニューマーク法によるシミュレーション解析の結果は,土木学会年次学術講演会概要集 pp.931-932実測の壁面変位量と大きく異ならない範囲で整合してい8)た。著しいはらみ出しの認められた崩壊部近傍の残存部堀井克己・舘山勝・内田吉彦・古関潤一・龍岡文夫(1997):ニューマーク法による鉄道盛土の地震時滑動変位予測,第の結果の傾向を崩壊部に単純に当てはめると,約32 回地盤工学研究発表会概要集 pp.1895-18961100mm の残留水平変位となり,この変位に至るまでに9)崩壊が発生したものと推定される。また,現地調査結果,道路土工-盛土工指針(2010):公益社団法人日本道路協会および解析結果より,重力式基礎から根入れのなされて10) 佐伯宗大・大窪克己・浜崎智洋・北村佳則・稲垣太浩・濱いない補強土壁部が滑り落ちた可能性が示唆された。野雅裕・龍岡文夫(2004):高速道路盛土の大規模地震時の耐震性検討(その 1)~盛土材のせん断強度の検討~,謝辞:本研究の遂行にあたり,熊本県県北広域本部阿蘇第 39 回地盤工学研究発表会概要集 pp.1759-1760地域振興局,日本テールアルメ協会,多数アンカー式補11) 地震情報(http://www.jma.go.jp/en/quake/):気象庁強土壁協会,ジオテキスタイル補強土工法普及委員会に12) 自然災害情報室(http://www.j-risq.bosai.go.jp/):防災科学技はデータを御提供を協力頂いた。ここに感謝の意を表し術研究所ます。13) 斉藤由紀子・岡村未対・田村敬一(2002):重力式擁壁の地震時変位量‐擁壁の根入れ深さを考慮した地震時変位計算法の検証‐,第 57 回土木学会年次学術講演会概要集pp.1171-1172This paper describes the results of site investigations and residual deformation analyses byNewmark method regarding a reinforced soil wall damaged by the 2016 Kumamoto earthquake, inorder to clarify deformation property and factors affected to the deformation. From the result of thesite investigation, it was found that the reinforced soil wall failed over the length of about 40 m, whilebreakage of the reinforcement was not observed. No leakage of the fill material occurred, although thewall bulged with horizontal displacement of about 50 cm at maximum. It was confirmed fromlaboratory tests that the fill material having sufficient quality for a reinforced soil wall was used. Fromthe results of investigations and laboratory tests, the most serious factor to the failure or deformationwas estimated to be the extremely strong seismic motion. In the analyses, the parameters of backfilland reinforcement were determined by the laboratory test. The observed horizontal displacement ofwall facing was generally within the range of the calculated displacement. The calculateddisplacement of the failed part was about 1100mm and the failure was estimated to occur by thisdisplacement.44
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  • タイトル
  • 1964年新潟地震における新潟市内の建物と地盤の被害分布と地形条件の関係
  • 著者
  • 保坂 吉則
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 45〜50
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000008
  • 内容
  • 1964 年新潟地震における新潟市内の建物と地盤の被害分布と地形条件の関係Relationship between topographic conditions and damage to buildings andground in Niigata City area during 1964 Niigata Earthquake保坂吉則*Yoshinori HOSAKA1964 年の新潟地震後に行われた新潟市中心部の被害調査データを,GIS によりベクトル化して得られた建物被害面積と地盤変状長さにより被害のレベルを定量評価し,50m メッシュ区画で被害分布を検証した。昭和初期に河道を埋め立てた地盤は特に被害が著しく,江戸時代中期の水域における埋土や河川堆積物においても高い被害が確認された。被害を地形区分毎に比較したところ,砂丘地は無被害地区が広く被害レベルも小さいが,浅層の平均 N 値が低い分布を示す埋土・盛土地形は,6 割以上の区域で被害が生じ,被害レベルも高いことがわかった。キーワード:地震, 液状化,微地形,地理情報システムEarthquake, Liquefaction, Microtopography, GIS認識していたことを示唆している。1.研究の背景上部構造物の耐震化が進められてきたことで,近年の本研究は,「新潟地震地盤災害図」に記載された記録を地震ではその損傷や倒壊の被害が減少する一方で,液状液状化被害ととらえたうえで,その画像をベクトルデー化や斜面崩壊などの地盤破壊に関連する被害が相対的にタ化し,液状化の被害範囲とレベルを定量評価すること,顕在化している。液状化は,地震動がそれほど大きくなおよび,被害レベルと地形情報との関係を,ボーリングい場合でも発生し,近隣で被害の有無が明瞭に分かれるデータを交えて比較検討することを目的とする。ことから住民の関心も高く,液状化に関するハザードマップの重要性が増している。住民向けに自治体が作成する液状化のハザードマップは,地形情報から簡易推定する方法や,ボーリングデータより液状化指数 PL を求めて評価する方法,また応答解析による詳細検討を交えた手法など様々なアプローチがある。いずれの手法も,評価指標は被害予測と関連付けがなされるが,その関係は,過去の災害履歴の分析に基づいている。2.研究の目的1964 年に発生した新潟地震の後で,新潟大学理学部が市内中心部の被害の悉皆調査を実施しており,その成果は 3000 分の 1 地形図を利用した「新潟地震地盤災害図1)」に詳細にまとめられている。図1 は災害図の一部を図 1 「新潟地震地盤災害図」1)の被害記録抜粋抜粋したもので,被災した建物や地盤の亀裂,変形の状況のほか,浸水区域や噴砂・噴泥箇所が詳細に書き入れられている。新潟地震における地盤変状の発生が主に液3.新潟地震被害の定量評価状化に起因することはもちろんであるが,建物被害の大3.1 検討対象地域半もまた液状化が原因と考えられる。その根拠として,検討する範囲を図 2 に破線で示す。新潟市内東部では液状化が生じていないと思われる砂丘の高台は被害が全新潟空港や阿賀野川の堤防をはじめ,広範囲で液状化被く記録されていない点と,被災した建物に上部構造の倒害が発生し,西部でも砂丘斜面下部ですべりや流動を伴2)う被害が生じたが,本研究は地盤災害図の調査範囲であ壊や大規模な損傷がほとんど見られないという報告書る信濃川両岸の中心市街地のみを対象とした。の記述が挙げられる。「地震災害図」ではなく,「地盤災害図」という標題も,当時から被害が地盤に因るものと* 新潟大学工学部 助教Assistant Prof., Faculty of Engineering, Niigata University45 レースしてベクトルデータ化した。当初は,被害建物の棟数や亀裂の箇所数での評価も考えたが,建物は戸建て住宅以下のものから,数千 m2 の大規模な物件までを含み,亀裂の規模も大きく異なることから,被害規模を評価するに当たり,面積や長さの情報を持つベクトルデータでの定量化が適当と判断した。被害は災害図中で複数に分類されて記録されており,建物被害は木造,鉄筋コンクリート造,タンク類の 3 種類の構造形式について,地盤変状は,地盤の亀裂,道路や鉄路の波状変形,地表面の陥没・隆起の 3 形態についてベクトル化を行った。続いて,作成したそれぞれのベクトルデータから,GIS の機能を利用して被害建物の面図 2 本研究の検討対象領域積と地盤変状の長さの定量情報を抽出した。なお,閉じた曲線で示されている地盤の陥没・隆起はポリゴン化も3.2 被害情報の定量化可能であったが,外周をライン要素でトレースして他の被害の定量化は,建物被害と地盤変状に分けて行った。地盤変状と同様に長さで評価した。建物の構造形式別の画像化されている災害図を GIS でラスターデータとして被害面積のヒストグラムを図 3 に,地盤変状の形態別の読み込んだ後,着色された被害建物はその平面形をポリヒストグラムを図 4 に示す。木造は 100m2 付近の頻度がゴン要素で,地盤変状は亀裂等に沿ったライン要素でト高いが,その規模の建物が元々多いためと考えられる。タンク類の被害は 50m2 以下の小規模なものが大半で,主に東部の工場地帯に分布する。地盤変状は 50m 以下のものが件数としては優勢である。3.3 被害分布被害の大きさを地区毎に定量評価するため,検討領域を 50m のメッシュで分割し,GIS を用いて各メッシュに含まれる被害建物の面積と地盤変状の長さをそれぞれ求めた。なお,被害分布の検討に際しては,建物の構造形式や地盤変状の形態の区別はせず,建物被害と地盤変状の 2 項目にそれぞれ集約した。設定した総メッシュ数 9,526 に対して,建物被害は24.4%の 2322 箇所,地盤変状は 28.4%の 2703 箇所で発生した。建物が無く地盤変状のみが見られる地区や,建物密集地帯で地盤変状が顕在化していないと思われる地区もあるため,両方の被害を含むメッシュは 1324 箇所にと図 3 被害建物 1 棟当たり面積のヒストグラムどまる。一方,いずれかの被害が発生したメッシュは3701 箇所に上り,検討領域の 4 割弱で液状化による被害が発生したと見ることができる。被害のあったメッシュに関して,各被害の大きさの分布を図 5 のヒストグラム図 5 各メッシュの被害のヒストグラム図 4 地盤変状 1 箇所当たり長さのヒストグラム46 で確認する。いずれも被害のレベルが小さくなるほど頻できる。度が高くなる指数分布を示す。なお,江戸時代の河岸は,元禄一二年(1699 年)の絵つぎに,被害がどの地区でどの程度発生したかを確認図 3)を基に,1911 年の地形図や米軍撮影の空中写真からするため,メッシュの被害をランクで色分けして地図上痕跡が確認できた地形情報を参考に,著者が推定したもに配置した分布を,建物被害は図 6 に,地盤変状を図 7のである。大きく蛇行していた信濃川本流は,阿賀野川に示す。全体を概観すると,建物被害と地盤変状の分布が分離後の 18 世紀半ばには現況に近い流路となり,元禄はおおむね同じ範囲にあることがわかるが,建物被害が期の河道域の一部は中州が形成されて陸地化した。新潟比較的小さい信濃川右岸の現県庁周辺や通船川の南部,地震の約 200 年前である。また,信濃川両岸の埋立ては信濃川河口東部では顕著な地盤変状が見られる。昭和初期で,新潟地震発生の約 35 年前である。無被害メッシュは,海岸沿いで標高が高い砂丘地,中このような地盤形成過程と被害を比較するため,1911心部の古町地区,および,新潟駅南部地域に広がる。砂年以降に陸地化した領域,および,1699 年以降明治時代丘地は地下水位が低いため,液状化しなかったと考えらまでに陸地化した領域に属するメッシュ内の建物被害面れる。その他の無被害地区は,いずれも旧河道や旧水域積のヒストグラムを図 8 に,地盤変状長さのヒストグラから外れており,江戸時代以前の比較的古い堆積物であムを図 9 に示す。信濃川両岸の 1911 年以降の新しい埋立ったことが無被害の要因と考えられる。地の方が被害の大きいメッシュが分布することはヒストグラムにも反映しており,平均値も大きい。ただし,江戸時代に陸地化した旧水域も被害が小さいとは言えない。分布図を詳細に見ると,水際線に沿って被害メッシュが並んでいる箇所がある。埋土・盛土部と原地盤とで沈下量が異なり,被害となったことが想定される。また,昭和大橋上流右岸側は無被害であるが,埋立て時はこの地域が高水敷で盛土が薄かったためと考えられる。図 6 建物被害の分布(50m メッシュ)図 8 地盤形成期別の建物被害ヒストグラム図 7 地盤変状の分布(50m メッシュ)3.4 河道変遷と被害の関係旧河道部が液状化しやすいことは従来から良く知られているが,1911 年測図の地形図から読み取った水際線と,江戸時代半ばの推定水際線の位置を上図内に破線,点線図 9 地盤形成期別の地盤変状ヒストグラムで示すと,旧河道内に被害が集中する状況が改めて確認47 4.微地形と被害の関係4.2 地形と被害との関係4.1 新潟市域の沖積層形成と地形の特徴本研究で参照した地質図幅は,堆積条件に加えて表層越後平野は,約 8000 年前に現在の海岸から 10km 以上5m までの土質を考慮した詳細な区分で分類されており,内陸の位置に沿岸砂州(バリアー)が形成され,その後たとえば後背湿地は,主体となる土質によって 5 つに区は海岸と平行な砂丘列が徐々に前進して陸地が広がり,分されている。国土地理院の土地条件図の分類では,古1000 年前頃までに現在の海岸線に達している4)5)。砂丘い旧河道域が示されていないこと,また,広大な面積を列の下部は 40~50m の深さまで厚い砂層が堆積してい占める盛土地の中に,河川の埋立地と水田上の薄い盛土る。砂丘列は市内北部で最大 10 列が確認されており,こ造成地が混在していることから,液状化被害との比較にの地域の研究者は,形成年代の古い順に新砂丘 I,新砂は利用しにくい点がある。一方,図 10 の地質図幅は,水丘 II,新砂丘 III と呼んで分類 6)した。現在の海岸砂丘に田上の盛土地が造成前の地形条件で表示されており,あ該当する新砂丘 III が形成されると,越後平野を流れる河る程度深部までの地盤構成が影響する液状化被害との適川の出口は限定され,北東部の阿賀野川や加治川もその合性が良いと判断した。ただし,本研究では土質の詳細河口は江戸時代半ばまで信濃川河口付近にあり,砂丘の区分までは考慮せず,堆積条件毎に,砂丘堆積物,河川背後では各河川が氾濫を繰り返しながら流路を変えてい堆積物,後背湿地・砂丘間低地堆積物,および,埋土・た 7)。新潟市内は,砂丘部を除くと標高が 0~2m の範囲盛土の 5 区分で比較検討することとした。にある平坦な低地が広がるが,河道変遷の影響により表各メッシュに割り当てる地形属性は,メッシュ中央点層の地形・地質は,図 10(2016 年に発行の新潟・内野地の情報を採用した。広域のハザードマップでよく用いら質図幅 8)から作成)のように非常に複雑な分布を示す。れる 250m メッシュでは内部に複数の地形を包含する場江戸時代に大きく蛇行していた信濃川は,阿賀野川の合が多いが,50m メッシュで表現した地形分布は実際の分離や河道内の土砂移動などで徐々に現在の流路位置に地形分布とおおむね対応する。収束した。また,江戸時代末に新潟奉行の川村修就が砂はじめに,地形毎の被害概況を把握するため,建物被防林の植樹を行うまでは,冬季の北西の季節風で砂丘か害と地盤変状のそれぞれで被害,無被害のメッシュ数のら内陸部への大量の飛砂 9)があり,これも表層地盤形成比率を求めて表 1 に示す。建物被害も地盤変状も,砂丘に影響したと考えられる。阿賀野川は,1731 年の洪水で堆積物は 9 割前後が無被害で,砂丘地で被害が発生した放水路が本流化したことで河口が現在の位置に変わった箇所は,主に標高が低い低地との境界部に位置していた。後,信濃川に合流していた流路の一部は通船川として残埋土・盛土は 6 割以上でいずれかの被害が見られた。り,周辺に広大な旧河道地形が現れた。これらの地域の地形は,旧河道の埋土のほか,砂丘間低地堆積物に分類表 1 地形別の被害の有無に関するメッシュ数の割合されている箇所もある。地形区分河口から約 60km 上流に大河津分水路が開削され,メッシ建物被害地盤変状いずれュ数か被害有無有無2715 5.2% 94.8% 11.6% 88.4% 13.7%381 30.2% 69.8% 39.9% 60.1% 56.2%砂丘堆積物河川堆積物後背湿地・砂丘3587間低地堆積物2301埋土・盛土1922 年の通水で流量が減少した後,昭和初期に信濃川の両岸を埋め立てて造成された現在の万代地区や白山駅南部の川岸町等の街区は,旧水域の埋土や堤防沿いの盛土29.9% 70.1% 28.5% 71.5%42.1%40.8% 59.2% 48.8% 51.2%64.5%地形に分類される。図 10 新潟市中心部の地形分類 8)図 11 建物被害の地形別ヒストグラム48 質と N 値の深度分布から考察する。ほくりく地盤情報システム 10)に掲載のボーリング点(図 10)における柱状図情報から,1m の深度区間毎に粗粒土,細粒土,高有機質土,および表土・盛土の占める比率をそれぞれ求め,同じ地形区分に属する全ボーリングを平均した深度分布を図 15 に示す。後背湿地と埋土・盛土地形は,浅層部に細粒土や有機質土を少し含むが,全体としては粗粒土層が主体の層構成である。また,粗粒土の内訳を見たとこ図 12 建物被害の地形別密度分布ろ,細砂と中砂が主体であった。このことは,液状化しやすい土質条件であることを示唆する。なお,ボーリングに付属の土質試験データより表土・盛土層の細粒分含有率を求めると,平均値が 18%程度であり,粗粒土と同等とみなすことができる。N 値の分布については,土質の構成比と液状化を考慮し,粗粒土層で計測された N 値のみを 30cm 貫入量に相当する打撃回数に換算した後,地形区分毎に同じ深度区間で平均して図 16 に示す。埋土・盛土地形は N 値が 10未満の層が他の土質に比べて厚いことがわかる。4.4 平均 N 値の深度分布と液状化発生の有無について液状化発生の有無を考えるため,参考として FL =1 となる境界の N 値分布を道路橋示方書 11)に準じて試算した。算定にあたり,地盤の湿潤単位体積重量を 20kN/m3,地下水位面を G.L-1m と仮定し,新潟地震に近いと考えら図 13 地盤変状の地形別ヒストグラムれるレベル 1 地震動の設計震度(III 種地盤)を用いた。埋土・盛土地形の平均 N 値は FL =1 の N 値分布に近接しており,この地形の浅層部は液状化層が厚いと推測される。FL=1 の境界より小さな N 値を示す貫入試験の箇所の割合を 10m 以浅と 10m 以深に分けて求め,結果を表 2にまとめる。10m 以浅のデータは被害メッシュの割合と同じ傾向であり,砂丘部は割合が低く,埋土・盛土部で高い値を示した。いずれの地形区分も深部は平均 N 値が高くて液状化しにくいため,地形条件により浅層部の土質と N 値分布が異なることが,液状化被害の多寡に影響図 14 地盤変状の地形別密度分布次に,被害が発生したメッシュのみのヒストグラムを作成し,被害レベルの地形による違いを比較する。建物被害面積のヒストグラムを図 11 に示す。埋土・盛土地形では被害の大きい領域まで分布する状況がみられるが,違いを詳細に比較するため,地形別の密度曲線を重ねて図 12 に示す。なお,密度曲線はプログラミング言語 Rの density 関数のデフォルト条件で求めた。図から,砂丘地は被害面積が小さな領域で密度が高く,500m2 以上は非常に少ないことがわかる。そのほかの地形条件は類似の傾向であるが,その中で埋土・盛土は被害の大きい領域で最も密度が高い。地盤変状の地形別のヒストグラムを図 13 に,密度分布を図 14 に示す。砂丘地の方が後背湿地よりも若干被害が大きいが,傾斜のある砂丘外縁部で側方流動やすべりによって亀裂や地割れが多発したことが考えられる。4.3 地形別の土質と N 値の分布について図 15 新潟市中心部の地形別土質分布地形と被害の関係を,ボーリングデータに基づいた土49 したことを確認できた。化発生層の割合が高いことが被害の主要因と考えられる。深部によく締まった砂層が分布する新潟市の地盤は,砂丘地の約 9 割程度は無被害であったが,被害地でもそ浅層の砂層の下部に軟弱粘土層が厚く堆積する東京の東の規模は小さい傾向であった。河川堆積物と後背低地・部低地とは大きく異なる構造となっており,同じ後背低砂丘間低地堆積物の地形はその中間の被害状況であった地に分類されていても地盤の増幅率が比較的小さい12)。が,河川堆積物は埋土・盛土地との境界で地盤変状が顕マグニチュード 7.5 の地震規模にもかかわらず,液状化著に見られた。以外の震動による上部工被害が少なかったことを解釈する上で,今後,この地域の地盤応答特性を考慮した詳細謝辞:新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志准教授な検討が必要と考えている。より,新潟地震地盤災害図の復刻版と新潟及び内野地域の地質図幅をご提供頂いたことに深く謝意を表します。参考文献1) 西田ほか(1964.):新潟地震地盤災害図 カラーA0 版6 葉,新潟大学.2) 土木学会新潟震災調査委員会編(1966):昭和 39 年新潟地震震害報告,土木学会.3) 新潟市編(1973):新潟市史 上巻 (昭和九年発行の復刻版),名著出版会.4) 鴨井幸彦・安井賢(2004):古地理図でたどる越後平野の生いたち,土と基礎,Vol.52 No.11,pp.8-10.5) 鴨井幸彦・田中里志・安井賢(2006):越後平野における砂丘列の形成年代と発達史,第四紀研究,Vol.45No.2,pp.67-80.6) 新潟古砂丘グループ(1974):新潟砂丘と人類遺跡-新潟砂丘の形成史 I-,第四紀研究,Vol.13 No.2,pp.57-68.7) 大熊 孝(1988):洪 水と治水の 河川史, 平凡社,図 16 新潟市中心部の地形別 N 値分布pp.121-129.8) 鴨井幸彦・安井賢・卜部厚志(2016):新潟及び内野表 2 標準貫入試験箇所で FL < 1 となる割合地形砂丘堆積物河川堆積物後背湿地・砂丘間低地堆積物埋土・盛土深度 1~10m17.8%23.1%39.8%59.3%地域の地質,地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅),深度 10~20m9.3%3.3%9.1%20.5%産業技術総合研究所地質調査総合センター.9) 新潟市編(2011):新・新潟歴史双書 6 新潟砂丘,新潟市,pp.49-57.10) 北陸地盤情報活用協議会(2018 年 10 月):ほくりく地盤情報システム,http://www.jiban.usr.wakwak.ne.jp/.5.まとめ11) 日本道路協会編(2017):道路橋示方書・同解説 V 耐「新潟地震地盤災害図」の画像データより,建物被害震設計編,日本道路協会,pp.161-164.の面積と地盤変状の長さの情報を抽出し,50m メッシュの区画毎にその被害規模を定量評価した。建物と地盤の12) 尾崎佑輔・大竹雄・保坂吉則(2018):新潟市域にお被害の面的な分布はおおむね同じ傾向で,旧河道域を中ける土層厚空間分布の確率的推定と地盤応答特性評心に,特に埋土・盛土地形で高い被害率を示した。この価 , 土 木 学 会 第 73 回 年 次 学 術 講 演 会 講 演 集 ,地形条件は,浅層部の N 値が他の地形より小さく,液状pp.659-660.Damage level were quantitatively evaluated with building damage area and ground deformation lengthwhich were obtained using GIS from damage survey data of 1964 Niigata Earthquake in the centralarea of Niigata City and damage distribution was estimated with 50m mesh section. Severe damageoccured in the area reclaimed in the early Showa Period, and there were also relatively large damagein the fill and river deposit formed in the middle of Edo Period. For topographic conditions, damagewere distributed in approximately 14% area of dune deposit, while 65 % of reclaimed area in the oldriver channel were damaged notably.50
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  • タイトル
  • 地震時におけるグラウンドアンカーの損傷と抑止効果について
  • 著者
  • 常川 善弘・酒井 俊典・近藤 益央・藤田 智弘・高梨 俊行・田口 浩史・山下 英二
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 51〜58
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000009
  • 内容
  • 地震時におけるグラウンドアンカーの損傷と抑止効果についてOn damage and deterrent effect of ground anchor during earthquake常川善弘*,酒井俊典**,近藤益央・藤田智弘***,高梨俊行****,田口浩史*****,山下英二******Yoshihiro TSUNEKAWA,Toshinori SAKAI, Masuo KONDOH・Tomohiro FUJITA, Toshiyuki TAKANASHI, KojiTAGUCHI, and Eiji YAMASHITA今後,発生が想定される南海トラフ巨大地震等に対し,土工構造物に対する防災・減災対策に向けた取り組みは重要である。著者らは,グラウンドアンカー工(以下,アンカー工)が施工されたのり面(以下,アンカーのり面)のうち,地震外力を受けた 8 箇所について健全性調査を実施し,7 箇所でアンカーが損傷するものの,このうち 4 箇所はアンカーのり面に明瞭な変状がなく,のり面に変状が見られた残り 3 箇所についてもアンカー対策されていない箇所と比べ変位が抑制されていることを確認した。今回の調査から,地震によりアンカーに損傷が発生する可能性が考えられるものの,地震時ののり面安定及び減災対策において,アンカーは有効に抑止機能を発揮している実態が明らかになった。キーワード:地震,グラウンドアンカー,損傷,抑止効果earthquake, ground anchor, damage, deterrent effect1.表-1 調査対象アンカーのり面と地震概要(気象庁)はじめに2015 年に道路土工構造物技術基準1),2017年に同点検のり面要領 2)が定められ,災害時の緊急輸送道路の機能確保等,No道路の重要性や要求性能に応じた設計や維持管理の方法発生が示されている。アンカー工を含む土工構造物の性能に対する社会的要求が高まる背景には,近年,記録的な豪のり面 A雨や地震による甚大な土砂災害が頻発しており,大規模三重県中部地震東北地方のり面 B会生活や経済活動に大きな影響を与える。また,南海トラフ巨大地震等の海溝型地震や,直下型地震等の発生確アンカーの規模り面と震央震度の距離日時タイプ2007三重県16km4/15中部M5.4直下型5強12:19な土工構造物が甚大な被害を受けると,長期間にわたって交通が遮断され、復旧等の災害対応や物流といった社深さ震央地震名2011太平洋沖4/11地震17:16福島県浜通り直下型(余震)8km6kmM7.012km6弱率も高まってきていることも加え,大規模災害への対応のり面 C1長野県2014長野県5km13kmが求められている。しかしながら,アンカー工やアンカのり面 C2神城断層11/22北部M6.714kmーのり面が,豪雨や地震等の外力の作用によってどのよのり面 C3地震22:08直下型6弱15kmうな損傷を受けるのか,その際に期待される抑止機能をのり面 D1発揮できるかという点は明らかになっていない。そこで著者らは,地震外力を受けた 4 地点のアンカーのり面 D22016熊本地震のり面について健全性調査を実施し,地震時におけるア4/161:25のり面 D3ンカーの損傷の実態や,その抑止効果について検討を行熊本県熊本地方直下型(本震)12kmM7.325km15km6強27kmった。対象とする地震は,2007 年 4 月 15 日に発生した三2.重県中部を震源とする三重県中部地震(M5.4),2011調査概要2.1 調査対象アンカーのり面と地震概要表-1 は,今回調査対象としたアンカーのり面と地震年 4 月 11 日に発生した福島県浜通りを震源とする東北の関係を示したものである。に発生した長野県北安曇郡白馬村を震源とする長野県* ㈱相愛** (国)三重大学大学院地方太平洋沖地震の余震(M7.0),2014 年 11 月 22 日Soai Co.,Ltd教授Prof., Mie University*** (国研)土木研究所Public Works Research Institute**** 日本地研㈱Nihon Chiken Co.,Ltd***** 川崎地質㈱Kawasaki Geological Engineering Co.,Ltd****** 北海道土質コンサルタント㈱Hokkaido soil consultant Co.,Ltd51 神城断層地震(M 6.7),2016 年 4 月 16 日に発生した熊9.5m∼26.5m,定着長は 5.5m である。本県熊本地方を震源とする熊本地震(M7.3)の 4 つの地震で,いずれも内陸部の直下型地震である。(3) のり面 C1これらの地点の地震に対し,三重県中部地震ではの写 真-3 に 示すり面 A の 1 箇所,東北地方太平洋沖地震はのり面 B ののり面 C1 は,地1 箇所,長野県神城断層地震はのり面 C1∼C3 の 3 箇所,すべり地に位置し,熊本地震はのり面 D1∼D3 の 3 箇所の計 8 箇所につい新生代新第三紀中て調査を実施した。栗原・他(2008)3)は,地震の震央生代の堆積岩類をから調査対象となるアンカーのり面までの距離につい基盤岩とする道路切土のり面である。施工時期は不明で,て,過去の大規模地震と斜面の大規模崩壊の記録を基直壁のアンカー付 H 杭親杭タイプの土留め擁壁に,2 段に,震央より 40km 以内で大規模な斜面崩壊が発生し×50 列の千鳥配列にて 50 本のアンカーが施工されていていることを示しており,本調査対象のアンカーのりる。施工アンカーは,ナット定着方式・摩擦引張り型タ面は,いずれも震央から約 8km∼30km の範囲に位置し,イプの PC 鋼棒アンカー(ゲビンデスターブ D26)で,この範囲内にある。頭部保護方式はアルミ製の頭部キャップとなっている。写真-3 のり面 C1 の地震後の状況施工アンカーの設計緒元は不明であるが,地震により損傷したアンカー箇所の更新対策のアンカー設計資料から,2.2 アンカーのり面概要各調査地点のアンカーのり面の概要について,以下に設計アンカー力及び定着時緊張力は 302kN,アンカー長は 24m∼25m,定着長は 7m と推定される。示す。(1) のり面 A写真-1 に示すの(4) のり面 C2り面 A は,新世紀第写 真-4 に 示す四紀完新世のシルトのり面 C 2 は,地岩を基盤岩とする道すべり地に位置し,路切土のり面である。写真-1 のり面 A の地震後の状況新生代新第三紀中供用後,豪雨によるのり面変状が発生したため,アンカ生代の堆積岩類をー工が施工された変状履歴のあるのり面である。のり面基盤岩とする道路勾配は 1:1.2 で,吹付法枠工に 8 段×7 列∼11 列の配置切土のり面である。施工時期は不明で,H 鋼杭親杭に 1写真-4 のり面 C2 の地震後の状況にて 146 本のアンカーが平成 1 年∼3 年にかけて施工さ段×101 列の配置で,101 本のアンカーが施工された直壁れている。施工アンカーは,ナット定着方式・摩擦圧縮のアンカー付き土留め擁壁の前面に,のり面勾配 1:0.4型タイプの多重 PC 鋼より線アンカー(SEEE F50TA)の重力式コンクリート擁壁が追加施工されている。施工が施工され,頭部保護方式はアルミ製の頭部キャップとアンカーは,ナット定着方式・摩擦引張り型タイプの PCなっている。設計アンカー力は 243 kN∼260kN,定着時鋼棒アンカー(ゲビンデスターブ D32 及び EGS D32)で,緊張力は不明,アンカー長は 9.6m∼27m,定着長は 5.5m頭部保護は,終点側の一部の鋼製の頭部キャップ区間をである。除き,コンクリート製の頭部キャップとなっている。アンカー区間は延長約 200m と長く,地形・地質条件により設計アンカー力は 351 kN∼471kN に区分され,定着時(2) のり面 B写 真 -2 に 示 す緊張力は中間部で設計アンカー力の 60%,その他の区間のり面 B は,新生で設計アンカー力の 100%となっており,アンカー長は代新第三紀中新世13m,定着長は 5m である。のシルト岩・砂岩互層を基盤岩とする道路切土のり面(5) のり面 C3写真-2 のり面 B の地震後の状況写 真-5 に 示すである。切土施工時にのり面に孕み出しが確認され,起のり面 C 3 は,地点側の延長約 160m 区間にアンカー工が対策された変状すべり地に位置し,履歴のあるのり面である。のり面勾配は 1:1.0∼1:1.2新生代新第三紀中で,既成の PC 独立受圧板を用いて 6 段×54 列∼63 列の生代の堆積岩類を配置にて 350 本のアンカーが平成 8 年に施工されている。基盤岩とする道路施工アンカーは,くさび定着方式・摩擦引張り型タイプ切土のり面である。アンカー施工時期は不明で,のり面の PC 鋼より線アンカー(VSL勾配は 1:0.6 で,もたれ式コンクリート擁壁に 1 段∼2E5-7)で,頭部保護方写真-5 のり面 C3 の地震後の状況式はポリエチレン製の頭部キャップとなっている。設計段×18 列の配置にて,24 本のアンカーが施工されている。アンカー力及び定着時緊張力は 696kN,アンカー長は施工アンカーは,ナット定着方式・摩擦引張り型タイプ52 の PC 鋼棒アンカー(EGS D23)で,頭部保護方式はアの火砕岩類を基ルミ製の頭部キャップとなっている。設計アンカー力は盤岩とする河川149kN,定着時緊張力は不明,アンカー長は 8.5m,定着の護岸擁壁が施長は 4.5m である。工された切土の補強土壁工り面である。平擁壁のクラック成 13 年に,のり(6) のり面 D1写 真 -6 に 示 す写真-8 のり面 D3 の地震後の状況面上部の補強土のり面 D1 は,新壁工による道路盛土施工と合わせて,護岸擁壁部にアン生代第四期中期更カー工が施工されている。のり面勾配 1:0.5 のもたれ式新世の安山岩を基コンクリート擁壁に,2 段∼3 段×10 列の配置で 28 本の盤岩とする道路盛アンカーが施工されている。施工アンカーは,ナット定土のり面に施工さ a) 起点側のアンカーのり面状況れたアンカー工で着方式・摩擦圧縮型タイプの多重 PC 鋼より線アンカーある。地形・地質リート製の頭部キャップで,それ以外はアルミ製の頭部条件により,のりキャップとなっている。設計アンカー力及び定着時緊張面勾配は,1:0.5力は 229kN,アンカー長は 12.5m∼36m,定着長は 4.5mの延長 40m の間で,軽石流堆積層を定着層としている。(SEEE F40UA)で,頭部保護方式は最下段のみコンク知ブロック擁壁区間と,のり面勾配b) 終点側のアンカーのり面状況1:1.5 の延長 200m写真-6 のり面 D 1 の地震後の状況3.調査方法地震によるアンカの盛土区間に分かれ,それぞれ現場打ち独立受圧板に,2ーの損傷と地震後の段×一部千鳥配列を含む 55 列の配列にて合計 119 本のアアンカーのり面の状ンカーが平成 21 年に施工されている。施工アンカーは,態を確認するため,くさび定着ナット調整方式・摩擦引張り型タイプの PCアンカーのり面の健鋼より線アンカーの 3 規格(KTB全性調査を実施した。写真-9 小型軽量ジャッキが施工され,頭部保護方式はアルミ製の頭部キャップと健全性調査は,現地によるリフトオフ試験状況なっている。設計アンカー力は 395kN∼789kN,定着時踏査(概査),頭部詳細調査,リフトオフ試験とした。リ緊張力は設計アンカー力の 100%,アンカー長は 16.5mフトオフ試験は,写真-9 に示す SAAM ジャッキを用い,∼38.9m,定着長は 6∼9m で,安山岩∼自破砕安山岩をアンカー緊張力の面的な分布状況 4)の確認を基本に実施定着層としている。した。また,リフトオフ試験の結果は,表-2 に示す土木K6-3,K6-5,K6-6)研究所・日本アンカー協会共編(2008)5)の残存引張り力とアンカーの健全度の目安に準じて評価した。なお,(7) のり面 D2定着時緊張力が不明な場合は,定着時緊張力を設計アン写真-7 に示すのり面 D2 は,新カー力として評価を行った。生代第四期後期更表-2 残存引張り力とアンカー健全度の目安(一部加筆)新世の火砕岩類を基盤岩とする道路の盛土のり面に施残存引張力の範囲写真-7 のり面 D 2 の地震後の状況健全度E+0. 9 Tys工されたアンカー工である。直壁のアンカー付 H 杭親杭1. 1 Taタイプの土留め擁壁で,1 段∼2 段×10 列の約 40m の区許容アンカー力 (Ta)設計アンカー力 (Td)間に 17 本のアンカーが施工されている。施工アンカーは,定着時緊張力 (Pt)ナット定着方式・摩擦圧縮型タイプの多重 PC 鋼より線0. 8 Ptアンカー(SEEE F50TA,F70TA)で,頭部保護方式は0. 5 Pt0. 1 Ptアルミ製の頭部キャップとなっている。施工アンカーのD+C+状  態 破断の恐れあり危険な状態になる恐れあり対処例 緊急対策を実施 対策を実施 許容値を超えているB+ 経過観察により対策の必要性を検討A+ 健全A- 健全B-経過観察により対策の必要性を検討C-機能が大きく低下しているD-機能していない 対策を実施引用:土木研究・日本アンカー協会共編「グラウンドアンカー維持管理マニュアル」2008(一部加筆)設計緒元が不明のため,施工アンカーの許容アンカー力の 297kN∼428kN を設計アンカー力及び定着時緊張力と4.仮定し,アンカー長は,既存の地質調査結果より,アンカー長は 8.5m∼14.5m,定着長は 4.5m と推定される。調査結果4.1 健全性調査結果(1)のり面 Aのり面 A は,地震発生の 1 ヶ月前の 3 月 15 日∼3 月(8) のり面 D317 日と地震発生の 4 日後の 4 月 19 日∼4 月 21 日に,リ写真-8 に示すのり面 D3 は,新生代第四期後期更新世53 フトオフ試験によるアンカーのり面の健全性調査を実施の斜面崩壊が発生したものの,起点側の約 120m 区間のしている。リフトオフ試験は,全数の 43%にあたる 63アンカー対策区間において,無対策区間と比べ,のり面本実施した。写真-10(a)は,頭部詳細点検にて,支圧板変状が抑制されていたことが確認された。のズレが確認されたアンカーの地震前後の状況を示したアンカー頭部詳細調査の結果,一部崩土により埋没しものである。地震の前の健全性調査にて,写真-10(a)にたアンカーの損傷状況は不明であるが,施工本数 350 本示すアンカー浮きや支圧板のズレ,小段のクラック等ののうち、58%の 202 本が破断していることが確認された。変状が確認されたが,写真-10(b)に示すように,地震に写真-12 は破断したアンカーの飛び出し状況を示したもよるアンカーの変状の進行は確認されず,現地踏査におのである。PC 鋼より線が頭部キャップを貫通し,約 2.5mいても,のり面変状は認められなかった。リフトオフ試以上飛び出したアンカーも確認された。験の結果,残存引張り力は,54kN∼312kN の範囲であった。図-1 は,地震前後の健全度区分図を示したものである。地震前後とも,全体に C-(定着時緊張力の 50%以下)の分布を示し,一部 B+∼D+(設計アンカー力∼許容アンカー力の 1.1 倍以上)の荷重増加領域が確認された。地震前後の緊張力の変化は,+5kN∼−40kN の範囲で,健全度区分の分布にほぼ変化がなく,地震によるアンカ(a) 頭部キャップの貫通ーの健全性への影響は認められなかった。(b)約 2.5m の飛びだし写真-12 アンカー破断による飛びだし状況また,アンカーの飛び出し以外に,写真-13 に示すアンカー頭部や独立受圧板の落下等が見られ,のアンカー破断による第三者被害の可能性のある 2 次的な被災事例も確認された。(a)地震前(3/16)(b)地震後(4/19)写真-10 アンカー変状箇所の地震前後の比較(変化なし)(a)アンカー頭部の落下(b)独立受圧板の落下写真-13 アンカー及び付帯構造物の落下図-2 は,アンカーの破断等の損傷個所とアンカーの健(a)地震前(3/16)(b)地震後(4/19)全度区分の分布を示したものである。リフトオフ試験は,アンカーが破断せず残っていた起点側と終点側の 2 つの図-1 アンカーの健全度区分図の地震前後の比較ブロックの合計約 133 本のアンカーのうち,23%にあたる 30 本実施した。(2) のり面 B写真-11 は,のり面 B の地震後の崩壊状況の空中写真崩土により埋没を示したものである。終点側アンカー破断ブロック崩壊ブロック L≒120m起点側×:アンカー損傷個所図-2 アンカーの損傷個所と健全度区分図リフトオフ試験の結果,残存引張り力は,0kN∼798kNの範囲であった。起点側の崩壊ブロック外側の健全度区分は,C-(設計アンカー力の 50%以下)∼C+(許容アンカー力∼供用アンカー力の 1.1 倍未満)で,崩壊ブロッ写真-11 アンカー対策のり面区間の崩壊状況ク境界付近で崩壊の影響によると考えられる荷重増加が地震により無対策区間を含む幅約 270m,長さ約 210m確認された。一方,終点側の崩壊ブロック内の健全度区54 分は, D-(設計アンカー力の 10%以下)∼A(設計ア(3) のり面 C1ンカー力以下)の分布が確認された。図中に灰色で示すのり面 C1 は,現地踏査及び頭部詳細調査の結果,5崩壊ブロック内のアンカーは,ほとんどが破断し飛び出本のアンカーに破断が確認されたものの,アンカーのりしているのに対し,終点側のアンカーは破断せず荷重低面の顕著な変状は認められなかった。写真-14 は,アン下している。終点側のアンカーは,アンカー定着部よりカーの破断等の損傷状況を示したものである。アンカー深いすべりの発生により,アンカー自体が崩壊土塊と一の破断による飛び出しと,それに伴う腹起し材の落下及体で移動した可能性が考えられる。びアルミキャップの損傷が確認された。リフトオフ試験本調査のり面の崩壊要因は,地震により当初想定を上は,アンカーの破断が確認された周辺を含め全数の 10%回る広範囲の斜面が不安定化し、アンカーに設計時に想にあたる 5 本実施した。図-4 は,アンカーの損傷個所と定していた以上の外力が作用したことが要因であると考健全度区分を示したものである。リフトオフ試験の結果,えられる。しかし,その一方で,前述の写真-11 に示す残存引張り力は,185kN∼354kN の範囲であった。地震ように,無対策区間とアンカー対策区間について,崩壊後のアンカーの健全度は,A∼D-の分布を示し,アンカ土砂の移動量が大きく異なることが確認された。図-3 は,ーの破断箇所周辺においても,許容アンカー力未満の緊写真-11 で示した無対策区間の A 測線と,アンカー対策張力分布であった。区間の B 測線の崩壊前後の状況の比較を断面図に示したものである。崩壊土砂の移動道路a)アンカーの飛びだしb)頭部キャップの損傷写真-14 アンカーの破断による損傷状況道路部は崩土で埋没×:アンカー損傷個所×××(a)無対策区間断面(A 測線)××××図-4 アンカーの損傷個所と健全度区分図道路(4) のり面 C2のり面 C2 は,現地踏査及び頭部詳細調査の結果,アンカーのり面に変状は認められないものの,道路部の隆起10 本のアンカーに破断(b)アンカー対策区間断面(B 測線)が確認された。写真-15図-3 地震による崩壊前後の断面変化はアンカーの飛び出しと頭部コンクリートの損傷写真-15 アンカーの飛び出しと頭部コンクリートの損傷図-3 の図中の緑線は崩壊前の地形形状,黄色等の塗り状況を示したものである。現地では,頭部コンクリートつぶしは崩壊後の地形形状で,赤線は推定すべり面を示の損傷によるコンクリート片の落下も確認された。リフす。図-3(a)の無対策区間は,崩壊によりのり面の頭部トオフ試験は,アンカーの破断が確認された周辺を含めが約 10m 沈下し,のり面に多数のクラックを生じながら全数の 10%にあたる 10 本実施した。図-5 は,アンカー崩壊土砂が移動して道路を覆い,この区間の崩土は,現の損傷個所と健全度区分を示したものである。地調査にて約 6m∼50m 水平移動していることが確認された。一方,図-3(b)に示すアンカー対策区間は,のり×:アンカー損傷個所面頭部が約 3m 沈下し,道路部にて最大約 5m の隆起が×××確認されたものの,移動土塊はのり面形状を残しながら約 2m∼4m の水平変位に留まり,崩土による道路の埋没×図-5 アンカーの損傷個所と健全度区分図は一部で,道路の舗装面が確認できる状態であった。リフトオフ試験の結果,残存引張り力は,86kN∼277kN55 の範囲であった。地震後のアンカーの健全度は,A∼D-とが確認された。リフトオフ試験は,起点から終点までの分布を示し,アンカーの破断箇所周辺は,許容アンカの区間で全数の 38%にあたる 45 本実施した。図-7 はアー力未満の緊張力分布であった。ンカーの変状箇所と健全度区分を示したものである。起点側終点側(5) のり面 C3のり面 C3 は,現地踏査△△△△及び頭部詳細調査の結果,アンカーのり面の顕著な変△:受圧板の損傷個所状やアンカーの破断,飛び出し等は認められないもの図-7 アンカーの変状箇所と健全度区分図の,5 本のアンカーに写真-16 に示す支圧板のズレ等写真-16 支圧板のズレリフトオフ試験の結果,残存引張り力は,203kN∼の頭部変状が確認された。リフトオフ試験は,アンカー980kN の範囲であった。地震後の健全度区分は,C-∼C+の変状が確認された周辺を含め全数の 21%にあたる 5 本(許容アンカー力の 1.1 倍未満)を示し,起点側の受圧実施した。図-6 は,アンカーの損傷個所と健全度区分を板にクラック等の外観に変状が見られたアンカーについ示したものである。リフトオフ試験の結果,残存引張りて,リフトオフ試験の結果,アンカーの破断や引抜けは力は,0kN∼248kN の範囲であった。支圧板のズレが確確認されなかった。また,これらアンカーの変状箇所周認された箇所のリフトオフ試験において,アンカーの引辺の健全度区分は,C+以下の緊張力分布であることが確抜けが確認されたため,アンカーの抜き取り調査を実施認された。したところ,アンカー自由長部で破断していることが確認された。地震後のアンカーの健全度は,D-∼B+の分布(7) のり面 D2のり面 D2 は,頭部詳細調査の結果,アンカーが 2 本を示し,アンカーの破断箇所周辺は,設計アンカー力よりやや荷重が増加した健全度 B+(許容アンカー力未満)破断し,写真-18 に示すアンカーの飛び出しやアンカーの緊張力分布であることが確認された。の支圧板の回転等の変状が確認された。×:アンカー損傷個所写真 16 支圧板のズレ×図-6 アンカーの損傷個所と健全度区分図(a)アンカーの飛び出し(b) 支圧板の回転写真-18 アンカーの破断・変状状況(6) のり面 D1のり面 D1 は,現地踏査及び頭部詳細調査の結果,ア現地踏査の結果,隣接するアンカー区間以外の道路でンカーの破断は認められないものの,隣接斜面が崩壊しは段差やクラック等の変状が生じオーバーレイが施工さた起点側のアンカー区間において,写真-17 に示す間知れているのに対し,アンカー区間では,のり面変状は認ブロック擁壁や 5 箇所の独立受圧板にクラック等の変状められず道路機能も維持されていることが確認された。が確認された。当のり面は,地震発生の 1 ヶ月後にリフトオフ試験が全数実施され,残存引張り力は,30kN∼466kN の範囲であった。図-8 はその結果を基に,アンカーの損傷個所と健全度区分を示したものである。1-2(a) 間 知 ブ ロ ッ ク 区 間の1-4××(b) 現場打ち独立受圧板×:アンカー損傷個所受圧板の損傷状況のクラック(近景)写真-17 現場打ち独立受圧板の損傷2-7図-8 アンカーの健全度区分図アンカー破断箇所周辺は,健全度区分で D+(許容アンまた,終点側のアンカー区間の外側において,道路等にクラックなどの変状が認められたが,アンカー対策区カー力の 1.1 倍以上)と荷重増加が認められるが,いず間において,変状は小さく道路機能は維持されているこれもリフトオフが確認できており,健全度区分 E+(降伏56 引張り力の 90%)未満であった。また,一年後において,や角度調整台座に顕著なズレや回転が確認されたアンカ荷重増加領域の No1-4 と,荷重低下領域の No1-2,No2-7ーにおいて,リフトオフ試験を実施した結果,アンカーのアンカーについてリフトオフ試験を実施し,いずれもの引抜けと考えられる荷重低下が確認された。また,地20kN 前後の増減と顕著な荷重変化は見られないことが震後において,アンカーの破断が 1 本確認されており,確認された。のり面が不安定な状態であることが推察された。0.9Tys 以上(8) のり面 D3アンカーの引抜け(リフトオフせず)のり面 D3 は,現地踏査及び頭部詳細調査の結果,写真-19 に示すアンカーが施工された擁壁部の損傷や,ア×ンカーの支圧板のズレや回転等の変状が確認された。×地震後に破断擁壁のクラック図-9 アンカーの健全度区分図4.2 地震によるアンカー損傷とのり面変状の関係表-3 は,地震条件と健全性調査結果を基に,地震規模,(a) 擁壁の損傷(b) 支圧板のズレと回転震央からののり面の距離,アンカーの損傷(破断・引抜写真-19 アンカーのり面とアンカーの変状け・受圧板の損傷),のり面変状(クラック等),リフトオフ試験による健全度区分について,整理したものであ擁壁の損傷状況は,擁壁クラック部から座屈したようる。今回調査を行った 8 箇所ののり面のうち,7 箇所でな形状で,擁壁がやや前方に押しだされたように傾斜しアンカーの破断や受圧板の損傷等が確認された。そのうていることが確認された。また,擁壁上部の道路盛土部ち,3 箇所ではのり面変状を伴い,特にのり面変状が顕著には,補強土壁の目地の開きや,盛土部の段差・クラッな 2 箇所においては,損傷個所周辺において健全度区分ク等の変状が確認された。現地の変状状況や変状範囲かE+(降伏引張り力の 90%)のアンカーが存在し,破断・ら,当初想定のすべり変位と考えられるが,地震により損傷の危険性が高い状態が確認された。また,D-(定着アンカーの抑止力を上回る外力がのり面に作用したこと時緊張力の 10%以下)と大きく緊張力が低下し,アンカで,不安定化したと推定された。リフトオフ試験は,全ーが機能していない可能性があるものも見られた。一方,数の 46%にあたる 13 本実施した。図-9 はアンカーの損残る 4 箇所ののり面では,明瞭なのり面の変位は見られ傷個所と健全度区分を示したものである。残存引張り力ず,地震後の健全度区分は C-(定着時緊張力の 50%)∼は,56kN∼297kN 以上の範囲であった。本地点では,降D+(許容アンカー力の 1.1 倍)の範囲であった。明瞭な伏引張り力(Tys)の 90%を載荷してもリフトオフが確認でのり面の変位や地震後の荷重増加が見られないアンカーきない E+の過緊張アンカーが確認された。また,支圧板の損傷については,地震によりのり面や受圧構造物に慣表-3 地震条件と健全性調査結果57 性力が作用することで,アンカーに大きな外力が加わり,箇所でのり面の変状や地震後の緊張力の増加を伴一部のアンカーの破断が発生したと考えられる。わない損傷が確認された。また,アンカーの破断時図-10 は,アンカー損傷とアンカーのり面の変状につに,第三者被害の可能性があるアンカーの飛び出しいて,調査地における本震の換算震度と震央距離との関や,破断に伴う頭部コンクリート片や独立受圧板,係を整理したものである。換算震度は,(1)式に示す森腹起し材等の付帯構造物の落下が確認された。川・他(2007)6) の震度の距離減衰式により求めた。本3)地震規模と震央距離の関係について,震央から約調査結果では,換算震度 5 以上で震央からの距離が 30km30km 以内のアンカーのり面において,換算震度が 5以内ののり面において,7 箇所でアンカーの損傷又はの以上の地震でアンカーの損傷やのり面変状が発生り面の変状の発生が確認された。し始める可能性が考えられた。(1)以上の結果から,地震によりアンカーに損傷が発生する可能性が考えられるものの,地震時ののり面安定及びI:換算震度X:震源距離Mw:モーメントマグニチュードMw=Mj−0.171(宇津(1982)の経験式)Mj:気象庁マグニチュード(M)減災対策において,アンカーは有効に抑止機能を発揮している実態が明らかになった。一方で,地震時のアンカーの損傷や抑止・抑制効果のメカニズムの解明や評価手法などにおいて大きな課題があり,今後も,データを蓄積しながら,様々な視点からの検討が必要と考える。謝辞:本調査の実施に当たっては,道路管理者及びアンカーアセットマネジメント研究会の方々に御協力いただきました。御協力いただいた関係各位に深く感謝いたします。参考文献1)図-10 地震とアンカー損傷・のり面変状の関係同解説,日本道路協会2)5.地震外力を受けた 8 箇所のアンカーのり面について健y_h2908.pdf,2018/8/17.3)全性調査を実施した結果,以下のことが明らかになった。栗原淳一・武澤永純・阪上最一・定村友史(2008):地震によるアンカーの破断や引抜け等の損傷は,7地震時の大規模な土砂崩壊の土量と最大加速度と箇所で確認され,このうち,2 箇所で顕著なのり面の関係に関する考察,砂防学会誌,変状や崩壊が確認された。地震時のアンカーの抑止vol.60,No.5,p54-594)効果において,想定以上のすべりによる崩壊を除き,藤原優・酒井俊典(2012):グラウンドアンカーのアンカーの損傷が見られる場合においても,地震に残存引張り力分布特性に着目したアンカーのり面より大きく崩壊に至るのり面変状は確認されなかの維持管理,土木学会論文集 C(地圏工学),Vol.68,No.2,p260-273ったことから,有効に機能していると考えられる。5)また, 想定以上のすべりが発生し,全体の約 60%のアンカーが損傷したアンカーのり面においても,土木研究所・日本アンカー協会(2008):グラウンドアンカー維持管理マニュアル,鹿島出版会.6)アンカー対策区間の崩壊ブロックは,無対策のり面2)国土交通省(2017):道路土工構造物点検要領,http://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/tまとめと考察1)日本道路協会(2017):道路土工構造物技術基準・森川信之・神野達夫・成田章・藤原広行・福島美と比べ,のり面形状を残しながら崩壊土砂の移動が光(2007):強振動記録に基づく計測震度の距離減抑制されていることが確認された。衰式,日本地震学会 2007 年秋季大会講演予稿集,地震によるアンカーの破断や引抜け等の損傷におB31-05いては,2 箇所で顕著なのり面変状を伴う損傷,5For huge natural disasters including Nankai Trough Earthquake, approaches for the disaster prevention andmanagement are important for earthwork structures. Authors were carried out the integrity investigation of roadslopes where ground anchors were constructed. As the result of this investigation, it is confirmed that the stabilityof the slope was maintained by anchors, in spite of the damage and breakage of the anchor head and tendoncaused by the earthquake. The anchor is the structure which is available effectively in disaster prevention andmanagement.58
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  • タイトル
  • Dynamic Characteristics of Volcanic Soil and Its relation to Landslide Mechanism in Gentle Slope
  • 著者
  • Sumartini Wa Ode・Hazarika Hemanta・Kokusho Takaji・Kochi Yoshifumi・Ishibashi Shinichiro
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 59〜64
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000010
  • 内容
  • Dynamic Characteristics of Volcanic Soil and Its relation to Landslide Mechanism in Gentle SlopeWa Ode Sumartini 1, Hemanta Hazarika 1, Takaji Kokusho 2, Yoshifumi Kochi 3, and Shinichiro Ishibashi 41KyushuUniversity, JapanUniversity, Japan3Kslab Inc., Japan4Nihon Chiken Co. Ltd., Japan2ChuoKEY WORDS: Landslide, Triaxial, Liquefaction, Volcanic Soil, Resistivity1. INTRODUCTIONVolcanic soil is known for being hazardous due to its peculiarbehavior. The soil has a vesicular skeleton and brittle mineralwhich influences its deformation behavior and failurecharacteristics (aSumartini et al., 2018). Japan is a countrywith many volcanoes. Thus, volcanic soil mostly formed theground in Japan. Several researchers reported damages due tolandslide induced by earthquakes in those volcanic soilground (aSumartini et al., 2018; Sassa, 2005; Kazama et al.,2012; Miyagi et al., 2011; Hazarika et al., 2017; Song et al.,2017; Dang et al., 2016).The 2016 Kumamoto Earthquake struck Kyushu islandfrom 14 to 16 April 2016. The earthquake triggeredwidespread landslides in Kumamoto prefecture. Thelandslides occurred on steep slopes and gentle slopes, eventhough landslides on gentle slopes rarely occurred. One of thelandslides areas is near Aso Volcanological Laboratory ofKyoto University as shown in Fig. 1. The landslide happenedon gentle slopes (Song et al., 2017; Dang et al., 2016; Kochi etal., 2018). It left damage to public space, roads, houses (Fig.2), nature space, and even loss of lives. At the landslide site,all the layers above Takanoobane lava deposit were failed andscattered on the landslide site in small and big lump beside theorange colored pumice deposit which crumbled as shown inFig. 3. Thus, the authors deduced that the orange coloredpumice deposit (namely Orange soil in this paper) whichlocated right above Takanoobane lava layer is liquefyingduring the earthquake and results in the landslide.Accordingly, it is essential to understand the geological profileof the slope and the Orange soil characteristics with itsbehavior under cyclic loading to reveal their effect on thelandslide occurrence triggered by the earthquake.Many researchers are conducting a cyclic triaxial test toobserved the deformation behavior of volcanic soil due to thevarious disaster on volcanic soil area (aSumartini et al., 2018;Hatanaka et al., 1985; Suzuki and Yamamoto, 2004; IshikawaFigure 2.Figure 3.Swept away housesOrange soil deposit crumbled after landslide.and Miura, 2011; Sumartini et al., 2017). In previous research onthe Orange soil deposit, deformation behavior under staticloading of disturbed and undisturbed samples (aSumartini et al.,2018), and under cyclic loading of an undisturbed sample(aSumartini et al., 2018; Sumartini et al., 2017), have beenconducted and reported. However, under cyclic loading ofdisturbed samples have not undertaken yet. Following thismatter, a series of cyclic triaxial test on disturbed samples wereperformed and compared with the previous research. Also, theresistivity imaging test has been conducted to understand thegeological profile of the slope. This paper reported acomprehensive understanding relating to the liquefactionsusceptibility and deformation behavior of the Orange soil.2. GEOLOGICAL CHARACTERISTICSThe landslide site near the Aso Volcanological Laboratory ofKyoto University is a slope which forms by volcaniclasticsequence. Kochi et al. (2018) stated that the volcaniclasticdeposits are originated from various places as listed in Table 1.Several researchers are reporting the average slope gradient ofthe landslide. Kochi et al. (2016) said that the slope gradient is10-15 degrees, while Dang et al. (2016) and Song et al. (2017)Figure 1. Landside near Aso volcanological Laboratory ofKyoto University, sampling point, and arrangement oftraverses.59 are 11.3 and 12 degrees respectively. The schematic profile ofthe slope is shown in Fig. 4 (Sumartini et al., 2017). The profilereveals that numerous deposits of volcanic soil which havedifferent colors and characteristics formed the slope. Thedeposits with similar physical appearance had similar chemical,mineralogical and microstructural characteristics and defined asbeing composed of a brittle material in a vesicular structure(bSumartini et al., 2018).3. EVALUATION PROCESS3.1 Resistivity TestA resistivity measurement device manufactured by AGI(Advanced Geosciences Inc.) was used in the investigation. Thedipole-dipole method was employed for observation. In theanalysis, profiles were drawn up using RE2DINV, resistivitytwo-dimensional investigation software (Loke,1996). Fig. 1shows two traverse lines were arranged in the north-south andeast-west directions in the area free from landslides on the westslope of the Takanoobane lava dome. At survey stations, aTrimble R4 GNSS GPS surveying instrument was used formeasurement. The errors of accuracy are kinematic errors and10 mm horizontally and 20 mm vertically.Table. 1 Origin of volcanic soil in Aso caldera (Kochi et al.,2018).DepositOriginCal kaBlack soilOrganic (OL)10-presentBrown soilAso Central ConePumice (AC)7.3-10Dark brown soilKikai Akahoya Ash(K-Ah)7.3Light brown andgrayish soil withsandOtogase Lava Pumice(Otp)29-7.3Light brown soilAira Tn (Atn)29Orange soilKusasenrigahamaPumice (Kpfa)31Blackish soilTakanoobane LavaPumice (Tp)51±53.2 Triaxial Test3.2.1 MaterialsThe samples were collected at a depth of 5 m from the scarp atthe landslide site (Fig. 1). The samples were reconstituted fromundisturbed samples which were subjected to cyclic loading(aSumartini et al., 2018).The physical properties of Orange soil collected from thesite were measured in the laboratory which is listed in Table 2(aSumartini et al., 2018). The orange soil has low specificgravity which was varying from 2.24 to 2.38, water contentfrom 54.62 to 58.36% and plasticity index 25.15 which isconsidered high. It also contains more than 60 % of fines asshown in Fig. 5. Combining it with information from Table 2,using JGS 005-2009 the Orange soil is classified as volcanicsoil type II.The Orange soil has a vesicular structure which composedof crystal flakes (Sumartini et al., 2017) as shown in Fig. 6. Itsstructure indicates that the soil contains a high concentration ofalumina. Even though much of Al is a residual concentration, itis conveyed in the weathered deposits by groundwater whichindicates the occurrence of nodules (Patterson, 1971).The chemical content is listed in Table 3 (aSumartini et al.,2018). The Orange soil contains high alumina and containsminor alkaline metal and alkaline metal earth. Concerning thealkaline concentration, alumina is typically high from Alreplacing SiO2 during the weathering (Patterson, 1971).The mineralogical content of Orange soil was conductedusing X-ray diffraction analyses (XRD) by Sumartini et al.(a2018). The samples using in the analyses were powder and hasbeen air-dried to prevent the change of the mineralogy due tohigh temperature. The results are listed in Table 4 (aSumartini etal., 2018). The Orange soil contains dominantly of Albite andBytownite. These two minerals are a member of Plagioclasefeldspar group (Galleries, 2018). It is the principalaluminum-bearing mineral in the parent rocks whichdecomposed during weathering (Patterson, 1971).Table 2. Physical properties of Orange soil (aSumartini et al.,2018)Physical PropertiesFigure 4. Schematic profile of slope with volcanic soildeposits of Aso caldera (Sumartini et al., 2017).60Orange SoilSpecific Gravity2.24-2.38Dry Density, g/cm30.51-0.58Wet Density, g/cm31.23-1.30Water Content, %54.62-58.36Liquid Limit, %113.40Plastic Limit, %88.25Plasticity Index25.15 Table 4. Mineral properties of Orange soil (aSumartini et al.,2018)ContentsOrange soil (wt %)Albite57Bytownite40Sodium hydrogen sulfideCalcium copper germaniumoxide2.01.43.2.2 Testing procedureThe strength characteristics of Orange soil are evaluated oncyclic triaxial tests in undrained condition. To have the samedensity as the undisturbed sample, the tested sample from theundisturbed sample was reused and reconstituted. The sampleswere 50 mm in diameter and 100 mm in height. Double negativepressure and appropriate back pressure were applied to thesamples and isotropically consolidated at the target effectivepressure. B-values > 0.95 was ensured for all samples beforeshearing. The frequency of the cyclic axial load was 0.1 Hz forthe undrained triaxial cyclic tests. To decide whether liquefactionoccurred in this study, the pore water pressure ratio (ru), define asthe ratio of the pore water pressure to the normal stress, wasused. when ru ≥ 0.95, the specimen was considered to haveliquefied.Figure 5. Grain size distribution of Orange Soil (aSumartini etal., 2018).4. RESULTS AND DISCUSSION4.1 Resistivity ProfilesFig. 7 shows the resistivity profile along the A-B (north-south)and C (east-west) lines. Given below are an outline of resistivitydistributions and the results of estimation for geologicalinterpretation. Layers with a resistivity of 160 to 320 m wereobserved above the Kusasenrigahama pumice fall deposit to theground surface. They are assumed to be new tephra layer (Aira,Kikai-Akahoya and Aso central cone volcanic ashes, etc.) Thinlayers with resistivity 500 to 600 m are continuouslydistributed nearly at a depth of 1.0 m. It is unknown to whichhorizon the thin layers correspond.It was found that areas with resistivity 100 m or lower aredistributed in layers along both the A-B and C lines. The profilesshow a thickness of 1 m or larger. Electrodes are placed atspacings of 2.0 m. Accuracy is basically considered lower wherethe thickness is smaller than the spacing between electrodes. Theresistivity indicates clay layers or saturated sand and gravellayers. They are considered to be the Kusasenrigahama pumicefall deposit based on the geological conditions on the slope. Thelayer is distributed at an extremely small depth of approximately3 m at the starting point to measurement point 100 m along theA-B line, and a maximum depth of 10 m at the measurementpoint 100 m to the ending point as the above surface of theTakanoobane lava is structured as a valley. In the direction ofslope, the layer is distributed extremely low at a depth of 3 m atmeasurement point 75 m to the ending point along the C line,and relatively high at a depth of 7 m at measurement point 30 to65 m. The layers are generally distributed horizontally governedby the fact that the Takanoobane lava is distributed at shallowdepths near measurement point 30 m. The layer is distributeddeeper at the ending point along the C line. Certainty is, however,reduced because resistivity imaging involves a risk of ghostimages at outer edges. Areas with a resistivity of 160 to 640 mare observed above the area where high-resistivity zones aredistributed in the Takanoobane lava. This is considered to berelatively consolidated pumice fall deposit and volcanic ash layerthat serve as a base of slip surface.Figure 6. A vesicular structure of Orange Soil fabric(Sumartini et al., 2017)Figure 5. .Table 3. Chemical properties of Orange soil (aSumartini et al.,2018)ContentsOrange soil (wt %)SiO248.832Al2O335.959Fe2O38.910CaO3.300TiO21.843P2O50.489K2O0.259MnO0.172SrO0.069ZrO20.065SO30.060Ag2O0.018Y2O30.008ZnO0.008Ga2O30.007NbO0.00361 Figure 7.Profile of the resistivity of the Takanoobane lava domeLayers with resistivity exceeding 1,000 m were observedat the measurement point 100 m to the ending point along theA-B line and at measurement points 25 through 75 m along the Cline. They are assumed to be the Takanoobane lava proper. In theexploratory boring done on a plateau, the Takanoobane lavaproper appeared at depths below elevations 520 to 530 m(Miyoshi et al., 2007). Then, the layers with high resistivity wereassumed to be the Takanoobane lava proper. It was assumed thatthe Takanoobane lava proper existed continuously in areas with aresistivity of 600 or higher between measurement points 15 and100 m along the A-B line and between measurement point 75 mand the ending point along the C line. Resistivity was, however,slightly low in these areas probably because of weathering.pore water pressure for each cyclic load application is muchfaster for the disturbed samples compared to undisturbedsamples. This indicates that the deformation of the soil structuredue to the reconstituting process has a significant effect on theexcess pore water pressure development. Based on its effectivestress at liquefaction, it can be deduced that the liquefactionoccurs when the effective stress decreasing more than 78 % forlow CSR and more than 86 % for high CSR.Fig. 12 shows the liquefaction susceptibility of the4.2 Soil Behavior under Cyclic LoadingFigs. 8, 9, 10, and 11 show the response of undisturbed Orangesoil in the undrained cyclic triaxial test. The figures show thatregardless of its cyclic stress ratio (CSR), all the investigatedsamples exhibit cyclic mobility behavior. Also, stress path ofboth samples shares a similar trend. Under low CSR, theundisturbed sample starts liquefying at 172.5 cycles, thedoubled amplitude (DA) strain at 6.5 % and the effective stressdecreasing at 87.28 %. In another hand the disturbed sampleliquefying at 18 cycles, The DA strain at 7.25 %, and theeffective stress decreasing at 85.63 %. Under high CSR, theundisturbed sample starts liquefying at 8 cycles, the doubledamplitude (DA) strain at 2.5 % and the effective stressdecreasing at 77.88 %. In another hand the disturbed sampleliquefying at 4.1 cycles, The DA strain at 8.75 %, and theeffective stress decreasing at 77.38 %. Although the cyclicstress ratio of disturbed samples is lower than undisturbedsamples, the strain development of disturbed samples is fasterthan the undisturbed sample. The stress path trend of disturbedsamples is similar to the undisturbed sample although thedisturbed sample appears faster in liquefying. The effectivestress path of both samples indicates that the effective stress inundisturbed samples tends to decrease at a lower rate than indisturbed samples. Accordingly, the undisturbed samples appearto be more resistant to liquefaction. The generation of excessFigure 8. Response of the undisturbed Orange soil samplesin undrained cyclic triaxial test (CSR = 0.274, σc' = 60 kPa):(a) effective stress path, (b) shear stress versus shear strain,(c) shear strain versus number of cycles, and (d) pore waterpressure ratio versus number of cycles (aSumartini et al.,2018).62 Figure 9. Response of the disturbed Orange soil samples inundrained cyclic triaxial test (CSR = 0.268, σc' = 60 kPa): (a)effective stress path, (b) shear stress versus shear strain, (c)shear strain versus number of cycles, and (d) pore waterpressure ratio versus number of cycles.Figure 11. Response of the disturbed Orange soil samplesin undrained cyclic triaxial test (CSR = 0.402, σc' = 60kPa): (a) effective stress path, (b) shear stress versus shearstrain, (c) shear strain versus number of cycles, and (d)pore water pressure ratio versus number of cycles.Figure 12. Liquefaction susceptibility of Orange soil: (a)undisturbed samples and (b) disturbed samples.Figure 10. Response of the undisturbed Orange soil samplesin undrained cyclic triaxial test (CSR = 0.502, σc' = 60 kPa):(a) effective stress path, (b) shear stress versus shear strain,(c) shear strain versus number of cycles, and (d) pore waterpressure ratio versus number of cycles (aSumartini et al.,2018).undisturbed sample compared to disturbed sample at theeffective stress 60 kPa. It shows that a 5% double amplitudeaxial strain in 20 cycles of undisturbed samples occurred in 0.5of CSR respectively. In another hand, the disturbed samplerequires CSR = 0.310. Accordingly, it can be deduced that thedisturbed samples liquefaction resistance is less by about 0.2 ofCSR of undisturbed samples.Figure 13. The fabric of Orange Soil before cyclic loading(aSumartini et al., 2018).Figs. 13 and 14 show SEM analysis results of the Orangesoil structure before and after the liquefaction tests, respectively(aSumartini et al., 2018). Fig. 13 shows that the soil structure is63 Ishikawa, T. and Miura, S., 2011. Influence of freeze-thawaction on deformation-strength characteristics and particlecrushability of volcanic coarse-grained soils. Soils andFoundations, Vol. 51, pp. 785 -799.Kazama. M, Kataoka. S, and Uzuoka. R., 2012. VolcanicMountain Area Disaster Caused by the Iwate-Miyagi NairikuEarthquake of 2008,” Japan. Soil and Foundations, Vol. 52, pp.168-184.Kochi. Y, Kariya. T, Matsumoto. D, Hirose. T, andHazarika. H., 2018. Investigation of Slopes on TheTakanoobane Lava Dome Using Resistivity Imaging Method,Lowland Technology International, Special Issue on KumamotoEarthquake and Disasters, Vol. 19, pp 261-266.Loke, M.H., 1996. RES2DINV ver.2.0, Rapid 2D resistivityinversionusing the least-squares method, M.H.Loke,Advanced Geosciences Inc.Miyagi. T, Higaki. D, Yagi. H, Yoshida. S, Chiba. N,Umemura. J, and Satoh. G., 2011. 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World Conference on Earthquake Engineering.(13WCEE), Paper No. 465.Figure 14. The fabric of Orange Soil after cyclic loading(aSumartini et al., 2018).composed of a stack of the crystal flakes and is highly porous.In comparison, Fig. 14 shows that the soil structure is visiblybroken, and the crystal flake size has been reduced.5. CONCLUSIONSFrom the comprehensive investigation, it was observed that theslip surface occurred on the saturated deposit (Orange soillayer) which has low resistivity. Under cyclic loading, bothsamples show cyclic mobility behavior under the CSRinvestigated. Although the CSR applied to disturbed samplesquite lower than undisturbed samples, the disturbed samplesappear significantly more susceptible to liquefaction comparedto undisturbed samples. The results successfully describe thebehavior of the Orange soil under cyclic loading. Also, thepaper explains that the landslide occurred due to the liquefyingof the Orange soil deposit triggered by the 2016 Kumamotoearthquake.ACKNOWLEDGMENTThe financial grant for this research under the J-RAPID program(Principal Investigator: Hemanta Hazarika) of the Japan Scienceand Technology Agency (JST) is gratefully acknowledged. Thefirst author is grateful to the Indonesia Endowment Fund forEducation (LPDP) for financially supporting her study.REFERENCESDang. K, Sassa. K, Fukuoka. H, Sakai. N, Sato. Y, Takara.K, Quang L H, Loi. D H, Tien P V, and Ha. ND, 2016.Mechanism of Two Rapid and Long-Runout Landslides in the16 April 2016 Kumamoto Earthquake using a Ring ShearApparatus and Computer Simulation (LS-RAPID), Landslides,Vol. 13, pp. 1525-1534.Galleries. The Feldspar Group. Amethyst Galleries, Inc.http://www.galleries.com/Feldspar_Group, 2018.Hatanaka. M, Sugimoto. M, and Suzuki. 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  • タイトル
  • 振動式コーンを用いた定点振動の適用性に関する室内土槽実験
  • 著者
  • 石村 陽介・谷本 俊輔・佐々木 哲也
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 65〜72
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000011
  • 内容
  • 振動式コーンを用いた定点振動の適用性に関する室内土槽実験Laboratory experiments on applicability of fixed point vibrationusing vibro-cone石村陽介*,谷本俊輔**,佐々木哲也***Yosuke ISHIMURA, Shunsuke TANIMOTO and Tetsuya SASAKI地盤の液状化強度に対しては,年代効果が強く関連していると考えられているが,N 値に基づく液状化判定では,十分に年代効果を評価できず,室内試験においても,試料採取時の乱れの影響により,適切に液状化強度を評価できない。こうした年代効果を有する土の液状化特性を適切に評価するには,新たな原位置試験法の開発室内試験に供する不攪乱試料の採取技術の向上,が必要とされている。そこで,著者らは,原位置液状化試験法としての振動式コーンの開発を行っており,その適用性について室内土槽実験を行った。実験の結果,定点振動による試験法において,先端抵抗が低下し,コーン先端周辺が液状化したと考えられるタイミングを明確に捉える事ができ,原位置液状化試験として有用性が確認された。キーワード:液状化,原位置試験,コーン貫入試験Liquefaction, In situ test, Cone penetration test1.はじめに地盤の液状化強度には,年代効果が強く関連していると考えられている。東北地方太平洋沖地震では,東北地方太平洋沖地震では,湾岸部の埋立地において大規模な液状化が発生したのに対し,直近の沖積平野では,液状化がほとんど発生しておらず,堆積年代の違いにより差① コーンポイント④ 間隙水圧計⑦ パルス計異が生じたと考えられているが,現行の液状化判定法では,堆積年代の区別なく液状化が発生するとの判定結果③ 荷重計(qc用)⑥ 振動部図- 1 振動式コーンの模式図が得られ,N 値に基づく液状化判定では年代効果を適切に評価できない事が指摘されている。1)また,年代効果を有する土のせん断挙動について,谷本ら② 間隙水圧フィルター⑤ 加速度計れており2)は不攪乱試料5),当時の振動式コーンは標準的な三成分コーンに振動機構を搭載したものであり,静的貫入と振動貫とその再構成試料に対し,繰返しせん断応力を与えると,入における先端抵抗の差分を指標として液状化強度を推負のダイレイタンシーの累積量や累積速度,サイクリッ定するものであった。また,近年においても振動式コークモビリティの発現状況は明らかに異なる一方で,初期ンの開発がおこなわれている。神宮司らせん断剛性やせん断強度の差異は必ずしも大きくないこと加速度センサーを備えたコーン貫入試験機を開発してとを示しており,不攪乱試料の採取時の乱れの影響を受おり,引き抜き時に振動させた時の加速度と空気中で振けている可能性が考えられ,室内試験において,年代効動させた時の加速度を比較して,液状化判定を行う方法果を有する土の液状化特性を適切に評価することは困難を提案している。6)は,振動機構本報では,著者らが開発している振動式コーンを用いである。た試験法とその適用性に関する室内土槽実験の結果につ年代効果を有する土の液状化特性を適切に評価するにいて報告する。は,年代効果の影響を評価可能な新たな原位置試験法の開発,室内試験に供する不攪乱試料の採取技術の向上が2.振動式コーンの概要必要である。そこで,著者らは原位置液状化試験法とし振動式コーンの模式図を図- 1 に示す。コーンポイント,ての振動式コーンの開発及び適用性の検証を行っているところである3),4)。荷重計,間隙水圧計,振動部及びパルス計から構成され振動式コーンの開発は,1980 年代に土木研究所で行わている。*国立研究開発法人土木研究所交流研究員Collaborating Researcher, Public Works Research Institute**国立研究開発法人土木研究所研究員Researcher, Public Works Research Institute***国立研究開発法人土木研究所上席研究員Team Leader, Public Works Research Institute65 表- 1 実験ケース一覧(case4:密詰め)case4-1-24-2-24-2-44-2-64-3-24-3-44-3-64-4-24-5-24-6-24-7-24-8-24-8-44-8-64-9-24-9-44-9-64-10-24-10-44-10-64-11-24-11-44-11-64-12-24-12-44-12-64-15-24-16-24-16-44-16-64-17-24-17-44-17-64-18-34-19-24-19-44-19-6図- 2 剛土槽平面図表- 2 実験ケース一覧(case3:緩詰め)case3-1-23-2-23-2-43-2-63-3-23-4-23-5-23-6-23-7-23-8-23-8-43-8-63-10-23-10-43-10-63-11-23-12-23-12-43-12-63-13-23-14-2貫入方法静的定点定点定点振動振動振動振動振動定点定点定点定点定点定点振動定点定点定点振動振動貫入位置122234567888101010111212121314深度(G.L.-m)0.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.3-回転周波数(Hz)漸増漸増漸増10040608080漸増漸増漸増漸増漸増漸増110漸増漸増漸増140170錘交差角(°)00000000180180180000120180180180150180遠心力(kN)0.3250.0520.1170.2080.2080.2090.2100.198貫入方法静的定点定点定点定点定点定点振動振動振動振動定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点振動定点定点定点定点定点定点定点定点定点定点貫入位置122233345678889991010101111111212121516161617171718191919深度(G.L.-m)0.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.30.71.01.31.30.71.01.3回転周波数(Hz)漸増漸増漸増漸増漸増漸増100100150180漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増160漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増漸増錘交差角(°)00018018018018000909090904545451351351350001801801801400001801801800000遠心力(kN)0.0680.3250.7310.7600.329-宇部珪砂 6 号について,繰返し非排水三軸試験を行った結果,液状化強度は,Dr=37%で RL20=0.162,Dr=77%でRL20=0.261 であった。また,模型地盤の相対密度については,模型地盤の作製時と一連の試験終了後に計測しており,case3 では Dr=37%から Dr=51%,case4 では Dr=77%から Dr=77.5%まで上昇していた。コーン貫入及び振動については,以下の 3 つの手法で振動部については,大小二つの錘を組合せた二重偏心錘を採用しており,この二つの錘の交差角度と回転周波行った。数の組み合わせにより,任意の遠心力を設定可能とした。静的貫入:振動させずに一定速度で貫入これをプローブ軸周りに回転させることで,その遠心力振動貫入:一定の回転周波数で振動させながら,貫入速度 1cm/sec で貫入を地盤に繰返し与えるものである。なお,振動部の中心定点振動:所定の深度まで静的に貫入し,一定深度で振は,プローブ先端から約 35cm 上方に位置している。動開始から概ね 40 秒で 100Hz となるようにまた,プローブ内の非回転部に加速度計を設置し,水回転周波数を漸増させながら振動平 1 方向の加速度を測定できるものとした。実験ケースは表- 2,表- 1 に示すとおりで,表中の貫入位置は,図- 2 の貫入位置に対応する。静的貫入,振動貫3.実験概要幅 1.3m×奥行 1.3m×高さ 1.5m の剛土槽内に作製した入については,G.L.-0.3m~G.L.-1.3m を対象に実施し,定層厚 1.35m の模型地盤に対し,一連の試験を行った。地点振動については,G.L.-0.7m,1.0m,1.3m,の 3 深度で盤材料は宇部珪砂 6 号であり,case3:緩詰め(水中落下実施した。なお,一連の試験は,図- 2 の孔番号 1~14 ま法,Dr=37%,t=18.48kN/m2)とたは 1~19 の順に実施した。case4:密詰め(突き固め法,Dr=77%,t=19.35kN/m2)の 2 種類の飽和地盤を作模型地盤には,図- 2 の剛土槽平面図に示す位置におい製した。なお,case4 では,突き固め後に注水という手順て,G.L.-0.35m,0.65m,0.95m,1.25m に間隙水圧計,加で地盤を作製しており,完全に飽和できていなかった。速度計を設置し,コーン貫入時における地中の間隙水圧66 加速度振幅(m/s )周波数 (Hz)0.20102030401050203020周波数 (Hz)4030400-0.3104020時 間 (s)3-2-6(GL-1.3m)加速度振幅(m/s )30時 間(s)3-2-4(GL-1.0m)2150100530-0.23-2-2(GL-0.7m)1020-0.101040100.30.10.12000.2時 間 (s)501000-100020406008020140608010遠心力 (kN)0.42040時 間 (s)608060802040時 間 (s)60800-0.10.2-5400.10.60200.20.850.3変位振幅(mm)先端抵抗 qc(MPa)400.2010間隙水圧u(kPa)300.3550-500100.4変位振幅(mm)0.421000.6遠心力 (kN)間隙水圧u(kPa)先端抵抗 qc(MPa)0.8-0.20204-2-2(GL-0.7m)4060時 間(s)4-2-4(GL-1.0m)80-0.34-2-6(GL-1.3m)図- 3 定点振動による実験結果例(上:case3-2,下:case4-2)過剰間隙水圧比 加速度 先端抵抗u/'vAcc (m/s2) qc(MPa)と加速度を計測した。4.計測データの処理プローブ内に設置したセンサーについては,10kHz のサンプリング周波数でデータ収録を行い,得られた加速度波形を 2 回積分することで変位を求めた。回転周波数については,モーターに設置したパルス計による計測値と,加速度波形の Complex Envelope から算出した瞬間周波数の 2 種類を抽出し,遠心力について0.201000.40.30.20.1010過剰間隙水圧比 加速度 先端抵抗u/'vAcc (m/s2) qc(MPa)も 2 種類の周波数から算出した。なお,データ整理にあたっては,パルス計の計測精度と加速度波形が受ける電源ノイズの影響を考慮して,120Hz 未満はパルス計計測値,120Hz 以上は加速度波形から算出した瞬間周波数を用いることとした。遠心力は,二重偏心錘の大小の錘それぞれについて,重心距離と回転周波数から個別に遠心力を算出し,二つの錘の交差角度に応じた合力として算出した。先端抵抗,間隙水圧,回転周波数,遠心力についてはG.L.-0.35m 0.40.20ては 0.1s ごとの平均値,加速度については 0.1s ごとの絶対値の最大値を抽出してデータ整理を行った。5.定点振動による実験結果5.1 計測結果定点振動による計測結果の例を図- 3 に示す。周波数0.1030時間 (s)G.L.-0.65m G.L.-0.95m 40G.L.-1.25m01000.20G.L.-0.35m が低下しはじめ,最終的にほぼ零となっていることが確200.510(遠心力)を漸増させると,あるタイミングで先端抵抗G.L.-1.25m0.2過剰間隙水圧比 加速度 先端抵抗u/'vAcc (m/s2) qc(MPa)地盤内の計測結果についても同様に,間隙水圧につい4000.3G.L.-0.35m の最大・最小値を抽出してデータ整理を行った。30時間 (s)G.L.-0.65m G.L.-0.95m 10100.1s ごとの平均値,加速度及び変位については 0.1s ごと202030時間 (s)G.L.-0.65m G.L.-0.95m 40G.L.-1.25m図- 4 地盤内の加速度と過剰間隙水圧比(上:case3-2-2,認された。先端抵抗がほぼ零となった時の周波数は,定中:case3-2-4,下:case3-2-6)67 20先 端 抵 抗 が 零 と な っ た 時 の 周 波 数 (Hz)40 60 80 100 120 140 160 180 20000.20.20.40.4深度(G.L.-m)深度(G.L.-m)00.60.81.21.2C4-90°C4-135°1.4C3-0°C4-0°C4-180°図- 5 先端抵抗が零となった時の周波数の深さ方向12121010初期先端抵抗(MPa)初期先端抵抗(MPa)1486C4-135°C4-180°864422C3-0°C4-0°C4-90°分布1420C3-180°C4-45°図- 6 先端抵抗が零となった時の遠心力の深さ方向分布010.81C3-180°C4-45°先 端 抵 抗 が 零 と な っ た 時 の 遠 心 力 (kN)0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.90.611.4C3-0°C4-0°0.140 60 80 100 120 140 160 180 200先 端 抵 抗 が 零 と な っ た 時 の 周 波 数 (Hz)C3-180°C4-45°C4-90°C4-135°C4-180°0C3-0°C4-0°0.10.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91先 端 抵 抗 が 零 と な っ た 時 の 遠 心 力 (kN)C3-180°C4-45°C4-90°C4-135°C4-180°図- 8 初期先端抵抗と先端抵抗が零となった時の遠図- 7 初期先端抵抗と先端抵抗が零となった時の周心力の関係波数の関係点振動を行う深度によって異なるが,case3-2 では 60~下が生じたと考えられる。70Hz 程度,case4-2 では 100~150Hz 程度であった。先端以上の結果から,定点振動を行うと,まず先端抵抗が抵抗がほぼ零となったタイミングで,間隙水圧は上昇し,低下し始めると同時に,振動部付近において地盤の剛性加速度・変位振幅が急激に大きくなっていることが確認低下が生じ,最終的に先端抵抗が零となるタイミングでされた。プローブ先端付近の地盤の剛性低下が生じると考えられcase3-2 について貫入孔直近の A1 の各深度の加速度計る。なお,密な地盤の case4 についても,先端抵抗がほの計測値,P1 における各深度に設置した水圧計の計測結ぼ零となったタイミングでプローブ先端付近の過剰間隙果から算出した過剰間隙水圧比を図- 4 示す。先端抵抗が水圧比がピークを示す傾向が確認された。低下し始めると,振動部付近の加速度がわずかに上昇し,定点振動を行った全ケースについて,先端抵抗が低下過剰間隙水圧も反応している。計測値の変化が微小であするタイミングを明確に捉える事ができており,定点振ったこと,プローブ周辺地盤への振動の影響範囲がプロ動を行うことにより,プローブ先端付近で剛性低下が生ーブのごく近傍に限定的であることに4)よるものと考えじる瞬間を捉えることが可能と考えられる。られるが,これは,振動部付近の地盤の剛性低下を捉え5.2 先端抵抗が零となる時の周波数,遠心力たものと考えられる。定点振動では,深度毎に先端抵抗が低下する際の周波先端抵抗がほぼ零となったタイミングでは,プローブ数や遠心力が異なっていることから,先端抵抗が零とな先端付近において加速度,過剰間隙水圧比ともにピークった時の周波数及び遠心力を偏心錘の交差角度毎に整理を示しており,プローブ先端付近において地盤の剛性低し,周波数の深さ方向分布を図- 5,遠心力の深さ方向68 1.21801.1先端抵抗が零となった時の遠心力(kN)先端抵抗が零となった時の周波数(Hz)2001601401201008060402010.90.80.70.60.50.40.30.20.1001 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20実施順(孔番号)C3-0°C3-180°C4-0°C4-45°C4-90°C4-135°C4-180°1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20実施順(孔番号)C3-0°C3-180°C4-0°C4-45°C4-90°C4-135°C4-180°図- 9 実施順による先端抵抗が零となった時の周波数図- 10 実施順による先端抵抗が零となった時の遠心力分布を図- 6 に示した。凡例は,「模型地盤の case-偏心端抵抗が零となった時の周波数が 140Hz 以上,初期先端錘の交差角度」を示している。先端抵抗が零となった時抵抗が 6MPa 以上の計測結果は,全て G.L.-1.3m におけの周波数,遠心力は,深度が深くなるほど大きな値を示る実験結果となっているが,初期先端抵抗と先端抵抗がしており,先端抵抗を低下させるのに必要な振動強さが零となった時の周波数の関係には,有意な相関関係は認大きくなっている。これらは,液状化強度(液状化発生められなかった。初期先端抵抗と先端抵抗が零となったに必要なせん断応力)の拘束圧依存性を捉えたものと考時の遠心力の関係についても,有意な相関関係は確認でえられる。きなかった。5.4 実験の繰返しによる密度増加の影響case3(緩詰め)と case4(密詰め)で比較すると,先端抵抗が低下した時の周波数,遠心力は,case3 の方が小さ前述したとおり,模型地盤の相対密度は,実験終了後い値を示している。ただし,case3-12(偏心錘交差角度には変化していた。また,繰り返し振動を加えることに180°)については,case4 と同程度の値を示しているが,よる液状化強度の増加も考えられることから,先端抵抗この原因については不明である。が低下した時の周波数,遠心力について,実施順に整理した結先端抵抗が零となった時の周波数については,偏心錘の交差角度による差異は認められず,地盤の相対密度,果を図- 9,図- 10 に示す。図の横軸は,静的貫入,振動プローブ先端の深度毎に同程度の周波数となっている。貫入を含めた一連の試験の実施順序を示し,図- 2 の孔番一方,遠心力については,偏心錘の交差角度毎にばらつ号に対応しており,実施順(孔番号)毎に左から G.L.-0.7m,いていることが確認できる。このように,定点振動にお1.0m,1.3m での定点振動の結果を示す。case3 の実験結果では,偏心錘の交差角度が 0°のケーいては,遠心力の大小よりも,周波数に強く依存する結スについては,実施順序による差異は認められなかった。果が得られた。ただし,case3-10-6 については,貫入試験機の操作ミスの5.3 先端抵抗による影響所定の深度まで静的に貫入した後,プローブを振動しため,小さい値となっている。偏心錘の交差角度が 180°始めた時の先端抵抗を初期先端抵抗と呼ぶこととする。のケースでは,case3-12 の実験結果は case4 と同程度の初期先端抵抗の深さ方向分布については,深度が深くな値であった。地盤の相対密度は,case4 の Dr=77%に対し,るほど大きくなっている。このため,初期先端抵抗はプcase3 では実験終了後でも Dr=51%と小さいことから,異ローブ先端付近の地盤の応力状態を示す指標の一つと考常値と考えられるが,原因については不明である。えられ,初期先端抵抗が大きいほど先端抵抗が零となっcase4 の実験結果では,先端抵抗が零となった時の周波た時の周波数,遠心力も大きくなることが想定される。数は,いずれのケースも同程度であった。先端抵抗が零そこで,初期先端抵抗と先端抵抗が零となった時の周波となった時の遠心力については,偏心錘の交差角度毎に数,遠心力の関係について整理した。異なっているが,複数回実施した偏心錘の交差角度 0°と 180°のケースに着目すると,実施順による差異は認初期先端抵抗と先端抵抗が零となった時の周波数,遠められなかった。心力の関係を図- 7,図- 8 に示す。初期先端抵抗と先端抵抗が零となった時の周波数の関係は,マクロ的には初期以上の結果から,case3-12 を除き,模型地盤に対し繰先端抵抗が大きいほど周波数も大きくなる傾向がみられ返し貫入及び振動実験を行ったことによる密度増加や液る。定点振動の深度毎に確認すると,例えば,図- 7 の先状化強度の増加の影響は小さいと考えられる。69 0.30先 端 抵抗qc (MPa)0.501間隙水圧加 速 度 振幅変位振幅2u (MPa)(m/s )(mm)0.005 0.01 -100 -50 0 50 100 -0.400.4先端抵抗qc (MPa)0 0.2 0.4 0.6 0.8 10間隙水圧u (MPa)0.005 0.01加速度振幅(m/s2)050-50変位振幅(mm)00.2-0.2 v0 v00.40.40.50.60.6u0u0深さ (m)深度 (G.L.-m)0.70.80.80.9111.11.21.21.31.41.43-1-2(static)  3-14-2(170Hz,180°,0.198kN)3-13-2(140Hz,150°,0.210kN)  3-11-2(110Hz,120°,0.209kN)3-7-2(80Hz,0°,0.208kN)3-1-2(static)  3-3-2(100Hz,0°,0.325kN)3-7-2(80Hz,0°,0.208kN)  3-5-2(60Hz,0°,0.117kN)図- 11 case3 の周波数,遠心力が異なる振動貫入の実験図- 12 case3 の遠心力 0.2kN 程度で回転周波数が異なる結果0振動貫入の実験結果先端抵抗qc (MPa)510 150間隙水圧加速度振幅変位振幅2u (MPa)(m/s )(mm)0.0050.01-200-100 0 100 200 -0.4-0.2 0 0.2 0.400.40.60間隙水圧加速度振幅変位振幅2u (MPa)(m/s )(mm)0.0050.01-200-100 0 100 200 -0.4-0.2 0 0.2 0.4 v0 v00.4先端抵抗qc (MPa)510 15u00.6深さ (m)深さ (m)u00.80.8111.21.21.41.44-1-2(static) 4-6-2(150Hz,0°,0.731kN) 4-1-2(static) 4-5-2(100Hz,0°,0.325kN)図- 13 case4 の回転周波数,遠心力が異なる振動貫入の4-15-2(160Hz,140°,0.329kN) 4-5-2(100Hz,0°,0.325kN)図- 14 case4 の遠心力 0.3kN 程度で回転周波数が異なる振実験結果動貫入の実験結果6.振動貫入による実験結果水圧については静水圧程度であるが,静的貫入よりも振振動貫入では,深さ方向に振動強さ(回転周波数,遠動貫入の方が高い値を示しており,振動強さが大きいほ心力)が安定しづらい傾向があった。これは,プローブど間隙水圧も高くなる傾向が確認された。加速度振幅及の固有振動数や,押込み機から突出するプローブの長さ,び変位振幅については,case3-7-2 の先端抵抗が零となっ等の影響と考えられる。ている区間は case3-3-2 と同程度であるのに対し,先端抵抗が零に至っていない区間では,case3-3-2 より小さく,case3 における回転周波数,遠心力が異なる振動貫入の実験結果を図- 11 に示す。case3-3-2 及び 3-7-2 についてcase3-5-2 より大きくなっていることから,加速度及び変は,静的貫入と比較して先端抵抗が低下しており,プロ位振幅は地盤の強度低下度合いと関連していると考えらーブ先端周辺において,地盤の強度低下が生じていたとれる。考えられる。ただし,case3-7-2 では,先端抵抗が零とな次に,case3 の模型地盤において,遠心力を強度低下のっている区間と先端抵抗が低下しているものの零には至境界と考えられる遠心力 0.2kN 程度となるように周波数っていない区間があり,case3 の模型地盤においては,振と偏心錘の交差角度を調整した振動貫入の実験結果を図動強さとして回転周波数 80Hz,0.2kN 程度がプローブ先- 12 に示す。回転周波数については,80~170Hz の幅を端の強度低下を生じさせる境界になっていると考えられ持っているが,いずれのケースにおいても,静的貫入とる。また,case3-5-2 の先端抵抗は静的貫入と同程度であ比較して先端抵抗は低下していることが確認された。以り,回転周波数 60Hz,遠心力 0.117kN では,振動強さが上の結果から,case3 の模型地盤における強度低下には遠弱く地盤の強度低下に至らなかったと考えられる。間隙心力が強く関連しており,遠心力 0.2kN 程度が強度低下70 が生じる境界になっていると考えられる。えられる。また,振動貫入では,深さ方向に振動強さがcase4 において回転周波数,遠心力が異なる振動貫入の安定しづらく,実験結果に誤差が生じる可能性が考えら実験結果を図- 13 に示す。なお,case3 と比較すると case4れる。の振動貫入では,深度方向に振動強さ(回転周波数,遠心力)が安定しづらい傾向が確認されており,これは,7.定点振動と振動貫入の試験方法に関する考察地盤の相対密度の違いによるものと考えられる。今回の実験に置いては,定点振動と振動貫入による試case4 においても,静的貫入と比較して先端抵抗が低下験方法で室内土槽実験を行った。どちらの試験法においしていることが確認された。ただし,振動強さが同じても,地盤の剛性または強度低下が確認され,原位置液case3-3-2 と case4-5-2 を比較すると先端抵抗の低下度合状化試験としての利用可能性が示唆された。それぞれのいは case4 の方が小さく,これは地盤の液状化強度試験方法の手法とメリット,デメリットを表- 3 に示す。(case3:RL20=0.162,case4:RL20=0.261)を捉えたものとそれぞれの手法について,メリット,デメリットがある考えられる。間隙水圧については,静的貫入時と同程度が,特に地盤の剛性低下を明確に捉えられること,設計であり,これは,case4 の地盤では完全に飽和できていな等の実務での利用しやすさ,等を考慮すると,定点振動かったためと考えられる。加速度振幅,変位振幅についでの試験法が望ましいと考える。ては,case3 と同様に,先端抵抗の低下度合いと連動するような結果であった。また,間隙水圧,加速度振幅,変8.結論位振幅について,G.L.-0.7m 以浅で安定しない結果であっ定点振動による実験の結果,以下の知見が得られた。たが,これは,振動強さが安定しなかったためと考えら1) 定点振動により,回転周波数(遠心力)を漸増させるれる。と,あるタイミングで先端抵抗が低下し始め,最終的case4 において,遠心力を 0.3kN 程度として,回転周波に先端抵抗が零となることが確認された。数が異なる振動貫入の実験結果を図- 14 に示す。遠心力2) 模型地盤内の加速度,過剰間隙水圧比の結果から,先を同程度とした振動貫入における先端抵抗は,同程度で端抵抗が零となるタイミングでピークを示すことがあった。このことから,case4 の地盤においても,強度低確認され,地盤の剛性低下が生じていたと考えられ下は遠心力が関連していると考えられる。る。なお,地盤の剛性低下は,プローブ振動部付近,これらの結果から,振動貫入により,地盤の強度低下プローブ先端付近の順に生じていると考えられる。が確認され,その強度低下は遠心力と関連していると考表- 3 定点振動と振動貫入の手法とメリット・デメリット試験法載荷方法定点振動・振動貫入一定の深度で遠心力(周波数)を漸増させなが・ら振動させる方法・一定の振動強さ(回転周波数,遠心力)で振動させながら貫入する方法1本の貫入孔で所定の深度毎に振動を実施・静的貫入とセットで実施するため,2本以上の貫入を実施液状化強度・の評価指標メリット先端抵抗が低下(剛性低下)した時の周波数,・静的貫入と振動貫入の先端抵抗の比等遠心力,等・先端抵抗の低下(剛性低下)を明確に検出でき, ・かつその時点の遠心力,周波数,等を把握可能・・一定深度で振動させるため,地層(土の性状)液状化強度の深さ方向分布の分解能が高い先端抵抗の低下度を評価指標としており,結果の整理が容易の変化の影響を・1本の貫入孔で試験を行うため,作業効率がよいデメリット・一定深度での計測となるため,振動貫入に比べ・ると,液状化強度の深さ方向分布の分解能が低い振動強さが安定しなかった場合,試験結果に誤差が生じる可能性がある・静的貫入と合わせて2本以上の貫入が必要となり,定点振動と比べ作業効率が悪い・静的貫入と振動貫入で貫入位置が異なるため,地層構成の差異の影響を受ける・ロッドの継ぎ足しの際,計測データに不連続が生じる71 3) 先端抵抗が零となった時の周波数,遠心力の整理結して利用が期待できるものと考えられる。果から,定点振動における地盤の剛性低下には,遠心今後は,土槽実験や,原地盤での実験を行うことで,力よりも,回転周波数に強く依存していると考えら実験データを蓄積していき,定点振動により得られる実れる。験結果と液状化強度の関係を検討していくことが重要で4) 一連の試験における地盤の密度増加や液状化強度のある。増加の影響は小さいと考えられる。また,振動貫入による実験の結果,以下の知見が得ら参考文献れた。1)1) 東日本大震災合同調査報告書編集委員会(2014):東振動貫入では,静的貫入と比較すると先端抵抗が低日本合同調査報告下しており,プローブ先端周辺で地盤の強度低下が2)(2015):堆積年代の古いシルト質砂とその再構成試振動貫入では,静的貫入と比較すると先端抵抗が低料の繰返しせん断特性,第 35 回地震工学研究発表会下しており,プローブ先端周辺で地盤の強度低下が講演論文集,pp.752_1-9.3) 菅野高弘・谷本俊輔・小濱英司・寺田竜士(2017):振動貫入では,深さ方向に振動強さが安定しづらく,振動式貫入試験法による液状化想定地盤での原位置実験結果に誤差が生じる可能性が考えられる。4)調査,土木学会第 72 回年次学術講演会,pp.619-620.case3 の模型地盤においては,プローブ先端付近の4) 石村陽介・谷本俊輔・佐々木哲也(2018):原位置液地盤の強度低下を生じさせるのに必要な振動強さ状化試験のための振動式コーンの室内土槽実験,第は,回転周波数にかかわらず,遠心力 0.2kN 程度で53 回地盤工学研究発表会,pp.155-156.5) 古賀泰之・島津多賀夫・伊藤良弘(1990):地盤液状あることが確認された。5)地盤災害生じていたことが確認された。生じていたことが確認された。3)共通編 32) 谷本俊輔・地蔵智樹・川口剛・荒木裕行・佐々木哲也振動貫入において,地盤の強度低下は遠心力が強く化の判定法に関する調査報告書-振動式貫入試験法関連していると考えられる。-,土木研究所資料,第 2856 号.定点振動及び振動貫入により,地盤の剛性または強度6) 神宮司元治・光畑裕司・横田俊之・中島善人(2013):低下が確認され,いずれの試験法においても,原位置液利根川下流域における液状化被害地域の物理探査・状化試験としての有用性が確認された。特に,定点振動原位置試験調査-液状化調査技術の新展開-,GSJ 地については,地盤の剛性低下が生じるタイミングを明確質ニュース,Vol.2,No.12,pp.380-384.に捉える事ができており,実地盤に適用した際の結果の解釈のしやすさ,等から,新たな原位置液状化試験法とIt is thought that the aging effect is strongly related to the liquefaction resistance of ground, butassessment method of Liquefaction based on N-value, it is impossible to sufficiently evaluate the agingeffect, and also in laboratory test affected by turbulence when sampling. In order to adequately evaluatethe liquefaction characteristics of soil with aging effect, it is necessary to improve the sampling techniqueof undisturbed samples for laboratory soil tests, and to develop a new in situ test method. Therefore, wedeveloped vibro-cone for in situ liquefaction test, and we conducted laboratory experiments on itsapplicability. As a result of experiments, it was possible to clearly grasp the timing at which the tipresistance lowered and liquefaction around the cone-point by fixed point vibration. It is useful as in situliquefaction test.72
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  • タイトル
  • 土被り厚が実橋脚の振動特性に及ぼす影響に関する実験
  • 著者
  • 村田 和哉・佐名川 太亮・生井 貴宏・内藤 直人・渡邉 諭
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 73〜78
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000012
  • 内容
  • 土被り厚が実橋脚の振動特性に及ぼす影響に関する実験Field tests about effects of embedded soil on characteristics of bridge pier村田和哉*,佐名川太亮*,生井貴宏*,内藤直人**,渡邉諭**Kazuya MURATA, Taisuke SANAGAWA, Takahiro IKUI,Naoto NAITO and Satoshi WATANABE河川内にある橋脚基礎は,河川の増水による河床低下や洗堀により,健全度が低下する。橋脚基礎は上部工を支える重要な構造物であり,その健全度を判定することは橋脚の性能を確認する上で重要である。鉄道構造物における橋りょう下部構造の維持管理では,基礎の支持力性状や部材の健全度が悪化すると橋脚の固有振動数が低下することを利用した衝撃振動試験法が広く採用されている。本論文では,実橋脚に対して基礎周辺地盤の掘削・埋戻しを行い,土被り厚を変化させて衝撃振動試験を実施することで,振動特性の変化を分析するとともに安定計算結果との関係について検証した。キーワード:橋脚,固有振動数,衝撃振動試験,微動計測pier, natural frequency, impact vibration test, microtremor特に,衝撃振動試験を用いて橋脚基礎の固有振動数を1.はじめに河川内にある橋脚基礎は,河川の増水による河床低下計測器判定する場合,桁の影響により固有振動数の特定が困難+や洗堀により,基礎の支持になる場合がある。そのため本実験では,桁を支持していない境界条件が明確な実橋脚に対して上記試験を実施重錘重錘(約0.3kN)(30kg)力性状の悪化が生じる可能し,土被りの変化による振動特性の変化のみを抽出して性がある。橋脚基礎は上部検証を行った。工を支える重要な構造物でまた本論文では,衝撃載荷作業が必要なく,センサのあり,その健全度を判定す設置のみで卓越振動数を得ることが可能な常時微動計測ることは橋脚の性能を確認の結果と衝撃振動試験から得られる固有振動数の結果とする上で重要である。を比較することとした。鉄道構造物における橋脚図-1 衝撃振動試験概要基礎の維持管理では,衝撃振動試験法 1)(図-1)を用い2.実験概要た健全度診断が広く採用されている。衝撃振動試験法は,2.1 対象構造物橋脚天端を 30kg 程度の重錘で線路直角方向に打撃する実験対象の橋脚を写真-1 に示す。対象橋脚は高さ 9mことで得られる振動波形を収録し,フーリエ解析により,の単線直接基礎橋脚であり,上記のように桁を支持して橋脚の固有振動数を特定することで,橋脚基礎の健全度いない。対象橋脚の寸法を図-2 に示す。本実験では,高を診断する手法である。これは,基礎の支持力性状や部さ 9.0m の橋脚に対して 2.6m の土被りを有する状態から,材の健全度が悪化すると橋脚基礎の固有振動数が低下す掘削を実施した。ることに着目しているものである。地盤の条件としては,基礎底面以浅はN値 5 程度の埋洗堀を受ける橋脚については,土被り厚の低下により土,基礎底面以深はN値 50 以上の玉石混じり砂礫であっ支持力性状が悪化することは定性的には知られているもた。参考として,過去の近接工区における橋脚周辺に地のの,土被り厚と振動特性について詳細な分析を行った質調査結果および今回対象橋脚周辺で実施した簡易貫入事例はほとんどない。そこで本論文では,土被り厚が実試験結果を図-3 に示す。図-3 の簡易貫入試験結果におけ橋脚の振動特性に及ぼす影響を把握するために,同一橋る表層部においてN値の大きい箇所が確認できるが,こ脚に対して掘削・埋戻しを行うことで,土被り厚を変化れは点在する礫が干渉したためと考えらえる。させ,振動特性の変化を分析した。*鉄道総合技術研究所構造物技術研究部Structure Technology Division, Railway Technical Research Institute** 鉄道総合技術研究所防災技術研究部 Disaster Prevention Technology Division, Railway Technical Research Institute73 図-2 対象橋脚寸法図写真-1 対象橋脚05N値1015図-4 試験概要図表 1 試験ステップ200試験条件STEPからの土被り500深度(mm)フーチング底面STEP1掘削前2.6mSTEP21.0m 掘削後1.6mSTEP32.0m 掘削後0.6mSTEP4埋戻し後2.6m1000150020002500計測点①3.実験結果計測点②3.1 衝撃振動試験結果図-3 現地地盤N値各試験ステップにおける衝撃振動試験の結果を図-5~(左図:近接工区調査結果,右図:簡易貫入試験結果)図-7 に示す。また,周波数解析から得られた固有振動数およびフーリエ振幅を表 2 にまとめる。2.2 試験方法図-5~図-7 において,振幅が卓越し,位相が 0°または衝撃振動試験の実施状況を写真-2 に示す。衝撃振動試180°となっている振動数を固有振動数と判断した。図-5験は,高所作業車の手摺に 30kg の重錘を吊下げ,線路直~図-7 より,今回の実験結果において,フーリエ振幅は角方向に橋脚天端付近を打撃した。また,計測は圧電型橋脚天端からの測定位置が離れることで小さくなるもの加速度センサ(ウィルコクソン社製,793L)を用いて時の,固有振動数については測定位置によらず同じ値を示刻歴波形を取得し,積分により時刻歴応答速度波形に変しており,明確な 1 次のロッキングモードで振動してい換,打撃時を収録開始のタイミングとしている。ることがわかる。また固有振動数は,掘削を行い土被り試験の打撃位置,加速度センサ位置および地盤面位置厚が減少するにつれて低下し,埋戻しによって土被り厚を図-4 に示す。なお,図-4 における掘削前~2.0m 掘削が増加することで向上している。ただし,掘削前の値に後の条件で計測を実施した。また,最終ステップにおいは回復しないことを確認した。これは,埋め戻し時の締ては掘削前の土被りまで埋戻しを実施した。計測を実施固め度が元の地盤よりも低かったためと推測される。した試験ステップを表-1 に示す。表-2 試験結果試験条件固有振動数フーリエ振幅[ kine*sec ][ Hz ](上部,中間部,下部)重錘(30kg)ロープ掘削前9.64(0.033,0.015,0.006)1.0m 掘削後9.52(0.016,0.008,0.003)2.0m 掘削後9.28(0.040,0.019,0.008)埋戻し後9.52(0.041,0.019,0.008)3.2 減衰定数の評価衝撃振動試験では,一般的に橋脚の固有振動数を特定し,この固有振動数の変化により橋脚基礎の健全度の判定がされている写真-2 衝撃振動試験打撃状況2)。一方で,振動特性としては減衰定数も重要な要因であるものの,衝撃振動試験において計測される減衰定数について分析した事例はほとんどない。74 そこで,本研究では衝撃振動試験の結果から減衰定数速度 (kine)0.50測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)0.25を同定し,土被りの減少による変化を見た。具体的には,0.00衝撃振動試験から得られるフーリエスペクトルを対象と-0.25して 1 自由度の自由減衰振動の理論解を用いて減衰定数-0.500.00.20.40.60.8を同定した。また,同定した減衰定数の妥当性を確認す1.0るため,時刻歴波形との比較を実施した。時間 (sec)振幅 (kine*sec)0.040.033固有振動数9.64(Hz)0.02測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)減衰の同定結果を図-8~図-10 に示す。また,各土被り厚で得られた減衰定数の結果を表-3 に示す。フーリエ0.015スペクトルから求められた固有振動数,減衰定数を用い0.006て算出される時刻歴波形は計測結果と一致しており,減0.0001020衰定数同定の妥当性が確認できたといえる。位相 (deg.)180土被りによる減衰定数の変化をみると,減衰定数は,固有振動数9.64(Hz)902.1%~2.3%となり,土被りが変化して減衰定数は変わら0-90ない結果となった。この理由としては,橋脚高さに対し測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)-180010て土被りの拘束による地盤抵抗の位置が低いことに加え,20周波数 (Hz)地盤の支持地盤に対して表層地盤のN値が比較的小さかったこと(表層:5 程度,支持層:50 以上)から,土被図-5 衝撃振動試験結果(掘削前)りによる拘束が橋脚全体の振動特性へ与える影響が小さ速度 (kine)0.2測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)0.1く,振動特性の変化が小さいと推測される。3.3 常時微動計測結果0.0衝撃振動試験では,センサの設置に加えて 30kg 重錘に-0.1-0.20.00.20.40.60.8よる衝撃載荷作業が必要となるが,常時微動計測はセン1.0サの設置のみで固有振動数を得ることが可能である。そ時間 (sec)振幅 (kine*sec)0.020.016固有振動数9.52(Hz)0.01測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)のため,施工性は衝撃振動試験と比較するとよいが,常0.008表-3 減衰定数の同定結果0.0030.0001020位相 (deg.)180固有振動数9.52(Hz)900-90測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)-180010試験条件固有振動数[ Hz ]減衰定数掘削前9.642.3%1.0m 掘削後9.522.1%2.0m 掘削後9.282.3%埋戻し後9.522.3%20周波数 (Hz)1.0速度 (kine)0.6速度 (kine)図-6 衝撃振動試験結果(1.0m 掘削後)測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)0.3計測結果減衰定数の同定結果0.50.0-0.5-1.00.00.00.20.40.20.40.60.8振幅 (kine*sec)-0.60.01.0振幅 (kine*sec)時間 (sec)0.0500.040固有振動数9.28(Hz)測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)0.040.81.00.020.000.02500.01910位相 (deg.)020180固有振動数9.28(Hz)9051015201520周波数 (Hz)1800.0080.000位相 (deg.)0.6時間 (sec)-0.3900-90-18000510周波数 (Hz)-90測点1(上部)測点2(中間)測点3(下部)-180010図-8 減衰定数の同定結果(掘削前)20固有振動数 9.64Hz,減衰定数 2.1%周波数 (Hz)図-7 衝撃振動試験結果(2.0m 掘削後)75 速度 (kine)0.300.150.1Hz 幅の移動平均の結果も併せて示している。図-11~図-14 より,いずれの試験ステップにおいても明瞭なピ0.00-0.15ークが立ち上がっており,その卓越振動数を固有振動数-0.300.0振幅 (kine*sec)た,橋脚から 4m 離れた地表面で計測した地盤振動の計測結果減衰定数の同定結果0.20.40.60.8とみなすこととした。1.0時間 (sec)0.02図-15 は各試験ステップにおける常時微動計測で得られた固有振動数を示しており,0.02,0.1,0.2Hz 幅の移0.01動平均の結果も併せて示している。本稿では,各試験ステップで実施した 4~8 回の計測結果の平均値を固有振0.00051520動数としてプロットで示し,それら複数回の結果の標準周波数 (Hz)180位相 (deg.)10偏差をエラーバーとして示している。図-15 より,いず90れの移動平均幅においても,地盤掘削による土被り量の0減少に伴って固有振動数は減少し,埋戻しによる土被り-90量の増加に伴って固有振動数が増加する傾向となった。-18005101520周波数 (Hz)フーリエ速度振幅(μ m/s・s)図-9 減衰定数の同定結果(1.0m 掘削後)固有振動数 9.52Hz,減衰定数 2.1%計測結果減衰定数の同定結果0.50.0-0.5-1.00.00.20.4振幅 (kine*sec)0.60.810.5000.0005101520周波数 (Hz)1805900211015200.500510周波数(Hz)1520図-12 常時微動計測結果(1.0m 掘削後)-180515計測値0.02Hz移動平均0.1Hz移動平均0.2Hz移動平均地盤振動1.5-90010周波数(Hz)図-11 常時微動計測結果(掘削前)1.00.03位相 (deg.)計測値0.02Hz移動平均0.1Hz移動平均0.2Hz移動平均地盤振動1.5時間 (sec)0.06フーリエ速度振幅(μ m/s・s)速度 (kine)1.0220周波数 (Hz)フーリエ速度振幅(μ m/s・s)図-10 減衰定数の同定結果(2.0m 掘削後)固有振動数 9.28Hz,減衰定数 2.3%時微動計測結果からは位相の情報が得られないため,地盤や桁の振動が大きく影響する場合には,橋脚の固有振動数を同定することは困難となると考えられる。すなわち,橋脚が比較的揺れにくい場合については常時微動計1計測値0.02Hz移動平均0.1Hz移動平均0.2Hz移動平均地盤振動0.80.60.40.200測の適用が困難になると考えられ,その適用範囲には十510周波数(Hz)1520図-13 常時微動計測結果(2.0m 掘削後)分注意しなければならないが,適用条件が明確にはされフーリエ速度振幅(μ m/s・s)ていない。そこで,本試験における常時微動計測結果と衝撃振動試験結果とを比較することとした。常時微動計測では,橋脚天端にサーボ型 3 軸速度センサ(アネット社製,CR4.5-2S)を設置し,200Hz のサンプリング周波数で 5 分間計測した。また,各試験ステップで 4~8 回の計測を実施している。図-11~図-14 は各試験ステップにおける常時微動計測によるフーリエスペクトルの代表例を示しており,1計測値0.02Hz移動平均0.1Hz移動平均0.2Hz移動平均地盤振動0.80.60.40.200510周波数(Hz)15図-14 常時微動計測結果(埋戻し後)0.02,0.1,0.2Hz 幅の移動平均の結果も示している。ま7620 固有振動数(Hz)10.2010.1010.009.909.809.709.609.509.409.309.200.02Hz移動平均0.1Hz移動平均0.2Hz移動平均9.799.799.799.709.649.639.729.659.729.509.519.51掘削前 1.0m 掘削後 2.0m 掘削後 埋戻し後図-15 常時微動計測で得られた固有振動数図-16 は各試験ステップにおける常時微動計測で得られた固有振動数と衝撃振動試験のそれを比較した結果を図-17 固有値解析モデル図示している。なお,常時微動計測では,0.1Hz 幅の移動平均で得られた固有振動数を示している。図-16 より,今回は,地盤反力係数がN値に比例すると仮定して固常時微動計測によって得られた固有振動数の減少・増加有振動数と振動モード形状が計測結果と一致するように傾向は概ね衝撃振動試験の結果と一致し,本試験条件に地盤反力係数を同定した。用いたN値を図-18 に示し,おける常時微動計測の適用性を確認することができた。得られた地盤ばね定数を表-4 に示す。なお,常時微動計測結果の方が衝撃振動試験結果に比べて固有振動数が若干大きくなる原因は,地盤反力係数の変位レベル依存性による固有振動数の変化によるものと固有振動数(Hz)考えられる。10.2010.1010.009.909.809.709.609.509.409.309.20常時微動計測(0.1Hz移動平均)衝撃振動試験9.79図-18 同定に用いたN値分布9.709.64 9.649.52 9.509.52表-4 地盤ばね定数9.28節点水平ばね鉛直ばね回転ばねNo.[ kN/m ][ kN/m ][ kN・m/rad ]74250021840003210000掘削前 1.0m 掘削後 2.0m 掘削後 埋戻し後図-16 衝撃振動試験結果と常時微動計測結果の比較8650004.固有値解析91000004.1 解析モデル1013000011788000鉄道分野における橋脚基礎の健全度診断法には,衝撃振動試験から得られた固有振動数を用いて実施する他に,固有値解析から同定される躯体剛性や地盤ばね定数の変4.2 固有値解析による同定結果化から評価する方法がある。そこで本研究においても,衝撃振動試験の結果を基に実施した固有値解析から得衝撃振動試験から得られた結果に対して固有値解析によられた変形モードを図-19 に示す。地盤ばね定数を固定る逆算を行い,地盤ばね定数の同定を行い,掘削によるし,土被り厚のみを変化させた場合における固有値解析変化について調べた。による変形モードが衝撃振動試験結果と概ね一致するこ固有値解析モデルの概要を図-17 に示す。ここでは鉄とを確認した。道橋脚の一般的な設計で用いられている梁ばねモデル用また,固有値解析を用いて,実験で計測した土被り厚いた。梁要素の断面剛性についてはヤング率を 25000における固有振動数を推定した(図-20 参照).各土被りN/mm2 とし,断面寸法は図面から求めた。地盤ばねにつの条件における固有振動数ならびに振動モードを概ね再いては,前述のように地盤反力係数は変位レベル依存性現することができている。また,同定された地盤ばねのを有している。そのため,設計基準類にある推定式を用地盤反力係数は設計に用いられる設計推定式の約 9 倍でいた場合には,微小振動レベルで地盤反力係数より小さあった。また,参考として土被りが 2.6m 以上の場合をくなることが既往の研究で示されている 3)。想定して固有振動数を算出した結果を図-20 に併せて示す。77 5.おわりにモデル座標本論文は,同一橋脚に対して掘削・埋戻しを行うことモデル座標測点モード座標 モード座標測点位置測点モード座標 モード座標測点位置モデル座標モード座標10101099988877766655544433で,土被り厚を変化させ,振動特性と安定性との関係を検証した。その結果から,掘削により土被り厚が減少した場合の固有振動数の低下傾向を定量的に把握することができた。また,得られた結果に対して固有値解析を用いて地盤ばね定数を同定することで,実験で計測した範囲外の土被り厚における固有振動数を推定できることを確認した。併せて実施した,常時微動計測で得られた固有振動数と衝撃振動試験のそれを比較することで,本試験条件における常時微動計測の適用性を確認することができた。土被り厚3今後は,他の基礎形式の橋脚や桁を支持する場合についても検証を行い,橋脚の安定性,健全度,振動特性の2211関係について検証を重ねていく予定である。参考文献1)2-2024土被り厚1000-2024-2024西村昭彦,棚村史郎(1989):既設橋梁橋脚の健全度判定に関する研究,鉄道総研報告,Vol.3,No.8,図-19 変形モード図(左図:掘削前,中図:1m 掘削時,右図:2m 掘削時)pp.41-49.2)土被り厚生井貴宏,佐名川太亮,西岡英俊,上野慎也(2018):衝撃振動試験を用いた橋脚基礎における減衰定数5評価手法の検討,第 22 回鉄道工学シンポジウム,43)土被り厚(m)pp.21-26.羽矢洋,稲葉智明(2002):衝撃振動試験における新しい評価基準値,鉄道総研報告,Vol.16,No.9,pp.35-40.32計測値1推定値09101112固有振動数(Hz)図-20 土被り厚と固有振動数の関係Soundness of river bridges are decreased by degradation of river bed with river swelling. It isimportant for determining the soundness of bridge piers to confirm the performance of foundationstructures of bridge piers because they support the superstructures. Impact vibration tests are widelyused for railway structures in Japan that measure the natural frequency of bridge pier which isdecreased when support characteristics and soundness of members become worse.In this paper, impact vibration tests for actual bridge pier were conducted under the condition withvarious embedded depth, and evaluate the change of vibration characteristic and relationship betweenvibration characteristic and calculated bearing capacity of foundations.7813測点モード座
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  • タイトル
  • 観測地震動からS波の地盤増幅特性を抽出する方法
  • 著者
  • 川瀬 博・仲野 健一・伊藤 恵理
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 79〜84
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000013
  • 内容
  • 観測地震動から S 波の地盤増幅特性を抽出する方法A new method to extract S-wave soil amplification factorsfrom observed ground motions川瀬 博*,仲野健一**,伊藤恵理***Hiroshi KAWASE, Kenichi NAKANO, and Eri ITO本研究は観測地震動の水平上下比から直接 S 波主要動部の水平動のサイト増幅特性を抽出する簡便な方法を提案するものである。水平上下比は地震動が 3 成分観測されていればいつでも評価可能であるが,それはそのまま水平動のサイト増幅特性とは見なせない。ここではまず,一般化スペクトル分離手法で求めた K-NET・KiK-net・JMA 震度計ネットワークの上下動のサイト増幅特性を求め,その地点の水平上下比のピーク振幅と振動数による 8 つのカテゴリ毎にこれを平均化し,経験的補正係数を求めた。それを水平上下比に掛けることにより水平動のサイト増幅特性が得られる。これが本研究で提案する方法であり,平均操作に用いなかった観測点でその有効性を確認した。キーワード:地盤増幅,水平上下比,S 波,地震動,上下動Soil amplification, Horizontal-to-Vertical Ratio, S-wave, Ground motions, Vertical component幅特性に着目し,30m までの S 波速度の平均値 AVS301.はじめにS 波主要動部の水平動のサイト増幅特性(以下 HSAF とと最大加速度や最大速度等の増幅率との関係を求めてい記す)を抽出することは当該地点での設計用入力地震動る。さらに最近のデータを加えて仲野・他(2014, 2015)4)5)を評価する上でも重要であるし,地盤構造と増幅特性とではフーリエスペクトルだけでなく応答スペクトルに対の関係を明らかにするためにも重要である。HSAF を抽しても分離解析を実施し,基準観測点(YMGH01)で風化出する方法としては地盤構造を求め理論的に計算する方岩層の影響をはぎ取った地震基盤相当露頭波に対する法やボアホール観測点と地表観測点のスペクトル比からHSAF と応答スペクトルのサイト増幅率を求めている。求める方法,あるいは近くの岩盤上の観測点とのスペクしかしこの GIT では多数の地震と観測点で観測されたトル比から求める方法などがある。しかし理論的方法は多数の地震動が必要である。一方地震動の水平上下スペ速度構造の妥当性の検証や地震基盤までの速度構造を求クトル比(以下 EHVR)は 3 成分の地震動さえあれば求めめることの困難さが障害となるし、ボアホール観測点のることができる。それで中村(1986)6)の微動の水平上下比情報を用いる方法ではボアホール観測波に含まれる反射(以下 MHVR)を用いて直接 SAF を推定できるという提案波の影響を除去することが困難という問題がある。岩盤がなされた以降,多くの研究者が MHVR と EHVR は同上の観測点を分母に用いる方法では,近くにそのようなじか,および EHVR と HSAF は同じかという問題につい岩盤の露頭がない場合が多いということと,そもそも岩て,観測的あるいは理論的研究を展開してきた例えば盤サイトが本当に岩盤とみなせるかどうかという問題が議論はまだ続いてはいるが大勢の結論は「MHVR と7)8)。EHVR は似ているが同じではない」「MHVR でも EHVRある。でもピーク振動数は SAF とほぼ同じであるが振幅は過これに対して一般化スペクトル分離手法(GIT, Andrew,1986)1)では,多数の地震と観測地点のペアが存在する場小評価となる」というものである例えば 9)10)。合には適切な基準点さえ設定すれば,その基準点に対