研究発表会 2013年
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第48回地盤工学研究発表会発表講演集

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タイトル ISO の審議状況と地盤工学会におけるISO 活動ー平成 24 年度ー
著者 大谷 順・宮田喜壽
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 1〜2 発行 2013/06/20 文書ID 62685
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タイトル 室内土質試験方法の国際規格審議状況ー平成24年度ー
著者 豊田浩史・吉嶺充俊
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 3〜4 発行 2013/06/20 文書ID 62686
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タイトル ISO/TC190(地盤環境)の審議状況ー2012年度ー
著者 浅田素之・中島 誠・和田信一郎
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 5〜6 発行 2013/06/20 文書ID 62687
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タイトル 地盤環境向けスクリーニングの日本提案第2号、ISOとなる!
著者 坂井宏行・浅田素之・野上太郎・和田信一郎・岡田 章・駒谷慎太郎・辻 幸一・藤原 靖・地主祐子・今村 聡
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 7〜8 発行 2013/06/20 文書ID 62688
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タイトル ジオシンセティックス関連規格に関する現状と今後の展開
著者 椋木俊文・宮田喜壽
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 9〜10 発行 2013/06/20 文書ID 62689
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タイトル 3次元DEMによる翼付きまくらぎの道床横抵抗力向上メカニズムの解明
著者 重国祐貴・早野公敏・桃谷尚嗣・中村貴久
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 11〜12 発行 2013/06/20 文書ID 62690
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タイトル FWDを用いた軌道支持剛性の評価方法に関する基礎的検討
著者 伊藤壱記・中村貴久・村本勝己・佐野 禎
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 13〜14 発行 2013/06/20 文書ID 62691
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タイトル 三軸圧縮試験および小型FWD試験による路盤材料の変形特性と乾燥密度について
著者 木幡行宏・山本健一・斎藤昌之
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 15〜16 発行 2013/06/20 文書ID 62692
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タイトル 混合地盤材料のレジリエントモデュラスに及ぼす配合条件の影響
著者 山中光一・峯岸邦夫・下邊 悟
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 17〜18 発行 2013/06/20 文書ID 62693
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タイトル アスファルト舗装下の路盤・路床の繰返し載荷時の変形特性
著者 佐藤修治・高橋茂樹・小野義道・山田眞一・木幡行宏
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 19〜20 発行 2013/06/20 文書ID 62694
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タイトル 移動輪荷重を受ける透水性アスファルト模型舗装の挙動について
著者 吉田信之・谷 俊平
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21〜22 発行 2013/06/20 文書ID 62695
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タイトル 製鋼スラグ骨材を利活用した高強度再生路盤の開発
著者 阿部長門・真鍋和則
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 23〜24 発行 2013/06/20 文書ID 62696
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タイトル 発生バラストを活用した軟弱路盤改良工法の実物大模型試験
著者 中村貴久・桃谷尚嗣・伊藤壱記
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 25〜26 発行 2013/06/20 文書ID 62697
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タイトル マイクロフォーカスX線CTによる粒状体の三軸圧縮下における全粒子追跡手法の開発
著者 高野大樹・佐藤宇紘・大谷 順
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 27〜28 発行 2013/06/20 文書ID 62698
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タイトル 着火材を用いた固結粒状材料の発破実験とその個別要素法解析
著者 吉川直孝・伊藤和也・水谷高彰・堀 智仁・三田地利之・豊澤康男
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 29〜30 発行 2013/06/20 文書ID 62699
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タイトル 陥没やパイピングにおける細粒分のダイナミクスと破壊の連鎖のシミュレーションの試み
著者 前田健一
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 31〜32 発行 2013/06/20 文書ID 62700
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タイトル 簡易浅水粒子法を用いた土石流影響範囲の評価
著者 松島亘志・中田アレサンドラ真由美・山田恭央
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 33〜34 発行 2013/06/20 文書ID 62701
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タイトル 地盤の掘削問題への粒子法の適用性に関する検討
著者 野々山栄人・中野正樹・野田利弘
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 35〜36 発行 2013/06/20 文書ID 62702
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タイトル 土砂混じり雪崩に関する基礎的研究
著者 久野泰嗣・森口周二・沢田和秀・上石 勲・岩田麻衣子
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 37〜38 発行 2013/06/20 文書ID 62703
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タイトル 中国敦煌莫高窟における常時微動特性
著者 岩崎好規・中川康一・谷本親伯・石川有三・王 蘭民・王 旭東・小泉圭吾・郭 青林・尾池和夫
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 39〜40 発行 2013/06/20 文書ID 62704
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タイトル 敦煌・莫高窟の背後山地の水分検層とこれの室内キャリブレーション
著者 寺尾庸孝・小田和広・小泉圭吾・谷本親伯・吉村 貢
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 41〜42 発行 2013/06/20 文書ID 62705
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タイトル 中国・敦煌莫高窟背後地盤における塩類の分布特性に関する現地調査
著者 宮脇知美・小田和広・小泉圭吾・伊藤三彩恵・朴 春澤・谷本親伯・郭 青林・王 旭東
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 43〜44 発行 2013/06/20 文書ID 62706
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タイトル 京都市東寺の築地塀断面の強度分布
著者 吉留花江・三村 衛・近藤奈央・寺尾庸孝・吉村 貢
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 45〜46 発行 2013/06/20 文書ID 62707
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タイトル マチュピチュ遺跡「太陽の神殿」の修復保存
著者 小野 勇・西浦忠輝・柴田英明
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 47〜48 発行 2013/06/20 文書ID 62708
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タイトル アンコール遺跡基壇の材料選定と締め固め
著者 福田光治・岩崎好規・本郷隆夫・中川 武・新谷眞人・下田一太・山田俊亮・杉山 洋・佐藤由比
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 49〜50 発行 2013/06/20 文書ID 62709
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タイトル 下負荷面Cam-clayモデルを導入したNMM-DDAの石積構造物の安定解析への適用
著者 橋本涼太・小山倫史・三村 衛・菊本 統・山田俊亮・新谷眞人・岩崎好規
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 51〜52 発行 2013/06/20 文書ID 62710
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タイトル 犬山市東之宮古墳の墳丘盛土への針貫入試験
著者 松浦良信・三村 衛・渡邊 樹・鈴木康高・吉村 貢
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 53〜54 発行 2013/06/20 文書ID 62711
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タイトル 犬山市東之宮古墳墳丘の発掘坑埋戻し工の施工品質管理
著者 品川英明・三村 衛・渡邊 樹・鈴木康高・吉村 貢
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 55〜56 発行 2013/06/20 文書ID 62712
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タイトル 突固めの痕跡から見た盛土遺跡の地盤特性と構築方法について
著者 鬼塚克忠・原  裕
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 57〜58 発行 2013/06/20 文書ID 62713
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タイトル 原位置試験および室内試験による墳丘盛土の強度評価に関する検討 東之宮古墳を例として
著者 澤田茉伊・三村 衛・吉村 貢
出版 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 59〜60 発行 2013/06/20 文書ID 62714
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  • タイトル
  • ISO の審議状況と地盤工学会におけるISO 活動ー平成 24 年度ー
  • 著者
  • 大谷 順・宮田喜壽
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 1〜2
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62685
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会1A - 08 (富山)    2013 年 7 月地盤関連 ISO の審議状況と地盤工学会における ISO 活動-平成 24 年度-国際規格ISO地盤工学地盤工学会 ISO 国内委員会委員長 大谷 順幹事長 宮田 喜壽1.ISO とはISO (International Organization for Standardization) とは,国際標20000準化機構と呼ばれる国際間の貿易が円滑に行われるために設立18000された国際組織であり,国際規格を統括している機関である.16000ネーブに置かれている.「ISO in figures」によれば,2012 年 12 月末の会員数は 163 ヶ国である.図-1 に ISO 規格数の推移を示す.14000ISO規格数1947 年に設立された非政府組織で,中央事務局はスイスのジュ120001000080006000ISO 規格の制定数は年々増加傾向にある.4000ISO の会員団体は,「当該国での標準化に関して最も代表的な」2000国家機関であり,各国あたり1団体のみしか登録できない.わが01970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015西暦(年)国では,経済産業省の審議会の一つであり,日本工業規格(JIS)の調査・審議を行っている日本工業標準調査会(JISC,事務局:図-1経産省産業技術環境局基準認証政策課)が 1952 年 4 月 15 日のISO 規格数の変遷閣議了解を経て ISO に加入している.JISC には分野別に専門技術委員会が設置されているが,すべての規格案件を詳細にわたって審議するのは不可能であることから,ISO に設置されている TC(技術委員会,Technical Committee)に密接に関連する国内の学協会に実質的な審議および対応を委託しており,担当団体は国内審議団体として経済産業省に登録されている.したがって,国内審議団体における決定事項は直接的に日本の意見となる.土木建設分野としては、現在日本土木工業協会を始めとする約 10 学協会がその審議団体となっている.ISO や ISO 規格が,わが国において特に議論されるようになってきたのは,1995 年に我が国が WTO(世界貿易機構,World Trade Organization)の「TBT 協定」(貿易の技術的障害に関する協定,Agreement of Technical Barriers to Trade)および翌年の「政府調達に関する協定」に批准してからである.TBT 協定では,「加盟国が強制規格又は任意規格を策定するにあたり,国際規格を基礎とすること」が義務づけられている.さらに,政府調達に関する協定では,「政府機関(中央政府,都道府県,政令指定都市および政府系機関等)における技術仕様(例えば,道路橋示方書や鉄道構造物等設計標準など)については,国内規格より国際規格を優先使用すること」が義務づけられている.すなわち,政府機関の発注書や仕様書に指定された規格・基準と該当する ISO 規格との間に整合性がなければ,国際入札の際に,WTO/TBT 協定違反として提訴される可能性がある.このような背景から,1995 年以降,5000 以上の JIS(日本工業規格)について,ISO 規格との整合化が図られている.2.地盤工学における ISO地盤工学は,土や岩および流体からなる地盤の工学的諸問題を扱う学問・技術分野であり,土質・基礎工学に加えて,岩盤工学,環境地盤工学,海洋地盤工学,地盤防災工学など地盤に関連する広範囲の学問と技術を対象にしている.したがって,地盤分野に関連する ISO は,土木工学,岩盤工学,地質学,農業土木工学,資源工学,建築学,環境衛生工学,自然災害科学など広範囲の分野にまたがる学際的に取り扱われる国際標準となる.言うまでもなく,地盤工学会は,土木学会,建築学会,農業土木学会,岩の力学連合会,国際ジオシンセティックス学会,地下水学会,廃棄物学会,全国地質業連合会,土壌環境センターなどの学協会,あるいは国・地方自治体の関連機関などに所属している会員から構成されており,広範囲の分野にまたがる学際的な団体である.したがって,地盤工学会が地盤分野の ISO に関する国内審議団体となっていることは,ISO 規格案を審議する際に必要となる国内的に横断的な幅広い意見聴取および意見調整が可能となり,地盤関連 ISO 国際会議の出席者は,日本の意見として公式に提案することが可能となっている地盤工学に関連する ISO/TC としては,TC182(地盤工学,Geotechnics),TC190(地盤環境,Soil quality),TC221(ジオシンセティックス,Geosynthetics)の3つがあり,地盤工学会はこれらの国内審議団体として登録されている.なお,地盤工学会の ISO への参加地位は,新作業項目への投票及び国際規格の照会原案や最終国際規格案に対する投票の義務を負って,業務に積極的に参加し,また可能な限り,会議に参加する義務を有する「P メンバー」として登録されている.Action Report of JGS ISO CommitteeOTANI, Jun & MIYATA, YoshihisaJGS ISO Committee1 3.地盤工学会における ISO 活動の現状地盤工学会 ISO 国内委員会の構成メンバーを表-1に示す.ISO 国内委員会の作業と役割は,国際対応と国内対応に分かれる.国際対応としては,1)ISO・CEN 規格案の検討・審議の取りまとめ,2)コメント提出に対する国内意見の集約,3)ISO・CEN 会議参加者(代表者)の調整および支援,4)提案される国際規格案や日本提案の国際規格策定に関する戦略の企画・立案・実行などが挙げられる.また,国内対応としては,1)日本工業標準調査会や規格協会との協調および配布される各種調査票に対する対応,2)関連学協会,関連機関との調整・情報交換,3)地盤工学会における ISO 活動の基本戦略の立案と基準部会への提案,4)地盤工学関連 JIS および JGS の英訳に対する優先付け,5)会員への迅速な情報提供(地盤工学会誌「ISO だより」の執筆など),6)活動資金となる受託事業の要請などが挙げられる.平成 24 年度の国際会議派遣状況を表-2に示す.参加会議数は 11 回で,のべ 20 名の委員を派遣した.我が国がコンビナー(議長)となっている TC190/SC3(化学的手法と土の特性)/WG10 (予備試験法)では,日本提案の理解と協力を得るために各国へのネゴシエーションとして,重点的に海外派遣を行っている.表-3は,平成 24 年 1 月~12 月に各 TC で審議された規格案数である.なお,TC182 の規格案は,CEN リードのウィーン協定適用の提案が承認され,すべての案件が CEN/TC341 で審議されていることを付記する.表-1 ISO 国内専門委員会の名簿(50 音順)委員長:大谷 順(熊本大学),委 員:浅古勝久(国土交通省),浅田素之(清水建設),今村 聡(大成建設),菊池喜昭(港湾空港技術研究所),岸田 潔(京都大学),木幡行宏(室蘭工大),坂井宏行(鉄道総合技術研究所),豊田浩史(長岡技術科学大),原 隆史(岐阜大学),松井謙二(土木研究所),松浦一樹(ダイヤコンサルタント),横山幸也(応用地質)幹 事:宮田喜壽(防大)表-2平成 24 年度の国際会議派遣状況会議名年/月派遣国派遣数ISO/TC221/WG2 と WG4 会議2012/4ペルー1ISO/TC 190 連絡会議2012/4オランダ1CEN/TC 341/WG 6 会議2012/5ギリシャ2ISO/TC190 議長会議及び ISO/TC85 との連絡会議2012/6フランス1第 27 回 ISO/TC190 年次総会2012/9フィンランド5CEN/TC 341/WG 6 会議2012/11ドイツ1ISO/TC221/総会2012/12タイ1ISO/TC 190 連絡会議2012/12オランダ1第 14 回 ISO/TC 190/SC 3/WG 10 会議2013/1ドイツ5ISO/TC 190/SC 3/WG 10 認証試験会議2013/2オランダ1ISO/TC 190, ad hoc group-Climate change 会議2013/2イギリス14.まとめ“国際化”ということばが言われてかなりの年月が経つが,ISO の活動は正に技術者に不可欠な”国際化”と言える.今後建設産業を輸出産業とし,わが国の技術力を,アジアをはじめとする全世界へ提案していくことは,関連学協会において不可欠であると考える.わが国の建設技術の品質は世界でもトップレベルにあると確信しており,そのような技術を世界に提供することこそ,本当の意味でのわが国の国際貢献ではないであろうか.そのためには技術力に加え,国際的なコミュニケーション能力も不可欠となる.今後そのような人材を産官学が連携して育成することはたいへん重要であると考える.また,ISO は技術者が主役である.今後多くの方にご参画いただくと共に,協働いただけることをお願いしたい.2表-3 平成 24 年度の検討規格案件数(2012.1~2012.12)( )は昨年の数字規格および規格TC182TC190TC221案の審議段階NWI0 (15)12 (16)5 (2)WD0 (0)0 (0)0 (0)CD0 (0)11 (5)0 (3)DIS0 (0)10 (17)0 (2)DTS0 (0)0 (0)0 (0)FDIS10 (2)13 (4)2 (2)SR1 (0)8 (8)3 (5)0 (6)2 (0)2 (4)その他11 (23)56 (50)12 (18)合計NWIP: 提案段階,WD: 作業原案,CD: 委員会原案,DIS: 照会原案,FDIS: 最終規格案,DTR: 技術報告書原案,DTS: 技術仕様書原案,SR: IS の見直し
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  • タイトル
  • 室内土質試験方法の国際規格審議状況ー平成24年度ー
  • 著者
  • 豊田浩史・吉嶺充俊
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 3〜4
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62686
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会2A - 08 (富山)    2013 年 7 月室内土質試験方法の国際規格審議状況-平成 24 年度-ISO 規格室内試験土質試験長岡技術科学大学国際会員○豊田浩史首都大学東京国際会員吉嶺充俊1. はじめにCEN/TC341/WG6(Laboratory tests on soils:室内土質試験)の会議が平成 21 年度からはじまり,平成 24 年度は,第 7回会議が平成 24 年 5 月 9, 10,11 日にアテネ(ギリシャ)にあるインフラ・運輸・通信省において,第 8 回会議が平成24 年 11 月 27, 28, 29 日にミュンヘン(ドイツ)にあるミュンヘン工科大学地盤工学研究所において開催された。会議タイトルからわかるように,ここでは CEN(欧州標準化委員会)が国際規格の策定作業を行うことになっている。これは,本件が ISO/TC182/SC1 での投票で CEN リードのウィーン協定適用となったためである。メンバーは,議長国であるイギリス,ベルギー,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,オランダ,ノルウェー,ポルトガル,スイス,スウェーデンの欧州各国と,日本である.議長国のイギリスからはオブザーバーも含め計 4 名のメンバーが登録されている。USA をはじめとする環太平洋諸国が参加していないので,日本は ISO からの正式オブザーバーという立場から積極的に意見を発して,欧州のみの考え方に偏った国際規格にならないよう努力が必要である。ここで議論する規格は,表-1に示す 12 の ISO/TS(Technical specification)である。表には,対応する JIS 規格および JGS 基準も併せて示してある。この ISO/TS は,2004 年に策定されており,正式な ISO 規格に至る前の状態である。ISO/TS の採用判断は各国に任されているため,現時点で拘束力は発生しないものの,いつ ISO 規格になっても,我が国への影響がないように対策を進めておく必要がある。2. 会議の進め方現在の ISO/TS 17892-1~12(表-1 参照)に対して,所定の様式による意見の作成が求められている。作業してみるとわかるが,我が国の規格・基準にすべて一致させることは不可能であり,我が国にとって影響が大きい,または,我が国の方法および考え方のほうが優れていると考えられることを中心に,意見書を作成する方針としている。また,どちらが優れているかは不明であっても,できるだけ我が国の記述例を紹介できるように努めている。我が国の規格・基準を紹介するに当たって,口頭で説明するだけでなく,英語版の規格・基準を配布できれば大変有効である。しかしながら,JIS および JGS の英語版のほとんどは,かなり古い時期に作られてから全く改正作業が行われていなかった。そこで室内試験規格・基準委員会においては,英語版についても最新の規格・基準と対応するよう,整備する作業に取り組んでいるところである。写真-1 に会議の様子を示す。3. 議論の内容各国の基準整備の状況によると,独自の基準を持っていない国も多いようである。日本はここで取り扱うほとんどのISO/TS について独自の基準を持っていることと,現在の案について 8 割方賛成できるものの,強く変更を望むところも数ヶ所あることを説明している(その一つは,細粒分の粒径の定義)。今年度は,本 WG で修正された「土粒子の密度試験」,「土の粒度試験」,「段階載荷による圧密試験」,「飽和土の圧密圧縮試験」について,再度読み合わせを行った。3.1 土粒子の密度試験・試験中の温度変化を抑えるために Water bath を使うことが多いが,日本では Water bath の使用は一般的でないので,恒温室での試験も認めてもらった。温度が±0.5 度の制御は難しいとの意見があった。・真空で飽和させるとき,どの程度の真空度が必要か,値は明記しないこととした。・通常,5mm(or nearest)以下の粒径に対して適用するが,大きなサイズのピクノメータでは大きな粒径も認める。3.2 土の粒度試験・ヨーロッパで一般的な 0.063mm ふるいに関して,日本の他にギリシャも 0.075mm を使っていることより,(orclosest)等の文言を入れることにより,必ずしも特定のふるいを使わなくてもよいこととした。・細粒分をどの程度含んでいれば沈降分析を行うかは,基本的には技術者判断とする.簡単なガイドラインのみを記述する。・何分間ふるうかについて色々な意見があった。手でふるうときには,全く土粒子がふるいを通らなくなるにはかなりのふるい時間が必要となるため,日本と同様,ふるい通過量がある程度以下になったら終了できるようにする。・懸濁液の温度の測定は,予備のメスシリンダーに準備した溶液(水)の温度を測ることとした。・0.063mm ふるい通過分のみで沈降分析を行うことになっているので(日本は 2mm ふるい通過分),それが一般的か聞いてみたところ,スイスは 0.5mm ふるい通過分,ベルギーとスウェーデンは 2mm ふるい通過分とのことであった。Council status for ISO Standardization of Laboratory tests onTOYOTA Hirofumi (Nagaoka University of Technology)soils -2012-YOSHIMINE Mitsutoshi (Tokyo Metropolitan University)3 沈降分析を行う試料粒径については,他も認める記述になると思われる。・ふるいも 3 ヶ月または 200 回ごとにキャリブレーションの必要とした。キャリブレーション用ふるいと使用ふるいとで,通過質量が 3%以内の違いにおさえる必要がある。この 3%の値については,各国これでよいか確認することとした。3.3 段階載荷による圧密試験・二次圧密の定義で,二次圧密がいつ始まるかは難しい問題である。ここでは,一次圧密終了後という記述とする。・含水比をいつ,どの状態で測るかについて議論が白熱した。実験終了後に使用供試体全体を使って測定するのが最も信頼できるとなった。・Annex で圧密試験機の変形を測定して,補正することになっているが,日本では一般的でないことを紹介した。試験機の変形の測定はかなり難しいとの意見も出された。・日本の規格にはないが,試験が 20℃から大きくずれた場合のため,cv(圧密係数)に対する温度補正係数がある。・先行圧密応力の求め方で,日本の三笠法の紹介をしておいたが,キャサグランデ法を代表的なものとして示すこととし,他の方法も認めることとする。ヨーロッパでも,5 種類くらい違った求め方があるそうである。3.4 飽和土の圧密三軸圧縮試験・σ1,σ3 とσv,σh の使い分けが議論された。圧縮試験を対象としているが,伸張試験にも対応できる記述方法とすることとした。また,破壊の定義については,最大軸差応力と最大有効応力比の両方を認める。・供試体への配管であるが,キャップとペデスタルそれぞれで,水を循環させられるような構造とした。チューブ内の気泡を取り除くために,供試体を介さずに水を循環させることが目的である。・実験前にメンブレンを水浸させておく記述であるが,シリコンオイルなど水以外の液体にも対応できる記述とした。・reconstituted と remoulded の違いが議論された。remoulded は,含水比を変えずに詰め直したものとした。・砂の飽和作業の時に CO2 を循環させるが,CO2 の量も供試体体積の 3 倍程度と記述した。ただし,通常は CO2 の量を正確に測定することはせず,目安とのことである。・B 値(飽和の確認)の測定は,長い時間待たずに 10 分以内で行うこととした。測定は圧密前後,どちらでも良いとした(日本は圧密後)。B 値が満たせないときには,非排水試験ではなく定体積試験を行うとの発言がドイツからあった。ただし,定体積試験については本規格では取り扱わない。・圧密終了判定は,様々な方法が考えられるが,一つの規定法として,体積ひずみ速度が 0.05%/h 以下になったときとした。日本では 3t 法もよく使われるが,規格として書き込むほど国際的な同意は得られなかった。・せん断速度は,BS の規格をもとに決めた。日本より複雑な式であるが(例えば,t50 または t100 を求める必要がある),良くできており,否定する要素は見あたらなかったため,これを認めた。非排水試験で,せん断速度が 2%/h を超えないようにという記述がある。これは粘性土をもとに記述されたと思われる。砂の場合はもっと早いせん断速度で行うことを主張した。・メンブレン補正を規格に記述することとした。日本とドイツが,基準には書かれていないことを主張したが,北欧特有なクイッククレイを試験するときなどは,必ず必要であるとのことであった。フィルターペーパーの補正も,軟弱試料には必要とのことで,記述することとした。・報告すべき事項も,できる限り多くの情報を記述するようにし,その中で,必ず記述するものと可能なら記述するものとに分けた。応力経路図の他にも,間隙水圧-軸ひずみ関係は,重要とのことで必ず図示することとなった。以上が,これまでに行われた議論である。欠席の国の意見は,主張がよくわからないということで,軽くあしらわれるきらいがある。このような会議にはできるだけ出席して,日本にとって齟齬のない規格となるよう主張していくことの重要性を実感している。表-1ISO/TS17892-117892-217892-317892-417892-517892-617892-717892-817892-917892-1017892-1117892-12CEN/TC341/WG6 で取り扱う規格タイトルDetermination of water contentDetermination of bulk densityDetermination of particle densityDetermination of particle size distributionIncremental loading oedometer testFall cone testUnconfined compression test on fine-grained soilsUnconsolidated undrained triaxial testConsolidated triaxial compression tests on water-saturated soilsDirect shear testsDetermination of permeability by constant and falling headDetermination of Atterberg limits関連規格・基準JIS A1203JIS A1225JIS A1202JIS A1204JIS A1217なしJIS A1216JGS 0521JGS 0523,0524JGS 0560,0561JIS A1218JIS A1205写真-14議論の様子
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  • タイトル
  • ISO/TC190(地盤環境)の審議状況ー2012年度ー
  • 著者
  • 浅田素之・中島 誠・和田信一郎
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 5〜6
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62687
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会3A - 08 (富山)    2013 年 7 月ISO/TC190(地盤環境)の審議状況-2012 年度-清水建設ISO技術研究所九州大学大学院教授国際環境ソリューションズ国際会員○浅田素之国際会員和田信一郎国際会員中島誠1. はじめにISO/TC190 委員会(Soil Quality:地盤環境)は、土壌汚染の基準および ISO/TC182 で扱われる土木工学に関するものは除く、地盤環境分野における分類、用語の定義、土のサンプリング、土の特性の測定と報告などに関する標準化を進めている。地盤工学会は ISO/TC190 の国内審議団体であり、国内専門委員会を設置し 1999 年の総会から本格的に参加している。多くの専門家の協力により、メールベースで規格案の検討・審議の取りまとめ、コメント提出に対する国内意見の集約、会議参加者の調整および支援、提案される国際規格案や日本提案の国際規格策定に関する戦略の企画・立案・実行を行っている。特に SC3WG10(地盤環境のスクリーニング)については、2007 年から特別に国内委員会を設け、精力的に活動を行っており、2012 年には日本発の規格案がはじめて ISO 化され、2013 年初めには、第二弾の蛍光 X 線に関する規格も ISO 化されることとなった。ここでは、2012 年度の審議状況を中心に報告する。2. 審議概要ISO/TC190 には 7 つの分科会(subcommittee; SC)が設けられ、SC6 以外の SC が活動中である。表1分科会SC1SC2SC3SC4SC5SC6(解散)SC7TC190 の SC(分科会)分科会名Evaluation of criteria, terminology and codification (評価基準、用語、コード化)Sampling(サンプリングー地盤環境調査用のサンプリング)Chemical methods and soil characteristics (化学的方法と土の特性)Biological methods (生物学的方法)Physical methods (物理学的方法)Radiological method (放射線的方法)Soil and site assessment (土および現地評価)ISO/TC190 総会が 2012 年 9 月にフィンランドのヘルシンキで開催された。参加国は英国、オランダ、スイス、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランスなどのヨーロッパ勢が中心であり、非 EU 圏からは日本、韓国、オーストラリア、ケニアが参加した。日本から、ISO/TC190 国内専門委員会から 7 名の委員(うち 4 名は SC3/WG10派遣)が参加した。SC1 では、SC1/WG3(データコード化とマネジメント)の会議が開かれた。SC2 では、SC2/WG10(サンプリングの一般的側面の詳述)の会議が開かれた。SC3 では、SC3/WG1(微量元素)、SC3/WG4(シアン)、SC3/WG6(有機汚染)、SC3/WG9(前処理)、SC3/WG10(スクリーニング)、SC3/WG 11(爆発物)、SC3/WG13(酸性硫酸塩土壌)の会議が開催された。SC 4 では、SC4/WG2(土壌動物)、SC4/WG3(土壌植物)、SC4/WG4(微生物)の 3 つの会議が開かれた。SC7 では、SC7/WG3(生物分解)、SC7/WG4(人への暴露)、SC7/WG6(溶出試験)、SC7/WG8(バイオアベイラビリティ)の会議が開催された。開会式の後、「基準化のための将来テーマ」について討論された。今後具体的にどのように作業していくかについて、各テーマが表 2 のように各 SC,WG で検討されることが決定した。サステイナブルレメディエーションは SC 7 の新設WG (WG 12)で審議されることになり、WG 名は Risk based remediation measures とすることになった。また TC 190 内に、気候変動に関するアドホックグループを設置することとなった。TC 190 で作成される規格との連携を図るため、気候変動に関する諸活動を行っている他グループと連絡を取ることを目的とする。2012report on JGS/ISO/TC190 committee;Motoyuki Asada (Institute of Technology, Shimizu Corporation)Shinichiro Wada (Kyusyu University)Makoto Nakashima (Kokusai Environmental Solutions)5 表2基準化のための将来テーマと担当 SCテーマ担当 SC,WGSC 7 (WG 11)Doc.  358Soil quality — Sustainable soil use — On-siteassessment of soil suitability for arable andgrassland farming and estimation of crop yieldpotential (soil quality rating) (ドイツ)SC 7 (WG 11)Doc.  359Soil quality — Prediction of soil erosion by water(ドイツ)SC 3Doc.  363Soil and Climate change (日本)Doc.  364SC 7 (WG 12 新設)NWIP Sustainable remediation (英国)SC 4 (WG 4)Doc.  374Soil quality – Determination of soils capacity to reduce N2OSC 7 (WG 12)Doc.  372Conceptual Site ModelsSC3/WG10(スクリーニング)について3.SC3WG10(地盤環境のスクリーニング)については、2007 年から特別に国内検討委員会を設け、精力的に活動を行っており、2012 年には日本発の規格案がはじめて ISO 化されるなど、順調に審議が進んでいる。ケイ光 X 線検出法以降の各 ISO/TC190 で、汚染化学種のスクリーニング技術の規格化事業を創設したのは日本であるが、この技術群の一般論としてのガイドラインやここで使用される各論的な種々の技術で日本が保有するものの提案とその審議を進めている。地盤環境におけるスクリーニング方法の一つとしてケイ光 X 線検出法を提案したことに端を発しているが、スクリーニング方法自体が地盤環境分野で初めての規格群となるため、ケイ光 X 線検出法を含むスクリーニング諸法の概念を構築することも必要となった。このため、ケイ光 X 線検出法を提案する前に、スクリーニング方法一般に関するガイドライン(予備試験一般に関する指針)を日本案として提案した。なお、2013 年 3 月現在で、日本から提案した規格案は以下の通り 4 件ある。(1)予備試験一般に関する指針(ガイドライン)ISO12404 として発効(2011/12 月)(2) ケイ光 X 線検出法(重金属対象)ISO13196 として発効予定(2013/4 月)(3)比濁検出法(油分対象)WD(Working Draft;規格案)(4)テストキッツ検出法(6 価クロム対象)NWIP(New Work Item Proposal;新規規格案)4.おわりにSC3WG10(地盤環境のスクリーニング)については、2007 年から特別に国内検討委員会を設け、精力的に活動を行っており、2013 年には日本発の第二弾となるケイ光 X 線検出法規格案が ISO 化されるなど、順調に審議が進んでいる。SC2/WG10 に代表される既存 ISO 規格をアンブレラ構造の新規格へ移行させる動きへの対応のほか、SC 7 に WG(WG12)が新設されることとなったサステイナブルレメディエーションなどのような新たなコンサルティング的なテーマへの動きも活発化する可能性があることから、日本としての対応方針をどうするかという戦略がますます重要になってくる。2013 年 9 月 16 日から 20 日に、TC190 の年次総会を九州大学(福岡)で開催することとなっている。日本のプレゼンスを示すため、協力をお願いする次第である。謝辞ISO/TC190 の内容は多岐にわたっており、地盤工学会のみで対応するには限界がある。(社)土壌環境センターの技術委員会内に ISO/TC190 部会(部会長;鹿島建設川端淳一氏)を設け、SC2、SC7 については地盤工学会と協力して対応いただいている。また、経済産業省、土木学会、日本建設業連合会に ISO の意義をご理解いただき、支援いただいているおかげで、本活動が成り立っている。ここに記して、謝意を表します。6
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  • タイトル
  • 地盤環境向けスクリーニングの日本提案第2号、ISOとなる!
  • 著者
  • 坂井宏行・浅田素之・野上太郎・和田信一郎・岡田 章・駒谷慎太郎・辻 幸一・藤原 靖・地主祐子・今村 聡
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 7〜8
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62688
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会4A - 08 (富山)    2013 年 7 月地盤環境向けスクリーニングの日本提案第 2 号、ISO となる!ISO 日本 地盤環境JR総研スクリーニングテルム○坂井宏行岡田地盤工学会1章地主祐子清水建設浅田素之リガク堀場製作所駒谷慎太郎大阪市大大成建設今村野上太郎辻幸一九州大学大学院和田信一郎大成建設靖藤原聡背景ISO/TC 190(地盤環境)は、土木工学の分野のひとつである地盤環境の化学汚染に関する国際基準・ISO の規格化を取扱っている。地盤工学会は、この TC に対する国内審議団体に指定され、2000 年 10 月からようやくこの分野での規格化に取組んだ。2000 年当時でさえ、ISO/TC 190 ではすでに 16 箇年間、地盤環境分野での各種規格化を進めていた。残念なことに、この TC の主要 SC である ISO/TC 190/SC 3(化学試験法)では、実験室的な精密分析法(referencemethods)を中心に、土壌中に含まれる化学汚染物質に対する化学分析法の基本的なものはすべて規格化をおえていた。したがって、精密分析法については、欧州技術を基本としてすでに ISO 化された欧州案を、日本は和訳したうえで翻訳JIS として受入れることを要請されており、この JIS が整備されしだい、日本は欧州技術を使用することが義務付けられている。日本(地盤工学会)がこの TC 190 に参入した当時は、重要な基本技術がすべて欧州流となっていることにがく然としたものであった。わが国の立すいの余地はまったくなく、取りつく島がなかった。そうであれば、もうすこし早く ISO に参入しておくべきであったのだが、日本には規格というものにあまりなじまない文化があり、どちらかといえば、軽視されがちであった。ISO についても、海外で勝手にやっているもののように受け取られており、対岸の火事のように見られていた。それが小泉政権下で、ISO が日本国内の各種産業に直接影響を与えるものであることを啓蒙され、それまで関心がなかったり、取りあってこなかった各業界に督励があったものである。地盤工学会でもこの時点になってようやく腰を上げ、しかししばらくの間は、様子見の状態であった。2地盤工学会の具体的取り組みわる気があったわけでも、放置していたわけでもなかったが、日本の一種風土のようなことから、ISO への参入がおくれ、本格的に参画した時点では、主要な基本技術として日本技術を規格化することは、すでに手遅れであることを認識した。ISO/TC 190 の場合、参加国は欧州・米州だけであり、亜州からひょっこり加わってきた日本は、「いまごろなにを?」とめずらしがられていた。当時、日本(地盤工学会)の参入を督励された理由のひとつは、平成 15 年 3 月 6 日環境省告示第 19 号に規定されている土壌試料のふるい方(ふるい目の大きさ)と、ふるった後にひょう取した試料中に含まれる分析対象物質の水への抽出方法(土壌試料:水の比と、抽出時間)が、それぞれ欧州案と異なり、これがそのまま ISO 化されると当該告示がその ISO に抵触するというものであった。残念ながら、日本がこのことに気付いたときには、当該案件はすでに DIS(ISO/TC 190 の扱いをすでにはなれ、ISO 中央事務局扱いとなって ISO として発効することが前提となっている段階)となっており、本文中への環境省告示内容の編入はゆるされず、参考として付録へ掲載されるにとどまった。付録には法律としての効力がないため、本文に規定されている規格技術とはことなる特異技術として紹介されているにすぎないものである。このようなてん末もあり、基本技術が一列に規格化ずみである ISO/TC 190 への本格的な参画は容易ではないと判断した。そこで、それまで欧州中心に延々と規格化されてきた技術群にとらわれず、日本独自の思想のもとに新分野を開拓することを考えた。これが地盤環境中の化学汚染をスクリーニングすることである。日本でも海外でも、化学汚染地盤を調査するためには、10m ごとに土壌試料を採取し、実験室で精密分析をおこなっている。地盤環境の化学汚染調査の問題点は、土壌マトリックスでは試料の代表性に乏しいことにある。このためなるべく多くの地点から試料を採取することが好ましいが、ボーリング費用が高いことと、土壌試料の化学分析では、溶液試料の調製(前処理)が必要であ化学汚染の分布を調べるため内側にホット・スポットが存在することもあり、このホット・スポットをいかに特定できるか、ということが現実には求められている。この場合に必要とな野物質の濃度値を正確に測るため90調 査簡易分析法ている。結果的に、土壌試料の採取間隔が 10m に規定されているのは、政治的な配慮があってのことで、科学的な根拠には乏しい。しかし、この 10m 間隔の分スクリーニングるため、手間がかかるうえに、この前処理操作が経費を増大させるので、限りある予算で実際はおこなう調査では、試料の採取点数を抑制することを迫られ新分 析実験室的な精密分析法図 1 スクリーニングの概念X-ray fluorescence spectrometry is adopted as anHiro Sakai, Rail. Tech. Res. Inst.; Moto Asada, Shimizu Co.; Shin-Ichiro Wada,ISO standard in accordance with the proposal madeKyushu U.; Akira Okada, Term; Taro Nogami, Rigaku Co.; Shintaro Komatani,by Japan as a second candidateHoriba Co.; Koichi Tsuji, Osaka Munic. U.; Yasushi Fujiwara and SatoshiImamura, Taisei Co.; Yuko Jinushi, The Japanese Geotechnical Society7 る技術は、(1)その場で適用できるものであることが前提となるが、求められる結果は、ターゲットである物質の正確な濃度値ではなく、(2)まず、そのターゲットとなる物質がそこにあるのかどうか、(3)それがあるのであれば、その濃度が環境基準を超えているのかどうかだけを判定するものであり、せいぜい濃度レベルがわかる程度である。ここで使用する測定技術は、分析化学の原理を利用しているので、その技術の性能によっては、半定量的な結果を提示できることがあるが、これはあくまでも結果論であって、スクリーニングは濃度値の確定を目的としているわけではない(図 1)。このような背景から、地盤環境向けスクリーニング方法一般に関するガイドラインを日本から提案し、これは 2011 年 12 月に ISO となった。日本が考え出した地盤環境向けのスクリーニングが、地盤調査技術として国際社会に受入れられたので図 2 重金属に対する日本の環境基準(土壌中に許容濃度)ある。3重金属向けスクリーニング方法地盤環境における化学汚染の代表的なもののひとつに、クロム(VI)やカドニウムなどの重金属汚染がある(図 2)。これら重金属には、これまでは、採取地点を限定して採取した土壌試料を全融解したり、水抽出したりしてえた溶液試料に湿式化学分析を適用していたものである。この方法では、精密分析により経費が割高となるほか、そもそも試料の代表性に問題があるため、化学汚染調査としては、費用をかけたわりには不安が残るものである。現地のその場で迅速に検出できるスクリーニング技術がやはり必要であった。ケイ光 X 線検出法は、表面分析法のひとつであり、X 線の照射範囲は狭く、 図 3 ケイ光 X 線検出装置のポータブル機の例また、入射 X 線の深さもせいぜい数m と浅いので、試料の均質性が結果に与える影響は大きいものである。また、調査地点数の充実を優先するため、現場での簡易な操作を標榜しており、粉砕、かくはんなどをして試料の均質性を向上させる操作はおこなわない。したがって、固体試料をほぼそのまま適用するものなので、土壌試料から溶液試料を調製して湿式分析法を適用することよりも、当然、誤差が大きくなる。しかし、現地での機動性が高いので、調査地点数を制限されず、ホット・スポットの追跡調査がその場で可能となる。ケイ光 X 線検出器は、もともとは実験室の一室を占領するような大型の装置であったが、近年、性能を維持したまま小型化が図られてきた(図 3)。このような特徴をもっているケイ光 X 線検出法は、まさにスクリーニング技術であり、これを日本から提案したのであった。本件は、2013 年 3 月 6 日付けで ISO 13196(土壌中の重金属向けケイ光 X 線検出法)として発効した。地盤環境向けスクリーニングに応用される具体的各論技術としては第 1 号であり、地盤環境向けスクリーニングに関する大前提を規格したガイドライン:ISO 12404(地盤環境向けスクリーニング方法一般に関するガイドライン)の続行案である。つまり、ガイドラインの概念のもとに実践されていくスクリーニング方法のひとつとなり、これに他の物質向け検出法も順次加えて地盤環境向けスクリーニングに関する規格群を整備しようとしているのである。ケイ光 X 線検出器には、海外製品もあるが、日本技術は X 線照射する空間を図 4 X 線管理型ポータブルケイ光 X試料セル内で管理するものであり、放射線が漏えいしない構造となっている線検出器の構成図と装置外観(図 4)。日本をはじめ、原爆や水爆等に敏感な国々では、この管理型のケイ光 X 線装置でなければ受入れられない感情があり、本件の ISO 化により、日本製品(図 5)がひろく使用されるようになると考えている。4今後の展開一般的な汚染化学物質をスクリーニングするため、ISO 12404(ガイドライン)によるスクリーニングの考え方のもと、土壌中の油分やクロム(VI)のスクリーニング技術を日本からすでに提案し、日本が議長国を務める ISO/TC190/SC 3/WG 10(予備試験法)で現在審議中である。そのほかの物質についても、提案準備を逐次進めており、地盤環境中に存在する汚染化学物質で主要なものはおよそスクリーニングできるよう、日本主導で規格化を推進して図 5 ガイドラインの下に整備されるスいるところである。クリーニング技術群8
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  • タイトル
  • ジオシンセティックス関連規格に関する現状と今後の展開
  • 著者
  • 椋木俊文・宮田喜壽
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 9〜10
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62689
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会5M - 09 (富山)    2013 年 7 月ISO/TC221 国内専門委員会活動報告-ジオシンセティックス関連規格に関する現状と今後の展開-国際規格ジオシンセティックス地盤工学会ISO / TC221 国内専門委員会委員長 宮田 喜壽幹 事 椋木 俊文ジオシンセティックス技術に関する国際規格の現状と TC221 の現状2004 年におけるジオテキスタイルおよびその関連製品の年間貿易数値は,北米 50 億 m2(輸出 10%),欧州 40 億m2(輸出 50%),アジア 15 億 m2(輸入 30%),その他 20 億 m2(輸入 40%)となっており,全体で既に 100 億 m2 を超えている。すわなち,欧州では生産量の半分が輸出という状況にあり,アジアにおける貿易数値も急速に伸びている。また GCL を含むジオメンブレン製品については、輸出入の割合は把握できていないが、北米 6 千万 m2、欧州 4 千万m2(輸出 50%),アジア 1 千万 m2(輸入 30%),その他 1 千5百万 m2(輸入 40%)となっている。TC221 はジオシンセティック製品の標準化を制定する技術委員会であり,5つのワーキンググループがある.活動は,毎年 1 回の全体会議開催の他,個別の WG が開催されている.JGS では表1に示す委員会を設置し,これに対応している.TC221 で規格済みの試験法を表2に示す.表1 ISO/TC221 国内専門委員会の名簿(50 音順)1委員長:宮田喜壽(防大),委 員:赤井智幸(大阪府産技研),今泉繁良(宇大),大谷 順(熊大),加納 光(坂井化学工業),熊谷浩二(八戸工大),木幡行宏(室蘭工大),志々目正高(ボルクレイ・ジャパン),篠田昌弘(鉄道総研),島岡隆行(九大),中村 努(苫小牧工専),長束 勇(島根大),鍋島康之(明石高専),平井貴雄(三井化学産資),巻内勝彦(日大),桝尾孝之(太陽工業),明嵐政司(土研),横田善弘(前田工繊),幹事:椋木俊文(熊大)表2ISO TC/221関連の規格(2013年3月現在)規格番号対象*規格名【和訳】ISO 9862:2005GSISO 9863-1:2012GSSampling and preparation of test specimens【試験供試体のサンプリングと作製】Determination of thickness at specified pressures Part 1:Single layers【所定圧下の厚さの測定第1部: 単層】ISO 9863-2:1996GT&RPDetermination of thickness at specified pressures Part 2: Procedure for determination of thickness of singlelayers of multilayer products【所定圧下の厚さの測定第2部: 複層製品における単層厚さの評価法】ISO 9864:2005GT&RPTest method for the determination of mass per unit area of geotextiles and geotextile-related products【単位面積当たりの質量の測定】ISO 10318-1:2012GSTerms and definitions【用語と定義】ISO 10318-2:2012GSSymbols and Pictograms【記号と凡例】ISO 10319:1993GTXWide-width tensile test【広幅引張り試験】ISO 10320:2012GT&RPIdentification on site【現場における確認事項】ISO 10321:1992GTXTensile test for joints/seams by wide-width method【継ぎ目/縫い目に対する広幅引張り試験】ISO 10722: 2007GT&RPISO 10772: 2012GTXISO 10776: 2012GT&RPISO 11058:2010GT&RPISO 12236:2006GSStatic puncture test (CBR test)【 静的貫入試験(CBR法)】ISO 12956:2010GT&RPISO 12957-1:2005GSDetermination of the characteristic opening size【見掛けの開口径の測定】Determination of friction characteristics Part 1: Direct shear test【摩擦特性の測定第1部: 直接せん断試験】ISO 12957-2:2005GSDetermination of friction characteristics Part 2: Inclined plane test【摩擦特性の測定第2部: 傾斜試験】ISO 12958:2010GT&RPDetermination of water flow capacity in their plane【面内方向通水性能の測定】ISO/TR 12960:1998GT&RPScreening test method for determining the resistance to liquids【液体に対する安定性評価のためのスクリーニング試験】ISO 13426-1:2003GT&RPStrength of internal structural junctions Part1: Geocells【剥離強度 第1部: ジオセル】ISO 13426-2:2005GT&RPStrength of internal structural junctions Part 2: Geocomposites【剥離強度 第2部: ジオコンポジット】ISO 13427:1998GT&RPAbrasion damage simulation (sliding block test)【磨耗シミュレーション(ブロックすべり試験)】Index test procedure for the evaluation of mechanical damage under repeated loading -- Damage caused bygranular material【繰り返し載荷条件下での力学的損傷の評価法に関するインデックス試験:粒状材料による損傷】Test method for the determination of the filtration behaviour of geotextiles under turbulent water flowconditions【乱流条件下における不織布のフィルター挙動評価のための試験法】Determination of water permeability characteristics normal to the plane under load【拘束圧条件での垂直透水性能の評価】Determination of water permeability characteristics normal to the plane, without load【無載荷での垂直方向透水性能の測定】Action Report of JGS Technical Committee for ISO/TC221MIYATA, Yoshihisa & MUKUNOKI, ToshifumiJGS Technical Committee for ISO/TC2219 規格番号対象*規格名【和訳】ISO 13428:2005GSDetermination of the protection efficiency of a geosynthetic against impact damage【衝撃に対するジオシンセティックスの防護能力の測定】ISO 13431:1999GT&RPDetermination of tensile creep and creep rupture behaviour【引張りクリープ及びクリープ破壊特性の測定】ISO 13433:2006GT&RPDynamic perforation test (cone drop test)【動的貫入試験(コーン落下試験)】ISO/TS 13434:2008GSGuidelines for the assessment of durability【耐久性評価のためのガイドライン】ISO 13437:1998GT&RPMethod for installing and extracting samples in soil, and testing specimens in laboratory【土中,室内試験の供試体中への供試体の敷設と取出し方法】ISO 13438:2004GT&RPScreening test method for determining the resistance to oxidation【酸化抵抗性に対する予備試験方法】Procedure for simulating damage under interlocking-concrete-block pavement by the roller compactormethod【ローラコンパクタ法によるインターロッキングブロック舗装下の損傷試験】Guidelines for the determination of the long-term strength of geosynthetics for soil reinforcementISO/TR 20432:2007GS【地盤補強材として用いられるジオシンセティックスの長期強度の評価に関するガイドライン】Determination of compression behaviour -- Part 1: Compressive creep propertiesISO 25619-1:2008GS【圧縮挙動の評価:第1編 圧縮クリープ挙動の評価】Determination of compression behaviour -- Part 2: Determination of short-term compression behaviourISO 25619-2:2008GS【圧縮挙動の評価:第2編 短期圧縮挙動の評価】(対象:GS=Geossynthetics, GT&RP=Geosynthetics and related products, GTX=geotextiles)ISO/TS 19708:2007GS規格番号DIS 10769対象*GCB表3TC221関連で今後審議予定の規格規格名Determination of water absorption of bentonite【ベントナイトの含水量測定法】Geosynthetics -Index test method for the determination of discharge capacity of prefabricated vertical drainsISO/NPGS【人工鉛直排水材の流出量評価のためのインデックス試験】GCBFDIS 10773Determination of permeability to gases【ガス透過性の評価】CD 13427GT&RPISO 13427:1998(参考:表2)の改訂案ISO 12957-2GS参考:表2ISO 13438GT&RP参考:表2(対象:GCB: Geosynthetic clay barriers)表4規格番号ISO/AWI 18228対象*GSISO/NPGSISO/NPGT&RP新ワーキングで審議予定の規格規格名Design of Geosynthetics For Construction Applications【建設工事用ジオシンセティックスの設計】The use of electrically conductive geosynthetics in leak detection surveys【漏水検知調査のためのジオシンセティックスの電気伝導度の使用】Selection of Techniques for Electrical Detection of Potential Leak Paths in Geomembrane Liner Systems【ジオメンブレン遮水工における潜在漏水経路の電気検地のための技術選択】2 現在の審議状況(1) ISO 関連TC221 関連で審議中の規格案は表3に示すとおり.設計に関する新しいワーキンググループが設立予定で,それに関する審議として,表4が計画されている.平成 24 年 12 月 10 日にタイ・バンコクで開催された 4 つの WG と総会では,これらの内容が議論された.昨年,議長国が米国から英国に変更になり,ISO 事務局のセクレタリーも変更になった.タイの会議では,これまで TC ごとに裁量が認められてきた委員会の運営がより画一的になることを示唆するような発言が事務局よりなされた.会議の詳細は参考文献を参照いただきたい.この分野の ISO は CEN 主導の色が強く,関連団体・企業は十分に注意する必要がある.(2) ASTM 関連ASTM/D35(ジオシンセティックス)は依然としてデファクト・スタンダードとしてゆるぎない地位にある.ISO/TC221と ASTM/D35 は,国際規格の整備にあたり互いの機関の試験法を最大限に尊重しあうという覚書を交わしており,ASTM/D35 では,そのルールのもと新しい規格を鋭意作成中である.2013 年度も,6 月にインディアナポリスで,翌年 1月にヒューストンで会議が予定されている.3我が国と諸外国との連携状況ジオシンセティックスに関する学術的な団体として,国際ジオシンセティックス学会(International Geosynthetics Society,IGS)がある。2000 年に設立された ISO/TC221 において,議長,幹事,コンビナーは,すべて IGS の理事メンバーもしくはそのコアメンバーから構成されている.ISO/TC221 における審議は,欧州(EN)と米国(ASTM)が主導的に進めているが,対立というより協同的に作業が進められている.最近,規格化のスピードが速まっており,乗り遅れないためにも今後も積極的な活動が必要である.<参考文献>ISO/TC221(ジオシンセティックス)2012 会議,地盤工学会誌 5 月号, 2013 年(予定).10
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  • タイトル
  • 3次元DEMによる翼付きまくらぎの道床横抵抗力向上メカニズムの解明
  • 著者
  • 重国祐貴・早野公敏・桃谷尚嗣・中村貴久
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 11〜12
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62690
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会6E - 14 (富山)    2013 年 7 月3 次元 DEM による翼付きまくらぎの道床横抵抗力向上メカニズムの解明個別要素法翼付きまくらぎ道床横抵抗力横浜国立大学大学院学生会員横浜国立大学大学院国際会員早野公敏鉄道総合技術研究所国際会員桃谷尚嗣鉄道総合技術研究所国際会員中村貴久1.はじめに○重国祐貴(上面図)列車の高速化やロングレール化に伴い,有道床軌道において道法尻法肩床横抵抗力の向上が重要な課題となっている.道床横抵抗力を向まくらぎ上させる方法はすでにいくつか提案されているが,そのうちの 166300道床バラストつ,側面に突起を付けた翼付きまくらぎの使用は,コストや施工性の面で有用性が高いと考えられる.しかし,軌きょう引きの場1007.6変位計合には 1 本引きの場合ほどには道床横抵抗力が増加しないことも変位計ロードセルpullあり 1),道床横抵抗力向上のメカニズムを明らかにすることが必まくらぎ5140要とされている.そこで本研究では,3 次元 DEM により道床横抵抗力とまくらぎ163.8100480100くらぎによる道床横抵抗力向上のメカニズムについて考察した.図-1 模型寸法と実験の概要(立面図)通過質量百分率 P (%)2.模型実験シミュレーション結果との比較を行うため,前もって模型実験を行った.実験模型は実軌道の 1/5 スケールとし,図-1 に示すように模型まくらぎ 1 本と道床バラストから構成される.模型まくらぎは写真-1 に示すように(上から順に)3H,直方体,20mm 翼付き,40mm 翼付きの 4 種類を用いた.3H は新幹線で使用されているものと同形状であり,翼付きは直方体を基本にレール下部に翼を付けたもので翼の長さが 20mm と 40mm である.いずれもモバラストの粒度基準(1/5スケール)1/5相似粒度の砕石DEM (num=57790)110粒径 D (mm)表-1 解析ケースまくらぎの密度ρ sleeper (kg/m3)まくらぎの質量m (kg)直方体23603.81320mm翼付き22894.07140mm翼付き23464.557420mm翼付き21433.813540mm翼付き19633.813砕石を用い,道床密度が 1.60g/cm3 になるよう締固めた.道床模型ケース作製後,ジャッキを用いてまくらぎを長手方向に 0.4mm/min の速1度で水平載荷した.23考察するために,別途,まくらぎ底面の摩擦抵抗力のみを対象と1009080706050403020100図-2 粒径加積曲線写真-1 模型まくらぎルタルで作製した.模型バラストには図-2 に示す 1/5 相似粒度のまた,道床横抵抗力をまくらぎ底面成分とその他成分に分けて163.8単位: mm各面の荷重負担率を定性的に再現するモデルを開発し,翼付きまDEMでモデル化した範囲まくらぎの形状した実験 2)も行った.表-2 入力パラメータ3.3 次元 DEM によるシミュレーション道床密度 ρ d (kg/m3)本研究では YADE というオープンソースの 3 次元個別要素法解析アプリケーションを用いた.解析モデルの寸法は基本的に図-1 に示す模型実験と同一であるが,モデル全体の粒子数を減らし27.11726.85626.595個数 n (個)577905724056680形状密度 ρ sleeper (kg/m3)まくらぎした.Three-dimensional discrete element modelling for elucidation ofmechanism of lateral resistance of ballasted tracks1140mm翼付き23602289, 21432346, 1963ばね定数比 k s,sleeper/k n,sleeper0.3密度 ρ wall (kg/m3)土槽20mm翼付き50水平載荷速度 v y (m/s)解析ケースを表-1 に示す.ケース 1~3 は模型実験で用いた模45直方体剛性 E sleeper (MPa)摩擦角 f sleeper (°)ータは表-2 に示す通りであり,既往文献や予備解析に基づいて設500.3摩擦角 f ballast (°)上,バラスト粒子を球形粒子でモデル化した.粒度分布は図-2 に調整し直方体まくらぎと同じ質量にしたものである.入力パラメ2700ばね定数比 k s,ballast/k n,ballast化していない.また,定性的な再現を目指す段階においては便宜型まくらぎと同じ質量,ケース 4~5 はまくらぎの密度を意図的に球必要な粒子の全質量 M (kg)バラスト密度 ρ ballast (kg/m3)粒子剛性 E ballast (MPa)計算時間を短縮させる意図から,法肩より外側の法面部はモデル示す通りである.まくらぎは直方体要素を組み合わせてモデル化1600形状3)300.00132700剛性 E wall (MPa)50ばね定数比 k s,wall/k n,wall0.3摩擦角 f wall (°)45ローカルダンピング係数 α0.4タイムステップ Δt (s)8.7264E-06SHIGEKUNI, Yuuki (Yokohama National University)HAYANO, Kimitoshi (Yokohama National University)MOMOYA, Yoshitsugu (Railway Technical Research Institute)NAKAMURA, Takahisa (Railway Technical Research Institute) 定した.ただし,計算時間を短縮する意図から,バラスト粒子の剛性は実際①②③④よりも小さい値に,まくらぎの水平載荷速度は模型実験の約 200 倍に設定した.シミュレーションの流れは図-3 に示す通りであり,①土槽の内部に緩い状態でバラスト粒子を発生させ,②自重堆積させ,③上面のプレートと型枠を降下させ道床密度を調整した後,型枠の位置にまくらぎを発生させ,④プレート等を上昇させた後,まくらぎに載荷方向の速度を与えて強制的に水平変位を生じさせる,という流れである.載荷中は一定間隔で水平変位とまくらぎ各面の抵抗力を出力した.抵抗力は,まくらぎ各面と各バラスト粒子との接点における接触力の載荷方向成分の総和として算出した.模型実験と同様,3 次元 DEM においても別途,まくらぎ底面の摩擦抵抗力のみを対象としたシミュレーション 2)を行った.その際の解析モデルの寸法図-3 シミュレーションの流れや入力パラメータは本解析に準ずる.0.074.結果0.061 本を水平に引いた時の水平変位 2mm(1/5 スケールでは 0.4mm)における0.05水平荷重で評価されるが 1),その値は 40mm 翼付き>20mm 翼付き>直方体の順で大きくなり,3 次元 DEM により翼の効果を定性的に再現することができた.水平荷重 R (kN)図-4 に水平荷重と水平変位の関係を示す.道床横抵抗力は一般にまくらぎ0.040.030.02図-5 にはまくらぎ各面の荷重負担率と水平変位の関係を示す.3 種類のま0.01くらぎに共通する傾向として,底面の負担率は水平変位の増加とともに減少0.00し,側面の負担率は水平変位によらずほぼ一定で推移し,端面の負担率は水平変位の増加とともに増大していることが言える.しかし,まくらぎの形状質量の関係を示す.ここにはまくらぎ底面の摩擦力の結果も示している.23456水平変位 dh (mm)78910底面 側面 端面直方体(m=3.813kg)20mm翼付き(m=4.071kg)40mm翼付き(m=4.557kg)80荷重負担率 (%)図-6 には道床横抵抗力(水平変位 0.4mm における水平荷重)とまくらぎ1100面積と底面積を大きくすることを意味するが,元々の面積からの拡大率で言なり,結果として側面と底面の負担率が小さくなっていることが分かる.0図-4 水平荷重と水平変位の関係(DEM)によりその大小関係が変化する.側面に翼を付けるということは実質的に端えば前者が明らかに大きく,側面に翼を付けることで端面の負担率が大きく直方体まくらぎ(m=3.813kg)20mm翼付きまくらぎ(m=4.071kg)40mm翼付きまくらぎ(m=4.557kg)20mm翼付きまくらぎ(m=3.813kg)40mm翼付きまくらぎ(m=3.813kg)604020DEM で得られた道床横抵抗力は模型実験の約 1/4~1/5 と小さい値になり,0定量的な再現はできなかった.これはバラスト粒子を完全な球形粒子でモデル化したためと考えられる.しかし,図-6 から翼付きまくらぎによる道床横抵抗力向上のメカニズムを次のように考察することができる.すなわち,質0.20状の影響であり,翼付きまくらぎの場合,端面積の増加がそれに該当する.5.まとめ道床横抵抗力 R (kN)定の傾きの直線で表すことができる.それを上方に平行移動させる要因が形123456水平変位 dh (mm)78 道床横抵抗力 まくらぎ底面の摩擦力0.1640mm翼付き端面増の影響20mm翼付き0.120.083H端面増の影響端面・側面の影響直方体0.040.00再現するモデルを開発し,翼付きまくらぎによる道床横抵抗力の向上を質量効果と形状効果に分けて説明できることを示した.今後,定量的再現に向け質量の影響00.051) 楠田将之・山口義信・桃谷尚嗣・伊藤壱記:模型実験によるバラスト軌道の道床横抵抗力の検討,土木学会第 67 回年次学術講演会,2012.2) 重国祐貴・小池陽平・早野公敏:3 次元 DEM を用いたバラスト軌道におけるまくらぎ底面の摩擦挙動,第 9 回地盤工学会関東支部発表会,2012.道床横抵抗力 R (kN)て,非球形粒子の適用や法面部のモデル化を検討する必要があるが,計算時<参考文献>10模型実験3 次元 DEM により道床横抵抗力とまくらぎ各面の荷重負担率を定性的に間短縮のために計算機の性能向上とアルゴリズムの改良が不可欠である.9図-5 荷重負担率と水平変位の関係(DEM)量の影響はまくらぎ底面の摩擦力に対してのみ表れ,摩擦力は質量のみに依存することから,まくらぎ表面の摩擦係数を一定とすれば,質量の影響は一010002000 3000 4000まくらぎの質量 m (g)5000 道床横抵抗力 まくらぎ底面の摩擦力6000DEM0.0440mm翼付き0.03端面増の影響端面増の影響0.0220mm翼付き直方体0.01端面・側面の影響質量の影響原点を通る直線0.003000350040004500まくらぎの質量 m (g)5000図-6 道床横抵抗力とまくらぎ質量の関係3) https://yade-dem.org/doc/, 2013.12
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  • タイトル
  • FWDを用いた軌道支持剛性の評価方法に関する基礎的検討
  • 著者
  • 伊藤壱記・中村貴久・村本勝己・佐野 禎
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 13〜14
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62691
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会7C - 07 (富山)    2013 年 7 月FWD を用いた軌道支持剛性の評価方法に関する基礎的検討小型 FWD,軌道支持剛性,まくらぎ(公財)鉄道総合技術研究所 正会員○伊藤壱記(公財)鉄道総合技術研究所 国際会員 中村貴久 村本勝己(株) 東京測器研究所非会員佐野禎1. は じ め に鉄道のバラスト軌道は,列車の繰返し荷重によって沈下が生じるため,定期的に線形を検測し,必要に応じてタイタンパー(図 1)やマルチプルタイタンパー等によって補修を行っている.バラスト軌道の補修は,図 2 に示すように沈下した軌道をジャッキアップし,タイタンパーによってまくらぎ下にバラストを締固めてまくらぎを扛上するのが一般的であり,品質管理は施工後のレールの仕上り線形によって行われている.しかし,バラストの強度や締固め密度などの力学的な管理は行われておらず,バラストの締固め具合は作業者の技量に依存しているのが現状である.そこで,鉄道総研では,)軌道補修の高品質化を目的とし,小型 FWD 1),2(以下,FWD)を用いた軌道補修後の力学的な施工管ジャッキ理方法(以下,軌道支持剛性評価方法)の開発を進めている.本報では,軌道支持剛性評価法の有効性を確認するため,試験線において FWD を用いて軌道補修の効果を評価した結果について報告する.2.軌道支持剛性評価法の概要本研究で用いる FWD(図 3)は,主に盛土,路盤等の剛性を測定する装置であり,荷重計と加速度計が装置内部に内蔵され,重錘を自由落下させることで衝撃荷重を測定対象に与え,その時の荷重と加速度を変位に変換した値を時刻歴波形としてデータ収録が可能なシステムを有している.本研究では,この FWD を用いて,軌道補修前後の各まくらぎの支持ばね係数の分布と経時変化を評価する.図 4 に FWD 測定で得られるまくらぎの荷重-変位曲線の例を示す.この荷重-変位曲線の最大荷重 Pmax と最大変位 D max から支持ばね係数を算出するが,この荷重-変位曲線にはバラストの剛性だけでなく,路盤剛性,レールの曲げ剛性,締結装置の影響が含まれている.例えば,まくらぎの支持状態が良い場合は,図 4 に示すように,まくらぎは弾性的な応答を示し,支持ばね係数は大きくなる.一方,まくらぎがバラストに支持されていない浮きまくらぎ状態や,バラストや路盤の剛性が不十分である等,まくらぎの支持状態が悪い場合においては,支持ばね係数が小さくなると共に,荷重と変位の位相差が大きくなる.これらの,荷重-変位曲線の違いを分析することで,軌道補修前後のまくらぎの支持剛性を定量的に評価することができると考えられる.図1バラスト軌道の補修作業タイタンパージャッキアップ(b) タイタンパー図 2 タイタンパー補修の概念図挿入重錘落下まくらぎ荷重計加速度計図3FWD 試験の状況108荷重 (kN)(a)タイタンパーまくらぎの支持状態が悪い状態まくらぎの支持状態が良い場合64200.00.20.4変位 (mm)図4荷重-変位曲線(一例)Fundamental study on the evaluation method of track stiffness using the FWDK. Itou , T. Nakamura & K. Muramoto (Railway Technical Research Institute)T. Sano ( Tokyo Sokki Kenkyujo )130.6 まくらぎ左端部まくらぎ右端部支持ばね係数(MN/m)支持ばね係数(MN/m)まくらぎ左端部まくらぎ右端部支持ばね係数(MN/m)支持ばね係数(MN/m)3.試験線における軌道支持剛性測定試験軌道の諸元が 50N レール,PC まくらぎ 6 号の試験線で,PC まくらぎ 13 本分の区間において,タイタンパーによる軌道補修前後について,軌道支持剛性の測定を行った.軌道補修状況を図 5 に示す.軌道支持剛性測定試験は,下記の手順で行った.① 軌道支持剛性の測定およびレベル測量【軌道補修前】② タイタンパー補修(軌道扛上無し)【軌道補修 1】③ 軌道支持剛性の測定およびレベル測量図 5 試験線における軌道補修の状況④ タイタンパー補修(軌道扛上 10mm)【軌道補修 2】⑤ 軌道支持剛性の測定およびレベル測量補修範囲40なお,補修を行った範囲は,軌道補修前の支増加持ばね係数が比較的小さい箇所(まくらぎ 430本分)を選定した.20軌道補修前と軌道補修 1 の支持ばね係数の10分布を図 6 に,軌道補修 1 と軌道補修 2 の支0軌道補修前持ばね係数の分布を図 7 に,レールレベルの軌道補修140差分を図 8 に示す.増加30図 6 に示す軌道補修前と軌道補修 1 の支持20ばね係数を比較すると,補修を行うことで,補修範囲内の支持ばね係数が増加し,全体の10支持ばね係数が均一化したことを確認した.012345678910 11 12 13ただし,補修前後でレールレベルにはほとんまくらぎ番号ど違いがないため,列車荷重が作用していな図 6 軌道補修前と軌道補修 1 の支持ばね係数の分布いレールの変位分布では,まくらぎの支持剛補修範囲性を把 握す ること は困 難 である こと が確認40された.若干の増加減少30図 7 に示す軌道補修 1 と軌道補修 2 の支持20ばね係数を比較すると,補修範囲内の支持ば10ね係数には若干の増加が確認されたものの,補修範囲外の支持ばね係数(まくらぎ番号 40軌道補修1軌道補修240~7 にかけて)は却って減少した.また,図若干の増加減少8 より,軌道補修 2 のレールレベルは,レー30ルの曲 げ剛 性の影 響で 補 修範囲 外の まくら20ぎも持ち上げられていることがわかる.すな10わち,支持ばね係数が減少した範囲のまくら0ぎはバラストに支持されておらず,浮まくら12345678910 11 12 13ぎになっていると想定される.まくらぎ番号図7<参考文献>1) 舗 装 工 学 委 員 会 編 : FWD お よ び 小 型FWD 運用の手引き,土木学会,2002.2)(財)鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 土構造物,2007.1補修範囲左レール右レールレールレベルの差分(mm) レールレベルの差分(mm)4.おわりに本研究で得られた知見より,軌道支持剛性評価法が有効であることがわかった.今後は,現地測 定で 軌道補 修後 の まくら ぎ支 持剛性分布と軌道変位進みの相関関係を検討し,本評価法の更なる深度化を進める予定である.軌道補修 1 と軌道補修 2 の支持ばね係数の分布20軌道扛上100-10-20軌道補修1と軌道補修前の差分軌道補修2と軌道補修1の差分20軌道扛上100-10-20123456789101112まくらぎ番号図814軌道補修前後のレールレベルの差分13
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  • タイトル
  • 三軸圧縮試験および小型FWD試験による路盤材料の変形特性と乾燥密度について
  • 著者
  • 木幡行宏・山本健一・斎藤昌之
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 15〜16
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62692
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会8H - 06 (富山)    2013 年 7 月三軸圧縮試験および小型 FWD 試験による路盤材料の変形特性と乾燥密度について路盤材料変形特性乾燥密度室蘭工業大学大学院道路工業㈱1.まえがき国際会員正会員山本100得られた小型 FWD 試験による KP.FWD 値と乾燥密度,現場密度の関係を検討するとともに,小型FWD 試験を実施した現場の路盤材料を用いて,低拘束圧を含む圧密排気排水三軸圧縮試験を行い,80Percentage passing (%)による施工管理を目的として,舗装工事現場から初期粒度Dmax 38.10mmD50 11.45mmUc17.50mm60相似粒度20.00mm5.71mm17.70mmNo.402000.0010.01路盤材料の変形特性について検討した後,三軸圧行宏健一,齊藤昌之表-1初 期粒 度相 似粒 度本研究は,小型 FWD 試験装置を用いた剛性評価○木幡0.11試験条件初期乾燥密度拘束圧3(g/cm )KL-11.950KL-21.953KM-11.950KM-21.952KH-11.950KH-21.964(kPa)24.939.258.810Grain size (mm)図-1縮試験から得られる変形係数 Etan のひずみレベル粒径加積曲線1000依存性の検討から小型 FWD 試験による KP.FWD 値の妥当性を検現場,下層路盤 150 mm,凍上抑制層 570 mm)において小型FWD 試験ならびに平板載荷試験,突き砂による土の現場密度試験を実施するとともに,現場の試料を用いて室内三軸試験を実K30値(MN/m 3)討した。2. 試験試料および試験方法本研究では,北海道京極町(羊蹄京極地区 第 34 工区舗装工事岩内町276号線切込砕石岩内町276号線切込砕石京極切込砕石(本研究)京極切込砕石値とK3030値KKP.FWD値とKP.FWD(文献調査)(文献調査)粘性土砂質土砂質礫クラッシャランクラッシャラン100施した。ただし,室内三軸試験に用いた試料は,試験装置の制logK30=0.861+0.352logKP.FWD+0.077(logKP.FWD)2約から図-1 に示すように最大粒径 20.0 mm となるように相似粒度で調整した。なお,別途実施した室内締固め試験より,最大10103100乾燥密度(d)max= 2.065 g/cm ,最適含水比 wopt=10.45 %を得た。表-1 に本実験における試験条件を示す.拘束圧の高い順に,供図-2試体 No.を KH,KM,KL とした. 供試体は,直径 15 cm,高さ800試験を行った。試験時の変位量の測定は,供試体作製時に生じる供試体上下端面の緩み層やろ紙などに起因するベディングエラーの影3KP.FWD値(MN/m )載荷式振動バイブレーターによって,6 分間,振動締固めを行い,圧を負圧によって 12 時間程度与え続け, その後,単調載荷三軸圧縮K30~KP.FWD 関係100036 cm の円柱形であり,モールドに試料を 6 層に分け,各層毎に上供試体を作製した.供試体作製終了後,等方応力状態で所定の拘束1000KP.FWD値(MN/m3)響を考慮して,軸変位量を局所変形測定装置(Local Deformation600岩内洞爺線切込砕石(2009)岩内洞爺線切込砕石(2008)研究室裏本部棟裏体育館裏岩内町276号線切込砕石京極切込砕石(本研究)400200Transducer,LDT)によって測定した。なお,LDT では軸ひずみが相関係数 R=0.87101.4約 2 %までしか測定できないため,それを越える範囲の軸ひずみはに設置して側方変位を測定した。2.2試験結果及び考察KP.FWD 値と K30 値の関係図-2 は文献調査で収集・整理した K30 値~KP.FWD 値関係に ,今回の原位置試験で得られた KP.FWD 値と平板載荷試験による K30 値の関係をプロットしたものである。今回の原位置試験で得られたデータにおいても文献調査で収集・整理したデータに基づいて得られた(1)式の関係に概ね一致することが確認された。log K30 = 0.861 + 0.352 (log KP.FWD)+ 0.077 (log KP.FWD)3.2現場密度(g/cm3)2.01)1.71.81.92.02.12.2KP.FWD~d 関係図-3した値を用いた。また,1 対の非接触変位計を供試体の上下 2 ヶ所3.11.6乾燥密度 ρd (g/cm3)外部変位計による測定値からベディングエラー量を差し引いて補正3.1.5岩内洞爺線切込砕石(2009)岩内洞爺線切込砕石(2008)研究室裏本部棟裏体育館裏岩内町276号線切込砕石京極切込砕石(本研究)1.81.61.4(1)10100KP.FWD 値と乾燥密度,現場密度の関係1000KP.FWD値(MN/m3)今回の試験現場での KP.FWD 値と乾燥密度の関係を図-3 に示す。な図-4KP.FWD~t 関係Deformation property and dry density of base course material by triaxial compression test and portable FWD test : Yukihiro Kohata(Muroran Institute of Technology), Kenichi Yamamoto and Masayuki Saito (Doro Kogyo Co., LTD.)15 お,図中には過去の実験データも示されている。両者は一義的な関1200係にあることが分かる。図-4 は今回の試験結果及び過去の実験デ1100は,1.4 < ρt < 2.3 g/cm3 において,一義的な関係にあり概ね(2)式で示される関係にある。ρt = 0.65906 × log(KP.FWD) +0.326363.3(2)軸差応力~軸ひずみ関係図-5 に各供試体に対して実施した三軸圧縮試験による軸差応力 q1000σc’=58.8 kPa900Deviator stress, q (kPa)ータより得られた KP.FWD 値と現場密度の関係を示す。両者の関係800700600500400300σc’=39.2 kPa200と軸ひずみa の関係を示す。図-5 及び表-1 より,拘束圧毎の最大100σc’=24.9 kPa0軸差応力 qmax の値に,初期乾燥密度のばらつきによる影響は見ら012700KL-1   KL-2KM-1KM-2KH-1KH-2れは,供試体作製時の上載荷式振動バイブレーターにより締固めを600を各供試体で比較すると,拘束圧が大きくなるほど E0 値は概ね大きくなることが分かる。3.4Deviator stress, q (kPa)行う際の応力がせん断時の拘束圧より大きく,供試体が過圧密状態q-εa 関係を εa = 0.005 % まで拡大した図である。εa = 0.002 %以下で300σc’=39.2 kPa200σc’=24.9 kPa00.000.040.060.080.100.120.140.160.180.20q~a 関係(a=0.2 %まで)図-650示す。図-8 より,接線変形係数 Etan の軸ひずみレベル依存性は,低拘束圧の場合,供試体作製時の締固めの影響により,q-εa 関係が S   E0(kPa)KL-1  357.8 KL-2184.0KM-1503.5KM-2378.9KH-1459.6KH-2800.940Deviator stress, q (kPa)土では KP.FWD 値と K30 値が 2:1 の関係 1), 2)にあることに起因すると0.02Axial strain, a (%)した EP.FWD 値及び平板載荷試験による K30 値から算出した E30 値を値に比べ,EP.FWD 値がやや大きめの値を示している。これは,礫質7400ソン比= 0.3 と仮定して,小型 FWD 試験による KP.FWD 値より算出と E30 の値を示したが,同じひずみレベルで Etan と比較すると,E306500図-8 に接線変形係数 Etan の軸ひずみレベル依存性,ならびにポアに増加した後,減少傾向を示すことが分かる。また,図には EP.FWD5σc’=58.8 kPa100変形係数の軸ひずみレベル依存性字型を示すことから,小ひずみレベルでの Etan は小さく,載荷と共4q~a 関係(全体)図-5において KL-1,KL-2 の q-εa 関係が S 字カーブを描いているが,この q-εa 関係の接線勾配として,初期変形係数 E0 が得られる。E0 値3Axial strain, a (%)れない。図-6 は q-εa 関係を εa = 0.2 % まで拡大した図である。図-6になり,弾性的性質が卓越したためであると推察される。図-7 は   σc  qmax(kPa)24.9  514.9 24.9 526.839.2 717.639.2 686.058.8 903.358.8 911.5KL-1 KL-2KM-1KM-2KH-1KH-230σc’=39.2k Paσc’=58.8 kPa2010考えられる。以上より,原位置地盤状態と同じであれば,室内三軸試験による Etan と原位置試験による EP.FWD,E30 は,同じひずみレ図-7していると考えられる.4. まとめ本研究で提案した現場密度と log(KP.FWD)の関係式を用いて小型FWD 試験による KP.FWD 値で締固め管理を行うことの可能性が明らかにされた。(2) 変形係数のひずみレベル依存性と礫質土の KP.FWD 値と K30 値が2:1 の関係にあることを考慮すると,同じひずみレベルで Etan ,EP.FWD,E30 の値に矛盾がないことから,KP.FWD 値は路盤の剛性を妥当に評価していると考えられる.Tangent Young's modulu, Etan (MPa)800案してきた KP.FWD 値と K30 値の関係式の妥当性が確認された。また,0.0010.0020.0030.0040.005Axial strain, a (%)ベルで矛盾はないと考えられ,KP.FWD 値は路盤の剛性を妥当に評価本研究で得られた知見をまとめると以下のようである。(1) 本研究で対象とした路盤材料においても,これまで著者らが提σc’=24.9 kPa00.000q~a 関係(a=0.005 %まで)KL-1KL-2KM-1KM-2KH-1KH-2EP.FWDE30σc’=58.8kPa700600σc’=39.2kPa500400300200100σc’=24.9kPa00.0010.010.11Axial strain, a (%)図-8Etan~a 関係謝辞:本研究では,試料の作製,実験及びデータ整理に室蘭工業大学工学部4年生(当時),猪狩功貴君および尾野純平君の協力を得た。ここに記して深甚なる感謝の意を評します。《参考文献》1) 木幡行宏,更谷聡彦:文献調査による小型 FWD の K 値と K30 値の比較・検討,第 62 回土木学会年次学術講演会,第Ⅴ部門,pp.237-238,2007.9.,2) 関根悦夫,鴨智彦,阿部長門,丸山輝彦:重錘落下による鉄道盛土の締固め管理方法,土と基礎,Vol.48,No.4,pp.13-16,2000.16
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  • タイトル
  • 混合地盤材料のレジリエントモデュラスに及ぼす配合条件の影響
  • 著者
  • 山中光一・峯岸邦夫・下邊 悟
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 17〜18
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62693
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会9D - 07 (富山)    2013 年 7 月混合地盤材料のレジリエントモデュラスに及ぼす配合条件の影響改良土路床 弾性係数日本大学大学院学生会員○山中 光一日本大学理工学部国際会員峯岸 邦夫日本大学理工学部国際会員下邊悟1.はじめに舗装設計は,従来の仕様規定から性能規定に移行するに伴い,使用材料の自由度は増してきている。近年の社会背景を考えれば,建設発生土や廃棄物等を利用できれば,環境負荷低減にもつながる。これらに対応できる材料に,混合地盤材料が挙げられるが,性能規定に移行するに伴い,設計方法も理論的設計方法に移行する傾向にあり,舗装各層の弾性係数等が必要となる。しかし,混合地盤材料の弾性係数は示方書等では示されていないのが現状である。そこで本研究では,今後様々な混入材が用いられることを想定し,剛性の異なる混入材を混入させた混合地盤材料を作製し,その弾性係数を把握することを目的に,レジリエントモデュラス(以下,Mr と呼称)試験を行い結果の考察を行った。表-12.試料および試験方法試料は,千葉県船橋市内より採取した関東ローム(ρs=混入材の種類2.85g/cm3,wL=139.3%,Ip=42.0)を母材とし,混入材は,0.033g/cm3,以下,EPSB と呼称)とガラスビーズ(ρ=2.476g/cm3,以下,GB と呼称)を用いた。また,固化材として普通ポルトランドセメントを用いた。関東ロームは,ふるいにかけたものを用いた。混入材は供試体内を占める載荷条件割合が体積比で 10,30%になるように混入させ,固化材は予備載荷123456789101112131415関東ロームの乾燥質量に対して 18,25,30,35%混入させた。また,関東ロームは,混入材の混合具合をよくするために加水法により含水比 w=120%になるまで加水をして調節した。供試体は,専用モールドと 2.5kg のランマーを用いて 3 層 5 回で締め固めて作製した。配合条件を表-1に示す。Mr 試験は,ハーバーサイン波を用いて舗装調査・試験法便覧 1)の中に示されている 15 通りの載荷条件を用いて試験を行った。用いた載荷条件を表-2に示す。得られた試験結果は,偏差応力σd と Mr の関係で比較をして考察を行った。3.試験結果および考察18,25,30,35湿潤密度ρ t (g/cm3)1.31.11.51.70表-2採取後,含水比が w=90%になるまで室内乾燥させ,2mm固化材混入率(%)10301030EPSB(発泡ビーズ)GB(ガラスビーズ)なし(関東ロームのみ)ほぼ同様な粒径分布を示す剛性の異なる発泡ビーズ(ρ=配合条件混入材混入率(%)拘束圧 σr1.4Mr 試験の載荷条件偏差応力 σd 主応力和 θ(kN/m2)(kN/m2)(kN/m2)載荷回数(回)41.441.441.441.441.441.427.627.627.627.627.613.813.813.813.813.827.613.827.641.455.268.913.827.641.455.268.913.824.837.349.762.0151.8138.0151.8165.6179.4193.196.60110.4124.2138.0151.755.2066.2078.7091.10103.41000100100100100100100100100100100100100100100100図-1,図-2は,固化材混入率である。両図に注目すると,EPSB を混入させた試料は,混入材混入率が増加するにつれ Mr の値は減少傾向を示し,GB を混入させた試料は混入材混入率が増加するにつれ Mr の値は増加していることがわかる。これは通常の静的試験の結果 2)とほぼ同様な傾向を示している。図-3~図-6は,各混入材にお100LOAM C18EPSB V10 C18EPSB V30 C18GB V10 C18GB V30 C18908070レジリエントモデュラス Mr MN/m2係を混入材混入率別に例示したもの100レジリエントモデュラス Mr MN/m218,35%における Mr と偏差応力の関6050403020100LOAM C35EPSB V10 C35EPSB V30 C35GB V10 C35GB V30 C359080706050403020100020偏差応力図-14060σd kN/m2Mr-σd の関係(固化材 18%)Effects of mixture material and cement contents on resilientmodulus of composite geomaterial80020図-24060偏差応力 σd kN/m280Mr-σd の関係(固化材 35%)Kohichi YAMANAKA Nihon UniversityKunio MINEGISHI Nihon UniversitySatoru SHIMOBE Nihon University17 ける Mr と偏差応力の関係を固化材い 18%,25%程度では固化材混入率が増加するにつれて Mr の値は増加傾向を示したが,固化材混入率 30%以上になると Mr の値に大きな差は見られなくなるような傾向を示した。100EPSB V10 C1890レジリエントモデュラス Mr MN/m2図に注目すると,固化材混入率の低レジリエントモデュラス Mr MN/m2混入率別に例示したものである。各100EPSB V10 C2580EPSB V10 C3070EPSB V10 C356050403020100これは,固化材混入率が増加したこEPSB V30 C1890EPSB V30 C2580EPSB V30 C3070EPSB V30 C356050403020100020とにより母材の強度が増加するため,4060偏差応力 σd kN/m2図-3母材が混入材を圧縮するような形に80020偏差応力Mr-σd の関係図-4(EPSB 10%)なり,供試体の変形が混入材の変形4060σd kN/m280Mr-σd の関係(EPSB 30%)に依存することからこの様な結果にこれは,拘束圧の影響であるといえるが,混合地盤材料の場合には拘束圧が変化すると,母材の変形も拘束60されるため供試体内に含まれている100GB V10 C18GB V10 C2580GB V10 C3070GB V10 C355040302010Mr MN/m2の値には差があるのが見てわかる。9090レジリエントモデュラスぼ同様な偏差応力を載荷しても MrMr MN/m2図-1~図-6に注目すると,ほ100レジリエントモデュラスなったと考えられる。600混入材の影響を受けやすくなりこのような結果になったと考えられる。80705040GB V30 C1830GB V30 C2520GB V30 C3010GB V30 C350020図-5また,通常では Mr の値は偏差応力4060偏差応力 σd kN/m2080Mr-σd の関係204060偏差応力 σd kN/m2図-6(GB 10%)80Mr-σd の関係(GB 30%)が増加するにつれ減少傾向を示すことが知られている。各図に注目すると,固化材混入450率が少ない場合や EPSB を 30%混入させた場合には,400しているが,固化材混入率が多い場合や GB を混入350値は増加する傾向を示した。これは,固化材混入率を増加させることにより,供試体の剛性が増加したことが原因と考えられるが,供試体の破壊強度に対軸応力させた場合には,偏差応力が増加するにつれ Mr のσa kN/m2偏差応力が増加するにつれ Mr の値は減少傾向を示Mr載荷応力EPSB V10 C18EPSB V10 C25300EPSB V10 C30250EPSB V10 C35200EPSB V30 C18150EPSB V30 C25する載荷応力の大きさも原因の一つと考えられる。100今回用いた載荷条件と EPSB の三軸圧縮試験結果か50ら得られたモール・クーロンの破壊規準を比較した0EPSB V30 C30EPSB V30 C350ものを図-7に例示する。図に注目すると,Mr 試1020304050拘束圧 σr kN/m2験の載荷応力は本研究で用いた配合条件における破壊規準は越えていないことがわかる。今回の研究範図-7軸応力と拘束圧の関係(EPSB)囲内では結論に至ることはできなかったが,破壊規準内であっても Mr の値が減少していることから,今後さらに検討が必要である。4.まとめ本研究から得られた結果を以下に示す。①混入材混入率が増加するにつれ,剛性の高い混入材を混入させた場合は Mr の値は増加傾向を示し,剛性の低い混入材を混入させた場合は減少傾向を示す。②混合地盤材料の Mr は,固化材混入率が増加すると母材が混入材を圧縮するような形になり,供試体の変形が混入材の変形に依存することとなりその差異は現れなくなる。③Mr と偏差応力の関係は,配合条件によっては偏差応力が増加するにつれ Mr の値も増加傾向を示す場合がある。参考文献1)(社)日本道路協会:舗装調査・試験法便覧,第4冊,2007 年,2)峯岸・小川・福盛田・山中:粒状材料を混入した地盤材料の強度変形特性に及ぼす混入材剛性の影響,第 40 回土木学会関東支部技術研究発表会,第Ⅲ部門,CD-ROM,2013 年18
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  • タイトル
  • アスファルト舗装下の路盤・路床の繰返し載荷時の変形特性
  • 著者
  • 佐藤修治・高橋茂樹・小野義道・山田眞一・木幡行宏
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 19〜20
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62694
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会10D - 07 (富山)    2013 年 7 月アスファルト舗装下の路盤・路床の繰返し載荷時の変形特性路盤繰返し三軸基礎地盤コンサルタンツ(株)東日本高速道路㈱株式会社関東支社正会員 ○佐藤修治 山田眞一技術部高橋茂樹ネクスコ東日本エンジニアリング 土木保全計画部室蘭工業大学大学院工学研究科国際会員小野義道木幡行宏1.まえがき近年,高速道路では,供用年数の経過とともに,表・基層のみならず,アスベースからの打換が必要となる箇所が目立ち始めている.これを踏まえ,損傷実態の把握と今後の補修方法を検討する目的で,アスコン全層打換を行う供用路線の補修工事に先駆け,開削調査を実施した.本開削プロジェクトでは,アスコンのみならず,通常の現地調査では確認が難しい,下層路盤や路床についても,20 年間に渡る交通荷重の下で,どのような状態になっているか様々な調査を行っている.今回,その一環として,路面の損傷状態が異なる数地点から,路盤と路床の不撹乱試料を採取し,三軸試験を用いて繰返し載荷時の変形特性の相違について検討を行った.本論文は,その一報として路盤・路床の変形特性試験方法の詳細と試験結果の一例を報告する。表-1 試験方法の対比レジリエントモデュラス試験本報告で採用した試験方法2.試験方法1)予備載荷1000 回の予備載荷-舗装の分野では路盤・路床2)載荷周波数0.1 秒載荷、0.9 秒休止のハーバーサイン 0.1Hz のハーバーサイン波の変形特性試験としてレジ波リエントモデュラス試験が2)載荷波形ハーバーサイン波ハーバーサイン波一般的に実施されている。100113)繰返し回数この試験方法は,現行の地24.5->49->73.5kPa拘束圧41.2->,20.6->2.94kPa(路床)盤工学会基準(JGS 0542 地20.6->34.3->68.7->104->138.3kP盤材料の変形特性を求めるa(路盤)ための繰返し三軸試験方H/D=2H/D=1.5供試体寸法比4)試料の作成方法突き固め不攪乱,GP による端面、側面カット法)と比較する試験方法と路盤・路床の互層して様々な問題点があるた5)変位の測定方法ギャップセンサー又はLVDTLDT 2 対め,地盤工学会基準に準拠6)Vs,Vp 試験繰返し載荷前に Vs,Vpし舗装下の路盤・路床に特7)飽和・不飽和最適含水比で突き固めた不飽和状 雨水流入による影響を調べるため不飽有な点を加味して表-1 に態和(原位置状態)、飽和で実施,片面排水,示すような試験方法を採用非排水でも実施した。8)静的載荷試験後に載荷表-1 に本報告で用いた試9)透水試験静的試験後に透水試験験方法とレジリエントモジ4)供試体路盤又は路床路盤・路床の互層ュラス試験方法と対比して2.5示す。また、その詳細を以下に示す。1) 予備載荷:実施する目的として試験方法に記述がないが、対象2が礫分を含んでいるため端面の凹凸が存在する可能性があるため1.5端部と載荷面との密着をよくするためと推測される。本試験では1LDT を用いて区間変位を測定すること,及び不攪乱材料の弾性定0.5数を求めるためには予備載荷の影響が大きいと判断されたため予備載荷を実施しない。001020304050602)載荷波形: レジェンドモジュラス試験で車の輪荷重を模擬して経過時間(sec.)0.1 秒載荷、0.9 秒休止のハーバーサイン波が用いられているが弾性定数図-1 ハーバーサイン波を評価するのであれば休止時間は必要がないと考えられるため図-1 に示すようなハーバーサイン波とした。また,弾性定数に速度依存性がほとんどないと考えるため周波数は 0.1Hz とした。3)繰返し回数:JGS に準拠し 11 波とした。4)供試体の作成方法:原位置よりブロックサンプリングにより 30×30×35cm の試料を採取し,これを GP サンプリングの方式でコアリングし端部を GP サンプリングに用いる端面カット装置を用いて写真-1 ブロック試料のコア抜き後の状況写真-2 試験後の供試体整形を行った。ブロックのコア抜き後の状況と供試体を写真 -1,2に示す。写真-2 に示すように供試体は路盤(下層)と路床(上部)の互層とした。これは、試料が原位置にあるがままcyclic loading behavior of base course and subgrade under asphalt pavement; S.Takahashi(East Nippon Expressway CompanyLimited),Y.Ono(Nexco-East Engineer Company Limited),S.Sato , S.Yamada(Kiso-Jiban Consultants Co.,ltd)& Y.Kohata(MuroranInstitute of Technology)19 ロードセルLDT加速度計ロードセル路盤の変位測定用LDT境界の変位測定用LDT路盤路盤と路床の層境界路床の変位測定用LDT写真-3 各センサー設置状況路床供試体上部排水コック供試体下部排水コックの状態で繰返し載荷時の変形特性を求めること及び、原位置の路盤(下層)の厚さがで 10~15cm 程度と薄いためである。排水コックの状態5)変位の測定方法:図-2 に示すように LDT を路盤・路床排水条件の排水コックのパターン上部下部に一対づつセットした。レジリエントモデュラス試験で①排水条件:路盤の上部、路床の下部が排水層となっている場合②非排水条件:路盤の上部、路床の下部が排水を許されない状況となっている場合はセルの外部に変位計を取り付けている。そのため、③片面排水条件:路盤の上部が排水される条件、路床の下部や層境界が排水を許されない状況となっている場合Bedding Error を含んだ変位を測定するため剛性を過小コックが開いている状態(排水状態)コックが閉じている状態(非排水状態)評価すると考えられる。また, ロードセルがセルの外に図-2 本報告で用いた試験装置の模式図設置されており精度良い試験は難しいと判断される。6)Vs,Vp の測定:写真-3 に示すように加速度センサーを設置し Vs,Vp を測定した。7)飽和・不飽和:雨水の浸透により路盤・路床が不飽和状態から飽和状態に変化することが考えられる。一般に飽和すると強度、剛性は低下する。そこで,浸透した雨水により試料が飽和した場合の影響を検討するため飽和状態と原位置状態(不飽和)の条件下で排水状態で繰返し載荷を実施した。また,原位置では轍部で Pumping 現象がみれらたためその状態を模擬する目的で上記の条件に加え片面排水,非排水状態で繰返し載荷を実施した。8)静的載荷: 繰返し載荷による剛性との比較のため繰返し試験後に静的載荷を実施した。9)透水試験:不攪乱試料では輪荷重により材料の細粒化が生じている可能があるため透水試験を実施した。3.試験結果4000図-3,図-4 は,以下の試料,条件で実施した試験結試料番号:72工区A-1圧力計σc'=73.5kN/m21)試料:写真-2 上信越道72 工区 表層種別:密粒,A-1(健全箇所)で採取した試料2)試験条件:不飽和及び飽和条件拘束圧=73.5KN/m2 排水繰返し図から以下のことがわかる。①路床(上部)の剛性が路盤(下層のそれよりヤング率 E (MN/m 2)果である。3000繰返-路盤繰返し-路床2000繰返-路盤(不飽和)繰返ー路床(不飽和)1000も相当大きい。②路盤・路床の剛性供に飽和することにより著00.0001しく低下する。このとから路盤の損傷は雨水0.0010.01軸ひずみ(%)の流入による剛性の低下の影響が大きいと考えられる。図-3③ひずみの増加に伴い剛性が低下する。E~εa 関係試料番号:72工区A-1σc'=73.5kN/m2剛性付近まで低下することがわかる。原位置の拘束圧は 73.5kN/m2 よりも相当低いと考えられ, 実際にはこの基準値を下回っていると思われる。ヤング率 E (MN/m2)=49kN/m2(トラック(貨物)相当の輪荷重)ではした路盤の剛性の基準 CBR30 の 10 倍に相当する11500④図-4 の横軸は輪荷重に相当する。図からσ路盤が飽和するとその剛性は図に直線(赤)で示0.11000繰返-路盤繰返-路盤(不飽和)5004.まとめ本報告は,紙面の制約もあり試験方法と試験結果速報である。今後,場を改めて本調査の全体,試験結果01の詳細について報告する予定である。105010030 49軸応力 σ(kN/m2 )図-420E~σ関係1000
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  • タイトル
  • 移動輪荷重を受ける透水性アスファルト模型舗装の挙動について
  • 著者
  • 吉田信之・谷 俊平
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21〜22
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62695
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会11H - 06 (富山)    2013 年 7 月 移動輪荷重を受ける透水性アスファルト模型舗装の挙動について透水性舗装 模型実験 移動荷重神戸大学大学院 谷 俊平神戸大学都市安全研究センター 国際会員 ○吉田信之PP PP PPPP PP 1. はじめに 現在,透水性アスファルト舗装の構造設計は経験的手法で行われているが将来的に理論的設計法を構築していくためには,わだち掘れやひび割れのような損傷とともに機能低下のメカニズムを十分に把握しておく必要がある。筆者らは実験棟内で製作した透水性アスファルト模型舗装を用いて移動輪載荷試験を実施することによって,舗装の応答,損傷および透水機能低下の進行について調べている。本報では,試験の概要と得られた結果の一部を報告する。2. 試験概要 試験装置は,模型舗装ユニット,移動輪載荷ユニット,計測制御ユニットから構成されている。模型舗装と移動輪載荷ユニットの外観を図-1 に示し,舗装断面を計器埋設位置とともに図-2 に示す。模型舗装の表基層は 60mm 厚のポリマー改質 H 型を用いたポーラスアスファルト混合物(13),上層路盤は 40mm 厚のポリマー改質 II 型を用いた透水性瀝青安定処理混合物(25),下層路盤は 120mm 厚のクラッシャラン(C-30),路床は 200mm 厚の豊浦標準砂である。各材料の諸特性を表-1 に示す。舗装厚は,設計 CBR12%,設計期間 10 年,交通表-1 模型舗装に使用した材料の諸特性 量区分 N7,浸透水量 1000ml/15s 以上という条件での実舗装断面例を参考に,試験装置の寸法上の制約を考慮して決定したものである。空隙率 安定度 フロー値 動的安定度 アスファルト(%)(kN) (1/100cm) (回/mm)の種類模型舗装の平面寸法は幅 800mm,奥行 1000mm である。ポーラスアスポリマー改20.2 5.2130≧6,000ファルト混合物質H型 模型舗装は,載荷台上に最下層(路床)から順に該当する鋼製型枠を透水性瀝青安定ポリマー改積み重ねながら作製していく。路床および下層路盤については,そ18.9 5.3128̶処理混合物質II型れぞれ最適含水比に調整した材料を該当型枠内に敷き詰めてタンパ最適含水比最大乾燥密度(%)(g/cm3)ーにて突き固めて作製した。また,上層路盤および表基層についてクラッシャラン2.2675.2は,事前に実施した混合物の配合設計に従って所定の材料を小型ア豊浦標準砂1.58414.2 スファルトミキサーにて所定の温度に加熱混合した後,小規模実施工と同じ方法でタンパーおよび振動ローラーを適宜用いて埋設計器に悪影響が出ないよう注意しながら転圧を行い作製した。並行して図-2 に示すように各計測器(土圧計,ひずみ計,間隙水圧計,水分計,熱電対)の埋設も行い,また路面上には車輪走行位置を挟んで複数のターゲットを貼り付けた。 移動輪載荷ユニットは,図-1 に示すように鋼製載荷枠上に固定した 2 本のアルミ製ガイド板に沿って設置したボールねじに取り付けた車輪ユニットを模型舗装上で奥行き方向に往復運動させる装置である。車輪は,半径 85mmのアルミ製円盤の外周に 15mm 厚の硬質ゴムを貼り付けたものであり,その幅は 100mm である。車輪の走行は,AC サーボモーターによるボールねじの回転運動を往復運動に変換して行い,走行速度はサーボアンプによって任意図-1 模型舗装と移動輪載荷装置 に 制 御 で き る 。 今 回 の 試 験 で の 輪 荷 重 は 1.37kN(接 地 圧 = 約2507kN/m ),往復スパンは 780mm(模型舗装端部から 110mm のところで反転させるため),走行速度は 19.32m/min(ホイールトラッキング試験の 2 倍)である。以下では,1 往復走行を載荷回数 2 回として試験結果の整理を行っている。 環境条件として模型舗装を(a)室温,(b)路面温度 60℃一定,(c)散水・室温,(d)散水後・路面温度 60℃一定の 4 条件を設定して,各条件で 1 万回載荷しながら(a)から(d)まで試験を行った。なお,路面温度の昇温には 6 個の 500W レフランプを用いて行い,赤外放射温度計を用いて路面温度を複数点で測りながら各レフランプを点灯消灯PPすることによって温度PPPPを維持した。また,散水に際しては特に流量1RPP1Rを測ることはせず,ホPPPP ㌴㍯㉮⾜ースを用いて植木に散PP఩⨨PP PP1R1R水するように路面全面にまんべんなく散水しPPPP1Rて,模型舗装が構築さ1RPPれている載荷台から水PPがしばらく流出するまഃ⥺㸯ഃ⥺ ഃ⥺ で続けた。図-3 透水量試験の実施箇所 図-2 舗装断面と埋設計器 Behavior of porous asphalt pavement under moving wheel loadin laboratoryYOSHIDA, Nobuyuki Kobe UniversityTANI, Syunpei Kobe University21 また,走行試験中は舗装温度を計測し,所定の載荷回数時に土圧,ひずみ,間隙水圧,路面凹凸を測定し,1 万回載荷終了後に図-3 に示すように路面の車輪走行位置を含む 6 箇所で透水量試験1)を実施した。3. 試験結果および考察 図-4 に試験中の舗装温度の推移の一例を示す。同図(a)は 60℃一定条件での温度変化であり,(b)は室温条件と 60℃一定条件で載荷 0,1000,10000 回時の温度の深さ方向の分布である。図から,路面温度 60℃一定条件の温度変化は走行試験開始後しばらくの間レフランプによる温度調整がうまくいかなかったため路面温度は 60℃に達していないが,載荷回数 3000 回以降は概ね 60℃に維持されていると言える。なお,試験は 12 月に実施したため,気温は実験建屋内でも約 10 度と低く試験中の変化はほとんど無い。深さ方向の分布を見ると,アスファルト混合物層内の温度勾配が大きく,また表基層と上層路盤それぞれの中間位置での温度は約 53℃(1 万回時)と約 39℃(1 万回時)であり,室温条件時の約 10℃よりかなり高い。室温条件では,載荷 1 万回時に温度が 3℃程度下がってはいるが試験中および深さ方向の温度変化はほとんど無いと言っても過言ではない。 次に,室温および 60℃一定条件の時に車輪走行位置直下で得られた鉛直土圧のピーク値の推移を図-5 に示す。室温条件では路床上面で約 6kPa,路床下面で約 5kPa の鉛直土圧が生じており,載荷回数の増加に伴う変化はほとんど見られない。一方,60℃一定条件では路床上・下面での鉛直土圧は載荷初期に急増したのち載荷約 500 回以降は漸増していることが認められる。なお,室温条件ではわだち掘れはほとんど生じていない。さらに,図-6 は室温および(a)温度の変化(60℃一定条件) 60℃一定条件での路床下面で得られた鉛直土圧の水平方向の分布である。60℃一定条件では,いずれの載荷回数でも車輪中心直下で最も大きな土圧が生じており,中心から離れるに従って土圧が低下している。図では分かりにくいが,車輪中心直下と 200mm(車輪半幅の 4 倍)離れた位置での鉛直土圧の比は載荷 0 回時で 0.66 であるが,載荷回数の増加とともに 0.59(載荷 1 万回時)まで漸減する。温度上昇に伴うアスファルト混合物層の荷重分散力の低下,さらに繰返し載荷に伴うわだち掘れの進行による影響も加わって車輪中心直下に大きな鉛直土圧が生じたと考えられる。ちなみに,車輪走行位置で約 10mmのわだち掘れが生じていた。300mm(車輪半幅の 6 倍)離れた位置での鉛直土圧の比の変化には明確な減少や増加の傾向は認められず平均で 0.30 である。次に,室温条件では,車輪中心直下と 200mm 離れた位置でほとんど同じ大きさの鉛直土圧が生じている。両位置で鉛直土圧の比は約 0.97 で載荷回数に伴う変化はほとんど無い。アスファルト混合物層のスティフネスがかなり大きく(b)温度の深さ方向分布 荷重分散力が高いため,車輪中心直下での鉛直土圧は 60℃の場合よりも小さ図-4 舗装温度の推移 くなっているが,200mm 離れた位置の土圧は 60℃の場合より 0.5~2kPa 程度大きくなっている。一方,300mm 離れた位置での鉛直土圧は急減しているが,車輪中心直下の鉛直土圧との比は載荷回数による変化がほとんど無く約 0.49である。また,60℃の場合と比べると 200mm 離れた位置と同じ程度に大きい鉛直土圧になっている。 次に,走行試験終了後に図-3 に示した各位置で実施した現場透水量試験の結果を図-7 に示す。室温条件の場合には各位置での浸透水量に大きな差はなく,平均値では 1566ml/15s である。一方,60℃一定条件では No.1・No.3・No.4・No.6 での浸透水量にはあまり違いはなく平均値で 1569ml/15s であり,室温条件のときとほぼ同じである。また,No.2 と No.5 での浸透水量には差がほとんど無いが,平均値で 1472ml/15s と他と比べて低くなっている。これは,わだち掘れという塑性変形によってアスファルト混合物表基層(さらには下層も?)の間隙が減少したことに起因しているのではないかと推察されるが,さらに詳細な調査が必要である。図-5 鉛直土圧の推移 5. おわりに 本報では,透水性アスファルト模型舗装を用いた移動輪載荷試験について概 述 し , 室 温 ( 約 10 ℃ ) と 路 面 温 度60℃一定の条件で得られた試験結果のうち鉛直土圧と透水特性の変化について報告した。路面温度 60℃の場合には載荷回数の増加に伴い,アスファルト混合物の荷重分散力が低下すること,下層に作用する鉛直土圧は増加すること,わだち掘れが生じた車輪走行位置の透水特性は他の位置より低下していることが分かった。【参考文献】:1) 日本道路協会:現図-6 鉛直土圧の水平方向分布 場透水量試験方法,舗装調査・試験法便覧,第 1 分冊,pp.122-126,2007.図-7 浸透水量の変化 22(路床下面)
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  • タイトル
  • 製鋼スラグ骨材を利活用した高強度再生路盤の開発
  • 著者
  • 阿部長門・真鍋和則
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 23〜24
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62696
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会12H - 06 (富山)    2013 年 7 月製鋼スラグ骨材を利活用した高強度再生路盤の開発上層路盤 製鋼スラグ 安定処理東亜道路工業(株) 技術部 正会員○ 阿部 長門東亜道路工業(株) エンジニアリング部真鍋 和則1.はじめに補足材料(スラグ)の選定東北地方を中心としたマグニチュード9の地震が2011年3月11日午後2時48分に発生し,東日本地域が広範囲に被災した.この際に,破損した舗装から発生した路盤材料や震災復旧で集められたコンクリートガラの再活用が期待された.また,製鐵所における発電破砕率試験(粒度試験)のための24時間操業により,副産物のスラグ路盤の大量発生により舗装における利活用がのぞまれている.廃棄バラスト粒度試験本研究では,利活用が望まれている路盤材とスラグ路盤材を現地混合した再生路盤に補足材料決定関して検討することとした.この場合は廃棄物を有効利用するための省資源で,常温混合及び施工が可能なため,省エネルギーな工法及び材料となる.2.室内試験による検討2.1合成粒度決定骨材配合と密度特性アスファルト乳剤量決定現地の舗装の破損個所から採取した切込み砕石路盤に高炉スラグを主剤としたCS-30突固めによる土の締固め試験と2次整正の際に発生する転炉系のスラグによる製鋼スラグを主剤としたHMS-25を補足材としての比較検討を行うこととした.配合設計のフローを図-1に示す.骨材の粒度や比重によって,特性の判断出来る単位容積試験を行った.一般的には,最適含水比決定1.6-1.8kg/㍑であり,製鋼スラグは鉄の製鋼時の不純となった鉄などの金属分が含まれるため,比重が高い.また,突固め試験(突固め方法:E方法,乾燥法で非繰返し法(b方法))にて,材料の最大締固め密度と含水比を求めた.この結果を表-1に示す.一軸圧縮試験高炉スラグが主体のCS-30は,他の一般的な路盤材と同等な密度であるが,製鋼スラグが含まれるHMS-25は最大乾燥密度が高く,必要な含水比も3%程度高い.セメント量決定また,最大乾燥密度を求めるため,突固め試験(突固め方法:E方法,乾燥法で非繰返し法(b法))を行った.高炉スラグが主材のCS-30 は,一般的な天然砕石の路盤材料と同程度の最大乾燥密度であるが,製鋼スラグが主材のHMS-25は転炉スラグに製鋼時の不純物となった酸化鉄を含む金属不純物が含まれた骨材のため,比図-1高強度路盤の配合設計フロー表-1スラグ路盤材の特性値重が重く最大乾燥密度も15%程度高くなったと推測される.単位容積質量最大乾燥密度(kg/ℓ)(g/cm3)補足材で検討した2種類の路盤材料の比重や単位容積重量などが異なるため,突固め前と突固め試験後の骨材の粒度によって,破砕率を求めた.この結果を高炉スラグ1.832.111表-2に示す.この結果,金属物質を3割から4割含んだ製鋼スラグはほとんどは製鋼スラグ3.222.483表-2破砕せず,突固めなどによる骨材摩耗が少ない.ここで用いた補足材の粒度は図-2に示すようなもので,HMS-25 は新日鐵君津で細骨材も配合されたもので,ふるい目 高炉スラグ 製鋼スラグ0.425mm以下の骨材が10%程度含まれている.2.29.5mm4.75mmセメント及びアスファルト乳剤の添加量一般的には,再生路盤材の配合設計はマーシャル供試体(φ100では,現場での密度や性状値を再現する目的で,φ150mm供試90高炉スラグ CS‐3080製鋼スラグ HMS‐25の締固め方法以外は,路上再生セメント・瀝青安定処理路盤材料の一軸圧縮試験方法に準拠した.混合用アスファルト乳剤(MN-1)の添加量は,粒度分布に基づく表面被膜に式による.通過質量百分率締固め)で行い,締固め時間は1層あたり90秒とした.供試体(%)100mm,高さ68.0±1.3mm)を作製し,評価が行われる.ここ体で高さ100mmを適用した.供試体の作製は,ボッシュ(振動各スラグの破砕率破砕率 (%)また,試験用供試体のセメントの添加に当たっては,骨材の3.34.71.22.570605040302010比重や最大乾燥密度が異なるため,比重補正を行うこととした.00.01セメント量は,比重補正前の重量で0.5%,2.5%,4.5%で実施し0.1110100ふるい目 (mm)た.図-2 比較したスラグ路盤材の粒度(補足材)Development of High Strength recycling base utilization of steel slag aggregate. , N. Abe, K. Manabe (TOA ROAD CORPORATION, TechnicalEngineering Department)23 2.3 混合物の物性試験結果ここでは,路盤材と補足材料を2:1として再生路盤の粒度を構成し,セメントと混合用乳剤の添加量を求めた.この結果,高炉スラグを用いたCS-30 の場合には,混合用アスファルト乳剤は3.8%で,高炉セメントB種1.8%で,7日後の一軸圧縮強度で1.5~3.0MPaの範囲に入り,一次変位量も5~30(0.1mm)の範囲に入る結果となった.これに対し,製鋼スラグは,同一添加量の範囲では,一軸圧縮強度が10MPaとなる結果であった.このため,容積は意業での添加率とし,比重補正を行い,添加量も重量比で混合用アスファルト乳剤を3.6%とし,高炉セメントB 種を1.6%として試験を進めることとした.この結果を図-4に示す.スラグ路盤材は,路盤材として十分な強度を有しているため,再生路盤の図-3 再生高強度混合物の供試体(φ150mm)補足材として使用可能であることが分かった.ただし,製鋼ス7これによる強度発現が期待できるため,セメント量を少なくす6一軸圧縮強度 (MPa)ラグの水硬性粒度調整スラグ(HMS-25)は未反応石灰が含まれることが出来る.ただし,石灰は強度発現が遅いため,安定処理混合物の強度もセメントが少ない場合に,反応が遅く,この影響により7日養生未満では残留強度率65%を満足することが難しい.水浸による残留強度を満足するには14日後の結果による判断の方が良い結果となった.高炉スラグ製鋼スラグ543213.試験舗装と構造評価0ここでは,再生CAE混合物路盤15cm(既設路盤材料10cm,1補足材5cm)を構築し,再生粗粒度(20)混合物5cmと密粒度37(20)PMA-Ⅱ型混合物5cmの舗装を構築した(N6交通,CBR=8).表-3 25℃における再生路盤のレジリエントモジュラスによる構造評価の検討とコアによる現場の再生路盤の採取をレジリエントモジュラス (MPa)行った.この結果を表-3と表-4に示す.現場から採取したコアは,試験温度25℃で載荷荷重1.5kN(150kgf)でレジリエントモジュラス試験を実施した.2種類の再生CAE路盤材は横方向の復元変形量が異なり,モジュラ高炉スラグ製鋼スラグ瞬間垂直変位 (mm)1.48E-021.45E-02瞬間水平変位 (mm)2.89E-031.69E-03復元ポアソン比0.390.323,8836,6863,8116,740スも1.6倍異なる.特に製鋼スラグを用いた再生CAE路盤混合物は,アスファルト安定処理路盤よりもレジリエントモジュラス瞬間MrRi  (MPa)が高く,基層用混合物と同等か同等以上の値が得られている.求めた弾性係数では,交通解放前に路盤施工から2週間後であるが,2500MPa以上が得られ,瞬間MrRi  (MPa)表-5 高強度再生CAE混合物の提案した基準値配合設計基準値3乾燥密度  (g/cm )一軸圧縮強度 (MPa)一次変位量 (1/100cm)28図-4 養生日数と一軸圧縮強度の関係この試験舗装において,施工2週間後のH24 年5月末にFWDFWDから14養生日数 (日)再生CAE路盤製鋼スラグ入りCAE混合物2.0 <2.3 <1.5 ~ 3.04.0 ~ 8.05 ~ 30※表-4 試験舗装のFWD測定値から求めた層弾性係数層構造層厚 (cm)密粒度(20)、PMAⅡ型520 ~ 50粗粒度(20)、再⽣⾻材5弾性係数 (MPa)製鋼スラグ ⾼炉スラグ3,6003,7006,300残留強度率  (%)65 以上65 以上20℃温度補正値106,200静的弾性係数 (MPa)2,000 < E1/34,500 < E1/3再⽣CAE (HMS-25)152,800-吸水率  (%)1.5 以下1.5 以下再⽣CAE (CS-30)15-2,100下層路盤25120110路床∞86845⽉3331室内の一軸圧縮試験のような結果が得られ,今後も強度発現が続くと想定される.ここでは,高強度の現位置再生混合物の可能性が確認出来た.これは,調査時の混合物温度アスファルト舗装のアスファルト安定処理層や基層の代わりを行うことが可能で,室内の配合設計を既往の方法と変えて,実施することが良いという結果が得られたと推測する.今後は,室内での配合設計で,一軸圧縮強度や静的弾性係数(試験の傾き)をさらに確認し,簡便な配合設計手法の確立や試験舗装の追跡調査を実施していきたい.4.まとめ今後の試験舗装では,基層を5cm薄くし,再生CAE 路盤混合物の層厚を5cm増やし,供用性の追跡調査し,高強度再生路盤の活用を広めたい.また,施工に関してもリサイクルの利活用による新規材料の減に伴う環境保全や施工時のコスト削減についてもまとめていきたい.24
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  • タイトル
  • 発生バラストを活用した軟弱路盤改良工法の実物大模型試験
  • 著者
  • 中村貴久・桃谷尚嗣・伊藤壱記
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 25〜26
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62697
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会13K - 06 (富山)    2013 年 7 月発生バラストを活用した軟弱路盤改良工法の実物大模型試験鉄道,路盤,繰返し載荷(公財)鉄道総合技術研究所国際会員(公財)鉄道総合技術研究所正会員○中村貴久桃谷尚嗣村本勝己伊藤壱記1. はじめに鉄道の土路盤上のバラスト軌道において,道床・路盤が不健全な箇所バラスト軌道路盤改良層は道床交換すると共に路盤改良を行うことで健全な状態を保持することができる(図 1)。そのような箇所の路盤改良ではバラストが発生土として廃棄されることが多い。そこで,筆者らはこれまでに,発生バラスト【路盤改良効果】○軌道沈下・噴泥の抑制○健全な道床状態の保持を路盤材として用いて,低強度グラウトを充填する新しい路盤改良工法の開発を行っている1),2)。本工法は,道床交換の際に発生する道床バラ軟弱路盤ストを活用することで環境負荷の軽減とともに,発生土の搬出時間を短図1縮することで一晩あたりの施工延長の延伸を目指したものである。本研路盤改良の概要発生バラ スト究では,軟弱路盤に対する新しい路盤改良工法の改良効果を検討するため,実物大模型試験を行った。2.グラウト充填工法の概要本工法は,路盤改良材の骨材として道床バラストを使用し,低強度グA 液:セメント+促進剤+水ラウトを充填することで路盤改良層を構築するものである(以下,グラウト充填工法と称す)。図 2 にグラウト充填工法の充填概要を示す。低強グラ ウト注入度グラウトはセメント・促進剤・水からなる A 液と,硬化剤・水からなる B 液の 2 液を混合して充填するものである。2 液式にすることでゲルB 液:硬化剤+水タイムを数分程度に調整できることから隙間から漏出の恐れが小さく,図2本施工では路盤改良箇所を掘り込むことで充填の際の型枠が不要となる。グラウト充填工法の充填概要7,0003.実物大模型試験3,0003.1 試験概要軟弱路盤に対する本工法の改良効果を検討するため,未対策の粘性実物大模型試験を行った。図 3 に試験概要を示す。土圧計変位計3,500土路盤およびグラウト充填工法による改良路盤の 2 ケースについて,バラストレールレールまくらぎまくらぎ3,000バラスト粘性土路盤は,設定した地盤反力係数が得られるよう,FEM 解析を用いて層構成を検討し,軟弱路盤として軌道変位進みが比較的大きくた土槽は幅 3.5m,長さ 7m,深さ 2.5m であり,土槽底部より 1850 ㎜200位置まで礫質砂を締め固めて構築し,その上に 250mm 厚の発泡スチまくらぎバラストレール300変位計まくらぎバラストレール粒度調整砕石発泡スチロール土圧計その上に遮水シートを設置し,粘性土層 100 ㎜を構築した。粘性土層未対策粘性土路盤グラウト充填路盤1,8502,500ロールを設置して粒度調整砕石 300 ㎜を締め固めて構築した。さらには,載荷試験前にまくらぎを 2 本設置して載荷荷重相当の荷重を与え,グラウト充填路盤平面250 300 100未対策粘性土路盤200なるように K30 値で 50MN/m3 に相当する条件に設定した。試験に用い礫質砂十分に圧密を行った。発泡スチロールは地盤反力係数を小さくするために,荷重の影響範囲が大きい路盤上部に設置し,その上下層は粒度断面図3調整砕石および礫質砂を用いることで,粘性土層以外の塑性変形を極単位:mm実物大模型試験概要バックホウによる発生バラストの投入力抑える層構成とした。A 液・B 液グラウト充填路盤は,粘性土路盤上に発生バラストを投入しながらグラウトを注入して構築し(図 4),改良厚は路盤表面の地盤反力係数が新設線と同等となるように 300 ㎜とした。なお,発生バラストは,充填管発生バラストクラッシャランとバラストを乾燥重量比 7:3 で混合し,さらにその骨材の乾燥重量に 5%のカオリン粘土とクラッシャランの乾燥重量の5%の水を添加して混合することにより劣化したバラストを模擬した。グラウト改良路盤載荷条件は,載荷周波数 5Hz,最大荷重 85kN,最小荷重 5kN,載荷図4Full-scale model test on roadbed improvement method by reusing deteriorated ballastT.Nakamura, Y. Momoya, K. Itou & K. Muramoto (Railway Technical Research Institute),25レールグラウト充填路盤の構築状況 0行った。また,降雨による滞1返し載荷回数約 30 万回で 150リットル,約 45 万回,約 75万回および約 85 万回で各 753.034粘性土路盤567散水した。試験開始時の水位8075リットル散水2.0粘性土路盤1.51.0グラウト充填路盤0.5150リットル散水20は路盤表面位置とし,散水後水循環75リットル散水4060載荷回数(万回)水循環2.52リットルをバラスト軌道上にの水位は路盤表面と同程度と150リットル散水グラウト充填路盤路盤変位振幅(mm)水の影響を検討するため,繰路盤残留変位(mm)回数 100 万回で繰返し載荷を800.0010020図 5 路盤残留変位の推移4060載荷回数(万回)図6げてまくらぎ上に散水する「水循環」を行った。なお,グラウト充填路5盤の養生期間は 7 日とした。3.2 試験結果図 5 より 100 万回載荷後の路盤残留変位は,粘性土路盤が 4.0mm に対して,グラウト充填路盤では 2.0mm に低減していることがわかる。また,まくらぎ残留変位(mm)なった。さらに,80 万回~90 万回の間は,路盤からポンプで水を汲み上0100路盤変位振幅の推移グラウト充填路盤1015粘性土路盤2025どちらのケースも散水の影響は顕著に見られないが,粘性土路盤の方が30載荷回数とともに路盤残留変位が増加していることがわかる。また,図800206 より 100 万回載荷後の路盤変位振幅は,粘性土路盤が 1.6mm に対して図7水循環75リットル散水150リットル散水4060載荷回数(万回)80100まくらぎ残留変位の推移グラウト充填路盤が 0.9mm に低減しており,図 7 より 100 万回載荷後のまくらぎ残留変位は,粘性土路盤が 22.7mm に対してグラウト充填路盤が 10.2mm に低減していることがわかる。等分布荷重3.3 解析による評価手法の検討300mmグラウト充填路盤 E=1000MPa,μ =0.3100mm 粘性土層:E=18MPa、μ =0.3路盤改良厚さの設計は,未改良路盤に列車相当荷重を作用させた場合に,必要な地盤反力係数を有する一様地盤と同等の路盤変位となる等分布荷重(直径1m)300mm粒度調整砕石:E=180MPa、μ =0.3ように改良厚さを設定する。そのため,路盤変位を評価するための解析方法について,多層弾性解析 3)を用いて実物大模型試験結果との比較を行った。図 8 に解析条件を示す。解析モデルは,路盤以下の構造250mm EPS:E=9MPa、μ =0.1まくらぎ1,850mm 礫質砂:E=70MPa、μ =0.3についてモデル化した。荷重条件は,バラストによる荷重の分散を考慮し,直径 1m の円形状の等分布荷重を路盤表面のまくらぎ位置に 2等分布荷重形状つ並べて作用させた。なお,比較対象とする試験結果は,散水前の 10モデル概要図8万回載荷時の路盤変位と粒度調整砕石層中間部の鉛直応力とした。載解析条件0.0載荷点荷荷重は,実物大模型試験の荷重振幅 80kN と同等の荷重条件となるまくらぎ0.5試験結果と解析結果について,図 9 に路盤変位分布を,図 10 に土圧分布をそれぞれ示す。試験結果から,まくらぎ直下の路盤変位および土圧が路盤改良効果により低減していることがわかる。また,どちら路盤変位( mm )ように,1 つの円(直径 1m)に対して等分布荷重を 40kN とした。の分布においても試験結果と解析結果は概ね一致しており,多層弾性1.01.5試験 解析解析により路盤改良の効果を適切に評価できることを確認した。粘性土路盤グラウト充填路盤2.0-15004. まとめ-1000-500050010001500水平位置 ( mm )発生バラストを活用した新しい路盤改良工法を開発し,実物大模型図9試験により,軟弱路盤における本工法の路盤改良効果を確認した。ま0路盤変位分布(まくらぎ直角方向)た,多層弾性解析により路盤剛性を適切に評価できることを確認した。<参考文献>鉄道路盤改良工法の実物大繰返し載荷試験,第 47 回地盤工学研究発表会,2012.82) 伊藤壱記,桃谷尚嗣,村本勝己:劣化したバラストを再利用した土圧 ( kPa )201) 桃谷尚嗣,伊藤壱記,村本勝己:劣化したバラストを再利用する40載荷点試験 解析路盤改良材の強度特性の評価,第 47 回地盤工学研究発表会,2012.83) 土木学会舗装工学委員会舗装構造小委員会:多層弾性理論による載荷点まくらぎ60粘性土路盤グラウト充填路盤80-1500-1000-500粒度調整砕石層中間位置050010001500水平位置 ( mm )舗装構造解析入門,土木学会,2005.4図 1026土圧分布(まくらぎ長手方向)
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  • タイトル
  • マイクロフォーカスX線CTによる粒状体の三軸圧縮下における全粒子追跡手法の開発
  • 著者
  • 高野大樹・佐藤宇紘・大谷 順
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 27〜28
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62698
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会14D - 06 (富山)    2013 年 7 月マイクロフォーカス X 線 CT による粒状体の三軸圧縮下における全粒子追跡手法の開発粒状体X 線 CT 三軸圧縮試験港湾空港技術研究所 国際会員 ○高野 大樹熊本大学技術部熊本大学大学院佐藤 宇紘国際会員大谷 順はじめにひずみの局所化は,土のような粒状体材料において現場レベルから実験室レベルまで様々なスケールで共通に観察される現象であり,地盤工学において土の変形,破壊特性を理解するための重要な要素のひとつである.粒状体材料の力学特性は,剛性や形状といった粒子自体の特性はもとよりその充填構造に大きく影響を受けることや材料のミクロな挙動が全体系の挙動に大きく作用することなどが知られている.近年は,個別粒子法に代表される数値解析手法を用いて土材料のミクロな挙動を解明しようとする研究が数多く進められているのに対し,実験的なアプローチからその挙動を評価しようという研究は少ないのが現状である.将来,粒状材料の力学的な応答を支配している要因の解明や,数値解析モデルの正当性の検証を行うには,まず要素試験などにおける実現象について何らかの計測手法を用いてデータを取得し,現象の観察を行うことが不可欠となる.これらの背景を踏まえ,本研究では,マイクロフォーカス型 X 線 CT(以下,μCT)を砂供試体の内部観察に用い,供試体内の個別の全砂粒子についてその運動を観察する手法の開発を行う.具体的には砂供試体の三軸圧縮過程における一定の軸ひずみ毎に断続的な CT 撮影を行い,画像処理による個別粒子の識別と各ひずみレベルにおける個別粒子の同定作業により砂粒子の連続的な挙動の観察が可能になった.実験条件実験では,港湾空港技術研究所所有の μCT 装置を用いた.三軸圧縮試験は,すべて μCT 装置内で行っている.実験材料として相馬珪砂 2 号(D50=1.89 mm)を用いた.今回の実験では,供試体内に存在する全砂粒子の移動を追跡することを目的としたため,砂試料として CT 画像内で個別砂粒子の識別が容易である材料を選定した.供試体サイズは,直径 35 mm,高さ 80 mm の円筒形であり,空中落下法により相対密度 90%を目標に作製した.載荷は軸ひずみ速度 0.25 %/min の定速載荷とし,軸ひずみ 1 %毎に CT 撮影を行い,供試体の 3 次元内部構造を得た.画像解析手法今回の実験では,全部で 21 セットの 3 次元画像を得た.図 1 は実験から得られた軸差応力および体積ひずみ-軸ひずみ関係である.CT 撮影は図 1 中の A~H で示す軸ひずみで実施している.まず今回行った CT 画像からの個別粒子の識別手法について説明する.はじめにノイズやカッピングなどの除去のために Subtract Back Ground 処理と 3D MedianFilter にて画像 の前処理を 行い,粒子 と間隙 分離 のために Local Threshold に よる二値化 処理を行っ た.次に ,Morphological Opening Filter を用いて粒子のコア部分と考えられる画像を取り出し,3D Watershed 処理で接触しているコア粒子を分離した.今回のように接触した粒子の移動追跡には接触粒子の分離を精度よく行うことが非常に重要である.今回の手順で特に効果的であったのは 3D Watershed による接触粒子分離を精度よく行うための前処理として,粒子のコア部分に近いと考えられる領域を Morphological Opening Filter を用いて抽出した点である.この処理により 3DWatershed の過分割を抑制することができた.識別された個別粒子からは重心座標,体積,表面積,平均半径などの情報を抽出することができる.続いて,抽出された全粒子の情報から変位ステップ間の粒子同定を行う.粒子の同定には弛緩法を用いた.弛緩法の概要を説明する.まず,各粒子が移動しうる領域内のすべての粒子重心座標を検索し候補ベクQSINKTOLRUPVolumetric strainDeviator stress (kPa)Volum etric strainMJFHDeviator stressEGDCA BAxial strain図2図 1 軸差応力,体積ひずみ - 軸ひずみ関係Development of particle tracking method under triaxialcompression using micro focus X-ray tomography各ひずみレベルにおける供試体鉛直断面画像Daiki Takano, Port and Airport Research InstituteTakahiro Sato and Jun Otani, Kumamoto University27 図 3_CT 画像中の同定粒子に任意の関心情報を付与し表示した例 (粒子の空間移動量 unit:mm )トルとする.そのため一つの粒子には複数の候補ベクトルが存在することになる.この候補ベクトルには,各粒子重心座標が持つ体積,表面積,平均半径などの数値情報と比較をしてその候補ベクトルの確からしさの指標として確立が付与される.次に,一定領域内の近傍の他粒子が持つ候補ベクトルを検索して比較し,似た候補ベクトルが存在する場合はその候補ベクトルの確立が上がり,そうでない場合には確率が下がるという計算を複数回行うことで,ある候補ベクトルの確立が上昇して収束する.つまり,移動粒子の周囲には似た動きをする粒子が存在するという仮定を元にして,集合体として整合が取れた(つじつまが合った)移動ベクトルを見つけることができるというものである.同定された粒子はナンバリングされ,ステップ間粒子の空間移動量,回転量などの空間変位情報を計算し画像中の粒子 voxel に書込みを行うことで個別粒子の空間的な移動量を把握できる画像となる.また,特定の粒子に着目してすべての変位ステップを通した変位情報を集めることなどが可能になった.粒子追跡結果図 2 は三軸載荷中の A:初期,B:ピーク直後,P:残留応力時における供試体鉛直断面画像である.供試体内すべての砂粒子が独立して可視化されていることがわかる.今回の実験において識別された砂粒子の総数は約 9360 個であった.そのうち各ステップ間で同定された粒子は 9000 個程度となり,粒子追跡の精度は 96%以上と高いことが確認された.図 3 は CT 画像中の各同定粒子に任意の関心情報を付与したものである.重心位置から計算された各粒子の空間移動量をカラーコンターで表示した各ひずみレベル間での供試体鉛直断面画像である.この画像から載荷初期のステップ A から B においてはまだひずみの局所化は生じておらず,一次元圧縮に近い変位状態であることが観察される.また,ピーク強度付近において供試体端部にはコーン状の一体化挙動を示す領域が形成され,供試体中央部の水平変形が卓越し始める.ピーク後は供試体両端のコーン状領域の傾斜部が接続してクロスするせん断面の候補部分が発達し,褶曲状態として左上から右下に向かうせん断面を形成したと考えられる.まとめ本研究では,マイクロフォーカス型 X 線 CT(以下,μCT)用い,供試体内の個別の全砂粒子についてその運動を観察する手法の開発を行った.これにより,実験的なアプローチから土のミクロな挙動が評価可能となった.【参考文献】Rosenfeld, A., Hummel, R.A. and Zucker, S.W. (1976) Scene labelling by relaxation operations, IEEE Trans. Sys.,Man and Cybern., SMC-6(6), 420-43328
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  • タイトル
  • 着火材を用いた固結粒状材料の発破実験とその個別要素法解析
  • 著者
  • 吉川直孝・伊藤和也・水谷高彰・堀 智仁・三田地利之・豊澤康男
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 29〜30
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62699
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会15G - 05 (富山)    2013 年 7 月着火材を用いた固結粒状材料の発破実験とその個別要素法解析固結粒状材料発破個別要素法(独)労働安全衛生総合研究所日本大学生産工学部1.国際会員○吉川直孝,伊藤和也,水谷高彰国際会員堀智仁,豊澤康男国際会員三田地利之はじめに山岳トンネルの建設工事中,切羽からの肌落ちによる死亡災害が,毎年 1,2 件程度発生している.その災害事a例を分析すると,発破による掘削方式を用いた現場での災害が多い.例えば,装薬や支保工建込といった作業中に労働者が被災している1).そこで,本研究では,トンネルの発破掘削による応⼒解放挙動を明らかにするための基礎的な実験として,固結粒状材料の供試体を用いて発破実験を実施し,3 次元個別要素法によりそれをシミュレートした.2.b発破実験方法固結粒状材料の供試体は,豊浦砂(s= 2650kg/m , emax=3図-1c供試体作製状況0.985, emin= 0.611)を薬液(パーマロック ASF-II)によりa: 着火材,b: モールド内に設置された土圧計及び固結させ作製した.薬液のシリカ濃度は 12%である.供着火材,c: 供試体試体の作製方法,実験方法を以下に示す.① モールド内に OHP シートを内貼りにし,側面 2 箇所球要素の最大半径は Rmax= 2mm,最大最小半径比はと底面 1 箇所に土圧計(KYOWA PS-20KAM Class-J,Rmax/Rmin= 2,平均半径 R= 1.5mm である.容量 2MN/m2),モールド内中央に着火材(薬材:ク本研究で用いた個別要素法パラメータ,供試体作製方ロム酸バリウムとホウ素を主成分とした混合物,薬法については,文献 2)に記載されている.量:40~50mg,図-1a 参照)を設置する(図-1b 参発破には,ガスの膨張による作用と衝撃波による作用照).がある.着火材は,薬量が 40~50mg と少なく,ガスの膨② 薬液をモールド内に半分程度まで注ぐ.張による作用が衝撃波による作用よりも特化していると③ 豊浦砂をモールド内に空中落下させ,相対密度 Dr=推察される.本研究では,発破それ自体を正確に表現す80%となるよう,途中,モールド側壁をタッピングることを意図しておらず,発破後の供試体の応力状態,しながら所定の砂量が入るよう調整する.将来的にトンネル切羽における肌落ち発生のメカニズム④ 3 週間,大気養生する.その際,上面から供試体が乾を明らかにすることを目的としているため,ガスの膨張燥することを防ぐため,ラップにより上面を密閉すによる作用のみを取り扱う.る.ここでは,球状の壁要素を膨張・収縮させ,ガスの膨⑤ 3 週間後,供試体をモールドから脱型する(図-1c).張による作用を表現した.球状の壁要素の半径は最初⑥ 平面に設置し,着火材に電流を流し,着火材を爆発1mm であり,その後 35mm/sec の速度で最大半径 5mm まさせ,供試体を破壊する.で膨張した後,同速度にて最小半径 1mm まで収縮させた.⑦ 発破中,土圧計の値を取得し,また破壊形状等を高4.速度カメラ(nac MEMRECAM fx RX-6 CAM, 512×4.1 発破実験512pixels, 2000flames/sec)により撮影する.3.図-2a に高速度カメラで撮影された供試体の破壊形状を発破シミュレーション方法示す.供試体は水平方向に破壊されることがわかる.ま球要素とパラレルボンドの剛性は,母材である豊浦砂た,図-3 に土圧計により計測された圧力値と発破開始かの供試体(相対密度 Dr= 80%, e= 0.686)と固結粒状材料らの経過時間(秒)の関係を示す.実験値はプロットでの供試体を用いて,それぞれベンダーエレメント試験を示している.0.048 秒後に土圧計が反応しており,その圧行い,P 波速度と S 波速度を計測し,それらの値から算出した2)発破実験及び発破シミュレーション力値は 57kN/m2 であることがわかる.0.094 秒後にも土圧.パラレルボンドの強度については,固結粒状計が反応している.この原因は未解明だが,おそらく自材料の一軸圧縮試験により得られた一軸圧縮強度から算由境界面(側面)や底面にガスの膨張圧による供試体の出した 2).Blasting test on bonded granular material using an ignitionNaotaka KIKKAWA, Kazuya ITOH, Takaaki MIZUTANI,charge and the discrete element simulationTomohito HORI, Toshiyuki MITACHI and Yasuo TOYOSAWANational Institute of Occupational Safety and Health, Japan29 ab発破開始前(0 秒)a図-2b発破による供試体の破壊状況a: 実験時の破壊状況(0.065 秒後),b: シミュレーション時の破壊状況(0.065 秒後)(球要素: 黄色, パラレルボンド: 青色)specimen100②80Str es s (k N /m 2 )60exp. dema①②③①③b0.047 秒後40200-20-40-60-80-1000.000.040.080.120.16a0.20bElaps ed tim e (s ec )図-3発破により供試体に作用する応力と経過時間の0.064 秒後関係変形が反射して生じているのではないかと推察している.4.2 発破シミュレーションa: パラレルボンド,b: パラレルボンドに作用する力(球要素: 黄色, パラレルボンド: 青色, 圧縮力: 黒線,引張力: 赤線)図-2b にシミュレーション時の供試体破壊状況を示す。図-4 パラレルボンドとパラレルボンドに作用する力実験結果同様、供試体が水平に破壊されている。また、の分布図発破シミュレーション時の供試体内の応力を計算した結果を折れ線により図-3 に併記している。応力の計算位置は,同図中に示すように,実験と同様な位置であり,各6.計算位置において,球要素の最大半径の 2 倍の半径内に謝辞パーマロック ASF-II を御提供いただいた強化土エンジある全ての球要素に加わる応力を平均して算出した.ニヤリング株式会社の佐々木隆光氏,着火材を御提供い図-4 に発破シミュレーション中の供試体内のパラレルただいた日油技研工業株式会社の後藤秀志氏にここに記ボンドと作用する力の分布図を示す.供試体中央の厚さして感謝の意を表します.6mm の範囲内のみを示している。同図から 0.047 秒後に7.おいて,球状の壁要素を中心とした同心円上に圧縮力と1)吉川直孝,伊藤和也,堀智仁,玉手聡,豊澤康男: トン引張力が卓越することがわかる.また,0.064 秒後には供ネル切羽の肌落ちによる死傷災害の調査分析と安定対策試体は水平方向に破壊しているが,破壊後にも特に引張の検討,土木学会論文集 F6(安全問題),Vol. 67, No.2,力が残存していることがわかる.I_125-I_130, 2011.5.まとめ参考文献2)吉川直孝,堀智仁,伊藤和也,三田地利之: 弾性波速度発破後に供試体内に引張力が残存していることが確認と一軸圧縮強度による固結粒状材料の個別要素法パラメされた.ーターの決定法に関する検討,第 46 回地盤工学研究発表会平成 23 年度発表講演集,pp. 471-472, 2011.30
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  • タイトル
  • 陥没やパイピングにおける細粒分のダイナミクスと破壊の連鎖のシミュレーションの試み
  • 著者
  • 前田健一
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 31〜32
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62700
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会16E - 07 (富山)    2013 年 7 月陥没やパイピングにおける細粒分のダイナミクスと破壊の連鎖のシミュレーションの試み陥没 パイピング 進行性破壊1.名古屋工業大学はじめに国際会員○前田 健一さらに,内部浸食時の細粒分の流出による粒度変化がもたらす粒大更新時代は,地盤内の構造物にも到来しており,地中構造物の状体の変形・破壊挙動にも着目した.これを DEM で単純にモデル高齢化は確実に進んでいる.一方で,都市には集中豪雨が増加して化し数値実験するとともに,その結果に基づいて,内部浸食時の土おり,地盤中への浸透による破壊の切欠は増えている.これらの災の応力ひずみ関係を記述する構成則を開発している 4).これを SPH1),2).陥没発生個所や法解析に導入することで,内部浸食を伴う大変形・破壊シミュレーパイピングによる浸透破壊箇所では,現地調査から,周辺地盤内にション方法を提案し,新たなメカニズムの発掘を試みる.この方法おいてゆるみ領域の形成と粒度分布が狭まること(細粒分の流出)を図式化したもの図-2 に示す.害の例として陥没やパイピングが挙げられるが確認されたり3), 4),漏水が濁ったりすることが指摘されている.phaseこれらの現象では,細粒分の移動による内部浸食が大事である.さContinuumapproximation(constitutive model)DiscreteElement (DEM)らに,局所的変形や破壊に及ぼす影響を明らかにする必要がある.narrowing grading図-1 は,地中管上部に開いた孔(砂の最大粒径よりは小さく,最小粒径よりは大きい)に水と細粒分が流れこみ,鉛直上部にゆるみSPH or FEM scheme(IVBC numericalsimulation)soil-waterair-structureseepageforce領域が形成され,陥没が生じる様子を模擬した簡易実験結果を示しpipingている.細粒分が地盤内から管内に流れ込み管上部に,粗粒部分のinter-particlecontactみが露出し,間隙が大きくなっていることが分かる.また,このゆるみ領域付近に流れが集中するとともに,ゆるみ領域とその周辺地≪ (grain)盤との境界で,細粒分の浸食が進みゆるみ領域が拡大することも観To observeremoval (loss) To reveal rules of localand jamming of plastic deformation ?fine particleor local failure ?(grain) (void)(structure) log(scale)(soil element)図-2 細粒分のダイナミクスを伴う地盤の進行性破壊を表現する察される.さらに,地下水以浅では不飽和のために,下部の緩み現ための数値計算フレーム象が地表面にすぐに伝播しないことが,その発見を遅らせたり,突発的に被害が生じたりすることが容易に考察できる.30s不飽和領域2.180sDEM による内部浸食のミクロなメカニズム広範な粒度を持つ粒状体内部では,細粒分が外力を分担する確率飽和領域開孔部は低く,透水力が作用する際には,細粒分が流出すると考えられる管内に流れ込んだ細粒分3),4)240s.そこで,土に作用する応力を一定に保ちながら,最も細かな粒900s子を順番に除去するという単純化した作用に置き換えて考えた.図-2(a)のような粒度(ここで RD=Dmax/Dmin; Dmax, Dmin はそれぞれ,最0s900s大・最小粒径)を用い,原粒度の 5%粒径まで細かな粒子から順番前面に除去することで,粒度をより貧配合化するという試験を二次元DEM3-5)で行った.細粒分除去によって粒度は貧配合になり,図(b)に示すように,CSL は上方に遷移することになる.図-4(左)に細粒分除去に伴う変形の軌跡(赤い線)を示してい図-1 地中管に開いた孔に水と細粒分が流れこみ,鉛直上部にゆるるが,等方応力(縦軸がゼロ)や低い応力比では大きな変形には至み領域が形成され,陥没が生じる様子の簡易実験.らない.一方,高い応力比下では,応力が一定にも関わらず 1~2%粒径まで除去した時点でひずみが 25%を超え,破壊してしまうこと以上のことから,本研究では,粒子レベルのミクロスケールからが明らかになった 3),4).100陥没やパイピングの発生から陥没進展までの一連のメカニズム80解明と現象予測や対策の検討においては,連続したメッシュを有す60W (%)ングをもたらすというプロセスを,数値計算で表現する試みを行う.る有限要素法(FEM)や計算要素が小さな DEM のそれぞれのみを40用いた方法では要求に応えることは難しい.本研究ではミクロとマ20クロでの考察を分けながら行うとともに,上記の要求に応えるため0に新しい計算フレームを開発した.ここでは,両者の中間的特徴を1.25Before removalAfter removalSpecific volume, vの土要素の劣化と境界値問題としての破壊の連鎖が,陥没やパイピRD=5RD=10RD=20124Grain size , D (cm)RD=2poor gradingRD=dmax/dminRD=251.2010201.15100well grading1.02.03.0Mean normal stress, σm (MPa)図-3 内部浸食を模擬した細粒分除去試験前後の粒度(左 a)と限有するメシュフリー法で粒子法の一種である,SPH(Smoothed界状態線 CSL に及ぼす粒度影響(右 b)Particle Method)法を土-水-空気連成に応用した方法を用いることとした 5).粒子法では,FEM のような連続体としての計算要素を3.持ちながら(材料の構成則を用いることで広い範囲の挙動を近似しながら),要素の運動をLagrange 的に扱うメッシュフリー法である.構成モデルによる内部浸食に起因する変形・破壊挙動の記述DEM 数値実験の結果から,比較的密な土の内部浸食では,粒子除去による間隙比(比体積)の増加,粒度の貧粒度化に伴う CSLNumerical simulation of failure progression in depression and piping with fine particle dynamicsKenichi MAEDA31 の上方への遷移,この両者によるステートパラメータの変化によっの水位が上昇し,堤体が決壊,流動する様子を計算したものであるて変形が生じるというメカニズムに着目した(図-4 右).応力一定(河床底は不透水境界である).赤色部分の大きな変形が局所的に条件下での破壊(大変形)は,現在の状態が CSL に到達すること徐々に法先から進展し,崩壊,流動の一連の過程が表現できている.で生じるといえる.したがって,従来から提案されている CSL の図-8 には,上記の計算結果において,細粒分のダイナミクスがも概念を含む構成則に粒度変化に伴うCSLの移動を考慮することで,たらす,マルチスケールでの負の連鎖とパイピングや陥没における内部浸食をモデル化することが可能といえる 3),4).局所破壊の進行の関係についてまとめている.impermeablesheet-pileStress Ratio, τm /σm0.4state parameter afterparticle removalwellψv grading0.3initial surfacewater0.2removal of fine particlestate parameter beforeparticle removalψv0.1Dense RD=10Removal test σm=const005deformed surfacesandy soil10Normal Strain, εyy (%)(a)seepage図-4 内部浸食を塑性変形として考え構成モデル近似: (左)応力一定条件下での内部浸食を模擬した細粒分除去試験結果: 目標除去粒子は 5%粒度まで(DEM 解析);細粒分除去に伴う間隙比の変化と粒度変化に伴う CSL の変化(上方への移動)の概念図(b)seepage図-6 SPH 法による矢板周りの透水(右側が上流)による局所変形:(a) 内部浸食無し;(b) 内部浸食有りupstream5m4.initial state構成モデルによる内部浸食に起因する変形・破壊挙動の記述平均化された場の物理量xlocalization ofdeformation andfailure平均化関数(Smoothing Function)x影響範囲2h平均化された単一素片の持つ物理量collapse and flowSPH法による場の物理量表現unit: 1/s0.0h粒子素片実際の粒子2.03.04.05.0図-7 SPH 法による天然ダムの決壊シミュレーション: 固相の最大せん断ひずみ速度分布粒子素片粒子素片と影響範囲1.0実粒子と粒子素片の違い図-5 SPH 法の計算粒子素片と物理量の表現方法fine particleremovalseepage force &macro shearingSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法は,宇宙物理の分野から発達した手法で,FEM の連続したメッシュの代わりに,図-5 に手法である.土であれば,DEM のように土粒子ではなく土塊とい(vol. of local compression) <or = (vol. of removed particle)increasing- local permeability- local shearing or failure,looseness, relaxationincreasing void ratiofine particlejamming(clogging)示すような,運動する計算粒子素片(半径 h)を用いた Lagrange 的increment of local shearplastic deformation andcompressionincrement of localhydraulic gradientlocal hydraulicfractureheterogeneity of void(decreasing permeability)う連続体を計算粒子素片とする.素片の重なり合いで場を記述し,progressive failure:物理量は素片中心と共に移動する.連続体解析であるので,計算素piping, depression片には状態方程式(流体相)や構成式(固相)が必要となる.言い換えれば,より良い構成則が開発されればそれが利用可能である.図-8 細粒分のダイナミクスがもたらすマルチスケールでの負のここで,前節の構成モデルを用いれば,細粒分除去による内部浸食連鎖とパイピングや陥没における局所破壊の進行による変形は構成則で表現し,土塊の動きは SPH で計算することになる.また,ダルシー則を仮定し三相の連成を表現とした 6).謝辞: この研究は,日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)5.23360203 の助成を受けており,ここに深謝の意を表します.細粒分のダイナミクスを考慮した変形・破壊解析および考察図-6 は,砂質地盤の設置された不透水性矢板周りの透水に地盤の変状を計算したもので,先述した細粒分流出による内部浸食の有無の影響を示している.内部浸食では,透水力による細粒分流出量を仮定し,それに伴う粒度変化を算出し変形量を計算している.また,浸食領域,目詰まり領域では間隙比に応じて透水係数を変化させた.内部浸食が無い場合(図(a))に比べて,内部浸食が有る場合(図(a))の方が地表面の沈下量が大きく矢板周辺に局所化している.図-7 は,傾斜した河床上に形成された天然ダムを想定した堤体に,図の右側32参考文献)1) 桑野玲子: 地盤工学会誌、Vol.59, No.1, 通巻 636 号、pp.10-11, 2011.2) Mukunoki, T., Kumano, N., J.Otani and Kuwano, R.: Soil andFoundations, Vol.49, No.6, pp.959-968, 2009.3) Wood, D. M. and Maeda, K.: Acta Geotechnica, 3 (1), pp.3-14, 2008.4) Wood, D. M., Maeda, K. and Nukudani, E.: Geotechnique, 60(6),pp.447-457, 2010.5) Maeda, K. et al. : Stress-chain based micromechanics of sand with grainshape effect, Granular Matter, Vol.12, No.5, pp.499-505.6) Maeda, K. and Sakai, H.: ASCE, Geoenvironmental Engineering andGeotechnics (GSP 204), pp.261-266, 2010.
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  • タイトル
  • 簡易浅水粒子法を用いた土石流影響範囲の評価
  • 著者
  • 松島亘志・中田アレサンドラ真由美・山田恭央
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 33〜34
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62701
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会17E - 06 (富山)    2013 年 7 月簡易浅水粒子法を用いた土石流影響範囲の評価土石流浅水方程式粒子法筑波大学筑波大学筑波大学国際会員学生会員国際会員○松島亘志中田アレサンドラ真由美山田恭央1. はじめに地震や豪雨による斜面災害は、日本国内でも海外でも毎年のように報告されており、近年の地球温暖化と相まって、その頻度や規模は増加しているようにも見える。このような斜面土砂災害を効果的に軽減するためには、崩壊の危険度算定のみならず、その後の土砂流動による影響領域や、道路などのインフラ設備への影響、対策工設計のための流動圧の算定など、様々な情報が必要である。しかしながら、各地の地盤を構成している材料の物性は不均質であり、地形や土中水分量の情報も含めれば、算定のための地盤入力データは全く不足しているのが現状である。ただ、そういった状況の中でも、今できる範囲の最善の検討を行うことは必要であり、またそのような検討を通じて、評価精度のボトルネックを同定し、今後の防災対策のための地盤調査の必要性を主張していくことも重要であると思われる 1) 。本研究では、衛星データから得られるデジタル標高データ(PRISM-DSM)を用い、古典的な斜面安定解析法と粒子法による広域流動解析法を組み合わせて、斜面災害危険度評価を行う手法を提案する。加えて 2010 年ブラジルリオデジャネイロの豪雨斜面災害に対して本手法を適用した結果を報告する。2. 評価手法の概要表 1 斜面崩壊影響範囲評価手法の流れ上述の通り本研究の目標は、広い地域(たとえば日本全国)を対象とした効率的な斜面災害影響評価である。表 1 に提案する手法の流 1. ALOS の PRISM 画像から DSM 作成れを示す。デジタル地形データは、全世界をカバーできるALOS(だ 2. 斜面勾配の情報取得いち)のPRISMデータから立体視処理により得られるものを用い(詳 3. 雨水表面流流動解析から表面水分量推定細は 3 節)、[A]斜面勾配分布の情報を計算する。次に、地形データ 4. 2.と 3.の情報から危険斜面の一次抽出を用いて、地域に一様な降雨があった場合の雨水表面流流動解析を 5. 1 次元斜面解析およびフェレニウス法を用いて行い(詳細は 4 節)、[B]各地点の表面水集水特性を得る。[A]と[B]を崩壊危険度、崩壊土砂量を推定合わせて危険斜面の一次抽出を行う。次に斜面の最急勾配で切った 6. 土砂流動解析から斜面崩壊時の影響範囲推定断面に対して、[B]から算定する斜面の飽和度(地下水面上昇)も考慮して、1 次元斜面仮定およびフェレニウス法を用いた2次元安定解析を行い、崩壊危険斜面の二次抽出と共に崩壊土量や崩壊深さの情報を得る。最後に、崩壊土砂の流動解析(詳細は 4 節)を行い、影響を受ける範囲を同定する。3. PRISM-DSMの概要土砂災害評価のために必要な地形データは、我が国では 2008 年に 10m メッシュの数値地図(Digital Elevation model,DEM)が国土地理院により全国整備されており、更に都市計画区域では 5m メッシュの DEM も順次整備されてきている2)。一方、世界の特に防災対策の整っていない発展途上諸国においては、未だ DEM データの整備されていない地域がほとんどである。JAXA が 2006 年に打ち上げ、2011 年に運用を終了した地球観測衛星「ALOS (Advance Land ObservingSatellite, 日本名:だいち」3) に搭載されていた PRISM センサは、同じ場所の画像を3つの異なる方向から撮影して立体視画像処理を行うことより、2.5m メッシュの DSM(Digital Surface Model)を作成することができる。その精度は元画像の様々なノイズに影響を受けるが、精度の良い DEM が整備されていない地域の防災にこのデータを利用することは、意味のあることであると考えられる。なお今回対象としたブラジルリオデジャネイロ(5 節参照)の PRISM データは、産業技術研究所情報技術研究部門地球観測グリッド研究グループの立体視画像処理サービスによって DSM に変換した。4. 浅水粒子法の概要本研究では、浅水方程式を粒子法で離散化する疑似3次元解析手法を用いる。近年 SPH や MPM のような粒子法を斜面崩壊解析に適用する例は増えている 4) が、連続体近似が成立するように影響半径内に相当数の粒子が存在するような状態で解析をする必要があり、広い範囲を網羅して長時間の流動解析を行おうとすると、やはり多くの計算資源を必要とする。そこで本グループでは、浅水方程式をベースとして、より少ない粒子数で簡便に土砂や水の流動を解析できる手法を提案している 5)。浅水方程式では、流動要素(粒子)に作用する力として、(a)慣性力、(b)底面せん断応力、(c)地形勾配による圧力、(d)土砂高さの水頭による圧力、(e)隣の土砂との粘性応力+乱流拡散応力(本研究では無視)、を考えるが、このうち底面せん断応力は、流動限界勾配を考慮した Manning の平均流速公式を適用し、土砂高さの水頭による圧力は、近傍にある土砂粒子間の2体相互作用力として以下のように与える 5)。h  1  d /d 0  d g 0 ( d  d0 )d 0  1  d /d 0  d,p  0 ( d  2d 0 )p 1  g h 0  d /d  3/ 2 2  1  d (d  d  2d )000 28  dd 0 Evaluation of affected area of rainstorm-induced debris flowusing particle methodTakashi Matsushima, Alessandra Mayumi Nakata and YasuoYamada, University of Tsukuba33 ここに、 d 0 は粒子間の基準距離、 h0 は土砂の初期高さ、 d は粒子中心間を結んだベクトルである。本式は、1次元の水頭換算関係をベースに、基準距離から近づくと反発力、遠ざかると引力が作用し、基準距離の2倍以上の粒子間には相互作用力が作用しないというバネを設定していることになる。これにより、少ない粒子数でも「それなりの精度で安定に」流動を解析することが可能となる。流動粒子に水の物性を与えることで、雨水の表層流動解析が可能となる。今回は局所的な降雨の影響は考えず、対象とした領域に均等に雨を降らせて流動解析を行い、それぞれの地形格子表面にどの程度の雨水粒子が通過するかをカウントした。この量が多いほど、水が集まりやすい谷地形となり、崩壊しやすい場所と評価される。また、斜面安定解析での地下水面高さ評価にもこの情報を利用する。ただし、現状の解析では各表面での雨水の浸透は考慮しておらず、通過雨水粒子数は、あくまでも危険度を相対的に評価する目安である。土砂流動解析では、斜面安定解析で得られた崩壊領域に流動土砂を配置して解析を行う。流動性を支配するパラメータは、Manning の粗度係数と限界流動勾配の2つである。現在は、限られた情報からこれらの値の妥当な設定方法を検討している段階である。5. ケーススタディー:ブラジル リオデジャネイロの事例 6)2011 年 1 月ブラジルリオデジャネイロ近郊の広い範囲(100km 四方程度の領域)で、大雨による大規模な土砂崩れが発生し、山間部の Nova Friburgo, Teresopilis, Petropolis などで数百人の犠牲者が出た。図 1 は 500m 四方程度の領域を取り出して検討した例である。災害前の衛星データを用いて地形データを作成し、斜面勾配と雨水流動解析を合わせて一次危険斜面を抽出し、安定解析を行う。斜面材料パラメータは、今回は文献 7)より、湿潤単位体積重量  t =12.8(kN/m3), 粘着力 c=6(kPa), せん断抵抗角  =42°とした。また1次元斜面安定解析では、やはり文献 6)より基盤岩の上に厚さ 0.5(m)~2.0(m)の風化堆積層が覆っているという現地の典型的な地層構造より解析深さを 2.0(m)とした。その結果、図 2(a)の黒い領域に示すような崩壊予測領域を抽出した。図 2(b)(c)は、その崩壊土砂の粒子法流動解析結果である。ここではマニングの粗度係数 n=0.035, 限界流動勾配は崩壊土砂の堆積形状などから cr =25°とした。図 1 の実際の被害と比べると、最も大きな斜面崩壊をある程度正確な規模で再現できている。今後は、解析プロセスの可能な部分を自動処理化して、被害地域全体の解析を行う予定である。6. おわりに:再現解析でなく予測解析に向けて今回の解析では、災害後の調査で報告された地盤物性値 7) を用いたが、実際の崩壊予測ではそのような情報が得られるとは限らない。その場合、ある程度物性値の幅を持たせ、広い領域を解析して確率的に危険地域を抽出する必要がある。その際、重要なのは「崩壊前は安定であった」という事実である。すなわち、豪雨や地震などの外的作用が生じて初めて安全率が 1 を下回る、という条件は、地盤物性の推定に重要な制約条件となるだろう。謝辞ブラジルリオデジャネイロの PRISM データは ALOS「だいち」防災利用実証実験土砂 WG の活動の一環として提供していただいた。また、PRISM データからの DSM 作成では、産業技術研究所情報技術研究部門地球観測グリッド研究グループの画像処理サービスを利用した。ここに記して謝意を表します。参考文献1) 山田恭央:「地震による斜面崩壊予測とそれによる家屋・道路被害推計の統合システムの開発」, 国土交通省建設技術研究開発助成制度, 基礎・応用研究開発課題(平成 21~22 年度) 最終報告書, http://granular.kz.tsukuba.ac.jp/200905mlit/2) 国土交通省国土地理院HP, http://www.gsi.go.jp/kibanchizu/kibanchizu60004.html3) 宇宙航空研究開発機構HP, http://www.jaxa.jp/projects/sat/alos/4) 阿部慶太:「MPM を用いた地盤の大変形・流動解析手法の開発に関する研究」, 東京大学博士論文, 2013.5) ホァン ジャクェン、松島亘志、山田恭央:衛星画像から得られる 2.5m メッシュ標高データを用いた土砂流動解析,地盤工学会関東支部発表会講演概要集,pp.427-431, 2010.11.6) Alessandra Mayumi Nakata: Evaluation of landslide affected area due to torrential rain using GIS, 筑波大学修士論文, 2013.3.7) Avelar, A.S. et al.: (2011), Mechanisms of the recent catastrophic landslides in the mountainous range of Rio de Janeiro, Brazil,Proceedings of the Second World Landslide Forum 3-7 October 2011, Rome.図 1 Nova Friburgo の斜面崩壊の例(b) 流動解析結果(流動中) (c) 流動解析結果(流動後)(a) 危険斜面の抽出結果図 2 簡易浅水粒子法による土砂流動解析例 6)34
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  • タイトル
  • 地盤の掘削問題への粒子法の適用性に関する検討
  • 著者
  • 野々山栄人・中野正樹・野田利弘
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 35〜36
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62702
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会18E - 06 (富山)    2013 年 7 月地盤の掘削問題への粒子法の適用性に関する検討メッシュフリー地盤掘削弾塑性構成モデル名古屋大学国際会員○野々山栄人国際会員中野正樹国際会員野田利弘1.はじめに地盤工学では,弾塑性構成モデルを搭載した有限要素解析は実務レベルでも有効な解析ツールとして用いられている.しかし,この解析手法を大変形問題に適用した場合,FEM では過度にメッシュが変形すると計算が破綻することがある.そこで,大変形問題を得意とする Lagarange 型のメッシュフリー法である粒子法(SPH 法 1))に,砂から粘土,中間土まで2)を 1 つのモデルで表現できる土の骨格構造を考慮した弾塑性構成モデルを導入し,地盤の掘削解析を行った.対象とした地盤は,緩詰めおよび密詰めを想定した砂地盤である.得られた結果から,緩詰めおよび密詰め砂地盤の変形挙動の違いや掘削後の崩壊挙動を表現することができた.2.数値解析手法SPH 法は,連続体を多数の粒子として離散化する解析手法である.離散化された粒子群は,平滑化関数を用いて,連続体として取り扱われる.平滑化関数の値は,評価点粒子と平滑化領域内に位置する周辺粒子との距離と影響半径によって決定され,全ての物理量の分布は,平滑化関数の重ね合わせで表現される.本稿では,SPH 法の評価式を用いて,連続体力学に基づく固体力学の支配方程式である質量保存則および運動量保存則を離散化した.構成モデルには,複雑2)な地盤材料の変形挙動の表現を可能とするために,土の骨格構造を考慮した修正カムクレイモデル降伏関数は次式で与えられ,ここでは,簡便のため,異方性を考慮していない.p M2  2f  p,   MD ln ~  MD ln MD ln R   ln R   vp  0 , D p0M1  e 0 M2を導入する.この(1)ここに,M は限界状態定数,D はダイレイタンシー係数,p は平均主応力,q は偏差応力,R の逆数は過圧密比,R*の逆数は構造の発達程度,  vp は塑性体積ひずみ,は圧縮指数,は膨張指数,e0 は初期間隙比である.次に,土の骨格構造の概念を特徴付ける上負荷面(過圧密)および下負荷面(構造)の発展則 R , R * をそれぞれ示す.case(3)pここに, D は塑性ストレッチング, D vp , Dsp はそれぞれ塑性ストレッチングの体積成分および偏差成分,U,U*はそれ客観性のある応力速度として,Jaumann 応力速度を使用している.なお,本解析では,間隙水の影響は考慮しておらず,一相系の解析となっている.数値解析手法および構成モデルパラメータ発展則ぞれ正のスカラー値関数,cs は構造劣化指数である.また,パラメータ弾塑性2 p R *  U * 1  c s   Dvp  c sDs 3表1 材料定数および発展則の初期値(2)の詳細については,参考文献に譲る 2),3).初期値3.材料定数と発展則の初期値本研究で導入した構成式には,地盤材料を表現するために,0.012限界状態定数M1.0NCL の切片(98.1kPaの時)N1.98ポアソン比0.3正規圧密土化指数m0.06構造劣化指数a2.2構造劣化指数b=c1.0構造劣化指数csを参考に,一組の典型的な砂の材料定数と 3 パターンの異なる初期値を用いて緩詰め砂から密詰め砂までを模擬した.表 1 に用いた材料定数および初期値を示す.1/R01.256.58構造の程度1/R0*73.622.011.13v02.081.881.79比体積での単純せん断解析を実施した.図 1 に得られたせん断応力Application of SPH method to excavation problem of groundp0[kPa]500400[2]300200100[3]400[2]300200100[1]0510 15 20 25 30 35 40Shear strain xy [%]39.65294.3[3]0これらを用いて,拘束圧(294.3kPa)一定で,等体積条件下1.0過圧密比500Deviator stress q [kPa]4)3膨潤指数び初期値(過圧密・構造・比体積)が必要となる.本稿では,緩詰めから密詰めまでを想定した 3 種類の砂地盤に対して掘20.050初期等方応力材料定数(弾塑性パラメータおよび発展則パラメータ)およ削解析を行う.そこで,既往の研究1圧縮指数Deviator stress q [kPa]R  U D p0[1]0100200300400500Mean stress p [kPa]図1 せん断応力-せん断ひずみ関係,応力経路Nonoyama, H., Nakano, M. and Noda, T.,Nagoya University35 2.2510.0-せん断ひずみ関係および応力経路を示す.図 1 より,case1 では,pの減少に伴いながら q が増加してピークを示し,その後 p,q ともに7.750.5掘削領域4.5ゼロに向かう.case2 は,case1 とは異なり,p の減少後に,p の増加に伴って,q が増加する.case3 は,せん断中に q の減少が見られず,9.01:0.54.5p の増加に伴って,q が増加する.このように,粒子法を用いて,典型的な等体積条件下での緩詰めから密詰め砂の挙動を表現することが20.0できている.unit : m図2 解析モデル4.掘削解析表2 発展則の初期値前章の単純せん断解析で決定した材料定数および初期値を用いて砂地盤の掘削解析を実施した.図 2 に用いた解析モデルを示す.掘削高さは 4.5m,勾配は 5 分(1:0.5)とした.想定した地盤は,深さ方向に均case過圧密比構造の程度比体積15.3073.622.081/R01/R0*v0227.932.011.883167.711.131.79質な初期構造および初期比体積を有する地盤である.初期過圧密比については初期構造および初期比体積の値から算出100s100s100s200s200s200s300s300s300s600s600s600sした(表 2).初期応力は,土被り圧に対応する等方応力を与えた.境界条件は,地盤の側面および底面を壁境界として,側面は水平方向を固定し,鉛直方向をフリーに,底面は水平・鉛直方向ともに固定とした.解析方法として,深さ 9m の成層地盤に対して自重解析(25 秒間)を実施し,その後,掘削領域(図 2)にある粒子を瞬間的(10-5s)に取り除いた.その際に,地盤は応力解放されるため,掘削面にその分の荷重を作用させ,除荷を模擬している.図 3 に各ケースの掘削後(100,200,300,600秒後)の最大せん断ひずみの蓄積量の分布を示す.0.0また,図 4 および 5 に図 2 中の計測点(法肩から(a)case1(b)case2(c)case3図3 最大せん断ひずみの蓄積量の分布鉛直下向きに 0.5m の位置)での過圧密と構造の推移をそれぞれ示す.なお図中の黄色のハッチ箇1.2所は,自重解析を実施した時間である.掘削後の1.2[1]1挙動は,緩詰め砂を想定した case1 では,掘削直R*R0.60.4失が速く,一方密詰めでは,構造の喪失に時間が0.20.25.まとめ土の骨格構造を考慮できる弾塑性構成式を導入[3]0.60.40[2]0.8[3]4 および 5 に示すように,緩詰めでは,構造の喪かかるため,崩壊までに時間を要した.[1]1[2]0.8後に地盤が崩壊した.一方で,より密な地盤ほど,時間の進行に伴って地盤が崩壊した.これは,図0.300100 200 300 400 500 600time [s]0100 200 300 400 500 600time [s]図4 過圧密の推移図5 構造の推移した粒子法を用いて,緩詰めから密詰めまでを想定した砂地盤の掘削解析を実施した.緩詰めを想定した砂地盤では掘削直後に地盤が変形し,一方密詰めを想定した砂地盤では,時間が経過した後に地盤が変形した.これは,緩詰めでは,構造の喪失が速く,密詰めでは時間かかるためである.土の骨格構造を考慮できる構成モデルを搭載した粒子法を用いて,緩詰めから密詰め砂地盤の挙動および崩壊までを表現できることを示した.今後は,二相混合体理論を導入し,地下水の影響を考慮した地盤での解析を行う予定である.参考文献1)Lucy 1977. A numerical approach to the testing of the fission hypothesis, Astron. J. 82: 1023-1024.2)Asaoka et al. 2002. An elasto-plastic description of two distinct volume change mechanisms of soils, S&F, 42(5): 47-57.3)野々山ら 2012. SPH 法による実大規模斜面掘削実験の二次元再現解析, 地盤工学ジャーナル, 7(4): 543-555.4)中井 2005. 構造・過圧密・異方性の発展則に基づく土の弾塑性構成式の開発とその粘土、砂、特殊土への適用性に関する基礎的研究, 名古屋大学博士学位論文.36
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  • タイトル
  • 土砂混じり雪崩に関する基礎的研究
  • 著者
  • 久野泰嗣・森口周二・沢田和秀・上石 勲・岩田麻衣子
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 37〜38
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62703
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会19S - 03 (富山)    2013 年 7 月土砂混じり雪崩に関する基礎的研究雪崩模型実験 数値解析岐阜大学岐阜大学防災科学研究所雪氷防災研究センター岐阜大学学生会員国際会員正会員○久野 泰嗣森口 周二上石 勲岩田麻衣子沢田 和秀1.研究の背景と目的国土の多くが山岳地帯である日本では、毎年多くの雪崩災害が発生し、犠牲者が後を絶たない。2011 年 3 月 12 日午前 3 時 49 分に発生した長野県北部地震では、長野県栄村で震度 6 強、新潟県津南町、十日町市で震度 6 弱が記録され、多くの雪崩が発生した。一つの斜面で多数の表層雪崩や全層雪崩が発生しているところもあり、通常雪崩が発生しない緩斜面でも積雪のクラックや雪崩が発生していた。中でも、新潟県津南町辰ノ口と長野県栄村中条川付近で発生した土砂崩壊を伴う雪崩は、通常の雪崩よりも長く流下し、道路を遮断するなどの被害をもたらした 1)。この崩壊後の全景を図1 に示す。このような状況を踏まえると、豪雪時に大きな地震が発生した際の、複合災害の被害想定と対策を検討することが重要である。そのためには、土砂混じり雪崩の性質を理解する必要がある。しかし、その流動メカニズムはほとんど解明されていない。そのため、本研究では、模型実験とその再現解析を通じて、土砂混じり雪崩のメカニズムを検討することを目的とする。図 1 辰ノ口での崩壊(発生翌日)2.土砂混じり雪崩を対象とした模型実験土砂混じり雪崩の実際の現象を観測することは難しく、観測できたとしても、計測条件や自然条件によって、データにばらつきが生じる。本研究では、土砂混じり雪崩の流動メカニズムの解明を目的としているため、データのばらつきはできるだけ小さい方が望ましい。そこで、再現性が十分に確保された条件で計測データを得るために、模型斜面上で人工雪崩を発生させ、その挙動を確認した。具体的には、試料を斜面上に流下させ、雪崩の形状、停止後の到達距離および堆積厚さを測定した。実験は、雪のみ、砂のみに加えて、雪と砂を完全に混合させた状態で、雪の配合率 50%、75%、86%、92%の合計 6 ケース行った。ここで、配合率とは、混合試料全体の体積に対する雪の体積の割合である。なお、雪が変質することを避けるため、実験は新潟県長岡市の防災科学研究所雪氷防災研究センターの低温室(-20 度)で行った。図2 に模型斜面の写真、図 3 に概略図を示す。実験結果については、後述する再現解析の結果とともに示す。図 2 実験に用いた模型斜面図 3 模型斜面の概略図3.模型実験の再現解析小田 2)は、地盤材料を対象とした解析手法を雪崩の流動解析に応用し、その有効性を確認している。本研究では、この手法を用いて模型実験の再現解析を実施した。この手法は、構成則として Mohr-Coulomb の破壊規準を導入した Bingham 流体モデルを用いており、少ない入力パラメータで複雑な流動挙動を表現することができる。図 4 に本研究で用いた解析モデルを示す。斜面の傾きを表現するために、図 4 左上の矢印表示のように、重力の方向をコントロールしている。表 1 に示すそれぞれパラメータを変化させることで各配合率の材料を表現している。図 4 本研究で用いた解析モデルA study on soil-snow mixed snow avalanche.Yasushi Kuno, Shuji Moriguchi, Kazuhide Sawada, Isao Kamiishi, and Maiko Iwata (Gifu University)37 解析に用いたパラメータを表 1 に示す。表中の配合率0%と 100%は、それぞれ「砂のみ」と「雪のみ」に対応する。密度については、模型実験中の計測結果から決定した。また、低温室で実験を実施したため雪の粘性は低く、摩擦性材料として仮定できるものとして粘着力は 0としている。さらに、混合させたケースの内部摩擦角および最小粘性は、雪の配合率に対して線型的に変化すると仮定している。図 5 は解析結果から得られた流動中の表面形状を示したものであり、ここでは、雪のみ(配合率 100%)の条件で得られた流動形状を示す。表 1 材料パラメータ雪の配合率(%)0(砂のみ)密度(kg/㎥)1072内部摩擦角(°)30最小粘性(㎩・s)1粘着力(㎩)050714.4250.75075616.722.50.625086576.721.40.571092475.620.80.5390100(雪のみ)385.6200.504.模型実験と再現解析の比較図 5 解析で得られた流動形状(雪のみ)実験と解析では、流動形状、停止後の到達距離および層厚分布、の 3 つの項目について比較を行ったが、ここでは紙面スペースの関係上、到達距離についてのみ示す。到達距離の結果を比較したグラフを図 6 に示す。横軸が雪の配合率、縦軸が到達距離であり、実験結果と解析結果が図中に表現されている。なお、実験結果の到達距離は、同条件で3回実施した結果の平均値である。模型実験で得られた結果では、多少ばらつきがあるものの、雪の配合率が高くなるにつれて、平均到達距離が長くなる傾向がある。それに対し、数値解析で得られた結果では、全体的な傾向は、模型実験で得られた結果と概ね一致しているが、雪の配合率 86%のケースで、最も図 6 実験と解析で得られた到達距離到達距離が長くなっていることが確認できる。また、流動形状および層厚分布でも、多少のばらつきはあるものの、全体的な傾向は概ね一致していることを確認している。これより、解析により得られた、雪の配合率 86%のケース(混合したケース)で到達距離が最も長くなるという結果も有意であると考えられる。この原因として、密度と内部摩擦角が関係していると考えた。雪の配合率が高い場合、密度が小さいため、慣性力は小さいが、内部摩擦角による影響も小さい。試料が砂である場合、密度が大きいため、大きな慣性力が働くが、内部摩擦角による影響は大きい。つまり、到達距離が長くなるのは、密度と内部摩擦角のバランスが関係していると考えられる。よって、密度と内部摩擦角の組み合わせによって、到達距離が長くなるケースが存在する可能性がある。5.土砂混じり雪崩のメカニズムの検討実験と解析の結果から、試料を混合させたケースにおいて、ある混合率では、到達距離が長くなりやすいということを確認した。この傾向から、土砂混じり雪崩のメカニズムを検討する。実際の現象では、図 1 のように、先端付近の土砂の上に、多くの雪が存在している。また、現地調査により、流動した土砂の下にも雪があったことが確認されている 1)。そのため、流動中は図 7 のように雪,砂,雪の 3 層を形成していたと考えられる。これより、本研究では、流動中の雪層と土砂層の境目で雪と土砂が混合し、流下しやすい配合の材料となることで流動距離が長くなったと考える。図 7 流動中の土砂混じり雪崩の断面図6.今後の課題本研究の結果を踏まえて、以下に今後の課題を示す。・ 模型実験の結果にばらつきが生じてしまった原因として、試料を発生装置である木箱に設置する際、流下させる試料の形状が変化してしまった可能性がある。そのため、これを考慮した試料の設置方法を検討する必要がある。・ 雪, 砂, 雪の 3 層、または斜面上に雪が存在する状態で流下させるケースについても、検討する必要がある。・ 得られた傾向が、実斜面スケールでも適用されるか確認するため、実斜面スケールでの再現解析を行う必要がある。参考文献1) 千木良雅弘, 松浦純正, 松四雄騎, 黒木雅弘, 山崎新太郎: 2011 年長野県北部地震による斜面災害の調査報告, 2011.2) 小田憲一: 雪崩の挙動予測を目的とした数値解析手法の高度化, 岐阜大学学位論文, 2011.38
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  • タイトル
  • 中国敦煌莫高窟における常時微動特性
  • 著者
  • 岩崎好規・中川康一・谷本親伯・石川有三・王 蘭民・王 旭東・小泉圭吾・郭 青林・尾池和夫
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 39〜40
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62704
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会20C - 02 (富山)    2013 年 7 月中国敦煌莫高窟における常時微動特性常時微動敦煌文化遺産地盤研究財団国際会員○岩崎 好規大阪市立大学正会員中川 康一国際高等研国際会員谷本 親伯静岡大学石川 有三蘭州地震研究院敦煌研究院大阪大学王蘭民王 旭東, 郭 青林国際会員国際高等研究所小泉 圭吾尾池 和夫1 まえがき敦煌莫高窟は,シルクロードに沿いタクラマカン砂漠の東北端に位置しているが,インド大陸の北上に伴って形成されたヒマラヤ造山運動に連動して形成されつつある活構造体の北限の一翼を担う三危山活断層に接している。地盤は,一見すれば,礫岩であるが,第四紀の堆積層で乾燥地帯にあるために,固結が進んでいる。地震時の窟の安定性を検討するために,常時微動特性を観測した。2 地形・地質写真-1 に西に向いている莫高窟のがけ面を示す。図-1 に現地の平面図を示した。がけ面は南北の走向を有し,がけの上写真-1敦煌莫高窟の段丘面は標高 1375m, がけの下の底面の標高は 1330m 程度で 40-50m 程度の比高を有するがけ面に窟を掘り,仏像を安置したり壁を装飾したりしている仏教遺跡で,1987 年に世界遺産として登録された。崖面を形成する地質は,更新世ゴビ砂礫層と呼ばれ,窟の東側にある大泉河の古期扇状地性堆積物が新しい大泉河による浸食によって形成されたものである。これらの洞窟の崖面は風化により,脆弱化し,亀裂も見られ,1960 年代以降にコンクリ-トの擁壁で被覆されている。3常時微動観測2012 年 6 月および 10 月に,現地において,常時微動観測を実施した。速度型の地震計で次のような機材である。図-1微動観測平面図図-2莫高窟地震計:速度型 KVS-300 固有周期 0.5 秒地震観測用データロガー:EDR-X7000(近計システム製)サンプリング周波数250Hz±5V, 18bit A/D崖の上面に 5 地点,崖下の低地に 3 点,および崖に掘られている窟内床面においても観測した。持ち込んだ地震計は2 台であったので,各点毎に 20 分程度の観測を実施した。観測波形の記録の 1 例として T1 地点の観測結果を図-4 に示した。崖面に直交する東西方向の成分が卓越していることが分かる。一般断面図Characteristics of Microtremor at Mogao Grottoes, Dunhuang,Iwasaki Yoshinori GeoResearch Inst., Nakagawa Koichi OsakaChinaCity Univ.,Tanimoto Chikaosa, IIAS, Ishikawa Yuzo, ShizuokaUniv, Wang Lanmin Lanzhou Earthquake Inst., Wang Xudong &Quo Qinlin, Dunhuan Research Inst., Koizumi Keigo osakaUniv., Oike Kazuo IIAS39 質点軌跡(mkine)0.5図-4 に,崖面上EW部および崖面下Umkine0.30.30.2102030405060S-0.3-0.2-0.10.10.00.0N0.10.2-0.3-0.2-0.1NS61912220.00.00.10.20.3E-0.1-0.2-0.20.0-0.3-0.3同時観測ではな-0.5いので,相対的0.3ND0.3-0.3mkineD0.20.5 0UDW0.3-0.10.3mkine0.20.10.5 0NSEW-UDNS-UDU-0.5微動の質点軌跡な振幅の正確なEW61912220.0-0.3の低地におけるを示した。T10.3Y Axis Title410203040500.260T10.10.1UD6191222WT1-0.30.0-0.2-0.10.00.0-0.10.10.20.3E-0.1-0.3-0.2-0.2議論はできない-0.501020304050図-3time(sec)微動の計測波形例60(T1地点)-0.3Sが,崖面上部の方が相対的に振幅は大きい。観測地点の中でも質点軌跡では,崖面直交成分方向が卓越しているが,崖面上部の T3 地点,崖下下面低平地の A2 地点においては,軌跡の卓越方向の特徴が見られない。また,崖面下の図-4各地点の微動の質点速度軌跡窟内(第 108 窟)においても,質点軌跡の方向についてもその特徴がみとめられない。5微動速度のスプクトル比図-5 に微動観測地点ごとの水平東西方向振動のスペクトルを上下方向のスペク図-5質点速度の微動振動スペクトル比 (EW/UD)トルで除したスペクトル比を示した。崖面上部面と下位低地における一般的なスペクトル比の特徴を見ると,低平地においては,スプクトル比に約 1秒の卓越周期が見られる。崖面上部においては,1 秒と 2-3 秒に卓越周期が見られる。T3, RM108, A2 地点では,のスペクトル比は,他の地点と異なるが,その原因は不明である。崖面上部から 3 本のボーリングが実施されているが,その地質は表層から砂礫層が約 150m まで確認されているが,基盤岩深度までは未確認である。崖面上面および下面で実施された屈折波実験から,P 波および S 波の伝播速度としてはVp=1.6km/sec, Vs=0.5-0.7km/sec と求められている。低平地の約 1 秒の卓越周期およびS波速度からみると,低平地部における表層厚は,120-180m 程度と見積もられる。崖面上部における卓越周期の 2-3sec.の解釈は,崖層内部に低速度層があるのか?あるいは,低平地部の層厚より深いのか?敦煌の謎,今後の課題として残った。40
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  • タイトル
  • 敦煌・莫高窟の背後山地の水分検層とこれの室内キャリブレーション
  • 著者
  • 寺尾庸孝・小田和広・小泉圭吾・谷本親伯・吉村 貢
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 41〜42
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62705
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会21C - 02 (富山)    2013 年 7 月敦煌・莫高窟の背後山地の水分検層とこれの室内キャリブレーション地盤の水分検層室内キャリブレーションソイルアンドロックエンジニアリング㈱正会員 ○寺尾庸孝大阪大学大学院国際会員小泉圭吾国際高等研究所国際会員谷本親伯大阪大学大学院国際会員小田和広ソイルアンドロックエンジニアリング㈱国際会員吉村貢1.はじめに古代,シルクロードの一大中継地であった中国・敦煌の,莫高窟は断崖に掘削された約 500 の洞窟に描かれた極彩色壁画で有名である。近年,これら壁画の劣化が問題になっている。これまでの調査で水分の移動・蒸発に伴って洞窟の壁表面に塩分が析出し,壁画の剥離を助長していることが指摘されている。これの対策を検討するために,背後山地を含む莫高窟周辺地盤の水分挙動を把握する必要がある。今回,既往のボーリング孔を利用して背後山地の水分分布を調べるために挿入型 RI 密度計,および挿入型 RI 水分計による検層を実施した。この際に得られた孔径などの情報を元に124m調査は,莫高窟の背後山地において,窟から約 250m離れたボーリ100mング孔 No.3 において実施した(図-1)。この孔は,地表面からNo.1孔150m莫高窟40mNo.3孔2.調査位置の概要150m室内キャリブレーションを行い,測定値の信頼性を検討した。150m大泉河GL-29.4m までは鋼管ケーシングが挿入されており,それ以深では,孔閉塞壁がモルタルでコーティングされた状態となっている。図-1 調査位置概要3.調査装置の概要本調査では,このボーリング孔を利用して,挿入型 RI 密度計・挿入型 RI 水分計を適用し,地表面付近~G.L.-124mまでの地盤の密度・水分検層を行った。挿入型 RI 密度・挿入型 RI 水分計は,それぞれガンマ線および中性子線と土中の物質を構成する原子との相互作用を利用し,地盤の密度,水分を測定する機器(直径 42.7mm,長さ約 1m)である。地盤に設置されたパイプ内または,裸孔内に測定器を挿入することで,地盤の密度及び水分の深度分布を把握することができる。また,今回は G.L.-29.4m 以深のモルタルコーティングされた区間においては,キャリパーによる孔径検層も実施した。4.挿入型 RI密度計・挿入型 RI水分計の校正試験表-1校正試験ケース試験測定条件試験ケース 孔条件孔径(内径) 備考 水準1φ89mm3裸孔2φ102mm33φ110mm34 モルタル管φ90mm t=6mm 35鋼管φ100mm t=5mm 362重鋼管 φ130,100mmt=5mm 3RI 法による密度・水分測定は間接法であるため,適用する調査孔およびその孔周りの幾何学的条件と同様の条件のもとで校正式を求める必要がある。今回は,表-1 に示す 6 つの条件(ケース)について校正試験を実施した。ケース 1~3 はキャリパー検層で得られた孔径範囲の裸孔,ケース 5,6 は現場で G.L.-29.4m まで使用されているケーシングである。ケース 4 のモルタル管は,孔壁がモルタルコーティングされた区間において,モルタルの影響を把握する目的である。なお,1つの幾何学条件(試験ケース)に対し,設定密度 ρt に対して 3 水準(=1.85,2.00,2.20g/cm3),設定含3水量 ρm は,ρt に対応して 3水準(=0.08,0.13,0.17g/cm)を変えた供試体を用いて校正試験を行った。5.校正試験結果2.2図-2,3 に裸孔条件および鋼管における校正試験結果を示す。裸孔条y=3.8998*e-0.39x件に比べると,鋼管での測定精度は低い結果となった。裸孔条件における挿入型 RI 密度計および挿入型 RI 水分計の校正式は下記の①,②のよとして得られた。① 挿入型 RI 密度計校正式Rρ=A*eB*ρtRρ:密度計計数率比A=0.0219*φ+1.4776A,B:校正定数B=0.0013*φ-0.5382φ:孔内径(mm)② 挿入型 RI 密度計校正式Rm=C*ln(ρm)+DRm:水分計計数率比C=-0.0458*φ+9.8745C,D:校正定数D=-0.0144*φ+2.7265φ:孔内径(mm)密度計計数率比 Rρうに導かれ,それらの校正式における校正定数 A~D は孔内径φの関数1.8裸孔孔内径φ89㎜裸孔孔内径φ102㎜裸孔孔内径φ110㎜鋼管内径φ100mm2重管y=3.6935*e-0.411x1.4y=3.4362*e-0.418xy=1.1193e-0.095x1.00.61.6y=0.8898e-0.048x1.82.02.22.4湿潤密度 ρt(g/cm3)図-2挿入型 RI 密度計校正試験結果The moisture logging of the back mountain of the Mogao Caves at Dunhuang, and the laboratory calibrationGraduate school , Osaka University: Kazuhiro Oda , Graduate school , Osaka University: Keigo KoizumiInternational Institute for Advanced Studies: Chikaosa Tanimoto , Soil and Rock Eng.Co.Ltd: Mitsugu Yoshimura, Tsunetaka Terao41 次に,モルタルコーティングが挿入型 RI 密度計,挿入型 RI 水分計の計4.0測値に与える影響を把握するための校正試験ケース 4行った。図-4に挿y=1.4602*ln(x)+5.821y=1.2357*ln(x)+5.174入型 RI 密度計の校正試験結果をプロット点とその回帰曲線(点線)で示す。水分計計数率比 Rm3.0実線はモルタル管と同じ内径φ90mm の裸孔について①式より求めた計算3値である。今回使用したモルタル管の密度は 1.7(g/cm )であり,その密度を境界として土の密度が大きければ過少に評価することがわかった。図-2に示したように裸孔孔径φ89~110mm の,現地 No.3 孔の内径出現範囲において,校正曲線の勾配はほぼ同じであることから,モルタルの影響度も大きくは変わらない。補正値 Δρt は最大でも±0.07(g/cm3)程度になると考えられる。同様に図-5 に挿入型 RI 水分計の校正試験結果を示す。水分計にy=1.1337*ln(x)+4.832y=0.7145ln(x)+3.3342.0y=0.429ln(x)+2.120裸孔孔内径φ89㎜裸孔孔内径φ102㎜裸孔孔内径φ110㎜鋼管内径φ100mm2重管1.00.00.0おいては供試体の含水量 ρm が小さいほど,モルタルの影響を大きく受け過0.10.20.30.4含水量ρm(g/cm3)大評価に,逆に供試体の含水量が大きくなるとその影響は小さくなる傾向図-3が見られた。今回検層した地盤の含水量においてはその補正 Δρm は-0.010水分計校正試験結果(裸孔)~-0.012(g/cm3)程度となる。6.密度・水分検層結果2.24.01.83.0また,上述したモルタルの影響を考慮した結果を実線で示す。G.L.-29.4m 以浅の鋼管φ110 または1.4モルタル管(内径φ90)1.0裸孔内径φ90(計算値)2 重管が挿入された区間では,得られた校正式から現場の密度を評価す0.61.5ると,バラツキが異常に大きくこの地盤の密度を反映しているとは言い水分計計数率比 Rmる検層結果を図-6 に点線で示す。密度計計数率比 Rρ前出の①,②を適用して孔内径φによる補正を行った No.3 孔におけ1.71.92.1湿潤密度 ρt(g/cm3)モルタル管(内径φ90)1.0裸孔φ90(計算値)0.00.02.30.10.20.30.4含水量ρm(g/cm3)図-4 密度計へのモルタルの影響難い結果となった。この原因として2.0図-5 水分計へのモルタルの影響は,校正試験時と調査孔の管周辺の状態(クリアランス等)が大きく異なっている可能性が考えられる。そのため,ケーシング部における密度検層結果は評価の対象外とした。今回のような地盤条件(低含水比)では,水分計の計測値は管周辺の状態に対しあまり影響を受けないと考えられるため,G.L.-29.4m 以浅の評価も行った。この区間の含水比の算出は,湿潤密度 ρt を 2.3g/cm3 と仮定して用いた。地表面付近から G.L.-15m付近まで,含水量 ρm が 0.03(g/cm3)程度の層が続き,それ以深では含水量の上昇がみられる。また,G.L.-40~60m 付近で飽和度が高くなっていることがわかった。G.L.-29.4~80m 区間においては,湿潤密度が 2.35(g/cm3)程度であり,大きな変動はない。それ以深では,湿潤密度 ρt が2.25(g/cm3)程度であり,上層と比較すると小さい。7.まとめ2.0 2.2 2.4 2.60.00 0.04 0.08 0.12 00000件が,現場の地盤状況と大きく異なっ概ね一致している。G.L.-40~60m に存在する飽和度が高い領域は,莫高窟の壁面と劣化が進行する標高が概ね一致し,その水分の含有状態が壁画背面の水分環境に影響を与えている可能性が考えられる。参考文献1) 宮脇知美・小田和広ら:電気探査を62020303030404040404050505050503030606070708080ケーシング深度G.L.-29.4m60706070607080809090909090100100100100100110110110110110120120120120120130130130130130図-6用いた敦煌莫高窟崖背面地盤の水分環境に関する研究,第 47 回地盤工学研究発表会講演集,pp.71~72,2012.8.80密度・水分検層結果2)伊藤三彩恵・小泉圭吾ら:電気探査を用いた敦煌莫高窟崖背面地盤の水分環境に関する研究,第 47 回地盤工学研究発表会講演集,pp.63~64,2012.8.42Sr(%)8 0 20 40 60 800検層結果(モルタルの補正なし)10 モルタルの補正あり)検層結果(No.1孔付近室内試験20仮定湿潤密度を用いた推定値G.L.(m)近より採取された試料の室内含水比に飽和度w(%)42020G.L.(m)り算出した検層結果では, No.1 孔付210G.L.-(m)る。室内キャリブレーション結果によ含水比1010 仮定ρ =2.3g/cm3 10t地盤深度 G.L.-(m)ていなければ,下記のように考察でき含水量 ρm(g/cm3 )湿潤密度ρt (g/cm3)今回の調査において,校正試験の条
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  • タイトル
  • 中国・敦煌莫高窟背後地盤における塩類の分布特性に関する現地調査
  • 著者
  • 宮脇知美・小田和広・小泉圭吾・伊藤三彩恵・朴 春澤・谷本親伯・郭 青林・王 旭東
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 43〜44
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62706
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会22C - 06 (富山)    2013 年 7 月中国・敦煌莫高窟背後地盤における塩類の分布特性に関する現地調査莫高窟塩類現地調査大阪大学大学院学生会員大阪大学大学院正会員○宮脇知美大阪大学大学院正会員小田和広学生会員伊藤三彩恵谷本親伯小泉圭吾大阪大学大学院ハイテック(株)朴春澤国際高等研究所敦煌研究院楊善龍郭青林王旭東1.はじめに世界遺産である莫高窟は,高さ約 40m の垂直な崖に南北 2km に渡って掘削された 492 個の石窟群の総称である.石窟の内部には,仏像など約 2400 体の彩色塑像,合計 45,000m2 に及ぶ仏教絵画が存在する.莫高窟では現在,塩害による壁画の劣化が問題となっている.写真-1 は塩害によって剥落した壁画を示している.塩害とは,地盤中の間隙水が蒸発することにより,溶解していた塩類が析出することによって引き起こされる様々なトラブルを総称する.莫高窟が存在する敦煌市は,ユーラシア大陸中央部のタクラマカン砂漠東部に位置する.一般に,大陸内部の砂漠地帯では,降水量が少ないため,降写真-1 塩害による壁画の剥落雨による塩類の溶脱効果が小さい.それゆえ,土壌中には潜在的に多くの塩類が含まれている.莫高窟周辺の地盤中には主に塩化ナトリウム,硫酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム等の塩類が含まれている.これら塩類の地盤中Q2層試料●筆者らは,莫高窟周辺地盤に含まれる塩類に着目し,その分布特性につい1),2).本研究では,それらの結果に基づき,地盤中に含まれる塩類の量を推定するとともに,間隙水中の塩類の濃度について考察する.●地点L莫高窟て調査してきた防砂フェンス敦煌研究院大泉河での分布特性を明らかにすることは,壁画保存の方法に関する一助となる.●地点C●地点M,N●地点A,B2.莫高窟周辺地盤中に含まれる塩類の分布特性と塩量●108窟地盤中に含まれる塩類の量を直接的に測定することは非常に難しい.特に,人工植生海外でそれを行うことは非常な困難を伴う.したがって,現地調査では,電図-1気伝導率から間接的に塩類の量を推定することとした.図-1 は電気伝度率を計測するための試料を採取した位置を示している.試料を採取した場所は0崖上で 3 点(地点 A,B,C),崖下大泉河川岸壁面で 3 点(地点 L,M,N),壁画壌を採取した.ただし,遺跡を傷つけないよう慎重に配慮し,窟内に落ち‐40‐60ている削剥痕や漆喰,調査用の孔の中に削れて溜まっていた土壌を採取し‐80た.Q2 層の試料は,観光客に公開されていない窟が並ぶ莫高窟の北側部の‐100崖面表層から採取した.‐120電気伝導率の計測は,ポケット型マルチテスター(PCST35,竹村電機製20‐20深度(cm)水平方向に試料を採取した.108 窟内では西側の壁において水平方向に土電気伝導率(mS/cm)10150に塩類の析出が見られる 108 窟内壁および窟が穿たれている Q2 層である.地点 A,B,C は地表面から深度方向に,地点 L,M,N では,鉛直な崖面に対し5計測場所地点A地点B地点C電気伝導率の分布(地点 A,B,C)図-2作所)を用いた.計測は,テスターに付属しているサンプルケースを利用し,1:5 溶液法を適用した.図-2 および 3 は,それぞれ地点 A,B,C および地点 L,M,N における電気伝導率の分布を示している.地点 A,B,C では,地表面から鉛直深度 40cm 付近までにおいて 2mS/cm 以上の高い電気伝導率が測定された.地点 A と B では,鉛直深度 10cm で電気伝導率はピーク値を示した.特に,地点 A では測定レンジの範囲をオーバーした.一方,地点 C では,鉛直深度 20cm で電気伝導率はピークに達し,その値は約 5mS/cm であった.また,鉛直深度40cm 以深では,0.2~0.5mS/cm という鉛直深度 40cm 以浅の電気伝導率より電気伝導率(mS/cm)25地点L地点M地点N201510500もかなり低い値が測定された.このことは,地表面から鉛直深度 40cm まで5101520水平深度(cm)図-3電気伝導率の分布(地点 L,M,N)Field measurements on distributions of soluble salts in ground around the Mogao Caves at Dunhuang, ChinaTomomi MIYAWAKI, Kazuhiro ODA, Keigo KOIZUMI, Misae ITO, PIAO Chunze, Chikaosa TANIMOTO, YANG Shanlong,GUO Quinglin, and WANG Xudong43 に塩類が集積していることを意味している.地点 L,N では,地表面お7よび水平深度 5cm までにおいて高い電気伝導率が測定された.5cm 以6電気伝導率(mS/cm)深では,水平深度の増加に伴い電気伝導率は単調に減少した.特に,地点 N では急激に減少した.また,地点 M と N は同じ大泉河の河岸壁から試料を採取したのにも関わらず電気伝導率の分布特性は大きく異なった.このことは,分布特性にばらつきがあることを示唆してい【108窟】サンプル⑥(高さ2m)サンプル⑦(高さ2m)サンプル⑧(高さ2m)サンプル⑨(高さ2m)サンプル⑭(高さ1.3m)サンプル⑮(高さ1.3m)5432る.以上の結果から,分布特性に差はあるものの外界と直接接し,蒸1発散の影響を直接受ける地表面付近には,地盤中に含まれる塩類が集0【Q2層試料】(深度未確認)試料1 試料205積している.また,その分布特性にはばらつきがあることが分かった.10152025水平深度(cm)図-4 は 108 窟および Q2 層における電気伝導率の分布を示している. 図-4 電気伝導率の分布(108 窟および Q2 層)108 窟における電気伝導率は比較的高く,地点 C における鉛直深度40cm までの電気伝導率とほぼ等しい.ただし,地点 A,B,C および地点単位質量当たり塩量0.0050.010.01500は,108 窟では,潜在的に多くの塩類が含まれており,それが顕著に移‐20動していないことを示唆している.次に,電気伝導率から地盤中に含まれる塩量の推定を試みた.ただし,深度(cm)L, N において見られたような明確な分布特性は確認できない.このこと0.020.025‐40‐60地盤中に含まれる塩類の種類を特定することはできないので,すべての‐80塩類が塩化ナトリウム(NaCl)として換算する.図-5 および 6 は,それぞれ地点 A,B,C および地点 L,M,N おける土粒子‐100の単位質量当たりの NaCl 換算塩量の分布を示している.地点 A,B,C に‐120地点A地点B地点Cおいて,塩類の集積が確認された鉛直深度約 40cm まででは,土粒子の図-5塩量の分布(地点 A,B,C)単位重量当たりの塩量は 0.002~0.02g であると推定された.地点 L,N の地表面および深度 5cm 地点では,0.015~0.02g の塩量が含まれている.算塩量の分布を示している.108 窟内壁中では,0.0016~0.006g の塩量が含まれている.Q2 層では 0.0006~0.002g の含有量と推定された.ところで,莫高窟崖背後地盤における含水比は 2~3%であることが分かっている3).含水比の定義は土粒子の単位質量当たりの水分量であ地点L単位質量当たり塩量図-7 は 108 窟および Q2 層における土粒子の単位質量当たりの NaCl 換0.025地点M0.02地点N0.0150.010.005るので,間隙水の濃度を推定することができる.含水比を 3%とすれば,地点 A の深度 10cm 地点で約 38%,地点 B の深度 10cm 地点で約 23%00である.地点 L および`N の地表面ではそれぞれ約 38%および約 33%と5101520水平深度(cm)なる.108 窟内壁では 5~15%となる.また,含水比を 2%とすれば,図-6塩量の分布(地点 L,M,N)地点 A の深度 10cm 地点で約 48%,地点 B の深度 10cm 地点で約 30%である.地点 L および`N の地表面ではそれぞれ約 48%および約 42%となる.108 窟内壁では 7~20%となる.NaCl の飽和濃度は 26%前後でる.これは実際に計測時において地点 A および B の深度 10cm 付近で塩類の結晶帯が確認された事実からも裏付けられる.3.結論1.外界と直接接する地盤表面部分では塩類が集積している.また,108 窟内壁および Q2 層にも比較的多くの塩類が含まれている.2.地盤中に含まれる塩量を土粒子の単位質量当たりの質量として電気伝導率から推定できた.3.0.005単位質量当たり塩量あるので,地点 A,B,L および N の地表面付近では飽和濃度を超えてい【108窟】サンプル⑥(高さ2m)サンプル⑦(高さ2m)サンプル⑧(高さ2m)サンプル⑨(高さ2m)サンプル⑭(高さ1.3m)サンプル⑮(高さ1.3m)0.0060.0040.0030.0020.001【Q2層試料】(深度未確認)試料1 試料20010152025水平深度(cm)図-7間隙水中の塩の濃度を推定することができた.5塩量の分布(108 窟および Q2 層)参考文献1)小田和広他(2012):中国・敦煌莫高窟背後地盤における塩類の現地調査と水分移動の数値解析,第 57 回地盤工学シンポジウム,pp.127-134.2)伊藤三彩恵他(2012) :電気探査を用いた敦煌莫高窟崖背面地盤の水分環境に関する研究,地盤の環境・計測技術に関するシンポジウム 2012 発表論文集3)寺尾庸孝他(2013):敦煌・莫高窟の背後山地の水分検層とこれの室内キャリブレーション,第 48 回地盤工学研究発表会発表概要集(投稿中)44
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  • タイトル
  • 京都市東寺の築地塀断面の強度分布
  • 著者
  • 吉留花江・三村 衛・近藤奈央・寺尾庸孝・吉村 貢
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 45〜46
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62707
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会23B - 03 (富山)    2013 年 7 月京都市東寺の築地塀断面の強度分布土構造物強度築地塀京都大学大学院工学研究科国際会員京都市埋蔵文化財研究所非会員ソイルアンドロックエンジニアリング㈱国際会員三村衛近藤奈央吉村貢同上正会員寺尾庸孝同上正会員○吉留花江1.はじめに京都市の東寺は平安京が置かれたとき,京域の中央を貫く朱雀大路の南の入り口に当たる羅城門の両側に西寺と一対で配置された。その後幾度かの戦火などの火災によって西寺はなくなった。東寺も同様の被害に遭遇するが再建が図られ,現在に残っている。特に五重の塔は新幹線の車中から見ることができ,古都京都のシンボルにもなっている。東寺の所在位置と今回の調査位置を図-1 に示す。この東寺は境内を築地塀で囲まれている。築地塀は突固めた土の層を重ねる版築により形成されており,下底約 2.4m,上底約 1.4m,高さ約 2.8m の台形の土塀に屋根がかけられている。長年の風雨に耐えた築地塀も痛みがひどくなり改修されることとなった。これに合せて屋根が解体された築地塀にいくつかのトレンチを設ける発掘調査が行われた。この断面において針貫入試験により図-1土構造物としての築地塀の強度分布を求めた。調査位置2.東寺の築地塀敷地境界に構築される塀は,古代より外敵の侵入を阻止する機能,あるいは目隠しの機能を有した構造物である。土を主材料として構築される土塀の内で築地塀と呼ばれるタイプは,突固めた土の層を積み重ねる「版築」によって形成されている。版築は,粘性土単独のケースや,砂質土との互層,割れ瓦を層間に並べるケースがある。奈良・平城宮の朱雀門両側の築地塀は高さ 12m にも達していたとされている。東寺の築地塀は,写真-1 に示したトレンチ 12 の発掘断面に見られるように,石分や瓦の破片をわずかに含む粘性土単独で構築されている。築地塀を構成する土層が写真-1 に水平の構造として確認できる。発掘調査によって構築時期が図-2 のように,下位から平安写真-1トレンチ 12 の発掘断面前期,平安中~後期,鎌倉,室町,と江戸・慶長~寛永の 5 つに区分されている。図-2 のように鎌倉以前の築地塀は現存築地塀の基壇部分に残っている。図-2トレンチ 12 の発掘調査結果発掘では江戸・慶長~寛永の版築は上段と下段に区分されている。図-2 では下段と上段で土層構造が異なっており,前者は塀の横断前面に土層が配置されているのに対し,後者は壁の両サイドと内側に分けられている。観察によっても,上段内側は版築構造ではなく土塊を詰め込んだように見える。Strength and structureof the roofed mud-walls of Toji Temple.Kyoto University: Mamoru MimuraKyoto City Archaeological Research Instute:Nao KondoSoil and Rock Eng.Co.Ltd: Mitsugu Yoshimura, Tsunetaka Terao, Hanae Yoshidome45 2.試験方法トレンチ掘削面は発掘調査のために設けられた覆屋の中にある。このため,築地塀全体が乾燥した状態となっており,開削断面も自然状態に比べて水分が乏しくなっている。この状態は日干し煉瓦と同じように堅くなり自然状態の強度を評価することが難しい。そこで開削当初の水分状態に近づけるため,開削断面とこれより後ろ側の築地塀に対して噴霧器で水を散布した。水分の状態は開削の際の観察による呈色との比較により再現した。散水後はシートで一晩養生し,水分を馴染ませ,翌朝呈色を再度確認した。養生シート撤去後,5cm 間隔で方眼を描いた透明ビニルシートを試験面に貼付し,その交点で針貫入試験を実施した(写真-2)。写真-23.試験結果試験状況トレンチ 12 の調査断面における試験結果を図-3 に換算一軸強さの分布図として示す。強度分布図に認められる特徴は次の点が挙げられる。1)江戸・慶長~寛永期の版築上段は築地塀の外に面した20~30cm の領域と内部には著しい強度の差違があり,後者の強度は外側の 1/5 以下である。2)江戸・慶長~寛永期の版築下段も外側と内側に強度の差違がある。強度がもっとも小さい部分は上段と同じ程度であるがその出現範囲はきわめて小さく,上段とは異なっている。3)江戸・慶長~寛永期の版築下段では版築工法による土層構造が締固め上面で強度が大きく,下方へ強度が減少する,横縞のパターンが認められる。4)室町期の築地塀の版築層にもこの横縞パターンが認められる。5)基盤に残る鎌倉期の築地塀版築の強度はやや小さく,平安初期~後期の版築層の強度は大きい。(基盤幅が大きく,より高いものであったらしいる)4.考察現存の築地塀の特徴として外側が内部より強度が大きいという結果は,元々版築で土塀を構築する際に意図的にこのような構造を形成したと考えられる。特に江戸・慶長~寛永期の版築上段では外側に土を配置して締固めてから,窪んだ内側にレタスほどの大きさの土塊を投げ入れたと考えられる。上部の築地塀の重量を支えるために版築下段は入念に「版築工」を施し,上部は築地塀の形状を維持するためだけの機能を期待したと推察される。現在の東寺の築地塀がそうであるように江戸・慶長図-3針貫入試験による強度の分布図~寛永期には屋根を支える柱が,礎石と共に2間(約 3.6m)毎に設置されて,築地塀上部へ屋根の荷重は作用してなかったと考えられる。内側の強度が小さい構造では地震のゆれで張力が作用して築地塀中央に亀裂を生じたこともあったと考えられる。強度分布を詳細に比較すると,築地塀の外側も境外側のほうが境内側よりもやや強度が小さい。外敵の侵入に関して強度に差を付けたとも考えられるが,差はそれほど意図的ではなく,むしろ今回調査した築地塀が東側であり,境内側の面は西日に曝される方向となり,築造の段階で乾燥収縮が進行したものかと考えられる。この点は将来,西側の築地塀で発掘調査が行われる際に確認できるものと期待される。基盤部分に残る古い時代の版築も築地塀の自重を支えるのには十分な強度があり,このままの状態で土構造物遺跡として後世に伝えられるものと考えられる。参考文献1)三村衛・吉村貢:高松塚古墳墳丘の構造と原位置試験および室内試験による地盤特性の評価に関する研究,土木学会論文集C, Vol.65, No.1, pp.241-253, 2009, 2)宮本長二郎:平城京-古代の都市計画し建築,草思社,1986,3)Mamoru mimura, Mitsugu Yoshimura and Tsunetaka Terao: Strength and structure of the roofed mud-walls of Toji Temple, Proc.of I.S.Napoli, 201246
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  • タイトル
  • マチュピチュ遺跡「太陽の神殿」の修復保存
  • 著者
  • 小野 勇・西浦忠輝・柴田英明
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 47〜48
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62708
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会24A - 02 (富山)    2013 年 7 月マチュピチュ遺跡「太陽の神殿」の修復保存岩修復遺跡国士舘大学正会員○小野国士舘大学国士舘大学国際会員勇西浦忠輝柴田英明1.まえがきペルー共和国マチュピチュ遺跡の「太陽の神殿」の修復保存を行うための調査を行った。マチュピチュ遺跡は、全体が世界遺産に指定されており、修復保存には細心の注意を払って行う必要がある。写真 1 に「太陽の神殿」を示す。ビンガムが 1911 年に発見した当時の写真と比較しても大きな変化はなく、廃墟となってからも形状を維持していたものと思われる。神殿は、基岩の上に建てられており、基岩が動くことにより変形したと考えられる。付近の他の石組みを見ると、同一方向に隙間が発生していることや谷の方向に隙間が発生していること、神殿の下部と基岩の間に隙間が出来ていることから推測できる。基岩が動揺した要因が地震によるものなのか、地滑りによるものなのかは定かではないが、両原因による可能性があり、今後も進行することが懸念される。過去におい写真 1太陽の神殿て動揺の記録はなく、経時変化による動きは把握していないが、今後の動揺を記録し、変形状況を把握することが重要となる。ただし、遺跡全体を見ても大規模な地滑りが発生している箇所や地震が多発する地域であるが地震によって大きく崩壊している箇所も見受けられない。変形が地震によるものだとすると、毎年の観測で変形は把握できない可能性がある。内側の石組み表面の剥離や亀裂が多く見受けられるが、これは一説によると発見当時に切り払った樹木を焼却したために生じたと言われている。今後も大きな崩壊は考えにくいが、石組みの石材の風化が進行すると、致命的な損傷が発生する可能性がある。また、最上部の 2 段は劣化が進行しており、早急な対策が必要である。以上のことを踏まえ、「太陽の神殿」の修復保存方法を検討する資料を得るための調査を実施した。2.調査方法「太陽の神殿」の現状を把握することを目的に電子平板測量を実施した。測量に先立ち、マチュピチュ遺跡に設置されている測量基準点を踏査し、利用可能な基準点から測量対象地点近傍に測点を増設した。この測点から「太陽の神殿」の周辺部図1写真測量結果を含めた測量を実施し、地形図を作成した。地形図の測量は、3 次元データーで記載されており、写真測量とスキャニングを行うための測点も記録されている。現状の地形図を作成し、今後繰り返して測量を行うことにより遺跡の変形や移動量の把握が可能となる。石組の劣化や亀裂の状態を把握することを目的に、写真測量による 3D 画像の作成を行った。図 1 に結果の一部を示す。図 1 は、外壁の隙間が広がっている部分の 3D 化を行ったもので、平面写真のように表現されているがパソコン画面の 3D 表示された状態のスクリーンコピーである。3D 表現を行うことによって石組の大きさや隙間の量が測定でき全体の移動量も算出することが可能である。「太陽の神殿」の外周は、ひび割れや剥離もなく良好な状態であるが、内側はひび割れがかなり進行している石材もあることが確認できた。模型の作製と変形の進行状況を把握するためにトータルステーションの 3D スキャナー機能を用いてスキャンを行った。図 2 にスキャニング結果を示す。この図は、神殿の内部をスキャニングしたもので、中央部に分布している点群は基岩の測点である。スキャニングは、鉛直と水平の測定ピッチ角度を設定し実施するが、外側の測定は足場が無く遺構の下方から行うために均等な測定分布ではない。今後、遺構全体の模型を作成するために取り残しのないように測定すRestoration of the Sun Temple in Machu Picchu ruins.I.Ono. T.Nishiura & H.Shibata (Kokushikan University)47 る必要がある。視覚的に把握しやすいよう模型を作成することを試みた。写真 3 に作成した模型を示す。模型は、3D スキャニングにより得られたデーターを元にコンピュータ上でポリゴンを作成し、紫外線硬化樹脂を使用し、3D 造型機により作成した。今回作成した模型は、「太陽の神殿」の西側を作成した。測点の間隔が広かったために詳細な部分の再現性にやや欠ける部分もあるが、良好な作成状況であることが確認できる。水平方向に溝が見えるが、石組の溝の底部を観測して、その上下を観測する際にピッチが荒いため、本来小さな溝の幅が強調されている。ピッチを細かくすることにより解決できる問題である。3.修復作業遺構を構成している石積みの岩質は、花崗岩であり、基図2スキャニング結果岩も同様である。今後、本格的な修復を行うために岩石の接合を試験的に行った。岩石の接合は、遺跡内の至る所で必要になり、現地の遺跡保存担当者も接着技術の習得を希望しており、数名が参加して実施した。接着の対象とした岩石は、「太陽の神殿」の内側中央部全域に露出している基岩の、角が欠落している部分の接合を実施した。この部分は、欠落から 20 年以上経過していたが、欠落した部分が 3 分割になっているものの良好な状態で保存されており、容易に接合が可能であった。岩石の接着は、エポキシ接着剤による接合を行い、接着後に表面の隙間をアクリル樹脂に基岩と同等の岩から作成した細砂を混合したもので仕上げ補修を行った。アクリル樹脂は、水で希釈し、硬化する前であれば水で洗浄も可能で写真 3あるので取り扱いが容易である。写真 4 にエポキシ接着「太陽の神殿」の部分模型剤で接合した直後の修復状況を示す。接合面周辺に見えるビニールやテープ類は、周辺に接着剤が付着しないよう、養生を行っているもので、仕上げの良否と作業効率を左右する重要な処置である。接合面に多少の欠落部が存在するが、接合面積が大きいので良好な修復が行えた。4.まとめ今回の調査は、今後継続して行う調査の 1 回目で、修復保存の方向性を検討するための資料を得ることが課題である。細部測量や写真測量、スキャニング等の現状を記録する事は十分可能であることが確認でき、今回の計測で留意すべき事項を踏まえ、今後、より詳細な現状の記録を行う。詳細な記録を行うことにより、劣化の進行状況を把握することが可能である。特に、「太陽の神殿」を構成する石積みのひび割れ進行状況は、放置して写真 4おけば崩壊につながる可能性があるので、継続的な観測修復作業状況を行う必要がある。今後の調査は、「太陽の神殿」全体の詳細なスキャニングを行い、模型を作成する。石組の隙間が拡大している懸念があるが、岩石を外して組み直すことは不可能である。従って、現状の隙間が拡大しないように対応を検討する。岩石の劣化を進行させないようにするためには、含浸性の凝固剤を塗布することが考えられるが、現状を変化させないようにすることが重要であり、最適な修復方法を検討する。本研究は、科学研究費助成事業「ペルー共和国マチュピチュ遺跡建造物遺構の保存修復に関する調査研究」研究課題番号:24404001 代表者:西浦 忠輝 2012 年度の助成を受けて行ったものである。48
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  • タイトル
  • アンコール遺跡基壇の材料選定と締め固め
  • 著者
  • 福田光治・岩崎好規・本郷隆夫・中川 武・新谷眞人・下田一太・山田俊亮・杉山 洋・佐藤由比
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 49〜50
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62709
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会25D - 02 (富山)    2013 年 7 月アンコール遺跡基壇の材料選定と締め固めアンコール遺跡,基壇,復元,基準粒度、締め固め土、試験盛土大成ジオテック福田光治地域地盤環境研究所岩崎好規、本郷隆夫早稲田大学中川武,新谷眞人山田俊亮、下田一太奈良文化財研究所杉山洋、佐藤由比1.まえがきアンコール遺跡保存プロジェクトでは基壇土構造物の復元方法を検討する機会が多い.建設当時の締め固め方法で発掘材料を使用することが遺跡のauthenticity を踏襲する一歩になる.しかし発掘材料による締め固め土の長期安定性を確保するために締め固め条件を改善し、また改良土が使用される.本論文はアンコール遺跡復元手法を確認するために実施した試験盛土の地盤工学的状態を整理したものである.特に発掘材料のリサイクルと粒度調整に焦点をあてて検討した.2.アンコール遺跡土構造物締め固め方法写真-1 はアンコール遺跡バイヨン南経蔵基壇の内部構造である.表面は砂岩で被覆され、その内側にはラテライトの積層体が重ねられている.その内側は土材料の締め固め土で充填されている.Authenticity の立場からは原材写真-1基壇構造料を使用し、当時の締め固め方法で、版築模様を再現することが最も理想的に見える.しかし写真-2 および写真-3 のような突き棒と像の足と呼ばれる軽量ランマーを使用した締め固めでは発掘した土材料をそのまま復元材料にすると、あとに示す試験盛土の結果に示すように地耐力不足に陥ることが確認された.このため材料の粒度調整、締め固め方法さらに締め固め管理方法を検討しなければならない.写真-4 は締め固め直後に実写真-2突き棒による締め固め施する山中式硬度計であり、管理基写真-3像の足による締め固め準以下になれば、すぐに除去する方針で臨んでいる.3.基壇材料の粒度分布と基準粒度の提案図-1 はアンコール遺跡アンコールトム内西トップの基壇材料とバイヨン南東コーナーの基壇盛土の粒度分布を示している.全体に砂質土である.図の上方には粘性土を併記しているが、このような粘性土の分布は遺跡周辺では限られている.図の foundation が西トップ基壇構成土の粒度分布である.多くが粒径0.1 から 1mm の間にあり、均質な砂質土である.BayonSE はバイヨン南東コーナー基壇の発掘土粒度分布で、約 10%程度の細粒分が含まれている.しかし粗粒部分の粒径分布は西トップ粒度分布に類似している.アンコール遺跡基壇発掘土の多くは図-1 の粒度分布に類似した範囲にあり、細砂を主体とする均質な粒写真-4締め固め管理度分布を示している.砂礫や玉石の散在も見られるが限られた数である.図にはラテライトの粉末土と、西トップ基壇発掘土を混合した材料の粒度分布も併記した.突き固め試験で締め固め度を検討したが、発掘土の材料と当時の締め固Adjustment of grain size and compacting method for reconstruction work of foundation of Angkor complex,FukudaMitsuharu、Taise Geotech., Iwasaki Yoshinori、Geo-Research Institute, Nakagawa Takeshi, ArayaMasato, Yamada Shunsuke, Simoda Ichita, WasedaUniversity, Hiroshi Sugiyama, Nara National ResearchInstitute for Cultural Properties49 clay50lateritepowderBayonSEmix1:1Mixfoundationmix1:0.500.0010.12.0 乾燥密度(実線)Mix1:1(□)Mix1:0.3(△)1.010051020含水比(%)推定N値0 10 20 30 40 50の粒度分布が併記されている.この粒度分布は、発掘土と粘性土を混合した粒度調整材料で、基壇復元工事等で良好な締め固めが確保されることを確認している.0このためアンコール遺跡基壇復元材料の基準として位置付けることにした.図-120の Mix は図に示す基壇発掘土とラテライト粉末土を混合した粒度調整材料である.図-2 は突き固め試験結果である.実線は左側座標の乾燥密度、点線は右座標の砂質土ラテライトチップ砂質土ラテライトチップ6080砂質土100山中式硬度指数である.記号は○が発掘土、□が Mix1:1、△は Mix1:0.3 を示す.120発掘土の最大乾燥密度は約 1.6g/cm3、山中式硬度指数は 15 以下である.これに対しラテライト粉末土と発掘土の混合土の最大乾燥密度は 1.9g/cm3 であり、山中コンクリート床版図-3式硬度指数は 25 以上になる.また山中式硬度指数の分布形態から Mix1:1 の安定性が目立つ.0深度(cm)5.試験盛土による締め固め度の確認図-3 は砂とラテライトチップの版築土の推定 N 値の深度方向分布である.写に示す試験盛土による試験結果である.ラテライトチップ層と砂層の境界を除くと推定 N 値は全体に 10 程度である.一方図-1 に示した基準粒度に近似推定N値0 10 20 30 40203040第 1 層目撒きだし時含水比は 10%、その上の第 2 層目が 12%、そして第 3 層目より50図-4試験盛土(A)10するように混合した粒度調整材料の試験盛土が図-4、5 である.図-4 は最深部のている.含水比 14%の材料では推定 N 値 20~40 が確認された.図-5 は試験盛土 2ラテライトチップ40深度(cm)4.材料特性と突き固め試験上の撒きだし時含水比は 14%であり、推定 N 値は含水比の増大に対応して増加し0突き固め試験結果め方法では基壇は不安定な締め固め状態になることを確認した.図中に太い実線真-1、215山中式硬度計(点線)図-2基壇材料粒度分布20発掘土(○)0.5粒径(mm)図-1251.50.01030硬度指数乾燥密度 (g/cm3)加積通過率t(%)100締め固め状態(試験盛土(B)か所の位置における試験結果である.試験位置により推定 N 値は相当異なるが、N値 20 以上が確認された.しかも最大推定 N 値は 100 以上に達している.06.おわりに好な地耐力の基壇構築が可能であろうと期待される.従って基準粒度材料の使用深度(cm)締め固めた試験盛土の試験結果からは未改良土であっても設計条件によっては良1002001015は基本条件になるが、消石灰で改良するか未改良で使用するかは、要求される設20計条件による選択肢にできる可能性がある.今後要求条件に合わせた柔軟な材料25の選定が可能なように管理基準を作成する必要がある.推定N値5アンコール遺跡基壇復元工事では authenticity を完全に踏襲した締め固め土の地耐力に不安があり、消石灰による改良土を使用している.しかし基準粒度で0図-5試験盛土(C)(参考文献)1)中澤重一・岩崎好規・福田光治・松原啓充・スレンソッキアン・赤澤泰・中川武:アンコール遺跡基壇の消石灰改良土による修復と土質特性、材料学会第 6 回地盤改良シンポジウム、pp.159-164、2004.50
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  • タイトル
  • 下負荷面Cam-clayモデルを導入したNMM-DDAの石積構造物の安定解析への適用
  • 著者
  • 橋本涼太・小山倫史・三村 衛・菊本 統・山田俊亮・新谷眞人・岩崎好規
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 51〜52
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62710
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会26E - 12 (富山)    2013 年 7 月下負荷面 Cam-clay モデルを導入した NMM-DDA のプラサート・スープラ N1 塔の安定解析への適用石積構造物,NMM-DDA,安定解析京都大学大学院学生会員○橋本国際会員小山横浜国立大学大学院国際会員菊本統早稲田大学学生会員山田俊亮正会員新谷眞人国際会員岩崎好規地域地盤環境研究所涼太倫史・三村衛1. はじめにカンボジアのアンコール遺跡群には崩壊の危機に瀕する石積構造物が数多く存在し,補修・保全が必要不可欠である.その中で適切な処置を施すためには,修復計画において構造物の事前の安定性評価を行うことが重要である.本研究では,土の密度による変形特性の変化が構造物の安定性に及ぼす影響を検討するために,新たに下負荷面1)を考慮した修正 Cam-clay モデル(以降,下負荷面 Cam-clay モデル)を導入したマニフォールド法・不連続変形法連成解析 2)(NMMDDA)を用い,アンコール遺跡群のプラサート・スープラ N1 塔 3)の安定解析を行った.2. NMM-DDA の基礎理論 2)石積構造物の挙動を適切に表現するには不連続体の解析手法を使用する必要がある.本研究では,ともに不連続体解析手法であるマニフォールド法( NMM: Numerical Manifold Method)および不連続変形法( DDA: DiscontinuousDeformation Analysis)の連成解析手法である NMM-DDA を用いた.その定式化はポテンシャルエネルギー最小化原理に基づいて行われ,解析対象全体のポテンシャルエネルギー  sys は sys   dsys   dsys    i , j(1)B ,i E , jと表され,右辺第 1 項が DDA,第 2 項が NMM でモデル化された部分に関するポテンシャルエネルギーであり,第 3 項が DDA ブロックと NMM 要素の接触に関するポテンシャルエネルギーである.支配方程式である運動方程式は,Hamilton の原理により定式化され,接触を含むシステム全体のポテンシャルエネルギーを変位変数に関して最小化し,剛性マトリックスを導出する.詳細は参考文献 2)に譲る.3. プラサート・スープラ N1 塔の安定解析N第3層1)ここでは,下負荷面 Cam-clay モデル を導入した NMM-DDA を用第2層石積ブロック約18mいたプラサート・スープラ N1 塔の安定解析について示す.N1 塔はアンコール遺跡群に存在する,かつて崩壊の危機に瀕していた石積構 造 物 の 一 つ で あ り , JSA ( Japanese Government Team for第1層Safeguarding Angkor)によって修復事業が実施された 3).修復前の主基壇な損壊状況としては地盤の不同沈下による北西方向への 4.96%(北に版築5m護岸ブロック3)解析モデルを図-1 に示す.モデルは,JSA による修復後の図面よ.北沐浴池12m4.60%)の傾斜や石積ブロックの目地の開きなどが報告されている約8m(b)(a)原地盤り作成し,石積ブロックを DDA,地盤を NMM でモデル化することで,石積ブロックの変位および地盤内の応力・ひずみに両方に着目した解析を行った.地盤は版築と原地盤の 2 種類の土で構成され,図-1 解析モデルその境界は連続であるとした.また,地盤の側端では水平変位,下端では全変位を固定した.石積ブロックは線形弾性とし,地盤には下負荷面 Cam-clay モデルを適用した.下負荷面 Cam-clay モデルの降伏関数は次式で表される.f 2 p         ln   ln 1      0  vp  01  e0  p 0  1  e0  M   1  e0 (2)ここに,λ は圧縮指数,κ は膨潤指数,e0 は初期間隙比,p と p0 は現在および初期の平均主応力,η と M は現在および限NMM-DDA with subloading Cam-clay model and its application to theHashimoto, Ryota / Koyama, Tomofumi / Mimura, Mamoru: Kyoto Universitystability analysis of masonry structureKikumoto, Mamoru: Yokohama National UniversityYamada, Shunsuke / Araya, Masato: Waseda UniversityIwasaki, Yoshinori: Geo-Research Institute51 表-1 使用したパラメータ界状態の応力比である.ρ と ρ0 は現在および初期における土の密度を表すパラメータであり,ある応力状態にあ石積る土の間隙比 e と同じ応力状態での正規圧密土の間隙比ブロッeN を用いて次のように表される(図-2).  eN  e版築原地盤1818--ク30単位体積重量:γ [kN/m3](3)また,  v は塑性体積ひずみである.p弾性係数:E [kN/m2]1.0×10圧縮指数:λ-0.058010.07815膨潤指数:κ-0.004840.00711限界応力比:M-1.371.62ポアソン比:ν0.20.30.3初期間隙比:e0-0.362*-0.7000.478-25100各材料の物性値およびジョイント物性を表-1 にまとめた.これらの値は現地試料の室内試験より得ている.た材料だし,初期間隙比は版築についてはその力学特性の把握のために作成された試験盛土から得た値を使用したが,原地盤については地盤部分の自重解析で得られた初期応p=98[kPa]下の正規圧密線力より求めた.現地で採取した原地盤の試料の間隙比に6上の間隙比:eNCはばらつきが見られ,ほぼ正規圧密状態の試料と過圧密密度のパラメータ:a状態の試料両方が確認された.したがって,本研究ではペナルティばね剛性建設当時の原地盤の密度の違いが構造物の安定性にどのジョイント程度影響を及ぼすかを検討するために,正規圧密土とした場合(ケース A)と過圧密土とした場合(ケース B)の 2 ケースを設定した.この際,ケース B では,試料採取深度の初期応力下での正規圧密土の間隙比 eN と採取5.00×105[kN/m]36表面摩擦角 [°]粘着力 [kN/m ]0.0引張り強度 [kN/m2]0.02*試料の間隙比 e から式(3)で ρ を算出し,この ρ を原地盤全体に均一に適用することで各要素の初期間隙比を設定eした(図-2).以上の条件のもと,解析は開始と同時にeNCeN塔全体を上載し,塔の挙動が収束するまで行った.次に解析結果を示す.図-3 は各ケースの観測点(図-1のブロック(a)および(b))における沈下量の経時変化を原地盤の初期間隙比設定については本文を参照ケースA1ρe比較したものである.最終的な沈下量はケース A とケケースBλN.C.L.ース B の間には約 3~5 倍程度の違いがあり,不同沈下Paを表す二つのブロック間の沈下量の差もケース A では約 0.14m であるのに対してケース B では約 0.01m であplnp図-2 ρ の概念図および過圧密状態の設定った.また,ブロック(a)と(b)の位置関係から塔の傾斜ステップ数を求めると,ケース A では約 1.90%,ケース B では約0500000100000000.10%となり,原地盤の密度による差が顕著に見られた.0.1鉛直変位(m)以上の結果と実現象を比較すると,原地盤を過圧密に設定した場合,不同沈下や塔の傾斜に関して実現象と大きな隔たりがある.したがって,塔の建設当時,原地盤は正規圧密あるいは若干の過圧密状態であったのではないかと推察される.0.20.30.40.50.60.70.8なお,正規圧密とした場合にも塔の傾斜など実現象と0.9の差は依然存在するが,この要因としては建設当時の版ケースA-ブロック(a)ケースA-ブロック(b)ケースB-ブロック(a)ケースB-ブロック(b)築の締固め度合いや,上記の解析では考慮していない石積ブロックの破壊による応力集中,乾湿繰り返しによる地盤の強度変化などが考えられ,今後検討が必要である.図-3 観測点の沈下量(鉛直変位)の経時変化参考文献1) Hashiguchi, K. and M. Ueno. 1977. Elastoplastic constitutive laws of granular material. Constitutive Equations of Soils, In Proc.of 9th Int. Conf. Soil Mech. Found. Engrg., Spec. Ses. 9. eds. S. Murayama and A.N. Schofield, Tokyo, JSSMFE, 73-82.2) Miki, S., T. Sasaki, T. Koyama, S. Nishiyama and Y. Ohnishi. 2009. Development of Coupled Discontinuous DeformationAnalysis and Numerical Manifold Method (NMM-DDA) and Its Application to Dynamic Problems. In Proc. of the 9thInternational Conference on Analysis of Discontinuous Deformation (ICADD-9). 255-263.3) 日本国政府アンコール遺跡救済チーム, ユネスコ文化遺産保存日本信託基金. 2005. プラサート・スープラ塔修復工事報告書. 小川印刷株式会社. 445p..52
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  • タイトル
  • 犬山市東之宮古墳の墳丘盛土への針貫入試験
  • 著者
  • 松浦良信・三村 衛・渡邊 樹・鈴木康高・吉村 貢
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 53〜54
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62711
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会27C - 03 (富山)    2013 年 7 月犬山市東之宮古墳の墳丘盛土への針貫入試験現場調査古墳墳丘針貫入試験京都大学大学院工学研究科犬山市国際会員三村衛非会員渡邊樹非会員鈴木康高教育委員会同上ソイルアンドロックエンジニアリング㈱国際会員同上1.はじめに正会員吉村貢○松浦良信犬山市犬山市東之宮古墳は図-1 に示す愛知県の北端,犬山市のさらに北端の白山平山の山頂に 3 世紀に築造された前方後方墳である。愛知県墳丘の規模は全長 67.2m,前方部幅 32.8m,後方部幅 36.6m,高さ8.9m で,図-2 に示す平面図の等高線から想定される墳丘の形状東之宮古墳は比較的よく残っている。東之宮古墳の眼下には木曽川が流れ,すぐ西の小山の山上には国宝・犬山城が鎮座している。いわゆる木曽川交通の要所に位置し,東之宮古墳にはこの地に勢力を誇った豪族の長が葬られていると考えられる。古墳は,昭和 48 年に盗掘され,犬山城これを契機に後方部墳丘中央の石槨が調査され,多数の副葬品が発掘されている 1)。発掘調査の終了後,空洞の石槨をそのままに鉄筋で補強した天井石を葺き,墳丘は埋め戻された。発掘調査の図-1東之宮古墳の位置成果から,昭和 50 年には国史跡に指定されている。今回,史跡整備が行われることとなり,前回の発掘調査後に人工物で処理された部分を元に戻し,石槨内部の保護のために地盤材料を充填して埋め戻すことが計画された。この際に,墳丘の構築に伴う構造の石槨(墳丘内部)痕跡や墳丘の強度について調べるために,本質非破壊検査手法の針貫入試験を行った。2.試験概要内寸幅約 1.2m×長さ約 4.5m の石槨を覆っている 7 枚の天井石を撤去するため,墳丘に調査竪坑を掘削することが発掘調査の第一段階であった。石槨直上の 4×7m の区画を平均 1.5m の深度で掘削した。この領域は昭和 48 年からの発掘調査で埋め戻された部分に相当する。埋戻し領域の再掘削を確認して領域を 10~20cm図-2東之宮古墳平面図拡幅して新鮮な墳丘断面を露出させて発掘調査の観察・記録を行った。針貫入試験による墳丘の強度評価もこの墳丘断面で,図-3平成 24 年の拡幅昭和 48 年の発掘に示す 3 つのエリアで実施した。試験面には 5cm 間隔で方眼を描いた透明ビニルシートを貼り,方眼の交点で貫入試験を実施した。墳丘の強度分布と土塊配置の関係を調べた。№2 は試験面中央に№2石槨(点線)天井石(7 枚)試験面№1 は右肩から左下へ淡い色の土塊が配置されており,前方部石分を多く含んだ領域があり,盗掘との関係について検討することとした。№3 では呈色が異なる 2 つの層の境界が左肩から右下に向かって存在しており,これと強度分布との関係を調べた。0なお,発掘調査の制約により,針貫入試験のために特別な表面整形は行わず,水分散布などの測定面の含水比調整も行っていない。日光の照射に曝された試験面№2 は若干乾燥した状態となっ試験面№1図-31m№3針貫入試験面配置ており,得られた一軸圧縮強度はやや大きい可能性がある。また,試験面には石分が露出している箇所があり,この場合には測点を少し移動するか,欠測の扱いとした。3.試験結果と考察試験面№1,№2,№3 の針貫入試験結果を換算一軸圧縮強さの分布に表して,順に図-4a)~c)に示す。強度の分布は,盛土の材料配置や締固め程度の差違を表していると考えられ 2),これから墳丘の構築などを考察した 3)。Needle penetraton tests to the mound of theKyoto University: Mamoru MimuraHigashi-no-miya tumulus in Inuyama City.Inuyama City: Tatsuki Watanabe, Yasutaka SuzukiSoil and Rock Eng.Co.Ltd: Mitsugu Yoshimura, Yoshinobu Matsuura53 0.0凡例換算一軸圧縮強さqu (×102kN/m2)10.0~9.0~10.08.0~ 9.07.0~ 8.06.0~ 7.05.0~ 6.04.0~ 5.03.0~ 4.02.0~ 3.01.0~ 2.00.0~ 1.0-0.1-0.2高さ (m)-0.3-0.4-0.5-0.6-0.7-0.8-0.9-1.0a)測定面№10.0-0.1-0.2-0.3-0.4高さ (m)-0.5-0.6-0.7-0.8-0.9-1.0-1.1c)測定面№3-1.2b)測定面№2図-4針貫入試験による換算一軸圧縮強さの分布図-4a)の測定面№1 には楕円で囲んだ位置に呈色が試験面全体とは異なる土塊の存在が認められた。強度分布には土塊の位置に強度が周囲より大きいことが示される。墳丘構築時に土取り場で採取された土塊がそのままの状態で墳丘に配置されたものと考えられる。また,この測定面には,点線で示した右側ほど勾配が小さい左下がりの強度分布の連続傾向(以後,トレンドと呼ぶ)が認められる。この古墳では,墳丘の構築が完了してから竪穴を掘り,石槨を形成して埋葬が行われ,墳丘が埋戻しされている。強度のトレンドが水平積層を示さず,その勾配が徐々に変化していることは測定面の右側(前方部の方向に当たる)から順次墳丘表面まで埋戻されたと推察できる。図-4b)の測定面№2 では楕円で囲んだ位置に,こぶし大の石が墳丘表面から並んでいる状態が発掘された。盗掘のための試掘による坑を埋戻す際に石を先行して投入されたのではないかと考えられた。針貫入試験の結果は,確かに石周辺の強度は小さく,一度掘り返されたような傾向が認められる。しかし,その弱部領域は墳丘表面から 50cm 程度までしか至っておらず,盗掘のための試掘とすれば浅すぎるように思われる。この測定面では,ほほ水平,やや左下がりの強度のトレンドが卓越しており,楕円で囲んだ弱部領域はそれより深いところではこのトレンドを断ち切っていない。むしろ,この領域の上でも同じ方向性を持つトレンドが認められることから,墳丘の築造時,あるいは埋設後の埋め戻しの際に石が多い部分が生じたと考えた方が妥当である。図-4c)の測定面№3 は実線で示した位置に,呈色が異なる地盤材料(土)が接する境界が認められた。呈色の違いは土層の違いであり,墳丘の構築時の何らかの構造,あるいは施工順次を反映したものと考えられた。しかし強度の分布にはそのような構造を裏付ける形跡は認められない。呈色の差に従う盛土構造が存在するとすれば強度の分布と盛土構造を関連付けられない例であり今後,試験結果の解釈の上での検討課題であると考えられる。参考文献1)犬山市教育委員会:史跡東之宮古墳調査報告書,2005, 2)三村衛・吉村貢:高松塚古墳墳丘の構造と原位置試験および室内試験による地盤特性の評価に関する研究,土木学会論文集C, Vol.65, No.1, pp.241-253, 2009, 3)三村衛・吉村貢・寺尾庸孝・豊田富士人・中井正幸:史跡 昼飯大塚古墳墳丘の復元と整備に関する地盤工学的検討,地盤工学ジャーナル,Vol.6, No.2, pp.141-15554
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  • タイトル
  • 犬山市東之宮古墳墳丘の発掘坑埋戻し工の施工品質管理
  • 著者
  • 品川英明・三村 衛・渡邊 樹・鈴木康高・吉村 貢
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 55〜56
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62712
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会28K - 05 (富山)    2013 年 7 月犬山市東之宮古墳墳丘の発掘坑埋戻し工の施工品質管理施工品質古墳墳丘締固め京都大学大学院工学研究科犬山市国際会員三村衛非会員渡邊樹教育委員会同上ソイルアンドロックエンジニアリング㈱同上非会員鈴木康高正会員○品川英明国際会員吉村貢1.はじめに犬山市の東之宮古墳は,図-1 に示す愛知県北部の木曽川左岸の小犬山高い白山平山の頂上に築造されている,3 世紀の前方後方墳である。埋葬施設は後方部中央に幅約 1m×長さ約 5m,深さ約 1.2m の内寸名古屋を持つ石槨が板状の石材を積み重ねて形成されている。鏡など多数の副葬品が発掘され,昭和 50 年に国の史跡に指定されている。平成豊橋24 年度に史跡整備の一環として,昭和 48 年の最初の発掘から約 40年ぶりに再度,発掘調査が実施された。発掘後の埋戻しにおいて,石槨の構造を保護するために,これまで空洞の状態であった内部も地盤材料を充填されることになった。近年の考古学分野の埋戻しは東之宮古墳再度の発掘に備えるために土のうを積み上げていく方法が用いられている。しかしこの方法では土のうの繊維が引張部材となり外側,つまり遺構への接触圧力が不均質になり,荷重が集中した位置では過度の変形が生じる恐れがある。また,化学繊維で作られた土のうの耐用年数も明確ではなく,将来の発掘を容易にするか困難にする図-1か分からない。このようなことから,将来の発掘予定がない東之宮東之宮古墳の所在位置古墳では,土のうを用いず,石槨内に地盤材料を直接充填する方法1,000ることは不可能であるため,墳丘の復元には発掘残土を充てることとして,石槨内部充填には近隣で利用できる土取り場の材料を用い4,200を採ることとなった。しかし,現在の墳丘を構成する材料を入手することとした。材料の選定から埋戻し施工まで地盤工学的に取り組0んだ。発掘規模,すなわち埋戻し規模を図-2 に示す。1m9,0002.材料特性1,200 1,200墳丘発掘部の深さ 1.2m の内,上部 30cm は木根・草根などの有機物が多く,また,発掘のために表層の植栽が剥ぎ取らた上,日射に曝され,乾燥していた。これより下部は元もとの墳丘土の特性を維持していると考えられたため,墳丘土については上層・下層の 2 層に区分することとした。5,000石槨内部を埋戻す材料の候補は木曽川を隔てた岐阜県各務原市の図-2採石場で採取・調整された土砂(マサ土,0-20mm100上層・下層,及び候補材の粒度を図-3 に示す。候90墳丘土(上層)80墳丘土(下層)70候補材補材は 20mm 以上の石分を含まない代わりに細粒分含有率が墳丘土のおよそ 1/2 と少ない。このような粒度の特性から,墳丘土の最大乾燥密度は1.6g/cm3 程度,候補材は 1.9g/cm3 程度となっており,最適含水比は前者が約 22%,後者が約 14%と,大きな差違がある。このような材料特性は力学的な変形特性や,透水性・保水性にも違いがあるこ通過質量百分率(%)粒調材)を充てることとなった。墳丘発掘残土の東之宮古墳発掘部の平面図,及び縦断面図60504030201000.0010.010.1とを示唆している。幸い,今回は石槨内部と天井図-3石を隔てた墳丘という 2 つの独立した部分に配置Construction quality controll for the back filling of粒径D(mm)110材料の粒度曲線Kyoto University: Mamoru Mimuraof the excavation pit of the Higashi-no-miya tumurus in Inuyama City .Inuyama City: Tatsuki Watanabe, Yasutaka SuzukiSoil and Rock Eng.Co.Ltd: Hideaki Shinagawa, Mitsugu Yoshimura55100 2.0されることから,2 つの材料による盛土の干渉や混合土に想定されるエネルギー範囲1.93.石槨の充填,及び墳丘復元の施工仕様1.8乾燥密度ρ d(g/cm3)ついて考慮する必要はなかった。古墳などの土構造物遺構の発掘後の埋戻しに「締固め品質管理」の考えが導入されることはほとんどない。今回は石槨内部の充填では石槨を形成する石材の構造を維持するために外側の締固め程度とほぼ同等にすること,墳丘の復元では墳丘の安定性から掘削壁(境界)で水分や締固め度の不連続が生じないことを要求性能と考えた。墳丘の現場1.71.61.51.4候補材料墳丘土(下層)1.3密度を本質非破壊の検査方法である表面型 RI 密度水分計1.20.0によって調べ,乱れが少ない部分で,乾燥密度が 1.22~31.402g/cm ,平均 1.308 の値を得た。先に示した室内締固め0.2図-4れは,締固めエネルギーの違いであると考え層厚締固め方法表-2おり,古代の墳墓構築の締固めエネルギーとそこで,材料土に対して,自然含水比のレ1.0施工仕様10cm人力:足で踏み固める土施工,つまり機械転圧締固めに参照されては比較できないほど大きい。0.8エネルギーを変えた締固め試験結果表-1Proctor”の締固めエネルギーは近代の道路盛0.6締固めエネルギー EcJIS試験の最大乾燥密度 1.6g/cm3 程度とは大きな差がある。こられる。JIS A 1210 の B 法に相当する”Standard0.4品質管理基準墳丘発掘残土22~25%1.30~1.35含水比乾燥密度20cm40kg級プレートコンパクター混合土17~22%1.40~1.45候補材(購入材)15~18%1.65~1.70ベルでエネルギーを変えた締固め試験を実施した。結果を図-4 に示す。この結果と現場密度測定結果から,墳丘土の墳丘の締固めエネルギーは 0.075~0.225×EcJIS の範囲と推定した。これから,施工仕様は,表-1,品質管理基準を表-2 のように設定した。乾燥密度ρd (g/cm3)1.41.61.8 104.施工および結果0古墳墳丘の発掘調査後の埋戻し施工では,一般の土工事に比べ,極めて限られた作業スペースしかな含水比w (%)15締固め度Dc (%)20 90100110締固め度Dc (%)25 8595105第5層20い。このため,東之宮古墳では石槨内部の充填,墳丘の埋戻しに適用する材料の仮置きスペースが墳丘の裾部に,ようやく確保できた程度である。発掘残第4層40第3層60第2層80土は一応シート養生していたものの乾燥により含水比は低下していた。少し規模が大きい土工事で行われるような攪拌による材料の含水比調整は行えない。また,簡易索道によって材料を後方部頂上へ運搬す100第1層粘土床るため,材料は若干乾燥しているほうが都合がよい。このような事情から,材料撒出しの途中で散水に120図-5 石槨内部充填施工の品質よる加水を行った。加水の目安として,数段階の含水乾燥密度比に調整した材料土のサンプルを用意して,触覚にρd (g/cm3)1.11.31.5 15よって判断しながら進めた。その上で1層ごとの表0面型 RI 密度水分計により盛土の品質評価を行い,追含水比w (%)20を確保した。第4層図-5 に石槨内部への地盤材料充填施工の品質管理第3層結果を,図-6 に墳丘埋戻し施工時の品質管理結果を示す。図に示されるように締固め度 Dc は概ね 90%第2層を超え,含水比も目標範囲を維持している。これらの規定を満足していない層では,追加転圧,あるい第1層は加水を行っており,設定した品質の盛土が築造さ墳丘表面からの深さ Z (cm)第5層加の転圧締固め,あるいは加水を行い,目標の品質20406080100120れているものと考えられる。図-6 墳丘埋戻し施工の品質参考文献1) )犬山市教育委員会:史跡東之宮古墳調査報告書,200556
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  • タイトル
  • 突固めの痕跡から見た盛土遺跡の地盤特性と構築方法について
  • 著者
  • 鬼塚克忠・原  裕
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 57〜58
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62713
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会29A - 02 (富山)    2013 年 7 月突固めの痕跡から見た盛土遺跡の地盤特性と構築方法についてキーワード:盛土遺跡、突固め、黄土日本建設技術(株) 国際会員同 上正会員○鬼塚 克忠原裕1. まえがき中国黄河流域の古代盛土遺跡では,盛土の水平断面に棒状のもので突き固めた痕跡が見られることが多い.いっぽう,我が国の墳丘墓や古墳では,突固めの痕跡はほとんど確認できない.この違いは両地域の風土(気候,地形,地質)と構築方法の差に関連するのではないかと考えた.突固めの痕跡の有無から古代盛土遺跡の地盤特性と構築方法について考察する.2.突固めの痕跡が見られる黄河流域の盛土遺跡 1)著者らが直接調査したものを中心に取り上げる.黄河流域最古の城壁の西山遺跡(B.C.3.3~2.8 千年).著者らは確認できなかったが,版築の 1 層の厚さは 8~10cm,突固めの痕跡は直径約 3cm,深さは 0.3~0.5cm で,細い棒を 3 本合わせた棍棒を用いている.関係者や文献によると,かなりきれいな層状の版築断面を有しているようである.岳石文化時代(B.C.2.0~1.5 千年)の城子崖遺跡の城壁は図-1 に示すように,版築層が明瞭であり,1 層厚は 12~14cm,棍棒による突固め痕跡の直径は 3~4cm である.鄭州商城(B.C.1.5~1.1 千年)の調査で突固めの痕跡を見つけた.図-2 参照.突固め土塊の図-1 城子崖遺跡の城壁断面一部を鄭州市博物館に展示しているが,窪みの直径は 2~4cm,深さは 1~2cm である.春秋と突固めの痕跡戦国時代の臨淄斉国故城,斉国長城の調査でも,突固めの痕跡を確認した.鄭州商城およびこれらの城壁はいずれも 1 層約 8~10cm の厚さである.3.黄河流域の黄土と北部九州の火山灰土の地盤特性3.1.1 黄土の堆積 2)3)黄河流域は言うまでもなく黄土地帯である.図-3 に黄土の堆積分布を示す.主要な分布地区の年平均降雨量は 250~600mm である.乾燥あるいは半乾燥気候型に属す.黄土は厚さ 10m程度から数百 m の厚さに堆積しているが,堆積時期に応じて,深い層のものから,午城(ウーチェン)黄土層(Wucheng loess,更新世前期:240 万年前~),離石(リーシー)黄土層(Lishi loess,更新世中期:120 万年前~),馬蘭(マーラン)黄土層(Malan loess,更新世後期:10 万年前~),表面に完新世黄土層(1 万年前~)に分類される.これらに記号を付け,古いものから午城黄土層 Q1,離石黄土層 Q2,馬蘭黄土層 Q3,完新世黄土層 Q4 と表示している.図-4 に黄土の堆積の一例を示す.黄土は,ほぼ 60%以上がシルト分であり,CL に属す.粒子表面に付着している粘土分に炭酸塩,無機塩,膨張性粘土鉱物などが多く含まれ,粒子間のセメンテーションを生成している.水によってこれら塩類などが溶解するため,黄土はコラプス現図-2 鄭州商城の城壁断面と突固めの痕跡象を示す.中国では,このコラプス現馬蘭黄土,現代黄土80100120象を起こす黄土を「湿陥性黄14050土」,そうでない黄土を「非湿離石黄土Q240陥性黄土」と呼び,古い層の午城黄土Q1 と離石黄土Q2 は非湿陥性黄土,新しい層の馬30 °蘭黄土Q3 と完新世黄土Q4 は140湿陥性黄土としている.言い変えれば,深い層のものはコ午城黄土 Q1ラプス現象を起こさず,浅い層のものはコラプス現象を起図-3 黄土の堆積分布図 2)図-4 黄土の堆積断面図(陝西省延安市洛川)3)On the Geotechnical Properties and Construction Methods of Fill-remains from the View Point of Traces of Compaction, NihonKensetsu Gijyutsu Co. LTD., Katsutada ONITSUKA and Yutaka HARA57 こすということである.1.91.8り,東経 102°から 114°の間である.層厚は一般に,西が厚く,東に進1.7城子崖遺跡宝鶏黄土桐林遺跡場所?Q3黄土山西黄土蘭州黄土渭北黄土3乾燥密度 ρd (g/cm )湿陥性黄土の分布は大部分が黄河の中流域であり,北緯 34°~41°にあむほど薄くなり,十数 m から数 m になる.黄河流域最古の版築城壁の西山遺跡や古代王朝が存立した鄭州,西安,洛陽などはこの分布域にある.3.1.2黄土の物性 1)3)黄土の堆積地区は乾燥あるいは半乾燥気候にあるため,自然含水比は 101.61.51.41.3~30%程度であり,大部分は 20 数%以下である.この自然含水比はほぼ最1.2適含水比に近い.黄土は緩やかに堆積しており,乾燥密度は 1.2~1.5(g/cm3)1.15程度である.特にコラプス現象を生じる黄土は,自然含水比は 20%以下,乾燥密度は 1.3~1.4 (g/cm3) 以下である.黄土の最大乾燥密度はほぼ 1.7510152025含水比 w (%)303540図-5 黄土の締固め曲線 1)と自然堆積状態 3)(g/cm3)であるので,自然堆積密度はこれの 0.75~0.80 以下に相当する.それゆえ,安定した盛土を構築するためには,密に締め固めることが必要であった.3.2 北部九州の火山灰土の地盤特性 4)5)吉野ヶ里丘陵は標高7~25m であり,丘陵土は主に,れきを含まぬ火山灰土(「阿蘇 4」約 9 万年前)からなる.墳丘墓下の原地盤は地表から深さ 10m まで,自然含水比はおよそ 50~80%と高い.塑性指数 Ip は 20~30 であり,砂質粘土(MH)に属す.4.黄河流域と北部九州の構築方法4.1 黄河流域の構築方法 1)黄河下流域の山東省の城子崖遺跡(B.C.2.5~1.5 千年)と桐林遺跡(B.C.2.5~2.0 千年)の城壁土の締固め曲線と自然堆積黄土のw,ρd を図-5 に示す.最適含水は 15~20%程度であり,城壁土の自然含水比にほぼ等しい.またこれらの最適図-6 吉野ヶ里墳丘墓土の締固め曲線 4)含水比は上述の自然堆積黄土の含水比とほぼ同じである.このように最適含水比が自然含水比に近いため,原地盤から採取した黄土をそのまま棒状の道具で突き固めたと考えられる.比較的粘着力の少ない黄土では,側面を拘束することで高い密度が得られることを,古代人は習得したに違いない.中国は日本と違って,土を締め固めて堤状の城壁をつくる.これは防御施設であり,強度と耐久性が必要となる.コラプス現象を示す黄土を用いての城壁の構築のため,版築技術が誕生したと考える.4.2 北部九州の構築方法 4)5)吉野ヶ里墳丘墓 (B.C.150) は我が国最古の最大規模の盛土構築物である.墳丘は現地の土を用いており,甕棺が埋葬された中心部は1層 10~30cm に層状に締固めたもので,この工法を著者らは「層築」と呼んでいる.墳丘墓の含水比は 40~50%であり,原地盤の地表部のものとほぼ同じである.図-6 に墳丘墓土の締固め曲線を示すが,最適含水比はほぼ 30~40%台であることが分かる.墳丘墓および原図-7 城子崖城壁と吉野ヶ里墳丘墓の締固めの比較 1)地盤の自然含水比が最適含水比より高い.粘着性を有する火山灰土であるので,高い自然含水比の土を棒状のもので突き固めても,棒に土が付着し突固めの効率は落ちる.しかし,足踏みで締め固めると墳丘墓の締固め密度が得られる.弥生時代の盛土構造物はほとんどが墳丘墓であり,黄河流域の城壁と異なり,それほどの強度や耐久性を必要としなかったことも,版築技術の採用が遅れた理由に挙げられるであろう.5.結論黄河流域では,コラプス現象を生ずる黄土を用いて安定した盛土構造物構築のため版築技術が誕生した.自然含水比のまま棒状のもので,図-7 に示すように密に突固め,この痕跡が寡雨の条件下で痕跡が残った.北部九州吉野ヶ里では高含水比の火山灰土を足踏みのような方法で締固めて墳丘墓を構築した.弥生時代以降,仮に版築で構築しても,多雨の我が国では突固めの痕跡は多くのものが消滅したものと考える.参考文献1)鬼塚克忠,陳 佩杭,Peihua TONG, 根上武仁,早川慶:黄河流域における版築盛土遺跡の構築技術と地盤工学特性,地盤工学ジャーナル,Vol.2,No.4,287-295,2007.2)劉 東生:黄土与環境,科学出版社,1985.3)劉 祖典:黄土力学与工程,陝西科学技術出版社,1997.4)鬼塚克忠,原 裕:吉野ヶ里遺跡・北墳丘墓の土質工学特性,土と基礎,Vol.44,No.7,19-22,1996.5)鬼塚克忠,佐藤磨美:吉野ヶ里遺跡・北墳丘墓など盛土遺跡の地盤工学的特性と構築技術,土木学会論文集,No.736/Ⅲ-63,217-230,2003.58
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  • 原位置試験および室内試験による墳丘盛土の強度評価に関する検討 東之宮古墳を例として
  • 著者
  • 澤田茉伊・三村 衛・吉村 貢
  • 出版
  • 第48回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 59〜60
  • 発行
  • 2013/06/20
  • 文書ID
  • 62714
  • 内容
  • 第 48 回地盤工学研究発表会30C - 03 (富山)    2013 年 7 月原位置試験および室内試験による墳丘盛土の強度評価に関する検討―東之宮古墳を例として―古墳墳丘1.力学特性針貫入試験京都大学大学院学生会員○澤田茉伊京都大学大学院国際会員三村衛ソイルアンドロックエンジニアリング国際会員吉村貢はじめに古墳の修復・保存における重要な課題のひとつとして,墳丘盛土の強度・安定性の確保を挙げることができる。墳丘盛土は,石槨等に代表される内部の埋葬施設を外部環境から保護する役割を担っているが,自然作用による風化・地すべりや人為的な削剥により,十分な機能を発揮できていないものも少なくない。盛土の安定性を評価し,適切な対策をとるためには,盛土地盤の強度定数の把握が必須となるが,史跡の破壊・改変は厳しく規制されているため,標準貫入試験や室内土質試験のための不攪乱試料の採取といった破壊を伴う地盤調査は適用できない。そのため,墳丘盛土に対しては,ほぼ非破壊で地盤表面の強度を測定できる針貫入試験などの方法が採用されている例えば 1)。本稿では,針貫入試験に加えて,例外的に採取が許可された不攪乱試料を用いて室内試験を行った東之宮古墳の事例をもとに,墳丘盛土の強度評価方法について検討する。2.墳丘盛土の強度評価のための原位置試験と室内試験愛知県犬山市の木曽川流域に位置する東之宮古墳は,三世紀に築貫入針スピンドルばね造された全長 67.2m の前方後方墳である。墳丘は,赤褐色の砂質土からなり,表層部には主にチャートの角礫を用いた葺石が残存している。発掘調査を終えた墳丘の史跡整備にあたり,墳丘盛土の安定性を評価するため,原位置での針貫入試験と,不攪乱試料を用いた図―1針貫入試験機室内試験により,後方部の表層地盤の強度を評価した。針貫入試験は,図―1に示す試験機の先端の長さ 10mm の針を地盤表面に人力で貫入したときの貫入量と貫入力を測定し,一軸圧縮強度との較正関係を用いることにより,微小な針孔を開けるだけで,地盤表面の強度を求めることができる。試験は,発掘調査と保存対策のために掘削された石槨直上部の墳丘掘削面の数か所で行った。各試験面において,試験点は 5cm 間隔で配置し,面上の一軸圧縮強度の分布を調べた。図―2に示す試験結果の一例 2)は,地表から深さ 1m までの幅 2m の範囲について示したものである。強度の高い箇所が点在しているが,大部分は 300~400kN/m2 と推定される。図―2に示す試験面の一部から,ブロックサンプリングにより,25cm 角の不攪乱試料を数個採取し,これらから供試体を作製して,定体積一面せ図―2針貫入試験による強度評価(不攪乱試料採取位置)ん断試験と一軸圧縮試験を実施した。各試験の結果をそれぞれ図―3,図―4に示す。一面せん断試験より,非排水せん断強度 cu は 25kN/m2 程度と評価でき,これは一軸圧縮強度 qu(=2cu)=50kN/m2 程度に相当する。一方,一軸圧縮試験では,qu=33~43kN/m2 を示しており,二つの室内試験の結果は整合しているといえるが,針貫入試験から推定される強度よりも大幅に低い結果となった。3.原位置試験と室内試験による強度評価の差異の要因原位置試験として採用した針貫入試験と二つの室内試験による強度評価の差異の要因について検討する。室内試験では,二種類の試験法の評価が同等であったことから,ある程度信頼性が高いとすると,針貫入試験では,過大な評価値を与える何らかの要因があると考えられる。Geotechnical Evaluation of Mechanical Properties of MoundMai Sawada*, Mamoru Mimura*, Mitsugu Yoshimura**of Higashinomiya Tumulus through In Situ and Laboratory*: Kyoto UniversityTests59**: Soil and Rock Eng. Co. Ltd 要因のひとつとして,針貫入試験の試験面の乾燥の影響が挙げら120れる。一般に,不飽和土は,乾燥すると,サクションの増大等の影100響により,強度が増大する傾向にある。室内試験で用いた供試体のせん断応力 (kN/m2)含水比が 20%程度であるのに対し,原位置の試験面付近で表面型RI 計器によって測定された含水比は,表面から深さ 20cm の位置で10~15%程度であり,日射の影響を受ける試験面ではさらに乾燥していたと予想される。試験面の乾燥が強度に与える影響の程度を調べるため,採取した不攪乱試料のひとつを用いて,底面以外の 5 面80φu=38.5°cu=25kN/m2604020の試料表面を試験面として,針貫入試験を実施した。これを検証試験とよぶことにする。検証試験の試験面の含水比は,室内試験で用0いた供試体と同等であるため,検証試験と室内試験による評価値が02040同等であれば,原位置試験と室内試験の差異は,主に試験面の乾燥6080100120垂直応力 (kN/m2)図―3によって生じたものと判断できる。図―5に検証試験とその他の試一面せん断試験の結果(応力径路)験による強度評価の比較を示す。検証試験は,各試験面に 3cm 間隔で配置された計 49 点の試験点の平均値を示している。5 つの試験面60一面せん断試験の非排水せん断強度から算定される一軸圧縮強度2の一軸圧縮強度換算値は,89~162kN/m に分布し,室内試験よりも50大きく,原位置試験よりも小さい結果となった。けでなく,複数の要因によって生じていることがわかる。検証試験と原位置試験の差異は,試験面の乾燥によるものであるが,検証試験と室内試験の差異は,他の要因によるものと考えられる。他の要因としては,例えば針貫入試験の一軸圧縮強度との較正関係の適用40圧縮応力 (kN/m2)この結果から,室内試験と原位置試験の差異は,試験面の乾燥だ3020範囲の限界が挙げられる。針貫入試験機は,本来,軟岩硬度計とし10て開発されたものであり,現行の較正関係は,泥岩やセメント改良0土等の硬質の地盤材料を対象とした試験データに基づいて導かれ0ている 3)。そのため,東之宮古墳の墳丘土のような比較的軟質な材料に対しては,線形を仮定して,低強度領域まで外挿された較正関係を用いることになる。また,較正関係の適用2345圧縮ひずみ (%)図―4較正関係の適用範囲の限界限界は,材料の粒度にも依存すると考えられる。1一軸圧縮試験の結果(応力ひずみ曲線)原位置の試験面の乾燥粒度が針の貫入抵抗に与える影響は大きく,砂質土や礫が多く混入している材料を用いて較正すれば,現行とは異なる較正関係が導かれる050100150と予想される。測定に伴う対象へのダメージが小さいという利点を生かし,針貫入試験を墳丘200250300350400450一軸圧縮強度 (kN/m2)一軸圧縮試験一面せん断試験検証試験原位置試験盛土の強度評価に有効活用していくためには,図―5墳丘土やそれに類似した材料を対象とした試各試験による強度評価の比較験データを蓄積し,現行の較正関係の適用範囲を見極めるとともに,材料に適した較正関係を導く必要があると考えられる。4.おわりに東之宮古墳を対象に,原位置での針貫入試験と不攪乱試料を用いた室内試験によって墳丘盛土の強度を評価し,両試験による評価の差異の要因を検討した。その結果,針貫入試験により適切な評価を行うためには,含水比,強度,粒度等の特性を考慮する必要があることが示唆された。末筆ではありますが,原位置試験と試料採取にご協力いただいた犬山市教育委員会・渡邊樹氏,同・鈴木康高氏に謝意を表します。参考文献1)三村衛,吉村貢,金田遥:高松塚古墳墳丘の構造と原位置試験および室内試験による地盤特性評価に関する研究,土木学会論文集 C,Vol.65,No.1,pp.241-253,2009.2)三村他:犬山市東之宮古墳の墳丘盛土への針貫入試験,第 48 回地盤工学研究発表会(投稿中).3)土木学会:軟岩の調査・試験の指針(案)―1991 年版―,pp.56-60,1992.60
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