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出版

タイトル 地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見
著者 小田部 雄二
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ DS-10-11〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005501061
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  • タイトル
  • 地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見
  • 著者
  • 小田部 雄二
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • DS-10-11〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005501061
  • 内容
  • DS-10-11第55回地盤工学研究発表会地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見地盤品質判定士,最近の動向,今後の展開地盤品質判定士協議会 事務局長(株)アサノ大成基礎エンジニアリング地盤品質判定士 地盤工学会 正会員 小田部雄二はじめに2013 年 2 月 4 日に地盤品質判定士(以下,判定士)資格制度が創設されてから 8 年目を迎えた。2018 年 2 月 27 日には,国土交通省「平成 29 年度公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」の新分野である宅地防災の登録資格として唯一認定され,判定士の活躍の場が進展している。ここでは,最近の判定士関連活動の動向と,国土交通省と各自治体が展開する宅地耐震化事業との連携など,今後の展開について個人的な意見を述べる。なお,判定士資格制度には一次試験資格の判定士補もあるが,ここでは判定士に焦点を当てて記す。1.登録者状況判定士は,図-1 に示すように 2013 年度の資格創設時には約 400 名の登録者があり,その後各年度100~200 名程度の新規登録者により,2018 年度で 1,000 名を超える登録者総数となった。しかし,年度を経るごとに登録者数が漸減し,登録者総数の増強が課題である。判定士の全国分布を図-2 に示すが,全ての都道府県を網羅するものの,図中の黄色の網掛け部分は 10 名未満であり,全体の約半分を占める。今後の活動を活性化するためには,更なる増加を目指さなければならない。2020 年度は更新登録の 2 年目を迎えたが,約 1 割の判定士の方が未更新である。今後も,できるだけ多くの対象者が手続きをすることが必要である。また,新規登録者数を増加させるには,合格者数ならびに受験者数を増加させる必要がある。受験者数を増加させるには,本資格の社会的な付加価値を高めることはもちろんのこと,受験資格要件を拡大するなど上流側での対応も検討していくことになる。図-1判定士の登録者数の推移1)図-2判定士の全国分布 1)2.多種多様化する役割本資格制度の創設時の目的は,宅地の造成業者,不動産業者,住宅メーカー等と住宅及び宅地取得者の間に立ち,地盤の評価(品質判定)に関わる調査・試験の立案,調査結果に基づく適切な評価と対策工の提案等を行う能力を有する技術者を社会的に明示することを通じて,国民が専門家の知識・経験を活用できる社会システムを構築することであった。当初は住宅地盤の無料相談会や各種セミナRecent trends and personal opinions regarding the next development of ProfessionalEngineer for Geotechnical EvaluationYuji Otabe. The Japanese Association for Geotechnical Evaluation Executive Director.Asano Taiseikiso Engineering Co.,Ltd.© 公益社団法人 地盤工学会- DS-10-11 - DS-10-11第55回地盤工学研究発表会ーなどを通じ,一般市民のサポートを展開してきた。その後,多種多様な災害が発生し,それらの災害対応を行うと共に,訴訟に絡む司法関連の支援も実施してきている。このような流れの中で,国土交通省から登録資格の認定を受け,公共事業の発注資格要件となる道が開けた。このように,判定士の役割は民間から公共へと広範化し,様々な局面での活躍が求められ,時としてトレードオフとなるケースに遭遇することも考えられる。そのため,判定士には,今後益々,技術者倫理の重要性を認識した活動が要求されることになる。図-3 多種多様化する役割の概念図3.社会認知度の向上判定士は,一般市民に対し地盤相談を行ってきているが,昨年 9 月にNHKテレビの全国ネットの特集で,本活動を取り上げていただいた。放映後の反響は大きく,全国各地からの問い合わせがあり,地盤品質判定士会(以下,判定士会)が丁寧に対応している。その後,一般紙からの取材をはじめとし,各自治体からは講演依頼や地盤相談など,多くの問合せをいただき,連携した活動を展開している。地盤は一般市民になじみが少なく,感心も低い。しかし,ひとたび被災を受けると一気にクローズアップされ,私有財産の棄損に繋がるケースでは,人生設計にも大きく影響する。そのため,自治体では,それぞれのHPを活用し,地盤相談の窓口となる判定士会HPを紹介していただいている。このような展開を受け,社会的認知度は徐々に向上してきており,市民生活に「地盤」というキーワードが密接に関わることも,遠くない将来に見えてきているといえる。4.今後の展開判定士会は 2020 年 4 月に法人化し,自治体との更なる連携など,その活動領域を拡大する。国土交通省は各地の自治体と宅地耐震化事業の推進を展開しているが,対象地域が多くその対応に迫られている。2020 年度から,本事業展開の一端として,図-4 に示すような一般市民や地域の自治会と連携し,対象となる宅地については所有者自らがパトロールし,点検するスキームを展開していく。この中に,地盤の専門家として判定士を活用し,事業の潤滑な推進を図るものである。既に先行している自治体があり,判定士会で対応している。今後益々の展開が見込まれている。図-4 住民や民間等と連携した点検等の仕組み 4)おわりに日々の情報に接し,判定士は大きなターニングポイントを迎えていると感じている。日本の社会において地盤というキーワードの重要性が低く,教育カリキュラムの中でも地学などは消滅してきている分野である。しかし,我が国は複雑な地質構造を有し,その特性は脆弱である。外部要因としても,地震や風雨災害(台風など)に数多く見舞われ,地盤に内在するリスクは大きい。特に,宅地地盤は土地の造成を伴うことが多く,更なるリスクが加わる形である。また,事業に関わる技術者は建築,土木,地盤(地質),不動産など多岐にわたり,ワンストップの連携が十分でない。今後は,宅地耐震化事業を通じて,市民の安全・安心を担保できる活動を展開していきたい。<参考文献>1) 地盤品質判定士協議会:広報資料,20192) 地盤品質判定士会,土木学会:2018 年度地盤品質セミナー講演概要集,2019.1.243) 地盤品質判定士会,土木学会:2019 年度地盤品質セミナー講演概要集,2019.11.84) 国土交通省HP:https://www.mlit.go.jp/toshi/web/content/001319558.pdf© 公益社団法人 地盤工学会- DS-10-11 -
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