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タイトル 載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係
著者 廣瀬 剛・伊藤 譲・塚本 光祐・三木 椋介・神戸 隆志
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-08〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500008
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  • タイトル
  • 載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係
  • 著者
  • 廣瀬 剛・伊藤 譲・塚本 光祐・三木 椋介・神戸 隆志
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-08〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500008
  • 内容
  • 21-1-1-08第55回地盤工学研究発表会載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係不凍水量 細粒土一軸圧縮強さ奥村組土木興業正会員摂南大学国際会員○廣瀬剛伊藤譲八尾市塚本光祐NEXCO エンジニアリング三木椋介アーバンパイオニア設計神戸隆志1. 目的:飽和粘性土の間隙水は,土粒子の表面力の影響を受け,粘性が高く,密度が大きい間隙水(吸着水)と表面力を受けていない間隙水(自由水)に大別される.吸着水は粘性土の一軸圧縮強さなどの工学的性質に影響を及ぼすと考えられてきた.これまでの研究では,無載荷条件の凍結試験により凍・不凍水量を測定した結果,主に自由水が一軸圧縮強さに影響を及ぼすことが明らかとなった1)。本研究では,正規圧密および過圧密の載荷条件における凍・不凍水量測定を行い土の一軸圧縮強さとの関係を検討した.2. 実験方法:実験では表 1 に示す 425μm ふるい通過の藤森 16N を使用した.試料土は液性限界の 1.3 倍の含水比に調整後脱気され,24 時間養生したペースト状試料をそれぞれ予圧密荷重 P = 39.2,78.5,157,314,628 kN/m2 まで圧密し,φ6 ㎝,h=2 ㎝に整形された.表 1 試料土の物性値凍結実験装置は円筒形セル,上・下部の冷却プレートから土粒子密度 液性限界構成される.供試体には鉛直方向に実験荷重 p = 39.2, 78.5,試料名157, 314, 628 kN/m2 のいずれかが載荷される.上・下部プレー藤森16Nトの内部には Pt センサーが取り付けられ,ブラインを循環さ粒度分布塑性限界ρsg/cm³wL%wP%砂分シルト分%%%2.70545.523.43.746.350.0粘土分せて上・下端面から同時に冷却された.鉛直変位は上部プレートに取り付けられた変位計により測定された.凍結開始時の変位を基準とし,変位量から各凍結温度における変位の増加量Δd を求めた.変位の増加量Δd から温度 T℃までに凍結した水分量 hwf(T℃)を(1)式から求め,hwf(T℃)と土粒子高さ hs から T℃までに凍結した水分量から求まる間隙比(凍結間隙比)ef(T ℃)を(2)式から算出し,T℃までに凍結しない水分量から求めた間隙比(未図 1 正規圧密における凍結間隙比 ef と温度 T の関係凍結間隙比)eu(T℃)を(3)式から求めた.hwf(T℃) = Δd / 0.09(1),ef(T℃) = hwf(T℃) / hseu(T℃) = e0 - ef(T℃)(3)(2)ここに,Δd:各温度での変位(mm),hs:土粒子高さ(cm),e0:初期間隙比とする.一軸圧縮試験(JIA A 1216)では,φ10cm の圧密容器を用いて P = 39.2,78.5,157,314,628 kN/m2 で予圧密し,φ3.5cm,h≒7cm に整形した供試体を用いた.3. 実験結果:図 1 に正規圧密における凍結間隙比 ef と温度 Tの関係を示す.凍結間隙比 ef は T = 0~-2℃において急激に増図 2 正規圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係加し,T = -2℃から低温では ef の変化は緩やかになる.また,荷重 P,p が大きいほど ef は小さくなった.これは,T が低温になっても,荷重 P,p が大きい場合には,ef の増加が抑制されることを示す.図 2 に正規圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係を示す.未凍結間隙比 eu は T =0~-2℃において急激に低下し,T= -2℃以下では,eu は変化が緩やかになる.荷重 P,p が大き図 3 過圧密における凍結間隙比 ef と温度 T の関係The Relationship between Amount of Frozen・Unfrozen WaterContent and Uniaxial Compressive Strength of Fine GrainedSoil on Loading ConditionsHIROSE, GO, Okumura Engineering CorporationITO, YUZURU, Setsunan UniversityTSUKAMOTO, KOSUKE, Yao CityMIKI, RYOSUKE, Nexco-EngineeringKANBE, TAKASHI, Urban Pioneer Design© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-08 - 21-1-1-08第55回地盤工学研究発表会いほど eu は大きくなり,凍結しない水分が多くなったことが分かる.また,荷重 P,p が大きくなると ef 小さく,eu は大きくなった.つまり,従来のほとんどの凍・不凍水量の測定結果とは異なり,凍・不凍水量は荷重に支配されることが明らかになった.図 3 に予圧密荷重 P = 628kN/m2 一定で,実験荷重 p = 39.2~628kN/m2 それぞれの凍結間隙比 ef と温度 T の関係,図 4 に未凍結間隙比 eu と温度 T の関係を示す.全体的に p が大きくなるほど ef は小さく,eu は大きくなる傾向が見られるが,ef,eu 共にバラツキが認められた.過圧密では P により間隙水が排出されてしまうため,凍・不凍水量は p よりも P の影響を受けている.図 5 に正規圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)での凍結間隙比 ef と未凍土の一軸圧縮強さ qu の関係を,図 6 に正規圧図 4 過圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.荷重 P,p が大きいほど qu は大きく,ef は小さく,eu は大きくなった.また,荷重 P,p が大きいほど e0 は小さく,eu が大きくなったため,qu は eu の影響を強く受けていると読み取ることもできる.図 7 に過圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)の凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.p = 39.2 kN/m2 で一定とし,P = 39.2~628 kN/m2 とそれぞれ異なると P が大きいほど qu は大きく,ef は小さくなった.図 8 に過圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)の未凍結間図 5 正規圧密における凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.P = 39.2~628 kN/m2,p = 39.2 kN/m2 で一定とする.p に対して P が大きくなるほど,eu が変化しなくなり,qu は大きくなった.qu の変化に対するeu の変化は図 6 よりも小さく,p(拘束圧)が小さい場合にはqu の変化に対して eu の変化が小さいことが示された.一軸圧縮試験は拘束圧が作用しない状態(p=0kN/m2)で行われるため,P に対して p が小さい時の拘束条件に近い.このことから, qu は eu と関係していないと考えられる.これは無載荷の凍結試験で求めた eu と qu との関係と同じ傾向 1)を示すものである.つまり,qu は吸着水により支配されている図 6 正規圧密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係と思われていたが,実際には自由水により支配されていることが明らかになった.4. まとめ:本研究の成果をまとめる.①正規圧密では,予圧密荷重 P が大きいほど凍結間隙比 ef は小さく,未凍結間隙比eu は大きくなり,荷重に応じて凍・不凍水量が変化する.②P が実験荷重 p よりも大きい場合は,ef および eu にバラツキが認められるものの,凍・不凍水量は P に応じて変化する傾向が認められる.③一軸圧縮強さ qu は,正規圧密では荷重 P,p が大きいほど,eu が大きくなるため,eu の影響を受けている.④P が大きく,p(拘束圧)が小さいほど eu の変化が小図 7 過圧密における凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係(p = 39.2 kN/m2)さい.一軸圧縮試験は拘束圧がゼロの条件で行われることを考慮すると,qu に及ぼす eu の影響は小さいと考えられる.これは無載荷状態で行った実験結果とも整合しており,一軸圧縮強さは吸着水よりも自由水に支配されていることが明らかとなった.参考文献:1) 佛圓典史他:凍結試験から細粒土の一軸圧縮強さを評価する方法,平成 23 年度土木学会関西支部年次学術講演会,Ⅲ-5,2011.2) 塚本光祐:飽和細粒土の工学的性質と凍・不凍水量測定結果との関係,摂南大学修士論文,2020.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-08 -図 8 過圧密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係(p = 39.2 kN/m2)
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