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タイトル 一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例
著者 栃尾 健・武石 将和・八百山 孝・夏目 隆弘・星野 笑美子
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-06〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500006
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  • タイトル
  • 一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例
  • 著者
  • 栃尾 健・武石 将和・八百山 孝・夏目 隆弘・星野 笑美子
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-06〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500006
  • 内容
  • 21-1-1-06第55回地盤工学研究発表会一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例沖積粘土一軸圧縮試験破壊ひずみ基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員○栃尾 健基礎地盤コンサルタンツ株式会社武石 将和基礎地盤コンサルタンツ株式会社 正会員八百山 孝基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員夏目 隆弘基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員星野 笑美子1.はじめに長崎県壱岐市の港湾内で埋立て地設計に必要な地盤調査を実施した際に、N 値 0 回の沖積粘性土層が確認された。この沖積粘性土層は一軸圧縮試験の結果、破壊ひずみが 5~15%で、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。この試験結果から試料の乱れが懸念されたため、当該地周辺の既往調査や、簡易 CU 試験で検証した事例を紹介する。上部沖積粘性土層(Ac1 層)2.ボーリング調査結果当該地は台地を侵食する小河谷の出口にあり、三方を標高 100m 程度の台地とその尾根に囲まれている。水深は 5~7m 程度で、N 値 0 回の沖積粘性土層が厚さ 10m 程度堆積下部沖積粘性土層(Ac2 層)し、その下位に沖積礫質土層、さらにその下位に岩盤が確認された。沖積粘性土層は、砂分の少ない上部沖積粘性土層(以下、Ac1 層)と、砂分の多い下部沖積粘性土層(以沖積礫質土層下、Ac2 層)に区分した。コア写真を図-1 に示す。Ac1 層および Ac2 層の室内土質試験結果を表-1、図-2 に示す。Ac1 層の物理特性は一般的な沖積粘土1)とほぼ同等頁岩・砂質頁岩(強風化部)の値を示した。一軸圧縮強度は小さく、軟弱粘土とほぼ同等の値を示した。一方 Ac2 層は細粒分含有率が少なく、一般的な沖積粘土より含水比が小さく、湿潤密度が大きい。液性限界および塑性限界は沖積シルトとほぼ同様の値を示頁岩・砂質頁岩した。一軸圧縮強度は、普通粘土とほぼ同等の値を示した。また、一軸圧縮試験では破壊ひずみが約 5~15%で、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。これは乱れの大きい試料の試験結果の特徴と一致しており、試料の乱れが懸図-1 コア写真念された。Ac1 層および Ac2 層の室内土質試験結果表-1Ac1 層土粒子の密度ρsg/cm3含水比Wn%間隙比e湿潤密度2.637~2.737(平均値)(2.705)Ac2 層(平均値)2.703~2.774沖積粘土の一般値 1)(2.725)2.5~2.7548.1~75.4(59.8)26.3~41.3(35.5)50~801.307~1.635(1.433)0.918~1.132(1.011)-ρtg/cm31.647~1.738(1.704)1.808~1.896(1.852)1.5~1.8細粒分含有率Fc%79.8~96.8(88.5)45.1~77.8(61.1)液性限界WL%51.5~70.1(60.1)33.2~45.5(36.5)塑性限界WP%25.6~31.1(28.3)19.9~26.8(23.9)50~130(粘土)30~80(シルト)30~60(粘土)20~50(シルト)塑性指数IP%22.4~40.5(31.8)6.7~21.6(12.6)一軸圧縮強度qukN/m215.4~28.2(20.8)19.9~57.0(32.8)破壊ひずみεf%6.06~13.98(9.42)4.69~14.95(11.1)-E50MN/m20.5~1.7(1.0)0.3~2.4(0.8)-変形係数Soil investigation result of unusual alluvial clay having largefailure strain from unconfined compression test© 公益社団法人 地盤工学会20 以下(軟弱粘土)20~200(普通粘土)TOCHIO, Takeshi Kiso-Jiban Consultants Co.,Ltd.TAKEISHI, Masakazu Kiso-Jiban Consultants Co.,Ltd.- 21-1-1-06 - 21-1-1-06第55回地盤工学研究発表会3.試料の乱れの検証3.1 簡易 CU 試験簡易 CU 試験を用いて乱れの程度を推定する方法2)━Ac1 層━Ac2 層に基づき、簡易 CU 試験を実施した。一軸圧縮強度 qu と簡易 CU 強度 su2 の関係から、表-2 の基準で乱れの程度を判定することとした。一軸圧縮強度 qu と簡易 CU 強度 su2 の関係を図-3に示す。乱れの程度は「(Ⅰ)乱れは小さい」と判定された。表-2 試料の乱れの判定基準まとめqu/su2 の範囲乱れの程度(Ⅰ)qu/su2>0.80乱れは小さい(Ⅱ) 乱れは適度のレベル0.70<qu/su2≦0.80(Ⅲ)0.60<qu/su2≦0.70乱れはやや大きい(Ⅳ) 乱れは非常に大きいqu/su2≦0.60図-2Ac1 層および Ac2 層の一軸圧縮試験結果今回の試験結果図-3━Ac1 層━Ac2 層━Ac2 層(既往)Ac1 層の qu と su2 関係図3.2 既往調査における検証同じ港湾内で昭和 57 年度に実施されている業務では、Ac2 層のサンプリング試料の運搬時の乱れを防ぐため、現場で一軸圧縮試験を実施している。そ図-4 既往調査の一軸圧縮試験結果との比較の結果、本調査と同様に破壊ひずみが大きく、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。このことから、破壊ひずみが大きいことは、試料の乱れが主因とは考えにくい。4.まとめ検証の結果、試料の乱れは少ないことが分かった。一般的な沖積粘土は破壊ひずみが 5%未満であることが多く、当該地の粘性土層は一般的な沖積粘土とは異なる挙動を持つ。応力-ひずみ曲線がなだらかなことから、ひずみが増加しても強度がある粘り強さを持つ一方で、ひずみが小さい時は強度が小さいという特徴がある。今回、破壊ひずみが大きくても乱れが少ない粘土が確認されたことから、安易にデータを棄却せず、簡易 CU 試験等を利用して乱れの程度を確認する必要があると考えられる。【参考文献】1)(社)地盤工学会:土質試験-基本と手引き-(第二回改訂版)、p.17,39,151、H21 年 3 月2)土田孝,水上純一,及川研,森好生:一軸圧縮試験と三軸試験を併用した新しい粘性土地盤の強度決定法、港湾技術研究所報告、第 28 巻第 3 号、p.82、1989 年 9 月© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-06 -
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