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21-1-1-03第55回地盤工学研究発表会フォールコーン試験による粘性土の力学特性の評価フォールコーン コンシステンシー 非排水せん断強さ日本大学生産工学部 国際会員 ○西尾伸也同上1.鎌田安祐美はじめにフォールコーン試験は北欧で粘土のコンシステンシーを測定する方法として開発され 1),コーンの貫入力が材料の降伏応力に関連していることから,強度や含水比変化に伴う強度変化を求める方法としてその適用が数多くの研究で検討され例えば 2),3),原位置試験から求めた強度や鋭敏比との対応についても検証されている 4)。液性限界測定については,JISの Casagrande 法に比べ再現性が良く個人差の影響が少ないことに加え,塑性限界の同時測定に向けた取組み 2)もあり,その利用拡大が図られている。ここでは,7 種類の粘土試料を用いてフォールコーン試験,室内ベーンせん断試験を行い,フォールコーン試験による粘性土の力学特性評価について考察した。2.試験方法表1 試料の主な性質用いた試料は,全国の 6 道府県で採取した自然粘土 6 種類:粘粘土である。自然粘土は,425µm ふるいで裏ごし通過した試料を含水比調整して用いた。JIS 法で測定した主な性質を表1に示す。フォールコーンは,JGS 0142-2009 に準拠した 60º・60g コーンの電磁石式自動解放・固定型の装置を用いた。また,非排水せん断強さ:su は,フォールコーン測定終了後,直ちに室内ベーンせん断試験(ベーンブレード幅:20mm,高さ:10mm)により,同一の容器を用いて測定した。3.液性限界塑性限界(%)(%)粘土 A65.930.235.7粘土 B119.881.438.4粘土 C93.135.457.7粘土 D58.724.933.8粘土 E77.434.742.7粘土 F68.329.139.2NSF55.130.025.1試料名土 A,粘土 B,粘土 C,粘土 D,粘土 E,粘土 F および市販 NSF試験結果と考察図1にコーン貫入量と含水比の関係を示す。30º・80g コーン塑性指数160を用いた拡張フォールコーン法 2)で示されたとおり,両者の関係は 60º・60g コーンでも両対数グラフ上で直線関係が得られた。しかし,その傾きは試料により異なり 0.19〜0.43 の範囲に変動80w (%)していることが分かる。図2は,用いた自然粘土についてコーン貫入量と液性指数の関係を調べたものである。地盤工学会基準では Casagrande 法で粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF40求めた液性限界との比較から貫入量:11.5mm に対応する含水比を液性限界としている。一方,下辺 5)は,30º・80g コーンを用いた場合,液性限界および塑性限界に対応するコーン貫入量は,20dLL=20mm および dPL=2mm,60º・60g コーンを用いた場合は,そ5の 1/2 のコーン貫入量:dLL=10mm および dPL=1mm を用いること1020d (mm)を提案している。ここでは,図2において,IL =1, d=11.5mm の図1 コーン貫入量と含水比の関係点を通る近似直線において,IL=0 の時の d を求め,これを塑性2.0限界に対応する貫入量とした。コーン貫入量:dLL=11.5mm およ粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土Fび dPL=1.7mm に対応する含水比から液性限界および塑性限界を1.5求め,JIS 法と比較した結果を図3および図4に示す。液性限界について良好な相関が見られるが,塑性限界については JIS 法にIL比べフォールコーンの方が高い値を示す試料もあり,その対応1.0は必ずしも良好ではない。室内ベーンせん断試験から求めた su と含水比の関係を図5に0.5示す。従来,コーン貫入量と su の関係については次式が知られdLL=11.5mmdPL=1.7mmており,su=k·mg/d20.0(1)1ここに k:コーン係数,m:コーン重量,g:重力加速度コーン係数については,室内ベーンせん断試験結果を基に,30ºMechanical properties of cohesive soil based on fall cone test© 公益社団法人 地盤工学会10d (mm)図2 コーン貫入量と液性指数の関係Shinya Nishio, Ayumi Kamata (Nihon University)- 21-1-1-03 -21-1-1-03第55回地盤工学研究発表会100150粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSFせん断試験から得られた su の関係を示した。用いた試料では,自然粘土と NSF 粘土でコーン係数は異なり,それぞれ,0.26 と 0.49 の値が10080wン貫入量から求めた mg/d2 とベーンw LC(d=11.5mm) (%)値が報告されている 。図6にコー(%)1)PC(d=1.7mm)コーン:0.85,60º コーン:0.29 の5060粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF4020得られた。図6で求めたコーン係数を用いて式(1)で計算される suC と dLL=11.5mm00050w LLおよび dPL=1.7mm に対応する液性限100(mm)0150406080図4 JIS 法で求めた塑性限界との比較150粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSFットされており,ILC =1 に対応する suC は 2kPa 以上の値になる。図中には,以下の式を併記した。(2)su=2·100(1- IL)(3)su=1.3·58(1- IL)(4)100w (%)su=1/(IL−0.21)2100w PL (mm)界および塑性限界から求めた液性指 図3 JIS 法で求めた液性限界との比較数:ILC の関係を図7に示す。自然粘土に比べ,コーン係数の大きな NSF 粘土は全体的に右側にプロ2050式(2)は文献 3)で紹介された Leroueil らの提案式,式(3)は,液性限界および塑性限界に対応する su を 2kPa および 200kPa とした提案式 1),式(4)は,本研究において JIS 法で求めた液性限界および塑00.5性限界に対応する su を図5の直線から 1.3kPa および 75.5kPa と求図5 su と含水比の関係(3),式(4)の方が両者の変化傾向を比較的良く説明している。おわりに107 種類の粘土試料を用いてフォールコーン試験,室内ベーンせん断試験を行い,フォールコーン試験による非排水せん断強さの粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF8フォールコーンはコンシステンシーに加えて直接強度を評価でs u (kPa)評価について検討した結果,フォールコーンから求めた非排水せん断強さと液性指数との間にはある一定の関係が示唆された。60.4910.2614きることから,コーン係数,他のせん断試験との対応,鋭敏比の影響が整理できれば,力学試験実施が難しい場合などにおける原2位置せん断強さの推定方法として期待できる。(謝辞)実験実施については令和元年度卒業生の猪俣岳君,神立0剛明君の協力を得た。ここに記して謝意を表す。05102.0Eq1.5ウム,pp.7-12, 1999.ABCDEF.(2)I LC田中洋行・金子広明・服部 直・稗田教雄・平林 弘・松岡達也:力学試験としてのフォールコーンの活用,第 46 回地NSF1.0Eq.(盤工学研究発表会発表講演集,pp. 243〜244, 2011.4)Tanaka, H., Hirabayashi, H., Matsuoka, T. and Kaneko, H.: Use ofmaterials, Soils and Foundations, pp.590-599, Vol.52, No.4, 2012.下辺悟:スウェーデン・英国規格に基づく土のフォールコーン試験結果の比較,第 48 回地盤工学研究発表会発表講演Eq.(4)0.00.52.05.020.0suC (kPa)図7 フォールコーンから推定した su と液性指数集,pp. 415〜416, 2013.© 公益社団法人 地盤工学会3)0.5fall cone test as measurement of shear strength for soft clay5)25下辺悟:拡張 BS フォールコーン法による土の液性・塑性限界の同時測定とその工学的応用,第 44 回地盤工学シンポジ3)20図6 コーン貫入量と su の関係Wood, D.W.: Soil behavior and critical Soil Mechanics, CambridgeUniversity Press, 1990.2)15mg/d 2(参考文献)1)20.0su (kPa)め,式(3)を修正した式である。用いた試料の IL の範囲では,式4.5.02.0- 21-1-1-03 -
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