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タイトル 市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態
著者 斎藤 孝夫・鳥居 剛
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-01〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500001
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  • タイトル
  • 市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態
  • 著者
  • 斎藤 孝夫・鳥居 剛
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-01〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500001
  • 内容
  • 21-1-1-01第55回地盤工学研究発表会市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態塑性限界1.液性限界はじめに土質分類地盤技術リサーチ国際会員○斎藤孝夫CPC国際会員鳥居 剛市販の粘土とシルト(シリカパウダー)を混合攪拌した粘性土の塑性限界と液性限界を求めた。これらの値から塑性限界方程式と液性限界試験方程式 3,4 を定めた。自然の粘性土とは明らかに異なった結果が得られた。2. 市販の粘土とシリカパウダー図 1 は、実験に用いた粘土とシリカパウダーの粒度曲線である。粘土は、カオリン粘土(K-clay, Gs = 2.665, wp=26.8%, wL = 62%, カオリン鉱物が主体で雲母粘土鉱物を微量に含む。竹原化学工業)と本山木節粘土(MK-clay, Gs =2.669, wp= 31.4%, wL =80.8%, カオリン鉱物が主体で随伴鉱物は石英)、シリカパウダーは、SP8 (Gs = 2.642, 平均粒径 8μ、但し、市販名)と SP20 (Gs=2.668, 平均粒径 20μ)である。試験に用いた粘土は、これらの材料を図 2 に示す粒度に配合混合したもので、これを実験室粘性土と呼び、K-clay、MK-clay と記す。図中の CF は 0.002mm 以下、MP は0.002mm~0.02mm、CP は 0.02mm 以上の土粒子の含有率(%)である。3.塑性限界と液性限界塑性限界と液性限界は、実験室粘性土を塑性限界と液性限界の中間の含水比となるよう加水し、48 時間ビニール袋 の 中 で 養 生 し た 後 に 、 土 の 液 性 限 界 ・ 塑 性 限 界 試 験 法 ( JIS A1205:2009)により求めた。図 3 は、CF と wp/wL の関係である。wp とwL が CF とともに増加するのは、CF が或る値よりも大きくなってからである。このような現象は、粘土と砂を混ぜ合わせた実験室粘性土での Seed et al.(1964)や Polidori (2007)の実験でも観察されているが、明確に説明されているとはいえない。そこで、線形増加領域と変則領域に分けて検討することにした。4.線形増加領域線形増加領域は、塑性限界で CF≧40、液性限界で CF≧30 である。表1は、最小二乗法により求めた塑性限界係数と液性限界係数 3,4 である。表の K+MK 欄は、K-clay と MK-clay の単一母集団場合の、K 欄、MK 欄は、K-clay、MK-clay を単独母集団とした場合の係数である。図 4 は、wp と wL の計算値と実測値の比較である。図4(1)は単一母集団の場合で、wp と wL の計算値は、測定値と比べて Kclay で大きく、MK-clay で小さい。図 4(2)は単独母集団の場合で、計算値のばらつきは単一母集団より小さく高精度である。図 5 は、塑性限界係数と液性限界係数である。MP と CP 粒子群の係数は CF 粒子群の係数の塑性限界で 0.05~0.3 倍、液性限界係数で 0.005~0.2 倍である。焼津粘土では、これらの係数は 0.5~1 倍であった3,4。実験室粘土と自然土とでは、MP・CP 粒子の保水状態が大きく異なることが分かった。5.変則領域図 3 に変則領域と線形増加領域の境界の CF 値を示した。これらの値に対応する CFと MP の割合は、図 2 に示すように塑性限界で CF= 0.8MP、液性限界で CF= 0.4MP である。境界領域で MP に対する CF の割合が塑性限界と液性限界で異なるのは、両限界時Water-holding state at plastic and liquid limits for laboratory soils mixed with claymineral and silica powder© 公益社団法人 地盤工学会Takao Saito, Geotechnical Engineering Research Limited.Tsuyoshi Torii, Construction Project Consultant Inc.- 21-1-1-01 - 21-1-1-01第55回地盤工学研究発表会Table 1 wp-equation and wL-equation.wpwLpopulationK+M KKMKpopulationK+M KKMKwpcf0.3130.3010.322wLcf0.7560.7020.793wpmp0.0660.0780.093wLmp0.0060.0610.005wpcp0.0670.0160.043wLcp0.1350.1180.078wpmp/wpcf0.2110.2590.289wlmp/wLcf0.0080.0870.006wpcp/wpcf0.2140.0530.134wLcp/wLcf0.1790.1680.098(1) Soil fabric at plastic limitの CF 粒子群の含水状態が異なるからである。CF の増加と共に wp・wL が減少する理由を図 6 の粒子構Water controlledby CF particle造から説明する。なお、wp・wL は、CF・MP・CP 粒子表Water controlledby CP particle面の付着水と各々の粒子群が支配する空隙にある水の総和と考える。(1)は塑性限界、(2)は液性限界の粒子構造である。ここでシリカパウダーの粒子表面の保水能力は非常に小さい。塑性限界時、CF と MP 粒子の周辺には多くの気泡が存在する。気泡の存在が、CP 粒子と比較して MP 粒子の支配空隙を僅かではあるが大きくする。wpMP が wpCP より大きWater controlledby MP particleい理由である。液性限界の時には、吸水によって CF 粒子(2) Soil fabric at liquid limitと MP 粒子間の空隙が広がるとともに、気泡もなくなる。粒子表面の保水力が極端に小さい MP 粒子の支配する空隙は目立って少なくなる。他方、形状の大きい CP 粒子の支Water controlledby MP particleConnector assemblagethinConnector assemblagefat配空隙は MP 粒子のものと比べて大きくなる。結果として、wLCP が wLMP より大きい。(2)に示すように、MK-clay のwLMP・wLCP が K-clay のものより小さいのは、MK-clay のSmall CFwLCF が K-clay のものより大きいからである。(3)は、塑性限界の時の変則領域の説明である。変則領域では、CF 粒子は MP 粒子間の接合子となる。空隙には、水Air Water controlledby CF particleLarge CF(3) Soil fabric at plastic limit in anomalous zoneFig.6 Soil fabrics at plastic and liquid limitsと空気が存在する。CF が少なく接合子が小さいと強度が小さいので、空隙の水が多い状態で棒状土は壊れる。しかし、CF の量が増えて接合子が大きくなると強度が大きくなるので、含水比が低下しても棒状土の壊れは遅れる。このことが、空隙の水の量を低下させ、塑性限界の低下を引き起こす。塑性限界に加水して液性限界になると、空隙は水で満たされる。黄銅皿落下時の衝撃で、水で満たされた空隙周辺の組織が液状化する。CF の増加は空隙を拡大するので、液状化が起きやすくなる。CF の増加が wL の低下を引き起こす理由である。1. Seed,et al. (1964): Fundamental aspects of the Atterberg limits. Proc. ASCE, 90 (SM6), 75−105.2. Polidori, E. 2007): Relation between the Atterberg limits andclay content. Soils and Foundation, 47, No. 5, 887−896.3 & 4. 斎藤孝夫・長尾哲。(2017): 第 52 回地盤工学会研究発表会、313−314、315−316© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-01 -
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