書籍詳細ページ
出版

タイトル ボーリングデータベースからみた奈良盆地の浅層地盤の特徴
著者 伊藤浩子・北田奈緒子・松岡數充・束原 純・三村 衛
出版 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 53〜54 発行 2019/06/20 文書ID rp201905400027
内容 表示
ログイン
  • タイトル
  • ボーリングデータベースからみた奈良盆地の浅層地盤の特徴
  • 著者
  • 伊藤浩子・北田奈緒子・松岡數充・束原 純・三村 衛
  • 出版
  • 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 53〜54
  • 発行
  • 2019/06/20
  • 文書ID
  • rp201905400027
  • 内容
  • 0027B - 11第 54 回地盤工学研究発表会(さいたま市) 2019 年 7 月ボーリングデータベースからみた奈良盆地の浅層地盤の特徴奈良盆地ボーリングデータベース有機質土地域地盤環境研究所正会員地域地盤環境研究所国際会員○伊藤浩子北田奈緒子長崎大学環東シナ海環境資源研究センター松岡數充中央開発国際会員束原純京都大学工学研究科国際会員三村衛1.はじめにKG-NET・関西圏地盤研究会(およびその前身の研究会)では,これまで大阪・神戸・京都・滋賀を対象に関西圏地盤情報データベースを利用した地盤研究を取り纏めてきた1)-5)。2014 年~2018 年には奈良盆地を対象として研究活動を6)行い,その成果を「新関西地盤―奈良盆地」(2018) として発刊した。先行研究である「奈良盆地地盤図・滋賀県地盤図」7) では,約 600 本のボーリングデータを用いて表層地質,基盤構造,土質特性,歴史的建造物と地質との関係などが取り纏められている。本研究会では,上記の成果をふまえ,より詳細で高精度な地盤情報を得るため,関西地質調査業協会と協力して研究を行った。関西地質調査業協会には既存の約 600 本のボーリングデータをご提供いただき,本研究会で新たに収集したボーリングデータと一元化して,奈良県域とその周辺地域を対象に約 15,000 本のボーリングデータベースを構築した。ここではその成果のうち,ボーリングデータベースを用いて検討した奈良盆地の浅層地質の特徴と,コア試料の分析から得られた地質学的な情報について報告する。2.対象地域本研究の対象地域を図-1 に示す。地形地質学的な特徴から対象地域を 4 地区に区分して,それぞれの浅層地盤の特徴について検討を行った。最も北側の「木津川地域」は,京都盆地から奈良盆地に至る約 20km の河谷であり,京都盆地からの地層の連続性を把握するため,本地域を研究対象に含めた。周辺山地は主に花崗岩からなり,風化作用によってマサ化した大量の土砂が天井川を形成するため,河川周辺の低地には氾濫原が発達している。「矢田丘陵~京阪奈地域」は,生駒断層の活動に伴って形成された丘陵地からなり,地形的に木津川が北流する要因となっている。表層付近には大阪層群が分布する。奈良盆地内は,盆地の標高が最も低くなる地域(大和川が大阪平野へと西流する地域)を境に「奈良盆地北部地域」と「奈良盆地南部地域」に区分した。「奈良盆地北部地域」は矢田丘陵東部の平坦地であり,三方を丘陵や山地に囲まれている。また「奈良盆地南部地域」は盆地内で最も平坦地が広がる地域である。南から多数の小規模な河川が北流するため,網状河川の堆積作用により自然堤防と後背湿地が形成されている。3.ボーリングデータベースによる検討図-2 は,京都盆地の南端(京都府相楽郡精華町)から,御所市大字條の秋津付近に至る奈良盆地の南北断面である。本断面図の北部は「木津川地域」に相当し,明瞭な礫層を境界として沖積層と洪積層に区分される。しかし,京阪奈丘陵から奈良盆地内では N 値と層相が大きく変化し,沖積層と洪積層の区分が難しい。近鉄奈良線~近鉄天理線付近までの地域は「奈良盆地北部地域」に相当し,礫・砂・粘性土の互層からなる。図-2 の断面図ではどちらかといえば粘性土が優勢である。なお浅部の優勢土層の平面分布図6)から,本地域の西部では粘性土層と砂層,東部では礫層が主体であることが明らかとなった。大和川(初瀬川)より南側の地域は「奈良盆地南部地域」に相当する。南北から流下した小規模な網状河川の堆積物からなり,堆積物は側方への連続性が悪い。礫・砂・粘性土の細かい互層からなるが,全体的には砂礫層が優勢である。近鉄大阪線のやや北方の地域では,深度 10m 程度に有機質土が特徴的に分布する。この有機質土は,局所的な範囲内では側方対比が可能であるが広域的な連続性は悪い。この有機質土の分布域において,後述する橿原北基準ボーリングを掘削した。Characteristics of subsurface geology in Nara Basinconsidered by utilization of the borehole database図-1 奈良盆地の地質と本研究での地区区分(地質図は文献 8)-10)を元に作成)Hiroko Ito1, Naoko Kitada1, Kazumi Matsuoka2, Jun Tsukahara3, andMamoru Mimura4 (1Geo-Research Institute, 2Nagasaki Universuty3Chuo Kaihatsu Corporation, 4Kyoto Universuty)53 図-2 奈良盆地の代表的な南北断面4.ボーリング調査から得られた地質学的特徴ボーリングデータベースに入力されたデータは,ほとんどが建設工事に係る調査ボーリングであるため,地質学的な情報や物理・力学特性の詳細情報は非常に少ない。そこで,集積したボーリングデータを質的に補間することを目的に,基準となり得るボーリング調査(橿原北基準ボーリングと呼称)を実施した。調査は細粒堆積物や有機質土が連続的に分布する,盆地中央の低地部(橿原市小槻町付近)において実施した。ボーリング柱状図と N 値・土色の測定結果を図3 に示す。深度 9m 付近までは粘土層主体で,深度5.7~7.5m,深度 2.4~4.8m に有機質土が分布する。深度 4.1~4.2m および深度 5.9~6.2m には火山灰層が挟在し,詳細分析の結果,上位が鬼界-アカホヤ火山灰(K-Ah:降灰年代約 7,300 年前)11) ,下位が姶良 Tn 火山灰(AT:降灰年代約 26,000~29,000 年前)11) であることが明らかとなった。つ図-3 橿原北基準ボーリングの地質柱状図・N 値・土色まり,本ボーリングでは深度 4.2m から深度 5.9m の間に沖積層と洪積層の境界がある。しかし,この深度区間における N 値はほぼ一定で,層相変化も乏しいため,沖積層と洪積層の境界深度を特定することは難しい。また,花粉分析を実施したところ,K-Ah 火山灰の直上では Cyclobalanopsis や Sciadopitys など温暖期を示唆する花粉,AT 火山灰の直上では冷涼な気候に由来する Picea,Lepidobalanus, Betula などの花粉が多く検出され,火山灰分析の結果と整合的であった。しかし,両火山灰層の間の堆積物では花粉化石の産出状態が悪く,沖積層と洪積層の境界深度を更に厳密に決定できる情報は得られなかった。このように,海水準変動の影響をほとんど受けていない地層分布は,これまで本研究会で検討してきた平野や盆地では認められず,奈良盆地の浅層地盤の特徴であるといえる。引用文献1)-2) 関西地盤情報活用協議会(1998; 2002) 3)-6) KG-NET・関西圏地盤研究会(2007; 2011; 2014; 2018)業協会・独立行政法人産業技術総合研究所(2009)8) 三田村(1993)田洋・新井房夫(2003)549) 宮地ほか(2001)7) 関西地質調査10) 宮地ほか(2005)11) 町
  • ログイン