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タイトル 吸水膨張する樹脂と粘土鉱物など地盤環境系工業材料を関連付けた実験と講座(ジオ ESD)事例 ( 持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指した学習教材の研究 その一 )
著者 浜野真季・浜野廣美・水野克己・乾  徹・勝見 武・遠藤和人
出版 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 43〜44 発行 2019/06/20 文書ID rp201905400022
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  • タイトル
  • 吸水膨張する樹脂と粘土鉱物など地盤環境系工業材料を関連付けた実験と講座(ジオ ESD)事例 ( 持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指した学習教材の研究 その一 )
  • 著者
  • 浜野真季・浜野廣美・水野克己・乾  徹・勝見 武・遠藤和人
  • 出版
  • 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 43〜44
  • 発行
  • 2019/06/20
  • 文書ID
  • rp201905400022
  • 内容
  • 0022A - 09第 54 回地盤工学研究発表会(さいたま市) 2019 年 7 月吸水膨張する樹脂と粘土鉱物など地盤環境系工業材料を関連付けた実験と講座事例( 持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指した学習教材の研究 その一 )SDGs, ESD, GEOESD地域地盤環境研究所正会員水野克己大幸工業正会員浜野廣美大幸工業正会員○浜野真季国立環境研究所国際会員遠藤和人大阪大学大学院国際会員乾徹京都大学大学院国際会員勝見武1. はじめに持続可能な開発目標(SDGs)とは、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動である。持続可能な社会づくりの担い手を育む教育(以下、持続発展教育(ESD)と呼ぶ)とは、グローバルに考え、ローカルに行動する身につけ、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動である1)。企業が持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、経営理念と、既存の企業の社会的責任(CSR)と、既存の事業活動をいかに紐づけるかは重要な課題である。まして、地盤環境系の産業界や学会などでは、持続可能な開発目標(SDGs)と直接・間接的に関わりがあるにも関わらず、持続発展教育(ESD)の取り組が不十分である。血液の循環に例えて「動脈産業」に例えられる製造業などでは、示す企業理念と事業活動(製品・サービス)のロジックモデルから持続可能な開発目標(SDGs)に紐づけできる。しかし、むりやり理念や過去の社会的責任(CSR)を持続可能な開発目標(SDGs)にあわせていないか疑念を持つ企業もいる。また、「静脈産業」と言われている廃棄物や再生処理業界では、経営理念と既存の事業活動だけで持続可能な開発目標(SDGs)に紐づけするには難がある。このため、基本的な考え方に示される①~⑧のキーワードに、地盤環境系工業材料を関連図-2 持続可能な開発目標(SDGs)17 の目標と、持続発展教育(ESD)付けた実験と講座(以下、ジオ ESD と呼ぶ)をの基本的な考え方に示されるキーワード(①~⑧)考案した。これは、持続可能な開発目標(SDGs)を達成することが目的である。図-1に持続可能な開発目標(SDGs)17 の目標と、持続発展教育(ESD)の基本的な考え方に示される①~⑧のキーワードを示す。図-2 に地盤環境系工業材料に持続発展教育(ESD)を関連付けた新たなモデルを示す。実験と講座(ジオESD)に使われる地盤環境系工業材料とは、水惑星地球だけに存在するベントナイトなどの粘土鉱物や、フミン・フルボ酸を含有する腐植土や、石油などから人類が創作した吸水性樹脂などである 2)。本論では、地盤環境系工業材料と持続発展教育(ESD)を関連付けた、外国人留学生を対象とした実験と講座事例も併せて報図-3 地盤環境系工業材料に持続発展教育(ESD)を関連付けた新たなモデル(ジオ ESD)告する。IngoalsMizuno Katsumi1 Geo-Research Institute1 Hamano Hiromi2(SDGs)Examples of courses that associate ground environmentalordertolinkwithsustainabledevelopmentHamano Maki2 Daiko CO.,LTD2 Endou Kazuto3 Nationalindustrial materials with sustainable development educationInstitute for Environmental Studies3 Inui Toru4 Oosaka(GEO ESD)University4 Katsumi Takeshi5 Kyoto University543 2. 廃棄物処理・再生処理業における課題廃棄物処理・再生処理業に従事する社員には、運転車の乗務員、重機の運転手、工場の運営・管理から営業や事務まで職種が幅広く、学歴や環境・経験も異なる。また、建設や製造業などの「動脈産業」よって、廃棄物処理・再生処理業の「静脈産業」も変化する。「動脈産業」と同じように専門的で高度な知識の押しつけは、持続可能な開発目標(SDGs)に対して理解が得られない。このため、地盤環境系工業材料を実験で観察した後に、講座を行う手法を考案した。3. 地盤環境系工業材料の実験地盤環境系工業材料の実験を説明すると、No1.は、粒状の粘土を用いた止水性と自己修復の観察である。No2.は、吸水性樹脂を用いた吸水膨張の観察である。No3.は、水と粘土量の違いで、粘りの違いの観察である。No4.は、透明な粘土(粘りの違い)で、浮力と重力の観察である。No5.は、水の中でブラウン運動する、コロイドの観察」である。No6.は、泥水に電気を流し状態の観察」である。No7.は、粘土の水量を固体から液体まで変えた観察である。No8.は、足の裏、手の平で、粘土の柔らかさと硬さを、泥だんごの観察である2)3)。これら実験は、全ておこなうものではなく、受講者にあわせて選択される。4. 外国人留学生を対象とした実験と講座事例2019 年 1 月 16 日、神戸医療福祉大学(大阪天王寺キャンパス 71 教室 7 階)において、日本在籍 2 年程度のベトナム、ネパール、中国、フィリピン、インドネシア留学生)を対象とした実験と講座を開催した。ボランテア・スタッフは、大幸工業 株式会社(代表取締役 浜野廣美)社員と関係者だけでなく、神戸医療福祉大学、地域地盤環境研究所、京都大学大学院生、平林地域活動者、住之江区まちづくりセンター、住之江区社会福祉協議会など総勢 15 名の有志による協働であった。講座のプログラムは、まず社会貢献(CSR)や、持続可能な開発目標(SDGs)の必要性を講演で教えた。講演の次ぎに、No1.粒状の粘土を用いた止水性と自己修復の観察と、No2.吸水性樹脂を用いた吸水膨張の観察」を行った。そして、No8.足の裏、手の平で、粘土の柔らかさと硬さを泥だんごで観察を行った。なお、「泥だんご」を作れと言っても、別の形を作る外国人留学生もいた。しかし、これこそ多様化を目指す意義がある。「泥だんご」の製作は一人当たり約 250g の粘土が必要で、70 人の外国人留学生だと合計 20kg 以上の粘土を用意しないといけない。また、ボランテア・スタッフ一人に対して外国人留学生五~六人の対応が限度である。講座の最後は、持続発展教育(ESD)の基本的な考え方に示されるキーワードから、持続可能な開発目標(SDGs)に関連する講座をおこなった。持続発展教育(ESD)を受講した証しとして、各自が製作した「泥だんご」共に、スタッフと留学生で笑顔の写真を撮った。講座は、J:com チャンネルデイリーニュース大阪(株式会社 ジュピターテレコム)でインターネット放送された。5. まとめ持続可能な開発目標(SDGs)は発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものである。しかし、異なる企業理念と事業活動のロジックモデルから持続可能な開発目標(SDGs)到達の可能性が少なくなる。学術の地盤環境工学においても同様に、従来の力学という基盤からの出発点だと到達の可能性は少ない。しかし、バックキャステング思考( 持続発展教育(ESD)の基本的な考え方に示される①~⑧のキーワードに、地盤環境系工業材料を関連付けた実験と講座 )だと可能性は高くなる。その理由は、水惑星地球だけに存在するベントナイトなどの粘土鉱物や、フミン・フルボ酸を含有する腐植土や、石油から人類が創作した吸水性樹脂など、地球と直接関わる地盤環境系工業材料だからである。本論では、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、持続発展教育(ESD)の基本的な考え方に示される①~⑧のキーワードに、地盤環境系工業材料を関連付けた実験と講座事例を報告した。事例では、社会貢献(CSR)や、持続可能な開発目標(SDGs)の講習したことが、外国人留学生の帰国後の就労や人生に活かせることがスタッフ一同の願いである。外国人留学生を対象とした講座が、国内の「動脈産業」や「静脈産業」などに従事する社員に対して、フィードバックし、やがて持続可能な開発目標(SDGs)が達成し、それと共に、資源循環型社会も実現すると信じている。謝辞:地盤環境系工業材料と持続発展教育(ESD)を関連付けた新たなモデルと講座の原案は、GRI ベントナイト問題研究会(会長 水野克己)で企画・製作された。企画・製作にあたり、数多くの方々から資料の提供を受けた。また、外国人留学生を対象とした講座に際し、神戸医療福祉大学 大阪天王寺キャンパス 事務局長 海野昭一氏、准教授 鈴木大介氏には、多大なるご協力を頂いた。ここに謝辞を述べる。参考文献1)文部科学省国際統括官付(日本ユネスコ国内委員会事務局):ESD(持続可能な開発のための教育)とは?http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/05/01/1357392_08.pdf2)水野克己・近藤三二:ベントナイトの特性と環境汚染防止分への応用,土と基礎,Vol.49,No.2,pp29-32,20013)水野克己:「どろだんご」で繋がる人生経験,地盤工学会誌,Vol.63,No.7,Ser.No.690,Hp4-Hp5,2015https://www.jiban.or.jp/file/kaishi/27-7/HP4-5.pdf44
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