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出版

タイトル 3Dプリンターの地盤材料モデルへの適用とその研究動向
著者 竹村貴人・西本壮志・下茂道人・清木隆文・佐ノ木哲
出版 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 39〜40 発行 2019/06/20 文書ID rp201905400020
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  • タイトル
  • 3Dプリンターの地盤材料モデルへの適用とその研究動向
  • 著者
  • 竹村貴人・西本壮志・下茂道人・清木隆文・佐ノ木哲
  • 出版
  • 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 39〜40
  • 発行
  • 2019/06/20
  • 文書ID
  • rp201905400020
  • 内容
  • 0020A - 01第 54 回地盤工学研究発表会(さいたま市) 2019 年 7 月3D プリンターの地盤材料モデルへの適用とその研究動向3D プリンター 地盤材料モデル 日本大学文理学部 正会員 ○竹村 貴人 電中研 正会員 西本 壮志 (公財)深田地質研究所 正会員 下茂 道人 宇都宮大 正会員 清木 隆文㈱地層科学研究所 正会員 佐ノ木 哲1. はじめに 近年,3D(三次元)プリンターは急速に普及し,例えば,機械工学においては設計の補助に,医療分野においては臓器モデルの作成に積極的に利用されるようになってきた.このような 3D プリンターの利用は地盤工学に関しても例外ではなく,2010 年代に入ってから多くの事例が国内外で報告されており,その多くはデジタルロックメカニクスの延長として報告されている.ここで,デジタルロックフィジックスは多孔質媒体などの岩石の空隙構造を X 線 CT により撮影した 3D デジタル画像としてデータ化したものを用いて数値解析を行い,その力学―水理特性を評価する方法であり,主に石油・天然ガスの貯留層の多孔質岩を対象にして行われている(例えば,Knackstedt et al.1)).当初,X 線 CT により作成された 3D デジタル画像は数値解析にのみ使われていたが,2010 年代中盤からは 3D プリンターへ入力するデータとして使われはじめ,実験用の空隙を持つ試料が再現されるようになっている.今後,地盤工学に関わる研究者および技術者もより 3D プリンターに接する機会が増えるであろうことを踏まえ,本論では,3D プリンターの地盤工学への適用に関する現状をまとめることとする. 2.地盤工学への適用事例のまとめ 3D プリンターの地盤に関係する分野への適用は,Jiang et al.2)が実験試料,物理モデル,支保(Supporting body),3 次元地形と表面の型(Geo-mold)の 5 つの目的で分けられるとしている.このうち,支保(Supporting body)はロックボルト,アンカーケーブルやライニングの模型であり,3 次元地形は山岳や河川などの地形モデルであり,ダムや鉄道の設計に使用するための模型である.図 1 はこの分類を元に適用の目的を要素試験供試体,物理モデル,地形モデルとして再分類したものである.このうち,地盤工学の分野における既往の研究事例に関しては,要素試験材料としての利用が多く見られる.3D プリンターによる造形の利点を活かして要素試験材料を作成したものとしては,亀裂や空隙を含む造形物が挙げられる.ここで,造形物の形状は,要素試験の種類(一軸・三軸試験や曲げ試験,透水・拡散試験など)により円柱状(円盤を含む)や角柱状(板状を含む)となる.また,使われる素材としては,ABS 樹脂,石膏などが挙げられる.図 2 は地盤材料の土粒子,結晶質岩の亀裂,堆積岩類の空隙直径のサイズと X 線 CT と 3D プリンターの分解 D3図‐1 3D プリンタによる造形物の地盤工学分野への適用例の目的ごとの分類.分類は Jiang et al.2)を基に再分類をした.A review of application of geological materialmodel in term of 3D printerTAKEMURA, Takato, Nihon University, NISHIMOTO, Soshi, CentralResearch Institute of Electric Power Industry, SHIMO, Michito, FukadaGeological Institute, SEIKI Takafumi, Utsunomiya University, SANOKI, Satoru,Geoscience Research Laboratory39 05D0.T3CX.5126126)(図‐2 各地盤材料の亀裂・空隙のサイズと 3D データ取得のための手法(X 線 CT)および 3D プリンタの分解能との関係(3D プリンターについては,3DSystems 社の Projet3500シリーズ 3)の値を使った).能をまとめたものである.3D プリンターの分解能には積層方向である鉛直方向と水平 2 方向の分解能があるが,地盤材料の空隙を再現することを目的とすると水平方向の分解能が重要となる.プリンタ出力の方式にもよるが,水平方向の分解能は産業用の高機能版であれば,数十から数百μm であり,普及型であれば,数百μm から数 mm となる.ここで,精細な空隙構造を再現しようとすると,サポート材の使用が必要となり,出力後に除去をしなければならない.Ferro &Morari4)による空隙を含む土壌の X 線 CT データから作成した 3D プリンターによる造形物を X 線 CT で確認した結果によると,小さな空隙にはサーポート材が残っているがその量は少量で,空隙率や空隙形状に大きな影響は与えないものの連結度に影響を与えるため透水係数に違いが生じることを報告している.また,サポート材を使用する工程を考えると亀裂や空隙は必ず互いに連結し合い外側境界に繋がっている必要がある.理想的な亀裂や空隙を含む材料の造形物を作る場合には 3D-CAD により入力データを作成するため,その判定は容易にできるが,X 線 CT データを基に実試料の亀裂や空隙を再現しようとすると,その判定は困難を極める.また,複雑に入り組んだ亀裂や空隙を X 線 CT データから 3D プリンターの入力データ(例えば STL 形式)に変換するにはラスタ-ベクトル変換が必要となるため,リングアーチファクトなどがなく容易に 2 値化ができる X 線 CT データが必要となる.また,3D プリンターへの入力データは固体部分にデータの欠損がなく完全に閉じた状態でなければ出力ができないため,そのための画像処理が必要となるなど多くの手間をかける必要がある.しかしながら,最終的に出力可能な入力データが出来れば,そのデータは有限要素法等に適用できるデータとなり得る.3.まとめと今後の展望3D プリンターにより地盤材料の復元を行うにあたり,実試料に含まれる亀裂や空隙を再現しようとする場合,X 線CT によるデータの活用がもっとも有効であるが,入力データの作成には注意を払うべきであろう.また,サポート材を利用する場合には,サポート材の除去がどの程度できているかを確認する必要がある.また,近年,サポート材も様々なものが開発されているため,その動向にも気を配る必要があろう.また,X 線 CT を基にした 3D プリンターによる地盤材料の復元は,現状においては樹脂材料でしか報告されておらず,その要素試験への利用は透水・拡散などに限られる. 3D プリンターの出力のための素材は樹脂を始めとして石膏やガラス,砂など様々5)である.現状においては,地盤材料のうち砂岩を扱うのであれば砂型積層プリンターが適していると考える.また,その場合,明瞭な輪郭を持つ亀裂を出力することは困難であるが,現状では幅 1mm の不連続面としての亀裂を含ませることは可能であると考える 6).引用文献 1) Knackstedt,MA,Latham,S, Madadi,M, Sheppard,A, Varslot,T, and Arns, C: Digital rock physics: 3D imaging of core material and correlations to acoustic and flow properties. The Leading Edge, 28(1), 28-33, 2009 2) Jiang, C,Zhao,GF, Zhu,J, Zhao, YX & Shen, L: Investigation of dynamic crack coalescence using a gypsum-like 3D printing material. Rock Mechanics and Rock Engineering, 49(10): 3983-3998, 2016 3) 3Dsystems: https://ja.3dsystems.com/3d-printers/projet-mjp-3600-series, (2018 年 2 月 28 日閲覧) 4) Ferro, ND & Morari, F: From Real Soils to 3D-Printed Soils: Reproduction of Complex Pore Network at the Real Size in a Silt y-Loam Soil. Soil Physics & Hydrology. doi:10.2136/sssaj2015.03.0097, 2015 5) 例えば,竹村貴人, 西本壮志,岡根利光,佐藤 稔:砂型積層3D プリンターを用いた地盤材料モデルの作製,第 53 回地盤工学研究発表会, 0034, 2018 6) 鈴木健一郎・奥澤康一・濱本昌一郎・藤井幸泰・磯部有作:砂型積層3D プリンターで作製した地盤材料モデルの力学特性の再現性,第 54 回地盤工学研究発表会, 201940
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