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出版

タイトル 煮沸時間及び土の粒径が土粒子の密度にあたえる影響
著者 米澤友哉・中村洋丈
出版 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21〜22 発行 2019/06/20 文書ID rp201905400011
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  • タイトル
  • 煮沸時間及び土の粒径が土粒子の密度にあたえる影響
  • 著者
  • 米澤友哉・中村洋丈
  • 出版
  • 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21〜22
  • 発行
  • 2019/06/20
  • 文書ID
  • rp201905400011
  • 内容
  • 0011D - 03第 54 回地盤工学研究発表会(さいたま市) 2019 年 7 月煮沸時間及び土の粒径が土粒子の密度にあたえる影響土粒子の密度泥岩 粒径高速道路総合技術研究所正会員○米澤 友哉高速道路総合技術研究所国際会員中村 洋丈1. はじめに道路盛土の締固め管理は,粘性土や破砕転圧が必要な泥岩などでは空気間隙率管理や飽和度管理が行われている。これらの管理手法で求める空気間隙率(va)や飽和度(Sr)は土粒子の密度( s)が必要であり,土粒子の密度は求める値に影響を与える重要な物性値である。したがって,盛土施工では,施工前には材料試験,施工中には物性の変化を確認するため基準試験として,土粒子の密度試験が行われている。このように品質管理の基準値に影響する土粒子の密度は,試験方法に留意が記されており,例えば,関東ロームでは煮沸時間の影響が指摘されている 1)。また,JIS 試験法は 1990 年には適用範囲の粒径が 9.5mm に改定されており,土質材料によっては試験法の違いが土粒子の密度に与える影響が大きいと考えられる。そこで,本稿では,スレーキングによる細粒化や礫の密度が材料によって異なる泥岩に着目し,煮沸時間及び適用粒径の違いが土粒子の密度に与える影響について検討を行った。2. 土粒子の密度試験方法の改定変遷土粒子の密度試験方法は,「土粒子の密度試験方法(JIS A 1202)」による。表-1 に示すように JIS の試験法はこれまでに 5 回改定されており,現在の試験法は 2009 年に定められたものである。(1) 煮沸時間JIS 試験法では,煮沸時間は一般の土では 10 分以上,高有機質土では約 40 分,火山灰土では 2 時間以上とされている。文献 1)によれば,一定の値を得るためには 2∼4 時間以上の煮沸時間が必要とされている。また,空気乾燥土や炉乾燥土では,その程度の煮沸時間でも非乾燥土と同じ値にならないと報告されているため,煮沸は土の種類や試料調整方法を考慮して行う必要がある。表-1 土粒子の密度試験の煮沸時間と適用粒径の変遷試験法JIS A 1202項目1970(1975)1978199019992009∼名称土粒子の比重試験方法適用粒径規定なし9.5mmふるい通過10分以上一般の土10分以上、高有 一般の土10分以上、高機質土では約40分、しら 有機質土では約40分、すでは2時間以上火山灰土は2時間以上煮沸時間日本道路公団・NEXCO試験方法1950適用粒径煮沸時間4760 mふるい通過土粒子の密度試験方法2000 mふるい通過9.5mmふるい通過JISと同様JISと同様( )は日本道路公団試験法の改定年(2) 最大粒径JIS 試験法は 1950 年に制定され,粒度の適用範囲は定めていない。その後,1990 年に適用範囲は 9.5mmふるいを通過した土粒子に改定された。一方,高速道路の試験法は 1962 年に制定されて,4760μm(4.76mm)ふるい,2000μm(2.00mm)ふるいと変遷したが,現在は,JIS と同じく 9.5mm ふるい通過した土粒子となっている。3. 試験に用いた材料と試験方法試験には表-2 に示す各地で採取した 6 材料の泥岩と参考にローム及び C-40 砕石を用いた。泥岩の自然含水比は 6∼49%,岩石の密度は,1.13∼2.46(g/cm3),スレーキング率は高く 57∼98%であるのが特徴的である。試験方法は,JISA1202 土粒子の密度試験方法で行い,煮沸時間及び適用粒径を変化させて,その影響を確認した。(1) 試験概要 予め現場から採取してきた材料から,任意に試験に必要な量を取り出し,目開き 9.5mm ふるいでふるって試料を準備した。試料は湿潤状態のままを用いた。試料は 100mL のピクノメーターを入れて,煮沸法により気泡を除いた。煮沸後は室温で 4 時間以上冷まして重量を計測した。(2) 煮沸時間と適用粒径煮沸時間による影響を確認する試験では,1 材料あたり測定時間ごとに 3 試料用意した。煮沸時間は試験法や文献 1)の解説を参考に 1,2,3,4,6 時間とした。煮沸後は時間ごとに 3 試料計測した。適用粒径の影響を確認する試験では,1 材料あたりふるい目開きの粒径ごとに 3 試料用意した。粒径はこれまでの高速道路の試験法などを参考に,目開き 2.0mm,4.75mm,9.5mm のふるいを通過したものとした。またこの時の煮沸時間は 3 時間に統一した。煮沸後は粒径ごとに 3 試料計測した。YONEZAWA, Tomoya / NAKAMURA, HirotakeInfluence of soil particle size and boiling time on thedensity of soil particlesNippon Expressway Research Institute Co.,Ltd.21 4. 試験結果表-2 試験に用いた材料の物性(1) 煮沸時間の影響図-1 に土粒子の密度と煮沸時間の関係を示1234567試料採取場所神戸藤枝清水高崎秋田沖縄秦野泥岩泥岩泥岩泥岩泥岩泥岩ローム34.34.86.018.548.623.645.22.7662.7362.7292.6762.6032.7342.85137.5岩 種す 。 泥 岩 材 料 の 土 粒 子 の 密 度 は , 2.6 ∼ 自然含水比2.76(g/cm3)程度の範囲にある。どの材料も煮沸wn土粒子の密度時間が増えても,煮沸時間 1 時間後の密度と泥岩は煮沸時間が長くなるにつれて若干では粒度組成あるが密度があがる傾向がある。文献 2)の沸騰時間と土粒子の密度の関係の関係図にあるテコンンシシスー粘性土では,一定値を得るためには 2∼4 時間以上の煮沸時間が必要とされている。これらと比較すると,ここで用いた泥岩の煮沸時間は,短時間の試験は実施していないが,概ね 1時間程度で一定値が得られると考えられる。ただし,秋田泥岩のような材料もあるので,土めの試締験固%3g/cms最大粒径 大きく変わらない傾向である。しかし,秋田これは(2)で考察する。試 料 番 号mm37.575.0100.037.537.537.5石分 (75mm以上 )D max%008.90000礫分 (2∼75.0mm)%71.076.680.381.382.871.915.9砂分 (75 m∼2mm)%28.021.89.716.516.626.135.3細粒分 (75 m未満 )%1.01.61.12.20.62.048.8液性限界 wL%74.825.156.180.563.858.6塑性限界 wp%34.315.230.543.029.549.140.59.9NP25.637.534.39.5B-cB-cB-cB-cB-cB-cB-c1.3512.1401.9021.5521.0311.4501.121塑性指数    I p供試体作製方法 (呼び名 )3最大乾燥密度 r dmaxg/cm最適含水比 w opt%34.49.110.024.551.330.248.9岩石の密度 D g/cm39.5∼ 37.5mm1.452.462.411.751.131.62-岩石の吸水率 wa %9.5∼ 37.5mm33.54.44.919.32.625.5-スレーキング率      %98.394.457.292.377.396.8-破砕率          %59.459.038.545.445.051.4-(2) 適用粒径の影響図-2 に土粒子の密度と適用粒径の関係を示す。泥岩材料の2.800違いは見られない。参考にロームと砕石の結果を併記しているが,これらの密度も変化がない。一方,No.4 高崎,No.5 秋田では粒径によって値が変化している。No.4 高崎は粒径 2mm では密度2.744(g/cm3)であるが,粒径が大きくなる 9.5mm では 2.676(g/cm3)に減少した。また,No.5 秋田では粒径 2mm の密度 2.677(g/cm3)が 9.5mm で は 2.604(g/cm3) に 減 少 し た 。 こ れ ら の 差 は 約0.07(g/cm3)程度である。土粒子の密度 s(g/cm3)No.1 神戸,No.2 藤枝,No.3 清水,No.6 沖縄は粒径による大きな2.750No.2_藤枝2.700No.5_秋田2.6002.55002.900礫が多いと,土粒子の密度は低くなることが想定される。これは2.850ここでは,sの変化が,これらの指標に与える影響を確認した。土粒子の密度 s(g/cm3)なっている。したがって,岩石の密度が低い比較的大きな粒径の品質管理に用いる va や Sr は土粒子の密度を用いて計算する。表-3 は,No.5 秋田泥岩の結果で,粒径-9.5mm,煮沸時間 3 時間で得られたした。 s が化する。このように68※凡例の黒塗は平均、白抜は個々の値No.1_神戸No.2_藤枝2.800No.3_清水2.750No.4_高崎2.700No.5_秋田No.6_沖縄2.650No.7_ローム2.600参考_砕石2.55003s=2.603(g/cm ),最適含水比,最大乾燥密度を基準と0.1(g/cm3)大きくなった場合,va は4図-1 煮沸時間の違いによる土粒子の密度多く(82.8,81.3%),かつ岩石の密度が低く(1.13,1.75g/cm3)5. 土粒子の密度が品質管理指標に与える影響2煮沸時間(h)ここで秋田と高崎の表-2 の物性をみると,他の材料よりも礫分がきないため,今後の課題としたい。No.4_高崎2.650量や,試験時の礫分の含有量などが影響することが考えられる。試験では,試料ごとの粒度分布は試験しておらず,要因は特定でNo.3_清水※凡例の黒塗は平均、白抜は個々の値土粒子の密度は,石の状態の密度すなわち礫に内包する空気の図-1 の煮沸時間にも影響すると思われる。しかしながら,今回のNo.1_神戸24 4.7589.512ふるい通過目開き(mm)1.5%,Sr は 2.1%変図-2 最大粒径の違いによる土粒子の密度s が大きく変化する場合は管理指標に与える影響も大きいので留意が必要である。表-3 土粒子の密度が品質管理指標に与える影響6. まとめ今回使用した泥岩は,煮沸時間 1 時間程度で密度が一定になるため,煮沸時間の影響は見られなかった。また,適用粒径の違いでは,試料によって密度の値が変化することが確認でき,管理指標に用いられる va や Sr に与える影響も大きいことが分かった。参考文献2009.1) (社)地盤工学会:地盤材料試験の方法と解説,pp.97-102,2) 藤田・古賀:電子レンジを利用した土の物理試験方法に関する 2,3 の研究,土質工学会論文報告集,Vol.28,No.4,pp.197-207,1988.22s3(g/cm ) 誤 差2.7032.6772.6532.6032.5532.503+0.100+0.074+0.0500.000-0.050-0.100v a (%)誤 差sr (%)誤 差9.08.68.27.56.75.9+1.5+1.1+0.70.0-0.8-1.685.586.086.587.688.789.9-2.1-1.6-1.10.0+1.1+2.3
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