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出版

タイトル 粒度(沈降分析)試験の測定方法の検討
著者 藤村 亮・松川尚史・三好功季・橋本 篤・澤 孝平・中山義久
出版 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 19〜20 発行 2019/06/20 文書ID rp201905400010
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  • タイトル
  • 粒度(沈降分析)試験の測定方法の検討
  • 著者
  • 藤村 亮・松川尚史・三好功季・橋本 篤・澤 孝平・中山義久
  • 出版
  • 第54回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 19〜20
  • 発行
  • 2019/06/20
  • 文書ID
  • rp201905400010
  • 内容
  • 0010D - 00第 54 回地盤工学研究発表会(さいたま市) 2019 年 7 月粒度(沈降分析)試験の測定方法の検討粒度試験 沈降分析 比重浮標(協)関西地盤環境研究センター ○藤村 亮 (正会員) 松川 尚史 (正会員)三好 功季 (非会員)澤 孝平 (国際会員) 中山 義久 (国際会員)1. はじめに粒度試験方法 1)(JIS A 1204)の沈降分析では、浮ひょうの読み取り方法は『メスシリンダー静置後、1 分・2 分の読取りでは、メスシリンダーに浮ひょうを入れたままでよいが、その後は、読み取り前に浮ひょうを挿入し、読取り後には浮ひょうを必ず抜き出し、浮ひょうに付着した汚れをぬぐい取る』となっている。しかし、浮ひょうを抜き出すことで土懸濁液が撹拌され、かつ浮ひょうの上下動により読取り値に影響を及ぼすことが懸念される。そこで、本報告では同一試料を用い、2 分以降は浮ひょうを毎回抜き出す方法(「JIS 法」という)と浮ひょうを入れたままの方法(「提案法」という)との 2 パターンで沈降分析を実施し、両者の違いを比較する。また、以前の報告では、1 試料 1 回の測定により同様の検討を行った2)が、粒度試験についても含水比、土粒子の密度などのように 1 試料 3 回の試験結果の平均により試料ごとのバラツキを少なくするという提案がある3)。そこで、本論では一試料 3 回の測定による検討を行い、その平均値で比較した結果について述べる。2. 試料と実験方法本論において使用した試料は物理的性質が異なる5種類の表-1 試料の質量と物理試験結果試料名粘性土である(表-1)。炉乾燥質量で50g ずつを1L の懸濁液にしてメスシリンダーに入れ、撹拌・分散後、沈降分析を実施した。浮ひょうとメスシリンダーの組み合わせは変えずに、JIS 法(2分以降は浮ひょうを毎回抜き出す方法)と提案法(浮ひょうを入れたままの方法)で、1つの試料当たり3本乾燥質量 土粒子の密度(g)ρ s (g/cm3)液性限界w L (%)塑性限界w P (%)塑性指数IP27.4カオリン1502.76559.932.5カオリン2502.65224.217.66.6笠岡502.67257.521.735.8荒木田502.71346.524.022.5藤ノ森502.67239.819.720.1のメスシリンダーにより実施している。1003. 試験とその検討90(破線)とその平均(実線)の粒径加積曲線(粒径0.001mm~1mm の範囲)を示す。笠岡、藤ノ森、カオリン 2は 1 時間から 24 時間読み(0.01mm 以下の粒径)の間で提案法が少し下に位置する。他の 2 試料は粒径加積曲線に少し差異はあるが、JIS 法と提案法で有意な差は存在しない事が確80通過質量百分率 (%)図-1~5 に各試料の JIS 法および提案法の 3 回の試験結果カオリン170JIS法1JIS法2JIS法3提案法1提案法2提案法3JIS法平均提案法平均6050Ip=27.440302010認できる。00.001JIS 規格では、粒度試験結果の報告は粒径加積曲線の他、0.11粒径 (mm)60%粒径 D60 、50%粒径 D50 、30%粒径 D30 、10%粒径 D10 、図-1 カオリン 1 の粒径加積曲線細粒分含有率 Fc 、粘土分含有率 Cc 、均等係数 Uc 、曲率係数Uc'を報告する事になっている。本論ではこの内 D50 、Fc 、0.0110090取り、JIS 法と提案法の各 3 回の平均値をプロットすると、80図-6~8 が得られる。70JIS法160JIS法250JIS法3D50 は、カオリン 1、カオリン 2 では、JIS 法と提案法で差がなく、荒木田、笠岡、藤ノ森では少し差が見られる。Fc は、カオリン 1、カオリン 2 では JIS 法、提案法ともに Fc =100%となり、荒木田、笠岡、藤ノ森では JIS 法、提案法で少し差が見られる。通過質量百分率 (%)Cc に着目し、5 試料の粒径加積曲線からこれらの値を読みカオリン2提案法140提案法23020提案法3Ip=6.6JIS法平均10Cc は、荒木田、藤ノ森が JIS 法と提案法で少し差があり、他の 4 試料はほぼ同じ値である。00.001提案法平均0.010.1粒径 (mm)これらを総合すると D50 、Fc 、Cc の各 3 回の平均値によ図-2 カオリン 2 の粒径加積曲線Consideration of measuring method for sedimentation analysisFujimura Ryo, Matsukawa Hisashi, Miyoshi Kouki, Hashimoto Atsushi, Sawa Kohei, Nakayama Yoshihisa,(Kansai Geotechnology and Environment Research Center)191 る JIS 法と提案法との比較では、有意な差は小さいと考え100られる。しかし、D50 、Fc における荒木田、笠岡、藤ノ90笠岡80案法での差が大きくなる傾向が見られた。70JIS法160JIS法250JIS法340提案法1通過質量百分率 (%)森のように、塑性指数 Ip が 20 を超えるものは JIS 法、提4. まとめ3回平均による試験結果について、JIS 法と提案法の違いを検討したところ、両者の違いは小さいことが確認できる。また、以前の報告2)と比べ、3回平均値の方が両者の提案法2Ip=35.830提案法320JIS法平均10提案法平均差が小さくなっている。00.0010.010.11粒径 (mm)今後サンプルやデータ数を増やし、浮ひょうの出し入れを行わない場合でも沈降分析結果に影響が少ないことを確図-3 笠岡の粒径加積曲線認し、将来的には沈降分析の自動計測化に繋げていきたい。10090通過質量百分率 (%)《参考文献》1)地盤工学会編:地盤調査の方法と解説、二分冊の1、pp.115-136,2013.2)三好功季,中山義久,松川尚史:粒度試験(沈降分析)における浮ひょう測定方法の違いについて,全地連技術フォーラム2017論文集,論文 No.100, 2017.80荒木田70504030Ip=22.5203)澤孝平,服部健太,城野克広,保坂守男:技能試験配付試料JIS法1JIS法2JIS法3提案法1提案法2提案法3JIS法平均提案法平均6010の均質性に関する検討,第53回地盤工学研究発表論文集, 地00.0010.010.1粒径 (mm)盤工学会, No.44, pp.87-88, 2018.1図-4 荒木田の粒径加積曲線1000.0140.012藤ノ森800.010通過質量百分率 (%)藤ノ森IP=20.10.0080.0060.004荒木田IP=22.5笠岡IP=35.8カオリン1IP=27.40.0020.0000.000● JIS法 平均値● 提案法 平均値0.0020.0040.0060.0080.0100.01270JIS法160JIS法250JIS法340提案法130提案法2提案法320Ip=20.1JIS法平均100.014提案法 D50 平均値 (mm)提案法平均00.0010.010.11粒径 (mm)図-6 D50 の比較図-5 藤ノ森の粒径加積曲線笠岡IP=35.8藤ノ森IP=20.1120.00カオリン1IP=27.4100.00JIS法 Cc 平均値(%)JIS法 D50 平均値(mm)90カオリン2IP=6.6カオリン2IP=6.6荒木田IP=22.5カオリン1IP=27.480.00荒木田IP=22.560.00藤ノ森IP=20.140.00カオリン2IP=6.620.00● JIS法 平均値● 提案法 平均値笠岡IP=35.8● JIS法 平均値● 提案法 平均値0.000.0020.0040.0060.0080.00提案法 Cc 平均値(%)図-8 Cc の比較図-7 Fc の比較20100.00120.00
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