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新規制定地盤工学会基準・同解説岩盤の原位置三軸圧縮試験方法(JGS 3541-2020)【ダウンロード版】2021 年 3 月公益社団法人地盤工学会序文地盤工学会(旧土質工学会)は,「土質試験法解説(第 1 集)」を 1956 年に,「同(第 2集)」を 1959 年に発刊して以来,試験・調査法とその解説に関する単行本を,およそ 10年ごとに改訂出版してきた。現今,これらは「地盤材料試験の方法と解説【第一回改訂版】」(2020 年刊)及び「地盤調査の方法と解説【2013 年改訂版】」(2013 年刊)として刊行され,広く利用に供されている。しかしながら,近年は,技術の進歩が早く,また基準の標準化への要望も高まり,室内試験・地盤調査法に関する地盤工学会基準(JGS)においても,上記の単行本の改訂期にかかわりなく新規制定や改正が恒常的に行われるようになっている。学会基準の制定・改正は,学会誌「地盤工学会誌」に公示し,基準素案は学会ホームページに掲載している。このように,内容と経緯は案の段階で公示されているものの,会員の意見等に対する検討の結果,場合によってはその後に修正や変更が加えられることがあり,所定の審議を経て正式に施行された最終的「成案」の速やかな周知を図る機会が従来はほとんどなかった。また,利用者への適切な普及には基準の「解説」が重要な役割を果たすことから,解説についても早期上梓への期待が大きかった。こうした事情から,上記の単行本の補遺版として,順次成案となった最新の学会基準・解説を編集し,小冊子シリーズとして発刊してきている。しかしながら,昨今の書籍の電子化の情勢を鑑みて,2018 年より,紙媒体の小冊子は廃止し,ダウンロード販売として取り扱うことを決定した。当冊子の主旨から,ここに収録した基準と解説は,上記の単行本の次回改訂に際しては本編に収録される予定である。最後に,当冊子を編集・刊行するに当たり,担当各委員会・ワーキングおよび学会事務局の関係各位のご尽力に深甚なる謝意を表するとともに,当冊子がさらなる進歩・発展に寄与することを願ってやまない。基準部長 豊田浩史岩盤の原位置三軸圧縮試験方法(JGS 3541-2020)岩盤の三軸圧縮試験及び一軸引張り試験方法基準化 WG目次123まえがき ·················································································································· 1地盤工学会基準「岩盤の原位置三軸圧縮試験方法」(JGS 3541-2020) ································· 2基準の解説 ············································································································· 113.1 総則 ···················································································································· 113.2 試験装置 ·············································································································· 113.3 供試体の作製 ········································································································ 153.4 試験装置の組立て ·································································································· 163.5 試験方法 ·············································································································· 173.6 試験結果の整理と報告事項 ······················································································ 183.7 試験結果の評価と利用 ···························································································· 203.8 基準以外の試験方法 ······························································································· 21引用・参考文献 ············································································································· 23- i -岩盤の三軸圧縮試験及び一軸引張り試験方法基準化 WG 名簿No.1234567会務リーダーWG 幹事メンバーメンバーメンバーメンバーメンバー氏名谷 和夫岡田 哲実白鷺 卓木村 英雄小川 浩司西山 竜朗清木 隆文- ii -所属東京海洋大学 学術研究院一般財団法人 電力中央研究所鹿島建設株式会社 技術研究所株式会社ダイヤコンサルタント応用地質株式会社岐阜大学宇都宮大学方向(圧縮または引張り)の観点から,概ね以下の 3 種類に第 1 章 まえがき1.1 要素型の原位置岩盤試験岩盤基礎や岩盤斜面の設計では,岩盤の力学特性を弾完全塑性体と仮定して,線形弾性解析により変形性を,極限つり合い解析により安定性を評価することが多い。これらの設計計算に用いる岩盤の変形特性(ヤング率やせん断剛性率など)は平板載荷試験(JGS 1521)やプレッシャーメータ試験(JGS 1531,3531)により,また強度特性(粘着力やせん断抵抗角など)は岩盤せん断試験(JGS 3511)により調べられてきた。しかし,これら既往の原位置岩盤試験は,原理的に分類される。・原位置一軸・三軸圧縮試験・原位置一軸引張り試験・孔底一軸・三軸圧縮試験原位置三軸圧縮試験については,『地盤調査の方法と解説』の「第 4 章 岩盤のせん断試験」の基準の解説(基準以外の方法)に記載されている(地盤工学会,2013)。1.2 基準化の経緯原位置一軸・三軸圧縮試験と孔底一軸・三軸圧縮試験は,せん断強さや圧縮場における変形特性を調べる既存の原位置構造体の載荷試験であり,要素型の試験ではない。要素型の試験とは,応力と変形が一様な状態に保たれるように供試体に載荷して,その応力~ひずみ関係を調べる試験のことである。そのため,変形特性については境界値問題として線形弾性体と仮定する必要があることと載荷面の乱れの影響を受けることなどが,強度特性については進行性破壊の影響を受けることと引張り破壊の混在などが,技術的な問題として指摘されてきた。さらに,岩盤の力学特性に関する知見の蓄積や性能設計の考え方の普及に伴い,有限要素法(FEM)などの数値解析手法に用いる岩盤の非線形な応力~ひずみ関係を調べる方法に対するニーズが高まってきた。また,変形特性と強度特性を異なる試験で調べるよりは,同じ試験方法によ岩盤試験(岩盤せん断試験や平板載荷試験,プレッシャーメータ試験など)の代替法として技術的な優位性が極めて高い。また,原位置一軸引張り試験は,従来は不可能であった岩盤の引張り強さを求めることを可能にした。よって,これら 3種類の試験方法は,既存の方法より格段に優れており,かつ普及すべき試験方法として基準化が望まれていた。このような状況に鑑み,2017 年 5 月に「岩盤の原位置一軸・三軸試験方法基準化検討 WG」が基準部に設置され,基準化の必要性と可能性が検討された。検討の結果,基準部のルール「規格・基準に関する細則」に示された基準化の検討に当たって考慮すべき 4 項目の条件のうち,「近い将来,普及すべきもの」と「現行の方法に対って調べることが好適である。上記の要望に応えられる要素型の原位置岩盤試験が 1990年代後半から我が国で精力的に研究され,室内試験と同様に多様な載荷方法に対応した新しい試験方法が開発された(岡田ほか,2006ab)。これらの試験方法の特長は,現地からボーリングなどにより採取した円柱の供試体(岩石コア)を用いて室内で行う各種の一軸・三軸試験と同じ原理によって,岩盤(ロックマス)の特徴である不連続性・不均質性・非一様性を有する供試体(岩体)について明確な初期条件・境界条件の下における平均的な応力~ひずみ関係を計測して,岩盤の変形特性と強度特性を合理的に評価できることである。これらの要素型の原位置岩盤試験は,大規模であるためにして,代替法になり得る方法,または著しく有用なもの」の2 項目の条件に該当することから,原位置三軸圧縮試験と原位置一軸引張り試験の 2 種類の試験方法について基準化が必要かつ可能であると判断された(地盤工学会,2017)。一方,孔底一軸・三軸試験についても,同じ 2 項目の条件に該当すると考えられたが,不均質あるいは不連続な岩盤への適用性が確認されていないことから,現段階では基準化は困難であると判断された。その後,2018 年 4 月に「岩盤の原位置三軸圧縮試験及び原位置一軸引張り試験方法基準化 WG」が基準部に設置され,2019 年 11 月に「岩盤の原位置三軸圧縮試験方法(JGS 3541)」が「岩盤の原位置一軸引張り試験方法(JGS 3551)」と共に実施数は少ないものの,2010年頃までに複数の現場で実績を積んで技術的に完成の域に達した。拘束圧の有無(一軸または三軸),実施の深さ(露頭や表層または孔底),軸荷重の基準化された。1地盤工学会基準JGS3541:2020岩盤の原位置三軸圧縮試験方法Method for in-situ triaxial compression test on rocks1適用範囲この基準は,供試体に成形した岩盤が拘束圧を受けた状態で軸方向に圧縮されるときの強度・変形特性を求める原位置試験方法について規定する。主として軟岩から硬岩までを対象とする。注記 1 均質・連続な岩盤だけでなく,不均質・不連続な岩盤にも適用できる。また,破砕帯などにも適用できる。注記 2 三軸圧縮試験だけでなく,一軸圧縮試験にも適用できる。注記 3 単調載荷試験だけでなく,繰返し載荷試験にも適用できる。2引用規格及び基準次に掲げる規格及び基準は,この基準に引用されることによって,この基準の一部を構成する。これらの引用規格及び基準は,その最新版(追補を含む。)を適用する。JIS A 0207地盤工学用語JIS B 7507ノギスJIS B 7510精密水準器JIS B 7512鋼製巻尺JIS B 7516金属製直尺JGS 2134岩石の含水比試験方法JGS 2511岩石の供試体の作製方法JGS 2533軟岩の圧密非排水(CU-)三軸圧縮試験方法JGS 2561岩石の多段階繰返し非排水三軸圧縮試験方法JGS 2562岩石の疲労特性を求めるための繰返し非排水三軸圧縮試験方法JGS 2563軟岩の変形特性を求めるための繰返し三軸試験方法3用語及び定義この基準で用いる主な用語及び定義は,JIS A 0207 によるほか,次による。3.1供試体露頭や坑道底面を柱状に切り出した岩体。3.2軸方向応力,σa供試体の長軸方向に作用する応力。3.32側方向応力,σr供試体の長軸方向に直交する方向に作用する応力。3.4主応力差,σa−σr軸方向応力と側方向応力の差。3.5等方応力状態軸方向応力と側方向応力の等しい応力状態。3.6セル圧,σr供試体に拘束圧を加えるために三軸セル室内に供給する圧力。なお,セル圧は側方向応力に等しい。3.7拘束圧条件下における圧縮強さ,(σa−σr)max供試体に加え得る最大の主応力差。3.8変形係数,E軸方向応力-軸ひずみ曲線の割線勾配と接線勾配。圧縮強さの 50 %における割線勾配で求めた変形係数をEs,50, 接線勾配で求めた変形係数をEt,50 と表記する。4試験装置4.1供試体の作製装置供試体の作製装置は,供試体を切り出すための装置であり,コアリング装置,研磨機などで構成される。注記4.2供試体が角柱の場合は切断機などを用いることもある。三軸圧縮試験機三軸圧縮試験機は,圧縮装置,三軸セル,載荷板,ピストン,セル圧供給装置,荷重計,変位計,圧力計などから構成され,次に示す条件を満たすものとする。注記三軸圧縮試験機の構成を図 1 に示す。この構成は,供試体が円柱であり,三軸セルがメンブレンと一体となっており,メンブレンの設置が容易で耐圧性が高く,供試体が角柱の場合に比べて供試体の作製が容易で,供試体内の応力の一様性にも優れている。現場状況等により三軸圧縮試験機を選定するものとする。その他の構成を附属書 A に示す。a)図 1 の三軸セルは,摺動部を有し,載荷板の移動と共にメンブレンの上端が下方に移動しなければならない。メンブレンは,供試体の変形を妨げず,その厚さは 2.5~10 mm のものが望ましい。b)最大セル圧及び供試体の最大軸圧縮力に対し,十分な耐荷容量と負荷能力を有する。c)軸方向変位又は軸方向応力を連続して一定速度で与えることができる。d)所定のセル圧を,200 kN/m2 未満では±4 kN/m2,200 kN/m2 以上では±2 %の圧力変動の範囲内で,1 供試体の試験が終了するまで連続して加えることができる。e)軸圧縮力を供試体の最大軸圧縮力まで,その±1 %の許容差で測定することができる。図 1 の例では,軸圧縮力の計測を外部荷重計と内部荷重計で行うことができる。外部荷重計では三軸セルの3摺動部の摩擦力を測定して,軸圧縮力の測定値を補正する。f)セル圧を 200 kN/m2 未満では±2 kN/m2,200 kN/m2 以上では±1 %の許容差で測定することができる。g)軸変位量を供試体高さの±0.1 %の許容差で測定することができる。供試体の側面の中央高さに局所変位計を設置して,局所的な軸変位量を求める。図 1 の例では,軸変位の計測を外部変位計でも行っている。注記供試体の側面に局所変位計を設置せず,載荷板等に設置した外部変位計のみで計測する場合には供試体の上端のベディングエラー及び供試体の下端と連続する地山の変形の影響を含んでいることに留意する。局所変位計を設置する範囲は供試体の上端及び下端の影響を受けない範囲とする。局所変位計の測定長は,供試体高さの 50~70%程度とすることが望ましい。h)周方向又は側方向の変位を測定する場合には,軸変位と同等の精度で測定することができる。載荷枠又は坑道の天盤圧縮装置ピストン載荷板セル圧供給装置外部変位計外部荷重計三軸セル圧力計摺動部メンブレン内部荷重計直円柱供試体局所変位計(三軸セル内)図 1-試験装置の例4.3a)その他の器具供試体の寸法測定器具供試体の直径の測定はノギスによる。ノギスは JIS B 7507 による。供試体の高さの測定は鋼製巻尺又は金属製直尺による。鋼製巻尺は JIS B 7512 による。金属製直尺は JIS B 7516 による。供試体の上端面の傾きの測定は精密水準器による。精密水準器は JIS B 7510 による。注記ノギスによる直径の測定が困難な場合には,鋼製巻尺により,円周の長さを計測し,直径4を算出してもよい。鋼製巻尺は JIS B 7512 による。b)供試体の回収装置試験後の供試体を回収する場合,供試体の下端を切断し,引き上げて回収することができる。5供試体の作製5.1試験箇所の選定対象とする岩盤を代表する試験箇所を粗く整形した地表面や露頭及び周辺で得られたボーリングコアの地質観察などにより選定する。注記強度特性を調べる場合には,等方応力を変えて 3 個以上の供試体に対して試験を行うことが望ましい。試験箇所の岩盤の性状が同一であることを地質観察などにより確認する。5.2供試体の形状および寸法a)供試体の形状は直円柱とする。注記 直四角柱,直円筒の供試体にも準用できる。b)供試体の直径は,300~600 mm とする。注記 1直径 100~1 000 mm の直円柱の供試体にも準用できる。注記 2粗粒結晶を持つ岩石や礫岩を対象とする場合には,供試体の直径は,構成粒子の最大寸法の 5 倍以上が望ましい。c)供試体の高さは,直径の 2.2 倍とし,直径の 2~3 倍であれば許される。d)供試体には曲げが作用しないように軸方向を鉛直方向とする。5.3供試体の掘削a)供試体の上端面を研磨機で平坦に成形する。モルタル等でフェーシングしてもよい。b)コアリング装置を掘削軸が鉛直となるように所定の位置に設置する。供試体を所定の直径になるように掘削する。5.4a)供試体の測定上端面の傾きを精密水準器で測定する。供試体の中心軸が鉛直であることを仮定して,上端面の傾きが JGS 2511 を満足することを確認する。b)供試体の直径を,供試体の上端付近において,直交する 2 方向でノギスにより測定し,これらの平均値を供試体の初期の直径 D0(mm)として記録する。注記c)鋼製巻尺又は金属製直尺を用いてもよい。供試体の高さを,3 箇所以上において鋼製巻尺又は金属製直尺で測定し,これらの平均値を供試体の初期の高さ H0(mm)として記録する。d)必要に応じて,供試体を作製する際の岩片の中から代表的な試料を分取し,供試体の初期の含水比w0(%)を JGS 2134 により求め,記録する。e)供試体の初期状態を地質観察し,スケッチ,写真などで記録する。6試験装置の組立て6.1三軸セル及びセル圧供給装置の設置三軸セル内の局所変位計の初期位置を確認した後,供試体に三軸セルを設置し,三軸セルに圧力計及びセル圧供給装置を接続し,セル圧媒体を入れる。56.2圧縮装置などの設置供試体の上端面に載荷板,外部変位計,ピストン,荷重計及び圧縮装置を設置する。注記供試体の上端面に設置するものの重量が供試体に作用しないように工夫するか,又は等方応力状態を保つように,重量と同等のセル圧を加える。7試験方法本試験方法は 1 つの等方応力に対する単調載荷試験に適用される。注記1 つの供試体に段階的に大きさを変えた等方応力を加圧して,軸圧縮を破壊の近傍まで行って複数の等方応力に対する圧縮強さを求める多段階載荷試験にも適用できる。7.1等方応力の加圧a)各測定装置の設置状況を確認し,必要に応じて初期値を読み取る。b)所定の等方応力状態になるように,軸方向応力及び側方向応力を供試体に加圧する。注記 1段階的に繰返し加圧してもよい。段階数については,3~5 回程度で実施する場合が多い。注記 2圧縮量が大きいと想定される場合には,軸方向の変位量 ∆H (mm)を計測し,その値が収束することを確認する。7.2a)軸圧縮荷重計及び軸方向の変位計の原点を確認する。注記 必要に応じて,周方向又は側方向の変位計の原点の確認を行う。b)セル圧を一定に保ちながら,軸ひずみ速度を一定にして連続的に載荷する。軸ひずみ速度は,毎分0.01~0.1%とする。ただし,軸ひずみ速度を一定に保つことが困難な場合には,この軸ひずみ速度に相当する程度の軸応力速度で供試体に載荷してもよい。注記繰返し載荷にも適用できる。載荷方法については,JGS bbbb,JGS 2561 及び JGS 2562 を参考にしてもよい。c)d)圧縮中は軸圧縮力 P(kN)及び軸方向の変位量 ∆H (mm)を計測し,記録する。注記 1計測の間隔は,主応力差-軸ひずみ曲線を滑らかに描くことのできるように設定する。注記 2必要に応じて,周方向又は側方向の変位量∆l(mm)を計測する。軸ひずみ速度を一定で制御する場合には,荷重計の読みが最大となってから引き続き圧縮し,主応力差の変化が認められない状態に達したら圧縮を終了する。荷重計の読みが増加し続ける場合には,軸ひずみが 5 %に達したら圧縮を終了する。軸応力速度を一定で制御する場合には,軸変位が急激に増大した時点で圧縮を終了する。7.3a)供試体の回収載荷装置,荷重計,ピストン,載荷板,三軸セルなどを取り外す。その後,必要に応じて試験後の供試体を回収する。b)供試体の変形・破壊状況などを観察し,記録する。注記 圧縮試験終了後の供試体の変形・破壊状況は,それらの状況が最も顕著に見える方向から観察を行い,記録する。また,破断面が見られる場合は,勾配が最も急に見える方向から観察を行い,おおよその角度が読み取れる程度に記録する。供試体の不均質な性状,不連続面の性状,異物の混入状況などを観察し,記録する。6c)必要に応じて,試験後の供試体の岩片の中から代表的な試料を分取し,供試体の含水比 w を JGS2134 により求め,記録する。8試験結果の整理a) 供試体の軸ひずみεa(%)を次式で算出する。軸ひずみεa を直接測定した場合には,その値を%に換算する。εa =∆H× 10 2H0∆H : 供試体の軸変位量(mm)ここに,注記等方応力の加圧による供試体の圧縮が大きい時には,JGS 2533 を参考に,その圧縮量を考慮して H0 を補正する。b) 軸ひずみεa(%)のときの主応力差(σa - σr)(MN/m2)を次式で算出する。σa −σr =ε P 1 − a × 10 3A0 100 ここに,P: 供試体に作用する軸圧縮力(kN)。ただし,等方応力状態のときは P=0。σa: 供試体に作用する軸方向応力(MN/m2)σr: 供試体に作用する側方向応力(MN/m2)A0: 供試体の初期の断面積(mm2)注記等方応力の加圧による供試体の圧縮が大きい時には,JGS 2533 を参考に,その圧縮量を考慮して A0 を補正する。c) 周方向又は側方向の変位を測定した場合は,供試体の側方向ひずみεr(%)及びポアソン比νを次式で算出する。また,側方向ひずみεr を直接測定した場合は,ポアソン比νを同式で算出する。𝜀𝜀r =∆𝑙𝑙∆𝑑𝑑× 102 =× 102𝜋𝜋𝐷𝐷0𝐷𝐷0ν=−∆𝜀𝜀r∆𝜀𝜀aここに,∆l: 供試体の周方向の変位量(mm)∆d: 供試体の側方向の変位量(mm)(MN/m2)を縦軸に,軸ひずみεa(%)を横軸にとって主応力差-軸ひずみ曲線d) 主応力差(σa − σr)を図示する。e) 主応力差の最大値を求め,圧縮強さ(σa - σr)max(MN/m2)とし,四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。また,そのときのひずみを破壊ひずみεf(%)とし,四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。注記供試体の主応力差が最大値を示したのち軸ひずみの増加に対して一定となった値を残留強さとする。f) 変形係数 E(MN/m2)を次式で算出し,圧縮強さの 50%における軸方向応力-軸ひずみ曲線の割線勾配 Es,50(MN/m2)を求め,四捨五入によって有効数字 3 桁に丸める。7E=∆σ a×10 2∆ε aここに,∆εa: 軸ひずみの増分(%)∆σa: 軸ひずみの増分に対応する軸方向応力の増分(MN/m2)注記9必要に応じて,接線勾配 Et,50(MN/m2)を求める。報告事項9.1試験箇所の位置図試験箇所とその周辺がわかる図面を記す。9.2試験箇所の岩盤状況a) 地点名及び供試体上端面の地表面からの深さ注記必要に応じて,試験箇所の地下水位,湧水の状況などを記す。b) 岩種,岩質,節理や亀裂などの不連続面の状況注記例えば,砂岩,花崗岩,凝灰岩などを記す。c) 岩盤分類が行われている場合には,試験箇所の岩盤分類及び適用した岩盤分類基準d) 試験前の試験箇所の岩盤状況のスケッチ及び写真9.3供試体に関する事項a) 供試体の形状及び作製方法b) 供試体の初期の高さ及び初期の直径注記含水比を測定した場合には,供試体の初期状態の含水比又は試験後の含水比を報告する。c) 供試体の観察結果注記供試体の軸に対する層理,葉理,亀裂などの傾斜角,岩質などの地質性状について報告する。9.4試験方法に関する事項a)載荷方法(載荷装置,載荷パターンなど)b)測定方法(測定装置,変位計配置など)9.5試験結果に関する事項a) セル圧b) 軸圧縮過程のひずみ速度又は応力速度c) 圧縮強さ(σa − σr )max(MN/m2),及び破壊ひずみ εf(%)注記残留強さが得られた場合には,残留強さ(σa − σr)R(MN/m2),及び残留強さを求めた軸ひずみεR(%)の範囲を報告する。d) 変形係数,必要に応じて接線勾配で算出した変形係数を Et,50割線勾配で算出した変形係数を Es,50(MN/m2)(MN/m2)を報告する。e) 主応力差-軸ひずみ曲線注記周方向変位又は側方向ひずみを測定した場合には,必要に応じて,主応力差-側方向ひずみ曲線,主応力差-ポアソン比曲線を報告する。8f) 供試体の破壊状況載荷終了後の供試体の側面と破断面の写真及びスケッチを報告する。g) 圧縮強さ-等方応力関係注記 1必要に応じて,圧縮強さを表すモールの応力円に対する包絡線及び包絡線から求めたせん断抵抗角φ及び縦軸切片 c を報告する。ただし,包絡線が非線形の場合には,φ及び c を求めた応力範囲を表示する。注記 2必要に応じて,残留強さを表すモールの応力円に対する包絡線及び包絡線から求めたせん断抵抗角φR 及び縦軸切片 cR を報告する。9.6その他特記すべき事項本基準と部分的に異なる方法を用いた場合には,その内容を報告する。附属書 A(参考)三軸圧縮試験機の図 1 以外の構成例を以下に示す。図 A1 の例は,直円筒の供試体を用い,三軸セル(外セル)の外周面にもメンブレンを設ける装置である。セル圧に対する反力を周辺の岩盤に取ることができるため,三軸セルの耐圧性能の面から有利である。また,中空部分にも三軸セル(内セル)が設置されている。なお,三軸セル(外セル)と三軸セル(内セル)の圧力は等しい。図 A2 の例は,直円柱の供試体と周辺岩盤表面の両方にメンブレンを被せ,それらの上面に蓋状の三軸セルを設置する装置である。圧縮装置軸圧縮装置荷重計セル圧供給装置ピストン外部変位計載荷板外部変位計セル圧供給装置ピストン三軸セル外部荷重計圧力計摺動部メンブレン直円筒供試体三軸セル(外セル)直円柱供試体局所変位計(三軸セル内)局所変位計三軸セル(内セル)メンブレン図 A1-試験装置の例(その 1)図 A2-試験装置の例(その 2)9図 A3 の例は,直円柱の供試体にメンブレンを被せてから三軸セルを組み立てていく装置である。三軸セルの上盤と載荷板の間の摩擦に留意する必要がある。図 A4 の例は,直四角柱の供試体にフラットジャッキを設置し,周辺岩盤で反力をとる装置である。岩盤を直四角柱に整形することは困難であるが,ディスクカッターを用いるか,又は柱列ボーリングにより削孔して,平面に研磨するか,もしくは平面になるようにフェーシングするなどの方法が考えられる。フラットジャッキと供試体の摩擦に留意する必要がある。軸圧縮装置軸圧縮装置外部変位計荷重計外部変位計荷重計ピストンピストンセル圧供給装置三軸セル直四角柱供試体直円柱供試体コンクリート(反力)メンブレンフラットジャッキ図 A3-試験装置の例(その 3)図 A4-試験装置の例(その 4)10度試験に関する規格・基準の名称として,対象とする地盤第 3 章 基準の解説「岩盤の原位置三軸圧縮試験方法(JGS 3541)」の基準は,技術的に完成の域に達した要素型の原位置岩盤試験の中で代表的かつ最も実務上の要請が高い三軸圧縮試験を対象としている。要素型の原位置岩盤試験とは,岩盤中に円柱ないし角柱の形状に切り出して作製した供試体を,その内部の応力と変形が一様な状態(すなわち応力やひずみが寸法や形状に依存しない「要素」の状態)に保たれるように制御しながら載荷して,岩盤の応力~ひずみ関係を調べる試材料の種類を頭に冠する慣習に従ったからである。適用範囲には,この試験で対象とする地盤材料の種類と性状,載荷の条件について記載した。対象とする地盤材料の種類は岩盤で,主として軟岩から硬岩までとした。岩盤の硬さや強さ,あるいは応力レベル(側方向応力)によって,載荷装置や計測機器の性能が適切なものを選択する必要があるが,試験方法の原理は共通である。岩盤の性状については,供試体の作製が容易な均質・連続な岩盤だけでなく,礫・化石や風化・変質した部分などを含む不均質な岩盤や,節理,片理,葉理や層理などを含んだ不連続性岩盤でも,品質が高い(乱れの影響が少なく,形状と寸法が適切な)供試体が作製できるならば試験を実施することができる。やや特殊なケースに験である。その特長は,現地からボーリングなどにより採取した円柱の供試体(岩石コア)を用いて室内で行う各種の一軸・三軸試験と原理はほぼ同じで,岩盤(ロックマス)の特徴である不連続性・不均質性・非一様性を有する供試体(岩体)について明確な初期条件・境界条件の下における平均的な応力~ひずみ関係を計測して,設計計算に用いる岩盤の変形特性と強度特性を合理的に評価できることである。なお,室内試験との相違は,供試体の寸法が大きいことと,下端が地山に連続しているために排水の制御ができないことのみである。この要素型の原位置岩盤試験の研究・開発は,主に我が国で行われた。古くは 1960 年代の初頭に,ダム建設の調査なるが,大規模な不連続構造は岩盤構造物の安定性評価にとって重要であることから,供試体と同程度の厚さを有するような大きな断層破砕帯(断層ガウジや断層角礫を含む領域)にも適用できるとした。載荷の条件については,圧縮試験は側方向応力を載荷した(供試体が拘束圧を受けた)三軸応力状態での軸方向の圧縮とした。なお,側方向応力を載荷しない(供試体が拘束圧を受けない)条件で行った場合は,一軸圧縮試験となる。また,載荷のパターンについては,1つの拘束圧に対する単調載荷を標準とするが,複数の拘束圧に対する載荷(多段階載荷)や,繰返し載荷も行えることとした。1つの供試体で強度特性を調べるニーズや,岩盤構造物の耐震として矩形の供試体を用いて行われた記録がある(野瀬,1962)。1990 年代に入って研究・開発が再開され(石橋,1995:福島,1995),1990 年代の後半からは(一財)電力中央研究所が中空円筒ないし円柱の供試体を用いた各種の試験方法の研究・開発に継続的に取り組んだ(谷,1997:Tani,1999:岡田ほか,2003 & 2006ab & 2007)。そして,原位置岩盤三軸試験はさまざまな性状の岩盤に適用できる試験方法として 2010 年頃に技術的に完成の域に達し(岡田,2010),原子力施設の安全性評価のための調査に利用する試験方法として基準類に記載された(日本電気協会,2016)。室内で行う要素型の代表的な変形・強度試験である一軸・三軸試験についても,対象とする地盤材料の種類(土,安定性評価において繰返し載荷を受けた岩盤の剛性(せん断剛性率など)や減衰特性(履歴減衰率など)あるいはせん断強さを調べるニーズがあるからである。繰返し載荷試験の方法は,「軟岩の変形特性を求めるための繰返し三軸試験方法(JGS 2563)」,「岩石の多段階繰返し非排水三軸圧縮試験方法(JGS 2561)」,「岩石の疲労特性を求めるための繰返し非排水三軸圧縮試験方法(JGS 2562)」に準拠するとした。用語及び定義については,基本的に室内で行う各種の一軸・三軸試験と同じである。なお,「供試体」は「試験体」と呼称される場合もあるが,室内試験と名称を区別する必要もないことから「供試体」とした。この「供試体」は,露頭粗粒土,岩石,軟岩)と含水状態(飽和/不飽和),載荷の条件(一軸/三軸,圧縮/引張り/繰返し,圧密/非圧密,排水/非排水)によって多種多様な方法があり,多くの規格・基準が制定されている(地盤工学会,2009)。同様に,現場で行う要素型の原位置岩盤試験についても,対象とする岩盤の種類と性状,試験の目的・種類,装置や計測機器の技術開発などによって,試験箇所及び個数,供試体の形状・寸法や作製する深さや方法,試験装置の構成や構造,測定方法などがさまざまである。したがって,基準の本文では最も普及している標準的な試験方法を中心に記述し,その他の試験方法についても附属書に列挙した。これら多様な試験方法の規定については,標準となる事項や範(地表面)ないし坑道の底面において作製することから,その深さは 1~2 m の浅い範囲に設けられる。3.2.1 供試体の作製装置図-3.2.1 は,通常のボーリングマシンを用いて直円筒の供試体を作製できる装置である(岡田ほか,2006a)。掘削径の異なるコアバレルを取り付けて中央の小孔や外周溝を掘削できる。掘削軸が供試体の中心軸と一致するように掘削装置を岩盤に直接アンカーにて固定し,回転によるぶれを抑えるために掘削機の支柱も鋼材で固定している。さらに,掘削時囲は示すものの,技術の向上を妨げないように過度に限定することがないようにした。基準の名称,すなわち試験方法の名称については,「原位置岩盤三軸圧縮試験」が関連する特許や論文で使われてきたが,「岩盤の原位置三軸圧縮試験」とした。変形・強のコアバレルの振動を抑えるためのぶれ止め機構(セントラライザー)も併用している。この掘削装置を用いた場合,三軸セル(外セル)を挿入する外周溝の掘削にやや手間が掛かる。最初に中央の小孔を掘削した後に,外周溝の外径と内径に合う呼び径のコアバレルを用いて2回掘削する(図-3.2.2参3.1 総則3.2 試験装置11照)。その後に,中間に残された薄肉円筒部の下端を分離して取り除き,さらに溝の底面を整形する必要がある。図-3.2.3 は小型の掘削用モーターを外周溝に沿って 6 基配置した掘削装置である(岡田ほか,2005 & 2007 & 2008 &2017)。中央の小孔を省略して,ケーシングを 180°毎ないし 360°毎に繰返し反転させながら外周溝を掘削することで直円柱の試験体を効率的に作製することができる。図-3.2.1 供試体の掘削装置(岡田ほか,2006a)図-3.2.3 供試体の作製装置の例(岡田ほか,2008)反力体支圧板球座支柱動的ロガーパソコン計測システム図-3.2.2 図-3.2.1 の掘削装置を用いてコアリングした後の供試体の上面の例(岡田ほか,2006a)油圧ジャッキロードセル手動ポンプガイド3.2.2 三軸圧縮試験機基準の図 1 に類する三軸圧縮試験機の構成例を図-3.2.4 に示す(伊藤ほか,2020)。三軸セル(外セル)は,図-3.2.5に示すように,外側(地山側)がステンレス製の円筒で,その内側(供試体側)にメンブレン(ゴムスリーブ)を装着する。メンブレン上端は,セル円筒の上端に対して軸方向に変位できる摺動リングに固定し,軸圧縮力の載荷に伴って供試体の上端面が下方に変位することに追従できる構造となっている。この試験機では,図-3.2.6 に示すようにリニアブッシュとリニアシャフトを利用して,ジャッキの変摺動リング摺動レーン外部変位計載荷板圧力計レギュレーターコンプレッサー載荷システム外セル供試体直径方向局所変位計ひずみゲージ軸、周方向軸方向局所変位計図-3.2.4 三軸圧縮試験機の概要(伊藤ほか,2020)位に連動して摺動リングが変位する構造をしている。軸変12位の載荷ストロークを長くして,残留状態まで計測できるようにするための工夫である。原位置三軸圧縮試験では,室内で行う三軸試験と異なり,供試体の下部が地山と連続している。そのため,供試体の正確なひずみを計測するためには,上端面近傍のベッディングエラーの影響だけでなく,下端近傍の拘束域の影響も受けないように,供試体の側面でひずみを計測する必要がある。図-3.2.4 に示す試験機を用いた試験では,供試体の側面中央高さに貼付したひずみゲージの他に,三軸セルの内部に装着した軸方向と側方向の局所変位計を用いる。その仕組みを図-3.2.7 に示す(岡田ほか,2017)。軸方向の変位は,差動トランス型の変位計を用いて供試体の側面 2 か所の高さの相対変位を計測している。基準では,軸方向変位の測定長は供試体の高さの 50~70%程度とすることが望ましいとしている。室内で行う三軸圧縮試験の基準類で規定されている範囲(50~80%程度)よりも測定長をやや短くした理由は,供試体の下部が地山と連続していることを考慮したからである。軸圧縮力の計測は,載荷板の下部に設ける内部荷重計と,載荷板とピストンの間に設ける外部荷重計で行うことができる。内部荷重計は供試体に作用する軸荷重の増分のみを計測しているが,外部荷重計は三軸セル(外セル)の摺動部が載荷板を押上げる荷重の増分も含めて計測する。この押上げ荷重はセル圧の変化と摺動による摩擦力に起因し,キャリブレーション試験に行って補正関係を求める必要が図-3.2.5 三軸セルの構造(岡田ほか,2017)ある。基準の附属書 Aの図 A1 に類する試験機の構成を図-3.2.8 に,仕様を表-3.2.1 に示す(岡田ほか,2003)。軸圧縮力の載荷には油圧ジャッキ(最大荷重 8000 kN(軸応力約 66 MPa),ストローク 50 mm)が用いられている。セル円筒を剛な構造にしなくても高い拘束圧の試験ができるように,三軸セル図-3.2.6 載荷板付近の構造(岡田ほか,2017)図-3.2.7図-3.2.8 図 A1 に類する試験機の概略(岡田ほか,2003)ひずみの計測方法(岡田ほか,2017)13表-3.2.1 試験装置の仕様(岡田ら,2003)(外セル)の外側(地山側)にもメンブレン(ゴム膜)を装着して,セル圧に対する反力を周辺の地山に負担させている。また,供試体の形状は厚肉の中空円筒であり,外周溝だけでなく中央の小孔にも軸方向の変位と側方向ないし周方向の変位を計測する機器を装着することできる。変位の計測には,安価な磁力センサーによってメンブレン上に装着した微小な磁石(マーカー)の位置を検出する方式を利用した円孔変位計測システム(ICD:Instrumentation forCavity Deformation)が採用されており,供試体の側面の複数図-3.2.9 図 A2 に類する試験機の概要(石橋,1995)の高さにおいて計測が可能である。この ICDは中空円筒の供試体を用いた場合に中央の小孔での計測に有効であるが,磁力センサーを駆動するために機械的な構造が複雑で周方向のひずみの計測精度が 10--4 オーダーと低く,計測間隔も長くなる欠点がある。外周溝での変位計測に市販の差動トランス型や渦電流型などの変位計を用いることで,ひずみの計測精度が 10-5 オーダーにまで向上し,計測間隔も 6 s にまで短縮した(岡田ほか,2006a)。さらに,直円柱の供試体を用いて中央の小孔での計測を省略すれば,計測間隔は 10-2s 以下になり繰返し載荷試験も容易に行うことができる。基準の附属書 A の図 A2 に類する試験機の構成を図-3.2.9 に示す(石橋,1995)。岩盤の露頭においてコアリングによっ図-3.2.10 図 A3 に類する試験機の概要(福島,1995)て切り残した直円柱の供試体に対して三軸圧縮試験を行う。削孔された外周溝を被覆する複雑な形状のメンブレン(ゴムスリーブ)をキャップとセル上盤でシールする。図 A1 と同様に,剛なセル円筒を省略してセル圧の反力を周辺の地山に負担させることが特長である。岩盤での実績として,玄武岩の採石場において直径が 100 mm の供試体に対して実施した事例が報告されている。小径で外周溝が狭いために供試体の側面での局所変位は計測されず,キャップの移動量しか計測されていない。また,ゴムスリーブの水密性(シール性能)に課題があると報告されている。基準の附属書 A の図 A3 に類する試験機の構成を図-3.2.10に示す(福島,1995)。地盤の露頭において切り出した直円柱の供試体に対して三軸圧縮試験を行う。岩盤に限定せず供試体が自立する地盤に広く適用できる試験方法として提案されている。内側にメンブレン(ゴムスリーブ)を取り付けた三軸セル(金属製円筒体)を,キャップを載せた供試体に被せて,拘束圧と軸荷重を載荷する。ゴムスリーブの上端がキャップの軸変位に追従しないので,ゴムの破損や供試体の側面にせん断応力が作用することが懸念される。また,供試体の側面で局所変位を計測していないので,軸ひずみを求めることはできない。基準の附属書 A の図 A4 に類する試験機の構成を図-3.2.11に示す(土木学会,1976)。新高瀬川発電所の地下空洞岩盤14図-3.2.11 図 A4 に類する試験機の概要(土木学会,1976)の調査で使用された試験装置である。供試体の形状は直四3.3 供試体の作製角柱で,側圧(拘束圧)の載荷にフラットジャッキを用いることが特徴である。供試体の隅角部で応力の一様性を保つことが困難で,大きなせん断変形やせん断破壊まで軸圧縮することもできないが,微小から中ひずみレベルの範囲で変形特性(剛性)を調べることはできる。図-3.2.12 に示すように,供試体の軸方向に細孔を掘削して局所ひずみや弾性波速度を測定している。3.3.1 試験箇所の選定試験を実施する場所は,試験の目的及び地質構造と岩盤の性状などを考慮して決定する。一般には,岩盤分類に基づいて岩種・岩盤等級毎にその性状を代表する地点(一連の試験を実施することができる十分な大きさ・広さの領域)を選定する。この選定では,粗く整形した露頭やボーリングコアなどから推定される岩盤の性状,特に岩石の硬さや強さと不連続面の性状などに関する詳細な観察結果が基本情報となる。さらに,シュミット式ハンマー試験の反発度や弾性波速度などの定量的な情報も利用される。さらに,各供試体を作製する位置の決定では,一連の試験において対象とする岩盤の性状を同程度に代表する供試体を準備できるように留意する。3.3.2 試験の個数岩種・岩盤等級が同じであると判断された岩盤でも,岩石部分の剛性・強度が完全に一様なことは稀であり,不連続面の方向・密度・性状などが岩盤としての強度・変形特性に及ぼす影響は非常に大きいことから,得られる試験結果のばらつきは岩石試験の結果に比べて非常に大きい。ところが原位置岩盤試験は手間と費用が掛かることから,多数の試験を行って結果のばらつきを評価することは困難である。よって,図-3.2.12 図-3.2.11 による供試体内に設置された計測器(土木学会,1976)3.2.3 供試体の回収装置試験の終了後に供試体を地表に回収して観察すれば,試験結果の解釈に資する重要な情報が得られる。しかし,軸圧縮によってせん断破壊した後の供試体は一体ではなく,破壊面この基準では試験を実施する個数は規定していない。試験の個数は,目的とする岩盤の力学特性を適切に評価できるように,岩盤の岩石部分及び不連続面の非一様性や不均質性に起因する試験結果のばらつきに留意して決めることになる。なお,強度特性を調べる場合には,拘束圧の影響を考慮して,少なくとも 3 個以上の供試体に対して等方応力を変えて試験を行うのが一般的である。各供試体のばらつきの影響が大きいと思われる場合には,1個の供試体に対して複数の等方応力に対するせん断強さを求める多段階載荷試験を実施することが多い。によって複数の部分に容易に分離する状態のことが多い。図-3.2.13 は,鋼製リングに取り付けたジャッキによって鋼製の楔を供試体の底部4ヶ所に押し込み,供試体を崩さないように吊上げる治具である(谷ほか,2001)。3.3.3 供試体の形状及び寸法供試体の形状は,岩石試験でも一般的な直円柱を標準とした。この直円柱の形状は,ロータリードリリングによって供試体の側面が正確かつ容易に作製でき,メンブレンを介して側方向応力が載荷できるため,実施が最も多い。直円柱の中心軸に小孔を掘削した直円筒の形状が採用されることがある。供試体の作製は同軸の削孔なので容易で,小孔から得られるコアによって供試体の性状が試験前に確認できることと,中心軸上で変形が計測できることが利点である。ただし,側方向応力の載荷と変形の計測のために内セルが必要である。一方,過去には直四角柱の形状とした事例もある。四辺の側面は,カッティングディスクによる溝切りか,小口径ラインドリリングした後の成形によって作製する。側方向応力の載荷は,4 辺の溝にフラットジャッキないし耐圧バッグを挿入して行うので,反力を周辺の岩盤に取ることができる。しかし,隅角部の載荷が困難であるだけでなく,軸圧縮時に大変形に追従できないという欠点がある。図-3.2.13 供試体の回収用治具(谷ほか,2001)15供試体の寸法は,直径が 300~600 mm を標準とした。岩盤供試体の作製で重要なことは,供試体が真直ぐ,すなわの強度特性を調べるための岩盤せん断試験におけるせん断面の寸法(縦 600 mm×横 600 mm)と,変形特性を調べるための平板載荷試験における載荷板の寸法(300 mm 以上)を参考にした。一様性と連続性が高い塊状の岩盤では寸法効果の影響が比較的に小さいため,小規模な試験を行うこともあるので,直径が 300 mm 未満で 100 mm 以上も適用範囲に含めた。一方,粗粒結晶を持つ岩石や礫岩などを対象とする場合には,岩石供試体を用いて室内で行う三軸圧縮試験を参考に,供試体の直径は構成粒子の最大寸法の 5 倍以上が好適とした。そのため,直径が 600 mm 超で 1000 mm 以下も適用範囲に含めた。角礫岩などにおいては,巨礫を含む場合,礫の種類が多様な場合,礫が不均質に分布する場合がち中心軸が直線かつ鉛直であることである。また,断面の形状が真円で直径が深さ方向に一定であることである。掘削装置の掘削軸を安定して鉛直に保ち,傾いたり振動やぶれが生じたりしないように留意する。触検したり水準器を当てたりして,供試体の側面が深さ方向に平坦かつ鉛直(母線が直線かつ鉛直)であるかを確認できる。一方,形状が直四角柱の供試体の作製では,ラインドリリングにより掘削した後に整形する方法,チェーンソーやカッターなどを使用して掘削する方法が利用される。側面を鉛直かつ平坦に整形すると共に,相対する面の平行度や隅角部における直交性にも留意する。1 箇所で複数の試験を行う場合の供試体の間隔については,あり,試験結果の解釈のために,礫種,粒度,性状,分布に留意して観察する。供試体の高さは,直径の 2.2 倍を標準とした。室内で行う三軸圧縮試験では,この比は一般に 2.0 倍である。下端面も上端面と同様に平滑な載荷面に接しているので側方向への変形が拘束されておらず,また側面の全体がメンブレンで被覆されており側方向応力が一様に作用する。しかし,供試体の下端が地山と連続している原位置三軸圧縮試験では,下端の近傍では側方向への変形が拘束され,また下端にはメンブレンが被覆していない区間(メンブレンをセルに固定する区間)もある。そこで,これらの影響を受けないように供試体の高さを直径の 0.2 倍分だけ延長した。基準の中では制限を設けていない。平板載荷試験(JGS 1521)では載荷板の直径の 3 倍以上の距離を離すことが規定されているが,原位置三軸圧縮試験では三軸セルの外周以遠の岩盤への影響はほとんどないからである。ただし,セル圧の反力を周辺の岩盤に取るタイプの試験装置(附属書の図 A1および図 A2 参照)を用いて非常に高い等方応力で試験を実施する場合には,隣接する供試体との間に適切な距離をとる。なお,供試体の配置の検討では,岩盤の性状を考慮することは当然であるが,供試体の作製あるいは試験装置の組立てのための作業スペースにも留意する。供試体の軸方向は鉛直方向とした。供試体の作製や試験装置の組立てが容易で,自重に起因する曲げ応力が供試体に作用しないからである。供試体の測定は,上端面の傾斜,直径,高さについて,それぞれ精密水準器,ノギス,鋼製巻尺または金属製直尺を用いて行う。直径は上端付近において直交する 2 方向でノギスにより測定するが,寸法が大きいので上端面において鋼製巻尺または金属製直尺を用いることもある。さらに,泥岩や凝灰岩などで供試体の含水状態が力学特性に与える影響が大きいと思われるときは,供試体を作製する際の岩片の中から代表的な試料を分取して初期の含水比 w0 を求める。3.3.4 供試体の作製試験を実施する場所(坑道ないし露頭における試験箇所)の掘削は,岩盤に影響を与えないように衝撃や振動を極力与えないように行う。供試体を作製する前に表層の緩みや掘削により損傷を受けた影響範囲を取り除く必要があり,一般的には 0.3 m 程度の深さまで掘り下げる。ただし,割れ目を多く含む岩盤や露出させた後に長期間を経た岩盤では,0.5~1 m まで深く掘り下げる場合もある。3.3.5 供試体の測定3.4 試験装置の組立て供試体の上端面は,研磨機などで水平かつ平坦に成形する必要がある。成形した上端面の傾斜と平滑度を精密水準器などで確認し記録する。また,礫岩などの不均質な岩盤や不連続面が密に分布する岩盤では,成形時に供試体を損傷することが懸念される場合には,供試体の上端面をモルタルなどでフェーシングすることもある。形状が直円柱や直円筒の供試体の作製では,3.2.1 節に示すボーリングマシンを用いてコアリングする方法による。直円筒の供試体を作製する場合には,図-3.2.1 に示す掘削装置に呼び径が異なる 3 種類のコアバレルを装着して,中央の小孔でコアリングを,外周溝の内径と外径の位置に同心円状の細溝の掘削をする(図-3.2.2 参照)。その後に薄肉円筒部三軸セル(外セル)をクレーンなどで真直ぐに楊重して,直円柱もしくは直円筒の供試体の外周溝に慎重に挿入する。供試体に過大な荷重が掛からないように,またセルの内部に装着した計測機器に不具合が生じないように留意する。さらに,供試体が直円筒の場合には,中央の小孔に三軸セル(内セル)を慎重に挿入する。続いて,供試体の上端面に載荷板と荷重計を中心軸が一致するように設置する。さらにピストンと圧縮装置も中心軸が一致するように設置する。載荷軸と供試体の中心軸が一致しないと,供試体に曲げモーメントが作用してしまうからである。曲げモーメントの影響を軽減するために,載荷板と圧縮装置の間に球座を設ける場合もある。を除去して外溝溝を整形する。薄肉円筒部の除去が困難な直円柱の供試体を作製する場合には,図-3.2.3 に示す掘削装これらの部材や装置は一般に鋼製で重いため,クレーンや手動チェーンブロックなどが必要である。また,一軸状態(セル圧がゼロの状態)の供試体の耐荷重に比して供試体の上端面に載せる部材や装置の総重量が無視できないほど大きい場合には,その重量が供試体に負荷されない機構置を利用して外周溝を掘削することもできる。外周溝を所定の深さよりも掘削し過ぎた場合には,底部にモルタルを打設して供試体の高さを調整する。16を予め用意するか,その重量による軸方向応力(シーティとを確認するためで,平板載荷試験(JGS 1521)の載荷パタング応力)と同じ大きさの側方向応力を同時に載荷して等方圧密状態を保つ必要がある。圧縮装置の設置では,軸荷重の反力の取り方が重要である。調査坑の中で試験を行う場合には,図-3.2.11 や基準の図1 に示すように坑道の天端に反力を取ることが多い。一方,野外で試験を行う場合には,図-3.4.1 に示すように門型の載荷枠をアンカーで固定する方法が一般的である。なお,供試体が小寸法でせん断強さが小さい場合には,図-3.2.10 に示すように載荷枠と反力体の死荷重を反力とすることもできる。ーンが参考になる。基準では載荷速度について規定していない。制御が無理なく安定して行え,かつデータが精度良く取得できるように適切に設定する。岩盤せん断試験(JGS 3511)などを参考に,軟岩では 0.025~0.1 MN/m2/min,硬岩では 0.25 MN/m2/min 程度が目安となる。等方応力の加圧が所定の応力に到達した後に,供試体の変形が収まるまで静置する。この圧密が概ね終了するまでの時間は,岩種毎に一律に規定することはできないが,一般に軟質な岩盤ほど長い。軸方向及び側方向の変位を計測して変形の収束を判定するが,目安として変位速度が 10 分間当たり1/100 mm 以下を標準とする。なお,この収束の目安については,原位置岩盤試験法の指針(土木学会,2000)には「圧密時間が 10 分間以上」と,ISRM の指針(ISRM,1974)には「変位速度が 10 分間当たり 0.05 mm 以下」と記載されている。25002000溝形鋼300×90 I形鋼300×150溝形鋼100×503.5.2 軸圧縮等方応力の加圧(圧密)の最終状態を記録して,軸圧縮の初期状態として各測定装置の原点を確認する。この基準では変位制御方式による単調載荷試験を標準としたが,荷重制御方式による載荷や,繰返し載荷試験にも適用できる。せん断破壊後にも載荷を制御しやすい変位制御方式による軸ひずみ速度は,破壊までの時間が数~数十分間に収まるように毎分 0.01~0.1%を目安とした。ただし,応力制御方式で行う場合には,同程度の軸ひずみ速度となるように載荷速度を設定する。繰返し載荷試験は繰返し載荷時の変形特性を詳細に調べたり疲労特性を調べたりする場合に行われる。載荷の方法については,「軟岩の変形特性を求めるための繰返し三軸試験方法(JGS 2563)」,「岩石の多段階繰返し非排水三軸圧縮試験方法(JGS 2561)」,「岩石の疲労特性を求めるための繰返し非排水三軸圧縮試験方法(JGS 2562)」が参考になる。計測の間隔は主応力差-軸ひずみ曲線を滑らかに描けるように設定し,0.1~1 s とすることが多い。硬質で割れ目が少ない岩盤において低い拘束圧の試験では破壊が脆性的になる(単位:mm)図-3.4.1 反力設置の例3.5 試験方法この基準では,1 つの等方応力で加圧をした後に一定の載荷速度でせん断破壊後まで連続的に軸圧縮を行う単調載荷試験を標準とした。ので,圧縮強さを確実に記録するために計測の間隔を短くする。軸圧縮の終了の判定は,荷重計の読みから供試体がせん断破壊したことを確認して行う。変位制御方式による場合は,軸荷重が最大値を記録した後も引き続き圧縮して,その読みに変化が認められない状態に達したら終了する。多様な不連続面を含む岩盤では,部分的な破壊によって荷重が一時的に低下した後に荷重が増加に転じることもあるため,確実に最大値を記録するまで軸圧縮を続ける。なお,軟質岩盤や不連続面を多く含む岩盤では,剛性が低下した後に荷重が継続して増加することがあるが,軸ひずみが 5%に達したら軸圧縮を終了する。なお,荷重制御方式による場合には,岩盤の破3.5.1 等方応力の加圧加圧に先立って各測定装置の設置状況を確認して初期値を記録する。三軸セルにセル圧を供給して供試体の側面に側方向応力を作用させると共に,圧縮装置を制御して載荷板に載荷して供試体の上端面に側方向応力と同じ大きさの軸方向応力を作用させる。軸差応力が過大とならないように,軸方向と側方向を少しずつ交互に制御する。なお,側方向応力と軸方向応力の値は供試体の中央高さに対して計算する。所定の等方応力までの加圧は,段階的に応力を大きくするとともに各段階で除荷と再載荷を繰返すのが一般的である。段階数は 3 から 5,繰返し回数は 3 程度が一般的である。このように段階式載荷に繰返し載荷を組合わせる理由は,載荷壊が急激に進行して載荷を制御することが難しいことが多い。このような場合には,荷重が急激に減少した時点で軸圧縮を終了する。装置の制御と各計測機器による計測が適切に行われているこ3.5.3 残留強さ17残留強さを調べるためには,最大荷重を確認した後にさらされたものかを判定するために,外周溝の内壁の観察も重要に供試体を大きくせん断変形させるように軸圧縮を安定的に制御する必要がある。荷重制御方式では破壊直後に制御が不可能になるため,変位制御方式で行う。軸方向変位に基づいて制御することが多いが,破壊が脆性的に生じる場合には側方向変位に基づいて制御する方法も有効である。著しく脆性的な破壊を生じる硬岩を対象とした室内試験では,破壊直後の除荷による試験装置全体の弾性変形を小さくするために,高剛性の載荷枠を利用することが一般的である。しかし,原位置試験では載荷枠の一部に周辺の地山が含まれるので,載荷装置や反力枠などの構造部材を剛にするだけでは不十分である。地山と載荷装置との接触・結合部の剛性を高めるとともに,その面積を大きくして周辺地山の内部の反力による応である。回収した供試体を保存する場合には,分離した部分を再構成し,落剝した部分を元の位置に戻した後に,移動・保管中に分解したり劣化したりしないように保護・梱包する。高分子系のコーティング剤を塗布したり,フィルムで覆ったりする。力変化を小さくするように留意する。また,軸圧縮量が大きくなると変形の局所化が進行して(せん断破壊面が形成されて),軸荷重の偏心あるいは載荷板の傾斜や水平変位が生じ易くなる。図-3.2.6 に示すリニアガイドは,このような現象を防止するための工夫である。(mm)を初期の高さ H0(mm)で除して求めることを基本とした。硬岩では等方応力の加圧による圧縮が無視できる程度に小さいためである。しかし,軟岩など剛性が低い岩盤では,「軟岩の圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法」(JGS2532)などの室内試験と同様に,等方応力の加圧に伴う軸方向の変位量∆Hc(mm)を H0 から減じて等方応力の加圧後の高さ Hc(mm)を次式で算定する。3.6 試験結果の整理と報告事項3.6.1 試験結果の整理(1) 等方応力の加圧に伴う圧縮量の補正供試体の軸ひずみεa(%)は,供試体の軸方向の変位量∆H3.5.4 多段階載荷試験室内で行う岩石試験によって強度特性を調べる場合には,一般に複数の供試体に対してそれぞれ異なる等方応力を加圧して単調載荷試験を行う。しかし,原位置岩盤試験は時間と費用が掛かるので試験の個数は限定され,その一方で同様の性状の供試体を複数用意することが難しいので試験結果のばらつきは大きい。そのため,1 つの供試体において複数の等方応力に対する圧縮強さを求める多段階載荷試験が好適である。この多段階載荷試験の方法については,各等方応力に対して圧縮強さを確認して軸圧縮を止める判断規準,等方応力の段階数と順序,軸圧縮後に等方応力状態まで除荷するか否かなど側方向圧力の制御方法などさまざまなバリエーションがあり,岩石の三軸圧縮試験(JGS 2531,2532,2533,2534)が参考になる。3.5.5 供試体の回収大寸法の供試体が大変形しているために容易ではないが,変形・破壊状況を詳細に観察するために可能ならば回収する。載荷枠や載荷装置,荷重計,載荷板などを分解・撤去する。その後に三軸セル(外セル)を外周溝から取出すが,試験後の供試体は脆く断片化している可能性があるため,慎重に行う。その後,外周溝から供試体の側面を観察して変形の概要を把握する。図-3.2.13 に示す治具を用いれば,供試体の底部を切断して崩さないように回収することができる(谷ほか,2001)。また,先端に刃を有する棒材を用いて供試体の底部を破断させる場合もある。楊重には,三軸セル(外セル)を外周溝に戻してわずかなセル圧を作用させて供試体ごと吊上げることもできる。回収後に供試体の変形・破壊状況などを詳細に観察する。Hc = H0 - ΔHc(3.4.1)供試体の軸ひずみεa は次式で算定する。𝜀𝜀𝑎𝑎 =∆𝐻𝐻𝐻𝐻𝑐𝑐× 102(3.4.2)また,供試体の断面積についても,等方応力の加圧による圧縮を無視して初期の断面積 A0(mm3)を用いることを基本とした。しかし,軟岩など剛性が低い岩盤では,供試体の高さと同様に補正をする。等方応力の加圧による体積変化量∆Vc(mm3)は,ひずみが等方的に生じたと仮定して,等方応力の加圧に伴う軸方向の変位量∆Hc を用いて次式で算定する。∆𝑉𝑉𝑐𝑐 = 3∆𝐻𝐻𝑐𝑐𝐻𝐻0(3.4.3)𝑉𝑉0等方応力の加圧後の供試体の断面積 Ac(mm2)は次式で算定する。𝐴𝐴𝑐𝑐 =𝑉𝑉0 −∆𝑉𝑉𝑐𝑐𝐻𝐻𝑐𝑐= 𝐴𝐴0𝐻𝐻0 −3∆𝐻𝐻𝑐𝑐𝐻𝐻0 −∆𝐻𝐻𝑐𝑐(3.4.4)軸ひずみεa(%)のときの主応力差(σa - σr)(MN/m2)は次式で算定する。𝜎𝜎𝑎𝑎 − 𝜎𝜎𝑟𝑟 =𝑃𝑃𝐴𝐴𝑐𝑐�1 −𝜀𝜀𝑎𝑎100� × 103(3.4.5)仮に,等方応力の加圧に伴う軸方向の変位量∆Hc が供試体の初期の高さ H0 に対して 1%に達する場合は,圧縮量を考慮した上記の補正を行わないと,補正をする場合に比べて主応力差(σa - σr)を約 2%過小評価する。(2) 応力-ひずみ関係応力-ひずみ関係から強度・変形特性を読み取る方法について図-3.6.1 に例示する。破壊が延性的な場合には明瞭なピークとして主応力差の最大値を求めることができないので,圧縮強さ(σa - σr)max として適当なひずみ量に対する主応力差で代表する。縮尺 1/10 程度のスケッチと写真撮影を行う。明瞭な破断面がある場合には,最急勾配となる方向から観察・撮影する。供試体が大寸法なので複数の破断面が発達する場合が多く,その配置が分かるように記録する。変形・破壊状況,特に不連続面について,試験前から存在するものか試験によって形成18図-3.6.1 応力-ひずみ曲線からの強度や変形特性の読み取り(地盤工学会,2009)る。そのため,周辺の地質構造や地形,対象とする岩盤の分布と試験箇所との位置関係が重要である。図-3.6.2 に変形係数(ヤング率)の算出方法を示す。この基準では,軸方向応力が圧縮強さの 50%における軸方向応力-軸ひずみ曲線の割線勾配 Es,50(MN/m2)を変形係数(ヤング率)の標準とし,必要に応じ接線勾配 Et,50(MN/m2)を求める。一般に,変形係数(ヤング率)はひずみレベルや応力レベルに依存するので,その値を報告する場合には軸ひずみ量と主応力差の範囲を明記する必要がある。(2) 試験箇所の岩盤状況原位置三軸圧縮試験に用いる供試体は寸法が大きく,その不均質性や不連続性の影響によって試験結果がばらつきやすい。そのため,試験結果の評価に際して,試験箇所の岩盤状なお,外部変位計による計測結果には,供試体の上端のベディングエラー及び供試体の下端と連続する地山の変形の影響が含まれるので,得られる変形係数は非常に過小評価され,設計に用いることはできない。また,周方向又は側方向の変位を測定した場合には,ポアソン比νを次式で算定する。𝜈𝜈 = −∆𝜀𝜀𝑟𝑟∆𝜀𝜀𝑎𝑎況や破壊状況などの詳細な情報を最大限に利用することが肝要である。周辺の地質観察,ボーリング調査,各種の指標試験(シュミット式ハンマー試験など)や物理探査(弾性波速度測定など),岩石試験(圧裂試験など)の情報が有益である。(3) 供試体に関する事項供試体の作製方法と形状・寸法のほか,試験前の供試体のスケッチ(上面図と可能ならば側面図,縮尺 1/10 程度)及び写真などを報告する。特に,試験結果に影響を及ぼすと考えられる不連続面などに係る詳細な観察は重要である。また,試験後に外周溝の内壁が詳細に観察できる場合には,そのス(3.4.7)ここで,∆εr(%)及び∆εa(%)はポアソン比を算出した区間における側方向及び軸方向のひずみ増分である。変形係数(ヤング率)と同様に,その値を報告する場合には軸ひずみ量ないし主応力差または応力比(主応力差/圧縮強さ)の範囲を明記する必要がある。ヤング率 E とポアソン比νよりせん断剛性率 G(= E / 2(1 + ν))も求められる。ケッチと写真は試験前の供試体の情報として重要である。(4) 試験方法に関する事項載荷方法と測定方法について報告する。載荷方法の記載は,載荷装置の構成や仕様と制御方法(載荷パターン,載荷速度など)を含む。測定方法の記載は,測定装置の種類・仕様と配置などを含む。(5) 試験結果に関する事項計測した荷重・圧力と変位・ひずみから求めた主応力差-軸ひずみ曲線と主応力差-側方向ひずみ曲線の例を図-3.6.3に示す。また,主応力差-ポアソン比曲線の例を図-3.6.4 に図-3.6.2 変形係数の定義(地盤工学会,2009)示す。変形係数(ヤング率)の結果も同様のグラフとして報告される。供試体の岩盤性状(地質構造や既存の不連続面など)と変形・破壊状況は試験結果の解釈に重要な情報であるので,供試体を丁寧に回収して詳細に観察・記録して報告する。スケ3.6.2 報告事項(1) 試験箇所の位置図原位置岩盤試験では,試験ができる位置や個数が限定されることが多く,試験結果の代表性を評価することが重要であ19新高瀬川地下発電所で実施された試験結果を図-3.7.2 に示圧縮応力 ( MN/m2 )す(御牧,1984)。ラインドリリングと手掘りを組み合わせて一辺 1.0m の立方体の供試体を試験坑の底面に掘削し,側方 4 面をフラットジャッキで,上端面を油圧ジャッキで載荷している。岩種は主に中世代ジュラ紀の中堅硬な花崗閃緑岩である。せん断に伴う変形係数(ヤング率)の低下傾向について異方性があることを示している。側方向ひずみ軸ひずみひずみ ( % )圧縮応力 ( MN/m2 )図-3.6.3 応力とひずみの関係の表示例-0.5ポアソン比0.0軸ひずみ ( % )0.5図-3.6.4 ポアソン比の表示例図-3.7.1 応力変位関係図(土木学会,1985)ッチにおいては,既存の不連続面と試験により形成・発達した破壊面を区別して記載する。3 種以上の等方応力に対して圧縮強さが得られた場合には,圧縮強さと等方応力の関係や圧縮強さを表す(破壊時の)モールの応力円(Mohr’s stress circle)を図示する。線形な包絡線が描ける場合には,モール・クーロンの破壊規準(MohrCoulomb’s failure criterion)に基づいてせん断抵抗角φと縦軸切片(粘着力)c を算出する。モール・クーロンの破壊規準以外の破壊規準を適用することもできる。3.7 試験結果の評価と利用3.7.1 試験結果の評価(1) 直四角柱の供試体を用いた原位置三軸圧縮試験黒部ダムで実施された試験結果を図-3.7.1 に示す(土木学会,1985)。発破,ラインドリリング,手掘りを組み合わせて 1.4 m×2.8 m×2.8 m の供試体をバットレス状(柱状ではない)に切り出して,ジャッキで 4 方向(水平 3 方向と鉛直方向)から載荷している。上図は最大主応力と軸方向変位の関係を示し,下図は最大主応力と側方向変位の関係を示している。IY(Initial Yield Limit)と PY(Principal Yield Limit)の応力レベルで軸方向に塑性(非可逆)変位の増加が,F(Failure)の応力レベルで軸方向にも側方向にも塑性(非可逆)変位の増加が顕著に生じている。20図-3.7.2 三軸圧縮試験結果(御牧,1984)(2) 直円柱の供試体を用いた原位置三軸圧縮試験とひずみの関係は,以下のように様々な岩盤構造物の変形性礫岩(凝灰角礫岩)で得られた試験結果を図-3.7.3 に示す(岡田ほか,2006a)。不均質な岩盤においても乱れの影響が少なく寸法精度が高い供試体が作製でき,良好な応力とひずみの関係を得ている。計測された軸差応力と軸方向及び周方向のひずみの関係からヤング率,ポアソン比などのせん断に伴う変化(ひずみレベル依存性)を調べている。また,載荷板と供試体の上端を接着剤とアンカーボルトで結合して三軸引張り試験も行われた。図-3.7.4 に示すように,原位置三軸圧縮・引張り試験から得られるせん断強さは,室内での三軸圧縮・引張り試験の結果と整合していることが確認されている。また,岩盤せん断試験や平板載荷試験の結果との整合性も確認されている(伊藤ほか,2020)。や安定性を評価するための物性値を求めることに利用される。(1) 変形特性(ヤング率,ポアソン比,せん断剛性率)平板載荷試験やプレッシャーメータ試験では岩盤は線形弾性体と仮定しており,平板載荷試験ではヤング率 E のみがプレッシャーメータ試験ではせん断剛性率 Gのみが求められる。ポアソン比νは,弾性波速度計測による P 波と S 波の速度の比から微小ひずみレベルの値のみが求められる。原位置三軸圧縮試験では,主応力と主ひずみの非線形な関係を微小ひずみから破壊ひずみまで連続的に計測するので,剛性(E や G)やポアソン比νの値ついてひずみレベルや応力レベルの影響や異方性などについても詳細に調べることができる(岡田ほか,2006ab)。(2) 強度特性(せん断強さ,残留強さ)従来,岩盤の強度特性は,特定のせん断面を破壊させる直接せん断試験の 1 方法である岩盤せん断試験(JGS 3511)を行ってクーロンの破壊規準(Coulomb’s failure criterion)に基づくせん断抵抗角φと粘着力 c を調べていた。この試験は原理的に構造体の載荷試験であるために(要素型の試験ではないために),破壊が進行的で引張り破壊の影響も含まれるという問題があった。一方,原位置三軸圧縮試験は,原理的に要素型の試験であるので,進行性破壊や引張り破壊の懸念はなく,破壊時の応力状態を主応力で定義するモール・クーロンの破壊規準(Mohr-Coulomb’s failure criterion)に基づいてせん断抵抗角φと粘着力 c を調べる。さらに,等方応力の加圧(圧密)の後に軸圧縮の代わりに軸引張りを行えば,伸長せん断破壊ないし引張り破壊による強度特性も調べることが可能である(岡田ほか,2006a)。残留強さについては,岩盤せん断試験では,破壊後に除荷をした後に摩擦抵抗試験を行って求めていた。原位置三軸圧縮試験では,このような手間もなくピーク強さを確認した後に軸圧縮を継続して残留強さを調べることができる。図-3.7.3 三軸圧縮試験結果(岡田ら,2006a)(3) 繰返し載荷に伴う力学特性室内で行う岩石三軸圧縮試験では,主に地震時の力学特性図-3.7.4 三軸圧縮試験結果(岡田ら,2006a)3.7.2 試験結果の利用原位置三軸圧縮試験は,大規模なダムの建設のために1960年代初めから矩形の供試体を用いて実施されたが,施工や計測の面で問題が多く普及しなかった。1990年代に入って,直円柱の供試体を用いた方法が開発され,施工性と計測の信頼性が格段に向上した(谷,1999:岡田ほか,2006a)。室内で小さな岩石供試体を用いて行う一軸・三軸試験と原理的に同じ要素型の力学試験が,現場で大規模な供試体を用いて容易に行えるようになった。計測される岩盤の平均的な応力21を調べるために各種の繰返し載荷試験の方法が基準化されている。原位置三軸圧縮試験においても繰返し載荷の制御を行うことは容易であり,等価ヤング率 Eeq や履歴減衰率 h と片振幅軸ひずみ(εa)SA の関係を調べることもできる(岡田ほか,20015)。載荷方法や計測方法などについては,「軟岩の変形特性を求めるための繰返し三軸試験方法」(JGS 2563),「岩石の多段階繰返し非排水三軸圧縮試験方法」(JGS2561),「岩石の疲労特性を求めるための繰返し非排水三軸圧縮試験方法」(JGS 2562)が参考となる。3.8 基準以外の試験方法3.8.1 既存の原位置岩盤試験の課題既存の原位置岩盤試験には,岩盤せん断試験(JGS 3511),平板載荷試験(JGS 1521),プレッシャーメータ試験(JGS1531,3531)がある。しかし,これらの試験では物性評価や設計に利用する上で,以下に記す問題が指摘されてきた(岡(2) 試験方法田ほか,2006a)。原位置三軸圧縮試験は,これらすべての問題を解決している。① 要素型の試験ではないために,応力とひずみの関係を直接に計測されない。また,設計で重要な岩盤の引張り強さや低拘束圧下のせん断強さ,ポアソン比や繰返し変形特性などを調べられない。② 試験面の掘削・整形による乱れの影響を受け易い。また,その影響を考慮して試験結果を解釈することは困難である。③ 変形特性と強度特性を同じ試験方法で調べることができない。④ 岩盤せん断試験や平板載荷試験は広い試験エリアを必要とするため,試験坑の掘削を含めた試験コストは高い。3.8.2 孔底三軸圧縮試験この基準が規定する原位置三軸圧縮試験の適用は,岩盤の露頭面ないし試験坑道の底面から約 2 m の範囲に限定される。孔底三軸圧縮試験は,地表から深い岩盤の力学特性を調べるために,ボーリングの孔底に掘削した直円柱の供試体に対して三軸圧縮試験を行う(谷,1999:池野谷ほか,2007:Taheri & Tani, 2008abc:田中・谷,2011)。供試体の直径が孔径より小さく,また軸荷重の反力を試験深度より浅い部分の孔壁の摩擦力に取ることになるので,小規模な試験となる。適用は供試体を作製し易い塊状の泥岩(土丹)に限定されており,様々な性状の岩盤への適用性を検討する必要がある。(1) 試験装置と測定装置図-3.8.1 に示すように,軸圧縮力の載荷装置の下に三軸セルを連結した構造である。軸圧縮力の反力は,載荷装置の外周面を孔壁に押圧して周面摩擦力に取る。軸荷重とセル圧を計測する荷重計(ロードセル)と圧力計は,載荷板の直上に設ける。供試体の軸ひずみは,三軸セルの内部でメンブレンの軸方向の圧縮変形を計測する。図3.8.1 は局所変位計(LDT)を利用した事例で(Taheri & Tani,2008ac),図-3.8.2はひずみゲージを圧着した事例である(田中・谷,2011)。図-3.8.3 に示す手順で孔底に直円柱の供試体を掘削し,図3.8.1に示す試験装置をセットして試験を行う。ボーリング孔の呼び径は 196 mm で,供試体の直径は約 90 mm,高さは約230 mm である。図-3.8.4 は泥岩(土丹)に掘削した供試体の写真である。等方応力を加圧した後に変位制御方式(軸ひずみ速度 0.5 %/min)の単調載荷試験を行った。図-3.8.2 孔底三軸セルの構造(田中・谷,2011)図-3.8.3 孔底三軸試験の手順a: φ 196 mm のボーリング孔を掘削,b: 上端面の整形(φ120 mm),c: 供試体の掘削・成形,d: 試験装置及び反力装置の設置(三軸試験実施),e: 装置類とともに供試体を回収,f: 次段階の試験深度までφ 196 mm のボーリング孔を掘削(池野谷ら(2007),Taheri & Tani(2008b)に加筆)図-3.8.4 ボーリング孔底に成形された供試体 (Taheri &Tani ,2008b)図-3.8.1 孔底三軸試験装置(Taheri & Tani(2008b)に加筆)2213) 日本電気協会:JEAG4601-2015 原子力発電所耐震設計技術指針,(3) 試験結果図-3.8.5 に泥岩(土丹)での実施例を示す。深さが 2.6 m までの範囲で 3 回の多段階載荷試験を行っている。原子力規格委員会,pp.203-205,2016.14) 地盤工学会:地盤材料試験の方法と解説,pp.541-660 & pp.817900,2009.15) 岡田哲実,立川日出男:岩盤の円柱試験体作製装置,特許第4677330 号,2005.16) 岡田哲実,伊藤洋,生貞幸治,笹田俊治,山上裕也,今林達雄,武井孝,細野高康:原位置岩盤三軸試験法の不連続性岩盤への適用性検証-割れ目の卓越した砂岩の場合-,電力中央研究所報告,N07513,2008.17) 岡田哲実,武井 孝,澤田喬彰,納谷朋広:原位置岩盤三軸試験法の実用化のための装置改良,電力中央研究所報告,O16002,2017.18) 伊藤悟郎,岡田哲実,澤田喬彰,大井翔平:原位置三軸圧縮試験による凝灰岩及び火山礫凝灰岩の力学特性評価とその妥当性の検証,地盤工学ジャーナル,Vol.15,No.1,pp.171-179,2020.19) 土木学会:地下構造物の設計と施工,図-12,13,p.87,1976.20) 谷 和夫,立川日出男,金子 進,豊岡義則:孔底の中空円筒試験体を利用した新しい岩盤試験装置の開発,第 31 回岩盤力学に関図-3.8.5 複数の深度における軟岩の孔底三軸試験の実施事例。各供試体に対して多段階載荷が実施されている(Taheri & Tani (2008c) に加筆)するシンポジウム,pp.82-86.2001.21) 土木学会:原位置岩盤試験法の指針,2000.22) ISRM: Suggested methods for determining shear strength, 1974.23) 岡田哲実,納谷朋広,中村大史:原位置繰返し三軸試験装置の開発と風化砂岩を対象とした試験法の実証,第 44 回岩盤力学に関するシンポジウム講演集,2016.参考文献24) 土木学会:新体系土木工学 20 岩盤力学,pp.37-39,pp.101-107,1985.1)岡田哲実,金谷 守,小早川博亮,伊藤 洋,大津仁史,谷 和夫:25) 御牧陽一:岩盤中に設ける大規模空洞の技術的変遷と将来展望,原位置岩盤三軸試験法の開発(その 2),電力中央研究所研究報告,2)26) 谷 和夫:原位置孔底三軸圧縮試験法,特開平 11-152983,1999.岡田哲実,谷 和夫,大津仁史,小早川博亮,金谷 守,伊藤 洋:27) 池野谷尚史,Abbas Taheri,金子 進,谷 和夫:小型原位置三軸試原位置三軸圧縮試験の礫岩地盤への適用性の検討,第 35 回岩盤験装置の均質な堆積軟岩地盤への適用,第 36 回岩盤力学に関す力学に関するシンポジウム,pp.139-144,2006b.3)地盤工学会:地盤調査の方法と解説,pp.752-753,2013.4)地盤工学会:岩盤の原位置一軸・三軸試験方法基準化検討に関るシンポジウム,pp.407-412,2007.28) Taheri, A. and Tani, K.: Characterization of mudstone in a deep undergroundcavern – comparison of full-scale behavior and field and laboratory tests, Proc,する報告書,岩盤の原位置一軸・三軸試験方法基準化検討 WG,67p,2017.5)6)土木学会論文集,第 352 号,Ⅲ-2,pp.23-39,1984.N05049,2006a.3rd Int. Conf. on Site Characterization, pp.529-535, 2008a.29) Taheri, A. and Tani, K.: Development of an apparatus for down-hole triaxial野瀬正儀:黒部川第四ダムの岩盤試験について,第 1 回岩盤力tests in a rock mass, Int. J. of Rock Mech. and Min. Sci., Vol.45, No.5, pp.800-学に関するシンポジウム,pp.76-89,1962.806, 2008b.石橋孝治:原位置岩盤の簡易三軸圧縮試験法に関する基礎的研30) Taheri, A. and Tani, K.: Use of down-hole triaxial apparatus to estimate the究,第 26 回岩盤力学に関するシンポジウム,pp.554-558,1995.mechanical properties of heterogeneous mudstone, Int. J. of Rock Mech. and7)福島伸二:原位置三軸圧縮試験装置,特開平 7-35663,1995.8)谷 和夫:原位置孔底三軸圧縮試験法,特許第4043568号,1997.31) 田中悠一,谷 和夫:ひずみゲージの圧着を特徴とした原位置孔9)Tani, K.: Proposal of new in-situ test methods to investigate strength and底三軸試験装置の室内検証実験,第 40 回岩盤力学に関するシンdeformation characteristics of rock masses, Proc. 2nd Int. Sym. on Pre-failureポジウム,pp.98-103,2011.Min. Sci., Vol.45, No.8, pp.1390-1402, 2008c.Deformation of Geomaterials, Vol.1, pp.357-364, 1999.10) 岡田哲実,野崎隆司,池見元宣,谷 和夫:電中研式原位置岩盤力学試験法の開発,電力中央研究所研究報告,U02023,2003.11) 岡田哲実,伊藤 洋:原位置岩盤三軸試験法の開発(その 3)-大型円柱試験体作製装置の開発-,電力中央研究所研究報告,N06036,2007.12) 岡田哲実:技術手帳 原位置岩盤三軸試験,地盤工学会誌,585(628),pp.39-40,2010.23新規制定地盤工学会基準・同解説岩盤の原位置三軸圧縮試験方法(JGS 3541-2020)【ダウンロード版】2021 年 3 月 1 日 初版発行編集地盤工学会地盤調査規格・基準委員会岩盤の三軸圧縮試験及び一軸引張り試験方法基準化 WG発行・販売公益社団法人地盤工学会東京都文京区千石 4 丁目 38 番 2 号〒112-0011 Tel 03(3946)8677©2021 公益社団法人地盤工学会ISBN 978-4-88644-124-9 C3051 \4,520EFax 03(3946)8678
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