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出版

タイトル 低改良率セメントコラム工法(技術手帳)
著者 柳浦 良行・宮武 裕昭・今井 優輝
出版 地盤工学会誌 Vol.66 No.1 No.720
ページ 43〜44 発行 2018/01/01 文書ID jk201807200022
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  • タイトル
  • 低改良率セメントコラム工法(技術手帳)
  • 著者
  • 柳浦 良行・宮武 裕昭・今井 優輝
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.66 No.1 No.720
  • ページ
  • 43〜44
  • 発行
  • 2018/01/01
  • 文書ID
  • jk201807200022
  • 内容
  • 技術手帳低改良率セメントコラム工法Arch Action Low Improvement Ratio Cement Column Method柳浦良行(やぎうら株基礎地盤コンサルタンツよしゆき)技術本部長今井宮武裕昭(みやたけひろあき)国立研究開発法人土木研究所地質・地盤研究グループ 施工技術チーム優株 不動テトラ輝(いまいゆうき)地盤事業本部技術部対策を行う形式が主体であった。これは,「安定に最も. は じ め に効果的なのは,法面下の改良である」という円弧すべり低改良率セメントコラム工法は,セメントコラムを用安定計算からの結果に基づくものである。いて道路盛土等の圧密沈下の軽減を図る地盤改良工法で周辺地盤の変形抑制という観点からも,長い間この改ある1)。盛土内に発生するアーチ効果を考慮することで良形式が主流となっていた。しかしながらこの改良形式セメント系改良体と未改良地盤に作用する盛土荷重を合では,盛土構築に伴って改良の行われていない盛土中央理的に評価し,従来の改良工法よりも大きな間隔で改良で大きな圧密沈下が生じる。これにより,法面下の改良体を配置することができるので,改良率を小さく改良土体は外側に押され,周辺地盤の変形が起きる場合もあっ量を少なくできる。改良体を盛土下全面に均等配置するた。また,改良部分と改良体間との不同沈下によって段ことにより,盛土の安定性の確保や沈下を抑制しつつ,差が発生し,盛土内の亀裂発生等も無視できないケースコストや工期を抑えることが可能である。もあった。.工法の概要と特徴当該工法では,図―(b)のような着底型の場合,従来設計において問題となっていた盛土中央下の圧密沈下図―に当該工法の概念図を示す。盛土内に発生するが抑制できる。これにより,圧密沈下に必要な放置期間アーチ効果により,盛土荷重及び上載荷重の大部分はセが不要となり,また側方への押し出しもなくなることかメント改良体に集中し,軟弱地盤に作用する荷重はアーら周辺地盤の変形も抑制される。これが従来の改良形式チより下のわずかな盛土荷重だけになる。これにより軟とは異なる当該工法の基本的な変形抑制メカニズムであ弱地盤の圧密沈下の低減と盛土の安定確保を図ることがる。また,当該工法では盛土荷重を均等に改良体で分担できる。図中に示すアーチ効果の塑性角 u は,盛土材料や併用する補助工法別に定めており,この u を用いて改良体と未改良地盤に作用する盛土荷重を算出することができる。セメント改良体の配置は,盛土条件,土質条件により変化するが,従来の設計手法で改良率 50 程度に対し,改良率10~30とすることができる。従来から用いられている深層混合処理工法による軟弱地盤対策では,図―(a)に示すような,盛土法面下を集中的に改良し,盛土中央部にプレロード等の圧密沈下図―January, 2018当該工法の概念図図―当該工法と従来工法43 技術手帳図―図―図―当該工法の施工事例(円山川一日市地区軟弱地盤対策工事)当該工法実施時の沈下量の経時変化イメージ図―軟弱地盤対策工における当該工法の効果と経済性当該工法の施工実績の概念図本事例においては,腹付け盛土による地盤の側方へのするので,図―(c)のように,浮き型の場合でも,下変形や圧密沈下による引き込みによって,周辺家屋に被部の未改良部分においては圧密沈下が発生するが,その害を与えないことが,最も重要な選定条件であった。当量は小さく盛土の全体的な安定は保たれる。なお,改良該工法と部分フローティング式矢板工法を比較検討し,体と未改良部の不同沈下量が許容値を満足しない場合に周辺地盤への影響,沈下量等への適用条件がより厳しいは,浅層改良やジオテキスタイルの併用により対処する。箇所に当該工法が採用されている。図―に当該工法実施時の沈下量の経時変化イメージを示す。「浮き型」は盛土完成後も沈下が継続するため供用開始まで放置期間を要するが,改良土量が少なくなる.おわりに低改良率セメントコラム工法は盛土下全面を低改良率ことでセメント改良体の施工期間や施工費は抑えられる。で地盤改良することで,圧密沈下を抑えつつ盛土全体の現場条件に応じて「着底型」「浮き型」を使い分けるこ安定性を確保する工法である。現場条件に応じて着底型とが可能である。や浮き型を選択したり,浅層改良やジオテキスタイルをこれらの当該工法の特徴をまとめると,併用することも可能である。当該工法の施工実績を図― プレロードによる圧密放置期間は不要あるいは短い。◯に示す。平成 29 年 3 月末現在で 130件, 80 万 m3 を超 沈下量低減により盛土材を節約できる。◯えており,着実に実績を増やしている状況である。今後 沈下量低減により周辺影響が抑えられる。◯もさらに本工法が採用されることで,建設工事の効率化 改良土量が少ないので地盤改良工事の工期・工費が抑◯につながることを期待している。えられる。となる。以上を踏まえた軟弱地盤対策工における当該工法の効果と経済性の概念図を図―に示す。.当該工法の施工事例当該工法が採用された事例として,円山川一日市地区軟弱地盤対策工事(事業主体国土交通省豊岡河川国道参考文献1)ALiCC 工法研究会編 ALiCC 工法マニュアル,鹿島出版会,2015.2) 近藤益央・宮武裕昭・大林 淳・新川直利・柳浦良行低改良セメントコラム工法( ALiCC 工法)の施工事例について,材料,Vol. 65, No. 1, pp. 50~55, 2016.(原稿受理2017.7.28)事務所)での施工事例を紹介する2)。新規に構築される盛土や堤防において,その直下を全面的に改良する当該工法の事例は多いが,本事例は堤防の腹付け盛土下に地盤改良を行った事例である。図―に概要を示す。44地盤工学会誌,―()
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