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出版

タイトル ICTの導入による杭・地盤改良工事の見える化(<特集>i-Construction)
著者 足立 有史・木付 拓磨・土屋 潤一・稲積 真哉
出版 地盤工学会誌 Vol.66 No.1 No.720
ページ 24〜25 発行 2018/01/01 文書ID jk201807200014
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  • タイトル
  • ICTの導入による杭・地盤改良工事の見える化(<特集>i-Construction)
  • 著者
  • 足立 有史・木付 拓磨・土屋 潤一・稲積 真哉
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.66 No.1 No.720
  • ページ
  • 24〜25
  • 発行
  • 2018/01/01
  • 文書ID
  • jk201807200014
  • 内容
  • 報告ICT の導入による杭・地盤改良工事の見える化Visualization of Construction Works by ICT on Pile Foundation and Ground Improvement足立有株 安藤・間土屋潤史(あだちゆうじ)土木事業本部課長一(つちや株計測ネットサービス木じゅんいち)取締役稲付拓磨(きづき株 安藤・間東北支店積哉(いなづみ真芝浦工業大学工学部たくま)主任しんや)土木工学科准教授. は じ め に通常,地盤改良工事や杭工事は地中の目に見えない箇所で行われるため,施工状況を目視で確認することができない。このため,地盤改良体や杭の出来形や品質,地盤状況や支持層の変化をリアルタイムに評価して施工にフィードバックする点において課題があった。過去には,地盤改良や杭の出来形及び品質に起因する構造物の不具合事例も少なくない。この中には施工状況や地盤状況をリアルタイムに認識・評価し,フィードバックすることが可能であれば,未然に防ぐことができたケースも少なくないと考えられる。また,従来の施工管理では,オシログラフの波形や材図―施工情報可視化システムの構成料使用量などの膨大な数値データの中から,必要なデータを抽出して効率的に評価したり,日報作成のためにデータを入出力したりすることに多大な労力を要し,工事担当者の負担も大きいものであった。国土交通省は平成 28 年を「生産性革命元年」と位置づけ,「iConstruction」の推進に関する取り組みを開始している1) 。 i Construction は,調査・測量,設計,施工,検査及び維持管理・更新の各プロセスに情報通信技術(ICT)を活用することで,建設生産システムの効率化,高度化を目指している。上記の背景をもとに,杭・地盤改良施工情報可視化システムを開発し,現在,実際の施工現場への展開を進めている2)。ここでは,本システムの概要と最新の取り組み状況について報告する。.写真―施工状況(深層混合処理工法)施工情報可視化システム本システムの構成は,図―に示すように,主に以下の 2 つの機能から構成されている。 全球測位衛星システム(GNSS)やトータルステー◯ション(TS)を利用した位置誘導機能 改良体・杭の施工情報(施工深度,電流値,スラ◯リー量,地盤性状など)を即時に可視化・評価・記録する機能位置誘導機能は,あらかじめ地盤改良体や杭体の三次元設計情報をシステムに登録しておき,施工時に GNSSや TS と傾斜計等を利用して杭芯位置を誘導するものである。一般的な施工状況を写真―に示す。施工機のオ24図―キャビン用モニタ(誘導管理システム)地盤工学会誌,―() 報図―告地盤改良可視化画面例ペレーターは,図―に示すキャビン用モニタに表示された誘導情報に従い杭芯を設計値にセットする。システムには,杭番号,座標,杭長,材料,施工仕様等が登録されており,現在施工中の杭情報をリアルタイムで視覚的に確認できる。これにより,設計と異なる位置に打設したり,計画と異なる施工仕様で施工したりといった,所謂ヒューマンエラーを防止することが期待される。施工情報の可視化機能は,施工中の様々な情報(深度,電流値,積分電流値,回転数,スラリー量など)を三次元可視化画面とグラフにリアルタイムに表示できる(図―)。すべての施工情報は,メイン PC を経由しクラ図―ウドに蓄積される。図―の可視化情報は,インターネN 値と電流値の相関(深層混合,粘性土)ット環境を利用して関係者間でリアルタイムに共有するが一体と仮定して算定している。実際には両者には一定ことができる。さらに,日々の日報作成も容易となり,の遊びがあり,深度が深くなるつれ計測値とのずれが増現場担当者の負担軽減に寄与することが期待される。加する可能性がある。現在は,撹拌翼やケーシング先端.地盤性状のリアルタイム評価を直接的に測定可能なシステムの開発にも着手している。地盤改良や杭工事においても ICT 施工を積極的に導地盤性状や支持層の評価を迅速に行うことを目的に電入することで,これまで課題であった施工情報をリアル流値又は積分電流値を用いて N 値を推定する機能を有タイムに分かりやすく共有できる環境が整いつつある。している。地盤調査により N 値が分かっている箇所でこれにより,施工管理の精度や効率を高めるとともに,試験施工を行い,電流値と N 値との相関を統計的処理出来形や品質に対する施工者の意識をより高め,結果的により分析し,その結果をシステムに入力することで,に信頼性の高い製品の提供につながるものと期待していリアルタイムに N 値を推定することが可能となる。図る。―に粘性土地盤を対象とした N 値と電流値の相関に関する分析事例を示す3)。電流値と N 値の相関については,地盤種別,施工機械,施工速度等様々な条件に影響を受けることが分かっており,今後もデータを増やすことで効率的な評価方法の確立を目指している。. お わ り にここで紹介した施工情報可視化システムについては,実施工で適用する中でいくつかの課題も明らかとなった。例えば,地盤改良や杭の先端位置(軌跡)は,リーダーの地上位置と傾斜データをもとにリーダーとケーシングJanuary, 2018参考文献1)国土交通省 i Construction 委員会 i Construction ~建設現場の生産性革命~,2016.2) 木付拓磨・澤口 宏・今井 正・高植俊彰・土屋潤一・稲積真哉大口径・大深度深層混合処理工法の適用におけるリアルタイム管理システムの導入,第12回地盤改良シンポジウム,pp. 451~454, 2016.3) 舟橋宗毅・木付拓磨・足立有史・土屋潤一・石丸和宏・稲積真哉地盤改良工事における電流値計測に基づく N値の推定手法について,第 52 回地盤工学研究発表会,pp. 721~722, 2017.(原稿受理2017.9.26)25
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