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タイトル 火山灰土設計水平地盤定数の杭基礎性能規定化への影響度(寄稿)
著者 磯部 公一・冨澤 幸一
出版 地盤工学会誌 Vol.65 No.10 No.717
ページ 28〜29 発行 2017/10/01 文書ID jk201707170014
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  • タイトル
  • 火山灰土設計水平地盤定数の杭基礎性能規定化への影響度(寄稿)
  • 著者
  • 磯部 公一・冨澤 幸一
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.65 No.10 No.717
  • ページ
  • 28〜29
  • 発行
  • 2017/10/01
  • 文書ID
  • jk201707170014
  • 内容
  • 火山灰土設計水平地盤定数の杭基礎性能規定化への影響度In‰uence of design lateral constants related to volcanic ash soils on performance speciˆcationfor pile foundations磯部公北海道大学大学院一(いそべ工学研究院冨こういち)准教授澤幸一(とみさわこういち)国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所. は じ め に地盤工学会では「基礎設計基準会( 1998 年)」及び「地盤設計・施工基準化委員会( 2002 年)」において,主任研究員設計法に因るなどの課題はあるが,基礎を含めた下部構造の要求性能別の限界状態(耐震性能 1, 2, 3 )すなわち性能規定化は,各機関で統一が図られてきている。ただし基礎は,周辺地盤の非線形性や塑性変形を考慮構造物基礎設計法の性能規定化の基本原則を示している。した副次的塑性化を限界状態とする場合が多いため,基この WTO/TBT 協定や ISO・ユーロコードとの国際規礎の性能規定設計法においては地盤性状(設計地盤定数格共有化の基本理念は「基準部会」の資料等に詳しい1)。や変動係数など)の把握とその扱いが重要と判断される。これらを踏まえ,各研究機関(道路,建築,港湾,鉄道など)では,構造物基礎の従来の仕様規定設計法に代わる性能規定設計法が検討され,基準化されてきている。.火山灰土設計水平地盤定数の杭挙動影響度基礎の性能規定設計法では安全率に代わる部分係数のただし,この性能規定化は砂質土,粘性土の一般土を概設定が必要であるため,各研究機関では部材抵抗の不確ね対象としている。そこで本稿では,特殊土とされる火実性に対して,モンテカルロシミュレーションなどで設山灰土において,設計水平地盤定数の変化つまり変動係計地盤定数を多数変化させた基礎挙動を検討している。数が杭基礎の力学挙動に及ぼす影響度を試算した。.構造物基礎の性能規定設計化構造物の性能規定化は概念先行やその評価が仕様規定そこで本稿では,火山灰土の水平地盤反力係数 kH の変動係数 COV 及びバイアス l が,杭基礎部材の断面力などに及ぼす影響度を簡便に検討することとした。. 試算における橋脚設計モデル設計モデルは,杭水平抵抗に特化した検討を目的とし図―に示す火山灰土中の橋脚杭基礎とした。この代表モデルケースは概ね参考文献 2)に準じた。なお,レベル 2 地震動では鉛直方向の極限支持力の降伏が決定要因となるため,レベル 1 地震動を対象にした(表―)。火山灰土における橋脚杭基礎の性能規定化の試算は,北海道内で杭の水平載荷試験を実施した A ・ B ・ C ・ Dの 4 現場のデータを用いた(表―)。 A ・ B は支笏軽図―表―28火山灰土の性能規定化の橋脚杭基礎設計モデル表―杭の水平地盤反力係数 kH(4 現場)試算モデル(レベル 1 地震動)の設計条件地盤工学会誌,―() 寄表―表―稿孔内水平載荷試験 kH′の変動係数 COV本試算における水平地盤反力係数 kH の設定図―.火山灰土水平地盤反力係数の変動による杭断面力試算結果と展望基本ケース及び変動係数を考慮して水平地盤反力係数を変化させた計 9 ケース(表―)の試算結果(杭頭曲げモーメント M1 ( kN ・ m ),地中部曲げモーメントM2 ( kN ・ m ),曲げ圧縮応力度 sc ( N / mm2 ),曲げ引張り応力度 st(N/mm2),最大軸力 Pmax(kN),最大引抜き力 Pmin(kN),杭頭水平変位 dfx(mm)を,図―に一律グラフ化して示す3) 。同図より,変動係数 COV で水平地盤反力係数を変化させることにより断面力の中でも杭頭曲げモーメント M1 への影響度が特に大きいことが分かる。それが杭頭水平変位 dfx に影響している。軸力へ石流堆積物( Sp‰), C はクッタラ軽石流堆積物( Kt‰ ),の影響度が小さいため,杭体応力度の変動は小さい。こD はクッチャロ軽石流堆積物(Kc‰)でに区分される。れは杭水平載荷試験値で顕著であるが孔内水平載荷試験. 変動係数を考慮した水平地盤反力係数の設定値でも同傾向である。この結果はバイアス l でも同様本試算では表―に示したように,杭の水平載荷試験であった。これらは本試算の主たる成果である。値 kH を真値とし,同地点の孔内水平載荷試験値による本成果はケース数が少ないものの,火山灰土においてと対比する変形係数 E から求めた水平地盤反力係数 kH′杭基礎の性能規定設計化を図る際,水平地盤反力係数つことで変動係数 COV を設定することとした。ただし,まり適正な設計地盤定数設定の重要性を示唆している。表―に示すように,4 現場の孔内水平載荷試験による同時に,合理的な地盤調査法と設計時におけるそれらのと真値 kH から逆算される推定換算係数 a の比のばらkH′総合評価の必要性も示していると判断される。今後,特つきが大きいため,各現場の換算係数の単純平均値では殊土とされる火山灰土における基礎の性能規定設計法確と杭の水平載なく,孔内水平載荷試験結果に基づく kH′立に向け,データ補完及び解析を継続する考えである。荷試験結果の kH との関係式(近似直線)の傾きを推定換算係数 a ′とし加重平均から算定した。表―に示した水平載荷試験 kH の COV = 0.250 はモデル誤差値に相の COV = 0.741 はモデル誤当し,孔内水平載荷試験 kH ′差と変形係数推定誤差の両者が含まれる。つまり本稿では,表―の設計条件基本値に対し( 1 ± COV )及び( 1± COV × 1.225)を乗じ, 4 現場の標準偏差を用い変動係数 COV による kH を設定し,各機関と概ね同様手法で試算を行った。October, 2017参考文献1)(例えば)地盤工学会基準部新規制定の地盤工学基準案「性能設計概念に基づいた基礎構造物に関する設計原則」について,2004.2) 土木研究所つくば中央研究所資料道路橋の部分係数設計法に関する研究,2008.3) 土木研究所寒地土木研究所資料特殊土地盤における性能規定化に対応した地盤変形特性の調査手法に関する研究,2015.(原稿受理2017.5.10)29
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