書籍詳細ページ
出版

タイトル 透明土を用いた地盤実験技術(技術紹介)
著者 宮田 喜壽・高野 大樹・野々山 栄人・Bathurst,J.Richard
出版 地盤工学会誌 Vol.65 No.10 No.717
ページ 26〜27 発行 2017/10/01 文書ID jk201707170013
内容 表示
ログイン
  • タイトル
  • 透明土を用いた地盤実験技術(技術紹介)
  • 著者
  • 宮田 喜壽・高野 大樹・野々山 栄人・Bathurst,J.Richard
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.65 No.10 No.717
  • ページ
  • 26〜27
  • 発行
  • 2017/10/01
  • 文書ID
  • jk201707170013
  • 内容
  • 技術紹介透明土を用いた地盤実験技術Geotechnical Testing Methods with Transparent Soils宮田喜壽(みやた防衛大学校野々山栄教授野大樹(たかのだいき)国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所 主任研究官人(ののやま防衛大学校高よしひさ)ひでと)Bathurst, J. Richard(バサースト・リチャード)GeoEngineering Centre at Queen'sRMC,カナダ助教教授な力学特性を有している透明粒子が吟味され実験に用い. は じ め にられるようになった点4)と,PIV に代表される可視化技地盤の各種解析法の高度化には,地盤内部の挙動解明術の高度化にある5)。前者に関して,最近の研究で用いが大きな役割を果たす。そのための実験技術として Xられている代表的な透明粒子と整合液の組み合わせを表線法や光弾性法が検討され,多くの成果を挙げている1)。―に示す6)。これらの材料については詳細な室内試験別のアプローチとして,透明粒子で作製した模型地盤をより,砂や粘土のモデル化に適した材料の種類やその適粒子と同じ屈折率を有する液体(整合液)で満たすこと用限界が明らかにされている。後者に関しては,最近ので地盤の内部挙動の観察を可能にする実験技術が近年大ハード・ソフト技術の進展によって,より複雑な挙動をきく進展している。本稿ではその概要を紹介する。.実験の原理はじめに,写真―を用いて実験の原理を説明しよう。この写真は三軸圧縮試験装置内に透明粒子で供試体を作製し,下部から整合液で満たしている様子を撮影したものである。メンブレンは透明な特殊素材のものである。整合液が到達していない供試体上部は白色で不透明であるが,整合液で満たされた供試体下部はポーラストーンがきれいに認識できるほど透明になっている。この現象は,光が透明粒子で吸収されず,透明粒子―整合液間で光が屈折しないために生じる。この原理を用いた実験技術は古くから検討されてきた。浦・坂巻は,粉砕した強化ガラスとテレピン油― a―ブロムナフタレン混合液を用いて,機械―粉体の相互作用現象を可視化している2)。小長井・田村は,粉砕したガラス粒子の表面が化学的に不安定化していることに着目し,透明化した模型地盤にレーザーシートを照射して,粒子の輪郭や粒子の運動を可視化している3)。これら先駆的な研究からの最近の進展は,通常の土質材料と類似表―26写真―透明粒子供試体に整合液を通水している様子最近の研究における透明粒子と整合液の組み合わせ6)地盤工学会誌,―() 技術紹介写真―透明土を用いた実験の例広範囲に,そして連続的に解析できるようになってきた。.透明土実験の適用例それでは,透明土を用いた地盤実験技術はどのようなうとするものである。特に地盤環境分野での研究の進展が期待される。.まとめ研究に対する適用性や可能性を有しているのだろうか。今回紹介した実験技術は,適切な透明粒子や整合液を 粒状体の変形・破壊に関す最近行われている研究は,◯探すという地道な作業自体がいまだ研究対象であるが, 土―基礎・補強材の相互作用に関する研究,る研究,◯実験技術の応用範囲が広がりをみせている。多くの方が 土中の移流・拡散に関する研究,◯ 土中の飽和度・熱◯この分野の研究動向に理解と興味をもっていただければ分布に関する研究に大別されよう。これらについて,一幸いである。 は,部著者らの実験結果を用いながら以下に説明する。◯最も基礎的研究と位置づけられる。その適用例はそれほど多くないが,写真―に示した供試体の様子から推察参1)できるように,粒状体あるいは離散体力学ベースで実験結果を理解及び分析することで,新たな力学研究の展開2) の例を写真―( a)に示す。地盤が期待されている。◯内に埋め込まれた構造物と,地盤内に埋め込んだトレーサーが観察可能である。ジオグリッドのように土中での3)変形が無視できない材料の挙動解明などの研究が進められており,今後,地盤の各種安定問題における三次元メ の例をカニズムの解明などに適用されると思われる。◯4)写真―(b)に示す。これは透明土で供試体を作製し,そこにトレーサーを混ぜた整合液を浸透させる実験の様5)子である。固化材の注入に関する研究も始められており,マクロ的に成立するダルシー則をミクロな視点で解明す6)るような基礎研究やこれまで同定が難しかった構造パラメータの定量化に活かすことができると考えられる。◯は逆転の発想によって生まれた研究である。粒子と液体は両者の屈折率が同じになるように,飽和度や温度に関する実験条件が定められる。そこからのズレの大きさをもとに,模型地盤における飽和度や熱の分布を計測しよOctober, 20177)考文献肥後陽介・高野大樹・椋木俊文講座 X 線 CT から見る土質力学,2. X 線 CT の概要と研究動向,地盤工学会誌,Vol. 65, No. 10, pp. 41~48, 2017.浦環・坂巻 隆粉粒状体の三次元切削に関する研究,日本機械学会論文集(C 編),Vol. 51, No. 467, pp.1876~1884, 1985.Konagai, K. and Tamura, C.: Visualization of dynamicbehavior of particle assemblage in underwater granularstructure models, Bull., Earthquake Resistant StructureResearch Center, Univ. of Tokyo, 22, pp. 312, 1989.Ezzein, F., Bathurst, R.J.: A transparent sand for geotechnical laboratory modeling, ASTM GeotechnicalTesting Journal, Vol. 34, No. 6, pp. 590601, 2011.例えば,高野大樹技術紹介,Digital Image Correlation (DIC)を用いた地盤の変形解析手法,地盤工学会誌,Vol. 63, No. 7, pp. 34~35, 2015.Iskander, M., Bathurst, R.J. and Omidvar, M: Past,present and future of physical modeling with transparentsoils, ASTM Geotechnical Testing Journal, Vol. 38, No.5, pp. 557573, 2015.野々山栄人・宮田喜壽・高野大樹透明土を用いた基礎の引揚抵抗メカニズムの可視化解析,第52回地盤工学研究発表会講演集,No. 575, 2017.(原稿受理2017.7.24)27
  • ログイン