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出版

タイトル 細越の高盛土―東北自動車道小坂IC~小坂JCT 間― (寄稿)
著者 長尾 和之・藤原 優
出版 地盤工学会誌 Vol.65 No.6 No.713
ページ 28〜29 発行 2017/06/01 文書ID jk201707130016
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  • タイトル
  • 細越の高盛土―東北自動車道小坂IC~小坂JCT 間― (寄稿)
  • 著者
  • 長尾 和之・藤原 優
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.65 No.6 No.713
  • ページ
  • 28〜29
  • 発行
  • 2017/06/01
  • 文書ID
  • jk201707130016
  • 内容
  • 細越の高盛土―東北自動車道小坂 IC~小坂 JCT 間―High Embankment at Hosogoe長尾和之(ながお株 東北支社東日本高速道路―TohokuExpressway Kosaka IC~Kosaka JCT―かずゆき)上席土工指導役藤原優(ふじわら株 高速道路総合技術研究所土工研究室ゆう)主任研究員. は じ め に社内の発表会で,メンテナンスを担当するグループ会社の若手から,「開通から30年を経過した急傾斜地盤上の高盛土の点検結果」と題した発表があった。聞けば,当時の建設に携わった技術者が若手の担当者を引き連れ,現場を点検するとともに高盛土のメンテナンスの着目点を指導したとのことであった。振り返ると,平成 21 年 8 月 11 日駿河湾沖を震源とした地震により東名高速道路牧之原サービスエリア近くの 水が集まり易い地形と地質盛土が崩壊した。これは,◯ 崩落個所の盛土内の地下水位が高かった,であった,◯ 盛土下部に泥岩が用いられていたという状況で,盛土◯下部の泥岩がスレーキングにより強度低下を起こしたこと及び透水性の低下により盛土内の水位が上昇しているところに,地震を誘因とした盛土法面の崩壊が発生したものであった。この事例と東北自動車道小坂 IC~小坂 JCT 間にある の状況は細越の高盛土を比較すると,集水地形という◯ の状況については,細越の高盛土は下同様であるが,◯部 2 段を川砂利により盛土としたという違いがある。ま た , よ く よ く 細 越 の 盛 土 の 構造 を 見 る と ,現 在 のNEXCO の設計要領(高盛土・大規模盛土編)を先取りしているものがある。本稿では,建設から 30 年以上が経過した細越の高盛土の現況と先見性などについて紹介する。.細越の高盛土の概要細越の 2 か所の高盛土の平面図と横断図を図―に示す。 2 か所の盛土は沢埋め型の盛土で, 614.4 KP が延長110 m,高さ60.6 m,盛土量17万 m3, 615.25 KP が,延長 120 m ,高さ 58.7 m ,盛土量 17 万 m3 となっており,の急傾斜地盤上に平均幅 15 ~ 20 m平均傾斜角 30 ~ 40 °で構築したスライス状の盛土形状である。なお,615.25KP の盛土法尻には鋼製枠工が設置されている。盛土の構造は, 3~ 8 m の厚さで堆積していた崩積土を除去し下部 2 段は川砂利(最大粒径 400 ~ 600 mm で図―の法尻工に相当),上部 2 段は安山岩等の硬岩,図―細越の高盛土の平面図及び横断図中間部は凝灰岩と火山灰の互層となっている。盛土の背面は,高さ3.5 m の段切りがされ,各段に地下排水工と28地盤工学会誌,―() 寄写真―上り615.25 KP の盛土路面の現況写真―稿上り615.25 KP の盛土工事の完成時の様子(人工フィルター層からの水の染み出しが見られる)不織布による人工フィルター(図―の水平排水層に相当)が設置されている。また,段切部の地下排水工は法尻縦排水工に接続され,沢沿いには中央地下排水工(F400~F600)の有孔管が設置されている。.細越の高盛土の開通年後の現況盛土を点検した結果の主なものを示す。 路面に円弧状などの舗装のクラックはない。また,中◯央分離帯のコンクリートシールなどのコンクリートの目地に開きや段差がない。これは,盛土の路面を含む変状やすべりの兆候がないことを示す(写真―)。 人工フィルター層からの水の染み出しが見られるもの◯写真―鋼製枠工の現況の盛土法面から湧水が発生するまでには至っておらず,排水層が有効に機能していると考えられる(写真―)。その結果,凝灰岩のスレーキングの顕著な進行はないと考えられる。 法面小段排水工や法尻縦排水工に沈下や目地の開きが◯なく,機能の低下はない。 盛土法尻の鋼製枠工の腐食による機能低下や川砂利の◯劣化が見られない(写真―)。.細越の高盛土の先見性図―NEXCO の設計要領に高盛土の設計に関する具体が示高盛土の排水施設の構造1)されたのは平成 21 年 7 月からである。傾斜地盤上の高盛土については,表面水や地山からの湧水等の処理や傾化される前の設計・施工であるにも関わらず,高盛土の斜地盤に沿った盛土の滑動防止などが特に重要となる。安定化に必要とされる基本構造の多くが既に取り込まれまた,高盛土の安定確保のためには盛土内に水位面を生ていることが分かる。また, 30 年後の点検結果からも,じさせないことが不可欠であり,これを満足させるため建設時の対策が供用後も長期間にわたって効果的に機能に十分な排水施設を設置するものとしている。図―は,している状況を確認することができる。NEXCO の設計要領に示されている高盛土の排水施設の構造であり,排水対策として,基礎地盤の排水処理,盛土内排水処理,法面排水処理などがある。これらの内容を踏まえた上で,改めて細越の高盛土を見たとき,段切りにより地山と盛土の密着性が高められ,.おわりにこの事例から,先輩のものづくりへの強い思いを知ることができるとともに排水性の向上及び法尻部の強化の重要性を再認識した。地山からの湧水などによる土の強度低下や間隙水圧の上昇などを防止するための地下排水工が確実に設置されている。また,川砂利による基礎地盤の排水処理と法尻の十分な強化が図られているとともに,盛土内部の間隙水圧をすみやかに消散させるための不織布による人工フィ参1)考文献株 設計要領第一集土工編,pp. 6~32,東日本高速道路2015.(原稿受理2017.2.1)ルターが設置されているなど,高盛土の設計基準が具体June, 201729
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