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出版

タイトル サステナブル・レメディエーション(技術手帳)
著者 張 銘
出版 地盤工学会誌 Vol.65 No.1 No.708
ページ 55〜56 発行 2017/01/01 文書ID jk201707080026
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  • タイトル
  • サステナブル・レメディエーション(技術手帳)
  • 著者
  • 張 銘
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.65 No.1 No.708
  • ページ
  • 55〜56
  • 発行
  • 2017/01/01
  • 文書ID
  • jk201707080026
  • 内容
  • 技術手帳サステナブル・レメディエーションSustainable Remediation張銘(ちょうめい)国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター.研究グループ長サステナブル・レメディエーションとはサステナブル・レメディエーションは浄化技術そのものではなく,土壌及び地下水汚染対策において環境面だけでなく,社会及び経済的側面も統合的に考慮し,最適な対策措置を選定する意思決定のプロセスである。これは,近年欧米を中心に提唱され比較的新しい概念であり,国によってはその定義も異なっている。米国では「限られた資源を賢明に利用し,人の健康及び環境にもたらす利益を最大限にする修復法または修復法の組合せ」と定義されている1)。英国では「環境・経済及び社会的側面から見て,修復により得られる便益がインパクトより大きく,バランスの取れた意思決定プロセスによって最適な修復措置を選択する取り組み」と定義されている2)。図―このように,サステナブル・レメディエーションはまだASTM グリーン・レメディエーションのプロセス開発・発展途中のものであり,現在各国において検討が盛んに行われている段階にあるものである。サステナブル・レメディエーションは一律の環境基準4)材料の使用量を最小限にし,廃棄物の発生抑制・再利用及び再資源化を行う。に基づく浄化対策技術ではなく,米国環境保護庁( US5)EPA)3)及び米国試験材料協会(ASTM )4)が提唱したグ土地及び生態系へのインパクトを最小限にする。以 上 の 考 え に 対 応 し て , 最 適 管 理 措 置 ( Bestリーナー・クリーンアップ( Greener Cleanup ),又はManagement Practices: BMPs)という概念が導入され,グリーン・レメディエーション( Green Remediation)環境フットプリント( Environmental Footprint )やラより発展させたものである。本稿では,グリーン・レメイフサイクルアセスメント(Lifeディエーションの構成要素及び実施のプロセスを解説すLCA )解析を介して浄化対策に伴う環境への負荷を定るとともに,サステナブル・レメディエーションの枠組性,又は定量的に評価する6)~8)。CycleAssessment:みと国内外の動向を紹介する。最後に,サステナブル・ASTM では4) ,グリーン・レメディエーションをサレメディエーションに関する今後の展望について私見をイトアセスメント,浄化手法の選定,浄化設計・実施,述べる。操業・メンテナンス及びモニタリング,浄化最適化及び.グリーン・レメディエーション浄化とは,汚染サイトから有害物質を取り除き,環境浄化完了というプロセスに分け,各プロセスにおいては,BMPs による評価を行い,浄化法の選定と改良を実施する(図―)。また,BMPs については,建物,材料及び公衆衛生条件を改善する行為である。しかし,浄化等10カテゴリーに分類し,合計160以上提案されている。活動自身はエネルギーや水及び天然資源などを利用するグリーン・レメディエーションについては,米国で既必要があり,逆に環境へ負荷を与える行為でもある。グに標準ガイドとして制定されており,また実際のサイトリーン・レメディエーションは浄化による環境負荷を最浄化対策においても適用されている段階に至っている。小限にするための最適な対策措置を選定するプロセスで詳細については ASTM E2893を参照されたい。あり,以下に示す 5 つのコア要素から構成される3)~5)。1)トータルエネルギーの使用量を最小限にし,再生可能エネルギーを最大限に利用する。2)大気汚染と温暖化ガスの排出量を最小限にする。3)水使用量と水環境へのインパクトを最小限にする。January, 2017.サステナブル・レメディエーションの枠組みと国内外動向グリーン・レメディエーションでは,社会及び経済的要素も多少考慮されているものの,基本的に環境負荷の低減に着目したものである。環境負荷のほか,社会及び55 技術手帳確立,住民のリスク受容認識,ユーザーフレンドリー評価ツールの開発等,多数の課題が残されていると考えられる。今後,これらの問題を解決していくとともに,我が国の社会・経済等の実情を考慮したサステナブル・レメディエーションの展開が期待される。参1)2)図―サステナブル・レメディエーションの枠組み3)経済的側面も同時に考慮し,3 つの側面から見て,最もバランスの取れた浄化措置を選定する取り組みがサステナブル・レメディエーションの範疇となり,グリーン4)サステナブル・レメディエーションとも呼ばれる9),10)。5)サステナブル・レメディエーションでは,浄化対策を計画及び実施の 2 つの段階に大きく分け,それぞれの段階において更に図―に示すプロセスに細分化することができる10),11) 。図中では,原著文献の表現を尊重し,6)グリーンサステナブル・レメディエーションで記する。浄化対策の各段階において,環境的,経済的及び社会的の 3 つの要素について考慮すべき項目又は指標を整7)理し,サステナビリティを定性的,半定量的又は定量的に評価し,浄化法の選択と最適化を実施する。実際の評価に当たっては,考慮する項目が多岐にわたり,また,8)それぞれの国において考慮すべき内容も異なるため,ここでの紹介は割愛するが,興味があれば関連文献を参照9)されたい9)~11)。国際的には,現在 SustainableRemediationForum〈 http: // www.sustainableremediation.org / about /〉が設10)立されており,米国,英国のほか,カナダ,イタリア,ブラジル,オーストラリア及び台湾などが加入している。11)また, ISO /TC190 ( Soil Quality)の WG12において規格化も進められており,筆者もエキスパートの一人として参画している。日本においても,現在複数の機関が動12)向調査や事例収集及び評価ツールの開発に取り組んでおり12)~14) , 産 業 技 術 総 合 研 究 所 で は , SustainableRemediation コンソーシアムを設立し,国内外との連携13)を図りながら,研究開発を進めている。.今後の展望環境・社会及び経済面を統合的に考慮するサステナブル・レメディエーションを推進するためには,関連知識の周知と普及,専門家の育成,ステークホルダーの参加14)考文献US Sustainable Remediation Forum.: Integrating Sustainable Principle, Practice, and Metrics into Remediation Projects, Remediation, Vol. 19, No. 3, pp. 5114,2009.Sustainable Remediation Forum UK: A Framework forAssessing the Sustainability of Soil and GroundwaterRemediation, CL: AIRE, pp. 153, 2010US EPA: Green Remediation: Incorporating SustainableEnvironmental Practices into Remediation of Contaminated Sites, EPA 542R08002, pp. 148, 2008.ASTM: Standard Guide for Greener Cleanups, E289313, pp. 130, 2013.張 銘・保高徹生・高畑 陽・古川靖英・川端淳一アメリカにおけるグリーナー・クリーンアップの枠組み・標準ガイド化及び改正動向,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集, pp. 163 ~ 166,2016.International Standards Organization: EnvironmentalManagement ―Life Cycle Assessment― Requirementsand Guidelines, ISO 14044, pp. 146, 2006.Favara, P., Krieger, T., Boughton, B., Fisher, A., andBhargava, M.: Guidance for Performing Footprint Analyses and LifeCycle Assessments for the EnvironmentalRemediation Industry, Remediation, Vol. 21, No. 3, pp.3979, 2011.US EPA: Methodology for Understanding and Deducinga Project's Environmental Footprint, EPA 542R120002, pp. 1135, 2012.Interstate Technology & Regulatory Council: Green andSustainable Remediation: State of the Science and Practice, pp. 184, 2011.Interstate Technology & Regulatory Council: Green andSustainable Remediation: A Practical Framework, pp. 1135, 2011.Sustainable Remediation Forum UK: Annex 1: TheSuRFUK Indicator Set for Sustainable RemediationAssessment, CL:AIRE, pp. 118, 2011.高畑 陽・緒方浩基・大村啓介・日野成雄・舟川将史サステナブル・レメディエーション( SR )の取り組みと英国での実例紹介,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集,pp. 101~106, 2016.古川靖英・保高徹生・中島 誠・佐藤徹朗・大村啓介日本におけるサステナブルレメディエーションの取り組み紹介,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集,pp. 416~418, 2016.中島 誠・日高レイ・佐藤徹朗・山口博人土壌汚染対策におけるサステナビリティ―評価手法の開発について,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集,pp. 580~585, 2016.(原稿受理2016.7.19)と認識の共有,インセンティブの制度化,規制枠組みの56地盤工学会誌,―()
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