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出版

タイトル 香東川総合開発事業における椛川ダム建設工事の見学について(寄稿)
著者 阿部 龍矢
出版 地盤工学会誌 Vol.65 No.1 No.708
ページ 50〜51 発行 2017/01/01 文書ID jk201707080022
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  • タイトル
  • 香東川総合開発事業における椛川ダム建設工事の見学について(寄稿)
  • 著者
  • 阿部 龍矢
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.65 No.1 No.708
  • ページ
  • 50〜51
  • 発行
  • 2017/01/01
  • 文書ID
  • jk201707080022
  • 内容
  • 香東川総合開発事業における椛川ダム建設工事の見学についてConstruction of Kabagawa Dam in the Koutou River Comprehensive Development Project阿部龍矢(あべたつや)学生編集委員(香川大学大学院)な治水対策が望まれている。また,市街化に伴い土地利. は じ め に用の高度化が進み,水需要も増加したことから過去には香川県は,香東川総合開発事業の一環として,高松市深刻な水不足に見舞われ,新たな水源確保が求められて塩江町において,椛川ダムの建設工事を実施している。いる。このように治水はもとより,利水においても早急椛川ダムの本体工事は平成 26 年 10 月に契約され,現在,な対策が望まれており,椛川ダムの建設には大きな期待基礎掘削工事が進められている。筆者は,椛川ダム本体が寄せられている。基礎掘削の一部に着手した段階となる平成 27 年 11 月と,椛川ダムは次のような目的で計画された。椛川ダム本体建設の左岸側掘削が完了した段階となる平 治水成 28 年 9 月に開催された,香川県地盤工学研究会主催 流水の正常な機能の維持の現場見学会に参加した。 水道水の確保本稿では,見学会の参加を通して取材した椛川ダム建設工事について紹介する。.椛川ダム建設事業. 椛川ダムの目的高松市に対して,1 日最大9 000 m3 の水道水の確保。 異常渇水時の緊急水補給. 椛川ダムの概要主な椛川ダムの概要を表―に示す。また,ダム平面図を図―に示す。香東川は阿讃山脈を源とし,瀬戸内海に注ぐ延長約33 km,流域面積約113 km2 の香川県を代表する二級河川である(図―)。香東川における治水事業は洪水対策として,昭和 28表―香東川総合開発事業の椛川ダム本体工事内容1)年には内場ダムが完成し,昭和 46 年から河道の整備が行われてきた。しかし,その後も台風による豪雨災害により洪水が起きては多くの浸水被害が発生している。さらには,香東川流域は市街化が進んでおり,一度洪水が発生すると被害は甚大となると予想されるため,抜本的図―50香東川水系流域概要図1)図―椛川ダム平面図2)地盤工学会誌,―() 寄表―香東川総合開発事業の椛川ダム本体工事内容1)図―.稿写真―R9◯32地点のボーリングコアを見学する様子写真―左岸側の基礎岩盤(和泉層群)を見学する様子ダム軸地質区分断面図2)椛川ダム建設工事. 椛川ダム本体工事の概要主な工事内容を表―に示す。工期は平成 26 年 10 月15 日から平成 32 年 9 月 30 日であり,ダムサイト工事部の進捗状況は左岸側の基礎掘削がほぼ完了している。掘え盛土工と頭部排土工が施工されていた。削面上部については風化防止のためコンクリート吹付工. 左岸側の岩盤掘削工事の施工が行われていた(平成28年 9 月 2 日現在)。現場見学では左岸側の岩盤掘削が完了した段階であっ. ダムサイトの地質たため,掘削面の下部に,砂岩頁岩互層の新鮮な岩盤を椛川ダム周辺の地質は,中生代白亜紀の和泉層群の分観察することができた(写真―)。掘削面の上部では,布域にあたり,砂岩,頁岩及びその互層からなり,砂岩頁岩がスレーキングして岩盤が緩むため,風化防止のた優勢層を基盤岩としている。地層は東北東―西南西の走めの吹付けモルタルが行われていた。また,今後の右岸で傾斜する。左右岸方向で向で南(上流側)に 40~50°側の施工では掘削面が流れ盤斜面であるため,掘削によは見かけ傾斜で,左岸側が受け盤で,右岸側が流れ盤にって流れ盤すべりを発生しないように注意して掘削するなり,右岸アバット部には地すべり地区がダム天端標高必要があることが説明された。以上に分布する。また,ダムサイトでは, 38 本のボーリング調査が行われており,その結果よりダム軸地質区.おわりに分断面図(図―)並びに,ダムの基礎岩盤の評価とし現地見学を行えたことで,貴重なダム建設の困難さをて岩盤の硬さ,割れ目の間隔,割れ目の形状を加味して肌で感じられた。特に,先入観を持たずにボーリング調評価した岩級区分断面図,岩盤の透水性を評価したルジ査を実施し,しっかりした岩盤までボーリングを行ったオンマップが作成されている。上で地すべり判定を行うことの大切さや,施工技術者の. 現 場 見 学対策工の検討経緯を教わったことを今後に生かしたいと思えた。最後に,本稿作成にあたり,香川県椛川ダム建. 地すべり対策工事設事務所の皆様には,ご多忙の中,現地見学及び資料のダムサイトの周辺は多数の地すべり地形が判読されて提供など,多大なるご協力を承りました。ここに記して 地区はダムサいる。地すべり対策の対象とされる R9◯感謝の意を表します。イト右岸近傍の上流側に位置している付替県道の掘削工事によって発生する切土法面の観察を継続的に行ったところ,当初の想定より深い深度で粘土層が確認された。また,上部ブロックの背後斜面のブロックで地すべり変動が観測されたため,追加調査ボーリング(写真―)を行ったところ,推定すべり面参考文献1)香川県 椛川ダム建設事業入手先〈 http://www.pref.kagawa.jp/kasensabo/dam/kabagawa/〉(参照2016.9)2) 香川県土木事務所椛川ダム建設工事現場見学会配布資料,(2016.9.2)(原稿受理2016.9.23)よりも深い地すべりが判明した。地すべり対策として押January, 201751
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