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出版

タイトル GISを利用した斜面崩壊危険箇所の要因分析
著者 南部 啓太・西岡 孝尚・澁谷 啓
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 173〜178 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000029
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  • タイトル
  • GISを利用した斜面崩壊危険箇所の要因分析
  • 著者
  • 南部 啓太・西岡 孝尚・澁谷 啓
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 173〜178
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000029
  • 内容
  • GIS を利用した斜面崩壊危険箇所の要因分析Analysing factors of slope failure risk using GIS南部啓太*,西岡孝尚**,澁谷啓***Keita NAMBU, Takahisa NISHIOKA and Satoru SHIBUYA大規模な山地河川の流域において,斜面崩壊や土石流などの土砂災害対策の砂防施設を計画する際には,対策施設の配置位置が広範囲に渡ることから,対策施設数が非常に多くなる可能性がある。そこで,対策施設の優先度や配置位置の検討を進めていくにあたって,斜面崩壊の危険度を事前に評価しておくことは非常に重要であると考えられる。本論文は 2011 年台風 12 号豪雨で発生した斜面崩壊箇所について各種数値地図データを用いて斜面崩壊の要因を分析し,地形・地質特性など相関性が高い要因を抽出した結果について報告する。50m×50m メッシュ GIS データを用いて,213箇所の斜面崩壊箇所に対して,集水面積,斜面傾斜度,地質,植生,微地形要素など各種要因と斜面崩壊発生箇所との的中率を算出し,火成岩類と堆積岩類との地層境界付近が斜面崩壊の危険度が高いなど,特徴的な崩壊要因を抽出することができた。キーワード:斜面崩壊,GIS,土石流,豪雨災害,要因分析,地質境界Slope failure, GIS, debris flow, heavy rain disaster, factor analysis, geological boundary1.はじめに砂の流出によって土石流化したものを計画流出土砂量と2018 年 7 月西日本豪雨や 2014 年台風 11 号豪雨などのして算出する3)が,斜面の新規崩壊箇所を推定すること広域での豪雨災害が頻発し,斜面崩壊や土石流など大規は困難であることから,土石流危険渓流では 0 次谷の延模な土砂災害を引き起こしている。砂防施設の整備が引長を用いて設定するケースが多い。流域が小さい渓流でき続き進められているが,広範囲に渡って発生する土砂は,流域面積が小さく渓流延長も短く,計画流出土砂量災害に対して,対策が依然不十分である。が少ない傾向にある。このような場合,砂防施設の設置土砂災害が発生した箇所では,地盤が緩んでいるため箇所は最下流域に限定されることが多いが,大きな流域崩壊範囲が拡大するなどして,不安定化した土砂がさらで砂防施設を配置する場合は,重点的に整備していく必に下流に流出する危険性が高い。そこで,斜面崩壊や土要があるエリアを評価することが課題である。石流が発生した流域に砂防施設を重点的に整備することそこで,砂防施設の重点的かつ優先度を考慮していく1)。しかしながら,土砂災害を軽減・防止しうえで,斜面崩壊の危険度評価の精度向上を図ることがが多くなるていくためには,被災箇所だけでなく,今後起こり得る重要であると考えられる。本論文では,我が国に大きな被害を及ぼした 2011 年台危険性が高い流域に砂防施設を重点的に整備しておくこ風 12 号豪雨により 213 箇所の斜面崩壊が発生した広大なとが重要であると考えられる。そのためには,斜面崩壊の危険度が高いエリアを抽出面積を有する流域を抽出し,斜面崩壊箇所と流域面積やする必要があるが,地形・地質など地域によって特性は斜面傾斜度,地質特性,植生,微地形要素との相関性を大きく異なるものであり,検討精度を高めるためには,検討して,GIS データを用いて斜面崩壊の危険度評価を斜面崩壊の各種要因を分析しておくことが求められる。行った結果について報告する。土砂災害防止法2)では,急傾斜地の崩壊として斜面傾斜度が 30°以上で高さが 5m 以上の斜面が危険とされて2.検討流域の流域特性いる。また,土石流では土石流の発生の恐れのある渓流2.1 地形特性において扇頂部から下流で勾配が 2°以上の渓流が危険図-1 に検討流域の流域図(流域面積 A=45km2),を示とされている。ただし,これらの指標は土砂災害の警戒す。本流域は,中山間地に位置しており,周辺は標高約区域を明示するために設定したものであり,地質や植生500m の山岳地形を呈している。流域内には南北方向および東西方向に支川が流下し,流域中心部付近で 3 つのなど斜面崩壊の各種要因を取り入れたものではない。また,土石流対策の砂防施設を計画する際には,渓床支川が合流して本川に流入し,東方向に流下している。に堆積している不安定土砂に加えて,斜面からの崩壊土支川の合流部付近では,南北方向に盆地が形成され,住*協和設計株式会社設計部次長Vice Manager, Kyowa Sekkei Co.,Ltd**協和設計株式会社執行役員部長General Manager, Kyowa Sekkei Co.,Ltd***神戸大学大学院工学研究科教授Prof., Graduate School of Engineering, Kobe University173 凡例河川流域界谷次数1次谷2次谷3次谷4次谷5次谷地質分類堆積岩類火成岩類崩壊地崩壊箇所写真-1 火成岩類の露頭状況(花崗斑岩)図-1 検討流域の流域図宅地や公共施設等の集落が分布する。本川や支川には,山間部を流下する多数の土石流危険渓流が流入しているため,土石流が発生した際には河川内に土砂が流出し河道閉塞が生じて河川が氾濫し,周辺地域が浸水するなどの被害が発生する危険性が高い地域である。また,土石流危険渓流の流末には,人家や道路などが分布しているため,土石流による被害が大きい。事実として,2011 年台風 12 号豪雨時において,多数写真-2 堆積岩類の露頭状況(泥岩・砂岩互層)の斜面崩壊が発生し下流域に土砂が流出するとともに,河川が溢水し浸水被害が生じた。2.2 地質特性呈する層理面沿いに,斜面崩壊が発生する危険性が高いことが指摘されている 6)。図-1 に示す検討流域の地質特性図は,「産業技術総合研究所:シームレス地質図」を用いた。流域の大部分は非2.3 降雨特性常に硬質な火成岩類(写真-1)が分布しており,急峻な検討流域は,年平均降水量が 3,000mm 以上の日本有数山岳地形を形成している。節理間隔はやや広く塊状岩質の豪雨地帯である。検討流域の本川・支川および山間部で,渓床部には径 1~2m 以上の巨礫が多数分布している。を流下する土石流危険渓流は,常時においても流水が非これらの巨礫が土石流とともに流下することで大規模な常に多い特徴がある。豪雨時には土砂を含んだ洪水流が災害を引き起こす危険性が考えられる。流出する危険性があり,2011 年台風 12 号に加えて,2017年台風 21 号豪雨時においても,河川が溢水し道路などの一方で,検討流域の大部分を占める火成岩類の花崗斑岩は,節理が発達することによって風化が進みやすい特施設が一部損傷を受けた。4)があり,一部土砂化することによって不安定土砂と渓床部に多数分布している径 1~2m 以上の巨礫は,こなって堆積し,豪雨時に流動化して大規模な土石流となれらの多量の降水量によって大規模な掃流力を伴った洪って下流域に流出する危険性が指摘されている 5)。水流や土石流で,下流域に運搬されたものと考えられる。徴本流域を構成する地質は,火成岩類以外では泥岩や砂今後の豪雨によって土砂の流出とともに,巨礫を伴った岩を主体とした堆積岩類が分布する。土石流が発生することで,大きな被害が発生する危険性地形特性で示したように,本流域は支川合流部付近にが高い地域である。南北方向に盆地が形成され,山岳地域内の比較的緩やかな低地部と堆積岩類の分布域が概ね一致している。その3.2011 年台風 12 号豪雨と斜面崩壊特性ため,堆積岩類と火成岩類の分布範囲は比較的明瞭に区3.1 本流域における 2011 年台風 12 号豪雨の特徴分される。2011 年台風 12 号では,2011 年 9 月 2 日~4 日にかけ火成岩類の分布域は急崖を呈する場合が多いのに対し,て,1 日最大雨量 708mm,総雨量 1,451mm に及ぶ大規模堆積岩類の分布域の傾斜度はやや低く,花崗斑岩のよう豪雨により,崩壊箇所数 N=213,最大崩壊面積 A=3,475m2な崖地は形成していない。地質境界付近で渓床勾配が変に及ぶ斜面崩壊が発生した。土砂や流木の流出等により化していることが多い。家屋や道路等に甚大な被害を与えた。本流域に分布する堆積岩類は層理面が発達し,流れ盤を3.2 斜面崩壊状況174 凡例写真-3 斜面崩壊の発生状況谷次数河川流域界3次谷崩壊面積(m2)1次谷0 - 5002次谷4次谷5次谷500 - 10001000 - 10000累積頻度(%)4000‐50003000‐4000崩壊面積(m2)2000‐300001000‐20000800‐90020900‐100010700‐80040600‐70020500‐60060400‐50030300‐40080200‐300400‐100100100‐200崩壊箇所数図-2 斜面崩壊箇所の分布図50写真-4 渓岸崩壊に伴う土石流発生状況の高い崩壊規模が多数発生しており,渓流の直下には住図-3 斜面崩壊面積と箇所数および累積頻度の関係宅地や主要アクセス道路が分布するため,崩壊土砂が下流域に流出し渓岸侵食や渓床部の不安定土砂を含めて大図-2 に斜面崩壊箇所の分布図を示す。この図から,流規模な土砂流出被害が及ぶ結果となり,対策が急務な渓域の全体的に崩壊箇所が点在していることが確認でき,流特性を有していることが確認できる。崩壊地の分布のみでは流域の斜面崩壊の危険度を把握す斜面崩壊が発生した場合,1 箇所の崩壊面積が 1,000m2ることは非常に困難であると判断される。一般的には,以上であると,崩壊土砂が流動化し土石流となって下流崩壊箇所は地盤がゆるみ,周辺には不安定土砂が残存すに被害を及ぼす危険性が高くなるるため,崩壊地の拡大や不安定土砂の流出など土砂災害面積が 1,000m2 以上の崩壊が一定量生じていることから,の危険性が高い。そのため,斜面崩壊箇所周辺に対して,斜面崩壊の直接的な対策だけではなく,崩壊土砂や渓床砂防施設を優先的に配置することが有効であると考えら部に堆積する不安定な土砂の移動抑制や土石流を捕捉すれるが,本流域のように広大な流域で崩壊が全体にわたるための砂防堰堤が必要であると判断される。7)。本流域では,崩壊って分布している場合では,砂防施設をどの位置に優先的に配置しなければならないかの判断が難しい。4.斜面崩壊の要因分析方法今後,本流域のような広大な流域において,土砂災害4.1 要因分析方法を軽減・防止するための砂防施設の計画を進めていくう紀伊半島で多数認められた深層崩壊8)は検討流域ではえで,斜面崩壊の要因を分析し評価することは非常に重発生しておらず,本検討は表層崩壊を対象に検討してい要であると考えられる。る。ただし,崩壊規模は異なるものの,崩壊と各要素と図-3 に斜面崩壊面積と箇所数および累積頻度の関係2 以上の崩壊発生はを示す。本流域は 1,000mの相関性についての指標となると考えられることから,68 箇所で,「深層崩壊の発生の恐れのある渓流抽出マニュアル崩壊全体に対し 31%を占める。全体的には,500m2 以下(案)」9)(以下,マニュアル)を参考にして検討した。の崩壊面積の割合が 40%と高く,次いで 500~1000m2 が崩壊と関連性が高い可能性が考えられる要素について,33%となっている。実際に崩壊した箇所との相関性を検討し,高い相関性を本流域では深層崩壊のような大規模崩壊は認められな有する要素を抽出する。本検討では,マニュアルを参考かったが,写真-3,4 に示すような土石流化する危険性に,表-1 に示す要因・要素である,崩壊箇所,地形量(集175 表-1 斜面崩壊の発生状況要因要素①崩壊発生実績2011 年台風 12 号による崩壊箇所②地形量斜面傾斜,集水面積,崩壊面積率③地質特性斜面傾斜,堆積岩,火成岩,地質境界④植生斜面傾斜,広葉樹,針葉樹,他⑤微地形要素地すべり地形の分布水面積と斜面傾斜),地質特性,植生,微地形要素について検討した。集水面積と斜面傾斜は LP 測量データ,地質特性は「産業技術総合研究所:シームレス地質図」,植生は「環境省生物多様性センター:植生図地理情報システムデータ」,微地形は「防災科学技術研究所:地すべり危険度「大」危険度「中」危険度「小」図-3 地形量による斜面崩壊危険度マップ地形分布図データベース」,を用いて検討した。2011 年台風 12 号豪雨時に発生した斜面崩壊実績をも表-2 斜面傾斜度と集水面積(地形量)とに,斜面傾斜度と集水面積との関係から危険度が高い「地形量」を算出する。同様の方法で,「地質特性」,「植生」,「微地形」との関係を算出し,これらそれぞれにおいて,崩壊発生実績と3.403.70~1010~1515~2020~2525~3030~35度 35~4040~0.0000.0000.0000.5181.8852.3742.6662.8430.0000.0000.0001.7241.7002.5813.1764.098斜面傾斜度斜面傾斜度との関係をカバー率,的中率,的中率比として算出し,「大」「中」「小」の危険度に区分する。4.2 斜面崩壊の危険度の評価(危険度は,マニュアルに準拠し,検討流域の平均崩壊)発生率の 2 倍程度を目安にそれより大きい場合,的中率集水面積(log10 As)斜面崩壊跡地メッシュ3.88~4.000.0000.0001.3162.3812.9244.2594.4214.568危険度「大」4.10~4.400.0000.0000.0001.9232.3394.5544.0944.4714.44~4.700.0000.0000.0005.4057.0004.8782.9853.481危険度「中」4.72~5.100.0000.0000.0002.2473.2093.7591.8993.8175.11~5.400.0000.0000.0003.5713.0004.9183.8175.7855.40~5.700.0000.0000.0000.0000.0000.0000.0000.0005.70~0.0000.0000.0000.0000.0000.0000.0000.000危険度「小」が高いと判断し,危険度「大」とする。同様に,平均崩一般的には集水面積が大きいほど崩壊の危険度は高く壊発生率と同程度を「中」,平均値以下を「小」とする。写真-3,4 に示すように,2011 年台風 12 号豪雨によるなると考えられ 11),本分析においても値にバラツキが認斜面崩壊発生箇所は,崩壊面が不安定化して露出し,崩められるが,斜面傾斜度が同一勾配では集水面積が大き壊面に不安定化した土砂が残存する,また,崩壊地の脚くなるにつれて,崩壊発生率が高くなる傾向があった。部や直下流には流木や崩積土が分布していることを現地これらの危険度評価をマップ化したものを図-3 に示調査で確認した。加えて,崩壊地周辺も崩壊の影響によす。流域全体が急峻な山岳地形であるため,流域の多くり地盤が緩んでいる危険性が高く,崩壊する危険度が高が危険度「中」を示すが,西側の流域の渓流沿いに危険くなっていると考えられる。よって,既崩壊箇所は,危度「大」のエリアが一部集中していることが確認できた。険度を「大」と評価する。つまり,図-1 に示す崩壊箇所5.2 地質特性との相関性検討流域の大部分では花崗斑岩を主岩体とする火成岩のプロット位置が危険度「大」となる。類が分布し,砂岩,泥岩で構成される堆積岩類,これらの地質境界とあわせて,3 種類に区分できる。5.検討結果及び考察崩壊箇所図と地質図との重ね図を作成し,相関性を検5.1 地形量との相関性表-2 に示す斜面傾斜度および集水面積による地形量討して危険度要因の分析を行った。区分化を明確にすると斜面崩壊箇所との相関性を検討した結果,斜面傾斜度ため,地質特性に斜面傾斜度も組み合わせて検討した。が 40°以上で,集水面積 As=0.1km2(log10As=5.11)以上表-3 に示した検討結果では,地質境界が最も的中率がの斜面崩壊の危険性が最も高く(崩壊危険度「大」),斜高く,火成岩類が続く。地質境界および火成岩類ともに面傾斜度が 25~30°以上で危険度が急激に増加する傾斜面傾斜度が 25~30°以上から,危険度が高くなる。地質境界で危険度が高くなった結果については,他流向(崩壊危険度「中」)が認められた。一 方 で , 斜 面 勾 配 が 20 ° 程 度 で も 集 水 面 積 が 約域において 2011 年台風 12 号豪雨時に地質境界付近で斜As=0.01km2(log10As=3.70)以上から斜面崩壊の危険度が面崩壊が発生し,地質境界での地盤の緩みや粘土化によ高くなる傾向がある。土砂移動形態の渓床勾配の目安とる不安定化が進行していることが指摘されており 12),本して,概ね 15~20°以上が土石流発生区間の勾配とされ分析結果も同様の傾向が認められたものと考えられる。ており10),本分析で認められた傾向は,土石流発生区間また,火成岩類では,検討流域の大部分を構成している花崗斑岩は,節理が発達することによって風化が進みの勾配と概ね一致することが確認できた。176 年台風 12 号豪雨では深層崩壊や地すべりは発生していなかったが,風化が進んでいる箇所では流れ盤,受け盤を問わず比較的大規模な地すべりが発生する危険性が指摘されており 14),そのような地質性状が認められる箇所では崩壊が発生する危険性があるため,現地調査を実施して地質性状を把握する必要がある。一方で,カバー率は火成岩類が最も高い結果となっている。これは,火成岩類での崩壊メッシュ数が 465 であり,総崩壊メッシュ数 562 に対して約 83%を占めていることから,崩壊の多くは火成岩類で発生していることが確認できる。また,地質領域も火成岩類が最も広いことから,その影響でカバー率が高くなったと考えられる。危険度「大」危険度「中」これらの危険度評価をマップ化したものを図-4 に示危険度「小」す。危険度「大」のエリアが,斜面傾斜度が高い地質境図-4 地質特性による斜面崩壊危険度マップ界域に集中して表れており,斜面崩壊の危険度の高さを特徴的に表現できていることが確認できた。表-3 斜面傾斜度と地質特性地質境界傾斜度①斜面崩壊メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~0012263130161185火成岩類①傾斜度斜面崩壊メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~0012263130161185堆積岩類傾斜度①斜面崩壊メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~危険度「大」0012263130161185②③②/① ②/③地質境界で斜面崩壊 地質境界 カバー的中率的中率が分布する メッシュ数率比メッシュ数01010.000.000.0001200.000.000.0001590.000.000.0002110.000.000.0023070.030.010.22184890.140.041.23297950.180.041.22467730.250.061.995.3 植生との相関性②③②/① ②/③火成岩類で斜面崩壊 火成岩類 カバー的中率的中率が分布する メッシュ数率比メッシュ数0540.000.000.0001130.000.000.0013161.000.000.11228731.000.030.84601,9530.950.031.031113,2140.850.031.151324,1610.820.031.061394,2120.750.031.10生根系の抵抗効果が発揮された 15)可能性が考えられる。検討流域は,主にスギの植林(針葉樹)が主として分布しており,その他広葉樹も認められる。樹種について崩壊地との相関性を検討した結果,広葉樹の相関性がやや高い傾向が認められた(表-4)。広葉樹は針葉樹に比べて手入れがなされておらず周辺が荒廃傾向にあることや,コドラート調査での樹木材積が約 10m3/100m2 で広葉樹の約 2 倍の密な状態であり,植ただし,広葉樹の方がスギ等の針葉樹に比べて根が深く,すべり抑止効果が高い傾向の報告 16)や,樹齢や直径,土壌条件などによって根系の抵抗力の大小が異なる傾向の報告 17)などもあり,本分析結果においてもこれらの多くの植生要因が影響しており,地形量や地質特性に比べ崩壊と植生との相関が顕著でなかったと考えられる。5.4 微地形要素との相関性②③②/① ②/③堆積岩類で斜面崩壊 堆積岩類 カバー的中率的中率が分布する メッシュ数率比メッシュ数01240.000.000.000960.000.000.000900.000.000.0001080.000.000.0011890.020.010.1812090.010.000.1601080.000.000.000110.000.000.00危険度「中」滑落崖等の地すべり地形要素と斜面崩壊地との相関は崩壊メッシュ数 562 箇所に対して 1 箇所のみであり,相関は認められなかった。地すべりと表層崩壊との崩壊形態の違いが統計結果に表れた可能性が考えられる。6.おわりに今回実施した検討において,斜面傾斜度 20°以上で集水面積 As=0.01km2 の地形量を有するエリアや,堆積岩類危険度「小」と火成岩類との地質境界域で,2011 年台風 11 号豪雨時の斜面崩壊箇所に対する的中率が流域平均崩壊率の 2 倍やすく,降雨時に崩壊が発生しやすい特徴を有するまさ土13)が分布することから,これらの地質特性も分析結果以上と高い相関性がある結果となった。斜面崩壊危険度を評価しそれらの要因を用いた危険度に表れているものと考えられる。一方で,堆積岩類はほとんど崩壊が発生していない。マップを作成することで,危険度の高い位置に砂防施設堆積岩類の分布箇所は,盆地で傾斜が緩やかな低地を形を配置するなど効率的な施設配置計画に利用できると考成しており,山岳地形を形成する火成岩類に比べて,斜えられる。流域が広大で砂防施設の配置位置の決定が困面傾斜度が低く斜面崩壊が発生しにくい地形特性がある。難な場合は,GIS 数値地図データを用いて,地形量や地6)によると,堆積岩類で質などの斜面崩壊要因と既往崩壊箇所との的中率を算出は火成岩類の貫入や流れ盤を呈する箇所が崩壊しやすいし,相関性の高い崩壊要因を抽出することで,砂防施設ことが指摘されている。また,検討流域において 2011の配置精度の向上を図ることができると考えられる。しかしながら,江種らの調査177 と教訓,地盤工学会誌,Vol.64,No.9,p.46.表-4 斜面傾斜度と植生広葉樹①傾斜度斜面崩壊メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~0012263130161185針葉樹①斜面崩壊傾斜度メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~②広葉樹で斜面崩壊が分布するメッシュ数①傾斜度斜面崩壊メッシュ数~1010~1515~2020~2525~3030~3535~4040~0012263130161185②針葉樹で斜面崩壊が分布するメッシュ数③針葉樹メッシュ数②その他樹種で斜面崩壊が分布するメッシュ数00000101子・鍋島康之(2016):平成 23 年紀伊半島大水害の実態と教訓,地盤工学会誌,Vol.64,No.6,pp.41-48.0.000.000.000.020.020.040.050.06②/①②/③鈴木拓郎・武澤永純・大野亮一・長山孝彦・池島剛・カバー的中率的中率率比土屋智(2012):2011 年 9 月台風 12 号による紀伊半0.000.001.000.680.700.670.610.66②/①その他メッシュ数江種伸之・矢野晴彦・辻野裕之・中西典明・石田優0.000.000.000.320.300.320.390.331832103828211,6432,7193,6893,868③6)②/③カバー的中率的中率率比26621403367701,1781,3541,10900115448798123危険度「大」②/①広葉樹メッシュ数0007194263610012263130161185その他③0.000.000.000.020.030.030.030.030.000.000.000.700.821.191.561.847)区域調査要領(案),p.21.8)危険度「中」0.000.000.000.000.000.010.000.01鈴木浩二 ・徳永博・柏原佳明・長野英次・横山修・島で発生した土砂災害,砂防学会誌,Vol.64,No.5,0.000.000.090.610.901.070.891.06pp.43-53.9)独立行政法人土木研究所(2008):深層崩壊の発生の恐れのある渓流抽出マニュアル(案),土木研究所資料,第 4115 号.10) 国土技術政策総合研究所(2016):土石流・流木対②/③0.000.000.000.000.000.070.000.05松村和樹・藤田正治・山田孝・権田豊・沼本晋也・堤大三・中谷加奈・今泉文寿・島田徹・海堀正博・策設計技術指針解説,p.1.カバー的中率的中率率比7057433536152119建設省(1999):土石流危険渓流および土石流危険11) 地盤工学会(2006):豪雨時における斜面崩壊のメカニズムおよび危険度予測,pp.73-96.0.000.000.000.000.002.230.001.7612) 谷垣勝久・後誠介・古根川竜夫・木村好延・森山将斗・江種伸之(2015):平成 23 年台風 12 号による新宮市高田口の土石流災害,第 50 回地盤工学研究発表会概要集,pp.2263-2264.13) 澁谷啓・李俊憲・鏡原聖史・岡本健太・若本達也・危険度「小」片岡沙都紀(2014):締め固めた六甲山まさ土の工学的特性について,基礎工,Vol.42,No.12,pp.53-56.14) 相澤泰造・酒井俊典・林拙郎(2009):三重におけ参考文献1)元山勉(2017):平成 26 年 8 月広島豪雨土砂災害にる岩相と斜面破壊形態の特徴,日本地すべり学会誌,Vol.46,No.1,pp.35-42.おける現場対応について,砂防学会誌,Vol.69,No.615) 小山内信智・桂真也・冨田陽子・小川紀一朗・中田号,pp.92-96.2)3)国土交通省:土砂災害防止法,入手先<http://www.慎:森林の崩壊抑制効果を反映した生産土砂量の推mlit.go.jp/river/sabo/linksinpou.htm>(参照 2018.9.5)定に向けた一考察(2011),砂防学会誌,Vol.63,No.5,pp.22-32.国土技術政策総合研究所(2016):砂防基本計画策16) 佐々木靖人・阿部昌彦・平野勇(1991):斜面崩壊定指針(土石流・流木対策編)解説,pp.14-19.4)の規模と発生数に関するフラクタル,応用地質,田内裕人・中村誠・江種伸之・平田健正(2017):Vol.32,No.3,pp.1-11.降雨パターンと土壌雨量指数に着目した平成 23 年17) 田中義則・阿部敏夫・陶山正憲(1997):樹木の抜台風 12 号の土砂災害の誘因解析,土木学会論文集5)B1,Vol.73,No.4,pp.I_1243-1248.根抵抗力による山地防災機能の評価方法について,深川良一(2016):平成 23 年紀伊半島大水害の実態森林応用研究,pp.155-158.It is of great importance to determine the priority for constructing countermeasure facilities againstslope failure by evaluating the failure risk of each cited slope. In this paper, various factors such aslandform and geological characteristics were analyzed with relevant digital data maps for the slopefailures that were caused by heavy rainfall in the event of Typhoon No.12 in 2011. By using 50m x50m mesh GIS data, a total of 213 slope failures were analyzed by highlighting the hit rate withreference to various factors such as catchment area, slope angle, geology, landslide and vegetation.A few characteristic features were manifested; e.g., area at the geological boundary between igneousrock and sedimentary rock shows a high risk of slope failure.178
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