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出版

タイトル 平成30年7月豪雨における近畿地方の土砂災害
著者 芥川 真一・鏡原 聖史・鳥居 宣之・小田 和広・小泉 圭吾・片岡 沙都紀
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 133〜138 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000022
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  • タイトル
  • 平成30年7月豪雨における近畿地方の土砂災害
  • 著者
  • 芥川 真一・鏡原 聖史・鳥居 宣之・小田 和広・小泉 圭吾・片岡 沙都紀
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 133〜138
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000022
  • 内容
  • 平成 30 年 7 月豪雨における近畿地方の土砂災害Sediment disaster of the kinki district caused by a heavy rain of July, 2018芥川真一*,鏡原聖史**,鳥居宣之***,小田和広****,小泉圭吾*****,片岡沙都紀******Shinichi AKUTAGAWA, Satoshi KAGAMIHARA, Nobuyuki TORII, Kazuhiro ODA, Keigo KOIZUMIand Satsuki KATAOKA西日本では平成 30 年 7 月豪雨によって,数多くの土砂災害,洪水災害が発生した。大阪府,京都府,兵庫県,滋賀県,奈良県,和歌山県,福井県の報告によると死者 9 名,土砂崩れ 627 箇所,山腹崩壊 329 箇所,堤防被害 25 箇所,ため池被害 218 箇所とされている。本報告は,近畿地方における災害気象の概要,府県の災害概要ならびに著者らが実施した現地調査の結果について述べるとともに,今回の災害の特徴と今後の防災,減災に向けた課題について述べる。キーワード:豪雨,土砂災害,盛土,切土,自然斜面havey rain, sediment disaster, embankment slope, excavation slope, natural slope海を北上し,7 月 4 日には日本海を北東に進み,4 日 151.はじめに近年,豪雨,地震によって土砂災害が頻発している。時に温帯低気圧に変わった。また,5 日から 8 日にかけ国土交通省によると土砂災害発生件数は,平成 19(2007)ては,西日本付近に停滞した前線に向かって,南から暖1)していかい湿った空気が流れ込み,近畿地方では前線の活動がる。この数字が示すように,毎年 1,000 件もの土砂災害活発となった。降り始めからの総雨量が兵庫県篠山市後が発生し,尊い人命が失われている。平成 30(2018)年川(5 日 00 時から 8 日 18 時まで)で 506.5 mm,京都府も 6 月 28 日~7 月 8 日までの総降水量が四国地方で 1800福知山市坂浦(5 日 00 時から 8 日 11 時まで)で 522.0 mm年から平成 28(2017)年で平均 1,051 件と報告mm,東海地方で 1200 mm,九州北部地方で 900 mm,近畿地方で 600 mm,中国地方で 500 mm を超えるところがあるなど,7 月の月降水量平年値の 2~4 倍となる大雨となったところがあり,九州北部,四国,中国,近畿,東海地方の多くで 24,48,72 時間降水量の値が観測史上第1 位となるなど,これまでの観測記録を更新する大雨となった 2)。この豪雨によって,広島県,愛媛県,岡山県で大規模な河川の氾濫、浸水被害,土砂災害等が発生した。一方,近畿地方では,広島県,愛媛県,岡山県のような大規模な洪水,土砂災害とはならなかったものの,広範囲で土砂災害が発生した。本報告は,近畿地方における災害気象の概要,府県の災害概要ならびに著者らが実施した現地調査の結果について述べるとともに,今回の災害の特徴と今後の防災,減災に向けた課題について述べる。2.気象の概要気象庁大阪管区気象台の発表 3)では,平成 30(2018)年 6 月 29 日に日本の南で発生した台風第 7 号は,東シナ教授*神戸大学大学院Prof., Kobe University**株式会社ダイヤコンサルタント***神戸市立工業高等専門学校****大阪産業大学教授*****大阪大学大学院助教******神戸大学大学院 助教図-1 アメダス期間雨量 3)次長教授Assistant Director, DIA consultantsProf., Kobe City College of TechnologyProf., Osaka Sangyo UniversityAssistant Prof., Osaka UniversityAssistant Prof., Kobe University133 の記録的な大雨となった。兵庫県,京都府では数十年に一3.近畿地方の災害概要度の降雨量となる大雨が予想される場合に発表する大雨3.1 被害概要近畿地方の行政機関の災害報告 5~11)を整理した。その特別警報が発表された。図-1 は,6 月 28 日 12 時から 7月 8 日 15 時までのアメダス期間雨量を示したものである。結果を表-1 に示した。行政ごとに発表されている項目にこの図に示すように高知県から岐阜県にかけて期間雨量違いがあるものの,この表に示すように人的被害,住宅300 mm 以上の範囲が広域に分布していることがわかる。被害,土砂崩れ,山腹崩壊,堤防,ため池一部損壊など次に,兵庫県(神戸,一宮),京都府(綾部)におけるの被害が広域に発生していることがわかる。山地,崖地時間雨量と累積雨量の変化を図-2 に示した。この図に示などの土砂災害に着目すると表-1 の土砂崩れ,山腹崩壊すように神戸は,期間雨量が 511.5 mm,最大時間雨量の発生件数の合計は 956 件となっている。中でも兵庫県25.5 mm/h である。一宮は神戸と期間雨量は同じであるが最も多く 688 件となっている。また,近畿地方では,が,最大時間雨量が 39.5 mm/h と大きい。一方,綾部は,この災害による人的被害(死者)は,9 名で,その内, 4期間雨量は神戸や一宮より小さく 433.5 mm であるが,名の方が土砂崩れによってお亡くなりになっている。最大時間雨量は 52 mm/h と他より大きい。これらの比較表-1 災害報告一覧 5~11)から,神戸に比べ,一宮や綾部は後半に短時間雨量 40から 50 mm/h の降雨を受けた特徴がある。大阪府京都府兵庫県滋賀県近畿地方で,近年災害が発生した事例として,平成 26人的被害(死者)05211--9(2014)年 8 月に兵庫県丹波市で局地的,崩壊箇所が非人的被害(負傷者)2711--1-21住宅被害(全壊)11513----29住宅被害(大規模半壊)-1-----1住宅被害(半壊)-4917--2-68住宅被害(一部損壊)96958-113141住宅被害(床上浸水)753966-142-655土砂崩れ72952121-4-627山腹崩壊10150167---2329堤防79-2-2525ため池一部損壊750160---1218常に多い土砂災害が挙げられる。その災害時の雨量観測記録 4)は,期間雨量(8 月 14 日から 8 月 17 日)454 mm,最大時間雨量 91 mm/h であり,今回の降雨より短時間雨量が大きい特徴がある。この降雨と比較すると,今回の降雨は,広域で時間雨量が最大で 25~55 mm 程度で期間雨量多い雨であったと言える。60(a)神戸時間雨量累積雨量国土交通省近畿地方整備局(以降,整備局)によると5004040030300202001010006/28 6/29 6/307/17/27/37/47/57/67/77/8兵庫県宍粟市波賀町道谷(写真-1 参照)と京都府福知山市大江町公庄(写真-2 参照)で大規模な崩壊が発生し,天然ダムが形成されたとの報告がある。整備局では,天然ダムの決壊を防ぐためにポンプ排水や排水管などの設置がなされ,決壊に備え,センサなどを設置し,警戒避難体制が取られたとのことある。河道を閉塞するような07/9大規模な崩壊も発生している。時間60600時間雨量累積雨量500(b)一宮4040030300202001010006/28 6/29 6/307/17/27/37/47/57/67/77/8累積雨量(mm)時間雨量(mm/h)50合計3.2 天然ダム600累積雨量(mm)時間雨量(mm/h)50奈良県 和歌山県 福井県07/9時間60500(c)綾部4040030300202001010006/28 6/29 6/307/17/27/37/47/57/67/77/8累積雨量(mm)時間雨量(mm/h)50写真-1 兵庫県宍粟市の天然ダム(国土交通省提供)600時間雨量累積雨量07/9時間図-2 時間雨量と累積雨量 2)をもとに整理写真-2 都府福知山市の天然ダム(国土交通省提供)134 4.現地調査水路等の機能を維持することや豪雨前に補修,修繕等を4.1 現地調査箇所十分行うことが必要である。また,盛土に入った雨水を現地調査は,7 月 14 日に兵庫県宍粟市,14 日,21 日すばやく抜く等の対応策も実施しておくことが望ましい。に京都府綾部市,7 月 15 日,8 月 5 日に兵庫県神戸市,対策の実施が難しい箇所や重要箇所においては,設計で兵庫県川辺郡猪名川町周辺で車から見える範囲で現地調想定してない地下水位の発生,上昇についても安定を保査を行った。そのため,今回の災害のすべてを確認したてるような対策を事前に施す等の備えが必要である。わけではない。本報告では,著者らが目視で行った調査から特徴的な事例について述べることとし,各調査地のマンホール詳細については,別途整理しているので,そちらを参照12)されたい。なお,本報告は速報的なもので,今後の調査で修正される場合がある。暗渠管4.2 現地調査箇所の分類著者らが災害調査を実施した 57 箇所において,盛土や切土などの人工改変地で発生した崩壊,自然斜面の表層型崩壊,地すべり,大規模崩壊,渓流からの土砂流出・土石流の 5 つに分類した。分類した結果を図-3 に示した。この図に示すように人工改変地における崩壊が全体の写真-3 谷埋め盛土の崩壊箇所63%を占め,ついで表層崩壊(21%),土砂流出・土石流(11%),大規模崩壊(3%),地すべり(2%)の順となっ4.4 表層崩壊ている。以降,それぞれの代表箇所の状況について述べ表層崩壊は,概ね幅 10~20m 程度と比較的小規模なもる。のが多かった。写真-4 は,花崗岩地域の表層崩壊箇所で幅 20m 程度の比較的斜面の高い箇所で崩壊している。一大規模崩壊 地すべり2%3%土砂流出・土石流11%方,写真-5 は,流紋岩が分布する地域の表層崩壊であり,人家裏で幅 10m 程度の崩壊が,斜面下部付近で発生している。両者の崩壊発生箇所の違いについては,斜面の傾斜や崩壊土層厚に違いが影響しているものと考えられるが,現時点では,崩壊土層の分布や地形状況などの詳細な情報がないため,明らかではない。また,写真-4,写表層崩壊21%真-5 に示すように,斜面のすべてで崩壊が発生しているわけでなく,崩壊していない斜面が大部分を占めている。このことから,同じ降雨を受けても崩壊せずに安定を保人工改変地崩壊63%った斜面があることも事実で,この原因についても検討図-3 調査箇所における災害形態分類を進める必要があると言える。また,前述したように 9564.3 人工改変地における崩壊人工改変地における崩壊は,盛土斜面(谷埋め盛土も含む),切土斜面で多く発生していた。これは,盛土や切土に降雨が浸透することによって,土中内の地下水位が上昇し,土塊が不安定化して崩壊したもの。あるいは,盛土や切土の排水路やますの排水能力を超え,溢れた水によって盛土や切土を浸食等されることによって崩壊したものがあった。写真-4 花崗岩地域の表層崩壊写真-3 は,崩壊地内に暗渠管が確認できることから,谷埋め盛土が崩壊した現場であると言える。崩壊の原因は,今回の豪雨によって,谷埋め盛土内に多量の雨水が浸透し,崩壊したものと推察される。調査した人工改変地の崩壊で直接,人命に危害を与えるような箇所は幸いにもなかったが,近年の降雨が累積雨量や短時間雨量が極端に多くなっている現状を鑑みると,盛土内への雨水の浸透を極力低下させるために,排写真-5 流紋岩地域の表層崩壊135 箇所のがけ崩れ,山腹崩壊が発生しているとの報告があでは, クリープ的な変形が発生しており,斜面が不安定ったが,車上から確認できる崩壊地は比較的少なかった。状態であったことが想定される。図-5 は,崩壊前に航空このことから,人家裏の小規模な崩壊が多いものと推察レーザー測量された結果を CS 立体図にしたものである。する。この図をみると,崩壊前から谷地形が形成されている状況が確認できる。このことから,当該箇所は,もともと4.5 土砂流出・土石流谷地形が形成される位,山地内の水が多い箇所であった土砂流出箇所の事例を写真-6 に示す。この写真に示すと推察できる。以上のことから,今回の豪雨によって,ように,宅地開発された擁壁背後から土砂が流出してい多量の水が浸透し,山地内の地下水が上昇することによる。この擁壁の背後は流域面積が約 0.47 ha と小さく,河って谷上部の斜面が崩壊,流動化したものと考えられる。床勾配 15 度以上の土石流発生域の分布も少ない,凹地であった。今回の豪雨で凹地に集まった水が擁壁背面に浸透し,地下水位が上昇,土砂が流動化したものと考えられる。このように開発された背後の谷地形から土砂が流出した箇所がいくつか確認できた。一方,斜面崩壊し,その崩壊土砂が土石流化して,長距離流動化した事例もあった。擁壁背後に凹地がある。図-5 崩壊前地形(兵庫県提供)4.7 地すべり新生代古第三紀始新世末から漸新世に形成された堆積岩分布域では,地すべりが発生していた。この地すべりによって,写真-8 に示すように神社本殿前の平坦地に多数の開口クラックや段差地形が形成されていた。また写真-9 に示すように神社入り口の階段が全体として隆起していた。写真-6 土砂流出4.6 大規模崩壊大規模崩壊の事例を写真-7 に示す。この写真に示すように幅 50 m 程度,崩壊厚さ 5 m 程度で,崩壊土量は約 3万 m3 である。崩壊土砂が人家を破壊し,堆積している状況が確認できる。崩壊地内の左側には湧水が認められ,周辺より深く削れている。一方,斜面中央から右にかけては,崩土と思われる土塊が厚く分布している。地質は,産業総合技術研究所の地質図 Navi13)によると写真-8 開口クラックの状況古生代ペルム紀の花崗閃緑岩が分布している。また,過去の空中写真では,今回の滑落崖付近に凹地が確認できることから,斜面崩壊が発生する前の長い間にこの斜面写真-9 隆起した階段4.6 対策工の効果事例写真-7 大規模崩壊地これまでに実施された対策工が効果を示した事例につ136 いて述べる。まず,写真-10 に示すように急傾斜地崩壊これら計測器が捉えた平成 30(2018)年 7 月の豪雨時に対策事業でのり枠工と重力式擁壁が施工された箇所におおける土中水分,地下水位等の変化を図-6 に示した。図いて,重力式擁壁背後の斜面が崩壊し,その崩壊した土-6(a)は,図-5 に示す最下段(地点-14 m)の箇所に設砂が擁壁背後で捕捉された事例である。この写真から擁置されたセンサの計測結果で,縦軸に体積含水率(体積壁前面に土砂が溢れ出していないことから,設計で想定含水率はセンサメーカ(Delta-T)の校正式を採用)と水位,された土砂量相当あるいはそれ以下であったものと推察横軸に時系列を示している。また,図-6(b)は,近隣のされる。一方,崩壊した斜面に隣接した斜面には,のりアメダス(綾部)の観測結果である。この図に示すよう枠工が施工されており,構造物の変状は確認されなかっに表層(GL-0.4 m)の土壌水分計の降雨に敏感に反応した。このことから,のり枠工による斜面崩壊防止効果がている。一方,表層(GL-1.4 m)の土壌水分計は比較的確認できる。つぎに,道路に設置された落石防護柵が,累積雨量の大きい降雨に反応し,7 月 7 日 2:00 から 4:00斜面から崩落してきた樹木と土砂を受け止めている事例にかけて大きく上昇している。地下水位も表層(GL-1.4を写真-11 に示す。通常,落石防護柵は,落石が道路にm)の土壌水分計が上昇する時刻と同様,最大で GL-0.6 m落ちることを防護するために設計,施工されるものであ程度まで上昇している。ただし,長時間地下水位が高いる。この事例に示すように小規模な土砂であれば,設計状態が継続するのではなく,わずか 2 時間程度で低下しでは想定されていない土砂であっても柵で捕捉されていている。このような土中水分の変化が観測されたが,傾る。一方,規模の大きな土砂が崩壊した箇所では,落石斜計(地上)に明瞭な変化は確認されていない。防護柵が破損している事例もあった。今後,小規模な土この結果から,地下水位は,急激に発生,上昇,消散砂に対する落石防護柵の安定性評価方法について,考えしていることが確認できた。もともと不安定な斜面で,ていく必要がある。最後に,砂防えん堤,谷止工やのりこのような地下水位が発生すれば,崩壊する危険性が高面対策工が施されているところでは,総じて被害が軽微まるものと考えられる。事実,当該箇所の周辺で斜面がであったと言える。崩壊した箇所があり,この計測結果と同様の土層内の急激な水分,地下水位の変化が発生したものと考えられる。上段 ID4傾斜計土壌水分計×3深度ID0中段 ID2傾斜計カメラ雨量計ID3基地局傾斜計ID0土壌水分計×3深度地点-0m275cm80cmID6土壌水分計×3深度:貫入実施ポイント210cm:基準点開始ポイント6080120土壌水分計×3深度ID9100cm地点-7m傾斜計ID12:計測ポイント写真-10 急傾斜地崩壊防止対策工の効果下段 ID3傾斜計Nd:20を結んだ線土壌水分計×3深度ID13.5:水位計4080120270cmID15カメラID1850cm175cm土壌水分計×3深度ID21地点-14m115cm図-5 計測器の配置 14)115cm体積含水率(cm3/cm3)(a)土中内の水分状態の変化0.70.60.50.40.30.20.10-0.12018/7/4 0:000-0.2-0.4-0.6-0.8-12018/7/5 0:00土壌水分計 Ch.1-40cm2018/7/6 0:00時間2018/7/7 0:00土壌水分計 Ch.3-120cm-1.22018/7/8 0:00水位_設置深度-1.1m(b)降雨の変化正時時間雨量(mm)604.7 地盤内の土中水分状況観測事例京都府綾部市にある安国寺の斜面の動態をモニタリン14)が設置した計測機器の配置を図-5 に示した。この図に示すように斜面表層の土中水分,土壌水分計,水位計,傾斜計(地上)を設置している。4003504030025030200201501001002018/7/4 0:00地下水位,斜面変動を計測することを目的に,それぞれ45050502018/7/5 0:002018/7/6 0:002018/7/7 0:00図-6 計測結果13702018/7/8 0:00累積雨量(mm)写真-11 道路沿いの落石防護柵の効果グするために,小田ら雨量計水位(m)306090 5.まとめたって,災害に関する資料を提供頂いた国土交通省近畿5.1 土砂災害の特徴地方整備局,大阪府,京都府,兵庫県,滋賀県,奈良県,今回の調査で得られた土砂災害の特徴を以下に列挙す和歌山県,福井県,大阪市,堺市,京都市,神戸市の関る。係各位に謝意を表します。 広域に累積雨量が多い降雨であったため,被害が広域参考文献に及んだ。 行政機関の報告によると近畿地域で発生した土砂災害は, 956 件であった。1)国土交通省(2018):砂防 NEWS.2)気象庁(2018):平成 30 年 7 月豪雨(前線及び台風 集水地形や何らかの条件で水が集まりやすい,あるい第7号による大雨等).は滞水しやすいところでの崩壊が多く,特に人工斜面3)気象庁大阪管区気象台(2018):平成 30 年 6 月 28日から 7 月 8 日にかけての台風第 7 号と前線等によ(切土,盛土,石積みなど)での崩壊が多い。 崩壊は,表層崩壊や大規模崩壊,地すべりなど地形,る大雨について.地質によって,その形態が異なっていた。4) 防災施設の効果が発揮されていた事例が多いが,まれ松村和樹・長谷川祐治・藤本将光・中谷加奈・西川友章・笠原拓造・柳崎剛・鏡原聖史・加藤智久・岡野和行・鈴木崇・平岡伸隆(2015):2014 年 8 月のに対策工そのものが破壊された事例もあった。 斜面内の土中水分の計測結果から降雨中に急激な土壌豪雨による兵庫県丹波市で発生した土砂災害,砂防学会誌,Vol.68,No.1,pp.60-67.水分,地下水位の上昇が認められた。またその変化は僅かな時間であった。5)大阪府(2018):平成 30 年 7 月 5 日からの大雨に係る被害状況等について(第 16 報).5.2 今後の防災・減災に向けて6)京都府(2018):平成 30 年 7 月豪雨による被害等の状況について(平成 30 年 8 月 21 日 10 時現在).行政・技術者の方々への提言として,今回の調査結果や被害箇所のうち地盤の変形などに関するモニタリング7)兵庫県(2018):平成 30 年 7 月豪雨の被害等について(第 15 報).が実施されていた箇所はなかったことを受けて,今後,以下の事項について考える必要がある。8)滋賀県(2018):平成 30 年 7 月 5 日からの大雨によ9)奈良県(2018):平成 30 年 7 月 5 日からの大雨によ 気象情報に基づく広域な避難情報に対する住民の対応る被害に関する情報について(第 10 報).が遅れる現実を勘案し,豪雨時の周辺地盤の状態に関る被害状況等について(第 14 報).する安全・危険情報を的確に入手し,住民に遅滞なく10) 和歌山県(2018):平成 30 年 7 月 6 日の台風第 7 号周知する仕組みの構築とそのあり方 対策された箇所の継続的な点検・維持・補修や近年の及び前線等による大雨に伴う被害状況等について(第 7 報).災害外力の増大傾向に鑑みて既存施設の補強などのあ11) 福井県(2018):大雨による影響について【7 月 13り方 これまで構造物の設計上,考慮していない地下水位の日(金)11:00 時点】.12) 公 益 社 団 法 人 地 盤 工 学 会 関 西 支 部 災 害 調 査 団上昇なども想定した設計あるいは維持管理のあり方(2018):斜面災害調査報告書.つぎに,住民の方々へのお願いとして,現在の技術では,13) 産 総 研 地 質 調 査 総 合 セ ン タ ー HP :ピンポイントで崩壊箇所や時間を予測することができていないことから,住民自らが,生活しているところの地https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php#10,34.82175,1形や過去の災害履歴を知って,豪雨時には早めに避難を35.48047,(2018.7.21 閲覧)14) 小田和広・矢野晴彦・鏡原聖史・深川良一・片岡沙行うことが肝要である。最後に,本災害により犠牲となった方々のご冥福をお都紀・小泉圭吾・小山倫史・笹原克夫・辻野裕之・祈りするとともに,被害を受けられた皆様にお見舞い申藤本将光・伊藤真一・大段恵司(2017):京都府綾し上げます。部市安国寺裏斜面におけるモニタリング計測器配置の検討,地下水地盤環境・防災・計測技術に関す謝辞:本報告は,地盤工学会関西支部災害調査団の調査るシンポジウム論文集, pp.212-217.結果をまとめたものである。また本報告をまとめるにあGeo-hazards that occurred in the 2018-July heavy rain have led to 627 landslides, 329mountain-side collapses, 25 embankment failures, 218 damaged ponds and have claimed 9 lives inKinki region. This report is a brief summary that states weather records and damages caused by thisheavy rain and refers to future strategy for damage mitigation for a heavy rain of the similarmagnitude.138
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