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出版

タイトル 2018年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析
著者 橋本 隆雄
出版 第61回地盤工学シンポジウム
ページ 13〜20 発行 2018/12/14 文書ID fs201812000003
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  • タイトル
  • 2018年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析
  • 著者
  • 橋本 隆雄
  • 出版
  • 第61回地盤工学シンポジウム
  • ページ
  • 13〜20
  • 発行
  • 2018/12/14
  • 文書ID
  • fs201812000003
  • 内容
  • 2018 年北海道胆振東部地震による北広島市大曲並木地区の宅地被害分析Analysis of residential land damage in the Omagari-namiki district ofKitahiroshima City by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake橋本隆雄*Takao HASHIMOTO2018 年北海道胆振東部地震は,9 月 6 日 3 時 7 分に発生し,震源深さ 37km(気象庁暫定値),地震の規模マグニチュード 6.7 で,厚真町で最大震度 7 を観測し,厚真町,安平町をはじめ,北海等南西部の広い範囲の低地から丘陵地で斜面崩壊を生じた。一方,札幌市から北広島市にかけては,震中から 50km 以上離れているにも関わらず,地震による液状化,宅地擁壁や斜面の崩壊も生じた。本論分では,北広島市からアドバイザーとして依頼を受け,これまで宅地地盤・擁壁・道路等の公共施設の被害調査及び土質調査に基づく宅地被害分析結果ついて,以下に述べる。キーワード:北海道胆振東部地震,地震,宅地,盛土,被害Hokkaido Iburi Eastern Earthquake, earthquake, residential land, embankment, damage1.はじめに北海道胆振東部では,9 月 6 日 3 時 7 分に震源深さ 37km(気象庁暫定値),地震の規模マグニチュード 6.7 の大地震が発生した。北海道の石狩地方南部から胆振地方中∼東部,日高地方北部までの広い範囲で震度 5 を観測し,厚真町で最大震度 7 を観測した。この地震に伴い,厚真(a)宅地地盤のクラック町,安平町をはじめ,北海等南西部の広い範囲の低地から丘陵地で斜面崩壊が生じた。一方,札幌市から北広島(b)建物基礎部のクラック写真-1 宅地の被害状況市にかけては,震中から 50km 以上離れているにも関わdらず,地震による液状化,宅地擁壁や斜面の崩壊も生じた。本論文は,北広島市からアドバイザーとして依頼を受け,これまで宅地地盤・擁壁・道路等の公共施設の被害調査,土質調査について,現時点で住民説明会を通して報道に公開している内容について以下に述べる。2.宅地被害調査2.1 調査概要宅地は,大曲川の河川に沿って写真-1 に示すように盛土の崩壊等の被害を生じた。そこで,宅地地盤の被害状況を把握するために,図-1 に示すように 147 件の宅地被害調査を行った。2.2 建物の平均傾斜建物の被害状況は,写真-2 のように家屋の平均傾斜は,盛土縁辺部が大きくなっている。建物の平均傾斜について調査を行った結果は,図-2 のようになった。この図は,罹災証明と異なり,No16 の宅地の傾斜がほとんど無いことが分かる。* 国士舘大学理工学部図-1 宅地被害調査箇所教授Prof., Faculty of Engineering, Kokushikan University13 2.4 石積擁壁の変状調査2.3 建物の最大傾斜写真-3 は,図-4 の宅地間の練石積擁壁の被害調査箇所図-3 は,計測した建物の最大傾斜量と方向を示したもの被害状況である。被害状況は,石積みが布積みであるのである。ために,横にクラックが入り建物上部の荷重が大きいために崩壊する恐れがある。3.公共施設の被災調査谷側の盛土内部では,写真-4 に示すように道路のクラック及び液状化による噴砂が発生している。沈下は図-5に示す地区南側の切土部で発生しており,下水道の埋戻(a)No.81(b)No.16し土が沈下している。下水道本管は被災していない。写真-2 建物被害状況写真-3 練石積擁壁の変状図-2 建物の平均傾斜図-4 宅地間の練石積擁壁の被害調査結果(a)道路のクラック図-3 建物の最大傾斜量(b)液状化による噴砂箇所写真-4 道路に発生したクラック状況14 4.土質調査結果現地の地盤状況を確認するために,以下のように土質調査を行った。①ボーリング調査:10 か所(図-7∼図-12)②高密度表面波探査1側線.高密度表面波探査は,図-10 に示すように道路上に地震計を設置して,カケヤで起振(人工的に起振させる)することで発生した表面波を測定した。図-7 土質調査位置図図-5 公共施設(道路・下水道等)の被災状況図-8 地層想定断面位置図図-6 罹災証明に平均傾斜補正した図と公共施設被災の図-9 地質構造重ね図15 図-10 高密度表面波探査(a)断面1(b)断面 2(c)断面 3図-11 地質断面図16 (d)断面 4(e)断面 5(e)断面 6(e)断面 7図-12 地質断面図17 5.安定解析結果16 宅地は,写真-5 に示すようにφ200mm の RC 杭で最小安全率:Fs=1.436支持されているために,建物の傾斜が無かった。しかし,地盤は両側の 17 宅地および 15 宅地の石積擁壁の崩壊に伴う土砂流出による沈下のみで水平移動も無く,石積擁壁の南側変状無し(両側は崩壊の影響を受けている。そこで,地質断面 3 の地盤モデル(17 番宅地,16 番宅地)を用いて,安定解析を実施した。解析条件としては以下の 4 ケースで実施した。①定常時水位(地下水位が低い状態):常時②豪雨時水位(地下水位が高い状態):常時③定常時水位の地震時④複合災害(豪雨時の地震時)図-14 16 宅地の安定解析結果(豪雨時)16 番宅地は,図-13 及び図-14 に示すように杭基礎の最小安全率:Fs=0.891為,盛土上部の上載荷重を見込んでいない。17 番宅地は,,図-15 及び図-16 に示すように直接基礎の為,盛土上部の家屋上載荷重を考慮している。安定解析の結果を表-1に示す。図-15 17 宅地の安定解析結果(豪雨時+地震時)写真-5 宅地の安定解析の比較箇所最小安全率:Fs=1.293最小安全率:Fs=1.038図-16 17 宅地の安定解析結果(豪雨時)表-1 安定解析結果一覧表図-13 16 宅地の安定解析結果(豪雨時+地震時)※16 番宅地については杭基礎の為,盛土上部の上載荷重を見込んでいない。18 6.液状化判定表-1 PL 値と液状化による影響の関係液状化を起こす要因としては以下の3つがあり,一般的には①∼③をすべて満たさない場合は液状化しないものと考えられる。①緩い砂地盤であること②飽和した(地下水位よりも深い深度にある)土層③地震動の強さが大きいことや,継続時間がある程であること表-2 地表変位量(Dcy)と液状化の程度の関係度長いこと表-1 は,PL 値と液状化による影響の関係である。表-2 は,地表変位量(Dcy)と液状化の程度の関係である。表-3 は,ボーリング調査の結果から液状化解析の結果である。液状化の安定は,液状化による被害はほとんどない結果となった。しかし,擁壁を含めて崩壊した B-2 および B-10 では,PL 値および地表変位量(Dcy)から液状化による可能性表-3 液状化解析結果あることが分かった。現地では,道路部で噴砂現象が見られたが,宅地部で噴砂現象が見られない。ボーリング調査の結果からは,元の地盤相当の大曲川の対岸であるB-1 の表層から 2m の沖積砂質土層の N 値が 1 と 2 であり,崩壊した B-2 地点表層から 5m で 4,1,0,0,0 と他の地点と比較して極端に低下していることから液状化が発生した考えられる。7.地下水の影響の検討大曲団地西側に発達する氾濫原低地には,図-18 及び写真-6 に示すように湧水箇所が認められ,今回の調査ボーリングから判明した地質構造より,図-19 に示すような火山灰層(Dv)下位に不透水層である洪積粘土層(Dc)が比較的連続性を持って分布することから,降雨は地層深部まで浸透することができず,氾濫原低地に湧水しているものと考えられる。図−20 は,北広島市周辺の地震前の日降雨量の合計で前日に大量の降雨があったことがわかる。このため,豪雨の際には湧水箇所から排水できない地下水が残留し,地下水位が上昇しやすい地質構造であることが考えられる。図-21 は集水地形図あり,降雨後に集まる流域が広いことが分かる。8.被災要因のまとめ図-18 湧水箇所位置図被害状況の分析を行った結果、以下のことが考えられる。①今回被災した住宅地及び公共施設等は,盛土造成したエリアに大半が集中しており,特に沢部の谷埋め盛土を造成した箇所で被害が顕著であった。②9 月 6 日に発生した北海道胆振東部地震により盛土が激しく揺さぶられ,液状化の発生等により家屋などの上載荷重を支え切れないで,宅地が滑動崩落した。③地震発生直前に到来した台風 21 号の影響により盛土部の地下水位が非常に高い状態に地震が重なっ写真-6 湧水状況た複合的要因により大きな被害となった。19 図-19 地下水位が上昇しやすい地質構造図−20 北広島市周辺の地震前の日降雨量の合計図-21 集水地形図謝辞:資料の提供・調査にご協力頂きました北広島市,㈱千代田コンサルタント,日測㈱,㈱シーウェイエンジニアリングの皆様に感謝します。参考文献1)北海道北広島市・国士舘大学橋本隆雄:第1回北海道胆振東部地震に係る大曲並木地区住民説明会,平成 30 年 9 月 24 日2)北広島市災害対策本部・国士舘大学橋本隆雄:第 2回北海道胆振東部地震に係る大曲並木地区住民説明会,平成 30 年 11 月 11 日。Residential land in the Omagari-namiki district of Kitahiroshima City was collapsed the retainingwalls and slopes by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake.In this paper, we analyzed damage by residential land and soil quality survey.As a result, the embankment had a high groundwater level after the typhoon, and was unable tosupport the top load of houses due to a large earthquake. Therefore, it became clear that the residentialretaining wall collapsed.20
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