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第55回地盤工学研究発表会発表講演集

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タイトル 全自動式粒子画像解析法による硅砂細粒分の形状評価と解析個数の妥当性に関する検討
著者 笹倉 大督・早内 愛子
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-08〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500016
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タイトル 地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見
著者 小田部 雄二
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ DS-10-11〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005501061
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タイトル 繰返し3軸試験と中空ねじり試験による液状化強度比について
著者 岡 二三生・大島 昭彦・深井 晴夫
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-06〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500030
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タイトル 撹乱によるため池堤体土のせん断強度特性の変化および堤体の安定性評価の検討
著者 工藤 啓幹・神山 惇・福林 良典・末次 大輔
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-05〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500029
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タイトル せん断波速度に現れる粒状体の異方性と粒子形状の関係
著者 Junming LIU・川口 勇一郎・大坪 正英・桑野 玲子
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-04〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500028
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タイトル CO2ハイドレートによる土粒子固着力成分を考慮した弾粘塑性構成式と非排水三軸クリープ試験への適用
著者 吉本 将基・木元 小百合
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-03〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500027
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タイトル 平面ひずみ条件下のメタンハイドレート胚胎砂の強度および変形特性に及ぼすせん断速度の影響
著者 呉 起・吉本 憲正・梶山 慎太郎・中田 幸男
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-02〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500026
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タイトル 熊本地方に堆積する火山灰質土の繰返し強度変形特性
著者 七條 隆・永瀬 英生・廣岡 明彦・日高 奈美
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-4-01〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500025
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タイトル 洗浄回数がベントナイトKP-Fの陽イオン交換量測定に及ぼす影響
著者 YAN XIAOFEI・白河部 匠・HAILONG WANG・小峯 秀雄
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-08〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500024
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タイトル 変水位透水試験による締固めたベントナイト供試体の透水係数の測定および試験方法
著者 貞松 暁大・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也・伊藤 大知・市川 雄太
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-07〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500023
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タイトル RI密度走査を利用したバライト粉末による遮蔽体形成過程における鉛直方向の湿潤密度分布変化に関する考察
著者 宮路 将人・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・吉川 絵麻・吉村 貢・氏家 伸介・長江 泰史・成島 誠一
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-06〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500022
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タイトル メチレンブルー吸着量試験を援用した泥水中のベントナイト量評価の試み
著者 原﨑 智・小峯 秀雄・後藤 茂・吉川 絵麻・宮路 将人・氏家 伸介
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-05〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500021
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タイトル 平板比較法によるベントナイトの熱伝導率の測定における側面断熱が測定精度に及ぼす影響についての考察
著者 金田 舜・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・伊藤 大知
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-04〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500020
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タイトル ベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性理論評価式・透水係数理論評価式におけるモンモリロナイト結晶層間の初期値に関する分析的検証
著者 小峯 秀雄・王 海龍
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-03〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500019
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タイトル 粘土鉱物の種類に着目した各種粘性土の膨潤圧と透水係数
著者 河野 勝宣・羽野 稜平
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-02〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500018
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タイトル 古紙を原料とする微細粉体による膨潤性粘土の物理的・力学的特性の変化
著者 新城 政昂・澤村 康生・宮﨑 祐輔・岩井 裕正・福林 良典・松隈 俊佑・木村 亮
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-3-01〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500017
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タイトル 市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態
著者 斎藤 孝夫・鳥居 剛
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-01〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500001
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タイトル 粒子画像解析法を用いたシルトにおける粒度分級処理に対する 粒子形状の影響評価 粒子画像解析法を用いたシルトにおける粒度分級処理に対する粒子形状の影響評価
著者 早内 愛子・笹倉 大督
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-07〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500015
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タイトル ベントナイト泥水に対する透水圧の段階加圧に伴う遮水性の変化およびそのメカニズムに関する一考察
著者 吉川 絵麻・渡邊 保貴・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-06〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500014
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タイトル 加温圧密促進を想定したオンサイトでの軟弱粘性土の挙動評価
著者 モハメド サクル・小河 篤史・高井 敦史・勝見 武
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-05〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500013
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タイトル 変形拘束下の締固めたベントナイトの吸水状態と鉛直・側方発生圧力の関係
著者 市川 雄太・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-04〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500012
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タイトル 局所変位に着目した粘土の圧密現象の考察
著者 奥田 喬一・京川 裕之・古関 潤一
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-03〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500011
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タイトル 一次元膨潤変形に伴う締固めたベントナイト供試体内部の含水比および乾燥密度の経時変化に関する実験的調査
著者 山本 有雅・伊藤 大知・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-02〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500010
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タイトル ウレアーゼ活性による木節粘性土供試体の固化実験
著者 金田 一広・畠 俊郎・川原 孝洋・中條 邦英・畠山 正則
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-2-01〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500009
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タイトル 載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係
著者 廣瀬 剛・伊藤 譲・塚本 光祐・三木 椋介・神戸 隆志
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-08〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500008
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タイトル 圧密による粘土のセメンテーション構造の破壊と力学的特性への影響
著者 渡部 大勢・近藤 慧・福田 文彦
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-07〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500007
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タイトル 一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例
著者 栃尾 健・武石 将和・八百山 孝・夏目 隆弘・星野 笑美子
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-06〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500006
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タイトル 三重津海軍所ドライドックの地盤特性と構造
著者 正垣 孝晴・中野 義仁
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-05〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500005
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タイトル 運搬中の振動・衝撃が粘性土の強度に与える影響(佐賀県白石町での採取試料による検討)
著者 陳 金賢・柿原 芳彦・植村 一瑛・大島 昭彦
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-04〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500004
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タイトル フォールコーン試験による粘性土の力学特性の評価
著者 西尾 伸也・鎌田 安祐美
出版 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
ページ 21-1-1-03〜 発行 2020/07/01 文書ID rp202005500003
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  • タイトル
  • 全自動式粒子画像解析法による硅砂細粒分の形状評価と解析個数の妥当性に関する検討
  • 著者
  • 笹倉 大督・早内 愛子
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-08〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500016
  • 内容
  • 21-1-2-08第55回地盤工学研究発表会全自動式粒子画像解析法による硅砂細粒分の形状評価と解析個数の妥当性に関する検討粒子形状 粒子画像解析法解析個数スペクトリス株式会社スペクトリス株式会社正会員正会員○笹倉大督早内愛子1.緒言地盤の強度や流動などの物理的な挙動は、構成される礫、粒子の特性に大きく影響を受ける。礫や粗粒分の場合、地盤の構造体強度は、それらの接触点の連鎖による force chain に起因する力学的なエネルギー分散が支配的であると考えられる[1]。しかしながら、75μm 以下、5μm 以上の細粒分、とりわけ、シルト域は異なる考察が必要となる。例として、細粒分の粒子径の体積分率の密度への影響、粒子同士の付着力や摩擦力が見かけ増大すること、形状に起因する粒子の配向性が、構造体の特性に影響を及ぼす可能性が、いくつかの他分野での先行研究において示唆されている[2],[3]。また、細粒分は液中分散することでスラリー(泥漿)を形成しやすい。特に 1μm 以上のスラリーの特性は、粒子の物理化学的エネルギーが支配的ではなく、粒子径や形状の粒子形態分布が支配的になることが示唆されている[4]。上記述べたように、細粒部の粒子形態評価を行うことは、地盤中での静的状態のみではなく、水の浸透でスラリー化した際の動的な振る舞いも推定しつつ、考察できるため大変興味深い。従来、細粒分の粒子形態、特に粒子形状の数値化は、手作業による顕微鏡観察が主に用いられてきた。これは、人による誤差や解釈の違いが生まれると同時に、大量の粒子に関する情報を取り込むことが困難であることを意味する。近年、本課題を解決する為、ISO13322-1,2 に”Image Analysis Method”として定義された、全自動粒子解析法(AnAutomated Particle Image Analysis, APIA)が開発された。具体的には、コンピュータの著しい発展に伴い、撮像した多数の粒子画像データから数千~数万個の粒子に関する諸情報を、統計的に有為な情報として比較、抽出可能な手法である。この APIA の抱える課題として、画像解析にもちいる粒子計測個数の妥当性が上げられる。粒子径については球と近似し、数値計算法で妥当性を評価する試みが報告されている[5]。しかしながら、一義的に変数を与えることで数値計算できる径と異なり、形状は粒子径と直接相関がなく、また、数値化は複数の変数を計算して行われる場合が多いため、数値計算による予測は困難である。そこで我々は、本研究において、粒子形状に着目し APIA により実測した粒子形状分布を解析することで、計測数の妥当性を検証したので報告する。2.試料と計測今回の検討試料は、モルタルの骨材などにも使用されることが多く、スラリー状態での用途も想定される東北硅砂を選択した。APIA 分析をおこなった。装置は Morphologi G3(Malvern Panalytical Instruments)を用いた。粒子の撮像は透過光、総合倍率 500 倍で行われた。試料は装置付属の SDU(Sample Dispersion Unit)によりガラスプレート上に乾式分散された測定に供された。得られた粒子画像データから、円相当径で 75μm から 5μm のシルト分をデータ 分画し、4 万個以上の粒子から各々の円形度およびアスペクト比を、fig.1 に示した例のようにそれぞれ解析した。続いて、粒子個数を適切に基づいて 30 種類の個数抽出を行い、各解析粒子個数での頻度分布は X 軸の分解能 0.001、Y 軸は個数頻度を総計 100%に正規化し、さらにはそれぞれの分布特性値を算出した。具体的な解析は、分布特性値のDn50 を選択した結果と、分布を fitting した残差の二乗平均平方根(Root Mean Squire Error :RMSE)を Noise とし数値化した粒子個数との関係性の検討を行った。分布の fitting および残差の RMS 算出は、最大計測個数の頻度分布を多項式による非線形最小二乗法(Levenberg-Marquardt 法)で fitting し、各関数の係数を求めたのち、各粒子数における頻度分布と fitting との差分をとった残差の RMSE を算出した。3.結果円形度およびアスペクト比における個数頻度分布と分布特性値を、全計測粒子数(43,583 個)で算出した。(fig.2および Table 1.)分布はやや不均一性を持ち、頻度分布における最大値である Mode 値は円形度で 0.682%、アスペクト比で 0.320%であった。得られた結果をもとに、分布の平均特性値(Mean)と fitting 法で得られた RMSE との計測個数とのべき乗関数による相関を検討した(Table 2.)。これらの解析より、分布特性値は有為な結果を与えなかったが fitting 法の RMSE は fig.2(a)(b)に示したように、決定係数 R2=0.999 以上の良好な相関関数を得た。この関数からMode 値を最大シグナルとし、Noise レベルとして期待できる RMSE を Mode との比率(Ratio)として定義し、これを満たす計測個数を類推した(Table 3.)4.考察本研究において、シルト域の土壌試料における粒子形状分布を表現するために必要とする粒子数を検討するための手法および検証、解析を行った。得られた結果を整理すると、RMSE で Mode 値の 5%以下を期待値とした場合、円形度で 2 万個以上、アスペクト比で 5 万個以上程度必要であることが示唆された。10%以下を期待値としても 5000~10000 個以上を要求された。したがって、少なくとも形状を有為な結果を用いて分布として表現するには 5 万個程度必要とされることが本研究によって示唆された。Study of validity for calculate particle number on fine silica sandby an automated particle image analysis.© 公益社団法人 地盤工学会Daisuke Sasakura Spectris Co., LtdAiko Hayauchi Spectris Co., Ltd- 21-1-2-08 - 21-1-2-08第55回地盤工学研究発表会fig.1 Data Examples of image analysisfig.2 Normalized frequency distribution of shapes.Table .1 Numerical definition of identical parameters.#ParticleAspect Ratio Dn10 Aspect Ratio Dn50 Aspect Ratio Dn90 Aspect Ratio Mean Circularity Dn10 Circularity Dn50 Circularity Dn90435830.5120.7050.8790.7000.7280.8360.917Circularity0.828fig. 3 RMSE vs # of particle count on circularity and aspect ratioTable 2. R2 Vale of # of particle vs Mean and RMSECategoryMeanTable 3. Estimated particle number by correlation curve.RMSECircularityRatioAspect ratio0.5480.999Circlality0.4410.999EstimatedRMSEAspect RatioEstimated#of PartcilesEstimatedRMSEEstimated#of Partciles0.010.006826671860.003215036650.050.0341223570.016548740.10.068251790.032131870.20.136412000.06431690.50.3411740.16481参考文献1) Peters, J. F., Muthuswamy, M., Wibowo, J., & Tordesillas, A. (2005). Characterization of force chains in granularmaterial. Physical review E, 72(4), 041307.2) Aerosol Science, Ed. C N Davies, Academic Press, London and New York, 1966]3) Fu, X., Huck, D., Makein, L., Armstrong, B., Willen, U., & Freeman, T. (2012). Effect of particle shape and size on flowproperties of lactose powders. Particuology, 10(2), 203-208.4) Barnes, H. A. (2000). A handbook of elementary rheology.5) Masuda, H., & Gotoh, K. (1999). Study on the sample size required for the estimation of mean particle diameter. AdvancedPowder Technology, 10(2), 159-173.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-08 -
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  • タイトル
  • 地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見
  • 著者
  • 小田部 雄二
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • DS-10-11〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005501061
  • 内容
  • DS-10-11第55回地盤工学研究発表会地盤品質判定士の最近の動向と今後の展開に関する私見地盤品質判定士,最近の動向,今後の展開地盤品質判定士協議会 事務局長(株)アサノ大成基礎エンジニアリング地盤品質判定士 地盤工学会 正会員 小田部雄二はじめに2013 年 2 月 4 日に地盤品質判定士(以下,判定士)資格制度が創設されてから 8 年目を迎えた。2018 年 2 月 27 日には,国土交通省「平成 29 年度公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」の新分野である宅地防災の登録資格として唯一認定され,判定士の活躍の場が進展している。ここでは,最近の判定士関連活動の動向と,国土交通省と各自治体が展開する宅地耐震化事業との連携など,今後の展開について個人的な意見を述べる。なお,判定士資格制度には一次試験資格の判定士補もあるが,ここでは判定士に焦点を当てて記す。1.登録者状況判定士は,図-1 に示すように 2013 年度の資格創設時には約 400 名の登録者があり,その後各年度100~200 名程度の新規登録者により,2018 年度で 1,000 名を超える登録者総数となった。しかし,年度を経るごとに登録者数が漸減し,登録者総数の増強が課題である。判定士の全国分布を図-2 に示すが,全ての都道府県を網羅するものの,図中の黄色の網掛け部分は 10 名未満であり,全体の約半分を占める。今後の活動を活性化するためには,更なる増加を目指さなければならない。2020 年度は更新登録の 2 年目を迎えたが,約 1 割の判定士の方が未更新である。今後も,できるだけ多くの対象者が手続きをすることが必要である。また,新規登録者数を増加させるには,合格者数ならびに受験者数を増加させる必要がある。受験者数を増加させるには,本資格の社会的な付加価値を高めることはもちろんのこと,受験資格要件を拡大するなど上流側での対応も検討していくことになる。図-1判定士の登録者数の推移1)図-2判定士の全国分布 1)2.多種多様化する役割本資格制度の創設時の目的は,宅地の造成業者,不動産業者,住宅メーカー等と住宅及び宅地取得者の間に立ち,地盤の評価(品質判定)に関わる調査・試験の立案,調査結果に基づく適切な評価と対策工の提案等を行う能力を有する技術者を社会的に明示することを通じて,国民が専門家の知識・経験を活用できる社会システムを構築することであった。当初は住宅地盤の無料相談会や各種セミナRecent trends and personal opinions regarding the next development of ProfessionalEngineer for Geotechnical EvaluationYuji Otabe. The Japanese Association for Geotechnical Evaluation Executive Director.Asano Taiseikiso Engineering Co.,Ltd.© 公益社団法人 地盤工学会- DS-10-11 - DS-10-11第55回地盤工学研究発表会ーなどを通じ,一般市民のサポートを展開してきた。その後,多種多様な災害が発生し,それらの災害対応を行うと共に,訴訟に絡む司法関連の支援も実施してきている。このような流れの中で,国土交通省から登録資格の認定を受け,公共事業の発注資格要件となる道が開けた。このように,判定士の役割は民間から公共へと広範化し,様々な局面での活躍が求められ,時としてトレードオフとなるケースに遭遇することも考えられる。そのため,判定士には,今後益々,技術者倫理の重要性を認識した活動が要求されることになる。図-3 多種多様化する役割の概念図3.社会認知度の向上判定士は,一般市民に対し地盤相談を行ってきているが,昨年 9 月にNHKテレビの全国ネットの特集で,本活動を取り上げていただいた。放映後の反響は大きく,全国各地からの問い合わせがあり,地盤品質判定士会(以下,判定士会)が丁寧に対応している。その後,一般紙からの取材をはじめとし,各自治体からは講演依頼や地盤相談など,多くの問合せをいただき,連携した活動を展開している。地盤は一般市民になじみが少なく,感心も低い。しかし,ひとたび被災を受けると一気にクローズアップされ,私有財産の棄損に繋がるケースでは,人生設計にも大きく影響する。そのため,自治体では,それぞれのHPを活用し,地盤相談の窓口となる判定士会HPを紹介していただいている。このような展開を受け,社会的認知度は徐々に向上してきており,市民生活に「地盤」というキーワードが密接に関わることも,遠くない将来に見えてきているといえる。4.今後の展開判定士会は 2020 年 4 月に法人化し,自治体との更なる連携など,その活動領域を拡大する。国土交通省は各地の自治体と宅地耐震化事業の推進を展開しているが,対象地域が多くその対応に迫られている。2020 年度から,本事業展開の一端として,図-4 に示すような一般市民や地域の自治会と連携し,対象となる宅地については所有者自らがパトロールし,点検するスキームを展開していく。この中に,地盤の専門家として判定士を活用し,事業の潤滑な推進を図るものである。既に先行している自治体があり,判定士会で対応している。今後益々の展開が見込まれている。図-4 住民や民間等と連携した点検等の仕組み 4)おわりに日々の情報に接し,判定士は大きなターニングポイントを迎えていると感じている。日本の社会において地盤というキーワードの重要性が低く,教育カリキュラムの中でも地学などは消滅してきている分野である。しかし,我が国は複雑な地質構造を有し,その特性は脆弱である。外部要因としても,地震や風雨災害(台風など)に数多く見舞われ,地盤に内在するリスクは大きい。特に,宅地地盤は土地の造成を伴うことが多く,更なるリスクが加わる形である。また,事業に関わる技術者は建築,土木,地盤(地質),不動産など多岐にわたり,ワンストップの連携が十分でない。今後は,宅地耐震化事業を通じて,市民の安全・安心を担保できる活動を展開していきたい。<参考文献>1) 地盤品質判定士協議会:広報資料,20192) 地盤品質判定士会,土木学会:2018 年度地盤品質セミナー講演概要集,2019.1.243) 地盤品質判定士会,土木学会:2019 年度地盤品質セミナー講演概要集,2019.11.84) 国土交通省HP:https://www.mlit.go.jp/toshi/web/content/001319558.pdf© 公益社団法人 地盤工学会- DS-10-11 -
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  • 岡 二三生・大島 昭彦・深井 晴夫
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  • ページ
  • 21-1-4-06〜
  • 発行
  • 2020/07/01
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  • rp202005500030
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  • 21-1-4-06第55回地盤工学研究発表会繰返し三軸試験と繰返し中空ねじり試験による液状化強度比について液状化三軸圧縮試験ねじりせん断試験京都都大学名誉教授大阪市立大学大学院基礎地盤コンサルタンツ㈱1.研究背景と目的地震時地盤の液状化強度比としては、実験の容易さなどから繰返し三軸試験による強度比を用いることが多いが、名誉会員国際会員正会員○岡 二三生大島 昭彦深井 晴夫I 2 = 12 =  12 / 2 = 3.75% 、通常、非排水条件から、 33 = −11 / 2,  12 =11 − 33 = 1.511 = 7.5%としている。地震時における地盤の変形では単純せん断モードが卓越す 一方、応力については、る。一方、解析では異方性がある場合、単純せん断である中空ねじり試験による強度が低いことも指摘されており、両試験による強度比較も行われている。本研究では、液状化強度比について整理し、実際の試験結果について考察を行った。さらに、液状化強度曲線を用いて液状化解析が行われている1)ことから、構成式を用いて 2 つの試験法による違いと異方性の効果を明らかにした。 11  12 0   0  12  21  22 0  =  12 0 00  33   002 J 2 = 2  12 = 1.414  120  m 00 0 +  0  m 0 0  00  m だから、となる。三軸と単純せん断で同じせん断応力を作用させても、不変量では三軸は単純せん断の 1.155 倍の応力を作用させているが、ひずみ不変量も同様に大きな値を対応させている。2.三軸と単純せん断試験での液状化強度の決定方法したがって、単純せん断試験を不変量で表すと、三軸試験①繰り返し三軸試験での応力とひずみのせん断応力の 0.866 倍の荷重を用いているが、ひずみの非排水圧縮試験でのひずみ成分は 11 を軸ひずみとして、不変量でも同様の倍率となっている。単純せん断では主応00 110−/2011 00−11 / 2力方向が異なるが、考える座標系に依存しない不変量で表である。したがって、ひずみの第 2 不変量 I2 は、とになる。示することが望ましい。つまり、強度として表現する場合は、せん断応力に相当する応力の第 2 不変量で表現するこI2 = eij eij / 2 = (112 + 2112 / 4)/2 = 3112 / 4311 = 0.866 11となり、 I 2 =25%ひずみでは、 I 2 =311 = 0.866 11 = 4.33%2となる。一方、応力については、01 0 0   2q / 3 00=0−q/33  0 0  3   000   m 00 0  +  0 m 0  だから、−q / 3  00  m せん断応力は軸差応力の 1/2 で、=q 1 −  3 1==2222J 2 = 2 / 3 q = 232J 2 ,2d22 J 2 = sij sij2 / 3 = 1.633d24.構成式による解析非線形移動硬化則となる。②単純せん断(中空ねじり試験)での応力とひずみ非排水条件下で、せん断ひずみ成分は0 12 000 3)と安福破壊条件 5)を用いた、等方、横等方性の異方モデル 4)を用いて非排水条件で解析を行った 。 異 方 性 パ ラ メ ー タ は  =  = 1.0 ( 等 方 、 異 方 ) 、 = 1.0 (等方)、  = 1.30 (異方モデル)4)とした。図中 Sは単純せん断、tは三軸試験を示す。初期平均有効応力は30kPa で、2kPa 以下を液状化と判定した。堆積面の角度は 12 0 003.乱れの少ない試料による液状化強度比大島、深井らは多くの地点における乱れの少ない砂試料を用いて、繰返し三軸試験と繰返し中空ねじり試験を実施してきた 2)。図-1 は大阪住之江泉における GL-6.7~-7.0mでの試験結果であるが、中空ねじりと三軸試験の液状化強度比は一致していない。一方、図-2 は強度比をせん断応力の第 2 不変量で整理したものであるが、図-1 に比べ両試験での結果は約 0.5 とより等しいものとなっている。さらに、図-3 では多くの地点の結果の両試験の比較であるが、等不変量線はほぼ両結果の中央値を示しており、不変量で整理すると両試験の結果は同様な強度を示している。一方、1:1 の等せん断応力の第 2 不変量線からのずれは、異方性や細粒分の影響と考えられる。水平とした。材料パラメータは以下のとおりである。なので、On the liquefaction strength ratio by triaxial and torsional tests:OKA Fusao (Kyoto University), Akihiko Oshima(Osaka City University), Fukai Haruo(Kiso Jiban Consultants)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-06 - 21-1-4-06第55回地盤工学研究発表会e0 =0.761,  =0.029,  =0.0029, OCR* =1.2, G0 /  m' 0=1753, M f =1.336, M m* = 0.909 , B0* = 3429 , B1* = 34.3 , *fe /  *fc =0.711,破壊条件は安福モデル 5)を用いた。2 つの試験の比較では、荷重が大きい場合、単純せん断が三軸より弱い場合があるが荷重が小さくなるにつれ三軸の方が強度は大きい。また、異方性(横等方性)の場合、単純せん断では強度低下がみられる。* rp* = 8.1 10−4 ,  rE* = 2.3  10−2 , e = 1.0 ,re1 = re2 = 1.0 , D0* = 1.7 , n = 3.2 , Cd = 2000 ,''=1.0, n2 = 1.0 , A2* , B2* , B3* = 0,0,67.5 , mbf/  mbi**/ M mc= 0.793Acm = 1.0 , Cns = 0.05 , M me0.34s,=10.32t, =1DA=1%DA=2%DA=5%DA=10%Nu950.70.60.50.40.3γDA=1.5%γDA=3%γDA=7.5%γDA=15%Nu950.30Ö2J2/m0'繰返し応力振幅比τ/σ'0,σd/2σ'00.80.280.260.24RL20=0.3580.22RL20=0.3020102030図-40.15060700.1110繰返し載荷回数Nc10010000.34三軸と中空ねじり試験による液状化強度曲線(住之江泉 T-1)2)0.32s, =1Ö2J2/m0'0.300.80.7s, =1.30.280.260.6√(2J2)/σ'm080単純せん断と三軸試験条件による液状化強度曲線(等方モデル)0図-140N:Cycles0.20.240.50.22●:単純せん断0.401020304050607080N:Cycles○:三軸0.3図-50.20.1√(I2)=0.75%√(I2)=1.50%√(I2)=3.75%√(I2)=7.50%√(I2)=0.87%√(I2)=1.73%√(I2)=4.33%√(I2)=8.66%単純せん断試験条件による液状化強度曲線(等方と異方モデル)Nu95Nu9500.1110010000.34s, =1.30.32不変量による液状化強度曲線t, =1.32)より算出0.30Ö2J2/m0'図-210繰返し載荷回数Nc1.20.280.261.10.24DA=5%(γDA=7.5%)Nu951.00.22繰返し三軸による液状化強度比0.901020304050607080N:Cycles0.8図-6単純せん断と三軸試験条件による液状化強度曲線(異方モデル)謝辞:地盤工学会関西支部の南海トラフ巨大地震に関する0.70.60.5被害予測と防災対策研究委員会 及び 関西の地盤情報に基大阪市住之江区泉大阪市西淀川区中島大阪市北区うめきた諏訪市上川益城町尼崎市築地浦安市高洲諏訪市豊田大阪市弁天町茨城県稲敷0.40.30.20.1づく防災ハザードマップ開発研究委員会関連の研究の一部を用いた。記して謝意を表します。参考文献:1)例えば(一社)LIQCA 液状化地盤研究所LIQCA 液状化 program 資料,2019.巨大地震に関する被害予測と防災対策研究委員会報告書,地0.00.00.10.20.30.40.50.60.70.80.91.01.11.2繰返し中空ねじりによる液状化強度比図-3盤 工 学 会 関 西 支 部 ,2016.3)Oka,F. & Kimoto,S., ActaGeotechnica,Vol.13(6),pp.1283-1297,2018.せん断応力の第 2 不変量での三軸と中空ねじり試験による液状化強度比の対応 2)より算出© 公益社団法人 地盤工学会2)深井他, 南海トラフ4)木元小百合他,第 50 回地盤工学研究発表会,No.969,pp.1937-1938,2015. 5)安福規之,九州大学博士論文,1990.- 21-1-4-06 -
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  • タイトル
  • 撹乱によるため池堤体土のせん断強度特性の変化および堤体の安定性評価の検討
  • 著者
  • 工藤 啓幹・神山 惇・福林 良典・末次 大輔
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-4-05〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500029
  • 内容
  • 21-1-4-05第55回地盤工学研究発表会撹乱によるため池堤体土のせん断強度特性の変化および堤体の安定性評価の検討ため池せん断強度特性安定解析宮崎大学宮崎大学宮崎大学宮崎大学学生会員 〇工藤啓幹国際会員神山 惇国際会員福林良典国際会員末次大輔(s1 - s3) / 2 (kPa)最大軸差応力の差 (s1-s3)max1.はじめに平成 30 年 7 月豪雨によるため池の被災を受けて,農林水産省は防災重点ため池基準の見直しを行った 1).その結果,防災重点ため池は約 63,700 箇所に増加した.その後も令和元年 8 月豪雨や令和元年台風第 19 号により,多くのため池が被災している 2) 3).よって,ため池に対する迅速な調査・改修が望まれる.一方,ため池堤体の土質調査では,原位置から採取された不撹乱試料に対して室内土質試験が実施されるケースがある.しかし,不撹乱状態の採取にあたっては,多大な労力に加えて高額な費用と長期に渡る調査が必要となる.そこで本研究では,不撹乱試料サンプリングの省略を目的とし,乱れを受けた撹乱試料から不撹乱試料の強度定数の推定を検討した.本報では,ため池堤体土試料を用いて不撹乱試料および不撹乱試料を乱して再構成した試料に対して三軸試験を実施し,両者のせん断強度の違いを検討した.また,両者の強度定数を用いて堤体の安定解析を行い,強度定数の違いが堤体の安定性に与える影響について検討した結果について報告する.2.試験方法表-1 堤体土の物理特性と不撹乱試料採取時の状態量本試験に用いた堤体土試料は,山不撹乱試料採取時土粒子の 細粒分塑性指数口県内に存在する 6 箇所のため池 A堤体土土質分類密度含有率含水比 湿潤密度 乾燥密度IP~F から採取したものである.シンρs (g/cm3) Fc(%)w(%)ρt(g/cm3) ρd(g/cm3)ウォールサンプラーおよびトリプルSF-GA-12.68234.89.625.51.8801.498チューブサンプラーを用いて堤体内MLA-22.71174.414.529.81.8811.449部から不撹乱状態で採取した.SF-GB-12.71349.312.636.01.9001.397堤体 A,B,D はそれぞれ 1997 年, B-2ML2.70651.110.633.41.8411.3801990 年,1986 年に全面改修されてSFC2.69140.5N.P34.01.8541.384いるが,それ以外の堤体の築造年代SF-GD2.63949.328.630.41.9131.467は不明である.堤体土は,堤体土SF-GE2.63836.116.728.62.0741.612A-2 ,B-2 は粘性土(ML),それ以外はSF-GF2.64031.619.928.41.9721.536Fc=30~49%程度の砂質土(SF,SFG)である.堤体土 C は非塑性であり,それ以外の堤体土は350Ip=9.6~28.6 である.300表-1 に各堤体土試料の物理特性と不撹乱試料採取時の状態量堤体土A-1堤体土A-2250を示す.不撹乱試料は,サンプラーにより採取されたサンプル堤体土B-1堤体土B-2200を直径 5 cm,高さ 10 cm の三軸試験用供試体に成形した.再堤体土C堤体土D150構成試料は不撹乱試料を自然乾燥させ,所定の含水比になるよ堤体土E堤体土F100うに蒸留水を加えながら十分練返し,高さ 10 ㎝,内径 5 ㎝のモールド内にて突き固めた.再構成供試体の初期含水比と湿50潤・乾燥密度は,それぞれの不撹乱供試体の代表的な初期状態0量(採取時)と同等になるように作製した.背圧は 200kPa と-50し,二重負圧法により供試体を飽和し,圧密前の間隙水圧係数-100020406080100120140160B 値が 0.95 以上であることを確認した.その後は所定の有効有効拘束圧s¢c (kPa)拘束圧 σ՛c で圧密し,ひずみ速度 0.1(%/min)で軸ひずみ図-1 各堤体土の不撹乱および再構成試料のεa=15%に達するまで非排水せん断を行った.最大軸差応力の差と有効拘束圧の関係3.試験結果と考察図-1 に各堤体土の不撹乱試料と再構成試料の最大軸差応力の200差 Δ(σ1-σ3)max と σ՛c の関係を示す.Δ(σ1-σ3)max は不撹乱試料から堤体土A-2不撹乱(f'=31.6,c'=18.5kPa)再構成試料の最大軸差応力を差し引いた値である.多くの堤体土150で,Δ(σ1-σ3)max は σ՛c 増加に伴って大きくなる傾向を示した.また,σ՛c が有効土被り圧よりも小さい 30,50kPa の場合,Δ(σ1再構成(f'=36.7,c'=2.0kPa)100σ3)max が小さくなる傾向が見られた.堤体土 A-2 はいずれの,σ՛cにおいても Δ(σ1-σ3)max は 100kPa 以上である.図-2 は堤体土 A-2 の有効応力経路である.再構成試料は不撹50乱試料に比べ大きく収縮する挙動を示し,有効応力経路は両者で大きな違いが見られた.一方,図-1 中で,いずれの σ՛c において0050100150200も Δ(σ1-σ3)max が 50kPa 以下であった堤体土 F の有効応力経路を(s1' + s3') / 2 (kPa)図-3 に示す.堤体土 F の有効応力経路は,不撹乱および再構試料いずれもせん断初期に収縮し,その後は膨張する挙動を示して図-2 堤体土 A-2 の有効応力経路いる.このような挙動の違いは,不撹乱試料のセメンテーションThe effect of disturbance of embankment soil of reservoirs on shear strength characteristics and that of stability evaluation ofembankment of reservoirsHirotoshi Kudo (Miyazaki University) , Atushi Kouyama (Miyazaki University) , Yoshinori Fukubayashi (Miyazaki University) ,Daisuke Suetsugu (Miyazaki University).© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-05 - 21-1-4-05第55回地盤工学研究発表会安全率不撹乱試料 ϕˊ(˚)不撹乱試料c¢(kPa)不撹乱 E50(s1 - s3) / 2 (kPa)の程度の違いが要因の一つと考えられる.また,拘束圧が低い場合,200不撹乱と再構成試の違いによらず,全ての堤体土でせん断中に卓越し堤体土Fた正のダイレイタンシーが発生する挙動を示した.これは,ため池築不撹乱(f'=34.1,c'=6.7kPa)150堤時や再構成試料の作製時に先行荷重が加えられたことにより供試体が過圧密状態になったためだと考えられる.低拘束圧領域では,撹乱再構成(f'=32.9,c'=0kPa)の影響を受けにくい可能性がある.100図-4 に各堤体の不撹乱および再構成試料の変形係数 E50 の関係を示す.結果の整理は一軸圧縮試験の基準に則り変形係数を決定している.50堤体土 D を除き,E50 は不撹乱試料に比べ再構成が小さくなるまたは同等の値を示した.再構成試料の E50 が小さくなった理由は,撹乱に0050100150200よってセメンテーションによる土粒子間の結合力が喪失したためだと(s1' + s3') / 2 (kPa)示唆される.図-5,6 に不撹乱試料と再構成試料の ϕ´および c´の関係を示す.ϕ´図-3 堤体土 F の有効応力経路は,両試料の間で約 1~5°の差があり,顕著な差は見られなかった.400この結果は,粘性土を用いた既往の研究結果と同様の結果を示した.350土粒子間の摩擦特性に起因する ϕ´は,少なくとも本研究のように,せん断前に圧密された供試体においては撹乱の影響を受けにくいとい300える.一方で, c´は各堤体土で大きなばらつきがあり,定量的に評堤体土A-1250堤体土A-2価することはできなかった.c´の変化を定量的に評価するには,年代堤体土B-1堤体土B-2200堤体土C効果によるセメンテーションや不撹乱試料の不均質性などを考慮する堤体土D堤体土E必要があると考える.150堤体土F次に,不撹乱および再構成試料の強度定数の違いが堤体の安全率に100及ぼす影響を検討するために「ため池整備」に基づいて安定計算を行4)50った .モデルとなる堤体は,堤高 H=2,5,10,15 m,勾配は 1:1.8とした.また,貯水時の貯水位は堤高 H×0.8 m と設定した. 図-7 に0050100150200250300350400堤体土 A-2 の不撹乱および再構成試料の強度定数を用いた安全率 Fs再構成 E50と堤高の関係を示す.貯水なしの場合,不撹乱試料の ϕ´,c´を用いて図-4 各堤体の不撹乱および再構成試料算出した安全率を Fsu,再構成試料の ϕ´,c´を用いた安全率を Fsd と表の変形係数 E50 の関係記する.貯水がある場合は,不撹乱と7020再構成試料の表記をそれぞれ Fsuw ,Fsdw と表記する.60図-7 より,堤体土 A-2 の貯水なしの15場合,堤高 H=2.0 m では Fsu=5.48,501Fsd=2.22 となる.貯水ありの場合,堤110高 H=2.0 m では Fsu=6.90 は Fsd=2.32 と140なり,「ため池整備」の計算式を用い1ると貯水ありの場合の方が Fs を過大530評価している.しかし,貯水の有無によらず,Fs の差は,堤高が高くなるに020伴い小さくなる.これは,堤高が高い20304050607005101520再構成試料 ϕˊ(˚)場合は Fs に与える c´の影響が小さく再構成試料c¢(kPa)なるためである.図-5 不撹乱と再構成試料の図-6 不撹乱と再構成試料の4.まとめ 本研究で得られた知見を内部摩擦角 ϕ´の関係内部摩擦角 c´の関係以下に示す.8Fsu ( cʹ=18.5kPa,ϕʹ=31.6˚)堤体土A-2(1)有効土被り圧より小さい σ՛c では,最大軸差応力の差に顕著な差Fsuw( cʹ=18.5kPa,ϕʹ=31.6˚)7は見られなかった.これは,先行荷重が影響していると考えらFsd ( cʹ=2.0kPa, ϕʹ=36.7˚)Fsdw(cʹ=2.0kPa,ϕʹ=36.7˚)6れる.(2)今回用いた堤体土では,再構成試料と不撹乱試料の ϕ´の差は約51~5°と顕著な差は見られず,c´に比べると乱れの影響は小さか4った.(3)c´の差が小さい場合や堤高が高い場合は Fs の差が小さくなるこ3とから,このような条件で再構成試料の強度定数を用いること2が可能だといえる.1謝辞 本研究は,山口県の協力のもとで実施された.関係各位に謝0246810121416意を表す.堤高 H参考文献1)農林水産省 web ページ「平成 30 年 7 月豪雨をふま図-7 不撹乱と再構成試料の強度定数を用いたえ た 今 後 の た め 池 対 策 の 進 め 方 に つ い て 」安全率と堤高の関係(堤体土 A-2)http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/bousai/181113_9.html ( 閲 覧 日 :2019/4/2 ) .2) 農 林 水 産 省 web ペ ー ジ 「 令 和 元 年 8 月 の 全 線 に 伴 う 大 雨 に 係 る 被 災 情 報 」https://www.maff.go.jp/j/saigai/ooame/20190826/index.html(閲覧日:2019/12/20). 3) 農林水産省 web ページ「令和元年台風第 19 号に係る被災情報」https://www.maff.go.jp/j/saigai/typhoon/191011/index.html(閲覧日:2019/12/20), 4)土地改良事業設計指針「ため池整備」,農業農村工学,2015.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-05 -
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  • タイトル
  • せん断波速度に現れる粒状体の異方性と粒子形状の関係
  • 著者
  • Junming LIU・川口 勇一郎・大坪 正英・桑野 玲子
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-4-04〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500028
  • 内容
  • 21-1-4-04第55回地盤工学研究発表会せん断波速度に現れる粒状体の異方性と粒子形状の関係せん断波速度粒状体異方性東京大学大学院学生会員Junming LIU東京大学大学院学生会員川口勇一郎東京大学生産技術研究所国際会員大坪正英東京大学生産技術研究所国際会員〇桑野玲子1.はじめに弾性波速度測定を用いて地盤材料の微小ひずみ剛性の異方性を把握する試みは、ベンダーエレメントを供試体の水平方向に導入するなどして検討されてきた(Pennington et al. 1997, Kuwano & Jardine 2002)。しかしながら、弾性波速度測定から得られる微小ひずみ剛性と微小繰返し載荷試験から得られる微小ひずみ剛性に差異があったり、対称性の成立が実験で確認できないなど、未だ不明な点を残している。本研究では、鉛直・水平方向の境界条件が同等な立方体の土槽に、P 波・S 波の同時測定が可能なデイスクトランスデューサー(Suwal & Kuwano, 2013)を装着し、粒子形状の異なる 4 種類の粒状体を用いて弾性波速度の異方性と粒子形状および粒子配列方向の関係を調べた。本報では、その中からせん断波速度への粒子形状の影響について報告する。2.試験装置、試験材料と試験方法2.1 試験装置図1に示すような、アクリル製の 100mm×100mm×100mm の立方体の土槽を作製した。上板は供試体に合わせて高さを調整可能であるが、底板および側面板は固定である。全ての面の中央部に P 波および S 波の測定が可能なディスクトランスデューサー(以下 DT とする)を設置した。DT は土槽の上底板および側板とは独立しているが、応力集中が起こらないように土槽内面は平滑で、試験中に DT 部と土槽板との相対変位が起こらないように留意している。図2に DT を示す。厚さ 3mm で 30mm 四方の矩形の圧電素子を用い、圧縮タイプとせん断タイプの素子を 2 層重ねて作製した。圧縮素子の背面をエポキシ樹脂で固定し、絶縁のためのアクリル板を介してせん断素子を積層した。せん断素子の側方は素子の動きや変形を拘束しないようシリコンを充填した。図12.2 試験材料と供試体作製5 4.5立方体土槽30silicon図 3 に示すような粒子形状の異なる 4 種の粒状体を用い313た。それぞれの材料のアスペクト比(短軸/長軸)は、0.9312(ガラスビーズ)、0.59(豊浦砂)、0.22(インディカ米)、S-plateAcrylic plateP-plateEpoxy resin0.16(ワイルド米)であった。土槽内の供試体は、乾燥状態の試験材料を高さ 10mm 分ずつ土槽内に注ぎ入れ、表面をAcrylic plateならす(密詰め供試体作成時はランマーで突き固める)作業図2を 10 回繰り返すことにより作製した。試験材料の粒形特性ガラスビーズ(b)豊浦砂図3ディスクトランスデューサー(DT)の外形と構造(A-A’断面)および供試体の乾燥密度を表1に示す。(a)Unit: mm(not to scale)(c)インディカ米(d)ワイルド米試験材料Effects of particle shape on anisotropy of granular materials observed in shear wave velocitiesJ. LIU (Univ. of Tokyo), Y. KAWAGUCHI (Univ. of Tokyo), M.OTSUBO (IIS, Univ. of Tokyo) and R.KUWANO (IIS. Univ. ofTokyo)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-04 - 21-1-4-04表1.第55回地盤工学研究発表会試験材料の粒子特性と供試体の密度テストNo.試験材料短軸(mm)長軸(mm)アスペクト比粒子の長軸方向供試体の乾燥密度* (g/cm3)GBTSIRWR1ガラスビーズ豊浦砂インディカ米ワイルド米0.20.21.61.90.20.27.111.30.930.590.220.16ランダムランダムランダムランダム1.611.630.920.87*PXXSXZPYYSYXZインディカ米ではσv′=1kPa、その他はσv′=2kPaにおける値PZZSZYYX2.3弾性波測定図4立方体土槽内の波動計測入力電圧 140V、周波数 3kHz または 7kHz の正弦波を入力波とし、送信波と受信波の周波数が概ね一致することを確認したうえで、送受信波のピーク間の時間を伝達時間とした。1 つ目の添字を波の伝播方向、2つ目の添字を粒子の振動方向として、3 種の P 波(PXX、PYY、PZZ)と 6種の S 波(SXY、SXZ、SYZ、SYX、SZX、SZY)が存在するが、本研究ではせん断波測定に 2 層積層 DT を用いていることから、図 4 に示す 6 種のGB弾性波を測定した。3.粒子形状の影響GB 、および WR1 の供試体で計測したせん断波の入出力の波形を図5 に示す。低拘束圧下での計測にもかかわらず良好な波形が得られた。水平面内で粒子方向をランダム配置している場合、XY 面内では等方な直行異方性を持つと考えられ、実際同材料において SXY と SYX は同じであることを確認している。従って、H:水平方向、V:鉛直方向とし、WR1SXY=SYX=SHH、SXZ=SYZ=SHV、SZX=SYZ=SVH と扱える。SHV/SVH をアスペクト比に対してプロットした図6からもわかるように、全てのケースにおいて、SVH≒SHV、であること、すなわち対称性が確認できた。対称性は、これまで実験で検証できた例がほとんどなく、SVH と SHV の図5せん断波の波形の例(σv′=2kPa)差異が生じる理由が明確ではなかったため、鉛直および水平方向のせん断波速度から供試体の異方性を論じる際の障害のひとつになっていた。SHH/SVHSHV/SVHここでは測定面の鉛直および水平応力を実測していないので、粒子形状に伴う剛性の異方性の議論は依然として限定的ではあるが、K0 状態において、アスペクト比が小さい極端な形状の材料であっても理論通りに対称性が成り立っていることが示された。同様の事象について、DEM 解析によっても検証している(Otsubo et al, 2019)。図 6 には、SHH と SVH の比も示した。一定応力比(K0)のもとで、アスペクト比が小さくなるほど、すなわち粒子形状が細長くなるほど、SHHが相対的に大きくなる。重力の作用下で堆積する場合、細長粒子の長軸は水平方向に卓越するためと考えられる。せん断波の伝播方向および振動方向と長軸方向が一致するときにせん断波が大きくなる。4.図6せん断波速度への粒子形状の影響まとめ弾性波速度で観察される粒状体の固有異方性について、PS 同時測定可能な DT を 6 面(3 方向)に装着した立方体土槽を用いて、短軸と長軸の比(アスペクト比)が 0.16~0.94 の 4 種の異なる材料について検討した。・XY 平面内で長軸がランダムに堆積した直行異方性を有すると考えられる供試体では、K0 応力状態においてすべてのアスペクト比の粒状体において、SVH=SHV となり、対称性を確認した。・水平方向に伝播し水平方向に振動する SHH と鉛直方向に伝播し水平方向に振動する SVH との比、SHH/SVH は、アスペクト比が大きいほど小さい。すなわち、粒形が細長くなると水平方向に伝播するせん断波が相対的に速い。参考文献 1) Pennington, D. S., Nash, D. F. T., & Lings, M. L. (1997). Anisotropy of G0 shear stiffness in Gault Clay. Géotechnique, 47(3),391-398. 2) Kuwano, R. and Jardine, J.R. (2002). On the Applicability of Cross-Anisotropic Elasticity to Granular Materials at Very Small Strains,Geotechnique, 52(10), 727-749. 3) Suwal, L.P. and Kuwano, R. (2013), Disk shaped piezo-ceramic transducer for P and S wave measurement in alaboratory soil specimen, Soils and Foundations, 53(4), 510-524. 4) Otsubo M., Liu, J., Dutta TT., Kawaguchi, Y., & Kuwano, R. (2019).Anisotropy of shear wave velocity -Role of grain shape. Proceedings of the 9th Asian Young Geotechnical Engineers Conference &15th International Conference on Geotechnical Engineering, 116-122.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-04 -
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  • タイトル
  • CO2ハイドレートによる土粒子固着力成分を考慮した弾粘塑性構成式と非排水三軸クリープ試験への適用
  • 著者
  • 吉本 将基・木元 小百合
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-4-03〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500027
  • 内容
  • 21-1-4-03第55回地盤工学研究発表会CO2 ハイドレートによる土粒子固着力成分を考慮した弾粘塑性構成式と非排水三軸クリープ試験への適用構成式 三軸圧縮試験クリープ試験京都大学大学院京都大学大学院1.はじめに近年,温室効果ガス削減のため,排出された CO2 を固体である二酸化炭素ハイドレート(以下,CDH と記す)として地盤内に地下貯留する二酸化炭素地下貯留技術が注目されている.一方で,CDH 含有地盤には,地盤変形や CDH 分解によるガス漏洩などのリスクをはらんでいる.そのため,CO2 のハイドレート貯留には,地盤の長期安定性評価が不可欠である.本研究は,地盤の力学特性,特に時間依存性挙動の把握のため,人工的に作製した CDH 含有砂試料に,非排水三軸クリープ試験を実施し,得られた試験結果にハイドレート含有による土粒子固着力を考慮した弾粘塑性構成式を適用させることで,再現解析を行った.2.○吉本 将基木元 小百合弾粘塑性構成式による再現解析概要本研究では,試験結果の再現において,超過応力型の弾粘塑性構成式を基本とし,ハイドレート飽和率の依存性を考慮し拡張した.2),3)(1) ハイドレートの土粒子固着力成分本生成手法を用いて作製された CDH 含有砂供試体に存在するハイドレートは,土粒子を固着させる Cementation型の存在形態であり,せん断に伴いハイドレートによる固着が破砕されることが考えられる.本研究では,導入したハイドレートの固着力成分を b とし,以下に示す.𝑏 = 𝑏0 𝑒𝑥𝑝(−𝛽𝑏 ∗ 𝛾 𝑣𝑝 )(3)式(3)中の𝑏0 は,固着力成分の初期値,𝛾 𝑣𝑝 は,粘塑性ひずみ,そして 𝛽𝑏 は,𝑏0 の消失速度を調整するパラメータCDH 含有砂試料の非排水三軸クリープ試験概要試験には,温度制御型高圧三軸試験装置3.学生会員国際会員であり,固着力成分 b はせん断に伴う粘塑性ひずみの蓄1)を使用した.供試体には,豊浦砂を使用し,直径 35 mm,高さ 70 mm,含水積により,消失されるように決定した.(2)比 16.0 %の湿潤砂供試体を作製する.供試体に間隙圧が 2.5MPa に至るまで CO2 ガスを圧入し,温度を 5.0 ℃まで低下させることで,CO2 ガスと間隙水を反応させ,ハイドレート安定領域内において CDH を生成する.生成後,供試体に蒸留水を通すことで飽和させ,土-水-CDH の三相で構成された CDH含有砂供試体を作製する.その後,間隙圧を 10 MPa,セル圧を 12.0 MPa に至るまで上昇させ,B 値試験の後,有効拘束圧過圧密境界面,静的降伏面,粘塑性ポテンシャル面CDH の土粒子固着による力学特性変化の表現のため,固着力成分 b を以下のように各種曲面に切片成分として導入し,曲面を拡大させる.これにより,応力状態が正規圧密状態にある場合(𝑓𝑏 > 0)と,過圧密状態にある場合(𝑓𝑏 ≤ 0)に境界を与える過圧密境界面は,以下の式により表現される.∗′∗′𝑓𝑏 = 𝜂̅(0)+ 𝑀𝑚ln{(𝜎𝑚+ 𝑏)/(𝜎𝑚𝑏+ 𝑏)} = 0(4)2.0 MPa の条件で等方圧密した.その後,非排水条件下でひず∗∗ は変相応力比,𝜎 ′ は硬𝜂̅ (0)は相対応力比の初期値,𝑀𝑚𝑚𝑏み速度 0.5 %/min の定ひずみ速度のせん断を行い,所定のクリ化パラメータである.ープ応力に至ると,軸差応力を一定とし,非排水三軸クリープ試験に移行する.CDH の含有量を示すハイドレート飽和率𝑆𝑟𝐻 は,式(1)のように,間隙体積𝑉𝑣 とハイドレート体積𝑉𝐻 との比で表される.(1)𝑆𝑟𝐻 = 𝑉𝐻 /𝑉𝑣また,クリープ応力比𝑞𝑟 は,供試体の最大軸差応力𝑞𝑚𝑎𝑥 11)と載荷クリープ応力𝑞との比であり,次式で定義される.(2)𝑞𝑟 = 𝑞/𝑞𝑚𝑎𝑥 ,𝑞𝑚𝑎𝑥 = 0.00496・(𝑆𝑟𝐻 )1.4002 + 4.19また,材料の静的平衡状態を示す静的降伏関数は,移動硬化を考慮し,次式より定義される.′(𝑠)∗∗∗∗′̃ ∗ ln {(𝜎𝑚𝑓𝑦 = √(𝜂𝑖𝑗− 𝜒𝑖𝑗)(𝜂𝑖𝑗− 𝜒𝑖𝑗)+𝑀+ 𝑏)/(𝜎𝑚𝑦+ 𝑏)} = 0(5)∗̃ ∗ はダイレイタンシ―係数であり,正𝜂𝑖𝑗は変相応力比,𝑀規圧密状態で一定,過圧密状態では,応力状態により変′(𝑠)化する.𝜎𝑚𝑦 は静的平衡状態における平均有効応力である.さらに,粘塑性ポテンシャル面は次式で与えられ,実施した試験条件を表-1 に示す.本研究では,ハイドレート飽和率 301%~551%に分布する CDH 含有砂供試体の非排水三∗∗∗∗′′̃ ∗ln{(𝜎𝑚𝑓𝑝 = √(𝜂𝑖𝑗− 𝜒𝑖𝑗)(𝜂𝑖𝑗− 𝜒𝑖𝑗)+𝑀+ 𝑏)/(𝜎𝑚𝑝+ 𝑏)} = 0(6)軸クリープ試験を 3 ケース実施し,クリープ応力には,′ は,粘塑性ポテンシャル関数と𝜎 ′ 軸の交点である.𝜎𝑚𝑝𝑚3.5MPa,4.51MPa の 2 種類を適用した.∗また,曲面中の切片成分導入に伴う曲面変更に伴い,𝜂𝑖𝑗̃ ∗ にも式(7)のように固着力𝑏は切片成分として導入さと𝑀表-1 クリープ試験の試験条件Case1No.Case1H1Case1H2Case1H3Hydrate1saturation1𝑆𝑟𝐻 1 [%]33.841.754.8Creep1stress1q1[MPa]3.54.54.5Creep1stress1ratio1qr0.680.840.72れる.∗′̃∗ = −𝜂𝑖𝑗= 𝑆𝑖𝑗 /(𝜎𝑚+ 𝑏),𝑀(3)′ln{( 𝜎𝑚∗ ∗𝜂𝑖𝑗𝜂𝑖𝑗′+ 𝑏)/(𝜎𝑚𝑏+ 𝑏)}粘塑性流れ則An elasto-viscoplastic constitutive model considering soil cohesionYOSHIMOTO, Masaki, Kyoto Universityeffects by CO2 hydrate, and application forKIMOTO, Sayuri, Kyoto Universityundrained triaxial creep tests of CO2 hydrate bearing sand© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-03 -(7) 21-1-4-03第55回地盤工学研究発表会𝑒ひずみ速度テンソルは,弾性ひずみ速度テンソル𝜀̇𝑖𝑗とることができたといえる.𝑣𝑝粘塑性ひずみ速度テンソル𝜀̇𝑖𝑗 の和で表現され,粘塑性ひ𝑣𝑝ずみ速度テンソル𝜀̇𝑖𝑗 は,Perzyna1 (1963)1 4)の超過応力型粘5.塑性流れ則に基づき,次式(8)で与えられる.(4):𝑓𝑦 > 0:𝑓𝑦 ≤ 0ト飽和率依存性を導入し,CDH 含有砂供試体の供試体の(8)剛性変化や応力径路,そしてクリープ特性を表現するこ各種パラメータのハイドレート飽和率依存性とができた.本解析では,CDH が土粒子を固着させると′せん断弾性係数 G,硬化パラメータ𝜎𝑚𝑏,粘塑性パラメ仮定しているが,CDH の存在形態を考慮した構成式の拡ータ m’には,既往のハイドレート飽和率依存性を踏襲し𝐺 = [𝐺0 / {1 + 𝛼= (1 +𝑟𝑚′ =(9)(𝛾𝑣𝑝 ) }] √𝜎′𝑚 /𝜎′𝑚0′𝑛𝑚 ・(𝑆𝑟𝐻 )𝑛𝑑 )𝜎𝑚𝑎exp{(1+ 𝑒0 )/(𝜆 −Deviator stress q [MPa]𝐻(1+𝑆𝑟 )′𝜎𝑚𝑏Case H1 :SHr=33.8 %6た 3).𝑣𝑝𝜅)𝜀𝑘𝑘 }(10)11+ 𝑚𝑏 ・(𝑆𝑟𝐻 )𝑚𝑐𝑚𝑠′(11)Simulation H1Case H2 :SHr=41.7 %Case H35:SHr=54.86Simulation H2%Deviator stress q [MPa]𝜕𝑓𝑝′𝐶 ′ 𝑖𝑗𝑘𝑙 𝜎𝑚exp(𝑚′ 𝑓𝑦 ) ′𝑣𝑝𝜕𝜎𝑘𝑙𝜀̇𝑖𝑗 = {0結論再現解析では,固着力成分 b の初期値 b0 にハイドレーSimulation H3432104321005101520Axial strain a [%]Case H1Simulation H1506本稿では,ハイドレート含有量を示すハイドレート飽和率𝑆𝑟𝐻 が増加する程,土粒子固着力が増加すると仮定し,試験結果へのカーブフィッティングを基に,せん断前の土粒子固着力成分の初期値 b0 に以下のような線形関係式43210を導入した.01234(12)𝑏0 =図-1 に Case1H1,H2,H3 の実験結果をシンボルで,再5210ずみ関係では,Case1H2 において解析結果が剛性を過大に評価する結果となったが,ハイドレート飽和率の増加に伴う剛性変化を概ね正確に捉えることができた. 図-120Simulation H2Case H3 :qr=0.72Simulation H31550 110102103104105106Elapsed time tcr [s]345610-110-2Case H1Case H2Case H3Simulation H1Simulation H2Simulation H310-310-410-510-6 110102103104105106Elapsed time tcr [s](e) 時間-クリープひずみ関係p’の減少過程の表現には再現性に課題が残るものの,p’2(d) 有効応力径路(Case H3)10(b)~(d)に示す有効応力径路では,Case1H2 の平均有効応力1Mean effective stress p' [MPa]Creep strain rate dcr/dt [%/s]Creep strain cr [%]現解析の結果を破線でそれぞれ示す.図-1 (a)の応力-ひ256306Case H1 :qr=0.68Simulation H1Case H2 :qr=0.8454(c) 有効応力径路(Case H2)304Case H3Simulation H35Mean effective stress p' [MPa]10・𝑆𝑟𝐻36Case H2Simulation H252(b) 有効応力径路(Case H1)Deviator stress q [MPa]試験結果と再現解析の考察Deviator stress q [MPa]4.1Mean effective stress p' [MPa](a) 応力-ひずみ関係(f) 時間-クリープひずみ速度関係張には,異なる存在形態の力学試験の結果に弾粘塑性構が増加し限界状態線に向かう挙動は,いずれのケースに成式を適用し,検討を行う必要がある.おいても精緻に表現することができた.図-1 試験結果と再現解析の結果図-1 (e),(f)よりハイドレート含有砂供試体は,試験結参考文献果のクリープひずみ,クリープひずみ速度の経時変化よ1)1Iwai1et1al.1:1Rate1effect1on1the1stress-strain1relations1of1synthetic1carbon1dioxide1り,時間経過に伴いクリープひずみが大きく進行し,加hydrate-bearing1 sand1 and1 dissociation1 tests1 by1 thermal1 stimulation,1 Soils1 and1速クリープが発生していることがわかる.また,クリーfoundations,1 Vol.58,1 No.5,1 pp.1113-1132,1 2018.1 2)1 Adachi,1 T.1 and1 Oka,1 F.1 :1プ応力比 qr が大きいほど,クリープひずみの進行がよりConstitutive1 equations1 for1 normally1 consolidated1 clay1 based1 on1 elasto-急速になる傾向が確認された.再現解析の結果と比較すviscoplasticity,1Soils1and1foundations,1Vol.22,1No.4,1pp.57-70,11982.13)1 岩井ら:ると,最小クリープひずみ速度𝜀̇𝑚 の発生が試験結果よりCO2 ハイドレ―ト含有砂のひずみ速度依存性と弾粘塑性構成式の適用,土木学会論文集 C,1Vol.75,1No.3,1pp.273-287,12019.14)1Perzyna,1P.1:1The1constitutive1も解析結果の方が早い段階で発生する結果となったが,equation1for1wok-hardening1and1rate1sensitive1plastic1materials,1Proc.1Vibrational1𝜀̇𝑚 の値や加速クリープ発生以降の挙動を概ね正確に捉えProblems,1Vol.4,1No.3,1pp.281-290,11963.ることができ,CDH 含有砂試料のクリープ挙動を表現す表-2 使用した材料パラメータ一覧Viscoplastic1parameter1C1C21.5*10-61.5*10-6𝑚𝑠′66.7mb0.22G0 S , n gStrain1dependency1of1G0α, γ120000,11030004.0,10.5Elastic1modulusmmc1.41Compression1yield1stress1[kPa]Copression1indexSwelling1indexStress1ration1at1critical1stateM m30000.01120.00260.98 mbi© 公益社団法人 地盤工学会Hardening1parameter11A0.98- 21-1-4-03 -Hardening1parameter12*Bmax40Hardening1parameter13B1 , C f20,15Hydrate1saturation1dependency1of1  mbnm , nd2.9*10-3,11.3Structural1parameter11βStructural1parameter1for1βbb5.05.0
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  • タイトル
  • 平面ひずみ条件下のメタンハイドレート胚胎砂の強度および変形特性に及ぼすせん断速度の影響
  • 著者
  • 呉 起・吉本 憲正・梶山 慎太郎・中田 幸男
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-4-02〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500026
  • 内容
  • 21-1-4-02The 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...Effect of shear rate on strength and deformation characteristics of hydrate-bearing sedimentunder plane strain conditionkey words: Hydrate-bearing sediment, shear rate, plane strainYamaguchi UniversityStudent memberYamaguchi UniversityInternational member○Wu QiYoshimoto NorimasaYamaguchi UniversityInternational memberShintaro KajiyamaYamaguchi UniversityInternational memberYukio Nakata1. IntroductionNatural gas hydrate is a potential energy resource. To ensure the safetyand sustainability of exploitation, the time-dependent study of the mechanicaland deformation characteristics of hydrate-bearing sediment is veryimportant. Previous studies have found that under triaxial shear conditions,the strength properties of methane hydrate-bearing sediment samples andcarbon dioxide hydrate-bearing sediment samples showed significant timedependence (Miyazaki, et al., 2017; Iwai, et al., 2018). And the shear ratedependent test was considered to be a more efficient method for studying(a)The main part of the apparatustime-dependence issues (Miyazaki, et al., 2017). However, the shear ratedependent study of hydrate-bearing sediment sample under plane strainconditions is still vacant.In this study, a high-pressure and temperature-control plane strain shearapparatus with observation windows have been developed. Eight plain shear(b) PTV analysis areaFig. 1 Apparatus and PTV analysis area.tests with four different shear rates were performed on pure sand samples andmethane hydrate-bearing sediment samples with a hydrate saturation of about40%. The mechanical response and deformation characteristics have beendiscussed.Test2. Experimental apparatusThe main part of the high-pressure and temperature-control plane strainshear apparatus shows in Fig. 1 (a). The size of the sample was 160 mm(height) x 60 mm (width) x 80 mm (depth). Toyoura sand was used as themain skeleton of the sediment specimen. A 2.0 mm x 2.0 mm grid was drawnbetween the specimen and the membrane for easy observation andCase 1Case 2Case 3Case 4Case 5Case 6Case 7Case 8Table 1. Test conditions.VoidPoreHydrateRatio Pressure Saturatione(MPa)(%)0.6851000.6581000.6741000.6571000.6551043.60.6941041.20.6911042,50.6851042.0Shear Rate(%/min)0.050.10.20.50.050.10.20.5measurement of the local deformation of the specimen. The PTV (ParticleTracking Velocimetry) analysis area (60mm x 140mm) was the middle part ofthe grids, shown in Fig. 1 (b).3. Experiment method and conditionsFirstly, the moist Toyoura sand was filled into the membrane, and methanehydrates were formed under the certain conditions (278.15 K, 5 MPa). Watersaturation and consolidation experiments would be performed after hydrategeneration. And the pore pressure and effective confining pressure during theshear tests were 13 MPa and 3 MPa, respectively. The temperature has beenmaintained at 278.15 K all the time. During the shear process, the pictureinformation would be recorded by the camera. Hydrate saturation wascontrolled at about 40% and calculated based on the amount of decomposedgas collected after the shearing test. The detailed experiment conditions areshown in Table 1.4. Experiment result and discussionFig. 2 shows the relationship axial strain-stress and volumetric strain ofToyoura sand with and without hydrate samples at different shear rates. In theFig. 2. Stress-strain relationship of Toyoura sand withand without hydrate (Sa: Hydrate saturation).Effect of shear rate on strength and deformation characteristics of hydrate-bearing sediment under plane strain conditionQi Wu, Norimasa Yoshimoto, Shintaro Kajiyama, Yukio Nakata (Yamaguchi Univ.)© The Japanese Geotechnical Society- 21-1-4-02 - 21-1-4-02The 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...case of pure sand samples, the shape and size of the strain-stress line weresimilar even though the shear rates have changed. As for the volumetric strain,as the shear rate increased, the volumetric compression characteristicsgradually decreased. In the case of hydrate-bearing sediment samples, theshape and size of the curve vary greatly at different shear rates compared topure sand samples. The volumetric strain of hydrate-bearing sediment samplesgradually transitions from volume compression to volume expansion withincreasing shear rate.Fig. 3 shows the peak shear strength result with the different shear rate. Itcan be seen that the peak strength of hydrate-bearing sediment samplesgradually increases with the increase of shear rates (from 0.05 %/min to0.5 %/min). The approximately linear relationship between the peak strengthFig. 3 The relationship of peak shear strength andshear rate.and the shear rate in the logarithmic plane can be found. Shear rate has littleeffect on the peak shear strength of pure sand samples.Fig. 4 shows the contours of maximum shear strain of Toyoura sand withand without hydrate at the end of the shear process. It can be found that theincreasing shear rate has different effects on the large maximum shear straincontour distribution of the two types of specimens. As for the samples withhydrate, under low shear rate (0.05 %/min), the large maximum shear straincontours not only in the interior of the shear band but also appeared aroundthe shear band (red zone). As the shear rate increased to 0.5 %/min, largerlocal maximum shear strain contours are more concentrated inside the shearband. Instead, in the case of pure sand samples, at two different shear rates,the large local maximum shear strain contours can be clearly observed aroundthe shear band.Fig. 5 shows PTV analysis results of the volumetric strain of the Toyourasand with hydrate samples at the end of the shear process. In this study, thelocal volume expansion and compression of the specimen during shearingFig. 4. Contours of maximum shear strain of Toyourasand with and without hydrate.were analyzed separately by the PTV technique. At a high shear rate(0.5 %/min), the expansion behavior is more significant. This is consistentwith the total volumetric strain results. Furthermore, when the shear rate is0.05 %/min, in addition to the expansion effect in the shear band, there arealso significant compression effects that can be observed, and the distributionof the larger expansion strain contours is more dispersed. In contrast, whenthe shear rate is 0.5 %/min, there is only a significant expansion volumetricstrain effect in and around the shear band. The compressive volumetric straineffect is hardly found.5. ConclusionBy comparing the results of plane strain shear experiments on pure sandand hydrate-bearing sediment samples at different shear rates. It is concludedthat the shear strength and deformation characteristics of hydrate-bearingsamples showed stronger shear rate dependence compared to pure sandsamples. As the shear rate increases, the peak shear strength of the hydrateFig. 5. PTV analysis results of the local volumetricstrain of the Toyoura sand with hydrate samples.samples increase significantly. With the increase of shear rate, the large localmaximum shear strain of Toyoura sand with hydrate was more concentrated in the shear band, and the local volume expansionphenomenon increased significantly.Reference1) Miyazaki, K., Tenma, N. and Yamaguchi, T. (2017): Relationship between creep property and loading-rate dependence of strengthof artificial methane-hydrate-bearing toyoura sand under triaxial compression, Energies, 10(10), 1466.2) Iwai, H., Konishi, Y., Saimyou, K., Kimoto, S. and Oka, F. (2018): Rate effect on the stress-strain relations of synthetic carbondioxide hydrate-bearing sand and dissociation tests by thermal stimulation, Soils and Foundations, 58(5), 1113-1132.© The Japanese Geotechnical Society- 21-1-4-02 -
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  • タイトル
  • 熊本地方に堆積する火山灰質土の繰返し強度変形特性
  • 著者
  • 七條 隆・永瀬 英生・廣岡 明彦・日高 奈美
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-4-01〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500025
  • 内容
  • 21-1-4-01第55回地盤工学研究発表会熊本地方に堆積する火山灰質土の繰返し強度変形特性液状化ねじりせん断試験 火山灰質土九州工業大学大学院学生会員○七條隆九州工業大学大学院国際会員永瀬英生九州工業大学非会員日高奈美廣岡明彦1.はじめに2016 年熊本地震では、熊本平野において広範囲に液状化被害が生じた。これらの液状化した地盤は火山灰質土を含んでおり、火山灰質土が液状化被害を甚大化した可能性がある。既往の研究で、液状化等の被災地から採取した不撹乱試料の物理的性質および繰返し強度変形特性についての知見を得たところ、阿蘇市の試料では、完全に液状化した試料もあれば、一部の試料では液状化状態に至らず繰返し軟化を生じたという結果を得た。繰返し軟化を生じた試料には湖成層が含まれており、湖成層が液状化に至らず繰返し軟化を生じた結果に関係している可能性がある。よって、阿蘇市で採取した試料に着目し、物理的性質を確認するとともに、繰返し強度変形特性について知見を得ることは、今後の液状化対策を検討する上で重要写真 1 熊本地震により発生した熊本県阿蘇市の陥没であると言える。本研究では、阿蘇市とともに比較対象として秋津町で採取した不撹乱試料を用いて物理試験および力学的試験を行い、繰返し強度変形特性ついて知見を得ることを目的とし、事例的研究を行った。2.試料および実験方法表 1 不撹乱試料の物理的性質試料には、阿蘇市で採取した 3 深土粒子密度 液性限界 塑性限界 塑性指数 自然含水比wL (%)wP (%)IpW 0 (%)度の不撹乱試料と秋津町で採取した不撹乱試料を用いた。阿蘇市で採取した不撹乱試料のうち深度が小さいものから阿蘇砂質土 A、阿蘇砂質土B、阿蘇砂質土 C と呼称した。ここで、粒度試験の乾燥方法を炉乾燥法から自然乾燥法に変えて再度試験をρ s (g/cm3 )阿蘇砂質土A(GL.11.30m~12.25m)阿蘇砂質土B(GL.19.00~20.35m)阿蘇砂質土C(GL.44.90~45.90m)秋津砂質土(GL.5.20~6.20m)細粒分含有率Fc(%)2.984NPNP―26.421.32.37471.560.111.556.182.82.44877.666.611.063.844.12.78236.130.25.937.535.3行ったところ、阿蘇砂質土 B は粘性土であることが分かったが、本研究では既往の研究に沿って阿蘇砂質土 B と呼称したままにする。また、秋津町で採取した不撹乱試料は、秋津砂質土と呼称した。試料の物理的性質を表 1 に示す。また、粒径加積曲線を図 1 に示す。本研究では、繰返し中空ねじりせん断試験装置を用いて実験を行った。供試体は外径 7cm、内径 3cm、高さ 7cm の中空円筒形とした。次に間隙圧係数 B 値が 0.95 以上となるまで脱気水で通水して供試体を飽和させ、試料ごとに原位置での有効鉛直応力を算出し、過圧密状態にならないよ図 1 粒径加積曲線う、試験時にその応力値を有効拘束圧として設定して等方圧密を行った。その後、非排水状態で 0.1Hz の正弦波形を用いて繰返し載荷試験を行った。液状化強度または繰返し強度を求める際の判断基準としては、両振幅せん断ひずみ DA=7.5%のときとした。3.繰返し載荷試験の結果阿蘇砂質土 A、B、C および秋津砂質土の繰返し応力比 R と両振幅 DA=7.5%に達するまでの繰返し回数 Nc の関係を図2 に示す。また、繰返し回数 Nc=20 のときの繰返し応力比を繰返し強度比 RL20 とし、初期有効拘束圧 σV0’ (kPa)とともに表 2 に示す。以上の結果から、阿蘇砂質土 A と C の RL20 はほとんど変わらないが、阿蘇砂質土 C では、液状化以外の繰Cyclic Strength and Deformation Characteristics of VolcanicSHICHIJO Ryu, NAGASE Hideo, HIROOKA Akihiko andAsh Soils Deposited in the Kumamoto DistrictHIDAKA Nami (Kyushu Institute of Technology)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-01 - 21-1-4-01第55回地盤工学研究発表会返し軟化を生じている。その原因とな地震の揺れで堆積した成分が壊れると水分が出て急激に軟らかくなる性質を持っているが、シルトを多く含んでいることから砂粒子間で粘着力を発揮したため液状化には至らな繰返し応力比, R=τ/σ'oして、湖成層は、通常は硬いが大き0.5かったと考えられる。また、秋津砂質土の RL20 は明らかに大きいものとなっている。シルト質を含む土は水を含むと粘着力が発生し繰返し強度表 2 繰返し強度比0.40.30.2阿蘇砂質土 A阿蘇砂質土 B阿蘇砂質土 C秋津砂質土0.10110100試料σV0 ’(kPa)RL20阿蘇砂質土A68.60.283阿蘇砂質土B78.40.244阿蘇砂質土C127.40.284秋津砂質土68.60.3221000繰返し回数 , Nc図 2 繰返し応力比と繰返し回数の関係が大きくなる傾向があることや、塑性を示す砂質土であることから、粘着力が発生したことで RL20 が大きくなったことが考えられる。4.繰返し載荷後の変形特性表 3 せん断剛性および剛性低下率繰返し載荷後のせん断剛性の低下を評価するにあたって、繰試料FLG1 (kPa)0.6247.60.8868.90.8142.9では、繰返し載荷において最もせん断剛性が低下するところを0.9671.0評価する考えで繰返し載荷の最終サイクルにおける接線せん断0.7827.90.9651.90.87862.60.897176.40.899123.71.011216.7返し載荷後の静的単調載荷試験は、せん断応力やせん断ひずみが発生した点を載荷開始点とすることが多くあり,繰返し載荷阿蘇砂質土A後のせん断剛性の低下を正当に評価しているとは言い難い。特に、粘着性の高い土についてはこの傾向が顕著となる。本研究剛性 G1 を求めた。また、静的試験のみを行った場合のせん断ひ阿蘇砂質土B阿蘇砂質土Cずみ 0.1%に対する割線勾配をせん断剛性 G0,i と定義し、これらの試験結果を整理して得られた G1/G0,i を剛性低下率とした。繰返し載荷後の変形特性について表 3 に示す。この結果より、阿秋津砂質土蘇砂質土 A の剛性低下率 0.014~0.020 の範囲と、阿蘇砂質土 B、Go,i (kPa)3388.68942.48063.6G1 /Go,i0.0140.0200.00480.00790.00350.00640.0115918.90.0300.0210.037C の剛性低下率 0.0035~0.0079 の範囲を比べると、後者の方が前1砂質土と比較すると、G1 /Go,i で表される剛性低下が顕著ではないことが分かる。また、すべてに共通して FL の減少につれて G1 /Go,i は低下しており、繰返し軟化を含めた液状化等の程度が激しいものほど、剛性が大きく失われることが分かる。剛性低下率 G1/G0,i を液状化安全率 FL に対してプロットしたものを図 3 に示す。この結果から、上記したようにすべてに共通して FLの減少につれて G1/G0,i は低下していることが分かる。また、秋津砂質土は、0.8<FL<1.0 ではおおむね阿蘇砂質土 A に値が近い傾向を示している。しかし、FL =0.9 付近で急激に G1/G0,i が低下していることから、FL を 0.8 以下より小さくした場合、G1/G0,i がより大きく低剛性低下率 G1/G0,i者に比べて 1 オーダー程度小さくなっている。秋津砂質土は、阿蘇0.1阿蘇砂質土A阿蘇砂質土B阿蘇砂質土C秋津砂質土0.010.00100.20.40.60.811.21.4液状化安全率 FL図 3 剛性低下率と液状化安全率の関係下する可能性がある。5.結論本研究により得られた結果は以下のとおりである。1)阿蘇砂質土 B と C は粘性土またはシルトであることから、液状化以外の繰返し軟化現象でひずみが増大した。その原因として、塑性指数が大きく、粘土分が砂粒子間で粘着力を発揮したためと考えられる。2)本研究では、せん断応力やせん断ひずみの発生点を載荷開始点とした繰返し載荷後のせん断剛性低下の評価方法を改善し、繰返し載荷において最もせん断剛性が低下するところを評価する考えで繰返し載荷の最終サイクルにおける接線せん断剛性を求めている。3)秋津砂質土は、阿蘇砂質土に比べてせん断剛性の低下が顕著でない。しかし、FL =0.9 付近で急激に G1/G0,i が低下していることから、FL をより小さくした場合、G1/G0,i がより大きく低下する可能性がある。参考文献:1) 永瀬英生 他:Cyclic Strength and Deformation Characteristics of Volcanic Ash Soils Deposited in Kumamoto District, 地盤工学会九州支部 70 周年記念フォーラム, pp.45-50, 2019. 2) 村上哲:熊本地震による宅地地盤災害, 熊本地震における地盤及び建物被害についての研修会(2016/8/30), pp.7-24, 2016.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-4-01 -
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  • 洗浄回数がベントナイトKP-Fの陽イオン交換量測定に及ぼす影響
  • 著者
  • YAN XIAOFEI・白河部 匠・HAILONG WANG・小峯 秀雄
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-08〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500024
  • 内容
  • 21-1-3-08The 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...Effect of leaching times in CEC test of Bentonite KP-Fbentonite cation exchange capacityWaseda university Student member ○XIAOFEI YANWaseda university Student member TAKUMI SHIRAKAWABEWaseda university International memberHAILONG WANGWaseda university International memberHIDEO KOMINEleaching1BackgroundDeep geological disposal is considered to be a feasible way to deal withhigh-level radioactive waste (HLW) at present in many countries.Buffer/backfill materials are used as the artificial barrier to cushionpressure from surroundings, prevent infiltration of groundwater and blockmigration of nuclide. Bentonite, which has high swelling capacity, lowpermeability, and high surface adsorption capacity, has been chosen as anideal buffer/backfill material.Montmorillonite, the main mineral in bentonite, has a layered crystallinestructure. The surface of each layer in this structure is negatively charged1).Therefore, cations such as Na+, Mg2+, and Ca2+ can be attracted into theinterlayer spaces. And as can be seen from Fig. 1, these cations areexpected to be exchanged by radioactive cations from HLW in deepgeological disposal due to high cation exchange capacity (CEC) ofmontmorillonite2)..In this research, CEC tests were conducted based on Laboratory TestingStandards of Geomaterials3). In this standard, bentonite was leached by usingBaCl2 and MgSO4 solution and the washed solutions were analyzed byinductively coupled plasma optical emission spectrometry (ICP-OES).Considering bentonite has relatively higher CEC than other soils, this studychanging some testing conditions to confirm the applicability of the method tobentonite is considered2MaterialMaterial used in this research is Bentonite KP-F. It is refined fromBentonite KV1 andTable 1 Fundamental characteristics ofits montmorilloniteBentonite KP-F and Bentonite KV14)5)content is more thanKP-FKV1Name98%. Fundamental2.782.76Particle density (g/cm3 )characteristicsof993416Liquid limit (%)Bentonite KP-F andPlastic limit (%)4221Bentonite KV1 are98~9946~49Montmorillonite (%)shown in Table 1,Those experimental data are quoted from the references 4) and 5).Fig.1 Schematic structure of montmorillonite3Methodology3.1 LeachingCations between layers in montmorillonite can be exchanged with Ba2+while bentonite samples are leached repeatedly with high concentration(0.1mol/L) BaCl2 solution, and the concentration of each exchangeablecations (EXC) can be measured through the supernatant fluid from the testtubes after centrifugal separation. The concrete procedure of leaching isshown in Fig. 2, and samples are leaching 2 times with high concentrationBaCl2 solution in the standard3).After leaching with high concentration BaCl2 solution, parts of thefunctional groups on the surface of layers in montmorillonite with noexchangeable cations absorbed are also exchanged by Ba2+. To make theseBa2+ fall off from the surface of layers, low concentration (0.02mol/L) BaCl2is added into the remained bentonite samples in the test tubes after centrifugalseparation.The absorbed Ba2+ will be desorbed and precipitated as BaSO4, whileFig. 2 Procedure of leaching of CEC test onremained bentonite samples are leached with MgSO4 solution (0.02 mol/L)Bentonite KP-F2+after leaching with low concentration BaCl2 solution. At this time, Mg is2+2+adsorbed instead of Ba . As a result, concentration of Mg in the added MgSO4 solution decreases. CEC can be directly calculatedfrom the decrease of Mg2+ in the added MgSO4 solution, which equals to the absorbed Ba2+ on the surface of layers ofmontmorillonite.3.2 Test programThough samples are leached 2 times by high concentration (0.1mol/L) BaCl2 solution in the standard3), 2, 4, 6, 8 leaching timeswere applied in this research and each group is of 3 samples to carry out this CEC test.Effect of leaching times in CEC test of Bentonite KP-F© The Japanese Geotechnical SocietyYan, Xiaofei Waseda UniversityShirakawabe, Takumi Waseda UniversityWang,Hailong Waseda UniversityKomine, Hideo Waseda University- 21-1-3-08 - 21-1-3-08The 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...Test resultEXC and CEC of bentonite with different leaching times are shown in Table 2 and Fig. 3. It can be seen of the resultsthatmeasured CEC stays constantly at about 111 cmol/kg, which is consistent with results obtained by other researches5). Thisphenoment implicates that all theTable 2 EXC and CEC of bentonite with different leaching timescations between layers ofLeachingEXC(Na)EXC(Ca)EXC(Mg)Sum ofCECmontmorillonitemightbetimes(cmol/kg)(cmol/kg)(cmol/kg)EXC(cmol/kg)(cmol/kg)exchanged by Ba2+ after the2110.021.21.7133.0111.2sample was leached with BaCl2solution for 2 times.4112.722.61.8137.0111.3When leaching more than 46113.223.42.2138.8111.2times, sum of EXC stays almostat 137 cmol/kg, which is nearly8111.522.92.6137.1113.5consistent with the results inprevious study6). It implicates that leaching 4 times may be appropriate for160CEC test of Bentonite KP-F.1402.21.82.6As shown in the results, when leaching more than 4 times, the sum of1.723.422.622.921.2120EXC stays around 137 cmol/kg, which is almost the same as results reported100in previous studies 6). It is indicated that leaching 4 times may be appropriateMg80for measuring EXC of Bentonite KP-F. It can also be easily found from theCa60results that, the sum of EXC is slightly smaller than 137 cmol/kg, when113.2112.7111.511040leaching 2 times. It may be because that, leaching only 2 times is not enoughNa20to induce all cations between layers of montmorillonite to enter supernatantfluid, and some of these cations may remain in the bentonite samples.02468It can be found from Fig. 4Table 3 Concentration of remainedLeaching timesand Table 2 that the sum of EXC2+Mg in the added MgSO4 solutionis all larger than the measuredFig. 3 EXC of Bentonite KP-F leached differentLeachiConcentration ofCEC, and the difference is about2+timesng timesremained Mg (mg/L)Concentration of eachcation(EXC)/cmol/kg45050504026 cmol/kg. Sum of EXC and CECshouldbenearlyequaltheoreticallybecausemontmorillonitecontentofBentonite KP-F is close to 100%,so that little effect on EXC would be caused by dissolving of other minerals.For this difference, there may be several reasons. Firstly, the concentrationof MgSO4 solution added to the samples is 0.02 mol/L, which means theconcentration of Mg2+ is 480 mg/L. According to Table 3, only about 50 mg/LMg2+ remained in the solution after the exchange reaction with Ba2+ wasdetected. Almost all of the Mg2+ in the added solution was involved in theexchange reaction. It shows that the Ba2+ absorbed on the surface of layers ofmontmorillonite may not be replaced by Mg2+ completely, resulting in a smallmeasured CEC. And the process of removing the supernatant fluid from testtubes may result in the loss of the bentonite samples, which also causes asmall measured CEC.160140120100806040200CEC and sum of EXC/cmol/kg2468133111.2137111.3138.8111.2137.1113.5CECEXC2468Leaching timesFig. 4 CEC and sum of EXC f Bentonite KP-Fleached different times5ConclusionSeveral CEC tests were carried out on Bentonite KP-F by changing the leaching times using high concentration (0.1 mol/L)BaCl2 solution. From the results, it can be found that:1) If only measuring CEC of Bentonite KP-F is needed, leaching twice with 0.1 mol/L BaCl2 solution is sufficient to obtain arelatively accurate result. And it's on the cards that washing once is also enough, which can be discussed next.2) Leaching Bentonite KP-F samples 4 times using 0.1 mol/L BaCl2 solution can obtain a comparatively accurate EXC.3) After leaching using BaCl2 solution, only using 0.02mol/L MgSO4 solution for exchange reaction may cause this reaction tobe incomplete, resulting in a small measured CEC. Therefore, increasing the concentration of the MgSO4 solution needs tobe considered in the future research.ReferenceViani A, Gualtieri A.F, & Artioli G : The Nature of Disorder in Montmorillonite by Simulation of X-ray Powder Patterns.American Mineralogist, 87, pp. 966-975, 2002.2)Haruo SATO : Function for Controlling Nuclide Migration of Buffer Material in the Geological Disposal for High-LevelRadioactive Waste. Journal of MMIJ, 125, pp.1-12, 20093)The Japanese Geotechnical Society : Japanese Geotechnical Society Standards Laboratory Testing Standards ofGeomaterials(Vo1.1) , JGS0261, pp. 362-367, 2015.4)Japan Nuclear Cycle Development Institute : A Study of Pore Structure of Compacted Bentonite (Kunigel-V1), PNCTN8400 99-064, 1999.5)Haruo SATO : Founction of Controlling Nuclide Migration of Buffer Material in the Geological Disposal for High-LevelRadioactive Waste, Journal of MMIJ, 125, pp.1-12, 2009.6)Power Reactor and Power Nuclear Fuel Development Corporation : Characteristic Test of Buffer Material, PNC TN841092-057, 1992.1)© The Japanese Geotechnical Society- 21-1-3-08 -
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  • タイトル
  • 変水位透水試験による締固めたベントナイト供試体の透水係数の測定および試験方法
  • 著者
  • 貞松 暁大・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也・伊藤 大知・市川 雄太
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-07〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500023
  • 内容
  • 21-1-3-07第55回地盤工学研究発表会変水位透水試験による締固めたベントナイト供試体の透水係数の測定および試験方法ベントナイト変水位透水試験放射性廃棄物処分早稲田大学学生会員○貞松暁大,伊藤大知,市川雄太早稲田大学国際会員小峯秀雄,後藤茂,王海龍戸田建設 正会員関口高志戸田建設 非会員北原慎也1. はじめに高レベル放射性廃棄物の地層処分における緩衝材の材料として,地下水による放射性核種の移行を抑制するため,低透水性を有するベントナイトの使用が予定されている.そのため,ベントナイト系緩衝材の透水係数を,比較的短時間で精度よく測定することは,非常に重要である.しかしベントナイトの透水係数は非常に小さく,ベントナイト配合率100%の供試体に対して変水位透水試験を実施した研究は少ない.本研究では,ベントナイト配合率 100%の供試体に対して同試験を実施し,透水係数を測定した.本論文では,実施した試験方法について詳述し,測定される透水係数と経過時間の関係の観点から,試験方法の適用性を検討する.表12. 使用した試料および供試体ベントナイト A の基本的性質タイプ本研究ではベントナイト A(クニミネ工業製・クニゲル V1)を使用しNa 型土粒子の密度(g/cm3)2.76の供試体を,目標の乾燥密度となるよう,静的締固め装置を使用して作製液性限界(%)535.4した.塑性限界(%)26.7塑性指数508.7モンモリロナイト含有率(%)52.8た.表1にベントナイト A の基本的性質を示す.直径 28 mm,高さ 10 mm3. 変水位透水試験の概要本研究では透水係数の測定期間の短縮を目的に,供試体の寸法を小型化した変水位透水試験装置(供試体寸法:直径 28 mm,高さ 10 mm)を使用した 1).供試体の事前飽和は,地盤工学会基準「低透水性材料の透水試験方法」(JGS03122018)2)により提案されている,水浸脱気法(図 1 参照)により実施した.水浸脱気法では,試験容器を水浸減圧容器内の蒸留水に浸漬し,真空ポンプを用いて飽和を促進した.今回,事前飽和は 2 週間とした.また本研究では,ベントナイト配合率 100%の供試体に対して,300 kPa または 400 kPa の差圧条件下で変水位透水試験(図 2 参照)を実施した.この際,供試体の下面から上面に通水させ,排水側二重管ビュレットの水位変化が確認された後,透水試験を開始した.ここで一度の測定に要する時間が約一週間以内となるように実施した.なお試験では脱気水を使用した.また圧力を負荷した二重管ビュレットを併設し,蒸発量を補正した.さら図1に下記に示す式(1),(2)を用いて,温度 15℃における透水係数𝑘𝑘15 を算出した.𝑘𝑘 𝑇𝑇 = 2.303(𝑎𝑎𝑖𝑖𝑖𝑖 × 𝑎𝑎𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 )𝐿𝐿ℎ1 𝛾𝛾𝑤𝑤 × 10 + 𝑃𝑃1𝑙𝑙𝑙𝑙𝑙𝑙10×(𝑎𝑎𝑖𝑖𝑖𝑖 + 𝑎𝑎𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 )𝐴𝐴(𝑡𝑡2 − 𝑡𝑡1 )ℎ2 𝛾𝛾𝑤𝑤 × 10 + 𝑃𝑃 100𝑘𝑘15 = 𝑘𝑘 𝑇𝑇 ×𝜂𝜂 𝑇𝑇𝜂𝜂15水浸脱気法の概念図(1)(2)ここに,𝑘𝑘 𝑇𝑇 :T℃における透水係数(m/s),𝑎𝑎𝑖𝑖𝑖𝑖 :流入側の二重管ビュレットの断面積(cm2),𝑎𝑎𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 :流出側の二重管ビュレットの断面積(cm2),𝐿𝐿:供試体の長さ(cm),𝐴𝐴:供試体の断面積(cm2),𝑡𝑡2 − 𝑡𝑡1 :測定時間(s),ℎ1 :時刻𝑡𝑡1 における水位差(cm),ℎ2 :時刻𝑡𝑡2 における水位差(cm),𝛾𝛾𝑤𝑤 :水の単位体積重量(kN/m3),𝑃𝑃:差圧(Pa),𝑘𝑘15 :温度 15℃における透水係数(m/s),𝜂𝜂 𝑇𝑇 /𝜂𝜂15 :温度 15℃における透水係数を算出するための補正係数である.4. 試験結果および考察図2Measurement of hydraulic conductivity of compacted bentonite変水位透水試験装置の概要図SADAMATSU, Akihiro ITO, Daichi ICHIKAWA, Yutaby the falling head hydraulic conductivity test method andmeasuring methodKOMINE, Hideo GOTO, Shigeru WANG, HailongWaseda UniversitySEKIGUCHI, Takashi KITAHARA, SinyaToda Corporation© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-07 - 21-1-3-07第55回地盤工学研究発表会図 3 に,測定期間における供試体の給排水量の比較を示す.試験開始後数回の測定では,供試体が完全に飽和していなかったため,流入量が流出量を大きく上回っていた.試験時間が進むにつれ,流入量と流出量が近い値になった.また図 4 に,図 3 に示す二重管ビュレットの水量変化より計算した,透水係数と経過時間の関係を示す.7~10 日程度の短期間で,10-13 m/s のオーダーの比較的正確な透水係数の値が測定された.また図 3 と図 4 を比較する と , 乾 燥 密 度 1.37 Mg/m3 と 1.52Mg/m3 のいずれの供試体においても,乾燥密度 1.37(Mg/m3)図3乾燥密度 1.52(Mg/m3)測定期間における供試体の給排水量の比較流入量と流出量が近い値になるに伴い,透水係数の測定値が小さくなり,その変動幅が小さくなっていることがわかる.供試体が飽和状態に近づき,より精度の高い透水係数が測定されたと考察した.今後は,事前飽和を片側からのみ通水させる方法で実施し,事前飽和の違いによる透水係数の変動幅と経過時間の関係を確認する必要がある.図 5 にベントナイト配合率 100%の供試体の透水係数と乾燥密度の関係を示す.ベントナイト配合率 100%の供試体の透水係数と乾燥密度の間に相関性が確認できる.測定された透水係数の変動が小さいことから,ベントナイト配合率 100%の供試体の透水係数の測定について,本試験方法の再現性が高いと考えられる.今後継続して,ベントナイト配合率 100%の,乾燥密度 1.0~2.0 Mg/m3 の供試体に対して,変水位透水試験を実施し,より明確な相関性を示す必要がある.また Na 型ベントナイト配合率 70%などの,ベントナイト配合率の高い供試体の透水係数が報告されている3).そのため透水係数に対して,有効モンモリロナイト乾燥密度などのその他の代替指標図4についても評価を行い,ベントナイト配合率の異なる供試体ベントナイト配合率 100%の供試体の透水係数と経過時間の関係において,同一軸での評価を行うことで,本試験の適用性をより明確にできると考えている.5. まとめ本研究では直径 28 mm,高さ 10 mm の寸法のベントナイト配合率 100 %の供試体に対して,300 kPa および 400 kPa の差圧条件下で変水位透水試験を実施した.試験方法について述べ,また同試験の適用性について検討を行った.試験期間を通して,透水係数に大きな変動がないことや,透水係数と乾燥密度の間に相関性が確認でき,ベントナイト配合率 100%の供試体に対して,変水位透水試験の再現性があることが示唆された. 今後,試験中の供試体の飽和度を確認し,飽和透水係数のみを対象に整理することで,明確な透水係数と乾燥密度の関係を示すことができると考えている.参考文献 1) 貞松暁大,小峯秀雄,後藤茂,王海龍,関口高志,北原慎也,伊藤大知,市川雄太:変水位透水試験による締固めたベントナイト供試体の透水係数の測定,第 54 回地盤工学研究発表会,D020144,pp.287-288,2019. 2) 地盤工学会:新規制定地盤工学会基準・同解説低透水性材料の透水試験方法(JGS 0312-2018),p.4,2018.3) 地盤工学会:低透水性土質系材料の活用と性能評価技術に関するベントナイト配合率 100%の供試体の透水係数と乾燥密度の関係研究委員会研究報告書,pp.109-141,2016© 公益社団法人 地盤工学会図5- 21-1-3-07 -
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  • タイトル
  • RI密度走査を利用したバライト粉末による遮蔽体形成過程における鉛直方向の湿潤密度分布変化に関する考察
  • 著者
  • 宮路 将人・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・吉川 絵麻・吉村 貢・氏家 伸介・長江 泰史・成島 誠一
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-06〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500022
  • 内容
  • 21-1-3-06第55回地盤工学研究発表会RI 密度走査を利用したバライト粉末による遮蔽体形成過程における鉛直方向の湿潤密度分布変化に関する考察放射線遮蔽 堆積物粒子径早稲田大学学生会員 ○宮路将人,国際会員国際会員小峯秀雄,国際会員後藤王吉川絵麻海龍,学生会員ソイルアンドロックエンジニアリングNB 研究所 正会員氏家伸介,正会員国際会員成島誠一,正会員吉村茂貢長江泰史1.研究背景・目的2011 年の福島第一原子力発電所事故以来,建屋の解体や燃料デブリの取り出しに向けて,放射線遮蔽や放射性物質拡散抑止の技術が必要とされている.筆者らは,高比重のバライト粉末(湿潤密度 4.34 g/cm3)を使用した遮蔽体で放射性物質を覆うことでこの課題の解決が可能と考え,バライト粉末が分散した泥水を意図的に沈降させることにより遮蔽体(バライト沈降層)を形成する技術を提案している.この方法ではバライト粉末が一様に分散した状態から沈降させることで,図 1 で示すように,広範囲に均一な厚さ,平均湿潤密度 3.1g/cm3 程度,ガンマ線に対して高い遮蔽性を有する遮蔽体を構築することができる.遮蔽体形成における要求性能は,遮蔽体の湿潤密度分布と沈降層の形成高さ・時間であり,適切な遮蔽体設計と施工のためには,これらを定量的に把握することが必要である.そこで,本研究では,RI 密度走査装置を使用し図 1 原子炉建屋内部における遮蔽体形成の例て連続的に沈降中の鉛直方向における湿潤密度分布を測定することで,このバライト表 1 使用した泥水の配合沈降層形成の様子と湿潤密度分布を評価した.2.使用試料と泥水配合の詳細および RI 密度走査装置・測定方法の概要バライト沈降層の作製にあたり,本研究ではベントナイト懸濁液にバライト粉末を泥水均一に分散させ,測定直前に粘性破壊剤として分散材水溶液を過剰に添加することでバライト粉末の沈降を発生させた.この泥水は粘性破壊剤溶液の添加直後から図 2 に分散剤示すように粘度が急激に減少し,バライト粉末を支持する構造が失われることでバラ水溶液構成材料質量比水道水100スーパークレイ4ピロ燐酸 Na0.05テルバー400ピロ燐酸 Na0.45水道水7.20イト粉末の沈降・堆積が開始される.本研究ではバライト粉末にテルバー(テルナイ初期泥水比重2.60ト製),ベントナイトにスーパークレイ(ホージュン製)を使用して泥水を作製し分散剤溶液投入後比重2.55た.図 3 は使用したバライト粉末の粒径沈降開始後における湿潤密度分布の時間変化および沈降層の形成高さを調べるため,図 4 に示す RI 密度走査装置を使用して湿潤密度の測定を実施した.RI密度走査装置は,円筒形の測定対象を挟みガンマ線源(60Co の封入線源)と検出10000泥水の粘性係数η  (mPa・s)加積曲線を示したものである.粘性破壊剤溶液投入前1000120 mPa・s 前後(94.2~132mP・s)10010図 2 粘性破壊剤の添加と泥水粘度の低下器の底部(円柱上端)から 80 cm の高さまで泥水を充填し,0.1 cm/s の一定速度,約 14 分間かけて検出部を下降させて走査測定を行った.実験開始は粘性破壊剤添加の直後とし,数時間おきに設定した時刻毎に走査測定を開始した.100通過質量百分率(%)が既知のアルミ円柱を入れたアクリル容充填泥水沈降したバライト粉末を攪拌により泥水中に分散させて測定一定温度条件(40度)020406080100粘性破壊剤添加直後からの経過時間 (h)したガンマ線計数から各高さの湿潤密度が連続的に算出できる.本研究では密度急激に泥水粘度が低下バライト粉末が沈降開始分散材溶液添加後器が設置された装置であり,検出部が上部から一定速度で下降することで,透過泥水全体の粘度5420 mPa・s80604020バライト粉末(テルバー)の粒径加積曲線00.0010.010.1粒径(mm)図 3 使用バライト粉末の粒径加積曲線1図 4 RI 密度走査装置の寸法および測定条件Evaluation for vertical saturated densityMIYAJI, Masato YOSHIKAWA, Ema KOMINE, Hideo Waseda Universitydistribution of settling barite with RIGOTO, Shigeru WANG, Hailong Waseda University, YOSHIMURA, Mitsugu SREdensity scanner© 公益社団法人 地盤工学会UJIIE, Shinsuke NARUSHIMA, Seichi, NAGAE, Yasushi NBI- 21-1-3-06 - 21-1-3-06第55回地盤工学研究発表会3.バライト沈降層形成過程における泥水の湿潤密度変化図 5 は,充填・沈降開始から各経過時間に測定された沈降中の湿潤密度 ρt1.0泥水および沈降層の湿潤密度分布を示したものである.測定の結果,初期のほぼ均一な湿潤密度分布(湿潤密度約2.55g/cm3)か底面(アルミ円柱-泥水境界)からの位置 h (cm)の高い領域が鉛直方向に増加する様子が認められた.これは,下部へのバライト粒子の移動と沈降層の形成を示すものである.各時間の湿潤密度分布において湿潤密度が約 2.5 g/cm3 から 3.0 g/cm3まで変化する部分は,その時点で形成されているバライト沈降層の上端の高さを示すと考えられ,この大きく湿潤密度が増加する位置から,図 6 に示すように沈降層が徐々に形成され,高さを増していくことが確認された.また,最終的な湿潤密度の増加位置は,測定の終了時に実際に形成されていた沈降層の高さ(48 時間経過,高さ 46cm)と一致した.図中の湿潤密度の比較的大きい部分,固相部に注目すると,バライト粒子は湿潤密度に勾配を生じさせながら堆積し,バライト沈降層は上部に向かって単調に減少する湿潤密度分布を有することが確認された.湿潤密度は底部で最大 3.21g/cm3 を示し,実験終了時の最終沈降高さで最小 2.85g/cm3 となった.この湿潤密度の分布は,図 7 に示すように異なる粒径のバライト粒子が異なる粒径を持つ粒子が混在するため密に締固まる一方,上部は視認された.また,本実験では上部にバライト沈降層が形成されることで下部に新たな湿潤密度変化が生じることはなく,自重圧密現象等は確認されなかった.3.0定点測定位置√tに従う減少上部の密度が減少測定終了時の沈降層高さ3.54.00 hour(0 min)0.30 hour(18 min)0.61 hour(36 min)1.01 hour(61 min)1.75 hour(105 min)2 hour3 hour4 hour21 hour24 hour28 hour45 hour48 hour終了時の沈降層境界湿潤密度最小約2.85g/cm3時間が経過すると液相部が2.55g/cm3以下になり2つの傾きを有する密度分布となる(→分散剤による分散効果?)少しずつ減少2.9~3.2沈降初期では,沈降層周辺の液相部の密度が2.55g/cm3で一定値を取り,沈降層形成部で急に密度が変わる全ての粒径を含む領域(=湿潤密度2.55g/cm3で均一)が下方にシフトし底に達したバライト粉末から堆積すると推定湿潤密度最大3.21g/cm3沈降層形成高さ湿潤密度増加部の高さ h(cm)図 8 に示すように各沈降高さを構成する粒子の粒径に分布が2.52日間の測定において圧密による堆積後の密度変化は認められない図 5 バライト粉末の沈降・堆積における湿潤密度分布の時間変化沈降速度を有することによって生じると考えられ,下部は大小のえられる.実際,室内でバライト沈降層を作製した場合,2.0色の異なる液相領域(徐々に増加)上部は灰色の液体(比重約1.1)ら上部の湿潤密度が徐々に減少し,それに伴い底部から湿潤密度粒径の小さい粒子のみで構成されるため低密度となると考1.5(g/cm3)50403020液相部に注目すると,液相部の湿潤密度変化は上端から生じ,24 時間経過以前の測定において,沈降層周辺では初期の均一な湿潤密度 2.55g/cm3 からほとんど変化しない傾向補完曲線密度変化が起こる領域の中心から算出100時間と共に湿潤密度の高い固相部が形成されることが確認された01020304050経過時間t (h)図 6 湿潤密度増加高さ(沈降層高さ)の時間変化図 7 バライト沈降層の湿潤密度分布に関する考察が認められた.これは粒子の沈降速度が粒径ごとに一定速度に決定すること示唆しており,図 9 に示す通り,上端では粒径の大きいバライト粒子が沈降してその部分がベントナイト懸濁液に置き換わるため湿潤密度が減少,同時に全ての粒径の粒子が存在する領域は下部に移動するため,沈降層周辺では初期の湿潤密度と一致すると考えられる.4.結論本研究ではバライト粉末の沈降による放射線遮蔽体形成過程を考え,図 8 実験室におけるバライト沈降層の外観粒子沈降中および堆積後のバライト沈降層の湿潤密度を RI 密度走査によって測定した.その結果,形成された沈降層および沈降過程の湿潤密度分布に関して以下の傾向が認められた.図 9 液相部の湿潤密度分布に関する考察(1) 沈降・堆積により形成されるバライト沈降層は 3.21~2.85g/cm3 の鉛直方向上部に向かって減少する湿潤密度分布を有する.これは底部から各高さにおいて含まれる粒子の粒度配合に依存すると考えられる.(2) 液相部の湿潤密度に注目すると,24 時間経過以前の測定では沈降層周辺の湿潤密度が初期の湿潤密度(約 2.55g/cm3)から変化しない.これは粒径で粒子沈降速度が決定し,全粒径を含む領域が下部に遷移するためと考えられる.この湿潤密度の分布はバライト沈降層のガンマ線遮蔽性能に関連付けられ,初期充填高さに依らない湿潤密度分布の傾向を明らかにすることで適切な遮蔽体設計が可能となる.また,粒子沈降現象を考察することで状態量分布を生じる要因を明らかにし,要求性能の一つである施工時の遮蔽体形成時間を把握することが可能と考えられる.謝辞:本研究は文科省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成水深事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム」採択課題「福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム」の支援により実施しました.各位に感謝申し上げます.参考文献: 1) 氏家伸介,長江泰史,成島誠一:福島第一原子力発電所における沈降型重泥水を利用した燃料デブリ取出し回収法の検討,第 13 回環境地盤シンポジウム,pp.301-304,2019, 2) 吉川絵麻,小峯秀雄,後藤茂,吉村貢,鈴木聡彦,成島誠一,新井靖典,氏家伸介,佐古田又規,長江泰史:土質系材料の放射線遮蔽性能の定量評価,土木学会論文集 C(地圏工学),Vol.73,No.4,pp.342-354,2017© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-06 -
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  • タイトル
  • メチレンブルー吸着量試験を援用した泥水中のベントナイト量評価の試み
  • 著者
  • 原﨑 智・小峯 秀雄・後藤 茂・吉川 絵麻・宮路 将人・氏家 伸介
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-05〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500021
  • 内容
  • 21-1-3-05第55回地盤工学研究発表会メチレンブルー吸着量試験を援用した泥水中のベントナイト量評価の試みベントナイト メチレンブルー吸着量試験 廃止措置早稲田大学 学生会員 ○原﨑 智,吉川絵麻,宮路将人早稲田大学 国際会員 小峯秀雄,後藤 茂NB 研究所国際会員 氏家伸介1. はじめに福島第一原子力発電所の廃止措置において,燃料デブリ取り出しは重要な課題である.作業員の被ばく,放射性物質飛散の防止の観点から,充填型放射性遮蔽材料の超重泥水1)2)が開発されている.超重泥水の構成材料であるベントナイトはセシウム吸着特性を有するため,廃止措置での使用により超重泥水が燃料デブリに接触し,ベントナイトが放射性物質を吸着することが想定される.そのため燃料デブリ取り出しでの使用後の超重泥水は放射性廃棄物として処理する必要があるが,現在,超重泥水の処理方法は未確立である.著者らは放射性廃棄物処分の観点から,遠心分離を用いた分級により,超重泥水中の放射性物質を吸着したベントナイトの回収を目指している.またベントナイトの回収の達成度の把握のため,超重泥水中のベントナイトを選択的に評価する必要がある.そこで本研究では土壌のモンモリロナイト含有率を求めるメチレンブルー吸着量試験(JIS Z2451)3)に着目した.一般に同一試料中のモンモリロナイト含有率は一定であると考えられる.そのため,同一試料のメチレンブルー(以下 MB)溶液滴下量は,添加したベントナイトの乾燥質量に比例すると仮定でき, MB 溶液滴下量から泥水中のベントナイト量を評価することが可能と考えられる.以上より本研究では,メチレンブルー吸着量試験を援用し,先述の比例関係より算出したベントナイトの乾燥質量と,炉乾燥により測定したベントナイトの乾燥質量を比較した.2. ベントナイトの乾燥質量評価におけるメチレンブルー吸着量試験の適用性の評価のための実験ベントナイトの乾燥質量と MB 溶液滴下量の関表 1 ベントナイト SC の基本的性質係を確認するため,添加するベントナイト SC の土粒子の密度(g/cm3)2.672乾燥質量を変化させて MB 吸着量試験を行った.モンモリロナイト含有率(%)57.8表 1 に使用したベントナイト SC(株式会社ホージ液性限界(%)647.5ュン製 スーパークレイ)の基本的性質を示し塑性限界(%)41.7た.また図 1 に MB 吸着量試験の手順を示した.表 2 実験条件炉乾燥では超重泥水中のベントナイト SC の乾燥質量を選択的に評価できず,MB 吸着量試験を援用して算出した乾燥質量と比較することが困難と考えられるため,本実験種類硫酸ア水(g)ルミニウム(g)ではベントナイト SC のみを分散させた泥水を用いた.実遠心分離験手順は図 2 および以下に示す通りである.蒸留水 100 gA1000なしにピロリン酸ナトリウムを 0.2 g 添加して 2 分間撹拌し,B1000ありベントナイト SC を 5 g を添加してさらに 2 分間撹拌した.C1000.1あり2 分間の撹拌後ベントナイト SC が十分に分散せずに継粉D1000.5ありとなって存在したため,薬さじを用いて潰した.遠沈管E1001.0あり図 1 メチレンブルー吸着量試験の手順に作製した泥水を 30 mL,硫酸アルミニウムを所定量入れ,3000 rpm で 120 分間遠心分離を実施した.遠心分離後,遠沈管の目盛りを利用して鉛直方向に底部から 5 mL 毎 6 層に分けて取り出し,各層に対して MB 吸着量試験の実施または 110±5℃に設定した恒温乾燥炉にて 24 時間炉乾燥を行い,乾燥質量を測定した.図 2 実験手順なお本実験では,様々なベントナイト SC濃度の泥水におけるメチレンブルー吸着量試験の適用性を考慮するため,凝集剤(硫酸アルミニウム)の添加,遠心分離の実施により,遠沈管内のベントナイト SC の存在分布に差を設けた.表 2 に凝集剤の添加量および遠心分離の実施の有無を整理した.また本研究のメチレンブルー吸着量試験において,日本工業規格の規定より少ない乾燥質量でTrial on evaluation of bentonite amount in slurry by usingHARASAKI Satoru, YOSHIKAWA Ema, MIYAJI Masato,methylene blue adsorption testKOMINE Hideo, GOTO Shigeru Waseda UniversityUJIIE Shinsuke NB Institute© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-05 - 21-1-3-05第55回地盤工学研究発表会実験を行ったため,終点までの MB 溶液滴下量に対する MB 溶液の滴下間隔が大きくなることが予想された.そこでハローの確認以後は MB 溶液の滴下間隔を 0.5 mL 毎とした.さらに,実験毎に作製した MB 溶液の濃度が異なり,終点までに添加した滴下量を正しく測定できない可能性がある.モンモリロナイト純度 98.5%以上 4)の精製ベントナイト KP-F(クニミネ工業株式会社製 クニピア-F)を使用して MB 吸着量を測定し,式(1)に示す補正式を用いて整理した.𝑄#$𝑣!" ′=𝑣!" ×𝑄#%(1)ここに,𝑣!" ′:補正後の滴定量(mL),𝑣!" :滴定量(mL),𝑄#$ :MB 溶液の濃度が 0.01 mol/L の場合の精製ベントナイト KP-F の MB 吸着量(mmol/100g) (純モンモリロナイトの MB 吸着量 140 mmol/100g5)を基準と し た ) , 𝑄#% : 実 験 毎 の 精 製 ベ ン ト ナ イ ト KP-F の MB 吸 着 量(mmol/100g) とする.図 4 ベントナイト SC の乾燥質量と濃度補正後のメチレンブルー溶液滴下量の関係3. ベントナイトの乾燥質量とメチレンブルー溶液滴下量の関係図 4 はベントナイト SC と濃度補正後のメチレンブルー溶液の滴下量の関係を示したものである.今回の結果より濃度補正後 MB 溶液の滴下量はベントナイト SC の乾燥質量に比例することが認められた.また以下に示す実験式が得られた.𝑣!" ′=81.5×𝑚&'((2))ここに,𝑣!":濃度補正後の MB 溶液滴下量(mL),𝑚&'( :添加したベントナイト SC の乾燥質量(g)とする.また,採取した 5 mL 毎の各層に MB 吸着量試験を実施し,得られた結果に対して実験式(2)を用いてベントナイト SC の乾燥質量を算出した.なお,ベントナイト SC 内のモンモリロナイトと随伴鉱物に比重差があるため,今回の実験では凝集剤の添加,遠心分離によりベントナイト SC におけるモンモリロナイトと随伴鉱物(以下 M/A と記す.M:図 5 炉乾燥およびメチレンブルー吸着量試験により算出したベントナイト SC の乾燥質量の比較Montmorillonite, A: Accessory minerals)存在分布が一様とならない可能性が考えられる.ここで,今後比重 4.2 を有するバライトを含有する超重泥水の適用を踏まえ,今回の実験ではモンモリロナイトと随伴鉱物の比重差が,バライトとの比重差に比べて十分微小で無視できると考え,モンモリロナイト含有率が一定と仮定し,実験式(2)を適用可能とする.4. 泥水中のベントナイト SC の乾燥質量図 5 は MB 吸着量試験を援用して算出したベントナイト SC の乾燥質量と,炉乾燥により測定したベントナイト SCの乾燥質量の関係を示したものである. 今回の結果では遠沈管内の M/A 存在分布に依らず,ベントナイト SC の乾燥質量が 0.25 g 未満の場合,結果にばらつきが認められた.MB 吸着量試験ではハロー幅の確認により終点の決定を行うが,ベントナイト SC の乾燥質量が小さい場合,MB 溶液の滴下間隔が大き過ぎため終点の決定が困難であり,ばらつきを有する結果が得られたと考えられる.一方,ベントナイト SC の乾燥質量が 0.4 g~0.8 g の場合,ベントナイトSC の乾燥質量が 0.25 g 未満より高い相関性が得られた.今回の実験の結果では遠沈管内の M/A 存在分布に依らず,ベントナイト SC の乾燥質量が 0.4 g~0.8 g においてメチレンブルー吸着量試験を援用した乾燥質量を評価できる可能性が示唆された.なお,今後はモンモリロナイトと随伴鉱物の比重差を考慮し,結果を整理する必要がある.またバライトを添加した超重泥水における MB 吸着量試験の適用性を検討する.5. まとめ本研究では,ベントナイトの乾燥質量の選択的評価を目指し,メチレンブルー吸着量試験を援用して泥水中のベントナイト SC の乾燥質量を算出し,炉乾燥から測定したベントナイト SC の乾燥質量と比較した.結果より,今回の実験では M/A 存在分布に依らずベントナイト SC の乾燥質量が 0.4 g~0.8 g において,メチレンブルー吸着量試験によるベントナイト SC の乾燥質量の選択的な評価ができる可能性が示唆された.謝辞 本研究の一部は文部科学省の「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム」の採択課題「福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム JPMX 15H15664915(地盤工学会)」の支援を受けて実施しました.ここに感謝申し上げます. 参考文献 1)氏家伸介,長江泰史,成島誠一,新井靖典,稲元祐二,水野正之,佐古田又規,齋藤祐磨,小峯秀雄:変形追従型放射線遮蔽材の開発,第 11 回環境地盤工学シンポジウム発表論文集,pp.471-478,2015. 2)吉川絵麻,小峯秀雄,後藤茂,吉村貢,鈴木聡彦,成島誠一,新井靖典,氏家伸介,佐古田又規,長江泰史:土質系材料の放射線遮蔽性能の定量評価,土木学会論文集 C(地圏工学),Vol.73,No.4,pp.342-354,2017. 3)日本工業規格:JIS Z2451,2019 ベントナイトなどのメチレンブルー吸着量の測定方法(2020 年 1 月 23 日閲覧) 4)クニミネ工業株式会社:クニピア-F 安全データシート(SDS) https://www.kunimine.co.jp/download/pdf/sds/sds_kunipia_f.pdf (2020 年 3 月 10 日閲覧) 5)動力炉・核燃料開発事業団 東海事業所:ベントナイトの鉱物組成分析 https://jopss.jaea.go.jp/pdfdata/PNC-TN8430-93-003.pdf(2020 年 1 月 24 日閲覧)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-05 -
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  • 平板比較法によるベントナイトの熱伝導率の測定における側面断熱が測定精度に及ぼす影響についての考察
  • 著者
  • 金田 舜・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・伊藤 大知
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-04〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500020
  • 内容
  • 21-1-3-04第55回地盤工学研究発表会平板比較法によるベントナイトの熱伝導率の測定における側面断熱が測定精度に及ぼす影響についての考察ベントナイト熱伝導率定常法早稲田大学 学生会員○金田舜,伊藤大知早稲田大学小峯秀雄,後藤茂,王海龍国際会員1 はじめに高レベル放射性廃棄物処分において緩衝材としてベントナイトを用いることが極めて有力であるが,廃棄体からの崩壊熱によってベントナイトの有する機能の低下が懸念されるため,ベントナイトの熱的性質に関する研究が進められている.既往の研究 1),2)では非定常法に分類される方法により測定が行われているが,信頼性の高いデータを取得するためには,定常法による測定も行う必要がある.そこで本研究では定常法に分類される方法により側面断熱状態でのベントナイトの熱伝導率の測定を行い,側面断熱が測定精度に及ぼす影響についての考察を行った.2 使用したベントナイトの基本的性質および供試体の作製方法本研究では,クニミネ工業製の Na 型ベントナイトのクニゲル V1(以降,KV1)と Ca 型であるクニボンド(以表 1 使用したベントナイトの基本的性質ベントナイトの名称KV1KB降,KB)を使用した.表 1 にそれぞれの基本的性質を示タイプNa 型Ca 型す . 供試 体 は, 静 的締 固め装 置 を用 い て直 径 約 28土粒子の密度(g/cm3)2.812.69mm,高さ約 2 mm から 25 mm を目標として作製した.液性限界(%)476.9119.9また目標とする乾燥密度を KV1 では 1.8 g/cm3,KB で塑性限界(%)は 1.4 g/cm3 とした.含水比は KV1,KB ともに自然含29.252.2モンモリロナイト含有率(%)4872水比の状態にし,これを測定前の含水比とした.供試体作製後,実際の質量,直径,高さを測定して実際の乾燥密度を求めた.3 熱伝導率測定方法の概要本研究では図 1 に示す熱伝導率測定装置を用いて測定を行った.本装置では熱伝導率が未知である供試体を挟んだ場合の,各ロッドに設置された計 10 点の熱電対の示す温度より,次に述べる手順により熱伝導率を算出する.まず測定されたロッド内の各点の温度よりロッド内の温度勾配を最小二乗法によって求め,その結果からロッドと供試体の接触面の温度を計算した.次に得られた接触面の温度を用いて式(1)よりみかけの熱図 1 熱伝導率測定装置図 2 側面断熱状態における測定の様子抵抗を求めた.この計算過程において測定原理に基づくために,供試体の下面と下部ロッドの接触面の温度を算出する際に下部ロッドの温度勾配を上部ロッドの温度勾配に補正し,その結果を用いてみかけの熱抵抗の算出を行った.𝑇𝑇𝑎𝑎 − 𝑇𝑇𝑏𝑏(1)𝑅𝑅′ =𝜕𝜕𝜕𝜕−𝜆𝜆𝑠𝑠 × � � × 𝑆𝑆𝜕𝜕𝜕𝜕ここに,𝑅𝑅′ :みかけの熱抵抗(K/W),𝑇𝑇𝑎𝑎 :上部ロッドと供試体上面の接触面の温度(℃),𝑇𝑇𝑏𝑏 :下部ロッドと供試体下面の∂T接触面の温度(℃),𝜆𝜆𝑠𝑠 :ロッド(黄銅)の熱伝導率(W・m-1・K-1), :上部ロッドの温度勾配(℃/m),S:ロッドと供試体∂xの接触面積(m2)である.計算結果よりみかけの熱抵抗と供試体の高さの関係の図を作成し,最小二乗法により傾きを求めた.最後に求めた傾きおよび接触面積から式(2)より熱伝導率を算出した.1(2)λ=𝛼𝛼𝛼𝛼ここに,λ:熱伝導率(W・m-1・K-1),α:みかけの熱抵抗と供試体の高さの関係の図の傾き(K・m-1・W-1),S:ロッドと供試体の接触面積(m2)である.本装置の測定原理は上部ロッド,供試体,下部ロッドの順に熱源からの熱が損失なく 1 次元的に伝わることが前提である.しかし,従来の方法では供試体側面は断熱されていないため熱伝導率測定において前提条件以外の熱の移動が生じる.そこで本研究では図 2 に示すように,供試体側面を断熱した状態での測定により精度の向上を試み,従来の方法での測定結果との比較および側面断熱の影響についての考察を行った.A consideration on the effect of side thermal insulation onShun Kanada,Daichi Ito Waseda Universitymeasurement accuracy in the measurement of thermalHideo Komine,Shigeru Goto Waseda Universityconductivity of bentonite by flat plate comparison© 公益社団法人 地盤工学会Wang Hailong Waseda University- 21-1-3-04 - 21-1-3-04第55回地盤工学研究発表会4 測定結果および考察本研究で得られた結果より算出した熱伝導率を表 2 に示す.なお,測定せず取得していないデータに関しては斜線とする.また側面断熱の有無における上部ロッドと下部ロッドの温度勾配について,相対誤差と供試体の高さの関係を図3,図 4 に,みかけの熱抵抗の測定値と補正値の相対誤差と供試体高さの関係を図 5,図 6 に示す.表 2 熱伝導率の測定結果試料の種類KV1KB乾燥密度測定前の含水比測定後の含水比熱伝導率(g/cm3)(%)(%)(W・m-1・K-1)あり1.808.838.231.14なし1.778.50あり1.3820.219.20.894なし1.4019.318.01.17側面断熱の有無1.30図 3 上部ロッドと下部ロッドの温度勾配の相対誤差と供試体の高さの関係(KV1)図 4 上部ロッドと下部ロッドの温度勾配の相対誤差と供試体の高さの関係(KB)図 5 みかけの熱抵抗の測定値と補正値の相対誤差と供試体の高さの関係(KV1)図 6 みかけの熱抵抗の測定値と補正値の相対誤差と供試体の高さの関係(KB)本研究では KV1 および KB ともに,乾燥密度および含水比が同程度の条件において側面断熱ありの方が側面断熱なしの場合よりも小さい熱伝導率が得られた.図 3,図 4 より同程度の供試体高さにおいて,側面断熱ありの方が側面断熱なしの場合よりも上部ロッドと下部ロッドの温度勾配の相対誤差が小さくなることが分かった.すなわち供試体側面の断熱により熱伝導率測定における前提条件以外の熱の移動を軽減できると考えられる.また図 4 より供試体の高さが高くなるにつれ側面断熱の効果があると推察される.図 5,図 6 より同程度の供試体高さにおいて側面断熱ありの方が側面断熱なしの場合よりもみかけの熱抵抗の測定値と補正値の相対誤差が小さくなることが分かった.以上のことより供試体側面の断熱により,測定原理に基づく 1 次元的な熱の移動により近い現象となり測定精度の向上が期待できる.5 まとめ本研究では側面断熱状態において平板比較法によるベントナイトの熱伝導率の測定を行い,側面断熱が測定精度に及ぼす影響について考察した.その結果,側面断熱により前提条件以外の熱の移動を軽減でき,測定原理により基づくことが分かった.すなわち,供試体側面の断熱により平板比較法による測定精度の向上が期待できる.参考文献1)鈴木英明,谷口航:緩衝材の熱的性質試験(Ⅱ),核燃料サイクル開発機構,JNC TN8430 99-00,pp1-30,1999.032)菊池広人,棚井憲治:緩衝材の熱物性値測定試験(Ⅲ)―面熱源法による緩衝材物性値の取得―,核燃料サイクル開発機構,JNC009,2003.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-04 -TN84302003-
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  • ベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性理論評価式・透水係数理論評価式におけるモンモリロナイト結晶層間の初期値に関する分析的検証
  • 著者
  • 小峯 秀雄・王 海龍
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-03〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500019
  • 内容
  • 21-1-3-03第55回地盤工学研究発表会ベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性理論評価式・透水係数理論評価式におけるモンモリロナイト結晶層間の初期値に関する分析的検証ベントナイトモンモリロナイト層間早稲田大学理工学術院 国際会員○小峯秀雄早稲田大学持続的未来社会研究所 国際会員1.王海龍背景と目的高レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクト(図 1 参照)に資するために,緩衝材として期待されているベントナイトの膨潤特性や透水係数の理論評価式1)~3)を,第一著者は提案している.これらの理論評価式では,モンモリロナイト結晶を数理モデル化しており,モンモリロナイト結晶の膨潤挙動に伴うひずみとベントナイト系緩衝材・埋戻し材全体の膨潤挙動に伴うひずみを関連付けて定式化している.ここで膨潤挙動に伴うひずみの定義において,初期値の設定は非常に重要な意味を持つ.参考文献 1)~3)を発表した当時,モンモリロナイト結晶の膨潤に伴うひずみを定義する上で設定した初期値は,推論により設定し,膨潤挙動に関する実験結果との整合性があることから,その妥当性を主張していた.本論文では,2019 年に第二著者が発表した実験の結果を活用して,モンモリロナイト結晶の初期値・状態の設定がほぼ妥当なものであることを論じる.2. ベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性および透水係数理論評価式1)~3)における膨潤挙動に伴うひずみ評価の際の初期値・初期状態第一著者が提案しているベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性および透水係数理論評価式では,モンモリロナイトの結晶レベルでの膨潤挙動に伴うひずみ,すなわち膨潤体積ひずみ4)~6)を,図2 に示す概念に基づき定義している.図 2 の下図に示すように,膨潤体図 1 高レベル放射性廃棄物の地層処分とベントナイト系緩衝材の役割積ひずみを定義する際の初期状態は,モンモリロナイト結晶が保有する交換性陽イオンの非水和状態の直径に相当する層間距離を維持した状態と推察し設定している.これに基づき,モンモリロナイト結晶レベルの膨潤体積ひずみを次のように定式化している.𝐻𝐻1 − 𝐻𝐻0𝑑𝑑𝑖𝑖 − (𝑅𝑅𝑖𝑖𝑖𝑖𝑛𝑛 )𝑖𝑖∗ )(𝜖𝜖𝑠𝑠𝑠𝑠× 100� =× 100𝑖𝑖 = �𝐻𝐻0𝑡𝑡 + (𝑅𝑅𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖 )𝑖𝑖𝑖𝑖(1)ここに,H0 : 層間水が存在しない状態におけるモンモリロナイト結晶の厚さ,H1 : 層間距離が 2di の状態におけるモンモリロナイト結晶の厚さ,di : 結晶層間距離の 1/2,(Rion)i : 層間に存在する交換性陽イオン i の非水和半径,t : モンモリロナイト結晶層厚なお,i は Na+, Ca2+, K+, Mg2+のいずれかの交換性陽イオンを示す.すなわち,上記の膨潤体積ひずみの定義においては,膨潤前のモンモリロナイト結晶は層間水が存在しない状態を初期状態としている.水分子は存在しないものの,モンモリロナイト結晶の負電荷を電気的に中和するためには,交換性陽イオンは結図 2 結晶レベルから観たモンモリロナイトの膨潤体積ひずみの概念図晶表面に存在するのが科学的には妥当と考え,図 2 にあるように,非水和状態の交換性陽イオンの直径分だけ層間を開けて存在する状態を初期状態としている.しかし,この状態はあくまで,仮定であり,実験的に確認されていない.Experimental verification on initial distance between montmorilloniteHideo Komine, Waseda Universitymineral layers in theoretical equations of swelling and hydraulicHawlong Wang, Waseda Universityconductivity of bentonite based buffers and backfills© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-03 - 21-1-3-033.第55回地盤工学研究発表会膨潤圧発生過程における含水比変化と X 線回折の結果に基づくモンモリロナイト結晶層間距離の変化王海龍らは参考文献 7), 8)において,ベントナイトの膨潤圧発生過程に伴う含水比の変化と X 線回折によるモンモリロナイト結晶層間距離の変化を実験的に調べた.図 3 にその結果を示す.図 3の縦軸の Basal spacing d001 (nm)は,横軸の含水比に対応して,X 線回折強度が最も大きく計測されたときのモンモリロナイト結晶の底面距離で整理している.図 3 では,含水比が 0.0%のとき,d001=1.01 nm において X 線回折強度が最も大きいことから,このように整理している.実際,d001=1.01 nm 付近における X 線回折強度の状況を示すと,図 4 のようになる.図 4 のように実際には,含水比が 0.0%の場合,d001 は,9.60~1.20 nm の範囲に分布しているものと考えられる.さて,式(2)のように,モンモリロナイト結晶の底面距離であるBasal spacing d001 からモンモリロナイト結晶層厚 t を差し引くこと図 3 王海龍ら 7), 8)によるクニゲル V1 の Basal spacingd001 と含水比の関係により,モンモリロナイト結晶層間距離,すなわち図 2 における2di が算出できる.2𝑑𝑑𝑖𝑖 = 𝑑𝑑001 − 𝑡𝑡(2)参考文献 9)によれば,モンモリロナイト結晶層厚 t は,0.96 nmとされている.したがって,式(2)に基づけば,含水比 0.0%のときのモンモリロナイト結晶層間距離 2di-w=0.0%は,0.00~0.24 nm の範囲にあると推察される.参考文献 9)には,表 1 に示すように,各種イオンの非水和イオン半径が提示されている.すなわち,この非水和イオン半径の 2 倍の値が非水和状態のイオン一個分の直径になる.モンモリロナイトの主要な交換性陽イオンである Na+,Ca2+, K+, Mg2+の非水和イオンの直径は 0.16~0.23 nm 程度であることから,d001=1.10~1.20 nm の範囲のモンモリロナイト結晶では層間に非水和イオン一個分が単分子のように配列されているものと推察される.一方,d001=0.96~1.10 nm の範囲における状態については,次のように推察する.参考文献 10)等のように,交換性陽イ図4王海龍ら7), 8)によるクニゲルV1 の X 線回折強度と d001 の測定値範囲オンの一部が固着し結晶の内部に侵入するという見解を論じている研 表 1 代表的な交換性陽イオンの非水和イオン究もある.以上のように,既往研究の成果および XRD 分析の結果か 半径 9)ら,膨潤挙動に伴うひずみの定義におけるモンモリロナイト結晶の層イオン間距離の初期値は,交換性陽イオンの非水和状態での直径分に相当すると推察できる.参考文献1)非水和イオイオンン半径 (nm)非水和イオン半径 (nm)Li+0.068-0.078Ca2+0.106-0.117Na0.098Sr0.127-0.134+2+Komine, H., and Ogata, N.: New equations for swelling characteristics of bentoniteK+0.113Ba2+0.143-0.149based buffer materials. Canadian Geotechnical Journal, 40(2), pp. 460-475, doi:10.1139/t02-115, 2003.+2Cs0.165Cl0.1812) Komine, H., and Ogata, N.: Predicting swelling characteristics of bentonites, Journal2+4+of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering, American Society of CivilMg0.078-0.089Si0.031-0.039Engineers (ASCE), 130(8), pp. 818-829, doi: 10.1061/(ASCE)1090- Some deviation from listed radii may be expected in0241(2004)130:8(818), 2004.specific crystal structures.3) Komine, H.: Theoretical equations on hydraulic conductivities of bentonite based Reference: Mitchell, J. K. (1993). Fundamentals of soilbuffer and backfill for underground disposal of radioactive wastes, Journal of behavior (Second Edition). John Wiley & Sons, Inc., 111–Geotechnical and Geoenvironmental Engineering, American Society of Civil 130.Engineers (ASCE), Vol. 134, No. 4, pp. 497-508, 2008.4) Komine, H. and Ogata, N.: Experimental study on swelling characteristics of sand-bentonite mixture for nuclear waste disposal, Soils andFoundations, Vol. 39, No.2, pp83-97, doi: 10.3208/sandf.39.2_83, 1999.5) Komine, H. and Ogata, N.: Prediction for swelling characteristics of compacted bentonite, Canadian Geotechnical Journal, Vol.33, No.1, pp.1122, doi: 10.1139/t96-021, 1996.6) Komine, H. and Ogata, N.: Experimental study on swelling characteristics of compacted bentonite, Canadian Geotechnical Journal, Vol.31, No.4,pp.478-490, doi: 10.1139/t94-057, 1994.7) 王海龍,小峯秀雄,白河部匠,伊藤大知,市川雄太:締固めたベントナイトの吸水膨潤時における水分子の移動,第 54 回地盤工学研究発表会(大宮),2019.8) Wang, H., Shirakawabe, T., Komine, H., Ito, D., Gotoh, T., Ichikawa, Y. and Chen, Q.: Movement of water in compacted bentonite and its relationwith swelling pressure, Canadian Geotechnical Journal, Published on the web 07 August 2019, doi:10.1139/cgj-2019-0219), 2019.9) Mitchell, J. K.: Fundamentals of soil behavior (Second Edition). John Wiley & Sons, Inc., 111–130, 1993.10) 鈴木啓三,近藤三二,堀篭良一:ベントナイトの加熱による交換性カチオンの固着,第 21 回粘土科学討論会講演要旨集, p.18, 1977.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-03 -
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  • 粘土鉱物の種類に着目した各種粘性土の膨潤圧と透水係数
  • 著者
  • 河野 勝宣・羽野 稜平
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-02〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500018
  • 内容
  • 21-1-3-02第55回地盤工学研究発表会粘土鉱物の種類に着目した各種粘性土の膨潤圧と透水係数粘土鉱物膨潤圧透水係数鳥取大学国際会員鳥取大学○河野 勝宣羽野 稜平1. はじめに日本列島の地質は,地質時代の産物が多く,地盤・岩盤中のき裂には,多種多様な粘土鉱物が充填されている場合が多い.粘土鉱物はその構造や化学組成の違いから,粘土鉱物を挟在するような地盤・岩盤材料は,含有する粘土鉱物の種類によって,透水性をはじめとする物性が大きく変化することが想像される.したがって,粘土鉱物を含有する地盤・岩盤材料の物性を評価する上で,粘土鉱物の種類に注目することは非常に重要である.本研究は,一次元膨潤圧試験装置および加圧式の定圧透水試験装置(図-1)を作製し,種々の粘土鉱物を主成分とする粘性土の膨潤特性と透水性を実験的に調査した結果について報告する.また,各種粘性土の比表面積と間隙比を用いて Kozeny-Carman 則(KC 則)による透水係数の推定についても検討した.2. 研究方法本研究で用いた粘性土試料は,図-2 に示すように,計 8 種の粘土鉱物を主成分とする.これらの粘土鉱物は,XRD パターン(図-2)により同定した.なお,試料はいずれも 40±3°C で炉乾燥させて,75m ふるい通過分を用い,いずれの試験も,供試体は,直径 50 mm,高さ 10 mm の円柱で,密度が 1.5 Mg/m3 になるように静的に締固めて作製した.試験は恒温室(22±1°C)内に断熱材で作製した恒温槽内にて実施した.一次元膨潤圧試験は,粘土供試体の体積変化を拘束した状態で下盤(図-1 の赤点線部分)を水浸(蒸留水)させ,荷重計を用いてそのときの鉛直方向に発生する荷重 F を 1 秒間隔で測定し,膨潤圧 Ps(= F/A,A:供試体の断面積)を算出した.一次元膨潤圧試験は,7 日間行い,試験終了後,上盤をセットし,水浸減圧容器を用いて 2 日間脱気を行い,さらに,大気圧下で 2 日間水浸した後,加圧式定圧透水試験を行った.加圧式定圧透水試験(図-1)は,エアコンプレッサーおよび加圧容器を用いて,粘土供試体に一定の透水圧で通水(蒸留水)して行った.透水係数 k(= QL/hAt,Q:透水量,L:供試体高さ,h:水位差,A:供試体の断面積,t:測定時間)は Darcy 則を用いて算出した.透水量は分析天びPC温湿度ロガー恒温槽(断熱材)ん(株式会社島津製作所製 AUX120,ポーラスストーン分解能 0.1 mg)を用いて,60 秒間隔で供試体レギュレータ上盤コンピュータにより計測した.測定時空調設備(恒温室)圧力計Oリングエアコンプレッサー間は,初めて透水量を確認してから 24時間以上測定した.水位差 h は加圧容下盤器 内 の 圧 力 ( 例 え ば , 透 水 圧 が 0.10.0000 g分析天びんMPa の場合,h = 1020.4 cm)として計算した.Intensity [c.p.s.]×1045カオリナイト2030×104Intensity [c.p.s.]×1045510Åハロイサイト0010雲母粘土鉱物010203020302θ [o], Cu Ka405パイロフィライト51030201052030402θ [o], Cu KaCalcite, Chlorite, Dolomite, Felspars,Talc, Vermiculite, 1.0Å halloysite.Kaolinite,Mica,102030403040×1055スメクタイト05540×104緑泥石タルク0540010×1050540×10455加圧容器モールド図-1 加圧式定圧透水試験装置×1045一次元膨潤圧試験バーミキュライト051030202θ [o], Cu KaSmectite,Opal-CT,40510Pyrophyllite,202θ [o], Cu KaQuartz,Sepiolite,図-2 8 種の粘性土の XRD パターンSwelling-pressure and hydraulic conductivity of compacted clays© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-02 -KOHNO Masanori, HANO Ryohei (Tottori Univ.) 21-1-3-02第55回地盤工学研究発表会00.20.40.60.811.20.0000001B1.0-801E‐08101E‐080.8-90101E‐091E‐09-10101E‐101E‐10-11101E‐111E‐110.60.4-12101E‐120.20.0-13101E‐13012345671E‐121E‐13000.20.2時間 t [day]0.40.40.60.60.80.8111.21.2KC則による透水係数 k KC [m/s]10-700.0000001A透水係数 k [m/s]膨潤圧 Ps [MPa]1.21E‐13-700.0000001101E‐121E‐111E‐101E‐091E‐080.00000010.00C-801E‐08101E‐0-90101E‐091E‐0-10101E‐101E‐1-11101E‐111E‐111-12101E‐12-13101E‐131E‐1310-131E‐1210-12膨潤圧 Ps [MPa]1E‐11E‐1110-111E‐1010-101E‐0910-91E‐0810-81E‐10.000000110-7透水係数 k [m/s]... △ : カオリナイト ... ● : 10Åハロイサイト ... ◇ : パイロフィライト ... ■ : タルク ... ◆ : 雲母粘土鉱物 ... ▲ : 緑泥石 ... ○ : スメクタイト ... □ : バーミキュライト図-3 各種粘性土の膨潤圧試験結果(A),膨潤圧と透水係数との関係(B),KC 則による透水係数との比較(C)3. 結果および考察(1) 各種粘性土の膨潤圧各種粘性土の一次元膨潤圧試験結果を図-3A に示す.本研究で扱った粘性土の膨潤圧は粘土鉱物の種類によって異なることがわかった.膨潤性粘土鉱物であるスメクタイトおよび 10Å ハロイサイト試料の膨潤圧が大きいのは,両試料は水浸により,層間に多量の水を吸収することにより,単位層間の距離が増大したことに起因する.一方,他の試料も少なからず膨潤圧を示しているが,これは,層間に水を吸収して膨潤しているわけではなく,主に水浸による間隙水圧の上昇に伴う(みかけの)膨潤圧と考えることができる.ただし,非膨潤性粘土鉱物であるカオリナイト試料の膨潤圧が大きいのは,比表面積の大きさが影響していると考えられる.つまり,膨潤圧が大きいスメクタイト,10Å ハロイサイトは当然のことながら,カオリナイト試料の比表面積は他の試料に比べて大きい.そのため,表面張力による吸着水が増加することにより,間隙水圧が大きく上昇し,他の試料に比べて膨潤圧が大きくなったと考えられる.(2) 各種粘性土の透水係数各種粘性土の加圧式定圧透水試験結果を図-3B に示す.8 種の粘性土の透水係数の平均値は 10-8~10-13 m/s の範囲でああり,膨潤圧試験結果と同様に,粘土鉱物の種類によって粘性土の透水係数の値は異なることがわかった.スメクタイトに関しては,層間に水と陽イオンを含む膨潤性粘土鉱物であるため,他の粘土鉱物に比べて非常に大きな電気二重層が形成される.そのため,電気二重層における不動水膜の形成と膨潤性粘土鉱物による物理化学的作用(吸着や凝集)がスメクタイトの透水係数に影響を及ぼしたと考えられる.一方,10Å ハロイサイトおよびカオリナイト試料の透水係数が他の試料に比べて小さいのは,膨潤圧試験の結果と同様に,比表面積の大きさと密接に関係していると考えられる.比表面積が大きいと,間隙水の粘度が増加することで,透水係数が小さくなったと考えられる.透水係数は膨潤圧が大きくなるにしたがって,低下する傾向が見られ,両者の間には非常に強い相関(相関係数:0.99)が見られた.(3) Kozeny-Carman 則(KC 則)による透水係数の推定多孔質媒体の透水係数を表すモデルの中で,KC 則はマクロなパラメータ(間隙比 e)とミクロなパラメータ(比表面積 Sm)を組み込んでいるため,ベントナイトなどの難透水性材料の透水係数の評価によく用いられる.ここでは,各種粘性土の Sm と e を用いて KC 則による透水係数 kKC を算出し,実験値と比較した(図-3C).いずれの粘土試料も大きな差はなく,大きくてもパイロフィライト,タルクおよび緑泥石試料で 1 オーダー程度以内の差であった.今後,比表面積と間隙比を用いて透水係数を推定する際には,得られる数値に若干の差があることに注意する必要があるものの,KC 則は各種粘性土においても有効な手段になり得ると考えられる.4. おわりに本研究で得られた結果を要約すると次のとおりである.各種粘土鉱物を主成分とする粘性土の膨潤圧および透水係数は,粘土鉱物の種類によって異なることがわかった.また,比表面積が大きいほど膨潤圧が大きく,透水係数が小さい傾向が見られた.つまり,比表面積が大きい粘性土は,表面張力による吸着水が増加することにより,間隙水圧が大きく上昇し,膨潤圧が大きくなり,結果,透水係数が小さくなる,一方,比表面積が小さい(膨潤圧が小さい)粘性土は,層間に水を吸収して膨潤しているわけではなく,主に水浸による間隙水圧の上昇に伴う(みかけの)膨潤圧と考えることができる.さらに,KC 則による透水係数 kKC を算出したところ,実験による透水係数と kKC の間に大きな差はなく,比表面積と間隙比を用いて透水係数を推定する際には,KC 則は粘性土においても有効な手段になり得ると結論付けた.各種粘土鉱物を主成分とする粘性土の膨潤特性や透水性を評価しておくことは,今後,LPG の長期備蓄,CCS や地層処分といった地下空間利用の大規模プロジェクトを進める上で貴重な知見になると考えられる.謝辞:本研究の一部は,日本学術振興会科学研究費(課題番号:19K15489)の助成を受けて実施したものである.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-02 -
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  • タイトル
  • 古紙を原料とする微細粉体による膨潤性粘土の物理的・力学的特性の変化
  • 著者
  • 新城 政昂・澤村 康生・宮﨑 祐輔・岩井 裕正・福林 良典・松隈 俊佑・木村 亮
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-3-01〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500017
  • 内容
  • 21-1-3-01第55回地盤工学研究発表会古紙を原料とする微細粉体による膨潤性粘土の物理的・力学的性質の変化膨潤性粘土 古紙微細粉体 物理・力学的特性 京都大学大学院 学生会員 ○新城 政昂京都大学大学院 国際会員 澤村 康生京都大学大学院 国際会員宮﨑 祐輔名古屋工業大学 国際会員 岩井 裕正宮崎大学工学部 国際会員福林 良典京都大学大学院京都大学大学院 国際会員木村 亮1. はじめにインドや東アフリカ諸国など乾燥地帯・半乾燥地帯に広く分布非会員 松隈 俊佑縮性と透水性が改良土の性質に現れたためだと考えられる.2.3 Free swelling testしている Black Cotton Soil(以下,BCS)は,乾季に強固に乾燥収BCS の膨潤性および FSP による膨潤性抑制効果を確認するた縮し,雨季には吸水し膨潤することが特徴的な地盤材料として知め,Free swelling test を実施した.実験における手順を以下に示す.られる 1).この特性が原因となり,BCS 分布地域では,舗装面の破壊による構造物の破壊が発生している.BCSによる被害は甚大表-1 Black cotton soil の物性値であり,その特徴である含水比変動による体積変化・せん断特性Soil particle density ρS [g/cm3]の変化を理解し,事前に適切に対処することが重要である.BCSLiquid Limit wL[%]84.30の安定固化処理はセメント系土質改良材が使用されることが多いPlastic Limit wp [%]35.20が,開発途上国の一部地域では経済的な理由により,その対策がPlastic Index IP [%]49.10進んでいない.つまり,BCSの分布地域では,経済的かつ安全性2.53Free swell ratio FSRに優れた新たな改良方法の開発が望まれている.1.94Linear Shrinkage LS [%]そこで,我々の研究グループでは,古紙を原料とする微細粉体Ignition loss Li [%]を有しており,ため池の浚渫や高含水土砂の撤去などで用いられてきた.加えて,澤村ら の研究により,FSP には多孔質構造に2)よる吸水性と繊維成分による補強効果が期待できる.これらの特性は,含水比の変化に伴う BCS の体積変化とせん断特性の変化を低減できる可能性を示唆している.そこで,本研究では①BCSの基礎的な性質を把握する,②FSP による BCS の改良効果を把握する,ことを目的とし,エチオピア,アジスアベバ近郊で採取した BCS を使用して,各種土質試験を実施した.Percentage passing by weight [%](Fine Shredded Powder, 以下,FSP)を用いて,上述した問題を解決する地盤改良に関する研究を進めている.FSP は高い吸水性82.009.93100Air80WaterWater60Black cotton soil40FSPSoilSoil20Soil with FSPSoil00.001 0.01 0.1 1 10Grain size [mm]2. FSP による膨潤性粘土の改質効果の検証図-1 粒径加積曲線2.1 膨潤性粘土の基礎的性質図-2 FSP 添加時の含水比表-1 および図-1 に BCS の基礎的な特性と粒径加積曲線を示す.図表より,BCS は①液性限界・塑性限界が高い,②高い膨潤特性・収縮特性を有する,③細粒分含有率が高い,などが特徴的な地盤材料である.80本研究では BCS に FSP を添加する際,BCS に含まれる土粒子の質量に対して,重量比でFSP を5 %, 10 %, 20 %, 30 %と添加し,均一になるまで撹拌している.FSP 添加時の含水比は,土粒子とFSP を合わせた質量に対する水の質量として定義している(図2).図-3 に FSP 添加によるコンシステンシー特性の変化を示す.同図には,澤村ら 2)により行われた藤ノ森粘土に対する試験結果を併せて示している.図から,BCSは藤ノ森粘土と比較すると,液性限界,塑性指数が高い.また,両者ともにFSP 添加量の増加Plastic Index Ip [%]2.2 コンシステンシー試験: Black cotton soil(BCS): BCS + FSP 5 %: BCS + FSP 10 %: BCS + FSP 20 %: BCS+ FSP 30 %70(CH)60Compressibility50LowHigh40B-Line: wL = 50 %30200る.塑性図上の土質区分からは,FSP の添加により圧縮性,透水性が高い試料に変化したことが示された.これは,FSP の高い圧〇(CL)10に伴い,A 線近傍から A 線より下方に推移していることがわかStudy on characteristic change of Black cotton soil mixed with: Fujinomori Clay (FC): FC + FSP 5 %: FC + FSP 10 %: FC + FSP 20 %〇: FC + FSP 30 %(ML)020(MH)Permeability:LowPlasticity :HighPermeability:LowPlasticity :High604080100Liquid Limit wL [%]図-3 塑性図2)を基に加筆修正120Shinjo, M. Sawamura, Y. Miyazaki, Y. Kimura, M. Kyoto UniversityFine Shredded Powder made from used paperIwai, H. Nagoya Institute of TechnologyFukubayashi, Y. University of Miyazaki© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-3-01 - 21-1-3-01第55回地盤工学研究発表会(1) 0.425 mm ふるい通過試料を乾燥させる.的な性質の変化として,FSP の添加に伴う液性限界,塑性(2) 10 g の試料を用意し,100 ml シリンダーに入れる.限界の上昇が確認できた.FSP の添加に伴う膨潤特性,収(3) 蒸留水と灯油を注ぎ,24 時間後の膨潤量を測定する.縮特性の抑制効果は期待できないとされたが,FSP による膨潤性を評価する Free swell Ratio (FSR)の計算式は,FSR = Vd / Vkひび割れの抑制効果が発揮されることが判明した.加え(Vd:蒸留水中の試料の体積,Vk;灯油中の試料の体積)で表さて,ベーンせん断試験の結果から,FSP の混合によりせんれる.試験実施後の状態を写真-1 に示す.写真から蒸留水で充た断強さの増加が確認された.その結果は,程度の差こそした試料は灯油で充たしたものと比べると,大きく膨潤している.あるものの,高含水状態から低含水状態の試料への幅広BCS 単体と FSP 添加率 30 %の試料を比べると,FSP 添加率の上い適用性が示された.昇に伴い膨潤量も増加している.しかし,FSP を混合した試料に謝辞:本研究は,SATREPS(JPMJSA1807)の助成を受け関しては,蒸留水で充たした場合と灯油で充たした場合,その両て実施した.ここに感謝の意を表する.方で膨潤量が増加している.FSRによる評価からはFSP の有無に参考文献1) Chen, F. H.: Foundation on Expansive soils, Elsevier ScientificPublishing Company, pp.1-8, 1975.2) 澤村康生,矢野隆夫,木村 亮:古紙を原料とする微細粉体による粘性土地盤の特性変化,第 13 回環境地盤工学シンポジウム発表論文集, No.11-4, pp.371-376, 2019.関わらず,その膨潤性は FSR = 2.0 前後となり,FSP の有無により膨潤性は変化していない.本試験からFSP の添加に伴い見かけの体積が増加することが確認されたが,体積増分に関しては加圧することで減容化できることが澤村ら 2)により示されている.2.4 Linear shrinkage testFSP による BCS の収縮特性の改質効果を確認するため,Linearshrinkage test を実施した.実験における手順を下記に示す.BCSBCS + FSP 30 %Vd : 蒸留水Vk : 灯油Vd : 蒸留水Vk : 灯油(1) 0.425 mm ふるい通過試料を液性限界状態の含水比に調整し,モールドに充填する.(2) 乾燥炉で 24 時間乾燥させ,試験前後の長さ比を計測する.Linear shrinkage test の計算式は,Linear Shrinkage (LS) = 100×Ls / L(L: モールドの横幅,Ls: 乾燥試料の横幅)で表される.本試写真-1 Free swelling test 実施後の状態験においては,全ての試験ケースで LS = 80 %程度の値を示していたことから,FSP の添加による収縮特性の改質効果はない.しかし,写真-2からFSPを混合させた試料は乾燥収縮後もひび割れ乾燥前乾燥後BCSが生じておらず,FSP によりひび割れを抑制する効果が判明した.これは土粒子とFSP が複雑に絡み合うことにより,繊維的な補強が改良土に現れたためだと考えられる.2.5 ベーンせん断試験L = 140 mmBCS に FSP を加えた際の力学特性を確認するため,含水比のLsBCS + FSP 10%写真-2 Linear shrinkage test 実施前後の状態異なる試料にFSPを加えて,ベーンせん断強さを調べた(図-4).図より,FSP を添加するとせん断強さが増加する傾向があること混合した試料は BCS よりも高い含水状態にもかかわらず,同程度のせん断強さを示した.これは,FSP による繊維的な補強効果が高含水状態の試料に対しても働くことを示唆している.写真-3に液性限界(wL = 82.3 %)の BCS に FSP を30 %混合した状態を示す.写真から,FSP の添加に伴い流動性が低下し,試料が団粒化することがわかる.また,この時 21.0 kN/m2 の強度増分を得た(図-4).以上の結果から,FSP は高含水状態の試料に対しても,高い改質効果をもつことが示された.吸水とともに繊維的な補強Vane shear strength Sfv [kN/m2]がわかる.同一のせん断強さを有する試料を比較すると,FSP を: Black cotton soil (BCS): BCS + FSP 5 %  : BCS + FSP 10 %1000100BCS(wL = 82.3 %)+ FSP 30 %1010.1BCS(wL = 82.3 %)Black cotton soil0.0120が発揮される土質改良材は少なく,Linear shrinkage test から得られた知見と併せると,セメント系固化材や石灰などと混合させた406080 100 120 140Water content [%]BCS(wL=82.3)180BCS(wL=82.3) + FSP 30 %発された地盤改良法は,BCSの経済的かつ安全性が高い改良方法へ貢献できる可能性が高く,今後より詳細な検討が必要である.3. まとめ本研究から,エチオピア,アジスアベバ近郊で採取した BCS は液性限界や塑性限界,細粒分含有率が高く,膨潤特性,収縮特性が特徴的である.また,FSP による物理© 公益社団法人 地盤工学会160図-4 ベーンせん断試験の結果使用方法を検討することにより,路床材や盛土材としても利用できる高いせん断強度をもつ改良土の開発が期待できる.新たに開: BCS + FSP 20 %: BCS + FSP 30 %- 21-1-3-01 -写真-3 FSP 添加前後の試料の状態
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  • タイトル
  • 市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態
  • 著者
  • 斎藤 孝夫・鳥居 剛
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-01〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500001
  • 内容
  • 21-1-1-01第55回地盤工学研究発表会市販の粘土とシルトを混合した実験室粘性土の塑性限界と液性限界における保水状態塑性限界1.液性限界はじめに土質分類地盤技術リサーチ国際会員○斎藤孝夫CPC国際会員鳥居 剛市販の粘土とシルト(シリカパウダー)を混合攪拌した粘性土の塑性限界と液性限界を求めた。これらの値から塑性限界方程式と液性限界試験方程式 3,4 を定めた。自然の粘性土とは明らかに異なった結果が得られた。2. 市販の粘土とシリカパウダー図 1 は、実験に用いた粘土とシリカパウダーの粒度曲線である。粘土は、カオリン粘土(K-clay, Gs = 2.665, wp=26.8%, wL = 62%, カオリン鉱物が主体で雲母粘土鉱物を微量に含む。竹原化学工業)と本山木節粘土(MK-clay, Gs =2.669, wp= 31.4%, wL =80.8%, カオリン鉱物が主体で随伴鉱物は石英)、シリカパウダーは、SP8 (Gs = 2.642, 平均粒径 8μ、但し、市販名)と SP20 (Gs=2.668, 平均粒径 20μ)である。試験に用いた粘土は、これらの材料を図 2 に示す粒度に配合混合したもので、これを実験室粘性土と呼び、K-clay、MK-clay と記す。図中の CF は 0.002mm 以下、MP は0.002mm~0.02mm、CP は 0.02mm 以上の土粒子の含有率(%)である。3.塑性限界と液性限界塑性限界と液性限界は、実験室粘性土を塑性限界と液性限界の中間の含水比となるよう加水し、48 時間ビニール袋 の 中 で 養 生 し た 後 に 、 土 の 液 性 限 界 ・ 塑 性 限 界 試 験 法 ( JIS A1205:2009)により求めた。図 3 は、CF と wp/wL の関係である。wp とwL が CF とともに増加するのは、CF が或る値よりも大きくなってからである。このような現象は、粘土と砂を混ぜ合わせた実験室粘性土での Seed et al.(1964)や Polidori (2007)の実験でも観察されているが、明確に説明されているとはいえない。そこで、線形増加領域と変則領域に分けて検討することにした。4.線形増加領域線形増加領域は、塑性限界で CF≧40、液性限界で CF≧30 である。表1は、最小二乗法により求めた塑性限界係数と液性限界係数 3,4 である。表の K+MK 欄は、K-clay と MK-clay の単一母集団場合の、K 欄、MK 欄は、K-clay、MK-clay を単独母集団とした場合の係数である。図 4 は、wp と wL の計算値と実測値の比較である。図4(1)は単一母集団の場合で、wp と wL の計算値は、測定値と比べて Kclay で大きく、MK-clay で小さい。図 4(2)は単独母集団の場合で、計算値のばらつきは単一母集団より小さく高精度である。図 5 は、塑性限界係数と液性限界係数である。MP と CP 粒子群の係数は CF 粒子群の係数の塑性限界で 0.05~0.3 倍、液性限界係数で 0.005~0.2 倍である。焼津粘土では、これらの係数は 0.5~1 倍であった3,4。実験室粘土と自然土とでは、MP・CP 粒子の保水状態が大きく異なることが分かった。5.変則領域図 3 に変則領域と線形増加領域の境界の CF 値を示した。これらの値に対応する CFと MP の割合は、図 2 に示すように塑性限界で CF= 0.8MP、液性限界で CF= 0.4MP である。境界領域で MP に対する CF の割合が塑性限界と液性限界で異なるのは、両限界時Water-holding state at plastic and liquid limits for laboratory soils mixed with claymineral and silica powder© 公益社団法人 地盤工学会Takao Saito, Geotechnical Engineering Research Limited.Tsuyoshi Torii, Construction Project Consultant Inc.- 21-1-1-01 - 21-1-1-01第55回地盤工学研究発表会Table 1 wp-equation and wL-equation.wpwLpopulationK+M KKMKpopulationK+M KKMKwpcf0.3130.3010.322wLcf0.7560.7020.793wpmp0.0660.0780.093wLmp0.0060.0610.005wpcp0.0670.0160.043wLcp0.1350.1180.078wpmp/wpcf0.2110.2590.289wlmp/wLcf0.0080.0870.006wpcp/wpcf0.2140.0530.134wLcp/wLcf0.1790.1680.098(1) Soil fabric at plastic limitの CF 粒子群の含水状態が異なるからである。CF の増加と共に wp・wL が減少する理由を図 6 の粒子構Water controlledby CF particle造から説明する。なお、wp・wL は、CF・MP・CP 粒子表Water controlledby CP particle面の付着水と各々の粒子群が支配する空隙にある水の総和と考える。(1)は塑性限界、(2)は液性限界の粒子構造である。ここでシリカパウダーの粒子表面の保水能力は非常に小さい。塑性限界時、CF と MP 粒子の周辺には多くの気泡が存在する。気泡の存在が、CP 粒子と比較して MP 粒子の支配空隙を僅かではあるが大きくする。wpMP が wpCP より大きWater controlledby MP particleい理由である。液性限界の時には、吸水によって CF 粒子(2) Soil fabric at liquid limitと MP 粒子間の空隙が広がるとともに、気泡もなくなる。粒子表面の保水力が極端に小さい MP 粒子の支配する空隙は目立って少なくなる。他方、形状の大きい CP 粒子の支Water controlledby MP particleConnector assemblagethinConnector assemblagefat配空隙は MP 粒子のものと比べて大きくなる。結果として、wLCP が wLMP より大きい。(2)に示すように、MK-clay のwLMP・wLCP が K-clay のものより小さいのは、MK-clay のSmall CFwLCF が K-clay のものより大きいからである。(3)は、塑性限界の時の変則領域の説明である。変則領域では、CF 粒子は MP 粒子間の接合子となる。空隙には、水Air Water controlledby CF particleLarge CF(3) Soil fabric at plastic limit in anomalous zoneFig.6 Soil fabrics at plastic and liquid limitsと空気が存在する。CF が少なく接合子が小さいと強度が小さいので、空隙の水が多い状態で棒状土は壊れる。しかし、CF の量が増えて接合子が大きくなると強度が大きくなるので、含水比が低下しても棒状土の壊れは遅れる。このことが、空隙の水の量を低下させ、塑性限界の低下を引き起こす。塑性限界に加水して液性限界になると、空隙は水で満たされる。黄銅皿落下時の衝撃で、水で満たされた空隙周辺の組織が液状化する。CF の増加は空隙を拡大するので、液状化が起きやすくなる。CF の増加が wL の低下を引き起こす理由である。1. Seed,et al. (1964): Fundamental aspects of the Atterberg limits. Proc. ASCE, 90 (SM6), 75−105.2. Polidori, E. 2007): Relation between the Atterberg limits andclay content. Soils and Foundation, 47, No. 5, 887−896.3 & 4. 斎藤孝夫・長尾哲。(2017): 第 52 回地盤工学会研究発表会、313−314、315−316© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-01 -
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  • 粒子画像解析法を用いたシルトにおける粒度分級処理に対する 粒子形状の影響評価 粒子画像解析法を用いたシルトにおける粒度分級処理に対する粒子形状の影響評価
  • 著者
  • 早内 愛子・笹倉 大督
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-07〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500015
  • 内容
  • 21-1-2-07第55回地盤工学研究発表会粒子画像解析法を用いたシルトにおける粒度分級処理に対する粒子形状の影響評価粒子形状粒子画像解析法分級スペクトリス株式会社スペクトリス株式会社正会員正会員○早内愛子笹倉大督1. 緒言地盤の構成要因の一つである土は、土粒子と水と空気から構成されている。土の特性は複雑な因子が絡み合って決まる。その例として、土粒子と水と空気の比率や土粒子の粒度分布などがある。これらは地形の変形や地盤の破壊を推察する上でも重要であり、特に土粒子の粒度分布はせん断特性と密接な関わりを持つ。そのため、供試体を用いて実験を行う時には、たびたび粒度分布の測定が行われる。また、実サンプルの粒度分布に模するために、沈降法やふるい分け試験などで分級されたサンプルを用いて、目的の粒度分布を持つ供試体が作成される。粒度分布測定には、分級同様、沈降法やふるい分け試験が用いられている。これらは、歴史が古く、先行研究が多いこと、また分級と粒度分布測定を同時に行うことができることなどの利点がある。一方で、測定を行う際に数~数十グラム程度の一定量以上の試料が要求され、それに加え、測定の範囲によっては手間・時間を要する手法である。近年になり、迅速、高分解能なレーザー回折法も汎用的に用いられるようになった。しかし、レーザー回折法の課題の一つは、やはり、形状因子を無視した測定法であることである。そこで着目されているのが、粒度分布と形状分布を同時に測定することができる粒子画像解析法である。粒子画像解析法は粒子画像を取得すると同時に、その画像を PC で処理し、粒子径や粒子形状といった複数の粒子形態情報を一度に算出することができる手法である。また、十数分の測定で数万個という粒子形態情報を得ることができる。現在に至るまで、粒子形状の評価には顕微鏡法が用いられているが、顕微鏡法は、統計的な処理が可能な数の粒子情報を得ることが困難であること、また得た情報の数値化が困難であるために定量的な評価ができないことなど、いくつかの課題を抱えている。粒子画像解析法はこれらの課題を解決する手法としても、近年注目されている方法である。粒子形状は、沈降法やふるい分け試験における分級においても重要な意味をもつ。例えば、沈降法においては、球体から離れた形状の粒子では沈降速度が理論式から外れてしまうこと、ふるい分け試験では、粒子の形状によりふるいの目の通過性が異なることが推察される。特に形状が均一ではない自然界のサンプルにおいては、沈降法やふるい分け試験による分級により、粒子径だけではなく粒子形状によっても、分級が起こっていることが懸念される。もし、粒子形状での分級が行われていた場合、それにより作成された供試体は実サンプルの挙動とは異なる可能性がある。つまり、その結果は、実サンプルと粒子形状が異なるという点で注意深く解釈されなければならない。これまで、沈降法とふるい分け試験において、分級に与える粒子形状の影響について懸念されながらも、精密な評価を行った事例はほとんどない。そこで我々は、その評価に取り組んだ。具体的には、沈降法・ふるい分け試験が一般的な分級方法として用いられるシルト(5~74μm)を対象に、分級処理前後の粒子形状を粒子画像解析法にて解析、比較を行い、粒度分級に与える粒子形状の影響について評価を行った。ここにその結果を報告する。2. 試料および試験方法試料はけい砂(関東化学工業株式会社)を使用した。目的の大きさの粒子を得るために、試料をボールミル(MiniMill 2, FRITSCH)で粉砕した。粉砕したサンプル(sample 1)を沈降法とふるい分け試験で分級し、それぞれの方法で 75μm 以下の粒子を得た(sample 2, sample 3)。粒子画像解析法として Morphologi 4(Malvern Instruments)を用いた。これは ISO13322-2 に準拠した手法である。粒子の撮像は透過光、総合倍率 250 倍で行われた。サンプルは装置付属の SDU(Sample Dispersion Unit)によりガラスプレート上に分散された。100,000 個以上の粒子画像の取込を行い、解析対象の粒子を形態パラメータと粒子画像のピクセル数によりデジタル的に分画し抽出した。Evaluation of shape effect on the size classification process forsilt fraction using a particle image analysis.© 公益社団法人 地盤工学会Aiko Hayauchi Spectris Co., LtdDaisuke Sasakura Spectris Co., Ltd- 21-1-2-07 - 21-1-2-07第55回地盤工学研究発表会3. 結果一般的に土粒子の粒子形状は破壊、磨耗などの影響などを受け、粒子径が小さくなるほど丸くなることが知られている。従って、粒子形状の比較を行う際には、粒子径の因子が取り除かれた状態で行われることが望ましい。そこで本研究では、粒子径を元に粒子を次の6つのクラスに分類し、比較を行った(Class 1: 65-75μm, Class 2: 5565μm, Class 3: 45-55μm, Class 4: 35-45μm, Class 5: 25-35μm, Class 6: 15-25μm)。各サンプルのクラス別のアスペクト比の平均値の結果から、アスペクト比において、分級手法に依存して明確な違いがあった。これは、分級は、沈降法、篩い分け試験のいずれにおいても、粒子径のみではなく、粒子形状による分級効果があることを示唆する。特に、Class 4, 5, 6、つまり 45μm 以下の相対的に粒子径が小さい範囲で、サンプル間差が大きかった。特に、Class 4 では、アスペクト比の小さい方から Sample 3、Sample 2、Sample 1 であった。これは Sample 3 が最も細長い形状をしていることを意味する(図2)。また、Sample 1 に比べると、sample 2 もまた、細長い形状をしている結果である。この結果により、ふるい分け試験においては細長い粒子の方がふるいの目を通過しやすく、また、沈降法においては、細長い粒子の方がより、沈降しにくいことが示唆された。図.1各サンプルのクラス別のアスペクト比平均値(アスペクト比=短軸径÷長軸径)図.2アスペクト比別の粒子画像(左からアスペクト比0.9, 0.5, 0.2)4. まとめ粒子画像解析法を用いて分級前後の粒子形状の解析を行い、特に、45μm 以下の粒子径において、沈降法、ふるい分け試験による分級時に、形状による選択的分級が起こっている可能性を示した。更なる議論については当日行う予定である。© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-07 -
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  • タイトル
  • ベントナイト泥水に対する透水圧の段階加圧に伴う遮水性の変化およびそのメカニズムに関する一考察
  • 著者
  • 吉川 絵麻・渡邊 保貴・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-06〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500014
  • 内容
  • 21-1-2-06第55回地盤工学研究発表会ベントナイト泥水に対する透水圧の段階加圧に伴う遮水性の変化およびそのメカニズムに関する一考察泥水ベントナイト透水試験早稲田大学 学生会員 ○吉川絵麻電力中央研究所 国際会員 渡邊保貴,早稲田大学理工学術院 国際会員 小峯秀雄早稲田大学理工総研 国際会員 後藤茂,早稲田大学持続的未来社会研 国際会員 王海龍1. はじめに現在,福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置の一環として,ベントナイトをベースとした泥水の性質を利用した汚染水の封じ込めが検討されている1).本工法は,損傷箇所の内側に当該泥水を充填することで,水みちに目詰まりを生じさせ,内部の汚染水の流出を抑制するものである.当該泥水の導入に際して,材料全体としての遮水性を明らかにすると共に,遮水性の発達プロセスの把握や汚染水閉じ込めシステムの厳密化を図ることが求められる.既往の研究において,泥水の遮水性能は,泥水が形成するマッドケーキの透水係数として評価されてきた2).しかし,安定した土粒子骨格を形成していない泥水に関して,遮水性の発現過程における圧力変化の影響やその度合いは明らかにされていないのが現状である.本研究では,定水位条件でベントナイト泥水の上方から透水を行い,透水圧を大気圧から段階的に30kPa,50kPa,100kPa の順に増加させることで,圧力変化に伴う遮水性の変化を評価した.また,透水開始当初から100 kPa の加圧を継続し,段階加圧との相違を比較した.2. 使用したベントナイト泥水と試験方法本研究で使用した試料は,メチレンブルー吸着量 82.1 mmol/100 g の Na 型ベントナイト(スーパークレイ:株式会社ホージュン製)10 g をイオン交換水100 g に添加したベントナイト泥水であり,比重は 1.1 である.本研究では,ベントナイトを水中で十分に膨潤・分散させた後,均一になるまで攪拌した試料を用いて透水試験を行った.図 1 は,加圧式定水位透水試験の概略図を示す.本試験では,上部から通水を行い,バルーンタンクを用いて定水位条件の透水を行った.供試体寸法は,加圧を伴うケースにおいて直径 D=60 mm,初期供試体高さ L0=100 mm である.また,水頭差 h=505 mm である.大気圧条件の試験においては,直径 D=60 mm,初期供試体高さ L0=150 mm の供試体を用いた.また,水頭差 h=540 mm である.泥水の遮水性は,供試体下方において流出水を採水し,随時質量を計測することで流量 Q を評価した.供試体高さ L の経時変化は,透明アクリルモールドの側面から定規ならびに目視で計測した.上述の流量 Q および供試体高さ L を用いて,式(1)および式(2)より透水係数 k図 1 加圧式定水位透水試験の概略図を算出した.ここに,t2-t1 は測定時間,ηT/η15 は,温度 15℃の透水係数 k15 を算出するための補正係数である.𝐿𝐿𝑘𝑘 𝑇𝑇 = × 𝐷𝐷2ℎ2𝑄𝑄𝜋𝜋(𝑡𝑡2 −𝑡𝑡1 )(1), 𝑘𝑘15 = 𝑘𝑘 𝑇𝑇 ×𝜂𝜂𝑇𝑇𝜂𝜂15(2)本研究では,定水位の大気圧条件において,繰り返し試験回数 n=4 の測定を実施することで測定精度を確認した後,段階加圧の試験を実施した.このとき,透水圧を大気圧から段階的に 30 kPa,50 kPa,100 kPa の順に増加させた.また,通水開始時から 100 kPa の加圧(以下,一定加圧)を実施することで,段階加圧との相違を比較した.3. 段階加圧に伴う流量および供試体高さの変化ベントナイト泥水は,土粒子骨格を有さない材料であるため,上部からの透水により供試体高さが容易に変化した.図 2 は,透水試験における供試体高さの時間変化および段階加圧における透水圧の変化である.大気圧条件下において,初期供試体高さが 150 mm の場合と 100 mm の場合の減少速度は同程度であった.段階加圧条件の試験において,30 kPaの加圧を行った時点で供試体高さは急激に減少し,その後 50 kPa,100 kPa と増圧しても,変化はほとんど生じなかった.一方,通水開始時から 100 kPa の加圧を行った試験では,供試体高さは初期段階において急激に減少し,400 時間以降,ほぼ収束した.この収束値は,段階加圧における 100 kPa の収束値よりも小さい値であった.図 3 は,流量の時間変化および段階加圧における透水圧の変化である.大気圧条件の 4 ケースにおいて,流量の時間変化に差は見られなかった.大気圧,加圧に関わらず,全ての試験において,通水開始から急激に流量が減少し,400時間程度で値が収束した.しかし,段階加圧において 400 時間経過後の収束後,30 kPa に増圧すると,流量は急激に増加した.その後,時間経過に伴い徐々に収束に向かった.同様の現象が 50 kPa および 100 kPa への増圧時にも生じた.各圧力における収束値は,圧力の増加に応じて徐々に大きくなった.100 kPa 加圧を行った段階加圧,一定加圧の 2 ケースでは,概ね同様の収束値を示したが,段階加圧よりも一定加圧における流量の方が小さかった.The change of water-cutoff performance of bentonite slurryinduced by hydraulic pressure increase© 公益社団法人 地盤工学会YOSHIKAWA, Ema KOMINE, Hideo GOTO, Shigeru, WANGHailong, Waseda University / WATANABE Yasutaka CRIEPI- 21-1-2-06 - 21-1-2-06図2第55回地盤工学研究発表会供試体高さの時間変化および透水圧の関係図3流量の時間変化および透水圧の関係図4透水係数の時間変化および透水圧の関係4. 段階加圧に伴う透水係数の変化と現象の考察図 4 は,透水係数の変化および段階加圧における透水圧の変化である.大気圧条件下において,初期供試体高さが 150mm,100 mm と異なる場合でも,透水係数に顕著な差は生じなかった.したがって,上記の 2 条件の範囲において,供試体高さの影響や透水係数の分布に顕著な相違は生じなかったと考えられる.段階加圧において,増圧に伴い透水係数は一時的に増加したが,その収束値は,透水圧の増加に応じて連続的に減少した.一方,100 kPa の一定加圧では,初期段階において透水係数は急激に小さくなり,300 時間以降,全てのケースで最も低い透水係数を示した.以上より,泥水による遮水において,透水圧の急激な増加が一時的に排水量を増加させるが,その後の遮水機能は,経時により回復および向上する可能性が示唆された.図 5 は,共に 100 kPa の加圧後の供試体であり,(a)は段階加圧後,(b)は一定加圧後の様子である.図 5 より,(a)の供試体には,加圧後に部分的な亀裂が生じた.亀裂の数は,増圧を重ねるごとに増加した.一方,(b)の供試体は,全体が一様であり亀裂が生じなかった.すなわち,最終的に同一の透水圧を加えた場合でも,段階加圧においてのみ亀裂が生じた.これらの挙動から,泥水は,透水圧に応じた土粒子骨格の形成後,その変形追従性を低下させたことで,以降の加圧時に亀裂を生じた可能性が示唆された.したがって,増圧による一時的な流量・透水係数の増加は,各透水圧に応じた構造が図 5一時的に破壊されたことに起因すると考えられる.本研究結果から,泥水の低透水性を安定的に発現させるた100 kPa 加圧後の供試体の様子((a)段階加圧後,(b)一定加圧後)めには,一定の透水圧条件において,想定される最大透水圧を通水初期から負荷することが望ましいと考えられる.5. 結論本研究では,ベントナイト泥水に対して上部から透水を行うと共に,段階加圧を施すことで,以下の結果が得られた.1)一定透水圧において,流量は徐々に減少し収束に向かうが,その後の透水圧の上昇に伴い,流量が一時的に増大した.また,透水を継続することで,透水圧ごとに異なる収束値に向かった.2)本研究における大気圧から 100 kPa の加圧範囲において,30 kPa 以上の加圧では,流量および透水係数の収束値はほとんど変わらなかった.3)段階的に 100 kPa の加圧を行った場合と,通水開始時から 100 kPa の加圧を行った場合では,流量および透水係数の収束値は近い値を示したが,後者の方が双方の値が小さかった.謝辞:本研究の一部は,文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム」の採択課題「福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム(地盤工学会)」の支援により得られたものである.ここに感謝いたします. 【参考文献】1) IRID (International Research Institute for Nuclear Decommissioning) (2016) Development ofrepair technology for reactor containment leak point (PCV lower part repair). Outline and problems of vent pipe water stop and S / C filling water stop. pp. 1-44..2)Nguyen,T.-B., Lee, C., Lim, J., Choi, H. (2012) Hydraulic characteristics of bentonite cake fabricated on cutoff walls, Clays and Clay Minerals 60(1): 40-51.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-06 -
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  • タイトル
  • 加温圧密促進を想定したオンサイトでの軟弱粘性土の挙動評価
  • 著者
  • モハメド サクル・小河 篤史・高井 敦史・勝見 武
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-05〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500013
  • 内容
  • 21-1-2-05The 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...On-site behaviour of heating of soft clayey ground for thermally-accelerated consolidationThermally-accelerated consolidation, on-siteexperiment, KaolinKyoto UniversityOkumura CorporationKyoto UniversityKyoto UniversityStudent memberRegular memberInternational memberInternational memberMohammed SakrAtsushi OgawaAtsushi TakaiTakeshi Katsumi1. IntroductionLow bearing capacities and large long-term settlements of soft, saturated clayey soils necessitate soil consolidation before construction,which is time-consuming due to the low coefficients of consolidation of clays. Various techniques have been developed to acceleratethe consolidation process such as preloading the soil, vacuum consolidation, prefabricated vertical drains [1]. While these techniquesaccelerate consolidation, research into viable cost-effective consolidation acceleration techniques is still relevant. One such potentialmethod is thermally-accelerated consolidation where raising the soil temperature induces reversible strains due to the elastic thermalexpansion of soil and water particles, and irreversible strains due to various possible mechanisms such as pore-water pressure induction,thermal softening, and reduction of water viscosity [2]. In addition to inducing additional strains, elevating the soil temperature alsoaccelerates the consolidation process. Many published works related to thermal geotechnics study the effects of temperature and heatingrate on the thermo-hydro-mechanical (THM) properties of clays [2] and the coupled THM modeling of clays [3]. However, few workshave been published discussing the implementation and modeling of clays in the context of thermally-accelerated consolidation [4]. Inthis paper, an on-site experiment is presented to introduce solar thermal collectors as a potentially cost-effective energy source forheating the soil for thermally-accelerated consolidation. As the energy output of solar collectors varies with the seasonal variation ofsolar irradiation, it is necessary to study soil heating over different seasons.2. Materials and methods2.1 Experiment SetupFigures 1 & 2 show a photo and a schematic of the experiment setup. A topless SS400 steel box with athickness of 4.5 mm, an inner side length of 1.5 m, and a thermal conductivity of 50 W/m∙K was installed into a sandy ground andinternally lined with a 6 cm thick thermal insulation layer of polyethylene (PE) foam with a thermal conductivity of 0.043 W/m∙K. Theresulting container was filled with a 100% water content mixture of BASF ASP200 pulverized kaolin clay and covered with a 6 cm PEfoam cover. The kaolin properties are shown in Table 1. To evaluate the heating of the kaolin, temperature sensors were installed atthe locations shown in Figure 3, and the depths of 0.1, 0.6, 1.1, & 1.4 m. To heat the kaolin, a solar thermal collector (Noritz SJQ-420BL) was used to heat water and circulate it through 3 u-pipes arranged in a triangular layout with a side length of 70 cm and insertedinto the clay through holes in the PE foam cover. The inner and outer diameters of all pipes in this experiment are 1.6 cm and 2.6 cm,respectively, and their thermal conductivity is 0.2 W/m∙K. After the solar collector heats the water inside the attached and insulated200 L tank, a pump is used to circulate the water through the insulated PVC piping system, where the water temperature is measuredat the main inflow pipe and 3 outflow sub-pipes, and the flow rate is measured at the 3inflow sub-pipes using Keyence FD-Q20 ultrasonic clamp-on flow sensors. A relief valvewas installed to prevent damage to the circulation system by pressure buildup, and 3 valveswere installed into the 3 inflow sub-pipes to control their flow rates. The valves wereadjusted to maintain a flow rate of 7 L/min through the 3 inflow sub-pipes. The experimentwas conducted from August 2019 to January 2020. The performance of the solar collectorshould be interpreted while considering the u-pipe length, spacing, thermal insulation of thekaolin, the power of the solar collector, and the desired soil temperature increase forTable 1. Properties of the Kaolin clayPropertyValueWater content100%Saturation100%Bulk density1443 kg/m³Dry density721 kg/m³Porosity0.72Thermal conductivity1 W/m∙KSpecific heat capacity 2511 J/kg∙Kconsolidation acceleration.Figure 1. Sideview of the experiment setup© The Japanese Geotechnical SocietyFigure 2. Schematic of the experiment setup- 21-1-2-05 - 21-1-2-052.2 Experiment analysisThe 55th Annual Meeting of the Japan National Conference ...To assess the heating of the kaolin, the average temperatureacross the whole volume is estimated by linearly interpolating the data from the temperaturesensors across a 46×46×46 grid using MATLAB and calculating the average of theinterpolation. While this average is a useful estimate, the actual average temperature can behigher or lower due to sampling bias from the sensor placement.3. Results and discussionsIn this paper, 2 data subsets from August and November (Figures 4 &5) are presented tocompare the summer and winter heating performance and to demonstrate some experimentalchallenges encountered during the experiment. Overall, the solar collector was moreeffective during August due to greater solar irradiance and environmental heat transfer. Withthe current setup, the average kaolin temperature was raised from 29 to 32.2°C in 7 daysduring August, while 19.1°C was the maximum temperature achieved in the November. ItFigure 3. Top and front views of thekaolin showing the locations ofthe temperature sensors and u-pipeswhich are marked I to IIIshould be noted that without thermal insulation, the initial soil temperature in winter would be lower than 17.5°C. In such a case, thetemperature gradient between the pipes and the soil would be greater, increasing the heating rate to potentially comparable levels tothe summer. Taking the inflow temperature as a measure of solar irradiance, the effect of cloudy or rainy weather can be seen clearlyin Figures 4 & 5, where the average kaolin temperature decreased or plateaued. However, several technical challenges during theNovember period make directly comparing it with the August period difficult. According to the readings of the flow sensors (Figure6), the flow rate through the 3 sub-pipes was not consistently maintained at 7 L/min, and even stopped and reversed direction repeatedlywhich should not be possible. This faulty reading could be a malfunction of the sensors or could indicate significant amounts of air inthe pipes which would interfere with the sensor measurements. Thepotential presence of air could be caused by a flaw in the piping systemdesign and could impede heat transfer from the pipes due to the lowthermal conductivity of air. At times, water would leak from the systemsand would be refilled. Should the leak occur inside the soil, it may leadto the injection of water inside the soil which must be avoided. Leakagealso caused significant energy loss as the tank was refilled with externallysupplied colder water. This refilling lead to significant cooling of thekaolin during the November period (Figure 5, hours 150 to 225) whensolar irradiance was low and the refilled water temperature as low as 5°C.This problem also suggests that the water circulation should be activelyFigure 4. Inflow, ambient, and average kaolin,temperatures during the November periodmonitored and controlled to stop the circulation of the water when it iscolder than the soil. Lastly, the thermal conductivity of the pipes waslower than that of the kaolin (0.2 vs. 1 W/m∙K), which slowed down theheating of the kaolin. Thus, a pipe with a higher thermal conductivityshould be used to increase the speed and magnitude of soil heating.4. ConclusionsDespite the technical challenges discussed above, the kaolin could beheated in both summer and winter seasons, with a higher temperature andheating rate achieved in the summer. The results suggest that with someimprovements, such as the redesign of the piping system recommendedin section 3, the performance of the system can be improved, whichFigure 5. Inflow, ambient, and average kaolin,temperatures during the November periodwould increase its viability for large-scale soil heating. Future workshould investigate alternative heating methods, and build practicalmodels for the thermal consolidation of clays.The authors express sincere appreciation to Mr. Minari and hiscolleagues in Kinjo Rubber Co., Ltd. and Dr. Otsuka et al. in OkumuraCorporation for their support and contribution to this research.References [1] Rowe,K.R. Geotechnical and Geoenvironmental EngineeringHandbook, 2001 [2] Coccia, C.J.R., & McCartney, J.S. Computers andGeotechnics, 80, pp.26–40, 2016. [3] Abed, A.A. & Solowski, W.T. Computersand Geotechnics, 92, pp.132–155, 2017. [4] Pothiraksanon, C., Bergado, D.T. &Abuel-naga, H.M. Soils and Foundations, 50(5), 599-608, 2010.© The Japanese Geotechnical Society- 21-1-2-05 -Figure 6. Measured flow rate of each sub-pipeduring the November period
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  • タイトル
  • 変形拘束下の締固めたベントナイトの吸水状態と鉛直・側方発生圧力の関係
  • 著者
  • 市川 雄太・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-04〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500012
  • 内容
  • 21-1-2-04第55回地盤工学研究発表会変形拘束下の締固めたベントナイトの吸水状態と鉛直・側方発生圧力の関係ベントナイト膨潤 異方性早稲田大学 学生会員 ○市川雄太,国際会員 小峯秀雄早稲田大学 国際会員 後藤茂,国際会員 王海龍戸田建設 正会員 関口高志,非会員 北原慎也1 はじめに高レベル放射性廃棄物の地層処分においては,緩衝材の材料としてベントナイトの利用が検討されており,その膨潤圧に関する研究が進められている 1).しかし,既往の研究の多くは鉛直方向の発生圧力のみを測定しており,側方の圧力を測定していない.そこで本研究では,供試体への給水量と発生する鉛直方向および側方の圧力を測定し,供試体の吸水状態と発生圧力の関係を考察した.2 変形拘束下の締固めたベントナイトの鉛直・側方発生圧力測定表 1 使用したベントナイトの基本的性質 2)実験ベントナイトの名称クニゲル V1表 1 に本研究で用いたベントナイトの基本的性質 2)を示す.供粒子の形態粉体状試体は図 1 に示す静的締固め装置を用いて,最大容量 10,000 kPa,主な交換性陽イオンNa最小目盛 2.8 kPa の土圧計が組み込まれた内径 60 mm のリングに土粒子密度(Mg/m3)2.79作製した.供試体高さは 20 mm であり,土圧計はリング下から 10液性限界(%)458.1mm の位置に組み込まれている.図 2 に示す装置は,作製した供塑性限界(%)23.7試体の変形を抑止し,蒸留水を供給した際に発生する圧力と給水塑性指数434.4量を測定するものである.供試体への給水は,底板の給水口と二モンモリロナイト含有率(%)57重管ビュレットをシンフレックスチューブで連結して行い,ビュレットの減少量を目視と差圧計により測定した.給水中は,鉛直方向の膨潤変形を抑止するためにクランプノブを締めた.しかし,膨潤変形を完全に防ぐことはできないため,鉛直方向の変形量を最大容量 25 mm,最小目盛 0.002 mm の変位計で測定した.以上の手順により発生する圧力のうち,側方の圧力は供試体作製時と同じ土圧計(最大容量 10,000 kPa,最小目盛 2.8 kPa)で測定し,鉛直方向の圧力は,最大容量 50 kN,最小目盛 0.012 kN のロードセルで測定した.給水開始時の供試体側方には,供試体作製時の締固めに起因する残留圧力がステンレス製リングに対して発生している.そこで給水開始時において,多くの既往の研究と同様に鉛直方向に低圧を与えたものと,鉛直の初期圧を側方残留圧と同程度にした実験図 1 静的締固め装置による供試体作製の概要を実施した.すなわち,図 2 に示すクランプノブにより,供試体上端に与える初期圧を調整した.乾燥密度の高い供試体を作製するには大きな圧縮力を必要とし,側方残留圧も大きくなるためクランプノブによる鉛直初期圧を側方残留圧と同程度に与えることが困難になる.そこで,供試体の乾燥密度は比較的小さい 1.4Mg/m3 とした.3 実験結果および考察図 3 は給水時の発生圧力であり,図 4 は経過時間 2 日までの拡大図である.鉛直圧をわずかしかかけていない場合と側方残留圧相当にかけた場合の鉛直と側方の発生圧力はともに,上昇・下降ピークを示した後,同程度の値に収束した.図 4 より鉛直と側方のピーク値は同程度であり,側方のピークの方が早く生じているとわかる.発生圧力にピークが生じる要因の解明は,今後の課題である.最終的に両方向の圧力が同程度に収束した要因は,モンモリロナイト結晶がランダムに配向しているためと考えられる.Sato と Suzuki3)は本実験と同じベントナイト・クニゲル V1 を圧縮図 2 給水量および発生圧力測定装置の概要成型し,圧縮方向と同軸方向および直角方向の試料断面に対して走査型電子顕微鏡(SEM)による構造観察を行い,粘土粒子は配向せず,両方向の構造に変化がないと報告している.またトリチウムを用いた透過拡散実験を両方向に対して行い,実効拡散係数に異方性が見られないことを報告し,クニゲル V1 の粘土粒子の配向はランダムであると考察している.図 5 は供試体への給水量と経過時間の関係であり,図 6 は給水量と経過時間の平方根の関係である.小峯ら 2)は,不飽和ベントナイトの供試体中の水分移動を水分拡散現象として評価できる場合,ベントナイト供試体中の吸水量は経過時間の平方根√𝑡の一次関数として表せると報告している.そこで図 6 では,図 5 の横軸を経過時間の平方根√𝑡にして整理した.給水開始初期においては,底板のポーラスメタルとろ紙に給水が行われていると考えられるため,以下に述べRelationship between water absorption of compacted bentoniteYuta Ichikawa, Hideo Komine Waseda Universityunder deformation constraint and vertical and lateral generatedpressure© 公益社団法人 地盤工学会Shigeru Goto, Hailong Wang Waseda UniversityTakashi Sekiguchi, Shinya Kitahara TODA Corporation- 21-1-2-04 - 21-1-2-04第55回地盤工学研究発表会図 3 発生圧力の経時変化図 4 図 3 の 2 日経過までの拡大図図 6 給水量と経過時間の平方根の関係図 5 給水量と経過時間の関係図 7 飽和度と発生圧力の関係る方法で給水量を補正した.すなわち,図 6 に示すように初期の給水量 𝑄 を 𝑄 = 𝑎√𝑡 + 𝑏 ( 𝑎 : 単 位 時 間 の 平 方 根 当 た り の 給 水 量(mL/√𝑑𝑎𝑦𝑠),𝑏:切片(mL))と近似し,給水量𝑄から切片𝑏を差し引いた値を供試体への給水量とした.図 6 より,給水量は給水時間の増加に伴って近似直線から外れていくとわかる.この傾向は小峯ら 2)も報告しており,その要因について,供試体が飽和状態に近付いたことにより水分拡散とみなせる挙動から水圧差に起因する挙動に変化したためと推察している.図 7 は補正した給水量から経時的な飽和度を算出し,発生圧力との関係を示したものである.両実験の鉛直・側方のピークはほぼ同じ飽和度約 50%で生じているとわかる.図 8 は飽和度と側方・鉛直の発生圧力の比率(側方/鉛直)の関係である.初期鉛直圧が低圧のケースでは給水開始時の比率が 7.19 であり,鉛直・側方の初期圧を同程度にしたケースでは,1.05 であった.初期圧の違いによらず,飽和度約 50%以降ではほぼ等しい飽和度―側方/鉛直関係を示しているとわかる.比率は両実験ともに飽和度約 60%時の 0.7~0.8 まで低下し,その後緩やかに 1 に近づいていった.今後は異なる乾燥密度の供試体や他の試料 図 8 飽和度と側方・鉛直の発生圧力の比率のを用いた実験を行い,同様の傾向がみられるか確認する必要がある. 関係4 まとめ本研究では,粉体状ベントナイトを静的に締固めて乾燥密度 1.4 Mg/m3 の供試体を作製し,変形拘束下の供試体への給水量と発生する鉛直方向および側方の圧力を測定した.給水開始時の供試体側方には,供試体作製時の締固めに起因する残留圧力がステンレス製リングに対して発生していた.そこで給水開始時において,多くの既往の研究と同様に鉛直方向に低圧を与えたものと,鉛直の初期圧を側方残留圧と同程度にした実験を実施した.その結果,両実験ともに鉛直・側方の発生圧力は同程度の値に収束した.また,供試体への給水量から算出した飽和度と側方・鉛直の発生圧力の比率(側方/鉛直)の関係を考察した結果,飽和度約 50%以降では鉛直の初期圧と側方残留圧の比率の違いによらず,ほぼ等しい飽和度―側方/鉛直関係を示すことがわかった.参考文献1)例えば,Komine, H. and Ogata, N. : Predicting swelling characteristics of bentonites. Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering, American Society ofCivil Engineers (ASCE), Vol. 130, No. 8, pp.818-829, 2004.2)小峯秀雄,小山田拓郎,尾崎匠,磯さち恵:締固めた粉体状ベントナイト各種の水分移動特性と膨潤圧挙動に関する考察,土木学会論文集 C(地圏工学),pp.63-75,2018.3)Haruo Sato, Satoru Suzuki: Fundamental study on the effect of an orientation of clay particles on diffusion pathway in compacted bentonite, Applied Clay Science 23, 5160, 2003.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-04 -
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  • タイトル
  • 局所変位に着目した粘土の圧密現象の考察
  • 著者
  • 奥田 喬一・京川 裕之・古関 潤一
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-03〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500011
  • 内容
  • 21-1-2-03第55回地盤工学研究発表会局所変位に着目した粘土の圧密現象の考察粘土 圧密試験 二次圧密東京大学 学生会員 ○奥田喬一東京大学 国際会員 京川裕之 古関潤一1. はじめに 粘土の圧密現象は一次圧密と二次圧密の組み合わせで考えられ,一次圧密は Terzaghi の圧密理論を代表とする拡散方程式によって解釈されるのに対し,地盤材料のクリープ現象である二次圧密は圧密理論の範囲内では説明できない.クリープ挙動を含む粘土の圧密現象は,数々の実験により検討されており,圧密クリープの表現手法についても様々なモデルが検討されているたとえば, [1].これら既往の検討では,一般的な圧密試験機を用いて,供試体端面の変位として得られる沈下量をもとに二次圧密を検討しているが,「境界値問題として拡散方程式で表現される一次圧密に対して,二次圧密は要素挙動として考慮される」といった問いが生じる.そこで本研究では,圧密中の地盤内部の挙動を空間的に捉え,クリープを含む圧密現象を境界値問題として議論する.アクリル製の圧密試験機を用いて一次元圧密試験を実施し,圧密時の供試体の空間的な変状とその時間変化を捉え,クリープ挙動を含む圧密現象についての考察を試みた.2. 一次元圧密試験の概要 図 1 に示すように,供試体の側面を外から観察可能なアクリル製圧密試験機を用いて一次元圧密試験を行い,試験中の供試体側面の様子を定点カメラ(D3200;ニコン)によって連続的に撮影した.一定時間間隔で撮影された一連の画像に対して PTV 法による画像解析(Move-tr/2D;ライブラリー)を行い,粘土供試体に混入した砂粒子の軌跡を追うことにより供試体(側面)の局所変位を取得した(図 2).なお,アクリル容器およびセル水による屈折,画像自体の曲率などの誤差による影響を除去するため,圧密リング内面に 5mm間隔で格子点を打ち,それらを座標既知点として画像補正を行った.Nishimuaet al.[2]はアクリル製圧密試験機と PIV 法によりセメント改良土の局所変位の抽出に成功している.本研究では,単一色でムラの少ない粘土試料の局所変位を観察するため,カオリン粘土に対して 5 号硅砂(黒色の色砂)を質量比 7:3 で混合した砂混じり粘土を用い,硅砂の移動が粘土の変位と一致すると仮定して,PTV 法によりその移動をトレースした.供試体の物性および初期状態を表1 にまとめる.供試体は予備圧密圧力 80 kPa で作成した.試験は段階載荷によって行い,二次圧密が十分に観測できるように各載荷段階で 1 週間程度の時間を確保した.また,試験は片面排水条件下で実施し( 図 3),差圧計によって,下端非排水面における過剰間隙水圧の経時変化を測定した.図 1. アクリル製の圧密試験機表 1. 試料の物性および初期状態土粒子密度液性限界塑性限界初期含水比初期間隙比予備圧密圧力図 2. PTV 法に用いる画像の例g/cm3%%%kPa2.6746.314.539.91.0780図 3. 圧密試験装置の概要3. 実験結果および考察 正 規 圧 密 過 程 の 載 荷 段 階 ( 圧 密 圧 力 :154.9 kPa , 圧 力 増分:76.8 kPa)について,実験結果を以下にまとめる.(1)端面外部変位と水圧の経時変化 図 4 に上端排水面における圧縮変位量と下端非排水面における過剰間隙水圧の経時変化をまとめる.載荷後,過剰間隙水圧の低下とともに圧縮変位量が大きくなる様子が見て取れる.載荷後 20 分程度で下端非排水面の過剰間隙水圧が消散し,一次圧密が完了する.二次圧密中は,変位は時間の対数軸に対して直線的に変化する一方で,過剰間隙水圧はほぼ 0で一定値を示し変動しない.なお,載荷直後しばらくの間,過剰間隙水圧が 5 kPa で一定値を示しているのは,使用した差圧計の計測範囲の上限を超えているためであり,実際には 5kPa 以上の水圧が生じている.図 4. 変位と水圧の経時変化(圧密圧力:154.9 kPa)Discussion on consolidation phenomena of clay focusing on local displacement: Kyoichi Okuda, Hiroyuki Kyokawa, Junichi Koseki(University of Tokyo)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-03 - 21-1-2-03第55回地盤工学研究発表会図 5. 一次圧密中の変位分布図 6. 二次圧密中の変位分布(プロット:実測値,破線:近似線)(プロット:実測値,破線:近似線)図 7. 圧密クリープの発生/進行の概念(2)一次圧密中の供試体内変位分布とその変遷 画像解析により得られた一次圧密中の供試体側面の変位分布を図 5 に実線でまとめる.縦軸は下端非排水面を基準とした(追跡色砂の)初期高さであり,横軸は載荷軸方向の圧縮変位量である.載荷から一定時間ごとの変位分布をプロットしている.変位は下部から上部へと蓄積していくため,上部ほど変位量が大きくなる.試験機の構造上の制約から下端近傍の変位分布は観測できていないが,下端非排水面における変位が拘束されていることを考慮すると,一次圧密中の変位分布は図 5 中の破線のような傾向であると考えられる.高さに対する圧縮変位量がひずみ(図 7 に記載)と解釈できることから,一次圧密中は上端排水面側のひずみが大きく,下端非排水面のひずみが小さいことがわかる.これは,Terzaghi の圧密方程式に代表されるような既存の圧密理論と矛盾しない結果が得られた. (3)二次圧密中の供試体内変位分布とその変遷 画像解析により得られた二次圧密中の供試体側面の変位分布を図 6 に実線でまとめる.縦軸は,図 5 と同様,下端非排水面を基準とした(追跡色砂の)初期高さである.一方で横軸は,下端非排水面における過剰間隙水圧が消散した時間(載荷後 20 分)を二次圧密の開始点として,それ以降の圧縮変位量をとっている.上述と同様に,下端非排水面における変位が拘束されていることを考慮すれば,二次圧密中における変位分布は直線的な分布よりも,図 6 中の破線に示すような曲線的な分布が適当であると考えられる. すなわち,ひずみで考えると,一次圧密終了後に発生するひずみ増分は下端非排水面側で大きく,上端排水面側で小さく観測され,これは圧密クリープが生じ始めるタイミングが供試体内部で空間的に異なることを示唆している.“一次圧密の終了時から二次圧密が開始する”という巨視的観点における解釈を援用すると,過剰間隙水圧がすぐに消散する上端排水面側では,過剰間隙水圧の消散が遅い下端非排水面側に比べて,クリープの発生が早く,クリープが相対的に進行していると考えられる(図 7).そのため,下端非排水面における過剰間隙水圧が消散したあと(一般的な二次圧密領域)を開始点としたひずみ増分に着目すると,下端の過剰間隙水圧が消散するまでにクリープひずみが生じているにもかかわらず上部のひずみ増分は小さく見積もられ(図 7 の変位分布線上部の勾配(ひずみ)の変化が小さい),クリープひずみが遅れて発生する下部でのひずみが相対的に大きく評価されている(図 7 の変位分布線下部の勾配(ひずみ)の変化が大きい)可能性がある. また,アイソタック理論的に考えると,載荷直後から(常に)クリープは発生しており,下端非排水面における水圧が消散したタイミングでは供試体上部ではひずみ速度が遅く,一方で下部では速いままである.このひずみ速度の分布がクリープの空間的な差異に影響を与えていると解釈できる. 以上のように,粘土の圧密クリープ現象は一次圧密中の水圧や有効応力変化(あるいはそれに伴うひずみ速度の分布)に依存する現象であり,圧密クリープの発生および進行は空間的に異なる.つまり,ε ∝ log 𝑡のようにクリープひずみが地盤内で一様であると仮定する場合には,その比例関係(二次圧密係数の値)が供試体の大きさに依存することが考えられることから,その評価に注意が必要である.4. まとめ 本研究では,境界値問題としての圧密現象に着目し,粘土供試体に混入した色砂の動きを画像解析(PTV 法)によって追跡することにより,圧密中の供試体の局所変位の観測を試みた.一次圧密中は既存の圧密理論と矛盾しない結果が得られた.また,既往の検討では供試体内で均質に発生すると仮定されていた二次圧密現象に関して,圧密クリープの発生および進行は,境界条件に依存する一次圧密の影響を受けて地盤内で空間的に異なることが示唆された.参考文献[1]村上文都, 井野大星, 横溝純一, 本間重雄, 飽和粘土の低動水勾配域における非ダルシー流れが一次元圧密沈下速度に及ぼす影響, 東海大学紀要工学部, Vol.54, No.2, pp.51-56, 2014. [2]Nishimura, S., Iwaki, A., Takashino, S. and Tanaka, H.: Imagebased measurement of one dimensional compressibility in cement-treated soils, Géotechnique, Vol. 66, No. 10, pp.840-853, 2016.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-03 -
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  • 一次元膨潤変形に伴う締固めたベントナイト供試体内部の含水比および乾燥密度の経時変化に関する実験的調査
  • 著者
  • 山本 有雅・伊藤 大知・小峯 秀雄・後藤 茂・王 海龍・関口 高志・北原 慎也
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-02〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500010
  • 内容
  • 21-1-2-02第55回地盤工学研究発表会一次元膨潤変形に伴う締固めたベントナイト供試体内部の含水比および乾燥密度の経時変化に関する実験的調査ベントナイト膨潤乾燥密度早稲田大学早稲田大学戸田建設戸田建設学生会員国際会員正会員〇山本小峯関口北原有雅,伊藤秀雄,後藤高志慎也大知茂,王海龍1.はじめに高レベル放射性廃棄物の地層処分において,緩衝材にベントナイトの利用が検討されている 1).これはベントナイトが,緩衝材に求められる技術要件 2) を満たすと考えられているためである.技術要件の一つである自己シール性は,周辺環境の影響を受けるため定量的に評価することが難しく,膨潤圧・膨潤特性や透水特性と比較して研究事例が少ない.そこで著者らは,ベントナイト系緩衝材の設計に寄与することを目的として,自己シール性を定量的に評価するための実験方法に関する検討を行っている.本論文では自己シール性の隙間充填時の膨潤変形に着目し,膨潤変形に伴うベントナイト供試体の内部状況の経時変化を調査するため,膨潤変形実験後供試体の含水比および乾燥密度分布の測定を行った.2.上面給水による一次元膨潤変形実験の概要と実験方法表 1 ベントナイト KV1 の基本的性質試料は Na 型ベントナイトのベントナイト KV1(クニミネ工業製・クニゲNa主な交換性陽イオンル V1)を使用した.表 1 にベントナイト KV1 の基本的性質を示す.供試体2.73土粒子密度(Mg/m3)は静的締固め装置を用いて,内径 60 mm の実験用リング内に高さが 10 mm と476.9液性限界(%)29.2塑性限界(%)なるように作製した.表 2 に作製した供試体の条件と実験条件を示す.447.7塑性指数既往研究における膨潤変形実験は,供試体の下面から蒸留水を給水して供48モンモリロナイト含有率(%)試体の上方向への変形量を測定している.著者らはこの下面給水による一次元膨潤変形実験の結果より,膨潤変形に伴う乾燥密表 2 作製した供試体の条件と実験条件製度の変化を考察している 3).本論文ではこれと異な12345供試体番号る「上面給水による一次元膨潤変形実験」を行った.8.188.187.398.438.14初期含水比(%)当該研究は供試体の側面と下面の変形を抑制した状9.889.8710.139.449.67初期高さ(mm)態で,供試体の上面から蒸留水を給水し,供試体の60.0059.9960.0160.0460.02直径(mm)上方向への変形量を測定する実験である.実際の処48.877 48.656 48.882 47.268 48.834質量(g)分孔内における緩衝材の自己シール性の現象として, 初期乾燥密度(Mg/m3)1.621.611.591.631.653571114給水日数(days)緩衝材と周辺岩盤間の隙間から地下水と接触するこ19.6載荷鉛直圧(kPa)とで膨潤変形し,隙間を充填することが求められる.そのため上面給水による一次元膨潤変形実験は,地層処分における自己シール性の現象を模擬した給水経路,膨潤変形方向である.図 1 に上面給水による一次元膨潤変形実験装置の概要を示す.作製した供試体を用いて膨潤特性容器を組立て,底板にアクリル製円筒を設置し,その中を蒸留水で満たす.膨潤特性容器の側面上部の通気孔から膨潤特性容器内に蒸留水が浸入し,その後,ピストンの通気孔からポーラスメタルを通り, 図 1 上面給水による一次元膨潤変図 2 膨潤変形実験後供試体の分割方法供試体上面へ給水した.供試体ごと形実験装置の概要に 3~14 日間給水を行い,変位計を用いて経過時間ごとの膨潤変形量を測定した.3.膨潤変形実験後供試体の分割方法膨潤変形に伴う供試体内部状況の変化を調べるために,各膨潤変形実験後供試体を分割し,含水比と乾燥密度を測定した.図 2 に膨潤変形実験後供試体の分割方法を示す.膨潤変形実験後供試体を約 3 mm ずつ押し出し,糸のこぎりを用いて切断した.切断時に糸のこぎりに付着した試料は,切断した供試体を入れた蒸発皿に薬さじを用いて入れた.切断した供試体の含水比を測定し,切断前後の供試体高さから切断した供試体の体積,乾燥密度の算出を行った.全ての膨潤変形実験後供試体において上記の操作を行い,含水比および乾燥密度分布を求めた.4.膨潤変形実験後供試体の含水比および乾燥密度分布と供試体の各箇所における含水比および乾燥密度の経時変化図 3 に上面給水による一次元膨潤変形実験後供試体の含水比分布を,図 4 に乾燥密度分布を示す.すべての供試体にExperimental investigation on temporal change ofYAMAMOTO, Yuka ITO, Daichi WASEDA Universitymoisture content and dry density of compactedKOMINE, Hideo GOTO, Shigeru WANG, Hailong WASEDA Universitybentonite in one-dimensional swelling deformationSEKIGUCHI, Takashi KITAHARA, Shinya TODA Corporationtests.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-02 - 21-1-2-02第55回地盤工学研究発表会おいて,給水面に近い箇所で含水比はおおむね 160 %と供試体内で一番大きく,給水面からの距離が大きくなるに伴い,含水比は低下傾向であった.また,給水日数が短い 3 日間の場合,含水比は 40~170 %と分布の幅が大きく,給水日数が5,7,11,14 日と長くなるにしたがって,含水比分布の幅は小さくなった.7日間給水の供試体を除くすべての供試体において,給水面に近い箇所で乾燥密度は小さく,給水面からの距図 3 上面給水による一次元膨潤変実験図 4 上面給水による一次元膨潤変形実験離が大きくなるに伴い,乾後供試体の含水比分布後供試体の乾燥密度分布燥密度は増加傾向であった.また,給水日数に関係なく,給水面付近の乾燥密度は 0.5 Mg/m3程度であった.さらに,給水日数が短い 3 日間の場合,乾燥密度は 0.5~1.4 Mg/m3と分布の幅が大きく,含水比分布と同様に給水日数が長くなるにしたがって,乾燥密度分布の幅は小さくなった.7 日間給水の供試体に関して,給水面から 20 mm 付近おいて乾燥密度が 0.6 Mg/m3と著しく図 5 給水面からの距離が 5,10,15 mm図 6 給水面からの距離が 5,10,15 mm の小さくなっている.図 3の箇所における含水比の経時変化箇所における乾燥密度の経時変化の含水比分布では上記の箇所において,他の供試体との特徴的な差はみられない.そのため,切断後供試体の高さ測定時に誤差が生じたことが原因であると考えられるが,今後より一層の調査を行う予定である.図 5 に,図 3 を基に算出した,給水面からの距離が 5,10,15 mm の箇所における含水比の経時変化を示す.図 6 に,図 4 を基に算出した,給水面からの距離が 5,10,15 mm の箇所における乾燥密度の経時変化を示す.図 5,6 に初期含水比と初期乾燥密度を円でプロットした.図 5 より,給水面から近い 5 mm の箇所では,給水開始直後に含水比が急激に大きくなり,それ以降は比較的緩やかに変化する傾向がみられた.給水面から 10 mm の箇所では 5 mm の箇所と比較して,含水比に急激な挙動はなく緩やかに変化していた.また給水面から 5,10,15 mm の全ての箇所において,含水比は 130~150 %程度に収束した.図 6 より,給水面から近い 5 mm の箇所では,給水開始直後に乾燥密度が急激に小さくなり,それ以降は比較的緩やかに変化する傾向がみられた.給水面から 10 mm の箇所では 5 mm の箇所と比較して,乾燥密度に急激な変化な挙動はなく緩やかに変化していた.また給水面から 5,10,15 mm の全ての箇所において,乾燥密度は 0.6 Mg/m3程度に収束した.5.まとめ膨潤変形実験後供試体の含水比および乾燥密度分布より,以下の 3 点が明らかになった.(1) 供試体の給水面から近い箇所では,給水開始直後に含水比と乾燥密度が急激に変化し,その後は緩やかな挙動へと変わる.(2) 給水面からの距離が大きい箇所ほど,含水比と乾燥密度の給水開始直後の変化は緩やかになる.(3) 給水開始から 14 日間の時点で膨潤変形はおおむね終了し,含水比は 130~150 %程度に,乾燥密度は 0.6 Mg/m3程度に収束する.今回は給水日数が 3~14 日間の短期間の膨潤変形実験を行い,その結果から供試体内の含水比および乾燥密度の経時変化を調査した.しかし,実際の地層処分事業は長期間の操業のため,長期間膨潤変形実験を行った場合の供試体の内部状況を調査する必要がある.参考文献1) 核燃料サイクル開発機構:わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性―地層処分研究開発第 2次取りまとめ―総論レポート,JNC TN 1410 99-020,pp.Ⅱ-1-Ⅱ-5,1999.2) 原子力発電環境整備機構:処分場の安全機能と技術要件(2010 年度),NUMO-TR-10-11,pp.22-25,2011.3) 山本有雅,伊藤大知,小峯秀雄,王海龍,後藤茂,関口高志,北原慎也:自己シール性評価に向けたベントナイトの膨潤変形に伴う乾燥密度の変化の考察,第 16 回地盤工学会関東支部発表会,2019.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-02 -
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  • ウレアーゼ活性による木節粘性土供試体の固化実験
  • 著者
  • 金田 一広・畠 俊郎・川原 孝洋・中條 邦英・畠山 正則
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-2-01〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500009
  • 内容
  • 21-1-2-01第55回地盤工学研究発表会ウレアーゼ活性による木節粘性土供試体の固化実験ウレアーゼ 粘性土固化応用地質竹中工務店 国際会員 ○金田 一広広島大学国際会員畠 俊郎正会員 川原孝洋, 中條邦英, 畠山正則1.はじめに自然堆積粘土地盤上に建設された盛土など構造物の長期沈下が問題になっている。遅れ沈下は圧密降伏応力を超えた荷重が載荷された場合によく発生している。一旦粘性土地盤が沈下すると荷重を除荷するか、オーバーレイによる補修が必要となってくる。本研究ではカオリン粘土 1)や自然堆積粘土 2)で検討を行ってきたが、今回は木節粘土を用いた固化実験を行ったので報告する。2.固化メカニズム本研究では粘性土供試体の中に尿素と固化液を注入して,地盤に生息している微生物が生産する酵素(ウレアーゼ)の作用により尿素を加水分解させ、その時に発生する二酸化炭素と固化液のカルシウムイオンが反応して炭酸カルシウムを粘土の間隙に析出させる。次式が化学反応式である 3)。・ウレアーゼ活性による尿素の加水分解CO(NH2)2+2H2O→(ウレアーゼ)→2NH4++CO32-(1)・炭酸カルシウム析出Ca2++CO32- →CaCO3 ↓(2)3 実験方法実験に用いた粘土供試体は、市販の粉末木節粘土を使荷重用した。加水して、スラリー状にした後、圧密圧力100kN/m2 で事前圧密を実施して作製した。木節粘土の物粘土圧密リング理特性は,土粒子密度ρs =2.671 g/cm3, 液性限界 wL =固化液40.7 %, 塑性限界 wp = 16.0 %である。表1に試験ケースウレアーゼと注入した溶液を示す。図 1 に示す通水実験の粘土供試体は,上下の乱れを考慮して高さ 3cm としている。通水排水バルブは水位のヘッド差を用いており、圧密リングの下からの距離としている。なお、通水が進むと注入速度が遅くな平面図るため適宜ヘッド差を大きくしている。また、荷重とし側面図図 1 実験装置の概要て 5000g を載荷し、17.7 kN/m2 ほどの上載圧をかけてい表 1 実験ケースと溶液情報る。表 1 に示したように、固化液としては、尿素と塩化ケースず固化液のみの場合、Case2 はウレアーゼと固化液を、Case3 はウレアーゼと固化液の濃度を倍にしている。図2 にヘッド(cm)と注入水量の関係図を示す。通水は初め150ml ずつ行い、注入が終了してから同時に 150ml ずつ固化液ウレアーゼ液ウレアーゼ酵素尿素塩化カルシウム10mg1.2g1.66g216mg1.2g1.66g332mg2.4g3.32g精製水150mL精製水150mL追加し、全体では 2 か月半で 300ml 注入した。また注入した粘土供試体はひずみ速度 0.02%/min の定ひずみ速度純水Case1ウレアCase2ウレアCase3固化Case1載荷による圧密試験を実施した。3501204 実験結果300100250表中には通水をしていない無処理の供試体の値も示した。乾燥密度が通水前に比べて通水した供試体は若干小さくなっており、一方,間隙比は通水することで大きくなった。これは、100 kN/m2 で予備圧密された供試体に対し水量 [ml]表 2 に注入(通水)前後の粘土供試体の物性値を示す。60150実線:ヘッド5008/5ひずみ速度圧密試験を実施するときは高さ 2cm の供試体8/128/198/26日付9/29/9図 2 注入量・ヘッドの関係Kazuhiro Kaneda , Takenaka CorporationToshiro Hata,, Hiroshima UniversityTakahiro Kawahara, Kunihide Nakajyo,Masanori Hatakeyama ,Oyo Corporation- 21-1-2-01 -20点線:水量0て膨張したためである。なお、通水後の試料に対して定© 公益社団法人 地盤工学会40100て,通水過程の荷重が小さかったため,応力緩和によっSolidification experiment of Kibushi clay specimen using urease802009/16ヘッド [cm]カルシウムを入れている。Case1 はウレアーゼを注入せ 21-1-2-01第55回地盤工学研究発表会表 2 供試体諸元に成型しなおしている。また、圧縮指数Cc は無処理粘土と優位な変化が生じていなかった。一方、圧密降伏応力は無処理粘土では 141では 290kN/m2 であったがCase2~3kN/m2 以上となり2倍以上増加し通水条件供試体状況無処理Case1Case2Case3通水前/通水後(供試体成形後)通水なし土粒子の密度dg/cm32.6712.671 / 2.6712.671 / 2.671含水比wn%28.927.9 / 29.727.8 / 29.528 / 29.9乾燥密度dg/cm31.4951.528 / 1.4891.531 / 1.4941.525 / 1.4962.671 / 2.671ている。これは注入することで新たな骨間隙比e0.7860.748 / 0.7930.745 / 0.7870.751 / 0.785圧縮指数cc0.250.250.270.25格構造を形成し構造が高位化したと考え圧密降伏応力pc141160290322kN/m2られる。図 3 に圧縮ひずみ~圧密圧力関係図を示す。無処理粘土に比べて Case2, 3 は正規圧密領域で圧密応力が大きくなっており、いわゆる圧密降伏応力が増加していることから、骨格構造が生成されていることがわかる。図 4 には圧縮応力と圧縮ひずみの関係を示す。無処理粘土より Case1の方が剛性が低下しているが、これは固化させないで単に水溶液の通水を行ったため間隙比の増加を伴う膨張が生じ0ていて剛性が低下したと考えられる。圧縮ひずみ 5 %に着目するとCase1の 157 kN/m2 に対して固化を生じている Case2,3 は 216, 246試体内に析出した炭酸カルシウムによって土骨格が高位化したと考えられるでは実際に粘土供試体に炭酸カルシウムが析出しているかどうかを調べるため、圧密試験を実施した後の供試体を5分割して細かく(%)間隙比が増加したにもかかわらず、剛性が増加していることから供510圧縮ひずみ ekN/m2 と増加して剛性が上がっていることも分かる。通水によって1520砕いて炭酸ガス圧を調べた。炭酸カルシウムは酸によって、次式のように容易に炭酸ガスを発生させる。CaCO3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2↑Case 1Case 2Case 3無処理2530(3)110め、既知濃度の炭酸カルシウムとガス圧の関係式を求めてから未知1001000圧密圧力 pこの炭酸ガスのガス圧と炭酸カルシウムの含有量には相関があるた10000(kN/m2)図 3 圧縮ひずみと圧密応力の関係試料の炭酸カルシウム量を算出している。表 3 に 5 つの分割供試体300の平均値を示す。Case1 でも 0.43mg/g 程度計測されるが、これはもCase1 に比べて含有率が高くなっている。この結果から確かに供試体内に炭酸カルシウムが析出していることが確かめられた。しかし、理論上は Case2 に比べて Case3 は 2 倍の濃度なので、炭酸カルシウムの含有量も 2 倍になると想定されるが。計測誤差などの原因があ圧密圧力 (kN/m2)一方、Case2 では 1.11 mg/g、Case3 では 1.78 mg/g と計測され、246kN/m2250ともと木節粘土に炭酸カルシウムが含有していたものと考えられる。216kN/m2200157kN/m2150100ると考えられる。簡易な炭酸カルシウムの計測ではあるが、粘土供試体に確かに炭酸カルシウムが析出して骨格構造の高位化に寄与し5.まとめCase 2Case 3無処理00246圧縮ひずみ eていることが確かめられた。今回は 300ml という通水量であったがさらに多くの通水を行うとより固化の効果があると考えている。Case 150810(%)図 4 圧縮応力と圧縮ひずみの関係表 3 酸カルシウム析出量粘性土(木節粘土)にウレアーゼと固化液を注入することで間隙に炭酸カルシウムを析出させ、剛性が増加し、圧密降伏応力も増加ケース分析値(mg/g)することが分かった。またウレアーゼと固化液の濃度を 2 倍にするCase10.43と強度や圧密降伏応力も増加することも分かった。ウレアーゼや固Case21.11化液の最適な濃度が存在することが想定され、最適な濃度を調べるCase31.78ことが必要と考えている。(参考文献)1) 金田ら:ウレアーゼ活性による粘性土供試体の固化実験, 第 52 回地盤工学研究発表会,2017. 2) 金田ら]ウレアーゼ活性による自然堆積粘性土供試体の固化実験, 第 53 回地盤工学研究発表会,2018. 3)手計ら,:酵素活性の異なる各種微生物を用いた固化処理砂の液状化特性改善効果に関する検討,地盤工学ジャーナル,Vol.11,No.1,pp.1-9,2016.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-2-01 -
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  • 載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係
  • 著者
  • 廣瀬 剛・伊藤 譲・塚本 光祐・三木 椋介・神戸 隆志
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-08〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500008
  • 内容
  • 21-1-1-08第55回地盤工学研究発表会載荷条件下における凍・不凍水量と土の一軸圧縮強さの関係不凍水量 細粒土一軸圧縮強さ奥村組土木興業正会員摂南大学国際会員○廣瀬剛伊藤譲八尾市塚本光祐NEXCO エンジニアリング三木椋介アーバンパイオニア設計神戸隆志1. 目的:飽和粘性土の間隙水は,土粒子の表面力の影響を受け,粘性が高く,密度が大きい間隙水(吸着水)と表面力を受けていない間隙水(自由水)に大別される.吸着水は粘性土の一軸圧縮強さなどの工学的性質に影響を及ぼすと考えられてきた.これまでの研究では,無載荷条件の凍結試験により凍・不凍水量を測定した結果,主に自由水が一軸圧縮強さに影響を及ぼすことが明らかとなった1)。本研究では,正規圧密および過圧密の載荷条件における凍・不凍水量測定を行い土の一軸圧縮強さとの関係を検討した.2. 実験方法:実験では表 1 に示す 425μm ふるい通過の藤森 16N を使用した.試料土は液性限界の 1.3 倍の含水比に調整後脱気され,24 時間養生したペースト状試料をそれぞれ予圧密荷重 P = 39.2,78.5,157,314,628 kN/m2 まで圧密し,φ6 ㎝,h=2 ㎝に整形された.表 1 試料土の物性値凍結実験装置は円筒形セル,上・下部の冷却プレートから土粒子密度 液性限界構成される.供試体には鉛直方向に実験荷重 p = 39.2, 78.5,試料名157, 314, 628 kN/m2 のいずれかが載荷される.上・下部プレー藤森16Nトの内部には Pt センサーが取り付けられ,ブラインを循環さ粒度分布塑性限界ρsg/cm³wL%wP%砂分シルト分%%%2.70545.523.43.746.350.0粘土分せて上・下端面から同時に冷却された.鉛直変位は上部プレートに取り付けられた変位計により測定された.凍結開始時の変位を基準とし,変位量から各凍結温度における変位の増加量Δd を求めた.変位の増加量Δd から温度 T℃までに凍結した水分量 hwf(T℃)を(1)式から求め,hwf(T℃)と土粒子高さ hs から T℃までに凍結した水分量から求まる間隙比(凍結間隙比)ef(T ℃)を(2)式から算出し,T℃までに凍結しない水分量から求めた間隙比(未図 1 正規圧密における凍結間隙比 ef と温度 T の関係凍結間隙比)eu(T℃)を(3)式から求めた.hwf(T℃) = Δd / 0.09(1),ef(T℃) = hwf(T℃) / hseu(T℃) = e0 - ef(T℃)(3)(2)ここに,Δd:各温度での変位(mm),hs:土粒子高さ(cm),e0:初期間隙比とする.一軸圧縮試験(JIA A 1216)では,φ10cm の圧密容器を用いて P = 39.2,78.5,157,314,628 kN/m2 で予圧密し,φ3.5cm,h≒7cm に整形した供試体を用いた.3. 実験結果:図 1 に正規圧密における凍結間隙比 ef と温度 Tの関係を示す.凍結間隙比 ef は T = 0~-2℃において急激に増図 2 正規圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係加し,T = -2℃から低温では ef の変化は緩やかになる.また,荷重 P,p が大きいほど ef は小さくなった.これは,T が低温になっても,荷重 P,p が大きい場合には,ef の増加が抑制されることを示す.図 2 に正規圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係を示す.未凍結間隙比 eu は T =0~-2℃において急激に低下し,T= -2℃以下では,eu は変化が緩やかになる.荷重 P,p が大き図 3 過圧密における凍結間隙比 ef と温度 T の関係The Relationship between Amount of Frozen・Unfrozen WaterContent and Uniaxial Compressive Strength of Fine GrainedSoil on Loading ConditionsHIROSE, GO, Okumura Engineering CorporationITO, YUZURU, Setsunan UniversityTSUKAMOTO, KOSUKE, Yao CityMIKI, RYOSUKE, Nexco-EngineeringKANBE, TAKASHI, Urban Pioneer Design© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-08 - 21-1-1-08第55回地盤工学研究発表会いほど eu は大きくなり,凍結しない水分が多くなったことが分かる.また,荷重 P,p が大きくなると ef 小さく,eu は大きくなった.つまり,従来のほとんどの凍・不凍水量の測定結果とは異なり,凍・不凍水量は荷重に支配されることが明らかになった.図 3 に予圧密荷重 P = 628kN/m2 一定で,実験荷重 p = 39.2~628kN/m2 それぞれの凍結間隙比 ef と温度 T の関係,図 4 に未凍結間隙比 eu と温度 T の関係を示す.全体的に p が大きくなるほど ef は小さく,eu は大きくなる傾向が見られるが,ef,eu 共にバラツキが認められた.過圧密では P により間隙水が排出されてしまうため,凍・不凍水量は p よりも P の影響を受けている.図 5 に正規圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)での凍結間隙比 ef と未凍土の一軸圧縮強さ qu の関係を,図 6 に正規圧図 4 過圧密における未凍結間隙比 eu と温度 T の関係密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.荷重 P,p が大きいほど qu は大きく,ef は小さく,eu は大きくなった.また,荷重 P,p が大きいほど e0 は小さく,eu が大きくなったため,qu は eu の影響を強く受けていると読み取ることもできる.図 7 に過圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)の凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.p = 39.2 kN/m2 で一定とし,P = 39.2~628 kN/m2 とそれぞれ異なると P が大きいほど qu は大きく,ef は小さくなった.図 8 に過圧密における各温度(T=-0.7,-1.0℃)の未凍結間図 5 正規圧密における凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係を示す.P = 39.2~628 kN/m2,p = 39.2 kN/m2 で一定とする.p に対して P が大きくなるほど,eu が変化しなくなり,qu は大きくなった.qu の変化に対するeu の変化は図 6 よりも小さく,p(拘束圧)が小さい場合にはqu の変化に対して eu の変化が小さいことが示された.一軸圧縮試験は拘束圧が作用しない状態(p=0kN/m2)で行われるため,P に対して p が小さい時の拘束条件に近い.このことから, qu は eu と関係していないと考えられる.これは無載荷の凍結試験で求めた eu と qu との関係と同じ傾向 1)を示すものである.つまり,qu は吸着水により支配されている図 6 正規圧密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係と思われていたが,実際には自由水により支配されていることが明らかになった.4. まとめ:本研究の成果をまとめる.①正規圧密では,予圧密荷重 P が大きいほど凍結間隙比 ef は小さく,未凍結間隙比eu は大きくなり,荷重に応じて凍・不凍水量が変化する.②P が実験荷重 p よりも大きい場合は,ef および eu にバラツキが認められるものの,凍・不凍水量は P に応じて変化する傾向が認められる.③一軸圧縮強さ qu は,正規圧密では荷重 P,p が大きいほど,eu が大きくなるため,eu の影響を受けている.④P が大きく,p(拘束圧)が小さいほど eu の変化が小図 7 過圧密における凍結間隙比 ef と一軸圧縮強さ qu の関係(p = 39.2 kN/m2)さい.一軸圧縮試験は拘束圧がゼロの条件で行われることを考慮すると,qu に及ぼす eu の影響は小さいと考えられる.これは無載荷状態で行った実験結果とも整合しており,一軸圧縮強さは吸着水よりも自由水に支配されていることが明らかとなった.参考文献:1) 佛圓典史他:凍結試験から細粒土の一軸圧縮強さを評価する方法,平成 23 年度土木学会関西支部年次学術講演会,Ⅲ-5,2011.2) 塚本光祐:飽和細粒土の工学的性質と凍・不凍水量測定結果との関係,摂南大学修士論文,2020.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-08 -図 8 過圧密における未凍結間隙比 eu と一軸圧縮強さ qu の関係(p = 39.2 kN/m2)
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  • 圧密による粘土のセメンテーション構造の破壊と力学的特性への影響
  • 著者
  • 渡部 大勢・近藤 慧・福田 文彦
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-07〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500007
  • 内容
  • 21-1-1-07第55回地盤工学研究発表会圧密による粘土のセメンテーション構造の破壊と力学的特性への影響セメンテーション 力学的特性一軸圧縮試験北海道大学大学院学生会員○渡部大勢北海道大学工学部北海道大学大学院近藤 慧国際会員福田文彦1.はじめに本研究では、セメンテーションを有する試料の圧密によるセメンテーションの破壊が、試料の力学的特性に与える影響について実験的に調べている.ここでセメンテーションとは土粒子同士の物理的化学的作用による結合のことである.実験では、まず粘土にセメントを添加して予圧密を行い、人工的にセメンテーションを発現させた予圧密試料を作成する.次に再び圧密(再圧密)を行って一度発現させたセメンテーションを破壊する.このようにして再圧密の圧力と養生時間を変化させた試料を作成して、一軸圧縮試験からセメンテーションの破壊のメカニズムや力学的特性への影響を評価する.このような研究は、年代効果などによってセメンテーション(構造)が発達している自然地盤の力学特性やセメント改良地盤の力学特性などのより本質的かつ詳細な理解のために必要不可欠である.2.試験概要本研究では試料として笠岡粘土を使用し、粘土の乾燥重量の 1%に当たるセメントを添加し、人工的にセメンテーションを発現させる.セメントを添加する前の笠岡粘土の物性値は液性限界 62.8%、塑性限界 28.6%、土粒子の密度2.74g/cm3 であり、添加した後の物性値は液性限界 77.3%、塑性限界 33.5%、土粒子の密度 2.66g/cm3 である.試験試料は、乾燥粘土・水・セメントを撹拌してスラリーを作成し、このスラリーを予圧密したものであり、スラリー含水比はセメント添加前の笠岡粘土の液性限界の 2 倍の値となるように笠岡粘土:蒸留水:セメントの比 100:125:1 の質量比で調整した.一度形成したセメンテーションを破壊するために、二段階予圧密法を採用した.予圧密セルにおいて、初めに 100kPa で一週間予圧密を行い、その後試料を取り出さずにセル内の圧力を変えて再圧密を更に一週間行った後で、予圧密セルを解体する.再圧密力の値は 100kPa,200kPa,300kPa とした.この再圧密過程で、最初の一週間に形成されたセメンテーションをいくらか破壊できるという仮定である.解体後、養生期間を設け、それぞれ養生期間の異なる試料で一軸圧縮試験を行う.養生期間は 15,29,56,112 日とし、養生期間の開始時点は一段階目の 100kPa の予圧密を始めた時点と定める.一軸圧縮試験に用いる試料は直径 50 ㎜、高さを 120 ㎜の円柱形にトリミングしたものであり、ひずみ速度は1%/min で軸ひずみが 15%に達した時点で試験終了とした.3.試験結果と考察一軸圧縮試験から得られた応力―ひずみ関係を図-1 に、最終含水比と養生期間および再圧密圧力の関係を図-2 に、ピーク強度と養生期間および再圧密圧力の関係を図-3 に示した.図-3 のセメント 0%の強度は、予圧密圧力 100kPa でセメント 0%の試料の一軸圧縮試験から得られた強度にもとづき、その値を 2 倍および 3 倍したものを、それぞれ圧密圧力 200kPa と 300kPa の強度として表示している.また、実験番号の意味は、-(ハイフン)の前が初期段階予圧密圧力(kPa)、後ろが再圧密圧力(kPa)、再圧密圧力の後は養生期間(日)である.(ex. 100-20029)前述したようにセメンテーションとは土粒子間にみられる結合のことで、セメンテーションの発達している粘土としていない粘土では力学的挙動が異なる.特にセメントを添加していない粘土では養生期間を変化させても強度をはじめとする力学的パラメーターは不変であるのに対し、セメントを添加した粘土ではセメンテーションが発達することで養生期間の増加に伴って変形剛性やピーク強度が増加したりする.以上の前提を踏まえ、力学的特性が受けるセメンテーションの影響を考察する.(1) セメント添加による応力―ひずみ関係の変化図-1 において、セメント無添加試料の応力ひずみ関係と、セメントを添加した試料の応力ひずみ関係を比較すると、セメント無添加試料ではピークが認められないのに対し、セメントを添加した試料では、再圧密圧力や養生日数にかかわらず、応力ひずみ関係に明瞭なピークが認められ、ピーク後の主応力差は急速に減少している.これらのことから粘土の乾燥質量に対して 1%にあたるセメント量でも十分にセメンテーションは形成されていると判断した.(2) 再圧密に伴う含水比の低下とセメンテーションの破壊図-2 の最終含水比と養生期間および再圧密圧力の関係のグラフにおいて、養生時間が同じ場合における含水比は、Destruction of the cementation of clay by consolidation and itsTaisei Watanabe, Graduate school of Eng., Hokkaido univ.influences on the mechanical characteristics.Kei Kondo, Faculty of Eng., Hokkaido univ.Fumihiko Fukuda, Graduate school of Eng., Hokkaido univ.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-07 - 21-1-1-07第55回地盤工学研究発表会どの養生時間においても、圧密圧力が増加すれば低下している.この含水比の低下から次の二つの可能性が考えられる. 1)セメンテーションもいくらか破壊され、間隙比が低下している.また再圧密圧力が大きなほどセメンテーションの破壊の程度も大きい.2)セメンテーションは破壊されず、固着していない土粒子群だけが動いて間隙比が小さくなっている.図-3 のピーク強度のグラフにおいて、セメント 0%の強度と養生期間 15 日のセメント 1%の強度の差を比較する.再圧密圧力が 100kPa の時にこの強度差が最も大きく、再圧密圧力の増加とともに強度差は小さくなる.再圧密圧力の図-1 応力―ひずみ関係違いによるセメント水和反応の速度等に差がないとすれば、この実験結果は先に述べたセメンテーション破壊に関する二つの仮設のうち、前者の 1)である可能性が高いことを示している.(3) 再圧密圧力と強度の関係図-3 のピーク強度のグラフにおいて、養生時間が同じ場合におけるピーク強度と再圧密圧力の関係は、どの養生時間においても再圧密圧力が増加すればピーク強度も増加している.セメンテーションを有する粘土の一軸圧縮強度を支配する主たる要因は、1)間隙比(間隙比が低下すれば土粒子同士の接触点数が増えて強度は増加する)、2)セメンテーション、および 3)ダイレタンシーの三つであろう.図-2 と 3 の実験結果は、再圧密によってセメンテーションはある程度破壊されるものの、間隙比が低下するために、再圧密圧力の増加に伴い強度図―2 最終含水比と養生期間および再圧密圧力の関係が増加することを示すものと考えられる.(4) 養生期間と強度の関係図-3 のピーク強度のグラフにおいて、再圧密圧力が同じ場合におけるピーク強度と養生時間の関係は、どの再圧密圧力においても養生時間が増加すればピーク強度が増加している.(2)と(3)において再圧密によって部分的にセメンテーションが破壊されることを指摘したが、いま述べた養生時間の増加にともなって強度が増加する現象も、少なくとも初期圧密圧力の 3 倍程度の再圧密圧力では、セメンテーションが完全に破壊されることはなく、破壊されなかったセメンテーションは再圧密後の試料の強度に影響をおよぼすことを示している.(5) 養生時間に対する強度増加率におよぼす再圧密圧力の影響図―3 ピーク強度と養生期間および再圧密圧力の関係図-3 のピーク強度のグラフにおいて、再圧密圧力が同じ実験におけるピーク強度と養生時間の関係のグラフの傾き、すなわち養生時間に対する強度増加率は、再圧密圧力が大きいほど大きい.この要因として土粒子間の距離や配列が考えられる.すなわち、土粒子間の距離は再圧密圧力が大きい試料ほど近いために、単位体積当たりの土粒子同士の接触点の数が増え、セメントが固着している接触点の数も増える.結果として接着剤のような役目のセメンテーションの結合が大きく作用したり、セメンテーションが発達しやすい骨格が形成されている可能性がある.4.まとめセメントを添加した粘土を再圧密することによりセメンテーションはいくらか破壊されているが、再圧密後にも破壊されないセメンテーションがあり、破壊されないセメンテーションが再圧密後の強度特性に影響を及ぼしている.再圧密によるセメンテーション破壊についてさらに詳しく調べるために、一段階目の予圧密圧力が 200kPa および 300kPa で再圧密を行わない試料の実験を行い、今回の実験結果と比較が求められる.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-07 -
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  • 一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例
  • 著者
  • 栃尾 健・武石 将和・八百山 孝・夏目 隆弘・星野 笑美子
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-06〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500006
  • 内容
  • 21-1-1-06第55回地盤工学研究発表会一軸圧縮試験の破壊ひずみの大きい特異な沖積粘土の調査事例沖積粘土一軸圧縮試験破壊ひずみ基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員○栃尾 健基礎地盤コンサルタンツ株式会社武石 将和基礎地盤コンサルタンツ株式会社 正会員八百山 孝基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員夏目 隆弘基礎地盤コンサルタンツ株式会社正会員星野 笑美子1.はじめに長崎県壱岐市の港湾内で埋立て地設計に必要な地盤調査を実施した際に、N 値 0 回の沖積粘性土層が確認された。この沖積粘性土層は一軸圧縮試験の結果、破壊ひずみが 5~15%で、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。この試験結果から試料の乱れが懸念されたため、当該地周辺の既往調査や、簡易 CU 試験で検証した事例を紹介する。上部沖積粘性土層(Ac1 層)2.ボーリング調査結果当該地は台地を侵食する小河谷の出口にあり、三方を標高 100m 程度の台地とその尾根に囲まれている。水深は 5~7m 程度で、N 値 0 回の沖積粘性土層が厚さ 10m 程度堆積下部沖積粘性土層(Ac2 層)し、その下位に沖積礫質土層、さらにその下位に岩盤が確認された。沖積粘性土層は、砂分の少ない上部沖積粘性土層(以下、Ac1 層)と、砂分の多い下部沖積粘性土層(以沖積礫質土層下、Ac2 層)に区分した。コア写真を図-1 に示す。Ac1 層および Ac2 層の室内土質試験結果を表-1、図-2 に示す。Ac1 層の物理特性は一般的な沖積粘土1)とほぼ同等頁岩・砂質頁岩(強風化部)の値を示した。一軸圧縮強度は小さく、軟弱粘土とほぼ同等の値を示した。一方 Ac2 層は細粒分含有率が少なく、一般的な沖積粘土より含水比が小さく、湿潤密度が大きい。液性限界および塑性限界は沖積シルトとほぼ同様の値を示頁岩・砂質頁岩した。一軸圧縮強度は、普通粘土とほぼ同等の値を示した。また、一軸圧縮試験では破壊ひずみが約 5~15%で、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。これは乱れの大きい試料の試験結果の特徴と一致しており、試料の乱れが懸図-1 コア写真念された。Ac1 層および Ac2 層の室内土質試験結果表-1Ac1 層土粒子の密度ρsg/cm3含水比Wn%間隙比e湿潤密度2.637~2.737(平均値)(2.705)Ac2 層(平均値)2.703~2.774沖積粘土の一般値 1)(2.725)2.5~2.7548.1~75.4(59.8)26.3~41.3(35.5)50~801.307~1.635(1.433)0.918~1.132(1.011)-ρtg/cm31.647~1.738(1.704)1.808~1.896(1.852)1.5~1.8細粒分含有率Fc%79.8~96.8(88.5)45.1~77.8(61.1)液性限界WL%51.5~70.1(60.1)33.2~45.5(36.5)塑性限界WP%25.6~31.1(28.3)19.9~26.8(23.9)50~130(粘土)30~80(シルト)30~60(粘土)20~50(シルト)塑性指数IP%22.4~40.5(31.8)6.7~21.6(12.6)一軸圧縮強度qukN/m215.4~28.2(20.8)19.9~57.0(32.8)破壊ひずみεf%6.06~13.98(9.42)4.69~14.95(11.1)-E50MN/m20.5~1.7(1.0)0.3~2.4(0.8)-変形係数Soil investigation result of unusual alluvial clay having largefailure strain from unconfined compression test© 公益社団法人 地盤工学会20 以下(軟弱粘土)20~200(普通粘土)TOCHIO, Takeshi Kiso-Jiban Consultants Co.,Ltd.TAKEISHI, Masakazu Kiso-Jiban Consultants Co.,Ltd.- 21-1-1-06 - 21-1-1-06第55回地盤工学研究発表会3.試料の乱れの検証3.1 簡易 CU 試験簡易 CU 試験を用いて乱れの程度を推定する方法2)━Ac1 層━Ac2 層に基づき、簡易 CU 試験を実施した。一軸圧縮強度 qu と簡易 CU 強度 su2 の関係から、表-2 の基準で乱れの程度を判定することとした。一軸圧縮強度 qu と簡易 CU 強度 su2 の関係を図-3に示す。乱れの程度は「(Ⅰ)乱れは小さい」と判定された。表-2 試料の乱れの判定基準まとめqu/su2 の範囲乱れの程度(Ⅰ)qu/su2>0.80乱れは小さい(Ⅱ) 乱れは適度のレベル0.70<qu/su2≦0.80(Ⅲ)0.60<qu/su2≦0.70乱れはやや大きい(Ⅳ) 乱れは非常に大きいqu/su2≦0.60図-2Ac1 層および Ac2 層の一軸圧縮試験結果今回の試験結果図-3━Ac1 層━Ac2 層━Ac2 層(既往)Ac1 層の qu と su2 関係図3.2 既往調査における検証同じ港湾内で昭和 57 年度に実施されている業務では、Ac2 層のサンプリング試料の運搬時の乱れを防ぐため、現場で一軸圧縮試験を実施している。そ図-4 既往調査の一軸圧縮試験結果との比較の結果、本調査と同様に破壊ひずみが大きく、応力-ひずみ曲線がなだらかな形状を示した。このことから、破壊ひずみが大きいことは、試料の乱れが主因とは考えにくい。4.まとめ検証の結果、試料の乱れは少ないことが分かった。一般的な沖積粘土は破壊ひずみが 5%未満であることが多く、当該地の粘性土層は一般的な沖積粘土とは異なる挙動を持つ。応力-ひずみ曲線がなだらかなことから、ひずみが増加しても強度がある粘り強さを持つ一方で、ひずみが小さい時は強度が小さいという特徴がある。今回、破壊ひずみが大きくても乱れが少ない粘土が確認されたことから、安易にデータを棄却せず、簡易 CU 試験等を利用して乱れの程度を確認する必要があると考えられる。【参考文献】1)(社)地盤工学会:土質試験-基本と手引き-(第二回改訂版)、p.17,39,151、H21 年 3 月2)土田孝,水上純一,及川研,森好生:一軸圧縮試験と三軸試験を併用した新しい粘性土地盤の強度決定法、港湾技術研究所報告、第 28 巻第 3 号、p.82、1989 年 9 月© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-06 -
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  • タイトル
  • 三重津海軍所ドライドックの地盤特性と構造
  • 著者
  • 正垣 孝晴・中野 義仁
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-05〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500005
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  • 21-1-1-05第55回地盤工学研究発表会三重津海軍所ドライドックの地盤特性と構造三重津海軍所,ドライドック,地盤特性正垣技術士事務所 (国)正垣 孝晴(株)興和 (国)中野 義仁1.はじめに三重津海軍所 MNF は,筑後川の支流早津江川の右岸に佐賀藩が設立(1858 年)した海軍施設である。この施設は,2015 年に世界遺産(明治日本の産業革命遺産)に登録され,今日地中保存されている。また,MNF の維持・管理・復元のための地盤工学的調査が 2015 年から本格的に行われている。本稿は,2015 年と 2018 年の調査結果を統合して,MNF のドライドック MND 遺構の地盤と構造を考察する。●:Boreholesite (EB-1~7:Existing boring data)EB-1, 7:Japanese ground database "Kunijiban"EB-2~4:Sano Memorial museum park geotechnical survey (2001)EB-5, 6:Hayatsue area of Togari port geotechnical survey (2001)B-6, 7:Small-boat dock geotechnical survey (2016)B-8:Training ground geotechnical survey (2017)B-9~11:Ship-building/repair dock geotechnical survey (2018)2.三重津海軍所修覆場の土層構成とドックの構造MNF は,船屋地区,稽古場地区,修覆場/金属加工場地区の 3 地区から構成されている。図-1 は,これらを含む周辺の地盤調査位置を示している。MND の位置船屋地区EB-6EB-7EB-5:Trench survey (T-1~8)は,MNF の南西端の修覆場/金属加工場地区の青の破B-6:Wooden revetment remains線で示している。図-2 は,MND の T-2(2015)と T-8稽古場地区Lines A & B:Geologic section line in Fig.2(2018)のトレンチ内で行った調査結果から推定した土050B-7EB-4100 mT-4(2017)B-8EB-3層構成と MND での修理記録がある電流丸の断面を示T-5(2017)T-6(2017)T-7(2017)EB-2している。同図には,MND の敷地の外に位置する図-1Sano Memorial Museum Parkに示す EB-1 と EB-5 の結果も,それぞれ図の左右端にT-8(2018)Line BB-10B-11示している。土層は,高水敷盛土 T1,ドック埋立て土 T2,完新世の蓮池粘土層 Hc1 と有明粘土層 Ac1 が地表から堆積し,Ac1 中には同砂質土層 As1 が介在している。Line AB-9EB-1T-1(2013)Dry dock (Estimated)T-2(2015)これら土層の水平方向の連続性は良好であり,ドックはT-3(2017)修復場/金属加工場地区Hc1 層を開削して構築されている。また,MND は,船屋図-1 三重津海軍所遺構を含む周辺の地盤調査位置地区・稽古場地区と同様な土層構成であることが判る。ドックの西(図の左)側の渠壁は,貝殻(牡蠣殻)密集層 Os 下の Hc1 層まで開削して,土嚢を積んだ B 層で渠壁の下部を押えており,地盤補強が行われている 1)。一方,東(図の右)側の渠壁は,松丸太による 4 段の木組み構造が配置されている 2)。この木組み構造は,我が国に類例がなく,中国の海岸堤防の木組み構造に 3)似ている。MND の木組み構造は,ドック東隣の金属加工Line B in Fig.1Line A in Fig.1Observed cross section , Ⅳ (Fig.3)Dry dock western side wallEB-100N1010C-3①20T2 g②qc-1C-2-410104qcAqc2Bal160D0Hc1600 1200 0 600 120000 6000 600 12001--1-1-12--2-2-2Ac1-33--3-3-3As1-44--4-45--5-5Ac2(Sand)600 12000 6000021 6000006 01200Hc1-2NB-90600 120000 600B(Clay)qcqc0OsEB-500C-13C-24 C-26C-23E0-1B-10Retaining plateB-11c, d, ea, b, hqc600 1200Hc1 f 00 600E (m)?Denryu-maruBeam 7.9mC-1T1?Wooden revetment remains1st2nd4th 3rd33-417A 36As128OsAs1Ac129E (m)The ground surface level at the time(Estimated)4Dry dock eastern side wallDock center line(Estimated)Current ground surface height(E≒3.5~4.25m)-2-4-6-61272時代1086土層区分高水敷盛土ドック埋立て土埋立て盛土 (粘土・砂互層)西側渠壁材料 (粘土)渠底材料 (粘土)完新世粘性土蓮池層貝殻密集層上部粘性土有明層 上部砂質土下部粘性土4記号T1T2BalB, EA, C, DHc1OsAc1As1Ac222460Distance from Dry dock center, L(m)810121416216218B and BE:Borehole surveyC:Portable cone penetration tests (PCPT, Unit of qc:kN/m2)Circled number:Wooden Pillar number①:Average high tide level (E= 2.075m)②:Average low tide level (E= -1.755m):Soil sampling site using vinyl pipe (a~h):Trench excavation line図-2 三重津海軍所修復場の土層構成とドックの構造Soil properties and structures of the Mietsu Naval Dry Dock:Takaharu Shogaki (Shogaki Professional Engineer Office), YoshihitoNakano (Kowa Co.,Ltd.).© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-05 - 21-1-1-05第55回地盤工学研究発表会場との境界構造物である可能性もあるが,ドック左右の渠壁構造が異なっているのも例がない。B 層に加え,渠底部の3332 34A,C,D 層にも土嚢が確認されているが 1),A,C,D 層は船の10 11B-11荷重を支える地盤補強を意識した材料でなく,Hc1 層と同今後,同じ断面での渠壁や渠底部の構造の検討が必要で ②1715 16431①6 2752522122図-3 は,T-8 で行われた 45-mm サンプラーを用いた試料採取(◎:B-9,10,11)とポータブルコーン貫入試験4) (×:12342830 29Observed cross section Ⅳ at T814 13262423× :PCPT (1~36)3.修覆場と金属加工場の地盤の強度特性035363731127 892018 19等の強度である。図-2 は T-2 と T-8 の結果から作図している。ある。B-9B-10N:Borehole:Pilar (d<200mm):Wale wood② :Soil layer section line in Fig.4:Pilar (d>200mm):Connecting beam wood①:Survey line in Fig. 55m図-3 ドック渠底から東側渠壁の木組み構造間における調査位置PCPT 1~36)の位置を示している。同図には,ドックの渠底部と東側の木組み構造の領域も併示している。B-9 は金属Dock center line (Estimated)qcの変化から3層に区分2は,20kN/m2-3より小さく,ほぼ一定である。これは,図-2 と図-4 の A,C,D-4高 E が−1.7m 以浅のプロットの非排水強度 cu-2-3-1-4-2As1-54Ac1 に混入する貝殻片に当たって大きな cu 〔例えば,-4-53-1-2-2Hc1-1-1-2-2-3-3Ac121-4-3-3-3-4-4-4As1Ac2-5-1-1-2-2-1-1-2-2As1-3-3-3-3-4-4-4-401-523-5-5-54※C:PCPT(Unit of qc:kN/m2)木杭(推定)5Bottom of dry dock67-5-5-5-589101112Elevation, E (m)図-6 は,45-mm サンプラーで採取した試料の一軸圧縮試験 5)結果である。渠底部の B-11 を見ると,図-2 と図-4 のA,C,D 層に相当する E=−(1~2)m の含水比 wn は 120~130%,湿潤密度 ρt は 1.35~1.42g/cm3 であり,B-9,10 と同等である。PCPT○:1+:2×:3△:4□:5▽:6◇:27Os-1重のような大きな荷重履歴を受けていないことが判る。A, C and D-2Ac1-3-4このことは,船荷重等に対抗する渠底部の地盤補強が行わAs1れていないことを意味する。また,木組み構造内(B-10)や-5金属加工場(B-9)において,E が 0m 以浅の wn の値から,020406080100120140Undrained shear strength, cu (kN/m2)砂(wn≒20%)と粘土(wn≒100%)の互層構造が理解できる。図-5 ドック渠底部の PCPT 結果(図-3 の①測線)図-6 の cu の欄にはサクション S0 と一軸圧縮強さ qu から推定した原位置の非排水強度 cu(I) (★)もプロットしている。cu(I)×:B-9+:B-10○ :B-11△ :cu(I):In-situ value2は,cu(=qu/2)の 2 倍程度の値を示し,サンプリングから強度Elevation, E (m)10-1-2-3-4構造を検討した。ドックの機能,施工法,利用状況等を解明-5するには,T-2 と T-8 の間でドック軸を横断するトレンチで,-6討が不可欠である。-1-2Bal00るが,他のプロットと同様な値を示し,ドック中心軸上で船荷東西渠壁と渠底部の一体的構造と地盤工学的な精緻な検-1-4-5している。また,PCPT3(×)はドックの中心軸に位置していT-2 と T-8 のトレンチから MND のドックの渠壁,渠底部の00図-4 PCPT によるドック東側の土層断面(図-3 の②測線)くと,cu≒30kN/m2 の変動幅で深度が深くなるにつれて漸増4.おわりに0600Distance from Dry dock center, L (m)PCPT5(□)の E=−2m の cu=58kN/m2〕を発揮する部分を除面の安定性に及ぼす影響は,別稿 6)で検討している。-3-4As1-5乱れも反映している。Ac1 は有明粘土であり,コーン先端がとが判る。cu と cu(I)の差が西側渠壁の施工時と供用後の斜00q0As1層に相当するが,開削の作業や応力開放,試料採取による試験に至る過程で受ける撹乱で cu が過少評価されているこ0PC-20PC-19qc2(kN/m2)q (kN/m2)qc (kN/mc 0 ) qc600cc600 012001200600 0 1200600 12006001200OsCA-30E (m)-1qqc (kN/mc 2)600 12001200600E (m)D00qcE (m)-2PC-18q600 1200E (m)-1-22qc c(kN/m2)qc (kN/mc )600 1200600 1200 00600E (m)-1PC-17qqE (m)図-5 は,PCPT の 1,2,3,4,5,6,27 の結果を纏めている。標E (m)同等と判断できる。PC-16PC-1500E (m)0E (m)軸方向に 2m 程度離れているが,土層構成は深度を含めてPC-32 PC-33PC-34qcqc 22))(kN/mq2c) (kN/m0 qc 600600q c 00 qc (kN/m2)q c 02 qc600(kN/m120006000 1200600 6001200 120060002q(kN/m)c)0600 1200qqcc(kN/m60000 1200600 1200120060000 6001200PC-12PC-10 PC-11C-18C-20C-19C-17E (m)1C-16E (m)断面線Ⅳにおける土層断面であり,図-4 と図-2 はドックC-10C-12 C-32C-11C-33C-34地表線は推定C-15E (m)した土層断面である。図-2 の右半分は,図-3 の T8 の観察E (m)加工場の敷地に位置する。図-4 は,図-3 の②測線に投影0 50 100150 1wn (%)1.31.6 0ρt (g/cm3)48 12 0S0 (kPa)4080 0 0.6 1.2 1.8cu (kN/m2) E50 (MN/m2)図-6 45-mm サンプラーで採取した一軸圧縮試験結果参考文献1) 正垣・奥田・中野・鈴木:三重津海軍所ドライドック渠口西側部の渠壁構造と施工時の安定性,第 53 回地盤工学会全国大会概要集,pp.47-48,2018. 2) 正垣・本郷・岩崎・中野:三重津海軍所ドライドックの渠壁構造,第 54 回地盤工学会全国大会概要集,pp.1171-1172,2019. 3) 浙江省文物考古研究所,1985. 4) 地盤工学会基準(JGS 1431-2012),ポータブルコーン貫入試験方法,地盤調査の方法と解説(二分冊の 1),pp.337-344,2013. 5) 日本産業規格(JIS A 1217:2009),土の一軸圧縮試験方法,地盤材料試験の方法と解説(二分冊の 2),pp.541-551,2009.6) 正垣・中野:世界遺産三重津海軍所ドライドック渠壁部斜面の安定性,第 55 回地盤工学会全国大会概要集,2020.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-05 -
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  • 運搬中の振動・衝撃が粘性土の強度に与える影響(佐賀県白石町での採取試料による検討)
  • 著者
  • 陳 金賢・柿原 芳彦・植村 一瑛・大島 昭彦
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-04〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500004
  • 内容
  • 21-1-1-04第55回地盤工学研究発表会運搬中の振動・衝撃が粘性土の強度に与える影響(佐賀県白石町での採取試料による検討)粘性土 三軸圧縮試験試料の乱れ応用地質株式会社正会員同上正会員植村一瑛同上正会員柿原芳彦国際会員大島昭彦大阪市立大学大学院1. はじめに乱要因が存在する。既往の研究では,サンプリング実施者が撹乱に対し特に注意を要する作業要因を定量的に抽出してい01000wp (%)wL (%)wn (%)1る 1),2)。これは,地盤調査が分業化した今日において,サンプ2リングや室内試験を経験することがない実務者にとって,設1.320021.4金賢PS検層によるVs(m/s)湿潤密度rt(g/cm3)含水比w(%)深 柱度 状(m) 図土のサンプリングから室内試験に至る過程では,様々な撹○陳1.5000225010050計品質を意識した地盤調査を行う上で継承すべき重要な情報3である。一方,試料を現場から遠方の試験室に運搬する際,4多くの場合,運送業者に運搬を委ねざるを得ない。十分な振4446665動・衝撃の抑制・緩和措置をもって運搬を委託するが,その55実状を把握した事例は無いと思われる。本報では,鋭敏な粘6土試料の運搬中の振動・衝撃が三軸圧縮強度に与える影響に7θついて,可搬式の小型三軸試験装置(以下,スマート三軸試験装置) 3)を用いた採取直後の現場強度と試験室へ運搬後のθ↑試験試料8658図-18試料採取地盤の土質特性強度を比較したので報告する。TWS採取, 試料押出2. 運搬中の振動・衝撃の影響検討(1)対象地盤試料採取現場にて三軸圧縮試験(CU)実施佐賀県杵島郡白石町において,シンウォールサンプリングにより沖積粘土層(以下,有明粘土層)の試料採取を行った。図-1 にいくつかの土質特性を示す4)。図示の通り,自然図-2現場~試験室へ運搬(振動計測)室内にて三軸圧縮試験(CU)とベンダーエレメント実施検討フローチャート含水比 wn が液性限界 wL を上回る非常に鋭敏な粘土である。今回の比較試験は,図-1 に示す深度 6~7m 間のサンプリング試料を用いて実施した。有明粘土層の下端は深さ 15m 付近にあり,用いた試料は粘土層の概ね中間深度である。(2)検討フロー図-2 に検討フローを示す。現場において,深度 6m~7m 間のサンプリング試料を押出した後,供試体を整形しスマート三軸試験装置を用いて三軸圧縮試験(CU )を実施した(図3)。現場で試験を実施した以外の供試体は,長さ 12.5cm 程度に切り分け,現場でパラフィンシールを行い,埼玉県にあ図-3る試験室に運搬した。可搬式三軸試験装置を用いた現場の三軸試験(スリック株式会社製 G-MEN DR20)をシンウォールライナー(別深度の試料が入ったもの)に固定し,クッション材を取り付けた専用の運搬箱に納め,一般的な運送業者に依頼し陸送で現場から試験室に運搬した。現場でパラフィンシールを行った残供試体もこの運搬箱に納めて試験室に運搬した。運搬中の加速度データを図-4 に示す。同図より,運搬箱の積み替えや引き渡しの際に試料に大きな衝撃(合力成分とし業者引き渡し(福岡)て最大 20691gal)が作用している。また,9/25 の 1:00 頃から9/26 の 7:00 頃にかけて X 軸方向(ライナー長手方向)で小刻Effect of Transport Vibration on Triaxial Test Results of受け取り(埼玉)75000-7500加速度センサーX軸-15000150009/24 0:00加速度(gal)試料運搬中の振動・衝撃の状態を調べるため,加速度計ZXY9/25 0:009/26 0:009/27 0:009/25 0:009/26 0:009/27 0:009/25 0:009/26 0:009/27 0:0075000-7500Y軸-15000150009/24 0:00加速度(gal)(3)運搬振動の計測加速度(gal)1500075000-7500Z軸-150009/24 0:00図-4試料運搬中の加速度データChen Chinhsien, Uemura Kazuaki (OYO Corporation)Cohesive Soil Sample.Kakihara Yoshihiko (OYO Corporation)Oshima Akihiko (Osaka City University)© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-04 - 21-1-1-04第55回地盤工学研究発表会軸差応力 σa-σr (kPa)みに振動が連続しており,ライナーを縦にした状態で長時間運搬されていたことが推測される。(4)三軸圧縮試験(CU)本検討で用いたスマート三軸試験装置は,熟練した試験者による操作を必要とせず,かつ高精度な試験結果が得られる試験装置である806040200150 03)。最大の特徴は,発電機と水があれば,インフラ246810121416軸ひずみ ε (%)が整っていない場所でも,三軸圧縮試験を実施することが可能間隙水圧 u (kPa)125な点である。100試験は「土の圧密非排水(CU )三軸圧縮試験方法(JGS 0523)」に準拠して実施した。ただし,せん断速度は現場での試験時間75現場_σ'r=35 kPa_0.1%/min室内_σ'r=35 kPa_0.1%/min50の制約上 0.1%/min とした。比較対象とした室内試験のせん断速0度も同様に 0.1%/min とした。供試体寸法は50mm,h=100mm図-5である。圧密は等方圧密とし,圧密応力は有効土被り圧相当の35kPa とした。軸差応力・間隙水圧~軸ひずみ関係およびスト246810軸ひずみ ε (%)121416試験結果の比較(応力,間隙水圧~軸ひずみ)150M=1.7'=41.5°レスパスを図-5,6 に示す。室内試験のピーク強度は 52.8kPa であり,現場試験の強度 56.7kPa に比べ約 4kPa 低下したが,破壊現場_σ'r=35 kPa_0.1%/min室内_σ'r=35 kPa_0.1%/min室内_σ'r=35 kPa_0.05%/minひずみ,初期剛性および間隙水圧の発生傾向には顕著な差は見室内_σ'r=70 kPa_0.05%/min軸差応力 σa-σr (kPa)100られなかった。なお,別途実施した圧密試験により圧密降伏応力は pc=51.1kPa であった(採取深度の OCR=1.46)。上記の比較試験に加え,図-6 には,せん断速度 0.05%/min,有効拘束圧 ’r=35,70,140kPa の室内での試験結果を示す。室内_σ'r=140 kPa_0.05%/min50’r=35kPa(過圧密領域)の供試体では,せん断速度の違いによる強度差はなかった。図-6 に示す’ =41.5°は粘性土としては00大きく,これについては,地域特性(採取場所は農業用水の取水により広域地盤沈下を生じていた履歴がある)と力学特性と50図-6の関連性等について今後は探究していきたいと考えている。100平均有効応力 (kPa)150200試験結果の比較(ストレスパス)1000(5)せん断波速度 Vs の比較室内ベンダーエレメントによるVsPS検層によるVs(=55 m/s)図-1 に示した通り,原位置においてサスペンション PS 検層せん断波速度 Vs (m/s)により Vs が得られている 4)。これと比較するために,室内において運搬後の振動・衝撃を受けた供試体でベンダーエレメントによる Vs 測定を行った。測定は三軸セル内で有効拘束圧’r を20,35(有効土被り圧相当),70,140,280,560 kPa とし Vs を計測した。図-7 に示す通り,原位置深度相当(’r=35kPa)の Vs10010は運搬後供試体 53m/s,原位置 55m/s とほぼ同等であった。3. まとめ1試料運搬中の振動・衝撃が土の力学特性に与える影響につい10100有効拘束圧 σ' r (kPa)図-7原位置 Vs と運搬後供試体 Vs の比較て,採取直後の強度と運搬後の強度を三軸試験によって比較した。結果をまとめると以下の通りである。1000・運送業者への試料の運搬委託においては,引渡しや積替え時に瞬間的に大きな衝撃が加わる。・三軸試験におけるピーク強度は,運搬後の振動・衝撃を受けた試料で約 4kPa 低下したが,破壊ひずみやストレスパスに顕著な差や特異な状況は確認されなかった。・せん断波速度 Vs は,原位置 PS 検層と運搬後供試体でほぼ等しい値であった。以上の結果を総合すると,有明粘土のように非常に鋭敏な粘土の場合でも,試料を適切に梱包したうえで運搬することで,試験結果に与える影響は少ないものと考えられる。謝辞)本論文の作成にあたり,中央大学研究開発機構 太田秀樹教授から有益なアドバイスを頂きました。ここに記し,心より感謝を申し上げます。参考文献1)地盤工学会:地盤調査の方法と解説, pp.210-212, 2008.2)松尾 稔・正垣孝晴:各種要因の qu への影響度に関する実験的研究, 土質工学会論文報告集, Vol.26, No.2, pp.121-132, 1986.3)小林一三・中山栄樹・飯塚 敦・太田秀樹:新しい三軸試験装置の紹介~SMART triaxial testing apparatus~, 第 59 回地盤工学シンポジウム発表論文集, Vol.14, No.10, pp.3-8, 2014.4)武野航大・大島昭彦他:佐賀県白石町での地盤調査結果(その1), 第 55 回地盤工学研究発表会(投稿中) 2020.© 公益社団法人 地盤工学会- 21-1-1-04 -
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  • タイトル
  • フォールコーン試験による粘性土の力学特性の評価
  • 著者
  • 西尾 伸也・鎌田 安祐美
  • 出版
  • 第55回地盤工学研究発表会発表講演集
  • ページ
  • 21-1-1-03〜
  • 発行
  • 2020/07/01
  • 文書ID
  • rp202005500003
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  • 21-1-1-03第55回地盤工学研究発表会フォールコーン試験による粘性土の力学特性の評価フォールコーン コンシステンシー 非排水せん断強さ日本大学生産工学部 国際会員 ○西尾伸也同上1.鎌田安祐美はじめにフォールコーン試験は北欧で粘土のコンシステンシーを測定する方法として開発され 1),コーンの貫入力が材料の降伏応力に関連していることから,強度や含水比変化に伴う強度変化を求める方法としてその適用が数多くの研究で検討され例えば 2),3),原位置試験から求めた強度や鋭敏比との対応についても検証されている 4)。液性限界測定については,JISの Casagrande 法に比べ再現性が良く個人差の影響が少ないことに加え,塑性限界の同時測定に向けた取組み 2)もあり,その利用拡大が図られている。ここでは,7 種類の粘土試料を用いてフォールコーン試験,室内ベーンせん断試験を行い,フォールコーン試験による粘性土の力学特性評価について考察した。2.試験方法表1 試料の主な性質用いた試料は,全国の 6 道府県で採取した自然粘土 6 種類:粘粘土である。自然粘土は,425µm ふるいで裏ごし通過した試料を含水比調整して用いた。JIS 法で測定した主な性質を表1に示す。フォールコーンは,JGS 0142-2009 に準拠した 60º・60g コーンの電磁石式自動解放・固定型の装置を用いた。また,非排水せん断強さ:su は,フォールコーン測定終了後,直ちに室内ベーンせん断試験(ベーンブレード幅:20mm,高さ:10mm)により,同一の容器を用いて測定した。3.液性限界塑性限界(%)(%)粘土 A65.930.235.7粘土 B119.881.438.4粘土 C93.135.457.7粘土 D58.724.933.8粘土 E77.434.742.7粘土 F68.329.139.2NSF55.130.025.1試料名土 A,粘土 B,粘土 C,粘土 D,粘土 E,粘土 F および市販 NSF試験結果と考察図1にコーン貫入量と含水比の関係を示す。30º・80g コーン塑性指数160を用いた拡張フォールコーン法 2)で示されたとおり,両者の関係は 60º・60g コーンでも両対数グラフ上で直線関係が得られた。しかし,その傾きは試料により異なり 0.19〜0.43 の範囲に変動80w (%)していることが分かる。図2は,用いた自然粘土についてコーン貫入量と液性指数の関係を調べたものである。地盤工学会基準では Casagrande 法で粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF40求めた液性限界との比較から貫入量:11.5mm に対応する含水比を液性限界としている。一方,下辺 5)は,30º・80g コーンを用いた場合,液性限界および塑性限界に対応するコーン貫入量は,20dLL=20mm および dPL=2mm,60º・60g コーンを用いた場合は,そ5の 1/2 のコーン貫入量:dLL=10mm および dPL=1mm を用いること1020d (mm)を提案している。ここでは,図2において,IL =1, d=11.5mm の図1 コーン貫入量と含水比の関係点を通る近似直線において,IL=0 の時の d を求め,これを塑性2.0限界に対応する貫入量とした。コーン貫入量:dLL=11.5mm およ粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土Fび dPL=1.7mm に対応する含水比から液性限界および塑性限界を1.5求め,JIS 法と比較した結果を図3および図4に示す。液性限界について良好な相関が見られるが,塑性限界については JIS 法にIL比べフォールコーンの方が高い値を示す試料もあり,その対応1.0は必ずしも良好ではない。室内ベーンせん断試験から求めた su と含水比の関係を図5に0.5示す。従来,コーン貫入量と su の関係については次式が知られdLL=11.5mmdPL=1.7mmており,su=k·mg/d20.0(1)1ここに k:コーン係数,m:コーン重量,g:重力加速度コーン係数については,室内ベーンせん断試験結果を基に,30ºMechanical properties of cohesive soil based on fall cone test© 公益社団法人 地盤工学会10d (mm)図2 コーン貫入量と液性指数の関係Shinya Nishio, Ayumi Kamata (Nihon University)- 21-1-1-03 - 21-1-1-03第55回地盤工学研究発表会100150粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSFせん断試験から得られた su の関係を示した。用いた試料では,自然粘土と NSF 粘土でコーン係数は異なり,それぞれ,0.26 と 0.49 の値が10080wン貫入量から求めた mg/d2 とベーンw LC(d=11.5mm) (%)値が報告されている 。図6にコー(%)1)PC(d=1.7mm)コーン:0.85,60º コーン:0.29 の5060粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF4020得られた。図6で求めたコーン係数を用いて式(1)で計算される suC と dLL=11.5mm00050w LLおよび dPL=1.7mm に対応する液性限100(mm)0150406080図4 JIS 法で求めた塑性限界との比較150粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSFットされており,ILC =1 に対応する suC は 2kPa 以上の値になる。図中には,以下の式を併記した。(2)su=2·100(1- IL)(3)su=1.3·58(1- IL)(4)100w (%)su=1/(IL−0.21)2100w PL (mm)界および塑性限界から求めた液性指 図3 JIS 法で求めた液性限界との比較数:ILC の関係を図7に示す。自然粘土に比べ,コーン係数の大きな NSF 粘土は全体的に右側にプロ2050式(2)は文献 3)で紹介された Leroueil らの提案式,式(3)は,液性限界および塑性限界に対応する su を 2kPa および 200kPa とした提案式 1),式(4)は,本研究において JIS 法で求めた液性限界および塑00.5性限界に対応する su を図5の直線から 1.3kPa および 75.5kPa と求図5 su と含水比の関係(3),式(4)の方が両者の変化傾向を比較的良く説明している。おわりに107 種類の粘土試料を用いてフォールコーン試験,室内ベーンせん断試験を行い,フォールコーン試験による非排水せん断強さの粘土A粘土B粘土C粘土D粘土E粘土FNSF8フォールコーンはコンシステンシーに加えて直接強度を評価でs u (kPa)評価について検討した結果,フォールコーンから求めた非排水せん断強さと液性指数との間にはある一定の関係が示唆された。60.4910.2614きることから,コーン係数,他のせん断試験との対応,鋭敏比の影響が整理できれば,力学試験実施が難しい場合などにおける原2位置せん断強さの推定方法として期待できる。(謝辞)実験実施については令和元年度卒業生の猪俣岳君,神立0剛明君の協力を得た。ここに記して謝意を表す。05102.0Eq1.5ウム,pp.7-12, 1999.ABCDEF.(2)I LC田中洋行・金子広明・服部 直・稗田教雄・平林 弘・松岡達也:力学試験としてのフォールコーンの活用,第 46 回地NSF1.0Eq.(盤工学研究発表会発表講演集,pp. 243〜244, 2011.4)Tanaka, H., Hirabayashi, H., Matsuoka, T. and Kaneko, H.: Use ofmaterials, Soils and Foundations, pp.590-599, Vol.52, No.4, 2012.下辺悟:スウェーデン・英国規格に基づく土のフォールコーン試験結果の比較,第 48 回地盤工学研究発表会発表講演Eq.(4)0.00.52.05.020.0suC (kPa)図7 フォールコーンから推定した su と液性指数集,pp. 415〜416, 2013.© 公益社団法人 地盤工学会3)0.5fall cone test as measurement of shear strength for soft clay5)25下辺悟:拡張 BS フォールコーン法による土の液性・塑性限界の同時測定とその工学的応用,第 44 回地盤工学シンポジ3)20図6 コーン貫入量と su の関係Wood, D.W.: Soil behavior and critical Soil Mechanics, CambridgeUniversity Press, 1990.2)15mg/d 2(参考文献)1)20.0su (kPa)め,式(3)を修正した式である。用いた試料の IL の範囲では,式4.5.02.0- 21-1-1-03 -
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