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微生物を利用した土の固化に関する手引き(次世代地盤改良技術に関する研究委員会報告書)

タイトル 微生物を利用した土の固化に関する手引き
著者 次世代地盤改良技術に関する研究委員会
出版 微生物を利用した土の固化に関する手引き(次世代地盤改良技術に関する研究委員会報告書)
ページ 1〜98 発行 2021/01/22 文書ID cd202101000001
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  • 微生物を利用した土の固化に関する手引き
  • 著者
  • 次世代地盤改良技術に関する研究委員会
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  • 微生物を利用した土の固化に関する手引き(次世代地盤改良技術に関する研究委員会報告書)
  • ページ
  • 1〜98
  • 発行
  • 2021/01/22
  • 文書ID
  • cd202101000001
  • 内容
  • 微生物を利用した土の固化に関する手引き2021年 1 月公益社団法人 地盤工学会次世代地盤改良技術に関する研究委員会 微生物を利用した土の固化に関する手引き目次1.はじめに11.1次世代地盤改良技術とは何か11.2解説書作成の経緯22.微生物を利用した地盤改良技術について52.1技術概要52.2微生物機能を利用した固化目的の技術52.2.1炭酸カルシウム法(MICP)52.2.2シリカゲル法52.2.3ヒドロキシアパタイト法62.3微生物機能を利用した地盤改良技術の位置づけ62.3.1固化反応の遅れの利用92.3.2作業安全性92.3.3環境安全性103.炭酸カルシウム法による土の固化3.0微生物の活動とその利用12123.0.1微生物の定義123.0.2微生物のエネルギー源123.0.3微生物による元素の循環133.0.4土壌の微生物133.0.5微生物の利活用143.1反応過程153.2尿素加水分解の反応方法173.2.1尿素加水分解反応に用いる微生物または酵素173.2.2微生物の入手方法20 3.3微生物の活性化213.3.1培養の基本事項213.3.2アンプルで購入した微生物の培養293.3.3現地から抽出した微生物の培養343.3.4大量培養343.4微生物または酵素および固化成分・活性化成分の供給363.4.1供給する材料363.4.2供給量383.4.3供給方法と注意点393.5養生423.6モニタリング433.6.1固化効果433.6.2耐久性に関する項目443.6.3生物化学的特性に関する項目454.実験例534.1目的および方法534.2実験方法・規模と精度554.3実験全般の注意事項554.4実験例564.4.1微生物のウレアーゼ活性の有無の確認の例564.4.2微生物のウレアーゼ活性の程度の評価の例584.4.3シリンジを用いた土の固化可能性の確認の例604.4.4一軸圧縮試験による泥炭試料の改良効果確認の例664.4.5土槽実験による三次元的な固化効果確認の例684.4.6現地施工による固化効果確認の例725.炭酸カルシウム法を用いた固化の可能性765.1期待できる用途765.2配慮が必要な事項76 5.2.1パブリック・アクセプタンス765.2.2環境影響評価77参考資料参考資料1微生物とは81参考資料2用語解説85参考資料3微生物の調達方法90参考資料4参考文献91謝辞 1.はじめに1.1次世代地盤改良技術とは何か微生物や植物が持つ酵素を利用して炭酸カルシウムを析出させ,地盤を固化させる技術が国内外で注目され,世界全体の年間の関連論文数も 2019 年には 2010 年の約 8 倍になるなど,著しく増えている 1.1)。地域も,中国,米国,イラン,シンガポール,オーストラリア,日本,英国,インド等,多岐にわたっている。その技術の中で,微生物自体を利用して炭酸カルシウムを析出させる方法は Microbial Induced Carbonate Precipitation(MICP)と呼ばれ,微生物や植物から取り出した酵素を利用して炭酸カルシウムを析出させる方法は Enzyme Induced Carbonate Precipitation(EICP)と呼ばれている。既存のセメンテーション作用によって地盤の固化に用いられているセメントやシリカ溶液は,その固化原理が無機的な化学反応であるが,MICP や EICP による地盤固化では微生物自体あるいは生物由来の酵素を利用した化学反応である点に大きな違いがあり,特徴であるといえる。MICP あるいは EICP を用いた地盤改良技術は,現段階では研究開発の途上にあると考えられることから,既存の地盤改良技術に対して次世代地盤改良技術と呼ばれている。MICP や EICP に関する詳しい説明は,この後の章に譲ることにして,ここでは MICP のメリット1.2)について簡単に紹介する。微生物を地盤改良に用いる主なメリットとしては,①CO2 排出量の削減,②地下水環境の保全,③固化時間の調整機能付加,④資産価値の低下回避,⑤強度増加に比べて透水係数の低下が小さい,などが挙げられる。最初の①は,地球規模で CO2 の排出量の削減を進めていく中で,製造時にCO2 を多く排出する地盤改良資材の使用量を減らし,より地球環境への負荷が少ない新資材および新技術を適材適所で使用することを意味する。次の②は,例えば地盤改良にセメント系固化材を使用する場合には,有害な六価クロムが溶出する可能性があり,六価クロム溶出試験を実施して環境基準値を満足することを確認する必要がある。また,六価クロム以外にも,一般のセメントは pH 値が約 12~13 と非常に高いため,地下水の水質への影響に注意する必要がある。-1- ③に関しては,微生物が持つ特徴を最大限に活用しようとする理由である。すなわち,一般的に化学反応は速度が大きく,時間調整が難しいのに対し,微生物の働きは比較的緩慢であることから,微生物を利用すれば化学反応による地盤改良(固化)を比較的ゆっくり進めることができる。④は,改良を実施した地盤で有害物質の含有や溶出があった場合や,改良された土が再掘削時に産業廃棄物としての扱いを求められるような場合,土壌汚染の浄化費用や産業廃棄物の処理費用が発生して土地評価の際にはマイナス側に評価されるため,これを避けることが理由となる。微生物を用いて改良した土が産業廃棄物に当たらないとされた場合には,その土地の資産価値の低下を回避できることが期待される。最後の⑤は,地盤の液状化対策として微生物を用いて改良した砂供試体に関しては,一軸圧縮強さが数 100kPa 程度まで大きく増加しても,透水係数の低下が小さいことが報告されている。また,微生物を用いた注入材の粘性は,従来のものと同等以下である。よって,この特性を利用すれば,注入材の注入による注入孔周辺の目詰まりや改良地盤の透水係数の低下を小さく抑え,低い注入圧で地盤を乱すことなく浸透距離および改良範囲を大きくするとともに,比較的大きな地盤強度を得られることが期待される。1.2解説書作成の経緯昨今の地盤改良技術に関しては,対象とする現場の状況や要求される改良効果の多様化により,用途に応じた適切な技術を選択する必要があることに加え,選択することが可能な技術の幅を拡大させることが一層求められている。例えば,既設構造物の直下にある地盤の補修・補強や,地盤や土構造物のメンテナンスとしての局所的・集中的な改良に対応しやすい技術,環境に配慮した技術などが,今後さらに求められるものと考えられる。次世代地盤改良技術は,こうした要求や必要性に対応できる新しい技術の1つとして期待されているが,現時点では研究開発の途上にあり,実用化に至るためには目的とする効果やそのための条件を安定的に得る方法,環境安全性の確認方法,既存技術に対して有利な点などが明らかにされ,広い理解が得られることが必要であると考えられる。そこで,当委員会(表-1.1)では,こうした技術の国内外における研究開発-2- の動向や現状技術の課題・展望などについて整理した結果を解説書としてとりまとめ,得られた成果を地盤工学会の会員および社会に対して還元することを目指し,2017 年度~2019 年度の 3 年間,活動を実施してきた。本解説書は,次のような章で構成されている。この第1章に続く第2章では,「微生物を利用した地盤改良技術」について報告する。第3章では,「炭酸カルシウム法による固化の原理」について説明する。第4章では,「実施例」について紹介する。第5章では,「炭酸カルシウム法を用いた固化の可能性」について述べる。そして最後の付録では,用語解説や参考文献の例等を示す。本解説書が,地盤工学会の会員の皆様にとって何かのお役に立つことができれば,望外の喜びである。表-1.1次世代地盤改良技術に関する研究委員会役職氏名所属委員長中野晶子九州大学幹事長稲垣由紀子土木研究所幹事佐藤厚子寒地土木研究所委員青木園子日特建設株式会社委員伊藤圭二郎鹿島建設株式会社委員打木弘一基礎地盤コンサルタンツ株式会社委員川﨑了北海道大学委員佐伯公康水産研究・教育機構委員須江まゆ前田建設工業株式会社委員鈴木亮彦株式会社不動テトラ委員中澤博志防災科学技術研究所委員畠俊郎広島大学委員林和幸和歌山工業高等専門学校-3- <第1章参考文献>1.1) Ning-Jun Jiang, Chao-Sheng Tang, Toshiro Hata, BenoitCourcelles, Osama Dawoud, and Devendra N. Singh: Bio-mediatedsoil improvement: The way forward, Soil Use and Management, 14, 2020.1.2) 川﨑 了:微生物機能を利用した地盤改良技術の現状,Journal of MMIJ,131(5),155 – 163,2015.-4- 2.微生物を利用した地盤改良技術について2.1技術概要地盤改良技術は,強度向上,止水性向上,浄化等の目的に応じ,地盤の物理的,力学的,化学的性質を化学反応等,何らかの原理を利用して改変する手法といえる。一方,微生物には尿素分解や脱窒,硫酸還元等,何らかの化学反応を起こすことや,同等の能力を有する酵素を生成することができる種類のものが存在する。地盤改良技術の原理となる化学反応と,微生物や酵素が起こすことのできる化学反応の種類が一致した場合,微生物や酵素による化学反応を利用した地盤改良の実現可能性がある。例えば,バイオレメディエーションでは,地盤中の微生物が有害物質を無害な物質に分解することで地盤が浄化されている。現状では,地盤改良への微生物機能の利用は,浄化を目的としたバイオレメディエーションが中心であるが,2.2に示すように,固化を目的とした技術に関しても研究が始められている。2.2微生物機能を利用した固化目的の技術微生物機能を利用した地盤の固化技術としては,以下のようなものがある。2.2.1炭酸カルシウム法(MICP)地盤中に炭酸カルシウムを析出させて地盤を固化させる技術である。炭酸カルシウム(CaCO3)を析出させる方法として,尿素が分解されて発生する二酸化炭素と溶液中のカルシウムイオン(Ca2+)の反応による方法や,脂肪酸,硝酸,Ca2+の反応による方法がある。反応に使われるこれらの物質や Ca2+を必要とし,前者の反応は尿素分解能力を有する酵素や微生物,後者の反応は脱窒能力を有する微生物により促進される。2.2.2シリカゲル法地盤中にシリカ化合物の溶液(シリカグラウト)を注入し,間隙中でゲル化させて地盤を固化させる技術である 2.1)。シリカ化合物のゲル化の速度は pH により異なるため,pH 調整によって固化の速さを調整する。pH 調整は,pH 調整剤の添加でも可能だが,pH 領域によってはゲル化に時間を要する場合や,-5- ゲル化した状態が安定しない場合がある。そこで,シリカ化合物に微生物や活性成分を加えて注入し,微生物代謝を利用して pH 調整する方法も検討されている 2.1)。2.2.3ヒドロキシアパタイト法地盤中にリン酸およびカルシウムを注入し,地盤中でリン酸カルシウムを析出させて土を固化させる方法である 2.2)。リン酸カルシウムの結晶形態は時間とともにゲル状から強度の高いヒドロキシアパタイトまで変化する。また,リン酸カルシウム化合物の溶解度が pH に依存する。これらの条件が重なり合って,固化した土が強度を発揮するため,pH 調整への微生物機能利用が期待される。なお,本手引きでは,既往の研究事例が多い炭酸カルシウム法を例に述べることとする。2.3微生物機能を利用した地盤改良技術の位置づけ一般的な地盤改良工法の原理は,「固化」,「締固め」,「排水(促進)」,「置換」などに分類される。液状化対策で考えた場合,「固化」および「締固め」は地盤の非排水せん断強度を事前に高めること,また,「排水」に関しては,地震時に発生する過剰間隙水圧を抑制することや,事前の圧密促進により地盤の沈下を低減することを目的に実施する。また,地盤改良工法の選定は,単なる土質との相性に加え,施工環境,所定の改良効果の確保,あるいは経済性を考慮した検討が必要である。ここでは,新たな工法として,「固化」に類する微生物固化の位置づけを把握するため,炭酸カルシウム法を例に,従来の地盤改良技術との比較を次ページより示す。表-2.1 は原理及び材料別の比較であり,固化およびその他の地盤改良の原理について,使用される材料を取りまとめている。表-2. 2 は固化系地盤改良を施工法別に比較したものであり,微生物を利用した固化に適用可能と思われる従来技術を抽出し,その特徴を整理した。なお,実際の現場で適用性を検討する際には,各々の条件により優劣が変わることになる。また,今後の技術動向によっても変化するため,現時点での一般的な傾向として捉えていただきたい。-6- 表-2. 1固化原理・材料主な目的原理・材料別 地盤改良工法比較表炭酸カルシウム法その他薬液固化セメント固化透水性の低下,地耐力増加,液状化防止地耐力増加,液状化防止,沈下抑止・低減・地盤内の間隙を薬液で置換し,その薬液・セメントと水の水和反応により,ケイ酸れる CO2 と,注入した Ca が反応し,析出が固化する。土粒子と固結した薬液が一した炭酸カルシウムが土粒子同士を結合させ,地盤を固結させる。舗装,地耐力増加,浸食防止,液状化防止,透水性の低下・注入した尿素から微生物代謝により発生さ2+概要自然材料(砂・砕石等)地耐力増加,液状化防止,沈下低減,圧密促進人工材料圧密促進,沈下低減,すべり破壊防止【サンドコンパクションパイル工法】【バーチカルドレーン工法】カルシウム水和物が生成して土粒子同士・砂や砕石を締固めながら杭状に地中に打・軟弱地盤にドレーン材を打設することで間体化してサンドゲルを生成し,改良地盤が固結される。さらに,水和反応により生設することで地中の密度が増大し地盤の隙水の排水距離を短くし,圧密を促進すをつくる。粘着力の小さい砂質土の場成される水酸化カルシウムと粘土鉱物の強度が上がる。る。合,粘着力が付加されることで地盤のせ間でポゾラン反応が起こり,ケイ酸カル【サンドドレーン工法】【ジオテキスタイル工法】ん断強度を高める。シウム水和物やゲーレナイト水和物・軟弱な粘性土地盤内に,透水性の良い砂・盛土内にジオテキスタイルを敷設すること(3CaO・Al2O3・SiO2・nH2O)を生成や砕石の杭を打設することで,間隙水がで,ジオテキスタイルの引張抵抗や摩擦力し,改良土の強度を長期的に高める。排水され,圧密が促進される。などにより盛土の強度を高めることができる。・微生物の固化および活性化に必要な成分(尿素(CO(NH2)2)・水ガラス系溶液・セメント・砂・プラスチックボードドレーン・特殊シリカ系溶液・セメント系固化材・砕石・ジオテキスタイル・カルシウム源(塩化カルシウム,酢酸カル使用材料例・粒状再生材 (スラグ等)シウム)・微生物または酵素(尿素の加水分解能力または硝酸還元能力に優れる種類※)※土中に元々存在している場合は不要・中性領域で改良できるため,従来技術と比べて作業安全性が高い特長・設計方法が確立され実績多数あり・高強度が期待できる・将来掘削する際に支障になりにくい・改良地盤の条件によってゲルタイムの・地盤強度を任意に設定できる・自然環境に影響が少なく,原地盤となじ・微生物やカルシウム源の供給方法や供給量短い材料や長い材料を選ぶことができを変えることで固化の時間を長期(数日~る(固化の時間を数秒から数時間で調整数週間)に調整可能であるできる)・設計するための十分な知見がない。例えば, ・材料単体では,高アルカリ・強酸性の材土質,pH,微生物の種類などにより固化条料を使用するため,作業時の安全性に留件が異なる意する必要あり・工法として確立していないので,従来技術課題とのコスト比較が難しい(CO2 低減等の環境影響効果のコスト換算が課題)・運用指針が確立されていない。例えば,微・浸透注入を行う場合,地盤の透水係数が一定以上高い必要がある。・あらゆる地盤に適用可能・工業製品を使用するため,材料の品質が一定に保たれるみやすい・リサイクル材を使用することができる・材料はアルカリ性であり,改良後の地盤もアルカリ性になる場合が多い・対策土質や配合条件によっては六価クロ・良質な砂が入手困難な場合がある・スラグを用いる場合,pH の影響を確認す・地中や盛土内に人工材が入るため,撤去時の処分に留意が必要であるる必要があるムが溶出されることがある・室内配合試験が必要・恒久的な固化を期待する場合は,劣化しない材料を使用する必要がある生物を利用した場合の安全性確認方法(モニタリングなど)・海外の試験施工事例では,注入によるものがある。代表工法・二重管ストレーナー(複相式)工法・浅層混合処理工法・サンドコンパクションパイル工法・バーチカルドレーン工法・二重管ダブルパッカー工法・中層混合処理工法・静的締固め砂杭工法・ジオテキスタイル工法・恒久グラウト注入工法・深層混合処理工法(機械撹拌式,高圧噴射・サンドドレーン工法式)・グラベルドレーン工法・置換工法-7- 表-2. 2施工法概要注入施工法別 固化系地盤改良工法比較表原位置混合撹拌土質改良浅層混合処理中層混合処理深層混合処理【機械撹拌式】【高圧噴射式】・ボーリング等で設置した注入管・対象土を掘削した後に,混合機等・固化材を地表面に散布し,バックホ・バックホウに撹拌装置を取り付け・地盤をオーガーで削孔し,撹拌翼・ロッドの先端から固化材スラリを通して,地盤内に固化剤を注で固化材と混合し,再び原位置に埋ウやスタビライザ等の施工機によ原地盤と固化材を混合撹拌し地中で原地盤と固化材を混合撹拌しーや水を高圧噴射することで,入する。め戻す。って原地盤と撹拌する。に改良体を造成する。地中に改良体を造成する。原地盤を切削しながら混合撹拌し地中に改良体を造成する。・グラウトミキサ,グラウト バックホウ,混合機等ポンプ,流量圧力測定装置,ボーリングマシンバックホウまたはスタビライ バックホウ+撹拌装置,ミキ 専用機(三点式杭打機),ミキ ボーリングマシンまたは専ザシングプラント,ポンプシングプラント,ポンプ用機,ミキシングプラント,ポンプ,超高圧ポンプ(「薬液注入工 設計資料(令和 2 年度版)」 (「セメント系固化材による地盤改良マニュ(「セメント系固化材による地盤改良マニュ(「パワーブレンダー工法 技術資料」2.6)(パ(「陸上工事における深層混合処理工法 設(「ジェットグラウト工法 技術資料」2.8)2.3)アル 第 4 版」2.4)((一社)セメント協会)よアル 第 4 版」2.5)((一社)セメント協会)よワーブレンダ—工法協会,令和 2 年 10 月)計・施工マニュアル改訂版」2.7)((財)土木(日本ジェットグラウト協会,令和 2 年 9り)り)より研究センター,平成 16 年 3 月)より)月)より)使用機械例((一社)日本グラウト協会)より)二重管ストレーナー(複相):適用深度20m 程度まで可能2m 程度二重管ダブルパッカー:40~(土留め仮設により大深度も可)~2m~13m・小型機での施工で狭隘地や傾斜地・小型機での施工で狭隘地や傾斜地~40m50m 程度まで可能・小型機での施工で狭隘地や傾斜地盤でも施工可能長所・振動・騒音が少ない・現地土をはじめとした土が埋立材料として利用可能・地盤の強度を任意に設定できる・斜めボーリングや曲り削孔によ盤でも施工可能盤でも施工可能・早期に強度が得られる・施工が低振動・低騒音である・他工法と比べて大がかりな設備を・小型機での施工で狭隘地や傾斜地盤でも施工可能・構造物への密着施工が可能必要としないり既設構造物直下の改良が可能・地盤の透水性が低いと十分浸透せず,未固結部分ができること短所がある・掘削土を混合するためのヤードが必要となるにばらつきが出やすい・運搬に時間が掛かる場合,強度低・工費が高い・他の原位置混合撹拌と比べて,品質下のおそれがある・貫入力が小さいため硬質地盤がある場合対応が難しい・大型の施工機が多いため狭隘地の施工が困難・排泥の処理が必要・小型機の場合,ロッドの継ぎ足・改良材を地表面に散布する際の,粉しが必要じんが周辺に影響する可能性があ・工費が高いる経済性安価 1←→5 高価5212-8-34 表-2. 1の特長や課題に照らすと,微生物を利用することで期待される効果は次のとおりで,それぞれの詳細と留意事項を2.3.1~2.3.3に述べる。・固化反応の遅れの利用・作業安全性・環境安全性2.3.1固化反応の遅れの利用従来の薬液固化やセメント固化で効果が発揮されるまでの時間は,遅延剤等の配合により若干の調整は可能であるものの数時間程度のレベルであり,基本的には薬剤が接触した直後に反応が進み,固化または止水効果が発揮される。このため,薬剤自体の浸透範囲は限定され,数 m オーダーの注入ピッチが必要となる。微生物を利用した場合には,微生物活性が高まって固化反応が進むまでに,条件にもよるが数日から数カ月程度と比較的時間を要する。逆に,この一定時間固化反応が進まないことを利用して,例えば,1 カ所の注入孔から広い範囲に薬剤を浸透させれば,従来にないような広範囲の改良が可能になると考えられる。このように微生物活性が高まるまでの時間を利用して注入範囲を広げることができれば,注入ピッチを広げる,例えば建物下など地上に制約がある場所でも改良できるなどの可能性がある。留意事項としては,上記で将来展望として固化反応の遅れを利用することを述べたが,逆に現状では,反応の遅れ,つまり固化反応がいつ進み,どこまで進むかをコントロールするのが難しい状況にある。また,地盤中の広範囲において,十分に反応が進むまでの間,微生物の活性を維持することも困難が予想される。それらは地盤中の環境条件である pH や ORP,地盤中の土の鉱物組成,温度,生息する微生物の種類や個体数の組合わせなど多様な要素に依存するため,精度よく解析評価することはできていない。今後これらの研究が進み精度が向上していくことが望まれる。2.3.2作業安全性従来の薬液固化やセメント固化では,材料単体では高アルカリ性または強酸性であり,施工時の作業員への安全に十分に配慮する必要がある一方で,本技術-9- では,中性付近の材料を使用するため,施工時の作業員への安全性は比較的高い。留意事項としては,種類や詳細は条件によるため一概には言えないが,過去に例のない,または実績の少ない高濃度の微生物や栄養剤を使用するため,それらの人体への影響について事前に評価されることが必要である。本技術が汎用化されていくためには,安全性データについても研究が進み,データが蓄積されていくことが必要といえる。2.3.3環境安全性従来技術は,地盤中にシリカゲル,ソイルセメントといった人工物を作製し,特にソイルセメントはアルカリ性となるが,本技術では炭酸カルシウムという自然環境中にも存在する物質を生成させる方法であるため,より自然に近く地盤環境にやさしい技術であるといえる。留意事項としては,より自然に近いとはいえ,外来の微生物を注入したり,自然界では一般にはない濃度で栄養剤を注入したりする場合も想定され,モニタリングが必要となる点がある。注入した材料は固化反応により消費され,また固化するのでそれらが一定の範囲外へ拡散していくことは考えにくいものの,本工法の汎用化のためには,一定の対象範囲外に拡散していないことを証明するための,現場での環境モニタリング手法の確立も必要といえる。<第2章2.1)参考文献>寺島 麗,島田 俊介,小山 忠雄,川﨑 了:微生物代謝により固化するシリカ系地盤注入材バイオグラウトの基礎研究,土木学会論文集 C,Vol.65,No.1,pp.120-130,土木学会,2009.2.2) 秋山 克,川﨑 了:リン酸カルシウム化合物を用いた新しい地盤注入材に関する基礎的研究-結晶析出試験と砂供試体の一軸圧縮試験-,地盤工学ジャーナル Vo l.6,No.2,pp.341-350,地盤工学会,2011.2.3) (一社)日本グラウト協会:薬液注入工 設計資料(令和 2 年度版),p.2,2020.2.4)(一社)セメント協会:セメント系固化材による地盤改良マニュアル 第4 版,p.,2012.- 10 - 2.5)(一社)セメント協会:セメント系固化材による地盤改良マニュアル 第4 版,p.2.6),2012.パワーブレンダ—工法協会:パワーブレンダー工法 技術資料,p.Ⅰ-21,2020.2.7) (財)土木研究センター:陸上工事における深層混合処理工法 設計・施工マニュアル改訂版,p.125,2004.2.8)日本ジェットグラウト協会:ジェットグラウト工法 技術資料,p.69,2020.- 11 - 3.炭酸カルシウム法による土の固化本章では,炭酸カルシウム法による土の固化について,材料の準備から土の固化,固化効果の確認に至る一連について述べる。3.0微生物の活動とその利用炭酸カルシウム法においても微生物を利用するが,微生物とはどのようなものか,その活動のしくみ,土壌中における生態,利用可能性等について,文献3.1)および 3.2)を参照しつつ,以下に述べる。3.0.1微生物の定義微生物とは“肉眼ではとらえることのできない小さい生物”のことである。微生物とは,原核生物である細菌(バクテリア),アーキア(かつては「古細菌」とよばれていた単細胞生物),真核生物である真菌類(キノコやカビ,酵母),クロミスタ(植物プランクトンの微細藻類),原生動物(アメーバやゾウリムシなど)からなる。このほか,生物と無生物の中間に位置づけられるウイルスも,学術的には微生物学の研究対象となっている。3.0.2微生物のエネルギー源微生物が生命活動を維持するためのエネルギー源の供給については,非常に多種多様なやり方を用いている。まず,動物と同じように他の生物が合成した有機物を酸化分解することで,生命活動に必要なエネルギーを得る微生物が存在する。従属栄養と呼ばれ,大部分の細菌,アーキアや原生動物がこの方法でエネルギーを得ている。また,植物と同じように光をエネルギー源とする微生物が存在する。シアノバクテリア(ラン藻)とよばれる細菌の一群や真核の微細藻類は,植物と同様に光を吸収する色素を持ち,その触媒作用により生命活動に必要なエネルギーを得ている。このエネルギーを用いて二酸化炭素から有機物を合成するため,一次生産者として食物連鎖に関与している。そして,無機物をエネルギー源として利用する微生物が存在する。われわれが炭水化物やタンパク質,脂肪等の有機物をエネルギー源にしているのとは異なり,それらの微生物は,水素ガスや硫化水素,硫黄,アンモニア,メタンなどの- 12 - 単純な無機物をエネルギー源としている。例えば水素細菌は水素ガス(H2)を酸化して水分子(H2O)に変えて生命に必要なエネルギーを得ている。一部の細菌やアーキアがこのような方法でエネルギーを得ている。なお,微生物が生きていくためには水の供給が必須である。水なしでは,生化学的反応を触媒する酵素が働くことができないからである。3.0.3微生物による元素の循環微生物は,食物連鎖の分解者として動植物の遺骸・遺体の分解と物質のリサイクルに寄与していることがよく知られている。生物が生きていくために必要な元素には,有機物の骨格を形成する窒素,炭素,酸素,水素のみならず,硫黄,鉄,リン,カルシウム,ケイ素などがある。これらの必須元素は微生物によって化学的な形態が変化し,環境中で不溶化したり,あるいは生物への取り込み効率が変わったりする。そのため,地球化学的な元素の循環にも微生物の活動が大きく関与している。3.0.4土壌の微生物私たちの身近で,微生物の増殖が最も豊富に認められる環境は土壌(soil)である。土壌は,固相,液相,気相の 3 相すべてを含み,それらがモザイク状に存在している。土壌は微細構造的な複雑さを持つだけでなく,ミネラルの濃度は容易に変化し,温度も常に変化するなど,きわめて多様に変化する環境といえる。土壌の固相は,団粒(aggregate)と呼ばれる構造を形成している。微生物のすみかとして土壌を考えるうえで,この団粒構造はきわめて重要である。微生物は一般に,土壌の鉱物粒子表面や団粒の空隙部分に生息する。液相,すなわち団粒を覆って空隙に広がる水の層は,水溶性の無機養分や有機物を微生物に供給するうえで重要である。しかし,酸素は水に溶けにくいため,水は酸素量の制限要因にもなる。団粒間に占める水の量が多くなれば,気相,すなわち空気の量が減り,嫌気的な環境となる。特に,土壌中の空気は,微生物の活動により,二酸化炭素分圧が高く,酸素分圧が低くなっている。さらに,団粒構造とその間に広がる水の影響で,気体の移動が制限されている。したがって,微小な土壌空間でも,好気的空間や嫌気的空間が入り混じり,それらの環境は,降水,灌水,微生物自身の活動などによって目まぐるしく変化する。一般に,団粒構造のよく発達した土壌の表層では,十分な栄養と酸素の供給が- 13 - あるため,多種多様な微生物,特に好気的な細菌や真菌が活動している。さらに,これらの微生物を捕食する原生動物などもしばしば見いだすことができる。また,このような場所でも,嫌気的な微生物の活動が見られる。土中にすむ真菌は,原核生物のような多様な代謝活性を示すことはない。それらのすべてが従属栄養的であり,ほかの生物が生産した有機物を消費して生きている。しかし,土壌真菌の糧となるものは多岐にわたり,バクテリアや線虫,植物,そのほかの土壌にすむ生物,さらには植物組織の分解物などが真菌の栄養となる。また,土壌真菌の形態は,湿った土壌中を泳ぐ単純な単細胞生物や,動植物遺体に菌糸を伸ばしてそれを分解する糸状性のものなどがあり,多様性がある。3.0.5微生物の利活用微生物は,我々の生活と社会活動において,非常に多岐にわたる利活用がされている。ここでは,地盤工学・土木工学に関連する利活用例を二つ述べる。微生物は,ヒトの健康を害する化学物質を無毒なものに分解する。あるいは,酸化・還元することにより易溶化したり,逆に沈殿させたりする。こうした微生物の働きを活用して化学物質を環境から取り除く技術はバイオレメディエーション(bioremediation)と呼ばれ,主として,地下水や土壌の浄化・保全に用いられている。バイオレメディエーションには二つの方法がある。一つは,汚染の現場に炭素源,窒素源,リンなどの栄養源を散布することによって,その場所に生息する微生物を増殖させ,汚染物質を除去するバイオスティミュレーション(biostimulation)である。もう一つは,汚染物質を分解する微生物を大量に培養し,汚染の現場に散布することによって浄化するバイオオーグメンテーション(bioaugmentation)である。当該現場から採取した微生物を用いる場合でも,微生物を地盤に供給することになるため,バイオオーグメンテーションに当たる。また,生活排水や産業排水中の有機物を分解するために,微生物の機能が広く活用されている。排水処理法の一つに活性汚泥法がある。活性汚泥とは,細菌,酵母,糸状菌,原生生物などが混在するフロック(綿状の固まり)である。排水中の有機物は活性汚泥に吸着されて,多様な微生物によって効率よく分解される。- 14 - 3.1反応過程微生物については3.0で述べたところであるが,微生物やそれと同等の機能を有する酵素を利用して炭酸カルシウム(CaCO3)を析出させるには,そこに至る反応過程が必要となる。これには,尿素分解によるものや,脱窒によるものがある。化学反応式で表すと,それぞれ以下のとおりである。(尿素分解による反応)CO(NH2)2+3H2O→ 2NH4++2OH-+CO2(3.1)CO2+H2O→HCO3-+H+(3.2)HCO3-+Ca2++OH-→CaCO3+ H2O(3.3)(脱窒による反応)Ca(CH3COO)2+1.6Ca(NO3)2→2.6CaCO3+1.6N2+1.4CO2+3H2O(3.4)尿素分解による反応には,尿素分解能力(あるいは尿素分解酵素を出す能力)を有する微生物または尿素分解酵素の他,カルシウムイオン(Ca2+)が必要となる。また,反応に伴い発生するアンモニア分(NH4+)を十分に除去することが課題である。脱窒による反応の場合,硝酸還元能力を有する微生物,脂肪酸(酢酸等),Ca2+が必要となる。反応が完全に進めば N2 と CO2 が大気中に放出されるのみであるため,アンモニア分の除去が必要となる尿素分解以外の選択肢として開発が進められるようになったが,反応速度は尿素分解に比べて不利である。また,反応が不完全な場合の硝酸や窒素化合物の放出への対応が課題である。3.2以降では,反応が比較的容易と考えられ,既往研究も多い尿素分解による反応を例に述べる。尿素分解を利用して CaCO3 を析出させ,土を固化させるのに必要な手順として,図-3.1 が想定されるため,3.2以降で順を追って述べる。図-3.1 の中の節番号は,各手順に対応する節を示している。なお,図-3.1 やその後の記載は微生物代謝により CaCO3 を析出させて土を固化させる場合に,主に活性化させた微生物を注入して用いるバイオオーグメンテーション的な方法を用いる想定のものとなっている。既往研究ではバイオオーグメンテーション的な方法のものが多いが,土中に既存で利用対象とする細菌の増殖活性に必要な炭素・窒素・酸素・リンなどの栄養素や電子受容体を土中に注入す- 15 - ることで,既存の細菌を刺激,反応を活性化させるバイオスティミュレーション的な手法の試みも始まっている 3.3)3.4)3.5)。3.2利用する反応機構の選定その他(脱窒等)尿素分解酵素を利用微生物を利用3.3【準備】微生物の活性化3.4 微生物および固化成分・活性化成分の供給必須:微生物・固化成分必要に応じて:活性化成分3.53.63.4 酵素および固化成分の供給必須:酵素・固化成分養生(必要に応じて)モニタリング(固化効果,耐久性,生物化学的特性)図-3.1尿素分解による土の固化の手順- 16 - 3.2尿素加水分解の反応方法3.2.1尿素加水分解反応に用いる微生物または酵素3.1に示した尿素加水分解反応は,尿素分解能力を有する微生物または酵素を利用して発生させる。(1)微生物を用いる場合尿素分解能力の有無やその程度は,微生物の種類毎に異なる。尿素分解能力を有するとして,既往研究で CaCO3 の析出に利用された微生物には,例えば表-3.1 に示すような種類がある 3.6)。その中でも,尿素分解能力が高いことなどから,わが国にとっては外来種に当たるが Sprosarcina pasteurii(Bacillus pasteurii)を用いた既往研究は多い。ただし,外来種利用に対する受容の有無や,微生物自体が生息や活動するのに適した環境も種類毎に異なることを踏まえ,目的の固化効果や対象とする地盤の条件に適した種類の微生物を用いる必要がある。Sprosarcina pasteurii 以外の尿素分解菌を利用した研究として,例えば,泥炭中から探索された Pseudomonas 属の菌株を培養後に同じ泥炭に添加して物性の変化が検証されたもの3.7)や,沖縄県のビーチロック周辺から単離されたPararhodobacter sp.を用いてサンゴ砂の固化が試みられたもの 3.8)もある。用いる微生物の選定に当たっては,地盤中の酸素濃度に適しているか(好気性か嫌気性か)や,表-3.2 のように微生物が活動可能な pH や温度,塩分濃度の違い等を考慮する。尿素分解能力を有する微生物が生息可能な範囲は概ね pH=6~11 と広いが,多くの種類で pH=6 以下や pH=9 以上では活性が低下しやすい 3.9)3.10)。既往の研究では pH=7~9の範囲で最大のウレアーゼ活性が得られている3.9)3.10)3.11)ことから,地盤中の pH が概ね 7~9 の中性から弱アルカリ性の範囲にある場合に尿素分解反応や炭酸カルシウム析出の促進が期待される。地盤中の pH が6 以下や 9 以上でも,こうした条件に適していて尿素分解能力を持つ微生物が見出せれば,利用が考えられる。温度に関しては,尿素分解能力を有する微生物のウレアーゼ活性に適しているのが 20~37℃であるとの報告3.12)や,当該微生物採取地における標準的な気温に近い温度であるといった報告 3.10)がある。- 17 - 表-3.1尿素分解能力を有する微生物 3.6)の一部を引用細菌(Bacteria)Acinetobacter sp.Aerobacter aerogenesArthrobacter sp.Bacillus cereusBacillus cohniiBacillus fusiformisBacillus lentusBacillus lichenformisBacillus megateriumBacillus pseudifirmusBacillus pumilisBacillus sphaericusBacillus subtilisBacillus thuringiensisDesulfovibrio desulfuricansMicrococcus sp.Mytilus californianusMyxococcus xanthusNocardia calcareaPararhodobacter sp.Proteus mirabilisProteus vulgarisPseudomonas putidaShewanella sp.Sporosarcina aquimarinaSporosarcina ureaeSporosarcina pasteurii(Bacillus pasteurii)酵母菌(Yeast)Saccharomyces cerevisiae- 18 - 表-3.2尿素分解能力を有する微生物の性質の違いの例微生物最適 pH耐塩性(%)最適温度(℃)Sporosarcina ureae7330Sporosarcina globispora7520Sporosarcina phychrophila7525Sporosarcina saromensis6.5925Sporosarcina aquimarina6.5-7133091030Sporosarcina pasteurii特に塩分濃度への耐性,つまり耐塩性については,固化や微生物の活性化のために与える成分への耐性にもつながるが,微生物の種類による差が見られる。各種成分が利用する微生物の耐塩性以上の濃度で与えられると,尿素分解反応が不十分なものとなり,目的の固化効果を得にくくなる。与える成分の濃度以上の耐塩性を持つ微生物を用いる,または微生物の耐塩性の範囲内の濃度で成分を与える対応が必要となる。これらの条件のほか,微生物を利用する際の微生物固体濃度も考慮することが望ましいと考えられる。Okwadha and Li(2010)は,尿素加水分解やそれに続く炭酸カルシウム析出は,添加する微生物濃度(一定容積あたりの微生物細胞数)も大きく影響すると述べている 3.12)。彼らが行った実験条件下では,微生物濃度が 106~108 個/mL の場合に,微生物濃度の増加に伴って尿素分解速度が上昇傾向を示している。(2)酵素を用いる場合尿素分解能力を有する酵素としてウレアーゼがあり,微生物により作られるだけでなく,マメ科やウリ科の植物に多く含まれることに着目して,植物由来のウレアーゼを用いた地盤改良についての研究もなされている3.13)3.14)3.15)。酵素は試薬として市販されているものを用いることもでき,市販品にはなた豆由来のものが多い。また,おからの絞り水,スイカやメロンの種等,より身近な材料にもウレアーゼが含まれているので,これらの利用方法が確立すれば,天然材料の有効利用にもつながる。- 19 - 3.2.2微生物の入手方法尿素加水分解反応に微生物を利用する場合,微生物の入手方法は購入する方法と地盤から抽出する方法の大きく2つがある。(1)購入生物資源バンクから特定の種類をアンプル入りで購入する方法や,メーカー等から培養済みの微生物が含まれた培地や培養液として購入する方法がある。購入する微生物の種類は,生物資源バンクとそこでの登録番号で特定する。国内の生物資源バンク(NBRC((独)製品評価技術機構バイオテクノロジーセンター),JCM((国研)理化学研究所微生物材料開発室)等)に登録されている種類であれば,直接購入の申込みができる。国内の生物資源バンクでは登録がなく,海外の生物資源バンク(例えば,ATCC(American Type Culture Collection)等)から購入する場合は,国内の代理店を通しての購入となる。微生物の購入先は,参考資料3に例を挙げたので参照されたい。ただし,生物資源バンクや微生物の種類によっては,当該微生物の使用に関して予め承認を受けていることや,微生物を安全に管理,処理するために必要な機器類を保有していること等の条件を満たす機関でなければ購入できない場合もある。そのため,購入可能かどうか事前に確認しておく。購入申込み時には,所属名等の記入や捺印をした書類を提出するが,生物資源バンクや微生物の種類により求められる書類のレベルは異なる。価格はアンプル 1 本当たり数千円~数万円程度で,海外からの購入の方が高額になる傾向がある。納期も海外からの購入の方が長くなる傾向がある。また,目的の種類の微生物を特定するために生物資源バンクのデータベースと照合する際,データベースへのアクセスに費用がかかる場合があるので,微生物を購入しようとする時点で,既往研究等を参考に目的の微生物が登録されている生物資源バンクや登録番号を把握する。(2)地盤から抽出現地地盤から採取した土に,目的の機能を有する微生物の活性化やその機能発揮を促進するような成分,そのことによる状態の変化を確認できるような成分を加えて静置や振とうすることで,土中に生息する微生物の中から目的の機能を有する微生物のみを取り出す方法である。- 20 - 例えば畠ら 3.16)は,現地地盤から採取した土 0.3g に対して 0.15mol/L の尿素溶液 30mL を加え,20℃で 2 か月静置培養した後,この溶液 1mL に0.15mol/L の尿素溶液 250mL を加え,30℃,回転数 120rpm の条件で 10日間振とう培養することにより,尿素分解機能を有する微生物を取り出した。尿素分解機能を有する微生物が取り出せていることは,振とう培養後の溶液の電気伝導率の増分から確認している。つまり,溶液中の微生物の尿素分解能力の有無や程度は,培養後の溶液の電気伝導率の増分を尿素分解に伴い発生するアンモニウムイオン濃度に換算し,単位体積の溶液中で微生物により分解された尿素の量として推定することができる。同じ濃度や温度の尿素溶液中でそれぞれ異なる種類の微生物を培養した場合には,培養後の電気伝導率の増分の違いから,微生物の種類による尿素分解能力を比較することもできる。ただし,現地地盤から採取した土を用いた培養で目的の機能を有する 1 種類あるいは複数種類の微生物を取り出すことはできても,特定の種類の微生物のみを抽出することは困難である。抽出した中に,有害性を有する微生物が含まれる場合もあるため,抽出した微生物の種類や性質を十分に確認せずに安易に培養して増殖,拡散させないようにしなければならない。3.3微生物の活性化3.2.2に示すいずれの方法で入手したものでも,尿素加水分解反応やそれに伴う土の固化を促進するため,微生物は活性化させて用いる。微生物を活性化させるため,微生物の入手方法や使用目的,使用規模に応じた方法で培養を行う。3.3.1培養の基本事項以下,微生物の中でも細菌の培養についての基本事項を示す。これらを踏まえ,微生物の使用目的や実際に利用可能な設備の状況に応じた方法や精度で培養を行う。(1)必要な器具・容器微生物の培養には,次のような器具・容器を必要とする・液体の計量と移し替えに使う器具:ピペット,スポイトなど(写真-3.1)・液体(試薬,培養液等)の保存に使う容器:ビーカー,フラスコ,試薬瓶など- 21 - (写真-3.2)・少量の培養や液体の一時保管に使う小型の容器:試験管,遠沈管,マイクロチューブなど(写真-3.3)・菌の移植に使う器具:白金針,スプレッダーなど(写真-3.4)これらの容器・器具は,扱いやすさと,容器であればその内容量に留意して選択する。また,耐熱温度(培養時の温度環境,滅菌するときのオートクレーブの温度等を考慮する)を考慮に入れる。さらに,入れる試薬等の化学特性に応じた耐久性も考慮する。写真-3.1ピペットおよびピペットチップの例写真-3.2液体の保存容器の例(左からビーカー,フラスコ,ねじ口試薬びん)- 22 - 写真-3.3小型容器の例(上から遠沈管,試験管)小型の容器や器具は,繰返し使用を前提とした商品のほか,一度のみの使用を前提としたディスポーザブルの商品も多く販売されている。容器の場合,前者はガラス製が多く,繰返し使用のために一般に洗浄と滅菌が必要で手間と時間を要する。後者はポリプロピレン等のプラスチック製が多く,一般に前者に比べて耐熱性や薬剤耐性にも制約がある。このようなそれぞれのメリットとデメリット,またコストも考慮に入れて商品を選択する。菌の移植では,培地上の微生物のコロニーを針金状の金属の先ですくい取り,コロニーが付着した先を新しい培地に付けることで,微生物を植え付ける。この時に使う針金状の金属が白金針やニクロム線である。また,ピペットで取った培養液を新しい培地に垂らすことで微生物を植え付ける場合もある。コロニーの分離,計数やディスク感受性試験のために培養液を固体培地上に均一に広げる時はスプレッダーと呼ばれる器具を用いる。写真-3.4移植に使う器具の例(上からニクロム線,スプレッダー)- 23 - 上記のほか,容器の栓が必要である。栓は,密閉させる場合と通気性を持たせる場合があり,目的に応じて選択する。種々の製品が市販されているが,通気性を持たせる栓についてはシリコ栓(写真-3.5)などを用いるほか,アルミホイル,綿などで自作する方法もある。(a)シリコ栓写真-3.5(b)シリコ栓のふたをした容器シリコ栓とその使用の例(2)滅菌培養に用いる器具は全て,材質や形状などの特性に応じて滅菌する。また,使用後の培地や培養液,微生物を扱った容器,器具も廃棄や洗浄の前に滅菌する。滅菌の装置としてオートクレーブが多く使用されている。オートクレーブは筒状のタンク(写真-3.6)を備え,電動で内部を高温・高圧にすることができる。タンクに滅菌したい容器,器具等を入れ,上部のフタを密封して高温・高圧の水蒸気によって微生物を死滅させる。プラスチック製の容器・器具を滅菌して使用したいときは,その容器・器具がタンク内の温度に耐えられるものであることを確認する必要がある。微生物の培養に使用した後の容器・器具を滅菌するときは,対象物をビーカーに収めてアルミ箔で蓋をしたり,市販のオートクレーブ用バッグに収めたりして付着物がタンクへ漏出することを防ぐ。- 24 - 写真-3.6オートクレーブとタンクの例ガラス器具などには乾熱滅菌が用いられる。近年はガンマ線滅菌されたディスポーサブルの培養器具類が多く市販されている。白金線やニクロム線は,使用時にバーナーやアルコールランプの炎で赤熱することで滅菌できる。(3)培地微生物を培養する際は,増殖に必要な栄養源を含む培地を用意する。培地はそれぞれの微生物に適する組成のものを使用する。培地には,固体培地と液体培地がある。固体培地の固化剤として,寒天がひろく使用されている。寒天は,微生物によって分解されにくく,温度変化による溶解,固化の特性が研究者にとって取扱いしやすいためである。調整した培地は蒸気滅菌等により滅菌する。培地に熱に不安定な物質が含まれる場合はろ過滅菌を行う。滅菌後は,菌が混入しないように注意して保存する。(4)無菌操作微生物の培養において,目的とする種類以外の微生物が培地に混入して増殖してしまうことをコンタミネーション(contamination)と呼ぶ。肉眼では増殖した微生物の種類を判別できないため,菌の植え継ぎなど培養操作にはコンタミネーションが起きないように細心の注意が必要である。コンタミネーションを防ぎながら行う操作は一般に無菌操作と呼ばれる。微生物の取扱いは,できるだけ無菌に近い環境で作業する必要があり,そのためにクリーンベンチが多用される(写真-3.7)。クリーンベンチは,HEPA フ- 25 - ィルターとよばれる微細粒子を除去するフィルターを通過した空気で満たされた箱状のスペースのある作業台(ベンチ)である。使用中は外の空気中の細菌が入らないように,常に空気が吹き出して箱内が陽圧に保たれている状態にする。操作時には作業を阻害しない程度に開けた開口部から手を差し込んで,内部に置かれた培地や培養液,試薬等を取り扱う。無菌の作業環境を確保するものとして,より簡易なクリーンブースや規模の大きいクリーンルームもある。クリーンベンチ内は使用していない時は UV ランプを照射し,使用前には予め 70%エタノールで拭いておく。無菌操作を行う前には手をよく洗い,70%エタノールを吹きかける。クリーンベンチ内で新しい培地へ菌の植え継ぎを行う場合,培養液の入った容器や元の培地のふたの開け閉めは最小限にする。開閉時には,培養液のふたと容器の口をバーナーやアルコールランプの炎で軽くあぶるようにする。写真-3.7バイオクリーンベンチ(デスク型)とその内部の例- 26 - また,複数種類が混じった状態から特定の微生物だけを純粋に培養するためには,1種類だけを分離する操作(単離)が必要である。通常の細菌の単離は,固体培地の上にコロニーとよばれる一細胞に由来する菌の塊を作らせることで行う。微生物の懸濁液に浸した白金耳を固体培地の表面に軽くこすりつけ,一定期間培養してコロニーを形成させる。他のコロニーと重なっていないコロニーを選び,白金耳でつついて新しい固体培地の表面に軽くこすりつけて培養を繰り返す。均一なコロニーが生えた場合は一細胞から分離された菌株と見なし,コロニーの一部を試験管の培地に植えて保存する。(5)培養環境-温度調節微生物の培養には,その種の生育に適した温度環境が必要である。そのためにインキュベータが多用される。インキュベータは恒温器とも呼ばれる。温度を伝える媒体として固体,液体,気体の 3 相がある。媒体として気体を用いるインキュベータの場合,小型の冷蔵庫のようなつくりをしており,内部の空気を電動で一定の温度に設定できて,内部に培養用のシャーレ等を収める(写真-3.8)。ヒーターのみの機能のものと,冷却する機能を兼ね備えたものがある。(a)外観(b)写真-3.8庫内の様子インキュベータの例- 27 - (6)培養環境-振とう,攪拌液体培地を用いた培養では,溶存酸素の低下を防ぎ,また菌体の沈降を避けるために,培養容器を振とう,あるいは液体培地を攪拌することがしばしばある。振とう機は,培養容器を架台に載せたり挟んだりして,電動で架台を動かす仕組みのものが多い。容器の大きさ,種類に対応した様々なタイプの振とう機が市販されている。恒温機能を併せ持った製品も多い。攪拌機は,マグネチックスターラーが多用されている。マグネチックスターラーは,台ばかりに似た形状をした電動の器具で,台上に磁場を発生させることができる(写真-3.9)。培養容器に小さな攪拌子(写真-3.10 のような棒磁石で,スターラーバーと呼ばれる)を入れ,容器を台上に載せると,磁場に置かれた攪拌子が回転することによって液体培地が攪拌される。攪拌子も培地の材料と同様に滅菌が必要である。写真-3.9マグネチックスターラーの例写真-3.10 スターラーバーの例- 28 - 3.3.2アンプルで購入した微生物の培養写真-3.11 は,アンプル入りの特定の微生物の例である。これを購入した場合の培養方法について示す。アンプルから最初に微生物を取り出すときは,液体培地調製→固体培地の準備→アンプルの開栓→復水→培地への植付け→適温下で活性化の促進の手順となる。アンプルから取り出し,培地で活性化させた微生物は,新たな培地に植え付けて利用することもできる。写真-3.11アンプル入りの微生物(Sporosarcina pasteurii の例)(1)液体培地調製アンプル開栓前の微生物は,フリーズドライの粉末状の状態である。フリーズドライにする際に添加された凍結防止剤を溶かし去り,微生物を活動させる復水(復水の操作については(4)に後述)を行うために与える液体培地を準備する。液体培地は微生物を植え付けて培養するための液体であり,その組成は微生物の種類毎に異なる。微生物をアンプルで購入した場合,当該微生物に関する取扱説明書が添付されており,そこに当該微生物に適した培地の組成も示されている。取扱説明書に示された組成となるよう,各種試薬と蒸留水を必要量準備する。試薬が複数種類ある場合,試薬の種類毎に別の容器中で蒸留水に溶かす。各容器は,ねじ口のフタを緩締めする,あるいはアルミ箔で覆った後,オートクレーブで滅菌する。- 29 - 滅菌後の各容器は,フタをしたまま外側をアルコール滅菌してクリーンベンチに入れる。クリーンベンチ内で殺菌灯を点ける,ガスバーナーやアルコールランプの炎で上昇気流を起こすなどしてコンタミネーションを防止しながら,1 つの容器に他の全ての容器の液体を注ぎ込み,混ぜ合わせ,使用する時までフタをしておく。このようにして液体培地が作られる。液体培地は主に微生物を培養する目的で作られるが,アンプル開栓時の復水操作に用いる場合は,100mL も準備すれば十分である。(2)固体培地の準備(1)で調製した液体培地とアンプル内のフリーズドライの粉末を混ぜ合わせた後に,これを植え付けるための固体培地を準備しておく必要がある。固体培地は液体培地と同様,微生物を植え付けて培養するためのものであるが,寒天等を含む固体状のものである。微生物をアンプルで購入した場合に添付されている取扱説明書には,当該微生物に適した液体培地と固体培地の組成が示されている。(1)で液体培地を調製する時と同様,取扱説明書に示された組成となるよう,各種試薬と蒸留水を必要量準備し,それぞれオートクレーブ滅菌する。滅菌後には,クリーンベンチ内で各成分を混ぜ合わせる。各成分を混ぜ合わせた液体が1L 程度あれば培地はシャーレ 10 枚分程度作製できる。各成分を混ぜ合わせた液体を,冷えて固まらないうちに,滅菌済のシャーレ(写真-3.12)に厚さ数 mm 程度になるように静かに流し込む。気泡が生じた場合,コンタミネーションの契機となるおそれがあるため,気泡は熱した白金耳やニクロム線でつぶす。シャーレ内の培地が冷めて固まってきたら,フタをして,そのままクリーンベンチ内に置き,コンタミネーションを防ぐ。- 30 - 写真-3.12 シャーレの例(3)アンプルの開栓アンプル開栓に用いるアンプルカッター(写真-3.13)や,アンプル内の粉末に液体培地を注入するためのピペットを,オートクレーブやアルコールでの拭き取り等,適切な方法で滅菌しておく。アンプルの開栓は,アンプル先端の尖った部分をガスバーナーまたはアルコールランプの火で十分熱し,蒸留水をかけてひび割れを発生させる方法や,滅菌したアンプルカッターを用いる方法で行うが,アンプル内部を手で触れないようにする等,コンタミネーション防止には細心の注意を図る。写真-3.13 アンプルカッター(4)復水フリーズドライ化により活動休止状態となっていた微生物を再度活動させるための操作である。開栓されたアンプル内に,(1)で準備した液体培地をピペットで少量垂らし,アンプルを手で振る,あるいはピペットで吸ったり出したり- 31 - を繰り返すなどして,フリーズドライの粉末と液体培地を混ぜ合わせる。(5)培地への植え付けクリーンベンチ内で(4)の復水によりフリーズドライの粉末と液体培地の混ざり合った液体を,(2)で準備した固体培地に植え付ける。ガスバーナーやアルコールランプの炎に当てて熱し,滅菌した白金耳やニクロム線の先に(4)で復水された液体をつけ,(2)で準備した固体培地の上でなぞって植え付ける。復水された液体中の微生物を高温で死滅させることのないよう,滅菌した白金耳やニクロム線は熱いままではなく,冷めてから使う。植え付けが済んだら直ちにシャーレにフタをして,テープで止めて密閉する。密閉したシャーレは上下逆さにして,インキュベータ内で保管する。インキュベータ内の温度は,アンプルに添付された取扱説明書に示される当該微生物に適した温度に設定する。(6)適温下での活性化の促進微生物が植え付けられた培地を,当該微生物に適した温度に設定したインキュベータやウォーターバスの中などに置いて,微生物を活性化させる。微生物の活性化が進むと,固体培地の場合は微生物のコロニーが現れ,培地とは色の違う粒状の塊のようなものが見えてくる(写真-3.14)。コロニーの色や形状は微生物の種類によって異なり,コンタミネーションがなければ活性化させた微生物のコロニーのみが見えてくるが,色や形状の特徴の異なるコロニーが複数見られた場合は,コンタミネーションが疑われる。微生物の活性化が進んだ液体培地の場合は,液が白濁してくる(写真-3.15)。このような,固体培地上や液体培地中で微生物の活性化が進み,当該微生物を利用可能と考えられる状態に至るまでの所要時間は,微生物の種類や状態により異なる。液体培地の場合は適温に保つだけでなく,マグネチックスターラーでの撹拌やシェーカーでの振とうにより,微生物の活性化の促進を図る場合もある。利用可能と考えられる状態に至った培地は,直ちに使う方が鮮度を保てるが,それが難しい場合は,当該微生物に適した温度で,コンタミネーション防止を図り,高熱や紫外線を避けて保管する。- 32 - 写真-3.14写真-3.15固体培地におけるコロニー確認の例微生物活性化に伴う液体培地の白濁の例(7)微生物の繰返し利用固体培地上や液体培地中の微生物は,コンタミネーションの疑いがなく,状態が悪いものでなければ,(1)および(2)に示した方法で新たに準備した固体培地や液体培地に植え付けて繰返し利用することが可能である。ただし,コンタミネーション防止に注意を払っても,途中で微生物の性質や発揮される効果が変わることも想定されるので,同じアンプルから取り出した微生物を長期間使い続けることは望ましくないと考えられる。- 33 - 3.3.3現地から抽出した微生物の培養現地から抽出した微生物の培養についても,アンプルで購入した微生物の培養と同様,活性化させる微生物に適した栄養源を与え,活性化するまで適温下に置くというしくみで行う。ただし,現地から微生物を抽出する場合,どのような微生物が抽出されるのか,他にどのような種類の微生物と共存した状態で抽出されるのか予測できない。そのため,3.2.2(2)でも述べたように,目的の種類や機能を有する微生物に適した培地,温度を与え,目的の微生物が活性化したと考えられる状態が見られた場合に,固体培地上のコロニーや液体培地中で微生物が活性化した培養液を新たな培地に移植することで,目的の微生物を選択的・集中的に培養する方法が考えられる。培養のために行う作業内容は,アンプルで購入した微生物を培養する場合と同様で3.3.2を参考に行うことができるが,抽出される微生物が未知のため,目的の微生物が存在すると判断した後,集中的な培養という段階を踏むことになる。こうした判断に至るまでの期間や,さらに段階を踏むことによる期間を要し,目的の微生物を利用するまでに時間がかかる可能性がある。また,最終的に抽出された微生物が無害なもののみとは限らないので,利用する前に微生物の種類や性質を十分に確認する必要がある。3.3.4大量培養微生物は,アンプルの購入で入手しても,現地から抽出しても,現地地盤の固化や大規模な実験に用いるには,大量の培養液をまとめて準備する必要があり,室内試験用の試験機を使用した方法では困難や非効率な場合がある。例えば,液体培地の調製の際に各種成分の水溶液を一度に滅菌できる量は,オートクレーブのタンクの容量による制約を受ける。大量培養に当たっては,まとめて準備する培養液の量に応じたプラント設備等の導入も考えられるが,費用がかかるだけでなく,設置場所やプラントの材質,使用後の洗浄等,十分に考慮すべきことは多い。プラント設備の導入によらない場合は,大型の水槽や容器内で必要量の液体培地の材料を混ぜ合わせ,そこに試験室で準備可能な最大限の量の培養液を注ぎ込み,大型の水槽や容器内全体に行き渡らせ,微生物を活性化させる方法も考- 34 - えられる(写真-3.16)。この場合,大型の水槽や容器は培養液に対する耐性を有する材質のもので,洗浄や滅菌をした清浄なものを用い,コンタミネーションを最小限に抑える必要がある。大型の水槽や容器内の液体培地の材料を全て滅菌するのは困難なため,コンタミネーションが完全には防止されない中でも,目的の微生物が優位に機能するようにする。写真-3.16 大型水槽内での大量培養の例以上のように,大量培養では室内試験に替わる方法で,清浄な機器類を用い,全体で目的の微生物が優位に存在するまとまった量の培養液を準備することが求められる。3.3では,微生物の培養の考え方や手順を示したが,文献 3.17)や 3.18)も参考になる。- 35 - 3.4微生物または酵素および固化成分・活性化成分の供給微生物代謝や酵素を利用し,尿素分解反応を起こして炭酸カルシウム(CaCO3)を析出させるには,3.2で示したように選定した微生物や酵素のほか,CaCO3 析出に必要な成分(以下,固化成分)を供給する必要がある。また,固化に直接必要な成分ではないが,尿素分解反応を活性化させ,反応を促進するための成分(以下,活性化成分)を供給する場合もある。これらの成分には,室内試験では実験用試薬が用いられることが多いが,大規模な実験や現地施工の場合には多くの材料が必要となり費用がかかるため,成分の純度を考慮のうえ,実験用試薬の代替材料を用いればコスト縮減を図ることが期待できる。例えば,Omoregie らは,尿素分解菌の培養や尿素分解菌を利用した土の固化の各種材料に実験用試薬と滅菌した脱イオン水を用いた場合と,工業用材料と水道水を用いた場合を比較し,微生物の増殖状況や CaCO3 の析出状況,固化後の供試体表面への貫入試験結果に大きな違いが見られないことを確認している3.19)。室内試験で事前に滅菌された器具や材料が用いられており,コンタミネーションはほとんど受けていないと考えられる状況での結果の比較であるが,工業用材料や水道水に含まれる微量の不純物による微生物の活性化や固化の阻害はなかったと考えられる。材料費も実験用試薬を用いる場合に比べて,尿素分解菌の培養で約 1/17,固化で約 1/45 程度まで抑えられた。3.4.1供給する材料微生物による地盤の固化にあたり地盤に供給される材料としては,次のようなものがある。・微生物またはウレアーゼ酵素(必須)・尿素,塩化カルシウム等の固化成分(必須)・微生物の活性化のための活性化成分(必要に応じて供給)固化反応に必要なウレアーゼ酵素を生成する有用微生物を含む溶液等,または,ウレアーゼ酵素そのものを含む溶液等を添加し,尿素を加水分解させて生じるCO2を利用する方法では,供給された成分が図-3.2 のような反応をする。そのため,CaCO3 を生成するために必要な固化成分として,尿素や塩化カル- 36 - シウム(CaCl2)のような Ca2+を含む成分は,CaCO3 を生成するために必須の固化成分となる。その他,CaCO3 析出に必須の成分には当たらないが,利用する微生物の性質に応じて,有機物のような活性化成分となる成分を加えることもある。固化溶液と別に供給される,または固化溶液に含まれる場合がある固化溶液に必ず含まれる微生物または酵素(必須) 活性化成分(必要に応じて)・尿素分解菌(Bucillus pasteurii等) ・有機物水または海水固化成分(必須)・Ca2+(CaCl2等により供給)・尿素・ウレアーゼ酵素尿素加水分解Ca2+CO2アンモニアCO32CaCO3析出図-3.2供給された成分の反応の例(1)微生物または酵素微生物代謝により尿素分解を起こす場合は,3.3に示したとおり,入手または採取した微生物に適した方法で培養を行い,培養液等の状態で供給する。微生物代謝の替わりに酵素による場合は,市販の粉末ウレアーゼや,ウレアーゼを多く含む材料を,目的の範囲に到達させることのできる状態にして供給する。(2)固化成分・活性化成分固化成分は,CaCO3 析出のための最低限の成分といえる。固化成分としては,CO2 を出すために微生物代謝や酵素によって分解させる尿素(CO(NH2)2),CaCO3 析出のためのカルシウムイオン(Ca2+)を含む物質がある。尿素分解による場合は,既往研究でも CaCl2(塩化カルシウム)が用いられることが多い。脱窒反応による場合は,脂肪酸を有する酢酸カルシウム(Ca(CH3COO)2 等)や,硝酸源にもなる硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)というように,Ca2+を含む物- 37 - 質は起こそうとする反応を考慮して用いられる。活性化成分は,必ずしも供給する必要はないが,微生物代謝を活性化,反応を促進させる成分に当たる。例えば,既往研究で多く用いられてきた“Sporosarcinapasteurii”という微生物に対しては塩化アンモニウム(NH4Cl)やニュートリエントブロス(Nutrient broth)が用いられることが多いが,微生物の種類に応じて適切な活性化成分を用いるのが効果的と考えられる。また,固化成分や活性化成分とは目的が異なるが,塩化マグネシウム(MgCl2)の添加によりマグネシウムイオンが加わった場合に,CaCO3 析出までの反応速度低下や,得られた CaCO3 の結晶構造の変化が見られたという報告3.20)がある。析出する CaCO3 の結晶構造は主にカルサイトとされるが,アラゴナイトと呼ばれる構造の異なる結晶が X 線回析で確認されている。析出した CaCO3 の結晶構造の違いにより,固化後の土の強度特性や透水性の違いも現れている。供給による効果を事前に把握のうえ,反応速度の調整や特定の結晶構造を得ることを目的とした成分を与えることも考えられる。3.4.2供給量微生物の培養液や酵素は,目的の範囲全体に到達し,各位置で尿素分解反応が起こる程度の量を供給する。固化成分については,目的の効果を得るための CaCO3 析出量の目標を設定し,そのために必要な総量で Ca2+や尿素を供給する。供給した Ca2+や尿素が全て CaCO3 析出に使われるとは限らないので,反応のロスの分も余裕を見て供給する。固化成分を水に溶かして水溶液で与える場合,水溶液中での濃度も適切に設定する必要がある。成分濃度が高過ぎても,反応促進,固化成分の有効利用,周辺環境影響の軽減の観点から望ましくない。微生物が活動を続けることのできる成分濃度の範囲が限定されることや,固化成分を高濃度で与えた分,地下水中に残留する時の濃度も高くなりやすいためである。逆に成分濃度が低過ぎても,必要量の成分を全て与え,CaCO3 を析出させるのに時間を要する。なお,適切な成分濃度は,利用する微生物の種類によって異なるため,事前の検討が必要である。活性化成分は適宜供給すればよいが,固化成分と併せて水溶液で与える場合,- 38 - 前述のような観点から全体での成分濃度が高くなり過ぎないようにする必要がある。3.4.3供給方法と注意点室内試験と現地施工のいずれにおいても,土や地盤への微生物や酵素,固化成分,活性化成分の供給方法として,次の方法があり,固化させる土の土質特性や固化の目的,固化させる範囲等に応じて選定する。・散水法(各種成分を含む液体を散水して自然浸透により到達させる方法)・注入法(各種成分を含む液体を注入し,到達させる方法)・混合攪拌法(各種成分を含む粉末または液体を投入し,撹拌する方法)各供給方法の特徴および留意点は以下のとおりであり,表-3.3 のように整理できる。(1)散水法地表面からの散水は,地下水位以浅の不飽和帯のうち浅部の固化を目的に利用できる。散水法では,地表部から各種成分を含む溶液(以下,固化溶液)を散水して自然浸透させることから,砂質土や砂礫質土のような透水性の良い土や地盤が対象となる。固化溶液の散水量は,地盤の間隙率と固化目標深度から空隙量を求め,その数倍の量が想定され,これを同一面積にまんべんなく散水する。室内試験の場合は,供試体作製用のモールドや模型地盤作製用の土槽に詰められた土の表面に,じょうろや霧吹き,降雨装置等で固化溶液を撒き,内部へ浸透させる方法が想定される。現地施工の場合は,固化溶液を噴霧車で全体に噴霧するような施工方法が想定される。1 回の施工(散水)で目標の強度に達することが難しく,自然浸透で地盤の固化が不均質になりやすい。また,固化溶液は,CaCO3 の粒子が大きくなると地表面で多くの成分が使い切られることや,CaCO3 の粒子で遮水されて地盤深部への浸透が低下し,固化深度が制限されることもあるので,複数回の施工(散水)を行うにも,方法の工夫が必要となる。(2)注入法注入法は,透水性の低い土には不適であるが,既設構造物直下へも適用可能であり,目標強度に達するまで複数回の施工により段階的に固化させていくことが可能である。固化対象が不飽和帯の場合は鉛直方向に固化体が形成され,地下- 39 - 水以深の飽和帯の場合は固化溶液が地下水に乗って流れるため側方へも固化範囲が広がることが期待できるものの,地下水の流路は複雑であることから,地盤の固化は不均質となりやすいので注入方法に工夫が必要となる。室内試験の場合は,新たに固化溶液が注入されると,既に土や地盤の中に存在していた間隙水が排水されるようなしくみを設けて行う。例えば,シリンジやモールド内と排水口の水頭を利用する方法や,容器内に注入孔と揚水孔を設置し,注入孔から注入された固化溶液を水頭差で揚水孔に向けて流す方法等が想定される。現地施工においても,室内試験と同様のしくみで実物規模にした施工や,他の注入工法と同様な方法が想定される。各成分を含んだ固化溶液の注入方法には,次のパターンがある① 固化溶液に微生物を混合した状態で注入② 微生物を注入後に固化溶液を注入③ 固化溶液を注入後に微生物を注入前記①の注入方法では,混合直後から CaCO3 の粒子が生成され始めるため,生成された CaCO3 粒子により目詰まりし,その後の注入が困難になることがある。前記②の注入方法は,注入した微生物を拡散させたあとに固化溶液を注入することから固化範囲が広くなることが期待できる。前記③の注入方法は,先に注入した固化溶液に微生物が接触すると①と同様に微生物の周りに CaCO3 の粒子が生成され始め,土粒子間に捕捉されて固化範囲が広がりにくくなる可能性がある。このほか,注入法では地下水により微生物および固化溶液が希釈されて固化効果が低下するため,間隙水量,地盤の透水性および地下水の流速に応じた濃度を設定する必要がある。微生物の替わりにウレアーゼ酵素を用いる場合も同様に,固化成分との混合直後に CaCO3 の粒子が生成され始めることから,固化成分と分けて注入する方法を検討するとともに,CaCO3 生成に伴う希釈を考慮した注入量を設定する必要がある。- 40 - (3)混合撹拌法混合攪拌法は,微生物や固化溶液またはその成分を直接土や地盤に投入して撹拌する工法である。室内試験の場合は,容器内に土と微生物や固化溶液またはその成分を投入し,攪拌機やスコップ,棒等でかき混ぜる方法が想定される。現地施工では,微生物や固化溶液またはその成分を供給し,原位置混合撹拌を用いる各種混合処理工法による施工が想定される。混合撹拌法は比較的多様な土質条件に適用性があり,注入した微生物や各種成分を目的の範囲に到達させて均質に固化させることが概ね期待できる。また,散水法,注入法に比べ,改良範囲外への成分流出の可能性が低い。一方,複数回の施工では CaCO3 による土粒子固着ができた後に撹拌を受けて土粒子固着がはずれることが想定されるため,段階的な固化が難しく,1回の施工(固化成分の投入と撹拌)で目標強度を達成する必要がある。- 41 - 表-3.3想定される地盤への供給方法と適用施工方法想定される目的散水法注入法混合攪拌法舗装液状化防止液状化防止地耐力の増加地耐力の増加地耐力の増加浸食防止透水性の低下透水性の低下砂質土・砂礫質土対象土質砂質土・砂礫質土砂質土・砂礫質土風化火山灰質土シルト有機質土供給場所固化対象深さ地表面注入井・ピットピット・攪拌孔地表面・浅部深部浅部~深部不飽和帯(地下水不飽和帯・飽和帯位以浅)(地下水位以深)不飽和帯・飽和帯目標強度達成まで目標強度達成まで1回複数回可能複数回可能※目標強度を1回で達成する必要がある不均質不均質概ね均質その他の表層の集中的な固既設構造物直下の幅広い土質条件に特徴化に適する固化が可能適用可能供給回数固化地盤の均質性3.5養生炭酸カルシウム法のメカニズム上,固化のためには,3.4で供給した固化成分が目的の範囲に到達後,その地点で固化成分を利用した CaCO3 析出が進み,CaCO3 が土粒子同士を接合させた状態が壊れないことが必要不可欠であるといえる。そのため,CaCO3 析出と間隙中での固定に要する時間中は,固化させる土を乱さずに静置する必要がある。対象の土に振動や撹拌を与えないこととともに,CaCO3 析出を阻害するような低温または高温,析出した CaCO3 を溶出させるような酸性の環境に置かれることがないようにする必要がある。- 42 - 3.6モニタリング固化処理後の土に対しては,以下に示すように固化効果,耐久性,生物化学的特性に関する確認が必要と考えられる。なお,固化処理終了後も残留した成分により反応が進み,結果の正確な評価に影響を及ぼすことが懸念される場合には,供給した成分を除去してから効果を確認する必要がある。3.6.1固化効果固化効果としては,固化処理による土質特性の変化や CaCO3 の析出状況の確認が想定される。前者については貫入強度,一軸圧縮強度,液状化強度特性,透水性等があり,既往の地盤改良技術と同様に,固化処理により作製や固化処理した範囲から切り出した供試体に対して,地盤工学会基準に準拠した方法等で確認することができる。一軸圧縮強さを求めることができないような軟らかい供試体では,直径6cm,高さ 3cm の供試体を作製し,フォールコーン貫入量により強度変化を求めることができる。後者については,供試体や地盤のある範囲における CaCO3 析出量や,全体における CaCO3 析出量の分布を調べることに当たる。CaCO3 析出量は,溶解法,蛍光 X 線,X 線回折等で確認できる。CaCO3 析出量の分布は,供試体や地盤の複数の部分における CaCO3 析出量を調べることや,現地地盤の場合は非破壊検査(表面波探査法)での推定も可能である。比較的簡単な方法として,CaCO3 が酸によって溶解した場合に発生する CO2ガス圧を測定する方法 3.21)もあり,以下に示す。図-3.3 に示すような容器に,塩酸(HCl)と CaCO3 を密閉して混ぜ合わせる。この時,式(3.5)のように CaCO3 が HCl に溶解して発生する CO2 のガス圧を測定して CaCO3 の量を推定する。CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2(3.5)図-3.3 の例では,透水試験用のモールドを改良した簡易ガス圧測定器としている。まず,この中で塩酸 10cc と蒸留水 100cc を混合した希塩酸に,試薬の CaCO3 を加えた時のガス圧を測定する。ガス圧は CaCO3 の添加量を変えて複数回測定し,図-3.4 のように CaCO3 添加量とガス圧の関係を示す検量線を事前に求めておく。- 43 - 次に,HCl10cc と蒸留水 100cc を混合した希塩酸と供試体片 10g を簡易ガス圧測定器に入れ,密封した後に簡易ガス測定器ごと振る。容器内で試料とHCl が混合され,CaCO3 が分解して発生するガス圧を圧力計の目盛りより読み取る。先に求めた検量線に示されるガス圧から,供試体中の CaCO3 含有量を推定する。圧力計0~0.1MPa塩酸12.73cm泥炭10cm図-3.3簡易ガス圧測定器0.06ガス圧(Mpa)0.050.040.030.020.0100.0図-3.43.6.20.5 1.0 1.5 2.0炭酸カルシウム量(g)2.5CaCO3 量とガス圧の検量線耐久性に関する項目固化処理した土の長期的な強度特性の変化,乾湿繰返しへの耐久性,酸性雨等への耐久性についても確認が必要である。試験方法としては,既往の地盤改良技術の検証と同様,乾湿繰返し試験や材齢別の強度試験を行う方法などが考えられる。- 44 - 3.6.3生物化学的特性に関する項目固化処理に利用された微生物や各種成分が周辺環境に与え得る影響について把握する観点からも,次のような生物化学的特性に関して確認する必要性が考えられる。現地施工で微生物や各種成分が残留することで,これらに由来する有害物質が発生して地下水流により拡散するおそれがある場合,他の地中構造物を腐食等させるおそれがある場合,地上の植生や生物の生息に有害な影響を与え得る場合等には,通水や化学反応の利用等により,微生物や各種成分を除去する必要がある。室内試験で,微生物や各種成分が残留して固化処理終了後も反応が進み,効果を正確に把握できない可能性がある場合も同様である。(1)微生物のモニタリング(2)成分分析(3)臭気(1)微生物のモニタリング微生物の残留状況については,固化処理前に対して特定の種類における微生物個体数の増え方や,有害性を持つ微生物の増殖の有無という観点で確認が必要と考えられる。地盤に供給した微生物の残留状況のモニタリングは,つぎの方法がある。・コロニーカウント法・濁度測定法・環境 DNA 法・キノンプロファイル法コロニーカウント法と濁度測定法は,目的の微生物の濃度(一定体積中の個体数)を確認するのに適する。環境 DNA 法とキノン分析法は,固化処理後にどのような種類の微生物が存在しているかを把握するのに適する。①コロニーカウント法培養液,採取した間隙水や地下水等の液体試料を希釈平板法により固体培地上に塗布し,一定温度・一定時間で出現する微生物コロニー数をカウントする。1 つのコロニーが微生物の 1 個体の細胞に由来していると仮定して,コロニーを計数することで,固体培地に塗布した液体試料中の微生物個体数が求まる。これを液体試料の希釈倍率で割り戻すことにより,培養液等の液体試料中の生菌- 45 - 数を換算する方法である。この方法は,「培地の試験方法−通則(JIS K 3701:2008)」3.22)に規格化されている。②濁度測定法液体試料の濁度から単位体積当たりの微生物細胞数(微生物個体濃度)を推定する方法である。濁度は,試料水等に片側から光をあて,透過した光を反対側の受光素子で検出する方法で,分光吸光光度計で測定できる。単位体積当たりの微生物細胞数(微生物個体濃度)が既知の同じ液体試料で濁度と微生物個体濃度の関係を事前に把握しておく必要があり,これと濁度の測定結果から換算して当該試料の微生物個体濃度を推定する。③環境 DNA 法次世代シーケンサー分析装置(DNA(デオキシリボ核酸)断片の塩基配列を明らかにできる装置)等を使って DNA の遺伝子配列を明らかにし,既存のデータベースの遺伝子マーカー(ある性質を持つ個体に特有の遺伝子配列)と照合することにより,当該生物を種レベルで同定し定量する方法である。DNA サンプルは,数リットルの水サンプル中に含まれる DNA をろ過して,対象生物のゲノム(遺伝子情報)内特定領域の DNA を PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)で増殖させて準備する。調査・実験は「環境 DNA 調査・実験マニュアル Ver. 2.2」3.23)(2020 年 4 月3 日発行,(一社)環境 DNA 学会)を参考に行う。④キノンプロファイル法対象試料中に含まれる微生物の種類や存在割合を調べる微生物群集構造解析法の一つである。生物の細胞中には呼吸に関係する酵素が鎖状に並んだ呼吸鎖が存在し,その中には生物の代謝により生じた電子が受け渡される,キノンと呼ばれる部分がある。細胞中に存在するキノンの分子構造は生物の種類により異なることから,試料中のキノン全体を調べることにより,存在している微生物の高次分類群や,それぞれの存在割合の推定が可能になる。キノンはユビキノンやメナキノン等に大きく分類され,真核生物ではミトコンドリア内膜にユビキノンが,真性細菌では主に細胞膜にユビキノンまたはメナキノンが存在し,このユビキノン・メナキノンが目~属レベルで分類群を推定- 46 - する指標として有効となっている。複数の微生物種が混在しているサンプルでも,全キノン量に対する各キノン分子種の存在割合より,存在している微生物の高次分類群の推定が可能である。キノン量と微生物バイオマス(ある時点,ある空間に存在する有用な微生物やその量)に正の相関があることから,微生物量の指標として利用することが可能となっている。試験は,「下水試験方法 2012 年版 下巻」の「第 8 章分子生物学的試験第 3 節 キノンプロファイル法」3.24)を参考に行う。(2)成分分析地下水や間隙水の水質モニタリング,土壌への付着物についてモニタリングを行い,固化のために供給した各種成分による影響を確認する。① 水質モニタリング水質モニタリングの目的は,供給した固化成分や活性化成分等に由来する生成物やイオンの濃度変化を測定することにより各種成分の残留状況を把握し,追加で各種成分を与える場合はその条件の検討材料にすることである。また,各種成分の供給前の地下水や間隙水の水質への復元状況を把握するために実施する。水質モニタリングとして,表-3.4 の例のようにカルシウムイオン(Ca2+),アンモニウムイオン(NH4+)および塩化物イオン(Cl-)等の固化成分や活性成分に由来するイオンの分析が想定される。遠心分離器等で抽出した土壌間隙水に対して各種イオンの分析が行われる場合もある。分析方法は,採取可能な地下水や間隙水の量や推定されるイオン濃度,所要時間を考慮して選ぶ。各種イオンのほかにも,水温,電気伝導度および pH 等の確認が想定される。観測井戸から地下水を採水する場合,「観測井からの化学分析のための地下水試料採取方法」3.25)(JGS 1391-2012)を参考に実施する。観測井戸は,「地下水調査のための観測孔の仕上げ方マニュアル(案)」3.26)((一社)全国地質調査業協会連合会)を参考に地下水の流れの下流側に設置し,複数の観測井戸がある場合は,孔内水位を測定して水位標高から地下水の流向を把握しておくことが望ましい。- 47 - 表-3.4項目水質分析・簡易測定方法の例水質分析カルシウムイオンJIS K 0101(Ca2+): 1998アンモニウムイオンJIS K 0101(NH4+): 1998塩化物イオンJIS K 0102(Cl-):2016簡易水質測定簡易水質分析カルシウムイオン計パックテストアンモニウムイオン計パックテスト塩化物イオン計検知管水質モニタリングの結果,そのままの形態や濃度で残留した場合の有害性が想定される成分やイオンが検出された場合は,これらを通水や化学反応の利用により,除去する必要がある。通水は,地盤中に水を注入,改良範囲全体に到達させて,間隙水を回収することで,地盤中に残留した成分を洗い流す方法である。成分の洗い流しに十分な量の水の注入と,注入後の間隙水を確実に回収すること,回収された間隙水の適切な処理,事後の地盤中への成分の残留量の確認が不可欠である。化学反応の利用は,そのままの形態で残留した場合の有害性が想定される物質やイオンを,無害な形態に変えることに当たる。尿素分解反応を利用し,炭酸カルシウム法で土を固化するため,カルシウム源として塩化カルシウム(CaCl2),微生物に分解させて CO2 を出すための CO(NH2)2 を地盤に供給した場合の例では,間隙水中に Cl-や NH4+の残留が想定される。Cl-については,イオン交換膜法や逆浸透膜法を利用した除去により,間隙水中の残留を水道法の水質基準の200mg/L 未満に抑える等の方法が想定される。NH4+は,硝化により亜硝酸イオン(NO2-)や硝酸イオン(NO3-)を生じるが,脱窒作用の利用により最終的に窒素ガス(N2)に変えることが考えられる。これらは例であり,供給した固化成分や活性化成分,それらに由来して残留し得る物質やイオン,想定される存在形態,濃度を考慮し,適切な方法を選択する必要がある。②土壌土壌のモニタリングは,主に CaCO3 のような固化処理に伴う析出物や,土粒子に付着して残留する物質の状況を確認する目的で行う。CaCO3 の結晶構造に- 48 - は複数種類があり,固化処理後の強度特性は,CaCO3 の析出量だけでなく,析出した CaCO3 の結晶構造の影響も受けるためである。また,CaCO3 以外の析出物や土粒子に付着して残留する物質が存在する場合には,これらが強度特性や土中環境に与える影響について把握し,有害な影響が想定される場合は当該物質を除去する必要がある。土壌のモニタリングでは,主に Ca2+がどのような析出物として土粒子表面や土の間隙中に存在するかの確認が想定される。固化処理後の土や現地地盤からボーリング等により採取した試料に対し,生石灰,消石灰,軽焼ドロマイト及び水酸化ドロマイトの試験方法について定めた「石灰の試験方法」3.27)(JIS R9011:2006)に示される試験方法,簡易な蛍光 X 線分析装置等よる土壌含有量測定などにより確認する。(3)臭気固化処理のために供給する材料自体や微生物代謝に伴う臭気についても,配慮が必要であり,例えば,尿素の加水分解で発生する土壌ガスのアンモニアが分析対象となり得る。土壌ガスの採取方法としては,次に示す方法がある。・「環境化学分析のための土中ガス試料の直接導入による採取方法」3.28)(JGS 1941-2012)・「環境化学分析のための土中ガス試料の能動的採取方法」3.29)(JGS 1942-2012)・「環境化学分析のための土中ガス試料の受動的採取方法」3.30)(JGS 1943-2012)アンモニアガスの分析方法には,「排ガス中のアンモニア分析方法」3.31)およびガス測定器を用いた方法などがある。また,人間の嗅覚を利用して臭気を数値化した嗅覚測定法がある。特に現地施工の場合,対象範囲も広く大量の材料を用いることで施工期間中の悪臭が問題となり得るので,臭気を定量的に把握し,低減する方法を事前に検討しておくことが望ましい。- 49 - <第3章参考文献>3.1) 青木健次編著:微生物学,化学同人,2007 年.3.2) Nicholas P. Money(花田智訳):微生物目には見えない支配者たち,丸善出版,2016 年.3.3) Gomez, M. G., Anderson, C. M., Graddy, C. M., DeJong, J. T.,Nelson, D. C., and Ginn, T. R. (2017); Large-scale comparison ofbioaugmentation and biostimulation approaches for biocementationofsands.JOURNALOFGEOTECHNICALANDGEOENVIRONMENTAL ENGINEERING, 143(5), 04016124.3.4) Hamed Khodadadi, T., Kavazanjian, E., van Paassen, L., andDeJong, J. (2017); Bio-grout materials: A review. GROUTING 2017,pp. 1-12.3.5)Al Imran, M., Nakashima, K., Evelpidou, N., and Kawasaki, S.(2019); Factors affecting the urease activity of native ureolyticbacteria isolated from coastal areas, Geomechanics and Engineering,17(5), pp.421-427.3.6)川 﨑 了 : 微 生 物 機 能 を 利 用 し た 地 盤 改 良 技 術 の 現 状 , Journal ofMMIJVol.131, pp.155-163, 2015.3.7)畠俊郎,佐藤厚子,川﨑了,阿部廣史:高有機質土(泥炭)由来の土壌微生物による炭酸カルシウム析出技術に関する実験的研究,土木学会論文集 C(地圏工学),Vol.68,No.1,pp.31-40,2012.3.8) T. Danjo, S. Kawasaki, S. Shimazaki and K. Koizuka; Effects ofBacterial Ureolysis and Seawater Evaporation on BeachrockFormation, Proc.TC105 ISSMGE Int. Symp. on Geomechanics fromMicro to Macro, (CRC Press, London, 2014) pp.1521-1526.3.9)Fujita, M., Nakashima, K., Achal, V. and Kawasaki, S. (2017);Whole-cell evaluation of urease activity of Pararhodobacter sp.isolated from peripheral beachrock. Biochemical engineering journal,124, pp.1-5.- 50 - 3.10) Al Imran, M., Nakashima, K., Evelpidou, N. and Kawasaki, S.(2019); Factors affecting the urease activity of native ureolyticbacteria isolated from coastal areas, Geomechanics and Engineering,17(5), pp.421-427.3.11)Stocks-Fischer, S., Galinat, J. K., and Bang, S. S. (1999);Microbiological precipitation of CaCO3, Soil Biology and Biochemistry,31(11), pp.1563-1571.3.12)Okwadha, G.D.O. and Li, J. (2010); Optimum conditions formicrobial carbonate precipitation, Chemosphere, 81(9), pp.11431148.3.13)Yasuhara, H., Neupane, D., Hayashi, K. and Okamura, M.(2012); Experiments and Predictions of Physical Properties of SandCemented by Enzymatically-induced Carbonate Precipitation. Soilsand Foundations, 52(3), pp.539-549.3.14) Neupane, D., Yasuhara, H., Kinoshita, N., and Ando, Y. (2015);Distribution of Mineralized Carbonate and Its Quantification Methodin Enzyme Mediated Calcite Precipitation Technique. Soils andFoundations, 55(2), pp.447-457.3.15) Hamdan, N. and Kavazanjian, E. (2016); Enzyme-inducedCarbonateMineralPrecipitationforFugitiveDustcontrol.Géotechnique, 66(7), pp.546-555.3.16)畠俊郎,横山珠美,阿部廣史:尿素加水分解速度に基づく微生物固化技術の沿岸域への適用性評価,地盤工学ジャーナル Vol.8,No.4,pp.505515,20133.17)中山広樹,西方敬人:バイオ実験イラストレイテッド①分子生物学実験の基礎,学研メディカル秀潤社,1995 年.3.18)青木健次編著:微生物学,化学同人,2007 年.- 51 - 3.19)Omoregie, A. I., Ngu, L. H., Ong, D. E. L. and Nissom, P. M. (2019);Low-cost cultivation of Sporosarcina pasteurii strain in food-gradeyeast extract medium for microbially induced carbonate precipitation(MICP) application. Biocatalysis and agricultural biotechnology, 17,pp.247-255.3.20) Putra, H., Yasuhara, H., Kinoshita, N., Neupane, D. and Lu, C. W.(2016); Effect of magnesium as substitute material in enzymemediated calcite precipitation for soil-improvement technique.Frontiers in bioengineering and biotechnology, 4, 37.3.21)福江正治,加藤義久,中村隆昭,森山登:土の炭酸塩含有量の測定方法と結果の解釈,土と基礎,Vol. 49, No. 2, pp. 9-12, 20013.22)日本工業規格:培地の試験方法−通則(JIS K 3701),2008.3.23) (一社)環境 DNA 学会:環境 DNA 調査・実験マニュアル Ver. 2.2,20203.24) (公社)日本下水道協会:キノンプロファイル法,下水試験方法 2012年版下巻,第 8 章,第 3 節,20123.25) (公社)地盤工学会:観測井からの化学分析のための地下水試料採取方法,地盤調査の方法と解説,20123.26) (一社)全国地質調査業協会連合会:地下水調査のための観測孔の仕上げ方マニュアル(案),20153.27)日本工業規格:石灰の試験方法(JIS R 9011),20063.28) (公社)地盤工学会:環境化学分析のための土中ガス試料の直接導入による採取方法,地盤調査の方法と解説,20123.29) (公社)地盤工学会:環境化学分析のための土中ガス試料の能動的採取方法,地盤調査の方法と解説,20123.30) (公社)地盤工学会:環境化学分析のための土中ガス試料の受動的採取方法,地盤調査の方法と解説,20123.31) 日本工業規格:排ガス中のアンモニア分析方法(JIS K 0099),2020- 52 - 4.実験例4.1目的および方法炭酸カルシウム法に関連する実験においても,目的に応じて多様な方法や規模のものが想定される(図-4.1)。土の固化効果は,対象とする土の特性や利用する微生物,固化成分や活性化成分の与え方によっても異なるため,最初に小規模な試験で固化の可能性や固化に有利な条件について比較検討し,必要に応じて段階的に規模を大きくするのが効率的といえる。4.4.1~4.4.3で例示するような培地上,試験管やシリンジなどでの小規模な実験は,同時に多くのケース数を実施できるため,ケース間で尿素分解反応の進み方や,CaCO3 の析出状況を比較して,固化に有利と考えられる条件を絞り込むには適している。一方,固化させた土の物理特性や強度特性の把握には限界があるため,小規模な実験で固化に有利と考えられる条件を絞り込んだ後,例えば4.4.4で後述するような,土質試験の供試体規模での固化処理や,強度特性の確認を行うのがよい。固化処理後の土の強度特性のほか,CaCO3 析出量の空間的分布や,地盤中に注入した微生物や各種成分の残留状況等を調べる場合は,そのためのサンプルを確保するのに十分な規模での土槽実験等が想定される。土槽実験の一例は4.4.5に後述したが,実験の規模や調べる項目は,適宜設定すればよい。さらに,室内の小規模な実験では把握が困難な,地盤の不均質性,地下水流,気象条件等も踏まえた条件での効果,耐久性,環境影響等を把握し,現地施工に向けて課題整理や対応策の検討を行うに当たっては,コンクリートピット内に作製した実大規模の地盤での実験や現地地盤での試験施工が考えられる。試験施工の一例は4.4.6に後述したが,調べる項目や使用する機器については,目的や現地の条件に応じて選択する。- 53 - 高小適する目的の例試験法の例培地上の試験 ある微生物の種類と各種成分の組合わせにおけるCaCO3析出可能性試験管試験の確認精度実験規模の大きさシリンジ試験 各種成分の与え方(組成,濃度,供給頻度,時間等)によるCaCO3析出量の比較モールド実験 固化処理による効果の確認土槽実験(CaCO3析出状況(析出量,空間的分布),物理特性,力学特性,間隙水の水質への影響等)供試体や模型地盤の構造・大きさは,効果を確認したい項目に応じて設定。試験施工低実施工で期待できる効果の確認(地盤の不均質性,地下水流,気象条件等も踏まえた条件での効果,耐久性,環境影響等の確認)大図-4.1炭酸カルシウム法に関連する実験の種類・規模・精度の例- 54 - 4.2実験方法・規模と精度実験の目的や方法・規模により,同じ事項に対して求められる精度や実現可能な精度が異なる。小規模な実験では,細かな作業状況の違いが実験結果や今後の実験条件の選定に与える影響が大きいため,高精度を目指した丁寧な作業が求められるが,室内用の試験機器が利用可能でコンタミネーション防止の管理がしやすい,対象の土の量も少なく CaCO3 析出量を正確に把握しやすいなど,管理は比較的容易である。実験規模が大きくなるほど,材料の準備の効率化や費用の縮減が求められ,安価な代替材料の利用や,室内の小規模な実験とは異なる方法での材料の調製,限定された範囲での効果の確認等がやむを得なくなり,精度は確保しにくくなる。例えば3.4でも述べたように,安価な代替材料で費用を縮減しながら微生物の活性化や土の固化として実験用試薬と同等の効果を得る可能性は確認されているが,実験規模が大きくなると,コンタミネーション防止の管理の難しさから,室内実験に比べて,利用する微生物の代謝やウレアーゼ活性の低下が予想される。このように,作業精度が低下する中でも一定の固化効果を得られる方法の検討が必要になる。4.3実験全般の注意事項実験の規模,要求される,あるいは実現可能な精度は,目的や検討段階により異なり,それぞれ対応する必要があるが,実験全般として,以下のように材料の管理と実験終了後の処理を,関連する法令等に従って適切に行うことが重要である。微生物を扱った器具や培地は,環境中への微生物の拡散を避けるため,オートクレーブ,火あぶり,アルコールでの拭き取り等により滅菌してから洗浄,あるいは地域のゴミ処理のルールに従い,処分する。実験で用いた各種成分を含む溶液(排水として回収された溶液や使い切らずに余った溶液)については,下水道に直接流さずに,腐食等しない容器に回収して,適切な業者に処理を依頼する。実験場所の土地の管理者に無断で,各種材料の拡散を完全に防ぐことのできない条件で実験を行うことは実施すべきではない。また,各種材料の扱いでは,- 55 - 関連法令に従う。4.4実験例以下,4.1~4.3で述べた観点に即し,実験例を示す。これらは一部の例であるため,他の事例も参考に,適宜方法の改善を図られたい。4.4.1微生物のウレアーゼ活性の有無の確認の例(1)目的微生物代謝による尿素分解を利用して土を固化させるには,ウレアーゼ活性を有する微生物を利用する必要がある。ここで紹介する事例は,現地から採取した微生物を用いるに当たり,採取した土や水の中にウレアーゼ活性を有する微生物が存在するか確認することを目的に行った実験である。(2)方法:クリステンゼン培地を用いた方法対象試料中に,尿素の加水分解が可能なウレアーゼ活性を有する微生物が存在するかどうかの調査方法の一つである。クリステンゼン培地による方法は,培地中の尿素がウレアーゼ活性を有する微生物により加水分解されると,二酸化炭素とアンモニアが生成されることを利用したものである。また,培地中のフェノールレッドはアンモニアが生成してアルカリ性になると赤変することから,培地が赤変すれば培地上の微生物にウレアーゼ活性があることを確認できる。(3)実験条件・手順表-4.1に示す条件で,表-4.2に示す組成のクリステンゼン培地を用いて行われた実験の例を示す4.1)。- 56 - 表-4.1培地クリステンゼンの尿素寒天培養温度30℃培養時間7日希釈液ウレアーゼ活性試験の条件生理食塩水希釈倍率原液(検体1gを9mlの生理食塩水で懸濁)分離方法0.1mlを培地の表面に塗抹塗抹枚数同一の希釈液ごとに各2枚その他条件判定表-4.2好気培地が赤変したものをウレアーゼ活性陽性と判定Christensen(クリステンゼン)培地の組成培地成分含有量ペプトン1.0g塩化ナトリウム5.0gグルコース1.0gリン酸2水素カリウム2.0gフェノールレッド0.012g尿素20.0 g寒天15.0g超純水1000ml(4)実験結果と結果に対する判断ウレアーゼ活性試験結果は,写真-4.1 に示すようにクリステンゼン培地の色の変化で示される。写真-4.1(b)のように白っぽいままであればウレアーゼ活性を持つ微生物が存在せず,写真-4.1 (a)のように赤変すればウレアーゼ活性を持つ微生物が存在するものと判断できる。- 57 - ウレアーゼ活性を持つ微生物(a) 微生物存在写真-4.14.4.2(b) 微生物不在ウレアーゼ活性試験結果微生物のウレアーゼ活性の程度の評価の例(1)目的ウレアーゼ活性を有する微生物の中でも,種類によってウレアーゼ活性の程度が異なり,土の固化効果に影響する。微生物が有するウレアーゼ活性の程度を事前に評価して,土の固化効果を得るまでに必要な時間を予測することや,よりウレアーゼ活性の高い微生物を利用することは効率的に固化効果を得ることにつながる。(2)方法:対象土砂の尿素加水分解速度の評価対象土砂のウレアーゼ活性の程度を示す指標として,尿素加水分解速度を評価する方法 4.2) がある。この方法は,液体培地により微生物を培養して,これに尿素溶液を混合した液体の電気伝導度を測定することにより,微生物の尿素加水分解速度を求めるものである。(3)実験条件・手順図-4.2 に尿素加水分解速度の測定手順を示す。畠ら4.2)は微生物の培養液10mL と尿素溶液 40ml を混合しているが,泥炭のような含水比が非常に高い材料について測定する場合,泥炭 10g と尿素溶液 40ml と混合して懸濁状態にして電気伝導度を測定する。対象土砂の中から固化が可能な微生物を単離することなく,そのまま検体とする。- 58 - 図-4.2尿素加水分解速度の測定手順(文献4.2)の一部を修正簡略化)(4)実験結果と結果に対する判断図-4.3は,尿素溶液混合後の時間と電気伝導度の増加量の測定例である。岩内,江別太試料は電気伝導度の増加量は小さいが,富川試料は電気伝導度の増加量が大きくなっている。電気伝導度の増加は,尿素分解に伴うアンモニウムイオン発生によるものであるため,富川試料が岩内,江別太試料に比べて尿素分解が進んだといえる。電気伝導度の増加量(µS/cm)300pasteuri岩内富川江別太y = 137xR² = 0.972250200富川y = 12.63xR² = 0.962aquimarinay = 42xR² = 0.99015010050岩内江別太y = 0.786xR² = 0.798y = 0.651xR² = 0.83200図-4.351015尿素溶液混合後の時間(分)20尿素混合後の時間と電気伝導度の増加量- 59 - 4.4.3シリンジを用いた土の固化可能性の確認の例(1)目的ウレアーゼ活性の高い微生物を利用しても,当該微生物が置かれる土中の環境や,固化溶液の与え方によって,得られる土の固化効果が異なる。そのため,固化効果に影響を与え得る各種条件を変え,ある程度のケース数で比較し,有利な条件を把握しておくことを目的とした。(2)方法:シリンジ試験容量60mLのシリンジ内に体積40mL程度の供試体を作製して実施したもので,図-4.4に示すような試験手順を基本に行われた。試料土の投入→微生物および固化溶液の注入→炭酸カルシウム析出量の確認→実験結果の評価という流れで,一連の試験が実施されている。START炭酸カルシウム析出量の確認微生物(1種類のみ)の培養液調製固化溶液の成分を洗い流す供試体作製と初期の微生物添加容量60mLのシリンジに蒸留水25mLを注入炉乾燥し,乾燥後の試料の質量(ms1)を測定0.5Mの塩酸で析出したCaCO3を酸分解するシリンジに110℃の炉乾燥で滅菌した試料土を投入炉乾燥し,乾燥後の質量(ms2)を測定培養液25mLを注入*1CaCO3析出量の算出*2析出量=ms1-ms2間隙水の分析と固化溶液注入(所定の頻度・回数で繰返し)排水側のシリンジ内の水を25mL抜く排水側のシリンジ内に押し出された水の水質分析固化溶液25mLの注入*1図-4.4END*1:注入時には圧力はかけていない。*2:細粒分の多い土の場合は,析出量=ms1-試料土投入量 とした。シリンジ試験の基本的な手順- 60 - (3)実験条件・手順①試料土の投入シリンジ設置の例を写真-4.2に示す。容量60mLのシリンジ円筒部の底面には不織布を敷き,下部の孔にはビニールチューブを接続して,シリンジからの排水が抜けるような作りとされた。シリンジ内には,蒸留水と試料土を飽和状態で体積が40mLとなるよう投入された。試料土が飽和状態を保つよう,試料土表面と排水口または排水側のシリンジ内水面の水頭が合わされた(図-4.5)。ここに,コンタミネーションによる影響を排除することを目的として,110℃の炉乾燥により滅菌した試料土が投入された。試料土の投入は,蒸留水または培養液をシリンジ内に注入した後に試料土を投入する方法や,シリンジ内に試料土を投入した後に蒸留水で間隙を満たす方法で行われた。注入排水水位を保つ試料土写真-4.2 シリンジ設置の例図-4.5 試料土の飽和を保つしくみ②微生物および固化溶液の注入微生物は培養液として注入された。①で試料土と蒸留水を投入する際の蒸留水の替わりに培養液40mLを注入する方法,①の後に培養液25mLを注入する方法,①の後,培養液を体積比0.5%で添加した固化溶液を注入する方法が試行された。培養液が1種類の微生物を培養したものである場合は,特定の微生物を用いることによる効果の確認や,微生物の種類による違いの比較ができる。培養液が現地で採取した微生物を培養したものである場合は,現地の微生物の集合体としての固化への寄与を推定できる。固化溶液は,表-4.3の組成を基本として,各成分の濃度を変えた条件,固化- 61 - 成分に当たる塩化カルシウムと尿素以外の成分を除いた条件,水酸化ナトリウムを加えてpHをアルカリ側に変えた条件,培養液を添加した条件で得られる固化効果の違いの比較が行われた。固化溶液は,1回当たり25mLで複数回を間欠的に注入されたが,次の注入までの間隔や注入回数を変えた実験が行われた。それに伴い,固化処理の所要日数が変わった。表-4.3固化溶液の基本組成(蒸留水1L中)塩化カルシウム(CaCl2)0.5mol=55.49g尿素(CO(NH2)2)0.5mol=30.03g塩化アンモニウム(NH4Cl)10g炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)2.12gニュートリエントブロス(Nutrient broth)3g②炭酸カルシウム析出量の確認所定回数の固化溶液注入が終了し,固化溶液注入間隔と同じ時間が経過後,試料土の上から30mL程度の水の注入により固化溶液等の成分が洗い流された。洗い流し後,試料土内の水が吸引脱水され,試料土中のCaCO3析出量が確認された。細粒分が少ない試料土に対しては,試料土が110℃で24時間炉乾燥され,乾燥質量w1が測定された後, 0.5mol/Lの塩酸中で,間隙中に析出したCaCO3を分解・溶出させる処理が行われた。CaCO3が分解する際には発泡し,塩酸に溶出すると液が白濁する。白濁した塩酸は試料土を流出させないように注意しながら捨て,試料土は新しい塩酸に浸されて残っているCaCO3が分解・溶出された。この操作が,新しい塩酸中でCaCO3の分解による発泡が見られなくなるまで繰り返された。その後,塩酸の成分が水で洗い流された状態で炉乾燥され,乾燥質量w2が測定された。析出したCaCO3を含むw1から試料土のみの質量に当るw2を差し引いた量(w1-w2)がCaCO3析出量とされた。細粒分が多い試料土については,塩酸に浸し,使用した塩酸を捨てる作業の中で細粒分の流出があるため,固化溶液の成分が水で洗い流された状態で炉乾燥された質量から投入された試料土の質量を差し引いてCaCO3析出量とされた。- 62 - ④実験結果の評価シリンジ試験では,全体が固化した試料土を乱さずに取り出しても直径3cm,高さ6cm程度の塊にしかならず,強度試験をするには制約があった。固化効果の評価や,微生物や固化溶液の与え方を変えた場合の比較は,析出したCaCO3は固化溶液等に溶けて流出することがなく,全て試料土の間隙中に残存したという仮定のもと,以下のようにCaCO3析出状況により行われた。土質特性・質量が同じ試料土に同じ総量の固化成分を与えた場合の効果は,③で求められたCaCO3析出量により評価・比較でき,CaCO3析出量が多いほど固化効果が高いと推定された。試料土の土質特性や量が異なる場合は,CaCO3析出比,CaCO3析出割合等と呼ばれるが,試料土の単位質量や単位体積当たりのCaCO3析出量を求めることで比較された。注入した固化溶液の成分の利用効率という観点から,固化溶液の成分として注入されたCaCl2のモル数に対する析出したCaCO3のモル数の百分率(CaCO3析出効率とする)としても比較が行われた。1mol当たりの質量が,CaCl2 は110.98g/mol,CaCO3は100.087g/molであるため,CaCO3析出効率=100(%)×(CaCO3析出量(g)/100.087)/(CaCl2注入量(g)/110.98)となる。3.1で前述の化学反応式のとおり尿素分解やCaCO3析出の反応が進み,析出したCaCO3の溶出が無視できる場合,1molずつのCaCl2と尿素から1molのCaCO3が析出して,CaCO3析出効率が100%となる。CaCO3析出効率が高いほど,注入された尿素やカルシウム源がCaCO3の析出に有効利用されたと推定された。(4)実験結果と結果に対する判断①固化成分を与える濃度と固化効果の関係以下は,表-4.3の組成を基本として,10%の耐塩性を有する種類の微生物を利用し,カルシウム源であるCaCl2と尿素の各濃度のみを変えた固化溶液が注入されたケースの例である。3.1より,CaCl2および尿素各1molから1molのCaCO3が析出することになるため,固化溶液中のCaCl2および尿素は同じモル濃度とされた。- 63 - CaCl2・尿素の各濃度とCaCO3析出比(土の質量に対するCaCO3析出量の百分率),CaCO3析出効率の関係が,図-4.6,図-4.7において固化溶液の注入頻度別・注入回数別に整理された。図-4.6の状況は,以下のとおりである。・いずれの注入頻度・注入回数でも固化溶液中のCaCl2 ・尿素の各濃度を0.5mol/Lとした場合にCaCO3析出比が最も多くなり,1.0mol/Lや1.5mol/Lでは0.5mol/Lの場合の10分の1から数分の1程度まで減っている。・0.25mol/L,0.5mol/Lの場合は,同じ注入頻度で注入回数が2倍になればCaCO3析出比もほぼ2倍となり,注入頻度が異なっても注入回数が同じであればCaCO3析出比はほぼ等しくなる。つまり,CaCO3析出比が注入日数や注入回数とほぼ比例関係にある。・0.75mol/Lの場合におけるCaCO3析出比は注入日数とほぼ比例関係だが,1.0mol/L,1.5mol/LではCaCO3析出比が少なく,注入頻度・注入回数・注入日数によるCaCO3析出比の違いもほとんど見られない。図-4.7の状況は,以下のとおりである。・CaCO3析出効率は,いずれの注入頻度・注入回数でもCaCl2・尿素の各濃度が0.25mol/Lや0.5mol/Lの場合において80%前後と特に高い。・0.5mol/L以上になるとCaCl2・尿素の各濃度の増加に伴ってCaCO3析出効率が低下している。0.75mol/Lではほぼ半減し,1.0mol/Lや1.5mol/Lでは注入条件によらず数%程度となっている。以上の結果から,CaCO3析出のため必要な成分ではあるが,固化溶液中のCaCl2や尿素の濃度を多くすることが必ずしもCaCO3析出比の増加にはつながらず,逆に注入した成分がCaCO3析出に有効利用されない状況が生じることが示された。これは,次回固化溶液が注入されるまでの間の微生物代謝やそれによるCaCO3 析出の反応の進展に限界があり,注入した成分を有効利用しつつCaCO3析出量を増やすのに最適な濃度があることを示唆するものであった。②固化成分を与える濃度と微生物の耐塩性の関係固化溶液の最適な組成を決める要素の1つとして,微生物の耐塩性(微生物が耐えることのできる塩分濃度)が考えられた。「塩」をNaClのみならず広く捉え,固化溶液の塩分濃度を水溶成分全体の濃度と考えた場合,実験条件のように蒸- 64 - 留水1Lに対してNH4Clを10g,NaHCO3を2.12g,ニュートリエントブロスを3g溶解させ,さらにCaCl2・尿素を各0.25mol,0.5mol,0.75mol,1.0mol,1.5mol溶かした場合の塩分濃度は,それぞれ,5.79%,10.06%,14.34%,18.62%,27.17%となる。CaCO3 析出比が最も高く,CaCO3 析出効率でも80%前後となったのが,CaCl2・尿素の各濃度が0.5mol/Lの固化溶液を注入した場合で,この時の固化溶液中の塩分濃度は10.06%と,用いた微生物の耐塩性の10%とほぼ等しくなる 。 一 方 , CaCO3 析 出 比 ・ CaCO3 析 出 効 率 と も に 低 下 し た 1.0mol/L や1.5mol/Lの場合には,固化溶液中の塩分濃度が20%前後となり,用いた微生物の耐塩性を大きく上回る。こうした状況から,固化溶液の成分全体の濃度が利用した微生物の耐塩性の範囲内または大きく上回らない程度であれば,尿素分解作用やそれに伴うCaCO3析出が進んだが,耐塩性の範囲を大きく超えると,微生物の尿素分解作用が鈍り,CaCO3析出の反応が進まなかったことが推察された。①および②より,注入する固化溶液の組成は,固化溶液の成分として注入されるカルシウムイオンや尿素の総量が目標のCaCO3析出量を得るための必要量を満たすだけでなく,成分全体の濃度が利用する微生物の耐塩性を大きく超えないように設定する必要があることが示唆された。CaCO3析出比(%)25固化溶液14回注入 (1回/1日)固化溶液7回注入 (1回/1日)固化溶液14回注入 (2回/1日)固化溶液7回注入 (2回/1日)201510500図-4.60.511.5CaCl2 ・尿素の各濃度 (mol/L)2CaCl2・尿素の各濃度とCaCO3析出比の関係- 65 - CaCO3析出効率(%)100固化溶液14回注入(1回/1日)固化溶液7回注入(1回/1日)固化溶液14回注入 (2回/1日)固化溶液7回注入 (2回/1日)8060402000図-4.74.4.40.511.5CaCl2 ・尿素の各濃度 (mol/L)2CaCl2・尿素の各濃度とCaCO3析出効率の関係一軸圧縮試験による泥炭試料の改良効果確認の例(1)目的微生物により固化処理された土の強度を把握することを目的とした。(2)方法:固化処理による土質試験供試体の作製地盤工学会基準「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」4.3)等を参考に,固化処理をしつつ,土質試験が可能な大きさの供試体を作製する。これに対し,一軸圧縮試験,三軸圧縮試験,繰返し非排水三軸試験等による力学特性の確認と,供試体内の CaCO3 析出量の確認の両方を行うことで,対象とした試料土における,CaCO3 析出量と強度の相関を把握できる。また,他の試料土や改良方法でも同様に試験を行い,これらの条件の違いによる CaCO3 析出量と強度の相関の違いを比較することもできる。(3)実験条件・手順以下に示す例は,泥炭の固化処理を行った供試体の一軸圧縮試験が行われたものである。固化処理と供試体作製が行われる際,既に泥炭中に生息する微生物による固化を目標としたが,補助的に酵素製剤のウレアーゼも利用した。改良の対象とした泥炭は,写真-4.3 のように自然含水比が非常に高くて土粒子密度が小さい4.4)ことに加え, pH が低く- 66 -4.5)酸性を示し,一般の土質条件 とは異なる。このような環境でも生息可能な種類の微生物が用いられた。酵素製剤は,試薬として販売されているウレアーゼ(なた豆由来)を用いた。固化処理に当たっては,これらの他に,尿素,塩化カルシウム,pH 調整のための重曹を混合した。写真-4.3 泥炭の例各材料の混合量は,泥炭の含水比を 336%として次の計算によった。1.5kg の泥炭を改良するとした場合,泥炭中の乾燥土量は,1500g÷(1 + 336 /100) = 344g泥炭中の水分量は1500g - 344g = 1156g尿素混合量は,水分量の 1/10 として 116g,塩化カルシウム混合量は,尿素混合量の 2 倍とし,232g とした。また,ウレアーゼは 3.5g とした。微生物による固化では,pH が中性域~弱アルカリ性域の場合にその効果が良好である 4.6)が,酸性の泥炭に塩化カルシウムを加えるとより酸性化する。そこで,pH を調整するためにアルカリ性を示す重曹を 20g 加えた。すべての材料を混合して直径 5cm,高さ 10cm の供試体を作製し,20℃で所定の期間養生後,一軸圧縮試験を行った。- 67 - (4)実験結果と結果に対する判断(3)に示した方法で作製,4 か月養生された供試体の一軸圧縮試験の結果,一軸圧縮強さが 53kN/m2 となった。固化処理と 4 か月の養生を行うことで,自然含水比の非常に高い泥炭でも強度が改善され,運搬可能になると考えられた。4.4.5土槽実験による三次元的な固化効果確認の例(1)目的実地盤の固化のように三次元的に,より広範囲に固化溶液等を到達させる必要がある場合の課題や,微生物や固化溶液の注入が地下水の水質等に与え得る影響について確認することを目的とした。(2)方法:土槽実験土槽やピットの三次元的な空間に作製した模型地盤に固化溶液等を注入した時の地盤内への固化溶液の到達や CaCO3 析出,微生物や各種成分の残留の状況について確認する実験である。(3)実験条件・手順①固化溶液等の注入土槽に砂および蒸留水が投入され,図-4.8 に示す模型地盤が作製された。地盤中には固化溶液等の注入・揚水のため注入孔および揚水孔が設けられた。また,地盤中のカルシウムイオン(Ca2+)濃度等を調べるための採水孔が設けられた。先端が図-4.8 に示す採水ポイントの位置になるように設置された。注入孔より,表-4.4 に示す手順で,微生物の培養液 75L(間隙体積の半分程度),表-4.5 に示す組成の固化溶液が 1 回に 150L(間隙体積相当)ずつの3 回で計 450L,地盤内の固化溶液等の成分を洗い流す蒸留水が 150L 注入された。注入の際,注入孔内の水位は地盤表面と同じ高さに保たれ,揚水孔との水頭差により,固化溶液等が揚水孔に向かって流された。固化溶液 150L が注入されるごとに 46 時間から 116 時間放置され,間隙に固化溶液が滞留した。②地盤内部の状態の確認固化溶液の地盤内への到達や CaCO3 析出への利用状況,地盤内の微生物の残留状況を把握する目的で採水孔からの採水が行われ,Ca2+濃度や微生物固体濃- 68 - 度が確認された。蒸留水 150L の注入が終了し脱水された後,地盤内を図-4.8 に破線で示すように区切ったブロックから 50g 程度の土が採取され,砂の質量に対するCaCO3 析出量の比の百分率(以下,CaCO3 析出比)が確認された。平面図9×100=900断面20'e'350c'表-4.4 注入の手順断面0CBD揚水孔注入孔ace1507×100=700a'50断面20:採水ポイント注入孔採水孔揚水孔504×100=4004×100=40050断面図20050表-4.5 固化溶液の組成成分塩化カルシウム(CaCl2 )尿素(CO(NH2 )2 )塩化アンモニウム(NH4 Cl)Nutrient broth蒸留水1L当たりの量0.25mol=27.745g0.25mol=15.015g5g1.5g関東ローム150200図-4.8200150単位:mm模型地盤(4)実験結果と結果に対する判断①地盤内の CaCO3 析出状況図-4.9 は,深さ 40cm の面上,注入孔と揚水孔の中心を結ぶ断面 0 上における CaCO3 析出比の分布の例である。注入孔中心から半径 10cm 程度の範囲(写真-4.4)は砂を切り出すことが困難なほどに固化しており,CaCO3 析出比で 5%以上あったと推定されたため,この部分の CaCO3 析出比は 5%と仮定して描かれた。図-4.9 で CaCO3 析出比 4%以上として表示される領域と写真-4.4 の固化部分が概ね対応した。注入孔周囲で集中的に固化したのを除いては,CaCO3 析出比は概ね 1~2%程度で分布し,ばらつきが少なかった。- 69 - 10注入孔0揚水孔-10-200CaCO3析出比(%)5.55.04.54.03.53.02.52.01.51.00.5020揚水孔5.55.04.54.03.53.02.52.01.51.00.50-10注入孔地中深さ(cm)30奥行き方向 (cm)注入孔周りの固化CaCO3析出比(%)写真-4.4-20-30-40-30-50-10-1001020304050607001020304050607080注入孔中心からの距離 (cm)80注入孔中心からの距離 (cm)(a)深さ 40cm図-4.9(b)断面 0CaCO3 析出比の分布の例②Ca2+濃度図-4.10 は,各採水ポイントから採水された水の Ca2+濃度について,固化溶液の 1 回目注入開始時から 3 回目注入開始時までの推移を示したものである。固化溶液中の Ca2+の CaCO3 析出への利用状況の概略を把握する目的から,少ない採水量でもその場で概略の濃度を把握できる市販のパックテストを用いた。採水した水を蒸留水で 1,000 倍希釈し,パックテストの試薬と反応させた時の着色状況から 5 段階程度で Ca2+濃度を推定した。図-4.10 および以下で,“アルファベット-数字”の記号は,採水ポイントを示すものである,例えば“a’-30”の場合,図-4.8 に示す a’の位置で深さ 30cm の採水ポイントを示す。図-4.10 より,1 回目の固化溶液注入後に 48 時間放置された後や 2 回目の固化溶液注入終了後に 46 時間放置された後には,多くの採水ポイントで放置後に Ca2+濃度が低下しており,放置により固化溶液が滞留した間に CaCO3析出が進んだことが考えられる。なお,3 回目の固化溶液注入終了時には全ての採水ポイントで Ca2+が検出さ- 70 - れず,その後 116 時間放置した後に一部の採水ポイントで Ca2+が検出された。これは,3 回目の固化溶液注入時には,表-4.4 のとおり 1 回目や 2 回目に注入した時に比べると,150L が注入されるまでに数倍の時間を要しており,固化溶液の到達も遅れたことによると考えられる。CaCO3 析出の分布からも,注入孔周辺で固化に伴い透水性が低下して,地盤内の間隙水全体の流速が遅くなったものと考えられる。蒸留水注入終了時には,いずれの採水ポイントからもCa2+が検出されず,蒸留水で洗い流されたか,地盤内で CaCO3 析出に使われたと考えられる。固化溶液中の Ca2+濃度:10.02g/L固化溶液注入開始からの経過時間(h)図-4.10断面 0 における Ca2+濃度の推移(固化溶液 1 回目注入開始時から 3 回目注入開始時まで)③微生物固体濃度表-4.6 は,地盤内に残留した微生物固体濃度である。一部の採水ポイントを除き,最初に注入した培養液の微生物固体濃度 2.53×107cell/mL に比べて減少している。また,各回の固化溶液注入終了時に揚水孔からの排水の微生物固体濃度を調べたところ,1.93~5.86×106cell/mL が検出され,新たな固化溶液の注入に伴って地盤から微生物固体が流出している。- 71 - 表-4.6地盤内の微生物残留状況採水微生物個体数ポイント(cell/mL)断面0C-201.4 5 E+ 0 8a-203.0 3 E+ 0 7断面20c-408.90E+04e-401.74E+06a'-303.00E+06c'-103.73E+06断面20'e'-102.99E+05e'-302.6 2 E+ 0 7断面:培養液中(2.53×10 7cell/mL)よりも高い微生物固体濃度④三次元的注入による固化効果への影響①から③より,地盤内の CaCO3 析出状況からは固化にばらつきが生じ得ること,固化溶液が滞留した時に固化が進むこと,固化溶液の注入・揚水に伴う微生物固体の流出があることなどが考えられる。4.4.6現地施工による固化効果確認の例(1)目的現地地盤の改良で期待できる効果や課題の確認を目的とするものである。以下に例示する現地施工は,ガスパイプラインの敷設に当たり,ボーリング掘削を行う砂礫地盤の固化・安定化処理を行う場合に期待できる効果や施工上の課題について事前に評価することを目的とした試験施工である。(2)方法:現地施工実地盤の改良を予定する現地付近や類似の地盤条件を有する場所において,実施工と同等あるいは実施工で想定される状況を再現可能な規模で,実施工と同様な資機材と方法を用いて地盤改良のための施工をする。この段階に至るまでには,室内での小規模な実験により,利用する微生物や固化成分,活性化成分の選定やそれらの供給方法,固化処理による周辺環境への影響への対応策等について十分な検討が必要である。また,施工を行う土地の管理者からの許可や,地域住民の理解を得ることも重要である。(3)実験条件・手順オランダの砂礫質層地盤において実施された,微生物機能を用いた地盤改良- 72 - 工法(バイオグラウティング)の現場実験(Paassen, 2011)4.7)を例に示す。①事前検討尿素分解菌を用いた炭酸カルシウム法による地盤の固化について,実験室スケールの小規模実験から検討が開始され,100m3サイズの大型土槽実験において 12 日間で 43m3の砂を固化させるに至った(Paassen et al., 2009,2010)4.8),4.9)。実験では,CaCO3 析出量と施工前後での乾燥密度,透水性,間隙率,強度や剛性との相関性について検討を行い,固化や止水といった改良効果が評価された。②試験施工炭酸カルシウム法による 1,000m3規模の改良実験であり,現地の 24m×4m 四方の地表面付近で注入孔 6 箇所と取水孔 14 箇所が設けられ,地表面からの深さ 3~20mの範囲において,注入孔からの培養液や固化溶液の注入と取水孔からの間隙水の回収が行われた。改良に際し,尿素分解菌の培養液 200m3が注入孔から注入された後,尿素と塩化カルシウムの固化溶液 300~600m3 が注入された。施工中には地下水中の電気伝導度とアンモニウムイオン濃度が初期値に戻るまで,地下水の排水孔からの回収と,処理施設における浄化処理が行われた。施工後には,地盤改良効果や地下水の水質への影響を把握するため,以下の項目についてモニタリングが行われた。・土中の電気抵抗値モニタリング(施工前から施工後まで継続的に実施)・アンモニウムイオン濃度および電気伝導度測定による土中水の水質モニタリング・せん断波速度測定・コーン貫入試験(CPT)・静的貫入試験(SPT)・音波振動コア採取・施工後の掘削試料の CaCO3 析出量の測定- 73 - (4)実験結果と結果に対する判断①事前検討における砂の改良効果事前検討では実験の規模が大きくなると,CaCO3 析出に不均一性がみられ,十分な改良効果を得るには検討の余地が残ったが,供試体レベルでは,固化処理後の砂供試体の一軸圧縮強度が 12MPa まで増加する結果も得られていた。② 試験施工における砂礫地盤の改良効果施工後には掘削が試みられた。地表面から 2m 以深の地下水面以下では不攪乱試料は採取できなかった。掘削で得られた乱れた砂礫中には,砂礫の乾燥質量に対して約6%の CaCO3 の析出が確認された。一方,CPT と SPT のいずれの貫入試験においても,施工の前後で結果に顕著な違いは見られなかった。CaCO3 の結晶の状態にもよると考えられ,貫入試験で見る限りではあるが,現地地盤の砂礫の乾燥質量に対して 6%程度の CaCO3 析出により得られる改良効果は限定的なものと評価された。試験施工のような規模では,目的の結果が得られなかった場合の費用的,時間的な打撃が大きく,周辺住民の生活への支障が生じる事態も想定される。そのため,4.4.5までに例示したような,室内の小規模な試験や限られた範囲における試験により,目的の固化効果を得るために有利と考えられる微生物や固化成分,活性化成分といった材料に関する検討,対象範囲全体で目的の固化効果を得るための材料の利用や地盤への供給方法に関する検討,固化処理による地盤内への影響についての検討等を経て,慎重に施工条件・方法を決める必要がある。また,試験施工の結果,事前検討に反して目的の固化効果が得られない場合や周辺環境への悪影響が懸念される場合は,その要因を分析し,対応策を明確にしたうえで実施工に進む必要がある。- 74 - <第4章4.1)参考文献>坂崎利一,吉崎悦郎,三木寛二 著:新 細菌培地学講座・下 I,近代出版,19784.2)畠俊郎,横山珠美,阿部廣史:尿素加水分解速度に基づく微生物固化技術の沿岸域への適用性評価,地盤工学ジャーナル Vol.8,No.4,pp.505515,20134.3)地盤工学会:土質試験の方法と解説,安定処理土の締固めをしない供試体作製方法,20094.4)地盤工学会:地盤材料試験の方法と解説,20094.5)土木研究所寒地土木研究所:泥炭性軟弱地盤対策工マニュアル,20114.6)椋木俊文,吉永智昭,川﨑了:異なる pH および有機栄養源がバイオグラウトの生成に及ぼす影響評価に関する基礎的研究,地盤工学ジャーナル,Vol.5, No. 1, pp. 69-80, 20104.7)Leon van Paassen; Bio-mediated ground improvement: Fromlaboratory experiment to pilot applications, Geo-Frontiers Congress20114.8) Leon van Paassen, M. P. Harkes, G. A. Van Zwieten, W. H. VanDer Zon, W. R L Van Der Star and M. C M Van Loosdrecht : Scale upof BioGrout: A biological ground reinforcement method, Proceedingsof the 17th International Conference on Soil Mechanics andGeotechnical Engineering, pp.2328-2333, 2009.4.9)Leon A. van Paassen, Ranajit Ghose, Thomas J. M. van derLinden, Wouter R. L. van der Star and Mark C. M. van Loosdrecht; Quantifying Biomediated Ground Improvement by Ureolysis: LargeScale Biogrout Experiment, JOURNAL OF GEOTECHNICAL ANDGEOENVIRONMENTAL ENGINEERING, pp.1721-1728, 2010.- 75 - 5.炭酸カルシウム法を用いた固化の可能性5.1期待できる用途炭酸カルシウム法については様々な用途への適用が期待され,研究が進められている。析出させた CaCO3 で土粒子同士が接合されるしくみ,微生物や酵素,固化成分や活性化成分の与え方次第で,改良後の透水性を調整可能なこと等を活かせる用途を想定し,適用条件や施工時の材料の与え方(配合や施工法)の検討が行われている。土の補強や液状化対策については4.までに述べたとおり,CaCO3 による土粒子同士の接合を利用したもので,研究事例も多い。その他にも,コンクリートや岩の亀裂の修復 5.1),土の表面や地下水の浄化 5.2),遮水効果を利用したオアシス造成5.3),二酸化炭素や同位体元素の固定5.4)等が検討されている。炭酸カルシウム法により CO2 を固定し,それを排出させずに新たな CaCO3 析出や土の固化に利用できれば,CO2 排出量を削減でき,地球温暖化防止への貢献も期待できる。5.2配慮が必要な事項炭酸カルシウム法では,尿素分解酵素を有する微生物(尿素分解菌)あるいは酵素自体を使用する。酵素自体の使用は,自然界に与える影響が非常に小さい,あるいは,ないと考えられるため,ここでは,炭酸カルシウム法によって尿素分解菌を現場に適用する際の①パブリック・アクセプタンス(Public Acceptance,PA,社会的受容性),②環境影響評価について述べる。5.2.1パブリック・アクセプタンス我が国では,「微生物」あるいは「菌」という言葉を耳にすると,一般的に肉眼で見えないことから不安になることに加え,病原性やバイ菌といった悪いイメージを持つ場合が多い。一方,欧米を中心とする海外では,新しい技術の現場での適用に対して比較的寛容性が大きく寛大であり,お国柄あるいは国民性の違いが存在している。炭酸カルシウム法で使用する微生物は尿素分解菌であり,その名前が一般的であるとはいえないが,実際には私たちの周辺環境,例えば,庭,公園,畑,森- 76 - 林の地盤中あるいは湖水や海水の中に多種多様な尿素分解菌が生息していることは,あまり知られていない。すなわち,尿素分解酵素であるウレアーゼの活性の大小が異なる多種多様な尿素分解菌が,私たちの身の回りには広く自然に生息している。よって,現場を管理する地方公共団体および周辺の住民に対しては,既存の具体的な実験・計測データおよび後述する環境影響評価の要点を示しながら丁寧な説明を行うことが,炭酸カルシウム法の適用に関して理解を得ることの近道と思われる。5.2.2環境影響評価炭酸カルシウム法の現場への適用に関しては,これとよく似た先行の利用指針であり,平成 17 年 3 月 30 日に経済産業省と環境省によって制定された「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」5.5)が参考になると思われる。この指針は,微生物の開放系利用であるバイオレメディエーション( Bioremediation ) の 中 で も , 特 に バ イ オ オ ー グ メ ン テ ー シ ョ ン(Bioaugmentation)を実施する際の安全性の確保に万全を期すための指針である。ここに,バイオオーグメンテーションとは,バイオレメディエーションのうち,外部で培養した微生物を導入することによるものをいう。一般的には,自然環境から分離した特定の微生物を選択して培養したものを意図的に一定区域に導入することによって,汚染された土壌,地下水等の浄化を図ろうとするものである。指針は,次の 6 つの章から構成されている。第一章総則第二章浄化事業計画の作成第三章生態系等への影響評価の実施第四章浄化事業の実施及び終了第五章経済産業大臣及び環境大臣による確認第六章留意事項各章の詳しい内容については同指針に譲るが,同指針では微生物を導入する目的が土壌,地下水等の環境汚染の浄化であるのに対し,炭酸カルシウム法では微生物を導入する目的が地盤の固化や地下水の透水性低減であり,その他の検- 77 - 討事項・確認事項に関しては多くの共通する部分が存在していると考えられる。よって,例えば次のように炭酸カルシウム法に適合するように内容を置き換えることができれば,炭酸カルシウム法の利用指針としての転用可能性もあると考えられる。① 「浄化事業」は「固化事業」などに置き換え,適切な定義を記載する。②「浄化対象物質」および「浄化対象環境媒体」は「固化対象地盤」などと置き換え,適用可能な対象地盤について記載する。③ 「浄化目標濃度」は「固化目標強度」などに置き換える。④ 「浄化技術」は「固化技術」などに置き換える。将来,炭酸カルシウム法の利用指針を作成する場合には,上記以外にも内容について全体を詳しく吟味する必要がある。いずれにせよ,我が国において炭酸カルシウム法を実用化するためには,利用指針が策定されることが望ましいと考えられる。- 78 - <第5章5.1)参考文献>Yang, Z., Cheng, X. and Li, M.: Engineering properties of MICP-bonded sandstones used for historical masonry building restoration,Geo-Frontiers 2011, pp.4031–4040, ASCE, 2011.5.2)Chu, J., Ivanov, V., Lee, M. F., Oh, X. M. and He, J. : Soil and wastetreatment using biocement, Proceedings of the InternationalSymposium on Ground Improvement Technologies and CaseHistories, ISGI’09, pp.165–170, 2009.5.3)Chu, J., Ivanov, V., Naeimi, M., Li, B. and Stabnikov, V.:Development of microbial geotechnology in Singapore, Geo-Frontiers2011, pp. 4070–4078, ASCE, 2011.5.4)Manning, D. A. C., Lopez-Capel, E., White1, M. L. and Barker, S.:Carbon isotope determination for separate components ofheterogeneous materials using coupled thermographimetricanalysis/isotope ratio mass spectrometry, Rapid Communications inMass Spectrometry, 22, pp.1187-1195, 2008.5.5)環境省ホームページ:微生物によるバイオレメディエーション利用指針,http://www.env.go.jp/air/tech/bio/an050330.pdf- 79 - 参考資料参考資料1微生物とは参考資料2用語解説参考資料3微生物の調達方法参考資料4参考文献 参考資料1微生物とは本論では地盤改良技術への微生物の利用について述べたが,ここでは,生物の中における微生物の位置づけや,微生物の多様性について紹介する参 1)参 2)。1.微生物学の歴史微生物学とは,目に見えぬ微小な生物を研究する学問である。発酵,腐敗,伝染病などの現象を我々は古くから知っている。しかし,微生物の存在が認識され,上記の現象が微生物によるものと知られるようになったのは,顕微鏡が発見され使用されるようになってからである。微生物学の進展に大きく貢献した人物としてパスツールとコッホを挙げることができる。パスツールは,酸素の存在下で活動する微生物と非存在下で活動する微生物があることを示して,それぞれに対して好気的(酸素を利用してエネルギーを得る),嫌気的(酸素を必要とせずにエネルギーを得る)という概念を与えた。コッホは微生物学の基本的な実験方法であり,目的の微生物のみを抽出,培養する純粋分離,純粋培養法を完成させた。そして,動物の病気と微生物の関係を明確にした。19 世紀から 20 世紀にかけて,多数の原生動物,真菌,ウイルスが病原微生物(病原体)として発見された。そして,微生物は,抗生物質,ビタミン,酵素,アミノ酸など,種々の有用な物質を生産することも明らかになった。微生物学と生物学(動植物を対象とした研究分野)は,当初,異なる発展をしてきた。しかし,20 世紀初頭からの代謝の研究および,20 世紀後半からの遺伝の研究が進むにつれ,微生物学と生物学は取り扱う現象についても,研究方法についても融合が進んできている。2.微生物の分類上の位置づけ微生物の種類と分類の位置づけを参図 1-1 に示す。現在,全生物はバクテリア,アーキア,そして真核生物(ユーカリア)の 3 つのドメインに分類されるとする「三ドメイン説」が広く認められている。微生物学者が研究対象とする微生物には,バクテリアに属するもの,アーキアに属するもの,真核生物に属する- 81 - ものがある。ドメインのすぐ下位の分類階級は界であり,さらに門,綱,目,科,属,種と細分される。細菌,古細菌,真核生物はドメインの単位に属し,真菌類,クロミスタ,原生動物,植物,動物は界の単位に属する。細菌(バクテリア)(原核生物)古細菌(アーキア)(微生物)生物真菌類クロミスタ(藻類)真核生物(ユーカリア)原生動物植物動物ウイルス参図 1-1 微生物の種類と分類の位置づけ(青木,2007 参 1)に一部加筆)2.1真菌類真菌類は,単に菌類とも呼ばれる。真菌類を含む真核生物の細胞は,一般にバクテリアやアーキアのものに比べて大きく,10~100μm の直径を持つ。通常,硬い細胞壁に囲まれた細胞からなる。細胞内の構造は原核生物に比べ複雑である。染色体を核膜で包んだ構造体である核があるだけでなく,小胞体,ゴルジ体など複雑な膜構造体を持っている。また,エネルギー生産のためのミトコンドリアやリソソーム,液胞など細胞内小器官(オルガネラ)が含まれている。真菌類は,一般に,糸状に細胞が連なった菌糸と呼ばれる構造を持つ。真菌類の繁殖は一般に,胞子の分散により行われる。また,酵母のように出芽で増える場合やカビのように菌糸を伸ばして生息場所を広げる場合がある。- 82 - 2.2細菌(バクテリア)細菌の細胞は,真菌と比較して小さく,幅は数μm,長さは数十μm 以下である。真核生物(真菌)と,原核生物(細菌とアーキア)の細胞構造は,大きく異なる。真核生物では複数の染色体が核膜で仕切られた核の中に存在しているのに対し,原核生物は 1 つの染色体を細胞質内に持つシンプルな細胞構造である。細菌の基本構造は,細胞膜や核様体,リボソームといった生命活動に必須な共通の構造体と,細胞壁,べん毛,線毛などの特殊な構造体とから成り立っている。数多くの細菌が運動能を持っている。べん毛(細菌のものは原生生物の鞭毛とは構造が異なるため,「べん毛」と表記される)を回転させることにより,自らを押したり,逆に引っ張ることにより水の中を動き回る。細菌の分類学者たちは,すでに 1 万 1000 種を超える細菌を分離培養し,分類し,目録に載せている。その一方,環境中の遺伝子を直接分析し,細菌の多様性を解明する研究が精力的に行われていて,それらの結果,環境中には未だ分離培養されていない細菌が多数存在していることが明らかとなってきている。2.3アーキア(古細菌)アーキアは,原核生物でありながら,複製,転写,翻訳など,いくつかの点で真核生物に類似の機構をもっており,真核生物の起源であると考えられている。多彩な代謝経路を持っており,酸化的環境(好気環境)だけでなく無酸素環境(嫌気環境)にも存在している。高温,高圧,高塩濃度などの極限環境で生息しているものが多い。3.ウイルスウイルスは,細胞構造を持たず,単独では増殖できない。ほかの細胞に感染して,感染した細胞の持つ核酸やタンパク質の合成メカニズムを利用して増殖する必要がある。ウイルスの直径の範囲は 20~600nm である。ウイルスの構造は原核生物の細胞よりもはるかに単純である。ウイルスのゲノムは 1 本あるいは複数の核酸(DNA または RNA)であり,カプシドとよばれるタンパク質がそれを覆っている。このように,ウイルスは核酸とタンパク質の複合体が粒子構造をとる。- 83 - ウイルスは増殖し,その過程で突然変異を起こすなど,生物としての性質をもっている。しかし,自分自身で外から栄養分やエネルギーを得ることはできないから,無生物ともいえる。生物としての性質を表すためには,ほかの生物の生細胞に依存しなければならない。4.ヒトの体の中にすむ微生物ヒトの体は約 40 兆個の細胞で構成されており,一方,100 兆個の細菌(バクテリア)を体(主に腸内)に生息させている。加えて,1000 兆個のウイルスも体内に存在している。これらバクテリアやウイルスだけでなく,アーキア,真菌類をはじめとする真核微生物も体の中で生息している。我々は,微生物が引き起こす感染症に対して強い関心を持っている。しかし,多様性を持つ膨大な種類が存在する微生物の中で,ヒトの健康を害し疾病を起こす微生物はごく少数であり,ほとんどの微生物は我々にとって無害なものである。<参考資料 1参考文献>参 1)青木健次編著:微生物学,化学同人,2007 年.参 2)Nicholas P. Money(花田智訳):微生物丸善出版,2016 年.- 84 -目には見えない支配者たち, 参考資料2用語解説本文中の用語について,以下に解説を示す。セメンテーション土粒子間の間隙水に含まれる結合物質が,長年にわたり土粒子間に沈殿して化学的に土粒子を結合させること脱窒素作用硝酸または亜硝酸が,脱窒素細菌によって分解されて窒素ガスに変化する作用バイオレメディエーション(Bioremediation)生物を用いて土壌や地下水等の汚染を修復する技術の総称バイオスティミュレーション(Biostimulation)バイオレメディエーションのうち,浄化対象の土に生息する微生物を利用して土壌や地下水の汚染を修復する方法バイオオーグメンテーション(Bioaugmentation)バイオレメディエーションのうち,浄化対象の土の外から投入した微生物を利用して土壌や地下水の汚染を修復する方法。浄化対象の土に生息していた微生物を抽出し,培養した後に土に戻して利用する場合もバイオオーグメンテーションに含まれる。ゲル化コロイド溶液がゼリー状に固化することヒドロキシアパタイト水酸化リン酸カルシウム。骨組織の成分であり,人工骨や人工歯根に用いられる。- 85 - サンドゲル注入剤を砂に浸透させ,硬化させた固結物培地細胞や微生物が成長しやすいよう人工的に作られた環境。寒天などで固められた固体のもの(固体培地)と,液体状で存在するもの(液体培地)がある。復水微生物をフリーズドライ等により保存するために添加された材料を除去して,微生物の活動を再開させること。ウレアーゼ尿素を加水分解することのできる酵素(タンパク質)。植物に含まれるものや,微生物の活動によって作られるものがある。植物から抽出して粉末にしたものは,実験用試薬としての市販もされている。生物資源バンク菌株等の生物資源を保有,分譲する機関であり,特定の微生物等を入手する場合の申込み先となる。申込みに当たり,当該生物資源バンクが目的の種類を保有しているか事前に確認が必要である。また,入手後の生物資源の扱い(利用方法,入手者の実験室外の持出し等)や,生物資源を用いた研究成果の公表方法については,入手した生物資源バンクの規約に従う必要がある。尿素分解反応尿素がアンモニアと二酸化炭素になる反応。以下のような化学反応式で示される。CO(NH2)2+3H2O→ 2NH4++2OH-+CO2- 86 - 固化成分固化処理に当たり供給される成分のうち,炭酸カルシウム法による土の固化に不可欠な成分を,本手引きの説明では「固化成分」と呼んだ。尿素やカルシウムイオンがこれに当たる。活性化成分固化処理に当たり供給される成分のうち,炭酸カルシウム法による土の固化に不可欠とはいえないが,微生物の栄養源となる成分や,微生物の活動を促進する成分を,本手引きの説明では「活性化成分」と呼んだ。既往研究等で用いられることの多いニュートリエントブロス(微生物の栄養源),塩化アンモニウム(微生物の活動しやすい環境作り),炭酸水素ナトリウム(pH 調整)は,これに当たる。ニュートリエントブロス(Nutrient broth)微生物の栄養源となる物質で,ペプトンや肉エキスからなる。試薬として市販もされている。希釈平板法特定の種類の微生物のみを単離する方法の 1 つであり,滅菌された液体で希釈し,平板型の寒天培地上に広げて培養する。培養後の寒天培地上には単離した微生物のコロニーが形成されるので,微生物個体数の把握にも利用可能である。コロニー視認できるようになった微生物の集合体。当該微生物が生育可能な培地上で培養された後,培地上に点状に現れてくる。この点状のコロニーを数えることで,微生物の個体数が数えられている。- 87 - PCR(Polymerase Chain Reaction)ポリメラーゼ連鎖反応と呼ばれ,DNA サンプルに加えた DNA ポリメラーゼと呼ばれる酵素を利用して,目的の領域を連鎖的に増幅し,分析に資する量まで増やす方法である。次世代シーケンサー分析装置切断された DNA 断片の塩基配列を明らかにすることのできる装置DNA バーコーディングDNA 配列を遺伝子マーカー(ある性質を持つ個体に特有の遺伝子配列)と照合することにより,当該個体の種の同定や,他の個体と同一種とみなせるかの判断をする方法微生物群集構造解析法対象の試料中に含まれる微生物の構成や存在する割合を調べる方法呼吸鎖,キノン生物の細胞中に存在し,呼吸に関係する酵素が鎖状に並んだものが呼吸鎖である。その中で生物の代謝により生じた電子が受け渡される部分がキノンであり,ユビキノンやメナキノン等に大きく分類される。細胞中に存在するユビキノンやメナキノンの分子構造は,生物の種類によって異なる。微生物バイオマスある時点,ある空間に存在する有用な微生物,またはその量微生物代謝微生物が生命の維持,生殖や成長のため,外部から取り入れた物質に対して行う化学反応。微生物の種類により,尿素分解や脱窒,硫酸還元等がある。- 88 - クリステンゼン培地培地の一種で,尿素分解能力を有する微生物が存在するか否かの確認を主な目的として用いられる。尿素加水分解速度一定個体数の微生物が,一定時間内に分解できる尿素の量。当該微生物が有する尿素分解能力を定量的に示した指標となる。酵素活性当該酵素が一定条件下において,他の特定の物質の分解を促進する能力を定量的に示した指標。単位量の当該酵素により,分解が促進された特定の物質の量で表される。- 89 - 参考資料3微生物の調達方法微生物を購入により入手する場合の調達先として,例えば以下のような機関が想定される。多様な種類を保有している生物資源バンクや独自に採取や単離した微生物を地盤改良材と同様な扱いで販売する企業等がある。<国内>・(独)製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター(NBRC)https://www.nite.go.jp/nbrc/index.html・理化学研究所バイオリソース研究センター微生物材料開発室(JCM)https://jcm.brc.riken.jp/ja/・農研機構農業生物資源ジーンバンクhttps://www.gene.affrc.go.jp/about-micro.php・(国研)国立環境研究所微生物系統保存施設(NIES)https://mcc.nies.go.jp/index.html<海外>・BRC(Bio Resource Center)http://www.wi.knaw.nl/→経済開発協力機構(OECD)のバイオリソースセンター・WFCC(World Federation for Culture Collections)http://www.wfcc.info/→世界の微生物を保全する機関が参加する国際組織・ATCC(American Type Culture Collection)https://www.atcc.org/→世界最大の生物資源バンク目的の微生物が国内の生物資源バンクで保有され,国内で入手できる種類のものであれば,保有機関に直接申し込めばよい。国内で入手不可能な場合は,海外の生物資源バンクから取り寄せることになる。海外の生物資源バンクの中では,ATCC が多くの種類の生物資源を保有していること,国内の代理店を通じて購入できることから,目的の微生物を入手しやすいと考えられる。ATCC の国内代理店としては,住商ファーマインターナショナル(株)やフナコシ(株)がある。- 90 - 参考資料4参考文献微生物を利用した土の固化に関しては国内外で研究が進められており,本文の説明で直接引用した他にも多数の参考文献が世に出続けている。そのため,ここで挙げることのできるのは一部に過ぎないが,例を挙げておく。題名著者掲載先等Environmental Geotechnics,Volume 5 Issue EG2, pp.67-68第18回JICE研究開発助成成果報告会バイオセメントを用いる土の安定化に関する研究福江正治http://www.jice.or.jp/review/assistances/results/18thバイオセメントの特性を活かした次世代の海洋環境保全技術開 楠部真崇, 中嶋夢生, 宮坂萌々香, アグリバイオVol.2 No.7, pp.684発猪飼朋音, 青木仁孝, 林和幸685MaterialsQian Chunxiang, Wang Xin, YuA study on the cementation interface of bio-cementCharacterization,Vol.136,Xiaoniupp.122-127Buffet Jean-Philippe, FournierJerome, Lopez Pascal Jean, Corre Acta Biomaterialia, Vol.72,Adhesive gland transcriptomics uncovers a diversity of genesinvolved in glue formation in marine tube-building polychaetesErwan, Duvernois-Berthetpp.316-328EvelyneMaterials Science & Engineering.Developing a novel magnesium glycerophosphate/silicate-based Ding Zhengwen, Li Hong, LiC. Materials for Biologicalorganic-inorganic composite cement for bone repairRuijiang, Yan Yonggang, Wei JieApplications, Vol.87, pp.104-111Xiao Peng, Liu Hanlong, Xiao Yang,Adhesive gland transcriptomics uncovers a diversity of genesXiao Peng, Liu Hanlong, Xiao Yang, Soil Dynamics and Earthquakeinvolved in glue formation in marine tube-building polychaetesStuedlein Armin W., Evans T.Engineering, Vol.107, pp.9-19Matthew品田宗忠, 中島一紀, 川﨑了,平成30年度資源・素材学会北海現地の微生物を用いたMICP法による砂の固化試験青木園子, 永峰賢道支部春季講演会, C-15青木園子, 宇次原雅之, 池田淳,第53回地盤工学研究発表会発MICP法による砂の現場固化試験藤田哲, 川﨑了, 品田宗忠,表講演集, No.0321永峰賢, 深野透宮永未森, 中島一紀, 川﨑了,平成30年度資源・素材学会北海宮崎海岸周辺に生息する尿素分解菌を用いた地盤固化試験宇次原雅之, 藤田 哲道支部春季講演会, C-4土木技術, Vol.72 No.10, pp.46生物と土木 生物を使う 微生物を用いた地盤固化技術川﨑了51尿素分解型バイオグラウトへの微生物反応シミュレーションの適地盤工学ジャーナル, Vol.12秋山克, 川崎了用No.3, pp.337-349X-ray CT and multiphase flow characterization of a `bioMinto James M., Lunn Rebecca J. International Journal ofgrouted' sandstone core: The effect of dissolution on seal, Hingerl Ferdinand F. , BensonGreenhouse Gas Control,longevitySally M.Vol.64, pp.152-162栄養塩の滞留が微生物機能を利用した砂の固化に与える影響 稲垣由紀子, 加藤俊二,第52回地盤工学研究発表会発に関する検討佐々木哲也表講演集, pp.2145-2146Journal of Chemical TechnologyBiotechnological production of biogrout from iron ore andStabnikov Viktor, Ivanovand Biotechnology, Vol.92 No.1,celluloseVolodymyr, Stabnikov Viktorpp.180-187Azadi Mohammad, ShamskiaPhysical and mechanical properties of reconstructed bioSoils and Foundations, Vol.57Nasser, Ghayoomi Majid, Kalantaricemented sandNo.5, pp.698-706HosseinEditorialBrina M. Montoya- 91 -発表年2018201820182018201820182018201820182018201720172017201720172017 題名著者Dhami Navdeep K., MukherjeeBacterial Community Dynamics and Biocement Formation duringAbhijit, Alsubhi Walaa R., WatkinStimulation and Augmentation: Implications for Soil ConsolidationElizabethOmoregie Armstrong Ighodalo,Experimental optimisation of various cultural conditions onKhoshdelnezamiha Ghazaleh,urease activity for isolated Sporosarcina pasteurii strains andSenian Nurnajwani, Nissom Peterevaluation of their biocement potentialsMorin, Ong Dominic Ek LeongSchamel Martha, Groll Juergen,Intrinsic 3D Prestressing: A New Route for Increasing StrengthGbureck Uwe, Barralet Jake E.,and Improving Toughness of Hybrid Inorganic BiocementsGelinsky MichaelDhanarajan Gunaseelan,Rangarajan Vivek, BandiBiosurfactant-biopolymer driven microbial enhanced oil recoveryChandrakanth, Dixit Abhivyakti,(MEOR) and its optimization by an ANN-GA hybrid techniqueAle Kranthikiran, Sen Ramkrishna,Rangarajan Vivek, Das SusmitaPIRIYAKUL Keeratikan,Effect of Mixing Patterns for Bio-CemenLAMCHATURAPATR JanjitLi Mengmeng, Zhu Xuejiao, HuangBiomineralization in metakaolin modified cement mortar toMinsheng, Achal Varenyam,improve its strength with lowered cement contentMukherjee AbhijitBlum Carina, Brueckner Theresa,Mg:Ca ratio as regulating factor for osteoclastic in vitroEwald Andrea, Gbureck Uwe,resorption of struvite biocementsIgnatius AnitaStabilization of sand particles by bio-cement based on CO2capture and utilization: Process, mechanical properties andZhan Qiwei, Qian ChunxiangmicrostructureVinay Kumar Gadi, SanandamBordoloi, Ankit Garg, LingarajEffect of shoot parameters on cracking in vegetated soilSahoo, Christian Berretta,Sreedeep SekharanHien Xuan Ta, BalasingamMuhunthan, SomayehEffects of bacterial dextran on soil geophysical propertiesRamezanian, Nehal Abu-Lail, TaeHyuk Kwon掲載先等発表年Frontiers in Microbiology, Vol.8,p.12672017Ecological Engineering, Vol.109No.PA, pp.65-752017Advanced Materials, Vol.29No.35, 2017010352017Journal of Biotechnology,Vol.256, pp.46-562017Key Engineering Materials,Vol.728, pp.396-4012017Journal of Hazardous Materials,2017Vol.329, pp.178-184Materials Science & Engineering.2017C. Materials for BiologicalApplications, Vol.73, pp.111-119Construction and BuildingMaterials, Vol.133, pp.73-802017Environmental GeotechnicsVolume 5 Issue EG2, pp.1231302017Environmental GeotechnicsVolume 5 Issue EG2, pp.1141222017Environmental GeotechnicsXihai Chen, Hongxian Guo, XiaohuiVolume 5 Issue EG2, pp.107Cheng113Noah D. Buikema, Bonnie E.Environmental GeotechnicsStabilisation of iron mine tailings through biocalcificationZwissler, Eric A. Seagren, ThomasVolume 5 Issue EG2, pp.94-106Oommen, Stanley Vitton微生物代謝によって改良された砂のダイレイタンシー特性に関す 塚本将康, 小田和広, 稲垣由紀子, 第52回地盤工学研究発表会発る試験的研究佐々木哲也表講演集, pp.539-540日経コンストラクション2017.7.24微生物で自己治癒するコンクリート浅野祐一, ヘンドリック・ヨンカース号, pp.66-67第52回地盤工学研究発表会発ウレアーゼ活性による粘性土供試体の固化実験金田一広, 畠俊郎, 川原孝洋表講演集, pp.293-294微生物固化において析出する炭酸カルシウム結晶の特性に関第52回地盤工学研究発表会発伊藤留寿都, 畠俊郎する研究表講演集, pp.1671-1672第52回地盤工学研究発表会発尿素分解菌と脱窒菌を組合せた微生物固化についての検討松林達也, 畠俊郎, 中野晶子表講演集, pp.1673-1674日経コンストラクション2017.4.10地盤にモノ入れず性能確保真鍋政彦号, pp.50-51戸井文子, 高津桃子, 中島一紀,土壌微生物を用いたリン酸カルシウム化合物のpH調整資源・素材, Vol.2016, PY-07川﨑了Calcium silicate/calcium aluminate composite biocement forTAN Y., LIU Y., LI H., LI K., BIRDI Advances in Applied Ceramicsbone restorative application: synthesis, characterisation and inG., GROVER L. M.Vol.115 No.7, pp.384-390vitro biocompatibilityBimis A., Karalekas D.,Journal of the MechanicalMonitoring of hardening and hygroscopic induced strains in aBouropoulos N., Mouzakis D.,Behavior of Biomedicalcalcium phosphate bone cement using FBG sensorZaoutsos S.Materials, Vol.60, pp.195-202Heavy metal immobilisation and particle cementation of tailingsby biomineralisation- 92 -20172017201720172017201720172017201620162016 題名著者Mineral changes in cement-sandstone matrices induced bybiocementationReal-time monitoring of calcification process by Sporosarcinapasteurii biofilmProperties of biocemented, fiber reinforced sandApplying MICP by denitrification in soils:a process analysisBiological aspects of microbial-induced calcite precipitationConstruction Biotechnology: a new area of biotechnologicalresearch and applications炭酸カルシウムの析出速度及び析出量に及ぼす諸要因に関する研究Statistical Modeling of Environmental Factors on Microbial UreaHydrolysis Process for Biocement ProductionCharacteristics Evolution of Transylvanian Sand after BiogroutTreatmentバイオグラウトのpH調整に関する基礎的研究A Novel β-Calcium Sulphate Hemihydrate InjectableBiocement: In Vitro and In Vivo StudyImprovement of bioactivity, degradability, and cytocompatibilityof biocement by addition of mesoporous magnesium silicate intosodium-magnesium phosphate cementConstruction Biotechnology: a new area of biotechnologicalresearch and applicationsBiomineralization for sustainable construction - A review ofprocesses and applicationsChelate Bonding Mechanism in a Novel Magnesium PhosphateBone CementStatistical Modeling of Environmental Factors on Microbial UreaHydrolysis Process for Biocement Productionバイオセメントによるサンゴ礫海岸の安定化に関する実験的研究‐炭酸塩によるサンゴ礫の固定‐津波堆積物の再資源化による繊維質固化処理土の最適作製条件の設定微生物代謝を利用した固化試料の液状化強度泥炭を対象とした電気伝導度によるウレアーゼ活性の推定について炭酸カルシウム生成微生物量の変化と微生物固化試料の強度との関係イースト菌によるコンクリートひび割れ補修に関する研究尿素を用いたセメント系地盤改良の施工実験微生物機能を利用した砂の固化における連続注入方法の検討土砂流出防止対策としての土壌微生物の機能掲載先等International Journal ofVerba C. , Thurber A.R., Alleau Y.,Greenhouse Gas Control,Colwell F., Torres M.E., Koley D.Vol.49, pp.312-322Harris Dustin, Ummadi JyothirGanesh, Thurber Andrew R., AllauAnalyst, Vol.141 No.10,Yvan, Verba Circe, Colwellpp.2887-2895Frederick, Torres Marta E., KoleyDipankarChoi Sun-Gyu, Wang Kejin, ChuConstruction and BuildingJianMaterials, Vol.120, pp.623-629Vinh P. Pham, Akiko Nakano,Environmental GeotechnicsWouter R. L. van der Star, Timo J.Volume 5 Issue EG2, pp.79-93Heimovaara, Leon A. van PaassenMichael Tsesarsky, Daniela Gat, Environmental GeotechnicsZeev RonenVolume 5 Issue EG2, pp.69-78STABNIKOV Viktor, STABNIKOVWorld J Microbiol Biotechnol,Viktor, IVANOV Volodymyr, CHUVol.31 No.9, pp.1303-1314Jian, CHU Jian山本沙也, 久保郁貴, 河合慶有,コンクリート工学年次論文集,氏家勲Vol.37, No.1259Advances in Materials ScienceTIRKOLAEI Hamed Khodadadi,and Engineering, Vol.2015,BILSEL Huriyep.340930KALTENBACHER Zsolt, MATEKey Eng Mater, Vol.660, pp.294Matyas Istva297資源・素材学会北海道支部春季戸井文子, 川﨑了講演会講演要旨集, Vol.2015,pp.63-64LIU Yong, ZHOU Xiaozhe, GAOScience of Advanced Materials,Wenshan, JIAO Jianbao, WANGScience of Advanced Materials,Hui, LI NingVol.7 No.12, pp.2603-2610WU Yingyang, TANG Xiaofeng,CHEN Jie, TANG Songchao,J Mater Sci Mater Med, Vol.26ZHAO Liming, HONG Hua, WEINo.9, pp.5579,1-10Jie, TANG Tingting, GUO Han, MAXuhuSTABNIKOV Viktor , STABNIKOVWorld J Microbiol Biotechnol,Viktor, IVANOV Volodymyr, CHUVol.31 No.9, pp.1303-1314Jian, CHU JianACHAL Varenyam, MUKHERJEEAbhijit, ZHANG Qiuzhuo,Earth Sci Rev, Vol.148, pp.1-17MUKHERJEE Abhijit, KUMARIDeepikaCHRISTEL Theresa, CHRISTJ Am Ceram Soc, Vol.98 No.3,Susanne, BARRALET Jake E.,pp.694-697GROLL Juergen, GBURECK UweAdvances in Materials ScienceTIRKOLAEI Hamed Khodadadi,and Engineering, Vol.2015,BILSEL Huriyep.340930実験力学, Vol.15 No.3, pp.231福江正治238実験力学, Vol.15 No.3, pp.225見知昭, 高橋弘230古山田耕司, 鈴木康嗣, 安達直人, 第50回地盤工学研究発表会発秀川貴彦, 上野嘉之表講演集, pp.1883-1884佐藤厚子, 川﨑了, 畠俊郎,第70回土木学会年次学術講演山梨高裕会講演概要集, Ⅲ-002打木弘一, 細堀建司, 伊藤恵輔,第50回地盤工学研究発表会発佐野豊生, 野田典広, 林三男,表講演集, No.951星山尚, 五十嵐央第70回土木学会年次学術講演房捷, 睦好宏史, 欒堯会講演概要集, Ⅴ-305谷川友浩, 金田一広, 甲村雄一,第50回地盤工学研究発表会発畠俊郎表講演集, No.324稲垣由紀子, 加藤俊二,第50回地盤工学研究発表会発佐々木哲也表講演集, pp.2425-2426第50回地盤工学研究発表会発藤澤久子, 下村幸男, 石塚忠範表講演集, pp.2427-2428- 93 -発表年2016201620162016201620152015201520152015201520152015201520152015201520152015201520152015201520152015 題名著者セメント改良土の微生物併用による劣化抑制に関する室内実験 三原一輝, 畠俊郎セメント系地盤改良における尿素および微生物の併用効果に関 畠俊郎, 谷川友浩, 甲村雄一,する検討金田一広微生物機能を利用した地盤改良技術の現状微生物を利用した補修工法における多析出可能な配合の検討脱窒反応を用いた炭酸塩グラウト生成の地盤環境工学的利用への検討バイオセラミックスの基礎川﨑了久保郁貴, 氏家勲, 河合慶有,矢野元智也中野晶子, VAN PAASSEN Leon,VAN DER STAR Wouter, 金山素平遠山岳史ACHAL Varenyam, ACHALBiocement, recent research in construction engineering: statusVarenyam, LI Mengmeng, ZHANGof China against rest of worldQiuzhuoWANG Juncheng, ZHANG Lei,SUN Xiaoliang, XIE Kailuo, LINPreparation and in vitro evaluation of strontium-doped calcium Mian, YANG Guojing, CHEN Xiaoyi,silicate/gypsum bioactive bone cementGOU Zhongru (Zhejiang Univ.,Hangzhou, CHN), XU Sanzhong,XIA WeiHORIUCHI Shinya, YASUEAkihiro, TANAKA Eiji, HIASAFabrications of zinc-releasing biocement combining zinc calciumMasahiro, SEKINE Kazumitsu,phosphate to calcium phosphate cementHAMADA Kenichi, ASAOKAKenzoFRANCZAK Priscila Ferraz,Synthesis and Characterization of Hydrated Calcium Phosphate:CAMARGO Nelson Heriberto A.,Precursors for Obtaining BiocementsCORREA Pricyla, GEMELLI Enori浦安砂に対する微生物機能による地盤改良法の適用可能性の佐々木翼, 桑野玲子評価微生物機能により固化した細粒分混じり砂の液状化強度の評価 佐々木翼, 桑野玲子微生物代謝により固化した砂に関する繰返し非排水三軸試験稲垣由紀子, 塚本将康,佐々木哲也, 川﨑了微生物固化処理土畠俊郎生体触媒を利用した炭酸カルシウム結晶析出による地盤固化効 安原英明, Debendra NEUPANE,果の検討木下尚樹, 林和幸, 海野寿康地盤工学と微生物高畑陽地震時液状化リスク低減を目的とした新環境バイオグラウトの開安原英明発岩本晃嗣, 金山素平), 中野晶子,カキ殻を利用した土の微生物固化処理技術に関する基礎的研究東孝寛, 大坪政美金山素平, 東孝寛, 赤司将高,カキ殻を用いた土の微生物固化処理に関する基礎的研究中野晶子, 大坪政美高本直樹, 氏家勲, 岡崎慎一郎,微生物代謝を利用した漏水箇所の補修工法の開発 山本潤KIM Daehyeon, PARK KyunghoInjection Effect of Bio-Grount for Soft Ground(Chosun Univ., Gwangju, KOR)Evaluation of Porosity and Its Variation in Porous MaterialsKATO Masaji, KAWASAKI Satoru,Using Microfocus X-ray Computed Tomography Considering the KANEKO Katsuhiko, TAKAHASHIPartial Volume EffectManabu, MUKUNOKI Toshifumiリン酸カルシウム化合物と尿素分解菌を用いた砂の固化特性川﨑了- 94 -掲載先等第50回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.649-650第50回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.645-646Journal of MMIJ, Vol.131,pp.155-163コンクリート工学年次論文集,Vol.36, No.1318発表年2015201520152014第49回地盤工学研究発表会発表講演集, No.10652014Phosphorus Letter, No.81,pp.27-312014Adv Cem Res, Vol.26 No.5,pp.281-2912014Biomed Mater, Vol.9 No.4,p.045002,1-132014J Mech Behav Biomed Mater,Vol.29, pp.151-1602014Mater Sci Forum, Vol.798/799,pp.443-4482014生産研究, 第66巻4号, pp.337339第49回地盤工学研究発表会発表講演集, No.819第49回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.605-606地盤工学会誌, Vol.62 No.6,pp.35-36土木学会論文集C, Vol.70 No2,pp.290-300地盤工学会誌, Vol.61 No.11/12,pp.14-17山陽放送学術文化財団リポート,No.57, pp.18-22農業農村工学会大会講演会講演要旨集, Vol.2013, pp.784-785粘土科学, Vol.52 No.1, p.1-8第68回土木学会年次学術講演会講演概要集, Ⅴ-186Adv Sci Lett, Vol.19 No.2,pp.468-472Mater Trans, Vol.54 No.9,pp.1678-1685201420142014201420142013201320132013201320132013資源・素材学会北海道支部春季講演会講演要旨集, Vol.2013,2013pp.43-44 題名Biogenic treatment improves the durability and remediates thecracks of concrete structuresHalotolerant, alkaliphilic urease-producing bacteria fromdifferent climate zones and their application for biocementationof sandPreparation and properties of tetracalcium phosphate-monetitebiocement著者2013STABNIKOV Viktor, JIAN Chu,IVANOV Volodymyr, LI YishanWorld J Microbiol Biotechnol,Vol.29 No.8, pp.1453-14602013MEDVECKY L., GIRETOVA M.,SOPCAK T.Mater Lett, Vol.100, pp.137-140 2013加納誠二, 越智恭平微生物を利用した細粒分を含む砂の固化に関する基礎検討佐々木翼, 桑野玲子尿素加水分解速度に基づく微生物固化技術の沿岸域への適用畠俊郎, 横山珠美, 阿部廣史評価セメント物質に着目したビーチロックの形成メカニズムに関する考檀上尭, 川﨑了察佐々木哲也, 加藤 俊二,微生物機能を活用した次世代地盤改良技術に関する研究①稲垣 由紀子微生物代謝を活用した親環境地盤改良技術(バイオグラウト)の開発 A bio-chemo-hydro-mechanical model for microbially inducedcalcite precipitation in soils山梨高裕, 福島宏文, 佐藤厚子安原英明FAURIEL S., LALOUI L.WIJNGAARDEN W. K.,A Mathematical Model and Analytical Solution for the Fixation ofVERMOLEN F. J., VUIK C.,Bacteria in Biogrout A Mathematical Model and AnalyticalWIJNGAARDEN W. K., MEURS G.Solution for the Fixation of Bacteria in BiogroutA. M.SONG N., LIU Y., ZHANG Y., TANSynthesis and characterisation of iron substituted apatiteY. N.WU Fan, NGOTHAI Yung, O'NEILLPremixed, injectable PLA-modified calcium deficient apatiteBrian, WEI Jie, LIU Changsheng,biocement (cd-AB) with washout resistanceWU Yuequn北島洋二, 山木克則, 山本将史,有機物反応を利用したビーチロック形成の促進技術研究茅根創塚本将康, 稲垣由紀子, 石原雅規,微生物代謝により固化させた砂供試体のせん断特性と透水性佐々木哲也リン酸カルシウム化合物によって固化した砂供試体の一軸圧縮秋山克, 川﨑了強さに及ぼす各種粉末添加の影響微生物機能によるビーチロックの生成促進に関する研究ウレアーゼ産出能を持つ微生物によるビーチロック形成促進効果に関する検証沖縄本島ビーチロックの物理・力学特性ビーチロックの物理・力学特性ビーチロック形成機構に学ぶ新しい地盤固化技術の開発貝殻混合剤によるグラウンド表層材の土質改良効果高有機質土(泥炭)由来の土壌微生物による炭酸カルシウム析出技術に関する実験的研究Modelling Biogrout: A New Ground Improvement Method Basedon Microbial-Induced Carbonate Precipitation発表年ACHAL Varenyam, MUKERJEEConstr Build Mater, Vol.48,Abhijeet, SUDHAKARA REDDY M. pp.1-5ビーチロックから採取したウレアーゼ活性菌微生物機能を活用した次世代地盤改良技術に関する研究②掲載先等第68回土木学会年次学術講演会講演概要集, Ⅲ-095生産研究, 第65巻4号, pp.545547地盤工学ジャーナル, Vol.8 No.4,pp.505-515Journal of MMIJ, Vol.129, No.7,pp.520-528平成25年度土木研究所成果報告書平成25年度土木研究所成果報告書Inst Ferment Osaka ResCommun, No.26, p.204Comput Geotech, Vol.46,pp.104-120- 95 -2013201320132013201320122012Transp Porous Media, Vol.92No.3, pp.847-8662012Advances in Applied Ceramics,Vol.111 No.8, pp.466-4712012Colloids Surf B Biointerfaces,Vol.92, pp.113-1202012地球環境シンポジウム講演集,第20巻, pp.155-159全地連技術フォーラム2012,No.48地盤工学ジャーナル, Vol.7 No3,pp.491-501土木学会中部支部研究発表会荒井啓佑, 畠俊郎(2012.3), Ⅲ-032第67回土木学会年次学術講演横山珠美, 畠俊郎会講演概要集, Ⅲ-064応用地質, Vol.53 No.4, pp.191檀上尭, 川﨑了200第41回岩盤力学に関するシンポ檀上尭, 川﨑了, 畠俊郎ジウム講演集, pp.89-94研究報告, 平成24年度, 土木分川﨑了野No.1重松宏明, 小田憲一, 樋口恵美子, 土木学会論文集C, Vol.68 No1,高野典礼, 田崎宏pp.138-149畠俊郎, 佐藤厚子, 川﨑了,土木学会論文集C, Vol.68 No1,阿部寛史pp.31-40WIJNGAARDEN W. K.,Transp Porous Media, Vol.87VERMOLEN F. J., VUIK C.,WIJNGAARDEN W. K., MEURS G. No.2, pp.397-420A. M.リン酸カルシウム化合物を用いた新しい地盤注入材に関する基礎的研究 −アンモニア供給源および土壌微生物の添加が供試 秋山克, 川﨑了, 青井標野体の一軸圧縮強さに及ぼす影響−金山素平, 大坪政美, 東孝寛,カキ殻を用いた土の微生物固化処理に関する基礎的研究赤司将高201320122012201220122012201220122012201220122011地盤工学ジャーナル, Vol.6 No.4,2011pp.513-524農業農村工学会九州支部講演会, Vol.92nd, pp.172-1752011 題名著者リン酸カルシウム化合物を用いた新しい地盤注入材に関する基秋山克, 川﨑了礎的研究−結晶析出試験と砂供試体の一軸圧縮試験−泥炭のバイオ固化処理に関する基礎的研究有山萌奈, 川﨑了, 佐藤厚子,畠俊郎Biocement production from silicon-rich plant residues:Perspectives and future potential in CanadaMADANI HOSSEINI Mahsa,WHALEN Joann K., SHAO YixinSTABNIKOV Viktor, NAEIMIFormation of water-impermeable crust on sand surface usingMaryam, IVANOV Volodymyr,biocementCHU JianMEHRBAN N., PAXTON J. Z.,Comparing physicochemical properties of printed and hand cast BOWEN J., BOLARINWA A.,biocements designed for ligament replacementGROVER L. M., VORNDRAN E.,GBURECK U.VORNDRAN Elke, EWALD Andrea,Formation and properties of magnesium-ammonium-phosphate KUFNER Andreas, GBURECKhexahydrate biocements in the Ca-Mg-PO4 systemUwe, MUELLER Frank A., ZORNKatharina有機的地盤改良による地震波増幅低減効果に関する提案ウレアーゼ産生微生物による炭酸塩粒子の生長微生物代謝を利用した砂の液状化対策効果沿岸環境における微生物固化の適用性に関する実験的検討ウレアーゼ活性を有する微生物による沿岸域を対象とした微生物固化の適用性評価微生物代謝による液状化対策に関する動的遠心模型実験掲載先等地盤工学ジャーナル, Vol.6 No.2,2011pp.341-350資源・素材学会北海道支部春季講演会講演要旨集, Vol.2011,2011pp.53-54Biosyst Eng, Vol.110 No.4,2011pp.351-362Cem Concr Res, Vol.41 No.11pp.1143-11492011Adv Appl Ceram, Vol.110 No.3,pp.162-1672011J Mater Sci Mater Med, Vol.22No.3, pp.429-4362011アーバンインフラ・テクノロジー小澤宣行, 安岡千尋, 大場紀代人,推進会議第31回技術研究発表高橋雄治, 濱田純次会,福江正治, 小野信一, 佐藤義夫,地盤工学ジャーナル, Vol.6 No.3,坂本泉pp.455-464稲垣由紀子, 塚本将康, 森 啓年,土木技術資料53-11, pp.26-29中島 進, 佐々木哲也土木学会中部支部研究発表会赤津由伊子, 立野菜緒, 畠俊郎(2011.3), Ⅶ-013地盤工学ジャーナル, Vol.6 No.2,畠俊郎, 立野菜緒, 阿部廣史pp.305-315稲垣由紀子, 塚本将康, 森啓年,地盤工学ジャーナル, Vol.6 No.2,中島進, 佐々木哲也, 川﨑了pp.157-167BIOSEALING, UNE TECHNIQUE ECOLOGIQUE POUR LUTTERCONTRE LES FUITES ET ECOULEMENTS D'EAU DANS LEMarie‐Noelle, LAMBERT JohnSOLBIOCALCIS, UN NOUVEAU PROCEDE DE CONSOLIDATIONFILET Annette Esnault, GADRETDE SOLS PAR VOIE BIOLOGIQUEJean‐Pierre, BOREL SergeVAN PAASSEN Leon A., GHOSERanajit, VAN LOOSDRECHT MarkQuantifying Biomediated Ground Improvement by Ureolysis:C. M., VAN DER LINDEN ThomasLarge-Scale Biogrout ExperimentJ. M., VAN DER STAR Wouter R.L.松下ゆかり, 岡崎慎一郎,バイオグラウトのひび割れ補修に対する可能性への検討安原英明, 氏家勲松下ゆかり, 岡崎慎一郎,微生物代謝を利用したコンクリートのひび割れ補修工法の開発安原英明, 氏家勲川﨑了, 広吉直樹, 恒川昌美,土壌微生物による炭酸カルシウム析出に及ぼす温度の影響金子勝比古, 小潟暁, 寺島麗201120112011201120112011Travaux, No.877, pp.66-682010Travaux, No.877, pp.62-652010J Geotech Geoenviron Eng,Vol.136 No.12, pp.1721-17282010第65回土木学会年次学術講演会講演概要集, V-395コンクリート工学年次論文集,Vol.32, No.125720102010応用地質, Vol.51 No.1, pp.10-18 2010資源・素材学会北海道支部春季檀上尭, 川﨑了, 金子勝比古,バイオグラウト供試体の力学特性に関する検討講演会講演要旨集, Vol.2010,寺島麗pp.21-22微生物代謝を利用したバイオカバーソイルの開発に関する基礎 椋木俊文, 川﨑了, 下屋敷覚弘,地盤工学ジャーナル, Vol.5 No.4,的研究吉永智昭pp.545-553檀上尭, 川崎了, 金子勝比古,資源・素材, Vol.2010 大会プロバイオグラウト改良土の力学特性寺島麗グラム, p.89溶媒のpHおよび有機栄養源がバイオカバーソイルの生成と特性地盤工学ジャーナル, Vol.5 No.1,椋木俊文, 吉永智昭, 川﨑了に及ぼす影響評価に関する基礎的研究pp.69-80X線CT法によるバイオグラウト処理された供試体内部の間隙率 小林優矢, 川崎了, 加藤昌治,岩盤力学に関するシンポジウム評価金子勝比古, 椋木俊文講演集, Vol.39th, No.39平成22年度土木研究所成果報微生物機能による自己修復性地盤改良技術の開発(1)佐々木哲也, 森啓年, 稲垣由紀子告書平成22年度土木研究所成果報微生物機能による自己修復性地盤改良技術の開発(2)西本聡, 佐藤厚子, 林宏親告書稲垣由紀子, 塚本将康, 森啓年,第65回土木学会年次学術講演微生物の動きが地盤固化に与える影響についての基礎実験佐々木哲也, 曽我健一,会講演概要集, Ⅶ-190Ahmed Al Qabany, 畠 俊郎- 96 -発表年20102010201020102010201020102010 題名微生物機能を用いた新しい現位置地盤改良技術に関する実験的研究炭酸カルシウム結晶析出による砂の力学特性の改善効果炭酸カルシウム結晶析出による砂の液状化特性の改善効果著者掲載先等尾曽友理恵, 立野菜緒, 酒井美月,畠俊郎, 稲垣由紀子林和幸, 徒信紗也佳, 安原英明,岡村未対土木学会中部支部研究発表会(2010.3), Ⅶ-013土木学会論文集C, Vol.66 No1,pp.31-42地盤工学ジャーナル, Vol.5 No.2,pp.391-400J MMIJ, Vol.125 No.10/11,pp.540-546第44回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.761-762第44回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.581-582情報地質, Vol.20 No.2, pp.112113Proceedings of the Institution ofCivil Engineers. GeotechnicalEngineering, Vol.162 No.GE1,pp.81-83資源・素材, Vol.2009 大会プログラム, p.12岩盤力学に関するシンポジウム講演集, Vol.38th, No.22土木学会論文集C, Vol.65 No.1,pp.120-130土木学会論文集G, Vol.65 No.3,pp.202-211岩の力学国内シンポジウム講演論文集, Vol.12th, No.30第43回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.669-670地盤工学会北海道支部技術報告集, No.48 pp.27-30林和幸, 岡村未対, 安原英明バイオグラウト処理された地盤材料を用いた間隙率評価手法に 小林優矢, 川崎了, 加藤昌治,関する検討金子勝比古, 椋木俊文寺島麗, 小山忠雄, 佐々木隆光,微生物代謝を用いた地盤改良材バイオグラウトの土槽実験島田俊介, 川﨑了, 広吉直樹微生物を利用した砂供試体固化の試行実験杉本大輔, 桑野玲子X線CT画像を用いた地盤材料の空隙率の変化の抽出加藤昌治, 小林優矢, 川崎了,金子勝比古Biological in situ reinforcement of sand in near-shore areasVAN DER RUYT M., VAN DERZON W.小林優矢, 川崎了, 加藤昌治,金子勝比古, 椋木俊文小潟暁, 川崎了, 広吉直樹,微生物代謝を利用した炭酸カルシウム析出の温度依存性恒川昌美, 金子勝比古, 寺島麗微生物代謝により固化するシリカ系地盤注入材バイオグラウトの 寺島麗, 島田俊介, 小山忠雄,基礎研究川﨑了微生物機能の制御による地盤の透水性の低下・復元手法に関畠俊郎, 桑野玲子, 阿部廣史する実験的検討島田俊介, 小山忠雄, 市川智史,微生物代謝を用いたシリカ系注入材バイオグラウトの開発川﨑了, 広吉直樹X線CT法を用いたバイオグラウト処理された供試体内部の評価微生物機能を利用した地盤固化の評価方法に関する基礎実験杉本大輔, 桑野玲子バイオグラウトにおける炭酸カルシウムの析出に及ぼす温度の影響川﨑了, 小潟暁, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古, 寺島麗HAMDAN ALKHRAISATMohammad, LOPEZ−CARBACOSBiomaterials, Vol.29 No.35,Strontium modified biocements with zero order release kinetics Enrique, BLANCO Luis, MOSEKEpp.4691-4697Claus, GBURECK Uwe,BARRALET Jake E.セメント系改良地盤のCa溶脱に伴う強度低下に関するCl-の影響土木学会論文集C, Vol.64 No.2,橋本勝文, 大即信明, 西田孝弘を考慮した長期予測pp.226-237市川智史, 島田俊介, 小山忠雄,第62回土木学会年次学術講演微生物代謝を用いたバイオグラウト改良砂の繰返し三軸試験寺島麗, 川崎了, 広吉直樹会講演概要集, Ⅲ-43微生物代謝を利用した地盤固化材料の廃棄物処分場への適用第42回地盤工学研究発表会発椋木俊文, 馬場大志, 川﨑了に関する研究表講演集, pp.2201-2202寺島麗, 島田俊介, 小山忠雄,第42回地盤工学研究発表会発微生物代謝を用いたバイオグラウトの開発川﨑了, 広吉直樹表講演集, pp.887-888小林元, 川﨑了, 広吉直樹,資源・素材学会春季大会講演メタ珪酸ナトリウムを用いたバイオグラウト恒川昌美, 金子勝比古, 島田俊介 集, No.2, pp.73-74日本応用地質学会研究発表会小林元, 川﨑了, 広吉直樹,講演論文集, Vol.2007, pp.229メタ珪酸ナトリウムを用いたバイオグラウトに関する基礎的研究 恒川昌美, 金子勝比古, 寺島麗,230島田俊介資源・素材学会北海道支部春季シリカバイオグラウトによるため池底泥の固化・ゲル化に関する清田佳奈, 村上章, 川﨑了講演会講演要旨集, Vol.2007,研究pp.39-40資源・素材学会北海道支部春季バイオグラウトにおける炭酸カルシウム析出に及ぼす温度の影 小潟暁, 川﨑了, 広吉直樹,講演会講演要旨集, Vol.2007,響恒川昌美, 金子勝比古, 寺島麗pp.37-38Journal of Physics. CondensedSTEPUK A A, VERESOV A G,Matter, Vol.19 No.39,On calcium phosphate bio-cementsPUTLYAEV V Ipp.395004,1-6CHEMICALLY BONDED CERAMICS BASED ON CACeram Eng Sci Proc, Vol.27HERMANSSON L., ENGQVIST H.ALUMINATES AS BIOMATERIALSNo.6, pp.71-86藤森雄一, 福江正治, 加藤義久,土木学会論文集C, Vol.63 No.4,炭酸カルシウム含有量による地盤形成過程の評価増渕和夫, 笹島卓也pp.1163-1174- 97 -発表年201020102010200920092009200920092009200920092009200820082008200820082007200720072007200720072007200720072007 題名著者微生物の代謝活動により固化する新しいグラウトに関する基礎的研究川﨑了, 村尾彰了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古川﨑了, 村尾彰了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古村尾彰了, 川﨑了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古川﨑了, 村尾彰了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古バイオグラウトに関する研究の現状と今後の展開バイオグラウトにおける新しい緩衝溶液に関する検討土壌微生物により固化する新しいグラウトに関する基礎的検討バイオグラウトを用いた地盤の透水特性の改良試験川﨑了, 村尾彰了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古バイオグラウトによる地盤の透水特性の改良試験村尾彰了, 川﨑了, 広吉直樹,恒川昌美, 金子勝比古Biodegradable polymeric bone cement formed fromhydroxyapatite, poly(propylene fumerate), poly(vinyl pyrrolidone)and benzoyl peroxideRemoval of Phosphorus from Water Using Bio-cementComposed of Fragments of China Plate, Bone Ash, and AluminaCementボーンアッシュ—アルミナセメント混合造粒体による水中に溶存するリン酸イオンの除去The Ca/P range of nanoapatitic calcium phosphate cements.A new method to produce macropores in calcium phosphatecements.ABDULLAH Y, ALIAS N H,KAMARUDIN N, DAUD A R,KOON T CKATO N, TOKUOKA Y,KAWASHIMA N, NIIKURA Y加藤直行, 徳岡由一, 川島徳道,新倉嘉浩DRIESSENS F C M, BOLTONG MG, DE MAEYER E A P, WENZ R,NIES B, PLANELL J ADEL REAL R P, VALLET‐REGI M,WOLKE J G C, JANSEN J A掲載先等応用地質, Vol.47 No.1, pp.2-12資源・素材, Vol.2006 No.A/B,pp.39-40資源・素材, Vol.2006 大会プログラム, p.27第40回地盤工学研究発表会発表講演集, pp.1115-1116日本応用地質学会研究発表会講演論文集, Vol.2005, pp.221222資源・素材学会北海道支部春季講演会講演要旨集, Vol.2005,pp.21-22Materials Science andTechnology, Vol.20 No.9,pp.1084-1086発表年2006200620062005200520052004材料技術, Vol.22 No.2, pp.43-49 2004材料技術, Vol.21 No.4, pp.1781832003Biomaterials, Vol.23 No.19,pp.4011-40172002Biomaterials, Vol.23 No.17,pp.3673-3680Journal of the Korean CeramicSociety, Vol.38 No.7, pp.6486532002Hydrothermal Synthesis of Hydroxyapatite Whiskers forReinforcement of Biocements.SON Y D, SONG T WEvaluation of calcium phosphates and experimental calciumphosphate bone cements using osteogenic cultures.KNABE C, FITZNER R,RADLANSKI R J, GROSS U,DRIESSENS F C M, PLANELL JA, GILDENHAAR R, BERGER G,REIF DJ Biomed Mater Res, Vol.52No.3, pp.498-5082000接着のロマンとストーリー 〔65〕 新・接着剤の知識沖津俊直接着, Vol.43 No.3, pp.97-1041999Short-term dissolution behaviour of some calcium phosphatecements and ceramics.BERGER G, GILDENHAAR R,PLOSKA U, DRIESSENS F C M,PLANELL J Aリン酸塩材料の機能化 リン酸カルシウムバイオセメント門間英毅BOHNER M, LEMAITRE J, RINGTAJournal of Materials ScienceLetters, Vol.16 No.15, pp.12671269材料技術, Vol.13 No.5, pp.143147Journal of the Korean CeramicSociety, Vol.31 No.5, pp.505512Journal of Materials in CivilEngineering, Vol.6 No.1, pp.2333Cement & ConcreteComposites, Vol.16 No.1, pp.39483rd Euro−Ceram 1993 Vol 3,pp.95-100牧島亮男工業材料, Vol.40 No.6, pp.86-91 1992Compositional Effects of CaO-SiO2-P2O5 Bioactive Cement onPARK S‐J, KIM C‐YHardening and Hydroxyapatite Formation.Innovative Civil Engineering Material from Sewage Sludge:Biocement and Its Use as Blended Cement Material.TAY J‐H, SHOW K‐YMunicipal Wastewater Sludge as Cementitious and BlendedCement Materials.TAY J‐H, SHOW K‐YHydraulic properties of tricalcium phosphate-phosphoric acidwater mixtures.特集 コンピュータが創る材料・分子科学の世界 ガラスおよびセラミックスの材料設計Recent Progress in Glass-Based Materials for BiomedicalApplications.化学物質設計等支援のための知識ベースシステムに関する研究 合成理論知識ベースシステムの開発 合成理論知識ベースシステムの開発(セラミックス系物質) (科学技術庁科学技術振興局S)化学物質設計等支援のための知識ベースシステムに関する研究 合成理論知識ベースシステムの開発 合成理論知識ベースシステムの開発(セラミックス系物質) (科学技術庁科学技術振興局S)Calcium phosphate cements for medical use: State of the artand perspectives of development.KOKUBO T牧島亮男, 安井至, 門間英毅,三友護, 水谷惟恭, 二上敏朗牧島亮男, 門間英毅, 三友護,池上隆康, 安井至, 水谷惟恭,二上俊朗LEMAITRE J, MIRTCHI A,MORTIER A- 98 -日本セラミックス協会学術論文誌, Vol.99 No.10, pp.965-973分子設計・反応設計支援のための知識ベースシステム研究成果発表会 講演予稿集 平成3年,pp.165-174化学物質設計等支援のための知識ベースシステムに関する研究(第1期)成果報告書 昭和61−63年度, pp.254-277Silic Ind, Vol.52 No.9/10,pp.141-14620011997199519941994199419931991199119901987 謝辞本手引きは,公益社団法人地盤工学会の研究委員会である「次世代地盤改良技術に関する研究委員会」(2017 年度から 2019 年度)の活動の一環として作成させて頂きました。手引きの作成では,委員以外の皆様からもご意見,ご助言を頂きました。通常の委員会活動のほか,2019 年 10 月 21 日に Volodymyr Ivanov 先生を講師に招いての講演会開催,2019 年 7 月 18 日の地盤工学研究発表会におけるディスカッションセッション開催においても,調査・研究部の皆様には多大なるご協力,ご配慮を頂き,円滑に進めることができました。講演会やディスカッションセッションでは,当委員会委員以外の皆様にもご参加頂き,有意義な議論の場となりました。これらの活動を支えて下さいました皆様に心より厚く御礼申し上げます。3年間の活動期間の区切りとして本手引きをまとめましたが,微生物を利用した土の固化に関してまずは現時点で共有した認識を整理した内容となっております。皆様が参照下さった際に現状の手引きの内容や,技術の適用に際して課題が明らかになることも考えられます。また,国内外での関連分野の技術の発展に伴い,見直しや内容の充実が求められることも想定されます。そのため,お気づきの点がございましたら,ご意見等頂けますと幸甚です。研究委員会としての活動期間は終わりましたが,引き続きよろしくお願い申し上げます。2021 年 1 月公益社団法人地盤工学会次世代地盤改良技術に関する研究委員会
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