書籍詳細ページ
出版

タイトル 地盤工学会におけるダイバーシティの実現(<特集>第51回地盤工学研究発表会)
著者 田中 真弓
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707
ページ HP12〜HP13 発行 2016/11/01 文書ID jk201607070021
内容 表示
ログイン
  • タイトル
  • 地盤工学会におけるダイバーシティの実現(<特集>第51回地盤工学研究発表会)
  • 著者
  • 田中 真弓
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707
  • ページ
  • HP12〜HP13
  • 発行
  • 2016/11/01
  • 文書ID
  • jk201607070021
  • 内容
  • 地盤工学会におけるダイバーシティの実現Promotion of Gender Equality and Diversity Management in the Japanese Geotechnical Society田 中 真 弓(たなか まゆみ)男女共同参画・ダイバーシティに関する委員会 委員長,鹿島建設(株)課長代理保育園の送迎があるため時短勤1. は じ め に務を利用しており,勤務時間は出地盤工学研究発表会では,男女共同参画及びダイバー産前後で 4 時間少なくなったそシティに関する特別セッションを 2005 年以来継続してうである。1 日に対応できる仕事実施している。2010 年からは,“地域に根ざしたダイバ量が激減してしまい,最初のころーシティ”という副題のもと,研究発表会開催地で活躍は悩んでいたが,「誰かに相談すしていただいている方々を中心に話題提供していただいる」,「夫に子どもを預けて休日にている。12 回目となる本年は,中国地方で活躍されてい自分の時間を作る」,「2 才の娘さる女性・外国籍の方にも講演いただいた。本セッションんの笑顔」で悩み解決,ストレスは,地盤工学会員以外の方も無料で参加できる「一般公発散,癒し効果,で日々の活力を開」の行事として実施している。毎年,学会員以外の方養っているとのことであった。育にもご参加いただき,活発な意見交換を行う貴重な場と児関係に関する会社の取り組みとして,大成建設では,「育なっている。児サポートプログラム」や「父親セミナー」などが開催さ写真-1 小林真貴子氏れており,組織として働く女性を応援している様子が窺え2. セッションの概要た。最後に「千里の道も一歩から」という上司の方から送特別セッションは,大会初日の 2016 年 9 月 13 日午後られた言葉をご紹介いただいた。子育ては仕事より大事なに行われた。参加者総数は 35 名である。参加者に対してこと,仕事は限られた時間の中でしか今はできないが,息実施したアンケート調査によると,男女比は男性の方がの長いものと思って焦らず歩んでいきたいと力強く語っ多く 2:1 で,20 代から 60 代以上の幅広い年齢層の方にていただいた。ご参加いただいた。以下に各講演の内容と討議・意見交2.3 日本留学生活,当時の恐れと希望換の様子について記す。韓国出身の岡山大学,金 秉洙氏には,なぜ留学を日本2.1 ダイバーシティ推進のさきにあるものに決めたのか,その時に感じた「不安」などをお話しいたまず,男女共同参画・ダイバーシティに関する委員会委だいた。員長の田中真弓(鹿島建設(株))から,活動内容について金氏は,修士 1 年の時に初めて日本の大学を訪れ,日本報告をした。学会は人と人とを繋ぐ場の提供を行うのが重の大学の雰囲気や,色々な実験装置に非常に興味を持ち,要な役割の一つとし,性別や国籍,年齢にかかわらず多様ここで勉強したら立派な人間になりそうと強く思ったそな人々の交流の場として,研究発表会における「サロン・うである。その想いが日本の大学の担当教官にも通じ,留土・カフェ W」の開催,次世代育成のための女子中高生夏学を検討してみてはどうかと声をかけていただいた。しかの学校への参加,学会のホームページや Facebook を介しし,韓国のご両親に反対され,自分も言語・韓国の友人とた情報発信を紹介した。また,地盤工学会誌 2015 年 7 月の繋がりが薄れることなどに不安があり,かなり悩まれた号小特集「ダイバーシティ推進の先にあるもの」 で行っようである。だが,最終的には「10 年後の自分が今の自た技術者紹介は大変好評であったため,今後も Web にて分を見たときに後悔しない自信があるか?」を自分自身に技術者紹介を継続して行う予定である。問い,留学を決意された。日本の1)2.2 若手技術者 仕事と育児の両立奮闘記大学の博士課程に行ってからも不液状化対策や地盤改良に関する研究をしている大成建安だったが,地盤工学会の優秀論設(株)の小林真貴子氏には,妊娠,出産を機に業務内容の文発表者賞を得たことが自信にな変更や勤務時間の調整を行いながら,家庭と仕事の両立をり,今の自分の道ができたそうでされている様子をご紹介いただいた。妊娠前は外勤が多かある。った小林氏だが,妊娠が分かってからは内勤で得意でない金氏のご発表の中で,海外への解析業務を担当することになったが,腰を据えて解析を勉留学や就職は大きな不安や恐れは強するよい機会と捉えたと前向きに取り組んでおられた。あるが,「選択は本人の責任。いつも希望はある。」という言葉があっHP12写真-2金 秉洙氏地盤工学会誌,64―11/12(706/707) た。これは,将来に不安を感じている全ての人に心強い職住保の近接の確保や予防接種を休エールとなるのではないだろうか。憩時間に連れて行ったなど,育児も2.4 世代間交流ワールドカフェ報告 ~世代間ギャ業務も最大限に効率化されてこられップに見られる WLB について~た。技術士受験時は 3 歳と 0 歳の育ダイバーシティ委員会では,2013 年から毎年若手ワー児中で,夜泣きの相手をする 15 分のルドカフェを開催している。今年度は,若手に限らず 20間に手元の電気だけ点けて勉強した歳代~60 歳代以上の幅広い年代の方々に参加いただき,といった迫力のエピソードをご披露6 月 19 日に地盤工学会館で「世代間交流ワールドカフェ」いただいた。また,仕事は長期的なを開催した。その様子を本委員会委員である茨城大学の視点・効率化・機械化が,個人は専熊野直子氏に報告いただいた。門性・計画性が重要であり,ライフ写真-6山本美子氏まず,ワールドカフェに先立ち実施した,ワークライも大事にしながらワークも充実させることで「ワークとフバランスに関するアンケート結果の説明があった。業ライフの相乗効果」が生まれるということであった。働務も学会活動も 20 代より 30 代以降の方が増加傾向にあくことは社会のためであるが自分の喜びでもあり,私にるが,委員会参加は人材交流・人脈形成がアドバンテーしかできない“個性”を自他ともに認めることにつながジと考えている人が多かった。また,世代間の技術伝承る,と結んでいただいた。を目的としたメンター制度を地盤工学会が支援する案に2.6 討議・意見交換ついては,人生経験の豊富なメンターが近くにいないよ今回は外国籍の方に初めてご講演いただき,討議の時うな組織(例えば女性の先輩がいない)では需要はあり間には,留学している方々に対する学会側のサポートとそうだが,ボランティアで行うのは本業もあるので難しして,研究発表会で,語学や参加費の費用減免などのサい,というコメントがあった。ポートや,外国籍の方のためのプログラムがあるとよいワールドカフェでは,若手・ベテランの悩みとメンタといったご提案をいただいた。また社会的な育児サポーー制度について意見交換をされ,若手は業務内容・業務トとしては病児保育の充実と,男女とも気兼ねなく看病量・勉強方法・育児との両立・転職の仕方などについて,で休めるような雰囲気ができればいいといったコメントベテランは部下とのジェネレーションギャップや世の中があった。メンター制度に関しても現状での具体例を知の流れについていけないといった悩みを抱えていることりたいといった声が聞かれた。さらに村上会長からは,が分かった。メンター制度についてはアンケートと同様夫婦での協力体制について質問があり,勤務形態や仕事のコメントが多かった。の状況に合わせて育児・家事に協力してもらっていると今回は,魅力ある学会となるべ回答があった。ワークだけでなくライフでも男女共働がく委員会活動やメンター制度につ重要であると感じた。いて会員・非会員からの意見をご3. ダイバーシティ推進に向けて報告いただいた。長時間労働という業界の課題はあるものの,学会昨年の委員会活動を通して,世代間の交流によって年が人的交流の場となることで解消齢に関係ない会員の活性化や,女性のみでなく外国籍のされる悩みもあると感じた。今後,方も学会活動を楽しんでいただくための方策の検討が課メンター制度も含めて,学会の魅力を高めるような企画の検討の際題として挙がった。今年はそれらへの対応として,世代写真-4熊野直子氏間ワールドカフェの実施や,特別セッションにおいて女に参考になるご意見を多数紹介い (ダイバーシティ委員)性と外国籍の方にご発表いただいた。今後も,地盤工学ただいたことに感謝したい。会が様々な立場の方にとって役に立ち個性を生かせる場2.5 継続は力 私のワークライフバランスであるために何ができるか,社会や会員のニーズの変化土木系業種への就職で女性第一号として奮闘されてこを考慮して,攻めの姿勢を持ちながら柔軟に考えていきられた山本美子氏((株)山口建設コンサルタント)には,たい。ダイバーシティ推進活動に協力いただける委員,継続する!という強い意志とそれを貫いてきて得られたサポーターは引き続き募集中である。学会への期待,不喜びなどについてお話しいただいた。満,要望等も委員会宛にお届けいただければ幸いである。大学入学時点で土木の職につきたいという希望があったが,昭和 50 年代は女性が土木技術者になるにはかなり厳しい時代であった。コンサルタント会社に就職して,自社の設計したシールド工事現場見学会では,会議室で参1)考文 献地盤工学会,「地盤工学会誌」 Vol.63 No.7 Ser.No.6902015 年 7 月号小特集:ダイバーシティ推進のさきにあるものの説明の後,女性は現場に入れてもらえなかった。しか<https://www.jiban.or.jp/index.php?option=com_content&;viewし,認められるまで続けたいと諦めずにキャリアを積ん=article&id=1752%3A2009-01-07-08-26-28&catid=101%3A2008でこられた。子育ては親には頼らないと決めて,夫婦で-09-18-06-24-51&Itemid=285>(参照2016.10.3)分担したり,友人に協力してもらったりして乗り切って(原稿受理2016.10.4)こられた。キャリア形成と育児期が同時であったため,November/December, 2016HP13
  • ログイン