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タイトル 特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告(<特集>第51回地盤工学研究発表会)
著者 川崎 元・珠玖 隆行
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707
ページ HP1〜HP4 発行 2016/11/01 文書ID jk201607070015
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  • タイトル
  • 特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告(<特集>第51回地盤工学研究発表会)
  • 著者
  • 川崎 元・珠玖 隆行
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707
  • ページ
  • HP1〜HP4
  • 発行
  • 2016/11/01
  • 文書ID
  • jk201607070015
  • 内容
  • 特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告川﨑(株)大本組元(かわさき もとい)土木本部技術部次長1.特別講演会珠 玖岡山大学隆助教行(しゅく大学院たかゆき)環境生命科学研究科けて 1 歩を歩みだす大会であると位置づけられました。そこで,これまでの学会の歴史を振り返り,次の 50 年に1.1 はじめに特別講演会は,9 月 14 日に岡山大学創立 50 周年記念館向けて歩みだす,さらなる学会の発展のきっかけとなるにて開催されました。岡山大会での特別講演会は 2 部構非常に多くの方に会場に足を運んで頂く様子をみて,そ成となっており, 1 部はこれまで地盤工学会を牽引されの目的は達成できたのでは,と感じました。最後に,本てこられた先生方,東京大学名誉教授の石原研而先生,京講演会をサポートくださった地盤工学会調査研究部のみ都大学名誉教授の足立紀尚先生,岡山大学名誉教授の河なさまに感謝いたします。野伊一郎先生及び藤井弘章先生を講師とした講演会であり,第 2 部は岡山大学文学部教授の新納泉先生を講師とした講演会でした(口絵写真-2,3, http://urx.nu/bmG4)。ような特別講演会を開催しようとの思いがありました。2.技術展示2.1 はじめに技術展示は,平成 28 年 9 月 13 日~15 日の 3 日間にわ1.2 講演内容石原先生のご講演タイトルは「我国における土質力学たって,岡山大学清水記念体育館において開催されまし誕生の頃の回顧と地盤工学会の発展」であり,地盤工学た。今回の技術展示では 64 の出展者から 62 ブースの出会設立とその成長期における主な事業とそれに献身的に展があり,地盤工学分野における新しい施工法,材料,貢献された諸先輩の活動について講演頂くとともに,我調査法,試験法,設計法,解析法,防災・環境保全など国で大きく発展してきた地震時の液状化研究に関連して,優れた技術が紹介・意見交換する機会になりました。砂質土の変形特性を支配する根本原理に関して,石原先生のお考えをお話頂きました(口絵写真-4)。足立先生のご講演のタイトルは「関西における土質工学の歩み」であり,関西における地盤工学の発展史及び地盤工学会関西支部の発展史についてご講演頂くととも初日の朝,技術展示のスタートにあたって,西垣実行委員会相談役による挨拶(口絵写真-7)が行われ,その後 3 日間で多くの方々に来場していて頂くことができました(口絵写真-8)。に,インフラの創生・保生・再生や地盤と災害,先生の2.2 技術展示の概要出展者・来場者の両方の方々にとって実りのある技術夢など,幅広い内容についてお話頂きました(口絵写真展示となるように,以下の工夫をしました。また,展示-5)。会場内には,展示ブース,休憩・ドリンクコーナー・特河野先生のご講演タイトルは「岡山地方における地盤別会員のパンフレット等を展示,配布する特別会員 PR コ工学の進展」であり,岡山地方の地盤環境の特徴についーナーも設けました。てお話頂きつつ,戦後,岡山県内で実施されてきた地盤・参加者の動線:発表会場や総合受付とは異なる会場で工学に深く関連した大規模工事,例えば,水島湾埋立ての開催であったため,参加者が展示会場に足を運んでくや瀬戸大橋の建設,岡山空港の建設についてご講演頂きれるだろうか,といった心配もありましたが,総合受付ました。会場や発表会会場と近接し,かつ付近に駐車場も備えた藤井先生のご講演タイトルは「岡山平野の干拓」であ清水体育館を使用することができたため,大勢の方にごり,農業土木に関連する話題として,奈良時代から始ま来場頂けたと思います。っていたとされる干拓に注目され,その歴史や方法につ・ブースレイアウト:展示ブースが 62 ブースと,多くのいてご講演頂きました。出展を頂きましたが,配置を工夫したことで,会場を分新納先生のご講演タイトルは「前方後円墳の設計原理」散することなく展示頂けました。また,来場者の関心にで,巨大な前方後円墳をどのように造ったのかについて,応じた見学ができるよう,業種別のブース配置でなく,詳細なレーザー計測の結果に基づいた最新の知見をお話展示内容の関連性を考慮した配置としました。また,レ頂きました。先生のような研究手法は考古学の中では非イアウトも,対面間の距離を広くしすぎないことで,近常に珍しく,地盤工学を専門とする学会員にとっても非接した状態で両側のブース内容が確認できるような配置常に興味深い講演内容でありました(口絵写真-6)。としました。1.3 おわりに今大会は第 51 回目ということであり,次の 50 年にむNovember/December, 2016なお,天候がくもりであったこともあり,体育館内の大きな温度上昇もなく,準備した空調設備で対応するこHP1 とができ,室内環境としても好評でした。・地盤工学会会員以外の入場:技術展示は会員以外にも開放されていることで,今回は高校生の入場もありました(口絵写真-9)。地盤工学における最新の技術に興味をもってもらえたようで,真剣な眼差しで実験や動画を見入っていました。また,会員以外の一般の方も入場され,「地盤工学」や「地盤工学会」を PR できたものと思われます。・休憩・ドリンクコーナー:今回,展示ブースが多かったこともあり,従来の休憩コーナーがややせまい状況となってしまいましたが,ドリンクコーナーでは岡山の銘菓であるキビダンゴを提供したこともあり,空席が目立つことなく盛況でした(口絵写真-10)。この休憩コーナーに毎日来て頂いた方も多く,技術展示という役割だけでなく,打合せ会場・交流の場にもなっていました。2.3 おわりに最後に,出展しただいた皆様はもとより,来場者の方々,技術展示にご協力頂いた方々並びに施設を提供して頂きました岡山大学の皆様に,厚くお礼を申し上げます。3.市民向け行事図-1実施したクイズ3.3 講演・討論会岡山国際交流センター2F 国際会議場を会場に,「自然3.1 はじめに9 月 13 日~15 日の本大会のプレイベントとして,9 月災害から人命を守るために」をテーマとした講演・討論11 日(日)に岡山駅周辺で「防災に関する講演・討論会」会を開催しました。当日は 120 名の一般市民の方にご参及び「体験イベント」を開催しました。このイベントに加頂き,盛況でした。より多くの一般市民の方に参加してもらえるよう,記者発表や岡山のテレビ局への概要説明,ラジオでのアナウ3.3.1 講演会①「斜面災害の発生メカニズムについて」ンスなど地道な広報活動を実施しました。講師:森脇武夫氏(呉工業高等専門学校教授)3.2 体験イベント市民の防災意識の向上を目的として,岡山駅後楽園口駅前広場にて,地震体験車の開放,地盤工学に関する模型実験披露などの体験イベントを実施しました。天気に内容:斜面災害の種類と種類ごとの発生メカニズムと特徴,加えて広島 8.20 災害の教訓を踏まえての避難に関する心構えをご講演頂きました。②「避難情報の効果的な伝え方について」恵まれ,非常に暑い中での開催でしたが,多くの方にご講師:新井恭子氏(NPO 防災のことば研究会代表理事長)参加頂きました。震度 7 の地震が体験できる地震体験車内容:避難情報がうまく住民に伝わらないのはなぜか,では 200 名の方に体験頂きました。岡山県は地震が少などうすれば伝わりやすくなるのかを,言語学の観いと言われていますが,体験車の様子をカメラに収める点からお話頂きました。③「水防災意識社会再構築ビジョンについて」外国人の方もたくさんおられました。各イベントの参加者数を表-1 にまとめます。どのイ講師:藤兼雅和氏(中国地整岡山河川事務所長)ベントにも多くの方にご参加頂き,盛況でした。限られ内容:自らリスクを察知し,主体的に避難できる住民目た時間でしたが,市民のみなさまの防災意識の向上に少線のソフト対策の話など,水防災意識社会の再構しでも繋がったのでは,と考えております。築についてご講演頂きました。④「災害から身を守るための日頃からの備えについて」表-1HP2講師:大熊光世氏(岡山県危機管理課副参事)各イベントの参加者数と状況写真イベント参加者備考内容:風水害による住家被害が全国で 6 番目という岡山地震体験車200 名口絵写真-11県の実態と災害から身を守るためには何をしたら土石流体験装置211 名口絵写真-12よいかについてご講演頂きました。地盤工学に関する実験200 名口絵写真-13パネル展示56 名口絵写真-14クイズ99 名図-1⑤「岡山市の取組みと自主防災組織の現状について」講師:難波雅彦氏(岡山市危機管理室課長補佐)内容:岡山市の自然災害のリスクの高さの解説と避難情報の発信に関わる岡山市の取り組みをご講演頂き地盤工学会誌,64―11/12(706/707) ました。本大会は,台風と秋雨前線の影響で終日雨が予想され⑥「危機管理担当者が感じている課題など」ていましたが,交流会当日は「晴れの国 おかやま」の講師:江口健太氏(瀬戸内市危機管理課主任)底力で晴れ間の覗く天気となりました。交流会は,事前内容:瀬戸内市の自主防災組織が防災リーダー育成事業申し込み者 160 名,技術展示出展者 67 名,招待者 8 名,などの取り組みによって,実際に動く自主防災組当日申込み者 245 名の合計 480 名(うち,学生 31 名)の織に変わったことについて,ご講演頂きました。参加を頂き,盛大に開催することができました。3.3.2 討論会討論会では,以下の方々をパネリスト,コーディネー4.2 次第交流会は,岡山大学で開催された特別講演会の終了にターとし,「よりスムーズな避難行動をとるために必要な合わせ 18 時 30 分開場を予定していましたが,皆様の熱こと」についてご議論頂きました。気のため,時間を早め 18 時 10 分に開場しました。参加<パネリスト>者はウエルカムドリンクを手に会場へ入り,来賓入場の森脇武夫氏(呉工業高等専門学校教授)後,18 時 40 分に司会より交流会の開会が告げられ会が新井恭子氏(NPO 防災のことば研究会代表理事長)スタートしました。藤兼雅和氏(中国地整岡山河川事務所長)開会にあたり,丸山実行委員長(国土交通省中国地方大熊光世氏(岡山県危機管理課副参事)整備局長)(口絵写真-15),村上会長よりあいさつを頂守屋博史氏(岡山県土木部防災砂防課主幹)きました。難波雅彦氏(岡山市危機管理室課長補佐)来賓として,岡山県副知事の足羽憲治様,岡山市長の江口健太氏(瀬戸内市危機管理課主任)大森雅夫様,発表会会場をご提供下さいました岡山大学西村 輝氏(岡山市民)副学長の阿部宏史様,そして,特別講演の講師を務めて<コーディネータ>山下祐一氏(日本技術士会中国本部幹事)頂きました,東京大学名誉教授の石原研而様,京都大学名誉教授の足立紀尚様,岡山大学名誉教授の河野伊一郎様,岡山大学名誉教授の藤井弘章様,岡山大学文学部教討論会では,災害から自分の命を守るためには,以下授の新納泉様をお招きし,代表して,足羽憲治様,大森のことが重要であることが強調されていました.雅夫様,阿部宏史様に祝辞を頂きました。・日頃から身の回りの危険を把握しておくこと来賓のご紹介の後(口絵写真-16),19 時 10 分に山下調査・研究部長の乾杯の発声で祝宴の開始となり(口絵写真-17),司会者より,岡山の地酒,ご当地料理などが・避難計画を立てておくこと・防災情報に敏感になっておき,避難のタイミングを逸しないこと・避難情報の発信側は,住民に伝わりやすい情報を発信すること最後に,上記のことを実現するためには,住民一人ひとりの防災意識を向上させる必要があり,幼少期からの防災教育が重要であることが,まとめとして述べられました。き び つ ひ こ の みこと紹介されました。歓談も進んだ 19 時 50 分,「吉備津彦 命うら=桃太郎」と「温羅=鬼神」の戦いを描いた伝説から生まれた「うらじゃ」の演舞が,岡山大学とノートルダム清心女子大学の学生で構成された「岡山うらじゃ連 笑輝」の 25 名により,元気に披露されました(口絵写真-18)。交流会終盤には,次期開催地中部支部の皆様に登壇して頂き,代表して杉井支部長より第 52 回地盤工学研究発3.4 おわりに講演会・討論会への参加者にアンケートを配布し,参表会の PR を兼ねたあいさつを頂き(口絵写真-19),20時 30 分に西山実行副委員長の一本締めでお開きとなり加者 120 名の内,76 名にアンケートに答えて頂きました。ました。アンケートでは,10 名の方が,避難情報が段階的に発信4.3 おわりにされることを初めて知り,18 名の方が自主防災組織の積最後になりましたが,第 51 回地盤工学研究発表会(岡極的活動を行う気になり,11 名の方がハザードマップを山大会)の交流会にご参加頂きました皆様,ホテルグラ確認する気になったとの回答が寄せられました。今後もンヴィア岡山の皆様並びに交流会スタッフをはじめ関係このような市民のための活動を続けていく必要があると者の皆様に,この場をお借りいたしまして厚くお礼申し改めて思い,このような活動がより多くの人命を救うこ上げます。とに繋がるということを再認識した行事となりました。末筆ながら,市民向け行事にご参加くださいました皆様,また行事の運営にご協力頂いたみなさまに,この場を借りてお礼申し上げます。4.交流会4.1 はじめに5.見学会5.1 はじめに岡山大会の見学会は,大会 2 日目(9 月 14 日)の午後に半日コース,大会 4 日目(9 月 16 日)に一日コースの2 コースを実施しました。週初めの天気予報では,見学会開催日は曇時々雨という予報でしたが,両日とも雨は降らず,特に一日コースNovember/December, 2016HP3 のクルーザー乗船時には青空が広がるなど,天候には非いて詳しく教えて頂くことができて本当に良かったと思常に恵まれました。また韓国から 2 名の方が,半日コーいます。」スと一日コースの両方に参加され,国際色も漂わせた見学会となりました。5.2 半日コース(岡山城下見学コース,参加者 22 名)半日コースは,岡山城下の名所・旧跡を巡って,岡山末筆ながら,造山古墳を現地で詳しく解説してくださいました岡山大学の新納先生,高松城址で水攻めに関して,土木工学的な見地を含めて解説してくださいました施設のボランティアの方に厚く御礼申し上げます。の歴史と水害対策に対する取り組みをご覧頂くコースでまた,百間川に関する資料や模型,VTR をご提供くだした。岡山城付近は,古来旭川の氾濫に悩まれており,さいました国土交通省中国地方整備局岡山河川国道事務江戸時代に旭川放水路としての百間川が構築されました。所,「鎌倉時代の宗教家」の資料をご提供くださいました現在,その分流部分の改築事業(嵩上げ工事)が行われ岡山県教育委員会,倉敷市を紹介するパンフレット「倉つつあり,見学会では国土交通省岡山河川事務所からお敷」をご提供くださいました倉敷市観光課の皆様に,誌借りした VTR と配付資料(口絵写真-20)で学習しつつ上をお借りして厚く御礼申し上げます。分流堤付近を車窓から眺めました。このほか,岡山の地下水に関連して赤磐酒造(口絵写(原稿受理2016.10.4)真-21,22)を見学し,岡山城では天守閣(口絵写真-23)の見学と併せて,天守閣内にある備前焼工房で土ひねりを体験(口絵写真-24)し,焼き物と粘土のコンシステンシー的な感触を肌で感じて頂きました。最後に,日本三大庭園の一つの後楽園(口絵写真-25)を見学して頂きました。5.3 一日コース(吉備路の歴史と瀬戸大橋船上見学コース,参加者 25 名)一日コースは,岡山市北西部の総社市周辺から瀬戸大橋及び倉敷の美観地区を巡るコースでした。岡山市北西部から総社市周辺は吉備路と呼ばれ,古墳を始め数多くの史跡が存在しています。午前中は前方後円墳としては三大天皇陵に次ぐ日本第 4 位の大きさを誇る「造山古墳」に登りました。現地では岡山大学の新納先生に詳しく解説して頂き(口絵写真-26),阿蘇の溶結凝灰岩で作られた石棺(口絵写真-27)なども観察しました。次に,水攻めで有名な高松城址で沖積低地の地形的特性を利用した水攻めの築堤状況を学び(口絵写真-28,29),現在も残る堤体の残存地形を確認しました。昼食は児島港のレストラン「ふゅーちゃー」で名物「下津井たこ飯」(口絵写真-30)を召し上がって頂いた後,児島港(口絵写真-31)からのクルーザーで瀬戸大橋を海上から眺めました(口絵写真-32,33)。最後に,倉敷美観地区の古式ゆかしい町並み(口絵写真-34)を散策して岡山に戻りました。5.4 おわりにご参加頂いた皆様に頂いた感想の中から一部をご紹介させて頂きます。「見学会はいつも楽しみにしています。古墳は初めてでしたので,大変感激しました。高松城址の説明をして頂いた方は大変面白かったです。瀬戸大橋をクルーザーで下から見ることが出来て感激でした。倉敷は初めてでしたので,その町並みの美しさにも感動しました。」「楽しく有意義な時間を過ごさせて頂きました。岡山城では備前焼の土ひねりに挑戦できましたし,吉備路に行ったのは初めてで,瀬戸大橋を船上から眺めたのも初めてです。吉備地方の伝説,造山古墳や水攻め堤防等につHP4地盤工学会誌,64―11/12(706/707)
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