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出版

タイトル 三河港岸壁本体工事における高圧噴射撹拌工法による地盤改良(寄稿)
著者 吉野 貴仁
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.9 No.704
ページ 36〜37 発行 2016/09/01 文書ID 72054
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  • タイトル
  • 三河港岸壁本体工事における高圧噴射撹拌工法による地盤改良(寄稿)
  • 著者
  • 吉野 貴仁
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.9 No.704
  • ページ
  • 36〜37
  • 発行
  • 2016/09/01
  • 文書ID
  • 72054
  • 内容
  • 三河港岸壁本体工事における高圧噴射撹拌工法による地盤改良Soil Improvement with High Pressure Injection Stirring Construction Method at Constructionabout Revetment Wall of Mikawa Port吉野貴仁(よしのたかひと)学生編集委員(豊橋技術科学大学)し,背後を施工基面まで埋め戻す。変位低減型深層混合. は じ め に処理工法によって仮設タイ材間の固化改良を行った後,愛知県豊橋市の三河港は日本の中央に位置し,首都圏や近畿圏をもカバーする地理的優位性を持つ物流拠点で仮設タイ材を間引き・移設し,その部分を再び深層混合処理工法によって固化改良した。ある。特に完成自動車の輸入においては, 2012 年まで深層混合処理工法での施工が困難である部分や既に固の 20 年連続全国 1 位 2015 年でも全国 10 位の取扱量を誇化改良された部分の間詰めにおいては,こちらも高圧噴っている。神野地区は三河豊橋エリアの中心となる地区射撹拌工法を採用し固化改良した。筆者はこの高圧噴射で,総面積96 ha の東地区と120 ha の西地区からなり,撹拌工法の施工現場を見学・取材させていただいた。水深- 4 m から- 12 m の公共岸壁が総延長 3 540 m 整備されている。.高圧噴射撹拌工法神野地区での完成自動車取扱台数は 2018 年には 2012高圧噴射撹拌工法は,小口径のボーリングロッドを用年の約 1.6 倍に増加することが見込まれる。しかし,三いて大きな地盤改良体が造成可能であるため,従来から河港神野 7 号岸壁の岸壁延長 720 m ( 240 m × 3 隻)に一般に狭隘な場所や既設構造物の地盤強化手段として用対して自動車運搬船に必要な岸壁延長は260 m 程度/隻いられている。この施工方法は,ボーリングロッド先端と 1 隻当たり 20 m 不足しており,船舶が着岸できないから水平方向に圧縮空気と同時に水や硬化材スラリーを状況が発生するなど,非効率な輸送を余儀なくされてい超高圧で噴射して,その運動エネルギーを用いて改良対る。象地盤を切削破壊し,切削土粒子を地上に排出するととこのたび筆者は神野地区 7 号岸壁(水深 12 m )の延伸に伴う陸上地盤改良工の施工を紹介するとともに,現場での安全管理についても報告する。図―に本工事を行う区画の外観を示す。.もに,切削部では残留土粒子と硬化材を撹拌混合して均質な固化改良体を造成するものである。高圧噴射撹拌工法では土粒子と水,硬化材スラリーを撹拌しドロドロの状態にし,圧縮空気によるリフトアップ硬化によって地上へ押し上げるため,地盤変位が小さ工事の概要いという特徴がある。また,水や硬化材スラリーなどを岸壁の施工にあたり,その手順としてまず既設護岸の超高圧で噴射しているとはいえ,ボーリングロッドは回控え工(タイ材,控え矢板)を撤去し,既設鋼矢板を自転しているため,既設の構造物や既に改良された地盤に立させる。既設矢板の前面に新設鋼矢板を海上打設する。与える影響は少ない。新設鋼矢板に仮設の控え工(タイ材間隔 3.6 m)を設置そのため本工事のように既に固化された地盤や鋼矢板への影響を抑えたい現場では法線を保つため高圧噴射撹拌工法が適している。高圧噴射撹拌工法の概念図を図―に示す。.取材時の現場の様子取材当日は本工事の概要をうかがった後,実際に高圧噴射撹拌工法で施工をしている現場を見学させていただいた。現場までには安全を確保するための足場があり,そこを通って現場へ向かった。現場ではボーリングロッドの貫入や水圧などを管理する本体 2 台体制で施工を行っていた。1 区画の改良が終わった後,次の区画に本体を移動する間にもう一方の本体を稼動させることで作業時間の無駄を省くためだそう図―36神野 7 号岸壁の外観だ。地盤工学会誌,―() 寄図―高圧噴射撹拌工法の概念図写真―稿排土ピットとはあるが,高圧噴射撹拌工法の現場を見学させていただいたのは初めてであった。先に挙げた 2 つの工法と違い高圧噴射撹拌工法は貫入するロット自体が細いため,地中の埋設物や岩などよる施工時のトラブルは少ないかと思っていたが実際に現場のかたに聞いてみるとそれでもなおトラブルは存在するようで,目には見えない地中部の工事の難しさを改めて思い知った。高圧噴射撹拌工法では,切削土粒子を地上に押し出すことで変位を低減しているが,この切削土粒子はそのままでは産業廃棄物となってしまう。しかしこの排土にも硬化材は混合されており,通常の土より強度の高いものとなっている。そのためこの現場では,あらかじめ背後の土地利用計画(コンテナヤード,野積み場等)を確認写真―改良機とクレーンの外観また,安全管理としては,現場が海辺で障害物が周囲にないことから風が強いように感じた。ボーリングロッした上で排土ピット(写真―)を掘削し,舗装を予定している部分の路床材として有効利用することを予定していた。ドを吊り下げているクレーンはかなりの高さとなり(写普段の研究活動では効果や作業時間のみを考えてしま真―),風速が高すぎると作業を中止しなければならうが,現場を見学させていただくことで,施工前の準備ない。そのため複数個所に風速計が設置してあり,安全や施工中の安全管理,施工後の廃棄物の処理についてもに施工するため,常に風速を監視していた。知見を広めることができ,研究をより一層社会に還元し. お わ り に筆者は,今までに地盤改良ではサンドコンパクションていくためには,実務に注視していくことが重要であると感じた。(原稿受理2016.5.30)パイル工法と深層混合処理工法の施工現場を見学したこSeptember, 201637
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