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地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703

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タイトル 表紙
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71951
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タイトル 【英訳化版】室内試験・地盤調査に関する規格・基準(Vol.1)の発刊
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71952
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タイトル 本号の編集にあたって(<特集>液状化の予測技術)
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ i〜i 発行 2016/08/01 文書ID 71953
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タイトル 目次
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71954
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タイトル CONTENTS
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71955
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タイトル 会長就任のあいさつ
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71956
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タイトル 会長を退任するにあたって
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71957
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タイトル 地盤工学会名誉会員推挙報告
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71958
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タイトル 平成27年度プレミアム会員に関する報告
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71959
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タイトル 地盤工学会平成28年度新任副会長紹介
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71960
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タイトル 第51回地盤工学研究発表会
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 発行 2016/08/01 文書ID 71961
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タイトル 液状化予測法の未だホットな課題(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 1〜5 発行 2016/08/01 文書ID 71962
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タイトル 液状化の判定と地盤-基礎構造物系の液状化被害予測技術の現状と展望(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 6〜9 発行 2016/08/01 文書ID 71963
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タイトル 埋立地盤における液状化の予測・判定(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 10〜13 発行 2016/08/01 文書ID 71964
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タイトル 調査から見た液状化予測・判定(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 14〜17 発行 2016/08/01 文書ID 71965
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タイトル 液状化判定法の課題-年代効果の問題を中心に-(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 18〜21 発行 2016/08/01 文書ID 71966
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タイトル 礫質土の耐液状化性能に関する実験的研究-繰返し三軸強度比RL と締固め度DC の相関性について-(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 22〜25 発行 2016/08/01 文書ID 71967
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タイトル サイト固有の地震波形が液状化の発生に及ぼす影響-2011年東北地方太平洋沖地震における最遠方被災地点を例として-(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 26〜29 発行 2016/08/01 文書ID 71968
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タイトル 液状化解析プログラムHiPER を用いた大型模型実験の事前予測解析(<特集>液状化の予測技術)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 30〜33 発行 2016/08/01 文書ID 71969
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タイトル 技術紹介既設グラウンドアンカーの更新技術-ゼロ余長グラウンドアンカーの荷重除荷・調整工法-(技術紹介)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 34〜35 発行 2016/08/01 文書ID 71970
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タイトル 改良土と補強材を組み合わせた補強土壁の施工事例に関する報告(技術紹介)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 36〜37 発行 2016/08/01 文書ID 71971
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タイトル 日本の空を支える東京国際空港D 滑走路建設工事の概要
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 38〜39 発行 2016/08/01 文書ID 71972
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タイトル 平成27年度地盤工学会の表彰に関する報告(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 40〜50 発行 2016/08/01 文書ID 71973
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タイトル 地盤工学会地盤環境賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 51〜51 発行 2016/08/01 文書ID 71974
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タイトル 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 52〜52 発行 2016/08/01 文書ID 71975
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タイトル 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 53〜53 発行 2016/08/01 文書ID 71976
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タイトル 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 54〜54 発行 2016/08/01 文書ID 71977
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タイトル 地盤工学会技術開発賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 55〜55 発行 2016/08/01 文書ID 71978
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タイトル 地盤工学会研究業績賞を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 56〜56 発行 2016/08/01 文書ID 71979
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タイトル 地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して(学会の動き)
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出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
ページ 57〜57 発行 2016/08/01 文書ID 71980
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  • 表紙
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71951
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  • 【英訳化版】室内試験・地盤調査に関する規格・基準(Vol.1)の発刊
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 発行
  • 2016/08/01
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  • 71952
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  • 本号の編集にあたって(<特集>液状化の予測技術)
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 2016/08/01
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  • 71953
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  • 本号の編集にあたって本年 4 月に発生した熊本地震でも液状化が発生し,住宅等に被害をもたらしました。我が国では,1964年の新潟地震により液状化という現象が広く知られるようになり,道路や堤防等の社会基盤及び住宅やライフラインに甚大な被害を与えたことを契機として,液状化に関するメカニズムや予測・調査・対策等の研究が活発に行われるようになりました。液状化を防止するためには,液状化がどこにどの程度で発生するのかを予測し,対策を講じる必要があります。現在,国や各自治体が液状化予測地図(ハザードマップ)を作成して公開していますが,代表地点での地盤調査結果や過去に発生した地震被害,経験的な地震動予測等を基に作成されているため,液状化発生の可能性を大まかな範囲でしか把握できておらず,個々の場所については詳細な予測が困難な現状です。地震大国である我が国は,今後も首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模な地震の発生が予測されています。そうした中で,液状化被害を最小限にするためには,効率的に適切な方法で対策を行う必要があり,そのためにも液状化の発生を高精度に予測・判定することが重要となります。本号では,こうした背景を踏まえ,「液状化の予測技術」について特集し,液状化の予測・判定方法に焦点を当て,高精度に予測判定するための技術,解析手法や研究等について紹介することとしました。本特集が多くの会員の皆様にとって有益なものとなり,液状化被害の軽減に寄与することを期待しております。高 野 裕 輔(たかの ゆうすけ)地盤工学会のホームページ URLhttps://www.jiban.or.jp/国際地盤工学会ホームページ http://www.issmge.org/編集兼発行者公益社団法人地盤工学会
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 2016/08/01
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  • 71954
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  • 口絵写真(*HP)前付講座平成23年度紀伊半島大水害の実態と教訓―「想定外」豪雨による地盤災害の軽減に向けた提言― 6. 紀伊半島大水害以降の防災・減災の取り組み会長就任のあいさつ●村上章会長を退任するにあたって●東畑郁生地盤工学会名誉会員推挙報告平成年度プレミアム会員に関する報告地盤工学会平成28年度新任副会長紹介特集テーマ液状化の予測技術総説液状化予測法の未だホットな課題 …………………………………………………………………… 1●國生論説液状化の判定と地盤―基礎構造物系の液状化被害予測技術の現状と展望 ……………………… 6●風間報告剛治基樹埋立地盤における液状化の予測・判定 ………………………………………………………………10●中井正一調査から見た液状化予測・判定 ………………………………………………………………………14●澤田俊一液状化判定法の課題●谷本報(公告募)募)募)茂/福井英人/前田賢/建山和由吉弥/一井康二/野津厚/酒井久和/丸山喜久/常田賢一液状化解析プログラム HiPER を用いた大型模型実験の事前予測解析……………………………30●福武技術紹介雅規サイト固有の地震波形が液状化の発生に及ぼす影響―2011年東北地方太平洋沖地震における最遠方被災地点を例として― …………………………………………………………………………26●秦(公―年代効果の問題を中心に― ………………………………………………18哲也/石原礫質土の耐液状化性能に関する実験的研究―繰返し三軸強度比 RL と締固め度 DC の相関性について― ………………………………………………………………………………………22●島田(公俊輔/佐々木毅芳/田端憲太郎既設グラウンドアンカーの更新技術―ゼロ余長グラウンドアンカーの荷重除荷・調整工法―…34●西田直也/川崎廣貴/笹本直之/山本洋敬改良土と補強材を組み合わせた補強土壁の施工事例に関する報告 ………………………………36●中谷登寄稿(学生編集委員)日本の空を支える東京国際空港 D 滑走路建設工事の概要 ………………………………………38学会の動き平成27年度地盤工学会の表彰に関する報告 …………………………………………………………40●三浦●古屋丈典弘地盤工学会地盤環境賞を受賞して ……………………………………………………………………51●沼田淳紀/三輪滋/水谷羊介/三村佳織/池田浩明地盤工学会技術業績賞を受賞して ……………………………………………………………………52●仙台市/飛田善雄/佐藤真吾/三嶋昭二/門田浩一/小原亙 地盤工学会技術業績賞を受賞して ……………………………………………………………………53●新谷洋二/田中邦煕地盤工学会技術業績賞を受賞して ……………………………………………………………………54●田嶋仁志/森口敏美/山下善幸地盤工学会技術開発賞を受賞して ……………………………………………………………………55●加納井尻敏行/浜井裕二/久野邦彦/森田達彦/吉村晃司/黒岩丈晴正夫/山田祐樹/川本卓人/五十嵐寛昌/地盤工学会研究業績賞を受賞して ……………………………………………………………………56●宮田喜壽地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して …………………………………………………………57●富樫陽太/菊本統/谷和夫地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して …………………………………………………………58●平田昌史/吉田敬司/澤野幸輝/菊池慎司/加藤真司/太田秀樹地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して …………………………………………………………59●中島進/古関潤一/渡辺健治/舘山勝地盤工学会論文賞(英文部門)を受賞して …………………………………………………………60●肥後陽介/李忠元/土井達也/衣川哲平/木村亮/木元小百合/岡二三生地盤工学会論文賞(英文部門)を受賞して …………………………………………………………61●榎本忠夫/佐々木哲也地盤工学会論文賞(英文部門)を受賞して …………………………………………………………62●土田孝/湯怡新地盤工学会研究奨励賞を受賞して ……………………………………………………………………63●渡邉康司地盤工学会研究奨励賞を受賞して ……………………………………………………………………64●吉川高広地盤工学会研究奨励賞を受賞して ……………………………………………………………………65●高野学会の動き(ISO だより)大樹ついにはじまる,室内土質試験の国際統一化―第15回 CEN/TC341/WG6(室内土質試験)会議参加報告― ………………………………………………………………………66●ISO 国内委員会技術手帳新しい舗装地盤材料の展望 ……………………………………………………………………………67●佐藤講座研一平成23年度紀伊半島大水害の実態と教訓―「想定外」豪雨による地盤災害の軽減に向けた提言―6. 紀伊半島大水害以降の防災・減災の取り組み …………………………………………………69●日置和昭/小林泰三/後誠介/岡島賢治/小泉圭吾/泉並良二火山による災害特性と防災技術6. 火山防災・減災の仕組みと防災情報 ……………………………………………………………76●山里平/石原和弘会告公益社団法人地盤工学会第58回通常総会報告……………………………………………………84「Soils and Foundations」2015年 Impact Factor のお知らせ・新入会員 ……………………………85編集後記 ………………………………………………………………………………………………………86
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71955
  • 内容
  • Theme: Prediction technique of liquefactionStill Challenging Topics in Liquefaction Potential Evaluation ……………………………………………………………… 1● Takaji KokushoThe Current State and Future Prospect of the Judgement of Liquefaction and its Damage Assessment toSoilfoundation Structure System ……………………………………………………………………………………………… 4● Motoki KazamaPrediction of Liquefaction in a Reclaimed Ground …………………………………………………………………………… 8● Shoichi NakaiLiquefaction Prediction in the Standpoint of an Investigation ………………………………………………………………12● Shunichi SawadaProblems on Assessment Method of Liquefaction, Mainly about Aging EŠect ……………………………………………16● Shunsuke Tanimoto, Tetsuya Sasaki and Masanori IshiharaExperimental Study about the Resistant Performance for Liquefaction of the Sand Gravel―The Correlation between the Cyclic Undrained Triaxiality Strength Ratio RL and the Degree of Compaction Dc― …20● Shigeru Shimada, Hideto Fukui, Ken Maeda and Kazuyoshi TateyamaEvaluation of Ground Liquefaction at the Farthest Site during the 2011 oŠ the Paciˆc Coast of Tohoku Earthquakebased on EŠective Stress Analysis (3DFLIP) ………………………………………………………………………………24● Yoshiya Hata, Koji Ichii, Atsushi Nozu, Hisakazu Sakai, Maruyama Yoshihisa and Kenichi TokidaPredictive Analysis of Largescale Model Experiment using Liquefaction Analysis Program HiPER …………………24● Kiyoshi Fukutake and Kentaro Tabata
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  • 会長就任のあいさつ
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71956
  • 内容
  • 会長就任の挨拶公益社団法人会地長盤村工上学 会章6 月 8 日開催の第58回通常総会において地盤工学会の第34代会長に選任され,東畑郁生会長を引き継ぎ今後 2 年間その職務を務めることになりました。もとより浅学菲才の身ではございますが,微力を尽くしたいと思います。会員各位のご指導,ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。東畑前会長は国際地盤工学会副会長の職責と合わせ,国内外に強いリーダシップを発揮されました。そのもとで第 2回(東京1963年)および第 8 回(京都1987年)以来28年ぶりの日本開催となった,第15回アジア地域会議を成功裡に成し遂げられるとともに,地震・豪雨災害への対応や学会諸基準の一挙英語翻訳に注力されました。東畑前会長はじめ諸先輩および関係者のご努力に深く敬意と感謝の意を表します。地盤工学会は1977年に東京で開催された第 9 回国際土質基礎工学会議以来,約40年にわたって学術・技術および国際の多面から地盤工学の発展を牽引してきました。これは会員の学会活動を基本とする各種部会・委員会の成果に基づくものであると思います。その中にあって,私は会員各位のご協力をいただきながら,会館の IT 化(電子会議システム,オンライン講習会),代議員制,公益法人化,東日本大震災調査団の構成と派遣,Soils and Foundations(S&F)のオンラインジャーナル化などの事業推進に役割を果たしてきました。これまでの経験を生かして,地盤工学会の今後に貢献したいと思います。学会事業の公益性の維持向上,コンプライアンスの遵守,透明性と情報開示の徹底,理事会による適正なガバナンスなど学会内部統治を確保したうえ,社会の人々から支えられる開かれた学会活動を行います。また,学会の活性化を図るために,若い方々を始めとする多様な人材に魅力を感じていただくことが大切です。多くの方々に参加していただき,精彩に富んだ学会に向けた方向性のもとで任期中の 2 年間に事業を推進します。 国土強靱化に関わる学術・技術の振興,◯ 地盤品質判定士以上を踏まえて,次の 3 項目を掲げます。すなわち,◯ S&F を中心とする国際情報発信力のさらなる展開です。を核とした技術者継続学習制度の構築,◯◯大震災の復旧・復興や来るべき豪雨・地震に備える国土強靱化に関連して,東日本大震災対応調査研究委員会活動などをもとに,今後の自然災害に備えるべく地盤工学の学術・技術をさらに振興します。2012年10月に刊行された S&F 震災特集号 1st Issue 掲載論文は,我が国の成果としては国際的にも注目されているところですが,委員会で得られた成果は S&F 震災特集号 2nd Issue に公開するだけでなく,住民の方々からの相談・助言にも反映させ,広く人々の安全・安心に資する活動に結実を図ります。一方,シニア会員のご協力も賜り,従来からの講習会・講演会を拡充した一般向けの講座・セミナーを通じた地盤教育の普及をはかり,公益法人として研究成果を今後の防災・減災の技術に役立てます。◯地盤品質判定士に関わる講習会・技術者教育を充実させ,地盤工学会員であることのメリットを強調します。具体的には,地盤品質判定士補や判定士取得の補助となる講習会・実務補習の整備です。こうした継続学習は,公益目的事業にも適うもので,社会におけるインセンティブの付与を推進します。上記の視点から,ゼネコン,建設コンサルタント協会,地質業協会などに在籍される方が「会員で良かった」と思える学会にしたいと考えます。◯地盤工学会の国際展開をはかるため,S&F を通じた国際情報発信力による国際戦略を推進します。S&F は月別論文ダウンロード数が各号とも12 000件前後を堅持し,アブストラクトアクセス数は多い号で60 000件に及びます。S&F の Impact Factor は1.238と大幅に向上し,Elsevier 社の SJR あるいは SNIP といった論文引用指標値を含めて,いわゆる国際四大誌を初めとする有力な国際ジャーナルに肩を並べつつあり,投稿論文数も年間400編を超えています。また,海外定期購読者の大幅増を目指し,国際地盤工学会に対する地盤工学会のプレゼンスを示すことで,ひいては TC の委員長・セクレタリ・コアメンバーに多くの地盤工学会員を派遣し,日本の存在感を高めたいと思います。以上のような展開は,全国支部との連携を図りながら推進します。地盤工学会の特徴であり,新しい時代を切りひらく糧でもある学際性を,さらに一層育み,次代を担う価値観の創成につとめたいと考えます。末尾ながら会員各位のご指導,ご鞭撻とともに,ご支援をお願いいたします。京都大学大学院教授 農学研究科
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  • 会長を退任するにあたって
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71957
  • 内容
  • 会長職を終えるにあたって公益社団法人 地 盤 工 学 会第代会長 東 畑 郁 生このたび会長職を離れるにあたり,助けていただいた大勢の方々に厚く御礼申しあげます。2 年前の学会は財政や会員数に多くの課題を抱えており,危機のただ中にありました。その中で,末岡前任会長時代に着手した中長期財政検討委員会の活動が成果を生み始めていましたので,その路線からブレないよう心がけました。会員減少も20年来の学会執行部の悩みの種でしたが,蓄えた知識や技術を新たな社会問題に適用すること,一般国民が関心を持つ地盤問題に積極的にかかわること,それらの積み重ねによって学会の価値を広く認識してもらうこと,それによって会員増加を目指すことにしました。平成26年度久々に200万円程度の黒字決算を達成しました。しかしそれが長続きするのかどうか定かでなく,なおも努力を心がけました。学会の予算では,支出は決まった額まで費消できます。ところが収入が絵に描いた餅で,年度初めに均衡予算を作っても,収入が予定以下だと赤字になります。かっての地盤工学会の収入見通しは甘っちょろく,均衡予算を作ることが先にあって次に支出要求があり,辻褄を合わせるために収入を甘く見積もることがありました。たとえば講習会の収入見込みを増やすために,地下 1 階の定員90名の大会議室に100人以上が集まるという空想作業もありました。それを努力目標と呼んで予算化するのですが,そんな空想のためには誰も努力しない,だから収入不足で大赤字,そんな構図がありました。もっとあきれたこともありましたが,今は申しません。将来を担う方々には油断大敵ということだけ記憶いただきたく思います。福島第一原発廃炉に関する委員会活動は,地下水環境や地層処分など地盤工学的課題の塊りでありながらこれまで地盤工学者が積極的に関与できなかったことです。その社会的重要性は言うに及びませんが,国から活動予算を頂き,間接経費分が学会運営の助けとなっています。また福岡のアジア地盤工学会議の収益も平成27年度の大幅黒字の助けとなりました。それ以外にも会費の納入,書籍販売,講習会参加費,研究発表会などの行事収入など,多くの事柄が学会の財政基盤再建に貢献してくれており,喜んでおります。しかしくれぐれも油断されぬよう,ご注意ください。地盤工学会の社会的認知も進んだはずで,平成27年度末には,正会員が前年比で7 465人から7 562人へ増加,学生会員が768人から920人へ増加,特別会員だけが844社から843社へ減少,となりました。会員増は喜ばしいことですが,若手が極めて少ないという問題は未解決です。学生会員が一般会員へ移ってくれることも大事ですが,仕事の分野が変わればそれも難しいでしょう。むしろ若手社会人とベテラン会員との間で技術交流の場を広げ,世代間で技術移転を進める場を造ってほしいと思います。人の疲弊は気になります。基本的にボランティアで成り立っている公益社団法人ですが,昔から続いてきた事業が会員減少時代になってもそのままの規模で続いており,減った委員会メンバーが疲弊する。きちんとした組織運営を心掛けるあまり,部会―委員会―ワーキンググループという多段的審議機構が出来上がっており,同じことを何度も慎重に検討する。多重検討は理解できますが,会合日が別々なので同じ顔ぶれが全国から何度も出張していました。航空会社は儲かったはずですが,学会大赤字の主たる原因になりました。早く日程を決めて早割など安い航空券を購入,日程が間際まで決められない場合は,最寄りの支部などから電子的に出席,などを決めました。慎重な検討も全体的見地を見失えば害と化すものです。これが広いアメリカやオーストラリアなら,本部への会議出張にはこだわらないでしょう。事務局側の疲弊は未解決です。委員会の内容を減らすだけでは,担当職員の仕事があまり減りません。日程調整,旅費計算などの量が変わらないからです。派遣さんやアルバイトさんに依存する状態が続いています。毎日オフィスのパソコン作業が続き,外の社会を知る機会が少なく社会人として幅を形成しにくい。時代が変わると新しい活動にも手を染めていかねばならないのですから,従前の活動から何を切り捨てるのか,決断が必要です。学会基準の英訳は新機軸でした。インフラ輸出の時代,海外で活動している企業さんにとって,国内と同じベースで仕事ができれば,品質確保も容易になります。しかし海外の御施主さんに仕事のやりかたと根拠を説明しなければならないので,基準英訳は大変重要です。同じことは他の学会でも認識されていますが,地盤工学会ではよそに先駆けスポンサーを集めるという新形式で,実行しました。3 年間計画のうち 2 年目まで出来上がっています。これも学会の意義を産業界に理解いただく活動と言えます。残る課題は地盤品質判定士の制度確立です。国の資格として認めていただこうとしてきましたが,これはむずかしい。不動産鑑定士協会に参加いただけましたので,私が当初から唱えていたように,優良宅地を正しく評価して高い値段で販売できる,そんな制度に変えるチャンスです。熊本で困っておられる住民や自治体の皆さんをしっかりサポートし,真価を発揮してください。そんなことであっという間に過ぎた 2 年でした。これから私はインドへ移り,国際活動に重きを置く予定です。皆様方にも今後ますますのご発展を祈ります。東京大学名誉教授・関東学院大学客員教授・インド工科大学ボンベイ校特別客員教授(予定)
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  • 地盤工学会名誉会員推挙報告
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  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
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  • 2016/08/01
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  • 71958
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  • 地盤工学会名誉会員推挙報告(五十音順敬称略)地盤工学会第58回通常総会において,下記の10名が地盤工学会名誉会員に推挙されましたのでご報告いたします。おおにしゆうぞう大西有三        現在京都大学名誉教授関西大学環境都市工学部客員教授工学博士,Ph.D生 年 月 日昭和21年 2 月22日                昭和 43 年 3 月京都大学工学部土木工学科卒業        昭和 48 年 6 月カリフォルニア大学バークレー校工学研究科博士課程修了        昭和 48 年 7 月カリフォルニア大学ローレンス・バークレー研究所研究員        昭和 48 年 10 月京都大学助手(工学部)        昭和 52 年 7 月京都大学助教授(工学部)        平成 6 年 4 月京都大学教授        平成 20 年 10 月京都大学理事・副学長        平成 21 年 4 月京都大学名誉教授        平成 24 年 10 月京都大学総長特別補佐        平成 25 年 4 月関西大学特任教授(環境都市工学部)        平成 28 年 4 月関西大学客員教授(環境都市工学部)        平成13年度~現在日本計算工学会理事,全国地質調査業協会連合会理事        平成 15 ~ 17 年 度岩の力学連合会理事長        平成 23 ~ 27 年 度ISRM(国際岩の力学会)副総裁        平成 8 ~ 11 年 度NATM における予測と実際編集委員会委員長        平成 10 ~ 11 年 度地盤工学会関西支部幹事長        平成 11 ~ 12 年 度地盤工学会理事        平成 15 ~ 19 年 度岩盤工学委員会委員長        平成 16 年 度地盤工学会関西支部支部長        平成 17 ~ 18 年 度地盤工学会副会長   53昭和 年,平成     17年土木学会論文賞受賞        平成 27 年 5 月日本地下水学会学術賞受賞        平成 27 年 6 月土木学会功績賞受賞        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章かみやみつひこ神谷光彦        現在北海道科学大学名誉教授株上山試錐工業技術顧問農学博士生 年 月 日昭和20年 7 月 7 日                昭和 44 年 3 月北海道大学農学部農業工学科卒業株 奥村組入社        昭和 44 年 4 月        昭和 47 年 4 月北海道大学助手(工学部)        昭和 51 年 4 月北海道工業大学講師(工学部)        昭和 55 年 4 月北海道工業大学助教授(工学部)        平成 4 年 4 月北海道工業大学教授(工学部)        平成 23 年 4 月北海道工業大学名誉教授(現在北海道科学大学)株 技術顧問        平成 23 年 4 月上山試錐工業        平成 28 年 5 月農業農村工学会名誉会員        平成 11 年 度地盤工学会北海道支部幹事長        平成 13 年 度地盤工学会北海道支部副支部長        平成 15 年 度地盤工学会北海道支部支部長        平成 18 年 3 月地盤工学会功労章受章 かみやままこと神山眞        現在東北工業大学名誉教授東北工業大学大学院客員研究員工学博士生 年 月 日昭和20年10月11日                昭和 43 年 3 月東北大学工学部土木工学科卒業株 入社        昭和 43 年 4 月飛島建設        昭和 47 年 3 月東北大学大学院工学研究科修士課程修了        昭和 47 年 4 月東北工業大学助手(工学部)        昭和 48 年 4 月東北工業大学講師(工学部)        昭和 52 年 4 月東北工業大学助教授(工学部)        平成 2 年 4 月東北工業大学教授(工学部)        平成 3 年 7 月米国レンセラー工科大学客員教授        平成 5 年 3 月東北工業大学教務部長        平成 20 年 4 月東北工業大学工学部長        平成 23 年 4 月東北工業大学名誉教授        平成 19 年 度土木学会理事        平成 1 ~ 3 年 度土質工学会東北支部幹事長        平成 8 ~ 9 年 度地盤工学会理事        平成 15 ~ 17 年 度地盤工学会東北支部支部長        平成 20 ~ 21 年 度岩手・宮城内陸地震災害調査委員会委員長        平成 12 年 5 月土木学会東北支部技術開発賞受賞        昭和 55 年 5 月土質工学会奨励賞受賞        平成 16 年 3 月地盤工学会功労章受章        平成 21 年 6 月地盤工学会事業企画賞受賞かもんまさし嘉門雅史        現在京都大学名誉教授(一社)環境地盤工学研究所理事長工学博士生 年 月 日昭和20年 9 月21日                昭和 48 年 3 月京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得後退学        昭和 48 年 4 月京都大学助手(工学部)        昭和 50 年 6 月京都大学講師(工学部)        昭和 52 年 7 月京都大学助教授(工学部)        平成 3 年 4 月京都大学防災研究所教授        平成 13 年 8 月京都大学大学院教授(工学研究科環境地球工学専攻)        平成 14 年 4 月京都大学大学院地球環境学堂教授        平成 17 年 4 月京都大学大学院地球環境学堂長        平成 20 年 9 月京都大学名誉教授独 国立高等専門学校機構高松工業高等専門学校校長(現在香川高等専門学校)        平成 20 年 10 月        平成 26 年 7 月(一社)環境地盤工学研究所理事長        平成 20 年 10 月日本学術会議会員        平成 24 年 4 月日本工学会フェロー        平成 25 年 5 月日本工学アカデミー理事昭和  63 ~平成     2   年度講座委員会委員長        平成 4 ~ 6 年 度環境地盤工学入門編集委員会委員長        平成 7 年 度ISOsaka 96実行委員会委員長        平成 8 年 度第 2 回環境地盤工学国際会議(ISOsaka 96)実行委員会委員長        平成 9 ~ 11 年 度廃棄物の地盤材料としての利用に関する研究委員会委員長        平成 18 ~ 21 年 度Waste Management in GeoEnvironmental Engineering 国内委員会(AsianTC17)委員長        平成 17 年 度地盤工学会関西支部副支部長        平成 18 年 度地盤工学会関西支部支部長年,   3 平成  9 年,   21年日本材料学会論文賞受賞        平成 25 年 6 月土木学会功績賞受賞        平成 20 年 10 月環境大臣表彰受賞        平成 23 年 4 月文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)受賞        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章        平成 16 年 5 月地盤工学会研究業績賞受賞        平成 25 年 6 月地盤工学会論文賞(英文部門)受賞 すずきてるゆき鈴木輝之        現在北見工業大学名誉教授工学博士生 年 月 日昭和20年11月 5 日                昭和 45 年 3 月北海道大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了        昭和 45 年 4 月北海道大学助手(工学部)        昭和 47 年 4 月北見工業大学講師(工学部)        昭和 48 年 1 月北見工業大学助教授(工学部)        平成 3 年 10 月北見工業大学教授(工学部)        平成 11 年 4 月北見工業大学技術部長(併)        平成 14 年 4 月北見工業大学地域共同研究センター長(併)        平成 23 年 4 月北見工業大学名誉教授        平成 7 年 度地盤工学会北海道支部副支部長        平成 8 年 度地盤工学会北海道支部幹事長        平成 12 年 度「土と基礎」編集委員会委員長        平成 12 ~ 13 年 度地盤工学会理事        平成 12 ~ 13 年 度地盤工学会北海道支部副支部長        平成 12 ~ 15 年 度土の凍上試験方法基準化委員会委員長        平成 14 年 度地盤工学会北海道支部支部長        平成 16 年 3 月地盤工学会功労章受章たなかただつぐ田中忠次        現在東京大学名誉教授(一社)地域環境資源センター理事長農学博士生 年 月 日昭和20年 4 月23日                昭和 43 年 3 月東京大学農学部農業工学科卒業        昭和 44 年 4 月農林水産省農業土木試験場造構部研究員        昭和 56 年 4 月農林水産省農業土木試験場造構部主任研究官        昭和 57 年 10 月農林水産省農業土木試験場造構部第二研究室長        昭和 58 年 11 月明治大学助教授(農学部)        平成 元 年 4 月明治大学教授(農学部)        平成 11 年 4 月東京大学大学院教授(農学生命科学研究科)社 地域資源循環技術センター理事長(現在(一社)地域環境資源センター)        平成 18 年 6 月        平成 21 年 7 月東京大学名誉教授        平成 8 年 9 月日本学術会議会員        平成 16 年 6 月農業土木学会会長        平成 22 年 5 月農業農村工学会名誉会員        平成 24 年 5 月ダム工学会会長農業工学会フェロー        平成 2 ~ 3 年 度地盤工学会理事実務書企画委員会委員長        平成 8 ~ 10 年 度地盤工学における数値解析入門編集委員会委員長        平成 10 ~ 11 年 度地盤工学会理事        平成 12 年 度地盤解析 FEM ソフトの標準化に関する調査委員会委員長        昭和 58 年 8 月農業土木学会奨励賞受賞        平成 20 年 4 月日本農学賞受賞読売農学賞受賞        平成 27 年 5 月農業工学会賞受賞        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章 たるみひさし垂水尚志        現在(公財)鉄道総合技術研究所フェロー工学博士技術士(建設部門)生 年 月 日昭和19年 9 月22日                昭和 45 年 3 月東京大学大学院工学系修士課程土木工学専攻修了        昭和 45 年 4 月日本国有鉄道入社        昭和 49 年 3 月日本国有鉄道鉄道技術研究所土質研究室技術員        昭和 49 年 4 月日本国有鉄道鉄道技術研究所土質研究室主任研究員        昭和 49 年 3 月日本国有鉄道鉄道技術研究所土質研究室技術員        昭和 51 年 3 月日本国有鉄道構造物設計事務所補佐        昭和 54 年 5 月日本国有鉄道鉄道技術研究所土質研究室主任研究員        昭和 56 年 4 月日本国有鉄道新幹線総局施設部工事第一課長財 鉄道総合技術研究所土質・基礎研究室長        平成 2 年 4 月財 鉄道総合技術研究所技術基準事業推進部長        平成 5 年 4 月財 鉄道総合技術研究所総務部長        平成 7 年 7 月財 鉄道総合技術研究所基礎研究部長        平成 10 年 4 月財 鉄道総合技術研究所研究開発推進室長        平成 12 年 7 月財 鉄道総合技術研究所理事        平成 13 年 10 月財 鉄道総合技術研究所専務理事        平成 17 年 4 月財 鉄道総合技術研究所理事長        平成 21 年 4 月        平成 25 年 6 月(公財)鉄道総合技術研究所顧問        平成 27 年 6 月(公財)鉄道総合技術研究所フェロー        平成 6 年 9 月国際ジオテキスタイル学会技術賞受賞        平成 4 ~ 5 年 度土質工学会理事        昭和 54 ~ 55 年 度講座委員会委員長        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章てらしまさあき寺師昌明株 技研製作所        現在顧問国際圧入学会理事工学博士生 年 月 日昭和21年 3 月30日                昭和 45 年 3 月東京工業大学大学院修士課程土木工学専攻修了        昭和 45 年 4 月運輸省港湾技術研究所土質部地盤改良研究室研究官        昭和 50 年 4 月運輸省港湾技術研究所土質部主任研究官        昭和 52 年 4 月運輸省港湾技術研究所土質部土質調査研究室長        昭和 53 年 1 月運輸省港湾技術研究所土質部地盤改良研究室長株 日建設計中瀬土質研究所主任研究員        平成 4 年 4 月株 日建ソイルリサーチ取締役        平成 10 年 3 月株 日建設計中瀬土質研究所所長        平成 11 年 10 月        平成 11 年 12 月東京工業大学大学院国際開発工学専攻客員教授株 日建設計顧問        平成 19 年 1 月株 技研製作所顧問        平成 22 年 3 月        平成 12 ~ 14 年 度日本学術会議地盤環境工学専門委員会委員長        平成 1 ~ 6 年 度地盤工学における模型実験入門編集委員会委員長        平成 6 ~ 10 年 度地盤改良の効果の予測と実際編集委員会委員長        平成 7 年 度広報委員会委員長        平成 7 ~ 9 年 度地盤工学会理事        平成 13 年 度入門シリーズ11軟弱地盤入門編集委員会委員長        平成 14 ~ 15 年 度入門シリーズ28知っておきたい地盤の被害―現象,メカニズムと対策―編集委員会委員長        平成 15 ~ 16 年 度地盤工学会副会長        昭和 63 年科学技術庁長官賞(研究業績)        昭和 56 年 5 月土質工学会奨励賞受賞        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章 とみながこうじ冨永晃司        現在広島大学名誉教授工学博士生 年 月 日昭和19年 9 月 8 日                昭和 45 年 3 月京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科修士課程修了        昭和 45 年 3 月京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科研究生        昭和 46 年 4 月関西大学助手(工学部)        昭和 54 年 10 月国内研修員(東京工業大学昭和54年10月~昭和55年 3 月)        昭和 58 年 5 月広島大学講師(工学部)        昭和 58 年 6 月東京工業大学工学博士        昭和 61 年 2 月広島大学助教授(工学部)        平成 6 年 6 月広島大学教授(大学院国際協力研究科)        平成 20 年 4 月広島大学名誉教授        昭和 63 年 度土質工学会中国支部幹事長        平成 9 ~ 10 年 度地盤工学会理事        平成 16 年 度地盤工学会中国支部副支部長なりたくにとも成田国朝        現在愛知工業大学名誉教授NPO 法人養賢科学技術研究所理事長工学博士生 年 月 日昭和20年 9 月13日                昭和 43 年 3 月東京工業大学工学部土木工学科卒業        昭和 43 年 4 月東京工業大学助手(工学部)        昭和 48 年 4 月愛知工業大学講師(工学部)        昭和 52 年 4 月愛知工業大学助教授(工学部)        平成 元 年 4 月愛知工業大学教授(工学部)        平成 17 年 4 月愛知工業大学教学センター長        平成 23 年 4 月愛知工業大学工学部長        平成 7 ~ 9 年 度土木学会土構造物及び基礎委員会委員        平成 8 ~ 10 年 度技術士試験委員        平成 8 年 度 ~地盤工学会災害連絡会議専門委員(ダム)        平成 14 年 度 ~土木学会 JABEE 審査委員        平成 14 年 度 ~ダム工学会評議委員(8 年間)        平成 26 ~ 27 年 度日本高等教育評価機構・大学評価委員        昭和 56 年土質工学会中部支部幹事長        平成 3 ~ 4 年土質工学会理事        平成 3 年土質工学会図書委員会委員長        平成 4 年土質工学会情報委員会委員長        平成 6 年土質工学会中部支部副支部長        平成 7 年地盤工学会中部支部支部長        平成 14 ~ 16 年 度地盤工学用語辞典編集委員会第18編「ダム,堤防および水路」委員長        平成 21 年 5 月ダム工学会論文賞受賞        平成 25 年 5 月ダム工学会功績賞受賞        平成 11 年 7 月地盤工学会功労章受章
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  • タイトル
  • 平成27年度プレミアム会員に関する報告
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71959
  • 内容
  • 平成年度プレミアム会員に関する報告第58地盤工学会通常総会において,平成27年度プレミアム会員の紹介と名簿が以下のとおり報告された。平成年度(新規)プレミアム会員名簿【タイプ】【タイプ】承認 No.氏201601038嘉承認 No.名門雅史氏名201502015草深守人201602016柳沢新市*プレミアム会員(終身会員)制度のタイプごとの特徴区分タイプ 1会 員 の 意 思地盤工学およびそれに関する技術の普及・啓発活動に協力し,積極的に学会活動に協力する意思があること。20年以上申請時の会員歴典10年以上申請年度の 4 月 1 日現在申請時の年齢特タイプ 2正会員としての資格のほかに次の特典を有する。1. 研究発表会に無料で投稿・参加できる。2. 本部主催行事に半額の参加費で参加できる。3. プレミアム会員(タイプ 1)資格付与の証書が交付される。4. 総会にて新規プレミアム会員(タイプ 1)として紹介される。5. 年 1 回地盤工学会誌に名簿が掲載される。60歳以上正会員としての資格のほかに次の特典を有する。1. プレミアム会員(タイプ 2)資格付与の証書が交付される。2. 総会にて新規プレミアム会員(タイプ 2)として紹介される。3. 年 1 回地盤工学会誌に名簿が掲載される。※プレミアム会員(終身会員)制度についてはホームページをご参照ください。https://www.jiban.or.jp/ˆle/kaiin/premiumannai.pdf【地盤工学会プレミアム会員名簿】(平成年月末日現在)(50音順)〔タイプ〕浅岡顯宇野尚雄〔タイプ〕泉博允岩崎好規内田一徳川村博通北浦勝奥園誠之尾上篤生君島光夫草深守人久保田翼嘉門雅史國生剛治座親勝喜伴野松次郎中山洋本城勇介澤孝平塩井幸武新城俊也柳沢新市横田漠吉田喜忠末岡徹杉村義広山昌照米村信幸龍岡文夫田村伴次常松哲陶野郁雄内藤輝也中井照夫中澤重一那須誠橋口公一保坂雅夫松岡元三田地利之安原一哉藪内貞男(匿名 2 名)
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  • タイトル
  • 地盤工学会平成28年度新任副会長紹介
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71960
  • 内容
  • 地盤工学会平成年度新任副会長紹介(敬称略)古関潤一東京大学大学院教授(28.6~30.6)(カッコ内は任期。なお,任期中の副会長には,平成27年度より大谷研究所上級主席技師が就任しております。)順熊本大学大学院教授と古屋株 大林組技術弘
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  • タイトル
  • 第51回地盤工学研究発表会
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71961
  • 内容
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  • タイトル
  • 液状化予測法の未だホットな課題(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 1〜5
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71962
  • 内容
  • 液状化予測法の未だホットな課題Still Challenging Topics in Liquefaction Potential Evaluation國生剛治(こくしょう中央大学. は じ め にたかじ)名誉教授地震前後に浦安市が行ったボーリング調査データによって,液状化したと思われる浚渫埋立砂地盤には非塑性か1964 年の新潟地震とアラスカ地震が契機で本格的なら高塑性まで多様に変化する大量の細粒分が含まれてい液状化研究が開始されてから今年で 52 年が経過した。ることが分かった1)。このような浚渫砂地盤の実態につその間,液状化発生メカニズム,発生予測,対策技術ないては東京ディズニーランドの液状化対策に以前に関わどについて日米両国を中心に精力的な研究が進められ,っておられた吉見吉昭先生が今回の液状化を予見したか地盤工学の一主要分野を確立するに至った。実際,最近のような記事を本誌に書かれており非常に興味深い2)。では我が国をはじめ先進国においては,構造物設計の初期段階で液状化予測は必須検討項目となっている。図―には浚渫埋立地での複数の標準貫入試験で得られた粘土分含有率 Cc の深度分布を示す。通常は液状化このような現状を背景に液状化関連研究課題はほぼ解し難いとされている Cc が10以上と,それ以下の部分明されたかのような意見を耳にすることがあるが,これが入り組んだ層状地盤になっている。このような地盤のは全くの誤解である。自然災害研究の例に漏れず,これ液状化メカニズムについては,全く未解明と言って良く,までの限られた被災事例の範囲での理解と工学的判断に粘土分が少ない部分のみが局所的に液状化したと考える依っているところが大きいため,未だに地震ごとにホッのが順当だが,それではなぜこれほど大量の噴砂と沈下トな疑問が浮上し未解決課題が顕在化し続けている。例が生じたか説明しにくい。地震動の継続時間が長かったえば今年 4 月 14 ・ 16 日に起きた熊本地震でも,宅地・ために従来は液状化しないと考えられてきた高塑性の土堤防の液状化被害とともに,多数の自然斜面崩壊と長距まで繰り返し軟化現象を生じ,地表には主に非塑性細分離流動による大被害が生じ,地下水を含んだ火山灰土のを選択的に噴出した可能性などが考えられる。液状化判液状化による強度低下が疑われる。定対象土質条件の再確認や後で述べる年代効果との関わまた我が国では近年設計地震動が大き目に見直されるりも含めた液状化メカニズムの検討が必要である。傾向にあり,従来は検討対象外となってきた条件でも液いっぽう設計地震動の増大により, N 値 20 以上の礫状化可能性ありとの判定になる場合が増してきた。さら地盤でも液状化対策が必要になる場合があるとの実務者に性能設計法の普及により,単に液状化するか否かの判側からの疑問の声が聞かれる。この場合に是非認識すべ定に留まらず,液状化した状態からどの程度の沈下・流きことは,均等係数や乾燥密度が大きい礫地盤と小さい動による構造物影響が生じるかが問われ,性能維持のた砂地盤との液状化挙動の違いである。図―( a)には 3めに必要な構造対策や地盤改良の効果が問われる時代と種類の粒度分布をもつ砂と砂礫について行った三軸液状なってきている。このような観点から,以下では液状化化試験による液状化応力比 RL(載荷繰返し数 Nc=20回予測技術における最近の主な動向や課題をまとめる。で両振幅ひずみ 5 に達する)と相対密度 Dr の関係を.対象土質の多様化新潟地震直後は典型的な砂(クリーンサンド)の液状示す3) 。これより粒度の違いに依らず RL は相対密度とほぼ一意的な関係にあることが分かる。図―(b)にはDr = 50 の 3 種類の材料を液状化試験後にそのまま大化が中心であったが,その後の地震で多数の液状化履歴により低塑性細粒分を多く含む砂がクリーンサンドに劣らず液状化し易く,さらに液状化の対象外と見られていた砂礫までが条件によっては液状化することが認識され,検討対象とすべき土質の範囲が拡大してきた。これに伴い初期には土粒子径が主要パラメータとされてきたが,近年の設計基準ではむしろ塑性的性質の大小が重要視されるようになっている。これに関し, 2011 年東北地方太平洋沖地震では千葉県浦安市の埋立地において広範な地域で液状化被害が見られ,非塑性細粒分を大量に含む噴砂が生じた。一方,August, 2016図―浦安市埋立地盤の粘土分含有率の深度分布1)1 総説図―液状化応力比 RL~コーン貫入抵抗関係 qt への細粒分含有率の影響6)対し表面積比率の大きな細粒分の役割が重要である。現状の液状化判定法では,同じ貫入試験抵抗値でも細粒分含有率 Fc により液状化強度の割増を行う手続きが図―砂と砂礫の強度比較3)(a)両振幅軸ひずみ eDA=5での液状化強度 RL,(b)eDA≫5での強度共通して取られる。その根拠となるデータは多数の既往液状化地点の事例調査だけでなく凍結採取試料による液状化試験と現場貫入試験でも得られているが,そのメカきな軸ひずみまで非排水単調せん断した時の偏差応力 qニズムについては不問に付されて来た。筆者らは非塑性に対する変化を示している3) 。細粒分を含んだ砂の三軸供試体についてミニコーン貫入と水圧 Du の軸ひずみ eこの場合には同じ Dr にも関わらず,砂礫は砂より10倍試験と非排水繰返し載荷試験を行い,図―に示すようほども大きなせん断抵抗を示す。つまり通常はひずみ両な液状化応力比 RL とコーン貫入抵抗 qt の関係を得た7)。振幅 5で定義される初期液状化(水圧 100上昇に対これによれば,人工的に作成した供試体では細粒分含有応)については,砂礫は同じ相対密度の砂と同程度の液率 Fc を 0~30に変化させても RL~qt 関係は一意的な状化し易さであっても,それ以上の大ひずみ発生に対し一本の線で表わされ,現行の液状化判定法とは整合しなては体積膨張により砂とは比較にならない大きな非排水い結果が得られる。一方,長期間の固結作用を短時間で強度を発揮する。模擬するために細粒分にセメント0.5~1を加え24時間一方で標準貫入試験では同じ相対密度 Dr の下で砂よ圧密した加速試験では RL ~ qt 関係は明らかに上方に移り礫では N 値が大きく得られるため,現行の判定基準行し,その移動量は Fc が大きいほど大きくなる。つまで同じ N 値の砂礫地盤は砂地盤より液状化し易いことり細粒分自体が強度増加の原因ではなく,表面積の大きになってしまう4) 。つまり,設計的に片振幅 2.5 を超い細粒分が多いと長期間に引き起こす固結作用が活発にえるひずみが十分許容できるのであれば,礫地盤では許なり,これが液状化強度を割増す結果につながる。つま容ひずみに応じた大きな液状化強度を設定できることにり液状化判定の際に行われる Fc による強度割増こそが,なる。ただし,まさ土のような破砕性砂礫や非塑性細粒実は固結作用による年代効果を反映していることになる。分を多く含む場合には強度は極端に低下する可能性があ一方,土粒子構造の微視的変化や固結作用による微妙るため別途検討が必要である5)。.年代効果の定量評価な年代効果を原地盤で把握できる可能性のある現場 S波速度 Vs の測定が東北地方太平洋沖地震以降注目されている。米国では以前から年代効果を反映した液状化強東北地方太平洋沖地震では高度成長時代に人工的に埋度評価を Vs 測定により行うことを目指しデータ集積が立てた砂質地盤に液状化が集中的に発生したことは記憶行われてきた例えば 7)。一種の破壊試験である貫入試験とに新しい。東京湾岸の浚渫埋立地が多かったが,内陸のは異なり非破壊の S 波試験によれば土粒子構造や固結利根川沿いについても旧河川や沼沢埋立地に集中してい作用による微妙な変化を捉え易いと考えられている。一た。以前よりこのような傾向は指摘されており,最近で方で,ダイレイタンシーが関わる液状化特性を微小ひずは今年 2 月 6 日に起きた 2016 年台湾南部地震で起きたみレベルの弾性的性質だけで評価できるかとの疑問もあ液状化も若齢埋立地に集中していたようである。る。図―は粒子形状や最大・最小密度の異なる富津砂年代効果が発揮されるには種々の物理・化学的メカニと浦安砂についてのベンダーエレメント・三軸試験で得ズムが考えられるが,主には過圧密や多数の微小地震動られた RL~ Vs 関係を示すが, 2 種類の砂の間で明らかによる微視的粒子構造( Soil fabric)の変化と含有鉱物に違いがあることが読み取れる8) 。また RL の変化に対や地下水成分が関わる固結作用( Cementation)が挙げし Vs の変化は小さく,敏感な指標とは言い難い。つまられる。これには前述の細粒分が大きく関わり,特に固り各地点ごとに特有の関係を必要とすることや RL の評結作用は土粒子表面の電気化学反応に支配され,体積に価精度を上げるため小区間での Vs 測定精度を上げるこ2地盤工学会誌,―() 総図―2 種類の砂の液状化応力比 RL ~ S 波速度 Vs 関係 8)図―となどクリアすべき課題は多いと思われる。.説Fc の異なる Dr 30の砂の初期せん断応力下の液状化破壊モードの差異12) ( a )延性破壊 Fc= 0,(b)脆性破壊 Fc=10初期せん断応力の考慮新潟地震直後の Seed & Lee9) の研究に始まり今日に=ts/sn′に対する液状化応力比 RL の変化係数 Ka= RL/至るまで,液状化予測の実務は K0 圧密された水平地盤RL, a=0 で補正することになっている。しかし重要なのを念頭に行われてきた。一方,水平地盤の一次元沈下はは,初期液状化が発生する応力比の補正よりは,むしろ別として,液状化被害の本質は構造物や斜面の自重によその後に生じる変形が脆性的か延性的かである。我が国る初期せん断応力が作用する場で,地盤が液状化しながでは初期せん断の影響を簡易的に 2 段階で取り扱う方ら一方向に非排水せん断されることで引き起こされるこ法がしばしば見られる。1 段階目では等方応力下で非排とにある。この点を重視しCasagrande10) は間隙比eと水繰返し載荷による水圧上昇を考え,2 段階目で初めて有効拘束圧 sc ′からなる状態平面( State diagram )で初期せん断応力が加わり非排水単調せん断により剛性回定義される定常状態線(SSL)を境界に,せん断による復が生じるとして変形量を評価するものである。このよ収縮側と膨張側で現象を区別すべきとした。 SSL とはうな 2 段階評価は 1995 年兵庫県南部地震の神戸港で起土質力学の入門書にも説明がある限界間隙比 ecr についきた護岸移動による背後液状化地盤の流動破壊には適合てその sc′に対する変化を表したカーブのことであり,していると考えられる。最初から初期せん断が加わってSSL より体積収縮側では砂が非排水せん断されピークいる堤防・斜面・建物基礎などの問題では,この 2 段せん断強度を超えればひずみ軟化による脆性的流動破壊階評価は工学的判断に頼る部分が大きいが,地盤材料がを引き起こす。一方,体積膨張側では繰返しせん断で水SSL より膨張側にある限り安全側の結果を与えるもの圧が100まで上昇すれば一時的には液状化状態になると考えられる。ものの,初期せん断応力により一方向への破壊が起きようとすると体積膨張により水圧減少と有効応力回復が起.液状化地盤の水膜流動破壊き流動破壊は起きない。このためひずみ発生は段階的と上記のように液状化による流動的破壊は SSL より収なり,延性的に破壊する。例えば大規模に液状化した新縮側でないと生じないとされる。しかしこれはあくまで潟市の相対密度30~40(N1=8~10)の砂地盤(クリー均質な地盤材料を想定した非排水せん断挙動に基づいたンサンド)でも,通常問題となる 98 kPa 前後の拘束圧理論である。現実の不均質地盤が液状化した場合,SSLでは体積膨張側であり,急激な流動破壊よりは繰返し載より膨張側でも液状化により流動破壊が起き得る。有名荷による延性的破壊が問題となる11) 。しかしクリーンな例 が 1971 年 の 米国 サン フ ェル ナン ド地 震 で生 じたサンドが非塑性細粒分を含むと急激に体積収縮側に移行アースダムの上流法面流動破壊である。砂と水のポンプし脆性的な流動破壊を起こす可能性が出てくる11) 。図圧送工法で建設された上流法面が震動終了後 1 分程経―は中空ねじりせん断試験での初期せん断応力を加え過してから滑り始め,滑動モードから逆算された砂の残た Dr  30の緩い砂の液状化試験である12) 。クリーン留強度が非排水せん断強度では説明しきれないほど小さサンドでは(a)のように段階的な延性破壊しか起きないかった13) 。これを説明可能なメカニズムとして,液状が,細粒分含有率 Fc=10では(b)のように応力振幅は化で発生した余剰間隙水が透水性の低い挟み層・シーム小さくても載荷途中で急激な流動破壊が起きることが分の直下に集中して弱面が形成され時間遅れで流動破壊がかる。液状化予測においてはまずは対象とする地盤材料起きる間隙再配分現象( Void redistribution )がある13)。の作用応力下での体積変化特性を把握し,流動破壊の可1964 年新 潟地 震 では ,細 粒 分を ほと んど 含 まな いク能性があれば設計上慎重な対応が必要となる。一方,繰リーンサンドから成る液状化地盤が 1以下のごく緩い返し載荷による延性破壊であれば変形量を評価し性能設地表面勾配によって数 m も側方流動した現象について,計に取り入れることになる。砂層中に挟まれた粘性土層直下での水膜(Water ˆlm)米国では初期せん断応力の影響は初期せん断応力比 aAugust, 2016生成の可能性が指摘された14)。3 総説地盤調査では通常見逃されているが,砂地盤は決してすなわち液状化は応力振幅,繰返し回数などに依存した均質ではなく透水性の異なる水平成層から成っている。土の破壊現象であり,それを一般化して取り扱うために液状化により生じた余剰間隙水は上昇して低透水層の直最大応力に低減係数を乗じた等価応力振幅と繰返し回数下に一時的に滞留し,水平にある程度連続した水膜を形の正弦波に置き換える方法が取られる。日本は地殻内直成する15) 。初期せん断が加わっている場合,その弱面下型からプレート境界型まで様々な地震が頻繁に起きるがすべり面となりわずかなせん断力でもすべりが発生す世界でも稀な国であり,地震の種類,マグニチュード,るメカニズムが働く。この効果を設計で厳密に考慮する継続時間や波形などにより低減係数を定めているが,こためには成層構造の詳細な把握が必要でこれは極めて困れが液状化予測の信頼性を左右することになる。難である。米国では既往流動破壊事例から逆算した弱面一方,かなり以前から液状化は地盤に加わる力よりは発生を反映した残留強度と貫入抵抗の関係をデータベーむしろ砂の中で損失するエネルギー累積値と一意的な相ス化し設計に用いる流れとなっている。図―(a)は逆関があることが規則波・不規則波を対象とした実験によ算残留せん断強度を基準化 N 値(N1)60 に対しプロットり示されてきた17),18) 。図―は一例として同じ条件のし た 例 で あ り , ば ら つ き は 大 きい が 線 形 近 似し て い砂供試体に東北地方太平洋沖地震での K NET 浦安波る16) 。本図よりこのような流動破壊が実際に起きたの形と兵庫県南部地震でのポートアイランド地表波形を入は,日本の N 値に置き換えて N1 = 8 ~ 10 以下の緩い砂力した中空ねじりせん断試験での損失エネルギーと間隙地盤に限られるようである。図―(b)はこの残留せん水圧の関係を示している。地震波の形状・継続時間の大断強度から計算される残留内部摩擦角 qres と筆者らが行きな違いにも関わらずエネルギーにより水圧上昇が一意った模型実験で水膜沿いに逆算した qres の値15) を合わ的に評価できることが分かる。せ(N1)60 又は N1 に対しプロットしているが,qres=10このエネルギーの優位性に注目した液状化予測法は既°以下の低い値が得られることが分かる。一方,我が国に 1980 年代から提案されてきたが19) ,未だに実用化にではこの現象に対する研究者・設計者の理解と関心は極至っていない。力の釣合いに基づく応力法では最近の設めて低い段階に留まっているのが現状である。計加速度の増大が液状化予測に直接的インパクトを及ぼ.エネルギー概念の適用すが,エネルギー法は最大加速度よりは周期成分や振動継続時間など液状化を支配する要因で決まるため,加速ここまで液状化発生とその後の変形予測について地盤度のみに捉われない予測が可能となる。また,砂の損失材料特性の面から述べてきた。一方,地震外力の評価はエネルギーは間隙水圧上昇だけでなく発生ひずみ量とも液状化予測のもう一本の柱である。米国で最初に提案さ初期液状化後まで良い相関があり,液状化後の変形量予れた液状化判定法は耐震設計法の歴史的発展過程を反映測までを視野に入れた性能設計法に適した方法と言える。し静的震度法の流れを汲む応力法であり,これが世界標エネルギー法では地盤の一次元地震応答解析により各準となっている。力の釣合いに基づいたこの方法は直感層の累積損失エネルギーを算出し,それより水圧上昇や的で分かり易いが,不規則波形の繰返し現象である実際発生ひずみを評価できる20) 。また地中から上昇する波の地震動に適用するためには特別な工夫が必要となる。動エネルギーを算定し,それを累積損失エネルギー閾値と対比することで各層の液状化挙動を評価できる21) 。一例として 2003年十勝沖地震( M8.0 )の際に北見市端野町で起きた液状化事例との対比を示す。この地点は震央から 230 km 離れ最大加速度は 50 gal 程度と極めて小さいが,継続時間は 1 分にも及んだ。緩く傾斜した造図―流動破壊事例での残留強度(a)残留強度と基準化( N1 )60 値の関係16) ,( b )残留摩擦角と基準化N1 値の関係15),16)4図―2 つの異なる地震動における累積損失エネルギーと水圧上昇の一意的関係地盤工学会誌,―() 総4)5)6)図―2003年十勝沖地震での端野町液状化事例の FL 法とエネルギー法での液状化判定結果の対比21)成農地の 150 m × 50 m の範囲で液状化が生じ,流動化7)8)した細粒砂が噴出して下流に流失し最大3.5 m の沈下が起きた。図―にはエネルギー法と応力法(FL 法)による液状化予測を対比しているが,ほぼすべての地盤調査点で前者は液状化発生を後者は全く液状化しないとの9)正反対の結果になった21) 。勿論,両者の予測結果がかなり整合する比較例もあるが21) ,このように加速度が10)小さい割に波動エネルギーが大きい場合や逆の場合には,11)不規則波応力から等価応力振幅への低減係数では処理しきれず,応力法の限界が現れるものと考えられる。エネルギー法に必要な地盤データのほとんどは応力法12)と重なっており,単に地震応答解析結果を使ったエネルギー計算が必要になるだけで新たな地盤調査等のコスト増加もない。既に適用実績を積み重ねた応力法を補足す13)る方法として普及することが期待される。14). お わ り に繰返しになるが,液状化はほぼ解明されたテーマではなく未だ残された多くの課題があり,これからの地震に15)よっても新たな問題が続々と加わることは間違いない。本稿では,現時点で筆者の感じている幾つかの課題について概観した。このうち,特に斜面や構造物近傍の初16)期せん断応力下の現象をこれまでの水平地盤中心の液状化現象から拡大し,複雑な有効応力解析によらずとも普17)遍性のある簡易設計法として統一化していくことは国際的にも認識された重要な方向性である。若い世代の皆さ18)んがまだまだ未知の現象が潜んでいるこの分野で,新たな視点でさらなる研究開発に取組んでいただくことを期待しています。19)参1)考文献國生剛治・向井彩子・小島斗輝生千葉県浦安市における埋立地盤液状化と細粒分の物理特性,日本地震工学シンポジウム論文集,No. G06Th2., 2014.2) 吉見吉昭浚渫埋立土の粒度・塑性特性と液状化抵抗,土と基礎,Vol. 39, No. 8, pp. 49~50, 1991.忠・國生剛治砂礫の液状化強度及び液状化後の3) 原非排水せん断強度に及ぼす粒度分布の影響,土木学会論文集 No. 645/III50, pp. 245~253, 2000.August, 201620)21)説Kokusho, T. and Yoshida, Y.: SPT Nvalue and Swavevelocity for gravelly soils with diŠerent grain size distribution, Soils & Foundations Vol. 37, No. 4, pp. 105113,1997.Kokusho, T.: Liquefaction strengths of poorlygradedand wellgraded granular soils investigated by lab tests,Proc. 4th International Conference on Earthquake Geotechnical Engineering (Thessaloniki), Springer, pp.159184, 2007.伊藤文樹・國生剛治・長尾洋太非塑性細粒分を含む砂の液状化強度~コーン貫入抵抗関係への年代効果の影響,土木学会論文集 C, Vol. 67, No. 1, pp. 26~35, 2011.Andrus, R. 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  • タイトル
  • 液状化の判定と地盤-基礎構造物系の液状化被害予測技術の現状と展望(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 6〜9
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71963
  • 内容
  • 液状化の判定と地盤基礎構造物系の液状化被害予測技術の現状と展望The Current State and Future Prospect of the Judgement of Liquefaction and its Damage Assessmentfoundation Structure Systemto Soil風間東北大学.基教授樹(かざまもとき)大学院工学研究科液状化研究のこれまでと現状の認識液状化研究は 1964 年 3 月の米国のアラスカ地震,同年 6 月の新潟地震を契機に,日米で精力的な研究が始まったとされる。先人の研究技術開発により 1995 年阪神・淡路大震災の頃までには,液状化のメカニズムの理解に基づいて,その予測・判定・対策技術のメニューが,実務設計に用意された。その頃までの液状化予測・判定の目的は,液状化に対して基礎地盤が安定であるか否かを判定することにあった。筆者は,勝手ながら, 1964年から 1995 年阪神・淡路大震災までを液状化研究の第一ステージと捉えている1)。阪神・淡路大震災では,(その当時生きていた人が)図―液状化研究の変遷の概要経験していない強大な地震動が作用した。その結果,神戸の沿岸地域を中心に大規模な液状化被害をもたらし,る。しかし,耐液状化に関する研究技術開発は,この課液状化対策を施した地盤や,検討の対象とされてこなか題に十分に応えていないまま,東日本大震災に至ったとった砂礫地盤でさえも,被害を免れないことを経験した。言うのが筆者の認識である。その経験から,新たに設計で考慮すべき地震動レベルとここでは,地盤基礎構造物系液状化の予測・判定技して,レベル 2 地震の概念が導入され,液状化に対し術について的を絞り,現状と今後を再考察する機会としてもレベル 2 に対応した設計が要求された。当時,こたい。の問題に対応する土木学会の委員会2)では,レベル2地震動を対象として,基礎構造物に関係のある液状化や水.液状化に関する耐震設計の基本的枠組平流動の問題をいかに把握し,設計に取り入れるべきか先にあげた阪神・淡路大震災後の委員会報告2)の巻頭が最重要課題として議論された。その結果,兵庫県南部言では,震災後の対応の際に問題になった未解明の課題地震のような極大地震動を受けた場合,液状化被害を完として,「液状化や水平流動について,現象そのものの全に防ぐことは難しいため,ある程度の被害は許容する定量的把握が不十分で困難を伴ったこと…,強大なレベという性能設計の考え方が取り入れられ,各種構造物のル 2 地震動によって大きな地盤変状が生じた時,地中設計手法の選択肢が拡大した。言い換えれば,液状化被構造物の許容される挙動を,何を基準にしてどの程度定害には程度の差があることが認識された。その時点で問量的に設定すべきか」の二点を挙げているが,まず後者題設定は,“安定問題”から“変形問題”に移行したとに関連する事項について考えてみたい。前者の点につい言える。筆者は,“変形問題”としての液状化研究を第ては,.で述べることにする。二ステージと捉えている(図―)。. (地盤の液状化)≠(地盤-基礎構造物系の被害)今回,本論説の執筆依頼を受け,阪神・淡路大震災後―地震作用と耐液状化性能と被害程度の関係5)―の委員会報告2),震災を受けての総括的論文3),「液状化地盤基礎構造物系に作用する地震作用と液状化被害に関する設計について考える」と題した論文4)を再読し程度の関係を図―に模式的に示した。性能設計は,対た。残念ながら,そこで指摘された課題は現在もそのま象構造物が想定した地震作用を受けた時,被害程度が所まである。定の範囲内に留まるか否かを判定し,留まらない場合に,2011 年東日本大震災の大津波を経験し,安全には絶対策を施す作業である。対はないことが初めて知らされたことのようにクローズ注意すべきは,目標は地盤基礎構造物系の耐震性照アップされたが,地盤や構造設計に関わる技術者はこの査であって,液状化現象の発生そのものを予測・判定す認識は阪神・淡路大震災を経て既に持っていたはずであることはないことである。対象とする地盤基礎構造物6地盤工学会誌,―() 論図―説地盤基礎構造物系の耐液状化性能と地震作用レベルと被害程度の関係の概念図系の形式や重要度(人命損失の可能性,社会的経済的重要性,修復の困難性等)が異なれば,その要求性能も当然異なるから,照査法も異なる5)。まず,対象とする地盤基礎構造物系の要求性能を吟味し,回避しなければならない致命的事態と許容できる事態を,様々な角度か図―地盤基礎構造物系の耐液状化性能評価の手順ら評価することが START となる。このためには,被災事例を徹底的に分析し,物理的被災量(残留変形量や破壊モード)を修復性・経済性・事業継続性等と結び付け,性能仕様を見出す必要があり,この部分は施設を管理する各機関の仕事である。. 地盤基礎構造物系の耐液状化設計の手順筆者の考えるところの地盤基礎構造物系の耐液状化設計の手順を図―に示した。まず START として,対象となる地盤基礎構造物系の地震作用レベルごとの性能仕様を明確化することから始まることを明示した。また,現状を鑑みるに,被害の予測・判定は,被害の可能性の有無を判定する簡易判定(一次スクリーニング)と,そこで「液状化の可能性あり」と判定された場合にさらに行う詳細な被害程度評価(二次詳細照査)の二段図―素階に分けることを明示した。意図は,現状の各種指針の予測・判定法での知見を活かしつつ,今後,深化すべき地盤基礎構造物系の耐液状化性能設計の構成要れらを構成する具体的要素を示したのが図―である。 あるいは本稿では,すべてについては触れないが,◯被害量の詳細予測評価法を区別するためである。東日本大震災を受けて,国土交通省は,現行の FL 法 へ大きな影響を及ぼすという意味で◯ の部分の改善が◯に基づく液状化発生予測法の検証を行っているが,その最も重要と考えられる。また,現行の地盤の液状化判定結果,見逃しがなかった(噴砂など液状化が発生したとは,ハザードの評価には有効であるが,個別の地盤基確認された53のすべての箇所で,現行の FL 法に基づく礎構造物系の被災量評価になじまないことは認識すべきと液状化が発生すると判定された)として,現行法を直◯ で与える設計条件は◯◯ で利用すである7)。なお,◯ちに見直す必要性は低いとした6) 。その一方, FL法でる手法に応じたもの使うことになるが,当然ながら,最液状化の発生が予測された 88 箇所中,液状化が認めら大加速度や震度を地震作用とした場合には,当然地震動れなかった箇所が 35 (約 40 )あったとし,さらなるの周波数特性や継続時間まで考慮したことにならないし,研究が必要としている。現行法はかなり安全側の評価をN 値を使った評価結果は N 値の精度を超えられない。与えており,一次スクリーニング手法としては OK である。現行法で液状化の可能性ありと判定されたものについて,さらに二次詳細照査で被害量を評価すべきである。耐液状化性能設計において,地盤地震工学的に改善す◯◯◯ である。こべき部分は図―のフローのうち,◯August, 2016.液状化現象そのものの明確化,定量化先に,阪神・淡路大震災後の議論で,液状化や流動化現象の明確化,定量化の議論があったことを述べた。委員会報告では,「広義の液状化」と「狭義の液状化」を,表―,図―のように定義している。7 論説表― 「狭義の液状化」と「広義の液状化」3)細粒分含有率( FC )などが利用されている。これは,土質の耐液状化性能が,細粒側の土質では粘着力(有効応力がゼロでもせん断抵抗を持つ),粗粒側の土質では透水性と正のダイレイタンシーによってひずみが伸びにくい特性が期待されるという物理的な理由に基づいている。この物理的理由に立ち返り,耐液状化性能と粘着力,透水性,ひずみの伸びにくさの関係のデータの蓄積が必要である。これによって,指針で行われている粒度からの判定の信頼性が確かめられる。また,きれいな砂以外の土質も対象であるから,粗粒土の三角分類などを活用することも有用である。三角分類と N 値で,液状化検討対象土質の差別化をすることなども考えられる。. 土質材料の耐液状化性能評価―土の繰返しせん断試験による評価―先に,地盤基礎構造物系の耐液状化性能設計法は,対象構造物ごとに異なってもよいとした。一方で,地盤を構成する土材料の耐液状化性能の材料力学的評価は,ある程度一般性が必要と考えられる。図― 「狭義の液状化」と「広義の液状化」の模式図3)非排水繰返し強度曲線でよいのか現状の非排水繰返し強度試験は,応力比一定振幅のもとで繰返しせん断を行い,あるひずみレベル(例えば 5実務上で耐震設計,耐液状化設計と言えば,対象とす)あるいは過剰間隙水圧比(例えば 95 以上)がある地盤を問わず,とにかく「地震荷重により地盤の強度る値に達したことを持って,非排水繰返しせん断破壊とや剛性が低下して,沈下や破壊が起こる現象」すべてを定義する。この試験の応力比振幅を変化させて複数回実対象にしていると考えるべきと思われる。地震は対象地施し,繰返し回数と応力比の関係(繰返し強度曲線)を盤を選ばないからである。(その場合,液状化という用求めるというものである。語は明らかに広義の意味で使われている。)この試験法による液状化の破壊の定義は,阪神・淡路耐液状化性能設計が,耐震設計の範疇で行われること大震災以前に,米国発で導入されたものであって,「安を考えれば,本質は砂質土と粘性土の区別や液状化する定問題」から「変形問題」に目標設定が移行した現状にかしないかではない。すべての土に対し,地震によってあわないものになっている。具体的に言えば,すべての強度や剛性の低下がどの程度あるか,それが地盤基礎土を対象に評価することを念頭にしたとき,(狭義の)構造物系の被害量にどの程度寄与するのか,と捉えなお液状化による脆性的な強度・剛性低下と延性的な変形挙したほうがよいと思われる。動を明確に区別できない。砂質土と粘性土(あるいは固. 耐液状化設計対象外の地盤・土質材料の明確化化処理した改良土),緩い状態の土と密な状態の土,剛土質や地盤構造だけから,液状化の検討対象としなく性が回復する土としない土の挙動の差を明瞭に区別できてよい地盤が判定できれば合理的である。この考え方にる概念が組み込まれていないからである。また,試験は基づいて,実務設計もここから始まる。これに関しては,ひずみがある程度発達したら終わりとなるので,破壊し参考論文3)に指針の改訂の経緯が詳しく述べられている。てからの変形挙動も評価されない。昨今,実務でも残留しかし,論文中でも述べられているように,根拠となる変形予測のための数値解析がしばしば行われているが,データは必ずしも十分でないとした認識に立って,再検材料試験で破壊後の変形挙動が評価できていなければ,討の余地がある。残留変形量(被害程度)予測の信頼性は低いと言わざる地盤構造による判定としては,特に宅地建物に対しても,公共施設の基礎構造物と同じように,深さ 20 m もを得ない。耐液状化性能はエネルギー吸収性能で評価必要なのか,非液状化地盤と液状化地盤の層厚比と不同地震作用レベルが非常に大きくなった現在,耐震設計沈下の関係など,実証的なデータに基づく検討が必要との目標は「地震作用に対してびくともしないものを作る」考えられる。加えて,液状化調査に特化した地下水環境というものから「地震作用に対してある程度の被害は許の調査法の開発なども必要と思われる。また,地盤改良容するが,致命的な被害を防ぐ」になっている。実際,範囲との関係から,ある構造物にとってどこまでの範囲構造工学の分野では,阪神・淡路大震災後の RC 橋脚基の地盤の液状化を考えればよいのか,地盤と構造物の相礎の断面設計において,ピーク強度を超えた後の終局的互作用をどう取り入れるかも,整理がほしい。な破壊に至るまでの変形挙動が評価され,靭性を高める主に土の一次的性質に基づく対象外の土質の判断は,現状では,粒度曲線,平均粒径(D50),10粒径(D10),8耐震強化が行われた。高層建物の耐震化では,エネルギー吸収性能を高めたダンパーの導入が進んでいる。地盤工学会誌,―() 論説陸直下地震が発生した。液状化現象のみならず,斜面の崩壊やその後の泥流状の崩壊も,繰返しせん断による有効応力の低下現象が大きく関わっていると考えられる。液状化をより広い意味で捉え,耐震性評価の高度化につなげるべきものと考えられる。本拙文が,将来を展望する内容になっているか甚だ疑問であるが,読者に首肯していただけることが一つでもあれば幸いである。なお,誌面の都合から,言及できなかったが,学会の液状化研究のロードマップ11) やエネ図―不規則な繰返しせん断履歴を受けた土の典型的なルギーに基づく液状化12)も参考にされたい。応力ひずみ関係の例(非排水オンライン実験)3)参土の耐液状化性能評価も同じである。繰返しせん断に1)対する材料としてのねばりを評価する必要がある。具体的には,応力ひずみ関係(図―参照)から得られる2)エネルギー吸収性能が土の耐液状化性能として使える有力な指標である。また,その際の損傷度の指標は,剛性低下量,残留ひずみ,過剰間隙水圧,せん断後の単調せん断時の剛性回復までに要するひずみ量,排水後の体積3)ひずみなどに着目すればよい。ここでポイントはどのような履歴を与えて繰返しせん断挙動を試験するかである。例えば,日下部ら8)はひずみ制御試験で,薬液改良した4)砂の耐液状化性能を評価している。また,金ら9)は土材料の繰返しせん断に対するひずみの伸びや剛性の低下,5)繰返しせん断後の単調せん断時の剛性回復,その後の排水体積ひずみ量を提案している。6)ここで述べたいことは,材料性能評価の基本は繰返しせん断試験であり,信頼性を高めるためには,様々な土に対して多くの実験をしてデータを蓄積するしかない。7)データの蓄積によって,砂質土~中間土~粘性土,緩い~中密~密,固化改良~薬液改良~排水対策,などに応じたエネルギー吸収性能(耐液状化靭性能)が連続的に8)評価されることになる。. あ と が き9)本稿を執筆中,ニュースで医療のデータベースの話題があった。政府は個人情報を適切に処理した上で治験データを集約し, AI などの活用ができる医療技術政策10)を進めるというものであった。地盤評価技術にも,データの蓄積→評価→改善といういわゆる PDCA のサイク11)ルがほしい。これによって技術の改良が図られ,信頼性が増すものと考えられる。現在,社会共通の地盤情報財産としてボーリングデータを利活用するための動きがある10) が,土質試験データもそのような取扱いにしてもらいたい。12)考文献風間基樹阪神大震災以降の液状化研究―液状化した土の残留変形特性の評価,電力土木, No. 348, pp. 1 ~ 6,2010.土木学会地震工学委員会レベル 2 地震動による液状化研究小委員会報告書『レベル 2 地震動による液状化』レベル 2 地震動による液状化研究小委員会活動成果報告書2003 .入 手先〈 https: // www.jsce.or.jp / library / eq10 /book/bklist/50102/eqbk01.htm〉(参照2016.4.14)松尾 修道路橋示方書における地盤の液状化判定法の現状と今後の課題,土木学会論文集,No. 757/66, I20, pp. 1~20, 2004.吉田 望液状化に関する設計について考える, 1995年兵庫県南部地震 5 周年特別企画,日本地震あれからこれから,土木学会地震工学委員会,pp. 81~84, 2000.井合 進地震作用の国際規格と東日本大震災を踏まえた今後の性能設計の方向性,土木学会誌,Vol. 98, No.3, pp. 30~33, 2013.国土交通省「液状化対策技術検討会議」の検討成果につ い て ,【 資 料 2 】 入 手 先 〈 http: // www.mlit.go.jp /report / press / kanbo08 _ hh _ 000154.html 〉( 参 照2016.4.15)風間基樹・河井 正・森 友宏・金 鍾官・山崎智哉東日本大震災の液状化被害に見る液状化研究の課題,日本地震工学会論文集,Vol. 15, No. 7, pp. 49~59, 2015.日下部伸・森尾 敏・小田恵之輔・岡林 巧・兵動正幸シリカ薄液で改良された破砕性砂の液状化抵抗,破砕性地盤の工学的諸問題に関する研究委員会報告書およびシンポジウム発表論文集,pp. 127~132, 1999.金 鍾官・河井 正・風間基樹・森 友宏液状化被害を推定するための室内試験法の提案,大ひずみ領域を考慮した土の繰返しせん断特性に関するシンポジウム発表論文集,pp. 149~156, 2013.5.地質・地盤情報活用促進に関する法整備推進協議会 HP,入 手 先〈 http: // www.zenchiren.or.jp / suishin / suishin _index.html.〉(参照2016. 4.14)地盤工学会アカデミックロードマップと発展史・人物史,テーマ地盤防災, 7 1 液状化.入手先〈 https: //www.jiban.or.jp/images/ˆle/AR_PDF/71AR.pdf〉(参照2016.4.01)國生剛治地震地盤動力学の基礎,エネルギー的視点を含めて,鹿島出版会,2014.(原稿受理2016.4.21)また,本稿を執筆中,熊本にて震度 7 を計測する内August, 20169
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  • タイトル
  • 埋立地盤における液状化の予測・判定(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 10〜13
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71964
  • 内容
  • 報告埋立地盤における液状化の予測・判定Prediction of Liquefaction in a Reclaimed Ground中井正一(なかい千葉大学しょういち)名誉教授. は じ め に2011年東北地方太平洋沖地震では,震央から 300 km以上離れた東京湾岸部の埋立地を始め,首都圏東部地域では広範囲にわたって液状化が発生し,噴砂や地盤沈下,建物の傾斜等の被害を生じた1)。特に,戸建て住宅地においては,構造的な被害はほとんど無いものの,健康的被害を生じうる傾斜を生じた建物が続出し,大きな社会問題となった2)。筆者らは,地震直後に千葉市美浜区全域を対象とする液状化に伴う噴砂分布の調査を行い,被害マップを作成した3)。その結果,広範囲にわたって激しく噴砂が発生している地区がある一方で,噴砂が全く見られない地区もあるなど,液状化被害とその程度には場所によって大きな偏りの存在することが分かった。本稿では,千葉市美浜区を対象に,埋立地盤における液状化被害分布に見られる著しい不均一性が生じたメカ図―ニズムを表層地盤構造の観点から分析し,同種の地盤に2011 年東北地方太平洋沖地震による千葉市美浜区における噴砂被害の分布おける液状化の予測や判定の可能性について考察を加える。..千葉市美浜区における液状化被害の概要表層地盤構造と液状化被害分布. 地盤データベース千葉市美浜区は市西部の東京湾岸沿いに位置し,区内筆者らは,千葉県内における地盤情報データベースの全域が埋立地である。埋立ては, 1960 年代から 1980 年構築を進めてきた。このうち,千葉市美浜区では約800代中頃までの間に,南東側から順にサンドポンプ工法に本のボーリングデータを有している。以下の検討では,より東京湾海底の浚渫土を用いることによりなされた4)。この中から,美浜区全体でおおむね一様な分布になるよ2011 年東北地方太平洋沖地震により,美浜区内の広いうに選択した約600本のデータを用いた。図―に,使範囲で液状化に伴う噴砂が発生した。用したボーリングデータの調査地点分布を示す。また,筆者らのグループでは,地震直後の 2011 年 3 月 12 日~ 20 日にかけて,美浜区における噴砂の発生状況調査美浜区全体を50 m メッシュ全7 439個に分割し,諸量の分布をメッシュデータにより表現する。を実施した。調査対象は区内全域の道路と立入り可能な. 表層地盤構造モデルの作成公園,及び一部の私有地である。被害の程度は,噴砂のまず,美浜区全域にわたる表層地盤構造を把握するた流出範囲が直径約 1 m を超える大規模な噴砂が確認さめ,図―に示す約600本のボーリングデータを用い,れた場合,それ以下の小規模な噴砂のみ見られた場合,各 50 m メッ シュ に つい て工 学的 基盤 ま での 土質 ・ N及び,噴砂が見られなかった場合の 3 段階に分類した。値・S 波速度構造の推定を行った。推定方法は,各メッ図―に噴砂被害の分布を 50 m メッシュを用いて示シュ近傍のボーリングデータから距離の逆数による重みす。図中のドットで表されている部分は,調査した道路付き平均を用いた。構築された地盤モデルから作成したや公園等が含まれないメッシュを表している。図から,地層断面図の例を図―に示す。これによれば,工学的内陸側(北東側)よりも中央部から海側(南西側)にか基盤までの表層地盤は,地表から埋立土層,完新統,更けて大規模な噴砂が多いこと,大規模な噴砂が広範囲に新統に分類される。埋立土層の深さは海側ほど深く,見られた地区がある一方で,噴砂が全く見られなかったGL 3~12 m 程度の範囲である。また,完新統の基底深地区もあること,などを指摘することができる。度は GL 5~45 m 程度,工学的基盤深度はこれよりもやや深い位置に現れることが見てとれる。図から分かると10地盤工学会誌,―() 報図―図―図―告液状化による地表変位 Dcy分析に用いたボーリング地点分布土層断面図の例(図―の AA′断面)おり,埋立土層厚・完新統基底深度・工学的基盤深度のいずれも区内の地域ごとに大きく異なっているが,これは,この地域に存在する複数の溺れ谷に関係している。. 液状化指標と被害分布図―地表最大加速度(PGA)図―砂層の最大せん断ひずみ次に,建築分野で用いられる液状化指標(液状化による地表変位 Dcy )の分布を求めた5) 。結果を図―に示す。この図は,まず,図―に示すボーリングデータから各地点における Dcy を求め,これを空間補間してメッシュ表現したものである。この時,地表最大加速度は,東北地方太平洋沖地震時に図―の真砂において観測された値250 cm/s2 とし,細粒分含有率は土質区分からの推定値6) を用いた。図―を図―と比較すると, Dcyの大小は大まかには液状化被害の大小関係と対応するものの,被害に見られる著しいコントラストとは多少趣が異なる。主に土木分野で用いられる液状化指標 PL でもおおむね同様の結果が得られている。. 地表最大加速度の推定と被害分布.で構築した地盤モデルに基づき,等価線形解析により地表での地震動と各層のせん断ひずみを求めた3)。入力地震動は,真砂(図―)の計測震度計で観測された本震記録の EW 成分を,等価線形解析により工学的大地表加速度( PGA)の分布を示す。図より,PGA は基盤へ戻したものを美浜区全域で同一と仮定した。液状海側で値が大きくなる傾向にあることが分かる。短周期化地盤であっても,液状化直前までの応答を等価線形解の地震動成分が表層地盤で増幅され,地表での加速度が析によりおおむね評価できるものと判断している。大きくなったためと考えられる。図―の分布は,図―図―に,解析から得られた各メッシュの地表での最August, 2016に示す噴砂分布と一定程度の対応は見られるものの,11 報告噴砂のなかった地区でも PGA が大きくなっており,特に海側における噴砂被害の偏りを説明できていない。. 砂層の最大せん断ひずみと被害分布液状化は緩い飽和砂が地震時に引き起こす現象であることから,噴砂被害を分析するに当たってはこの土質の差を考慮するのが自然である。ここでは,上記地震応答解析結果のうち,地表面下 20 m までのゆるい砂層に着目し,地震時のせん断ひずみの最大値を求めた。結果を図―に示す。おおむね図―に示す PGA 分布に近いものの,海側においてもせん断ひずみが大きくならない地区が見られ,噴砂分布とよく対応している。すなわち,液状化被害は,表層地盤の地震動増幅特性に加えて各地点の地層構造(土質区分)が大きく影響していると言える。.写真―埋立造成履歴と地盤の不均一性7)浚渫による埋立ての様子(写真提供磯辺街づくり研究会). 埋立造成履歴美浜区の埋立造成は,千葉県内東京湾岸の他地域と同様,浚渫によりなされたものである。すなわち,東京湾海底の土をポンプにより海水と一緒に吸い込み,排砂管を通して圧送し,堤防により締め切られた海面に排出する方法である(写真―)。この工法では水中で土砂が堆積する結果,排砂管近傍では粗粒土(砂)が,排砂管から距離の離れた地点では細粒土(シルトや粘土)が多く堆積すると考えられる。図―は,美浜区中央付近の埋立造成時( 1972 年)の航空写真であり,これから判読した排砂管の位置を黒線で示した。図の中央やや下部には,北東から南西へと向かう現在の草野水路に相当する排水路が見られる。排砂管から排出された海底土混じりの海水は,この排水路の両脇に設けられた余水吐に集められ,細粒土を沈殿さ図―埋立て状況,排砂管の配置と被害分布せた上で東京湾へと戻されていることが航空写真の濃淡から読み取ることができる。. 地盤の不均一性まず,図―に示す B1~B3 地点における土質柱状図を比較したところ,排砂管に近い B1 地点ではゆるい砂層が厚く堆積しており,排砂管から遠い B2 及び B3 地点ではシルト層が卓越していることから,.で述べた仮説を検証することができる。特に,埋立造成時に余水吐であったと思われる B3 地点では,地表に至るまで砂層はほとんど見られないことが分かった。図―には,図―に示した噴砂分布を重ね描いており,噴砂分布は排砂管の配置と極めて調和的であると言える。さらに狭い範囲での地盤構造の不均一性を検討するため,図―の B2 地点付近の 6 地点(図中の C1 ~ C6)において細かな間隔で三成分コーン貫入試験( CPT )図―CPT による推定土質柱状図を行った。試験から得られた推定土質柱状図を図―に示す。このうち, C1 及び C2 は東北地方太平洋沖地震程度で土層構成が大きく変化する可能性がある。時に激しい噴砂が見られた地点,C3~C6 は全く噴砂が・排砂管付近には粗粒土(砂)が堆積しやすく,水中で見られなかった地点であり,地点間の距離は 40 ~ 50 mの堆積であることからゆるい状態にとどまると推測さ程度である。これらより,以下の考察が可能である。れ,地震時に液状化する可能性が高い。・浚渫により造成された埋立地盤では,距離 40 ~ 50 m12・一方で,排砂管から離れた場所には細粒分の多いシル地盤工学会誌,―() 報トや粘土が堆積しやすく,地震時の液状化危険度は低いと考えられる。. 埋立地盤の液状化予測・判定告工夫が必要であろう。.まとめ液状化は,「ゆるい飽和砂」に強い地震動が作用した東北地方太平洋沖地震による千葉市美浜区での液状化時に起こる。つまり,次の 4 つの条件が同時に満たさ被害の分布には著しい偏りが見られた。本稿では,被害れた場合に起こる現象である。の不均一性を明らかにするため,詳細な分析を行った。砂地盤であることゆるい状態で堆積していること飽和していること(地下水位以下であること)央部から海側にかけて大規模に発生したが,同じ海側で強い地震動が作用することも一部地域では噴砂が全く見られない地区もあった。 ~ を満足す旧水面を埋め立ててできた地盤は上記得られた知見は以下のようにまとめられる。液状化に伴う噴砂被害は,美浜区内の主として中ボーリングデータに基づいて構築された表層地盤ることが多い。このような条件の場所に強い地震動が作モデルによる分析によれば,同じ埋立地であっても埋立用すると液状化が発生し,大きな被害を出すこととなる。土層の土質は場所により大きく異なっており,このことこれが, 2011 年東北地方太平洋沖地震時に首都圏東部が被害分布の不均一性の大きな原因となっていることが地域で起こったことである。ただし,.で述べたとお分かった。り,埋立地盤はたとえごく近傍であっても,場所による土層構成が大きく変化することが多く,このことが液状化被害分布に著しい不均一性をもたらす結果となった。筆者は,地震後に千葉県及び千葉県内の各市(千葉市,浦安市,習志野市,香取市)に設置された液状化被害に関する委員会に参加する機会を得た。そのいずれにおいても,液状化被害分布は場所によって大きく異なり,まこのような地盤の不均一性は,埋立造成方法と密接に関係している可能性がある。従来から用いられている液状化危険度指標に加え,地震時に想定される表層地盤中の砂層のせん断ひずみは液状化被害を予測・判定する指標として有効である。ただし,表層地盤の空間的不均一性を考慮し,充分な数の地盤情報が必要である。た,従来から用いられている液状化危険度を表す指標( Dcy や PL)が必ずしも被害地域の被害程度を表現しきれない場合がある,と言うことを経験した。一方で,筆者らの検討によれば,.や.に示したとおり,従来からの指標は一定程度の有効性を示すことが分かる。一見相反するように見えるこの結果は,利用できる地盤情報参1)2)3)の空間的密度に依存すると考えられる。すなわち,埋立地盤の土層構成はたとえごく近傍であったとしても大き4)く異なることがあり,少数の地点の地盤情報からだけでは液状化被害の様相を見誤る可能性があると言うことで5)ある。このことは,大河川の氾濫によって形作られた自然地盤であっても成り立つ議論と考えられる。6)このような表層地盤の空間的不均一性は液状化被害の予測に大きな影響を与える可能性がある。地盤情報の集積が重要であることは論を俟たないが,地盤情報が得られている地点間を数多くの簡易な地盤調査で補うなどのAugust, 20167)考文献地盤工学会編東日本大震災合同調査報告・共通編 3・地盤災害,2014.日本建築学会編東日本大震災合同調査報告・建築編5・建築基礎構造/津波の特性と被害,2015.関口 徹・中井正一千葉市美浜区の液状化被害に与えた表層地盤構造の影響,日本地震工学会論文集, Vol.12, No. 5, pp. 21~35, 2012.千葉市臨海開発部稲毛海浜ニュータウンのあゆみ,1984.中井正一・堀内佑樹・関口 徹千葉市美浜区における地下水位低下工法の適用可能性に関する検討,第49回地盤工学研究発表会,pp. 1579~1580, 2014.山中浩明ほか地震・津波ハザードの評価,朝倉書店,pp. 14~30, 2010.中井正一・関口 徹東北地方太平洋沖地震による千葉市美浜区における液状化被害分析,物理探査, Vol. 66,No. 1, pp. 37~43, 2013.(原稿受理2016.5.5)13
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  • 調査から見た液状化予測・判定(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 14〜17
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71965
  • 内容
  • 報告調査から見た液状化予測・判定Liquefaction Prediction in the Standpoint of an Investigation澤田俊株応用地質一(さわだ技術本部. は じ め にしゅんいち)技師長砂質土主体,細粒土主体,互層状態を“S”,“C”,“SC”で表記している。同図の柱状図にハッチングした部分が地震による構造物被害要因に液状化現象が挙げられて液状化判定法5)で液状化すると判定(液状化に対する抵いる。性能設計の導入によって対象とする構造物の耐震抗率 FL ≦1.0)される深度である。採取した地点周辺性能を照査する場合,液状化が発生するか否かに留まらでは噴砂現象と共に多くの建物被害が発生していることず,地盤変状や支持力不足により被害発生の有無,さらから結果は整合している。しかし, X 線写真では多くにはその程度の大小までを予測することが求められる場の砂質土層で縞模様の堆積時の痕跡が残存し“土要素”合もある。地盤調査(以降“調査”と記す。)に求めらとしては液状化したかもしれないが,深度5.80~7.00 mれる液状化予測は,“土要素”としてのみならず空間的の AS1 層以外の FS 層・ AS2 層では縞模様を消去する程な分布を考慮した“地盤”としての判定が必要となる1)。の大ひずみとなる変形は生じず,“地盤”は撹拌されて物理試験や力学試験等の室内土質試験では“土要素”といない。しての情報しか得られない。“地盤”としての情報に展X 線写真の縞模様が示すとおり, F 層も A 層も相当開するためには原位置での探査手法を含むボーリング調に不均質である。試験では深度方向に約 1 m 長で採取査やサウンディング調査等で空間的な情報に変換する必した試料から高さ 10 cm に切り出して成型した 3 ~ 4 供要がある。試体での繰返し載荷回数と繰返し応力振幅比の関係から例えば,地盤の一部の“土要素”が繰返し作用するせ動的せん断強度 RL20 を求めている。当然のことながらん断応力によって間隙水圧が蓄積され,部分的に液状化試料の不均質に配慮せずに設計値とすることは合理的でした(土の有効応力が殆どゼロになる状態)となったとはない。対象構造物の立地する“地盤”として液状化予しても“地盤”全体としては大ひずみの変状が発生せず測を行うことが大切であり,地盤の不均質については統被害に繋がらない場合が挙げられる。また,ある瞬間に計的にばらつきを評価した設計値とするのが望ましい。有効応力がゼロになって“土要素”が液体状に変化したしかし,これまでの調査で実施される調査数量(密度)としても,後続する次の地震動の載荷によってせん断剛は土層毎に 1~2 試料程度であり,統計的に処理できる性が回復して大ひずみの発生が抑制されるサイクリック数は有していない。性能設計では地盤の不均質を考慮しモビリティーも考慮する必要がある。本稿では, 2011た合理的な設計値の設定が求められている。年東北地方太平洋沖地震後に関東地方の液状化被害箇所何故地盤は不均質なのかを考えてみる。図―はポンで調査した結果から“調査から見た”を観点とした液状プ浚渫による代表的な埋立て方法の概要を示したもので化予測・判定について空間的分解能の向上に着目してそある6)。埋立てはポンプ船で吸い上げた土砂を海水と共の必要性を報告する。に泥水として排砂管を用いて圧送運搬する。圧送運搬し.造成地盤の土質特性2011 年東北地方太平洋沖地震では関東地方の湾岸埋立地や河川に近接する造成宅地で液状化現象により噴砂と共に多くの宅地で建物の沈下・傾斜被害が生じた2)。図―に示した写真は,東京湾岸埋立地にて GS サンプラー3)を用いて採取した乱れの少ない試料の X 線写真4)である。写真からは縞模様状に白く写っている堆積状況が分かる。室内での試料観察により白く写っている部分が粗粒土,黒く写っている部分が細粒土の卓越する箇所である。同図の左側の柱状図に示すとおり,表層から客土としての盛土( B 層),埋立て層( F 層)その下位に沖積層( A 層)が堆積している。各土層名には下付きで文字で14図―採取試料の X 線写真地盤工学会誌,―() 報図―告浚渫の方法6)た泥水は吐出し口から言わば密度調整試料の作成時に用いられる“水中落下法”に近い状況で埋立て地盤として造成する。図―は排砂管の吐出し口位置周辺の地盤堆積状況のイメージである。同図からも推定できる様に,排砂管吐出し口位置からの距離によって,堆積する土質材料は分級され粒度特性が異なってしまう。排砂管の吐出し口の位置と構造物被害の関係を指摘している報告もある7)。図―の図―排砂管吐出し口周辺の堆積状況X 線写真をよく見ると鉛直に掘進して採取された試料に斜めとなる縞模様が観測でき, A 層についても,気象変動や河口との位置関係,さらには沿岸流の強さ等により堆積環境が複雑になっていることが確認できる。図―には FS 層と AS1 層の換算 N 値(有効土被り圧補正を行った N 値)と細粒分含有率 Fc の関係を示した8) 。 FS 層は沖合の AS1 層を浚渫した土砂を海水と共に排砂管を通して圧送運搬した材料であって組成は同じである。しかし, FS 層では, AS1 層に比べ Fc の分布状況がばらつき,調査場所によって分級し粒径分布が異なって堆積していることが物性値からも推察できる。.液状化予測・判定に用いられる調査造成地盤の土質特性建築・土木構造物を設計する場合に用いられる液状化予測の方法には構造物毎に種々のものがある。 N 値や土の粒度特性のみを基にした簡易なものと,ボーリング調査で採取された乱れの少ない試料を用いて繰返し載荷を行う動的変形特性試験や繰返し非排水三軸試験結果を基に地震応答解析を行う詳細な方法がある5),9)~11)。各種構造物の設計指針・基準によって補正等の差異や呼び名に違いはあるものの,多くの設計に用いる液状化予測の方法には,液状化に対する抵抗率 FL (= R / L )を求めて液状化が発生するか否かを予測している。この図―換算 N 値と Fc方法では液状化に対する抵抗力としての動的せん断強度比 R と地震時に地震動によって作用するせん断応力比を算出する。不均質を地盤定数に反映させるためには,L を調査結果から設定する。簡易な方法での L の設定この N 値及び Fc のばらつきを統計的に処理することがでは,標準設計震度を基に深さ方向の低減係数 gd と全できる数量(密度)の情報を入手することが必要となる。上載圧と有効上載圧が計算され,地盤物性値としては湿このためには,平面的な調査位置密度の向上と同時に深潤単位体積重量 gt が必要となる。一方, R の設定では度方向にもより多くの情報取得を計画しなければならな標準貫入試験による N 値と土質判別として同時に採取い。した試料を用いた Fc から求まる RNFc ( N 値と Fc から算出する R で指針・基準によっては塑性指数 Ip も必要)August, 2016一方,詳細に液状化の予測を行う場合には重複反射理論に基づく地震応答解析によって地震動を算定する場合15 報告に L では工学的基盤面深度までのせん断波速度 Vs を求業が必要となる。図―には同じ試験結果から得られるめる PS 検層や微動アレー探査等の原位置試験の実施,RL20 と RL15 の関係12) を示した。図中のプロットは東京室内土質試験ではひずみレベルに応じたせん断剛性 G湾岸埋立地で実施した地盤調査結果から得られた関係結と減衰比 h を求める動的変形特性試験が必要になる。果である。限界せん断ひずみ振幅や設定繰返し載荷回数また,R には採取した乱れの少ない試料を用いて繰返しの違いによって単純な RL15 = 0.57 × RL20 の関係になら非排水三軸試験を実施して現場に則した“土要素”としず RL15=2.0×RL202/3 に近い関係になっている。ての RL20 を求める。本来であれば不均質な“地盤”の評価として土層毎に中央値や標準偏差が設定できる数の.液状化予測の空間的分解能RL20 を求めて設計値 R を決めることが望ましい。しか三次元で表現することが望まれる地盤情報としての液し,設計として成立させるための時間と経済面から実施状化予測は,判定する地点の空間的分解能に依存し,調は 困 難 と な る 。 そ こ で , 数 少 ない 試 料 か ら 得ら れ る査実施位置の二次元平面配置と深さ方向の試験間隔によRL20 と地盤の不均質さに配慮した“土要素”としてのって決定される。ボーリング等の調査の平面的な位置間R を設定すると同時に,数多く入手が可能な RNFc の統隔は対象構造物の種類にもよるが密に実施する場合でも計的な情報を掛け合わせて“地盤”としての設計値 R一般には間隔は数百 m 以上となる場合が多い。液状化と設定することができれば合理的な方法となる。予測が求められる我が国の地形は平野部等の低平地に該設計値 R は指針・基準によって異なる定義を持って当するものの低平地には河川が流れ,堆積構造は埋立ていることにも注意が必要である。その 1 例として表―造成地盤以深の沖積層でも急峻な山地を背後に抱え,降に土木系と建築系の設計値 R に変換する係数を比較雨による氾濫によって複雑で不均質な表層地形が形成さして示す。土木構造物での R は RL20 として繰返し非排れていることからできるだけ密な平面配置が望まれる。水三軸試験で, 20 回の正弦波載荷回数で両ひずみ軸振一方,深度方向には地下水位以深で 20 m 以浅の地表付幅 DA が 5(せん断ひずみg=3.8)に達する応力近の地盤情報が重要となる。液状化予測では標準貫入試比を指すが,建築系では RL15 を採用していてせん断ひ験の実施間隔に依存し,調査地点あたり多くても十数点ずみ g が 5 ( DA = 6.67 )に達する応力比を採用ししか情報が得られない。この平面的な配置密度と深度方ている。試験のデータ整理方法において異なる読取り作向の密度の掛け合わせが,調査からみた液状化予測の空間的分解能になる。表―RL20 と RL15.調査から見た液状化予測・判定精度の向上液状化予測の精度の向上には地盤情報の空間的分解能の向上が欠かせない。このことによって,“土要素”から“地盤”の情報としての液状化予測が可能となる。前章で示した様に,地盤情報の空間的分解能の向上には調査地点となる二次元平面と共に深度方向の情報量の拡充が不可欠である。拡充の方法としては,ボーリング調査とサウンディング調査の組合せが有効となる。図―に平面的分解能を 4(=2×2)倍にする調査地点配置例を示す。ボーリングの 1 / 4 の時間・コストで液状化予測に必要な情報を得ることが可能なサウンディング調査が活用できれば, a )と b )は同等の時間・コストで 4 倍の分解能を持った平面情報が得られる。また,液状化被害が懸念される場所は都市部の低平地となり数日間に渡って占有が必要となるボーリング調査では,地点選定にも困難となる場合が多く,調査時間が短くて済むサウンディング調査の利点を生かして調査場所を確保することも可能となる。液状化予測に必要となる地盤情報が得られるサウンディング調査には 3 成分コーン( CPTU )13) やピエゾドライブコーン(PDC)14)等がある。深度方向の拡充例として図―に PDC の調査結果を示す。ボーリング調査に比べ数多くの情報が得られることが分かる。ボーリング調査の 1 m に 1 情報からサウンディング調査の 1 cm に 1 情報として分解能を 100 倍にできれば,空間的分解能はボーリング調査のみに比べ 400 (= 4 ×図―16RL20 と RL15 の関係100)倍とすることができ,ばらつきを評価した設計値地盤工学会誌,―() 報図―告分解能を高める調査地点の平面配置例設定の可能性も生まれてくる。合理的な設計値を設定するためには,空間的分解能を向上させた“調査”の組み立て方にも工夫が必要である。. お わ り に1964 年の新潟地震の際に川岸町で計測された地表面最大加速度 asmax=159 gal から実務設計が始まった液状化の予測・判定であるが,これまで 1995 年の兵庫県南部地震において内陸直下型地震とプレート境界型地震と定義したふたつのタイプを有するレベル 2 地震動が導入 さ れ, 2011 年東 北地 方 太平 洋沖 地震 で はマ グ ニチュード M=9.0と言う巨大地震の長い継続時間を考慮した地震動への考え方が示されてきた。さらに 2016 年熊本地震では本震のみの作用力ではなく,数多く発生する大規模な余震の繰返し発生の影響,さらには長周期地震図―動に対する地盤の液状化予測・判定等への考慮も懸念されている。性能設計の導入に伴い,新しい特徴を持つ地震動を経験する毎に液状化予測・判定の入力側は進化している。抵抗側についても不均質さを合理的に評価した“土要素”としての物性値の設定と共に,空間的な分解8)能を有する“地盤”としての設計値とするための“調査”から見た液状化予測・判定の進化の必要性を報告した。参1)2)3)4)5)6)7)考文献地盤工学会地盤工学用語辞典,p. 214, 2006.国土交通省関東地方整備局・地盤工学会東北地方太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態解明報告書,pp. 1~65, 2011,入手先〈http://www.ktr.mlit.go.jp / ktr _ content / content/ 000043569.pdf〉(参照 2016.5. 7)株 アテック吉村入手先〈http://www.atecy.co.jp/gs_sampling/〉(参照2016.5.7)浦安市都市整備部市街地開発課液状化対策推進室液状化対策事業計画案策定のための地質調査地盤調査報告書,2015.社 日本建築学会建築基礎構造設計指針, pp. 61 ~ 65,2001.(一社)日本埋立浚渫協会入手先 〈 http: // www.umeshunkyo.or.jp / kids / shunsetsu / shunsetsu.pdf 〉,( 参 照2016.5.7).浦安市第 4 回浦安市市街地液状化対策検討委員会資料,August, 20169)10)11)12)13)14)サウンディング調査(PDC)の調査事例資料 2 第 2 グループの地盤調査および液状化判定結果〈 http: / / www.city.urayasu.lg.jp / shisei / johokoukai /shingikai / toshiseibi / 1006406 / 1008302 / 1011135.html 〉(参照2016.5.7)浦安市第 1 回浦安市市街地液状化対策検討委員会資料,資料 2 地質調査および液状化の予測・判定結果について,入手先〈A=@http://www.city.urayasu.lg.jp/shisei/ johokoukai / shingikai / toshiseibi / 1006406 / 1008302 /1008295.html〉(参照2016.5.7)社 日本道路協会道路橋示方書・同解説 耐震設計編,pp. 133~141, 2012.(公財)鉄道総合技術研究所鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計,pp. 54~74, 2012.社 日本港湾協会港湾の施設の技術上の基準・同解説,pp. 383~389, 2007.花岡俊久・横田幸治・木場綾乃・澤田俊一液状化判定に用いる液状化抵抗比(tl/2sv′)に関する一考察―せん断歪振幅と繰返し回数―,第50回地盤工学研究発表会講演集,pp. 79~80, 2015.Robertson, P. K., and Wride, C. E.: Cyclic liquefactionand its evaluation based on SPT and CPT. In Proceedings, NCEER Workshop on Evaluation of LiquefactionResistance of Soils, 1997.Sawada, S.: Evaluation of diŠerential settlement following liquefaction using. Piezo Drive Cone, 17th International Conference on Geotechnical Engineering, Alexandria, Egypt, pp. 10641067, 2009.(原稿受理2016.5.9)17
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  • タイトル
  • 液状化判定法の課題-年代効果の問題を中心に-(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 18〜21
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71966
  • 内容
  • 報告液状化判定法の課題―年代効果の問題を中心に―Problems on Assessment Method of Liquefaction, Mainly about Aging EŠect谷本俊輔(たにもと国立研究開発法人土木研究所石しゅんすけ)佐々木研究員国立研究開発法人土木研究所原雅規(いしはら国立研究開発法人土木研究所. は じ め に哲也(ささきてつや)上席研究員まさのり)主任研究員例がどのように評価されているかを最初に示す。. 既存ボーリングデータによるマクロな傾向分析東北地方太平洋沖地震による大規模かつ広域的な液状図―は,関東地方における 198 地点のボーリング化被害を踏まえ,液状化に関する研究が活発化しているデータを基に,東北地方太平洋沖地震による液状化発生状況がある。土木研究所においても,同地震以降,液状状況と地震時せん断応力比 L,換算 N 値 N1 の関係を示化判定法のさらなる合理化,精度向上を目的とした検討したものである2)。昭和以降の新しい埋立地~自然地盤を進めているところであるが,その中でもとりわけ難しを含めた図―(a)の「全データ」に対して,昭和に埋く感じているのは,液状化に対する「年代効果」の問題立てがなされた地点を除いたものが図―(b),さらにである。古い時代の埋立地を除いたものが図―(c)である。ま液状化判定法に関する技術課題はこれに限られるわけた,同図には,現行の道路橋示方書に基づいて算出したではないが,誌面の都合から,本稿ではこの話題に絞っタイプ I 地震動の動的せん断強度比 R・換算 N 値 N1 関て問題意識について紹介することとしたい。係を実線で示している。.年代効果と現行の液状化判定法図中の○印の付近に着目すると,液状化地点における地震時せん断応力比 L の下限が,造成・堆積年代ととこれまでの震災経験から,造成・堆積年代の新しい地もに大きくなっている傾向が認められる。これは,液状盤ほど液状化被害が生じやすく,古い地盤ほど液状化被化を発生させるために必要な地震時せん断応力比が年代害が生じにくいことが知られており,これは,液状化にを重ねるごとに大きくなることを示唆しており,年代効対する年代効果と呼ばれている。東北地方太平洋沖地震果が表れたものと見ることができる。による東京湾沿岸北部の液状化発生範囲が埋立地の平面現行の液状化判定法における液状化強度推定式は「全範囲とよく対応していたこと1)は記憶に新しいところでデータ」の液状化事例の概ね下限を与えており,「自然あり,年代効果が表れた典型的な事例として挙げること地盤」における液状化事例の下限とは乖離していることができる。そこで,現行の液状化判定法ではこうした事が分かる。危険側の傾向を与えるものではないが,合理化の余地が残されていると言える結果である。. 鉛直アレー観測点における液状化発生深度と液状化判定の結果液状化発生状況の調査において,地表に現れた噴砂などの痕跡から当該地点に液状化が生じたか否かを判別することはできる。しかし,深さ方向の液状化発生範囲については,調べることが難しく,把握された事例がほとんどない。そこで,筆者らは,東京湾沿岸の埋立地で得られた鉛直アレー記録に対する波形処理解析から,液状化の発生深度の推定を試みた3)。本地点では G.L. - 12.15 m を境界として,その上位が砂質土を主体とする人工埋立層,その下位が自然堆積層であり,自然堆積層の最上位(Ac1)は非塑性~低塑性シルトから成る。地震計は G.L.-2 m, 9 m, 19 m, 45m に設置されており,得られた記録のフーリエ位相スペクトルを利用することで,各地震計間における水平動図―18東北地方太平洋沖地震における液状化・非液状化の位相速度(波動伝播速度)の経時変化を算出した(図事例に見られる造成・堆積年代の影響―)。その結果,本震では G.L. - 2 m ~ 9 m 間及び 9地盤工学会誌,―() 報告概ね液状化が生じるとの結果を与えている。アレー記録に基づく推定結果との間に差異が生じた要因を特定することは容易でないが,得られた結果は.に示した分析結果と同様の傾向を示すものであり,年代効果によるものである可能性が考えられる。.年代効果を模擬した地盤の液状化強度比,相対密度,コーン貫入抵抗及び S 波速度年代効果の影響を適切に評価する上では,年代効果による液状化特性の違いをどのような調査・試験法によって評価できるかという点が,工学的に重要な問題の一つ図―東京湾沿岸埋立地の鉛直アレー記録から得られた水平動の位相速度の経時変化である。このような点に着目して行った動的遠心模型実験4)の結果を紹介する。本実験では,東北珪砂 7 号を用いてせん断土槽内に均質な砂層を作製し,遠心力場の下で様々な地震履歴を与えた。CASE1 では 31回の中小加振(レベル 1 地震動相当あるいはそれ以下),CASE2 では大加振(レベル 2地震動相当)を 1 回与えており, CASE3 では加振履歴を与えていない。この状態で,静的コーン貫入試験,微小インパルス加振及びレベル 1 地震動相当の加振を行った。ところで,人工造成地盤(埋立層)と自然堆積地盤(沖積層)の違いに着目すると,その年代のオーダーは数十年~数千年であるため,真の年代効果を模型実験や室内試験で再現することは難しい。しかし,年代効果を図―鉛直アレー記録から推定された液状化発生深度ともたらすメカニズムの一つとして応力履歴の影響を考え,液状化判定の結果実験対象試料にあらかじめ多くの繰返しせん断履歴を与えることで,年代効果を模擬する試み例えば 5)もなされてm ~ 19 m 間に著しい位相速度の低下が認められ,主要いる。本実験においても同様の考えに基づき,複数回の動が終了した 150 s 以降においても回復していない状況加振履歴を与える方法を用いている。から,液状化が生じたものと推定される。なお,地下水図―は,液状化強度比 RL と,有効上載圧で正規化位が G.L.- 4.65 m であることから,液状化の生じうるしたコーン先端抵抗 qt0 の関係である。ここで,RL は,範囲はそれ以深である。また,本震直後の強い余震加振実験による計測データから算出した地震時せん断応(1515頃)に対しては,位相速度の経時変化の状況か力比と過剰間隙水圧比の時刻歴から,累積損傷度法を用ら G.L.-2 m~9 m 間に液状化が生じ,それ以深には液いて逆算したものである(計算方法の詳細は文献4)参照)。状化が生じていないものと見られる。この結果から,次の傾向を読み取ることができる。また,液状化の発生範囲をさらに特定するため,パラ液状化強度比 RL の大小関係は,CASE2 (Dr=94.1,メトリックな圧密解析によって余震開始時点における位大加振 1 回)≦CASE3相速度の回復状況の再現を試みたところ,非塑性~低塑<CASE1 (Dr=68.9,中小加振31回)であり,RL性シルトから成る Ac1 層が液状化したと仮定すると,が地震履歴によって異なることが分かる。(Dr=83.7,加振履歴なし)剛性回復のための水圧消散時間は少なくとも 5 000 ~静的コーン貫入試験による先端抵抗 qt0 の大きさは,6 000 s を要するとの結果が得られた。以上より,液状相対密度 Dr の違いをよく反映しているものの,液状化の発生範囲はせいぜい埋立層に限定されると推定され化強度比 RL の大小関係とは対応していない。た。また,図―は微小インパルス加振で得られた走時でこれに対して,本震時の地表加速度を基に液状化判定ある。 S 波速度 Vs の深さ方向分布については,算出結を行った結果が図―である。ここで,FC, SC, GC, IP果が大きくばらついたため示していないが,全層の平均はそれぞれ細粒分含有率,砂分含有率,礫分含有率,塑で見ると CASE1 ~ 3 でそれぞれ Vs = 128.8 m / s, 163.2性指数であり,いずれも標準貫入試験試料の物理試験にm / s, 143.9 m / s であった。このことは, Vs が密度の違より得られたものである。繰返し三軸強度比 RL の評価いをよく反映していることが分かる。一方で,図―とは,原位置試料に対する液状化試験結果及び N 値と粒あわせると,地震履歴による液状化強度比 RL の違いは,度に基づく推定結果の 2 通りによるものであるが,いVs の大小とは対応していないことが分かる。ずれも大差はなく,人工埋立層,自然堆積層の区別なくAugust, 2016つまり,本実験からは,地震履歴による液状化強度の19 報告図―地震履歴の異なる砂の液状化強度比 RL ・正規化先端抵抗 qt0 の関係図―微小インパルス加振で得られた走時差異が,静的コーン貫入試験による破壊ひずみ域の土の力学特性(破壊強度),及び,微小インパルス加振による微小ひずみ域の土の力学特性( Vs )のいずれにも反映されにくい傾向が確認された。.年代効果の有無による土の繰返しせん断挙動の違いさらに,年代効果の有無による土の繰返しせん断挙動図―不撹乱洪積シルト質砂とその再構成試料の要素挙動の違いた供試体がそれぞれ 5c, 5d1 を作製し,それぞれ排水条件,非排水条件で再度,同一の繰返しせん断ひずみ履歴を与えた。の差異を調べるため,原位置で採取した洪積シルト質砂不撹乱試料 4c, 4d1 と再構成試料 5c, 5 d1 では粒とその再構成試料に対する繰返し中空ねじりせん断試験度組成が同一で,密度もほぼ同一となるように調整しての結果6)を紹介する。いる。このため,両者の違いは微視構造のみであり,繰試験対象とした試料は細粒分含有率 FC=31~36で返しせん断挙動に現れる差異として年代効果の影響が現非塑性のシルト質砂であり,採取深度は G.L.- 34 m ,れる可能性が考えられる。なお,洪積シルト質砂とその原位置では標準貫入試験 N 値が32回,PS 検層による S再構成試料という極端に異なる条件で比較を行ったのは,波速度 Vs = 311 m / s であった。採取した試料から 2 つ試料採取方法がいわゆるチューブサンプリングであったの供試体を成形し,一方の供試体( 4 - c )は排水条件,ため,試料採取時の乱れの影響によって傾向が不明確と他方の供試体( 4 d1 )は非排水条件で繰返しせん断をなることを避けたいと考えたことによる。与えた。いずれに対しても,せん断ひずみ振幅一定の正排水繰返しせん断試験により得られたせん断応力 t,弦波を 1 ステージあたり 5 サイクル与え,全 12 ステーせん断ひずみ g,体積ひずみ ev の関係を図―(a)に示ジにわたってひずみ振幅を漸増させる方法で載荷を行っす。微視構造の違いは, t ・ g 関係のループ形状に対した。この試験の後,供試体 4c, 4d1 の各々を再構成しては影響が小さい一方で,体積収縮(負のダイレイタン20地盤工学会誌,―() 報告シー)の累積の早さに対して強く影響を及ぼしていること自体に大きな困難を伴う。こうした現状を打破するたとが分かる。特に,不撹乱試料 4 c では,安定した微めには,サンプリング品質のさらなる向上のほか,原位視構造によって体積収縮傾向が鈍く,相対的に体積膨張置における液状化試験法の開発など,様々な発想に基づ傾向が顕著に表れたものと考えられる。なお,液状化後いた技術開発が必要である。なお,東北地方太平洋沖地の体積収縮量が原位置試料と再構成試料で異なる傾向は,震以降,簡易なサウンディング手法によって N 値,粒他の研究事例例えば7)においても確認されている。度,地下水位などをいかに簡便に推定し,液状化判定をこれに対して,図―(b)は,非排水繰返しせん断試行うことができるか,といった観点からの技術開発が活験により得られたせん断応力 t,せん断ひずみ g ,平均発に行われており,液状化判定の低廉化や地層構成の平有効応力 p の関係である。不撹乱試料と再構成試料で,面分布に関するデータの充実化に貢献するものと考えらサイクリックモビリティーの発現状況が大きく異なるこれるが,年代効果の問題に対する精度向上に貢献することが分かる。特に,不撹乱試料 4d1 では状態点が有効とは難しいと考えられる。応力経路上の原点に一時的に近づくものの,その後に大また,年代効果の有無が液状化後の挙動の粘り強さのきなせん断応力を発揮することができ,粘り強い挙動を違いとして現れるものと考えると,液状化判定やその結示していると言える。果に基づく地盤,構造物の応答評価にあたり,サイクリ誌面の都合から割愛するが,各供試体について微小ひックモビリティーの発現の強弱を適切に反映させる必要ずみ域のせん断剛性を測定したところ,ばらつきが大きがある。一方で,液状化後を含めた土の力学挙動を陽なかったこともあり,年代効果による初期せん断剛性 G0形で表現しようとすれば,計算手法は有効応力解析のモの単純な違いが認められなかった。これに加え,図―デル構造に近いものとなり,複雑なものとならざるを得(a)が,微視構造の違いが排水強度に対して明確に表れない。地盤調査・室内試験で得られるデータの質,量とにくい傾向を示すものと解釈すると,これらの傾向は.のバランスに配慮しつつ,一連の評価体系としての精度に示した遠心実験の結果と調和的である。向上を目指していくことが必要である。.今後の課題以上,筆者らが東北地方太平洋沖地震の後に行った,参1)液状化に対する年代効果に関する一連の検討結果を示した。そもそも,年月を経ることで土の粒子構造が変化す2)るメカニズムも十分に明らかにされておらず,年代効果の発現の度合いを評価する指標も明らかでなく,年代効果が発現された状態を室内実験で完全に再現することが3)ほぼ不可能であるなど,この問題に対する研究のアプローチ自体に難しさがある。また,年代効果のほかにも4)液状化の発生に与える影響要因には様々なものがあり,個々の要因を分離することが容易でないため,上記に示5)した検討で得られた傾向が,どれだけ「年代効果」を正面から捉えたものなのか,分からない面もある。しかしながら,おぼろげながらも得られた一連の検討結果に基づくと,今後に向けたいくつかの課題が浮かび上がって6)くる。例えば,液状化特性を調べるための原位置地盤調査法を考えると,土の破壊ひずみ域の強度特性を検出するサウンディングや,微小ひずみ域の力学特性を測定するPS 検層などでは,年代効果の違いが敏感に表れない可能性が考えられる。一方で,液状化特性の違いを室内試7)考文献国土交通省関東地方整備局・地盤工学会東北地方太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態解明報告書,2011.佐々木哲也・石原雅規・谷本俊輔・増山博之東北地方太平洋沖地震における液状化を踏まえた液状化判定法の検討,土木研究所資料,第4280号,2014.谷本俊輔・川口 剛・佐々木哲也鉛直アレー記録に基づく埋立地盤の液状化発生深度の評価,日本地震工学論文集,Vol. 15, No. 7, pp. 7_1577_172, 2015.脇中康太・谷本俊輔・石原雅規・佐々木哲也地震履歴が砂の液状化強度に及ぼす影響に関する動的遠心模型実験,日本地震工学論文集,pp. 6_44~6_59, 2015.Kiyota, T., Koseki, J., Sato, T. & Tsutsumi, Y.: EŠectsof Sample Disturbance on Small Strain Characteristicsand Liquefaction Properties of Holocene and PleistoceneSandy Soils,Soils and Foundations, Vol. 49, No. 4, pp.509523, 2009.谷本俊輔・地蔵智樹・川口 剛・荒木裕行・佐々木哲也堆積年代の古いシルト質砂とその再構成試料の繰返しせん断特性,第35回地震工学研究発表会講演論文集,2015.石原研而・原田健二・酒井運雄攪乱・不攪乱試料に基づく液状化による体積変化特性,第48回地盤工学研究発表会発表講演集,pp. 1865~1866, 2013.(原稿受理2016.5.30)験で把握しようと考えても,高品質な試料を採取するこAugust, 201621
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  • タイトル
  • 礫質土の耐液状化性能に関する実験的研究-繰返し三軸強度比RL と締固め度DC の相関性について-(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 22〜25
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71967
  • 内容
  • 報告礫質土の耐液状化性能に関する実験的研究―繰返し三軸強度比 RL と締固め度 Dc の相関性について―Experimental Study about the Resistant Performance for Liquefaction of the Sand Gravel―The Correlation between the Cyclic Undrained Triaxiality Strength Ratio RL andthe Degree of Compaction Dc―島田茂(しまだ株 エース前田しげる)福井担当部長賢(まえだけん)建山株 エース英人(ふくい株 エース執行役員和由(たてやま立命館大学. は じ め にひでと)かずよし)教授表―試料の物性値一覧表図―試料の粒径加積曲線東海・東南海・南海地震や首都圏直下型地震等予想される地震は,大きな加速度や長い継続時間が想定されている。このため,管路の地中埋設工事等において,狭隘で十分に埋戻し土を締め固めることができない場合には,液状化対策が求められる。礫質土の液状化に関して既往の示方書や指針では,D50≦ 10 mm かつ D10≦ 1 mm1)である場合には液状化を起こす可能性があり,液状化対策として締固め度 Dc ≧90以上の確保2)等が示されている。しかし,下水道管渠埋戻しは人力で転圧する場合もあり,この場合, Dc≧ 90 以上の確保が難しいこともある。このため,埋戻し土として使用されている礫質土の液状化特性を解明して,耐液状化性能の向上を図ることが求められている。 礫質土の繰返し三軸強度比 RL と締固本研究では,◯ 液状化を発生させない締固め度 Dc,め度 Dc との関係,◯ Dc と Dr の取扱い等,礫質土の耐液状化性能に並びに◯ついて,実験結果に基づき考察を行ったので報告する。.研究の概要. 試験試料 ~◯の 3本研究で使用した試料は,下記の試料―◯種類である。試料―◯C 40 (丹波帯砂岩のクラッシャー)を目開き9.5 mm のふるいを通過した試料試料―◯C 40 (丹波帯砂岩のクラッシャー)を目開き19 mm のふるいを通過した試料試料―◯花崗岩由来と考えられる川砂 を基本とし,試料―◯ は礫径の違いの影響を,試料―◯図―試料の締固め試験結果 は粒子形状と粒度組成の違いの影響を確かめる試料―◯ために用いた試料である。一覧表,図―に粒径加積曲線,図―に締固め試験結各試料の基本的性質を調べるために,土粒子の密度試 と試料―◯ は砂質礫(GS)果を示す。試料―◯,試料―験( JIS A 1202),土の含水比試験( JIS A 1203),土 は礫まじり砂(S◯G)に分類され,いずれも D50≦10の粒度試験( JIS A 1204),突固めによる土の締固め試mm かつ D10 ≦ 1 mm を満たすため,液状化の対象層に験( JIS A 1210 E b 法)を行った。表―に物性値なる。22地盤工学会誌,―() 報図―告繰返し三軸強度比 RL~締固め度 Dcとができ,以下に示すとおり,いずれの試料についても相関係数98以上が得られた。試料―◯写真―RL=0.0239Dc-1.75 …………………………………(1)各試料の供試体写真(Dc=85)相関係数0.9885. 試験方法試験方法は,以下のとおりである3)。(Dc=40.9RL+73.6) ……………………………(1′)試料―◯土の繰返し非排水三軸試験( JGS 0541)相関係数0.9996100 mm とし,締固め試験結果から締固め度 Dc を 85 ,(Dc=10.1RL+82.9) ……………………………(2′)試料―◯ は供試体寸法を追加)に設定した。また,試料―◯相関係数0.9957を 85 , 87 , 90 の 3 種類に設定した。試料は,二満足している。各試料の供試体の写真を,写真―に示(Dc=50.6RL+84.9) ……………………………(3′).液状化をしない締固め度 Dc と材料選定前節の結果を利用し,液状化をしない締固め度 Dc のす。川砂RL=0.0196Dc-1.66 …………………………………(3)q100 mm × H 200 mm とし,密度は同様に締固め度 Dc重負圧法により飽和し,B 値はいずれも B≧0.95以上をC40 -19 mm ふるい通過試料RL=0.0989Dc-8.20 …………………………………(2) ,◯ は供試体寸法を q50 mm × H試験は,試料―◯ は Dc= 83を87, 90の 3 種類(ただし,試料―◯C40 -9.5 mm ふるい通過試料土の圧密排水(CD)三軸圧縮試験( JGS 0524) ,◯ を対試験は CD 条件で行った。試料は,試料―◯算定と材料選定を行う。まず,設計条件を仮定し,次に道路橋示方書1)に準拠して算定を行う。象に供試体寸法を q50mm × H 100 mm とし,締固め度. レベル地震動を想定する場合Dc を85,87,90の 3 種類に設定した。最小密度・最大密度試験 ,◯ を対象に礫の最小密度・最大密試験は,試料―◯液状化をしない繰返し三軸強度比 RL の算定)設計条件の設定場所京都市内を想定設計深度GL -3 m度試験( JGS 0162 )を A モールド(内径 200 mm )で地下水位GL -1 m地盤種別種地盤 を対象に砂の最小密度・最大密度行った。また試料―◯設計地震動レベル 1試験( JIS A 1224)を行った。 ,◯ ,◯埋戻し材料試料―◯.繰返し三軸強度比 RL と締固め度 Dc繰返し三軸強度比 RL と締固め度 Dc との関係を図―湿潤単位体積重量 gt18 kN/m3 Ip= 0 )算定結果上記条件で,道路橋示方書1)に基づいて算定するとに示す。この図より,RL と Dc には,既往の研究で見設計水平震度の標準値khgL0=0.18られたのと同じく4),強い相関性があることが確認され地震時せん断応力比L=0.273た。RL と Dc との関係は,各試料毎に直線で近似するこ動的せん断強度比R=cw・RL=1.0×RLAugust, 2016となり23 報告液状化に対する抵抗率FL=R/L=1.0繰返し三軸強度比RL=0.273とするととの関係に大きな違いが生じている。考えられる違いは,まず,供試体の寸法の違いである。となり,RL= 0.273以上あれば,レベル 1 地震動では液そこで, q50 mm の供試体試料と同じ 9.5 mm ふるい通状化しないと考えられる。過試料を用いて q100 mm の供試体を作製し,Dc=90液状化をしない締固め度 Dc の算定結果液状化しない締固め度 Dc は,上記で算定した RL =),式(2′),式(3′)に代入すると,0.273を式(1′ Dc=85試料―◯以上rt≧1.867 Dc=86試料―◯以上rt≧1.925 g/cm3以上rt≧1.622 Dc=99試料―◯g/cm3g/cm3で試験を行った。試験結果は,q50 mm 供試体 9.5 mm ふるい通過試料 RL = 0.492,q100 mm 供試体9.5 mm ふるい通過試料RL=0.502であり,両者の RL の値に差異はほとんどなく,供試体の寸法が影響したのではないと考えられる。次に,ふるい分けによる粒度特性の違いが考えられる。が得られ,これらが満たされると液状化しないと考えらそこで,粒子のつまり具合について間隙率 n に着目し は,図―の実験値の範囲を大れる。ただし,試料―◯ は,試料―◯ 川砂との比て図―に整理した。試料―◯きく外れるため,基準として採用することは避けるべき較では,間隙率 n が小さくなると RL は大きくなる傾向といえる。 と試料―◯ では,ほぼが確認される。しかし,試料―◯施工に際して同じ間隙率であっても RL に大きな違いが生じている。 の結果と図―の締固め特性から,試料―◯ ,◯にこのことから,粒子のつまり具合以外に,例えば,粒度関しては,現場において十分に達成することが可能な状特性の中で粗骨材( q9.5 mm ~ q19 mm )が影響を与え を人力で締固める場合,態と考える。ただし,試料―◯ていると考えられる。骨格となる骨材とマトリックスと施工エネルギーが小さいので図―に示すように最適含なる砂や細骨材とのバランスが影響していると予想され水比が変化するので,施工時の含水比管理に注意を払うる 6 )。必要がある2),3),5)。 と◯ の違いについて( CD 三軸試験結. 試料―◯. レベル地震動を想定する場合果)同様に,設計地震動レベル 2(タイプ)の場合を算図―に締固め度 Dc を変化させた時の内部摩擦角 qdの関係を示した。材料が同じであれば qd は,Dc の大き定すると,設計水平震度の標準値khgL0=0.60地震時せん断応力比L=0.910動的せん断強度比R=cw・RL=2.0×RL は,砕石であれた粒度分布をしている。一方,試料―◯液状化に対する抵抗率FL=R/L=1.0るので,粒子が角ばっている。このことから,粒子が丸繰返し三軸強度比RL=0.455さにほとんど影響されずほぼ一定の値をとる。試料―◯となりとするとは,川砂の洗い砂であるので,粒子が丸くしかも分級さく分級された粒度分布の材料は,内部摩擦角が小さくなとなり, RL = 0.455 以上あればレベル 2 (タイプ)地り,繰返し三軸強度比 RL が低くなる要因の一つと考え震動で液状化しないと考えられる。Dc の算定結果は,られる。 Dc= 93試料―◯以上rt≧2.043 g/cm3 Dc= 88試料―◯以上rt≧1.969 g/cm3 Dc=108試料―◯以上rt≧1.769 g/cm3 を選定して Dc ≧ 88 以上で施工すれとなり,試料―◯ばレベル 2 地震時でも液状化が発生しないと考えられ は,これまでの基準の Dc ≧ 90 2) を満たる。試料―◯していても,液状化を発生する恐れがあるので注意を払 は,図―の実験値の範う必要がある。また,試料―◯囲外になるので不採用とすべきといえる。以上のように,想定する地震等により RL が決まれば,液状化しない材料と Dc を求めることができる。ただし,指針に示されている Dc ≧ 90 2) 以上で施工をした時で図―繰返し三軸強度比 RL~間隙率 n ,◯ のように液状化の恐も選定材料によっては試料―◯ は,れがあるので注意する必要がある。特に,試料―◯耐液状化の埋戻し材料としては望ましくないと考えられる。.考 察 と◯ の違いについて(粒度特性). 試料―◯ と試料―◯ は,同じ C試料―◯40を用いた試料であるが,図―から繰返し三軸強度比 RL と締固め度 Dc24図―内部摩擦角 qd~締固め度 Dc地盤工学会誌,―() 報表―最小密度・最大密度試験結果Dc=告rs1・……………………………………(4)rdmax a-b・Dra=emax+1,b=emax-emin Dc と Dr の関係は線図―にこの関係を図示した。◯形ではなく,その換算は rdmax 等の実験値が必要であり Dr は炉乾燥試料を用いた容易に表すことが難しい。◯ 現場施工管理は Dc を用いる。以上のこと値である。◯から施工管理基準として用いることを考えると Dc の方が適切と考えられる8)。.おわりに本研究は,礫質土の繰返し三軸強度比 RL と締固め度Dc の間には強い相関性があることを確認し,礫質土の耐液状化性能の向上に有用なことを報告した。本研究で確認されたことは,下記のとおりである。礫質土の繰返し三軸強度比 RL と締固め度 Dc の想定地震等により RL が決まれば,液状化をしな間には強い相関性がある。図―い材料と Dc を定量化でき,液状化を起こさない繰返し三軸強度比 RL~相対密度 Dr施工が可能となる。Dc と Dr は共に RL との間に強い相関性を有しているが,施工管理基準として利用するには, Dcの方が使い易いと考えられる。埋戻し材料は,液状化に靱強性のある材料を選定することが重要である。一般的に,粒度特性は粗骨材の割合が多く粒径幅の広い材料が望ましい。材料は角ばった骨材や骨材粒子とそのマトリックスの細礫や砂の割合も重要と思われる。また,材料によっては,指針に示されているDc≧90以上2)であっても液状化の可能性があるので,注意が必要である。参1)図―締固め度 Dc~相対密度 Dr. 粒度特性と相対密度 Dr について最小密度・最大密度試験結果を表―にまとめた。試2)3)4) ,◯ は粒径幅の広い試料であり,最小密度と最大料―◯密度の差が大きいことが分かる。これに対し,試料―◯は分級された試料であり,最小密度と最大密度の差が小5) が不適であるといさい。今回の実験結果から,試料―◯う結果が得られたことから,埋戻し材料としては,粒径6)幅の広い材料が適していると考えられる。図―に RL と Dr との関係を示した。Dr は,RL と強い相関性があると言われていることが7)確認された。7). 締固め度 Dc と相対密度 Dr の取扱いについてDc と Dr の取り扱いについては, Dc と Dr の間には式(4)の関係がある。8)考文献日本道路協会道路橋示方書(耐震設計編)・同解説,pp. 134~137, 2012.日本下水道協会下水道施設の耐震対策指針と解説―2014年版―,2014.地盤工学会地盤材料試験の方法と解説,2009.島田 茂・今堀嘉一・建山和由リブ付塩ビ管防護材の液状化防止を目的とした締固め度( Dc 値)の定量化に関する研究,第 44 回下水道研究発表会, pp. 181 ~ 183,2007.井上 章・島田 茂・木暮敬二砂質土を混入した石炭灰の締固めにおける密度管理の一手法,地盤工学会誌,Vol. 48, No. 7, pp. 17~20, 2000.戸田研吾粉状体のせん断特性に及ぼす粒径及び粒度分布の影響,筑波大学大学院修士課程理工学研究科修士論文,2005.原 忠・國生剛治砂礫の液状化強度及び液状化後の非排水せん断強度に及ぼす粒度分布の影響,土木学会論文集 No. 645/50, pp. 245~253, 2000.龍岡文夫地盤液状化の予測と対策, Vol. 41, No. 4,基礎工,pp. 2~8, 2013.(原稿受理2016.4.20)Dr=(emax-e)/(emax-emin)に e=rs/rd-1,Dc=rd/rdmax を代入して整理すると,August, 201625
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  • タイトル
  • サイト固有の地震波形が液状化の発生に及ぼす影響-2011年東北地方太平洋沖地震における最遠方被災地点を例として-(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 26〜29
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71968
  • 内容
  • 報告サイト固有の地震波形が液状化の発生に及ぼす影響―年東北地方太平洋沖地震における最遠方発生地点を例として―Evaluation of Ground Liquefaction at the Farthest Site during the 2011 oŠ the Paciˆc Coast ofFLIP)Tohoku Earthquake based on EŠective Stress Analysis (3D秦吉弥(はた助教大学院工学研究科大阪大学野津厚(のづ港湾空港技術研究所丸山喜千葉大学よしや)あつし)井康広島大学酒領域長久(まるやま准教授一井准教授久法政大学よしひさ)大学院工学研究科常田二(いちい賢大阪大学大学院工学研究院和(さかい教授ひさかず)デザイン工学部一(ときだ教授こうじ)けんいち)大学院工学研究科. は じ め に2011 年東北地方太平洋沖地震( MW9.0 )では,図―に示すとおり,関東地方においても極めて広範囲にわたり液状化が発生1)した。本震の震央から最も遠い液状化地点は,千葉県南房総市池之内(以後,対象地点と呼ぶ図―及び図―参照)であり,震央距離は約440km2) である。この距離は,既往の最遠記録( 1946 年南海地震(MJ8.0)での377 km)を上回るものであるが,その地震規模や茨城県沖のアスペリティ(強震動生成域)からの距離などを勘案すると,それほど特異な距離ではないことが報告2),3)されている。マグニチュードの大きい地震では遠方まで液状化が生じやすいことは従来から知られているが,これには強震継続時間など波形の特性が大きく関係していると考えられ,地震動のどのような特性が液状化をもたらしたのか正確に理解しておく必要がある。この点に関して,秦ほか4)は,対象地点において臨時余震観測や地盤調査などを実施し,その結果に基づき本震時に対象地点に作用した地震波形を推定している。本稿では,特集号のテーマ「液状化の予測技術」の向上に資する目的で,上記の推定地震波形などを用いた三図―関東地方における液状化地点の分布(文献 1)に加筆)次元有効応力解析( 3D FLIP )を実施し,本震時の対象地点における地盤挙動について検討した事例について紹介する。具体的には,まず,対象地点での被災状況を概観するとともに,ボーリング調査や土質試験の結果などに基づき地盤解析モデルを設定した。次に,対象地点での臨時余震観測記録に基づく推定地震動,及び対象地点周辺で得られた観測地震動をそれぞれ入力地震波として採用した。最後に,二種類の入力地震波を地盤解析モデルにそれぞれ作用させた動的 FEM 解析を実施し,採用する入力地震波が液状化の発生に及ぼす影響について検討を行った。26図―最遠方液状化地点周辺の既存強震観測点の分布地盤工学会誌,―() 報.数値解析条件本研究では,図―に示すとおり,地盤液状化に伴う告析を行った。表―に設定した解析パラメータの一覧を示す。地盤パラメータは,全て対象地点でのサンプリングにより得られた不撹乱試料による土質試験結果に基づ墳砂やアスファルト道路舗装のクラック(筆者らによるき設定した。また,土粒子骨格のポアソン比は 0.333と現地調査結果に基づく)が発生したサイトの極近傍にお設定した。図―は,繰返し三軸試験による繰返しせんいて標準貫入試験及び PS 検層を実施した。得られた断強度比をプロットしたものであるが,対象地点での繰ボーリング柱状図,N 値及びせん断波速度 Vs の深度分返しせん断強度比 RL20 は,基盤砂質土層(L6 層)を除布を図―に示す。図―に示すとおり,砂及びシルトいて 0.2 ~ 0.25 程度の値を示している。表―に示す液を主体とする地盤となっている。状化パラメータについては,図―に示すように,試験図―は,図―で示した土層構成に基づき設定した水平成層地盤の三次元 FEM モデルである。使用要素は六面体アイソパラメトリック要素(ソリッド要素)であり,境界条件としては,基盤底面は E+F 波を入力する値を目標とした要素シミュレーションの結果に基づいて評価した。入力地震動としては,二種類の波形を採用した。一つは,対象地点周辺の既存強震観測点である SKnet 三芳ので固定条件,その他の同一深度面は等変位条件とした。(南房総市役所三芳支所図―参照)の地盤地表面で地下水位面は,ボーリング結果に基づき表土層(L1 層)得られた本震観測記録に対して,等価線形解析8)及び一とシルト質砂層(L2 層)の境界に設定した。般的な動的変形特性9)を用いて工学的基盤相当まで引戻三次元有効応力解析には,二次元のマルチスプリングした波形( E + F 波)の三成分である(以後, Case モデル5),6) と過剰間隙水圧モデル5) を三次元に拡張させSMY と呼ぶ)。もう一方は, GL 20 m (図―参照)たモデル( 3D FLIP )7) を採用し,三次元の地盤応答解に埋設したボアホール型地震計で得られた余震観測記録に基づきサイト特性置換手法10) を用いて推定した対象地点における工学的基盤相当波(E+F 波)4)の三成分で図―最遠方液状化地点での地震被災実績と余震観測及びボーリング調査地点(いずれも△で実施)図―図―三次元 FEM 解析モデルとその境界条件ボーリング調査結果に基づく最遠方液状化地点でのボーリング柱状図, N 値及びせん断波速度の分布August, 2016図―繰返しせん断強度比の要素シミュレーション27 報告表―図―表―土質試験結果に基づく解析パラメータの一覧入力地震動の加速度時刻歴(左SKnet 三芳での観測記録の基盤相当波,右対象地点での余震観測に基づく推定波)各観測点における地震動の継続時間11)の一覧図―最遠方液状化地点周辺の強震観測点の分布ある(以後,CaseIKN と呼ぶ)。図―に上述した二種類の入力地震動の加速度時刻歴うな地震動の特徴が,対象地点(IKN)とその周辺におを比較したものを示す。図―に示すとおり,対象地点ける局所的な液状化をもたらした可能性が示唆される。周辺の観測波に基づくケース(CaseSMY)よりも,対象地点での推定波に基づくケース(CaseIKN)のほうが地震動の継続時間が長くなっていることが読み取れる。.解析結果図―には,150秒後(図―参照)における過剰間表―は,対象地点(IKN)周辺の既存強震観測点(図隙水圧比の分布を示す。図―に示すとおり, SK net―参照)において算定した地震動の継続時間11) の一三芳での観測波に基づくケース(CaseSMY)では,過覧である。表―に示すとおり,既存強震観測点での本剰間隙水圧比が 1.0に達していないのに対し,対象地点震記録が最大でも 70 秒程度であるのに対し,対象地点での推定波に基づくケース( Case IKN )では, L1 層(IKN )では 80秒以上の継続時間を示しており,このよ及び L6 層を除いて過剰間隙水圧比が 1.0 に近い値を示28地盤工学会誌,―() 報告化の評価においても非常に重要である。有効応力解析に基づいた地盤液状化の判定を実施する場合,工学的基盤以浅の表層地盤のモデル化だけでなく,工学的基盤相当の入力地震動の設定にも十分に配慮する必要がある。今後は,他の地点でも同様の検討を実施することによって,有効応力解析に基づいた地盤液状化の判定法の高精度化を図っていきたいと考えている。謝辞千葉県(東京大学地震研究所 SKnet)による地震観測記録を利用しました。地盤調査及び余震観測などの実施にあたっては,現地の住民の皆様に大変お世話になりました。ここに記して謝意を表します。参1)2)図―時間断面150秒後における過剰間隙水圧比の深度3)分布している。すなわち,噴砂の発生を含む現地の状況と整合する解析結果は,対象地点のサイト特性が反映された4)推定波を用いた場合のみ得られ,対象地点から遠くはないがサイト特性の異なる SKnet 三芳での観測地震動を用いた場合には得られないことが分かった。よって,地盤液状化の評価において重要となる地震動5)の継続時間の観点からも,中小地震観測に基づく地震動推定が非常に効果的12) であると推察される。すなわち6)これは,有効応力解析に基づいた地盤液状化の判定を実施する場合,工学的基盤以浅の表層地盤のモデル化だけでなく,工学的基盤相当の入力地震動の設定にも十分に7)配慮する必要性を示唆するものである。. まとめ8)本研究では, 2011 年東北地方太平洋沖地震における最遠方液状化地点での三次元有効応力解析を実施し,本9)震時の地盤挙動を評価した。得られた知見を以下に示す。ボーリング調査などの結果によれば,最遠方液状化10)地点は砂及びシルト主体の土層構成となっている。三次元有効応力解析の結果によれば,噴砂の発生を含む現地の状況と整合する解析結果が得られるのは,対象地点のサイト特性が反映された推定波を用いた場合のみであり,対象地点から遠くはないがサイト特性の異なる SKnet 三芳での観測地震動を用いた場合には整合する結果が得られなかった。現地における余震観測(中小地震観測)で得られた記録などに基づいた入力地震動の設定は,地盤液状August, 201611)12)考文献国土交通省関東地方整備局・地盤工学会東北地方太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態解明報告書,調査票 No. 56(南房総市1),2011.若松加寿江液状化・造成地の被害の特徴と課題,日本地震工学会誌,No. 15, pp. 33~36, 2011.沼田淳紀・三輪 滋・池田隆明・釜江克宏・小長井一男 2011 年東北地方太平洋沖地震における関東地域の地震動と液状化に影響を及ぼした強震動生成域を対象とした地震規模の推定,日本地震工学会大会― 2011 梗概集,Vol. 8, pp. 94~95, 2011.Hata, Y., Ichii, K., Nozu, A., Maruyama, Y. and Sakai,H.: Ground motion estimation at the farthest liquefactionsite during the 2011 oŠ the Paciˆc coast of Tohoku Earthquake, Soil Dynamics and Earthquake Engineering,Vol. 48, pp. 132142, 2013.Iai, S., Matsunaga, Y. and Kameoka, T.: Strain spaceplasticity model for cyclic mobility, Soils and Foundations, Vol. 32, No. 2, pp. 115, 1992.Towhata, I. and Ishihara, K.: Modeling soil behavior under principal stress axes rotation, Proc. of 5th International Conference on Numerical Methods in Geomechanics, Nagoya, Japan, Vol. 1, pp. 523530, 1985.Iai, S.: Three dimensional formulation and objectivity ofa strain space multiple mechanism model for sand, Soilsand Foundations, Vol. 33, No. 1, pp. 192199, 1993.吉田 望・末富岩雄DYNEQ等価線形法に基づく水株 技術平成層地盤の地震応答解析プログラム,佐藤工業研究所報,pp. 61~70, 1996.安田 進・山口 勇種々の不撹乱土における動的変形特性,第 20 回土質工学研究発表会講演集, pp. 539 ~542, 1985.Hata, Y., Nozu, A. and Ichii, K.: A practical method toestimate strong ground motions after an earthquakebased on site ampliˆcation and phase characteristics,Bulletin of the Seismological Society of America, Vol.101, No. 2, pp. 688700, 2011.地盤工学会地震動,ジオテクノート 9,116p., 1999.秦 吉弥・一井康二・野津 厚・丸山喜久・酒井久和地 盤構 造 物の 性 能評 価の た めの 余 震観 測の 重 要性 ―2011 年東北地方太平洋沖地震における最遠方液状化地点での地震動の推定―,防災・減災のための地盤構造物の設計・施工法に関するシンポジウム論文集,地盤工学会関東支部,pp. 149~154, 2012.(原稿受理2016.4.21)29
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  • 液状化解析プログラムHiPER を用いた大型模型実験の事前予測解析(<特集>液状化の予測技術)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 30〜33
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71969
  • 内容
  • 報告液状化解析プログラム HiPER を用いた大型模型実験の事前予測解析Predictive Analysis of Largescale Model Experiment using a Liquefaction Analysis Program HiPER福武毅芳(ふくたけ株 技術研究所清水建設きよし)上席研究員. は じ め に液状化の予測技術において有効応力解析は重要な予測技術の 1 つである。現在,複数の有効応力解析プログラムが存在する。しかし事前に液状化挙動を予測しよう田端けんたろう)国立研究開発法人防災科学技術研究所主任研究員G=∑ Dgzx2+Dgzy2+Dgxy2+D(ex-ey)2+D(ey-ez)2+D(ez+ex)2………………………………………………………………(2)おわんモデルではこの G と Gを用いて次式でダイレイタンシー evs を算定する。とする場合,構成式のパラメータの設定方法が問題となevs=eG+eG=A・G 1.4+る。なぜなら構成式には独特のパラメータがあるため,特殊な要素試験を必要とするからである。特に弾塑性構憲太郎(たばたG……………………(3)C + D ・G ここに A , C , D はパラメータである。式( 3)の意味す成式においてはそのようなことが言える。一方で履歴関るところは,ダイレイタンシーを以下の 2 つの成分の数型の応力・ひずみ関係では,動的変形試験結果から容和として表していることである。易にパラメータを設定することができる。また,既往のほとんどの論文では,既に分かっている実測データ(模型振動台実験結果など)をターゲットに 可逆成分である膨張成分eG(おわん形状)◯ 非可逆成分である圧縮成分eG◯eG は累積せん断ひずみ Gの双曲線の関数で圧縮し,双しているので,実験結果に合うようにパラメータをいろ曲線の漸近線 1 / D (これは Dr 100 に対応)まで圧縮いろと調整している論文が少なからず見受けられる。言する。 eG 成分は繰返しせん断時のダイレイタンシーのい換えれば,答えが分かっている実験結果に解析結果を基盤となるマスターカーブであり, eG 成分はそれに付合わせた論文が多く,真の意味での「予測」とは言い難随する波打ち成分である。なお,液状化強度の下限値い面がある。Xl 以下の応力比では, Gの累積計算を行わない。よっここで紹介する有効応力解析に関する報告では,一般的な要素試験である動的変形試験結果(G/G0~g,h~gて, Xl 以下の応力比ではダイレイタンシーは蓄積しない。関係)と液状化試験結果(液状化強度~繰返し回数関係おわんモデルでは, 6 つのせん断ひずみ軸( gzx, gzy,R ~ Nc 関係)のみを拠り所にしている。解析は模型実gxy, ex-ey, ey-ez, ez-ex)と体積ひずみ軸(evs)の七次験の実施前に行っているので,土質パラメータの調整な元のひずみ空間でダイレイタンシーを算定する。図―どは行っておらず,真の予測解析と言えよう。ではこのような粒子挙動のメカニズムを容易に理解でき.土の構成式(おわんモデルを中心に)使用したプログラムは HiPER である。構成式は三次元に拡張したランバーグ・オスグット(RO)モデルとるように gzx~gzy~evs の三次元空間に次元を低減し,概念的な絵で示した。これは多方向の単純せん断に相当する。式( 3 )の eG = AG 1.4 がおわん形状をしている。一方向繰返し単純せん断のメカニズムを図―に示す。おわんモデル(ダイレイタンシーモデル)を併用している1)~4)。RO モデルは G/G0~g,h~g 関係との相性がよく,実験データに容易にフィッティングできる。おわんモデルのパラメータは R ~ Nc 関係から比較的容易に設定できる。おわんモデルでは液状化強度の下限値がパラメータとなっているので, R ~ Nc カーブにフィッティングさせやすい。以下におわんモデルのエッセンスを述べる。液状化解析で最も重要となるのが,ダイレイタンシーの表現である。まず次式に示す合せん断ひずみ G と,累積せん断ひずみ Gを定義する。G= gzx2+gzy2+gxy2+(ex-ey)2+(ey-ez)2+(ez+ex)2……………………………………………………(1)図―ひずみ空間における「おわん」とその微視的イメージ(多方向単純せん断)30地盤工学会誌,―() 報表―図―告モデルのパラメータとその意味一方向繰返しせん断におけるダイレイタンシーの考え方図―液状化強度曲線とパラメータ C,Xl―に示す。8 の字のせん断ひずみ経路せん断の応力・ひずみ・ダイレイタンシー関係と応力比ベクトルの結果である。計算結果は実験結果を概ね表現できている。モデルのパラメータとその意味を表―,図―に示す。 A は逆 S 字となる応力・ひずみ関係へのフィッティングから,C,Xl は液状化強度曲線へのフィッティングから設定する。 D は相対密度 Dr が 100 に達するまでの余裕体積ひずみから算定する。.図―8 の字のせん断ひずみ経路せん断の実験結果とおわんモデルによる計算結果大型模型実験の事前予測解析予測の対象とした実験は, E ディフェンスで実施した大型の 1 g 場の実験であり,地盤~杭~構造物系モデダイレイタンシーを過剰間隙水圧に変換するには,圧ルである5),6)。加振は水平 2 方向同時加振を行っている。密項 evc を考慮し全体の体積ひずみをゼロとする(非排したがって解析は三次元 FEM で実施している(図―)。水条件ev=evs+ evc=0)ことで求めることができる。実験で用いた砂は相対密度が 70 のアルバニー珪砂で詳しくは文献3),4)を参照されたい。ある。大型模型実験の実施の前に動的変形試験結果と液多方向単純せん断試験機による要素試験結果2),3)を図August, 2016状化試験を行っており,土質パラメータを決めている。31 報告図―液状化試験結果とおわんモデルのフィッティング状況図―地盤~杭~構造物系の三次元 FEM モデル図―図―過剰間隙水圧比の時刻歴動的変形試験結果と R O モデルのフィッティング状況図―には動的変形試験果と RO モデルのフィッティング状況を示す。図―には液状化強度曲線の実験結写真―加振中のフーチングと噴砂の状況果とおわんモデルのフィッティング状況を示す。太線がおわんモデルの計算結果であり,細線は各実験データを能性がある。結んだ線である。図―,図―とも実験結果のばらつ過剰間隙水圧の蓄積状況と噴砂の状況を図―,写真きの範囲内で合っていると言える。なお,液状化試験に―に示す。実験では基礎の周辺から噴砂が見られた。おいて応力・ひずみ関係は示されていない。解析結果も杭基礎周辺から液状化が生じており,両者は杭近傍の GL 1 m における過剰間隙水圧比の時刻歴調和的である。を図―に示す。解析では過剰間隙水圧比の大まかな上図―には鋼管杭の M ~ q 関係を示す。図―には昇傾向を表現できている。このように,動的変形試験結実験における杭の最大曲げひずみと解析における杭の最果と液状化試験結果がうまく再現できていれば過剰間隙大曲率を示す。解析では杭頭と支持層境界部で曲率が局水圧比の上昇傾向が再現できることは,ここで紹介した部座屈を示す第 3 折れ点を超えている。実験の曲げひ実験以外でも言えることである7)。ただし,サイクリッずみも同じ箇所で曲げひずみが大きくなっており傾向がクモビリティによる水圧変動の合いはあまり良くない。一致している。写真―には杭頭の座屈の状況を示す。液状化の要素試験で応力・ひずみ関係も示されていれば,それにフィッティングすることでサイクリックモビリテ.32とめ以上述べた事前予測解析より以下のことが言える。ィはより良く合った可能性がある。また本加振の前に小加振を実施しており,想定よりもやや密になっていた可ま動的変形試験結果と液状化試験結果がうまく再現で地盤工学会誌,―() 報写真―告実験後の杭頭の座屈状況(左西側面,右東側面)きていれば,液状化挙動は事前予測解析でもある程度再現できる。液状化の要素試験で応力・ひずみ関係も示されていれば,それにフィッティングすることでサイクリッ図―クモビリティはより良く合った可能性があり,詳細過剰間隙水圧比の蓄積状況な液状化挙動の予測には応力・ひずみ関係も必要であると言える。参1)2)3)4)図― 鋼管杭の常時軸力下における M~q 関係5)6)7)考文献福武毅芳・松岡 元任意方向単純せん断におけるダイレイタンシーの統一的解釈,土木学会論文集,No. 412/12, pp. 143~151, 1989.福武毅芳・松岡 元任意方向繰返し単純せん断における応力・ひずみ関係,土木学会論文集, No. 463/22号,pp. 75~84, 1993.福武毅芳土の多方向繰返しせん断特性を考慮した地盤・構造物系の三次元液状化解析に関する研究,名古屋工業大学博士論文,1997.福武毅芳おわんモデルと履歴関数モデルを併用した構成式,地盤材料の構成式ワークショップ(第 1 回),地盤工学会,2012.兵庫耐震工学研究センター研究内容,プロジェクト成果,大都市大震災軽減化特別プロジェクト成果報告書(平成17年度,平成18年度)入手先〈http://www.bosai.go.jp / hyogo / research / project _ result / project _ result _n.html〉(参照2016.4.8)福武毅芳・佐藤正義・田端憲太郎・田地陽一 E ディフェンスによる液状化地盤中の杭基礎の震動実験―その3RO モデルとおわんモデルによる事前予測解析―,日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 I , pp. 709 ~710, 2008.藤川 智・福武毅芳近傍改良地盤の影響を考慮した神戸ポートアイランド鉛直アレー記録のシミュレーション,土木学会論文集,No. 687/III56, pp. 169~180, 2001.(原稿受理2016.4.14)図― 実験における杭の最大曲げひずみと解析における杭の最大曲率August, 201633
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  • タイトル
  • 技術紹介既設グラウンドアンカーの更新技術-ゼロ余長グラウンドアンカーの荷重除荷・調整工法-(技術紹介)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 34〜35
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71970
  • 内容
  • 技術紹介既設グラウンドアンカーの更新技術―ゼロ余長グラウンドアンカーの荷重除荷・調整工法―The Replacement Technology of Existing Ground Anchors―The Method of OŒoading and Load Adjusting for Ground Anchors without Extra Length Parts―西田直也(にしだ土木技術部株中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京笹本直川なおや)之(ささもと土木技術部廣貴(かわさきひろたか)株中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京山なおゆき)株中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京崎本洋株中日本高速道路敬(やまもと東京支社土木技術部ひろゆき)静岡保全・サービスセンターる。既設テンドンより深い位置でくさび定着するた. は じ め にめ,特殊定着具で各テンドンにくさびをセットする。切土法面の地すべり対策などの安定化対策工には,こ◯特殊定着具の内面上部ねじに緊張用カプラーを装れまで多数のグラウンドアンカー(以下,アンカー)工着しジャッキ緊張によりくさびをテンドンに嵌合さ法が適用されている。これらの一部では,供用中であるせて,定着リングの回転で所要緊張力に定着する。にも係わらずアンカー力(残存引張力)が許容アンカー力を超える過荷重状態のものや,設計荷重に対して過度.新工法の適用範囲に低荷重状態のものが確認されている。現場では頭部余従来のくさびを外して除荷する方法では,緊張用カプ長や荷重調整リング長に余裕がないものが多く,この場ラー設置余長110 mm とくさびを外した後のテンドン戻合に荷重除荷や荷重調整の実施が困難とされてきた。今回紹介する工法は,このようなアンカーのうち,PC 鋼より線のくさび定着タイプを対象に,荷重除荷と荷重調整を可能にした新工法1)である。.新工法の概要写真―に示す頭部余長が長いアンカーは,余長部を掴みしろに緊張でき,定着くさびを取り外すことが可能なため,荷重の調整が可能である。一方,写真―の頭部余長が短いアンカーは,掴みしろが不足して定着くさびを外すことが困難である。新工法は頭部余長が極めて短い(ゼロ余長)状態や過荷重状態のアンカーに対応すべく,緊張作業を行わずに安全に除荷ができ,再緊張定着で荷重調整できるように検討・工夫している。 ~◯新工法の概念は図―に示す通りであり,次の◯で荷重除荷~荷重調整を行うものである。◯頭部余長部はくさび上面位置で切断する。◯くさび部の隙間に補助くさびを貫入する。◯くさびで把持されている PC 鋼より線をドリルにて削孔して,PC 鋼より線の把持状態を解放する。◯把持解放した PC 鋼より線は引込まれた状態にあ写真―34長い頭部余長写真―短い頭部余長図―新工法の概念2),3)地盤工学会誌,―() 技術紹介り量 dr を考慮した必要除荷余長 Lu1=110 mm+ dr を確残存引張力は,設計(定着)荷重の64.2で,アンカー保することが必要になる。また,緊張用カプラー設置後,の条件は表―のケース D に該当する。くさびを取り外すため,さらに 20 mm 程度の緊張が必現場実証の状況を写真―~に示す。本アンカーは,要であり,この際にも緊張力が 0.9 Tys を超過しないよ荷重分散型(U ターン方式)であり,ドリル削孔で PCうに留意が必要である。したがって,従前法でアンカー鋼より線が引込まれる際, U ターンの対となっている力を除荷するのが困難と判断されるのは,次の 2 条件PC 鋼より線の飛出しが懸念されたが,問題なく荷重除のいずれかに該当する場合である。荷を行うことができた。既設受圧板撤去後の観察では,◯現場の頭部余長が必要除荷余長以下である既設アンカーヘッド背面の PC 鋼より線がアンボンド◯くさび取外し時の緊張力が0.9 Tys を超過するシースで被覆されており,腐食もなく健全な状態であっここで,この 2 条件を満足するための関係を導く。たことから,新受圧板を設置して,設計アンカー力にてアンカー引張り材の各定数を自由長 Lf ,ヤング率 E ,荷重調整を行った。なお,アンカーヘッドに可動式の定 を満足す断面積 A ,残存引張力 Pe と定義する。条件◯着リングを採用したことから,今後,荷重調整が可能なる必要除荷余長 Lu1 の式は,式(1)となる。アンカーに改良された。Lu1≦110+dr=110+Pe・Lf/EA ……………………(1) を満足するアンカーの限界自由長 Lf2 の一方,条件◯式は,「Pe=(EA/Lf)×dr」の関係から,式(2)となる。Lf2≦20・EA/(0.9 Tys-Pe) …………………………(2).おわりに新工法は,現場実証によりアンカーの荷重除荷と荷重調整が安全,容易に,かつ適正にできることを検証でき式( 1 )と式( 2 )のいずれかに該当する場合,新工法のた。したがって,新工法は過荷重や低荷重の状態のアン適用範囲である。これを PC 鋼より線 q12.7 mm を事例カーに対する荷重除荷と荷重調整が可能な更新工法としに計算してみると,図―の必要除荷余長とアンカー自て十分適用性があるものと判断できる。由長の関係に示す適用範囲となる。残存引張力 Pe は許これまで既設のアンカーには,過荷重や過度に荷重低容アンカー力 Ta をパラメータとして, Pe = 0.9 Ta, 1.0下したものが報告され,何らかの対策が必要な箇所が存Ta, 1.1 Ta のケースで示しており,残存引張力の増加と在しているのが実状である。本工法がアンカーの維持管ともに新工法の適用範囲が拡がることが分かる。理に役立つ技術として貢献できれば幸甚である。新工法の適用性を整理したものを,表―に示す。なお,新工法の適用は既設アンカーを再利用するものであるため,既設アンカーに変状などがなく健全であることが前提である。. 現 場 実 証現場実証は,東名高速道路 A 地区切土法面にある既設受圧板の交換が必要になった,頭部余長が 20 mm 程参考表―必要除荷余長とアンカー自由長1),2)献川崎廣貴ほかグラウンドアンカーの除荷方法,特許第5674219号,2015.2 ) 西田直也ほかゼロ余長グラウンドアンカーの荷重除荷・調整工法の開発と実証,高速道路と自動車, Vol.59, No. 1, pp. 28~32, 2016.3) 西田直也ほか既設グラウンドアンカーの更新工法の開発と実証,土木学会,平成 28 年度第 71 回年次学術講演会第部門(投稿中)度のアンカーで実施した。現場実証を行ったアンカーの図―文1)(原稿受理写真―頭部余長切断写真―2016.4.25)ドリル削孔状況従前法と新工法の適用性比較2),3)写真―特殊定着具装着写真―定着リング(新受圧板設置前)August, 201635
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  • タイトル
  • 改良土と補強材を組み合わせた補強土壁の施工事例に関する報告(技術紹介)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 36〜37
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71971
  • 内容
  • 技術紹介改良土と補強材を組み合わせた補強土壁の施工事例に関する報告Construction Report of Reinforced Earth Wall using Improved Soils and Reinforcement中谷登(なかたにのぼる)株)ハイビーウォール研究会(大日本土木. は じ め に土地の有効利用の観点から盛土法面の急勾配化のニーズが高く,擁壁などに比較して経済的に盛土法面の急勾配化を可能にする補強土壁工法が普及している。補強土壁工法の一層のコストダウンと現地発生土の有効利用を目的に,補強土壁の壁面部分に改良土を配置しジオグリッドと組み合わせる新しいタイプの補強土壁の開発を進めてきた。本補強土壁工法は,平成 12 年に(一財)土木研究センターより技術審査証明1)を取得して以来,平成28 年 3 月末時点で 61 件の施工実績を有している。本稿では,工法の概要と沖縄県での施工事例について報告する。図―改良土と補強材を組み合わせた補強土壁の概念図. 工 法 概 要工法の概念図を図―に示す。本補強土壁工法は,所定幅に締め固めた改良土を補強土壁の壁面部分に配置し,ジオグリッドを改良土から盛土部にわたり敷設することで構造の安定を確保している。改良土は,現地発生土にセメント系固化材と短繊維を混合することにより,強度と靭性の向上を図っている。改良土の効果により壁面パネルには土圧が作用しないため,壁面パネルは,簡易な構造のプレキャストコンクリートパネルとし,補強材と連結せずに補助アンカーにより改良土と一体化させる。. 設計の基本的な考え方本補強土壁工法の設計は,基本的に「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル第二回改訂版」に準じる。ただし,本補強土壁工法の特徴である改良土の幅と強度の設定などについては,独自の考え方を用いている。改良土の幅は,補強土壁の壁高に対する比率として,盛土材の内部摩擦角に応じて決定する。改良土の強度は,円弧すべりの安全率が 1.0 となるように設定し,かつ,改良土内部でせん断破壊が生じないようにする。設計法の詳細は,技術審査証明報告書を参照していただきたい。. 耐震性能本補強土壁工法の地震時挙動及び耐震性能を把図―遠心振動台実験結果握する目的で遠心振動台試験を実施した。図―36地盤工学会誌,―() 技術紹介に各ケースの終局状態の写真と変位ベクトル図を示す。の混合量を決定する必要があった。実際の盛土材で配合実験は50 g,模型高さ=20 cm(実物相当高さ10 m)で試験(一軸圧縮試験)を実施した結果,設計混合量は固行った。改良土と補強材を組み合わせたことにより,レ化材(六価クロム対応型セメント系固化材) 80 kg / m3,ベルクラスの大きな地震動に対しても壁面の変形を小短繊維(ビニロン製,太さ約 43 mm ,長さ 30 mm )はさく抑えられ,安定していることが確認された。0.7 kg/m3 となった。現場ではこれに割増係数(今回は1.3)を乗じた値とする。改良土の撹拌方法は,写真―. 施 工 事 例に示すようにバックホウ混合である。本補強土壁工法が沖縄県で適用された事例 2 件を以下に紹介する。試験施工により,改良土の撹拌混合時間と改良土の締固め転圧回数を決定した。試験施工時には,改良土の強. 道路適用事例度検査を実施してバックホウによる現場混合でも設計強沖縄市国税庁西側線の橋台に取り付く区間で双璧タイ度を満足していることを確認している。プの本補強土壁工法が適用された。図―に代表断面図壁面パネルは,幅 2 m ×高さ 1 m の薄型パネルであり,補助アンカー( D16 +アンカー材 1 本/ 1 m2 )にを示す。現地発生土は沖縄県特有の島尻泥岩であり,改良土の必要強度 220kN / m2を確保するための固化材と短繊維より改良土と一体化させる。改良土の撹拌混合と壁面パネル組立を並行して行うことにより,施工時間の短縮を図ることが可能である。本現場での補強土壁施工速度は,20 ~ 30 m2 /日であった。道路適用事例完成写真を写真―に示す。. 野球場スタンド外壁適用事例沖縄市野球場の外野スタンド外周部に本補強土壁が適用された事例である。外野スタンド外壁は,曲線形状であるうえに,防球ネットの鉄塔を避けるための凹み部分を設けるため,隅角部が多く複雑な形状をしている。改良土を壁面部に配置した本補強土壁工法は,壁面パネルが簡易な構造であるため,パネル加工が容易であり,複雑な形状の壁面に対応可能である。野球場スタンド外壁適用事例完成写真を写真―に示す。.図―おわりに代表断面図改良土と補強材を組み合わせた補強土壁工法は,これまでの施工実績より,従来工法と比較して構造の安定性や施工性も何ら変わるものでないことが明らかとなった。現地発生土の有効利用など適用効果の見込まれる工法と考えられ,今後とも技術の研鑽や普及に努めていく所存である。参1)考文献(一財)土木研究センター建設技術審査証明報告書,改良土(短繊維混合安定処理土)とジオグリッドを組み合わせた補強土壁「ハイビーウォール」,2015.(原稿受理写真―写真―August, 20162016.4.13)バックホウによる改良土の撹拌混合道路適用事例の完成写真写真―野球場スタンド外壁適用事例の完成写真37
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  • タイトル
  • 日本の空を支える東京国際空港D 滑走路建設工事の概要
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 38〜39
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71972
  • 内容
  • 日本の空を支える東京国際空港D 滑走路建設工事の概要Construction Technology of Tokyo International Airport三浦丈典(みうらたけのり)学生編集委員(早稲田大学大学院)化・高速・大量輸送時代が到来する中,その需要は,な. は じ め にお急激な増加を見せ処理能力は限界に達するようになっ東京国際空港は東京都大田区の西南に位置し,国際た。さらに航空機騒音が社会的に注目される社会状況の線 ・ 国 内 線 合 わ せ た 発 着 回 数 日本 一 の 空 港 であ る 。変化もあり,空港施設を大規模に沖合へ新たに展開する2010 年には 4 本目の滑走路が供用開始され,読者の記「東京国際空港沖合展開事業」が1984年から2007年にか憶にも新しいことなのではないか。東京国際空港は,けて行われた。その後,さらなる航空需要に対応するた1931 年に開港した埋立て式の空港であり,現在は 4 本め,「東京国際空港再拡張事業」が行われ, 4 本目の滑目の滑走路を持ち,日本の首都である東京と地方都市・走路となる D 滑走路の他,国際線地区が2010年10月 21海 外 都 市 を 結 ぶ 日 本 の 玄 関 口 の役 割 を 担 っ てい る 。日より供用開始となった(写真―)。2020 年の東京オリンピックでは,国際線の需要の増加が見込まれ,国際線の発着枠を拡大する。この度,東京の玄関口である東京国際空港の歴史,及び 4 本目の滑走路の建設方法を紹介する。.東京国際空港の歴史1)東京国際空港は 1931 年(写真―),面積 53 ha に延長 300 m ,幅 15 m 滑走路 1 本を設けて開港した我が国初の国営民間航空専用飛行場「東京飛行場」からその歴史が始まった。最初の拡張では,延長 800 m ,幅 80 mの滑走路が 2 本整備された。写真―1964年 C 滑走路完成2)終戦後,進駐軍に接収された「ハネダエアベース」の時代を 1958 年に全面返還をもって終えるが,この間においても滑走路・誘導路等の延長,拡張が行われた。そして,航空機のジェット化が急速に進展する中,さらに滑走路を始めとする空港施設の規模拡充が行われ,1964 年から 1971 年(写真―,写真―)にかけ, 3本の滑走路を有する東京国際空港の原形ができ上がる。1978 年,新東京国際空港(成田空港)の開港に伴い国際線が移転し,東京国際空港は国内線空港としての役割を担うこととなるが, 1970 年頃からの航空機の大型写真―写真―381931年「東京飛行場」開港2)1970年 B 滑走路延長工事2)写真― 2010年 D 滑走路(関東地方整備局東京空港整備事務所提供)地盤工学会誌,―() 寄図―稿D 滑走路平面図3). D 滑走路の形成埋立部・桟橋部D 滑走路等工事は,既存空港の沖に滑走路( D 滑走路)及び連絡誘導路等の新設,並びに東京港第一航路移設に係わる設計及び施工を行うものであった(図―)。滑走路の基本施設として,2 500 m の滑走路と誘導路,進入灯橋梁,保安・付帯施設等が整備された。滑走路は,埋立て・桟橋組合わせ構造が採用された。埋立て・桟橋組合わせ構造は,日本の海上空港で数多く用いられてき図―護岸の施工手順3)図―埋立ての施工手順3)た実績のある埋立構造に,多摩川の河川流の通水性を確保するため,桟橋構造を組み合わせたものである。. 埋立部の施工手順埋立部の工事の手順としては,護岸の概成後,埋立ての工事を行った。以下に,護岸と埋立ての工事手順を記する。護岸及び埋立の必要な部分については地盤改良を行った。基礎捨石の投入後,上部コンクリートを打設し,被覆ブロックや消波ブロック等を据え付けた。水質保全のため,土砂等を運搬する土運船が出入りするための開口部を除き,護岸を概成させた後に埋立てを行った(図―,図―)。建設当時,サンドコンパクション船14隻,サンドドレーン船 2 隻,サンドマット船 1 隻が作業を行っていた。空港隣接や多摩川河口付近で潮の流れが急といった,厳しい条件の中,大きな作業機械を動かし,365日24時間体制で作業を行っていた。. 桟橋部及び連絡誘導路部の施工手順図―工場製作された鋼製ジャケットを現地に運搬し,先行打設された鋼管杭に据え付けた。桟橋部は,海中に打設した鋼管杭,鋼管杭に据え付けられた鋼製のジャケット及びジャケット上部桁上に敷設されたコンクリート床版と舗装で構成される。鋼管杭(最長 91 m )を海底下約 70 m の深さまで地盤に打ち桟橋部及び連絡誘導路部の施工手順3)できた。人々の豊かな生活のために構造物を作ることで直接的に貢献できる土木の魅力を実感することができた。本稿を執筆するにあたり,近藤写真事務所の皆様には,写真提供に際してご協力を賜りました。ここに記して感謝の意を表します。込み,軟弱地盤からはるかに深い基盤層まで杭を打ち込むことで,沈下がなく,地震にも強い桟橋が完成した(図―)。. お わ り に本稿では東京国際空港の歴史,及び D 滑走路の施工手順を紹介した。空港工事は知る機会が少ないが,多く参考文献1)上之郷利昭「羽田空港物語―極限に挑む技術者たち」,講談社,1997.2) 近藤写真事務所 近藤晃氏撮影 空撮写真3 ) 国土交通省関東地方整備局 東京空港整備事務所東京国際空港(羽田空港)再拡張事業の概要,2008.(原稿受理2016.4.22)の制約条件の中で,工事を完成させたことを知ることがAugust, 201639
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  • タイトル
  • 平成27年度地盤工学会の表彰に関する報告(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 40〜50
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71973
  • 内容
  • 平成年度地盤工学会の表彰に関する報告表彰委員会委員長古屋弘(ふるやひろし)公益社団法人地盤工学会第58回通常総会(平成28年 6賞への応募が 5 年間で 1 件ということで,定常的に低月 8 日)において,平成 27 年度の地盤工学会学会賞の調である。応募に該当する業績を有している方は確実に表彰,名誉会員の推挙,一般表彰などが行われたので,いると思うので,積極的な応募を望むとともに,応募数これらについて報告する。が少ないことの要因については表彰委員会としての検討.地盤工学会賞の選考経過と結果課題としたい。表彰委員会では,応募業績 1 件について,それぞれ 5地盤工学に関する優れた研究業績と技術的実践の奨励名の審査委員を選出し,専門的な立場から第 1 次審査 に定めるとおり,公と表彰を行うことは,定款 5 条を実施した。そして,各審査員からの審査結果に基づい益社団法人地盤工学会の主要な事業(公【4】表彰関連て,第 2 次審査の対象を絞り込み,表彰委員会 18 名全事業)である。学会賞は,地盤環境賞,技術賞,研究・員による投票を行った。上記の過程で,応募業績に関連論文賞の 3 部門からなる。さらに技術賞部門には,技の深い方が審査に当たることがないように配慮した。そ術業績賞,技術開発賞,技術奨励賞の三つの賞があり,して,表彰委員会は投票結果に基づき最終審査を行い,研究・論文賞部門には研究業績賞,論文賞(英文部門・学会賞候補者を選んだ上,授賞理由書を付して理事会に和文部門),研究奨励賞の三つがある。このうち,論文推薦した。平成 28 年 3 月 15 日開催の理事会において,賞は平成 22 年度から,和文部門と英文部門に分けて募推薦内容及び授賞理由を審議した結果,学会賞を決定し集を開始した。論文賞部門では,従来,受賞が英文雑誌た。これらは,表―に示すとおり,地盤環境賞 1 件,Soils and Foundations に掲載された論文に偏る傾向が技術業績賞 3 件,技術開発賞 1 件,研究業績賞 1 件,あったことを鑑みて,地盤工学ジャーナルなどに発表さ論文賞(和文部門)3 件,論文賞(英文部門) 3 件,研れる技術報告・論文に顕彰機会がより公平に与えられる究奨励賞 3 件の合計 15 件である。そして,授賞業績によう,和文と英文部門に分けて募集が行われている。対して平成 28 年 6 月 8 日の通常総会で表彰を行った。平成 27 年度は,所定の期日までに地盤環境賞 3 件,なお,受賞者地震による業績の内容紹介は,第 51 回地技術業績賞 5 件,技術開発賞 2 件,技術奨励賞 0 件,盤工学研究発表会(岡山市)の学会賞受賞者講演セッシ研究業績賞 1 件,論文賞(和文部門)8 件,論文賞(英ョンで行われる予定である。文部門)6 件,研究奨励賞 6 件,の応募があった。図―に,平成 27 年度も含めて過去 5 年間の応募数の推移を示す。.名誉会員の推挙の経緯と結果名誉会員は,定款 6 条 3 及び表彰規程18条に,「地盤この図に見られるとおり,平成 27 年度の応募総数は工学とそれに関連した建設事業の発展に特に功労・功績31件と,前年度の35件からはやや減少したが,5 年間のが顕著」である者と,定められている。本部・支部の役スパンでみると例年なみの応募数である。研究・論文賞職や永年にわたる会員継続に関して,より配慮を深める部門については,英文部門の応募数が少なかったこと,と共に,外国や学会員以外の方にも幅広い候補者の選考研究業績賞への応募がゼロという結果であった。若手のを行ってきた。平成 27 年度は 10 名の候補案を委員会で登竜門である研究奨励賞とともに積極的に応募されるよ作成し,学会賞審議と同日の理事会で承認された。6 月うに要望したい。地盤環境賞,技術賞関連では技術奨励8 日の通常総会で10名の新たな名誉会員が推挙された。.功労章の選考経過と結果功労章は,表彰規程第22条に,「地盤工学の発展に,永きにわたり,功労のあった者」と定められており,2年毎に授与される。平成 27 年度は,本部・支部推薦を受け,表彰委員会で選考し,学会賞審議と同日の理事会において,表―に示す 22 名を決定し,受章者が所属する支部の総会で表彰状が授与された。図―40過去 5 年間の応募数の推移地盤工学会誌,―() 学会の動き表―平成27年度学会賞【環境賞部門】(順不同敬称略)賞の区分受賞業績名/業績発表文献丸太打設液状化対策 & カーボンストック工法(LPLiC 工法)―丸太打設による液状化対策と地球温暖化緩和策―地盤環境賞(技術)受賞者名株飛島建設株兼松日産農林株昭和マテリアル授賞理由本業績は,近年の都市災害の重点課題の一つである液状化問題と,重大な地球環境問題の一つである地球温暖化につながるCO2 削減に対して有効な,丸太を地盤中に圧入し地盤の密度を増大させ液状化抵抗を増強する工法である。成長中に木に蓄えられた炭素を地中に半永久的に貯蔵でき,工事の実施自体が地球温暖化緩和策となる丸太を用いるという古い技術を基に,最近の技術を取り入れ,間伐材を有効活用できる,信頼性の高い現代版の設計・施工法を新たに確立した。以上より,本業績は社会的貢献度・独創性が極めて高く,地盤環境賞としてふさわしいと認められた。【技術賞部門】賞の区分受賞業績名/業績発表文献受賞者名仙台市仙台市宅地保全審議会技術専門委員会(東北学院大学) 飛田 善雄2011 年東北地方太平洋沖地震により被災した仙台市の造成宅地の調査・復旧対策設計プロジェクト株 復建技術コンサルタント株応用地質三嶋佐藤株パシフィックコンサルタンツ門田浩一仙台市造成宅地滑動崩落緊急対策事業等設計共同体技術業績賞(事真吾昭二株 センシン技術ほか 7 社) 小原(業)亙授賞理由本業績は,2011年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた造成宅地の調査・復旧対策設計を目的として行われたプロジェクトである。本プロジェクトは,官学民が一体となり,滑動崩落現象の発生要因の調査・分析,調査・設計方法に対するガイドラインの作成を行うだけでなく,対象となる地域の住民の意見・要望を収集し,住民の合意形成の一助となった。これらの活動は,被災地の復興に大きく貢献し,かつ,地盤工学の進展に大きく寄与していると言える。また,得られた成果は国の宅地耐震化推進事業の新たな技術指針に取り入れられ,今後の宅地の安全性向上に寄与することも期待される。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。文化財城郭石垣の修復復元に当たっての多様な意見調整と地盤工学的解析結果の導入技術業績賞(技術)新谷田中洋二(東京大学名誉教授)邦煕(日本城郭協会)授賞理由本業績は,文化財城郭石垣の修復復元において,耐震性向上のための地盤工学的定量的解析結果の導入,文化財の保護,都市再開発のバランスを考慮した修復復元を行ったものである。城郭石垣の修復復元が行われる際,地盤工学的知見が反映されることは少なく,発掘調査などで明らかになった通りに復元することが重視され,修復箇所が崩落を繰り返したことも多い。本業績では,もたれ擁壁設計法を適用することで石垣の安定性を検討し,置換,安定処理,補強材等を用いて修復を行った。また,その実施においては,多様な意見の調整を行い,文化遺跡の保護と都市再開発の観点にも配慮がされた。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。技術業績賞(技地盤特性を考慮した斬新な施工法を適用した大断面シールドトン株首都高速道路ネルの分合流部構築技術(中央環状品川線鹿島・熊谷・五洋特定建設工事共同企業体五反田出入口)授賞理由本業績は,詳細な数値解析や現場実験をもとに厳しい制約条件に応じた最適な手法を議論し,設計施工上の課題を克服したものである。本業績は,このような困難な事業を安全かつ合理的に実施しただけでなく,そのプロセスに地盤工学の知見に基づく独自の検討が認められる。また,交通状況改善を狙ったプロジェクトにおいて新規路線の工期短縮を実現した本業績は,渋滞緩和など中央環状線整備効果の早期発現に結びつくものであり,社会的貢献度が極めて高いと評価される。さらに本業績の検討プロセスや考え方は,術)今後の都市部のインフラ高度化に大いに参考になるものである。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。がれき残渣の有効活用によるアップサイクルブロックの開発加納浜井敏行((一財)先端建設技術センター)株 大林組)邦彦(森田株 大林組)晃司(黒岩山田川本株 大林組)正夫(株 大林組)祐樹(株 大林組)卓人(株)五十嵐寛昌(鹿島建設技術開発賞井尻久野株)裕二(大成建設株)達彦(清水建設吉村株 熊谷組)丈晴(授賞理由本業績は,平成23年 3 月11日の東日本大震災によって発生した,リサイクルや焼却処理ができない大量のがれき残渣による最終処分場のひっ迫した問題と被災地の復興事業に係る盛土材不足の問題を同時に解決できる技術である。各種の実験や試験によって,盛土の中詰め材としての強度,長期耐久性,周辺環境への安全性などが検証され,製造方法や施工方法についても確立されている。また,品質管理マニュアル,設計・施工マニュアルを整備し,実用化している。今後も,積極的にその普及を推進する必要があり,同種の災害発災後の活用に期待するところは極めて大きいと考えられる。以上より,技術開発賞としてふさわしいと認められた。August, 201641 学会の動き【研究・論文賞部門】賞の区分受賞業績名/業績発表文献補強土構造物の性能設計に関する研究研究業績賞受宮田賞者名喜壽(防衛大学校)授賞理由本業績は,補強土構造物の設計に関する長年の研究を積み重ね,包括的な設計法へとつなげた貴重な成果である。本業績は,体系的に取りまとめるのが難しいこの課題に対して,理論の構築,設計手法の提案,実大実験との比較検証など緻密に取り組み,問題解決に結びつけている。補強土壁構造物の設計に関する包括的かつ具体的なこの業績は,実務に直結かつ非常に有用であり,貢献度が極めて高いと評価される。さらに,地盤補強技術が性能設計へ移行するための重要な課題を提起し,現行設計モデルの精度を確認したうえで補強材力のモデルを構築したことは学術的にも評価される。以上より,研究業績賞としてふさわしいと認められた。富樫三軸試験による岩盤の変形異方性の特定方法菊本谷論文賞(和文部門)陽太((公財)鉄道総合技術研究所)統(横浜国立大学)和夫(東京海洋大学)授賞理由本論文は,岩盤の剛性異方性の方向と程度を「一回の試験」で「正確に決定」する全く新しい方法を提案したものである。提案した異方性の特定方法は,三軸試験において軸対称性を満足しない変形挙動を敢えて計測・分析することで異方性の方向と程度を逆算する。この逆転の発想から生まれた提案手法はシンプルでありながら独創的であり,載荷方向を変えた複数の試験から岩盤異方性を推定する既往の実験・調査技術に比べて,コストと精度の両面を飛躍的に改善する手法として大いに評価できる。また,提案手法は,岩盤に限らず土やコンクリート,その他の異方性材料に応用可能な普遍的な技術であり,その応用範囲は極めて広い。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。論文平田株)昌史(前田建設工業吉田株)敬司(前田建設工業真空圧密工法を施工した超軟弱地盤の長期沈下予測澤野―白竜湖地区試験盛土の FEM 解析―菊池株 ネクスコエンジニアリング東北)幸輝(株 ネクスコエンジニアリング東北)慎司(賞加藤株)真司(東日本高速道路太田秀樹(中央大学)(和文部門) 授賞理由本論文は,山形県白竜湖地区の超軟弱地盤帯において真空圧密工法により施工された道路盛土に対し,供用開始から20年後までの長期沈下量を二次元の FEM 解析を用いて予測したものである。拡張型の弾・粘塑性構成モデルを使用することで真空圧(プレロード)除荷後の長期沈下を連続的に計算・予測した結果,現場の動態観測結果を精度良く再現し,信頼性の高い予測値が得られた。地盤物性パラメータの設定方法や地盤・盛土のモデル化など,今後の FEM による予測解析等において広く活用できる貴重なデータを含むことから,本解析手法を活用することで,維持管理等を考慮した経済的かつ安全な道路盛土の施工方法等が事前に検討できる。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。擁壁の地震時変位量評価手法と鋼矢板による耐震補強効果の検証―兵庫県南部地震の被害事例を対象とした解析的検討―論文中島古関進((公財)鉄道総合技術研究所)潤一(東京大学)渡辺舘山健治((公財)鉄道総合技術研究所)勝((公財)鉄道総合技術研究所)賞 授賞理由本論文は,既設擁壁の鋼矢板による耐震補強効果のモデル化を行い,さらに,兵庫県南部地震における実被害擁壁の検証解(和文部門)析を行ったものである。筆者らは従来から遠心模型実験を実施しており,本研究では,解析結果と実験結果を比較することにより,提案モデルおよび解析手法の妥当性を検証している。さらに,提案手法を実被害擁壁に適用し,実現象の再現可能性も確かめている。具体的には,提案する擁壁の地震時変位量評価手法が,実際の擁壁の被害程度を比較的良好に再現できること,矢板による補強で擁壁の転倒安定性を向上できること,矢板による補強で実物大の既設擁壁の補強が可能であることを示した。この様に,本論文は理論的信頼性と実問題への適用可能性が良く示されている。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。Study of dynamic stability of unsaturated embankments withdiŠerent water contents by centrifugal model tests論 文 賞(英文部門)肥後陽介(京都大学)李土井忠元(国家民防衛災難安全教育院(韓国))株)達也( JR 西日本コンサルタンツ衣川株 建設技研インターナショナル)哲平(木村亮(京都大学)木元小百合(京都大学)岡 二三生(京都大学名誉教授)授賞理由本論文は,不飽和盛土の含水状態が動的載荷時の安定性に及ぼす影響について,遠心模型実験により検討したものである。異なる含水状態の盛土に遠心場で動的荷重を作用させ,盛土の変形モードとそのメカニズムを示している。特に,不飽和土の特性についても相似則を考慮して遠心模型実験を行った点は独創性が高い。主要な結論として,高含水比の盛土は,せん断変形に加えて,天端下部での大きな体積圧縮による沈下によって破壊が進行することを示しており,有用な知見を与えている。また,数値解析手法の妥当性の検証のためのベンチマークとしての利用も今後期待できる。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。SEVERAL FACTORS AFFECTING SEISMIC BEHAVIOUROF EMBANKMENTS IN DYNAMIC CENTRIFUGE MODELTESTS榎本忠夫(国土技術政策総合研究所)佐々木哲也((国研)土木研究所)論 文 賞 授賞理由本論文は,砂質土またはシルト質土で構築された山岳部の谷埋め道路盛土の耐震性に及ぼすいくつかの要因について,国内最大級の動的遠心力載荷装置を用いて実験的に検討し,新しい学術的な知見および今後の盛土の性能設計に資する提言を行った論文で(英文部門)ある。具体的には,盛土の耐震性には,浸透水位,支持地盤の傾斜角度が大きく影響するとともに,締固めの効果や構成土質材料の粒度特性への配慮,基盤排水層等の設計や施工に係る事項についての定量的効果を明確にした。特に,従来の実験では困難であった実物換算高さ15~30 m 相当の盛土も対象として,前述の事項の実験的結果を得ている点は極めて新規性がある。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。42地盤工学会誌,―() 学会の動き【研究・論文賞部門】賞の区分受賞業績名/業績発表文献受Estimation of compressive strength of cementtreated marine土田clays with diŠerent initial water contentsTang, Yi Xin賞者名孝(広島大学)湯株)怡新(関門港湾建設授賞理由本論文は,セメントによる固化処理を行った浚渫粘性土の一軸圧縮強さの推定式を,コンクリート分野における Gelspace論文賞ratio theory を拡張し,体積固体分率(Volumetric solid content)という新たな指標を用いて提案したものである。様々な改良土を対象とした実験結果に基づいて提案式の妥当性を検証するとともに,間隙構造が強度に及ぼす効果に関するパラメータが通常のセメント(英文部門)改良土と軽量混合処理土とで明確な違いがみられることなどの学術上重要な知見が得られている。また,東京国際空港 D 滑走路建設プロジェクトの配合試験データへの適合性から,実務への高い適用性も示されている。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。杭中間部に節部を有する節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭の開発渡邉株 大林組技術研究所)康司(授賞理由本業績は,重力場・遠心場における模型実験および数値解析により,節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭の基研究奨励賞礎的な支持力メカニズムを詳細に把握したものである。また,基礎的研究と併せて提案する杭体の実大載荷試験を実施し,所定の品質および形状を確保した節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭が施工できることを確認するとともに,中間支持層に設置した節部の押し込み・引抜き抵抗を実測・確認が行われている。このように,杭の押込みおよび引抜き抵抗機構を解明し,実務において適用可能な支持力評価方法を構築したことは基礎工学上の大きな貢献である。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。Soilwaterair coupled ˆnite deformation analysis based on a ratetype equation of motion incorporating the SYS Camclay model吉川高広(名古屋大学)授賞理由本業績は,土骨格・間隙水・間隙空気の三相混合体の運動方程式に対して土骨格に対する物質時間微分をとり,土骨格の加速度の時間微分項を有する不飽和土の速度型運動方程式を新たに書き下している。また,土の不飽和状態の一つとして知られる,サク研究奨励賞ションがゼロであっても空気が気泡として水中に封入された状態から飽和度100の完全飽和土までの解析が可能となるよう,飽和度を陽に未知数にして扱う手法を提案し,緩詰め砂の非排水非排気せん断試験のシミュレーションを通じて,既往の不飽和土の解析手法では全く表現できない封入不飽和状態における飽和度の上昇過程を表現している。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。Localised deformation in a widegrained sand under triaxial comray tomography and digital image correlapression revealed by X高野大樹((国研)港湾空港技術研究所)tion研究奨励賞授賞理由本業績は,地盤材料の変形・破壊を X 線 CT による三次元イメージング手法と全領域測定法の一種である Digital ImageCorrelation(DIC)を組み合わせ,これまで困難であった供試体内部の局所的かつ三次元的な変形挙動を供試体全領域において可視化し,さらに定量的な評価を可能としている。当該論文で提案されている手法を用いることで,詳細な局所化過程の定量的評価を可能にしている。特に,ピーク前の応力状態で供試体内に複数存在するせん断ひずみの卓越した領域が存在することを示した例は過去に無く,今後の粒状体材料の強度発揮メカニズムの解明に大きく寄与するものである。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。計15件(注受賞者の所属は応募当時,掲載は応募順による)August, 201643 学会の動き表―所属支部受章功労章受章者者所北海道〃井林上  啓京二〃林 宏親北吉川謙造属所属支部北海道大学大学院農学研究院教授株 ドーコン環境事業本部地質部 技師長(国研)土木研究所寒地土木研究所寒地地盤チーム東表―. 表彰特別会員総括主任研究員株 ダイワ技術サービス陸関東小林俊一青木雅路株 竹中工務店技術研究所o公俊株基礎地盤コンサルタンツ〃末政直晃役社長東京都市大学工学部都市工学科〃>渡古一郎株中央開発〃中部〃関西部要一株北日本港湾コンサルタント4級協 土質屋北陸4級関東株 クラレ〃株いであ4級4級〃〃株 ホージュン株アジア航測4級4級〃株 JSP〃〃株住友林業アーキテクノ東京大学生産技術研究所・桑野研究室4級4級〃株 ブレーンズ〃〃〃日本ジェットグラウト協会株ユニバーサルプランニング株共生機構〃〃KJS 協会株 地球科学総合研究所〃株ジェコス専門役代表取締教授代表取締役社長(国研)港湾空港技術研究所地盤研究領域 領域長愛知工業大学工学部土木工学科 教授名古屋大学大学院工学研究科 教授〃株信幸建設〃(一社)日本ガス協会内田一徳神戸大学農学部 食料環境システム学〃(公財)地震予知総合研究振興会科 教授〃埼玉県地質調査業協会〃有 伊藤地質調査事務所〃東京電機大学〃(一社)関東地質調査業協会〃〃中央大学理工学部都市環境学科地盤環境研究室東京理科大学理工学部土木工学科地盤工学研究室〃真空圧密技術協会〃筑波大学地盤工学研究室〃〃国土交通省関東地方整備局大宮国道事務所国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所〃国土交通省関東地方整備局企画部4級4級〃〃国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所国土交通省関東地方整備局宇都宮国道事務所調査課4級4級〃日本石灰協会〃〃TRD 工法協会株総合地質4級4級〃横浜国立大学都市イノベーション研究院地盤研究室〃国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所〃〃株第一化成産業株共和コンクリート工業〃株 技術本部川崎地質4級4級武京都大学大学院地球環境学堂二諏訪技術士事務所〃〃常安田川賢郁一夫株i システムリサーチ竹下祐二岡山大学大学院環境生命科学研究科 中森田脇幸武男夫大阪大学大学院工学研究科教授教授代表取締役教授山口大学大学院工学部社会建設工学科教授呉工業高等専門学校環境都市工学分野教授四国長谷川 修 一香川大学工学部安全システム建設工学科 教授九州佐福岡大学工学部社会デザイン工学科 教授藤研一計22名4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級4級中部株 大栄4級関西株 テノックス大阪営業所4級4級〃〃〃株 地盤調査事務所大阪事務所株 関西地質調査事務所株 総合技術研究所大和ハウス工業〃株 エステック4級〃京都大学工学研究科都市社会工学専攻河川流域マネジメント工学・土木施工システム工学3級〃株 土木エンジニアリングカンパニー太陽工業4級京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻地盤力学研究室京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 ジオマネジメント工学講座ジオフロントシステム工学分野関西大学地盤環境工学研究室(楠見研究室)〃〃〃4級3級4級4級4級〃大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻社会基盤工学部門地盤工学領域4級〃京都大学防災研究所地盤災害研究部門・地盤防災解析研究分野4級株 東畑建築事務所4級株 古川コンサルタント4級2級〃中国〃〃株 森本組広島支店株西部技術コンサルタント〃株宇部興産コンサルタント4級4級〃〃株新川センサテクノロジ株 エフ・ケー・シー4級4級計 60444級4級夫樹  〃4級4級哲正見訪〃4級4級村野勝諏国4級4級奥中〃〃中級陸金沢大学理工研究域環境デザイン学系准教授岩名 ・ 等北海道技術顧問相談役〃員北株 復建技術コンサルタント北会会員地盤工学会誌,―() 学会の動き表―. 再表彰特別会員所属支部北海道会 員.株札建工業4級4級〃〃株ニチゴ産業〃株 北海道ソイルリサーチ4級4級株 札幌支店日特建設東北株東邦技術4級関東株オリエンタル白石中〃株大林道路4級4級〃〃株日建コンサルタンツ株 不動テトラ地盤事業本部4級特級〃株 IHI〃〃〃株ニッケンキソコンサルタント株パスキン工業株ヒロセ4級4級〃株住友大阪セメント部中株 名古屋支店五洋建設株 中部支店興亜開発〃株冨士開発4級株 大林組特級〃西株 熊谷組関西支店〃〃〃株播磨地質開発株 関西支店日本基礎技術株阪神高速道路4級4級〃株 大阪支店国土防災技術〃株 淺川組〃株 かんこう〃株ケイコン4級4級〃〃株サンスイコンサルタント株綜合計測4級4級国国〃〃九2級〃〃〃四4級4級2級4級関州4級4級3級4級株 中国支店鹿島建設4級4級協 岡山県土質試験センター株中国高圧コンクリート工業4級株 四国支店鹿島建設4級4級株 四国支社復建調査設計株 四電技術コンサルタント4級福岡北九州高速道路公社3級4級〃〃株 九州支社応用地質株 九州地質コンサルタント〃株タナベ環境工学4級4級〃〃株 ダイヤコンサルタント九州支社株 双葉工務店4級4級計 40特別会員の表彰名 ・ 等 級会員地盤工学会は,特別会員の永年にわたる学会支援活動に対し,感謝の意を表するために特別会員の表彰を行っている。平成 27 年度,表彰基準に新たに該当した特別会員は表―.に示す60機関である。また,平成17年度より,前回表彰後,特別会員としてさらに所定の期間継続している会員に対して,再表彰を行っている。今年度,その再表彰の対象は表―.に示す40機関である。特別会員の所属する支部総会で表彰された。.学会賞以外の一般表彰および支部表彰本部の一般表彰と支部表彰は,下記のとおりである。1)事業企画賞(事業部)4 件(表―)2)「地盤工学会誌」年間最優秀賞(会誌部)1 件,年間優秀賞2 件(表―)3)地盤工学研究発表会優秀論文発表者賞(調査・研究 部 ) 149 件 。 受 賞 業 績 及 び 受 賞 者 の 詳 細 は HP( https://www.jiban.or.jp/images/happyou.pdf)に掲載するとともに,第 58 回通常総会(平成 28 年 6 月 8日開催)議案書に受賞者一覧を掲載した。4)国際会議若手優秀論文賞(国際部)7 件(表―)5)永年にわたる正会員への感謝状贈呈(会員・支部部)33件(表―)6)支部賞等74件(表―)支部賞は各支部総会で表彰され,一般表彰のうち上記の 1),2),4)の各賞は通常総会で表彰された。.地盤工学会出版賞の創設平成 28 年度から,地盤工学会「出版賞」を新たに創設し候補者の募集を行う事となった。詳細は学会ホームページ等に掲載するが,地盤工学の発展あるいは普及に貢献した出版物を対象としたものである。応募に関しては地盤工学会出版物を除く地盤に関わる内容を記述した書籍としている。こちらも積極的な応募を望むものである。(原稿受理August, 20162016.6.15)45 学会の動き表―賞の区分受賞業績事業企画賞(第18回)名受Soils and Foundations の国際展開村上第49回地盤工学研究発表会「サロン・土・カフェ W」事業賞者名章(京都大学)会員・支部部男女共同参画・ダイバーシティ委員会代表者田中真弓,熊野直子関東支部事業企画賞関東支部会員サービスグループ地盤工学会関東支部設立10周年記念行事「地盤工学 PR コンテス (重村智,鈴木 亮彦,荒井ト」科学体験教室~これで君も地盤博士だ暮らしを支える身近 立石な“地盤”の世界を覗いてみよう~成田亮,田中剛,槌谷郁岳,亀井勝之,堀秀一,佐々木隆光,智仁,三上中部支部地盤工学会中部支部・シニア会員継続 WG各務原台地における「熱田上部層(鵜沼面,鳥居松面)と鵜沼宿」(委員長 渋木 雅良,坪井 英夫,白木 敏和,中道見学会藤田計4武子,恵祐,長谷川圭介)学,坪田邦治,中野正樹,成瀬育夫,文宏)件表― 「地盤工学会誌」年間最優秀賞,優秀賞賞の区分受賞業績名/業績発表文献受年間 「地盤工学における信頼性設計法に関する研究の展開と課題」/平本城最 優 秀 賞 成27年 5 月号掲載(総説)年優秀「放射性廃棄物処分に対する地盤工学の役割」/平成27年 6 月号掲小峯間 載(総説)賞 「災害廃棄物の特性を考慮した土質試験法の検討」/平成27年 1 月 藤川号掲載(報告)今西計表―賞の区分3賞者名賞者名勇介(岐阜大学)秀雄(早稲田大学)拓朗(福岡大学)肇(東北工業大学)件国際会議若手優秀論文賞受賞業績名/業績発表文献受Practical application of mitigation measures for existing underground lifelines subjected to liquefaction大坪正英(東京大学)Mechanical characteristics and localized deformation of Methane梶山慎太郎(山口大学)Hydratebearing sand using high pressure plane strain shear testsPlane strain compression behaviour and localization of deforma加藤tion of MHbearing sand国際会議若手優秀論 文 賞EŠect of shaft rotation of driven spiral piles on vertical bearingcapacityEvaluation of rainfall induced slope failure in tumulus mounds andconservation of the damaged tumuliInvestigation of pile group eŠect subjected to in‰uence of pile arrangement and pile stiŠnessSuŠusioninduced change in spatial distribution of ˆne fraction inembankment subjected to steady and unsteady seepage ‰owStrength evaluation of solid waste material included various ˆbrous materials計8晃(山口大学)佐藤宇紘(熊本大学)澤田茉伊(京都大学)寺本俊太郎(京都大学)堀越一輝(東京工業大学)宮本慎太郎(九州大学)件(注受賞者の所属は応募当時)46地盤工学会誌,―() 学会の動き表―永年にわたる正会員への感謝状贈呈所属支部会員氏名北海道出口博正藤原壽美東北中村拓造渡辺豊彦関東上野孝之大野睦雄大橋美知子加藤哲治小泉修河野英一佐々木反田伸夫高橋朋和高橋行茂中尾忠彦中山淳廣谷彰彦松田横川巖米森三次郎佐々木秀樹土谷忠温早川清前田祐次森泉健二平塚桝本治泰関西伊藤孝肖四国中村和弘九州味澤泰夫海外石橋勲強一表―賞の区分受賞業績猛笹原城六吉武松本徳久支部賞等名受賞者名【北海道支部】泥炭地盤上盛土の地震時液状化とその対策に関する検討支部賞細粒分含有率を変化させた地盤材料の締固め及び力学特性に関す正彦((国研)土木研究所寒地土木研究所)株 大林組)久典(三鍋佑季(北見工業大学)三木拓也(北海道大学)締固め条件の違いが火山灰質盛土の耐波性能に及ぼす影響古舘聖斗(室蘭工業大学)不飽和鉄道バラストの強度変形特性に及ぼす細粒分の影響評価福真治(北海道大学)る基礎的検討Isotache 則を用いた泥炭地盤表層における長期沈下解析支 部 賞(学生部門)山木放水路蓋渠工事における斜め土留め工法の適用事例―石狩湾新港岡崎発電所 1 号機新設工事のうち土木本工事(第 2 工区)工事報告―大型振動台模型実験を用いた杭基礎一体型鋼管集成橋脚構造の地赤塚大二郎(北海道大学)震時応答特性に関する考察【東北支部】支 部 賞(最優秀賞)山形盆地に堆積する泥炭性軟弱地盤における試験盛土施工大泉隆是(東北地方整備局山形河川国道事務所)須藤高坂隆之(東北地方整備局山形河川国道事務所)株 ダイヤコンサルタント東北支社)敏明(佐藤竹屋株 ダイヤコンサルタント東北支社)春夫(株)直和(渋谷建設株)藤原 聖一(奥山ボーリング株 ネクスコ・メンテナンス東北)水嶋 清光(集水ボーリングにおける簡易掘削システムの開発株 東北支社秋田管理事務所)太田徹(東日本高速道路株 ネクスコ・エンジニアリング東北)澤野 幸輝(株)藤原 直哉(奥山ボーリング株)小松 順一(奥山ボーリング渡辺常磐自動車道鳥屋山トンネルの路面隆起の発生から対策完了まで支部賞の取り組み東北地方太平洋沖地震に伴う災害復旧( JR 常磐線復旧)(小土かぶり,未固結地山における NATM 工法によるトンネル工事)胆沢ダム貯水池内の地すべり監視業務について安田株)東(東日本高速道路株)剛一(東日本高速道路株 ネクスコ・エンジニアリング東北)賢哉(須山株 大林組)恭三(佐藤株)直輝(東日本高速道路畠山木下株 東北工事事務所)良介(東日本旅客鉄道伊藤株 東北工事事務所)雄太(東日本旅客鉄道鈴木株 東北工事事務所)隆裕(東日本旅客鉄道仙石株 東北支社)昭栄(応用地質境株 盛岡支店)正樹(応用地質株 新潟支店)久木原峯隆(応用地質【北陸支部】技術開発賞北陸地盤情報システムの開発北陸地盤情報活用協議会奨地盤改良材の開発島本励賞August, 2016由麻47 学会の動き賞の区分受賞業績名受賞者名【関東支部】脈状地盤改良による液状化対策工法の改良効果の一考察和博(横浜国立大学)粘性土の浸食脆弱性と塑性指数の関係性の推察関口敬介(早稲田大学)笹岡里衣(中央大学大学院)新井逸郎(東京大学大学院)関係スレーキング指数の低い泥岩礫質土のせん断クリープ変位に及ぼす乾湿繰り返しの影響BEHAVIOR OF GYPSUM MIXED SAND UNDER UNCONFINED MONOTONIC AND CYCLIC LOADING CONDITIONSZain MAQSOOD(東京大学大学院)シリカ微粒子の浸透性に関する検討上村健太郎(東京都市大学大学院)粒状体層中の微粒子の間隙落下挙動加賀美岳志(筑波大学)滑走路舗装における劣化予測モデルの構築秋元前橋台地周辺の泥流堆積物の分布特性と液状化強度中島粒径の異なる貝殻を用いたキャピラリーバリアにおけるカルシウムスケールへの影響粗粒材と粘性土で構成される覆土式遮水構造の設計に向けたメスシリンダー法によるベントナイトの浸潤・膨潤特性の簡易評価優秀発表賞株)弘二(東日本旅客鉄道液状化による道路沈下量の計測値と液状化指数の関係に基づく新梶原たな液状化ハザードマップの構築三軸 BE 試験による室内再構成試料の液状化強度と S 波速度の優秀発表賞水野宏仁(東京都市大学大学院)航(群馬大学)鈴木ひかり(茨城大学)尾崎匠(早稲田大学)地盤振動に関する既存の予測式の検討杉浦安奈(中央大学大学院)小型循環水路による防潮堤模型の耐越流特性の検討深津圭佑(東京理科大学大学院)ウォータージェットとセメントミルクジェットを併用したバイブ森安ロハンマ工法における鋼管杭先端根固めの築造性に関する検討節付き地中連続壁を用いた立坑の盤ぶくれ抵抗光森小型 FWD を用いた簡易アスファルト舗装の構造評価手法に関す牛田る研究我が国の自然災害に対するリスク指標 Gross National Safety fornatural disasters(GNS)の開発道路・宅地一体の液状化対策としての格子状地盤改良工法の実現可能性検討首都高速道路中央環状新宿線大橋地区本線接続工事の設計・施工下野株)俊介(新日鐵住金株 大林組)章(将太(早稲田大学)勘智(横浜国立大学)株 竹中工務店,株 竹中土木株 ,鹿島建設株 ,飛島建設株首都高速道路支部技術賞気泡ボーリング工法である IFCS 工法の開発と実用化公共施設と宅地の一体的な液状化対策としての推進工法による地下水位低下工法の開発地盤工学会各種委員会への長年にわたる参画と地盤調査の技術向上ならびに普及活動,若手育成への取り組み株中央開発橋本株 千代田コンサルタント)隆雄(清水森口敏孝(ガイアモール工法協会)剛(ガイアモール工法協会)株)黒田真一郎(中央開発文化遺産遺跡の調査・修復復元への地盤工学の適用田中新谷市民向け宅地診断及び地盤学習を通じた防災啓蒙活動(一社)関東地質調査業協会(一社)東京都地質調査業協会栃木県グループの創設と活動活性化への貢献喜内支部功績賞邦煕((公財)日本城郭協会)洋二(東京大学名誉教授)株)敏夫(芙蓉地質【中部支部】績賞論文賞「高速載荷下における土を用いた緩衝材の載荷速度依存性に着目内藤した耐衝撃挙動」直人(名古屋工業大学大学院)技術賞「林地残材などの未利用木質破砕材を活用した新しい木質舗装の吉村開発とその評価」優治(岐阜工業高等専門学校)48支部活動に対する功績「平成26年11月長野県北部を震源とする地震」功災害調査団代表信州大学梅崎建夫・河村隆地盤工学会誌,―() 学会の動き賞の区分受賞業績名受賞者名【関西支部】神戸市建設局社会貢献賞神戸市道垂水妙法寺玉坂トンネル上部盛土における既設道路盛土の地山・盛土補強土工法による耐震補強株 大阪支社復建調査設計神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻地盤安全工学分野株 複合技術研究所株 西日本支社ライト工業平井学術賞株 ニュージェック)俊之(堤株 ニュージェック)杏紗(大阪地域の表層地盤モデルを用いた揺れやすさマップの作成大島濱田昭彦(大阪市立大学大学院)晃之((一財)地域地盤環境研究所)生物接触ろ過法を利用した自然由来の重金属汚染地下水の浄化小河新井学術奨励賞株)瞬(西日本旅客鉄道株 奥村組)篤史(【中国支部】濱沖2014 年 8 月広島豪雨災害におけるリニアメントに着目した土石中本流発生メカニズムの推定中田地盤工学セミナー報告広島市安佐南区および安佐北区の土石流発生頻度賞素之(山口大学大学院理工学研究科)椿原松木京子(山口大学大学院理工学研究科)株)宏彰(復建調査設計論文賞メタンハイドレートを含む砂の力学特性に及ぼす細粒分の影響株)洋(復建調査設計小笠原松原株)輝明(復建調査設計阪口株)和之(アジア航測伊達舞立伊藤「地盤と建設」幸男(山口大学大学院理工学研究科)鈴木藤村津波堆積物調査における簡易サンプリング方法株)俊史(西日本高速道路エンジニアリング中国株)昌希(西日本高速道路エンジニアリング中国尚(山陰津波堆積物調査研究会)株 ウエスコ)裕樹(株 アサヒコンサルタント)剛志(株)徹(サンイン技術コンサルタント中島兵動吉本晃司(山口大学大学院理工学研究科)正幸(山口大学大学院理工学研究科)憲正(山口大学大学院理工学研究科)中田幸男(山口大学大学院理工学研究科)【四国支部】優秀発表者支部賞(技術開発賞)支部賞(研究・論文賞)住宅密集地における住宅と地盤の常時微動観測石川諒(高知大学大学院)津波堆積物分別の木くず混入量が一面せん断強さに及ぼす影響多田有汰(香川高等専門学校)強アルカリ水の影響を受けた花崗岩不連続面の組成分析前田健太(愛媛大学大学院)液状化解析における熟練度の影響中島株 地研)昇(柔な受圧板の支圧抵抗を模した表面基礎の支持力特性角野充(香川高等専門学校)株)スウェーデン式サウンディング試験機を用いたサンプラー“SSJ” 木戸 崇之(ハイスピードコーポレーション株)の開発山内 聖児(ハイスピードコーポレーション強アルカリ溶液が花崗岩不連続面の透水特性に及ぼす影響August, 2016前田健太(愛媛大学大学院)安原木下英明(愛媛大学理工学研究科)尚樹(愛媛大学理工学研究科)49 学会の動き賞の区分受賞業績名受賞者名【九州支部】盛土のり面の管理手法の提案に向けた非破壊試験装置の改良とその検証衛(九州大学大学院工学府建設システム工学専攻)実験と不連続変形法を用いた地震による極端運動のメカニズムに松村関する検討賢(九州大学大学院工学府建設システム工学専攻)浚渫土砂インターロッキングブロックの材料特性と荷重伝搬特性 堂本佳世(九州大学大学院工学府建設システム工学専攻)期安定化に関する研究小楠日高エージング実証実験による焼却主灰の土木資材化に関する研究平川裕也(福岡大学大学院工学研究科建設工学専攻)富松太寛(九州産業大学工学部都市基盤デザイン工学科)田中文也(佐賀大学理工学部都市工学科)用の検討鋭敏性・圧縮性の視点に基づく多久佐賀道路地盤の地域的性質に関する研究亮(九州工業大学大学院工学府建設社会工学専攻)過去の災害情報に基づく佐賀県における土砂災害の特徴について 渡邊純希砂質系材料をフィラーとしたジオポリマーの強度特性について英佑(佐賀大学大学院農学研究科)八谷文也(佐賀大学理工学部都市工学科)岩の postfailure 挙動の拘束圧効果に関する研究呉学震(長崎大学大学院工学研究科)堆積廃棄物地盤の現場強度の評価法田中栄一(長崎大学大学院工学研究科)火山灰土における塩吸着メカニズムのモデル化北村涼馬(長崎大学環境科学部)施工法に優れた鋼矢板工の提案に関する研究古賀快尚(熊本大学大学院自然科学研究科)砂の不飽和浸透特性の解明とその CT 画像解析手法の有効性の評価に関する研究塩田絵里加(熊本大学大学院自然科学研究科)ネパールの組積造構造物におけるレトロフィッティング手法の提岩崎案50裕也(九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻)種々のスパイラル杭の構造物沈下抑制効果に関する振動台実験花崗岩破砕処理により発生する泥土の脱水固化処理による有効利(優良学生賞)将真(九州大学工学部地球環境工学科)低コストと低炭素材料を用いた構造物の繰返し荷重下の定量評価 鈴木一般廃棄物焼却灰からの細粒子区分の除去による海面処分場の早支部学生賞藤原竜馬(琉球大学工学部環境建設工学科)地盤工学会誌,―()
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  • タイトル
  • 地盤工学会地盤環境賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 51〜51
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71974
  • 内容
  • 地盤工学会地盤環境賞を受賞して沼田淳株飛島建設水谷羊株兼松日産農林紀(ぬまた技術研究所三あつのり)主席研究員介(みずたに田ようすけ)浩株昭和マテリアル滋(みわ三村佳株兼松日産農林明(いけだしげる)執行役員株飛島建設取締役ジオテック事業部統轄池輪織(みむらかおり)ジオテック事業部技術部ひろあき)札幌営業所技術営業担当課長代理. は じ め にこの度は,「丸太打設液状化対策カーボンストック工法( LP LiC 工法)―丸太打設による液状化対策と地球温暖化緩和策―」に対し,地盤工学会より名誉ある地盤環境賞を賜り,身に余る光栄でございます。ここに至るまで,多くの皆様方に御指導,御支援,御協力をいた図―LPLiC 工法による液状化対策原理だきました。あらためまして,関係各位に厚く御礼申し上げます。LPLiC 工法は,丸太を緩い砂地盤に圧入することで液状化対策と同時に炭素貯蔵を行い,地球温暖化緩和にも貢献するものです。以下に,その概要を示します。.丸太打設による液状化対策本工法は,図―に示すように,緩い砂地盤に丸太を圧入することで,丸太の体積分砂地盤を密実にします。液状化が発生するような地盤は,地下水位が浅いのが特徴です。水中では酸素がないので,腐朽菌やシロアリは生きることができず,木材がこれらによって生物劣化を起こすことはありません。図―経過年数と木材による炭素貯蔵量施工面では,事前に鋼管を無排土で先行回転圧入し,その後丸太を静的に圧入するので,低騒音,低振動で,本工法では,丸太は基本的に液状化の発生する地下水建設残土を発生しません。また,10 t 程度の小型重機に位以深に打設するので,半永久的に健全性を保ちます。よる施工も可能で,施工による地盤変位もほとんど発生地中に炭素を固定した丸太が増えれば,結果的に大気中しないことから,近接施工や市街地での施工が可能です。の二酸化炭素を削減したこととなります。本工法は,液.丸太打設による炭素貯蔵樹木は,光合成により大気中から二酸化炭素を吸収し炭素を樹木として固定し,酸素を排出します。したがって,樹木の成長は大気中からの温室効果ガス削減となり状化対策の材料に丸太を用いることで,地中に新たな森林を作り,炭素を貯蔵します。.おわりに今後,巨大地震や直下型地震が想定され,これによっます。図―に示すように,森林から伐り出した丸太も,て広い範囲で発生すると考えられる液状化や,地球規模燃焼や劣化をさせず,長期的に木材として利用しているで深刻になっている地球温暖化は,少しでもその被害や限り,炭素を固定し続けます。樹木を伐採し,新たに植影響を低減さなければならない喫緊の課題です。本工法林すれば,新しい樹木が大気中から二酸化炭素を吸収すが,これらに少しでも役立つことができればと願います。るので,さらに大気中から二酸化炭素を削減できます。August, 201651
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  • タイトル
  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 52〜52
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71975
  • 内容
  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して仙台市(せんだいし)飛田善雄(とびたよしお)仙台市宅地保全審議会 前会長(東北学院大学 教授)佐藤真吾(さとう三しんご)嶋株 復建技術コンサルタント 部長門田浩一(かどた株パシフィックコンサルタンツ昭二(みしま株応用地質ひろかず)小原副部長しょうじ)上級専門職亙(おばら株 センシン技術わたる)技師長委員会において,調査結果の確認,基本的な対策工法の検討を行いました。.. は じ め にプロジェクトの概要仙台市の大規模宅地被害に対して,造成宅地滑動崩落緊急対策事業が創設され,本プロジェクトがスタートしこのたび,「2011年東北地方太平洋沖地震により被災ました。図―にプロジェクトの概要を示しています。した仙台市の造成宅地の調査・復旧対策設計プロジェク本プロジェクトでは,地震時外力の決定,すべり面決ト」に対しまして地盤工学会より栄誉ある「技術業績賞」定のための地盤探査技術の適用,静的震度法による地震をいただき,誠に光栄に存じます。時安定計算結果の数値解析による検証などの技術的検討本プロジェクトの受賞理由は以下のとおりです。「官を行いながら,広範な被害に対応するための調査・設学民が一体となり,造成宅地における滑動崩落現象の発計・対策工法決定の基本的手順の標準化を行いました。生要因の調査・分析,調査・設計方法に対するガイドラまた,個人の財産である宅地を対象とするために,きインの作成を行うだけでなく,対象となる地域の住民のわめて難しい対応が必要で,対策工法の選定に対しても,意見・要望を収集し,住民の合意形成の一助となった。個人宅地は制約が大きかったといえます。また,これらの活動は,被災地の復興に大きく貢献し,宅地被災の複雑性を住民に理解してもらうことも大事かつ,地盤工学の進展に大きく寄与しているといえる。な要素となります。このため,関係者を交えた市民とのさらに,得られた成果は国の宅地耐震化推進事業の新た情報交換を目的として,シンポジウムを 3 回開催しまな技術指針に取り入れられ,今後の宅地の安全性向上にした。市民からの様々な疑問に応えるために,説明側と寄与することも期待される」して,仙台市職員と地盤工学会会員ばかりでなく,日本.造成宅地の被害状況と基本的検討東北地方太平洋沖地震では,仙台市内において,160地すべり学会,宮城県建築士会,仙台弁護士会など,多くの方々の参加をいただきました。被災者の方より好意的な評価が得られました。地区に亘り約 5 700箇所で甚大な宅地被害が発生しまし技術的検討,住民との情報交換,どちらも整然と行えた(写真―)。被害形態は多岐に亘りますが,その被たわけではなく,試行錯誤の連続でした。ご支援をいた害形態を分類し,被害が顕著であった 17 地区を対象に,だいた関係者に厚く御礼申し上げます。1978 年宮城県沖地震での宅地被害対策のために仙台市に設置された宅地保全審議会内に設置した技術専門写真―52造成宅地の被害例図―プロジェクトの概要地盤工学会誌,―()
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  • タイトル
  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 53〜53
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71976
  • 内容
  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して新谷洋二(にいたにようじ)田中東京大学名誉教授. は じ め に邦煕(たなか日本城郭協会くにひろ)理事えない。もたれ擁壁設計法の転倒・滑動・地盤支持力の 3 条このたび「文化財城郭石垣の修復復元に当たっての多件を満足し,示力線が石垣断面内に収まりかつ引張り力様な意見調整と地盤工学的解析結果の導入」に対し地盤が生じず,さらに石垣断面を含む斜面の円弧安全率が確工学会より栄誉ある「技術業績賞」をいただき,誠に光保されるという 6 条件で検討する手法は理解しやすい栄に存じます。が,土圧計算法や石垣断面の物性値設定などに疑問が残本業績は,城郭石垣の修復復元において,耐震性向上る。のために地盤工学的定量的解析結果を導入し,文化財の最近は FEM (有限要素法)・ DEM (個別要素法)・保護,都市再開発のバランス等にも考慮した修復を行っDDA(不連続変形法)・SPH(粒子法)などによる数値たものである。最近地震多発に伴い多くの城郭石垣が大解析が盛んに試みられている。しかしソフトのアルゴリきな損傷を受けているが,修復復元が行われるとき,地ズムが積み石相互間で全く異なる接触状況を示す変形や盤工学的知見が反映されることは少なく,発掘調査など応力条件などを表現できているか疑問であり,かつ採用で明らかになった通りに復元することが重視され,修復する境界条件や定数の設定根拠などが正確に説明できな箇所が崩落を繰り返したことも多い。本業績では石垣修い。今後の研究に待たなくてはならない。復に当たり,もたれ擁壁設計法を適用することで石垣の安定を検討し,置換・安定処理・補強材などを用いて修復を行ったが,その実施においては多様な意見の調整を行い,文化財の保護と都市再開発の観点にも配慮した。.石垣の安定解析. 石垣の安定条件城石垣は断面中に鉄筋もコンクリートも無いのに,独.修復復元工事例. 駿府城二の丸堀石垣伝統技術を尊重しつつも歴史的雰囲気などを損なうことの無いように修復しかつ工学的解析などで判明した技術などを導入し,より安定性を向上させることを基本理念とした。. 江戸城常盤門石垣立した石塊を間詰め石などを介して,積み石相互間は複使用石材の一部は江戸期のものであったが,石垣基礎雑な接触条件で全体が一体となるように積み上げて400構造や背面構造が現代工法で改変されたことが確認され,年以上安定している。この時石垣断面内では背面からのそれらを考慮して「平成の修復」として新技術も導入し土圧などにより引張り応力が作用することは許されず,た。圧縮応力のみが作用し,アーチ的効果により安定するこ. 江戸城牛込門石垣とを期待する。発掘調査や文献調査から,江戸期の数回の地震のたび崩落した石垣の裏込め部を観察すると,河原の角の取に改修され,明治以降もかなり粗雑な施工がなされたこれた玉石を用いる方が地下排水に好ましいと考えられ,とが明らかにされ,「平成の修復」として大掛かりな修玉石が多用されている。しかし河原石は震動により容易復を行った。に移動し,石垣断面に作用する土圧が増加するので好ましくない。粒度調整された砕石などで置換しよく締め固.おわりにめる方が土圧低減に好ましい。その他安定処理や補強材今回は過去に関与した萩城・金沢城・仙台城・江戸などの必要性も検討して併用した。このような地盤工学城・駿府城などの多くの実績を報告できないが,城石垣的検討結果などを文系の関係者などの理解が得られるよ以外の文化財の修復復元などに当たっても,地盤工学会うに粘り強く交渉して実施してきた事例を報告する。としてより積極的な関わりが期待される。. 石垣安定解析石垣の安定解析法には,オーソライズされた方法はまだ無い。現存石垣の安定解析には,現地調査結果に基づく「石垣構造比」による手法などがあるが,背面状況や石積み状況などが考慮されていないので,理論的とは言August, 2016参1)考文献田中邦煕・後藤宏樹・大石博之城石垣の修復工事例―駿府城・江戸城常盤門と牛込門石垣,地盤工学会誌,Vol. 62, No. 4, pp. 22~25, 2014.53
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  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 54〜54
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71977
  • 内容
  • 地盤工学会技術業績賞を受賞して田嶋仁株首都高速道路志(たじま技術部森ひとし)土木技術担当部長山株鹿島建設下口株鹿島建設善幸(やました東京土木支店土木部敏美(もりぐち東京土木支店土木部まさみ)土木工事部長よしゆき)生産計画第一 G次長. は じ め にこのたび,「地盤特性を考慮した斬新な施工法を適用した大断面シールドトンネルの分合流部構築技術(五反田出入口)」に対しまして,地盤工学会より名誉ある「技術業績賞」をいただき,誠に光栄に存じます。本業績は,首都高速中央環状線のうち最後の建設区間である中央環状品川線の五反田出入口の建設工事に適用した施図―中央環状品川線(五反田出入口)の概要工技術に対していただいたものであります。施工中には幾多の困難がありましたが,関係者の皆様のご協力のもと,平成27年 3 月に開通を迎えることが出来ました。.五反田出入口工事の概要中央環状品川線は,都道環状六号線(山手通り)と目黒川の地下を通るトンネル構造としてシールド工法により建設しました。このうち五反田出入口は品川線のほぼ図―パイプルーフアーチ工法図―トンネル間導坑掘削中間に位置する本線トンネルと地上部の山手通りをアクセスするセンターランプ式の出入口構造であります(図支保効果とアーチ脚部の地盤( Kc 層)支持力評価によ―)。本線との分岐合流拡幅部では,併設して構築さり,仮設支保工を省略して広い内部施工空間を確保し,れた 2 本の本線シールドトンネル間の地山を掘削し,施工性,安全性,及び躯体品質を向上させました。シールドセグメントと一体化した拡幅部躯体を構築するシールドトンネル切開き工法を用いて構築しました。トンネル間導坑掘削による上下同時掘削現地の地盤特性( Kc 層)を活かし,トンネル間掘削五反田出入口の建設工事は,交通量が非常に多い山手時にトンネル覆工を土留めとし,トンネル間の中間地山通り直下での工事であり,大型地下埋設物(下水幹線)を残して上部のパイプルーフ掘削と下部の導坑掘削を並や重交通の交差点を含む区間において,地上の道路交通行して施工する上下同時掘削を実現しました(図―)。を確保しながらトンネル工事を行う厳しい施工条件であるため,周辺への影響を最小限にし,かつ効率的な施工東京礫層( Tog 層)に対してアーチ状に地盤改良体方法が求められました。.五反田出入口工事に適用した施工技術地盤改良を用いた非開削工法を造成し,その地盤改良体のアーチ支保効果に期待して内部を先行掘削する非開削工法を実現しました。小型グラウンドアンカー台座の開発五反田出入口の施工においては,現地の地盤条件を活グラウンドアンカー台座を腹起しと一体化させ,定着かした下記の施工技術の適用により,大断面シールドト盤を円筒にすることで,従来型より突出長を 70 に低ンネルの切開き工法を安全かつ合理的に施工し,高品質減したアンカー台座を開発・適用しました。この技術はな分岐合流部躯体を構築するとともに,工事工程の大幅アンカー適用範囲を広げるほか,躯体と土留めの離隔をな短縮を実現しました。小さく出来るため,掘削土量の低減にも寄与します。パイプルーフアーチ工法による非開削施工従来の非開削工法では上部荷重を支える仮設支保工を設置するため内部施工空間が狭隘となり,施工条件が厳これらの技術により,五反田出入口工事の工期短縮を実現し,品川線の早期開通,整備効果(渋滞緩和,定時性向上等)の早期発現と環境負荷低減に貢献しています。しくなるほか,仮設部材が躯体に埋設されることになります。新たに開発したパイプルーフアーチ工法(図―)謝辞本業績について多大なるお力添えとご助言,ご指はアーチ状に配置したパイプルーフ構造体によるアーチ導を頂いた関係者の皆様に謹んで感謝の意を表します。54地盤工学会誌,―()
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  • 地盤工学会技術開発賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 55〜55
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71978
  • 内容
  • 地盤工学会技術開発賞を受賞して加森納敏としゆき)浜株 大林組田黒晃田司(もりたこうじ)生産技術本部 技術第二部技術第一課 課長祐樹(やまだゆうき)川技術本部 技術研究所地盤技術研究部 課長五十嵐寛昌(いがらし株鹿島建設技術研究所野彦(くの株元清水建設達土木技術本部ひろまさ)たつひこ)担当部長井正株大成建設吉村株 熊谷組くにひこ)技術第二部夫(くろいわ部長まさお)技術本部 エンジニアリング本部環境技術第二部 部長本尻彦(はまい生産技術本部卓株 大林組副所長基盤技術部邦岩株 大林組株 大林組久井元(一財)先端建設技術センター常任参与 兼 企画部長株 大林組山行(かのう人(かわもとたくと)生産技術本部 技術第二部技術第一課 主任裕二(いじり原子力本部丈ゆうじ)原子力技術第三部長晴(よしむら土木事業本部たけはる)環境事業部担当課長この度,「がれき残渣の有効活用によるアップサイクルブロックの開発」に対し,地盤工学会技術開発賞を授与いただき,深く御礼を申し上げます。アップサイクルブロック(以下,本ブロック)は,自然災害に伴って発生した災害廃棄物のうち,破砕,選別等のプロセスを経てもなお最後に残る選別残渣,すなわち最終処分場に廃棄するしかない不燃混合廃棄物(これを,がれき残渣(写真―)と称する)とセメントペー写真―がれき残渣の一例ストを混練してブロック化した盛土の中詰め材です。最終処分場に廃棄すべきがれき残渣を,復興事業のために有効活用することから,既設処分場の残存容量の負担軽減に寄与します。同時に,復興事業に必要な盛土材の不足を補うことができます。東日本大震災発生後間もない 2011 年 6 月,本ブロックの開発に着手しました。広く普及させ,復興を後押し株 大林組,鹿するために(一財)先端建設技術センター,株 ,大成建設株 ,清水建設株 ,株 熊谷組の 6 者島建設共同で開発を推進し, 2012 年 1 月,国土交通省の研究開発助成事業に採択されました。写真―アップサイクルブロックとコアサンプル本ブロックを盛土の中詰め材として活用するにあたり,強度・耐久性・安全性を担保することが極めて重要でしした。同処理区のがれき残渣は約20 000 t で,これを全た。強度については,がれき残渣の組成や粒度分布によて活用して 200 個/日のペースで製造し,わずか 4 ヵ月ら ず 1N / mm2 以上の 圧縮強 度を確保で きるセ メント間に合計19 200個ものブロックを量産しました(写真―ペーストの配合を選定しました。また,温度変化や乾燥)。湿潤の繰り返しを与えた促進試験を行い,ブロックが十分な耐久性を有することを確認しています。さらに,人為的に重金属等を添加した模擬汚染がれきを用いて作製これらは亘理町の復興事業において避難用高台の盛土材の一部として活用されています。亘理処理区の実績とブロックの性能が評価され,したブロックの溶出試験を行い,重金属等の溶出抑制効2014 年 2 月には,(一財)国土技術研究センターより,果を有することも確認しています。技術審査証明を取得しました。これら,幾度にわたる試験や,有識者との議論を経て,2013 年 7 月には品質管理マニュアルと設計・施工マニュアルをまとめることができました。2013 年 8 月には,宮城県の災害廃棄物処理業務(亘当技術は,発生が危惧されている東南海地震,首都直下地震等においても,その活用が期待されます。最後に,本技術の開発に関わっていただきましたすべての関係者のみなさまに,深甚なる謝意を表します。理名取ブロック(亘理処理区))で当技術が採用されまAugust, 201655
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  • 地盤工学会研究業績賞を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 56〜56
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71979
  • 内容
  • 地盤工学会研究業績賞を受賞して宮田喜壽(みやた防衛大学校よしひさ)教授物の変形・損傷を予測する解析法に関しては,変形解析のためのパラメータ同定法と,応用力学分野で確立されこのたび,栄えある地盤工学会研究業績賞を賜りました粒子離散化有限要素法(Hori et al.: Journal of theた。まことに身に余る光栄であり,心よりお礼申し上げMechanics and Physics of Soils, 2005.)を補強土構造物ます。受賞の対象となりました業績は「補強土構造物のの解析に拡張する研究を行いました。前者に関しては,性能設計に関する研究」です。補強材に生じる引張力や壁面変形のモニタリング結果をこの研究を行ううえで,私は非常に幸運だったと思い活用してパラメータを同定する方法を確立することがでます。補強土に関する国際シンポジウム IS Kyushuき,後者に関しては,補強土と土質改良の併用技術の性( 1992年, 1996年, 2001年, 2007 年)や ISSMGE にお能評価を通して,開発した解析手法の妥当性を検証するける技術委員会 TC 9 の活動( 1998 ~ 2006 )を通しことができました。て,研究に不可欠な「人脈」,「情報」,「刺激」などのす補強土構造物の性能設計については,まだまだ研究がべてを頂くことができたからです。一連の活動の機会を必要です。私自身もまだまだ研鑽が足りないと常々感じ与えてくださり,研究の道筋を示してくださった木暮敬ながら研究を行っています。今後とも会員の皆様のご指二先生(防衛大学校名誉教授),落合英俊先生(九州大導とご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。学名誉教授),大谷順先生(熊本大学教授)に改めて感謝の意を表させていただきます。対象業績は,最近 5 カ年の間に地盤工学会機関誌類参1)で発表させていただいた文献1)~11),その他19編の計30 編の論文になります。補強土構造物の性能設計には,信頼性設計法と変形や損傷レベルを数値計算で予測する2)方法が柱になると考え行った研究の結果をまとめさせていただいたものです。上記業績の共著者の総数は 25 名に及びます。Bathurst 先生(カナダ王立士官学校教授)3)をはじめとする共同研究者の皆様には様々なご指導とご協力を賜りました。この誌面をお借りして厚くお礼を申し上げます。4)明示された要求性能を,旧来の仕様に囚われず,より自由度の高い設計で達成しようとする性能設計には,構造物の挙動を合理的に推定する解析技術が必要になりま5)す。近年になって著しく発展した地盤補強分野においては,その高度化が技術的課題になっていました。一方,6)我が国では,土木研究所や土木研究センターを中心に,帯鋼補強土壁,ジオシンセティックス補強土壁,多数ア7)ンカー補強土壁について,数多くの室内試験と実大実験が実施されていました。そのときのデータを再整理することが課題解決の糸口になると考え,信頼性解析の手法8)を用いて,荷重抵抗係数設計法の概念に適した荷重・抵抗モデルの構築と,適切な部分安全係数について研究を9)行いました。結果的に,各種実大実験をうまく表現できる荷重・抵抗モデルを得ることができ,許容破壊確率と10)部分安全係数の関係を示すことができました。我が国の高精度なデータなくしては不可能な研究で,各種情報を快く提供してくださった皆様には本当に感謝の念に堪えません。11)考文献Miyata, Y., Bathurst, R. J., Otani, Y., Ohta, H., andMiyatake, H.: In‰uence of transient ‰ooding on steelstrip reinforced soil walls, Soils and Foundations, Vol.55, No. 4, pp. 881894, 2015.Yan, Y., Bathurst, R. J. and Miyata, Y.: Numerical analysis of a mechanically stabilized earth wall reinforced withsteel strips, Soils and Foundations, Vol. 55, No. 3, pp.536547, 2015.Bathurst, R. J. and Miyata, Y.: Reliabilitybased analysisof combined installation damage and creep for the tensilerupture limit state of geogrid reinforcement in Japan,Soils and Foundations, Vol. 55, No. 2, pp. 437446, 2015.Miyata, Y., and Bathurst, R. J.: Reliability analysis of geogrid installation damage test data in Japan, Soils andFoundations, Vol. 55, No. 2, pp. 393403, 2015.Miyata, Y., Bathurst, R. J. and Allen, T. M.: Reliabilityanalysis of geogrid creep data in Japan, Soils and Foundations, Vol. 54, No. 4, pp. 608620, 2014.Miyata, Y and Bathurst, R. J.: Reliability analysis of soilgeogrid models in Japan, Soils and Foundations, Vol. 52,No. 4, pp. 620633, 2012.Miyata, Y and Bathurst, R. J.: Analysis and calibration ofdefault steel strip pullout models used in Japan, Soils andFoundations 52, No. 3, pp. 481497, 2012.Miyata, Y and Bathurst, R. J.: Measured and predictedloads in steel strip cq reinforced soil walls in Japan,Soils and Foundations, Vol. 52, No. 1 pp. 117, 2012.Bathurst, R. J., Miyata, Y. and Konami, T.: Limit states design calibration for internal stability of multianchor walls,Soils and Foundations, Vol. 51, No. 6, pp. 10511064, 2011.Miyata, Y., Bathurst, R. J. and Konami, T.: Evaluationof two anchor plate capacity models for MAW systems,Soils and Foundations, Vol. 51, No. 5, pp. 885896, 2011.Miyata, Y., Bathurst, R. J., Konami, T. and Dobashi, K.:In‰uence of transient ‰ooding on multianchor walls,Soils and Foundations, Vol. 50, No. 3, pp. 371382, 2010.性能設計に必要なもうひとつの設計ツールである構造56地盤工学会誌,―()
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  • 地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して(学会の動き)
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.8 No.703
  • ページ
  • 57〜57
  • 発行
  • 2016/08/01
  • 文書ID
  • 71980
  • 内容
  • 地盤工学会論文賞(和文部門)を受賞して富樫陽太(とがし(公財)鉄道総合技術研究所菊ようた)本研究員統(きくもと横浜国立大学谷和夫(たに東京海洋大学まもる)准教授かずお)教授. は じ め にこの度は,論文「三軸試験による岩盤の変形異方性の特定方法」1) に対し論文賞をいただき,身に余る光栄に存じております。当該論文は,等方性材料では見られない三軸試験における異方性材料の変形特性を指摘した著者らの別報2)での検討をもとに,異方性材料に適した条件の新しい三軸試験を 1 回実施することで異方性の構成パラメータを特定する方法を提案したものです。.三軸試験時の異方性材料が示す非三軸性従来,土や岩をはじめとする異方性材料の変形特性は,方向を変えてサンプリングした試料の要素試験を多数回図―三軸試験時の異方性材料と等方性材料の変形実施することで調査されてきましたが,コストや時間の観点から非効率であり,少ない試料数・試験回数で異方性を取得する方法が求められていました。三軸試験での等方性材料と異方性材料の変形の違いは図―のように考えることができます。等方性材料では載荷軸に対称に変形するのに対し,異方性材料では応力とひずみが非共軸であるため,必ずしも軸対称に変形しません。大抵の三軸試験は,供試体の軸対称な変形を想定して実施し,結果が整理されますが,このような想定が異方性材料では必ずしも成立しないことを著者らは「非三軸性」と呼び,軟岩を想定した面内等方弾性の構図―成パラメータを用いて,三軸試験時の異方性岩石の非軸変位計測式キャップを内装した三軸試験対称変形を調べました2)。その結果,異方性岩石の要素としての応答を観察するには供試体の端面摩擦を極力,本論文を評価して頂いた一つの理由ではないかと考えて除去することが好ましいこと,等方圧密時の主ひずみ方います。今後は,現在,実施している幾つかの材料を用向が異方性の方向と共軸になること,非軸対称変形をあいた実験的検証を進めるとともに,重要構造物を対象とえて計測することで合理的に異方剛性を把握できることした地盤調査の現場への適用を検討していく所存です。を指摘しました。この検討をもとに,当該論文では,載荷軸に直角な方向へのスライド機構を持つ低摩擦の変位最後に,本論文をご推薦いただいた横浜国立大学の早野公敏教授に感謝の意を表します。計測式キャップを内装した三軸試験(図―)を提案し,面内等方弾性の構成パラメータを 1 回の試験で特定する方法を開発しました。. お わ り に当該論文では,岩石の変形異方性に着目して異方性の特定方法を論じましたが,著者らは提案手法が岩石以外参考文献1)富樫陽太・菊本 統・谷 和夫三軸試験による岩盤の変形異方性の特定方法,地盤工学ジャーナル, Vol. 10,No. 2, pp. 201~211, 2015.2) 富樫陽太・菊本 統・谷 和夫面内等方弾性を仮定した岩盤が三軸応力下で示す非三軸性,地盤工学ジャーナル,Vol. 9, No. 4, pp. 479~493, 2014.の地盤材料やコンクリート,人工材料など様々な異方性材料にも応用可能な技術と考えており,このことは今回,August, 201657
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