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地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700

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タイトル 表紙
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 発行 2016/05/01 文書ID 71833
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タイトル 本号の編集にあたって(<特集>杭工法の最前線)
著者 與田 敏昭
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ i〜i 発行 2016/05/01 文書ID 71834
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タイトル 目次
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 発行 2016/05/01 文書ID 71835
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タイトル CONTENTS
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 発行 2016/05/01 文書ID 71836
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タイトル 福岡正巳先生のご逝去を悼む
著者 石原 研而
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 発行 2016/05/01 文書ID 71837
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タイトル 英訳化版 室内試験・地盤調査に関する規格・基準(Vol.1)の発刊
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 発行 2016/05/01 文書ID 71838
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タイトル 最近の杭工法の特徴と施工の留意点
著者 桑原 文夫
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 1〜3 発行 2016/05/01 文書ID 71839
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タイトル 杭の支持層確認方法の現状と今後
著者 青木 一二三
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 4〜7 発行 2016/05/01 文書ID 71840
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タイトル 場所打ちコンクリート杭工法の最前線
著者 宮本 和徹
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 8〜11 発行 2016/05/01 文書ID 71841
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タイトル 既製コンクリート杭の支持層確認方法
著者 木谷 好伸
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 12〜15 発行 2016/05/01 文書ID 71842
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タイトル 回転杭の施工・施工管理方法について
著者 日下 裕貴
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 16〜19 発行 2016/05/01 文書ID 71843
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タイトル 高性能バイブロハンマ工法による施工例と支持層確認手法
著者 中居 正樹・下村 修一
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 20〜21 発行 2016/05/01 文書ID 71844
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タイトル 杭を打っても安心ではない! 最近の戸建て住宅の不同沈下事故
著者 大和 眞一
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 22〜25 発行 2016/05/01 文書ID 71845
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タイトル 脈状地盤改良工法による液状化対策
著者 井澤 淳・大西 高明・藤原 寅士良・舘山 勝
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 26〜27 発行 2016/05/01 文書ID 71846
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タイトル 農地地すべり防止施設の長寿命化への取り組み
著者 佐藤 透・備前 信之・長田 実也
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 28〜29 発行 2016/05/01 文書ID 71847
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タイトル R言語を用いた信頼性解析
著者 佐藤 周作
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 30〜31 発行 2016/05/01 文書ID 71848
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タイトル 平成27年度地盤工学会賞受賞者の決定
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 32〜34 発行 2016/05/01 文書ID 71849
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タイトル 平成27年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者の決定
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 35〜35 発行 2016/05/01 文書ID 71850
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タイトル 新規制定の地盤工学会基準案「過酸化水素水による土及び岩石の酸性化可能性試験方法」への意見に対する検討結果の報告
著者 地盤工学会基準部
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 36〜36 発行 2016/05/01 文書ID 71851
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タイトル 地盤工学の「用語」に関するJIS 規格素案への意見に対する検討結果について
著者 地盤工学会基準部
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 37〜37 発行 2016/05/01 文書ID 71852
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タイトル 大型及び中型三軸圧縮試験
著者 古関 潤一
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 38〜39 発行 2016/05/01 文書ID 71853
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タイトル 3. 奈良地域の災害の実態
著者 三田村 宗樹・鳥居 宣之・平井 孝治・鏡原 聖史
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 40〜47 発行 2016/05/01 文書ID 71854
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タイトル 3. 火山活動の基礎知識と噴火の特徴
著者 前野 深・中田 節也
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 48〜55 発行 2016/05/01 文書ID 71855
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タイトル 会告-第6期代議員選挙の結果当選人の決定
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 56〜56 発行 2016/05/01 文書ID 71856
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タイトル 新入会員
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 57〜57 発行 2016/05/01 文書ID 71857
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タイトル 書籍紹介「火山工学入門 応用編」
著者 中村 裕昭
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 57〜57 発行 2016/05/01 文書ID 71858
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タイトル 編集後記
著者 仲山 貴司
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 58〜58 発行 2016/05/01 文書ID 71859
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タイトル 平成27年度役員等
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 58〜58 発行 2016/05/01 文書ID 71860
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タイトル 奥付
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ 58〜58 発行 2016/05/01 文書ID 71861
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タイトル 会告
著者
出版 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
ページ A1〜A5 発行 2016/05/01 文書ID 71862
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  • タイトル
  • 表紙
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71833
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  • タイトル
  • 本号の編集にあたって(<特集>杭工法の最前線)
  • 著者
  • 與田 敏昭
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • i〜i
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71834
  • 内容
  • 本号の編集にあたって杭工法は,建築物の基礎工事の中で最も多く活用されており,近年は既往工法以外にも多くの新たな工法が開発されています。ところが,横浜市のマンションに端を発した基礎杭工事に係る問題で,建築物基礎の安全に対する信頼が揺らいでいます。本件については,技術者倫理や法令,制度上の問題も指摘されていますが,地盤工学会としては,この問題に対して,工学的な視点から取り組むことが必要であると考えています。この事案では,杭の支持層到達について関係者の立会いのもと総合的に判断を行ったものの,実際は支持層まで到達していない杭がありました。これには,杭工法において支持層の確認がいかに重要で難しい事項であるかということを再認識させられました。杭基礎が所定の支持力を得るための基本となる支持層確認は,杭の施工管理において最も重要な要素です。日本は地形的な特徴から地盤の構造・構成が複雑であり,地盤にはばらつきが存在することを各技術者は十分理解していると思います。しかし,今回の事案のように支持層に届いていないというトラブルは多発しています。支持層の確認方法については,従来の技術者の判断のみで行ってきた方法に対して,現在では客観性が高い方法が用いられているものの,まだ定量評価には至っていないという課題があります。また,杭基礎は,施工完了時には杭頭部以外は視認できないことから,所定の品質を確保するためには施工管理が非常に重要です。本号では,このような背景から「杭工法の最前線」と題して特集テーマを企画し,最新の杭工法の特徴,杭工法に関する調査・設計・施工上の留意点,最新の品質管理方法や支持層確認方法について紹介することにしました。本特集が,多くの会員の皆様にとって有益なものになることを願っております。與 田 敏 昭(よでん としあき)地盤工学会のホームページ URLhttps://www.jiban.or.jp/国際地盤工学会ホームページ http://www.issmge.org/編集兼発行者公益社団法人地盤工学会
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  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
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  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71835
  • 内容
  • 口絵写真(*HP)報告高性能バイブロハンマ工法による施工例と支持層確認手法技術手帳大型及び中型三軸圧縮試験講座平成23年度紀伊半島大水害の実態と教訓―「想定外」豪雨による地盤災害の軽減に向けた提言―3. 奈良地域の災害の実態前福岡正巳先生のご逝去を悼む付特集テーマ杭工法の最前線総説最近の杭工法の特徴と施工の留意点 ………………………………………………………………… 1●桑原論説杭の支持層確認方法の現状と今後 …………………………………………………………………… 4●青木報告文夫一二三場所打ちコンクリート杭工法の最前線 ……………………………………………………………… 8●宮本和徹既製コンクリート杭の支持層確認方法 ………………………………………………………………12●木谷好伸回転杭の施工・施工管理方法について ………………………………………………………………16●日下(公募)高性能バイブロハンマ工法による施工例と支持層確認手法 ………………………………………20●中居(公募)稿修一最近の戸建て住宅の不同沈下事故 ………………………………22眞一脈状地盤改良工法による液状化対策 …………………………………………………………………26●井澤寄正樹/下村杭を打っても安心ではない●大和技術紹介裕貴淳/大西高明/藤原寅士良/舘山勝農地地すべり防止施設の長寿命化への取り組み ……………………………………………………28●佐藤透/備前信之/長田実也寄稿(学生編集委員)R 言語を用いた信頼性解析 ……………………………………………………………………………30国内の動き平成年度地盤工学会賞受賞者の決定 ………………………………………………………………32●佐藤周作平成年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者の決定 …………………………………………………35資料新規制定の地盤工学会基準案「過酸化水素水による土及び岩石の酸性化可能性試験方法」への意見に対する検討結果の報告 ……………………………………………………………………36●地盤工学会基準部地盤工学の「用語」に関する JIS 規格素案への意見に対する検討結果について ………………37●地盤工学会基準部 技術手帳大型及び中型三軸圧縮試験 ……………………………………………………………………………38●古関講座潤一平成23年度紀伊半島大水害の実態と教訓―「想定外」豪雨による地盤災害の軽減に向けた提言―3. 奈良地域の災害の実態 ……………………………………………………………………………40●三田村宗樹/鳥居宣之/平井孝治/鏡原聖史火山による災害特性と防災技術3. 火山活動の基礎知識と噴火の特徴 ………………………………………………………………48●前野深/中田節也会告第期代議員選挙の結果 当選人の決定 …………………………………………………………56新入会員・書籍紹介 …………………………………………………………………………………………57編集後記 ………………………………………………………………………………………………………58
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  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71836
  • 内容
  • Theme: Recent Trends in Piling MethodsRecent Piling Methods and the Focal Points at the Installation …………………………………………………………… 1● Fumio KuwabaraCurrent State and Future Perspective of Conˆrming Bearing Stratum for Pile Installation …………………………… 4● Hifumi AokiThe Forefront of a Castinplace Concrete Pile Method of Construction ………………………………………………… 8● Kazuaki MiyamotoSupport layer Management of Bored Concrete Pile ……………………………………………………………………………12● Yoshinobu KiyaConstruction Management of Rotary Penetration Steel Pipe Pile……………………………………………………………16● Hiroki KusakaConstruction case and length control of pile for working platform using highperformance vibratory hammer ………20● Masaki Nakai and Shuichi ShimomuraRecent Small House with Pile Foundation Settlement ………………………………………………………………………22● Shinichi Yamato
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  • 福岡正巳先生のご逝去を悼む
  • 著者
  • 石原 研而
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71837
  • 内容
  • 元会長,名誉会員,功労章受章者福岡正巳先生のご逝去を悼むお若いときから地盤工学会(旧土質工学会)の創設とその後の発展に全生涯を捧げられた福岡先生が,本年 1 月 27 日とうとう逝去されました。1917年 3 月 12日のお生まれなので,満 98歳,出生のとき 1 歳で正月と共に加算される数え年では100歳でした。先生は兵庫県姫路近くのお生まれで, 1931 年(昭和 16 年)東京帝国大学工学部土木工学科を卒業,内務省(現国交省)に入り,土質試験所に赴任されました。1 年後に軍隊に召集され,広島市宇品にある船舶砲兵隊に所属し,一時戦線につかれた後,再び宇品に戻り,将校の再教育をされていました。その折,つまり昭和 20 年 8 月 6 日,原爆の投下に遭遇されました。周囲には血に染まった被災者が溢れる中,救護活動に奔走されたと伺いました。よって,先生は,終生,被爆者手帳を持っておられました。同年 11 月土木試験所赤羽支所に復帰されましたが,戦災後の焼け野原には瓦礫と土しか建設材料のないときで人々は途方に暮れていました。そのときから,主として道路と河川堤防のための土質力学の勉強と研究を始められました。当時土木学会は休店状態でしたが,志を共にする十数人が集って,雑誌“土と基礎”が刊行され,1949年には早くも土質工学会が誕生しました。先生は立役者の一人として中心的役割を果たされました。その頃に,東南海と福井地震,さらに伊勢湾台風が続発し,被害の調査と復旧に奔走されました。その後,わが国は戦後復興と高度成長期に入るわけですが,本四架橋や名神・東名,そして東京湾横断道路等の国家的大プロジェクトのほとんどに関与されました。そのほか,川崎での降雨実験による地すべり事故や四ッ木橋のリングビームの崩壊訴訟事故等に対しても挺身的尽力をされました。先生はチューリッヒの第 3 回土質基礎工学会に日本人として初めて参加されましたが,その後スウェーデンに留学され,スウェーデン貫入試験をわが国に導入されました。これらに関係して,河川審議会等,多くの国の審議会委員を務められ,国の方針策定に多大な貢献をされました。そして,昭和42年 3 月に土木研究所長を最後に,建設省を退職され,昭和46年 6 月より東京大学土木工学科に教授として就任されましたが,学生運動の後遺症で大学が荒廃しているなか,学科主任として過激派学生の沈静化や授業や研究の再開に向けて尽力されました。昭和52年 3 月に東京大学を定年退職され,東京理科大学へ赴任され,開設されたばかりの土木工学科においてカリキュラムや教育施設の整備に尽力されました。先生の御専門は多岐にわたる土質基礎工学といってよいと思いますが,特に現場観測や原位置試験等の実物観察による実証性を重視されました。中でも急速地すべりや土圧の研究に重点をおかれ,多くの業績を残されました。84歳の時に書き終えた著作“土圧の謎をやさしく解く”3 巻は有名であります。さて,1977年には第 9 回国際土質基礎工学会議が開催されましたが,福岡先生は組織委員長として大役を果たされ,今日に至るまでこの会議が最善のものであったという国際的評価を得る中心的役割を果たされました。そのとき,先生は第 7 代目となる会長に選出され,国際学会の発展に大きな貢献をされました。その後,平成元年から財団法人土木研究センター理事長,平成 8 年~ 25年の間,株式会社マネジメントシステム評価センターの取締役会長,引き続き,今日まで名誉会長を務めておられました。以上のような多岐にわたる多大な御業績に対しては昭和 62年勲二等瑞宝章,ベルギー国アカデミー外人会員,等数多くの栄誉や称号が送られています。先生は生来優れた頭脳と強靭な体力の持ち主でしたが,終始お元気で,一世紀近くにわたり多くの重要課題に取り組み,持ち前の力のすべてを使い尽くし,苦難と挑戦に満ちた壮大な人生を全うされました。そして,非凡な人生観や社会観を持ち合わせ,加えて清廉質素な生活を通された誠に敬服すべき巨人でいらっしゃいました。先生の御薫陶,御愛顧をいただいた方々は数え切れないほどおられます。これら幾多の御恩に対して,満腔の感謝と御礼を申し上げます。先生は 5 人のお子様が見守られる中,静かに瞑目されました。ここに先生の永遠の御冥福をお祈り申し上げます。(石原研而中央大学研究開発機構教授東京大学名誉教授)公益社団法人地盤工学会
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  • タイトル
  • 英訳化版 室内試験・地盤調査に関する規格・基準(Vol.1)の発刊
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71838
  • 内容
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  • タイトル
  • 最近の杭工法の特徴と施工の留意点
  • 著者
  • 桑原 文夫
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 1〜3
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71839
  • 内容
  • 最近の杭工法の特徴と施工の留意点Recent Piling Methods and the Focal Points at the Installation桑原文夫(くわばら日本工業大学. は じ め に近年,新たな杭施工法の開発が盛んに行われている。各工法の開発者はそれらの杭基礎の形状を工夫するととふみお)名誉教授以上述べた施工法について,より良い性能を持った工法の追求は当然であるが,経済性に多くの比重が置かれているように思われる。完成後の検査が困難な杭の施工法として,より確実で,安全な杭の採用を望みたい。もに,寸法を増大し,より大きな支持力を発揮し,さら. 大径化に水平力に対する性能向上のための研究開発を行ってい既製コンクリート杭の直径は次第に大径化してきた。る。このような先進的な開発がされる一方,初歩的なミ600 mm を上限としてきた杭径は昭和 50年代後半に 700スによるトラブルが絶えない現状も事実である。本稿は,~1 000 mm の杭が開発され,平成 4 年以降に1 200 mm最新の杭基礎の施工法の改良に向けた開発やそれに伴うまで拡大された3) 。現在, SC 杭や先端あるいは杭頭を施工管理技術の進展に焦点を当てるとともに,トラブル拡大した拡径杭の径が1 500 mm のものも出現した。コを避けるための施工管理における留意事項について述べンクリート杭は大径化すると,直径に対する肉厚の比はたものである。杭基礎における施工管理は土木構造物・相対的に小さくなり,曲げや圧縮による破壊は小径のも建築物ともに共通のものが多いが,筆者の専門から建築のより脆性的になることを留意する必要がある。分野に限定される問題も扱うことをおことわりしておく。.最新の杭施工法の特徴場所打ちコンクリート杭は既製コンクリート杭より大径のものが大半であり,軸部径が 3 m 近くのものまで使われている。建築分野では杭先端を拡大した拡底杭が. 施工実績主流であり,先端径は 4~5 m まで拡大される。底面積杭の種類及び施工法は,場所打ちコンクリート杭,既と軸部面積との比(拡底率)は従来 3 程度であったも製コンクリート杭,鋼杭に大きく分けられる。各施工法のが 5~7 にまで拡大されている。コンクリート強度のの最近の実績は次のようである。程度まで拡張された増大に伴い,拡底部の傾斜角が 20°場所打ちコンクリート杭は,日本基礎建設協会の会員ものがある。社の施工件数の統計(平成 24 年度)1) によれば,機械掘いずれの杭工法においても,杭径が大きくなるに伴い削の主要 3 工法が全体の 97 を占め,その中でもアー同じ荷重度に対して沈下量が増加するので,寸法効果をスドリル工法が全体の 81 で圧倒的に多い。これは建取り入れた支持力評価が必要である。築分野で多く使われているからであり,オールケーシン. コンクリート強度の増大グ工法は土木分野における主要な施工法であるが,全体既製コンクリート杭,場所打ちコンクリート杭ともに,の15に留まり,リバース工法は全体の 1に過ぎない。コンクリート強度の増大がされてきた。既製コンクリーアースドリル工法の普及はその経済性にあるが,安易なト杭では,昭和45年ごろに,従来の遠心力成型 PC 杭の施工管理を行うと,トラブルに繋がりやすい。設計基準強度が40 N/mm2 から,高性能混和剤や高温高既製コンクリート杭については,コンクリートパイル圧養生による PHC 杭として 80 N /mm2 まで引き上げら建設技術協会の統計(平成 25 年度)2) によれば,埋込みれた。その後,さらに混和材などの改良により平成 10工法が全体の 97 を占め,大部分( 86 )がプレボー年に 100 N / mm2 以上に上げられ,現在製造されているリング(拡大)根固め工法である。これも建築系で多用杭のほとんどがこの値を採用している3)。このように,されていることによる。中堀り(拡大)根固め工法は全高強度コンクリートの採用と先端支持力の増大により,体の 11 に留まっている。いずれの工法もその性能を杭 1 本あたりの作用軸力が大きくなるので,地震時の根固め部の品質に大きく依存しているため,その施工管変形性能に十分な注意が必要である。理の重要性が増している。場所打ちコンクリート杭では,従来から設計基準強度鋼管杭については,最近の統計資料は公表されていなは18~32 N/mm2 のコンクリートが使われ,水中打設をいが,主要な施工法として,打込み工法,回転杭工法,考慮して,長期許容応力度の安全率は 4 ~ 4.5 とかなり中堀り杭工法,鋼管ソイルセメント杭工法がある。鋼管大きめの値が採用されていた。既製コンクリート杭と同杭に限定される工法と既製コンクリート杭と共通した施様に高強度化が図られ,設計基準強度は42~45 N/mm2工法があり,いずれも土木系で多用されている。まで引き上げられ,最近では60 N/mm2,さらに100 N/May, 20161 総説mm2 の強度を採用した場所打ちコンクリート杭も出現の区別はできない。このような場合には掘削時の情報をしている。これらの杭はセメント量の増加により,流動参考に判定を行う必要がある。掘削時の抵抗や消費時間性の低下が心配されるが,各種の混和剤の使用により,などの情報をもとに支持層判断の補助をする管理装置がその性能を確保している。コンクリートの流動性の低下開発されているが,まだ広く普及しているとは言えず,は後に述べるコンクリートの充填性に問題を生じる可能施工時の判定に役立てるとともに,記録として残すこと性があり,十分な施工管理が要求される。が重要である。. 引抜き耐力の評価既製杭においても,埋込み工法で支持地盤の土を地上上部構造物(特に高層建築)のアスペクト比の増加にまで搬出することができる場合には,場所打ち杭と同様より,地震時の転倒防止に杭の引抜き抵抗を期待するの方法により支持層の判定ができる。一般的には,掘削ケースが増えている。杭の引抜き時の挙動に関しては不時の抵抗(オーガーの電流値)により,支持地盤に到達明な点が多いことから,従来は杭自重による抵抗を見込したことを確認する。しかし,掘削抵抗には杭周囲の地む程度であったものが,杭先端の拡大部による抵抗を積盤の抵抗や掘削速度などの多くの要素が関係するので,極的に利用する試みがされるようになった。支持層判断の参考資料として利用すべきである。最近で場所打ちコンクリート杭では,杭先端拡底部に加え,は瞬間の掘削抵抗値を時間で積分した積分電流計が地盤中間部の良好な地層に拡径部を設け,複数個所の引抜きの N 値と比較的相関が良いことから,支持層の判断に抵抗を評価する工法が出現した。施工方法は従来の拡底使われている。これらの装置の一層の普及を望みたい。杭と同様の技術を適用し,各種の実験により拡底部の引. 既存杭への対応抜き抵抗を調査し,その設計法の策定を行っている。市街地の工事では,旧構造物を撤去した後に新設構造既製コンクリート杭でも,杭先端根固め部による引抜物を施工するケースが増加している。旧構造物の杭(既き抵抗を評価する工法が開発されている。これらの引抜存杭)が新設する杭に干渉する場合には,既存杭を撤去き抵抗は平成 13 年国土交通省告示 1113 号第 6 におけるし,その後に良質な土による埋め土を行った後に,新設記載が根拠であるが,杭体や接合部の引張時の性状や地杭を施工することになる。埋め土部分はその周囲の原地盤の引抜き抵抗に関しては依然不明な点もあり,今後の盤とは異なるため,新設杭の傾斜や偏心などのトラブル解明が望まれる。に繋がることがある。.施工の留意点既存杭が新設杭と干渉しなければ,撤去による地盤の緩みなどの問題を回避するため,その場所に残置するこ. 支持層確認とになる。杭施工業者は既存杭に関する情報が不十分の支持杭は杭先端が堅固な支持層に達し,必要な根入れ状態で施工を始めるケースがあり,新設杭の施工を進め深さに施工されて初めてその機能を発揮する。そのためながら既存杭の撤去及びその後の処理を行う場合もある。に入念な地盤調査を行い,支持層深さを調べ,杭施工時さらに,新設杭に干渉しない残置杭が新設杭の周囲に乱に確実に支持層に達していることを確認することにして立する状態の影響(例えば,地盤の水平抵抗ばねに与えいる。杭の施工が完了した時点では何の異常も認められる影響など)については不明な点が多く,今後の研究がなくても,上部構造物が完成し,供用後に上部構造の傾待たれるところである。斜や沈下が発覚し,原因調査の結果,杭が支持層に達し杭施工時のトラブルのかなりの割合が既存杭の処理方ていないことが判明することがある4)。この種のトラブ法の問題や残された既存杭(残置杭)が関与しているとルは極めて重大で,是正処置が困難である場合もある。いう報告がある4)。このように既存杭に関しては杭施工建設敷地において支持層に大きな高低差があることをにおけるトラブルの主要な原因であるにもかかわらず,地盤調査の段階で発見できない場合はトラブルに繋がるその撤去とその後の対処の方法については,明確な規定可能性がある。地盤調査間隔が大き過ぎて,その間の支やマニュアルがなく,各事業者が独自に対処を行ってい持層深さを間違うことがある。通常は 20 m 程度の間隔るのが現状である。この問題はすべての杭工法に共通のでボーリングを行っておけば,まず間違う心配はないが,話題であり,早急な指針類の策定が望まれる。支持層の不陸が大きい場所では,さらに細かな調査が必かつて既存杭を再利用することが叫ばれたことがある要となる。地盤調査は本来,事前調査,本調査,追加調が,最近,その適用例が少ないようである。その理由は,査などの段階を踏むべきであるが,事前調査程度の調査再利用にあたって,既存構造物に関する設計図書や関連しか行われない場合もあり,満足な地盤情報が得られな資料の喪失に加えて,コンクリートの強度や中性化,杭いまま設計・施工に進むことは厳重に慎むべきである。の形状・寸法などについて,現状をあらためて調査する場所打ちコンクリート杭の支持層確認の方法は,掘削必要が生ずることが挙げられる。また,時代の変化に伴して地上に搬出された土砂と地盤調査時の支持層の土質い,再利用時の設計条件が当初の建設時の条件から乖離試料とを見比べ,同じものであることを確認するとしてしている場合もある5)。資源の有効利用の観点から,こいる。しかし,支持層とその上部の層が同じ土質系の場れらを克服する手法の提案を望みたい。合にはその区別は困難である。まして,地山を削って埋. 根固め部の性能確認め土を行ったような地盤では,支持層とその上部の土層最近の既製コンクリート杭は杭先端部に根固め部を築2地盤工学会誌,―() 総説造することにより大きな支持力を発揮する手法を採用し掘削孔底にスライムが堆積した状態でコンクリート打設ている。この根固め部は注入したセメントミルクと支持を行ったことによるもので,スライムの処理に問題があ層の地盤を混合・撹拌して築造したソイルセメントであったものと考えられる。古くから指摘されている問題でり,強度のばらつきが大きく,形状・寸法の精度も悪いあるが,現在でも依然頻発しているトラブルである。ことから,杭体の一部ではなく,地盤という扱いがされ掘削中に安定液中にまき散らされた掘削土が沈殿したている。とはいえ,大きな杭先端支持力を保証するため後,掘削バケットや水中ポンプによりスライムを回収・には,形状・寸法及び強度が必要条件を満足することが撤去することによりスライム処理を行っている。重錘を重要である。用いた検測により,スライム厚さを測定しているが,拡施工時に根固め部の寸法・形状を推定する方法として,底部外周はスライム処理も検測も困難である。掘削時の掘削ビットの拡大翼が開いたことを確認する管スライムを堆積させない最も重要な方法は,安定液中理方法もあるが,出来上がった根固め部の強度を確認すの砂分を減らすことで,そのために掘削時とコンクリーることは通常できない。杭頭から杭先端まで杭内部をト打設時で安定液を交換する方法が最も確実である。孔ボーリングして,コア採取したサンプルの強度試験は可底部の高濃度安定液をスライムとともに排出し,孔内に能であるが,通常の施工管理で行う手法ではない。あらたに良質な安定液を補充し,孔内全体を良液で置換そこで,セメントミルクを注入し,混合・撹拌が終了する方法が望ましい。したばかりの根固め部から未固結試料を採取し,その性かつて,コンクリート打設時に,動くスライムと動か状を調べる技術が実用化され始めた6)。採取した試料をないスライムがあるといわれていた。上部に堆積した密その場で検査し,根固め液との撹拌・混合状況を目視に度の小さいスライムは,動くスライムで,打設されたコより確認した後,固化供試体を作成し,所定の養生後にンクリーの勢いにより,安定液中に浮遊するので,スラ圧縮試験を行うことにより,根固め部の強度を推定するイムとは無関係とされていたが,これらの浮遊物はコンことができる。これにより,従来のセメントミルクの注クリートとの置換に悪影響を及ぼすことは明らかで,先入量を管理する手法に比べて,実杭の根固め部の強度がに述べたコンクリートの性状悪化の原因と考えられる。必要強度以上であることを確認する精度がより高まった動かないスライムは打設されたコンクリートの最下部にといえる。堆積し,支持力不足に繋がるので,取り除く必要がある. 場所打ち杭のコンクリートの性状既製杭の先端根固め部の性能と同様に,場所打ちコンクリート杭のコンクリートの性能は水中打設による影響ことはいうまでもない。.おわりにが避けられない。アースドリル工法で用いられる安定液杭基礎に関する開発・研究は,高耐力,高性能な杭体にはコンクリートとの良好な置換性が求められるが,この築造に多くの力が注がれている。しかし,杭の施工はれは掘削時の孔壁の崩壊防止のための高比重とは相いれ地中の目視不能な状態で行うことが大部分で,しかも完ない性質であり,安定液の使い分けが必要である。コン成後の検査はないに近い。新たな技術開発を絵に描いたクリートと安定液の置換性については,安定液の流動性餅にしないためには,施工管理技術に対する開発にもっが重要で,コンクリートとの接触部分でゲル化しにくいと力を注ぐべきである。そのためには,施工中に得られ低比重・低粘性の安定液が望ましい7)。安定液中の砂分る情報を確実に収集し,それを記録することにより,実はコンクリートとの置換を悪くし,杭体の品質低下に繋際に築造された杭の真の状態を今までより一層明らかにがる恐れがある。する努力が必要である。杭の施工が完了し,杭頭部分の掘り起こしを行ったとき,杭体の周辺部分にコンクリートが充填されておらず,トウモロコシのような形状を示すことがある。通常,コンクリートは鉄筋かごの隙間から流出し,孔壁まで充填されるはずであるが,場合によっては鉄筋が露出した状態となる。その原因として,鉄筋の過密配筋,劣化した参1)2)3)安定液やそれに含まれる砂分,コンクリートの流動性不良などが考えられ,鉄筋かご外側のコンクリートに欠陥部分が現れる。安定液の管理はアースドリル工法の最も4)5)重要な管理項目のひとつであり,安易な施工を厳に戒める必要がある。6). スライムの処理新たな杭の施工のために場所打ちコンクリート既存杭を引き抜いた結果,杭先端部の支持層未到達,杭径の不足,鉄筋露出など,惨憺たる状態を目にすることがある。May, 20167)考文献日本基礎建設協会会員の施工実績に関する調査結果のまとめ,Foundation, Vol. 10, pp. 16~18, 2015.コンクリートパイル建設技術協会平成25年度既製コンクリート杭施工法別実績,2015.桑原文夫既製コンクリート杭の歴史・現状及び将来の展望,基礎工,Vol. 35, No. 7, pp. 2~7, 2007.桑原文夫ほか杭基礎のトラブルとその対策(第一回改訂版),地盤工学会,pp. 1~22, 2014.加倉井正昭既存杭再利用の現状と今後,地盤工学会誌,Vol. 61, No. 8, pp. 1~5, 2013.桑原文夫ほか埋込み杭の根固め部における未固結試料採取による施工管理手法の提案,日本建築学会学術講演会梗概集構造,pp. 469~476, 2014.日本基礎建設協会場所打ちコンクリート杭の施工と管理,pp. 148~161.(原稿受理2016.2.3)3
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  • タイトル
  • 杭の支持層確認方法の現状と今後
  • 著者
  • 青木 一二三
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 4〜7
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71840
  • 内容
  • 杭の支持層確認方法の現状と今後Current State and Future Perspective of Conˆrming Bearing Stratum for Pile Installation青木一二三(あおきひふみ)株 レールウェイエンジニアリング統括部長. は じ め に間ごとの積分電流値と深度の関係を表したものが深度―積分電流値曲線である。杭基礎が所定の支持力を得るための基本となる支持層積分電流測定装置では,図―のように電流測定区間確認は,杭の施工管理において最も重要な要素である。を細かくし,測定電流値にその測定間隔時間を乗じて合打込み工法では,打込み式に基づいた管理によって,算し,かつ深度計によりオーガの上下動を感知し,オー支持層への貫入と所定の支持力が確保されたことを確認ガ引き上げ時などの電力を積算しないようにして,正味して打止めとする打止め管理が行われている。このよう掘削時の消費電力量を求めている。現在,既製コンクな施工時の支持力確認方法が支持層確認に準じたものとリート杭および鋼管杭の埋込み工法において,積分電流して扱われるのは,打込み中の杭周辺地盤の過剰間隙水値測定が可能な施工管理装置は 10 種類以上ある。それ圧の上昇や乱れの影響から周面摩擦による支持力がほとらの代表的な管理装置である統合型管理装置では,掘削んど発揮せず,先端支持力のみを評価していることにな深度,掘削速度,電流値および積分電流値のほか,根固るからである。動的支持力管理式は,1 打撃当たりの貫め用セメントミルクの注入圧力や注入流量,油圧拡大ヘ入量やリバウンド量の関係から支持力を推定する手法でッドの油圧など,先端拡大根固め工法のほとんどの施工ある。これら動的支持力管理式は,打込み時の波動現象状況をリアルタイムでモニターするとともに記録できる。を踏まえた動的な波動方程式から支持力を推定している既製杭の埋込み工法には,アースオーガを用いる工法ことになり,多くの実施例から支持力管理方法として確のほか,棒状の掘削ロッドを用いる工法,アースオーガ立されている1)。と掘削ロッドの組み合わせを用いる工法がある。アース一方,打込み工法以外の杭工法の支持力確認は,直接オーガは,先端地盤を掘削する先端ビットの先端部と掘的に支持力を確認する鉛直載荷試験を除き,施工時の削土を排出するためのらせん状ブレードからなるスパイオーガ駆動装置の掘削抵抗や杭貫入時の掘削機の回転トラルを有する軸部で構成される。掘削ロッドは,先端地ルク等から支持層を確認する,すなわち支持層の N 値盤を掘削する先端ビットの先端部と掘削土を泥土化する等の深さ方向分布と比較することで所定の支持層に根入ための撹拌翼と泥土による掘削孔の安定を図るローラやれしていることを判定して,間接的に支持力を確保してドラムを有する軸部で構成される。いることを確認しているにすぎない。棒状の掘削ロッドを用いたプレボーリング工法におけ本稿は,以上から打込み工法以外の現状の杭工法の支る深さ方向の積分電流値記録の例を図―に示す3)。こ持層確認方法を紹介するとともに,今後の支持層確認方の事例では,掘削中に掘削液と掘削土が良く混練されて法の展望について述べるものである。いるので掘削ロッドの回転抵抗が小さく,深さ方向の積.杭の支持層確認方法の現状. 埋込み杭分電流値と地盤の N 値の相関が比較的良いことがうかがえる。中掘り工法における深さ方向の積分電流値記録の例を既製コンクリート杭等は,オーガ駆動装置の電流値と掘削深度の関係から支持層の判定を行う。 N 値等の地盤強度に応じたオーガの掘削抵抗は,オーガ駆動装置の電流値の変化とともに掘削速度の影響を受ける。この掘削抵抗をオーガ駆動装置の単位掘削長当たりの仕事量とみなして評価する方法が積分電流値である。積分電流値は,図―に示すように,単位計測時間ごとの掘削時オーガ負荷電流値を単位区間( 0.5 m 又は1.0 m)掘削するのに要した時間分だけ合算した電流値の総計で表され,単位掘削終了時にその深度位置に記録される。オーガの駆動電圧は常に一定であるので,積分電流値=∑I ・ Dt ( A ・ sec )で表すことが多い2) 。その区4図―消費電力量(電流値測定間隔から求める方法)地盤工学会誌,―() 論図―説プレボーリング工法における N 値と積分電流値の関係3)図―中掘り工法における N 値と積分電流値の関係3)図―に示す3)。中掘り工法では,杭中空部を利用して地盤を掘削して排土するため,オーガの回転抵抗は,先端ビットの地盤掘削(切削)による回転抵抗のほか,杭中空部からの排土のためのスパイラル部の回転抵抗の合計である。掘削土の土質及びその構成によっては,後者のスパイラル部の回転抵抗が支配的になることがある。本事例では,地盤の硬軟に関係なく数 m ピッチで積分電流値が大きくなっているところにその現象が現れている。. 回転杭回転杭は,鋼管の先端に羽根を取り付けた杭を回転させながら貫入して所定の支持層に根入れさせることによって築造する杭である。回転杭工法の貫入メカニズムは,鋼管杭に与えた回転力により羽根先端が地盤に切り込まれ,羽根がくさびとなり地盤を上方に押し上げるが,この反作用が羽根への推進力となり杭が貫入されるものである。回転杭の先端支持力は,この貫入作業により羽根が支持層に図―回転杭工法における N 値と回転トルクの関係(A 工法)4)所定量根入れされて,羽根を含めた支持面積で発揮されるものである。回転杭工法では,回転貫入時の貫入抵抗値(回転トルりの貫入量は,支持層へ貫入してもあまり貫入量が低下しない工法と貫入量の低下がみられる工法がある。ク値や貫入量当たりの回転トルク値)が地盤の硬さ(N例えば前者の工法では,図―に示すように,深さ方値)と良い相関を示すことから,これらの指標を用いて向の貫入速度(1 回転当たりの貫入量)の変化が少なく,所定の支持層への根入れを確保する支持層確認方法とし地盤の硬さに応じて回転トルクの変化が見られる4)。こている。のことから,一定の回転速度における回転トルクの変化回転杭の先端の羽根形状は,らせん状に加工した板をを支持層の強度の変化としてとらえ,支持層確認として杭体に取り付けた形状を基本としたものと,半円状の平いる。一方後者の工法では,図―に示すように,深さ板をプロペラ状に傾斜,交差して杭体に取り付けた形状方向の地盤の硬さに応じて回転トルクと 1 回転当たりを基本としたものに分類される。このような先端の羽根の貫入量とも変化が見られる。このことから一定の回転形状により貫入性の相違がみられるようで,1 回転当た速度における回転トルク T と 1 回転当たりの貫入量 SMay, 20165 論説図―回転杭工法における N 値と硬さ指標の関係(B 工法)5)の変化から硬さ指標 K (=T/S )(kN・m/cm)として表示し,この値の深さ方向の変化から支持層を確認している 5) 。. 場所打ち杭場所打ち杭は,施工時に掘削により先端部の土を採取して直接観察できる。ただし,乱された採取土の観察で確認できるのは,支持層のその上部の土質で明瞭な相違がある場合に限られる点に注意が必要である。なお,最新の杭基礎便覧では,掘削速度(掘削深度,掘削時間)及び掘削抵抗値(押込み力,トルク値,ビット荷重)等の施工データを記録し,支持層確認の参考にするようにしている7)。同一地層で N 値が漸増する支持層は,掘削した土質サンプルと土質調査資料と比較しても見分けられない。図―アースドリル工法における砂質土層の N 値と回転トルクの関係6)施工時に支持層を確認する一方法として,アースドリル機の回転トルクを計測して,支持層の硬さの確認を試み掘削速度の変化もほとんどないことから深さ方向の回転た例がある6)。粘性土層と砂質土層におけるN 値と回転トルクの変化が地盤の硬さを表すものと想像されるが,トルク値との関係を図―に示す。回転トルク値は N図―から分かるように,実際には回転トルクと N 値値に関係なく杭径ごとにほぼ一定の値を示している。の相関性が見られない。アースドリル機では,一定速度で掘削できないことやケオールケーシング工法においては,ハンマグラブによリーバの押し込み力によって回転抵抗も変化する。特にり掘削した土の土質と土質調査資料と比較して支持層を掘削径が大きくなると,支持層を掘削するときの回転抵確認できる。掘削土だけでは支持層の判断が困難な場合抗が大きくなるためバケットの回転が止まらないようには,ケーシングチューブの押し込み力を一定にして掘削押込み力を小さくして掘削を進める。一般にアースドリ速度と回転トルクを測定し,それら掘削抵抗の変化状況ル杭は,杭径に応じた能力のアースドリル機を用いるこから支持層の判定が可能となる。その方法は,単位深さとから,回転トルクは N 値に関係なく杭径ごとにほぼ(0.5 m)当たりの回転トルクの平均値と圧入時間から,一定の値を示しているものと思われる。積算トルク値(=トルク値×圧入時間(kN・m・min))リバース工法においても施工管理システムを導入しつのグラフを作成して,積算トルク値の上昇度合いから支つある。深さ方向に N 値が大きくなる砂質土地盤にお持層を判断する方法である8)。この方法は,埋込み杭のける深さ方向の N 値と 4 翼ウイングビットの回転トル積算電流値とほとんど同種の評価方法といえる。ク値の関係の例を図―に示す。その間の深さ方向の回転速度は一定であり,押込み力もほぼ一定である。また,6地盤工学会誌,―() 論説抵抗の評価が可能である。しかし,アースドリル工法とリバース工法は,その機構上,ドリリングバケットあるいはビットに与える圧入力が小さいことにより掘削抵抗値と N 値等の相関性が良くないことから, N 値より簡易なサウンディング(例えば MWD 検層)などを補助的に用いて調査密度を高めるとよいであろう。. 共通の課題埋込み工法では,工法ごとに掘削ビットの形状が違っていることから,同一地盤を掘削しても積分電流値に違いが生じることが考えられる。現状では,各工法において,掘削径ごとに積分電流値のような仕事量と N 値の関係を整理し,統計的に相関関係を求めることが必要である。こうすることにより,掘削ビットなどの違いによる工法ごとの掘削抵抗値と N 値等の地盤強度の相関を定量的に求めることが可能になると思われ,さらに工法ごとの係数を設定することで補正することにより N 値との相関式が導かれるようになると思われる。積分電流値と硬さ指標については,表現方法が異なっ図―リバース工法における砂質土の N 値と回転トルているが,両者とも単位掘削長(貫入長)当たりの仕事クの関係量で表したものであるので,統一された指標になることが望まれる。.支持層確認方法の今後の発展. 埋込み杭.で述べた両工法から言えることは,掘削時のオー.おわりに現在の支持層の確認方法は,アナログ表示の電流値のみから技術者の判断のみで行っていた従来から比べれば,ガの負荷電流値からスパイラルの回転抵抗成分又は掘削積分電流値等のリアルタイムな表示と記録により客観性ロッドの回転抵抗成分を差し引いて先端ビットの掘削抵が高まっているといえよう。しかし,工法ごとの個々の抗成分の電流値を求め,それの積分電流値を求めれば,地盤条件での比較による評価の域に留まっている段階でより客観的に先端地盤の掘削抵抗を表すことになると思ある。埋込み工法では掘削ビットの形状が異なるし,回われる。先端ビットの掘削抵抗成分の電流値を分離する転杭も羽根形状が異なっているが,各々の工法ごとに掘最も簡単な方法は,先端ビットの掘削抵抗を無負荷状態削径や杭径などを考慮し,地盤の N 値等と定量的に比にした時の電流値をオーガ掘削中の負荷電流値から差し較できるようになることを期待したい。引く方法である。すなわち,オーガの深さ方向への移動を止め,その状態でオーガを 1 回転以上回転させてオーガの負荷電流値を測定し,オーガ掘削中の負荷電流参1)値から差し引けばよい。単位区間長ごとにこの動作を繰り返せば,掘削ビットの掘削時の積分電流値は容易に求2)めることができる。. 回転杭回転杭でも,先端羽根の掘削が無負荷状態になるよう3)4)にして,埋込み杭工法のように軸部の抵抗による回転トルク分を除去すれば,先端地盤への貫入抵抗分の回転トルクとすることが可能と考えられる。また,貫入時の抵抗の評価についても,B 工法で実施している硬さ指標と5)6)するか,あるいは場所打ち杭と同様な積算トルク値とするかの課題はあるが,今後は統一した指標とする必要があろう。. 場所打ち杭.で述べたように,全周回転式のオールケーシング工法は,ハンマグラブ掘削より若干先行したケーシング7)8)考文献菊池喜昭打込み鋼管杭の施工における支持層確認と施工による影響,基礎工,Vol. 42, No. 6, pp. 46~49,2014.コンクリートパイル建設技術協会既製コンクリート杭の施工管理(第 6 版),pp. 261~264, 2014.木谷好伸埋込み杭の施工における支持層確認と施工による影響,基礎工,Vol. 42, No. 6, pp. 37~41, 2014.日本道路協会杭基礎施工便覧(平成 26年度改定版),p. 67, 2015.藤井義法回転杭の施工における支持層確認と施工による影響,基礎工,Vol. 42, No. 6, pp. 42~45, 2014.宮本和徹場所打ちコンクリート杭の施工における支持層確認と施工による影響,基礎工,Vol. 42, No. 6, pp.33~36, 2014.日本道路協会杭基礎施工便覧(平成 26年度改定版),p. 71, 2015.日本基礎建設協会場所打ちコンクリート杭施工指針・同解説 オールケーシング工法(土木), pp. 13 ~ 15,2015.(原稿受理2016.2.23)チューブの圧入・回転による貫入により,定量的な掘削May, 20167
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  • タイトル
  • 場所打ちコンクリート杭工法の最前線
  • 著者
  • 宮本 和徹
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 8〜11
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71841
  • 内容
  • 報告場所打ちコンクリート杭工法の最前線The Forefront of a Castinplace Concrete Pile Method of Construction宮本和株東洋テクノ徹(みやもと技術本部. は じ め にかずあき)執行役員本部長法は,昭和 46 年に工法開発され,日本建築センターの評定を取得してから,多くの現場で使用されてきた。し場所打ちコンクリート杭(以下,場所打ち杭という)かし,昭和 59 年にアースドリル式拡底杭工法が開発さ工法は,主にアースドリル工法,オールケーシング工法,れてからは徐々に使用頻度が少なくなり,現在使用実績リバースサーキュレーションドリル(以下,リバースとはない。建築分野では,アースドリル工法の中でもアーいう)工法に分類される。図―に場所打ち杭の工法分スドリル式拡底杭工法が約半数の物件で採用されている類を示す。土木構造物の基礎にはオールケーシング工法のが現状である。以下に,(一財)日本建築センターの評が多く採用され,建築の分野ではアースドリル式の拡底定を取得するために行った new ACE (アースドリル式杭工法が多く採用されている。(一社)日本基礎建設協会拡底杭)工法の掘削試験と,高強度コンクリートのコアでは,会員各社の施工実績を集計している。平成 25 年強度の圧縮試験結果や施工事例を紹介する。度の実績調査の結果を図―に示す。全体的にはアースドリル工法が約 7 割を占めており,次に多く採用されている工法が回転式のオールケーシング工法である。ここでは,最も多く使用されているアースドリル式拡底杭工法の施工事例を紹介する。また,最近の施工トラブルの中で多く発生している事例を示し,設計・施工上の留意事項などについても記述することとする。.最新の場所打ち杭工法の特徴図―に示した工法分類図の中のリバース式拡底杭工. new ACE 工法の掘削試験と施工事例new ACE (アースドリル式拡底杭)工法の拡底径 q4 400 mm の杭の 掘出し試験工事と 拡底径 q4 800 mmの杭の施工事例について紹介することとする。拡底径 q4 400 mm の杭の掘出し試験アースドリル式拡底杭工法で使用する拡底バケット(2044型)を写真―に示す。掘削機には,油圧式により拡底翼の開閉をオペレータ室で制御できる拡底管理用モニター(図―参照)を装備しており,拡底掘削状況を随時管理できる工法である。また,拡底傾斜部は鉛直に掘削できる。面に対して12°一方,同じ地域で,杭の先端を砂礫層に支持させた杭図―図―8場所打ちコンクリート杭工法分類の例1)場所打ち杭の工法別の施工実績2)写真―new ACE 工法の2044型拡底バケット3)地盤工学会誌,―() 報を 掘り 出した 実績 もあ る。写 真― に 軸部 径 q1 300告見られていない。mm ,拡底径 q2 700 mm での砂礫層における拡底杭の掘出し写真を示す。拡底部の上部は写真―と同様に関new ACE (アースドリル式拡底杭)工法の拡底部の東ローム地盤であったため,表面はなだらかな形状とな最大径は q4 800 mm であり,現在,拡底径 q4 800 mmっている。の 5 件の施工実績の中で 2 件目に施工した事例を紹介拡底下部は周辺地盤の礫と杭体が一体となって掘り出されているのが分かる。なお,拡底部の表面の一部は凹凸が激しいが,所定の径は満足しており,断面の欠損は拡底部径 q4 800 mm の杭の施工事例する。建物規模は, RC・ S 造,地上 49階・地下 2 階で,都内で建設された事例である。杭径は,拡頭部径 q2 800 mm ,軸部径 q2 500 mm ,拡底部径 q4 800 mm の拡頭拡底の場所打ち杭で,掘削長は 34.5 m ,杭長は 29.65 m ,総本 数 82 本中 24 本が q4 800 mm の拡底杭である。本現場の地盤は,表層は約 8 m まで N 値 1 ~ 10 の腐食土,約 26 m までは N 値 0 ~ 3 のシルト・粘土層,以深は N 値 46 ~ 129 (換算 N 値)の細砂・砂礫・シルト層である。1 本の杭の施工サイクルは,一日目はパワージャッキ据付,表層ケーシング建込み,掘削機据付,拡頭部・軸部掘削,二日目は拡底部の掘削,三日目は拡底部掘削,一次スライム処理,超音波孔壁測定,四日目に一次スラ図―拡底管理モニター例3)イム処理,鉄筋かご建込み,コンクリート打込みであった。拡底部の掘削は 6 時間で,図―に超音波孔壁測定の結果を示す。使用した安定液の比重は1.02~1.03,粘性は 22 ~ 24 秒であった。孔壁測定の結果,孔壁の崩壊は見られなかった。一次スライム処理として,掘削完了後に直ちにポンプリフトによる安定液置換を行った。安定液の置換は,掘削量(約250 m3)に対して100以上行っている。一次スライム処理に要した時間は 5 時間であったが,孔底の沈積量は 0 mm,ポンプリフトによって孔底から吸い上げた安定液中に含まれる砂分は 1以下であることを確認している。. new ACE (拡底杭)工法のコンクリートのコア圧縮試験new ACE 工法で施工した杭に呼び強度 60 N / mm2 のコンクリートを打込み,掘り出した杭体からコアを採取写真―拡底杭の掘出し(拡底部径 q4 400 mm)3)写真―拡底杭の掘出し(拡底部径 q2 700 mm)3)May, 2016図―拡底部径 q4 800 mm の孔壁測定例4)9 報告し, 圧縮試 験を 行っ た。杭 の仕 様は ,軸部 径 q1 300コンクリートは,安定液中で打ち込みを行い,使用したmm,拡底部径 q2 700 mm,掘削長24.4 m であった。安定液の性状は,比重 1.04 ,粘性 26.9 秒,砂分 0.5 以コンクリートの調合を表―に,コンクリートのスランプフロー試験を写真―に示す。コンクリートはフロー管理で行っており,フロー値の結果は 51.5 cm ×48.5 cm で,許容値( 50 cm ± 7.5 cm )内に収まった。下であった。コンクリート打込み量は44.0 m3 で,打込み時間は360分であった。図―に示すコンクリートコア採取深度で,コンクリート打込み後,28日でコアを採取した。材令 30 日で行った採取深度ごとのコンクリートコア表―コンクリートの調合の圧縮強度を図―に示す。コンクリートコアの圧縮強度の平均値は 74.7 N / mm2,標準偏差は4.95 N/m2 で,コア強度は設計基準強度60 N/mm2 及び調合強度66 N/mm2 を上回る値であった。なお,標準養生供試体の材令 30 日における圧縮強度の平均値は80.5 N/mm2 であった。.場所打ち杭工法の設計・施工上の留意点最近,場所打ち杭の施工時に発生しているトラブルの中で,特に発生頻度の多いトラブルと設計・施工上の留意点を記述する。オールケーシング工法における杭径不足最近,比較的多く発生しているトラブルの一つに,N値が 1 以下の軟弱な粘性土地盤における杭径不足があ写真―スランプフロー試験る。オールケーシング工法における特有の施工方法によるものであり,ケーシングチューブの板厚が 45 mm あるので,ケーシング引抜き後,この板厚に相当する空隙部分にコンクリートが充填されるよりも早く,周囲の軟弱な地盤が内側に寄ってくることよりトラブルが発生している。図―に杭径不足の発生状況図を示すが,留意点としては,流動性の良いコンクリートを使用することである。スランプ 18 cm の場合,スランプの許容値は± 2.5 cmであるため,スランプ値が15.5 cm であっても,打ち込まざるを得ない。なるべく大きめのスランプを要望しても確実でないため,できればスランプ 21 cm のコンクリートを使用するのが良い。また,施工上の対策としては,杭頭部付近に短いケーシングを使用して,コンクリートの下がり量を少なくし,図―コンクリートコアの採取強度コンクリート自重の地盤への圧力を確保する。また,最後のケーシングは,鉄筋かごの外側にコンクリートを流れ込ませるために,ゆっくりと引き抜く。既存杭撤去後の新設杭の孔壁崩壊・傾斜既存杭を撤去した施工位置に新設杭が干渉する場合,図―10コンクリートコアの圧縮強度図―オールケーシング工法における杭径不足4)地盤工学会誌,―() 報告掘削孔が崩壊することや傾斜することがある。また,流動化材を使用して埋め戻す際,施工不良により未固結部分がある場合も同様のトラブルが発生することがある。既存杭引抜き後の施工は,基本的に撤去下端位置までケーシングを使用することが望ましい。ケーシングを建込む際には,パワージャッキを使用して,グラブハンマで土砂を排土する。その際に,ケーシングを先行させて,周辺土砂の孔内への回込みを防止する。また,既存杭撤去後の埋戻し材は N 値 5 程度の強度が確保できる材料を使用する。埋戻し材が硬すぎると,埋戻し部と周辺の土との強度差によってケーシングを建て込む際に傾斜することがあるので注意を要する。.支持層の確認方法場所打ち杭の支持層管理は,土砂をサンプリングして,土質調査資料と比較して判断する方法である。ただし,サンプルを比較するだけでは支持層の判定が困難な場合がある。支持層の判定が困難な地盤例を下記に示す。図―オールケーシング工法の支持層管理方法5) N 値が異なる砂質土地盤◯(支持層上部が N 値< 50 の砂質土層,支持層が N値≧50の砂質土層) 切土盛土による造成地盤◯(支持層上部が N 値<50の地山の切土による盛土,支持層が N 値≧50の地山) 風化岩地盤◯(支持層上部が N 値< 50 の強風化部,支持層が N値≧50の弱風化部).まとめ場所打ちコンクリート拡底杭工法は,建築物の基礎に多く使用されている。特に,高層建築物の基礎には大口径拡底杭が採用され,ここでは q4 800 mm 拡底杭の施工事例を紹介した。また,地盤工学会では,「杭基礎のトラブルとその対策」が約 20 年ぶりに改訂され,最近のトラブルの特徴が紹介されているので,参考になる。 の地盤の一例として,横浜の土丹層が挙げられる。◯特に,上部構造物に甚大な影響を与えるトラブルの原因支持層の起伏も大きく,かつ地山を削った土丹を谷部にに支持層未到達が挙げられる。前項で紹介した支持層の埋めた造成地盤では,支持層の確認は十分な注意を要す判定が困難な地盤におけるオールケーシング工法の判定 の事例としては,まさ土と支持層の風化花崗岩のる。◯方法は有効な方法と考えられるので,支持層管理装置の地盤が挙げられ,同様に注意を要する。なお,杭の施工実用化が望まれる。一方,アースドリル工法においては,中には支持層確認を十分に行えない可能性があるので,一部において取り組みが行われているものの,まだ判定事前の地盤調査を行うことが必要である。方法が確立されていないのが現状であり,支持層管理装アースドリル工法における支持層の判定が困難な場合置の開発が望まれる。の管理については,アースドリル掘削機の操作室内にあるモニターに深度とバケットの回転トルクが表示されている。一般にはトルク値と地盤の硬さは比例するが,押込み圧を大きくするとトルク値も大きくなるため,一概にトルク値のみで支持層を判定することは困難である。参1)2)3)オールケーシング工法では,図―に示すように,回転式オールケーシング掘削機のケーシングの押込み力を4)一定にして,ケーシングの回転トルク値と掘削時間を計測して,積算トルク値(トルク値×掘削時間)をモニタリングすることによって,支持層を判定する方法が検討されている。5)6)考文献(一社)日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説(JASS4),p. 223, 2009.(一社)日本基礎建設協会Foundation, p. 13, 2014.田中昌史・宮本和徹ほか new ACE 工法,基礎工,Vol. 37, No. 8 総合土木研究所,2009.山田正毅・宮本和徹拡底径 q4.8 m の大口径場所打ちコンクリート拡底杭の施工事例,基礎工, Vol. 41, No.8,総合土木研究所,2015.(公社)日本道路協会杭基礎施工便覧,p. 341, 2015.(一社)日本基礎建設協会場所打ちコンクリート施工指針 ・ 同 解 説 オ ー ル ケ ー シ ン グ 工 法 ( 土 木 ), p. 15,2015.(原稿受理May, 20162016.2.2)11
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  • タイトル
  • 既製コンクリート杭の支持層確認方法
  • 著者
  • 木谷 好伸
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 12〜15
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71842
  • 内容
  • 報告既製コンクリート杭の支持層確認方法Support layer Management of Bored Concrete Pile木谷好伸株三谷セキサン. は じ め に既製コンクリート杭の埋込み杭工法では,一般的には,(きや施工本部よしのぶ)部長う。この際の施工記録に基づき,本施工における支持層判定等の管理指標を決める」といった実施方法を記載しており,これらを参考にして具体的な支持層判断基準を施工時に杭ごとに設計で定められた支持層を確認し,そ定めることとなる。さらに同示方書には「掘削抵抗値のの支持層に所定長根入れするプロセス管理が行われてい変化の度合いは,土質条件,杭の大型化やこれに伴う施る。施工時の支持層確認方法は,掘削時のオーガ駆動工機械の掘削能力の向上などにより,必ずしも明確に確モーターにかかる負荷電流等を測定し,深度ごとの電流認できない場合もある。このような場合,例えばオーガ値や積分電流値の変化状況と,土質柱状図の N 値図のヘッドの先端部に付着している掘削土と土質柱状図を照変化状況を対比して,定性的に判断する方法が採用され合するなど,総合的な観点から本施工における管理指標ていた。を定めるのが良い」という総合的な支持層確認の方法にところが,平成 27 年 9 月に横浜のマンションで発生した杭問題では,一部の杭が支持層に未到達ではないかとの疑義が発生した。調査を進めていったところ,このついても記載されており,これらが埋込み杭工法の支持層判断の基本的な考え方である。. 建築分野の支持層確認方法問題の他に,施工報告書の支持層確認のエビデンスであ一方,建築の分野では,平成 27 年 12 月に(一社)日本る掘削時の電流記録が流用されていたことも判明し,同建設業連合会(日建連)から「既製コンクリート杭施工社の他現場,さらには同業者の他現場にも派生し,大き管理指針(案)不具合の再発を防止するために」(内容な社会問題にまで発展した。同業界人としては,非常にについては日建連 HP 参照)が,平成28年 1 月には(一残念なことであり,本誌の読者の皆様はじめ関係者の方に深くお詫びする次第である。本稿では,施工時に支持層を確認する具体的な方法や,社)コンクリートパイル建設技術協会( COPITA)から「既製コンクリート杭工法の施工管理要領(案)プレボーリング工法編」が出された。この中では,施工管理装置の特徴及びそれら正しい使用方法と留意点について等の役割分担が明確化され,杭施工時の支持層到達につ述べ,加えて,今回の杭問題に関しての再発防止策については「技術的な判断責任は杭メーカーにあり,元請はいても記載していく。杭メーカーが施工計画書に記載された基準で判断してい.支持層確認についてることの確認責任を負う」となっている。支持層到達の判断基準については,具体策を施工計画書に記載するこ. 土木分野の支持層確認方法とになっているが,具体策を計画するには,その現場が埋込み杭の施工における支持層確認について,平成支持杭なのか摩擦杭なのか,また中間層支持か等々の設24 年 3 月版の道路橋示方書・同解説の下部構造編(日計主旨(設計者が杭の支持力を決定した意図や支持層と本道路協会)では,「既製杭基礎は,設計で想定してい定めた根拠)を把握することも必要となる。今後,設計る支持層への根入れや杭先端部の拡径などが適切に行わ者は,施工計画時に,工事担当者等との事前打ち合わせれていることが所定の支持力を発揮する前提となる。こも必要かつ重要となる。設計思想と支持層到達の判断基準の考え方の前提を満たすためには,あらかじめ試験杭でこれらが確実に行われることを確認した施工管理方法により施工杭の支持力の考え方には,以下の 3 パターンがあり,するとともに,それを客観的に確認できるよう所定の施それぞれ支持層到達の判断基準の決め方が異なる。工管理項目について記録する必要がある」とある。ここ◯支持杭型(支持層が明確)の場合での客観的な記録としては,掘削時の電流値等の記録が設計図書と土質柱状図で,設計者が当該現場で設定し1 番に挙げられ,支持層の出現深度を把握するための重た支持層出現深度と杭先端位置を確認し,杭ごとに支持要なエビデンスの一つであることを示している。層への予定杭貫入深さ(例えば,支持層に 1 m 以上貫支持層出現深度の確認方法について,同示方書では,入等)を施工計画書に明記する。この場合の支持層到達「支持層の確認は,支持層付近で掘削速度を極力一定にの判断基準は,想定支持層出現深度付近での,電流値や保ち,掘削抵抗値(オーガ駆動電流値,積分電流値)の積分電流値の変化,杭打機の振動,掘削モーター音の変変化をあらかじめ調査している土質柱状図と対比して行化などとなる。12地盤工学会誌,―() 報◯中間層を支持層としている場合告れるので,電流値変化≒土質(地層)変化としてとらえ中間層を支持層とする場合,施工時には,中間層の天て判断していると考えた方がよい。地盤により電流値の端レベルに加え下端レベルにも配慮し,杭先端や掘削底振幅傾向は異なる。例えば,土粒子径が大きい礫系地盤が中間層を貫通していないことを確認しながら施工するでは電流値は大きく振れ,個々の値も大きい。また粘性必要がある。層厚の不均一性を考慮すると,掘削した時土層など土粒子径が小さい地盤では掘削ビットが滑って点で所定の層を貫通してしまうこともあり,この場合はしまい振幅・個々の電流値は小さく掘削速度が遅くなる。先端支持力不足となるので,層厚を確認しながらの施工このように電流値の変化状況から地盤をある程度区別すは危険である。中間層支持の場合は,設計者は計画段階ることができる。また,土質によって,電流値が示す波で施工時の危険性を考慮して,地盤調査を密に行い,か形に特徴があるので,これらの波形の違いと土質柱状図つ中間層より下部の地盤の支持力も考慮して,杭先端位とを比較することで,地盤の構成を確認する資料とする。置(掘削底位置)を決定する必要がある。これらのこと代表的な土質と波形例を図―に示す。から,施工時の支持層到達については,出現深度の不均支持層到達判断時の留意点一性,層厚の不明瞭性を考慮して,「施工時は設計で定地盤種別や杭の支持力の考え方で,支持層到達の判断めた深度まで掘削し杭を設置する」という判断基準の施基準の決め方が異なる。支持層到達の詳細な深度の判断工計画とすることを推奨する。は電流値の変化が分かりやすく,層としての支持層区間摩擦杭型の場合◯摩擦杭型は,明確な支持層がない(N 値10~30程度)の判断は積分電流値が適しているので,これらを併用して判断するのがよい。併用した例を図―に示す。場合が多い。このような地盤では,先端地盤に到達して図―は,統合型の管理装置の支持層付近掘削時のも電流値の変化などが明確に表れにくく,支持層到達判データである。左上図は,掘削ヘッドの時間~深度軌跡断が困難なケースが多くなることが予想される。設計で図,左下図は,その時の時間~電流値関係図,右図は積は,杭先端の支持地盤の固さよりも摩擦区間長の確保が分電流値~深度関係図である。電流値図より,図中央付重要である。計画書ではこのことを踏まえて,「施工時近で電流値が変化しはじめ,この時の掘削深度は軌跡図は設計で定めた深度まで掘削し杭を設置する」という判より 30.6 m である。積分電流値図でも 30.5 m 付近から断基準の施工計画とすることを推奨する。積分値が大きくなり始めているので,この付近が支持層以上のことから,施工計画時には,支持層の想定深度到達深度と総合的に判断できる。これは,統合型の管理分布の確認,支持層の等深図の確認なども重要な資料と装置での記録なので,深度,電流値,時間はリンクしてなる。施工計画書には,これらの支持層関連の資料を必おり,電流値が変化した正確な深度をデータから読み取ず添付する。十分な資料がないと判断した場合は,発注者・設計者に追加の地盤調査を依頼するのが望ましい。また,支持層が平坦な場合と平坦ではない場合でも施工計画の内容は異なる。支持層がほぼ平坦であると判断できる場合には,試験杭で設定した支持層到達判断基準を基に本杭の施工を行うことが基本となる。支持層が平坦と言えない場合には,傾斜の考えられる部分での地盤調査を追加したり,試掘を数多く実施するような施工計画とする。土質と電流値の関係経験的に「地盤が固い≒掘削抵抗(電流値)が大きい」ことは容易に想像できる。この電流値の大小を測定し掘削中の地盤の変化を電流値として二次的にとらえ,支持図―土質と電流値の波形例層への到達などの確認に利用している。しかしながら,地盤の固さ( N 値)と電流値の定量的な関係はない。これは, N 値は標準貫入試験用サンプラーを地盤へ打撃により貫入させたときの抵抗を示している一方,電流値はオーガの掘削に対する電気的負荷抵抗を示すものであることから, N 値と電流値の直接的な相関関係が成り立ちにくい要因の一つと言われている。実際には,「地盤が固い≒掘削電流値が大きい」,「 N値が大きい≒掘削電流が大きい」で支持層を直接判断する材料としているのではなく,土質(地層)の変化(締固め度合い,粒径,粘性,水分量等)に電流値が影響さMay, 2016図―電流値と積分電流値の併用例13 報告ることができる。従来のアナログ式電流計に比べ,深度これらのデータを測定,計算,記録する制御部(パソコは自動計測でその精度は格段に高くなり,エビデンスとン等)によって構成されている。単位区間ごとに掘削のして使用できる。ただし,電流値は掘削径により異なるみに要した積分電流値を計算し,深度と積分電流値の関ので,杭径ごと(杭打機が複数台で施工する場合は機械係として表したグラフと,地盤調査の N 値のグラフをごとも)に試験杭又は管理杭として判断基準を設定する比較して地盤の変化の状況を把握し,支持層出現深度をことを基本とする。積分電流値もエビデンスとしては重判定する。この場合,計測単位区間の途中で,土質が変要な管理項目になるが,記録が積分単位区間ごと(例えわったり支持層に到達した場合,計測単位区間掘削後にば0.5 m~1.0 m)となるため,詳細な到達深度判定がでその深度に記録(打点)するため,支持層到達の表示のきない場合もあるので,電流値の変化と併用で判断基準タイミングはズレて表示されることとなることに留意しを設定する。なければならない。積分電流値(計)の計測方法は,コ機械の振動や掘削モーター音の変化も支持層到達の判ンピュータ等で制御された装置で下記のような特徴があ断基準となるが,客観的なエビデンスではない場合もある。るので,支持層到達判断基準は電流値又は積分電流値の・深度と電流値が単位時間ごとに計測・記録され,それ変化をメインとし,その記録をエビデンスとするのが良らが単位区間ごとに積分されるので,掘削速度の影響い。また,掘削作業完了後,掘削ビット先端部分に土砂が付着している場合は,その試料を採取・観察し,土質がなく,客観的に分かりやすいデータである。・掘削オーガの停止,引き上げ時,掘削済み区間の電流標本資料と照合して支持層を確認する。値はカウントしないため,掘削に要した純粋な電力量アナログ式電流計使用時の留意点が分かり,土質変化をより客観的にとらえることがで紙記録形式の電流計は,ペンレコーダー型の装置で,自動・定速で記録紙を送り,掘削モーター負荷電流値を時系列で記録する装置である。電流値のみの計測器で,きる。・積分電流値と深度の関係図が容易に得られるため,地盤調査結果との照合が比較的容易にできる。計測時には記録者が掘削状況を見ながら記録紙に手書き・システムの構造上,実際の支持層出現深度とは最大でで深度を書き込み,その深度と電流値の変化で支持層到1 単位区間( 1 m 又は 0.5 m )の差が生じる場合があ達の判定をする。この装置で支持層出現深度の判定をする。これを解消するためには,掘削時の瞬時電流値やる場合の留意点を以下に示す。機械振動等の施工状況から施工時に支持層到達深度を・電流値は掘削速度に影響を受けやすく,一定速度での確認しなければならない。施工は実現場では困難なことから,電流値計測記録からは地盤の硬軟の判断がしにくい場合がある。・掘削停止やオーガ引き上げ時の電流値も測定しており,電流値と同様に積分電流値もオーガ掘削時に発生する電気的負荷抵抗から求めたもので,現状では,まだ積分電流値と N 値との定量的な関係は明確化されていない。純粋な掘削時のデータのみを抽出するためには,オー支持層到達の判定は,積分電流値のデータと地盤調査結ガの上下動の詳細な記録が必要である。果と比較することで総合的に判断することとなる。・電流値のデータは,等速で排出される記録紙に装置の積分電流値は,電流計による管理と比較して,自動でペンで自動記録していくが,そのときの掘削深度は手電流値と深度の計測・記録ができ,より客観的に地盤変書きで記入するため,正確な深度と電流値の対応が難化の把握が可能となり,支持層判定の精度は電流計に比しく,支持層出現深度判定の精度も低い。べて高いが,まだ以下のような問題もある。・紙の記録用紙なので,雨や泥水で汚れたり,破れたり 故障 PC のフリーズ・ケーブル断線・エンコーダ等◯機器の故障するなど,データ保管に難がある。・常時の監視員がいないと,開始スイッチの入れ忘れや紙切れなどが発生しても気づかない場合がある。 操作ミススタート間違い・深度ずれ◯ データ破損 PC への衝撃でハードディスクが破損す◯る今回の杭問題では,この記録装置を用いていた現場での事例が多数報告された。原因は上記の場合が多かった統合型の管理装置は,施工中の状況をモニタリングしことから,今後の再発防止策としては,「専用記録員をながら深度・注入量等の数値をモニター画面に表示でき配置する」こと,1 本ごとの記録紙を必ず切り離して写るシステムでもあるので,上記のようなトラブルを回避真で撮影してバックアップデータとして保存し,当日中するために,施工時のモニターのリアルタイム画面を写に元請に提出することとしている。真撮影しておくことは,万が一のデータ消失にも対処で積分電流計使用時の留意点積分電流値は,単位時間(例えば 1 秒)ごとの掘削時オーガ負荷電流値を単位区間(通常は 1 m 又は0.5 m)きるために有効な手段である。.試掘による支持層深度判断掘削するのに要した時間分だけ合算した電流値の総計で今後,杭工事現場では,前述したように,杭施工時の表され,一般的には単位区間掘削終了時にその深度位置支持層到達については「技術的な判断責任は杭メーカーに記録される。積分電流計は,掘削深度を測定する深度にあり,元請は杭メーカーが施工計画書に記載された基計,オーガ駆動装置の負荷電流値を計測する電流検出器,準で判断していることの確認責任を負う」というルール14地盤工学会誌,―() 報告にしたがって,杭 1 本ごとに支持層到達の有無を判断しながら施工することになる。この場合,支持層が明確な現場(いわゆる L 型地盤)や,支持層が礫系の地盤では,支持層判断は客観的にできる場合が多いと思われる。一方,明確な支持層がない場合や, N 値が徐々に大きくなるような地盤の場合は,個々の杭での支持層到達判断が難しいことが想定される。このような場合は,事前に地盤調査を密(例えば 10m ピッチの碁盤目状)に行って,敷地全体の支持層深度を調査しておくことが望ましい。敷地全体で,支持層図―試掘での積分電流記録から推定した支持層面分布が把握できていれば,施工時はその深度以深まで掘削すれば,支持層判断は不要となると考えられる(ただし施工時の積分電流値等のエビデンスは必要)。また,地盤調査ができなかった場合は,杭施工前に杭判断は掘削長管理でもよいと思われる。.おわりに打機で試掘を行うことも有効な支持層調査方法となる。既製コンクリート杭における,今回のデータ流用問題杭打機での試掘は,できるだけ小径のロッド(例えばや今後の施工現場における再発防止を盛り込んだ施工管q150 mm 程度)と掘削ヘッド(例えば q200 mm 程度)理方法の運用,支持層到達判断の明文化などを考慮するで行う。掘削ヘッドには,掘削先端地盤の土砂を採取でと,設計者は基礎杭に既製コンクリート杭の採用を避けきる機構を装備したものが良い。杭打機での試掘は,杭ることも考えられる。一方で, 2014 年に場所打ち杭基施工と同様に掘削水を吐出しながら掘削し,管理装置で礎の横浜のマンションで,杭が支持層まで到達していな電流値や積分電流値を計測することで,杭施工時の掘削いという事件が発生していた。原因は,杭工事において抵抗の変化状態に似たデータを得ることができる。また,事前の調査ボーリングからは想定しえなかった支持層の支持層到達を確認後,50 cm ほど掘削して支持層土砂を急激な落ち込みがあったことに加え,杭穴先端部の掘削採取し,地盤調査時の土質サンプルと比較することで,土から支持層と同種の土が確認されたことから支持層により確実に支持層深度を把握することができる。このよ到達したと判断したためと当時は報じられていた。うな試掘を,例えば 10 m ピッチの碁盤目状に行うこといずれの杭基礎においても,支持層の確認がいかに重で支持層の深度分布が把握でき,施工時の支持層到達判要事項であるかということを再認識した。今回の事件を断の根拠とすることができる。真摯に受け止め,改善・改良に努めなければならない。図―は,神奈川県の現場事例である。設計段階で実本稿では,埋込み杭の施工における,支持層確認の方施した 12 箇所のボーリング調査結果では,支持層であ法,装置と施工時の留意点について述べた。また,施工る砂質泥岩層深度は,10 m から36 m まで大きく変化し時の支持層判定に関する問題点や,対処策についても記ていた。ボーリング調査結果だけでは支持層深度が不明載した。埋込み杭工法の施工管理手法については,日建瞭な箇所も多くあると判断し,施工の際に,施工管理装連, COPITA で,その重要性を鑑み,各種 WG を立ち置を装備した杭打機で,約 10 m ピッチで敷地全体の試上げていろいろな面から検討し,業界全体に発信してい掘を行い,積分電流値で支持層出現深度を確認した。図るところである。―は,各掘削位置で計測した支持層深度を元に描いた埋込み杭の各種工法の開発とともに,施工管理手法も当現場の推定支持層面である。これによると,現場東側日々進化している。特に,埋込み杭工法の主流となってより西側に傾斜し,さらに西側では南側の方,東側ではきた高支持力工法では,支持層深度の確認やそこに造ら北側の方が深くなっており,敷地全体での支持層は,北れる根固め部の施工位置と性状確認が重要な管理項目と西方向に向かって傾斜して,支持層面にはフラットな部なっており,これらの施工管理の重要性を設計者や施工分はほとんどなく起伏が激しいことが伺えた。関係者全員が認識し,今後も施工技術を向上させていかこのように,本施工前に試掘を行って敷地全体の支持層分布を把握しておくことで,杭ごとの施工時の支持層May, 2016なければならない。(原稿受理2016.1.21)15
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  • タイトル
  • 回転杭の施工・施工管理方法について
  • 著者
  • 日下 裕貴
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 16〜19
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71843
  • 内容
  • 報告回転杭の施工・施工管理方法についてConstruction Management of Rotary Penetration Steel Pipe Pile日下裕貴(くさかひろき)(一社)鋼管杭・鋼矢板技術協会る JIS 規格品や国土交通大臣の認定を取得したより高強. は じ め に度の材料の適用も可能である。鋼管径・羽根径の適用範鋼管杭は,我が国で構造物の基礎として本格的に使用され始めて既に半世紀以上が経過し,道路や鉄道の高架橋や橋梁,建築構造物等の様々な用途に用いられている。囲は工法や分野で異なっており,各分野における技術基準5)~7)や公的認証で規定されている。また環境面以外にも羽根の拡底効果により大きな先端1950 年代中盤から 1970 年代初頭にかけては打撃杭が押込み力・引抜き抵抗力が得られること,被圧水下や狭主流であったが,その後の公害問題への関心の高まりや隘スペース,斜杭の施工が可能であること等の様々な特大径・長尺化,高支持力化等の社会ニーズの変化に伴い,長を有する。中掘り杭や鋼管ソイルセメント杭,回転杭等の新しい鋼管杭技術が開発されてきた。.回転杭の施工本稿では,低騒音・低振動や残土が発生しないこと等回転杭の施工は図―に示す作業基盤の整備等の準備の環 境問 題 に配 慮さ れ た工 法と して 2000 年 頃よ り開工,杭搬入,回転貫入,支持層への貫入と打止めの工程発・実用化された回転杭工法を対象として,その施工・から成り立ち,各施工段階において所定の管理を行いな施工管理方法について報告する。がら進める。.回転杭の概要回転杭は,先端部に羽根を有する鋼管杭に回転力を付与して地盤に貫入させる工法であり,その貫入メカニズムは,図―に示すように回転力により羽根先端が地盤に切れ込まれ,羽根がくさびとなり地盤を上方に押し上げ,その反作用が推進力となり杭が貫入するものである。先端羽根の形状は工法毎に異なり,閉端タイプと開端写真―先端部羽根形状の例タイプがある。先端羽根の形状例を写真―に示す1)~4)。回転杭に使用する鋼管は JIS A 5525 (鋼管ぐい)の規格に適合するものを標準としているが,建築分野では建築基準法第 37 条に基づき指定建築材料と指定されてい図―16回転杭の貫入イメージ図―回転杭の標準的な施工フロー地盤工学会誌,―() 報施工方法は 3 点式杭打ち機,小型杭打ち機を用いて杭頭部に回転力を付与する杭頭回転方式と,全周回転機告欠陥部を完全除去した後に再溶接をし,再検査を実施する。を用いて杭胴体部に回転力を付与する胴体回転方式があなお,現場縦継ぎ溶接に関する詳細な情報は,道路橋る。前者は鋼管径が q 600 mm 程度以下の比較的小さいにおける鋼管杭現場縦継ぎ溶接作業要領9)等に記載され場合に,後者は鋼管径の大きい場合に適用される。ている。次項に施工における主なポイントを示す。. 斜杭の施工. 準備工これまで斜杭は,主に打撃工法で行われてきたが,騒施工を円滑に進めるために現地の状況を把握し,現地音や振動の問題からその適用場所が限定され,時代とと環境の整備(障害物の確認・処置,ヤード及び作業基盤もに減少してきた。しかし,平成 24 年度に改訂されたの整備等),施工機械・機械の運搬・組立設置・点検等道路橋示方書5)において,新たに斜杭の適用性が高い回を行う。転杭が規定されたことにより,斜杭が採用されるケース特に作業基盤の良否は,杭の傾斜等の施工精度のみならず施工性や安全性に重大な影響を与える。作業基盤の整備にあたっては施工機械の機種,重量,施工姿勢や周が増加しつつある。写真―に斜杭の施工状況を示す。基本的な施工について斜杭と直杭は同様であるが,斜杭特有の留意事項について示す。杭心の設定辺構造物・地中埋設物との離隔等を含めて総合的に判断する。一般的には敷鉄板により重機足元の養生を行うが,一般に杭心精度が要求される設計上の杭頭レベルと施表層地盤が非常に軟弱な場合は,敷鉄板を追加することにより荷重を分散させることや,地盤改良や敷砕石により地耐力を大きくする等の対策を取る必要がある8)。. 回転杭の受け入れと保管現場によっては,仕様の異なる杭が混在することもあり,取り違いを防ぐために搬入された杭の外観,形状,寸法(鋼管径,羽根径,厚さ,長さ)が設計図書や製作要領書に適合していることを確認する。受け入れ検査の実施状況は記録に残すとともに,品質証明書(ミルシート)と併せて整理保管する。. 回転貫入回転トルクを連続的に測定し,その変化状況と N 値とを対比しながら貫入する。回転貫入開始直後から 5 m程度貫入するまでは,地盤による側方の拘束が小さく杭心ずれや杭の傾斜が生じやすいので,細心の注意を払って鉛直性の調整作業を行う。先端羽根による推進力が十分に得られず貫入量が減少する場合(1 回転当たり貫入量が羽根ピッチに比べて極端に小さい場合),杭体に押込み力を付加して回転貫入を補助する。ただし過度の押込み力は杭の鉛直精度や偏心量に悪影響を及ぼすこともあるので注意する。. 現場縦継ぎ溶接回転杭に限らず現場縦継ぎ溶接(円周溶接)の品質が写真―斜杭の施工状況鋼管杭の諸性能に及ぼす影響は大きいことから,溶接条件,溶接作業及び検査等に十分注意を払い,確実に行わなければならない。なお,道路橋示方書においては知識経験のある溶接施工管理技術者を常置させることが求められており,溶接工の選定並びに溶接の管理,指導,検査及び記録を行うものとされている。鋼管杭の現場縦継ぎ溶接部の検査は,一般的に外部きずを対象に目視検査と JIS Z 2343 による浸透探傷試験を,内部きずを対象に JIS Z 3104 の放射線透過試験又は JIS Z 3060 の超音波探傷試験が実施される。なお,実施頻度については工事の仕様書等に従う。溶接終了後に欠陥を発見した時は,不良箇所をグラインダで手入れする,あるいは必要に応じてガウジングでMay, 2016図―杭心と据付心の位置関係17 報告表―主な施工管理項目を確認する。杭仕様の適性判断計画深度まで杭を破損することなく施工可能であるかを確認する。また設定した杭長は適正かを確認する。写真―現場溶接用治具の例施工機械の適性判断計画深度まで杭を所定の精度で施工可能であるかを確認する。また施工時に生じる騒音,振動の状況を確認す工機械の据付けレベル(作業基盤面)は異なることから,図―に示すように斜杭の作業基盤面における据付心は杭の傾斜角と作業基盤面のレベルにより換算する必要が管理指標値の設定と根入れ長の確保支持層上端深度確認のための管理指標(回転トルク,電流値等)を設定する。また支持層への所定の根入れ長ある。る。傾斜角の精度管理傾斜角は傾斜計(デジタルスラント)等により確認及が可能であるかを確認する。. 施工管理項目と記録び記録を行う。目標精度内に収まっていない場合は一度施工品質を担保するために必要な施工管理を実施する逆回転で杭を引き上げ,施工機械及び杭の傾斜角を修正とともに,工事終了後において杭の品質について検証可した後,再度貫入させる。能な施工プロセスの記録を残す。回転杭における主な施現場縦継ぎ溶接工管理項目を表―に示す。建込んだ杭(溶接時に吊られた状態である上側の杭)主要な施工管理項目は,施工中にデータを常時表示しを傾斜させた状態で固定して適正なルートギャップを確て施工管理に活用でき,同時に施工状況の証明として記保することと荷振れを防止するために,上側の杭を建込録できるようにしなければならない。特に施工深度,回む前に 2 本のワイヤで所定の角度に傾斜させる吊方法転トルク,1 回転当たりの貫入量は基本情報でありデーを用いることや,上側の杭を下側の杭にあずける際に所タの取得が必須である。定の斜角を保持しやすくするため写真―に示すような補助治具を用いる等,適切な方法を選択する。.回転杭の施工管理杭基礎の施工完了時には杭頭部以外は視認できないことから,所定の品質を確保するために,施工プロセスの合理的な施工管理と記録の確保の観点から,必要な施工管理データを同時に測定してリアルタイムに表示するとともに,デジタル記録する統合型の管理記録装置が開発され普及してきており,回転杭の施工管理にはこうした管理装置を用いることを基本とする。施工管理システムの一例を図―に示す。管理が非常に重要である。すなわち,周到な施工計画の一方,杭の施工データの表示・記録には従来から電流元で,適切な材料並びに施工機械を用いて,決められた値やトルク換算値,施工深度等,アナログ測定データを施工方法で鋼管杭が所定の出来型と支持性能を発揮できチャート紙に時刻歴描画する方法が多用されてきた。単るように施工することが重要である。また施工した基礎体データの時刻歴記録では杭の精度との関係が不明確でが所要の性能を満たすものであると判断できるように,あり,杭継ぎ等による貫入中断が分かり難い等の問題も重要な施工プロセスにおける状況を施工記録として残す指摘されており,またチャート紙の汚損によるデータ紛ことが必要である。失が危惧されるところでもある。チャート紙での記録を次項に施工管理における主なポイントを示す。採用する際にはこうした点に十分注意しなければならな. 試験杭の実施い。本施工に先立ち試験杭を実施し,施工状況を把握しな統合型の施工管理記録装置,従来型のチャート紙記録がら施工管理用の事前データを収集・評価し,本杭でののいずれを使用する場合も,機器の適切な設定やキャリ施工方法及び施工管理指標等とする。なお,試験杭の実ブレーション,記録忘れ防止等に留意しなければならな施位置は,試験杭の施工状況と地盤調査結果を対比して,い。また記録の紛失・消失,データの取り違えが起こら本杭の施工に関する十分な情報が得られるように原則とないように可及的速やかに管理者等にデータを提示するして地盤調査位置近傍において実施する。以下に主な確ことや,必要に応じて写真やビデオでの記録を併用する認すべき項目を示す。等,データの信頼性を担保するように努める必要がある。施工機械のキャリブレーション. 支持層の確認と打止めオーガ機の無負荷電流や,油圧モータの無負荷油圧と所要の支持性能を発揮させるために最も重要な事項が出力結果,施工深度測定用計器の作動状況と出力結果等支持層の確認と打止めである。基礎の設計は事前の地盤18地盤工学会誌,―() 報告地盤調査位置近傍で施工する試験杭において,杭先端深度,回転トルク,1 回転当たりの貫入量,押込み力等を連続的に測定する。この際,杭深度が設計で想定された支持層に近づいたら,杭の回転速度,付加する押込み力を極力一定に保ち,地盤状態の変化が判断しやすいように配慮する。試験杭の施工データを土質柱状図と対比させることにより支持層深度の判定を行い,同時に以降の本杭施工において用いる支持層到達判断の管理指標を設定する。また支持層到達の参考となる機械振動・発生音等の測定データ以外の情報も収集する。基本データとしては回転トルクを用いるが,支持層前後での回転トルクの変化が小さい, N 値との相関が不明瞭等,回転トルクの情報のみでは支持層の判定が難しい場合や他のデータを用いた方がより明確な判定が行えると考えられる場合には,貫入量の変化状況(1 回転当たりの貫入量や回転トルクを 1 回転当たりの貫入量で除した値等)を支持層確認の管理指標とする場合も図―施工管理装置の系統図の例ある。ただし,いずれにしても支持層直上の中間層よりも回転トルクが増加していることが必要条件である。.おわりに杭基礎の施工トラブルを未然に防ぐためには,綿密な計画と適切な施工・施工管理が重要である。鋼管杭・鋼矢板技術協会では,杭基礎の品質向上,施工の信頼性向上を目指して各鋼管杭工法の施工要領の整備を進めているところである。これらの活動を通して鋼管杭がますます発展・普及することを願う次第である。参1)図―施工記録の例2)調査・土質試験等に基づいて実施される。しかしながら,地盤の変化は予測を超えることが少なくないため,支持層の確認においても地盤調査結果のみを絶対視せず,測3)4)定した施工データとともに近隣工事における施工実績や類似工法による施工記録等,可能な限り多くの判断材料を参考として支持層を確認することが肝要である。図―に示すように一般的に施工時の回転トルクが土質柱状図の N 値と高い相関を示すことが確認されているが,その相関性は現場毎の地盤や施工条件によって異5)6)7)8)なるため,本杭の支持層への確実な根入れのために試験杭で回転トルクと N 値の関係を把握し,当該現場における支持層の確認方法を設定する。9)考文献財 国土技術研究センター建設技術審査証明事業(一般土木工法)報告書「 NS エコパイル工法(回転圧入鋼管杭工法)」,平成16年 1 月財 国土技術研究センター建設技術審査証明事業(一般土木工法)報告書「小径 NS エコパイル工法(小径回転圧入鋼管杭工法)」,平成25年 1 月財 土木研究センター建設技術審査証明報告書「先端翼付き回転貫入鋼管杭 つばさ杭」,平成23年 8 月財 土木研究センター建設技術審査証明報告書「先端翼付き回転貫入鋼管杭 つばさ杭(開端タイプ)」,平成 23年3月社 日本道路協会道路橋示方書・同解説下部構造編,平成24年 3 月社 日本道路協会杭基礎施工便覧,平成27年 3 月(公財)鉄道総合技術研究所鉄道構造物等設計標準・同解説 基礎構造物,平成24年 1 月社 日本建設機械化協会移動式クレーン,杭打機の支持地盤養生マニュアル(第 2 版),平成22年 8 月(一社)鋼管杭・鋼矢板技術協会道路橋における鋼管杭現場縦継ぎ溶接作業要領,平成24年 3 月(原稿受理2016.1.25)試験杭での支持層確認の具体的な手順を示す。May, 201619
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  • タイトル
  • 高性能バイブロハンマ工法による施工例と支持層確認手法
  • 著者
  • 中居 正樹・下村 修一
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 20〜21
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71844
  • 内容
  • 報告高性能バイブロハンマ工法による施工例と支持層確認手法Construction case and length control of pile for working platformperformance vibratory hammerusing high中居正株丸藤シートパイル樹(なかいまさき)技術工事部グループ長下村日本大学修一(しもむら専任講師生産工学部しゅういち)建築工学科. は じ め に乗入れ構台では,支持杭に H 形鋼が用いられており,打設方法の一つとして,伸縮型リーダーを有する油圧可変式高周波バイブロ杭打機によるバイブロハンマ工法がある。本杭打機は,小型であるが大きな貫入力を有しているため施工効率は高く,振動が懸念される都市部でも施工実績を積み重ねている。本稿では,本杭打機を用いた施工事例と本杭打機に搭載したシステムで計測されるバイブロハンマの起振力や杭の貫入速度などのデータを写真―杭打機の一例活用した支持層確認手法1)について述べる。表―.杭打機及びバイブレーター仕様の一例杭打機の概要写真―(カラーは口絵写真―, http: // urx.nu /bmG4)に杭打機の一例を示す。本体機及び搭載されているバイブレーターの仕様を表―に示す。バイブレーターは一般的な仕様(定格出力 45 ~ 90 kW ,最大起振力 331 kN ~ 568 kN )に比べて大きな貫入力(油圧出力 370 kW,最大起振力1 000 kN )を有しており,起振力を 0 ~ 1 000 kN まで50 kN ごとに調整することで,地層に合わせた施工が可能である。また,バイブレーターによる振動に加えてテレスコピックシリンダーとリフティングシリンダーにより最大 140 kN の押し込み力を加えられること,自動で垂直精度を制御可能なリーダータイプのため高い施工精度も確保できることが特長である。. 施 工 事 例本杭打機を適用した現場の一例を図―に示す。本現場〔杭長L=19.5 m(ボルトジョイント 1 箇所),杭サイズ H 400 × 400 × 13 × 21 〕は,図―の通りGL 15.0 m まで N 値 2 ~ 8 程度の粘性土, GL 15.0 m付近に N 値50の砂質土,GL18.0 m 付近に N 値20程度の固結シルト, GL 21.5 m から N 値 50以上の砂礫が堆積した互層地盤である。杭は既存躯体解体後の GL4.0m の位置から打設し,砂礫層を支持層とした。このよ図―A 現場の柱状図うな地層では,一般的なオーガー併用削孔注入工法で施工した場合,施工量は70~90 m/日程度であるが,本杭低減を実現できた。打機で施工した結果, 120 ~ 140 m /日と約 1.6 倍程度とバイブロハンマ工法では,杭打設時の振動が問題とななった。また,本工法ではセメントミルクを使用しないる。本現場では,最も振動が伝達し易いと思われる GLため,汚泥の排出はなく,大幅な工期短縮と環境負荷の18.0 m 以深の固結シルト層に杭先端が到達した後の振20地盤工学会誌,―() 報図―告振動レベルの距離減衰(A 現場)動レベルを地表面において測定した。図―の測定結果から,杭打設地点より 40 m 程度の離隔距離が確保されれば,振動規制法2)による基準値 75 dB 以内に収まるこ図―N 値,累積打撃力,油圧及び打設速度の逆数(A現場)図―N 値,累積打撃力,油圧及び打設速度の逆数(B現場)とが分かった。.支持層確認手法バイブロハンマ工法による杭打設では,地盤が硬くなるにつれて杭の貫入速度は低下し,バイブレーターの油圧は上昇する。図―,に前述の A 現場及び B 現場〔杭長L=42.0 m(ボルトジョイント 2 箇所),杭サイズH400×400×13×21〕の土質と N 値ならびに杭打設時に本杭打機から得られる油圧と打設速度との逆数の深度分布を示す。これらの図より, N 値に対し油圧及び打設速度の逆数の変化は概ね対応するものの,必ずしも N 値に対する相関性を明確に推測できるとは言い難いと考えられる。杭の打込みは,バイブロハンマの振動により先端地盤の抵抗力が低下し,バイブロ本体及び杭の重量の和が抵抗力を上回ることで可能となる。先端地盤の抵抗力の低減の考え方の一つとして文献3)ではバイブロハンマの力積を用いた評価法が示されている。そこで,文献3)と同様な考え方として(1)式に示すような,起振力を基準となる杭の打設深度間隔で累積し, 1 cm あたりに換算した累積打撃力を支持層確認指標とした。.おわりに高性能バイブロハンマ杭打機を用いた杭打設時の施工事例と支持層確認手法について紹介した。本杭打機は,N支持杭の打設だけではなく,親杭や鋼矢板の打設,さらi= 1に斜杭の打設などの施工も行っており多種多様な杭打設Ev=∑ Fi/d ……………………………………………(1)ここに,Ev累積打撃力(N/cm),Fii 回目の打撃の起振力( N ), N 基準打設深度間隔あたりの総打撃回数,d基準打設深度間隔(cm)。に採用されている。支持層確認手法については,現場実測データによる検証を増やすとともに,鉛直支持力との相関性についても(1)式より求めた累積打撃力の深度分布を図―,検討する予定である。なお,本稿では,支持層確認手法に併記した。 A 現場において,累積打撃力は, N 値との事例として 2 事例を示したが,他の事例については同様に 15 m 付近で大きく増加し,一旦減少した後,再文献1)を参照されたい。び 20 m 付近で増加が見られる。 B 現場において,累積打撃力は, 20~ 30 m の硬い粘性土でやや大きくなっているものの,それ以外は N 値と非常に近い分布形状が確認できる。以上より,(1)式で定義した累積打撃力は,押込み力や杭重量などの影響が十分に反映できていないため,地盤特性や施工条件によらずに N 値を直接推定できる指標ではないが,現場毎では N 値の深度分布の形状との参考文献1)下村修一らバイブロハンマ工法による H 鋼杭打設時の支持層確認手法に関する研究,第50回地盤工学会研究発表会,pp. 1329~1330, 2015.2) 環境省振動規制法施行規則,第十一条,別表第一第一号,最終改正 2015.3) バイブロハンマ工法技術研究会バイブロハンマ設計施工便覧,pp. 115~120, 2010.(原稿受理2016.1.27)相関性は高い指標であることが確認された。May, 201621
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  • タイトル
  • 杭を打っても安心ではない! 最近の戸建て住宅の不同沈下事故
  • 著者
  • 大和 眞一
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 22〜25
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71845
  • 内容
  • 報告杭を打っても安心ではない最近の戸建て住宅の不同沈下事故Recent Small House with Pile Foundation Settlement大和眞一(やまと株ジャパンホームシールド.しんいち)地盤技術研究所コンクリート杭,鋼管杭)と場所打ちのソイルセメント最近の戸建て住宅の基礎杭(柱状改良杭)が主である。既製杭は地域性があり,我が国では毎年 40 万戸程度の新築戸建て住宅が建設木杭は九州有明海沿岸で,コンクリート杭は泥炭地盤のされている。戸建て住宅で地盤の調査をしたり杭を打つ北海道で多く使用されている。一方,全国で最も多く使ことなどは,大手の住宅会社を除けば近年まで稀であっ用され,杭工法の大半を占めているのは相対的に安価なた。そのため住宅の不同沈下事故も一定の頻度で起こっ柱状改良杭である。柱状改良杭は小型の施工機械を用いていた。しかし, 1999 年成立の『住宅の品質確保の促るので,その平均的な長さは 5 m 程度で,長くても 8進等に関する法律』(以下,品確法という)や2007年成m 程度である。そのため多くの場合支持層に根入れす立の『特定住宅の瑕疵担保履行法』以来,戸建て住宅でる支持杭ではなく,摩擦杭として使用されている。あっても地盤調査を行い,この調査結果を用いて設計し,杭などの改良基礎を使用することは常識になった。その結果,不同沈下事故は以前に比べて極端に少なくなった.不同沈下事故の多い地形と代表地盤図―に我が国住宅地盤の一般的な地形断面と,このが,杭基礎の使用が増えたため杭基礎での不同沈下が増中で杭を打っても不同沈下事故を起こし易い A~D の 4えている。その理由について以下に述べる。つのケースを示す。地盤調査方法地盤調査法は商業ビルなどで使用される図―の左端は軟弱な沖積低地であり,右側は良質な標準貫入試験法(以下, SPT 試験という)ではなく,洪積台地とその中の谷地形である。不同沈下事故が軟弱簡 易 な ス ウ ェ ー デ ン 式 サ ウ ン ディ ン グ 試 験 (以 下 ,な低地側のみならず,相対的に良質な台地側でも生じてSWS 試験という)を用いている。 SWS 試験は SPT 試いることが分かる。験に比べるとかなり安価であるものの土質判定ができないという欠点を有している。その結果,これが住宅の不同沈下事故の原因にもなっている。最近では SWS 試験にトルク計測などを加えて土質判定する新 SWS 試験と以下に A ~ D の 4 つのケースについて,具体例を示す。. A洪積層傾斜地の不同沈下我が国の住宅地盤は,沖積層と洪積層が約半々である。し て ス ク リ ュ ー ド ラ イ バ サ ウ ンデ ィ ン グ 試 験( 以 下洪積層は丘陵地であるから傾斜地であることが多く,谷SDS 試験という)の使用も増加している4)。側に擁壁を設け裏側を盛土して住宅を建てる。このよう基礎工法住宅の基礎工法は,直接基礎(べた基礎,又なケースでの不同沈下事故が最も多く全事故の約半数をは布基礎)と改良基礎工法が約半々である。改良基礎工占めている。これは図―に示すように住宅が切土側と法の多くは杭基礎である。使用される杭は既製杭(木杭,盛土側に跨り,両者の沈下特性が違うからである。図―22住宅地盤の地形断面と不同沈下を起こしやすいケース地盤工学会誌,―() 報図―擁壁がある住宅では盛土と切土に住宅が跨る図―高い擁壁をもつ住宅と基礎杭図―告谷底低地の一般的な土層断面と杭基礎の例SWS 試験で地盤調査をすると切土も盛土もほぼ同じ値を示し,両者の境界すら判断できないことが問題を複雑にしている。このケースでは,擁壁の高さが高いほど盛土厚も厚くなるので,不同沈下量も大きくなる。これらのことからSWS 試験値が十分大きくてもこれに頼らず,擁壁の高さが高い場合は杭基礎を用いることが必要である。杭を打っても失敗する例傾斜地に建つ高い擁壁をもつ住宅で,擁壁の背面は現図―山間部の大規模な造成地の例地発生土で盛土されているケースが多い。その結果SWS 試験による試験値も,程々の強度を有している。によって杭は地中に引き込まれ,住宅は杭の沈下によっ基礎杭として図―に示すように長さ 3 m の柱状改良て不同沈下する。杭を使用したが,住宅は擁壁側へ不同沈下した。擁壁のこのようなケースの対策としては,沖積層が薄く洪積高さが 5 m くらいあり,相対的に杭長不足が原因であ層までの深さがそれほど深くない場合は,杭を洪積層まる。で貫入させればこのような問題は生じない。しかし,柱擁壁高さが 5 m あれば,盛土前の原地盤も盛土天端状改良杭を使用している限り洪積層までが深い場合は洪下-5 m 付近にあるので,擁壁に近い側の杭は原地盤の積層に十分根入れできない。また,有機質土では柱状改傾斜に沿って-5 m 程度まで長く設計すべきであった。良杭が十分に固化しない,という懸念もある。このよう地盤調査結果から求められる杭の許容鉛直支持力だけをな場合は腐植土を貫いて,沖積層以深の杭に作用する正みると,十分満足しており何も問題ないかもしれない。の摩擦力と腐植土以浅の杭の NF とを求めて,正が負よしかし,杭の沈下は別問題であり,その計算式も特になり十分上回る長さの既成杭にする必要がある。いので専門的な技術経験が頼りである。. B谷底低地の不同沈下. C大規模造成地の不同沈下次に,図―に示す大規模な造成地の例である。我が洪積台地の谷地は谷底低地と呼ばれ,長く湿地帯であ国の住宅地は沿岸部から始まり,近年の人口増加と新築ったところが多い。ここは両側を山林や丘陵地などの台住宅の大量供給時代を迎えて大都市周辺の山間部に達し地で挟まれているのが特徴である。このような場所にはた。多くが洪積層や新第三紀層などの丘陵地・山地を切腐植土などとも呼ばれる高含水比の有機質土が堆積してり開いて造成されているので図―に示すように切土,いることが多い。盛土が入り乱れている。また盛土の材料も均一ではなく図―に示すように一般的に下層から,洪積層,沖積場所により異なっているので,沈下特性も予測できない。杭を打っても失敗する例粘性土層,腐植土層,及び表層の盛土層の順に堆積していることが多い。造成地の切り盛り地盤のうち,切土部分は多くの場合杭を打っても失敗する例良質地盤であるので問題は起こさない。しかし盛土部分このような地形で SWS 試験を行っても上記の土質のは不安定である。盛土の厚さが 5 m 程度であれば盛土判定やその境界は判別できない。特に重要な腐植土と沖前の原地盤まで杭を打っておけばよい。しかし,図―積層は SWS 試験では軟弱な Wsw = 1 kN 未満の値となに示すような盛土の厚さが 10 m 以上になる場合は難しり,両者の層境を特定することはできない。その結果,い。ここで SWS 試験を行ってもそこが盛土か切土かの通常の軟弱地盤と同じ方法で摩擦杭として杭の長さを設判 断 も で き な い の で, 盛 土 の 層厚 も 特 定 で き な い 。計してしまう。しかし,このような地盤では腐植土層はSWS 試験で測定できるのは荷重 Wsw 又は回転数 Nsw に上載盛土の重量によって圧密沈下するので杭には負の摩よる強度指数のみであるから,この強度指数を用いて杭擦力( Negative Friction , NF という)が作用し, NFの長さと杭の許容鉛直支持力を計算している。May, 201623 報告図―山間部の切土,盛土された大規模な造成地(仙台市内)その結果,図―に示すように盛土の中で留まる短い摩擦杭になる。前述のように盛土は自然地盤ではなく人工地盤であるから一般的に不均一であり,長期的にどの程度沈下するかなど,全く予想できない。そのため,厚い盛土地盤に杭を打っても住宅は盛土の沈下と一緒に不同沈下し,杭は役に立たないことがある。このようなケースの対策として,厚い盛土地盤は長期的に沈下する可能性が大きいので盛土造成から数年経ち盛土の沈下が収束して安定していることを確認する必要がある。. D沖積低地の不同沈下大都市の中心部は過圧密東京,大阪,名古屋など大都市では,沖積低地が約半図―軟弱地盤に盛土をした分譲地の湾曲型沈下分の面積を占める。沖積低地とは言ってもここは大都市の中心部及びその周辺であるから,戦前から人が住んでいたような地域である。このような住宅地は,その昔軟弱地盤であったが現在では圧密沈下が終了して良質地盤に変身していることが多い。例えば東京下町の沖積低地では地下水のくみ上げによって大正時代から数 m 圧密沈下した。一方,地下水位も地下数十 m まで低下していたが近年の地下水くみ上げ規制で上昇に転じ,現在では以前の水位まで回復している。これによってこの地域は以前の正規圧密粘土から過圧密粘土に変身した。過圧密比(OCR)は1.5~2.5程度になっている。このような戦前から人が住んでいたような場所は,沖積低地であっても圧密沈下によって過圧密の良質地盤に図―盛土による擁壁の湾曲なって,戸建て住宅の不同沈下事故はほとんど発生していない。杭を打っても失敗する例都市部に人口が集中すると住宅用地が不足するので,新たな住宅は都市部近郊のこれまで水田であったところ沖積層の軟弱度合い(特に含水比 w や圧縮指数 Cc)の大きさや盛土の厚さに比例して分譲地は圧密沈下する。その結果,図―に示すように分譲地の中で最も荷重度の大きい中心部に向かって地盤は湾曲する。に盛土して建設される。これまで水田であったので地盤杭は相対的に短い摩擦杭であるので,杭には NF が作は粘土質シルト層の正規圧密粘土であることが多い。こ用し地盤沈下と一緒に引き込まれる。これによって住宅こに杭を打って住宅を建てた場合,次のようなケースでは不同沈下する。不同沈下量は分譲地の両端に建つ住宅不同沈下事故を起こす。ほど大きく,これ以外は被害が少ない。◯厚い盛土の分譲地は中心部に傾く図―に示すように,これまで水田だった場所に高さ1.5 m 程度の盛土をして分譲地ができる。杭の支持地盤このようなケースの対策として,軟弱地盤上の広い分譲地のなかで分譲地の両端の土地に建てる場合は長い支持杭を打って対処する必要がある。までは 10 m 以上あり深いので,長さ 7 m 程度の柱状改良で設計される。多くの場合これで問題はない。しかし,24地盤工学会誌,―() 報図―告図― 隣地との間に矢板を打つ隣地盛土の引き込みによる不同沈下図― 隣地との境界付近に EPS を使用する図― 隣地盛土から少し離して住宅を建てる基礎ではなく杭基礎が主流になった。戸建て住宅で使用◯隣地盛土に引き込まれるされる杭は多くの場合支持層に根入れした支持杭ではな広い分譲地ではなく,図―に示すように盛土地盤にく,長さ 5 m 程度の摩擦杭である。平坦な自然地盤で1 戸だけで単独で建てたケース。数年後隣地が盛土され単独の住宅であればこれで杭の支持力は十分であり,不て新たに住宅が建つ場合がある。このような場合杭があ同沈下事故も起きない。しかし,平坦地盤ではない傾斜っても短い摩擦杭であれば隣地地盤に引き込まれる。特地や,谷底低地など基盤が傾斜しているところ,自然地に軟弱地盤が厚く,隣地盛土の高さが相対的に高い場合盤ではない人工的な盛土地盤などに建てることも多い。は顕著である。このような場所では杭の支持力計算のみではなく,地盤このようなケースの対策として,隣地に引き込まれるの長期的な沈下に対する検討が必要であるが,簡易な地のを事前に防止する方法は杭を支持層まで入れて支持杭盤調査しか実施しておらずそれほど簡単なことではない。にしておけば良い。しかし,軟弱層が厚く杭が長くなる不同沈下事故をなくすため地盤工学の専門知識が求めら場合は既成杭を使用する必要がありコストもかかる。これている。のような場合,もしも宅地に余裕があれば図―に示すように隣地盛土から少し離して建てれば引き込まれの影響はかなり少なくなる。一方,新たな隣地盛土によって既存の住宅を引き込まない方法として,図―に示す河川工事などで使用される矢板を打って隣地との縁を切るか,図―に示す道路盛土で使用される発泡スチロール(EPS)を隣地境界付近に用いて盛土荷重を軽減することも今後は必要である。. お わ り に1999 年の品確法施行後,戸建て住宅であっても軟弱地盤であれば地盤を改良して住宅を建てることは常識に参考文献1)高森 洋・西田正己・荒木弘之・冨山恵一低層住宅における地盤調査とその利用,土と基礎,Vol. 34, No. 6,pp. 11~17, 1986.2 ) 地盤工学会編地盤調査の方法と解説 2 分冊の 1 第 6編サウンディング 13.3.3 スクリュードライバーサウンデイング,pp. 468~469, 2013.3) 大和眞一・末政直晃・田中 剛新しいスウェーデン式調査法で腐植土地盤を見つける,基礎工,Vol. 37, No.6, pp. 84~89, 2009.4) 大和眞一トルク計測を加えた新しいスウェーデン式試,地盤工学会誌,Vol. 64, No. 1, pp.験法(SDS 試験法)37~38, 2016.(原稿受理2016.1.25)なった。その結果,軟弱地盤であれば基礎は従来のべたMay, 201625
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  • タイトル
  • 脈状地盤改良工法による液状化対策
  • 著者
  • 井澤 淳・大西 高明・藤原 寅士良・舘山 勝
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 26〜27
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71846
  • 内容
  • 技術紹介脈状地盤改良工法による液状化対策The Veined Grouting Method against Soil Liquefaction井澤 淳(いざわ(公財)鉄道総合技術研究所藤原じゅん)主任研究員寅士良(ふじわら株東日本旅客鉄道大高明(おおにし副課長舘山 たかあき)ケミカルグループ長株ライト工業とらじろう)構造技術センター西勝(たてやま(公財)鉄道総合技術研究所まさる)事業推進部長. は じ め に直下型地震の発生が危惧されている首都圏には液状化の可能性のある地盤が広範囲に分布しており,これらの早急な対策が望まれている。しかしながら,従来採用されている液状化対策工法は,液状化地盤を完全に固化することを前提とした高改良率,高コストの工法であるた図―脈状地盤改良工法のイメージ図め,広範囲の領域を効率的に対策することが困難な場合が多い。そこで,筆者らは動的薬液注入により脈状の改良体を地盤内に作成し,周辺地盤を効率的に密実化させることで液状化抵抗の増大を期待した,低改良率の液状化対策工法(以降,脈状地盤改良工法)の開発を進めている(図―)。本稿では,その概要及び各種の検討結果について紹介する。.動的注入による脈状地盤改良工法図―注入方法と割裂脈の形成プロセスのイメージ図脈状地盤改良では,使用薬液として懸濁系の非浸透薬液(高炉スラグ+ケイ酸塩系)を採用し,薬液を割裂注入させることで改良脈の周辺地盤を密実化させる。注入速度を一定としてゲルタイムを制御せず割裂注入を行うと,地盤の弱部に薬液が集中的に注入されるため,図―( a )に示すように割裂脈は 1 ~ 2 方向にしかできず,その注入の効果はその周辺に限定される。また,薬液が写真―逸走しやすいなどの問題もある。一方,脈状地盤改良工改良体の作成状況法では,注入速度及び注入圧力を意図的に変化させて薬イブコーン試験(以降, PDC 試験)による換算 N 値液を地盤に送液する動的注入工法1)を採用する。このとNd の増加,密度検層による直接的な密度増加,孔内水き,注入圧力の振幅や周期,注入薬液のゲルタイム,注平載荷試験(以降, LLT 試験)やセルフボーリングタ入速度を適切に設定することで,割裂脈形成→薬液固結イプの孔内水平載荷試験(以降, SB LLT 試験)によ→新たな割裂脈形成→固結という繰り返しプロセスによる地盤剛性や静止土圧係数 K0 の増加等を確認している。り割裂脈を多方向に形成させ,地盤を効率的に密実化さ本工法では地盤内に改良脈を不均質に配置するため,改せることが可能となる(図―( b ))。また,速度一定良品質の確認においては,写真―に示すような改良脈注入では困難な薬液到達範囲をある程度制御することや,の出来形ではなく,改良対象領域の密度や剛性等の増加薬液の逸走を抑制することも可能となる。これまでに各をマクロ的に確認することが重要となり,これらの手法種の注入試験を実施し,上記の注入概念を採用して写真を適切な間隔で適用して改良品質を確認することになる。―に示すような脈状の改良体が作成できることを確認現在,Nd 値を約20 m 間隔で確認することを標準としてしている1)。いるが,適用事例を増やしながらより適切な確認手法を.改良品質の確認自然地盤に対する施工試験及び各種改良品質確認手法の適用性確認の結果2),3)を図―に示すが,ピエゾドラ26提案していきたい。.施工試験結果図―に示すような鉄道盛土直下を対象とした試験施地盤工学会誌,―() 技術紹介して,注入率10,注入ピッチ1.5 m とし,液状化層下端から上端に向けて250 mm ピッチのステップアップ法で施工を行った。なお,本施工試験では鉄道営業線近接で行ったため,累計地盤隆起量 20 mm が発生した際に注入を停止している。その結果,実質の総注入量は約 8.2 であった。また,図―に示す箇所で改良品質確認を実施した。注入前後での PDC 試験から得られた Nd 値及び密度検層の結果を図―に示すが,改良域に図―各種の改良品質確認結果おいて Nd 値及び密度の増加が確認できている。また,この結果を反映した液状化判定4)の結果を表―に示すが,鉄道基準での L2 スペクトル地震に対してPL = 9.7 であった地盤を PL = 2.3 まで低減できている。FL は 1 を下回っていることから完全に液状化を抑制するものではないものの,構造物に対する液状化の影響を無視できる PL = 5 以下まで液状化程度を抑制可能である。図―試験施工箇所の代表的な縦断図.今後の展望本稿では,経済的かつ効率的に液状化対策が可能な脈状地盤改良工法を紹介した。なお,本稿での紹介は割愛させていただいたが,振動台実験や数値解析から本工法の液状化対策効果についても検討を実施している例えば 5),6)。現在,鉄道施設に対する本施工をパイロット的に進めており,平成 28 年度中の実用化を目指して設計・施工マニュアル等を整備しているところである。様々な方面で採用していただけるよう,今後も開発を継続していきたい。なお,本技術開発の一部は「国土交通省 交通運輸技図―試験施工箇所の注入孔及び品質確認地点術開発推進制度」の助成を受けて実施致しました。参1)2)3)図―表―試験施工箇所での改良品質確認結果の例試験施工箇所の液状化判定結果( L2 スペクトル4))5)6)工を実施し,施工性や液状化対策効果を確認した。本試考文献大西高明・林田 晃・入山 修・井澤 淳・上田恭平・小島謙一・舘山 勝・藤原寅士良脈状注入工法による液状化対策の提案,第 50 回地盤工学研究発表会, pp.1791~1792, 2015.水野弘二・藤原寅士良・井澤 淳・上田恭平・小島謙一・舘山 勝・大西高明・林田 晃・入山 修脈状注入改良地盤の品質確認手法に関する検討,第50回地盤工学研究発表会,pp. 1795~1796, 2015.細井 学・藤原寅士良・井澤 淳・上田恭平・小島謙一・舘山 勝・大西高明・林田 晃・入山 修脈状改良地盤の現場試験施工と品質確認手法に関する検討,第70回土木学会年次講演会,026,pp. 51~52, 2015.小島謙一・井澤 淳・上田恭平・舘山 勝・大西高明・林田 晃・入山 修・藤原寅士良脈状注入による液状化対策効果の評価手法に関する検討,第50回地盤工学研究発表会,pp. 1793~1794, 2015.荒木 豪・井澤 淳・小島謙一・上田恭平・大西高明・藤原寅士良脈状地盤改良工法による液状化対策効果に関する振動台実験,第12回地盤工学会関東支部発表会,pp. 228~231, 2015.上田恭平・荒木 豪・井澤 淳・小島謙一有効応力解析による脈状地盤改良工法の液状化対策効果の検討,第70回土木学会年次講演会,028,pp. 55~56, 2015.(原稿受理2016.2.9)験では,土被り 4.2 m ,層厚 3.4 m 程度の液状化層に対May, 201627
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  • タイトル
  • 農地地すべり防止施設の長寿命化への取り組み
  • 著者
  • 佐藤 透・備前 信之・長田 実也
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 28〜29
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71847
  • 内容
  • 農地地すべり防止施設の長寿命化への取り組みApproaches for Functional Conservation of Landslide Prevention Facilities佐農林水産省藤農村振興局透(さとう農村環境課長農林水産省とおる)土地保全係長田実農村振興局備前農林水産省也(ながた農村環境課信之(びぜん農村振興局のぶゆき)農村環境課課長補佐じつや)環境資源保全官. は じ め に地すべりによる被害を未然に防止することにより,国土の保全と民生の安定に資することを目的とした地すべり等防止法(以下,法という)が昭和 33 年に制定され,農林水産省農村振興局,林野庁及び国土交通省で地すべり対策に取り組んでいる。農村振興局所管の地すべり防止区域(以下,防止区域という)では,地すべりによる農地・農村等の被害を防止することを目的として地すべり防止工事が実施されている。地すべり防止工事を実施するためには,法に基づいた防止区域の指定が必要となる。この法に基づいた防止区域の指定は昭和 33 年から図―全国の農村振興局所管の年度別防止区域指定数の推移行われており(図―),平成28年 2 月現在,農村振興局が所管している防止区域は全国で 1 969区域ある(表―)。これらの防止区域では多くの防止工事が実施さ表―全国の農村振興局所管の防止区域数と面積(平成28年 2 月時点)れており,水抜きボーリングや集水井等の抑制工と,アンカー工や杭工等の抑止工が地すべり防止施設(以下,防止施設)として整備されている。しかしながら,一部の防止施設では整備されてから 50 年以上経過したものもあり,写真―に示すような防止施設の機能低下に伴う地すべりの再活動が懸念されている。このような状況を踏まえて,農村振興局では平成 26年 8 月に公表した「インフラ長寿命化計画(行動計画)」1)において,防止施設の長寿命化にも取り組むこととし,全ての防止区域で防止施設の長寿命化計画(以下,長寿命化計画という)を施設管理者である道府県が策定することとしている。農村振興局では,これを推進するために財政支援,技術指導及び参考となるマニュアルの整備等を行っている。本稿では,長寿命化計画の内容及び農村振興局の取り組みの一つであるマニュアル整備の内容について紹介する。.地すべり防止施設の長寿命化計画長寿命化計画は,防止施設を適切に管理することで,防止施設に求められる機能を長期にわたり維持させるための計画である。農村振興局では長寿命化に係るマニュアル整備の一つとして,長寿命化計画を作成する際の基本的な考え方や手順を示した「地すべり防止施設の長寿命化計画策定の28写真―集水井内の異常湛水地盤工学会誌,―() 寄図―稿長寿命化計画策定のフロー2)手順書(案)2)(以下,手順書(案)という)」を作成し,平成 28 年に公表した。この手順書(案)では,目視による施設の機能診断結果に基づいた長寿命化計画の策定図―作成)を原則としており,機能診断で把握した防止施設の健全度や,保全対象の重要度を考慮して対策内容を決めることとしている(図―)。防止施設の機能診断調査フロー(文献6)をもとに表―各段階での機能診断調査の概要(文献6)をもとに作成)施設の機能保全の方法については,農業水利施設等では劣化曲線を考慮した予防保全が導入されているが3),防止施設については劣化による機能低下の予測が困難であるため,現時点では事後保全を基本とし,施設の機能を保全することとしている。今後,機能診断のデータを蓄積することで将来的に予防保全を導入することを目標としている。.地すべり防止施設の機能診断方法.おわりに長寿命化計画の策定をする際に必要となる,各工種の地すべり防止施設の長寿命化に向けたストックマネジ機能診断方法と機能回復方法を整理した「機能保全の手メントサイクル確立の取り組みは緒に就いたばかりであ引き」を,抑制工及びアンカー工については公表していり,今後,本稿で紹介した参考文献等を活用した長寿命る4),5)。さらに擁壁工や堰堤工等の6 工種についても,化計画策定の推進を期待する。なお,参考文献は農林水機能診断手法までを記載した手引きを平成 28 年に公表産省農村振興局の HP( URL http://www.maff.go.jp/している6)。j/nousin/index.html)で公開している。各工種の機能保全の手引きでは,機能診断の現地調査を「日常管理」,「概査」,「詳細調査」に区分し(図―),段階的かつ継続的に実施する中で,施設の機能を適切に維持管理していくこととしている。表―に機能診断における現地調査の各区分の概要を示す。手順書(案)では長寿命化計画を作成する際の機能診参1)2)3)断としては,概査レベルを実施することが,将来的に予防保全を導入するために望ましいとしているが,平成32 年度までに実施することが困難である場合は,より4)5)簡易なレベルの機能診断結果を利用して計画策定することも可能としている。6)考文献農林水産省農村振興局インフラ長寿命化計画(行動計画),2014.農林水産省農村振興局農村環境課地すべり防止施設の長寿命化計画策定の手順書(案),2016.食料・農業・農村政策審議会農業農村整備部会技術小委員会農業水利施設の機能保全の手引き,2015.農林水産省農村振興局農村環境課地すべり防止施設の機能保全の手引き~抑制工編~,2013.農林水産省農村振興局農村環境課地すべり防止施設の機能保全の手引き~アンカー工編~,2015.農林水産省農村振興局農村環境課地すべり防止施設の機能保全の手引き~その他工種編~(暫定版),2016.(原稿受理May, 20162016.2.11)29
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  • タイトル
  • R言語を用いた信頼性解析
  • 著者
  • 佐藤 周作
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 30〜31
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71848
  • 内容
  • R 言語を用いた信頼性解析Reliability Analysis using R language佐藤周作(さとうしゅうさく)学生編集委員(新潟大学大学院). は じ め にある。特に地盤構造物においては地盤材料の特性を考慮しなければならない。地盤材料は鋼やコンクリートに比国内外の土木・建築の設計法が信頼性解析法に基づいべて不確実性が大きい。このことは,筆者も学部生時代たものに移行しようとしている。このような背景の中,に行った地盤工学の学生実験の際に体感している。同じ筆者が所属する研究室では,地盤構造物の信頼性解析手試験条件で,もう一度試験を行っても同じ試験結果にな法の改善提案を進めている。ることはなかった。構造工学分野の信頼性解析では荷重本城( 2015 )1) で述べられているように,今日の信頼側の不確実性が問題となり,材料(抵抗)特性に関して性解析ではコンピューターを使ったモンテカルロシミュは,物理的な不確実性も統計的不確実性も小さく,かつレーション(以下, MCS )による確率計算が主流にな定量的に把握されている材料とみなされる場合が多い。っている。 MCS とは十分な数のサンプルを乱数によっこれに対し,地盤材料はサイトごとに材料特性を調査・て生成し,それを用いて所与の性能関数を計算すること決定しなければならず,その材料本来もっている空間的で構造物の破壊確率を算出する方法である。ばらつきも工業製品である鋼やコンクリートより遥かに筆者の研究室では,統計解析に特化したプログラム言大きい。構造工学分野で発展してきた信頼性理論をその語である R 言語を使用して MCS 等の信頼性解析を行まま地盤工学分野に適用するのではなく,地盤構造物のっている。筆者は研究室に配属されるまでプログラミン特徴に即した方法を取る必要がある2)。グの経験が殆どなかったが,R 言語は直感的かつ簡単に計算を行うことができるため R 言語によるプログラミングにすぐ慣れることができた。R 言語とは,ニュージーランドのオークランド大学統.信頼性解析国内外の設計基準は,従来設計法の確定値による照査から,構造物の耐力と荷重の不確実性を考慮した確率論計学科 Ross Ihaka とアメリカのハーバード大学生物統による照査法である信頼性設計へと徐々に移行している。計学科 Robert Gentleman により開発が始められた統計比較的容易に信頼性解析を行う方法としては,レベル 2解析ソフトウェアである。主な利点をまとめると以下の法( FORM, FOSM )がある3) 。レベル 2 法は,構造物ようになる。の信頼性を信頼性指標 b によって評価するものである。・オープンソースソフトウェアであり,誰でも無償で利レベル 2 法では各不確実性を平均値,分散,共分散に用可能である。・ベクトルや配列の操作に特化していて Fortran の Doループのような操作を必要としない場合も多い。より記述するが,基本変数の確率分布が正規分布に従うと仮定するなど,仮定条件にもとづいて展開された理論を用いており,適用は限定される。そのような理由から,・プログラミング初級者でも比較的扱いやすい。前述のように今日の信頼性解析では MCS による破壊確・グラフィック機能に優れており,データの可視化ツー率の算出が行われることが多くなっている。 MCS ではルとしても非常に優れている。性能関数が複雑な非線形の場合でも,比較的容易に対応元来,ばらつき,誤差などの不確実性を多く含む地盤できる。以下に MCS の具体的な手順を示す。工学分野において,有効なプログラム言語になると考え1.分布に従った性能関数に用いられる確率変数サンプルの生成られる。また,やや難解な統計理論を勉強する際も,R言語で実走しながら理論を考えると理解が進む。今では,2.生成したサンプルによる所与の性能関数の計算毎日の研究生活に欠かせないものになっている。3.計算結果を集計し,構造物の破壊確率を算出本稿では,R 言語のひとつのアプリケーション例としR 言語では,一般に用いられるほぼすべての確率密度関て,地盤構造物の信頼性解析の概略を説明し,最後に R数に従うサンプルを乱数発生関数で生成することができ言語を使った MCS による信頼性解析法について,簡単るため,以上の手順で容易に構造物の破壊確率を計算すな杭の鉛直支持力問題を例に紹介する。ることができる。.地盤構造物の不確実性信頼性解析では,不確実性を適切に定量化する必要が30.例題杭の鉛直支持力最後に,図―に示すような簡単な杭の鉛直支持力問地盤工学会誌,―() 寄図―表―稿杭の鉛直支持力問題例題の計算条件図―R 言語による MCS プログラム実行画面題について R 言語を用いて MCS により破壊確率 Pf を算出する。また,比較のため信頼性設計レベル 2 のFOSM による信頼性指標 b の算出も行う。周面摩擦力を Rside,先端支持力を Rtip,荷重を S とすると,杭の鉛直支持力の性能関数 M は次のようになる。R=Rside+Rtip …………………………………………(1)M=R-S ………………………………………………(2)M は杭の破壊に対する余裕を表し,M≦0 で,杭が破壊に至る。ここで仮定した計算条件を表―に示す。今回の例題では 3 つの基本変数が独立かつ全て正規分布に図―MCS による破壊確率の計算(R 言語による出力)従うとする。以上の条件より破壊確率の算出を行う。. MCS による破壊確率の算出ているため,MCS によって算出した Pf とほぼ同じ結果図―に R 言語による MCS のプログラムを示す。となった。計算条件の入力を除けば,わずか 6 行で破壊確率を算出することができる。また, 10 万個のサンプルを生成したが計算時間は非常に短かった。計算の結果,破壊確率 Pf=0‚0492となった。図―に MCS の結果を R- S 平面上にプロットした散布図を示す。R=S の直線より上にある点のサンプルは杭が破壊した場合を示している。.おわりに本稿では,信頼性解析の概略と R 言語による簡単な計算例を示した。R 言語は無償で利用することができ,表計算ソフトのように扱うこともできるので是非一度利用してみて欲しい。本稿作成にあたり新潟大学 大竹雄准教授に執筆のご. FOSM による破壊確率の算出助言など,多大なご協力を賜りました。ここに記して感次に MCS による算出結果との比較のため,信頼性解謝の意を表します。析レベル 2 の FOSM により信頼性指標 b を算出する。信頼性指標 b は破壊点( M = 0 )から平均値 mM までの距離を,標準偏差 sM によって正規化したものである。したがって図―の杭の鉛直支持力問題では信頼性指標b は次のように計算される。b=mRtip+mside-mS=1.65 ……………………………(3)s 2Rtip+s 2Rside+s 2SPf=F(-b)=0.0491 ……………………………………(4)ここで, F は標準正規分布関数である。例題は,性能関数が線形かつすべての基本変数が正規分布に従うとしMay, 2016参考文献1)本城勇介地盤工学における信頼性設計法に関する研究の展開と課題,地盤工学会誌,Vol. 63, No. 5, No. 688,2015.2) 本城勇介・大竹 雄・加藤栄和地盤パラメータ局所平均の空間的ばらつきと統計的推定誤差の簡易評価理論,,Vol. 68, No. 1, pp. 41~土木学会論文集 C(地圏工学)55, 2012.3) 星谷 勝・石井 清構造物の信頼性設計法,鹿島出版会,pp. 80~82, 1986.(原稿受理2016.2.29)31
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  • 平成27年度地盤工学会賞受賞者の決定
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  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 32〜34
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71849
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  • 平成年度地盤工学会賞受賞者の決定平成27年度地盤工学会賞受賞者が,平成28年 3 月15日の理事会において下記のとおり決定いたしました。なお,学会賞は 6 月 8 日の第58回通常総会で授与いたします。【環境賞部門】賞の区分(敬称略)受賞業績名/業績発表文献丸太打設液状化対策カーボンストック工法(LPLiC 工法)―丸太打設による液状化対策と地球温暖化緩和策―地盤環境賞(技術)受賞者名株飛島建設株兼松日産農林株昭和マテリアル授賞理由本業績は,近年の都市災害の重点課題の一つである液状化問題と,重大な地球環境問題の一つである地球温暖化につながるCO2 削減に対して有効な,丸太を地盤中に圧入し地盤の密度を増大させ液状化抵抗を増強する工法である。成長中に木に蓄えられた炭素を地中に半永久的に貯蔵でき,工事の実施自体が地球温暖化緩和策となる丸太を用いるという古い技術を基に,最近の技術を取り入れ,間伐材を有効活用できる,信頼性の高い現代版の設計・施工法を新たに確立した。以上より,本業績は社会的貢献度・独創性が極めて高く,地盤環境賞としてふさわしいと認められた。【技術賞部門】賞の区分受賞業績名/業績発表文献受賞者名仙台市2011年東北地方太平洋沖地震により被災した仙台市の造成宅地の調査・復旧対策設計プロジェクト技術業績賞仙台市宅地保全審議会技術専門委員会(東北学院大学) 飛田善雄株 復建技術コンサルタント 佐藤真吾株応用地質三嶋昭二株 門田浩一パシフィックコンサルタンツ仙台市造成宅地滑動崩落緊急対策事業等設計共同体株 センシン技術ほか 7 社) 小原((事業)亙授賞理由本業績は,2011年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた造成宅地の調査・復旧対策設計を目的として行われたプロジェクトである。本プロジェクトは,官学民が一体となり,滑動崩落現象の発生要因の調査・分析,調査・設計方法に対するガイドラインの作成を行うだけでなく,対象となる地域の住民の意見・要望を収集し,住民の合意形成の一助となった。これらの活動は,被災地の復興に大きく貢献し,かつ,地盤工学の進展に大きく寄与していると言える。また,得られた成果は国の宅地耐震化推進事業の新たな技術指針に取り入れられ,今後の宅地の安全性向上に寄与することも期待される。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。文化財城郭石垣の修復復元に当たっての多様な意見調整と地盤工学的解析結果の導入技術業績賞(技術)新谷洋二(東京大学名誉教授)田中邦煕(日本城郭協会)授賞理由本業績は,文化財城郭石垣の修復復元において,耐震性向上のための地盤工学的定量的解析結果の導入,文化財の保護,都市再開発のバランスを考慮した修復復元を行ったものである。城郭石垣の修復復元が行われる際,地盤工学的知見が反映されることは少なく,発掘調査などで明らかになった通りに復元することが重視され,修復箇所が崩落を繰り返したことも多い。本業績では,もたれ擁壁設計法を適用することで石垣の安定性を検討し,置換,安定処理,補強材等を用いて修復を行った。また,その実施においては,多様な意見の調整を行い,文化遺跡の保護と都市再開発の観点にも配慮がされた。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。地盤特性を考慮した斬新な施工法を適用した大断面シールドトンネルの分合流部構築技術(中央環状品川線 五反田出入口)技術業績賞(技術)32株首都高速道路鹿島・熊谷・五洋特定建設工事共同企業体授賞理由本業績は,詳細な数値解析や現場実験をもとに厳しい制約条件に応じた最適な手法を議論し,設計施工上の課題を克服したものである。本業績は,このような困難な事業を安全かつ合理的に実施しただけでなく,そのプロセスに地盤工学の知見に基づく独自の検討が認められる。また,交通状況改善を狙ったプロジェクトにおいて新規路線の工期短縮を実現した本業績は,渋滞緩和など中央環状線整備効果の早期発現に結びつくものであり,社会的貢献度が極めて高いと評価される。さらに本業績の検討プロセスや考え方は,今後の都市部のインフラ高度化に大いに参考になるものである。以上より,技術業績賞としてふさわしいと認められた。地盤工学会誌,―() 国内の動き賞の区分受賞業績名/業績発表文献受賞者名加納敏行((一財)先端建設技術センター)株 大林組)浜井邦彦(株 大林組)森田晃司(株 大林組)黒岩正夫(がれき残渣の有効活用によるアップサイクルブロックの開発株 大林組)山田祐樹(株 大林組)川本卓人(株)五十嵐寛昌(鹿島建設株)井尻裕二(大成建設株)久野達彦(清水建設技術開発賞株 熊谷組)吉村丈晴(授賞理由本業績は,平成23年 3 月11日の東日本大震災によって発生した,リサイクルや焼却処理ができない大量のがれき残渣による最終処分場のひっ迫した問題と被災地の復興事業に係る盛土材不足の問題を同時に解決できる技術である。各種の実験や試験によって,盛土の中詰め材としての強度,長期耐久性,周辺環境への安全性などが検証され,製造方法や施工方法についても確立されている。また,品質管理マニュアル,設計・施工マニュアルを整備し,実用化している。今後も,積極的にその普及を推進する必要があり,同種の災害発災後の活用に期待するところは極めて大きいと考えられる。以上より,技術開発賞としてふさわしいと認められた。【研究・論文賞部門】賞の区分受賞業績名/業績発表文献補強土構造物の性能設計に関する研究受賞者名宮田喜壽(防衛大学校)授賞理由本業績は,補強土構造物の設計に関する長年の研究を積み重ね,包括的な設計法へとつなげた貴重な成果である。本業績は,研究業績賞体系的に取りまとめるのが難しいこの課題に対して,理論の構築,設計手法の提案,実大実験との比較検証など緻密に取り組み,問題解決に結びつけている。補強土壁構造物の設計に関する包括的かつ具体的なこの業績は,実務に直結かつ非常に有用であり,貢献度が極めて高いと評価される。さらに,地盤補強技術が性能設計へ移行するための重要な課題を提起し,現行設計モデルの精度を確認したうえで補強材力のモデルを構築したことは学術的にも評価される。以上より,研究業績賞としてふさわしいと認められた。富樫陽太((公財)鉄道総合技術研究所)三軸試験による岩盤の変形異方性の特定方法論文賞(和文部門)菊本 統(横浜国立大学)谷 和夫(東京海洋大学)授賞理由本論文は,岩盤の剛性異方性の方向と程度を「一回の試験」で「正確に決定」する全く新しい方法を提案したものである。提案した異方性の特定方法は,三軸試験において軸対称性を満足しない変形挙動を敢えて計測・分析することで異方性の方向と程度を逆算する。この逆転の発想から生まれた提案手法はシンプルでありながら独創的であり,載荷方向を変えた複数の試験から岩盤異方性を推定する既往の実験・調査技術に比べて,コストと精度の両面を飛躍的に改善する手法として大いに評価できる。また,提案手法は,岩盤に限らず土やコンクリート,その他の異方性材料に応用可能な普遍的な技術であり,その応用範囲は極めて広い。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。株)平田昌史(前田建設工業株)吉田敬司(前田建設工業真空圧密工法を施工した超軟弱地盤の長期沈下予測株 ネクスコエンジニアリング東北)澤野幸輝(―白竜湖地区試験盛土の FEM 解析―株 ネクスコエンジニアリング東北)菊池慎司(株)加藤真司(東日本高速道路論 文 賞(和文部門)太田秀樹(中央大学)授賞理由本論文は,山形県白竜湖地区の超軟弱地盤帯において真空圧密工法により施工された道路盛土に対し,供用開始から20年後までの長期沈下量を二次元の FEM 解析を用いて予測したものである。拡張型の弾・粘塑性構成モデルを使用することで真空圧(プレロード)除荷後の長期沈下を連続的に計算・予測した結果,現場の動態観測結果を精度良く再現し,信頼性の高い予測値が得られた。地盤物性パラメータの設定方法や地盤・盛土のモデル化など,今後の FEM による予測解析等において広く活用できる貴重なデータを含むことから,本解析手法を活用することで,維持管理等を考慮した経済的かつ安全な道路盛土の施工方法等が事前に検討できる。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。擁壁の地震時変位量評価手法と鋼矢板による耐震補強効果の検証―兵庫県南部地震の被害事例を対象とした解析的検討―論文中島 進((公財)鉄道総合技術研究所)古関潤一(東京大学)渡辺健治((公財)鉄道総合技術研究所)舘山 勝((公財)鉄道総合技術研究所)賞授賞理由本論文は,既設擁壁の鋼矢板による耐震補強効果のモデル化を行い,さらに,兵庫県南部地震における実被害擁壁の検証解(和文部門)析を行ったものである。筆者らは従来から遠心模型実験を実施しており,本研究では,解析結果と実験結果を比較することにより,提案モデルおよび解析手法の妥当性を検証している。さらに,提案手法を実被害擁壁に適用し,実現象の再現可能性も確かめている。具体的には,提案する擁壁の地震時変位量評価手法が,実際の擁壁の被害程度を比較的良好に再現できること,矢板による補強で擁壁の転倒安定性を向上できること,矢板による補強で実物大の既設擁壁の補強が可能であることを示した。この様に,本論文は理論的信頼性と実問題への適用可能性が良く示されている。以上より,論文賞(和文部門)としてふさわしいと認められた。May, 201633 国内の動き賞の区分受賞業績名/業績発表文献受賞者名肥後陽介(京都大学)李Study of dynamic stability of unsaturated embankments with diŠerentwater contents by centrifugal model tests論文忠元(国家民防衛災難安全教育院(韓国))株)土井達也(JR 西日本コンサルタンツ株 建設技研インターナショナル)衣川哲平(木村亮(京都大学)木元小百合(京都大学)賞岡二三生(京都大学名誉教授)(英文部門)授賞理由本論文は,不飽和盛土の含水状態が動的載荷時の安定性に及ぼす影響について,遠心模型実験により検討したものである。異なる含水状態の盛土に遠心場で動的荷重を作用させ,盛土の変形モードとそのメカニズムを示している。特に,不飽和土の特性についても相似則を考慮して遠心模型実験を行った点は独創性が高い。主要な結論として,高含水比の盛土は,せん断変形に加えて,天端下部での大きな体積圧縮による沈下によって破壊が進行することを示しており,有用な知見を与えている。また,数値解析手法の妥当性の検証のためのベンチマークとしての利用も今後期待できる。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。SEVERAL FACTORS AFFECTING SEISMIC BEHAVIOUR OF榎本忠夫(国土技術政策総合研究所)EMBANKMENTS IN DYNAMIC CENTRIFUGE MODEL TESTS佐々木哲也((国研)土木研究所)授賞理由本論文は,砂質土またはシルト質土で構築された山岳部の谷埋め道路盛土の耐震性に及ぼすいくつかの要因について,国内論 文 賞(英文部門)最大級の動的遠心力載荷装置を用いて実験的に検討し,新しい学術的な知見および今後の盛土の性能設計に資する提言を行った論文である。具体的には,盛土の耐震性には,浸透水位,支持地盤の傾斜角度が大きく影響するとともに,締固めの効果や構成土質材料の粒度特性への配慮,基盤排水層等の設計や施工に係る事項についての定量的効果を明確にした。特に,従来の実験では困難であった実物換算高さ15~30 m 相当の盛土も対象として,前述の事項の実験的結果を得ている点は極めて新規性がある。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。Estimation of compressive strength of cementtreated marine clays with土田diŠerent initial water contentsTang, Yi Xin孝(広島大学)湯株)怡新(関門港湾建設授賞理由本論文は,セメントによる固化処理を行った浚渫粘性土の一軸圧縮強さの推定式を,コンクリート分野における Gelspace論文賞(英文部門)ratio theory を拡張し,体積固体分率(Volumetric solid content)という新たな指標を用いて提案したものである。様々な改良土を対象とした実験結果に基づいて提案式の妥当性を検証するとともに,間隙構造が強度に及ぼす効果に関するパラメータが通常のセメント改良土と軽量混合処理土とで明確な違いがみられることなどの学術上重要な知見が得られている。また,東京国際空港 D 滑走路建設プロジェクトの配合試験データへの適合性から,実務への高い適用性も示されている。以上より,論文賞(英文部門)としてふさわしいと認められた。杭中間部に節部を有する節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭の開発研究奨励賞株 大林組技術研究所)渡邉康司(授賞理由本業績は,重力場・遠心場における模型実験および数値解析により,節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭の基礎的な支持力メカニズムを詳細に把握したものである。また,基礎的研究と併せて提案する杭体の実大載荷試験を実施し,所定の品質および形状を確保した節付き場所打ちコンクリート杭および節付き壁杭が施工できることを確認するとともに,中間支持層に設置した節部の押し込み・引抜き抵抗を実測・確認が行われている。このように,杭の押込みおよび引抜き抵抗機構を解明し,実務において適用可能な支持力評価方法を構築したことは基礎工学上の大きな貢献である。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。Soilwaterair coupled ˆnite deformation analysis based on a ratetypeequation of motion incorporating the SYS Camclay model吉川高広(名古屋大学)授賞理由本業績は,土骨格・間隙水・間隙空気の三相混合体の運動方程式に対して土骨格に対する物質時間微分をとり,土骨格の加研究奨励賞速度の時間微分項を有する不飽和土の速度型運動方程式を新たに書き下している。また,土の不飽和状態の一つとして知られる,サクションがゼロであっても空気が気泡として水中に封入された状態から飽和度100の完全飽和土までの解析が可能となるよう,飽和度を陽に未知数にして扱う手法を提案し,緩詰め砂の非排水非排気せん断試験のシミュレーションを通じて,既往の不飽和土の解析手法では全く表現できない封入不飽和状態における飽和度の上昇過程を表現している。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。Localised deformation in a widegrained sand under triaxial compressionrevealed by Xray tomography and digital image correlation研究奨励賞高野大樹((国研)港湾空港技術研究所)授賞理由本業績は,地盤材料の変形・破壊を X 線 CT による三次元イメージング手法と全領域測定法の一種である Digital ImageCorrelation(DIC)を組み合わせ,これまで困難であった供試体内部の局所的かつ三次元的な変形挙動を供試体全領域において可視化し,さらに定量的な評価を可能としている。当該論文で提案されている手法を用いることで,詳細な局所化過程の定量的評価を可能にしている。特に,ピーク前の応力状態で供試体内に複数存在するせん断ひずみの卓越した領域が存在することを示した例は過去に無く,今後の粒状体材料の強度発揮メカニズムの解明に大きく寄与するものである。以上より,研究奨励賞としてふさわしいと認められた。計15件(注受賞者の所属は応募当時,掲載は応募順による)34地盤工学会誌,―() 国内の動き平成年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者の決定平成27年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者が,平成27年 3 月15日の理事会において下記のとおり決定いたしました。なお,優秀賞は 6 月 8 日の第58回通常総会で授与いたします。【「地盤工学会誌」年間最優秀賞】(敬称略)受賞業績名/業績発表文献「地盤工学における信頼性設計法に関する研究の展開と課題」/平成 27年 5 月号掲載(総説)受賞者名本城勇介(岐阜大学)授賞理由地盤工学における信頼性設計法に関する基本的な考え方,現状の問題点,今後解決すべき課題について平易に記述されており,総説としてふさわしい記事であることから,多くの読者に支持されました。【「地盤工学会誌」優秀賞】「放射性廃棄物処分に対する地盤工学の役割」/平成27年 6 月号掲載(総説)小峯秀雄(早稲田大学)授賞理由放射性廃棄物処分の歴史と東日本大震災以降の問題に関する総説で,放射性廃棄物処分に対して今後の地盤工学が果たすべき役割について平易に記述されており,総説としてふさわしい記事であることから,多くの読者に支持されました。「災害廃棄物の特性を考慮した土質試験法の検討」/平成27年 1 月号掲載(報告) 藤川拓朗(福岡大学),今西肇(東北工業大学)授賞理由災害廃棄物に対し,通常の土質試験を適用する上での問題点を指摘し,災害廃棄物の特性を考慮した土質試験法を検討したものであり,実務的な有用性が高いと評価され,多くの読者に支持されました。(注受賞者の所属は掲載当時)May, 201635
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  • 平成27年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者の決定
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 35〜35
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71850
  • 内容
  • 国内の動き平成年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者の決定平成27年度「地盤工学会誌」優秀賞受賞者が,平成27年 3 月15日の理事会において下記のとおり決定いたしました。なお,優秀賞は 6 月 8 日の第58回通常総会で授与いたします。【「地盤工学会誌」年間最優秀賞】(敬称略)受賞業績名/業績発表文献「地盤工学における信頼性設計法に関する研究の展開と課題」/平成 27年 5 月号掲載(総説)受賞者名本城勇介(岐阜大学)授賞理由地盤工学における信頼性設計法に関する基本的な考え方,現状の問題点,今後解決すべき課題について平易に記述されており,総説としてふさわしい記事であることから,多くの読者に支持されました。【「地盤工学会誌」優秀賞】「放射性廃棄物処分に対する地盤工学の役割」/平成27年 6 月号掲載(総説)小峯秀雄(早稲田大学)授賞理由放射性廃棄物処分の歴史と東日本大震災以降の問題に関する総説で,放射性廃棄物処分に対して今後の地盤工学が果たすべき役割について平易に記述されており,総説としてふさわしい記事であることから,多くの読者に支持されました。「災害廃棄物の特性を考慮した土質試験法の検討」/平成27年 1 月号掲載(報告) 藤川拓朗(福岡大学),今西肇(東北工業大学)授賞理由災害廃棄物に対し,通常の土質試験を適用する上での問題点を指摘し,災害廃棄物の特性を考慮した土質試験法を検討したものであり,実務的な有用性が高いと評価され,多くの読者に支持されました。(注受賞者の所属は掲載当時)May, 201635
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  • 新規制定の地盤工学会基準案「過酸化水素水による土及び岩石の酸性化可能性試験方法」への意見に対する検討結果の報告
  • 著者
  • 地盤工学会基準部
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 36〜36
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71851
  • 内容
  • 資料―新規制定の地盤工学会基準案「過酸化水素水による土及び岩石の酸性化可能性試験方法」への意見に対する検討結果の報告地盤工学会基準部新規制定の地盤工学会基準案「過酸化水素水による土その結果は「室内試験規格・基準委員会」,「基準部会」及び岩石の酸性化可能性試験方法」を「地盤工学会誌」並びに「理事会」で審議・承認されました。ここに,そ平成 27 年 11 ・ 12 月合併号で公示し,基準案を学会ホーの結果(表―)をご報告致します。ムページに掲載して(公示期間,平成28年 1 月31日まで)会員の皆様から意見を募りました。いただいたご意見を,ご意見をいただいた会員の方々にお礼を申し上げるとともに,今後ともよろしくお願いします。基準案を作成した「過酸化水素水による土及び岩石の酸(原稿受理2016.3.3)性化可能性試験方法基準化 WG 」で検討しました上で,表―基準案に対する会員からの意見への検討結果なお,上記に加えて基準案中の「浸せき」という表記 5 箇所を「浸漬」に変更しております。これは,引用基準である「JGS 021136土懸濁液の pH 試験方法」での表記と統一するためです。地盤工学会誌,―()
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  • 地盤工学の「用語」に関するJIS 規格素案への意見に対する検討結果について
  • 著者
  • 地盤工学会基準部
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 37〜37
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71852
  • 内容
  • 資料―地盤工学の「用語」に関する JIS 規格素案への意見に対する検討結果について地盤工学会基準部地盤工学の「用語」に関する JIS 規格素案を「地盤工学会誌」平成27年 8 月号で公示し,規格素案を学会ホームページに掲載して(公示期間平成 27 年 10 月 31 日まで),会員の皆様から意見を募りました。いただいたご「理事会」で審議・承認されました。ここに,その結果(表―)をご報告致します。ご意見をいただいた会員の方々にお礼を申し上げるとともに,今後ともよろしくお願いします。意見を,規格素案を作成した「地盤工学表記法委員会」(原稿受理2016.3.3)で検討しました上で,その結果は「基準部会」並びに表―May, 2016地盤工学の「用語」に関する JIS 規格素案に対する会員からの意見への検討結果37
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  • 大型及び中型三軸圧縮試験
  • 著者
  • 古関 潤一
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 38〜39
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71853
  • 内容
  • 技術手帳大型及び中型三軸圧縮試験Largescale and Mediumscale Triaxial Compression Tests古関潤一(こせき東京大学. は じ め にじゅんいち)教授す例では,大きな粒子もそのまま切削することにより,滑らかな側面を有する円柱試料を直接採取でき,その上地盤工学会基準「土の三軸試験の供試体作製・設置方下端面を整形するだけで大型三軸圧縮試験の実施が可能法」( JGS 05202009)及び「粗粒土の三軸試験の供試になっている。なお,この例では試料の最大粒径が182体作製・設置方法」( JGS 05302009)では,それぞれmm8) であり,前述した大型供試体の限界値を超えてし直径10 cm 及び30 cm 程度までの円柱供試体を念頭におまっているので,次に述べる局所変位計測が重要となる。いた 基準 化が なさ れて いる 。前者 では 最 大粒径 が 20供試体が大きいと,その側面や内部に各種センサーをmm 程度以下の土に対応しているのに対し,後者では最設置して局所的な計測を行うことが比較的容易になる。大粒径が 20 mm 程度を超える土粒子を含む試料に対応している1)。直方体形状の大型供試体の側面に局所変位測定装置( LDT )9)と加速度計を設置した状況を図―( a)に示す。三軸圧縮試験における「中型」と「大型」の定義は筆この例では,反対側の側面も含めて鉛直方向に 2 組,者 の 知 る 限 り 存 在 し な い が , 本 稿 で は 上 述 し た JGS水平方向に 3 組の LDT を設置することで,供試体の変0520 における供試体寸法の上限規模が「中型」に相当形状況の不均一性等を評価することが可能になっている。し,さらに JGS 0530における上限規模が「大型」に相さらに,キャップを加振した際の弾性波の伝播を加速度当するものとする。これらの供試体と三軸セルの規模を計で測定することで,変形係数を動的に評価することも直径 5 cm の「小型」と対比させたものを口絵写真―できる。実験室内で締固めて作製した大型供試体の三軸( http: // urx.nu / bmG4 )に示す。例えば文献 2 )でも,試験で得られた礫質土の微小~大ひずみレベルにおける直径10 cm 及び30 cm の円柱供試体を用いた三軸試験をそれぞれ「中型」,「大型」と称している。以下に,これらの大きな供試体を用いることでどのよ変形挙動が,例えば文献10)に詳述されている。また,図―(b)に模式的に示す補強材を敷設した供試体の試験でも,局所変位計測や補強材張力の内部計測うな試験が可能になり,逆にどのような装置等が必要に等を併用することにより力学的挙動を詳細に評価できる。なり,何に留意しなければならないかを順に概説する。水平一方向の変形を拘束した大型平面ひずみ試験結果のなお,これらを大きく上回る直径 100 cm の円筒供試例が文献11)で紹介されている。大きな供試体であるこ体を用いる「超大型」の三軸試験装置も開発されている3) 。また,文献 4 ) ,5 )には各種のロックフィル材料・粗粒材料の大型三軸試験結果や超大型~小型試験の間での同一材料の試験結果の比較等が多数報告されており,文献 6 )には礫質土の力学特性に関する技術の現状報告等がとりまとめられているので参照されたい。.大きな供試体の試験で何ができるか前章で紹介した基準類でも規定されているように,大きな供試体の試験では大粒径の地盤材料を対象とすることが可能になる。文献 1 )に従い試料の最大粒径に対する供試体直径の比の下限値を5(均等係数が10程度の場合)及び 20 (粒径が比較的均一な場合)程度とすると,直径 30 cm の大型ではそれぞれ 60 及び 15 mm 程度までの最大粒径の試料を,直径 10 cm の中型では 20 及び 5mm 程度までを最大粒径とする三軸試験ができることになる。最近では,大粒径の礫質土地盤から乱れの少ない試料を採取する技術が開発されている7)。口絵写真―に示38図―直方体形状の供試体を用いた大型三軸試験( a )側面での計測例,( b )補強材を敷設する場合の例地盤工学会誌,―() 技術手帳とにより,実際の現場と同じ補強材と地盤材料の組み合の軸位置の差を検出し,これがゼロになるように油圧アわせを用いることも可能になる。このような試験は供試クチュエータを制御することで,変位制御時の載荷精度体内の応力・ひずみ分布が不均一になることを前提としを向上させている。このように工夫することで,図―ており,三軸セル内で行う模型実験と見なすこともできに示すような約 0.002 の軸ひずみ振幅での微小繰返しる。載荷と,その結果に基づく鉛直ヤング率の評価を可能と. 大きな供試体で試験するために何が必要か当然ではあるが,試験に用いる試料の量が大幅に増加している。.大きな供試体で試験する際の留意事項する。例えば直径 5 cm の場合と比較すると,供試体の供試体の高さが増すほど,その上端と下端での鉛直応直径と高さの比を一定に保つ条件下では,直径10 cm で力の差が自重の影響により増加する。低い拘束圧で試験は23 = 8倍,直径 30 cm では63= 216倍の試料が必要とを行う場合には,特に留意する必要がある。一方で,三軸セルが大きくなると,その内部に残る加なる。倍,62圧された空気の量も増えるので,高いセル圧で試験を行= 36 倍となるため,軸荷重の載荷能力を相応に増大さう場合ほど,この加圧空気を間違って放出しないように上記の例では供試体の断面積がそれぞれ22 = 4せる必要が生じる。また,供試体の高さが 2 倍,6 倍と十分な対策を講じる必要がある。あわせて,口絵写真―なることで軸変位量も大きくなるので,載荷軸のスト(a)及び口絵写真―に示すように試験装置の各部がロークを大きくする必要も生じる。大型化・重量化するので,それらを取り扱ううえで万全載荷軸のストロークを大きくすると,微小振幅での繰な安全管理を行う必要もある。返し載荷を変位制御で行う場合等に十分な精度を確保で一般には,供試体が大きくなるほど,その体積に対すきないことがある。これに対処するために,例えば図―る「メンブレンで覆われた面積」の比が低下する。そのに示すように大容量(この例では 490 kN )の油圧アため,同一の地盤材料で試験している場合には,メンブクチュエータとモーター駆動の微小繰返し載荷装置を組レンぺネトレーション(ゴムスリーブ貫入)13)の影響はみ合わせるシステムが開発されている12) 。このシステ小さくなる。しかし,大粒径の試料で試験するために大ムでは,ストロークは微小だが高精度な変位計で 2 つきな供試体を用いる場合には,相対的にこの影響が大きくなってしまうこともあるので,留意する必要がある。参1)2)3)4)5)6)図―油圧アクチュエータとモーター駆動の微小繰返し載荷装置の組み合わせを含む大型三主応力試験用制御装置(三軸試験装置に水平一方向の中間主応7)8)力載荷装置と拘束板を追加)の模式図12)9)10)11)12)13)図―図―に示した装置を用いた微小繰返し載荷試験考文献地盤工学会編地盤材料試験の方法と解説, pp. 562 ~563, 2009.小高猛司・板橋一雄・中島康介・牧田祐輝・李 圭太・上村俊英・坪田邦治・加藤雅也河川堤防砂礫の変形・強度特性の評価手法に関する考察,地盤工学ジャーナル,Vol. 5, No. 2, pp. 193~205, 2010.例えば,福島伸二・北島 明超大型三軸圧縮・平面ひずみ圧縮(中間主応力制御型三軸)試験機の開発,土と基礎,Vol. 48, No. 5, pp. 17~20, 2000.土質工学会編ロックフィル材料の試験と設計強度,287p., 1982.土質工学会編粗粒材料の変形と強度,431p., 1986.地盤工学会 礫質土の力学特性についての研究委員会編礫質土の力学特性に関するシンポジウム発表論文集,委員会主催シンポジウム No. 124, 254p., 2001.地盤工学会編地盤調査の方法と解説,p. 272, 2013.古関潤一・佐藤剛司・堤 千花・ Qureshi, O. H. トンネル掘削現場より採取した礫質土の微小変形特性,第42回地盤工学研究発表会講演概要集,CDROM, 2007.例えば,龍岡文夫・木幡行宏技術手帳「ベディングエラー」,土と基礎,Vol. 42, No. 9, pp. 53~55, 1994.地盤工学会編地盤の変形解析―基礎理論から応用まで―,地盤工学・基礎理論シリーズ 1, pp. 1~7, 2002.地盤工学会編補強土入門,入門シリーズ24, pp. 19~23, 1999.佐藤剛司・Anh Dan, L. Q.・古関潤一大型三主応力制御試験装置の開発,第36回地盤工学研究発表会講演概要集,pp. 545~546, 2001.例えば,田中幸久技術手帳「メンブレンぺネトレーション」,土と基礎,Vol. 42, No. 10, pp. 51~52, 1994.(原稿受理2016.1.19)の結果例May, 201639
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  • タイトル
  • 3. 奈良地域の災害の実態
  • 著者
  • 三田村 宗樹・鳥居 宣之・平井 孝治・鏡原 聖史
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 40〜47
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71854
  • 内容
  • 平成年度紀伊半島大水害の実態と教訓―「想定外」豪雨による地盤災害の軽減に向けた提言―.三田村宗樹(みたむら大阪市立大学平井孝鳥教授治(ひらい株 アテック吉村むねき)奈良地域の災害の実態居宣之(とりい神戸市立工業高等専門学校こうじ)技術部長鏡原聖のぶゆき)教授史(かがみはら株 ダイヤコンサルタントさとし)課長. は じ め に紀伊半島における台風 12 号に伴う 8 月 30 日 17 時からの総降水量は,広い範囲で1 000 mm を超え,奈良県上北山村にあるアメダスでは 72時間雨量が 1 652 mm ,総雨量は1 808 mm に達し,大台ケ原付近では解析雨量で2 000 mm を超えている1)。紀伊半島大水害の奈良県内の人的被災状況の概要は,死者14名,行方不明者10名,ピーク時避難世帯数359世帯に及んでいる1),2)。特に,紀伊半島の山地斜面では,3 000箇所に達する斜面崩壊が発生した。奈良県南部地域の崩壊は 1 800箇所を上回り,大規模斜面崩壊(崩壊面積 1 万 m2 以上,一部の斜面崩壊では河道閉塞を伴う,いわゆる深層崩壊)は 54 箇所認められ,そのうち 45 箇図―. 奈良県南部地域における崩壊地の分布3)をもとに作成所が四万十帯地層群の分布地域で生じた1)。熊野川流域の山地斜面(図―.)では,赤谷・長殿・宇井清水・天川坪内・野尻などをはじめとする大規模なん断変形を被り,頁岩は特に顕著なへき開面やせん断面が発達している。斜面崩壊が生じ,土石流化した崩壊土砂の流出や,河道以下に,現地調査を行った崩壊地区の状況を示す。閉塞( 16 箇所)に伴う水位上昇・段波の遡上などによ.. 天川村坪ノ内地区って大きな災害に至った1)。坪ノ内地区で生じた斜面崩壊は,天ノ川(熊野川)流本章では,「『想定外』豪雨による地盤災害への対応を域の斜面で生じた芦ノ瀬・坪内谷・冷水の 3 箇所であ考える調査研究員会報告書」4) をもとに奈良地域における(写真―.,図―.)。防災科学技術研究所の地する大規模斜面崩壊のいくつかの事例や,表層崩壊の傾向べり地形データベース7)によると,いずれの斜面も斜面とそのメカニズムの検討例,河川被害の代表的な被災箇変動地形が確認される箇所であり,斜面中部に緩傾斜の所の状況について解説する。. 大規模斜面崩壊の急斜面をなし,斜面下部は河床に向けて傾斜 40~50°斜面を形成していた。芦ノ瀬の崩壊は 9 月 3 日 20 時 30 分頃に発生,崩壊に奈良県南部地域の熊野川流域において,大規模崩壊がよる移動土塊は南東方向に移動し,芦ノ瀬谷南側斜面に多く発生したのは,日高川帯(四万十帯北帯)の白亜紀まで及び,谷中に一旦堆積した後,土石流となって天ノ付加体であり,特に大規模な崩壊が集中している地層は,川へと流下した。坪内谷の崩壊は 9 月 4 日 8 時 30 分頃美山層5) (美山付加コンプレックス6) )や花園層5) (花に発生,崩壊による移動土塊は坪内谷対岸にまで達し,園付加コンプレックス6))に相当する。美山層は,地層谷を閉塞させた。冷水の崩壊は 9 月 4 日 12 時 30 分過ぎの破断が著しいユニットで,泥質混在岩層はチャート・に発生,斜面崩壊で生じた滑動土塊は,天ノ川に流入,緑色岩(玄武岩)のブロックを伴い,特に破断が著し河道閉塞を生じさせている。これらの崩壊土砂流下後のい5),6)。花園層は,美山層とほぼ同時期に形成された付河川への影響は後節の河川災害で示す。加体であり,地殻のより深部に達したブロックがその後,坪ノ内地区の山地を主に構成する花園層は,基本的に梁瀬断層(スラスト)によって美山層よりも北側に配置玄武岩層,赤色頁岩層を伴う玄武岩質凝灰岩層(遠洋域したものとされる5)。このため,花園層はより大きなせの海底火山・海洋底堆積物),頁岩優勢層,砂岩頁岩互40地盤工学会誌,―() 講  座図―. 天川村坪ノ内地区の地質図(国土地理院 2 万 5 千分の 1 地形図「南日裏」を使用)を示すが,北東南西方向の背斜・向斜軸を持つ褶曲構造が認められる。向斜軸に沿って花園層の玄武岩層が分布しており,玄武岩層周辺部には断層が多数認められる。今回,生じた 3 箇所の大規模斜面崩壊域は,いずれも花園層の玄武岩層・玄武岩質凝灰岩層・頁岩層の分布範囲で,二つのユニット境界に近く,向斜軸近傍の両翼に位置する斜面で,構造変形を顕著に被った地域であることが分かる。このような向斜構造が存在するため, 3つの斜面の傾斜方向は異なるものの,いずれの斜面も概ね流れ盤に近い斜面となっている。今回の斜面崩壊の前の地形にも斜面変動地形が認められることから,上記の地質構造を素因として,斜面不安定化が以前から生じて写真―. 天川村坪ノ内地区の被災状況全景いたとみられる。.. 十津川濁谷地区層が下位から上位に重なる海洋プレート層序をなしてい濁谷地区(口絵写真―, http: // urx.nu / bmG4 )のる(図―.)。本地区では,これらの海洋プレート層序崩壊は標高900 m 付近の上流域斜面から標高650 m 付近に従った累重関係が 2 ユニット認められる。凝灰岩までが主要な崩壊域となり,崩壊した土砂は土石流とな層・赤色頁岩層,頁岩優勢層は全般に顕著なせん断作用って流下した。谷筋が屈曲する箇所では,屈曲部の小さを受け,メランジ相を形成している。これらのせん断構な尾根を土石流の一部が越流している。この崩壊にとも造は,大陸縁辺部での付加作用を受けた際に形成されたなって生じた長殿発電所の被害は後節で示す。ものとされる1)。坪ノ内地区周辺の地質構造は全般に東ないし北東傾斜May, 2016濁谷地区周辺は四万十帯の美山付加コンプレックス護摩壇山ユニット6)に相当する地層が分布し,地層の層理41 講  座写真―. 野尻崩壊地主要部の下限に露出する緑色岩ブロックて流下したものとみられる。写真―. 濁谷崩壊地冠頭部の破断の著しい砂岩頁岩互層.. 十津川野尻地区野尻地区の主要崩壊域は小原谷源頭部斜面の標高780m 付近の尾根部から標高 550 m 付近までである(口絵写真―)。主要崩壊域の南西部分には大きな移動土塊があり小山状に残留している。この移動土塊は崩壊前後の地形の特徴から,崩壊前に尾根の稜線付近にあったブロックであるとみられる。崩壊した土砂は十津川河床面の標高210 m まで土石流となって流下した。野尻地区周辺は,四万十帯の竜神付加コンプレックス寒川ユニット6)に相当する砂岩頁岩互層や緑色岩を含むで傾泥質混在岩などから構成され,概ね北西に 40 50 °斜している。標高550 m 以上の崩壊域主要部は主に泥質混在岩層から構成され,介在する傾向面の状況から崩壊域主要部は流れ盤状況を呈していたとみられる。崩壊域冠頭部付近は砂岩泥岩互層が露出し,崩壊主要部を占める泥質混在岩とは逆断層で接するとみられ,主要崩壊域は断層運動に伴う破砕・せん断作用を被った領域にあたり,斜面上方からの雨水の地下浸透を促す状況があった。写真―. 濁谷崩壊地北側滑落崖の露岩状況と湧水一方,標高 450~550 m の崩壊域主要部の下方には緑色岩の大きなブロックが位置している。写真―.に緑色面や 傾向 面( へき 開面 やせ ん断面 )は 全 般的に 60 ~岩ブロックがなす急崖を示す。この写真左上側に崩壊主で概ね北傾斜を示す。崩壊主要部には主として砂岩70°要部が存在する。緑色岩ブロックは崩壊地内で急崖をな頁岩互層が分布する。全般的に破断が著しく,砂岩はブす硬質な岩盤で,周辺の岩体に比べ透水性の低い部分でロック化し,レンズ状を呈するものが多い(写真―.)。あるとみられる。このことから,崩壊域主要部の下端に頁岩部分にも緩やかにたわむへき開面やせん断面が発達介在する緑色岩ブロックで遮水される形でこれより上位している。崩壊冠頭部の滑落崖には,これらの地層を切の領域で地下水位上昇が顕著に生じたものとみられる。る東西方向の高角断層が多数認められる。断層群近傍で.. 付加体における大規模崩壊素因のまとめは地層にたわみが生じ,走向傾斜が変化し,特に破断が紀伊半島における大規模斜面崩壊に関わる付加体の基著しい。断層群は,濁谷下方の熊野川左岸沿いの露頭で本構造と紀伊半島大水害で生じた大規模斜面崩壊の調査も認められ,濁谷の主の方向と一致している。結果をもとに大規模崩壊に関わる素因についてまとめる冠頭部の北部には,すべり面とみられる平滑面が露出と,「脆弱さ」,「大規模化を促す構造方位」,「水文」のし,破砕部が認められる。この破砕部は幅 2 m 程度で,3 つの条件に区分される(口絵写真―)。大規模崩壊写真―.に示すように,緩やかにたわむ破断面が多数の発生には,このような地質的・水文的な条件が単独で認められ,破断部の傾斜が大きくなる箇所で湧水(写真はなく,複合することによって生じている。和歌山・三中央下部の暗部)を生じ,褐色化を呈している。重両県の大規模斜面崩壊の調査結果については,後章を濁谷標高650 m 付近より下方には,酸性凝灰岩層や砂岩層が分布し,崩壊域主要部に比べて硬質な岩体で構成参照されたい。脆弱さの条件される。このことから,断層変形を受け,変形,擾乱の付加作用にともなって,付加体はスラストを伴う構造著しい砂岩頁岩互層部分が不安定化し,大規模な崩壊が的な累重が顕著に発達する。このようなスラストの発達生じ,硬質な岩盤からなる谷下部に沿って土石流となっは,脆弱で崩壊しやすい岩質を生み出している。特に紀42地盤工学会誌,―() 講  座伊半島北部に分布する日高川帯などでは,地殻深部まで顕著にせん断を受け,割れ目の発達した泥質岩は地下達し,その後に上昇した経緯を持ち,せん断が顕著であ水の滞留部となり,この部分の滞留が進むことによってる。また,スラストシートの下部を構成する泥質部では大きな水圧が岩盤内に働き,不安定化を生じさせる。泥脆弱化した領域が厚く発達する。紀伊半島南部を構成す質岩の下位に厚い砂岩層が発達する場合や泥質混在岩内る比較的新しい音無川帯・牟婁帯では,南にいくほどせに含まれる大きなチャート・緑色岩の硬質な岩体などは,ん断・変形は顕著でなくなるもののスラスト周辺部では難透水部として働き,すべり面の下位に位置したり,斜初生的構造が乱されている(次章の和歌山地域で報告)。面下端部に位置する状況,向斜構造が発達する箇所などさらに,付加体形成後に生じた新第三紀以降の断層や褶では,泥質岩から構成される斜面内に地下水を滞留させ曲軸周辺部では,顕著なせん断を伴い脆弱化している領やすくなる。域が存在する。大規模化を促す構造方位の条件生じた多くの大規模斜面崩壊は,6 割以上が流れ盤をなす面構造が発達する斜面であった。上記の脆弱性は堆大規模崩壊の発生には,以上のような地質的・水文的な条件が単独ではなく,複合している。. 表 層 崩 壊積作用・付加作用にともなって形成された層理面・せん奈良県では,降雨の集中した県南部域を中心に 1 800断面やスラストの破砕部などの面構造が斜面に平行に発箇所を上回る斜面崩壊が発生した。このうち,大規模斜達する箇所であって,崩壊の大規模化を促している大き面崩壊は全体の 4 程度に過ぎず,ほとんどは 1 万 m2な要素である。また,これだけではなく,新第三紀以降以下であった8) 。現地踏査より,写真―.に示すようの断層は断層面の傾斜が高角なものが多く,崩壊の側方に表層崩壊を起こした斜面は幅10~30 m,長さ50~100崖や中軸部をなしている事例が多い。せん断がそれほどm のものが多く,比較的急傾斜かつ,それほど集水性顕著ではない音無川帯や牟婁帯では,層理面とそれらにの高くない斜面形状であった。また,細粒分の少ない砂直交して発達しやすい節理面の組み合わせに規制される質礫の材料が比較的多かった。ほか,新第三紀以降の付加体構造を切る断層や大きな変.. 崩壊地と雨量の関係形を伴う褶曲構造が生じている箇所での崩壊が目立つ。崩壊地3)と雨量との関係についてレーダーアメダス解水文条件析雨量を用いて分析した結果を図―.に示す,この結これらの大規模斜面崩壊は,記録的な豪雨によって生果から,1)積算雨量が450 mm 以上の先行降雨によってじており,これらの斜面に地下水が浸透し,滞留するこ斜面の飽和度が高まった状態で, 30 mm / h 以上の降雨とが大きな引き金になっていることは明らかである。上を受けた箇所,若しくは 2 )積算雨量が 600 mm 以上の記に示した,付加体に発達するせん断を顕著に受けた泥箇所で崩壊が多発したと推察された。また, 2011 年台質岩やスラストや高角断層周辺の破砕帯,層理面に直交風 12 号の雨は,時間雨量や日雨量で考えると 30 年確率して砂岩層に発達する節理系,方解石脈などの溶解にとであるが, 48 ~ 96時間雨量で考えると 150~ 200 年確率もなって形成された裂かなどは,雨水の地下浸透を容易となり,継続時間が長く総雨量が多い降雨特性が,崩壊にしている。特に大規模斜面崩壊域は,前駆的なクリー分布や形態に大きく影響を与えた可能性が高い。ただし,プ変動を生じているとみられ,斜面浅層の緩んだ岩盤は時間雨量が特に大きい箇所に崩壊が集中したという傾向開口亀裂を顕著にともない,雨水浸透が容易に岩盤内部は見られなかった。に達するものとみられる(写真―.,図―.)。.. 崩壊地と地形的特徴崩壊地の地形的な特徴を DEM などのデジタル地理データを用いて GIS で分析したところ,表層崩壊が発生した斜面の密度(崩壊密度)は 0.62 個/ km2 と総降雨量が多いにもかかわらず比較的小さな値となった。また,から40°の斜面において多く発生(図崩壊は傾斜角が35°―.)しており,斜面方位は東向き(北東から南東向図―. メランジュ内におけるすべりと岩盤の緩み域May, 2016写真―. 表層崩壊の状況(吉野郡上北山村小橡)43 講  座図―. 傾斜方向の度数分布(崩壊地)図―. 積算雨量 600 mm 以上,最大時間雨量 30 mm / h以上,最大観測雨量が観測されるまでの積算雨量が450 mm 以上と崩壊箇所図―. 斜面形状の概念図図―. 傾斜角の度数分布(崩壊地)き,図―.),斜面形状は図―.のように分類すると )と直線型・平行型(図凸型・尾根型(図―.中の◯ )が多かった(図―.)。このように,全―.中の◯体的に集水しにくいような形状の斜面で崩壊が多かった理由は,多雨地域である奈良県南部では比較的に崩壊し図―. 斜面形状の度数分布(崩壊地)やすい谷型形状の斜面は,これまでの過去の降雨により崩壊していた。これに対して,集水面積が小さく雨水が.. 表層崩壊メカニズムの検討集まりにくい地形条件の斜面では,多少の雨では土中が表層崩壊メカニズムを検討するために,傾斜角 40°の満水状態にならないが,今回のような積算雨量が 600斜面で崩壊深さ 1 m 程度の崩壊が発生していた野迫川mm を超えるような数 10 年に 1 度の豪雨により満水状村の崩壊地を対象に,現地調査,土質試験,及び数値解態となって崩壊に至ったと推察される。析を実施した。不飽和浸透流解析の結果を口絵写真―,図―.に示す。44地盤工学会誌,―() 講  座口絵写真―の飽和度分布から,最大時間雨量を観測図―.に示す。図―.から最小安全率を示す危険すした時刻では斜面全体に高飽和度帯が形成され, 90 べり土塊ブロックは,実際に崩壊した箇所と一致してい以上の飽和度を示していることが分かる。ただ,水位のる。図―.から斜面の安全率は積算雨量136 mm を超形成は図―.に示すように,斜面下部に位置しており,えると安全率が 1.13 と急激に低下し,積算雨量 300 mm崩壊が生じている斜面上部(図―.参照)にはほとんを超えると安全率が1.09に,さらに積算雨量600 mm をど水位の形成が見られなかった。この飽和・不飽和浸透超えて最大時間雨量を記録した時刻に1.06と最小となっ流解析結果を用いて安定解析9)を行った結果を図―.,ていたことが推察された。この時には斜面全体が飽和度90 程度に高まっており,高飽和化による自重の増加と見かけの粘着力の消失によって安定を失って崩壊したと予想される。.. 表層崩壊に関するまとめ奈良地域の付加体分布域で発生した表層崩壊の特徴をまとめると次のようになる。奈良県南部の付加体分布域において,台風 12 号の継続的な降雨によって降雨時には崩壊が発生しにくいような斜面形状(尾根型や平行型)の斜面表層が高飽和化することで安全率が低下した。この状況下で,さらに継続的な降雨により積算雨量が450~ 600 mm を超えた際に,時間雨量 30 mm 以上の強い降雨を受けた斜面では,自重の増加と見かけの粘着力の図―. 地下水位の状況(最大時間雨量観測時刻)消失によって崩壊発生に至ったと推察された。. 河 川 災 害奈良地域の河川付近で起きた災害は,豪雨による洪水被害というよりは大規模斜面崩壊とこれに伴う流木や土砂が河道内へ流入したことによって引き起こされた被害として特徴づけることができる。特に被害の大きかったのは熊野川流域である。熊野川は,山地の谷底を流れる川であり堤防構造はなく,所々に護岸や谷を渡る橋があり近傍に民家があるといった状況である。被災形態として,河川護岸及び背後地の削剥・落橋・土砂流入による埋没・河道閉塞による浸水などの被害がある。以下に代表的な被災箇所の状況を示す。.. 河川護岸及び背後地の削剥熊野川の最上流部天川村での被災状況を写真―.及び写真―.に示す。坪ノ内地区では 3 箇所の大規模斜面崩壊が発生した。このうちのアシノセ谷では,崩壊し図―. 最小安全率を示す危険すべり土塊ブロックと実際の崩壊箇所の比較図―. 安全率の変化と積算雨量の関係May, 2016た土砂が土石流となって河道に流れ込み,逃げ場を失った洪水が対岸の護岸とグラウンド及び宅地を削り取った。写真―. 天川中学校護岸及び背後地の削剥状況45 講  座写真―. 十津川村折立橋の落橋状況(下流側から撮影)写真―.下側がアシノセ谷からの土砂流入箇所,上側が天川中学校グラウンドと隣接の宅地で,刃物で削ぎ落とされたようになっている。この時,ここに居住されていた方が家ごと流され亡くなられた。時間雨量は前日と同じ 20 ~ 30 mm であり,土砂流入がなければ出水による河道の疎通能力はあったと考えられる。.. 橋の落橋橋梁の被災事例として十津川村の折立橋を挙げる。折立橋は,河川中央部が上路トラス橋で両岸部はプレートガーダー橋である。下流側から見た被災状況を写真―.に示す。右岸側プレートガーダー橋とこれに続くトラス橋が落橋した。残された左岸側トラス橋下弦材には流木がかかっており,河川水位がここまで上昇した痕跡写真―. 坪内谷に架かる橋の埋没状況(下流側から撮影)があった。落橋原因は,写真中央上方に深層崩壊した山肌が確認でき,この斜面崩壊によって多くの土砂と立木が河道内に流入しことによると考えられる。落橋過程は,湾曲部で水位上昇していたところにクリアランスの低いトラス桁に多くの流木がかかり,増大した流水圧の直撃を受けてトラス桁が落橋し,プレートガーダー橋も巻き込まれたと考えられる。.. 土砂流入による埋没斜面崩壊した土砂の流入により下流河道が埋没した事例として坪内谷の崩壊箇所下流部の被災状況を示す。坪内谷は熊野川の左支川である(写真―.参照)。本川合流部まで300 m ほどあり,この間全線土石流で埋め尽くされた。写真―.は,本川合流部直前の谷に架かる橋写真―. 河道内の堆積土砂対策状況(長殿大崩)が埋没している様子で,中央の水しぶきを上げている部分が橋の高欄である。土石流は河道内にとどまらず隣の.. 河道閉塞による浸水天河大辨財天社禊殿の手水舎などを埋め尽くした。大規模斜面崩壊で流下した土砂により河道が閉塞し,河道内への流入土砂量が最も顕著だったのは十津川村上流の集落が浸水した例を写真―.に示す。写真に示宇井地区から宇宮原地区の約 5 km 間で,土砂堆積は約すように水没した民家の屋根部分が所々に見える。場所500万m3といわれており,河床高が10 m 以上上昇したは写真―.の天川村冷水の崩壊箇所である。崩壊土砂ところもある。土砂量が膨大過ぎて土捨て場がなく,河により約 4 時間にわたり河道が堰止められ,河床から道内に残されたままである。所々で実施された堆積土砂20.7 m まで水位が上昇した。この間,上流の天川中学の河道内処理(片岸に寄せて盛土整形)の例を写真―校を含む標高580 m の坪ノ内地区と南日裏地区一帯が水.に示す。河道内であるので,写真に示すように左岸没した。堰止めによる背水の影響は上流約 2.2 km まで側の盛土上流部が徐々に洗掘を受けている。及んだ。水没家屋については一度浮き上がったため基礎部が破壊し実質全壊状態のものも多数みられた。特徴的46地盤工学会誌,―() 講  座殿の長殿発電所の被災である。長殿発電所は,写真―.に示すように導水トンネルと建屋などの発電設備からなる水力発電所である。付近の状況として発電所の背後に国道168号線が走り,左手に鉄塔があり,右手国道上部に民家が見える。これに対し,被災後は写真―.のように発電所及び民家もろとも跡形もなくなっており,鉄塔が折れ曲がっている。鉄塔の折れ曲がる方向が上流側であることや,斜面の洗掘状況などから被災原因は以下のように推定されている。まず発電所の下流 1.5 km地点の大崩地区が崩壊し熊野川を堰止め,水位上昇したところに下流 1 km の濁谷地区の崩壊により多量の土砂が河道に流入した。この結果,河道内に溜まった洪水が写真―. 浸水ピーク時の状況(上流から坪ノ内地区を撮影)段波となって上流へ逆流し発電所を襲ったというものである。.. 河川災害に関するまとめここでは河川災害の被災形態として代表的なものを示した。こうした災害は大規模斜面崩壊が発生した 9 月 3日~4 日にかけて生じている。前日の 9 月 2 日にも同強度の降雨があったことを踏まえると崩壊による膨大な量の土砂や立木の河道流入が河川関連の災害原因と考えられる。参1)写真―. 被災前の長殿発電所の状況2)3)4)5)6)7)8)写真―. 被災後の長殿発電所の状況なのは写真に降雨の様子が見られないことである。これは台風による降雨が落ち着いた後に深層崩壊が発生したためである。洪水のピークは過ぎて流出量が減少していたにもかかわらず長時間の堰止めによりここまで被害が拡大した。9)考文献奈良県紀伊半島大水害の被害状況及び救援・支援活動状況(全体概要),入手先〈 http: // www.pref.nara.jp /secure / 72668 / 240224gaiyou.pdf 〉(参照 2012.04.01 ),2012.深層崩壊研究会平成23年紀伊半島大水害深層崩壊のメカニズム解明に関する現状報告,奈良県,40p., 2013.奈良県大規模土砂災害実態調査,平成23年紀伊半島大水害における崩壊地の GIS ポイントデータ,2012.地盤工学会関西支部・日本応用地質学会関西支部・関西地質調査業協会・中部地質調査業協会「想定外」豪雨による地盤災害への対応を考える調査研究委員会報告書,404p., 2015.日本地質学会日本地方地質誌,近畿地方, pp. 145 ~149, 2009.紀州四万十団体研究会紀伊半島における四万十付加体研究の新展開,地学団体研究会,専報 59,295p., 2012.防災科学技術研究所 5 万分の 1 地すべり地形分布図「山上ヶ岳」,第23集「和歌山・田辺」図集,2005.植田芳弘・入口和明・山上 悟・松山周平・高橋哲人・平野昌繁・島田 徹・堀大一郎・江川真史・竹島彰子明治十津川大災害と平成 23 年台風 12 号による土砂災害について,平成 24 年度砂防学会研究発表会概要集, pp.24~25,2012.文岩秀貴・鳥居宣之・加藤正司・小泉圭吾・鏡原聖史・松本修司・三田村宗樹・澁谷 啓・川畑将太 2011 年台風12号豪雨により奈良県野迫川村地区で発生した斜面崩壊のメカニズムの考察―飽和・不飽和浸透流解析と安定解析を用いて―,第 50 回地盤工学研究発表会, pp.2279~2280,2015... 特殊な被災事例(長殿発電所)最後に最も特殊な被災事例を以下に示す。十津川村長May, 201647
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  • タイトル
  • 3. 火山活動の基礎知識と噴火の特徴
  • 著者
  • 前野 深・中田 節也
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 48〜55
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71855
  • 内容
  • 火山による災害特性と防災技術.前野 深(まえの火山活動の基礎知識と噴火の特徴ふかし)東京大学地震研究所. は じ め にこの章では火山災害の理解において重要となる火山噴火の基礎知識として,多様な噴火の様式と地表現象(噴中田節也(なかだせつや)東京大学地震研究所気泡どうしが連結した状態となり,マグマの破砕現象が起こる。実際には,マグマの上昇途中でガスが系から抜け出(脱ガス)したり,過飽和のまま地上に上昇することがある。煙,火砕流など),それらのメカニズムについて解説す密度と同時に,マグマの挙動を左右するもう一つの重る。前半ではマグマが上昇して地表に至るまでの過程と要な要素はマグマ粘性(粘度)である。粘性は,マグマ噴火の多様性を生む要因について概観する。後半ではマの温度,メルト・結晶・気泡の割合,メルトの化学組成グマが噴出して堆積物が形成されるまでの過程について,に依存している。特に,揮発性成分(特に水)の含有量火山災害の中でも特に危険度が高い流れ現象を中心に解によってメルトの粘性は著しく変化する。気泡の成長は説する。また,低頻度ではあるものの甚大な災害を引きメルト中の揮発性成分の拡散によって起こるため,メル起こす可能性がある山体崩壊と大規模カルデラ噴火につトの粘性が拡散速度,すなわち,気泡の成長率を決めていても簡単に紹介する。いる。一般に,気泡が成長するほどメルトの粘性は増加. 噴火のタイプとメカニズムするので気泡は次第に成長しにくくなる。そのため,火山噴火の爆発性は気泡の成長率とマグマの上昇速度との.. マグマの上昇バランスで決まっている。メルトの粘性が小さいかマグマグマ溜まりの内部の圧力が周囲の岩石の破壊強度をマの上昇速度が小さい場合は,気泡が成長しやすく,合上回ることによって,マグマ溜まりの壁の一部が破壊し,体してマグマ中を移動し,脱ガスが効果的に起こる。こマグマは溜まりから脱出する。その際,マグマが周囲のの時,噴火は穏やかなものになる。逆に,マグマの上昇岩石より低い密度であれば浮力により上昇し,似た密度速度が大きいかメルトの粘性が大きい場合は,気泡の成であればマグマは上ではなく横方向に貫入する。マグマが既にあった通り道(火道)を上昇する場合も,固結した古い溶岩などを破壊しながら移動すると考えられる。マグマは,地下では,液部分(メルト),結晶,気泡からなる。マントルで形成される玄武岩質マグマは 1 400 °C 近い高温であるが,マグマ溜まり中では1 200°Cから700°C位まで温度低下する。それに伴ってメルトが結晶化しメルトは少なくなり,最終的には結晶だけの固体となる。結晶化によって,鉄,マグネシウム,カルシウムが結晶中により入り込むため,メルトはよりケイ酸分とアルカリ成分,及び,水や二酸化炭素などの揮発性成分に富むように変化(分化)する。マグマの密度は,結晶の割合,メルトと結晶の化学組成,及び気泡の量に依存する。揮図―. 火道を上昇するマグマの発泡現象を示す模式図。P0発性成分の溶解度は圧力に依存し,高圧ほど高い。の組成を持つマグマが上昇し P1 で飽和曲線にぶつかり発泡開始する。上昇を続けるマグマ中ではメルそのため,深部では揮発性成分はメルト中に溶け込トの水の含有量が減少し,メルト中の気泡量は増加んでおり,マグマの上昇に伴って,低圧になると,する。P2 で気泡の体積が60に達すると,気泡どうメルトが揮発性成分に関して過飽和となり,揮発性成分が気相として分離するのでメルトは発泡する(図―.)。マグマ上昇に伴って溶解度が低下するしの連結が起こりマグマは破砕する。マグマの破砕後は,マグマの破片(火山灰や軽石)と火山ガスの混合体が高速で火道から脱出し噴火に至る。破砕が起こらず脱ガスが効果的に起きる場合は,マグマとと気泡量が増加するため,マグマは次第に軽くなる。メルトは60空隙率と飽和曲線上をそれぞれ移動すメルト中で気泡の総体積がおよそ 60 に達すると,る(P2→P3)48地盤工学会誌,―() 講  座観測される火山名や観測者名を用いて分類,整理されてきた。このような分類方法は古くからあるが,噴火の特徴や推移を系統的に理解する上で分かりやすいためによく用いられる2),3)。この小節では代表的な爆発的噴火の様式とその特徴について概観する。爆発的噴火の中でも低粘性の玄武岩質マグマが比較的低い噴出率で噴泉のように火口から飛沫として吹き上がるタイプの噴火をハワイ式噴火と呼ぶ。名前の通りハワイ島キラウェア火山における代表的な噴火様式である。後述の他のタイプの噴火よりも爆発性は低く,そのためマグマ破砕の程度は低い。噴火の物理条件は非爆発的噴火にも近いため,ほとんど同時に溶岩を流出することも図―. マグマ上昇過程,噴火の爆発性とそれに伴う地表現象の例ある。ストロンボリ式噴火は間歇的に激しくマグマを噴出するタイプの噴火で,玄武岩から安山岩質の比較的低粘性長がマグマの減圧に追いつけず,気泡の内圧力が高い(過剰圧を蓄積した)ままマグマが地上に達するので,噴火は爆発的なものになる。のマグマにより生じる噴火様式である。噴煙高度はふつう数 km よりも低く,火山体の近傍に噴出物を堆積する。火口周辺には比較的大きな粒径の火砕物(スコリア)が.. 爆発的噴火と非爆発的噴火円錐状に堆積し,スコリア丘を形成することが多い。火山噴火の様式は火山毎,噴火毎に多様であるが,大2013 年に始まった西之島の噴火では数 10 秒~数分間隔別すると火山灰や軽石などの火山砕屑物(テフラ)を生でストロンボリ式噴火が観察され,島の中央には標高じる爆発的噴火と,溶岩流や溶岩ドームを生じる非爆発100 m を超えるスコリア丘が形成された。的噴火に分類される。プリニー式(プリニアン)噴火やサブプリニー式(準非爆発的噴火では,マグマは破砕せずに火口から溶融プリニー式,サブプリニアン)噴火では,数時間以上に状態で溢流し,溶岩流や溶岩ドームを形成する(図―わたり定常的にマグマの噴出が継続し,噴煙柱(プリ.)。マグマ中の揮発性成分量が少ない場合や,マグマューム)が形成される。爆発的噴火の代表的な部類の一上昇中に揮発性成分(気泡)が系外へ脱ガスしてしまうつであり,マグマの上昇・減圧による揮発性成分の発泡場合などに起こる。玄武岩など低粘性のマグマでは,マとそれに伴う急激な膨張により駆動され,火口からは破グマからの気泡の分離が起こりやすく,溶岩流噴火にな砕されたマグマ粒子(軽石や火山灰)が高速で噴出し続ることが多い。しかし,マグマの上昇速度との競合の結ける。火口直上で噴煙に取り込まれた大気は火砕物の熱果,気相分離が十分に進まずマグマ中に過剰圧を蓄積しにより温められて膨張することにより浮力を獲得し,噴たまま浅部に至り爆発的な噴火となる場合もある。流紋煙柱が成長する。 2011 年霧島新燃岳噴火では初期に噴岩やデイサイトなど高粘性マグマはそもそも気相分離が煙高度約 7 km のサブプリニー式噴火が 3 回断続的に観起こりにくい。そのため,マグマ上昇中の発泡・破砕が測されたが, 1 回の継続時間は 2 ~ 3 時間,噴出率は 2支配的となり,噴煙や火砕流を発生する爆発的噴火にな×106 kg/s 程度であった4)。プリニー式噴火の噴煙の高りやすい。しかし上昇過程で揮発性成分が効率よく抜けさはほぼ噴出率に依存し,噴出率が高い場合,高度 20出すと,溶岩ドーム噴火となることもある。~30 km に達する傘型噴煙が形成されることもある。爆発的噴火と非爆発的噴火は,火山毎あるいは噴火毎ブルカノ式噴火では,地表付近での急激な圧力解放にに別個に起こるわけではなく,マグマ溜まり内や上昇中より火道浅部に蓄積していた気泡を含むマグマが爆発的のマグマの物性や組成(含水量,結晶量など)の変化にに噴出する。火口の閉塞が主な原因となり,浅部で圧力伴い,両方の噴出様式が 1 回の噴火の中でも遷移的にが増加することにより発生する。近年の桜島や浅間山の起こり得る。噴火様式の違いや変化を理解する上で重要噴火,新燃岳噴火の後期にブルカノ式噴火が観測されてな物理量はマグマの噴出率(~上昇速度)と粘性であり,いるが,いずれも溶岩ドームが火口に栓(キャップ・ロ粘性は結晶量や揮発性成分量のわずかな違いでも数桁でック)を作ることが原因となっている。数時間~数日の大きく変動し,発泡・破砕のプロセスをコントロールす間隔で噴火を繰り返すことが多いが,これは揮発性成分る。マグマの上昇(減圧)過程におけるこれらの物理量(気泡)の蓄積,増圧の時間スケールを反映したものとの競合はマグマの流動と気相分離の様式に大きな影響を考えられる。ブルカノ式噴火は単発の噴火であり,噴煙及ぼし,さらには多様な噴火様式を生み出す要因の一つは塊状の雲(サーマル)になりやすい。また,弾道を描になっている1),2)。く大きな火山岩塊を遠方まで飛ばすことがある。新燃岳.. 爆発的噴火の分類噴火では数 t の溶岩塊を初速度 240 ~ 290 m / s で約 3.4爆発的な火山噴火(テフラを生む噴火)の様式は,噴km の距離まで飛ばし,直径約 8 m のインパクト・ク煙高度や爆発性などをもとに,その噴火様式が典型的にレーターが形成された5)。爆発音や空振など強い音波にMay, 201649 講  座図―. 噴火に対する外来水の影響と爆発性の関係。Sheridan and Wohletz6) をもとに作成。対応する噴火環境と噴火様式を示してあるより,窓ガラスが割れることもある。.. 外来水の影響上記ではマグマが主体的に関与する噴火について述べてきたが,火山噴火の様式はマグマ自身の性質だけでなく,周辺環境,特に地下水や海水など外来水の影響によっても大きく変わる。第章で説明したように,ほとんどマグマのみが関与する噴火をマグマ噴火と呼ぶのに対し,外来水の影響が大きく爆発性の高い噴火はマグマ水図―. (上)降下火砕物の拡散度(D)と破砕度(F)をもとにした噴火の分類7) 。(下)降下火砕堆積物の層厚分布の例。分布軸上の最大層厚を Tmaxと定義する蒸気噴火と呼ばれる。日本国内のおよそ 3 割の活火山は海底火山や火山島であり,また火口湖を湛えた火山も多くある。 1989 年伊豆東方沖噴火や 2013 年西之島の初期の頃の噴火では,マグマと海水との接触による爆発的抜けることがあると考えられる。.. 噴火堆積物をもとにした噴火様式の分類な噴火が観測された。火山噴火への外来水の影響は場合過去の火山噴火の様式や推移など,噴火履歴を明らかによっては無視できないほど大きく,噴火が爆発的になにすることは火山防災上重要である。近年の噴火についる要因として重要になる。ては目視や観測機器による直接的な観測をもとに噴火様マグマに外来水が接触すると,マグマの熱エネルギー式を知ることが可能であるが,過去の噴火については,は,水の急激な気化・膨張というかたちで力学的エネル噴火堆積物をもとに推定される。爆発的噴火の分類方法ギーに変換される。水の割合が少ない場合,その噴火への一つに,降下火砕堆積物を用いた Walker による方の寄与は小さく噴火様式はほとんど変わらないが,水の法7)がある。この方法では,マグマの破砕度( F )と噴量が多くなると無視できなくなる(図―.)。エネル出物の拡散度(D)をもとにして噴火のタイプ分けを行ギー変換効率が最も大きくなる水の割合は実験的に調べう(図―.)。降下火砕堆積物の分布軸上の最大層厚られており,マグマに対する水の比率にして約 0.3とさ( Tmax )の 100 分の 1 ( 0.01 Tmax )となる等層厚線で囲れている6)。こうした条件は浅海や湖などで達成されやまれる面積を拡散度(D),0.1 Tmax となる地点で粒径 1すく,特に玄武岩質マグマの活動では,マグマと水とのmm 以下の火山灰が占める割合を破砕度(F)と定義す混合物をジェットとして吹き出すスルツェイ式噴火といる。 D が大きいほど噴出物が遠方まで拡散されることう噴火様式が観察されることがある。このタイプの噴火を意味し,すなわち噴煙が高いことに相当する。一方 Fではマグマと水との相互作用によりマグマは細かく粉砕が大きいほどよく破砕されて細粒物が多く生産されるこされ,細粒火山灰が大量に生産される。また,ベースとを意味し,すなわち爆発性が高いことに相当する。Dサージと呼ばれる噴煙の根元から水平方向に高速で拡散と F を用いることにより,前述のハワイ式,ストロンする希薄な流れが発生することがある。ボリ式,プリニー式などの噴火様式を堆積物の特徴のみ一方で水の割合が多すぎると冷却と水圧による効果がをもとに分類することが可能である。スルツェイ式や水支配的になり,爆発は抑制される。深海では高い水圧の蒸気プリニー式噴火など,外来水の関与がある噴火ではためにマグマへの水の溶解度が大気圧下よりも高くマグ破砕度が高く,細粒物が大量に生産されることもこの図マの発泡が抑制される環境にあり爆発的噴火はふつう起に表現されている。この Walker による分類方法は定性こりにくい。しかし, 400~ 500 m 程度までの水深であ的ではあるが,多様な噴火様式を整理する方法としてしれば,揮発性成分量が多くマグマの発泡による駆動力がばしば用いられている。一方最近では,噴火堆積物をも大きい場合には爆発的噴火となり,海面上に噴煙が突きとにした噴火物理量の推定(インバージョン)手法は高50地盤工学会誌,―() 講  座度化し,堆積物の層厚や単位面積当たり重量,粒径分布データなどをもとに噴煙ダイナミクスの理論モデルや数値計算,統計的手法により噴出量や噴出率,噴煙高度に従来よりも細かな制約を与えられるようになってきている。. 地表現象の種類と影響.. 溶岩流・溶岩ドーム溶岩流は,噴出マグマの粘性や降伏応力,冷却速度に依存して流動する。玄武岩など低粘性の溶岩流はニュートン流体として近似されることもあるが,粘性が比較的高い場合には降伏応力を考慮したビンガム流体として扱われることが多い。溶岩は次第に冷却されて脱ガス・結晶化により全体として粘性が増加していくが,特に表面は放射により急速に冷却されるため皮殻(クラスト)が形成され,溶岩の流動を妨げるようになる。クラストが形成されてもなお溶岩供給が継続すると,溶岩流の内圧図―. 降下火山灰の分布トレンドと噴火様式。以下 Hは噴 煙高 度を 示 す。 プリ ニー 式 噴火 ( a )ニュージーランド・タウポ火山186年(H33 km),( b )ニュージーランド・タラウェラ火山 1886 年(H34 km),サブプリニー式噴火(c)イタリア・ベスビオ火山472年(H16 km),(d)グアテマラ・フェゴ火山 1974 年( H  15 km ),( e )霧島新燃岳 2011 年( H  8 km ),ブルカノ式噴が高まり溶岩流全体が膨張,若しくはクラストを破断し火(f)カリブ海英国領スフリエールヒルズ火山て新たな溶岩流の支流を発生する。クラスト下で溶融状1996 年 9 月 17 日( H 不明)。 Maeno et al.4) をもとに作成態が保たれると,溶岩はチューブ状の構造を形成して長距離を流動できるようになる。ハワイやアイスランドなどの低粘性マグマの噴火では,このような溶岩チューブることにより火山灰の総体積(噴出量)を見積もることを通じて遠方まで熱い溶岩が供給される。デイサイト,ができるため,噴火の規模を算定する上でよく用いられ流紋岩質の溶岩は多くの場合粘性が高いため,火口近傍る。火山灰の拡散様式が噴火毎に様々であることは前節に溶岩を積み上げ,溶岩ドームを形成する。で述べたとおりであるが,噴煙高度が高いプリニー式噴溶岩流・溶岩ドームは,火砕流などと比べて現象のス火では拡散度が大きく全体としてゆるい勾配のトレンドピードが遅いため,遭遇しても回避できる可能性が高く,を示すのに対して,噴煙高度が低いサブプリニー式噴火火山現象の中でも災害が起こりにくいと考えられている。やブルカノ式噴火では拡散度が小さく,火口近傍に堆積しかし,急峻な火山体の山頂付近に溶岩流や溶岩ドーム物を多く残すことが分かる。が形成された場合,後述の様にそれらが崩落して火砕流火山灰は微細で鋭利なガラス質の粒子であり,特に遠を発生することがあり,必ずしも穏やかな噴火に終始す方まで運ばれる細粒火山灰では数十ミクロン以下の粒子るわけではなく,災害の脅威が生じることもある。が主となる。また,マグマ水蒸気噴火や水蒸気噴火では,1991 年に雲仙普賢岳で死者・行方不明者 43 名を出した破砕度が高い上に湿り気もあるために,細粒火山灰は凝火砕流災害はまさにそのようにして発生した例である。集し,山体に近い場所にも大量の細粒粒子を堆積させる。.. 噴煙及び降灰こうした細粒粒子は,細かな隙間へ容易に侵入し付着す溶岩流・溶岩ドーム噴火とは対照的に,噴煙を形成するので,例えば精密機械の類いは非常に影響を受けやする爆発的噴火では大量の砕屑物が生産され,それらは噴い。また水分を含んでいると火山灰に含まれる水溶性成煙により運搬される。運ばれる砕屑物の大きさは,噴煙分が溶け出しセメント状になり,乾燥すると固まり除去の上昇速度・乱流渦の強度と,砕屑物粒子の沈降速度とに大変な労力を要することになる。都市部に火山灰が大のバランスで決まる。噴煙から離れると沈降速度がまさ量に降り注ぐと,交通や電力供給システムなど様々な社るようになり,粒子は噴煙から離脱・沈降し,地表に降会基盤で障害が発生するほか,火山灰を吸い込むことにり積もる。結果として火口近傍ほど火砕物の粒径は大きよる健康被害も発生すると考えられる。その影響は火山く,遠方ほど細粒の堆積物ができる。粒子の沈降速度は灰を取り除かない限り続くことになるが,除去には大変抵抗係数に強く依存するが,その抵抗係数は粒子レイノなエネルギーを費やす必要がある。ルズ数や粒子形状により決まる。火砕物粒子はふつう不.. 火砕流・火砕サージ規則な形状をしており,形状が沈降速度に与える影響は火砕流や火砕サージは,火山砕屑物や火山ガスの混合大きい8)。細粒粒子ほど沈降速度は遅くなり,浮遊時間物からなる高速の流れであり,大気との密度差により駆は長くなる。動される重力流(密度流)の一種である。マグマ噴火に火砕物は噴出源に近い場所に厚く,遠方ほど薄く堆積伴う火砕流・火砕サージは,樹木の発火温度である400す る た め , 図 ―.の よ う な 火 山 灰 分 布 ト レ ン ド~500°Cを上回ることも珍しくない。一方,マグマ水蒸( Tephra thinning trend )を示す。このトレンドは噴出気噴火や水蒸気噴火などにより発生する 100 ~ 300 °C程物のおよその分布状況を把握したり,トレンドを積分す度 の 低 温 の 流 れ も 火砕 流 ・ 火 砕サ ー ジ と 呼 ば れ る 。May, 201651 講  座2014 年の御嶽山や口永良部島の水蒸気噴火で発生した噴煙柱崩壊に伴い,砕屑物と火山ガスの混合物は噴泉の火砕流は後者のタイプである。火砕流と火砕サージの違ように地表に吹きこぼれて火砕流や火砕サージを発生すいは,流れに含まれる火砕物粒子の濃度とそれに起因する。ブルカノ式噴火でも浮力が十分に獲得できない場合る流れの様式や堆積プロセスの違いである。粒子濃度約は火砕流を発生する(図―.(b))。桜島のブルカノ式1より大きい場合を火砕流,小さい場合を火砕サージ噴火に伴い観測される火砕流はこのタイプである。とする考え方もあるが,これらの境界を厳密に決めるの一方,溶岩ドーム噴火では,噴出したばかりの溶岩がは難しい9)。両者は漸移的であり,火砕流から火砕サー崩落して内部で急減圧が起こると,溶岩に閉じ込められジが派生する場合もふつうに認められ,また両者の中間ていた気泡が急激に膨張し,溶岩自身の破砕を引き起こ的な流れも存在する。これらの流れ現象を一括して,火す。これにより生じた砕屑物と火山ガスの混合体が斜面砕物密度流( Pyroclastic density currents, PDC )と呼を流れ下ることにより火砕流が発生する(図―.(c))。ぶこともある。溶岩ドーム噴火では,砕屑物は主に溶岩からなるため,火砕流は様々な粒子サイズの火砕物を含む。粒径の大重く濃密な火砕流を生じやすい。一方,山体崩壊などにきいものはふつう流れの早い段階で堆積し,距離とともより潜在ドーム(地下浅所に溶岩がドーム状に蓄積したに粒径は減少していく。粒子濃度が高い流れは,土石流もの)が大気圧に急減圧されるとマグマ破砕が一気に進や岩屑なだれのように谷埋め型の流れとなる。流れ内部み,爆風を伴う高速かつ希薄な火砕物密度流を生じる場における粒子どうしの衝突や基底との摩擦が流れの様式合がある。このような例は, 1980 年米国セントヘレンや堆積プロセスに大きな影響を与える。堆積物は厚く塊ズ火山の山体崩壊の際に観測された(図―.(d))。状となり,さまざまな級化構造が生じる(堆積物の基底火砕流や火砕サージの流走距離は,ほぼ噴出量(崩壊から上方に向かい粒径が変化することを級化といい,特量)に依存し,規模が大きいものほど流走距離は長く,に上方に向かい細粒化する場合を正級化,逆に粗粒化す流域面積も広くなる。火砕物密度流のスピードは,御嶽る場合を逆級化という)。大きな粒子が粒子分散圧に支山噴火のように規模の小さいものは 10 m / s のオーダーおんたけ持されながら長い距離を移動し逆級化構造をつくることの流れであるが,規模の大きな噴火では最大数100 m/sがある。一方,粒子濃度が低く希薄な流れは,密度が低に達することもあり,遭遇した場合に回避することはほいために尾根などの地形的障壁を容易に乗り越えられる。ぼ不可能である。火砕流や火砕サージの発生が想定され流れの基底部では粒子の跳躍や牽引(トラクション)にる状況では,下流域から速やかに退避することが鉄則でよりデューンやアンティ・デューンと呼ばれる堆積構造ある。を生じる場合があり,それらの観察事実をもとに火砕サージと判断される。一般に堆積物の厚さは薄いが,分布域は濃密な流れよりも広くなる。火砕物密度流の代表的な発生メカニズムには,噴煙柱.. 岩屑なだれ富士山に代表される成層火山は裾野が広大であり,一見安定して存在しているようにみえる。しかし,山体の構成物は火砕物や溶岩流であり,これらが幾重にも積みの崩壊や,溶岩ドームの崩壊がある(図―.)。プリ重なっているために全体としては多孔質で不均質である。ニー式噴火では,大気の取り込みが噴煙の形成・維持のそのため,山体表層部が雨水の浸透などにより風化変質ために重要な要素となるが,噴出率の低下や火道の拡大を被るだけでなく,山体内部では熱水変質が進みやすく,などにより大気の取り込みが不十分になると,浮力を得山体全体として構造的に弱くなりやすい状態にある。火ることができずに噴煙柱崩壊を起こす(図―.(a))。山体崩壊には,このような山体の脆弱化が関係しており,図―. 代表的な火砕流・火砕サージの発生メカニズム9)。(a)プリニー式噴火(定常的な噴出),(b)ブルカノ式噴火(非定常的な噴出)による噴煙柱崩壊による火砕流発生様式。(c)溶岩ドーム崩壊,(d)山体崩壊に伴う潜在ドームの急減圧による火砕流発生様式52地盤工学会誌,―() 講  座写真―. チリ・ラスタリア火山における岩屑なだれ堆積物の空中写真11)。顕著な流れ山が認められない事例。流走距離は 6.7 km。先端付近で高さ125 m のスコリア丘を乗り越えている日本国内では活火山を含む多くの第四紀火山で山体崩図 ―. イ ン ド ネ シ ア ・ ガ ル ン グ ン 火 山 に お け る 約壊の痕跡(馬蹄形地形,岩石なだれ堆積物)が確認され23 000年前の岩屑なだれ堆積物(流れ山)の分布と馬蹄型地形(破線)10) 。岩屑なだれの流走ている。富士山も例外ではない。富士山の東斜面で約距離は約23 km2 900年前に発生した山体崩壊では,東麓には御殿場岩屑なだれ堆積物( 1.1 km3 )が,またその二次移動により御殿場泥流堆積物( 0.7 km3 )が広範囲に堆積した13)。特に中~大型の成層火山体で発生しやすい。その崩壊量は数10km3に及ぶこともある。崩壊物には著しく変質した古富士火山の噴出物が多数含まれており,地震又は水蒸気爆発を引き金にして,古富 マグマや熱水の浅火山体崩壊の主な要因としては,士火山の変質した火山噴出物内にすべり面が形成され,部への上昇など,マグマ活動による山体内部の膨張・破山体崩壊が発生したと考えられている13) 。日本のよう 火山性(非火山性)地震や地殻変動など,壊の進展,な島弧では,海域・臨海域に多くの火山が成長しており, 風化・熱水変質作外的な要因による応力状態の変化,火山体崩壊が発生した場合には,大量の崩壊物が海へ流用や降雨・降雪による山体構成物の降伏応力の低下など入して津波が発生し,複合的な災害に発展することもあが挙げられる10) 。これらの要因が複合的に関与する場る。多数の犠牲者を出した 1640 年北海道駒ケ岳, 1741合もあり得る。しかし,例えばマグマ活動と地震活動の年渡島大島, 1792 年雲仙眉山の火山体崩壊とそれに伴どちらが直接的に崩壊現象に関与したかを厳密に決めるった津波による大規模災害は代表的な実例である。ことが難しい場合もある。複数の発生要因があり得るが,.. カルデラ形成噴火どれも火山体が崩壊するという意味では同じような現象日本ではおよそ 1 万年に 1 回の頻度で,国土に甚大であり,ふつう volcanic landslide と一括することが多な被害を及ぼすような VEI 7 級の超巨大噴火が繰り返い10)。し発生している( VEI の定義については第章を参照)。火 山 体 崩 壊 に よ り , 崩 壊 物 は 岩 屑 な だ れ ( debris大量の流紋岩質あるいはデイサイト質マグマが地殻内にavalanche, landslide)として火山体周囲に拡散・堆積す蓄積され,それらのマグマが短時間のうちに地表に噴出る。山麓の広範囲に火山体の残骸である多数の流れ山地することにより超巨大噴火は発生する。大量のマグマが形が形成され,給原には馬蹄型地形ができることが多い噴出すると,マグマ溜まりの圧力は減少し,天井部を支(図―.)。一方で流れ山地形が形成されないケースもえきれなくなり崩壊に至る。地殻の崩壊が地表にまで及ある。例えばチリ・ラスタリア火山では,顕著な流れ山ぶと陥没孔が出現し,こうしてできた直径 2 km 以上のが認められないかわりに,堆積物末端での高まりや堤防陥没地形はカルデラと呼ばれる。カルデラの存在は,過状地形など,火砕流堆積物によく見られるような地形が去にそこで巨大噴火が発生したこと,大規模なマグマ溜形成された(写真―.)。こうした例は,火山体が主とまりを形成しやすい地質条件(応力状態,熱源)が存在して砕屑物により構成されている場合,崩壊物の細粒化していることを意味する。日本国内の代表的なカルデラが急速に進み,火砕流と類似の流れの様式になる可能性形成場は,九州(阿蘇,姶良,阿多,鬼界),東北からもあることを示している。ちなみに Naranjo and Fran-北海道(十和田,洞爺,支笏,屈斜路)に存在する(図cis(1987)11)は,堆積物の分布と単純化したエネルギー―.)。保存の考察をもとに,この岩屑なだれの流速をおよそこれらの場所で発生したカルデラ形成噴火の噴出量は,80 m / s 程度と見積もっている。岩屑なだれの流走距離10 km3 ( VEI 6 )から 100 km3 ( VEI 7 )のオーダーでや堆積過程は単に崩落の高度差だけでは決まらず,崩壊あり,その大部分は巨大火砕流と広域火山灰によるもの物の物性,流れ内の間隙流体圧も重要な役割を果たである14) 。大量のマグマが噴出するため,噴出源近くす12)。では厚さ 10 ~ 100 m 以上の堆積物もふつうに形成されMay, 201653 講  座写真―. ( a )姶良カルデラ噴火(約 2.9万年前)による降下火砕堆積物(左下の人物の足下からおよそ点線の高さまで)とそれを覆う火砕流堆積物。(b)阿蘇カルデラ噴火(約8.9万年前)による火砕流堆積物。柱状節理が発達した溶結凝灰岩が河川沿いに露出している。上部の白丸は人物スケール図―. 代表的な大型カルデラ,巨大噴火による広域火域火山灰が北海道でも 10 cm 以上の厚さで堆積してい山灰及び火砕流のおよその分布限界。町田・新る14) 。この噴火により日本全土に火山灰が厚く降り積井(2003)14)をもとに作成もり,当時の自然環境には甚大な影響があったと考えられる。また,火砕流堆積物は山口県南部でも確認されてる(写真―.(a))。火砕流の温度は,噴出源近くではおり,阿蘇を中心に九州の広範囲が火砕流に飲み込まれ,ガラス転移温度( 600 ~ 700 °C )以上に達することもあ地形をも激変させたはずである。り,そのような環境では,軽石や火山灰など砕屑物とし超巨大噴火では大量のマグマが放出されるため,そこて噴出したものであっても,堆積後に熱と圧密により溶に含まれている火山ガスの大気中への放出量も膨大にな岩のように塊状緻密な岩石へと変わる。こうしてできたる。大量の火山ガスが成層圏に注入されると,結果とし岩石は溶結凝灰岩と呼ばれ,カルデラの近くで観察されて硫黄成分をもとに形成される硫酸エアロゾル量が増加ることが多い(写真―.(b))。し,それに伴い太陽光入射が減少し大気温度が低下す一方で,火砕流は大気との混合により遠方ほど温度はる15)。超巨大噴火による寒冷化は,9 万人以上の犠牲者下がり,粉体流としての性質が顕著になる。火砕流内部(大部分が餓死による)を出した1815年インドネシア・では粒子の分級が進み,流れの底部ほど高密度となり堆タンボラ火山噴火の例に見るように,数年間あるいはそ積物が次第に形成されていく。巨大噴火に伴う大規模火れ以上の長期に渡る寒冷化を引き起こす。タンボラ噴火砕流堆積物はイグニンブライト( ignimbrite)と呼ばれの 5 倍以上と推定される阿蘇 4 噴火では,日本列島だる。その分布は多くの場合噴出源を中心にほぼ同心円状けでなく全球規模で噴火の影響があったと推定されるがであることから,大規模な噴煙柱崩壊に伴い全方位に火詳しいことは分かっていない。国内では阿蘇 4 クラス砕流が発生したと解釈される(図―.)。堆積物の分布が最大規模の噴火であるが,地球全体で見ると噴出量がからは,火砕流の流走距離は数10~最大 100 km にも達1 000 km3 のオーダーに達する超巨大噴火も過去には発すると推定される。また,阿蘇や鬼界カルデラの噴火で生しており,人類の存亡に影響を与えたかもしれない。は火砕流堆積物が海を隔てて分布していることから,火ただしそのような噴火の発生頻度は数 10 万年に 1 回程砕流の低密度の部分は海の上も流れることができると考度と低い。直近ではおよそ 7.5 万年前のトバ噴火(インえられる。ドネシア)が知られており,この噴火により人類人口の火砕流の密度とスピードは堆積作用により次第に低下する一方,火砕流上部の低密度部分は大気との混合,膨張により浮力を獲得し,細粒火山灰は上空に運搬される。このようにして発生する火山灰雲を co ignimbrite ash激減,いわゆるボトルネック効果16) が起こった可能性も指摘されている。. お わ り にcloud と呼ぶ。巨大噴火では,火口から直接立ち上がる本章では,火山災害とそれを引き起こす火山現象を理噴煙に加えて,火砕流が流れている最中にも大量の細粒解することを目的とし,多様な噴火様式とその分類,噴火山灰が大気中に舞い上がると考えられ,これら全体が火に伴われる代表的な地表現象について解説した。噴火風下側の広大な地域に降り注ぐ。噴出量およそ600 km3の多様性には,マグマの物理化学的性質とマグマが火道と推定されている阿蘇 4 噴火(約 8.9 万年前)では,広を上昇する際のそれらの変化が大きく関係している。ま54地盤工学会誌,―() 講  座た,噴火環境によっては,地下水や海水など外来水の効7)果も無視できないほど大きく,噴火の爆発性を決める要因となっている。噴出したマグマは噴煙や火砕流などの8)地表現象を介して運搬され,堆積する。地表現象のうち,特に火砕流,火砕サージ,岩屑なだれはプロセスが早いために,遭遇してから回避することはほぼ不可能である。9)山体崩壊やカルデラ形成噴火の発生頻度は低いものの,仮に発生した場合には火山体を中心とする広大な地域の10)自然環境や人間社会に甚大な影響を及ぼす。参1)2)3)4)5)6)考文献Parˆtt, E.A. and Wilson, L.: Fundamentals of PhysicalVolcanology, Blackwell Publishing, p. 230, 2008.Francis, P. and Oppenheimer, C.: Volcanoes, second edition, Oxford, p. 520, 2004.Schmincke, H.U.: Volcanism. 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  • タイトル
  • 会告-第6期代議員選挙の結果当選人の決定
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 56〜56
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71856
  • 内容
  • 【会告】第期代議員選挙の結果当選人の決定公益社団法人会長地盤工学会東畑 郁生定款第 7 条により「地盤工学会誌」2 月号でお願いいたしました,各支部から推薦の第 6 期代議員候補(86名)の信任投票による選挙の結果,別表(「所属」は平成28年 3 月31日現在)のとおり当選人が決まりましたのでお知らせいたします。支部推薦による当選人一覧(50音順)No.氏名所【北海道支部】5 名氏31 眞野英株 技術研究所生産技術センター地盤基礎グループ之 清水建設1株 イーエス総合研究所環境情報部植 松 えり子 株 技術研究開発センター32 御手洗 義 夫 東亜建設工業2中辻栄株 北海道支店土木営業部愼 清水建設3中村 努 苫小牧工業高等専門学校環境都市工学科株 環境創造事業本部地パシフィックコンサルタンツ33 本 橋 あずさ 盤技術部地盤診断・対策室4橋本 聖 (国研)土木研究所寒地土木研究所寒地地盤チーム八木一株 本社技術部善 岩田地崎建設No.5名所 属【東北支部】5 名1大河原 正 文 岩手大学工学部社会環境工学科2河井 正 東北大学大学院工学研究科3高坂敏株 ダイヤコンサルタント東北支社明 4佐藤 株 東北工事事務所工事管理室豊 東日本旅客鉄道5藤井 株登 奥山ボーリング属34 安原一哉 茨城大学名誉教授・茨城大学地球変動適応科学研究機関(ICAS)学長特命研究員35 山内崇株 土木事業本部土木設計部寛 前田建設工業36 山本 株 大林組技術研究所地盤技術研究部彰 【中部支部】7 名1鵜2株 経営企画部川井田   実 中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋3久4崔【北陸支部】4 名5沢田和秀 岐阜大学インフラマネジメント技術研究センター1上田信株 土木事業本部土木技術部二 真柄建設6前田健一 名古屋工業大学大学院工学研究科社会工学専攻2長野 株 福田組土木事業本部工務部技術部正 7山 田 正太郎 名古屋大学大学院3株 岡部土木部高 見 るみ子 4豊田浩史 長岡技術科学大学工学部環境・建設系野保雅裕 株 不動テトラ中部支店研究室明 一 中部土質試験協同組合技術部瑛 名城大学理工学部社会基盤デザイン工学科【関西支部】12名1芥川真一 神戸大学大学院工学研究科【関東支部】36名2伊藤圭株 関西事業本部営業部一 清水建設1荒木功平 山梨大学大学院総合研究部工学域土木環境工学系3江種伸之 和歌山大学システム工学部2井澤 淳 (公財)鉄道総合技術研究所鉄道地震工学研究センター地震動力学研究室4岡田浩株 関西支店営業部樹 大成建設3稲 垣 由紀子 (国研)土木研究所構造物研究グループ(土質・振動)5河井克之 近畿大学理工学部4王寺秀株 技術センター介 中央開発6岸田 潔 京都大学大学院工学研究科5小口千明 埼玉大学大学院理工学研究科7株 鳴尾研究所鶴ヶ崎 和 博 東洋建設6尾上篤株生 興亜開発8中7加藤直継 東京都建設局江東治水事務所高潮工事課9長谷川 憲 孝 神戸市みなと総局技術本部8川端淳株 技術研究所一 鹿島建設9清田 隆 東京大学生産技術研究所基礎系部門10 熊谷隆株 技術研究所宏 五洋建設11 小濱英司 (国研)港湾空港技術研究所地盤・構造部耐震構造研究チーム株 安藤・間土木事業本部12 佐久間 誠 也 13 新清 株 エンジニアリング本部ジオコンサルティングセンター晃 応用地質14 杉本映株 ダイヤコンサルタントジオエンジニアリング事業湖 本部地圏環境事業部地盤解析部地盤解析第 課115 鈴木 誠 千葉工業大学工学部建築都市環境学科16 関 崇夫 前橋工科大学工学部建築学科17 高18 田橋中直幸株 技術本部技術研究所土質地盤グループ樹 三井住友建設20 中島典株 技術センター昭 日本国土開発21 中山健株二 川崎地質22 西村友良 足利工業大学創生工学科建築・社会基盤学系23 野村英雄25 原26 伴田 健夏株 不動テトラ地盤事業本部技術部二 株 関東支社)男 関東地質調査業協会(基礎地盤コンサルタンツ27 平井貴雄28 平山利株 環境保全部河川水域情報グループ晶 国際航業29 藤30 増56原田斉幸株 環境資材事業部土木資材部三井化学産資株 技術センター土木技術研究所地盤・岩盤研究室土質チーム郁 大成建設政 千葉県県土整備部流山区画整理事務所換地課株 大阪支社技術部明 復建調査設計川良一 立命館大学理工学部11 堀 元治 大阪市交通局鉄道事業本部12 真鍋 株 大阪本社マネジメント事業部毅 パシフィックコンサルタンツ【中国支部】6 名1上 俊2北出圭株 沿岸整備部海域設計グループ介 中電技術コンサルタント3熊本直樹 広島工業大学工学部環境デザイン工学科4小松 満 岡山大学大学院環境学研究科5西村 強 鳥取大学大学院工学研究科6増本 二 徳山工業高等専門学校土木建築工学科清 島根大学大学院総合理工学研究科【四国支部】4 名1大藪剛2神野邦3原4山 中株 四国支社徳島支店士 応用地質株 愛媛建設コンサルタント彦 忠 高知大学教育研究部自然科学系農学部門 稔 香川大学工学部安全システム建設工学科【九州支部】7 名株 関東支社地盤ソリューション部基礎地盤コンサルタンツ24 濱 本 昌一郎 東京大学農学生命科学研究科典10 深久 (一財)電力中央研究所地球工学研究所バックエンド研究センター株 フジタ19 土佐内 優 介 西1伊東周株 九州支社熊本支店作 基礎地盤コンサルタンツ2酒匂一成 鹿児島大学学術研究院理工学域工学系3佐藤秀株文 日本地研4ハザリカ・ヘマンタ 九州大学大学院工学研究院社会基盤部門5林 泰弘 九州産業大学工学部都市基盤デザイン工学科6松原 仁 琉球大学工学部環境建設工学科7株 建設技術研究所九州支社地圏環境室三 谷 由加里 地盤工学会誌,―()
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  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 57〜57
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71857
  • 内容
  • 新正畠武 山別 府中 山佐々木岡 田木 下山 口山 田宗 行杉 原宇 高朝 妻葛 西青 柳栗 林良正正孝侑昌伸雅正幸貢智一智顕敦太子幸治行則聡生涼昭司和井 一井岡 哲原 孝会員(3 月理事会承認)曽 我古 澤TRAN北 澤員株日栄地質測量設計株 ダイワ技術サービス株ライト工業株 地盤試験所株東京地下鉄株鹿島建設株 日本地下探査株 日本地下探査株 ニュージェック株 建設技術研究所株中国電力株四国電力株 不動テトラ熊本大学株前田建設工業株日鉄住金高炉セメント国石新片吉会入際会岐阜大学株西日本旅客鉄道NHAN 山口大学株 第一コンサルタンツ学生会員ANH TUAN DO 室蘭工業大学大学院赤 塚 大二郎土 田 雄 貴 室蘭工業大学佐々木 智 大 八戸工業大学有 川正 八戸工業大学盛健太郎 八戸工業大学小 川真陶尚 寧 東京大学VEERAYUT KOMOLVILAS 横浜国立大学サムレット クッチヴッティー 東京大学山 o 晴 香 信州大学大学院芝 村 裕 人 京都大学大学院桑 島 流 音日 高亮 九州工業大学大学院佐 藤 史 啓田 中 文 也船 倉 玖 彬 九州工業大学大学院中 野 武 大員郎 浦安市役所株 精研聡 貴 さいたま市役所株 吉原化工保 書籍紹介宣 之翔 太THANH聖 司「火山工学入門応用編」土木学会 地盤工学委員会 火山工学研究小委員会 編本書は 2009 年 7 月に刊行された「火山工学入門」の姉妹編である。火山噴火を特徴づける多様性は以下に例示する 5 つ≪主要目次≫1.火山噴火と災害2.火山噴火災害への工学的対応3.火山噴火災害への社会学的対応◯噴火によって生じる現象の多様性4.火山噴火災害からの復旧と復興策◯噴火規模の多様性5.火山噴火災害の比較検討◯噴火推移の多様性6.火山噴火災害を軽減するための課題◯発生現象の移動速度の多様性の側面で代表される。◯噴火継続期間の多様性言い換えれば,火山はその姿の類似性だけでは判断でA5 判179頁本体2,000円+税発行所公益社団法人 土木学会きない程,火山ごとに極めて個性的で,火山ごとに噴火株発売所丸善出版の特徴がある。火山防災は,この多様性を事例から正し2014年12月25日く学ぶことから始まる。ISBN9784810608496本書は,近年に火山災害が発生した国内外の 8 つの 新燃岳,◯ 雲仙普賢岳,◯ 有珠山,◯ 三宅島,火山〔◯ 伊豆大島,◯ セントヘレンズ,◯ メラピ,◯ ピナツ◯ボ〕を,各章の事例に共通に取り上げて,火山噴火が社会環境に与える影響を,社会工学としての土木工学的視点と,住民避難・情報伝達,地域の取り組み,復興などの社会学的視点を整理して,更に,異なる噴火災害様態を比較研究することで,実効性のある防災・減災の考え方を提示している。本書は,事例を基に,火山噴火災害及び対応の多彩な情報が多面的かつコンパクトにまとめられている。是非一読をお奨めしたい。株 地域環境研究所(May, 2016中村裕昭)57
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  • 書籍紹介「火山工学入門 応用編」
  • 著者
  • 中村 裕昭
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 57〜57
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71858
  • 内容
  • 新正畠武 山別 府中 山佐々木岡 田木 下山 口山 田宗 行杉 原宇 高朝 妻葛 西青 柳栗 林良正正孝侑昌伸雅正幸貢智一智顕敦太子幸治行則聡生涼昭司和井 一井岡 哲原 孝会員(3 月理事会承認)曽 我古 澤TRAN北 澤員株日栄地質測量設計株 ダイワ技術サービス株ライト工業株 地盤試験所株東京地下鉄株鹿島建設株 日本地下探査株 日本地下探査株 ニュージェック株 建設技術研究所株中国電力株四国電力株 不動テトラ熊本大学株前田建設工業株日鉄住金高炉セメント国石新片吉会入際会岐阜大学株西日本旅客鉄道NHAN 山口大学株 第一コンサルタンツ学生会員ANH TUAN DO 室蘭工業大学大学院赤 塚 大二郎土 田 雄 貴 室蘭工業大学佐々木 智 大 八戸工業大学有 川正 八戸工業大学盛健太郎 八戸工業大学小 川真陶尚 寧 東京大学VEERAYUT KOMOLVILAS 横浜国立大学サムレット クッチヴッティー 東京大学山 o 晴 香 信州大学大学院芝 村 裕 人 京都大学大学院桑 島 流 音日 高亮 九州工業大学大学院佐 藤 史 啓田 中 文 也船 倉 玖 彬 九州工業大学大学院中 野 武 大員郎 浦安市役所株 精研聡 貴 さいたま市役所株 吉原化工保 書籍紹介宣 之翔 太THANH聖 司「火山工学入門応用編」土木学会 地盤工学委員会 火山工学研究小委員会 編本書は 2009 年 7 月に刊行された「火山工学入門」の姉妹編である。火山噴火を特徴づける多様性は以下に例示する 5 つ≪主要目次≫1.火山噴火と災害2.火山噴火災害への工学的対応3.火山噴火災害への社会学的対応◯噴火によって生じる現象の多様性4.火山噴火災害からの復旧と復興策◯噴火規模の多様性5.火山噴火災害の比較検討◯噴火推移の多様性6.火山噴火災害を軽減するための課題◯発生現象の移動速度の多様性の側面で代表される。◯噴火継続期間の多様性言い換えれば,火山はその姿の類似性だけでは判断でA5 判179頁本体2,000円+税発行所公益社団法人 土木学会きない程,火山ごとに極めて個性的で,火山ごとに噴火株発売所丸善出版の特徴がある。火山防災は,この多様性を事例から正し2014年12月25日く学ぶことから始まる。ISBN9784810608496本書は,近年に火山災害が発生した国内外の 8 つの 新燃岳,◯ 雲仙普賢岳,◯ 有珠山,◯ 三宅島,火山〔◯ 伊豆大島,◯ セントヘレンズ,◯ メラピ,◯ ピナツ◯ボ〕を,各章の事例に共通に取り上げて,火山噴火が社会環境に与える影響を,社会工学としての土木工学的視点と,住民避難・情報伝達,地域の取り組み,復興などの社会学的視点を整理して,更に,異なる噴火災害様態を比較研究することで,実効性のある防災・減災の考え方を提示している。本書は,事例を基に,火山噴火災害及び対応の多彩な情報が多面的かつコンパクトにまとめられている。是非一読をお奨めしたい。株 地域環境研究所(May, 2016中村裕昭)57
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  • タイトル
  • 編集後記
  • 著者
  • 仲山 貴司
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 58〜58
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71859
  • 内容
  •     ◆編集後記◆あり,技術者に対しては,日々進化し続ける最新の技術の動本 5 月号では,「杭工法の最前線」と題して特集いたしま向を把握しつつ,今後も技術的な課題に対して工学的な視点した。最新の杭工法の支持層を確認する具体的な施工管理方から解決に取り組んでいくことが期待されています。本特集法や,調査・設計・施工上の全体にわたる留意事項,今後の号が,読者の皆様方の新たな技術開発や調査・設計・施工な展望などについて,施工事例を交えて紹介しております。どの一助となることを願っております。杭工法については,昨今の横浜市のマンションに端を発し最後になりましたが,本号の発行にあたり,ご多忙の中ごた基礎杭工事に係る問題が生じる一方で,軟弱地盤などにお協力いただきました執筆者の皆様に,心より御礼申し上げまける建築物や土木構造物の建設において必要不可欠なものです。(仲山貴司※印は公益出版部会構成員平 成  年 度 役 員会理長事東 畑 郁 生副 会 長 風 間 基 樹※(事業企画戦略室)大 林淳(*)(総務部)宮 田 喜 壽(*)中(会員 ・ 支部部)佐 藤 研 一(*)中(国際部)勝 見武(*)(公 益 出 版 部)並 河努(*)※ 渦(調査 ・ 研究部)中 田 幸 男(*)山(基準部)大河原 正 文(*)松事 熊 谷 茂 一松 下 克 也監大谷順山村健 二裕 昭岡下本良記)古田屋中弘耕太郎田中真弓介※聡樹 典(*)室長,部長平 成年 度 公 益 出 版 部 会理事・部長理事部員並 河渦 岡 良高 橋 章越 村 賢努介浩司理事・副会長伊藤 和風也間笹基樹倉剛野田利弘渡邉康司杉本映湖平成年度「地盤工学会誌」編集委員会委員長企画・編集グループ第 1 グループ第 2 グループ第 3 グループ第 4 グループ講座委員会渦 岡 良 介※副委員長 笹 倉主査 福 永 勇 介委員 阿 部 栄 一木 内 大 介田 中 大 司西 村聡松 村聡森 田 年 一学生委員 阿 部 龍 矢齊 藤舜三 浦 丈 典吉 野 貴 仁主査 高 野 裕 輔委員 大 竹雄小 宮 隆 之主査 長 澤 正 明委員 大 塚 隆 人小 林 孝 彰主査 野 村 英 雄委員 石 川 敬 祐石 藏 良 平主査 石 岡 賢 治委員 鎌 田 敏 幸神 谷 浩 二委員長 野 田 利 弘※ 委員兼幹事渡委員 飯 島 功一郎伊 藤 圭二郎酒 匂 一 成篠 田 雅 男松 丸 貴 樹南大 輔剛※京濱川本裕 之昌一郎久 保肥 田剛博典田松久澤勉真佐藤周作高岡慶人友部遼正田大輔野々村敦子仲山貴司森洋與田敏昭尚稔北介清水智明小畠林浩俊二郎柏野邊稲田森原保積口下慎太郎貴谷真 哉智 也智 貴出圭藤 井 紀 之川 友 浩金 子崇堤彩 人山 崎 貴 之西村謙吾澤藤村澤康和生謙平成年度「Soils and Foundations」編集委員会委員長菊池 喜昭副委員長委員長三村衛副委員長小高 猛司渦岡良介※宮田喜壽平成年度「地盤工学ジャーナル」編集委員会名誉会員特別会員伊藤和也※岸田潔会員現在数(平成28年 2 月末現在)150名(国際会員115名含む) 正会員 7,563名(国際会員1,027名含む) 学生会員 925名880団体(国際会員46団体含む) 合計 9,518名・団体会費(年額)正会員 9,600円 学生会員 3,000円 国際会員(特別もしくは正会員に限る)2,000円 特別会員特級 300,000円,1 級 240,000円,2 級 160,000円,3 級 100,000円,4 級 60,000円Soils and Foundations 購読料(会員に限る)12,000円(Online 版ライセンス+冊子版)または8,000円(Online 版ライセンスのみ)地盤工学会誌平成28年 5 月 1 日発行編集発行所公益社団法人2016 地盤工学会58定価1,728円(本体価格1,600円) 無断転載2016年 5 月号 Vol.64, No.5 通巻700号株「地盤工学会誌」編集委員会印刷所 小宮山印刷工業編集業務代行地盤工学会有 新日本編集企画を禁ずる郵便番号  東京都文京区千石丁目番号電話 (代表)郵便振替 FAX ホームページ URL https://www.jiban.or.jp/Email jgs@jiban. or. jp広告一手取扱株廣業社〒 東京都中央区銀座丁目番号電話 地盤工学会誌,―()
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  • 平成27年度役員等
  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 58〜58
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71860
  • 内容
  •     ◆編集後記◆あり,技術者に対しては,日々進化し続ける最新の技術の動本 5 月号では,「杭工法の最前線」と題して特集いたしま向を把握しつつ,今後も技術的な課題に対して工学的な視点した。最新の杭工法の支持層を確認する具体的な施工管理方から解決に取り組んでいくことが期待されています。本特集法や,調査・設計・施工上の全体にわたる留意事項,今後の号が,読者の皆様方の新たな技術開発や調査・設計・施工な展望などについて,施工事例を交えて紹介しております。どの一助となることを願っております。杭工法については,昨今の横浜市のマンションに端を発し最後になりましたが,本号の発行にあたり,ご多忙の中ごた基礎杭工事に係る問題が生じる一方で,軟弱地盤などにお協力いただきました執筆者の皆様に,心より御礼申し上げまける建築物や土木構造物の建設において必要不可欠なものです。(仲山貴司※印は公益出版部会構成員平 成  年 度 役 員会理長事東 畑 郁 生副 会 長 風 間 基 樹※(事業企画戦略室)大 林淳(*)(総務部)宮 田 喜 壽(*)中(会員 ・ 支部部)佐 藤 研 一(*)中(国際部)勝 見武(*)(公 益 出 版 部)並 河努(*)※ 渦(調査 ・ 研究部)中 田 幸 男(*)山(基準部)大河原 正 文(*)松事 熊 谷 茂 一松 下 克 也監大谷順山村健 二裕 昭岡下本良記)古田屋中弘耕太郎田中真弓介※聡樹 典(*)室長,部長平 成年 度 公 益 出 版 部 会理事・部長理事部員並 河渦 岡 良高 橋 章越 村 賢努介浩司理事・副会長伊藤 和風也間笹基樹倉剛野田利弘渡邉康司杉本映湖平成年度「地盤工学会誌」編集委員会委員長企画・編集グループ第 1 グループ第 2 グループ第 3 グループ第 4 グループ講座委員会渦 岡 良 介※副委員長 笹 倉主査 福 永 勇 介委員 阿 部 栄 一木 内 大 介田 中 大 司西 村聡松 村聡森 田 年 一学生委員 阿 部 龍 矢齊 藤舜三 浦 丈 典吉 野 貴 仁主査 高 野 裕 輔委員 大 竹雄小 宮 隆 之主査 長 澤 正 明委員 大 塚 隆 人小 林 孝 彰主査 野 村 英 雄委員 石 川 敬 祐石 藏 良 平主査 石 岡 賢 治委員 鎌 田 敏 幸神 谷 浩 二委員長 野 田 利 弘※ 委員兼幹事渡委員 飯 島 功一郎伊 藤 圭二郎酒 匂 一 成篠 田 雅 男松 丸 貴 樹南大 輔剛※京濱川本裕 之昌一郎久 保肥 田剛博典田松久澤勉真佐藤周作高岡慶人友部遼正田大輔野々村敦子仲山貴司森洋與田敏昭尚稔北介清水智明小畠林浩俊二郎柏野邊稲田森原保積口下慎太郎貴谷真 哉智 也智 貴出圭藤 井 紀 之川 友 浩金 子崇堤彩 人山 崎 貴 之西村謙吾澤藤村澤康和生謙平成年度「Soils and Foundations」編集委員会委員長菊池 喜昭副委員長委員長三村衛副委員長小高 猛司渦岡良介※宮田喜壽平成年度「地盤工学ジャーナル」編集委員会名誉会員特別会員伊藤和也※岸田潔会員現在数(平成28年 2 月末現在)150名(国際会員115名含む) 正会員 7,563名(国際会員1,027名含む) 学生会員 925名880団体(国際会員46団体含む) 合計 9,518名・団体会費(年額)正会員 9,600円 学生会員 3,000円 国際会員(特別もしくは正会員に限る)2,000円 特別会員特級 300,000円,1 級 240,000円,2 級 160,000円,3 級 100,000円,4 級 60,000円Soils and Foundations 購読料(会員に限る)12,000円(Online 版ライセンス+冊子版)または8,000円(Online 版ライセンスのみ)地盤工学会誌平成28年 5 月 1 日発行編集発行所公益社団法人2016 地盤工学会58定価1,728円(本体価格1,600円) 無断転載2016年 5 月号 Vol.64, No.5 通巻700号株「地盤工学会誌」編集委員会印刷所 小宮山印刷工業編集業務代行地盤工学会有 新日本編集企画を禁ずる郵便番号  東京都文京区千石丁目番号電話 (代表)郵便振替 FAX ホームページ URL https://www.jiban.or.jp/Email jgs@jiban. or. jp広告一手取扱株廣業社〒 東京都中央区銀座丁目番号電話 地盤工学会誌,―()
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  • 著者
  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • 58〜58
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71861
  • 内容
  •     ◆編集後記◆あり,技術者に対しては,日々進化し続ける最新の技術の動本 5 月号では,「杭工法の最前線」と題して特集いたしま向を把握しつつ,今後も技術的な課題に対して工学的な視点した。最新の杭工法の支持層を確認する具体的な施工管理方から解決に取り組んでいくことが期待されています。本特集法や,調査・設計・施工上の全体にわたる留意事項,今後の号が,読者の皆様方の新たな技術開発や調査・設計・施工な展望などについて,施工事例を交えて紹介しております。どの一助となることを願っております。杭工法については,昨今の横浜市のマンションに端を発し最後になりましたが,本号の発行にあたり,ご多忙の中ごた基礎杭工事に係る問題が生じる一方で,軟弱地盤などにお協力いただきました執筆者の皆様に,心より御礼申し上げまける建築物や土木構造物の建設において必要不可欠なものです。(仲山貴司※印は公益出版部会構成員平 成  年 度 役 員会理長事東 畑 郁 生副 会 長 風 間 基 樹※(事業企画戦略室)大 林淳(*)(総務部)宮 田 喜 壽(*)中(会員 ・ 支部部)佐 藤 研 一(*)中(国際部)勝 見武(*)(公 益 出 版 部)並 河努(*)※ 渦(調査 ・ 研究部)中 田 幸 男(*)山(基準部)大河原 正 文(*)松事 熊 谷 茂 一松 下 克 也監大谷順山村健 二裕 昭岡下本良記)古田屋中弘耕太郎田中真弓介※聡樹 典(*)室長,部長平 成年 度 公 益 出 版 部 会理事・部長理事部員並 河渦 岡 良高 橋 章越 村 賢努介浩司理事・副会長伊藤 和風也間笹基樹倉剛野田利弘渡邉康司杉本映湖平成年度「地盤工学会誌」編集委員会委員長企画・編集グループ第 1 グループ第 2 グループ第 3 グループ第 4 グループ講座委員会渦 岡 良 介※副委員長 笹 倉主査 福 永 勇 介委員 阿 部 栄 一木 内 大 介田 中 大 司西 村聡松 村聡森 田 年 一学生委員 阿 部 龍 矢齊 藤舜三 浦 丈 典吉 野 貴 仁主査 高 野 裕 輔委員 大 竹雄小 宮 隆 之主査 長 澤 正 明委員 大 塚 隆 人小 林 孝 彰主査 野 村 英 雄委員 石 川 敬 祐石 藏 良 平主査 石 岡 賢 治委員 鎌 田 敏 幸神 谷 浩 二委員長 野 田 利 弘※ 委員兼幹事渡委員 飯 島 功一郎伊 藤 圭二郎酒 匂 一 成篠 田 雅 男松 丸 貴 樹南大 輔剛※京濱川本裕 之昌一郎久 保肥 田剛博典田松久澤勉真佐藤周作高岡慶人友部遼正田大輔野々村敦子仲山貴司森洋與田敏昭尚稔北介清水智明小畠林浩俊二郎柏野邊稲田森原保積口下慎太郎貴谷真 哉智 也智 貴出圭藤 井 紀 之川 友 浩金 子崇堤彩 人山 崎 貴 之西村謙吾澤藤村澤康和生謙平成年度「Soils and Foundations」編集委員会委員長菊池 喜昭副委員長委員長三村衛副委員長小高 猛司渦岡良介※宮田喜壽平成年度「地盤工学ジャーナル」編集委員会名誉会員特別会員伊藤和也※岸田潔会員現在数(平成28年 2 月末現在)150名(国際会員115名含む) 正会員 7,563名(国際会員1,027名含む) 学生会員 925名880団体(国際会員46団体含む) 合計 9,518名・団体会費(年額)正会員 9,600円 学生会員 3,000円 国際会員(特別もしくは正会員に限る)2,000円 特別会員特級 300,000円,1 級 240,000円,2 級 160,000円,3 級 100,000円,4 級 60,000円Soils and Foundations 購読料(会員に限る)12,000円(Online 版ライセンス+冊子版)または8,000円(Online 版ライセンスのみ)地盤工学会誌平成28年 5 月 1 日発行編集発行所公益社団法人2016 地盤工学会58定価1,728円(本体価格1,600円) 無断転載2016年 5 月号 Vol.64, No.5 通巻700号株「地盤工学会誌」編集委員会印刷所 小宮山印刷工業編集業務代行地盤工学会有 新日本編集企画を禁ずる郵便番号  東京都文京区千石丁目番号電話 (代表)郵便振替 FAX ホームページ URL https://www.jiban.or.jp/Email jgs@jiban. or. jp広告一手取扱株廣業社〒 東京都中央区銀座丁目番号電話 地盤工学会誌,―()
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  • 出版
  • 地盤工学会誌 Vol.64 No.5 No.700
  • ページ
  • A1〜A5
  • 発行
  • 2016/05/01
  • 文書ID
  • 71862
  • 内容
  • ■ お知らせ開催期日締切月日5 月31日28年 6 月 8 日28年 7 月~28年 9 月13日~16日内容開催場所掲載ページ平成28年度新設委員会委員の公募第58回地盤工学会通常総会東京2P地盤材料試験に関する「技能試験」参加募集東京3P第51回地盤工学研究発表会岡山11・12月号 2 P2P■ 論文・原稿募集開催期日締切月日6 月15日内容開催場所掲載ページ「地盤工学会誌」への概要原稿公募テーマ「地下を見る・観る・診る―物理探査技術の最新動向―」3P■ 催し物開催期日締切月日行事名開催場所28年 5 月27日国際講演会「屈折率整合技術による粒状体の変形・破壊挙動の可視化」 横須賀28年 6 月 6 日国際講演会「Evolution of submarine landslides: The unifying shearband propagation approach」第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会28年 6 月23日,24日28年 9 月13日~16日第51回地盤工学研究発表会東掲載ページ3P4P京京都前号3P岡山前号3P■ 支部からのお知らせ支部名開催月日締切月日関 東 支 部 28年10月21日8 月31日中部支部28年 6 月17日6 月10日関西支部28年 5 月18日5 月11日中国支部九州支部28年11月 4 日,5 日行事名開催場所第13回地盤工学会関東支部発表会(GeoKanto2016)「 NATM とシールドトンネルの設計と実際」講習会のお知らせ平成 28 年度第 1 回見学会―新名神高速道路見学会―工事現場5 月13日「地盤と建設」(地盤工学会中国支部論文報告集)論文募集6 月30日第 8 回地盤工学における最近の課題に関するアジアジョイントシンポジウム JSTAINAN 2016開催のお知らせ東京掲載ページ前号4P名古屋大福阪4P前号5P前号5P4P岡■ 共催・協賛・後援開催期日締切月日行事名開催場所掲載ページ28年 5 月13日28年 5 月13日第29回環境工学連合講演会東京ジオシンセティックスを用いた補強・遮水技術に関する講習会東京28年 5 月21日,22日28年 5 月22日~26日第19回応用力学シンポジウム北海道日本地球惑星科学連合2016年大会千葉1 月号6P第21回計算工学講演会新潟前号6P第 4 回中部ライフガード TEC2016 ~防災・減災・危機管理展~特別講演セミナー「メンテナンスを考える」―社会インフラのモニタリング―名古屋1 月号6P28年 5 月31日~6 月 2 日28年 6 月 2 日,3 日28年 6 月28日28年 6 月29日~7 月 1 日28年 7 月 6 日~8 日前号6P5P5P5P東京第26回環境工学総合シンポジウム2016金沢2 月号3P第 5 回環境放射能除染学会研究発表会福島前号6P28年 9 月15日~17日6 月13日~24日第60回粘土科学討論会福岡前号7P28年 9 月16日,17日28年10月27日,28日5 月31日第 8 回土砂災害に関するシンポジウム福岡第12回地盤改良シンポジウム京都3 月号5P大阪前号7P兵庫28年11月 7 日~10日29年 1 月10日~12日5 月15日第31回高速度イメージングとフォトニクスに関する国際会議31st International Congress on High-Speed Imaging and Photonics第14回岩の力学国内シンポジウム― 1 ―5P5P ■ 国際会議・IS 等の開催予定開催期日行事名28年 5 月26日~28日28年 9 月12日第 6 回日韓地盤工学ワークショップ29年 9 月17日~22日第19回国際地盤工学会議国際ミニシンポジウム中部開催地ホームページ名 古 屋岡山韓国 ソウル http://www.icsmge2017.org/地盤工学会ホームページ(https://www.jiban.or.jp/)に,会告及び最新出版案内が掲示されていますのでご覧ください。国際地盤工学会ホームページ(http://www.issmge.org/)地盤工学会の本部及び支部の所在地は本号会告の 6 ページをご参照ください。お知らせ■お知らせ平成年度新設委員会委員の公募(公社)地盤工学会調査・研究部調査・研究部が運営する委員会には,毎年定期的に新設される研究委員会と先駆的テーマに関する委員会設置の検討を行う調査委員会のほかに,活動資金の一部または全部を参加機関が分担拠出する公募型委員会,他機関から研究委託によって設置される受託委員会,重点課題について研究企画小委員会から不定期に企画・設置される研究小委員会等があります。研究委員会は会員の自主参加の下に,地盤工学に関するテーマの研究・調査に積極的に取り組み,その成果を会員に還元しようとするもので,重要な学会活動の一つとして位置付けられています。今回は,平成 28 年度に新設する研究委員会の委員を公募いたします。本委員会の活動期間は平成 31 年 3 月までの 3 年間となっています。応募を希望される方は下記要領に従い,月日(火)までに地盤工学会・調査・研究部宛にお送りください。なお,応募者は学会個人会員とし,同一年度での応募は各人 1 委員会に限らせていただきます。記◎委員を公募する委員会テーマと委員会発足の主旨委員会名3D プリンターによる岩盤の復元に関する研究委員会委員長 竹村貴人氏(日本大学)主 旨 ホームページをご参照ください。◎公募する委員の会務と人数研究委員会は,委員長,(副委員長/幹事長/幹事),事務担当幹事および委員で構成され,このうち委員を公募します。委員の方には,委員会発足後に決められる運営方針に従い調査,研究活動を行っていただくほか,成果の取りまとめ等にも協力していただきますので,実質的な作業負担が伴うことをご承知お第回地盤工学会通常総会会員各位(公社)地盤工学会会長 東畑 郁生公益社団法人地盤工学会定款第 25 条により,第 58 回通常総会を下記のとおり開催しますのでご案内いたします。代議員制度導入により会員は総会における議決権はありませんが,総会に出席して意見を述べることができます。記日時平成年月日(水)1400~1645会場地盤工学会大会議室〒― 東京都文京区千石丁目番号電話―― FAX――(地下鉄 都営三田線千石駅から徒歩 3 分, JR 山手線巣鴨駅から徒歩10分)きください。なお,委員の中より幹事を選出することもあります。公募人数については,研究テーマに関して会員に資する成果が上げられ,かつ委員会が円滑に運営されて,委員間相互で十分な意思疎通が図れる程度の人数とし,委員長と調整,決定するものとします。◎委員の選定方法応募者が多数の場合には,提出された業績に関する資料(応 , 等)を参考に,原則として調査・研究部が選定募要領のいたします。◎応募方法A判の用紙を利用して,以下の項目を漏れなく記入の上,月日(火)までに地盤工学会調査・研究部宛にメール添付ファイルとしてまたは FAX でお送りください。 応募する委員会名 氏名 会員番号 所属・役職 生年月日 連絡先住所,電話,FAX, Email 過去 5 年間の主な業績(論文または担当業務)論文の場合は,著者,タイトル,掲載誌,掲載ページ,発行年月 等担当業務の場合は,その概要(プロジュクト名,時期,場所,主な内容等) 過去 5 年間における地盤工学会における活動内容(委員会,座長等)◎申込み・問合わせ先地盤工学会 調査・研究部「新設委員会委員公募」係TEL―― FAX――Email: chosaki@jiban.or.jp総会1400~1645付議事項【審議事項】第 1 号議案 平成27年度事業報告第 2 号議案 平成27年度決算報告第 3 号議案 名誉会員の推挙第 4 号議案 公益社団法人地盤工学会定款の一部変更第 5 号議案 第 5 期代議員任期満了に伴う選任第 6 号議案 選挙管理委員会委員の選任第 7 号議案 役員任期満了に伴う選任【報告事項】1. 平成28年度事業計画2. 平成28年度正味財産増減予算総会後の諸行事上記事項終了後,引き続いて行います。平成27年度地盤工学会の表彰に関する報告ならびに授与懇 親 会  17  00 ~ 18  30 地 盤 工 学 会 大 会 議 室 , 会 費2 000円― 2 ― 地盤材料試験に関する「技能試験」参加募集主催(公社)地盤工学会後援(公社)土木学会,(一社)日本建築学会,(公社)日本材料学会,(一社)日本応用地質学会,(国研)産業技術総合研究所,(公財)日本適合性認定協会,(一社)全国地質調査業協会連合会昨年に引き続き地盤材料試験に関する技能試験を次の要領で実施します。奮ってご参加下さい。試験項目試験土粒子の密度試験,土の粒度試験,突固めによる土の締固め試験(注試験試料としては,砂質土を用いる予定です。)1. 土粒子の密度試験JIS A 12022. 土の粒度試験(ふるい分析,沈降分析)JIS A 12043. 突固めによる土の締固め試験(モールド径 10 cm ,ランマ2.5 kg)JIS A 1210(注一部の試験項目だけでも参加できます。)論文 ・ 原稿募集「地盤工学会誌」への概要原稿公募テーマ「地下を見る・観る・診る―物理探査技術の最新動向―」会誌編集委員会◇今回募集する下記の特集号に投稿を希望する方は,A4 判縦長の用紙に題名,執筆者と連名者の氏名,所属機関および連発行号平成29年 1 月号テーマ「地下を見る・観る・診る―物理探査技術の最新動向―」概要原稿の締切り平成年月日趣 旨物理探査技術は,目に見えない地下の様子を迅速かつ広範囲に調べる技術であり,地下資源の探鉱,土木建築施工,防災など幅広い分野に,古くから活用されています。近年では,土木建築工事施工前の地質構造把握にとどまらず,非破壊検査手法としても活用されており,空洞探査や,健全性調査,地盤改良効果の判定,トンネル工事における前方探査など,幅広い分野に用いられています。また,見えない内部状態を何らかの物理量でもって面的あるいは 3 次元的に可視化できる,いわゆる「見える化技術」として,とても魅力的な特性を持っています。催し物国際講演会「屈折率整合技術による粒状体の変形・破壊挙動の可視化」主催(公社)地盤工学会,(国研)海上・港湾・航空技術研究所日場講さらに,弾性波探査,地中レーダ,電気探査,トモグラフィ等,従来から活用されている探査技術に加え,最近では,ミュー粒子を用いた探査や,既往の探査方法であっても新しいセンサーを開発して適用した事例もあり,新たな探査技術も開発・適用されています。一方で,ボーリング調査やサウンディング調査といった直接的な調査方法と比較すると精度に難点がありますが,より良い結果を得るためには,目的を十分理解した上で,それぞれの調査手法の特性と適用性を的確に理解し選択して計画を立て,探査結果をどのように評価するかが重要となります。本号では,物理探査技術の現状と課題,最新技術と適用事例,精度向上のための技術,既往探査との比較検証事例,使用にあたっての留意点・問題点,今後の展望について特集いたします。会員の皆様の積極的なご投稿をお待ちしております。時平成年月日(金)1600~1730所海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所本館 1F 大会議室( 横 須 賀 市 長 瀬 3 ― 1 ― 1 , http: // www.pari.go.jp /about/map.html)師Prof. Richard J. Bathurst GeoEngineering Centre atQueen'sRMC,カナダ内容講演者の研究グループは粒状体の新しい可視化技術を開発している。2013年の ASTM Geotechnical Testing Journal でも最優秀論文に選ばれるなど世界的に高い評価を得ている。今回の講演では,講演者が海上・港湾・航空技術研究所の客員フェローとして来日していることを機に,その基本から応用までを講演いただく。講演は英語で行われますが,途中に日本語で解説を行います。参加料無料申込み方法氏名・所属・住所・電話番号を記載の上,地盤工学会国際部事務局( kokusai @ jiban.or.jp )までご連絡ください。― 3 ―催し物■絡者を明記のうえ,内容が理解できる 2 000 字程度の概要と,必要ならば図表等を添付してメールにて会誌編集委員会(Email: kaishigenko@jiban.or.jp)あてにお送り下さい。◇投稿者は,本学会の正・国際・学生会員に限ります。同一著者(筆頭著者)からの複数の採択はいたしません。◇概要を審査後,掲載可となった著者には,改めて原稿依頼状等をお送りいたします。その際の本原稿の締切りは,平成28年 9 月末を予定しております。◇最終的な掲載の可否は,編集委員会にご一任下さい。論文・原稿募集■日程(予定) 試料の配付7 月上旬 試験の実施7 月中 試験結果の報告期限7 月29日(金) 技能試験結果報告書の配付平成29年 1 月末参 加 費会員25 000円・非会員30 000円(次年度,報告会を開催します。参加機関は,報告会への参加費を無料とします。)(注会員とは,申込者あるいは試験実施者が個人会員・法人会員であることとし,後援団体の会員も同様に取り扱います。)主旨説明・申込方法など地盤工学会ウェブページ(学会の行事・活動→国際会議・シンポジウム)をご覧ください。参加申込み締切り日平成年月日(木)問合せ先地盤工学会 調査基準・技術推進事業チーム「技能試験」係Email: ginoushiken@jiban.or.jp電話―― FAX―― 国際講演会「Evolution of submarine landslides:The unifying shear band propagation approach」主催(公社)地盤工学会日場講内時平成年月日(月)1600~1700所地盤工学会 地階大会議室(東京都文京区千石 4― 38―2,https://www.jiban.or.jp/)師Prof. Dr. Alexander M. Puzrin Institute of Geotechnical Engineering ETH Zurich, Switzerland容Large catastrophic underwater landslides represent amajor geohazard due to their devastating consequences and tsunami generation potential. Evidence ofhistoric submarine landslide events shows, that theselandslides can reach gigantic dimensions of many tensof kilometres inlength at very low slope inclinations. Itis highly unlikely that slip surfaces of such greatlength could appear simultaneously along their entirelength. Therefore it is not surprising that conventionalslope stability analysis methods fail to explain not onlysuch large dimensions of these landslides, but also a支部からのお知らせ■broad variety of resulting geomorphological features.In contrast, the proposed shear band propagation(SBP) approach treats slope failure as an evolution ofgrowing slip surfaces and provides a rational quantitative explanation of the mechanisms ssociated withsuchenormous catastrophic landslide failures. Recentdevelopments in the SBP approach within the BP Caspian Sea project provide simple mechanical criteria fordiŠerent landslide stages. They have been validatednumerically and experimentally and calibrated againstthe extensive geophysical and and geotechnical datafrom the Caspian paleo-landslides. This novel SBP approach has been implemented in collaboration withFugro GeoConsulting into a GIS based probabilisticslope stability analysis framework, allowing for therisk assessment of the landslide impact on oŠ-shore infrastructure.参加料無料申込み方法氏名・所属・住所・電話番号を記載の上,地盤工学会国際部事務局( kokusai @ jiban.or.jp )までご連絡ください。支 部 か ら の お 知 ら せ●各支部行事等への申込み方法各支部事務局及び主催者へお問合わせください。中 部 支 部「 NATM とシールドトンネルの設計と実際」講習会のお知らせ主催(公社)地盤工学会中部支部後援(公社)土木学会中部支部開催日時・場所平成年月日(金)930~1700中部大学名古屋キャンパス三浦記念会館都市部の自立性の高い地盤では NATM でもシールド工法でもトンネルが造れるようになりました。しかし,現在,両工法の設計でトンネルに担保させる荷重の評価方法が異なるため,実務の現場で混乱が起きています。このことから,統一的な考え方に基づく設計法の確立が望まれています。この問題について,昨年度,「地盤工学会誌」に連載講座を開き,トンネルに担保させるべき荷重を合理的に評価できる考え方を示しました。本講習会では,都市トンネルの設計に関連したトンネル力学の考え方,両工法の現在の設計法,荷重評価方法,数値解析技術等の現状と課題を紹介し NATM とシールドトンネルの設計の統一的な考え方について連載講座の執筆者が説明します。本講習会は昨年 12 月に東京(本部主催)で開催した講習会をリニアーのもう片方の起点となる名古屋(中部支部主催)で開催するものです。前回は約 70 名の参加があり,非常に好評でした。前回参加出来なかった会員および中部支部を含む他支部会員を対象に,本部開催と同じ内容・講師で行います。参加費会員 13 000円 非会員 16 000円 学生会員 5 000円後援団体の会員 15 000円(テキスト代含む)申込み・問合せ先地盤工学会中部支部TEL――FAX――Emailjibanchu@jeans.ocn.ne.jp※詳細は中部支部 HP ( http:// jgschubu.org/)をご覧ください。九 州 支 部第回地盤工学における最近の課題に関するアジアジョイントシンポジウム JS TAINAN開催のお知らせ開 催 日平成年月日(金),日(土)開催場所台湾・台南市・国立成功大学申込み締切平成年月日(木)論文タイトル,著者名,ご所属および連絡先を,問合せ先まで連絡してください。原稿提出締切平成年月日(水)そ の 他詳細は下記へお問い合わせください。問合せ先地盤工学会九州支部〒 福岡市中央区大名―― CTI ビル階TEL――,FAX――Email: jgsk_jimu@able.oce.ne.jpHP: http://jgskyushu.jp/xoops/modules/bulletin/― 4 ― 共催・協賛・後援ジオシンセティックスを用いた補強・遮水技術に関する講習会主催国際ジオシンセティックス学会日本支部共催地盤工学会ほか日会時平成年月日(金)場地盤工学会 地階大会議室(東京都文京区千石 4―38―2)定員100名参 加 費正会員3 500円,非会員4 000円,学生会員2 000円第回応用力学シンポジウム主催土木学会応用力学委員会協賛地盤工学会ほか日会時平成年月日(土),日(日)場北海道大学工学部特別講演セミナー「メンテナンスを考える」―社会インフラのモニタリング―主催shamennet 研究会共催地盤工学会ほか日会時平成年月日(火)1300~1730場主婦会館プラザエフ 地下階クラルテ第回土砂災害に関するシンポジウム主催(公社)土木学会西部支部後援(公社)地盤工学会九州支部ほか日場時平成年月日(金),日(土)所福岡リーセントホテル第回岩の力学国内シンポジウム主催(一社)岩の力学連合会共催地盤工学会ほか日時平成年月日(火)~日(木)概要締切平成年月日(日)会場神戸大学百年記念館そ の 他詳細は下記 HP をご参照ください。HP: http://www.jcigs.org/申込み先国際ジオシンセティックス学会日本支部 事務局奈良Email: nara@jcigs.org電話/FAX――問合せ先防衛大学校システム工学群建設環境工学科篠田昌弘Email: shinoda@nda.ac.jp電話――(ex.)(北海道札幌市北区北条西丁目)そ の 他詳細は下記 HP をご参照ください。問合せ先第回応用力学シンポジウム事務局Email: AMC_SymO‹ce@jsce.or.jpHP: http:// www.jsce.or.jp/ committee / amc / jam/jam_sympo2016.html(東京都千代田区六番町15)参 加 費無料そ の 他詳細は下記 HP をご参照ください。株 内)問合せ先shamennet 研究会 事務局(国際航業電話――Email: inquiry_webform@shamennet.orgHP: http://www.shamennet.org/(〒8120053 福岡県 福岡市東区箱崎 2 丁目52―1)論文締切平成年月日(金)全文査読あり申込み・問合せ先土木学会西部支部事務局電話――Emailjscew@io.ocn.ne.jpHPhttp://committees.jsce.or.jp/seibu_s/(兵庫県神戸市灘区六甲台町 1―1)そ の 他詳細は下記 HP をご参照ください。問合せ先(一社)岩の力学連合会 事務局 冨田明日香〒 東京都港区赤坂――(一社)資源・素材学会内Email: jsrm@rocknetjapan.orgHP: http://rock.jsms.jp/jsrm/― 5 ―共 催 ・ 協賛 ・ 後 援■ 〒1120011 東京都文京区千石 4382公益社団法人地盤工学会 電 話03(3946)8677(代) FAX03(3946)8678Email: jgs@jiban.or.jp ホームページURL https://www.jiban.or.jp/北海道支部〒0600061 札幌市中央区南 1 条西 2 丁目 南一条 K ビル 8 階電 話011(251)7038,(261)7742 FAX011(251)7038Email: hjgs@olive.ocn.ne.jp東北支部〒9800014 仙台市青葉区本町 251 オーク仙台ビル 3F(江陽グランドホテル北側隣)電 話022(711)6033 FAX022(263)8363Email: jgsb-th@tohokushibu.jp北陸支部〒9500965 新潟市中央区新光町10番地 3 技術士センタービル 7F電話/FAX025(281)2125Email: jgskoshi@piano.ocn.ne.jp関東支部〒1120011 東京都文京区千石 4382 JGS 会館内電 話03(3946)8670(代) FAX03(3946)8699Email: jgskantou@jiban.or.jp中部支部〒4600008 名古屋市中区栄 2926 ポーラ名古屋ビル 8 階電 話052(222)3747 FAX052(222)3773Email: chubu@jiban.or.jp関西支部〒5400012 大阪市中央区谷町 157 ストークビル天満橋 8 階801号室電 話06(6946)0393 FAX06(6946)0383Email: office@jgskb.jp中国支部〒7300011 広島市中区基町103 自治会館内電話/FAX082(962)5557Email: chugoku@jiban.or.jp四国支部〒7908577 松山市文京町 3 愛媛大学工学部環境建設工学科内電 話090(6881)9036 FAX089(927)9817Email: nakajima@cee.ehimeu.ac.jp九州支部〒8100041 福岡市中央区大名 2412 シーティーアイ福岡ビル 2 階電 話092(717)6033 FAX092(717)6034Email: jgsk_ jimu@able.ocn.ne.jp― 6 ―
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