地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707
タイトル | 表紙 | ||||
著者 | |||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 〜 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070001 |
内容 | 表示 定価 1,728円 (本体価格1,600円) | ||||
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タイトル | 【英訳化版】室内試験・地盤調査に関する規格・基準(Vol.1)の発刊 | ||||
著者 | |||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 〜 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070002 |
内容 | 表示 ᆅ┙ᕤᏛ࡛ࡣࠗᢏ⾡⪅⥅⥆ᩍ⫱࠘ࢆᛕ㢌࠾ࡁከᒱࢃࡓࡿෆᐜࡢㅮ⩦ࢆ⏬㺃ᐇࡋ࡚࠾ࡾࡲࡍ㹿ⓙᵝࡢ✚ᴟⓗ࡞ࡈཧຍࢆ࠾ᚅࡕࡋ࡚࠾ࡾࡲࡍ㹿㻌ਲਗदણඩघॊম੫भ੍ରध৾ভ੦भਲਗఁ॑৯खथْஶ৲ගٓୡ؞ೕ৹ਪपঢ়घॊૠત؞੦ق9ROكभ䢢12 உ 2 ଐ≋≌Ⅴ↺↰⇁םҾྸ↗ࣖဇᜒ፼˟Ⅵ‒َਲਗਜَُপ৾ઇُऩनदઁ்ऎओણ৷ৣऔः؛¾ মभૼ॑৷ःञೕૼभ35ன৫؛ਲਗ੧੯दभਝੑ؞ੵभૼઐ௱षभણ৷ਲਗૼभਛऩन؛㏆ᖺࠊᘓタⓎ⏕ᅵࡢ᭷ຠ⏝ࡢಁ㐍ࡸࠊᅵተởᰁᑐ⟇ἲᇶ࡙ࡃᅵተởᰁࡢฎ⌮࡞ࡢࢭ࣓ࣥࢺࡼࡿᅵࡢᅛࢆᛂ⏝ࡍࡿሙ㠃ࡀቑຍࡋ࡚࠸ࡲࡍ㹿ࡲࡓࠊᆅ┙ᨵⰋศ㔝࡛ࡣࠊᚑ᮶ࡽὸᒙ࣭῝ᒙΰྜฎ⌮ᕤἲࢭ࣓ࣥࢺࡼࡿᅛࡀᗈࡃά⏝ࡉࢀ࡚࠸ࡲࡍࠋᮏㅮ⩦࡛ࡣࠊࢭ࣓ࣥࢺ࡞ࡽࡧࢭ࣓ࣥࢺ⣔ᅛᮦࡢᏛᨵⰋࡢཎ⌮ࡽࠊᨵⰋᅵࡢ≉ᛶࠊὸᒙ࣭῝ᒙΰྜฎ⌮ࠊᅛฎ⌮ᅵࡢ⎔ቃࡢᙳ㡪࡞ᅵࢆᅛࡵࡿᢏ⾡ࡢᛂ⏝ࡲ࡛ᖜᗈࡃㄝ᫂ࡋࠊ᭱᪂ࡢᢏ⾡ࠊᑐ⟇ࡸࡑࡢຠᯝࡲ࡛⤂࠸ࡓࡋࡲࡍࠋከࡃࡢ᪉ࡢࡈཧຍࢆ࠾ᚅࡕࡋ࡚࠾ࡾࡲࡍࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸6.0 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 12,000 㠀ဨ 15,000 Ꮫ⏕ဨ 3,000 ᚋᅋయࡢဨ 14,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦ྵࡴ㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸Ⓨ⾲㈨ᩱࡢ⦰ᑠ∧ࢆᙜ᪥㓄ᕸ࠸ࡓࡋࡲࡍࠋ¾ ৾েभਛ৾েषभমૼभ්؛ময৾েभୡૼ॑ৢखञஶୁৡभऩन؛䢢ၥྜࡏ/⏦㎸ࡳඛ㸸බ┈♫ᅋἲேᆅ┙ᕤᏛ ㅮ⩦ᢸᙜᆅ┙ᕤᏛ࣮࣒࣮࣍࣌ࢪ 㸦h t t p s : / / w w w . j i b a n . o r . j p /㸧㟁ヰ㸸03-3946-8671 FAX㸸03-3946-8678E-mail㸸k o s y u k a i @ j i b a n . o r . j p䢢1 உ 26 ଐ≋ங≌ⅤעႴ↝ѣႎᚐௌ≐ؕᄽྸᛯⅺ↸ࣖဇ↭↖≐ᜒ፼˟Ⅵ‒䢢12 உ 8 ଐ≋ங≌ⅤעႴ∝᎑ᩗܖλᧉᜒ፼˟Ⅵ‒ٹ-$3$1(6( *(27(&+1,&$/ 62&,(7< 67$1'$5'6/DERUDWRU\ 7HVWLQJ 6WDQGDUGV RI *HRPDWHULDOV 9ROَୡ੦ُق੦ઽஈ$ਖ਼ংॖথॲشᅚك,6%1 ؟ভ৩્؟قଛમઘશك㏆ᖺ㸪ከ࡞⿕ᐖࢆࡶࡓࡽࡍつᶍᆅ㟈ࡀ⤯࠼ࡎⓎ⏕ࡋ࡚࠾ࡾ㸪ᆅ┙ᕤᏛᦠࢃࡿᅵᮌ࣭ᘓ⠏ᢏ⾡⪅ࡣ㸪ᆅ㟈࣭⪏㟈ᕤᏛࡢ▱㆑ࢆ㥑ࡋࡓྲྀ⤌ࡳࡀࡇࢀࡲ࡛ࡶቑࡋ࡚ᙉࡃồࡵࡽࢀ࡚࠸ࡲࡍࠋᮏㅮ⩦ࡣ㸪ᆅ┙㟈ືࡸᾮ≧࡞ࡢᆅ㟈ࡢᅵ࠾ࡼࡧᆅ┙ࡢᣲືࡸ㸪ᵓ㐀≀ࡢ⪏㟈タィࡘ࠸࡚ࡢᇶᮏᴫᛕࢆᖹ᫆ゎㄝࡋ࡚ㅮ⩏ࡋࡲࡍࠋࡉࡽ㸪ᖺᗘࡣᐇົࡢᛂ⏝ࡋ࡚㸪ሐ㜵ࡢ⪏㟈ࡸᾮ≧ᑐ⟇ࡢ᭱᪂ືྥࡘ࠸࡚ࡶㅮ⩏ࡍࡿ࡞㸪ࡼࡾᐇࡋࡓෆᐜ࡞ࡗ࡚࠾ࡾࡲࡍࠋᆅ┙࣭⪏㟈ᕤᏛࡢᇶᮏⓗ㡯ࡸ᭱᪂ືྥࡢ▱㆑ࢆ῝ࡵࡓ࠸᪉㸪㠀ࡈཧຍୗࡉ࠸ࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸6.5 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 10,000 㠀ဨ 13,000 Ꮫ⏕ဨ 1,000 ᚋᅋయࡢဨ 12,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦ู㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸ࠕධ㛛ࢩ࣮ࣜࢬ 35㸸ᆅ┙࣭⪏㟈ᕤᏛධ㛛ࠖ㸦ᖹᡂ 20 ᖺ 6᭶Ⓨ⾜㸧ࢆ⏝ࡋࡲࡍ㸦ࢸ࢟ࢫࢺࡢ౯᱁㸦⛯ู㸧㸸ဨ4,860 㸪ᐃ౯㸦㠀ဨ㸧5,400 㸧ࠋٹ-$3$1(6( *(27(&+1,&$/ 62&,(7< 67$1'$5'6*HRWHFKQLFDO DQG *HRHQYLURQPHQWDO ,QYHVWLJDWLRQ0HWKRGV 9ROَೕ৹ਪ੦ُق੦ઽஈ$ਖ਼ংॖথॲشᅚك,6%1 ؟ভ৩્؟قଛમઘશكೕੵ৾ভदम০ऽदমஒমभदपखऽोथऌऽखञَೕ౫મୡभ্১धੰହُधَೕ৹ਪभ্১धੰହُपઽஈऔोथःॊૠત؞੦قਰৣ੦థधःअكभஶ৲হ॑ষढथउॉऽघ؛੦థ৸৬भஶमढ़ফੑदभਛ॑खथउॉऽघऋஶ৲खञ੦థमফपীऐथق9ROكعଡਛदದઃखथऽःॉऽघ؛भଡਛपणःथमਲਗदણඩऔोॊૼभओਏऋਘः੦థ॑ਸ਼पऽञবपउःथुઞ৷ᄄ২ऋৈःुभऊैરದਜ਼॑णऐञౣૐधखथउॉऽघ؛০भमजभਸ਼ഩق9ROكदघ؛ชశমभ੦॑৷ःञਲਗ੧੯भਝੑ৹ਪਗবযૼभਛমभૼ॑৷ःञೕૼभ35ன৫ਝੑ؞ੵभૼઐ௱ৡभ੍ରऩनपओણ৷ःञटऌञःधઓःऽघ؛ऽञপ৾ઇभৃपउऌऽखथु৾েषभਛ৾েपৌघॊমૼभ්ময৾েभୡૼ॑ৢखञஶୁৡभੜਸऩनपुओણ৷ःञटऐोयౘःपோगऽघ؛ओභোभ্১৾ভشঌش४भછආභোঌش४قKWWSZZZMJVVKRSSLQJQHWكभછदुउେःीःञटऐऽघ؛پভ৩્दभओභোम৾ভشঌش४ऊैभභোपॉऽघभदओିਔऎटऔः؛䢢2 உ 2 ଐ≋ங≌‒ ⅤעႴોᑣ↝ᛦ௹∝ᚨᚘ↗≐ৎ˰ܡⅺ↸ʴ↭↖‒ ᜒ፼˟Ⅵ‒䢢12 உ 20 ଐ≋້≌Ⅴޛעᙀࢍםඥᜒ፼˟Ⅵ‒ᆅ┙ᕤᏛ࡛ࡣࠊᖹᡂ 23 ᖺ 8 ᭶ࠕᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲ࣐ࢽࣗࣝࠖࢆⓎห࠸ࡓࡋࡲࡋࡓࠋࡇࡢ࣐ࢽࣗࣝࡣࠊ⿵ᙉᅵᕤἲࡢ୍ࡘ࡛࠶ࡿࠕᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࠖࡢᬑཬ㐺ษ࡞タィ࣭ᕤ࣭⥔ᣢ⟶⌮ࢆ┠ᣦࡋ࡚ᆅ┙ᕤᏛタ⨨ࡉࢀࡓᆅ┙タィ࣭ᕤᇶ‽ጤဨ WG5 ᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲ㸦ᖹᡂ 20㹼21 ᖺᗘ㸧࠾࠸࡚ࠊከᩘࡢᑓ㛛ᐙࡼࡗ࡚సᡂࡉࢀࡓࡶࡢ࡛ࡍࠋ≉ᚩࡋ࡚ࡣࠊ⮬↛ᩳ㠃࣭ษᅵࡢࡾ㠃ࡔࡅ࡛࡞ࡃ᪤タ┒ᅵࡢࡾ㠃ࡶᑐ㇟ࡋ࡚࠸ࡿࡇࠊᘬᙇࡾ⿵ᙉࢆᇶᮏࡋ࡚࠸ࡿࡇࠊ⾲㠃ᮦࡢຊᏛⓗᙺࢆ᫂☜ࡋ࡚࠸ࡿࡇࠊỈᕤࢆ㔜せどࡋ࡚࠸ࡿࡇࠊᚑ᮶㔜どࡉࢀ࡚ࡇ࡞ࡗࡓ⪏㟈タィࡶグ㏙ࡋ࡚࠸ࡿࡇ࡞࡛ࡍࠋᮏㅮ⩦࡛ࡣࠊ⿵ᙉᅵᕤἲࡢཎ⌮ࠊᘬᙇࡾ⿵ᙉᅵᕤἲࡢ≉㛗⿵ᙉᮦタ⨨᪉ྥࡢᙳ㡪ࠊ⾲㠃ᕤ㸦ࡢࡾ㠃ᕤ㸧ࡢຊᏛⓗ㔜せᛶࠊ┒ᅵ⿵ᙉᅵᕤἲᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࡢᕤἲ࣭⿵ᙉᮦ࣭タィἲࡢ┦㐪ࠊ⿵ᙉᅵࡢ㧗࠸⪏㟈ᛶࠊ࣮ࣥ࢝ᕤἲࡢཎ⌮ⓗ࡞┦㐪ཬࡧᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࡢ⌧ἣㄢ㢟ࢆㄝ᫂ࡋࡲࡍࠋࡲࡓࠊᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲ࣐ࢽࣗࣝࡢὶࢀἢࡗ࡚ࠊᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࡢㄪᰝ࣭ィ⏬ࠊタィἲࠊᕤἲࠊᘬᢤࡁヨ㦂࠾ࡼࡧ⥔ᣢ⟶⌮ࡢᐇົࡘ࠸࡚ࠊ᭱㏆ࡢࢆ⤂ࡋ࡞ࡀࡽࢃࡾࡸࡍࡃゎㄝࡋࡲࡍࠋࡲࡓࠊ㏆ᖺࡢᆅ㟈࣭㞵࠾࠸࡚ࠊᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࡀ♧ࡋࡓඃᛶࡸㄢ㢟ࡘ࠸࡚ࡶ᪂ࡓㅮ⩏ෆᐜ㏣ຍࡋࠊᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲࡢ᭱᪂ືྥࢆ▱ࡿୖ࡛ࡶࠊ㠀ᖖ᭷ព⩏࡞ㅮ⩦࡞ࡗ࡚࠾ࡾࡲࡍࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸6.5 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 12,000 㠀ဨ 15,000 Ꮫ⏕ဨ 3,000 ᚋᅋయࡢဨ 14,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦ู㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸ࠕᆅᒣ⿵ᙉᅵᕤἲ タィ࣭ᕤ࣐ࢽࣗࣝࠖ㸦ᖹᡂ 23 ᖺ 8᭶Ⓨ⾜㸧ࢆ⏝ࡋࡲࡍ㸦ࢸ࢟ࢫࢺࡢ౯᱁㸸ᐃ౯ 3,800ࠊဨ≉౯ 3,420 ࠊ࠸ࡎࢀࡶ⛯ู㸧㏆ᖺ㸪ከ࡞⿕ᐖࢆࡶࡓࡽࡍつᶍᆅ㟈ࡀ⤯࠼ࡎⓎ⏕ࡋ࡚࠾ࡾࡲࡍࠋᆅ┙ᕤᏛᦠࢃࡿᅵᮌᢏ⾡⪅ࡣ㸪ᆅ㟈࣭⪏㟈ᕤᏛࡢ▱㆑ࢆ㥑ࡋࡓྲྀ⤌ࡳࡀࡇࢀࡲ࡛ࡶቑࡋ࡚ᙉࡃồࡵࡽࢀ࡚࠸ࡲࡍࠋᙉ㟈ືࢆ⏝࠸ࡓᆅ┙ࡢືⓗゎᯒ࠾࠸࡚ࡣ㸪ẚ㍑ⓗ⡆౽࡞➼౯⥺ᙧゎᯒࡽᡭ㛫ࡢࡿ᭷ຠᛂຊゎᯒࡲ࡛㸪ᵝࠎ࡞ゎᯒࢥ࣮ࢻࡀᐇົ࡛ࣞ࣋ࣝ⏝ࡉࢀࡿࡼ࠺࡞ࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋࡋࡋ࡞ࡀࡽ㸪ᆅ┙ࡢືⓗゎᯒ㛵ࡋ࡚㸪ᅵࡢືⓗᛶ㉁ࡽືⓗゎᯒࡢ⌮ㄽࡲ࡛ࢆ⥙⨶ࡋࡓ᭩⡠ࡣぢ࠶ࡓࡽࡎ㸪ึᏛ⪅ࡣࣁ࣮ࢻࣝࡢ㧗࠸ศ㔝࡞ࡗ࡚࠸ࡿࡢࡶᐇ࡛࠶ࡾࡲࡍࠋᮏㅮ⩦ࡣࠕ⌮ㄽࢩ࣮ࣜࢬ㸸ᆅ┙ࡢືⓗゎᯒ㸫ᇶ♏⌮ㄽࡽᛂ⏝ࡲ࡛㸫ࠖࢆࢸ࢟ࢫࢺࡋ࡚㸪ᅵࡢືⓗᛶ㉁ᣲື࣭ධຊᆅ㟈ື࣭ືⓗゎᯒࡢᇶ♏⌮ㄽ࣭ືⓗゎᯒἲ࡞ࡘ࠸࡚ゎㄝ࠸ࡓࡋࡲࡍࠋዧࡗ࡚ࡈཧຍࡃࡔࡉ࠸ࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸6.0 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 12,000 㠀ဨ 15,000 Ꮫ⏕ဨ 3,000 ᚋᅋయࡢဨ 14,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦ู㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸ࠕ⌮ㄽࢩ࣮ࣜࢬ 2㸸ᆅ┙ࡢືⓗゎᯒ㸫ᇶ♏⌮ㄽࡽᛂ⏝ࡲ࡛㸫㸦ᖹᡂ 19 ᖺ 2 ᭶Ⓨ⾜㸧ࠖ㸦౯᱁㸸ဨ 3,240 㸪ᐃ౯㸦㠀ဨ㸧 3,600 㸪ඹ⛯ู㸧ࢆ⏝ࡋࡲࡍࠋ䢢ᅵ㉁㸦⌧ࠊᆅ┙㸧ᕤᏛࡀ 63 ᖺࠕ㌾ᙅᆅ┙ᑐ⟇ᕤἲ㸫ㄪᰝ࣭タィࡽᕤࡲ࡛ࠖࢆⓎหࡋ࡚௨㝆ࠊࢭ࣓ࣥࢺ⣔ᅛᮦࢆ⏝࠸ࡓᕤἲ௦⾲ࡉࢀࡿ᪂ࡋ࠸ᕤἲࡢ㛤Ⓨ࡞ࡢᢏ⾡ࡢ㐍Ṍࡸࠊᡞᘓ࡚ఫᏯࡢᆅ┙ᨵⰋᢏ⾡ࡢ㐺⏝࡞ࡢ᪂ࡋ࠸ศ㔝࣭⏝㏵ࡢ㐺⏝ࡶቑ࠼࡚ࡁࡲࡋࡓࠋࡉࡽ㏆ᖺࡢሗᢏ⾡ࡢⓎᒎࢆά⏝ࡋ࡚ࠊᘓタ୰ࡸᘓタᚋࡢィ ⟶⌮ᢏ⾡ࡶ㣕㌍ⓗ㐍ࢇ࡛࠾ࡾࡲࡍࠋᮏᏛ࡛ࡣ⣙ 25 ᖺࡪࡾྠ᭩ࢆᨵゞࡋࠊࠕᆅ┙ᨵⰋࡢㄪᰝ࣭タィᕤ㸫ᡞᘓఫᏯࡽேᕤᓥࡲ࡛ࠖࢆⓎหࡋࡲࡋࡓࠋᮏㅮ⩦࡛ࡣࠊᇳ➹ᢸᙜ⪅ࡀᮏ᭩ࡢෆᐜࢆヲࡋࡃゎㄝ࠸ࡓࡋࡲࡍࠋ≉ᅜᅵࡢ⊃࠸ᡃࡀᅜ࡛ࡣࠊ㌾ᙅᆅ┙ᵓ㐀≀ࢆ㐀ࡽࡊࡿࢆᚓࡲࡏࢇࠋࡲࡓࠊ㌾ᙅᆅ┙ᑐ⟇ᕤἲࡢせồࡣከ✀ከᵝ࡞ࡗ࡚࠾ࡾࠊ᪂ࡋ࠸ᕤἲࡸ⏝㏵ࡢ㛤Ⓨࡀᚲせࡉࢀࡲࡍࠋࡉࡽࠊᆅ┙ᨵⰋࡢ▱㆑ࡣᆅ┙ࡢရ㉁ࢆุᐃࡍࡿ㝿ࡶᙺ❧ࡕࡲࡍࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸5.5 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 12,000 㠀ဨ 15,000 Ꮫ⏕ဨ 3,000 ᚋᅋయࡢဨ 14,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦ู㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸ࠕᆅ┙ᕤᏛ࣭ᐇົࢩ࣮ࣜࢬ 31 ᆅ┙ᨵⰋࡢㄪᰝ࣭タィᕤ㸫ᡞᘓఫᏯࡽேᕤᓥࡲ࡛㸦ᖹᡂ 25 ᖺ 4 ᭶Ⓨ⾜㸧ࠖࢆ⏝ࡋࡲࡍ(ᐃ౯ 3,900 ࠊဨ౯᱁ 3,510 ࠊ࠸ࡎࢀࡶ⛯ู㸧ࠋ2 உ 27 ଐ≋உ≌Ⅴםჿ໎ܹ↚᧙ↈ↺২ᘐᜒ፼˟Ⅵ‒㏆ᖺࠊ㞵కࡗ࡚ከ࡞⿕ᐖࢆࡶࡓࡽࡍᅵ◁⅏ᐖࡀ⤯࠼ࡎⓎ⏕ࡋ࡚࠾ࡾࠊᆅ┙ᕤᏛᦠࢃࡿᢏ⾡⪅ࡣࠊᅵ◁⅏ᐖࡢ⌮ゎῶ⅏ࡢྲྀ⤌ࡳࡀࡇࢀࡲ࡛ࡶቑࡋ࡚ᙉࡃồࡵࡽࢀ࡚࠸ࡲࡍࠋᮏㅮ⩦ࡣ㸪㏆ᖺࡢᅵ◁⅏ᐖࡢ⌧≧ࡸ≉ᚩࠊⓎ⏕ࡢ࣓࢝ࢽࢬ࣒ࡘ࠸࡚ࡢᇶᮏᴫᛕࢆゎㄝࡋ࡚ㅮ⩏ࡋࡲࡍࠋࡉࡽࠊᐇົࡢᛂ⏝ࡋ࡚ࠊᆅᙧࡸᆅ㉁᮲௳ࡼࡿⓎ⏕≧ἣࡢ㐪࠸ࡸᐇ㝿ࡢ⿕ᐖࠊᪧᑐ⟇ࡢ᭱᪂ືྥࡘ࠸࡚ࡶㅮ⩏ࡍࡿ࡞ࠊࡼࡾᐇࡋࡓෆᐜ࡞ࡗ࡚࠾ࡾࡲࡍࠋࡲࡓࠊ㞵ࡔࡅ࡛࡞ࡃᆅ㟈ࡼࡿᅵ◁⅏ᐖࡢⓎ⏕ࡘ࠸࡚ࡶྲྀࡾୖࡆࡲࡍࠋᅵ◁⅏ᐖࡢᇶᮏⓗ㡯ࡸ᭱᪂ືྥࡢ▱㆑ࢆ῝ࡵࡓ࠸᪉ࠊ㠀ࡈཧຍୗࡉ࠸ࠋ G-CPD ࣏ࣥࢺᩘ㸸6.5 ሙ㸸ᆅ┙ᕤᏛ ㆟ᐊ 㸦ᮾி㒔ᩥி༊༓▼ 4-38-2㸧 ㈝㸸ဨ 12,000 㠀ဨ 15,000 Ꮫ⏕ဨ 3,000 ᚋᅋయࡢဨ 14,000 㸦ࢸ࢟ࢫࢺ௦㎸㸧ࢸ࢟ࢫࢺ㸸ࢸ࢟ࢫࢺࡣࠊㅮᖌࡀ⏝ࡍࡿࢫࣛࢻࡢࢥࣆ࣮ࡢࡳ࡛ࠊᙜ᪥㓄ᕸࡋࡲࡍ | ||||
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タイトル | 本号の編集にあたって(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 鎌田 敏幸・正田 大輔 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | i〜i | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070003 |
内容 | 表示 本号の編集にあたって建設を含む様々な生産活動を通じて発生する廃棄物,副産物といった材料を,建設現場でそのまま用いるには品質をはじめとした問題があります。しかし,適切な処理をすることにより様々な建設現場で,リサイクル材として有効活用することができます。このような材料の有効活用は,環境負荷低減,天然資源消費の抑制といった循環型社会の形成のために必要不可欠です。特に,鉄鋼スラグ,石膏ボード建設発生木材などについては,施工事例も増えつつあります。一方で,いかに低品質な材料に付加価値を与えるかといった課題があり,解決のための研究開発が長年行われています。さらに多様化するリサイクル材料の有効活用の促進のためにも,多くの解決すべき課題があります。このような背景から,本号では,「リサイクル材の地盤材料への活用」と題して,各種廃棄物・副産物の地盤材料としての活用に関する現状課題,調査・研究,活用事例について特集を企画しました。総説では,日本におけるリサイクル材の法体系の整備状況,また各種リサイクル材の変遷・課題・展望について解説されています。 2 編の論説では,建設発生土の有効利用に関する課題・展望についての解説と,建設資材として利用可能な循環資源の環境安全品質に関する最近の動向・課題についての解説がされています。さらに,5 編の報告では,高炉水砕スラグ混合砂の強度・透水特性,石炭灰混合材料の道路盛土への有効利用,再生石膏の有効利用における課題から,貝殻の有効活用,セメント改良土へのもみ殻灰活用に至るまで幅広いテーマに関する最新の知見について執筆していただきました。本号の特集が多くの読者の皆様にとって有益なものとなり,リサイクル材の地盤材料への活用が促進されることを期待しております。「リサイクル材の地盤材料への活用」特集担当鎌 田 敏 幸(かまたとしゆき)本号は 9 月13日から16日にかけて,岡山大学津島キャンパスにおいて開催された第51回地盤工学研究発表会の特集号です。心配された台風などの影響も少なく1 808名の方にご参加いただき,1 120件の発表がありました。今年の発表会でも,研究発表セッション,特別セッション,交流会,技術展示,特別会員 PR コーナー,サロン・土・カフェ W,見学会などの多くの行事が開催され,活発な意見交換が行われました。市民向け行事では岡山駅周辺において,「体験イベント(地震体験車での地震の体験・地盤工学に関する模型実験披露)」及び「防災に関する講演・討議会」が開催され,一般市民の方に地盤工学についての知見を深めていただき,自身の自然災害に対する備えの意識を持っていただく良い機会になったと感じております。また,特別セッション,特別講演会,技術展示など多くの催しが一般開放されており,一般の方の関心を集め,開かれた学会である印象を強く感じていただいたと思います。本号は,11月号との合併号となっており,毎年12月号は研究発表会に関する特集号となっていますが,発表会で開催された多くの行事などは地盤工学会ホームページ(https://www.jiban.or.jp/)に掲載されています。ホームページでの報告は,一般公開された行事や,特別講演会,特別セッション,優秀論文発表者,サロン・土・カフェ W についての内容が掲載されており,会員の皆様に有益な情報を提供できることを期待しています。最後に,研究発表会の運営にご尽力されました実行委員会をはじめ,研究発表会関係者の皆様に深く感謝申し上げますとともに,来年度に開催される名古屋での研究発表会がさらに実り多いものになることを祈念いたします。「第51回地盤工学研究発表会」特集担当地盤工学会のホームページ URL https://www.jiban.or.jp/国際地盤工学会ホームページ http://www.issmge.org/編集兼発行者公益社団法人地盤工学会正 田 大 輔(しょうだだいすけ) | ||||
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タイトル | 目次 | ||||
著者 | |||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 〜 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070004 |
内容 | 表示 口絵写真(*HP)報告不飽和浸透特性を活かした水産系副産物(貝殻)の地盤材料への有効活用第51回地盤工学研究発表会技術手帳ピクセルフリーな画像解析手法による変形計測講座地盤工学と地質学における最新のかかわり4. 自然的要因による環境汚染の評価と対策11月号特集テーマリサイクル材の地盤材料への活用総説多様化するリサイクル材の有効活用の課題と展望 ………………………………………………… 1●佐藤論説研一「土」を活かすための課題解決と戦略 ………………………………………………………………… 6●乾徹/勝見武環境安全品質基準に関する最近の動向と課題 ……………………………………………………… 8●肴倉報(公告募)(公募)自然砂混合した高炉水砕スラグの未硬化時及び硬化途中の強度・透水特性 ……………………12●石藏募)募)募)智美/王韋薫/森井俊広/辻本剛三/菅紘毅/松元和伸/中房悟毅/佐藤研一/横田季彦/勝見武/高橋正樹再生石膏の地盤工学的有効利用における硫化水素ガス発生について ……………………………24●遠藤(公規之/坂田石炭灰混合材料を高規格道路盛土に有効利用するためのガイドラインについて ………………20●龍原(公良平/安福不飽和浸透特性を活かした水産系副産物(貝殻)の地盤材料への有効活用 ……………………16●小林(公宏史和人環境負荷量から見たセメント改良土へのもみ殻灰活用の可能性 …………………………………28●島本由麻/鈴木哲也/森井俊広12月号特集テーマ第51回地盤工学研究発表会巻 頭 言第51回地盤工学研究発表会を終えて …………………………………………………………………30●山下総説第51回地盤工学研究発表会の閉幕 ……………………………………………………………………31●丸山特別講演会,展示会,交流会,見学会,市民参加行事聡隆英特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告 ………………………………HP1●川崎元/珠玖隆行特別講演会我国における土質力学誕生の頃と地盤工学会の発展 ……………………………………………HP5●石原研而関西における地盤工学の歩み ………………………………………………………………………HP6●足立紀尚岡山地方における地盤工学の進展 …………………………………………………………………HP8●河野伊一郎岡山平野の干拓―二,三のトピックス ……………………………………………………………HP9●藤井特別講演会前方後円墳の設計原理 ………………………………………………………………………………HP11●新納特別セッション弘章泉地盤工学会におけるダイバーシティの実現 ………………………………………………………HP12●田中真弓基礎杭問題に対する学会提言 ………………………………………………………………………HP14●古屋弘原子力発電所廃止措置のための地盤工学(廃炉地盤工学)の創出と人材育成 ………………HP16●鈴木誠平成27年度道路保全地盤技術向上の調査・研究●宮田優秀論文発表者賞成果報告会 …………………………………HP18喜壽第51回地盤工学研究発表会●地盤工学会優秀論文発表者賞 …………………………………………………HP20調査・研究部サロン・土・カフェ W「サロン・土・カフェ W」開催報告 ………………………………………………………………HP24技術紹介長距離水中流動充填材「Hilo」 ………………………………………………………………………32●藤澤●柳井寄稿修司/大石利幸智広/佐藤圭太/木田洋アスファルト廃材を用いた土構造物の保護に関する研究 …………………………………………34●横浜学会の動き久子/高原勝司/佐藤厚子Soils and Foundations の最近の動向と購読料改訂について ………………………………………36●菊池喜昭/渦岡良介学会の動き(ISO だより)ISO/TC182 & CEN/TC341(地盤調査・試験法)会議 ……………………………………………38技術手帳超弾性 ……………………………………………………………………………………………………39●地盤工学会 ISO 国内委員会●山川優樹ピクセルフリーな画像解析手法による変形計測 ……………………………………………………41●上野勝利講座地盤工学と地質学における最新のかかわり3. 建設工事における応用地形・地質学的調査 ……………………………………………………43●品川4.俊介自然的要因による環境汚染の評価と対策 ………………………………………………………52●五十嵐敏文新入会員 ………………………………………………………………………………………………………58書籍紹介・編集後記 …………………………………………………………………………………………59 | ||||
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タイトル | 多様化するリサイクル材の有効活用の課題と展望(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 佐藤 研一 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 1〜5 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070005 |
内容 | 表示 多様化するリサイクル材の有効利用の課題と展望Topics and Prospects of the EŠective Utilization of Diversiˆed Recycled Materials佐藤研一(さとう福岡大学教授けんいち)工学部. は じ め に本特集号は「リサイクル材の地盤材料への活用」である。筆者はこれまでに多くの産業副産物をはじめとするリサイクル材の有効利用に関する研究を行ってきた研究者の一人である。筆者がはじめて廃棄物を研究対象にすることに至ったのは,福岡大学に着任した 1994 年,今から 22 年前のことである。準好気性最終処分場(福岡方式)の開発者であり,廃棄物資源循環学会元会長,花嶋正孝名誉教授(当時の所属学科教授)に「佐藤君,一緒にゴミをやらないか廃棄物分野に地盤工学が分かる人が必要なんだ」と言われたことがきっかけであった。図―循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則1)当時の主研究テーマは,「砂地盤の液状化対策」と言うこともあり,「廃棄物」と「地盤工学」が繋がることす―に示すように日本では循環資源の循環的な利用及びら分からず,突然の申し出にびっくりしたことを思い出処分の基本原則1) があり,適正な 3R (リデュース,リす。しかし,現在の研究分野の 8 割をしめるリサイクユース,リサイクル)と処分により,天然資源の消費がル材の研究を始める,運命的な出会いとなったのである。抑制され,環境への負荷が低減される社会を構築する取これまで約 20 年近く,循環型社会形成推進の法整備り組みが推進されている。が進む中,様々な廃棄物を地盤材料としてリサイクルす以上のような社会背景の中,近年では地盤材料への適る研究を中心に行って来た。今回特集号の「総説論文」用を目的としたリサイクル材は多様化する一方で多くのを書くことになったことは非常に光栄である。課題を抱えている。また, 2020 年の東京オリンピック,日本では図―に示すような法体系1) が整備され,リニア建設により発生する多量な建設発生土問題と遭遇1993 年に環境基本法が制定され,以降 2000 年に整備さ型地盤汚染問題への対応,東日本大震災のような災害かれた循環型社会形成促進基本法のもと,廃棄物の適正処らの復旧・復興過程で多量に発生する災害廃棄物のリサ理を規制する廃棄物処理法,リサイクルを促進する資源イクル問題など,今後もリサイクル材の地盤材料への適有効利用促進法,グリーン調達を推進するグリーン購入用に関する課題解決は地盤工学分野が活躍・貢献できる法の枠組みの下に,個別物品の特性に応じた規制が作ら重要な分野である。れ,有効な資源のリサイクルを推進している。また,図そこで,学会会員諸氏にリサイクル材への現状と課題について関心を持って頂き,循環型社会の形成に関する課題解決やさらなる研究開発の一助になるために本号が企画されたものと思う。.日本におけるリサイクル材. リサイクル材の有効利用の動向と法制度の変遷学会ホームページにアップされているアカデミックロードマップ2)から日本における主なリサイクル材の変遷と課題を紹介する。リサイクル材の動向と関係法制度について図―に示す。建設工事に図―循環型社会形成のための日本の法体系1)地盤工学会誌,―/(/)用いるリサイクル材の適用は,まず,メ1総説リットのある材料を使うことを目的に,現場発生土の有1991 年には再生資源利用促進法が制定され,建設発生効利用,水硬性材料の地盤改良材への適用から始まった。土も指定副産物とされ,リサイクルの促進が求められた。その後,各種廃棄物を減らすことを目的に各副産物の利1992 ~ 1996 年度に亘って行われた,建設省総合技術開用が進み,その後土壌汚染対策法の制定が行われ,遭遇発プロジェクト,(以下,総プロ)「建設副産物の発生抑型汚染地盤などへの対応と法制度の整備とともに行われ制・再生処理技術の開発」の一環として,低品質な建設て来た。そして,持続可能な社会の構築や強靭な国土づ発生土の改良技術も対象となった。この中では,低品質くりの中で,リサイクル材の利用を建設技術として組みな土を軽量化や流動性等の付加価値を付けるような工法込んで行く動きが進められていることが分かる。の開発を行っている。その成果を基に, 1994 年には発. 各リサイクル材の変遷と課題生土利用基準(案)が国土交通省より通達され,また,図―に示された各リサイクル材の利用の変遷の詳細建設発生土利用技術マニュアル( 2013 年に第 4 版に改とこれからの課題についてまとめた。建設発生土訂)が出版された。 2003 年に建設発生土等の有効利用に関する行動計画が策定され,8 項目の具体的な施策が建設発生土,いわゆる残土を利用する場合,品質が良掲げられた。この施策により,発生土利用基準(案)を好なものはそのまま利用できるが,掘削されたものが,再検討し,発生土利用基準とした他,汚染土に対して,利用用途の品質基準に満たない品質であった場合には,建設工事で遭遇する地盤汚染対応マニュアル(2004年)天日乾燥による含水比低下や,セメントや石灰等によるが,廃棄物混じり土に対して,建設工事で遭遇する廃棄土質改良が行われていた。 1970 年ごろには,地盤改良物混じり土対応マニュアル( 2009 年)等が取りまとめのためのセメント系固化材の開発が行われ,超軟弱な地られ,建設発生土の利用拡大と,汚染土などの適切な取盤の改良等が行われるとともに,掘削した軟弱土に対し扱いの促進を目指している。また, 2014 年 9 月に策定ても土質改良用のセメントが用いられるようになった。された「建設リサイクル推進計画2014」では,「建設発生土の有効利用・適正処理の強化」が重点施策として位置付けられ,それに基づき, 2015 年より「建設発生土等の官民有効利用試行マッチング」の取り組みが行われている。また, 2020 年のオリンピックに向けた公共事業,リニア建設にともなった多くの発生土が排出されことが予想されており,一層のリサイクルと遭遇型地盤汚染問題への対応が迫られている。建設汚泥建設汚泥は,従来天日乾燥や脱水による処理が行われてきた。発生土と同じようにセメントや石灰による土質改良も行われてきたが,不適切な改良や土砂に混入しての不法投棄などが発生し,不適正処理の防止や再生利用率の向上が求められた。そこで, 1992 ~ 1996年 の 5 年間 に亘 り建 設汚 泥の 適切な有効利用を目的とした建設省総プロ「建設副産物の発生抑制・再生利用技術の開発」の一環としての「建設汚泥の高度処理・利用技術の開発」が実施された。これにより,建設汚泥の処理技術としての高度脱水処理や安定処理等による有効利用技術が体系的に整備され,処理土の土質材料としての品質区分,処理土の品質判定のた図―2日本における主なリサイクル材の変遷と法制度の関係2)めの試験方法,建設汚泥処理土利November/December, 2016総用技術基準,及び建設汚泥処理土の適用用途標準等が示説建設発生木材された。 2005 ~ 2006 年にかけて,環境省より,建設汚1991 年の再生資源利用促進法の制定により, 2000 年泥の再生利用を促進させる目的で通知「建設汚泥処理物の資源有効利用促進法で建設発生木材は指定副産物としの廃棄物該当性の判断指針」等が発出され,国土交通省てリサイクルの促進を行うこととされ,同年の建設リサも 2006 年に建設汚泥の再生利用に関するガイドラインイクル法において,再生利用あるいは再生施設への搬出を作成し,リサイクル原則化ルールに建設汚泥を追加し,が義務付けられた。木質ボードは, 1960 年ごろには本なおいっそうのリサイクル率の向上を目指している。格的に製造され,当初廃木材は使用されていなかった。アスファルト・コンクリートがらその後リサイクルに関する法律の整備及び技術開発によアスファルト・コンクリートがらの再生利用に関するり,建設発生木材の利用が始められた。また,地球温暖研究は, 1945 年代から始められたと言われており,本化対策によるCO2削減のために2000年ごろより,建設廃格的な技術開発が行われるようになったのは 1975 年代木材を用いたバイオマス発電や,バイオマスエタノールに入ってからである。アスファルト・コンクリートがらの開発が行われている。リサイクルの推進方策として,の再生利用は,廃材を混合所に搬入して再生(プラント2003 年には「建設発生木材チップの利用促進基準(暫再生)する方法と,路上でそのまま再生(路上再生)す定版)」が建設副産物リサイクル広報推進会議の設立10る 方 法と があ る。 プ ラン ト再 生 につ いて は 1984 年に周年の勉強会で制定された。また, 2010 年には全国木「舗装廃材再生利用指針(案)」が発刊され技術の標準化材資源リサイクル協会連合会がリサイクル促進のためが図られ,路上再生のうち路盤にかかわるものについて「木材リサイクルチップの品質規格」を作成し,2014年は1987年 1 月に「路上再生路盤工法技術指針(案)」が,には日本木質バイオマスエネルギー協会により「燃料用表層にかかわるものについては 1988 年 11 月に「路上表木質チップの品質規格」が作成された。一方, 2014 年層再生工法技術指針(案)」がそれぞれ発刊されるなど,には「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達仕様規定によるアスファルト・コンクリートがらのリサに関する特別措置法」が制定され,発電等への木質バイイクル推進が図られた。オマス燃料の活用が促進されることとなった。その後,舗装については, 2001 年に発刊された「舗廃石膏ボード装設計施工指針」「舗装施工便覧」に基づき,性能規定石膏ボードは,安価で防災上安全な建築材料としてによる設計,施工が行われるようになり,アスファル1960 年代 の高 度 成長 期か ら 急速 に普 及し た 。廃 石膏ト・コンクリートがらの活用など再生材の利用に関してボードは,新築,建築解体現場で発生し,近年は建替えは, 2004 年度に発刊された「舗装再生便覧」に基づいや耐震工事の増加によりその発生量が急増している。石てリサイクル推進が図られることとなった。膏ボードは,紙が付着しているため,当初は管理型産業コンクリートがらコンクリートがらの再利用については, 1975 年代中廃棄 物と さ れて いた が , 1998 年 の環 境庁 通 知に より「紙を除いたものは安定型最終処分場で埋め立てできる」ごろから各種の用途への活用に関する研究が活発に始めこととなった。しかし,紙と石膏を分離した場合であっられたと言われている。当時は,コンクリート用再生骨ても硫化水素発生の恐れがあるとして,石膏を安定型最材等への再利用に関する研究が進められた。しかし,統終処分場で処分することが禁止された。このような状況一した基準等の整備がなされなかったため,「舗装廃材の中,石膏ボードメーカーは,石膏ボードの普及に伴い,再生利用技術指針(案)」に基づく路盤材としての再利建築現場からの廃石膏ボードの引き取り要請も多いこと用が主体であった。路盤材としての再利用が一定の成果から, 1996 年より「産業廃棄物広域再生利用業」としが得られていることから, 1991 年には「再生資源利用て新築工事現場から発生する廃石膏ボードのリサイクル促進法(現資源有効利用促進法)」の指定副産物にコに取り組んできた。一方,環境省の通達後に廃石膏ボーンクリート塊を指定するとともに,建設省(当時)におドの中間処理が始まると,ボードから紙を分離し,篩いいては,一定の条件下でのコンクリート塊の再資源化を処理した再生石膏の有効利用の検討が始まった。特に再義務付ける「リサイクル原則化ルール」を運用し,コン生石膏を焼成処理した再生半水石膏の地盤改良材(中性クリートがらの更なる再利用促進を図っている。固化材)への適用に関する研究が始まっている。また,また, 1992 ~ 1996 年度に亘って行われた,建設省総石膏再生協同組合により「再生石膏を用いた農業用土壌プロ「建設副産物の発生抑制・再生処理技術の開発」の改良資材の環境品質ガイドライン(試行版)」の作成が一環として,「コンクリート副産物の再利用に関する用行われ,石膏ボード再生品の有効活用の取り組みも進み途別暫定基準(案)」を策定しており,コンクリート用始めている。再生骨材としての利用基準の整備を行い, 2005 ~ 2007石炭灰年度にかけて,コンクリート再生骨材に関する JIS 規格石炭灰は主にクリンカーアッシュ(ボトムアッシュ)が相次いで制定されている。一方で, 2001 年度には,とフライアッシュの 2 種類が発生する。クリンカーア「舗装設計施工指針」「舗装施工便覧」, 2004 年度にはッ シ ュ は , 1981 年 度 よ り 5 年 間 , 建 設 省 ( 当 時 ) の「舗装再生便覧」が制定され,現在は道路路盤材として「総プロ・建設事業への廃棄物利用技術の開発」により,性能規定による再利用が図られることとなっている。透水性,保水性がよく下層路盤材や凍上抑制層等材料と地盤工学会誌,―/(/)3総説して利用できることが確認され,利用されている。フライアッシュは, 1958 年にコンクリート用フライアッシュの JIS,1960年にはフライアッシュセメントの JIS が.これからのリサイクル材の展望. リサイクル材の発生状況制定されたことにより,セメントへの利用が行われてお現在,リサイクル材を地盤材料として有効利用されてり,フライアッシュの約 60 がセメントの粘土代替やいるものには,建設副産物と産業副産物等に大きく分けセメントに混合してフライアッシュセメントとして用いることができる。図―に各廃棄物の発生量を示していられている。土木分野においては,フライアッシュは粒る。度分布がシルトに近く,土質改良材として用いられ,ま図から分かるようにリサイクル材と用いられている廃た,造粒固化等して埋め戻し材や盛土材として用いられ棄物の発生量が大きく異なっている。また,廃棄物量がている。石炭エネルギーセンター( JCOAL )では,フ1 000 万 t を超えているアスファルト・コンクリート塊,ライアッシュをセメント等で固化改良した「石炭灰混合コンクリート塊,鉄鋼スラグ,石炭灰はいずれもリサイ材料」について, 2011 年に「港湾工事おける石炭灰混クル率がほぼ100であり,高い再資源化率を達成して合材料の有効利用ガイドライン」,2014年に「石炭灰混いることが知られており,これまでの施策が成功してい合材料の有効利用ガイドライン(震災復興資材編)」,る3)。最も発生量が多い鉄鋼スラグは,年間4 000万 t も2015 年に 「石 炭 灰混 合材 料 の有 効利 用ガ イ ドラ イン発生しており,道路の路盤材やセメント原料としてリサ(高規格道路盛土編)」を発刊し,混合材料の概要,設計,イクルされている。しかしながら,長期的には公共事業施工法と環境安全品質基準を示し,有効利用の促進を図の縮減は避けられない。このように各廃棄物の発生量にっている。その他,コンクリート混和材やコンクリート対する新たな有効利用の開拓や施策が必須課題である。二次製品や農業分野では,肥料や土壌改良材として用い. リサイクル材の有効利用の目標と方策られている。また,最近では,人工ゼオライトの原材料国土交通省では 2014 年に建設リサイクル推進計画をとして利用されている。鉄鋼スラグ発表している3)。その中で,中期的に目指すべき方向性 将来的な建設副産物発生量増加に伴う対応,として,◯鉄鋼スラグは,市場原理による推進からセメント混合 地域ごとに異なる建設リサイクルに係る課題へ対応,◯材(高炉スラグ),土工材料,コンクリート用骨材,道循環型社会に形成に向けた建設リサイクル分野としての路用材料としての利用とその利用用途が拡大していった。貢献の 3 つの目標を掲げている。その初動期は,今から100年以上も前,1910年に高炉セ一方,政府は,「第 4 次環境基本計画」(平成 24 年 4メントの製造からスタートしている。 1955 年にケイ酸月27日閣議決定),及び「第 3 次循環型社会形成推進基石灰肥料規格が制定されている。その後の利用拡大は,本計画」(平成25年 5 月31日閣議決定)を策定し,これ各種法整備によるリサイクルの推進に伴い,JIS 規格のからの環境政策を示している。制 定 が 進 め ら れ な が ら 行 わ れ てい る 。 そ の 歴史 は ,この政策の中で,特に循環型社会の形成においては,1977 年コンクリート用スラグ骨材 JIS 制定, 1978 年,国の「第 4 次環境基本法計画」の中で,「物質循環の確土木学会・日本建築学会により高炉スラグ砕石コンク保と循環型社会の構築のための取り組み」における中長リート施工指針(案), 1979年,道路用スラグ JIS 制定, 廃棄物の発生抑制,期的な 3 つの目標を示している。◯1983 年,土木学会・日本建築学会より高炉スラグ細骨適正な循環利用の推進,適正な処分の確保により,天然材を用いた設計施工指針(案),1987年,鐵鋼スラグ協 資源の資源消費の抑制による環境負荷低減を目指す,◯会から港湾工事用水砕スラグ利用手引書, 1995 年,コ 地域確保,安心・安全の確保による循環の質の向上,◯ンクリート用高炉スラグ微粉末 JIS 制定, 2000 年,沿に根ざし,地域で自発的に行われる循環型社会の形成を岸技術センターから港湾工事用製鋼スラグ利用手引書,目指す。2003 年,コンクリート用スラグ骨材,電気炉酸化スラ一方,「第 3 次循環型社会形成推進基本計画」では,グ JIS 制定, 2008 年,建材試験センターから土工用製 自然界における循環と経済社会における循環が調和す◯鋼スラグ砕石の規格が制定されている。今後の鉄鋼スラ 3R 型ライフスタイルと地域循環圏の構築,る社会,◯グの利用促進には,環境安全品質の管理による信頼確保, 資源効率性の高い社会経済性システムの構築,◯安◯その他新規利用用途における利用促進が必要である。 国際的取り組みを平成 42 年までの心・安全の実現,◯スラグの環境安全品質管理については, 2011 年に日本工業標準調査会による「コンクリート用骨材又は道路用のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会総合報告書」内に「循環資材の環境安全品質及び検査方法に関する基本的考え方」が示されている。以上,主なリサイクル材の変遷と課題をまとめた。各リサイクル材の詳細な変遷は,地盤工学会のホームページに内のアカデミックロードマップに掲載されているので是非ご覧いただきたい。4図―主なリサイクル材の発生状況November/December, 2016総表―説や改良により,どうしても天然材より割高に建設リサイクル推進計画の新たに取り組む重点項目なってしまう。この点に関しては,天然材利用に伴う環境影響評価をする環境コストの概念の導入,リサイクル材品質認定制度の導入と活用など自治体と一体となった積極的な活動が必要不可欠であることは言うまでもない。また,建設業界は,典型的な多資源多消費型産業であることを認識し,循環型社会の形成に積極的に取り組むためにグリーン調達に適合した材料の利用を進めるべきである。また,自治体では,設計仕様書に積極的なリサイクル材の利用を記載するとともにその利用と安全品質管理においてはしっかりとト目標としている。レーサビリティの確保を行うことが今後の重要なポイン表―に建設リサイクル推進計画で発表された新たにトになるであろう。循環型社会の形成には官民一体とな取り組むべき重点 16 施策一覧を示している。大項目とったリサイクル材の取り組みが必要なことは言うまでも 建設副産物の物流のモニタリング強化, 地域して,ない。 他の環境政策との統合的展開固有の課題解決の促進, 工事段階における発生抑制の検討促進,への理解促進,廃棄物に対する新しい考え方近年,EU では「End of Wasteエンドオブウエスト」 現場分別・施設搬出の徹底による再資源化・縮減の促廃棄物の終結状態と言う新しい概念が規定された。鉄, 建設工事における再生資材利用促進, 建設発生進,アルミ,銅等に関しては既に基準が欧州委員会から発表土の有効利用・適正処理の促進強化と具体的な施策が挙されている。この考え方は,廃棄物ひとつひとつに関しげられており,積極的な取り組みが行われることが期待て,いつまで廃棄物なのか,材料としてどこまで品質がされる。高まれば廃棄物ではなくなるのか,つまりエンドオブウ. 多様化するリサイクル材の展望エストになるかを示している。エンドオブウエストになリサイクル材利用拡大方策った後の物品は廃棄物ではないので,自由な経済活動と日本における主なリサイクル材の変遷と動向と今後のして,原料として取引ができるということである。この国の施策について説明を行ってきた。このような状況下ように EU では,廃棄物の規制を離れて自由な取引のの中,廃棄物のリサイクルについては,廃棄物の多様化できる材へ移るための基準を具体的に示すことによってによって様々な資材の開発が行われている。しかしながリサイクルへのインセンティブを与えるのと同時に廃棄ら,リサイクル資材が公共工事で利用されるためには,物管理における品質管理のボトムアップを実現させる概 品質が明確である,◯ コストが新材と同等か安価であ◯念を設定したという考え方である。この廃棄物処理業にる,という条件を満たす必要があると言われている。おける品質管理システムの向上は,廃棄物処理業に素材品質については,リサイクル材が最も重要視すべき点製造業と同レベルの品質管理システムを実行させることである。そもそも天然材料ではない廃棄物リサイクル品で,廃棄物処理業を素材産業と肩を並べるぐらいの資源は,地盤材料として利用する場合には,最低限天然材料産業へと成長させ,統合させていく狙いがあると思われと同等の特性を持っている必要がある。特に長期的な耐る。今後このような考え方を日本でも早期に導入してい久性に関しては,利用実績のないリサイクル材料においくことが重要であると考えられる。ては難しい課題となる。この長期耐久性に関しては,対象となる材料の耐久性を担保する簡易な試験法の確立はリサイクル材の喫緊の研究課題であろう。また,廃棄物由来のリサイクル材には環境安全品質管理は重要なポイントとなる。最近では鉄鋼スラグや石炭灰混合材料の有効利用において,ガイドラインが発刊され,リサイクル材の品質・材料特性,利用方法,環境安全品質管理手法が利用者・工事担当者にとって分かりやすく解説されるようになった。その他のリサイクル材についてもガイドラインの整備は必須な課題であろう。コストについては,リサイクル材の性質上,中間処理地盤工学会誌,―/(/)参考文献1)環境省循環型社会への新たな挑戦,入手先〈 https: //www.env.go.jp / recycle / circul / keikaku / gaiyo _ 3.pdf 〉(参照2016.8.1)2) 地盤工学会アカデミックロードマップと発展史・人物史,テーマ地盤環境, 811 廃棄物・副産物・発生土の有効利用.入手先〈 https:// www.jiban.or.jp / images/ˆle/AR_PDF/81AR.pdf〉(参照2016.8.1)3 ) 国土交通省建設リサイクル推進計画 2014 .入手先〈 http: // www.mlit.go.jp / common / 001052952.pdf 〉(参照2016.8.1)(原稿受理2016.8.8)5 | ||||
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タイトル | 「土」を活かすための課題解決と戦略(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 乾 徹・勝見 武 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 6〜7 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070006 |
内容 | 表示 「土」を活かすための課題解決と戦略Solutions and Strategies for EŠective Use of Surplus Soil乾徹(いぬい京都大学.准教授とおる)大学院地球環境学堂勝見京都大学武(かつみ教授たけし)大学院地球環境学堂状道路(関越~東名)事業では,泥土圧シールド工法で土のリサイクルを取り巻く課題発生する掘削物を模擬した配合試験によって掘削物が泥地盤工学分野での「リサイクル」というキーワードか土ではなく建設発生土の性状となることを事前に確認しら多くの読者が想像するのは,鉄鋼スラグや石炭灰といた上,その環境安全性の評価を盛土として利用可能なよった他産業から排出される再資源化材の地盤材料としてうに改質した土について実施することや,改質後 2~ 3の有効利用,浚渫土や泥土といった軟弱土に安定処理をヶ月程度までの長期材齢において安全性を確認すること施した上での有効利用といった側面であろう。事実,こなどが計画されている。これは,掘削対象となる土そのれらの観点からの研究開発事例は多いが,建設工事の実ものではなく,実際の搬出や利用の状況に近い状態で強施においては,土質や強度の観点からは問題がない通常度や環境安全性の評価を行うという考え方が背景にある。の「建設発生土」の利用先の確保が課題となることが少このような現状を受けて,規制改革実施計画(平成なくない。国内で建設工事に伴い発生する建設発生土の27 年 6 月 30 日閣議決定)に示された方針「自然由来物m3に質に係る規制の在り方につき,事業者等の意見を踏まえ建設副産物実態調査1) )。切土などつつ,人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とによる新材投入を最小限に留めるべく,これまでも建設する観点から検討し,結論を得る。」を受けた検討が環発生土利用基準の策定,建設発生土情報交換システムの境省で開始されており, 2016 年度中にも自然由来の重運用など,建設発生土の有効利用を推進する取り組みが金属等を含有する土砂等の対応について,一定の方向性国土交通省を中心に積極的に進められている。しかしなが示されると考えられる。うち,現場外に搬出される量は年間 1 億 4 000 万及ぶ(国土交通省がら,他の工事等で利用されている発生土は 4 割弱で本稿では,特に自然由来の重金属等を含む大量の建設あり,内陸受入地に保管されている量は 6 割以上に達発生土の円滑な利用を促進する上で重要と考えられる,する。今後計画されている土木事業を展望すると,東京外かく環状道路の各事業区間,中部横断道,リニア中央新幹線といった大規模のトンネル掘削工事が控えており,各事業から数百~数千万 m3 規模の大量の掘削土砂・岩石 環境安全性の評価法, トレーサビリティの確保,総合的なマネジメントの重要性,の 3 つの観点から,現状の課題や今後の展望を論じる。.環境安全性の評価法が発生する見込みである。これらの大型事業を円滑に実建設発生土の利用に伴う環境安全性や人の健康へのリ施するためには,大量の土砂の有効利用先を確保した上スクを考えた場合,一般的に直接摂取によるリスク(土で,短期間に搬出し,利用先に円滑に輸送することが重壌含有量)が問題とはならないことから,ここでは溶出要となる。しかし,我が国には地質由来のひ素等が含有特性の評価の観点から議論を行う。されている地層が広く分布しており,このような地層を溶出特性の評価には平成 3 年 8 月環境庁告示第 46 号対象に掘削工事を行う場合,掘削物を一旦仮置きした上付表に掲げる方法,いわゆる環告 46 号試験に準じた試で一定の頻度で試験を行い,環境安全性の基準を満たす験方法が適用される。しかしながら,溶出試験の本来のか否かを判定する必要がある。これに伴い,仮置場の確目的が地下水摂取による健康リスクを評価することであ保,仮置場への輸送,試験の実施などによって工程に大ることを考えると,試験条件と実際の利用条件の解離,きな影響が生じることになる。試験結果の解釈が困難であるという点で多くの課題が指特に,掘削物が泥土状であったり,環境安全性の基準 試験方法の再現性・信頼性の摘される。特に近年は,を満たさない場合には,受入先の確保が困難となり,工 試験方法の適用限界と新たな試験・評価体系の向上,程にさらなる影響が生じるが,近年,このような土の品整備の両面から様々な検討が行われている。質やトレーサビリティを担保した上で積極的に利用する試験方法の再現性・信頼性の観点からは,振とう条件取り組みが開始されている。東京外かく環状道路千葉県や固液分離方法によって分析対象となる検液中に存在す区間においては,海洋汚染防止法の基準を満たす土砂約る微粒子分の濃度が大きく影響を受け,一般的に土粒子140 万 m3 を一定の品質を満たすことを確認した上で港への吸着性が高い重金属等の溶出濃度に大きなばらつき湾埋立材料として利用している2)。同じく東京外かく環が生じることが指摘されている4) 。特に,粘性土やス6地盤工学会誌,―/(/)論説レーキングしやすい材料等においてはこの問題は顕著である。微粒子分の影響に着目した適切な溶出操作の提案やガイドラインを整備することが肝要であるといえよう。試験方法の適用性の観点からは,土壌溶出量試験以外の溶出試験体系の枠組みの検討が行われている。例えば,破砕試料を利用せず,土壌と水との接触条件が現場に近いカラム浸透試験の適用性が検討されているが,ある条件下での要素試験であるという点では土壌溶出量試験と同様であり,試験結果の解釈に課題は残るといえる。また,公定試験である土壌溶出量試験は依然として非常に重要である。これまでの膨大なデータの蓄積があり,過去の試験結果と地下水や地盤環境への実際の影響との関係付けがしやすいこと,実務的にも短時間に多くの検体の分析が可能であることなど,利点も多い。このことか図―複数事業の総和としての最適化(文献5)より転載)ら,実際の溶出挙動や環境安全性の指標としての土壌溶出量試験の意義をより高めていくことも重要な視点であ度で「岩手県る。また,土壌溶出量基準は地下水環境基準と同じ値と土質試験を実施し,その結果に基づいて品質判定証を発なっているが,土壌への吸着性が非常に高い鉛やカドミ行し,品質を担保した上で一定の管理下における公共工ウムについては,比較的吸着性が低いホウ素などと比較事への有効利用が展開された。多くの労力,費用を要しした場合に同程度の溶出が生じた場合にも地下水汚染をたと考えられるが,品質が不確定な大量の土砂の有効利引き起こしにくいと考えられる。このような対象物質に用の促進という観点では参考となる事例といえよう。よるリスクの大小を科学的根拠に基づいて評価し,物質毎に有効利用の規制基準を設定する余地はあると考えら総合的な土のマネジメントの重要性個々の事業において大きな負担となっている大量の土れる。..復興資材活用マニュアル」に定めた各種トレーサビリティの確保の有効利用を円滑かつ合理的に進める観点から,地盤工学会では「災害からの復興における災害廃棄物,建設副再生資材や新材料の利用においては,何らかの問題が産物及び産業副産物の有効利用のあり方に関する提言委発生した場合の対応を考慮し,トレーサビリティ(発生員会」において様々な検討が進められた5)。その提言のや流通の履歴の確認体制)を確保することが重要となる。ひとつとして,「複数事業の総和としての最適化(図―公共工事として実施される土木事業においては,構造物)」が示されている。これは,大都市圏や大規模災害が長期間に渡って供用され,管理体制もほぼ確立されての被災地など,多くの発生土や再資源化材が様々な事業いる。このため,一般的に再生資材等を公共工事におい主体から発生する地域においては,地域全体の事業を対て有効利用することは,トレーサビリティの確保という象に要求性能を考慮した資材の配分を行い,資源・エネ観点では有利である。ルギーの消費量や環境負荷を最適化するような,地域で建設工事で発生する自然由来の重金属等を含有する土行われる事業の総和としての土のマネジメントが重要で砂にあてはめると,人為汚染と比較して重金属等が低濃あることを指摘している。今後,大規模掘削工事が集中度で含有される場合が多いものの,有害物質を含有するする首都圏等においても重要な概念であると考えられ,という点では同一であり,通常の土砂のように利用先や利用を促進する枠組み・制度の整備,品質基準や設計施搬出先が追跡できないような利用形態ではなく,道路盛工のガイドラインなどの整備が喫緊の課題といえよう。土材などの一定の管理下において利用することが望まし参い。また,対象土の土質試験結果や環境安全性評価試験結果と紐付けを行うことで,利用材料の詳細の物性を含1)めた高度なトレーサビリティの確保が可能となる。近年の大規模土工工事や掘削工事においては,情報通信技術2)( ICT)を活用した搬出状況や搬出物の物性を一括管理するシステムが導入されつつあり,一連のトレーサビリティの管理作業の効率化,省力化が進んでいる。自然由来の重金属等を含む発生土の利用とは異なるが,3)4)トレーサビリティの確保が有効利用の促進に繋がった事例として,東日本大震災で発生した災害廃棄物から分別した土砂・津波堆積土の岩手県における有効利用が挙げられる。岩手県においては, 3 000 m3 に 1 回以上の頻November/December, 20165)考文献国土交通省平成24年度建設副産物実態調査結果,入手先〈 http: // www.mlit.go.jp / sogoseisaku / region / recycle/fukusanbutsu/jittaichousa/〉(参照2016.7.24)加藤健治東京外かく環状道路(千葉県区間)における建設発生土の利活用―港湾事業との連携―,土木学会誌,Vol. 101, No. 7, pp. 14~17, 2016.東京外環トンネル発生土検討会東京外環トンネル発生土に関する対応マニュアル,2015.乾 徹・勝見 武土壌溶出量試験の技術的課題と展望,廃棄物資源循環学会誌,Vol. 25, No. 5, pp. 369~377,2014.地盤工学会災害からの復興における社会基盤整備への復興資材等の利用のあり方に関する提言―解説―,2014.(原稿受理2016.8.3)7 | ||||
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タイトル | 環境安全品質基準に関する最近の動向と課題(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 肴倉 宏史 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 8〜11 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070007 |
内容 | 表示 環境安全品質基準に関する最近の動向と課題Recent Developments and Issues Related to Environmental Safety Quality Standard肴倉宏史(さかなくらひろふみ)国立研究開発法人国立環境研究所. は じ め に行っている1) 「再利用物への土壌環境基準の適用については,()セメントや石膏ボード等の原材料として建設資材として利用可能な循環資源には鉄鋼スラグ,利用され,構造物の一部となっている場合には,これら石炭灰,建設発生土など様々なものがあり,「循環資材」には適用しない。()道路用等の路盤材や土木用地盤や「リサイクル材」などと呼ばれる。これらの利用推進改良材等として利用される場合には,再利用物自体は周は,天然資源消費とそれに伴う自然改変の抑制,最終処辺の土壌と区別できることから,これらには適用しない。分場容量消費の節約などにつながる。そこで,循環資材()肥料のように土壌に混ぜ合わせて使用する場合にの安全安心な利用を推進するためには,資材中の微量有は,肥料を混合させた土壌には適用する」。この通知で害物質が,溶出や発じん(粉じんの発生)を経路として,再利用物とは,非鉄スラグ,鉄鋼スラグ,脱硫石膏,石人の健康や周辺環境へ悪影響を及ぼさないように十分に炭灰等を指している。さらに,同通知では,次のような注意を払う必要がある。このような,循環資材中の微量指示が示されている「路盤材,土木用地盤改良材等の有害物質等の環境影響に係る性状を「環境安全性」と呼再利用物の安全性の評価については,土壌環境基準及びび,担保するべき要求品質を「環境安全品質」と呼んでその測定方法の援用が行われているが,現状有姿や利用いる。形態に応じた適切な評価が行われる必要があると考えて本稿では,循環資材の環境安全品質に関する最近の動おり,貴都道府県等においてこのような援用が行われて向をとりまとめ,さらに,今後取り組んでいくべきと考いる場合には,現状有姿や利用形態に応じた適切な評価える課題を述べる。につき十分留意されるようお願いしたい」。.環境安全品質基準に関する動向また, 2003 年の土壌汚染対策法の施行の際には,都道府県知事・政令市長宛ての通知2)において,次の見解. 資材の環境安全品質評価の必要性が示されている「非鉄製錬業や鉄鋼業の製錬・製鋼プ循環資材を建設工事に用いる際には,土壌環境基準やロセスで副生成物として得られるスラグ等や石炭火力発土壌汚染対策法に規定される試験方法を援用して,循環電に伴い排出される石炭灰等が土木用・道路用資材等と資材そのものがこの試験に合格すべきである,という考して用いられ,かつ周辺土壌と区別して用いられる場合え方が慣例的に適用されてきた。各試験方法の概要を表は,そもそも土壌とみなされない」。同通知は2010年に―に示す。土壌環境基準は平成 3 年環境庁告示第 46廃止されたが,この記述はそのまま新たな通知3)に引き号(環告 46 号)に,土壌汚染対策法に係る試験方法は継がれている。平成 15 年環境省告示第 18 号(環告 18号)並びに平成 15これらの通知から,周辺の土と区別されて利用される年環境省告示第 19 号(環告 19 号)にそれぞれ示されて再利用物(循環資材)は土壌環境基準や土壌汚染対策法いる。これらの試験方法は,いわゆる土の汚染状態を評の適用範囲外であること,さらには,適用範囲外の場合価するための方法である。は土の汚染状態を評価するための試験法を援用するのでしかし環境省は 2001 年の土壌環境基準改正の際に,都道府県知事・指定都市市長に宛てて次のように通知をはなく,循環資材を利用する機会に適した評価が必要であること,の二つの点を認識する必要がある。ここで前者については,当然のことながら,適用範囲表―土の汚染状態を評価するための試験方法の概要外であっても,人の健康や周辺環境へ悪影響を及ぼさないよう注意しなければならず,そのために担保すべき循環資材の要求品質としての「環境安全品質」の設定と遵守が必要となる。また,後者についてより具体的には,土の汚染状態を評価しようとする試験法を,これから使用しようとする循環資材に援用することは,「現状有姿や利用形態に応じた適切な評価」の観点,より具体的には,以下に示すような観点から,不十分な可能性がある。8地盤工学会誌,―/(/)論◯他の材料との混合や固化による環境安全性への影響の可能性◯溶出や発じんなどの環境影響の経路が工種や用途によって異なる可能性◯再利用や再々利用による曝露環境の変化の可能性説ンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会」が JIS を管轄する経済産業省により設置されてこの検討が行われ,その成果として, 2012 年 3 月「循環資材に共通の環境安全品質及び検査方法に関する基本的な考え方」(以下,「基. 利用有姿による評価方法の検討本的な考え方」と言う。)が報告書4) に示された。基本土の汚染状態を評価するための試験方法とは別に,国的な考え方の要旨は次のとおりである。土交通省(当時建設省)は 2000 年 3 月「セメント及◯びセメント系固化材を用いた改良土の六価クロム溶出試験実施要領(案)」の中で,改良土を評価するためのタンクリーチング試験を提案した。この試験方法は先のき曝露環境を想定した条件で行う。◯2001 年の土壌環境基準の改正通知よりも前のもので,無を決定する。◯◯また, 2005 年 3 月には,日本工業規格 JIS K 0058 スラグ類の化学物質試験方法が制定された。同試験方法は他の材料との混合や成形固化が行われる場合は,その状態を模擬した試料調製や試験を行う。応じた評価」によって判断すべきであることを先駆的に示したものと位置づけられる。曝露環境における溶出,発じんの機会の有無に基づき,溶出試験と含有量試験のそれぞれの実施の有かつ,環境省のいう「再利用物」とは異なるが,これから使用しようとする循環資材は「現状有姿や利用形態に環境安全品質の評価は,循環資材の再利用,再々利用を含めたライフサイクルの中で,最も配慮すべ環境安全品質基準値は,循環資材の使われる周辺環境が環境基準を遵守できるように設定する。◯試験評価が合理的に行えるように,全項目検査と,第一部溶出量試験と第二部含有量試験で構成され,特に着目すべき項目に絞った検査とを組み合わせて,第一部では「利用有姿による試験」と「粗砕試料による頻度を適切に設定して行う。試験」の 2 種類の試験が列記された。「粗砕試料による の状態を模擬した試料のことを総合報告書では,◯試験」はこれまで援用されてきた土の試験方法からの継 の全項目検査「利用模擬試料」と呼んでいる。また,◯続性を担保するため環告 46 号と類似した方法であるが,と,特に着目すべき項目の検査のことを,それぞれ「環「利用有姿による試験」は,新たに「現状有姿や利用形境安全形式検査」,「環境安全受渡検査」と呼んでいる。態に応じた適切な評価」を行うために開発された。粉塊 の環境安全品質基準は,環境安全形式検査において参◯状の資材は有姿のまま,成形固化される資材は供試体を照される。環境安全受渡検査は,環境安全形式検査に合容器内に置き 10 倍量の水を入れ,プロペラで 6 時間撹格したものと,その後のロットが,同じ環境安全品質と拌するという方法である。 JIS K 0058 は,まず, 2006みなせる状態かどうかを速やかに判定するために行うも年に制定された JIS A 5031 コンクリート用溶融スラグのである。骨材,及び JIS A 5032 道路用溶融スラグに引用された。環境安全品質基準値は,表―に示すように,重金属一方,土壌環境センターが 2010 年に制定した「重金等に関して土壌環境基準や土壌汚染対策法指定基準と同属等不溶化処理土壌の pH に対する安定性の相対的評価等の「一般用途溶出量基準」並びに「含有量基準」と,方法」は,環告 46 号溶出試験に用いる溶媒を硫酸や水再利用が想定されない港湾用途に限って適用できる「港酸化カルシウム水溶液に変えて試験を行うことにより,湾用途溶出量基準」が設定された。なお,総合報告書でこれから循環利用しようとする不溶化処理土が長期的には,スラグ類や石炭灰など高温のプロセスを経た循環資酸やアルカリに曝露された場合の耐久性を,あらかじめ材を想定して,重金属等のみに対して基準値が示されて評価しようとするものである。いる。また,環境安全受渡検査では工程や実績データか以上のように,改良土,スラグ類,不溶化土といったら基準を超過する可能性がないと判断される項目は省略様々な対象物ごとに,「現状有姿や利用形態に応じた適切な評価」のための方法が考案された。表―環境安全品質基準値. 循環資材に共通の考え方の提示溶融スラグの JIS 制定後,道路用やコンクリート用の鉄鋼スラグや非鉄スラグ関連の JIS 規格へ JIS K 0058を試験規格として引用するための予備検討が進められた。その動きの中で,環境安全品質はスラグ類に限らず,様々な循環資材に共通の考え方に基づき設定しようという機運が高まった。これは,利用方法が同じ資材が異なる環境安全品質では齟齬を来すので,あらかじめお互いに整合させておくべきである,ということによる。さらには,共通の考え方に基づくことで社会から得られる信頼も共有され,高めあう狙いも含む。そこで,循環資材に共通の基本的な考え方の提案を目指して, 2010 年「コNovember/December, 20169論説表―環境安全品質を設定した規格,ガイドライン,マニュアルなど(年月現在)して良いこととなっている。全品質を判定するための環境安全形式検査と,ロットご. 各資材への環境安全品質の導入とに迅速な判定を行うための環境安全受渡検査の内容を基本的な考え方に基づき,コンクリート用並びに道路循環資材や用途に合わせて規定している。用スラグの JIS 規格へ環境安全品質を導入するための指. 様々な工種・用途への適用針5),6)が策定された。この指針に基づき,表―に示す先に紹介した通知1),2)にしたがえば,土と循環資材をように,スラグ類の JIS 規格へ,環境安全品質基準と検混合して使う場合は土と混合した状態で環告 46 号を実査方法の導入が進められている。検査方法のうちの利用施し,土壌環境基準を参照することとなる。また,土壌模擬試料については,例えばコンクリート用スラグ骨材汚染対策法は循環資材を利用する際に適用するものでははコンクリート供試体を,所定期間,封かん養生後に破ないが,地盤改良材として循環資材を混合した土地が,砕して,再生路盤材 RC 40 の粒度に調整したものとし将来,土壌汚染調査対象になる可能性がある場合は,汚ている。これはコンクリートの多くが再生路盤材として染状態にあると判定されるべきではない。そのためには,リサイクルされていることから,再生路盤材を「最も配あらかじめ,環告 18 号と 19 号に合格できる状態にして慮すべき曝露環境」に規定したことに基づく。ただし,おくべきである。環境安全形式検査では,利用模擬試料は必須としておらこのことと,基本的な考え方を整合させて,図―にず,スラグ単味での適用も選択可能となっている。また,示す環境安全品質の類型化と,表―に示す各類型の試環境安全受渡検査はスラグ単味で行うこととしている。験方法と基準値が整理されている7),8)。表―には, 2016 年 7 月現在までに環境安全品質を類型化の考え方によれば,土として使われ,あるいは設定した規格,ガイドライン,マニュアルなどを併せて再利用される可能性がある場合は類型は E になり,土示した。例えば石炭灰関係のガイドラインは,まず,港壌汚染対策法の溶出試験や含有量試験が適用される。そ湾工事について策定が進められた。石炭灰のうちのフラれ以外は,直接摂取経路の有無と,溶出経路の到達先にイアッシュは粉体状であるが,建設工事ではセメントなしたがって,それぞれ,含有量試験の実施の有無と,一どと混合して固化・破砕,造粒,スラリー化するなどし般用途又は港湾用途の溶出量基準の選択を行う。表―て利用される。そこで利用模擬試料には実際に工事に用に,適用工事・用途ごとの類型の例を示す。いられる配合の供試体を用いることとし,環境安全受渡国土交通省港湾局,空港局による「港湾・空港等整備検査は工場や現地で混合されたものを所定の量ごとに採におけるリサイクルガイドライン」9)は,発刊当時まで取して用いることとしている。に表―に示されたような規格,ガイドライン,マニュこのように,表―に示した規格,ガイドライン,マアル等で規定された環境安全品質が港湾・空港工事の工ニュアルでは,基本的な考え方に基づきながら,環境安種,用途,並びに循環資材の種類ごとに詳細に整理を行10地盤工学会誌,―/(/)論説うとともに,規格等の未整備な他の循環資材に拡張して,環境安全品質の考え方を提示している。工種はコンクリート工,地盤改良工,基礎工,本体工,被覆・根固め工,消波工,裏込め・裏埋め工,土工,舗装工,その他に分類されており,用途は 17 種類に分類されている。20 種類の循環資材について,各工種・用途への適用性が示されているので,参照されたい。.今後の課題. 試験方法に関する課題.節で,循環資材の環境安全品質検査は利用有姿を反映できる方法が望ましいことを述べた。.節で紹介図―したように,試料調製の段階では,利用模擬試料の採用や実際の配合条件の供試体を用いることなどにより,こ表―の方針を実現できた。一方で,試験方法については,例環境安全品質の類型化7),8)各類型の試験方法と環境安全品質基準7),8)えば JIS K 0058 を適用することにより利用有姿の試料を評価できるが, 10 倍量の水に 6 時間接触させて 1 点のデータを得るという,このような試験方法は,実際環境での挙動を追えず,また,地盤を浸透した水との接触などの条件と大きく異なる。また,長期的な劣化影響も評価できていない。報告書4)でも指摘しているように,環境安全形式検査の重要性や年 1 回などの実施頻度などを勘案すればカラム通水試験や劣化促進試験などの適用がより望ましく,これらの試験方法の標準化は重要かつ喫緊の課題と考えられる。. 管理方法に関する課題循環資材の適切な利用を進めるにあたっては,環境安表―適用工事・用途に対する類型の例(石炭灰混合材料ガイドライン震災復興資材編7)より抜粋)全品質基準を設定するだけでなく,循環資材の生産者は循環資材の製造管理,品質管理,販売管理の体制を整備し,これを持続しなければならない。鉄鋼スラグや非鉄スラグの品質管理ガイドライン10),11) が参考となる。また,循環資材の利用者は,利用の規模に応じつつ,トレーサビリティの確保や適切な期間のモニタリングを行うことが望まれる。これらの不十分さが露呈すれば,循環資材の利用に多大な支障を来す可能性のあることを認識して,社会からの信頼を得続けるための弛まぬ努力が必要である。参1)2)3)4)5)6)考文献環境省環水土第44号「土壌の汚染に係る環境基準についての一部改正について」,2001.環境省環水土第20号「土壌汚染対策法の施行について」,2003.環境省環水大土発第100305002号「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」,2010.日本工業標準調査会コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会総合報告書,2012.日本工業標準調査会建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針附属書コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針,2012.日本工業標準調査会建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針附属書道路用スラグに環境安全品質及November/December, 20167)8)9)10)11)びその検査方法を導入するための指針,2012.(一財)石炭エネルギーセンター石炭灰混合材料有効活用ガイドライン 震災復興資材編,2015.(一財)沿岸技術センター港湾・空港工事における非鉄スラグ利用技術マニュアル,2015.国土交通省港湾・空港等整備におけるリサイクルガイドライン,2015.鐵鋼スラグ協会鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン,2015.日本鉱業協会非鉄スラグ製品の製造・販売管理ガイドライン,2016.(原稿受理2016.8.1)11 | ||||
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タイトル | 自然砂混合した高炉水砕スラグの未硬化時及び硬化途中の強度・透水特性(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 石藏 良平・安福 規之・坂田 智美・王 韋ブン | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 12〜15 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070008 |
内容 | 表示 報告自然砂混合した高炉水砕スラグの未硬化時及び硬化途中の強度・透水特性Strength and Permeability Properties of Granulated Blast Furnace Slagin the Non Hardening and the Process of Hardening石藏良平(いしくら九州大学大学院坂田智九州大学大学院助教りょうへい)安工学研究院美(さかたともみ)建設システム工学専攻福規之(やすふく九州大学大学院王韋九州大学大学院教授のりゆき)工学研究院(おういぶん)建設システム工学専攻. は じ め に高炉水砕スラグは銑鉄の製造過程において生成される副産物であり,年間約2 000万 t が生産されている1)。高炉水砕スラグ(以下,水砕スラグ)は,人工的に一定の製法で生成されることから,粒度や土粒子密度等の物理的性質が安定している上,自然砂と類似した粒度分布であり,軽量性,高強度,透水性に優れている。また,水との接触環境下において,水和反応によって硬化する潜在水硬性を有する。現在 7 割程度はセメント材料とし図―水砕スラグを用いた圧密促進・補強の併用システムて利用されているが,用途の拡大をめざし,地盤工学分野においても有効利用促進に関する研究が進められていスラグの硬化を意図的に遅延させる方法の一つとして,る。自然砂を混合する方法に着目した。自然砂の混合割合を地盤材料として用いる場合,スラグ単体としての力学変化させた供試体を作製し,室内試験にて未硬化時及び的特性については,既に多くの知見が得られており2),硬化途中における混合試料の強度・透水特性について検港湾工事や土工用材料としての利用手引書等も発行され討した。混合する自然砂として,高炉水砕スラグと粒度ている3),4)。自然環境下で長期間放置した水砕スラグの分布が異なる豊浦砂を選定した。本稿では得られた基礎物理・力学特性の経年変化についても,試験盛土等で調的な結果について報告する。査が行われている5)。本研究では,図―に示すような高炉水砕スラグの材料特性を活かした低置換 SCP (サンドコンパクション.自然砂混合した水砕スラグの力学特性. 試料の準備と供試体の作製パイル)工法による地盤の圧密促進・補強の併用システ水砕スラグを SCP 工法に適用することを想定し,実ムの開発を目指している。水砕スラグを地盤改良材とし現場における硬化の影響因子として,自然砂混合に加え,て用いると,初期の未硬化時には,水砕スラグの優れた粒子破砕,浸透流に着目して供試体を作製した。水砕ス透水性によりドレーン機能が発揮され,周辺地盤の圧密ラグには, 2012 年及び 2015 年に大分の製鉄所で生成さに伴う強度増加が期待できる。スラグ硬化後は,スラグれた試料を用いた。自体が高強度化する。そのため,軟弱地盤に対する強度水砕スラグは,原粒度と粒子破砕させた状態で使用し増加の複合作用により,低置換改良が可能となる。しかた。原粒度試料には,全質量に占める豊浦砂の質量混合しながら,水砕スラグを SCP 工法に適用した施工事例率(以下,豊浦砂混合率)を設定して混合し,原粒度混によると,打設後 6 か月程度で著しい硬化と急激な透合試料を作製した。水性低下(透水係数10-9m/s)が報告6)されており,ド破砕混合試料については,実施工での打設過程を想定レーン機能が十分に発揮されないことが明らかになってし,次の手順で作製した。原粒度の水砕スラグに所定のいる。特に,地盤注入時の激しい粒子破砕(細粒化)に混合率で豊浦砂を混合し,JIS A 1210の突固め方法(Aよって,急激に硬化が進行することが要因として挙げらa法)を 3 回繰り返すことによって,破砕混合試料を作れ,スラグ単体での SCP 工法への適用が難しいのが現製した。使用した豊浦砂,水砕スラグ( 2012 )及び破状である。高炉水砕スラグの未硬化時の高透水性(ド砕混合試料の粒径加積曲線と物理特性を図―及び表―レーン機能)をうまく活用するためには,硬化速度を適に示す。各試料の最大最小間隙比を用いて,相対密度切に制御し,人工地盤に求められる所定の透水性と強度Dr=80に調整した供試体を作製した。を確保することが重要となる。そこで本研究では,水砕12地盤工学会誌,―/(/)報図―告水砕スラグ( 2012 )及び混合試料の粒径加積曲図―線表―一軸圧縮強度の経時変化(原粒度混合試料)使用した試料の物理特性. 強度特性の経時変化所定期間養生した供試体に対して,一軸圧縮試験を行った。混合試料を内径 q=5 cm,高さH=10 cm のプラ図―水和反応率の経時変化(原粒度混合試料)スチックモールドに詰め,硬化促進させるため,水温80 °C の水酸化ナトリウム水溶液中で,間隙水を滞留さe0 が小さいため,水和反応の開始に伴って,水和物にせた状態で養生した。よる粒子間の結合力が急激に増加したことが要因と考え供試体中の水和生成物の質量を測定するため,選択溶解法7)を用いて,硬化過程における水和生成物の変化を考察した。水和反応率 R は次式で算出した。R()=100-mh(md× 1-Li100)×100 ………………(1)る。水砕スラグの破砕の有無が水和反応率に及ぼす影響を把握するため,すべての豊浦砂混合率で供試体が自立した養生 56 日及び 84 日における水和反応率と豊浦砂混合率の関係を図―に整理した。ばらつきはみられるものの,養生日数によらず豊浦砂混合率が増加するほど水和ここで,mh は強熱後の水砕スラグの質量(g ), md は反応率が低下している。今回実施した養生供試体におい供試体から採取した水砕スラグ質量(g), Li は未水和のては,水砕スラグの破砕の有無が水和反応率に及ぼす影水砕スラグの強熱減量()である。詳細については参響は小さかった。考文献7)を参照されたい。水砕スラグの破砕の有無が強度増加に及ぼす影響を把原粒度混合試料で作製した供試体の水和反応率の経時握するため,養生 56 日及び 84 日における一軸圧縮強度変化を示す(図―)。ばらつきはみられるものの,養と豊浦砂混合率の関係を図―に整理した。全体の傾向生日数の経過とともに,各豊浦砂混合率で水和反応率 Rとして,破砕混合試料で作製した供試体の方が原粒度混が上昇傾向にあり,供試体中の水和生成物の質量が増加合試料で作製した供試体と比較して,各養生日数,各豊している。原粒度試料の水和反応率が最も高く,豊浦砂浦砂混合率で強度が大きくなっている。また,両者とも混合率の増加に伴い水和反応率は低下している。水和物に,豊浦砂混合率の増加に伴い一軸圧縮強度が増加して生成の観点では,自然砂混合によって硬化遅延効果があいる。ると考える。図―に原粒度混合試料で作製した供試体の一軸圧縮強度の経時変化を示す。時間の経過とともに,各豊浦砂粒子破砕や豊浦砂混合の影響によって,供試体の初期間隙比が小さくなることに加え,水和物による粒子間の結合力が増加することで強度増加したものと推察される。混合率で一軸圧縮強度は増加している。豊浦砂混合率. 透水性の経時変化50 の供試体は,養生初期には供試体が自立せず,一硬化過程における混合試料の透水性変化を把握するた軸圧縮試験を実施できなかった。しかし,養生 56 日でめ,実現場で想定される通水養生条件下で供試体を養生は,著しい強度増加が見られた。同一相対密度( Dr =し,透水試験を実施した。定水位透水試験装置に準じた80 )では,豊浦砂混合率が大きいほど,初期間隙比装置を試作し,装置内に q=5 cm,高さ H=10 cm の供November/December, 201613報告図―水和反応率と豊浦砂混合率の関係図―図―初期間隙比と透水係数の関係一軸圧縮強度と豊浦砂混合率の関係試体を作製し設置した。供試体には,定常状態を仮定し図―透水係数の経時変化(原粒度混合試料)て水位差 h = 4 cm 程度を与え,常温水(約 15 °C )で通水させたまま静置した。所定期間経過した供試体の透水係数を測定した。養生開始時の供試体の初期間隙比 e0 と透水係数の関係を図―に示す。供試体の破砕の有無によって傾向は異なるものの,間隙比と透水係数に概ね良い線形関係が見られた。図―に原粒度混合試料で作製した供試体の透水係数の経時変化を示す。豊浦砂混合率が増加するほど,初期透水係数は小さくなっている。混合率の増加に伴い,初期間隙比 e0 の減少に起因すると考える。また,豊浦砂混合率によらず,各供試体は時間経過とともに透水係数が減少している。通水養生条件においても,混合試料の図―破砕の有無による透水係数の比較透水係数が低下することを室内試験により確認した。透水係数低下の要因としては,水和物等の生成による間隙抑制できている。今後は,水和反応による供試体中の間比の減少が考えられる。隙比の変化と透水係数の関係を明らかにする必要がある。次に,水砕スラグの破砕の有無が透水係数の経時変化. 未硬化時の液状化特性の及ぼす影響を比較した。各条件の透水係数をスラグ原未硬化時の高炉水砕スラグは粒状体であり,硬化にい粒度供試体(豊浦砂混合率 0 )の初期透水係数 ki (=たるまでの期間は液状化の発生が懸念される。特に,3.74 × 10-3 m / s )で正規化した値と養生日数の関係をSCP 工法への適用を想定し,硬化遅延を期待して自然図―に示す。スラグ破砕供試体(豊浦砂混合率 0)砂を混合する場合は,豊浦砂混合率が液状化抵抗に及ぼの初期透水係数は,スラグ原粒度供試体(豊浦砂混合率す影響を検討する必要がある。0)の 4 割程度となっている。これは,破砕することここでは,水砕スラグの未硬化時に着目し,三軸条件による供試体の間隙比減少が透水性を低下させたものと下における非排水繰返しせん断試験を行った。水砕スラ考える。また,水砕スラグの破砕の有無によらず,豊浦グには, 2015 年に大分の製鉄所で生成された試料を用砂を混合することで,養生初期からの透水係数の低下をいた。 SCP 工法における,砂杭打設時の粒子破砕を模14地盤工学会誌,―/(/)報図― 水砕スラグ( 2015 )及び混合試料の粒径加積曲告図― 豊浦砂混合した水砕スラグの液状化強度曲線線示す。同一相対密度( Dr = 80 )において,水砕スラグの液状化強度は豊浦砂の液状化強度よりも大きくなっている。また,豊浦砂混合率の増加に伴い,液状化強度曲線はより上方に移動し, 50 の供試体の液状化強度が最も大きくなった。これは高炉水砕スラグへの豊浦砂混合の増加に伴う間隙比の減少による,供試体の密度増加が要因に考えられる。未硬化時の液状化特性については,間隙比に依存するため,混合する自然砂の粒度分布にも留意し,締固めエネルギー一定で間隙比を最小化できる最適な混合割合を検討する必要がある。.図― 初期間隙比と豊浦砂混合率の関係おわりに本研究では,高炉水砕スラグの地盤改良材としての適用を目指し,硬化を遅延させるための自然砂混合の影響擬して,.で示した同様の手順で破砕混合試料を準備について基礎実験を行った。自然砂混合による水和反応した。液状化試験に使用した豊浦砂,水砕スラグや透水性低下についての抑制効果を確認した。(2015)及び破砕混合試料の粒径加積曲線を図―に示SCP 工法等に自然砂を混合した水砕スラグを適用すす。図―と比較すると,同一方法で破砕させた水砕スる場合には,水和反応に起因した化学的要因に加え,締ラグの粒度分布は製造年によって異なっている。水砕ス固めに伴う水砕スラグの粒子破砕や自然砂の混合割合にラグ( 2015 )の方が水砕スラグ( 2012 )よりも細粒化よって変化する間隙比等の物理的要因についても考慮すしやすく,粒径加積曲線がより左方にシフトしている。る必要があり,今後さらに検討する予定である。供試体は事前に真空脱気した破砕混合試料を直径 5cm ,高さ 10 cm のモールドに相対密度 Dr=80となるように水中落下法で作製した。100 kPa で等方圧密後,非排水条件下で正弦波繰返し載荷(周波数0.1 Hz)を行った。また,二重負圧法によって供試体の B 値は 0.95 以上を確保した。液状化に参1)2)3)より生じる破壊の定義は両振幅軸ひずみ DA = 5とした。図―に供試体の初期間隙比 e0 と豊浦砂混合率の関4)5)係を示す。相対密度 Dr = 80 で作製した供試体の初期間隙比 e0 は豊浦砂混合率の増加に伴い,低下している。実施工では,締固めエネルギー一定の条件で砂杭を打6)設することが想定される。図中には,豊浦砂混合率の異なる試料に対して締固めエネルギー一定(E≒1 650 kJ/m3 )で締め固めた場合の間隙比についても併記する。初期間隙比 e0 の大きさは異なるものの,実験供試体と同様に豊浦砂混合率の増加に伴い,間隙比は低下している。図―に破砕混合試料で作製した供試体の試験結果をNovember/December, 20167)考文献鉄鋼スラグ協会鉄鋼スラグ統計年報(平成 27年実績),http://www.slg.jp/pdf/fs154.pdf, p.4, 2016.地盤工学会高炉水砕スラグの地盤工学的利用促進に関する研究委員会報告書,2010.財 沿岸技術研究センター港湾・空港における水砕スラグ利用技術マニュアル,2007.鉄鋼スラグ協会高炉水砕スラグ,土工用材料としての技術資料,2009.松田 博・石藏良平・和田正寛・来山尚義・白元 珍・谷 信幸軽量盛土材として用いた高炉水砕スラグの特性の経年変化,地盤工学ジャーナル,地盤工学会,Vol.7, No. 1, pp. 339~349, 2012.篠崎晴彦・松田 博・坂井悦郎・小野幸一郎・鈴木操・中川雅夫高炉水砕スラグの硬化特性と地盤改良工法への適用,土木学会論文集 C, Vol. 62, No. 4, pp. 858~869, 2006.和田正寛・松田 博・原 弘行・井川尚之・中村奨哉水和反応に着目した高炉水砕スラグの自己修復特性に関する基礎的研究,材料,Vol. 64, No. 7, pp. 573~578,2015.(原稿受理2016.7.30)15 | ||||
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タイトル | 不飽和浸透特性を活かした水産系副産物(貝殻)の地盤材料への有効活用(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 小林 薫・森井 俊広・辻本 剛三・菅 紘毅・松元 和伸・中房 悟 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 16〜19 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070009 |
内容 | 表示 報告不飽和浸透特性を活かした水産系副産物(貝殻)の地盤材料への有効活用Applicability on Geotechnical Materials using unsaturated Inˆltration Characteristic of Crushed Shell小林薫(こばやし茨城大学辻本熊本大学松元剛教授和教授かおる)森井工学部三(つじもと伸(まつもと広(もりい新潟大学ごうぞう)大学院先端科学研究部株 技術研究所飛島建設俊かずのぶ)菅農学部毅(すが神戸市立工業高等専門学校専攻科中室長. は じ め に紘教授房としひろ)ひろき)都市工学専攻悟(なかふさ原子力規制庁原子力規制部さとる)安全審査官機能の喪失が大きな課題であった4)。この技術課題に対して,破砕貝殻を用いた CB は,扁平な破砕粒子の形状北海道や青森を中心とした地域では,水産系副産物で効果や細粒分を含んだ粒度などにより,上部の砂材が下ある大量のホタテ貝殻は「廃棄物の処理及び清掃に関す部の破砕貝殻層の間隙に移動・混入することを防止し,る法律」において,事業者自らが処分する必要がある。長期安定性を確保することが可能である。しかし,その処分方法や利用方法が確立されていないな本研究は,これまでの利用法と異なる破砕貝殻の不飽ど,その多くが漁港周辺に野積みされているのが現状で和浸透特性を活かした CB に関する 2 つの地盤工学的活ある。このことから,破砕したホタテ貝殻をケーソン中用法に関するものである。ここでは,海浜に埋設した破詰材1),漁港の岸壁などの裏込材や覆砂代替材等に活用砕貝殻層による CB 効果を活かした海浜保全対策(侵食する研究が行われている。加えて,貝殻の溶出試験によ作用低減と堆積作用促進)への活用と中間貯蔵施設や極る活用時の環境への影響評価についても検討されている。低レベル( L3 )放射性廃棄物処分施設などの降雨浸透資源の乏しい我が国では,水産系副産物(貝殻)の積極制御を目的とした CB 型覆土への有効活用に関する検討的な有効活用は,天然砂礫の枯渇問題への対応や循環型結果について述べる。社会の構築推進並びに再資源化に大いに貢献するものである。ただし,これまでの利用形態では,有効活用され.埋設した破砕貝殻による海浜保全対策る貝殻量は野積みされている全量に比較して,ごく限ら. 試料れた量であり,更なる有効活用法が望まれている。底質砂の土質試験結果を表―に示す。また,底質砂このような状況下において,筆者らは破砕貝殻の不飽は乾燥状態での間隙率 n=43である。破砕貝殻は,最和浸透特性が礫材の不飽和浸透特性に類似している点に大径30 mm,乾燥状態での設置時の間隙率 n=73であ着目し,砂層(細粒土層)と礫層(粗粒土層)で構成さる。れるキャピラリーバリア2) ( Capillary Barrier 以下,. 実験概要CB と記す。図―)の礫材の代替材として破砕した貝殻が有効活用できることを見出した3)。従来の CB は,図―に示すような二次元造波水槽(長さ 18 m ,幅砂層と礫層で構築するため,長期供用時において,乾湿0.6 m ,高さ 0.8 m )の一端に長さ 7 m ,縦断勾配 1 / 10実験一定水深条件下における実験の繰返しや地震力の作用などにより,上部の砂材が下部礫層の間隙に移動・混入し,層境界面で発揮される CB図―16キャピラリーバリア(CB)の浸透挙動の模式図表―図―底質砂の土質試験結果二次元造波水槽と砂浜の概要地盤工学会誌,―/(/)報表―表―表―告実験で用いた波浪条件実験で用いた不規則波の条件図―侵食型波浪下における設置条件毎の断面形状図―堆積型波浪下における設置条件毎の断面形状実験時の破砕貝殻層の設置条件件 A と B の計 3 ケースを,実験では破砕貝殻層なしと設置条件 A と C の計 3 ケースについて実験を行った。. 実験結果実験一定水深条件下における実験図―には,破砕貝殻層なしと設置条件 A, B の侵食型波浪条件下の 5 時間後における断面形状を示す。破砕貝殻層なしの断面形状を基本とした場合,破砕貝殻層の砂浜を作製した。実験では水深を一定に保った状態を設置することで,汀線近傍における侵食量が破砕貝殻で表―に示す侵食型波浪と堆積型波浪5)を 5 時間作用層なしに比較して,設置条件 A では約100 cm2,設置条させ,斜面の断面形状をレーザー距離計で岸沖方向に間件 B では約 30 cm2 の侵食量を低減した(図―の点線隔 2 cm で測定した。囲み部分,図中下部に拡大図を示す)。また,汀線より侵食型波浪条件下では,造波前と 1, 2, 3 及び 5 時間沖側に形成されるバーの形成位置は,破砕貝殻層なしに後に断面形状を測定し,堆積型波浪条件下では,造波前比較して,設置条件 A, B 共に,より沖側に移動しておと 2, 5 時間後に断面形状の測定を行った。り(図中の↓部),CB 効果(口絵写真―,http://urx.実験変動水深条件下における実験実際の砂浜では,潮位が周期的に変動しそれに伴ってnu / bmG4 参照)により造波中の汀線近傍における平均水位の上昇(セットアップ)が低減されたことが推察さ底質砂の層内における飽和・不飽和状態の分布も絶えずれる。設置条件 A よりも破砕貝殻層を沖側に設置した変化するため,実験では水深を変動させた実験を行う。設置条件 B ではこの効果が弱まった。設置条件 B の破実験は,実験と同じ二次元造波水槽を用いた。水砕貝殻層は造波中,地下水面以深に存在する時間が長く,深40 cm を低潮位時の水深,水深45 cm を平均潮位時の破砕貝殻層より上層の砂が飽和状態である時間が長かっ水深,水深50 cm を高潮位時の水深と設定し,水深を低たため,CB 効果が低減したと考えられる。潮位~平均潮位~高潮位~平均潮位~低潮位と 5 時間図―には,最も侵食作用を低減した設置条件 A連続で繰り返し作用させた。なお,実験で用いた不規(堆積型波浪)の断面形状と破砕貝殻層なしの断面形状則波の条件は表―に示す通りである。また,断面形状の比較を示す。破砕貝殻層なしに比較して,設置条件の変化は,実験と同様にレーザー距離計を用いて測定A では破砕貝殻層の設置効果により,形成されたバーした。加えて,造波中は流入及び流出量とも一定に保ち,ム5) が大きいことが分かる(図―の点線囲み部分)。一定の割合(4 cm/時間)で水深を変化させた。加えて,実験開始 2 時間後以降において,断面形状に破砕貝殻の設置条件破砕貝殻層は,設置深さ 10 cm ,厚さ 3 cm を基本と明らかな差が確認できる。このことから,破砕貝殻層が堆積型波浪の堆積作用を促進していると考えられる。し,表―に示す設置位置と設置長さの異なる 4 ケース(破砕貝殻層なしを含む)について実験を行った。図―には,侵食型波浪条件下における設置条件 Aなお,実験では,表―の破砕貝殻層なしと設置条November/December, 2016実験変動水深条件下における実験と破砕貝殻層なしの断面形状を比較して示す。破砕貝殻17報告表―図―侵食型波浪下における設置条件毎の断面形状図―堆積型波浪下における設置条件毎の断面形状各試料の土質試験結果層の有無に関わらず,本実験では断面形状は類似しており,設置条件 A の破砕貝殻層の埋設による断面形状の図―大型土槽,散水装置の外観と流出水量の測定状況変化は少ない。図―には,堆積型波浪条件下の設置条件 C を破砕貝殻層なしの断面形状と比較して示す。設置条件 C の含水比を事前に実施した締固め試験より得られた最適含水比( 12 程度)に調整した。含水比調整した試料は,断面形状は,破砕貝殻層なしに比較してバームの発達が水をなじませるために 24 時間静置した。また,破砕貝促進されていることが分かる(図―の点線囲み部分)。殻は, 80 °C の乾燥炉で 24 時間乾燥させた後,自然大気実験の結果より,侵食波作用下においては,破砕貝中に 1 日放置したもの(含水比 0.3 程度)を使用した。殻層は悪影響を及ぼすことはなく,堆積波作用下では大型土槽への破砕貝殻の充填は,所定の乾燥密度になバームの発達を促進させる可能性が示唆され,種々の波るように,質量を測定した試料を土槽に投入後,木製のに対して破砕貝殻層は砂浜に悪影響を与えない。突固め板( 5 cm × 5 cm )で破砕貝殻層全面を静的に締.中間貯蔵施設などの降雨浸透制御を目的とした CB 型覆土への活用め固めて75 mm 厚に仕上げた。次に,砂層は前記の含水比調整した硅砂 6 号を用いて,厚さ 5 cm , 4 層で所定の乾燥密度(締固め度 Dc =. 試料90 に設定)になるように,質量を測定した硅砂 6 号大型土槽実験に用いた試料は,ホタテ貝殻と硅砂 6を大型土槽に投入後,破砕貝殻と同様に手製の突固め板号である。各試料の土質試験結果を表―に示す。( 5 cm × 5 cm )で所定の 5 cm 高さにゆっくりと静的に. 実験装置締め固めた。なお,土層作製時に砂層の上面は,その上図―に大型土槽と散水装置の概要を示す。大型土槽部に作製する砂層との密着性を向上させることと水みちの大きさは,高さ50 cm,奥行き20 cm,幅300 cm であを発生させないために目荒らしを施した。最後に,散水る。土槽の底面部には,高さ 3 cm の仕切板を 10 cm 間装置から落ちる水滴による土層表面の洗掘防止のため,隔に設け,ブレークスルーが生じた位置を細かく把握で高透水性のガーゼを敷いた。き,CB 限界長を正確に測定できるようにした。また,土層完成後は,油圧ジャッキにより大型土槽(破砕貝大型土槽の上部には,散水装置として大型タンク(大き殻と砂材の境界面)の傾斜角度の調整を行うと共に,土さ高さ 70 cm ,奥行き 20 cm ,幅 300 cm )の下面に工層からの水分蒸発を防ぐために,土層上面をビニール業用注射針(内径 0.3 mm)を 50 mm 間隔で配置し,土シートでカバーして 2 時間以上静置した。層表面に散水を直接与える方式を採用した。散水強度は,各実験における土槽底面部からの流出水量の分布と水道水を用いて水位制御用フロートを備えた大型タンクCB 限界長の測定は,総流出水量が総供給水量と同量に内の水位を所定の高さに保つことで制御した。なったこと(定常)を確認した後に実施した。各流出口. 実験方法からの流出水量を 1 l ビーカーで受け,10分間の流出水硅砂 6 号は,110°Cに設定した乾燥炉で24時間乾燥し量を 3 回繰り返し測定した。流出水量分布の測定完了た後,常温になるのを待って霧吹きで水を加えながら,後,各流出口からの流出水の状況を目視観察し,CB 限18地盤工学会誌,―/(/)報表―告各実験ケースの条件界長を測定した後に実験を終了した。. ケース毎の実験条件大型土槽を用いた実験は,表―に示す実験ケースについて実施した。本実験では,土層完成後に散水強度と土槽の傾斜角度を順次切り替え,一連の実験を実施した。. 実験結果(CB 限界長に関する実験結果)前述の実験条件下では,土層表面に散水した水は,全て土層内に浸透し,表面流出水は全くなかった。よって,定常時は土槽底面部からの総流出水量と総散水量が一致することになる。なお,ここでは,CB の限界長に関する実験結果を示す。図―(a)~(c)に,代表的な土槽の最上流部より一番近い場所でブレークスルーが生じた位置までの各距離を示すと共に,土槽の傾斜角度を基に,角度補正を行い水平距離に換算した全 CB 限界長を表―図―にまとめて示す。大型土槽実験により得られた CB 限底面部からの流出水量及び流出水量分布と上流端から一番近いブレークスルーした位置までの距離界長は,散水強度,土槽(層境界面)の傾斜角度の影響表―を大きく受け,散水強度が弱いほど,また土槽(層境界水平距離に換算した全 CB 限界長の一覧面)の傾斜角度が大きいほど,長くなる傾向にある。加えて,同一実験条件で複数回測定した CB 限界長は,ほぼ同値が得られ再現性があることを実験的に確認した。以上より,貝殻を破砕して礫材の代替材として利用した場合の CB 地盤においても,長期間にわたり CB 機能を十分発揮することを確認した。. まとめ本研究では,海浜保全対策への活用と,中間貯蔵施設めには,強度変形特性についても検討が必要である。謝 辞 本 研 究 の 一 部 は , JSPS 科 研 費 25420514 ,などの降雨浸透制御型覆土への活用について室内土槽実16K06486の援助を受けて行った。ここに記して謝意を験を行い,水産系副産物(貝殻)の地盤材料への活用法表す。について検討した。主な結果は次の通りである。海浜保全対策については,一定水深条件下において,造波中の汀線近傍における平均水位の上昇(セットアップ)の抑制により侵食型波浪の侵食作用を低減し,堆積型波浪の堆積作用を促進する。一方,変動水深条件下において,貝殻層は侵食型波浪の侵食作用を促進参1)2)3)するような影響はなく,堆積型波浪の堆積作用によるバームの発達に寄与することを確認した。4)破砕貝殻を礫材の代替材として使用した場合の CB限界長は,通常の砂礫材で構築される場合の CB 限界長( CB 性能)と同等であり, CB を構成する礫材の代替材として,破砕貝殻を地盤材料として十分活用で5)考文献大野 元ホタテ貝殻のケーソン中詰材への有効利用,土木学会誌,Vol. 95, No. 9, p. 27, 2010.森井俊広土のキャピラリー・バリア,地盤工学会誌,Vol. 59, No. 2, pp. 50~51, 2011.Nakafusa S. et al.: Alternative Employment of CrushedShell Particles in Capillary Barrier of Soil, Int. J. of GEOMATE, Vol. 1, No. 1, pp. 5055, 2011.中房 悟ほか砂礫混合土の水分特性曲線について,2011 年秋季講演会講演要旨,日本地下水学会, pp. 138~141, 2011.平山秀夫・辻本剛三・島田富美男・本田尚正海岸工学,コロナ社,pp. 129~132, 2003.(原稿受理2016.7.21)きることを確認した。今後,地盤材料として破砕貝殻を有効活用していくたNovember/December, 201619 | ||||
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タイトル | 石炭灰混合材料を高規格道路盛土に有効利用するためのガイドラインについて(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 龍原 毅・佐藤 研一・横田 季彦・勝見 武・高橋 正樹 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 20〜23 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070010 |
内容 | 表示 報告石炭灰混合材料を高規格道路盛土に有効利用するためのガイドラインについてGuideline on the EŠective Use of Coal Ash Composite Materials in Highway Embankments.龍原毅(たつはら佐たけし)藤研株パシフィックコンサルタンツ横田季彦(よこた福岡大学勝すえひこ)見株日本国土開発高京都大学橋一(さとう正樹(たかはし教授武(かつみ教授けんいち)たけし)大学院まさき)(一財)石炭エネルギーセンター. は じ め に規格道路の建設が全国で計画されているが,建設にあたっては盛土材料の確保が課題となり,石炭灰及び石炭灰我が国のエネルギー政策において,石炭火力発電は混合材料の優位性を活用しつつ適切な施工がなされるこベースロード電源の一つと位置付けられており,持続可とが期待される。このような現状を鑑み,この度,一般能な社会構築の一環として石炭灰の有効活用促進が重要財団法人石炭エネルギーセンターでは石炭灰の利用促進と考える。火力発電に伴う二酸化炭素排出への対応も求を目的として「石炭灰混合材料有効利用ガイドラインめられるところではあるが,安定供給とコストの観点か(高規格道路盛土編)」(以下,本ガイドラインと略す)ら石炭火力発電は引き続き重要な役割を担うと予想され,をとりまとめたので,ここにそのエッセンスを報告する。発電に伴い副生される石炭灰の定常的かつ高付加価値の作成にあたった関係者を表―に示す。活用を今まで以上に推進する必要があると認識している。石炭灰のようなリサイクル資材の活用では,環境安全例えば,石炭灰にセメント,水,あるいは土砂,さらに性の確保が重要である。石炭エネルギーセンターでは,添加材等を適宜混合した石炭灰混合材料の開発は各機関材料の用途を規定し環境に対する暴露経路を明確にするにより進められ,施工事例もみられるが,公共工事等でこ とで ,よ り 活用 しや す くす る目 的か ら , 2011 年 にの利用をさらに推し進めることが求められると考える。「港湾工事における石炭灰混合材料の有効利用ガイドラいわゆる高速道路に代表される高規格道路では,大規イン」を, 2014 年に「石炭灰混合材料有効利用ガイド模な盛土が行われる場合も少なくない。特に,東日本大ライン(震災復興資材編)」をそれぞれ発刊し,さらに震災を受け,第二防潮堤としても機能しうる沿岸部の高本ガイドラインの発刊に至ったものである。各ガイドラインは,石炭エネルギーセンターのホームページ1)に掲表―「石炭灰混合材料有効利用ガイドライン(高規格道路盛土編)」関係者名簿載している。.石炭灰混合材料の概要火力発電所等から発生する石炭灰は,単体では炭種による品質のばらつきが大きく,実際の土木資材としては石炭灰単体ではなくセメント,水又は添加材を加えた石炭灰混合材料として活用される場合が多い。石炭灰を用いたリサイクル資材には多くのものがあるが,本ガイドラインでは高規格道路への適用を目的とし,表―及び図―に示す材料を対象としている。石炭灰混合材料を高規格道路に利用することは,副産物(リサイクル材)の有効活用による環境負荷低減の観点から有効と考える。また,化学的には土壌環境基準を満足し,物理的には通常の土質材料と同等の強度特性を示し,軽量性,高透水性等の特徴を有する材料が開発されている。通常の道路盛土材としての適用に加えて,法面被覆,排水層,擁壁裏込め,凍上対策,沈下抑制,サンドマット,サンドドレーン,サンドコンパクションパイル等の材料として有20地盤工学会誌,―/(/)報表―告本ガイドラインが対象とする石炭灰混合材料図―道路盛土に石炭灰混合材料を適用する場合の設計・施工フロー(例)は材料により異なるが,一般的に自然の土より軽量。◯透水性の向上が必要な場所。透水性は,一般的に砂~微細砂と同程度( k = 1 × 10-7 ~ 10-4 cm / s )。クリンカアッシュについては k= 8.8×10-3~ 7.2×10-1 cm/s でサンドドレーンや排水材への適用可能。◯施工性の向上でメリットが生じる場所(軽量性,トラフィカビリティの確保・スラリー材の高流動性等)。◯.水質改善,凍上抑制等の付随効果が活きる場所。施工一概に石炭灰混合材料と言っても表―や図―に示図―本ガイドラインが対象とする石炭灰混合材料したように様々な材料があることから,利用者が適用方法を具体的にイメージできることが重要であり,本ガイ効である。ドラインでは,石炭灰混合材料の種類,形態ごとの特長石炭灰混合材料が通常の土工材料より優位な点を考慮し,各現場の状況,コスト,調達性等を総合的に検討し適用可否を検討する必要がある。. 設計石炭灰混合材料を道路盛土工事や地盤改良等に用いるを念頭に,工事適用時の留意点,環境対策及び品質管理の概要について述べ,適用事例を紹介している。以下,「破砕材・造粒材・粗粒材」「塑性材」「スラリー材」にわけて説明する。なお,石炭灰混合材料は,一般的にアルカリ性で,実績では pH 変化は施工中に収まる傾向がある2),3) ものの,場合,盛土が安定であること,通行荷重を支えられる路施工中の排水の pH 管理が必要で,排水処理が必要な場床強度を有していることといった基本的考え方は通常の合もある。土質材料適用時と同等だが,材料の優位性を活用するた. 破砕材・造粒材・粗粒材 ~◯ のような石めの設計上の配慮が重要となる。下記◯破砕材,造粒材,粗粒材(クリンカアッシュ等)は工炭灰混合材料を適用することが有利な状況か考慮した上場製品として出荷されるもので,重金属の溶出基準を満で,図―に示すような概略設計,詳細設計,材料調達,足した一般盛土材料として取り扱うことができる。図―施工という流れで検討を進めることが考えられる。表―にクリンカアッシュの粒度分布例を示す。破砕材,クには道路盛土への適用性を,表―には軟弱地盤におリンカアッシュは,礫質土,砂質土に分類され,盛土材ける施工時の適用性をそれぞれ示している。料として良質土の分類になり,高規格道路における路盤,◯通常の土工材料が不足し,石炭灰混合材料の調達が可能な現場。◯荷重低減(擁壁背面等の側方土圧や軟弱地盤上等の鉛直荷重の低減等)が必要な場所。単位体積重量November/December, 2016路床,路体及び構造物裏込め等への適用が可能である。例えばクリンカアッシュはコーン貫入抵抗 qc = 1 000kN / m2 以上で,優れたトラフィカビリティを有している。21報告表―道路盛土への石炭灰混合材料の適用性等表―軟弱地盤での道路盛土への石炭灰混合材料の適用性等破砕材,造粒材,粗粒材(クリンカアッシュ等)は工場製品であるが,それぞれの製品によって性状が変わることから,盛土材として適用する場合は,一般の土工材料と同様に室内試験で物理・力学特性を把握するとともに試験盛土を実施して,締固め規定を適切に設定する必要がある。これらは砂質土又は礫質土に分類されるため乾燥密度規定とともに,締固め方法等の工法規定を行う方法が一般的である。図―に破砕材の道路盛土への適用事例を示す。. 塑性材図―クリンカアッシュの粒度分布測定例6)図―石炭灰混合材料(破砕材)の適用事例塑性材は,石炭灰にセメント等の固化材と水を混合撹拌して製造した石炭灰混合材で,外観はそぼろ状である。これを現場でまき出し・敷きならし・締固めすることで,密実で安定した盛土が構築される。塑性材の一般的な施工手順を図―に示す。石炭灰の物理・化学性状を把握した上で,必要強度や環境安全性を確保できるようにセメント等の混合材料の添加量を決定し,製造プラントで石炭灰と混合材料を均質に混合する。製造場所から工事現場へダンプトラックで運搬する. スラリー材場合は,セメント水和反応時間を考慮し,現場到着時にスラリー材は,工事現場近傍で石炭灰にセメント等の良好な状態を保てるように時間を設定する必要がある。固化材,水等を混合撹拌して製造し,ポンプで圧送可能な程度の流動性を持つ材料である。構造物の背面埋め戻22地盤工学会誌,―/(/)報図―塑性材の一般的な施工フロー図―写真―告環境安全品質に関する検査の流れ左型枠設置状況,右スラリー材による地盤改良し等,狭所での充填も可能で,気泡混合で軽量化して使用する場合もある。流動性が高いため,打込み区画端部図―環境安全形式検査の類型判断フローチャートには型枠を設置し,スラリー材の流出を防止する必要がある(写真―左)。また,スラリー材を地盤に混合処の可能性がある場合はその用途も)を考慮し,周囲の土理し,均質な地盤改良体を施工することも可能である壌や地下水,海水等がそれぞれの環境基準を満足するよ(写真―右)。.環境安全品質. 基本的な考え方これまで石炭灰混合材料の環境影響に関しては数多くうに規定する(図―参照)。詳細は本ガイドライン1)に示しており,用途ごとに溶出量試験や含有量試験のいずれか若しくは両方を行うことを基本としている。.まとめの検討が行われており7),8),十分に制御が可能であるこ本ガイドラインの活用で石炭灰混合材料の利用が進むとが把握されている。本ガイドラインでは,石炭灰混合ことを期待する。最後になったが,ガイドライン作成に材料の利用を進めるにあたり,物理的性質とともに環境関する予算確保及びご指導を頂いた経済産業省 資源エ安全品質とその検査方法を,国内外の技術面や法令面のネルギー庁 資源・燃料部石炭課に深謝致します。動向を踏まえて現実的かつ合理的な観点から示している。具体的には,「循環資材の環境安全品質及び検査方法に関する基本的考え方」9) に従い,検査は,図―に示すように安全性の担保のため「環境安全形式検査」と「環境安全受渡検査」の 2 段階によって行うこととしている。環境安全形式検査は,製造工場等で生産された石炭参1)2)3)灰混合材料が,すべての検査項目について環境安全品質を満足するかどうか判定する検査で,基本的に製造者が4)5)行うことを想定している。環境安全受渡検査では,実際に施工又は販売予定の石6)炭灰混合材料が,環境安全品質基準に合格したものと同品質であることを確認するために,特に注目すべき微量7)物質に絞り込み,製造ロットごとに必要と思われる基準項目について環境安全品質基準を満足することを検査するもので,施工状況に応じて使用者が検査を行うことを考えている。. 環境安全品質基準と試験方法8)9)考文献http: // www.jcoal.or.jp / ashdb / ashguideline/(石炭灰混合材料有効利用ガイドライン)財 土木研究センター建設技術審査証明報告書「頑丈土破砕材」(建技審証第0519号),p. 77, 2011.財 土木研究センター建設技術審査証明報告書「ゼットサンド」(建技審証第0410号),p. 117, 2002.社 日本道路協会,2010.道路土工 盛土工指針,株 ・中日本設計要領 第一集 土工編,東日本高速道路株 ・西日本高速道路株 ,2010.高速道路クリンカアッシュの粒度分布測定例,日本フライアッシュ協会ホームページ,http://www.japan‰yash.com/index.html港湾工事における石炭灰混合材料の有効利用ガイドライン,p. 66参考資料1.3, 2011.同上,p. 70参考資料1.4, 2011.日本工業標準調査会コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会総合報告書,2012.(原稿受理2016.7.22)環境安全品質基準は,石炭灰混合材料の用途(再利用November/December, 201623 | ||||
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タイトル | 再生石膏の地盤工学的有効利用における硫化水素ガス発生について(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 遠藤 和人 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 24〜27 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070011 |
内容 | 表示 報告再生石膏の地盤工学的有効利用における硫化水素ガス発生についてControl of Hydrogen Sulˆde Gas Generation in Geotechnical use of Recycled Gypsum遠藤和人(えんどう国立研究開発法人国立環境研究所. は じ め に廃石膏ボード由来の再生石膏の有効利用方策は,ここ数年,国,自治体,民間を通して幅広く検討されており,実規模での有効利用も増加している印象がある。例えば,凝固遅延剤等の目的でセメント原料として利用されたり,かずと)主任研究員る。そのため,廃石膏ボード由来の再生石膏から,どのような機構で硫化水素ガスが発生するか,という問題に着眼した知見を取りまとめる。.硫化水素ガス発生ポテンシャル試験硫化水素ガスの発生試験は,嫌気性培養法によるガス地盤改良用のセメント系固化材の原料としても利用され発生試験として実施されることが多い8),9)。試験機関にている。再生石膏の地盤工学的有効利用における環境問よって,培養容器の大きさは様々であるが,数百 mL題として,フッ素の溶出と硫化水素ガス発生等が挙げら容器よりも100 mL 程度の小さな容器の方が嫌気性条件れるが,フッ素の溶出については,土壌環境基準を満足に制御しやすく,かつ,容器破損時に実験室内に放出さするための溶出抑制剤等の開発1)や,混合等による溶出れる硫化水素ガス量を削減できる。ただし,100 mL 程制御の検討が進められている2)~4)。一方で,硫化水素ガ度の密閉容器を用いた嫌気性培養試験を行った場合,土ス発生の問題は,懸案事項として挙げられるものの,目壌のみでも 2 ~ 10 ppm 程度の硫化水素ガスが発生する標となる基準が存在しないために解決策や,評価方法,ため,小さな容器を用いた試験は,硫化水素ガス発生ポ基準値が定まっておらず,具体的な検討が進んでいないテンシャル試験として位置付けるべきと考えられ,実環状況にある。境で発生するであろう最大濃度を表現しているといえる。 水分が多い多量の硫化水素ガスが発生する要因は,◯容量100 mL のバイアル瓶を用いた硫化水素ガス発生ポ 嫌気性条件となっていること,◯ 有機物があること,◯テンシャル試験10) について以下に述べる。これ以降の 温度が 30 ° 硫黄分があること,◯C 前後であること,◯硫化水素ガス濃度等は全て本手法を用いて検討した結果 pH が 6 ~ 8 程度であること,◯ 硫酸塩還元菌こと,◯である。がいること,の 7 条件が全て揃うことにある。逆に, 7バイアル培養法を用いた硫化水素ガス発生ポテンシャ条件の内,1 つでも条件を満足しなければ,多量の硫化ル試験のフローを図―に示す。通常のバイアル瓶は口水素ガスは発生しない。廃石膏ボードを廃棄物最終処分が狭く,土壌試料等を投入しにくいので,本試験では広場に埋立処分した場合に硫化水素ガスが発生5)するのは,口のブチルゴム栓付きねじ口バイアル瓶を特注で準備しこれら 7 条件が揃ったためである。地盤工学的に有効た。バイアル瓶に試料を乾燥重量で20 g,脱気した蒸留利用する場合,これら 7 条件が揃うか否かが評価のポ水を 40 g 入れ,試料中に含まれる気泡(空気)を除去イントとなるが,水分,温度,硫黄分は避けることがでするため,軽く数回,2~3 cm の高さから落下させた。きない。また,硫酸塩還元菌も常在菌であるため,除外その後,ブチルゴム栓をバイアル瓶の口におき,隙間かすることが難しいので,結果的に,嫌気性環境や有機物,ら純窒素ガスを 15 秒間程度吹き込んで,ヘッドスペーpH を制御することで発生抑制を図ることになる。ス部分を窒素ガスで置換し,速やかにブチルゴム栓を閉新材石膏を地盤改良材として利用することは古くからめ,40°Cの恒温槽に入れて所定の日数(約 2~4 週間程実施されており,第一東名自動車道の建設時には石灰+度)養生し,ヘッドスペースの硫化水素ガス濃度を測定石膏処理による高含水比な火山灰質粘性土に対する地盤改良も検討されていた6)。石灰処理土の二次添加物として酸性塩である石膏を利用することの主要な目的は,早期強度の改善であるが,この効果は含水比の大きい関東ローム等で特に有効なことが知られている7)。地盤改良用途として,新材石膏や脱硫石膏は利用できるが,廃石膏ボード由来の再生石膏は利用できないということを耳にすることも多い。その理由が情報不足による不安に起因しているのであれば,それを工学的に払拭することは,再生石膏の有効利用を促進する 1 つの方法と考えられ24図―硫化水素ガス発生ポテンシャル試験地盤工学会誌,―/(/)報した。硫化水素ガス濃度の測定は,精度面では検知管を告した混合試料に対し,硫化水素ガス発生ポテンシャル試用いても構わないが,本試験ではガス量が足りないため,験と環境庁告示 46 号試験にしたがった溶出液の水溶性ガスクロマトグラフ分析を行った。測定条件は,島津製有機炭素濃度 DOC ( 0.45 mm フィルター通過検液の作所製 GC2014を用いて,カラムSupelQ PLOT 30TOC 濃度)と全糖濃度試験を実施し,水溶性有機炭素m×i.d. 0.53 mm,検出器FPD,キャリアーガスHeが硫化水素ガス発生に及ぼす影響について検討した12)。10.0 mL / min ,カラム温度 50°C ,注入口温度 230 °C,TOC は島津製作所製 TOC VCPN を用い,全糖濃度は検出器温度 260°C とした。培養期間については,種々フェノール硫酸法によって求めた。全糖濃度で求められの検討を行ったが,現時点では 2 週間養生が適当であた糖類が全てグルコース( C6H12O6 180.16 g/ mol)でると考えている。あると仮定し,全糖濃度の0.40倍が全糖中の炭素濃度と.硫化水素ガス発生ポテンシャル試験の一例した。溶出液の DOC と糖類中炭素濃度,再生石膏添加量と石膏単体による地盤改良は,強度発現や泥濘化の観点DOC の関係を図―に示す。これより,DOC のおよそから難しい面もあるが,ここでは,硫化水素ガス発生に60 が糖類由来の炭素であることが分かる。また,再対する土質の影響を評価するため,自然地盤や精製粘土生半水石膏添加量と DOC にも一意的な関係があること等 6 種(川砂,海成浚渫土,関東ローム,黒ぼく,まから,再生半水石膏の添加によって DOC 並びに糖由来さ土,トチクレイ)に対して,再生二水石膏を乾燥重量の有機炭素が増加しているといえる。図―に DOC と比で 0~10添加した試料を用いた硫化水素ガス発生ポ硫化水素ガス濃度の関係を示す。黒ぼくでは再生石膏をテンシャル試験を行った。養生 2 週間後の結果を図―40 添加しても硫化水素ガスが発生していない。また,に示す。再生二水石膏の添加量 0は,土質試料だけ水溶性有機炭素濃度 DOC が10 mg/L 以下となる混合試で実施した結果であるが,数 ppm の硫化水素が確認さ料であれば,土質や配合量によらず,硫化水素ガス発生れている。川砂や浚渫土,まさ土の場合,2混合試料濃度を数十 ppm 以下に制御できる可能性が示唆された。で 10 ppm を超過している。一方で,非晶質の鉄分が多く含まれている関東ロームや黒ぼくでは 10 混合試料でも硫化水素ガス濃度は数 ppm 程度となっている。トチクレイの場合も数 ppm 程度となっているが,これは,.廃石膏ボード中の糖分布と硫化水素ガス発生挙動前節で水溶性有機炭素が糖類由来であり,糖類は石膏懸濁液 pH が酸性になっているためと考えられる。このボードに含まれるグルコース糊(デンプン)であることように,土質性状によって硫化水素ガス発生挙動が異なを前節で示したが,次に廃石膏ボード中のどの部位に糖り,地盤改良材として再生二水石膏を使用すると,必ずが存在しているか確認した。グルコース糊は石膏ボード硫化水素ガスが発生する訳ではない。の表紙と裏紙を石膏粒子と結着させるために用いられて.水溶性有機物と硫化水素ガス発生挙動いるが,糊は石膏と混合したスラリー状で供給される。そのため,石膏ボードの全域に存在している可能性があ廃石膏ボードから硫化水素ガスが発生する要因は,先に述べた 7 条件が全て揃うことであるが,その内の有機物の存在については,石膏ボード製造時に使用される結合剤のグルコース糊(デンプン)にあることが報告されている11) 。このグルコース糊は,再資源化された再生石膏にも残存し,その分解生成物が硫酸塩還元菌の基質(炭素源)となって利用されていると考えられる。黒ぼく,トチクレイ,まさ土に再生半水石膏(新築系の廃石膏ボード端材をロータリーキルン炉で半水化して粒径2 mm 以下にした再生石膏)を重量比で 0, 10, 40添加図―溶出液 DOC,糖類中炭素濃度,石膏添加量の関係図―硫化水素ガス発生ポテンシャル試験結果の一例November/December, 2016図―溶出液 DOC と硫化水素ガス濃度の関係25報告図―廃石膏ボードの層状の削り取り状況図―図―熱処理による固体 TOC と溶出 DOC の変化削り取り画分毎の溶出量と全糖含有量図―熱処理後再生石膏による硫化水素ガス濃度の違い化水素ガスの発生を抑制できる。.図―削り取り画分毎の硫化水素ガス濃度再生二水,半水,無水石膏からの硫化水素ガス発生挙動廃石膏ボードを熱処理せずに,粒度調整しただけの再生石膏は再生二水石膏である。先に示した通り,ロータり,紙を剥離するという再生処理を行っても除去できなリーキルン炉や IH 式の加熱炉等で120~180°C程度で熱い可能性が高い。処理すると再生半水石膏を得ることができる。また,新材石膏ボードの端材や解体系の廃石膏ボードを用い350°C以上で加熱した場合,再生無水石膏となる。ここて,図―に示すように層状に削り出した石膏粉試料をまで,石膏ボード中に含まれるグルコース糊が硫化水素作成し,溶出試験によって DOC 濃度と全糖濃度を測定ガス発生の一因となることを示したが,グルコース等のした。また,層状に削り出した石膏粉を濃硫酸で全溶解炭化物の燃焼温度は一般的に 350°C前後である。よって,さ せ , 糖 量 を 測 定 す る こ と で 石膏 粉 中 の 全 糖含 有 量再生無水石膏の場合,グルコース等の糖類が燃焼して消(mg/g=mgglucose/gdry sample)を求めた。2008年失している可能性があることから,再生二水石膏を150,製造の解体系石膏ボード(厚さ 12 mm )の測定結果を250, 350, 550°Cで強熱し,固体 TOC,溶出液 DOC,そ図―に示す。また,河川浚渫土とまさ土に対して層状して,まさ土に対して20混合し,2 週間養生後の硫化に採取した石膏粉をそれぞれ20混合させ,2 週間養生水素ガス濃度を測定した。それぞれの結果を図―,した硫化水素ガス濃度を図―に示す。これより,全糖に示す。固体 TOC 濃度,溶出液 DOC 濃度をみると,含有量,溶出 DOC ,溶出全糖濃度のいずれも中心部で未処理に対して 150 °C , 250 °C がやや高くなっており,低く,表面部,裏面部で高いことが分かる。石膏ボード350 °C , 550 °C 処理後では炭素量が大きく減少している製造過程で,スラリー状の石膏+糊に表紙と裏紙を貼りことが確認できる。また,硫化水素ガス濃度では, 0付けて加熱して結着させる工程があるが,その際の水分配合(土のみ)と 350 °C , 550 °C 処理後のガス濃度がほ蒸発と共に糊成分も紙側へと移動する現象に起因していぼ等しくなっていることから,350°C処理することによると考えられる。このような分布は, 1986 年製造の 8って有機物が焼失し,7 条件が満たされなくなったためmm 厚さの解体系廃石膏ボードでも,新材石膏ボードでに硫化水素ガスが発生しなかったと考えられる。混合率あっても同様の傾向があることを確認している13) 。糖を 20 から 40 にしても,同様の結果が得られることが基質となって硫化水素ガスが発生するため,中心部のも確認している14) 。このことから,適切な温度で処理石膏粉を混合させた土壌からの硫化水素ガス濃度は数十された再生無水石膏であれば,地盤改良材として使用しppm に抑えられており,表面と裏面では 100 ppm を超ても,硫化水素ガス発生の危険性はない,といえる。えている。これより,糖分布という観点では,新材も解体系廃石膏ボードも違いがないことが確認された。また,.混合試料の懸濁液 pH と硫化水素ガス発生コストの観点を無視すれば,表面,裏面より 2 mm の石実際の地盤改良では,再生石膏のみを用いるよりも,膏を削り取り,中心部のみの再生石膏を利用すれば,硫再生石膏を二次添加材として使用し,主要な改良材に石26地盤工学会誌,―/(/)報告ではないことが分かった。廃石膏ボードの排出量は,今後,増加の一途を辿ることが予測されており,有効利用を含めた適正処理が推進されることを期待している。本稿がその一助となれば幸いである。参1)図― 懸濁液 pH と硫化水ガス濃度の関係灰やセメント系材料を用いることが想定される。そこで,2)再生半水石膏と生石灰を種々の組み合わせで沖積粘土と海成浚渫土,まさ土,しらすに添加し,硫化水素ガス発3)生ポテンシャル試験(養生期間 2 週間と 4 週間)を行った。一部の試料では,再生半水石膏と生石灰の他に酸化鉄粉として溶鉱炉施設から発生する集塵ダスト(最大4)粒径 20 mm )も添加している(全部で 39 通り)。まさ土やしらすでは,全ての配合ケースで硫化水素ガスが検出限界以下となり,沖積粘土と海成浚渫土のみで硫化水素5)ガスが検出される結果となった15)。海成浚渫土との混合試料では,再生二水石膏の添加率が上昇するにつれ,硫化水素ガス濃度が上昇する傾向が6)確認され,最大濃度は4 700 ppm 程度(懸濁液 pH=7.4)であった。液相 pH に対する硫化水素ガス濃度の関係を7)図―に示す(図中には 300 ppm までのデータを示した)。図より,pH が低い領域で濃度が高く,pH が高く8)なるにつれて低い値となっていることが分かる。pH が9.5 以上になると 25 ppm を超えるデータはなく, pH =11以上では,全て10 ppm 以下となり,土壌単体レベル9)と同程度結果となった。これより,懸濁液 pH が 9.5 以上であれば,硫化水素ガス濃度を20~30 ppm 以下にす10 )ることが可能となる。これは,先に示した 7 条件の内,pH に関する条件を満足しなくなるためである。. お わ り に11)廃石膏ボード由来の再生石膏を地盤改良材等として有効利用した場合,硫化水素ガスの発生が懸念されるが,12)土質性状等によっては発生しない場合もある。また,pH が9.5以上,溶出液 DOC が10 mg/L 以下であれば,発生濃度を数十 ppm 以下にすることができ, 350 °C以13)上で熱処理された再生無水石膏であれば,新材石膏と同様のガス発生挙動となることから,廃石膏ボード由来であることを意識せずに,石膏材料として利用することが14)可能である。再生半水石膏であったとしても,硫化水素ガス発生ポテンシャルは半減しており,高濃度硫化水素ガスが発生する可能性は低くなっている。以上より,廃石膏ボード由来の再生石膏の全てから硫化水素ガスが発生するわけではなく,利用方法や配合率15 )考文献袋布昌幹・間中 淳・丁子哲治・小森 剛・中野宏一・藤田 巧建設汚泥・軟弱地盤固化材への適用を指向した廃石こうボードからのフッ素化合物の溶出抑制技術の開発,第 21 回廃棄物資源循環学会研究発表会, pp. 223~224, 2010.亀井健史・蓬莱秀人高炉セメント B 種による半水石膏のフッ素不溶化技術の開発,地盤工学ジャーナル,Vol. 4, No. 1, pp. 91~98, 2009.山田幹雄・佐野博昭・坪川 茂フッ素の溶出を軽焼マグネサイトで抑制した廃石膏ボード粉を含む粘土の安定処理効果,材料,Vol. 61, No. 1, pp. 25~30, 2012.松尾典映・佐藤研一・藤川拓朗・古賀千佳嗣解体・新築系石膏ボード混合率を考慮した再生半水石膏の地盤改良効果とフッ素溶出特性,第24回廃棄物資源循環学会研究発表会,pp. 245~246, 2013.例えば,菊地憲次・岡谷卓司・武田信生・里内 勝・中村敏博・平田慎二安定型最終処分地における高濃度硫化水素発生機構,日本化学会誌,Vol. 2001, No. 12, pp.705~713, 2001.有泉 晶ら関東ロームの石灰―石膏系による土質安定現場試験,土木技術資料,Vol. 5, No. 3, pp. 108~119,1963.宋永焜・応長雲関東ロームのアロフェン含有量が石灰―石膏安定処理土に及ぼす影響,土質工学会論文報告集,Vol. 34, No. 4, pp. 97~107, 1994.小野雄策・田中信壽建設廃棄物埋立における硫化水素ガス発生の可能性と管理法に関する考察,廃棄物学会論文集,Vol. 14, No. 5, pp. 248~257, 2003.武下俊宏・樋口壯太郎水に浸漬した石膏ボードからの硫化水素発生,第18回廃棄物学会研究発表会研究発表会,pp. 861~863, 2007.中川美加子・遠藤和人・肴倉宏史・井上雄三廃石膏ボードの地盤工学的有効利用時における硫化水素発生評価法としてのバイアル培養法に関する検討,第21回廃棄物資源循環学会研究発表会,pp. 231~232, 2010.井上雄三編安定が最終処分場における高濃度硫化水素発生機構の解明並びにその環境汚染防止対策に関する研究,独立行政法人国立環境研究所研究報告第 188 号,2005遠藤和人・中川美加子・肴倉宏史・井上雄三再生石膏有効利用時の硫化水素ガス発生と水溶性有機物に関する一 考 察 , 第 46 回 地 盤 工 学 会 研 究 発 表 会 , pp. 2115 ~2116, 2011.遠藤和人・中川美加子廃石膏ボードにおける糖分布と硫化水素ガス発生ポテンシャルに関する一考察,第24回廃棄物資源循環学会,pp. 243~244, 2013.遠藤和人・中川美加子廃石膏ボード由来の再生石膏の熱処理による硫化水素ガス発生挙動の違い,第26回廃棄物資源循環学会,pp. 215~216, 2015.遠藤和人・中川美加子・肴倉宏史・井上雄三・井 真宏・杉原元一再生石こう・石灰系地盤改良における硫化水素ガス発生挙動に関する研究,材料,Vol. 61, No.1, pp. 31~36, 2012.(原稿受理2016.7.29)等によって容易に制御可能であり,決して忌避地盤材料November/December, 201627 | ||||
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タイトル | 環境負荷量から見たセメント改良土へのもみ殻灰活用の可能性(<特集>リサイクル材の地盤材料への活用) | ||||
著者 | 島本 由麻・鈴木 哲也・森井 俊広 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 28〜29 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070012 |
内容 | 表示 報告環境負荷量から見たセメント改良土へのもみ殻灰活用の可能性Possibility of Cement Improved Soil mixed with Rice Husk Ash in terms of Environmental Burden島本新潟大学大学院由麻(しまもと自然科学研究科森鈴ゆま)博士後期課程井新潟大学木新潟大学俊広(もりい教授自然科学系(農学部)哲准教授也(すずきてつや)自然科学系(農学部)としひろ). は じ め に農業廃棄物であるもみ殻は資源量が豊富なため,有効な活用法の確立が求められている。国際連合食料農業機関の調査によると,世界全体で年間約 6.8 億 t のもみが2010年には排出された。もみ殻の焼却灰“もみ殻灰”は,非晶質シリカの含有率が高く,優れたポゾラン材料である。既往研究においては,主にコンクリート材料を対象に,もみ殻灰をセメント代替材として用いることで,コンクリートの耐久性が向上することが明らかにされている1)。筆者らは,も図―本研究におけるもみ殻活用の流れみ殻灰の地盤材料への利用について,環境負荷及び力学性能の両面から研究を進めている2)。本稿では,地盤材料におけるもみ殻灰活用の可能性を,もみ殻灰の供給源であるもみ殻ガス化プラントにおける環境負荷量,もみ殻 灰 を 混 和 し た 地 盤 材 料 の 力 学 特 性 及 び AcousticEmission ( AE )法を用いた破壊挙動評価,もみ殻灰の混和による環境負荷の低減効果の 3 つの観点から考察した結果を報告する。.図―ルギ収支もみ殻ガス化プラントの環境負荷量の概算本研究では,もみ殻灰を有効活用した地盤材料の開発もみ殻ガス化コジェネレーションシステムのエネ表―配合表(直径50 mm・高さ100 mm の円柱供試体)を目的としている(図―)。実用化には,環境負荷を与えることなく,もみ殻灰を供給することが不可欠である。本稿では,新潟県で実施されているもみ殻ガス化コジェネレーションシステムを事例として,システムの環境負荷量を灯油換算によるエネルギ量及び CO2 換算量から解析した。このシステムは,もみ殻をペレット化し,ガス化することで得られる熱及び電力をカントリ-エレベータやビニールハウスの加温に利用するリサイクルシ多いことが明らかになった。 CO2 換算すると,年間約ステムである(図―)。67 t の CO2 量が削減されると試算された。ガス化プラエネルギ収支の概算は,ガス化プラント運転のみを対ントより残渣物として排出するもみ殻灰を有効活用する象とした。エネルギ投入量は,もみ殻固定化装置の使用ことは,エネルギを得られるだけではなく,より環境保電力量50 kW,ガス化炉の動力15 kW,ガス化の助全に寄与すると考えられる。燃材(軽油)使用量 9.2 l / h である。エネルギ産出量はコージェネレーションにより産出される電力量100kW 及び熱量 156 kW である。ヒアリング調査から,施設稼働時間を 7 時間,稼働日数を270日とした。.もみ殻灰を混和した地盤材料の力学特性もみ殻灰の混和によって,セメント改良土の力学特性に変化が生じるか一軸圧縮試験より検証した。配合を表もみ殻ガス化システムにおけるエネルギ収支を図――に示す。使用した砂質土は,均等係数2.20 mm,に示す。エネルギ量は投入量より産出量の方が約 1.8倍曲率係数 1.05 mm である。もみ殻灰は,市販のもみ28地盤工学会誌,―/(/)報告殻燻炭を 425 mm のふるいで全通させた後に,電気炉において 500 °C で 1 時間燃焼させて製造した。 XRD /リートベルト 解析によるもみ殻灰の非晶質量は 97 であった。供試体は直径50 mm,高さ100 mm の円柱型枠に突き固めて充填し,7 日間水中養生した後に,一軸圧縮試験を実施した。同時に,供試体に AE センサを取り付け,圧縮時の破壊挙動を調査した。 AE 計測では, 6 つのセンサを使用し,しきい値を 40 dB ,増幅値を 60 dB に設定した。計測概要図を図―に示す。AE 法は固体材料図―計測概要図内部の微小な破壊あるいはそれと同様なエネルギ解放過程によって発生する弾性波動現象を検出する手法であり,微小破壊のモニタリングとして有効である3)。本稿では,式( 1 )に示す AE エネルギ3) を基に,破壊挙動を評価した。EAE=(ap)2×Td ………………………………………(1)こ こ で , EAE は AE エ ネ ル ギ , Td は 持 続 時 間 , ap は図―一軸圧縮試験結果AE 信号振幅(AE 信号のピーク振幅)である。図―に一軸圧縮試験結果を示す。もみ殻灰を混和することで,一軸圧縮強さが約 1.5 倍増加することが確認され,もみ殻灰混和による力学性能向上が明らかになった。図―にヒット数あたりの AE エネルギと一軸圧縮強さの関係を示す。この 2 つの指標は負の相関があることが明らかになった。もみ殻灰を混和した供試体ではエネルギ値が小さくなることが確認され,規模の小さなひび割れの集積によって破壊に至ったと考えられる。一方,図―もみ殻灰無混和の供試体では,初期から規模の大きなひヒット数あたりの AE エネルギと一軸圧縮強さの関係び割れが発生していると考えられる。AE エネルギが小さいほど,載荷初期に高いエネルギの AE が検出されており,載荷初期の AE エネルギ値に着目することで,一軸圧縮強さを推定できる可能性が示唆された。.もみ殻灰の混和による環境負荷低減効果もみ殻灰の混和によるセメント改良土の環境負荷低減効果を単位強度あたりの CO2 排出量から検証した。資図―材の CO2 原単位は,土木建設業における環境負荷評価単位強度あたりの CO2 排出量の比較(LCA)研究小委員会講演要旨集に記載されている CO2排出量原単位の奨励値を使用し,システム境界は,資材約1.5倍増加するとともに,単位強度あたりの CO2 排出の採取から製造までとした。原単位は,細骨材(砂質土量が約40削減できることが明らかになった。及びバーミキュライト) 0.00565 kg CO2 / kg ,普通ポルトランドセメント0.836 kgCO2/kg である。図―にもみ殻灰の混和の有無によるセメント改良土の単位強度あたりの CO2 排出量の比較結果を示す。もみ殻灰を混和することで, CO2 排出量が約 40 削減されることが明らかになった。もみ殻灰は, CO2 量の観点から環境負荷を低減することが可能であり,有効な混和材であると考えられる。. お わ り に本稿では,セメント改良土へのもみ殻灰活用の可能性参考文献1)Mehta, P. K. and Folliard: Rice Husk AshA UniqueSupplementary Cementing Material: Durability Aspects,Advances in Technology, ACI SP, 15428, pp. 531541,1995.2 ) 島本由麻・鈴木哲也・大橋慎太郎・森井俊広 LCA 分析に基づく稲副産物を混和した地盤改良土の材料設計,第 11 回環境地盤工学シンポジウム発表論文集, pp. 337~342, 2014.3) 日本非破壊検査協会アコースティック・エミッション,日本非破壊検査協会,pp. 60~61, 2008.(原稿受理2016.7.22)を考察した。もみ殻灰の混和によって,一軸圧縮強さがNovember/December, 201629 | ||||
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タイトル | 第51回地盤工学研究発表会を終えて(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 山下 聡 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 30〜30 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070013 |
内容 | 表示 第回地盤工学研究発表会を終えて山下公益社団法人地盤工学会聡(やました調査・研究部長さとし)北見工業大学教授平成 28 年 9 月 13 日から 16 日にわたって,第 51 回地盤来展望などについて,時折笑いを誘いながらご講演をい工学研究発表会が岡山大学を主会場として開催されましただきました。また,新納泉先生からは「前方後円墳のた。 9 月中旬の開催は, 11 月に開催された第 1, 2 回研設計原理」と題してご講演をいただき,現代の航空レー究発表会を除いて最も遅い時期の開催となりました。そザー計測技術によって解明された当時の測量,設計技術のため,台風の影響など天候がやや心配されましたが,の高さに驚かされました。会場となった金光ホールは,わずかな雨で済み,さすが「晴れの国おかやま」と言っ超満員となり急遽会議室で同時中継を行うほどの大盛況たところでしょうか。でした。地盤工学研究発表会は各支部持ち回りで開催されてい特別セッションの一つとして,「平成28年熊本地震地ますが,中国支部が担当となって開催されたのは平成盤災害調査報告会」が開催され,「産・官・学・民の協20 年の広島以来で 6 回目となります。また,岡山市で働による防災・減災」をテーマとしたパネルディスカッ開催されたのは平成 2 年以来の 2 回目となります。ションも行われました。また,今回の研究発表会では,図―は,これまでの研究発表会での発表件数,参加「協働―人を地盤災害から守るために―」がテーマとな者数,学会総会員数を示したものです。前回の岡山大会っていました。以前にも増して地盤災害が多く発生して(第 25 回)では,発表件数が 792 件,当時の土質工学会いる昨今,我々地盤工学関係者は,自らの得意分野を活総会員数は約13 500名でした。今回の岡山大会では発表かし「協働」して人の安全を守っていかなければならな件数が1 120件で,現在の地盤工学会総会員数は約9 500いといまさらながら強く感じさせられました。名です。当時と比較して,会員数は 3 割減ですが,発今回の研究発表会では,研究発表会場が 17 会場と過表件数は 4 割増で,会員数ピーク時と比較しても発表去と比較しても最も会場数が多いと思われる発表会でし件数の減少はあまり認められません。このことは学会のた。大学を会場とする場合には,比較的多くの会場数を主要行事に参加する会員数は減っておらず,学会の活動確保することができますが,夏休み中の開催となり,他度は全く低下していないとも言えます。学会の全国大会との連続や重複などの問題もあります。研究発表会では,一般発表のほかディスカッションセまた,研究発表会は,研究発表の場であるとともに,情ッション,特別セッション,特別講演会,交流会,技術報収集の場でもあると思っています。発表会場が多くな展示,サロン・土・カフェ,見学会など多彩な行事が開ると,同じような分野のセッションが平行して行われ,催されました。第 26 回研究発表会から,その道の権威十分な情報収集ができなかったり,広い視野に立った総の先生や地盤工学と関係する公的研究機関の代表者にお合的な討論ができにくい状況も心配されます。一方,大願いして講演をいただいていた展望のセッションは,公学以外を開催会場とする場合には,以前と同様に 6 月的研究機関がほぼ一巡したことから,次なる企画を調や 7 月に開催することも可能となりますが,会場数の査・研究部で検討していたところでした。今回は,実行確保や予算面など運営上の問題も生じます。また,会場委員会の発案により,名誉会員による特別講演会を企画数とは関係なく,一般発表以外のセッションの精査の必していただきました。特別講演会では,石原研而先生,要性,技術展示に頼った予算運営なども検討課題です。足立紀尚先生,河野伊一郎先生,藤井弘章先生による,調査・研究部では,参加される会員の皆様が満足できる我が国,関西,岡山における地盤工学の回顧と発展,将充実した研究発表会を実施すべく発表会の在り方を各支部と協力し,継続して検討を進めておりますが,会員の皆様からのよりよいご教示もお待ちしております。最後になりましたが,第 51 回地盤工学研究発表会の開催に当たり,関係各位,特に実行委員会や中国支部の皆様には大変なご尽力を賜りました。心より,厚く御礼申し上げます。来年の第 52 回地盤工学研究発表会は,平成 29 年 7 月 12 日~ 14 日に名古屋国際会議場を会場として開催される予定です。中部支部では,実行委員会が中心となって開催に向けた準備が進められています。多くの会員の皆様の応援と参加をお願いいたします。図―30研究発表会の発表件数,参加者数,総会員数(原稿受理2016.9.25)地盤工学会誌,―/(/) | ||||
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タイトル | 第51回地盤工学研究発表会の閉幕(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 丸山 隆英 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 31〜31 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070014 |
内容 | 表示 第回地盤工学研究発表会の閉幕丸山隆英(まるやま第51回地盤工学研究発表会実行委員長. は じ め にたかひで)国土交通省中国地方整備局長. 大会の準備・運営岡山大学は,地盤工学の研究に携わる教員が多く,ま第 51 回地盤工学研究発表会が 9 月 13 日から 16 日まで,た地域のセミナー活動を通じた民間企業との繋がりが強岡山市にある岡山大学津島キャンパスで開催されました。いというバックグラウンドがありました。そのバックグ9 月のはじめから毎週,台風が発生し,大会期間中にもラウンドを生かし,イベント会社を利用しない,「手作日本列島に到来するのではと心配しておりましたが,実り」の大会準備・運営を行いました。チラシ・ポスター行委員の祈りが通じたのか,台風は西に進み,また雨のの製作,HP や看板のレイアウト作成など,細かなとこ予報であったにも関わらず,大会期間中は天気にも恵まろまで実行委員会で議論しました。これにもやはり大変れました。このような好天の影響もあり,研究発表会やな時間を要しましたが,運営中の密なやり取りを通じてその他の行事も盛会なものとなりました。産官学が連携する「地盤」が形成されましたし,何より,本大会で実施した各行事では,一般市民参加の強化と大会の運営にかかる費用を抑えることができました。いう観点から,創意工夫を凝らしたいくつかの取り組み. 広報活動を行いました。本稿では,岡山大会の特色の一部につい市民向け行事を PR するため,広報活動はこれまでのて触れたいと思います。.岡山大会の特色大会にないくらい充実したものであったと自負しています。岡山市,倉敷市,瀬戸内市に後援いただくとともに,各公民館へのチラシの配布,実行委員による慣れないラ. 市民向け行事ジオ出演など,早い段階から地道な広報活動を行いまし岡山大会では,「本当に市民のためになる行事はどのた。数字には表すことはできませんが,先述した市民向ようなものであろうか」ということを考え,過去の大会け行事に多くの方にご参加いただいたことがその成果での実績にこだわらず,開催日や内容を一から議論しましあったと考えています。た。その結果,従来どおりの体験型イベントに加え,. 関係機関との協力「スムーズな避難行動をとるために必要なこと」をテー交通に関しては JR 西日本にご協力いただき,大会期マとした講演会・討論会を,一般の方が参加しやすい大間中は, JR 岡山駅から会場に最寄りの JR 法界院駅ま会直前の日曜日に開催することにしました。事前の準備,での区間で車両を増設いただきました。複数の交通手段特に講演・討論会の調整や打合せにはかなりの時間を要を充実させることにより,会場へのスムーズなアクセスしましたが,これまでの大会とは異なる「市民向け行事」が実現できました。が開催できました。また,岡山大会では準備の早い段階から(公社)おか. 特別講演会やま観光コンベンション協会と協力し,大会の準備を行今大会は第 51 回目ということであり,次の 50 年にむいました。岡山市は,コンベンションへの助成金,一時けて 1 歩を歩みだす大会であると位置づけられました。保育への助成金など,支援制度が充実しており,いろいそこで,これまでの学会の歴史を振り返り,次の 50 年ろな面で大会をサポートいただきました。に向けて歩みだす,さらなる学会の発展のきっかけとなるような特別講演会を開催することを目的としました。.おわりにそこで,これまで地盤工学会がどのように発展し,どのこれまでの大会とは異なることが多く,大会が本当にようなことを目指したのかについてお話いただくため,うまくいくだろうか,といった不安もありましたが,皆地盤工学会の中心として活躍されてきた先生方を講師と様のご協力により,無事に全日程を終えることができました特別講演会を企画しました。例年の特別講演会とはした。最後になりましたが,第 51 回地盤工学研究発表異なる形式であったため,学会本部の方にご迷惑をおか会の開催に当たり,関係各位,特に岡山地域の実行委員けし,準備や調整にも時間を要しました。しかしながら,の皆様には大変なご尽力を賜りました。心より厚く御礼当日には定員400人の会場がいっぱいになるほどの参加申し上げます。来年の名古屋大会のご盛会をお祈り申し者があり,盛況でした。上げます。(原稿受理November/December, 20162016.9.26)31 | ||||
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タイトル | 特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 川崎 元・珠玖 隆行 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP1〜HP4 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070015 |
内容 | 表示 特別講演会,技術展示,市民向け行事,交流会,見学会の報告川﨑(株)大本組元(かわさき もとい)土木本部技術部次長1.特別講演会珠 玖岡山大学隆助教行(しゅく大学院たかゆき)環境生命科学研究科けて 1 歩を歩みだす大会であると位置づけられました。そこで,これまでの学会の歴史を振り返り,次の 50 年に1.1 はじめに特別講演会は,9 月 14 日に岡山大学創立 50 周年記念館向けて歩みだす,さらなる学会の発展のきっかけとなるにて開催されました。岡山大会での特別講演会は 2 部構非常に多くの方に会場に足を運んで頂く様子をみて,そ成となっており, 1 部はこれまで地盤工学会を牽引されの目的は達成できたのでは,と感じました。最後に,本てこられた先生方,東京大学名誉教授の石原研而先生,京講演会をサポートくださった地盤工学会調査研究部のみ都大学名誉教授の足立紀尚先生,岡山大学名誉教授の河なさまに感謝いたします。野伊一郎先生及び藤井弘章先生を講師とした講演会であり,第 2 部は岡山大学文学部教授の新納泉先生を講師とした講演会でした(口絵写真-2,3, http://urx.nu/bmG4)。ような特別講演会を開催しようとの思いがありました。2.技術展示2.1 はじめに技術展示は,平成 28 年 9 月 13 日~15 日の 3 日間にわ1.2 講演内容石原先生のご講演タイトルは「我国における土質力学たって,岡山大学清水記念体育館において開催されまし誕生の頃の回顧と地盤工学会の発展」であり,地盤工学た。今回の技術展示では 64 の出展者から 62 ブースの出会設立とその成長期における主な事業とそれに献身的に展があり,地盤工学分野における新しい施工法,材料,貢献された諸先輩の活動について講演頂くとともに,我調査法,試験法,設計法,解析法,防災・環境保全など国で大きく発展してきた地震時の液状化研究に関連して,優れた技術が紹介・意見交換する機会になりました。砂質土の変形特性を支配する根本原理に関して,石原先生のお考えをお話頂きました(口絵写真-4)。足立先生のご講演のタイトルは「関西における土質工学の歩み」であり,関西における地盤工学の発展史及び地盤工学会関西支部の発展史についてご講演頂くととも初日の朝,技術展示のスタートにあたって,西垣実行委員会相談役による挨拶(口絵写真-7)が行われ,その後 3 日間で多くの方々に来場していて頂くことができました(口絵写真-8)。に,インフラの創生・保生・再生や地盤と災害,先生の2.2 技術展示の概要出展者・来場者の両方の方々にとって実りのある技術夢など,幅広い内容についてお話頂きました(口絵写真展示となるように,以下の工夫をしました。また,展示-5)。会場内には,展示ブース,休憩・ドリンクコーナー・特河野先生のご講演タイトルは「岡山地方における地盤別会員のパンフレット等を展示,配布する特別会員 PR コ工学の進展」であり,岡山地方の地盤環境の特徴についーナーも設けました。てお話頂きつつ,戦後,岡山県内で実施されてきた地盤・参加者の動線:発表会場や総合受付とは異なる会場で工学に深く関連した大規模工事,例えば,水島湾埋立ての開催であったため,参加者が展示会場に足を運んでくや瀬戸大橋の建設,岡山空港の建設についてご講演頂きれるだろうか,といった心配もありましたが,総合受付ました。会場や発表会会場と近接し,かつ付近に駐車場も備えた藤井先生のご講演タイトルは「岡山平野の干拓」であ清水体育館を使用することができたため,大勢の方にごり,農業土木に関連する話題として,奈良時代から始ま来場頂けたと思います。っていたとされる干拓に注目され,その歴史や方法につ・ブースレイアウト:展示ブースが 62 ブースと,多くのいてご講演頂きました。出展を頂きましたが,配置を工夫したことで,会場を分新納先生のご講演タイトルは「前方後円墳の設計原理」散することなく展示頂けました。また,来場者の関心にで,巨大な前方後円墳をどのように造ったのかについて,応じた見学ができるよう,業種別のブース配置でなく,詳細なレーザー計測の結果に基づいた最新の知見をお話展示内容の関連性を考慮した配置としました。また,レ頂きました。先生のような研究手法は考古学の中では非イアウトも,対面間の距離を広くしすぎないことで,近常に珍しく,地盤工学を専門とする学会員にとっても非接した状態で両側のブース内容が確認できるような配置常に興味深い講演内容でありました(口絵写真-6)。としました。1.3 おわりに今大会は第 51 回目ということであり,次の 50 年にむNovember/December, 2016なお,天候がくもりであったこともあり,体育館内の大きな温度上昇もなく,準備した空調設備で対応するこHP1とができ,室内環境としても好評でした。・地盤工学会会員以外の入場:技術展示は会員以外にも開放されていることで,今回は高校生の入場もありました(口絵写真-9)。地盤工学における最新の技術に興味をもってもらえたようで,真剣な眼差しで実験や動画を見入っていました。また,会員以外の一般の方も入場され,「地盤工学」や「地盤工学会」を PR できたものと思われます。・休憩・ドリンクコーナー:今回,展示ブースが多かったこともあり,従来の休憩コーナーがややせまい状況となってしまいましたが,ドリンクコーナーでは岡山の銘菓であるキビダンゴを提供したこともあり,空席が目立つことなく盛況でした(口絵写真-10)。この休憩コーナーに毎日来て頂いた方も多く,技術展示という役割だけでなく,打合せ会場・交流の場にもなっていました。2.3 おわりに最後に,出展しただいた皆様はもとより,来場者の方々,技術展示にご協力頂いた方々並びに施設を提供して頂きました岡山大学の皆様に,厚くお礼を申し上げます。3.市民向け行事図-1実施したクイズ3.3 講演・討論会岡山国際交流センター2F 国際会議場を会場に,「自然3.1 はじめに9 月 13 日~15 日の本大会のプレイベントとして,9 月災害から人命を守るために」をテーマとした講演・討論11 日(日)に岡山駅周辺で「防災に関する講演・討論会」会を開催しました。当日は 120 名の一般市民の方にご参及び「体験イベント」を開催しました。このイベントに加頂き,盛況でした。より多くの一般市民の方に参加してもらえるよう,記者発表や岡山のテレビ局への概要説明,ラジオでのアナウ3.3.1 講演会①「斜面災害の発生メカニズムについて」ンスなど地道な広報活動を実施しました。講師:森脇武夫氏(呉工業高等専門学校教授)3.2 体験イベント市民の防災意識の向上を目的として,岡山駅後楽園口駅前広場にて,地震体験車の開放,地盤工学に関する模型実験披露などの体験イベントを実施しました。天気に内容:斜面災害の種類と種類ごとの発生メカニズムと特徴,加えて広島 8.20 災害の教訓を踏まえての避難に関する心構えをご講演頂きました。②「避難情報の効果的な伝え方について」恵まれ,非常に暑い中での開催でしたが,多くの方にご講師:新井恭子氏(NPO 防災のことば研究会代表理事長)参加頂きました。震度 7 の地震が体験できる地震体験車内容:避難情報がうまく住民に伝わらないのはなぜか,では 200 名の方に体験頂きました。岡山県は地震が少などうすれば伝わりやすくなるのかを,言語学の観いと言われていますが,体験車の様子をカメラに収める点からお話頂きました。③「水防災意識社会再構築ビジョンについて」外国人の方もたくさんおられました。各イベントの参加者数を表-1 にまとめます。どのイ講師:藤兼雅和氏(中国地整岡山河川事務所長)ベントにも多くの方にご参加頂き,盛況でした。限られ内容:自らリスクを察知し,主体的に避難できる住民目た時間でしたが,市民のみなさまの防災意識の向上に少線のソフト対策の話など,水防災意識社会の再構しでも繋がったのでは,と考えております。築についてご講演頂きました。④「災害から身を守るための日頃からの備えについて」表-1HP2講師:大熊光世氏(岡山県危機管理課副参事)各イベントの参加者数と状況写真イベント参加者備考内容:風水害による住家被害が全国で 6 番目という岡山地震体験車200 名口絵写真-11県の実態と災害から身を守るためには何をしたら土石流体験装置211 名口絵写真-12よいかについてご講演頂きました。地盤工学に関する実験200 名口絵写真-13パネル展示56 名口絵写真-14クイズ99 名図-1⑤「岡山市の取組みと自主防災組織の現状について」講師:難波雅彦氏(岡山市危機管理室課長補佐)内容:岡山市の自然災害のリスクの高さの解説と避難情報の発信に関わる岡山市の取り組みをご講演頂き地盤工学会誌,64―11/12(706/707)ました。本大会は,台風と秋雨前線の影響で終日雨が予想され⑥「危機管理担当者が感じている課題など」ていましたが,交流会当日は「晴れの国 おかやま」の講師:江口健太氏(瀬戸内市危機管理課主任)底力で晴れ間の覗く天気となりました。交流会は,事前内容:瀬戸内市の自主防災組織が防災リーダー育成事業申し込み者 160 名,技術展示出展者 67 名,招待者 8 名,などの取り組みによって,実際に動く自主防災組当日申込み者 245 名の合計 480 名(うち,学生 31 名)の織に変わったことについて,ご講演頂きました。参加を頂き,盛大に開催することができました。3.3.2 討論会討論会では,以下の方々をパネリスト,コーディネー4.2 次第交流会は,岡山大学で開催された特別講演会の終了にターとし,「よりスムーズな避難行動をとるために必要な合わせ 18 時 30 分開場を予定していましたが,皆様の熱こと」についてご議論頂きました。気のため,時間を早め 18 時 10 分に開場しました。参加<パネリスト>者はウエルカムドリンクを手に会場へ入り,来賓入場の森脇武夫氏(呉工業高等専門学校教授)後,18 時 40 分に司会より交流会の開会が告げられ会が新井恭子氏(NPO 防災のことば研究会代表理事長)スタートしました。藤兼雅和氏(中国地整岡山河川事務所長)開会にあたり,丸山実行委員長(国土交通省中国地方大熊光世氏(岡山県危機管理課副参事)整備局長)(口絵写真-15),村上会長よりあいさつを頂守屋博史氏(岡山県土木部防災砂防課主幹)きました。難波雅彦氏(岡山市危機管理室課長補佐)来賓として,岡山県副知事の足羽憲治様,岡山市長の江口健太氏(瀬戸内市危機管理課主任)大森雅夫様,発表会会場をご提供下さいました岡山大学西村 輝氏(岡山市民)副学長の阿部宏史様,そして,特別講演の講師を務めて<コーディネータ>山下祐一氏(日本技術士会中国本部幹事)頂きました,東京大学名誉教授の石原研而様,京都大学名誉教授の足立紀尚様,岡山大学名誉教授の河野伊一郎様,岡山大学名誉教授の藤井弘章様,岡山大学文学部教討論会では,災害から自分の命を守るためには,以下授の新納泉様をお招きし,代表して,足羽憲治様,大森のことが重要であることが強調されていました.雅夫様,阿部宏史様に祝辞を頂きました。・日頃から身の回りの危険を把握しておくこと来賓のご紹介の後(口絵写真-16),19 時 10 分に山下調査・研究部長の乾杯の発声で祝宴の開始となり(口絵写真-17),司会者より,岡山の地酒,ご当地料理などが・避難計画を立てておくこと・防災情報に敏感になっておき,避難のタイミングを逸しないこと・避難情報の発信側は,住民に伝わりやすい情報を発信すること最後に,上記のことを実現するためには,住民一人ひとりの防災意識を向上させる必要があり,幼少期からの防災教育が重要であることが,まとめとして述べられました。き び つ ひ こ の みこと紹介されました。歓談も進んだ 19 時 50 分,「吉備津彦 命うら=桃太郎」と「温羅=鬼神」の戦いを描いた伝説から生まれた「うらじゃ」の演舞が,岡山大学とノートルダム清心女子大学の学生で構成された「岡山うらじゃ連 笑輝」の 25 名により,元気に披露されました(口絵写真-18)。交流会終盤には,次期開催地中部支部の皆様に登壇して頂き,代表して杉井支部長より第 52 回地盤工学研究発3.4 おわりに講演会・討論会への参加者にアンケートを配布し,参表会の PR を兼ねたあいさつを頂き(口絵写真-19),20時 30 分に西山実行副委員長の一本締めでお開きとなり加者 120 名の内,76 名にアンケートに答えて頂きました。ました。アンケートでは,10 名の方が,避難情報が段階的に発信4.3 おわりにされることを初めて知り,18 名の方が自主防災組織の積最後になりましたが,第 51 回地盤工学研究発表会(岡極的活動を行う気になり,11 名の方がハザードマップを山大会)の交流会にご参加頂きました皆様,ホテルグラ確認する気になったとの回答が寄せられました。今後もンヴィア岡山の皆様並びに交流会スタッフをはじめ関係このような市民のための活動を続けていく必要があると者の皆様に,この場をお借りいたしまして厚くお礼申し改めて思い,このような活動がより多くの人命を救うこ上げます。とに繋がるということを再認識した行事となりました。末筆ながら,市民向け行事にご参加くださいました皆様,また行事の運営にご協力頂いたみなさまに,この場を借りてお礼申し上げます。4.交流会4.1 はじめに5.見学会5.1 はじめに岡山大会の見学会は,大会 2 日目(9 月 14 日)の午後に半日コース,大会 4 日目(9 月 16 日)に一日コースの2 コースを実施しました。週初めの天気予報では,見学会開催日は曇時々雨という予報でしたが,両日とも雨は降らず,特に一日コースNovember/December, 2016HP3のクルーザー乗船時には青空が広がるなど,天候には非いて詳しく教えて頂くことができて本当に良かったと思常に恵まれました。また韓国から 2 名の方が,半日コーいます。」スと一日コースの両方に参加され,国際色も漂わせた見学会となりました。5.2 半日コース(岡山城下見学コース,参加者 22 名)半日コースは,岡山城下の名所・旧跡を巡って,岡山末筆ながら,造山古墳を現地で詳しく解説してくださいました岡山大学の新納先生,高松城址で水攻めに関して,土木工学的な見地を含めて解説してくださいました施設のボランティアの方に厚く御礼申し上げます。の歴史と水害対策に対する取り組みをご覧頂くコースでまた,百間川に関する資料や模型,VTR をご提供くだした。岡山城付近は,古来旭川の氾濫に悩まれており,さいました国土交通省中国地方整備局岡山河川国道事務江戸時代に旭川放水路としての百間川が構築されました。所,「鎌倉時代の宗教家」の資料をご提供くださいました現在,その分流部分の改築事業(嵩上げ工事)が行われ岡山県教育委員会,倉敷市を紹介するパンフレット「倉つつあり,見学会では国土交通省岡山河川事務所からお敷」をご提供くださいました倉敷市観光課の皆様に,誌借りした VTR と配付資料(口絵写真-20)で学習しつつ上をお借りして厚く御礼申し上げます。分流堤付近を車窓から眺めました。このほか,岡山の地下水に関連して赤磐酒造(口絵写(原稿受理2016.10.4)真-21,22)を見学し,岡山城では天守閣(口絵写真-23)の見学と併せて,天守閣内にある備前焼工房で土ひねりを体験(口絵写真-24)し,焼き物と粘土のコンシステンシー的な感触を肌で感じて頂きました。最後に,日本三大庭園の一つの後楽園(口絵写真-25)を見学して頂きました。5.3 一日コース(吉備路の歴史と瀬戸大橋船上見学コース,参加者 25 名)一日コースは,岡山市北西部の総社市周辺から瀬戸大橋及び倉敷の美観地区を巡るコースでした。岡山市北西部から総社市周辺は吉備路と呼ばれ,古墳を始め数多くの史跡が存在しています。午前中は前方後円墳としては三大天皇陵に次ぐ日本第 4 位の大きさを誇る「造山古墳」に登りました。現地では岡山大学の新納先生に詳しく解説して頂き(口絵写真-26),阿蘇の溶結凝灰岩で作られた石棺(口絵写真-27)なども観察しました。次に,水攻めで有名な高松城址で沖積低地の地形的特性を利用した水攻めの築堤状況を学び(口絵写真-28,29),現在も残る堤体の残存地形を確認しました。昼食は児島港のレストラン「ふゅーちゃー」で名物「下津井たこ飯」(口絵写真-30)を召し上がって頂いた後,児島港(口絵写真-31)からのクルーザーで瀬戸大橋を海上から眺めました(口絵写真-32,33)。最後に,倉敷美観地区の古式ゆかしい町並み(口絵写真-34)を散策して岡山に戻りました。5.4 おわりにご参加頂いた皆様に頂いた感想の中から一部をご紹介させて頂きます。「見学会はいつも楽しみにしています。古墳は初めてでしたので,大変感激しました。高松城址の説明をして頂いた方は大変面白かったです。瀬戸大橋をクルーザーで下から見ることが出来て感激でした。倉敷は初めてでしたので,その町並みの美しさにも感動しました。」「楽しく有意義な時間を過ごさせて頂きました。岡山城では備前焼の土ひねりに挑戦できましたし,吉備路に行ったのは初めてで,瀬戸大橋を船上から眺めたのも初めてです。吉備地方の伝説,造山古墳や水攻め堤防等につHP4地盤工学会誌,64―11/12(706/707) | ||||
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タイトル | 我国における土質力学誕生の頃と地盤工学会の発展(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 石原 研而 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP5〜HP5 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070016 |
内容 | 表示 我国における土質力学誕生の頃と地盤工学会の発展石原 研而 (いしはら けんじ)中央大学研究開発機構教授,東京大学 名誉教授1.講演内容の概要最後に私見として,次のことを述べた。戦前(1940 年以前)の土質力学は当時の自然災害の調土質力学で取扱う土は粘土と砂質土であるが,前者は査や鉄道建設に伴う研究が主なものであった。戦争によ圧密沈下やすべりに関係してヨーロッパや米国で研究・り焦土と化した国土には土とガレキしか残されておらず,調査がなされた。これらは静的載荷環境を対象としておゼロからスタートした復興と発展のために果たした土質り,動的挙動は研究の対象とはならなかった。それに対工学の役割は計り知れないものであった。そのためには,して,砂質土は静的より動的荷重のもとでの課題がより学術の発達のみでは不充分で,各種事業機関や学術機関重要視され,その研究は地震時の液状化を中心として,の間の情報交換や協力が必要であった。この重大な役割我国で大きく発展してきたと云える。そこで砂質土の変を果たしたのが土質工学会(現地盤工学会)である。こ形特性を支配する根本原理は何であろうか,について考の学会の形成と発展の中でも,決定的に重要であったのえてみた。たどりついたのは,摩擦則とダイレイタンシは,土質工学用語の整備と土質分類法,調査法,試験法ー則の 2 つに帰すると思われる。これについて,他の建等の情報交換のためのインフラ整備であったと云えよう。設材料の挙動と対比して,砂質土の特性について述べた。これら学会の設立とその成長期(1949~1990 年)における主な事業とそれに献身的な貢献をされた諸先輩の素顔2.講師プロフィールと活動について紹介した。学会の存在を広めた大きな企画として,英文雑誌“Soils岡山県香登町出身。島根県立大田高校を経て,1957 年and Foundations”の刊行(1960 年)が挙げられる。当時東京大学工学部土木工学科を卒業。更に大学院修士課程は野心的でありすぎたのか,論文の投稿数が少なかったを経て,東京大学助手,助教授,教授を歴任。1995 年定とか,英文の修正に苦労したとか,さまざまな難題があ年退官後は 2001 年まで東京理科大学教授,2002 年よりった。この解決に尽力された先輩方の御努力について述中央大学特任教授を経て,その後,現在まで同大学研究べた。開発機構に所属。次に,学会を飛躍的に活性化した事業として,1977 年大学卒業時より土の動力学,特に砂の液状化の実験やに東京で開催された第 9 回国際土質基礎工学会議が挙げ原位置調査に従事。1996~1998 年社団法人土質工学会会られる。この時福岡正巳先生が学会長に選出され,それ長,1997~2001 年国際地盤工学会会長を歴任した。著書以来ほとんど絶えることなく,日本から執行部にメンバには,土質力学(丸善),土質動力学の基礎(鹿島出版会),ーを送り,国際学会の中で指導的役割を果たしてきていSoil Behaviour in Earthquake Geotechnics(オックスフォーることも紹介した。ド出版)等がある。(原稿受理November/December, 20162016.10.5)HP5 | ||||
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タイトル | 関西における地盤工学の歩み(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 足立 紀尚 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP6〜HP7 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070017 |
内容 | 表示 関西における地盤工学の歩みHistory of Geotechnical Engineering in Kansai Region足立紀尚(あだち一般財団法人地域地盤環境研究所1.は じ め に:地盤沈下と創生・保生・再生関西の地盤工学は,昭和 10 年頃から始まった地盤沈下問題の解明に端をはっしている。地下水汲み上げによるとしひさ )代表理事,京都大学名誉教授実行委員長は足立が務めたが,実質的には嘉門雅史教授に仕切ってもらった。(3)大阪会議に継続して関空シンポジュウムが柴田徹先生を委員長に関西国際空港の主催で開催された。大阪での地盤沈下は,新淀川の下流に位置する酉島で(4)関西における地盤工学の学術・技術の進展は以下に2.3m にも達し,工場敷地が水没する事態も生じたようで見られる。①土質試験・地盤調査法,②遠心力模型実験,ある。一方,大阪の経済的地盤沈下は,江戸時代から始③地盤材料の力学特性の解明と構成式,④境界値問題とまり,厳しい現状にある。このような状況にあっても我々数値解析手法,⑤土・水・気連成問題,⑥液状化の解析技術者は,社会基盤の創生(生む)・保生(生かし続ける)・と対策,⑦地盤防災・地盤環境問題,⑧地盤改良と地盤再生(蘇らせる)に努めなければならない。補強,⑨地下構造物構築技術,等々である。2.地盤工学会と関西支部谷藤正三氏は,戦前には土質力学が全くなかったと言ってよい,と述べている。(5)全応力 vs 有効応力論争があった。これに関しては,柴田 徹先生による“関西の土質よもやま話「賢島の決闘」”を引用しよう。“昭和 30 年代に入り「全応力 vs 有効応力」議論の口火が切られた。三笠・赤井論争である。果土質工学会関西支部の発足は,他支部に比べ遅く昭和たして軍配はいずれにかと,見守る野次馬も少なくなか33 年であった。その理由を渋谷平八郎氏は,関西は本部ったが,両者の対決は学会の場を離れてゴルフ場まで持の主要メンバーとの意識が強く,関西支部の名のもとにち込まれた。宮本武蔵と佐々木小次郎が巌流島で決闘し本部の支配下に入るのを,いさぎよしとしない空気が強た故事にならい,場所は三重県の賢島が選ばれた。写真かったからであったと記している。-1 は,戦い済んで日が暮れる前の儀式のひとこまである。ここで,関西における地盤工学の先駆者,村山朔郎先右側に立つ赤井教授と中央に横たわる三笠教授のいずれ生を紹介する。先生は,昭和 10 年京都帝国大学土木工学に軍配が挙がったのか?三笠教授の様は「切られて死体科を卒業,直ちに鉄道省に入省した。その 1 年後には,引取り人達に抱かれている」とも見えるし,「勝利の胴上関門トンネル建設を開始した下関改良事務所に配属され,げ」にも見える。一枚のスナップから,まるで反対の解昭和 12 年初めにはシールド機の設計主任となり,シール釈ができるところが面白い。”ド工事を我が国で初めて成功させた。昭和 20 年京都大学柴田先生に戻り,昭和 50 年に定年退官したが,主な業績を以下に赤井先生示す。①トンネルの換気問題の解明,②機械化シールド工法の開発,③電気化学的固結法の適用,④サンドコンパクションパイル工法の発明,⑤凍結工法の普及,⑥山岳トンネルに鋼管支保工を適用,⑦山岳トンネルに凍結三笠先生ルーフ工法を適用,⑧粘性土のレオロジカルモデルの提案,⑨砂の粒状体モデルの提案,⑩ボロブドール遺跡の修復支援,等々である。3.関西での国際会議と学術の進展写真-1賢島の決闘(全応力 vs 有効応力場外対決)(1)第 8 回国際地盤工学アジア会議を,昭和 62 年 7 月京都で開催し,全てを 1 会場で行った。なお,実行委員もっともこの問題は,カッカと議論するようなものでは会委員長は赤井浩一教授が,事務局長は足立が務めた。ない。土の運動を記述する場の方程式は全応力で,土(固・(2)第 16 回国際地盤工学会議は,平成 17 年 9 月大阪で水・気三相混合体)の力学挙動を統一的に記述するのに“地球環境と調和した地盤工学”をテーマに開催された。有効である応力が有効応力とするからである。この会議では論文提出者全員に口頭発表の機会を与えた。HP6地盤工学会誌,64―11/12(706/707)4.インフラの創生・保生・再生4.1 温故知新;古代のインフラと教訓(1)「日本書紀」仁徳天皇 11 年 10 月に,「天皇は洪水まんだのつつみや高潮を防ぐため,淀川に茨田堤を築いた」とある。爾来,淀川の治水事業,すなわち保生(生かし続ける)は千数百年に亘って続けられている。現在,大河川の堤防を強化するスーパー堤防構想がある。当初,荒川・淀川など 6 河川 873km を対象とし,400 年の工期を見込んだ。ところが民主党政権の事業仕分けで膨大な費用と長い工期で無駄とされ,廃止となった。その後,国土交通省は首都圏・近畿圏の 5 河川,120km に絞って実施している。防災事業は歴史に学び 1 000 年の計で行えばよい。400年,微々たる時間だ。スーパー堤防を築くべきである。(2)「日本書紀」第 10 代崇人天皇 62 年の条に,「農は天下の大本なり」狭山池を造るとある。その後の調査で616 年(推古天皇)頃建設されたことが判明した。以降,天平,鎌倉,慶長,江戸,明治,大正,昭和の改修を経て平成の大改修が行われた。1 400 年に亘る,保生・再生によって機能が改良されていることを認識すべきである。(3)古代道路は,7 世紀初頭から中央政府が整備・建設した全長 6 500km の道路網で,地方では 6~12m,都の周辺では 24~42m の広い幅員をもち,数十 km に亘って直線的に造られた驚異の道路である。しかし,8 世紀末~9世紀初頭,地方分権(荘園の増加)により衰退を始め,10 世紀末~11 世紀初頭に廃絶した。学ぶべき教訓である。4.2 大阪湾の臨海開発と関西国際空港大阪湾の臨海開発は,江戸時代から始まった。(1)お化け丁場と神主との話がある。投石による防波堤が海面に顔を出し,明日検査を受けることになった。ところが明朝,防波堤は影も形もなかった。神主をよびお外にない」と酷評している。名神は昭和 33 年に着工し,昭和 38 年に部分開通した。(2)名神天王山トンネル区間の 8 車線化に関与した際,トンネル断面を当時の基準断面より拡幅するよう提言した。その結果かどうか不明だが,拡幅改築され平成 6 年に完成した。優れた再生の例である。(3)明石海峡大橋は、全長 3 911m,中央支間 1 990m の世界最長の吊橋で,本州方アンカレッジ 1A と主塔基礎2P の基礎岩盤は第三紀堆積の明石層,淡路方の主塔基礎3P の基礎岩盤は第三紀堆積の神戸層であり,軟岩研究の端緒となった。なお,兵庫県南部地震の際の断層変位で中央支間は 1m 伸び,1 991m となった。4.4 都市トンネルと技術関西発の都市トンネル技術は多い。①我が国最初の複線断面シールド,②同時裏込め注入の開発,③3 連マルチフェイスシールドによる地下駅の構築,④京都東西線渡り線部の矩形シールドによる建設,⑤上町断層変位を考慮した中之島新線シールドトンネルの建設,等である。5.地盤と災害5.1 阪神淡路大震災平成 7 年 1 月 17 日の震災に対し,吉見会長の指示により,阪神淡路大震災調査委員会を発足させ,翌平成 8 年3 月 19 日調査報告書を刊行した。5.2 道路と斜面崩壊奈良県を南北に縦断する国道 168 号線においては,斜面崩壊による通行止めが毎年のように発生する。この解決策としてトンネルと橋梁からなる幹線の建設を提示し,関係機関はその実現に努めている。6.関西地盤情報データ・ベースの構築と活用祓いの後,神のお告げを聞いた。「あきらめず続けること」。お告げどおり続けたら完成した。この事象をお化け丁場と言い,続けた工法を「強制置換工法」と呼ぶ。(2)大正 10 年(1921 年)大阪港 2 号係船岸の建設に際し,スエーデンのイエテボリ港で 1916 年に発生した円弧すべり破壊の安定解析を参考に安定解析を実施している。(3)六甲山地の土砂を埋め立てて建設した人工島であるポートアイランドは,昭和 41 年に着工し,昭和 56 年に竣工した。洪積層の沈下が話題となった例である。(4)関西国際空港は、第 I 期島は昭和 62 年に着工,平成6 年に開港した。沈下量は沖積層が 6m,洪積層が 6m で関西地盤情報データ・ベース(KG-NET)は,臨海埋立事業,地下鉄,共同溝,道路,鉄道などの社会資本整備に際し実施された 60 000 本以上のボーリング調査資料を収集して構築され,その活用とそれに基づく研究を進めている。なお,KG-NET は,昭和 59 年に発足した「大阪湾海底の地盤研究委員会(赤井委員長)」により海域から始まり,陸域は平成元年に設置された「関西の大深度地盤の地質構造とその特性の研究委員会(足立紀尚委員長)」により開始され,その後統合され現在に至っている。7.おわりに:夢合計 12m であった。米国土木学会(ASCE)は Monumentof the Millennium を 10 部門選定したが,「空港部門」に関西のインフラの夢を記してまとめとする。「土地造成,アクセスシステム,自然環境保全への幾多(1)大阪湾海底トンネルによる空港群(伊丹・関空・神の挑戦」を理由に「関西国際空港」を選定した。第 II 期戸)によるハブ空港への統合(原案は,貝原兵庫県知事)島は,平成 19 年に開港したが,総沈下量は 18m を予測している。(2)淡路島東北部における新大阪湾港(水深 30m,延長10km の桟橋形式の港)4.3 道路:名神高速道路と明石海峡大橋(3)リニア中央新幹線の大阪への延伸(1)名神の建設に際し提出されたワトキンス調査報告(昭(4)夢のまた夢:オリエンタル・リニア・エクスプレス和 31 年)は,「日本の道路は信じ難いほど悪い。工業国にしてこれほど完全に道路網を無視してきた国は日本以November/December, 2016(東京発ロンドン行き)(原稿受理2016.9.29)HP7 | ||||
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タイトル | 岡山地方における地盤工学の進展(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 河野 伊一郎 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP8〜HP8 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070018 |
内容 | 表示 岡山地方における地盤工学の進展Progress of Geotechnical Engineering in Okayama河野伊一倉敷芸術科学大学1.岡山地方の自然環境の特徴郎(こうのいいちろう)学長ほぼ同時期に,岡山地方に高速連絡網の建設が計画された。この事業は,膨大な工事を短期間で完了する計画で岡山地方では,中国山系を源とする 3 大河川(高梁川,あり,それらのほとんどが超軟弱地盤上の工事であるた旭川,吉井川)が豊かな水量を保持しながら,本土を横め,地盤工学的にも大いなる関心を集めた。全国から多断的に流下し,瀬戸内海に注いでいる。この 3 大河川がくの研究者,技術者が岡山地方に来られることになり,河口部に広大な沖積平野(超軟弱粘土地盤)を形成して大変忙しい期間となった。いる。この 3 大河川と軟弱な沖積平野が,岡山地方の人々軟弱地盤上の盛土工事対策としてめずらしい2,3のの生活と密接に関連し,地盤工学に関してもその調査研話題を紹介すると,福岡正巳氏(当時は建設省土木研究究,実践工事を特徴づけている。所長)は,盛土の中に(鉄筋コンクリートならず)細長2. 3 大河川の利用と 3 干拓(埋立)事業戦後に,岡山地方の沖積平野で3つの干拓埋立て工事い鉄板を入れて盛土の引っ張り強度を増強しようという提案をされ,早島インターチェンジ工事で実践した。また三木五三郎氏(当時は東京大学教授)は,盛土の中にが行われ,地盤工学的にも多くの関心を集めた。発泡スチロールブロックを埋め込んで,堤防重量の軽量・高梁川河口部化を図ることを一部実践された。高梁川は古くから海運で栄え,その下流部には文化のまた私共,岡山グループは,鉄鉱石から鉄を生産する香り高い倉敷市を形成した。戦後(昭和 20~30 年代)そときの副産物として「水砕スラグ」という軽量人工砂(比の下流部に工業地帯の造成を目的とした 30km2 に及ぶ大重が約1)を開発し,これを盛土材料として利用した,埋立て工事が行われた。軟弱地盤を対象として,いろいなどなどである。その他,トンネル工事等では力学的問ろな対策・改良工事が必要であり,地盤工学的にも注目題に限らず,湧水や残土中の水質土貭対策など環境問題すべき調査研究,さらにそれらの実践が行われた。も対応が求められた。・旭川河口部旭川はその下流部に 80 万都市岡山市が存在し,ここには日本 3 大庭園の一つ「後楽園」が旭川と調和しながらその中洲に造られている。旭川の河口部では古くから干拓工事が行われてきたが,多くの技術者,関係者の努力によって大きな事故もなく予定どおり,短期間で高速道路網が完成した。4. 岡山空港(山岳空港)の建設本四架橋の工事と時期を同じくして,岡山空港の建設特に,昭和 20~30 年代に当時の食糧難に対応して,農地が行われた。その特徴は,我が国における初めての本格造成を主目的とした児島干拓工事が実施された。瀬戸内的な山岳空港の建設であり,山を切ってその岩石,土砂海児島湾を約 1 600m の堤防で締切り,人工内湖(児島を谷部に埋め立て,2 500m の滑走路並びにその空港施設湖)を造り,その周辺に広大な農地を干拓造成した。を造るものである。その谷部の埋立て深さは最大 70m に・吉井川河口部及ぶことになった。その多くの問題,課題がある中で最吉井川の下流は,例年 1 月の会陽裸祭りで有名な西大も厳しく重要なものは,「滑走路の沈下は絶対あってはな寺,牛窓などが存在している。昭和 30 年代に入ってこのらない」ということである。そのために,締固め問題と吉井川河口の錦海湾で,塩田開発のための干拓工事が行地下水・排水対策が最重要課題であると考えられた。われ,軟弱地盤上に 1 800 m の長き締切り堤が造られた。多くの関係者の努力によって,無事に工事が 1988 年この築堤が完了して直後,築堤が 400 m にわたって軟完了した。その後 30 年全く問題なく供用されている。弱地盤に埋没するという事故が発生した。当時,運輸省この工事のノウハウを生かしながら,引続いて新広島空港湾研究所の石井靖丸氏が中心となってその調査復旧等港の建設になった。ここでは谷部埋立て深さが 100m ににあたった。およんだが,1992 年に無事完成した。3. 高速道路等の建設本四連絡橋(岡山―坂出ルート)の建設工事が,1977年~1988 年の 10 年をかけて行われた。それに関連してHP8以上,詳しくは,「中国地方の土質工学-現地事例に学ぶ-」(土と基礎 Vol.38, No.3,1990) を参考にしていただければ幸いです。(原稿受理2016.9.21)地盤工学会誌,64―11/12(706/707) | ||||
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タイトル | 岡山平野の干拓−二,三のトピックス(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 藤井 弘章 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP9〜HP10 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070019 |
内容 | 表示 岡山平野の干拓—二, 三のトピックスSeveral Topics on Reclamation of Okayama Plain藤井弘章(ふじい岡山県土地改良事業団体連合会ひろあき )技術顧問, 岡山大学 名誉教授測(城を中心に 2.8km×2.1km の 515 測点)し,三次元メッ1. は じ め にシュ図(垂直/水平=1:1〜120:1)から,水面標高を 5.5m と万葉集に歌われた, 「真金吹く吉備」の国は, 現在の岡山県がその大半を占める。日本書紀によると, そこには,ヤマトタケルノミコト仮定し, 最大水深 1.1m,堤長 1 300m と想定している。e)発掘調査(下記)によると,城地の標高は 5.0m, 築日 本 武 尊 が 渡っ たとい う「 (吉 備の) 穴海 」があ り,キビノコシマ「吉備子州(児島)」があった。吉備子州は, 陽・陰の神,堤残存部(蛙ヶ鼻)直近の基底部の標高は 3.5m である 7)。伊耶那岐・伊耶那美 命 の「国生み」で, 最初の大日本豊ア キツ シ マオオヤシマノ秋津州(本州)から八番目に産まれ, これをもって「大八州クニ国」が完成したとしている。古事記にも同様の記述があ高(1〜1.5m)を仮定すれば, 堤頂標高 6.5〜7.5m, 盛土高イザナ ギイザナ ミノミコトオ オ ヤ マ ト トヨ堤の最小限必要の機能として,湛水深(0.5〜1.0m), 余裕は 3〜4m となる。堤長については, 江戸時代の地理学者古川古松軒(1726-1807, 岡山県総社市出身)の絵図8)9)に,る。つまり, 記・紀の時代(712・720 年成立)には, 現在の街道まで「新堤ヲ築ク」としている。街道は松山往来児島半島は島であった。吉備の児島は, 万葉(771-790)・山–備中松山現高梁市)にあたる。当時のままとすれば,古今集(905)等各歌集にも数々歌われている。また, 岡山街道合流地点は,蛙ヶ鼻からの距離約 450m,標高約 6m平野には, 津島・早島・福島等, 島のつく地名が多い。これが, 現在のように陸続きになったのは, 中国山地であるに端を発し, 岡山平野へ流れ下る 3 大河川(高梁・旭・吉は 0 となる。街道までのみの築堤という可能性は残る。井川)による土砂の堆積作用もあるが, 先人の努力によ2.2 岡山市教委の発掘調査結果と地盤工学的な解釈るところが大きい。すなわち, 人力による干拓で海を陸(岡9),10)。0.5〜1m の追加盛土を要する。街道は登り勾配であるので,距離約 200m 又は 1 250m で必要盛土高岡山市埋蔵文化財センターは,築堤跡の発掘調査を行7)地化し, 耕地を造成し, 新田を開発してきたことに因る。っている岡山平野における耕地面積は約 25 000ha とされるが, そ本の試掘トレンチ (堤体残存部から堤軸方向 2.5m の位の内, 実に約 20 000ha が干拓によって造成された。置より約 10m 間隔で 2m 幅;T1・T2・T3)の基底幅の平2. 近世干拓のはじまりと備中高松城の水攻め。結果を地盤工学的な視点から検討する。3均値は 26.5m で, 伝承値(21.6m)と大きくはかけ離れてはいない。ただ伝承断面の斜面勾配は 1:0.75 となり急すぎ干拓は浅い海(大半が干潟)を堤防で締め切り,堤内をる。現存する近傍の(同時期と考えられる)土塁 7), 及び後排水して干陸する。岡山平野における本格的な干拓は,年(1590)秀吉が築造させた京都の「御土居」 11)の勾配が岡山藩主宇喜多秀家が, 岡豊前守利勝, 千原九右衛門勝1:1.5 であることから斜面勾配は 1.5 割以上あったと考え則に築造させた「宇喜多堤」(1584-1585 年)に始まる。彼られる。3 本のトレンチには大小の俵様(土嚢)跡が見られらは, 羽柴(後に豊臣)秀吉の備中高松城水攻め(1582 年)る。①その数(T1・T2・T3:約 240・150・50 個)は, 取付の際, 宇喜多勢約 8 000 人の工事責任者として築堤に従け部から離れる程少なくなる。② 各トレンチ基底部の 5事し,献策者の黒田官兵衛の直接指揮を受けたという 1)。点の標高の平均値は, T1・T2・T3(EL3.43・3.54・3.71m)当時,最先端の「軍事のための技術」(Military Engineering)と離れる程僅かに高くなる。③ 堤軸方向の平均勾配はを 習 得 し , 年 余 に し て 「 人 民 の た め の 技 術 」 (Civil12/1 000 で微高地(足守川 EL 8.5m 迄 2/1 000〜3/1 000 のEngineering:土木工学)として転・活用したと言える。勾配で漸増)に続く 5)(d の図と一致)。④ T1 の基底部は2.1 水攻め堤の構造-伝承・諸説粘質土で自然堆積土とし湿地であったと推定している 7)。秀吉は,高さ 4 間(7.2m)底幅 12 間(21.6m),堤頂幅 6 間⑤ T2,T3 にはその記述はない。⑥ T1 付近では水が滞(10.8m) ,堤長 26 町(2.8km)の堤を 12 日で築かせたとい留するかごく緩やかに流れ,泥土が沈殿したと考えられう 。築堤量は 30 万 m 以上となる。これは,中・小規る。「水通し」3) 6)と呼ばれた伝承と矛盾しない。⑦ T1模のフィルダムに匹敵する土量であり, ありえない。こには上部先端が尖った杭列がある。土嚢が流れないよう1)3れについて,a)籠瀬 は城地・田面標高から堤高を 1.5m+α,に突刺した可能性がある。 ⑧ ⑦から 50cm 前面にも杭堤長を 300m+α, b)市川 4)は水攻め堤の推定貯水量から床列があり,それを横切る様に棒材が散乱している。⑦も同3)上浸水だけなら堤高 4m とし,c)植松 は自然堤防(微高様であり杭列間の盛土の土留めに用いられたと推定され地)の利用で築堤長を 300m としている。工学的には, d)る。⑨ ⑦,⑧のことは,土嚢が流される様な流速が生じ5)6)高松農高グループ(大山桂吾教諭指導) が, 地盤高の実November/December, 2016ていることになり⑥とは矛盾する。⑩ T2 には杭材の設HP9置は見られない。⑪ ⑩は T1 を中心とする部分のみ,急大臣の裁定で, 起工が許可された。同年藤田組は訂正の流が生じたこと意味する。⑫ ⑪は干拓における潮止めと設計書(顧問技術者笠井愛次郎)を提出し, 明治 33 年に第同様, 築堤の最後の未盛土区間で, 水流が集中した可能性が高い。⑬ T1 と T2・T3 との俵跡数の差は,⑪への1 区, 第 2 区の起工式が行われたのである。明治 35 年, 起工 3 周年の祝賀会に招待された生本は,対策と共に,④,⑤の軟弱層の多寡の差も考えられる。⑭自分の苦労には触れず, 藤田伝三郎について「18 年の長トレンチ上層には俵跡は殆どなく,土嚢跡より上層の土年月間猛烈な反対に耐え,また一面は起業の計に怠らずは層状で, 土嚢の土はバイラン土(花崗岩風化土)として種々の障害を排して今日あるに至った次第でその長年月。⑮ 残存堤体の土は, シルト質砂(SM, アメリカ間の苦心というものは察するに余ある」と述べている。統一分類)あるいは細粒分質砂(SF, 学会基準)と判定され,第二次大戦後, 児島湾干拓事業は, 農林省に引き継が盛土に適している(突固めで強度・遮水性増)。 ⑯ ⑭,⑮れ, 昭和 38(1963)年完成した。生本伝九郎の建議より 62から盛土は突固められた可能性が高い。つまり, 伝承に年,ムルドルの計画より 61 年を経て完成したことになる。いる7), 基礎の軟弱計画書で造成面積は, 8 区 5258 町歩(5214ha)であったが,部あるいは急流部の応急処理的な場所以外は, 古来(7 世第 8 区以外の 5 536 町歩(5 490ha)が造成された。ムルド紀築城と推定の岡山県総社市の「鬼の城」の土塁等)からルの計画が基本的に踏襲されたと言えよう。ムルドルは,の手法の突固めで施工した可能性が高い。児島湾干拓の着工(明治 32 年 5 月;1899 年)を見届けたか言う堤体全体を土嚢で積んだのではなく4)宇喜多堤でも同様の工法がとられたと推定される。岡のように, 1901(明治 34)年 5 月に永眠する。享年 53 歳。山平野の干拓は, 秀家が藩主時代(1600 年迄)に 880ha, 池彼は, 先の弁明書(明治 22 年 10 月)の最後に, 「余は,あ田家の江戸時代(約 270 年間)に約 12 000ha に達した12)。らかじめ確言す。もし,反対の嘆願を容れて余の計画工事を執行せざるにおいては,後世子孫に大なる禍害を遺3. 児島湾干拓−ムルドルと取り巻く人たち 13) 14)明治維新(1868)後, 岡山藩旧家老伊木忠澄は,旧家臣の生活の資を与える(士族授産)ために, 明治 12(1880)年,児島湾の開墾計画を岡山県に出願した。明治 13 年,県令タカサキ イ ツ ム(県知事)高崎五六は士族授産についての意見を広く求めた。これに応じて県勧業課員生本伝九郎は, 児島湾干拓についての具体的な建議をした。高崎県令はその内容を内務省に具申する。同省はオランダからのお雇い工師ムルドル(A.T.L.R.ムルデル)の意見を聴取した。ムルドルは,測量図等の提出を求め, その手法を直接指示した。翌明治 14 年, 内務省はムルドルを岡山県に派遣し, 実地調査をさせた。同年, ムルドルは「復命書」を提出する。これは, 実質的な計画書及び工事仕様書でもあり, 干拓工事を第 1 区から第 8 区に分割し, 2 期に分け施工するものである。しかし,伊木らに資金がなく, 生本は,資本家を捜伝するものなりと」(当時の和訳)と記している。現在,岡山平野は,耕地としてだけでなく, 都市基盤としても重要な役割を担っている。岡山平野は, 戦国時代から平成(笠岡湾干拓)までの 5 世紀間にまたがる, 先人の営々たる国土創成の歴史であり, 強固な意志と信念をもった人々の手による壮大な「国生み」と言えよう。謝辞岡山市埋蔵文化財センターの高橋伸二主査には, 貴重な資料をご提供頂き, かつご多忙中懇切な助言を賜った。心から謝意を表する。また, 岡山県立図書館の郷土資料の担当者各位の資料検索へのご助力に御礼申し上げる。参考文 献1)藤井弘章他:中国地方の干拓工事-特に岡山平野を中心に,pp.59-64,土質工学会誌, 38-3, 1990.し歩く。明治 15 年, 大阪の財閥藤田伝三郎に逢い, 児島2)三宅千秋:備中の新田開発,岡山県農業土木史, 1966.湾干拓の意義を語る。それに応じた藤田は明治 17 年に,鹿島岩蔵と共に保証人になり, 生本伝九郎が岡山県を退官して児島湾開墾を出願する。その後, 藤田独力の事業3) 籠 瀬 良 明 : 備 中 高 松 城 の 水 攻 め 堤 へ の 異 論 , 城 郭 史 研として明治 20 年改めて出願する。しかし, 度重なる水害5)植松岩実:大縮尺で岡山平野の微地形と歴史を読む, 操山論等の影響で解決は遅れる。明治 22 年 5 月,時の千坂高雅県知事が英断し,ムルドルの計画に基づいて実施すべし6)高松農業高校農業土木科:備中高松城水攻め-築堤工事の土木との「児島湾開墾命令書」を出す。これに, 治水上の問究,19,pp.46~56,1999.4)市川俊介: 高松城の水攻め, 日本文教出版社,1996.叢, 岡山県立操山高校, 31, pp.1~20,1996.工学的検討,創立 100 周年記念研究紀要,pp31~38, 1996.題等を挙げて県議らが猛反対し,山県有朋大臣に取消を要求した。ここで, 復命書から 9 年を経て, ムルドルは再7)岡山市教育委員会:備中高松城水攻め築堤跡-高松城水攻め築び意見を求められる。彼は, 同年 10 月に実に明快, 詳細8)古川古松軒:高松城の水攻めの地理乃図, (1726~1807).な工学的知見に基づいた「弁明書」を提出した。翌明治9)岡山県教育委員会:松山往来・新見往来, 1994.23 年の中止を求める行政裁判が始まるが, 翌 24 年裁判所は, その弁明書の明快さを認め, 取消請求は敗訴に終わった。しかし, さまざまな理由(25 年・26 年の大洪水,事業に消極的な後任知事等)から 6 回も着工は延期された。明治 30 年, 前長野県知事高崎親章知事(事業を推進10)岡山市:1/2500 岡山市域図, 2011.するためと言われる)が着任し, 明治 31 年板垣退助内務HP10堤公園建設に伴う確認調査報告書, 2008.11)南 孝雄:御土居の実像,京都市考古資料館文化講座 257, 2014.12)中四農政局:岡山平野における農業発展と土地改良, 1967.13)井上軽重:訂正増補児島湾開墾史, 1902.14)井上敬太:児島湾干拓沿革資料拾集録,同和鉱業,1967.(原稿受理2016.10.10)地盤工学会誌,64―11/12(706/707) | ||||
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タイトル | 前方後円墳の設計原理(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 新納 泉 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP11〜HP11 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070020 |
内容 | 表示 ヘッ前方後円墳の設計原理Construction Design of Keyhole-Shaped Burial Mounds新納泉(にいろ いずみ)岡山大学大学院社会文化科学研究科 教授1. は じ め に等高線図が,一気に 20cm 間隔となり,設計原理の詳細な検討が可能となった。前方後円墳は,古墳時代(3 世紀中頃~6 世紀末)に築なかでも誉田御廟山古墳(応神陵古墳)は墳丘の残存かれた,日本列島にほぼ固有の形をもつ古墳である。前状態が非常に良いものの中で最大となる,墳丘の長さ方後方墳も含めて,およそ 5 200 基が築かれており,最420mである。20cm 間隔の等高線図を駆使して墳丘の後大の大仙古墳(仁徳陵古墳)は墳丘の長さ 486m と推定円部の検討をしてみると,平面形では,半径は 1 段目斜されている。主として土を用いた建造物としては世界で面:1 段目平坦面:2 段目斜面:2 段目平坦面:3 段目斜も屈指のものとなろう。最近の研究で,前方後円墳は極面:墳頂平坦面の長さの比が,2:1:2:1:6:3 となり,1 段目めて周到な設計によってつくられていることが分かってと 2 段目の平坦面の長さが 6 歩(8.4m)となった。高さきたので,それを紹介したい。は下から 5 歩:5 歩:15 歩で計 25 歩(35m)となる。2. 岡山市造山古墳の測量調査一方で前方部は,前方部隅からの稜線が中軸線と交差する点(P 点)と前方部の前端(D 点)までの間の段築造山古墳は,墳丘の長さ約 350 m の,全国第 4 位の前を検討した。D-P の 1 段目斜面:1 段目平坦面:2 段目斜方後円墳である。陵墓に指定されていないので,自由に面:2 段目平坦面:3 段目斜面:前方部頂平坦面の比が墳丘に登ることができる。私たちは,2005 年から 3 年に2:1:2:1:4:2 の 12 単位。ひとつの単位の長さは 7.5 歩で,わたって造山古墳のデジタル測量に取り組み,トータル高さは下から 6 歩:6 歩:12 部となる。驚かされるのは,ステーションを用いておよそ 120 000 点の座標を計測し7.5 歩×12 単位が 90 歩で,後円部の半径と同じになるこた。とだ。また,前方部前面の 1 段目の高さは後円部より 1墳丘は 3 段に築かれているが,この詳細な計測の結果,段の高さは下から 1:1:3 の比でつくられており,基本と歩高く,2 段目は 2 歩高く,墳頂は後円部より前方部が 1歩低くなるという,絶妙の設計となることが分かった。なる高さは 6.25mであることが分かった。また,後円部ところで,いま述べた P 点と後円部中心点までの距離の平面形をみると,半径では 1 段目斜面:1 段目平坦面:は,造山古墳では半径の 1.5 倍であったが,誉田御廟山2 段目斜面:2 段目平坦面:3 段目斜面:墳頂平坦面の長古墳では 1.25 倍に縮小している。そのために,誉田御廟さの比が,2:1:2:1:6:4 となり,1 段目と 2 段目の平坦面の山古墳は少し寸詰まりな感じがする。いずれにしてもこ長さが 6.25 m となって,高さから得られた数値と一致すのようにして設計された結果,理論上の墳丘長は,90 歩ることが明らかになった。この 6.25 m という値は,中国×2+(90 歩×0.25)+90 歩で,計 292.5 歩となる。おそで漢代から用いられた 1 尺(0.231 m)を 6 倍した「歩」らく,古墳の規模を指示されたのは,300 歩だったのだという単位の 4.5 倍にあたる。勾配は,底辺 4.5 歩,高さろう。その差である 7.5 歩は,どうやら後円部後端を引2.25 歩の直角三角形で定めており,2:1 の比で,26°余き伸ばす形で解決されたようだ。90 歩×0.25=22.5 歩なりとなる。ので,そこを 30 歩にしておけば,非常に整った設計にな造山古墳の測量によって,後円部の墳丘は段築のテラスの幅を基本単位とし,傾斜を直角三角形の底辺と高さの比で決定していることが明らかになった。るのだが,そうはなっていない。土量の節約を図ったのか,それとも別の理由があったのだろうか。前方後円墳の斜面の傾斜は,斜面の崩落を避けることができる範囲で,可能な限り急となるよう設計されてい3. 陵墓古墳のレーザー計測2010 年になって,古墳の航空レーザー計測が実施される。斜面の高さが高くなるほど斜面を緩くしていることも,他の古墳も含めた検討から分かってきた。るようになった。大阪府と堺市・羽曳野市は,百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録を目指し,主要な古墳の航空レーザー計測を実施し,2013 年にその成果を等高線図の形で公表した(『歴史発掘おおさか 2012』大阪府立近つ飛鳥博物館)。それまで 1m間隔の等高線で描かれていたNovember/December, 2016参1)新納考文 献泉:誉田御廟山古墳の設計原理,日本考古学,Vol.39,pp.53~68,2015.(原稿受理2016.9.23)HP11 | ||||
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タイトル | 地盤工学会におけるダイバーシティの実現(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 田中 真弓 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP12〜HP13 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070021 |
内容 | 表示 地盤工学会におけるダイバーシティの実現Promotion of Gender Equality and Diversity Management in the Japanese Geotechnical Society田 中 真 弓(たなか まゆみ)男女共同参画・ダイバーシティに関する委員会 委員長,鹿島建設(株)課長代理保育園の送迎があるため時短勤1. は じ め に務を利用しており,勤務時間は出地盤工学研究発表会では,男女共同参画及びダイバー産前後で 4 時間少なくなったそシティに関する特別セッションを 2005 年以来継続してうである。1 日に対応できる仕事実施している。2010 年からは,“地域に根ざしたダイバ量が激減してしまい,最初のころーシティ”という副題のもと,研究発表会開催地で活躍は悩んでいたが,「誰かに相談すしていただいている方々を中心に話題提供していただいる」,「夫に子どもを預けて休日にている。12 回目となる本年は,中国地方で活躍されてい自分の時間を作る」,「2 才の娘さる女性・外国籍の方にも講演いただいた。本セッションんの笑顔」で悩み解決,ストレスは,地盤工学会員以外の方も無料で参加できる「一般公発散,癒し効果,で日々の活力を開」の行事として実施している。毎年,学会員以外の方養っているとのことであった。育にもご参加いただき,活発な意見交換を行う貴重な場と児関係に関する会社の取り組みとして,大成建設では,「育なっている。児サポートプログラム」や「父親セミナー」などが開催さ写真-1 小林真貴子氏れており,組織として働く女性を応援している様子が窺え2. セッションの概要た。最後に「千里の道も一歩から」という上司の方から送特別セッションは,大会初日の 2016 年 9 月 13 日午後られた言葉をご紹介いただいた。子育ては仕事より大事なに行われた。参加者総数は 35 名である。参加者に対してこと,仕事は限られた時間の中でしか今はできないが,息実施したアンケート調査によると,男女比は男性の方がの長いものと思って焦らず歩んでいきたいと力強く語っ多く 2:1 で,20 代から 60 代以上の幅広い年齢層の方にていただいた。ご参加いただいた。以下に各講演の内容と討議・意見交2.3 日本留学生活,当時の恐れと希望換の様子について記す。韓国出身の岡山大学,金 秉洙氏には,なぜ留学を日本2.1 ダイバーシティ推進のさきにあるものに決めたのか,その時に感じた「不安」などをお話しいたまず,男女共同参画・ダイバーシティに関する委員会委だいた。員長の田中真弓(鹿島建設(株))から,活動内容について金氏は,修士 1 年の時に初めて日本の大学を訪れ,日本報告をした。学会は人と人とを繋ぐ場の提供を行うのが重の大学の雰囲気や,色々な実験装置に非常に興味を持ち,要な役割の一つとし,性別や国籍,年齢にかかわらず多様ここで勉強したら立派な人間になりそうと強く思ったそな人々の交流の場として,研究発表会における「サロン・うである。その想いが日本の大学の担当教官にも通じ,留土・カフェ W」の開催,次世代育成のための女子中高生夏学を検討してみてはどうかと声をかけていただいた。しかの学校への参加,学会のホームページや Facebook を介しし,韓国のご両親に反対され,自分も言語・韓国の友人とた情報発信を紹介した。また,地盤工学会誌 2015 年 7 月の繋がりが薄れることなどに不安があり,かなり悩まれた号小特集「ダイバーシティ推進の先にあるもの」 で行っようである。だが,最終的には「10 年後の自分が今の自た技術者紹介は大変好評であったため,今後も Web にて分を見たときに後悔しない自信があるか?」を自分自身に技術者紹介を継続して行う予定である。問い,留学を決意された。日本の1)2.2 若手技術者 仕事と育児の両立奮闘記大学の博士課程に行ってからも不液状化対策や地盤改良に関する研究をしている大成建安だったが,地盤工学会の優秀論設(株)の小林真貴子氏には,妊娠,出産を機に業務内容の文発表者賞を得たことが自信にな変更や勤務時間の調整を行いながら,家庭と仕事の両立をり,今の自分の道ができたそうでされている様子をご紹介いただいた。妊娠前は外勤が多かある。った小林氏だが,妊娠が分かってからは内勤で得意でない金氏のご発表の中で,海外への解析業務を担当することになったが,腰を据えて解析を勉留学や就職は大きな不安や恐れは強するよい機会と捉えたと前向きに取り組んでおられた。あるが,「選択は本人の責任。いつも希望はある。」という言葉があっHP12写真-2金 秉洙氏地盤工学会誌,64―11/12(706/707)た。これは,将来に不安を感じている全ての人に心強い職住保の近接の確保や予防接種を休エールとなるのではないだろうか。憩時間に連れて行ったなど,育児も2.4 世代間交流ワールドカフェ報告 ~世代間ギャ業務も最大限に効率化されてこられップに見られる WLB について~た。技術士受験時は 3 歳と 0 歳の育ダイバーシティ委員会では,2013 年から毎年若手ワー児中で,夜泣きの相手をする 15 分のルドカフェを開催している。今年度は,若手に限らず 20間に手元の電気だけ点けて勉強した歳代~60 歳代以上の幅広い年代の方々に参加いただき,といった迫力のエピソードをご披露6 月 19 日に地盤工学会館で「世代間交流ワールドカフェ」いただいた。また,仕事は長期的なを開催した。その様子を本委員会委員である茨城大学の視点・効率化・機械化が,個人は専熊野直子氏に報告いただいた。門性・計画性が重要であり,ライフ写真-6山本美子氏まず,ワールドカフェに先立ち実施した,ワークライも大事にしながらワークも充実させることで「ワークとフバランスに関するアンケート結果の説明があった。業ライフの相乗効果」が生まれるということであった。働務も学会活動も 20 代より 30 代以降の方が増加傾向にあくことは社会のためであるが自分の喜びでもあり,私にるが,委員会参加は人材交流・人脈形成がアドバンテーしかできない“個性”を自他ともに認めることにつながジと考えている人が多かった。また,世代間の技術伝承る,と結んでいただいた。を目的としたメンター制度を地盤工学会が支援する案に2.6 討議・意見交換ついては,人生経験の豊富なメンターが近くにいないよ今回は外国籍の方に初めてご講演いただき,討議の時うな組織(例えば女性の先輩がいない)では需要はあり間には,留学している方々に対する学会側のサポートとそうだが,ボランティアで行うのは本業もあるので難しして,研究発表会で,語学や参加費の費用減免などのサい,というコメントがあった。ポートや,外国籍の方のためのプログラムがあるとよいワールドカフェでは,若手・ベテランの悩みとメンタといったご提案をいただいた。また社会的な育児サポーー制度について意見交換をされ,若手は業務内容・業務トとしては病児保育の充実と,男女とも気兼ねなく看病量・勉強方法・育児との両立・転職の仕方などについて,で休めるような雰囲気ができればいいといったコメントベテランは部下とのジェネレーションギャップや世の中があった。メンター制度に関しても現状での具体例を知の流れについていけないといった悩みを抱えていることりたいといった声が聞かれた。さらに村上会長からは,が分かった。メンター制度についてはアンケートと同様夫婦での協力体制について質問があり,勤務形態や仕事のコメントが多かった。の状況に合わせて育児・家事に協力してもらっていると今回は,魅力ある学会となるべ回答があった。ワークだけでなくライフでも男女共働がく委員会活動やメンター制度につ重要であると感じた。いて会員・非会員からの意見をご3. ダイバーシティ推進に向けて報告いただいた。長時間労働という業界の課題はあるものの,学会昨年の委員会活動を通して,世代間の交流によって年が人的交流の場となることで解消齢に関係ない会員の活性化や,女性のみでなく外国籍のされる悩みもあると感じた。今後,方も学会活動を楽しんでいただくための方策の検討が課メンター制度も含めて,学会の魅力を高めるような企画の検討の際題として挙がった。今年はそれらへの対応として,世代写真-4熊野直子氏間ワールドカフェの実施や,特別セッションにおいて女に参考になるご意見を多数紹介い (ダイバーシティ委員)性と外国籍の方にご発表いただいた。今後も,地盤工学ただいたことに感謝したい。会が様々な立場の方にとって役に立ち個性を生かせる場2.5 継続は力 私のワークライフバランスであるために何ができるか,社会や会員のニーズの変化土木系業種への就職で女性第一号として奮闘されてこを考慮して,攻めの姿勢を持ちながら柔軟に考えていきられた山本美子氏((株)山口建設コンサルタント)には,たい。ダイバーシティ推進活動に協力いただける委員,継続する!という強い意志とそれを貫いてきて得られたサポーターは引き続き募集中である。学会への期待,不喜びなどについてお話しいただいた。満,要望等も委員会宛にお届けいただければ幸いである。大学入学時点で土木の職につきたいという希望があったが,昭和 50 年代は女性が土木技術者になるにはかなり厳しい時代であった。コンサルタント会社に就職して,自社の設計したシールド工事現場見学会では,会議室で参1)考文 献地盤工学会,「地盤工学会誌」 Vol.63 No.7 Ser.No.6902015 年 7 月号小特集:ダイバーシティ推進のさきにあるものの説明の後,女性は現場に入れてもらえなかった。しか<https://www.jiban.or.jp/index.php?option=com_content&;viewし,認められるまで続けたいと諦めずにキャリアを積ん=article&id=1752%3A2009-01-07-08-26-28&catid=101%3A2008でこられた。子育ては親には頼らないと決めて,夫婦で-09-18-06-24-51&Itemid=285>(参照2016.10.3)分担したり,友人に協力してもらったりして乗り切って(原稿受理2016.10.4)こられた。キャリア形成と育児期が同時であったため,November/December, 2016HP13 | ||||
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タイトル | 基礎杭問題に対する学会提言(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 古屋 弘 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP14〜HP15 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070022 |
内容 | 表示 基礎杭問題に対する学会提言Recommendations for Foundation Piles Problem from JGS古(公社)地盤工学会屋弘(ふるや ひろし)副会長・(株)大林組技術研究所 上級主席技師横浜市都筑区のマンションに端を発した基礎杭工事したことを,広く知ってもらう場である点も説明した。に係る問題に関して,各機関から報告及び通達・指針がその説明の中で後述する提言5にも関わるが,学会の会発表され,再発防止の動きが活発になっている。国土交員構成から,建築関係の方々の地盤工学会への参加の少通省からは「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するためないことも指摘し,そのような技術者の偏りの中で,地の大臣告示とガイドライン」が 2016 年 3 月 4 日に発表盤工学会は技術者教育のための杭関連の技術講習や書され,基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために講ず籍の出版を行っている現状も説明した。その後 5 つの提べき措置などが示された。ところがこの問題は 2016 年 4言を説明したが,これに関しては後述する。月 14 日に発生した熊本地震の発生によって一般の方々次に岩崎委員から,国土交通省が策定した民間工事指からは関心が薄れつつあったが,同年 7 月 14 日に「民針の説明が行われ,指針に示された中での,①施工リス間建設工事の適正な品質を確保するための指針(民間工クを低減させるために,事前の地盤調査と専門的知見を事指針)」が発表され,当該マンションの改築も決定し重視し(リスク特定・評価),その情報を事前協議し共有たことから,僅かながら再び脚光を浴びることとなった。すること(リスクコミュニケーション),②関係者間の役地盤工学会では,この問題に対して技術者倫理や法令,割分担を明確にすること(リスク分担)のように,地盤制度上の問題を根底として,地盤工学的な視点からこのに基づくリスクマネジメントに近づいてきている点を整問題に向き合うために,東畑郁生:地盤工学会前会長の理して説明された。もと,「「杭の諸問題」に関する特別委員会」(委員長:木谷好伸氏からは,実際の施工業者の観点から今回の古屋 弘(大林組,地盤工学会副会長),委員:岩崎公問題点を指摘され,業界の取り組みと再発防止に向けた俊(基礎地盤コンサルタンツ),小椋仁志(ジャパンパ技術の幾つかを紹介して頂いた。イル),古関潤一(東京大学),中村裕昭(地盤工学会),桑原文夫氏からは,今回の地盤工学会の提言に対する平出 務(建築研究所),藤井 衛(東海大学),大和眞問題点を指摘して頂くとともに,制度的・技術的な課題一(ジャパンホームシールド))を設置し提言を作成しと今後の方向性を示唆する発表を頂いた。特に,今回のた。中間提言に関しては 2016 年 2 月 8 日にプレスリリ提言に関して学会自身に向けた課題もある点,報告書のースを既に行い,今回の特別セッションの直前となった開示の必要性,提言が「横浜の事例をきちんと調べたうが,以下の提言を地盤工学会ホームページに掲載し,本えでの提言か?」という重要な指摘も頂いた。特別セッションは,この提言に関する発表と各方面の立岩崎好規氏からは,今回の問題の背景を地形的な特徴場の方からの意見発表,及び会場からの意見聴取を行うから地盤の構造・構成も複雑であること,施工者をはじ場となった。なお,本セッションは一般公開として企画めとする技術者の杭施工における現状と課題を発表頂し,最初に地盤工学会からの提言の説明を古屋 弘委員いた。長が行った後に,民間工事指針の説明を国土交通省土今回の地盤工学会からの提言は,学術的な観点からの地・建設産業局建設業課の許諾を得て,岩崎公俊委員が提言を試みたものであったが,事象を検討していく中で,行った。その後,各方面からの意見を各 18 分ずつ以下設計・施工(監理)に関わった技術者は,現地の状況やの 3 名の方から頂いた。技術的な課題をそれぞれの観点で充分理解していたか,・木谷好伸氏〔杭施工者〕(コンクリートパイル建設技術協会施工委員長,三谷セキサン(株))またこのような技術者が今回のような建築基礎の設計・施工に参画できる環境にあったかという点が浮かび・桑原文夫氏〔建築分野〕(パイルフォーラム(株))上がり,技術者倫理を問わざるを得ない問題も浮かび上・岩崎好規氏〔土木分野〕((一財)地域地盤環境研究所)がったことを,ここであえて述べることとする。地盤工まず古屋委員長から,本セッションの意義と提言を作学会からの提言の本質は,特に地盤工学的な観点から今成するにあたっての背景を説明した。今回の特別セッシ回のような問題に対する再発防止を願うものであり,以ョンは,学会提言の公表の場を作るとともに,問題を施下に示す 5 点で構成される提言を発表した。工業者の倫理的な観点からのみ糾弾することがないよ【提言 1】適切な地盤調査の実施:対象地盤の特性をよう,工学的な観点からの検討結果を踏まえた提言を作成り的確に把握するために,周辺の地形・地質,既存の地HP14地盤工学会誌,64―11/12(706/707)盤情報に基づき適切な地盤調査計画を立案し,そのため究者は地盤工学を発展させ今日に至っているが,地盤工に必要な数量のボーリング等を実施する必要がある。学の進展の過程で技術者や研究者は各分野に専門化しこの提言は,基礎杭は杭本体の構造とともに地盤に支つつあることを認め,さらに建築工学においては地盤にえられその性能を発揮することから,特に杭の選定等に係わる技術者が近年減少していることも提言の検討中関わる技術者は,対象地盤の地層の構成・層厚・深度,に分かった。このことから,産官学が各分野で協力し地各地層の強度・変形特性にばらつきが存在することを理盤工学に精通した技術者の育成に対して努力する必要解しなければならない点と,そのばらつきを理解した上があることを提言に盛り込み,特に地盤工学会は,地盤で,地盤情報を出来る限り正確に取得することの重要性工学的な面から各方面に適切な支援を行うことを表明を示したものである。その上で,杭の選定等に関わる技したものである。術者は的確な杭の選定等が可能な地盤情報の取得方法以上の学会からの杭問題に対する提言はホームペーを立案し,適切な数量のボーリングやサウンディング等ジに掲載されているが,当初の工学的観点からの提言をを実施することを提案している。目指したにもかかわらず,例えば提言 4 では制度上の問【提言 2】新たな技術開発:今後,コストに配慮した新題もある程度指摘せざるを得なかった。地盤工学会とししい地盤調査手法や,施工した杭の品質確認が行える手ては,今後同じような問題の発生を防止するための提言法の研究開発・実用化が必要である。を目的としたことからこの点に触れざるを得なかったこれは,地盤のばらつきを把握するためには,対象地ことをここに記すこととする。域の地盤情報収集や数多くの地盤調査を行う必要があ盛りだくさんの発表内容であったため,会場からの意るものの,例えば代表的な地盤調査手法であるボーリン見は数人からしか頂くことが出来なかったが,①杭施工グ及び標準貫入試験は,コストと評価に対する時間がか時の下請けと元請けの関係が,本来は対等であるべきなかることから多数実施することは現実的ではないといのに上下関係となっていることから問題が発生したのった課題を示し,学会として,例えば杭の支持層深度のではないかという意見を頂いた。また,提言の 4 と 5 に確認等を目的としたサウンディング手法を開発し実用は主語に「地盤工学会」が必要ではないかという指摘も化することの重要性を説き,地盤工学会はこの技術に対頂いた。する支援と評価,並びに研究開発の支援を積極的に行っ会場は 2 日目の朝一番目のセッションであり,熊本地ていく決意を示したものである。震の特別セッションが重なったこと,問題発生から 10【提言 3】既存の地盤情報の有効活用:既存の地盤情報ヶ月以上経っていることから参加者が少ないことを懸は極めて有用であるため,地盤情報の収集・活用がより念していたが,当日は 140 名を超える参加者が集い(会一層推進される必要がある。場入口にて配布した学会提言の残部から推定),この問この提言は,近年では各方面で地盤情報がデータベー題への関心の高さをあらためて感じた次第である。登壇ス化され,行政や学会等で公開されている場合があるが,者及び会場からの学会の提言に対する厳しく率直な意そのデータが必ずしも対象構造物近傍の詳細な地盤情見も頂き,提言に関わる報告書の公表を急がねばならな報を与えるものではない点の注意喚起と,既設構造物設いことも痛感した。今回の特別セッションは,限られた計・施工時の既往情報の有効利用促進を願ったものであ時間の中での発表と討議であったが,地盤を理解するこる。そのため,構造物建設時に取得した地盤の情報を共とと,その判断を行うことのできる技術者の重要性を再有し,他のプロジェクトでも活用可能な仕組みを整備す認識することは会場でできたと思う。る必要がある点も指摘している。大地に構造物を作る建設プロジェクトでは,構造物の【提言 4】地盤技術者のプロジェクトへの連携体制の構健全性の担保に各工程で決められた仕様を遵守させる築:地盤に精通した技術者が,建築基礎の設計・施工のプロセス管理を行っている。この管理の一つが充分に機実務により緊密に協力できる環境を整えるべきである。能せず構造物全体の問題となったものが今回の件であ当該地の地盤情報を設計時に適切に取得する必要がる。一般に言われる「リスクマネジメント」が機能してあり,地盤のばらつきがあることを理解する必要があるいなかったとも言える。特に建築分野においては地盤はことは前述したが,この情報取得のための地盤調査計画単に一つの構成要素であるが,不確定要素の大きい地盤とその評価を適切に行うことのできる技術者が,杭の選は構造物の健全性担保に対するそれなりのリスクを有定時に有用な情報を提供する環境を整える必要があるしていることを再認識する機会ともなった。イギリスでことを提言したものである。また,施工時に設計で想定は建設プロジェクトにおける地盤関連リスクを対象とできない事象への柔軟な対応が行えるように,施工計画したジオリスクマネジメントの重要性が 15 年前から認においても地盤工学に精通した技術者が協力支援でき識されており,既に実務に取り入れられているとのことる環境を整える必要性も提言している。である。今回の問題に端を発し,国土交通省が策定した民【提言 5】地盤技術者の育成:地盤工学会を含む関係諸間工事指針は,日本での地盤関連のリスクマネジメント機関は,建築分野での地盤工学に精通した技術者の育成の第一歩となるであろう。地盤工学会も専門家集団の集により一層努めるべきである。まりである点を生かし,今後の社会的な貢献を継続する構造物はすべてが地盤に係わり,それ故,技術者や研November/December, 2016必要があることを感じた次第である。(原稿受理 2016.10.11)HP15 | ||||
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タイトル | 原子力発電所廃止措置のための地盤工学(廃炉地盤工学)の創出と人材育成(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 鈴木 誠 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP16〜HP17 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070023 |
内容 | 表示 原子力発電所廃止措置のための地盤工学(廃炉地盤工学)の創出と人材育成Concept Creation and Human Resource Development in Geotechnical Engineeringfor Decommissioning of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station鈴木誠(すずき まこと)千葉工業大学 教授被災原子炉対策の支援技術の一つとして,地盤工学は地下水流動予測や各種地盤改良工法等の技術を通じて放射線汚染水対策に寄与しているのみならず,廃炉に至る今後の過程でも地下掘削技術や放射性廃棄物処分技術で重要な役割を果たすことができる。一方,地盤工学・土木工学の専門家・技術者で原子力工学分野に精通している人材は少なく,廃止措置に貢献できる基本的技術を保有しているにもかかわらず,直接的な寄与ができていないのが実情である。このような背景から,地盤工学会で① 廃炉技術の明日を担う地盤関連技術者の教育内容を整備する。② 廃炉に関連するプロセスや技術の要求性能を明確にすることにより,新技術を提案しやすくする。③ 廃炉に貢献する地盤関連技術の位置づけを明確にすることにより,技術のアピールや相互関連をしやすくする。④ 検討した廃炉関連の地盤技術は廃炉基盤研究プラットフォーム等を通じて廃炉事業者や官庁への展開を行う。は,早稲田大学・千葉工業大学とともに,2015 年度に文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム」に採択された『福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム』(2015 年度~2019 年度)を開始した。また,産官学の英知を結集するため,地盤工学会の日本全国に及ぶ広いネットワークを活用し,『福島第一原子力発電所廃止措置に向けた地盤工学的新技術と人材育成に関する検討委員会(以降:廃炉地盤工学委員会,東畑郁生委員長)』を設立した。写真-1 本特別セッション会場廃炉地盤工学委員会では,中長期ロードマップに示された廃炉シナリオに対して,必要技術の抽出や既存技術表-1 セッションプログラムの適用性・応用等,地盤工学技術の位置づけを明確かつ具時間内容発表者体化し,個別基盤研究の開発成果を踏まえた,より実効10:40~10:45研究プロジェク後藤 茂性の高いと考えられる廃炉シナリオの構築を目指している。また,これらの技術を体系化し,原子力分野の技術トの概要説明10:45~11:10研究プロジェク者と協働できる新しい地盤工学技術者の育成プログラムトの現状報告「廃炉地盤工学」を構築することも目指している。( カ リ キュ ラ ム構(地盤工学会)後藤 茂(地盤工学会)菱岡宗介本特別セッションでは,今後の廃炉過程に地盤工学観成,技術マップ,廃(パシフィック点から貢献しうる人材の育成と原子力技術者との協働を炉 プ ラ ット フ ォーコンサルタンツ)主眼において,廃炉地盤工学の包括する技術内容や教育ムへの貢献)方針・方法等について議論した。会場には 50 名以上の参11:10~11:20加者が着席しており(写真-1 参照),バックエンド以外の研究者や実務者も半数ほど見受けられた。プログラムける人材育成11:20~11:30は,表-1 に示すとおりであるが,あいにく廃炉地盤委員会の東畑郁生委員長と小峯秀雄先生は不在で,昨年度概要として,廃炉地盤工学の目的の説明があった。HP16千葉工業大学における人材育成11:30~12:05に比べて多少迫力が欠ける面もあった。最初に,幹事長である後藤茂氏から,プロジェクトの早稲田大学におフロアーディス吉川絵麻(早稲田大学)鈴木 誠(千葉工業大学)会場出席者カッション12:05~12:10総括及び今後の展望鈴木 誠(千葉工業大学)地盤工学会誌,64―11/12(706/707)ッションが開始された。多くの意見が述べられたが,紙面の都合もあり,ここですべてを紹介することはできないのでご容赦願いたい。まず,「廃炉」という言葉は,普通はデコミッションまでを含めたものであり,一般の方は事故廃炉(1F)だけでなく,通常廃炉にも適用可能な技術に関して検討が進められている図-1 地盤工学技術の貢献ものと捉えられている。本プロジェクト表-2 カリキュラム構成汚染水・地下水環境地盤 ・汚染水貯留施設の安定性評価力 ・遮水壁設置地盤の地震時安定性評価学デブリ取出し・原子力建屋下部の放射線漏洩防止処置のための地下基地の安定性評価デコミッショニング・デコミッショニングの段階に沿った地盤・建屋系の地震時安定性評価・空間放射線量を低減する高遮蔽性超重泥水の開発・デブリ視認可能な可視性超重泥水の開発地 ・汚染水貯留プールに適用可能な盤高性能止水材料の開発・格納容器水漏れ箇所対応可能な材 ・遮水壁の信頼性を高める高性能遮水壁材高遮蔽性固化泥水の開発料料の開発・デブリ一時的封込め対応可能な学可逆的液性・塑性(高遮蔽性)充填材の開発地盤施工学術が何かが分かった方がよいという意見があった。これに対し,事故時廃炉における放射性廃棄物は,・デコミッショニング段階に沿った建屋地盤 ・原子力建屋周囲の時間的変化に対応周囲の地下水環境・放射線環境予測と・上記地下基地の空間放射線量の環境評価環した地下水・核種拡散シミュレーション評価境・余裕深度処分対応の地下水環境評価学・地下水の流入を止める信頼性の高い遮水壁の構築工法・輻輳する地下構造物に対応できる遮水壁構築工法・汚染水プールに敷設する自己診断機能付き遮水幕工法でも,通常廃炉にも適用可能な技・瓦礫・伐採材保管に適した高遮蔽性覆土材料と止水材料の開発・余裕深度処分に対応した廃棄物空間充填材料の開発・原位置デコミッショニングに対応できる格納容器用高遮蔽性充填材料の開発・原位置デコミッショニングで建屋全体を覆う高遮蔽性盛土材料の開発・信頼性の高い瓦礫・伐採材の保管施設・デブリ取出しのための高精度ボーリング構築工法工法・余裕深度施設の構築工法・上記地下基地の構築工法・原位置デコミッショニングでの格納・格納容器水漏れ箇所封鎖のための容器用高遮蔽性充填工法高遮蔽性グラウチング工法・同上での建屋全体の鋼製外殻による封込め工法通常廃炉の基準で処分可能かどうかも未確定であるため,両者は切り離して考えるべきものであり,デコミッションにおいて両者は完全に同じものにはならず,技術的なものを検討していくべきと考えているとの回答があった。40 年にわたって続く廃炉事業の中で,人材を創出し続けるという点で軸となりうるのが学会であると考える。委員会において複数ここでは,地盤工学が廃炉に貢献できると考えられるの若手技術者が将来的にやりたい研究について立ち話分野が図-1 のように,汚染水・地下水環境,デブリ取できるような関係が築かれつつあることからも,このよ出し,処分・デコミッションの 3 分野に大別され,人材うなことを少しずつやっていくことが重要ではないか育成の観点から表-2 に示す廃炉地盤工学のカリキュラとの発言があった。また,廃炉事業は何も生み出さないム構成が示された。さらに,日本原子力研究開発機構プロジェクトであるが,環境保護などと同様に土木技術(JAEA)と今回の人材育成公募採択者の共同運営による者としてやっていかなければならないものであり,本プ基礎・基盤研究の推進共同体として,廃炉基盤研究プラロジェクトを通じて少しずつ広げていければいいのでットフォームがあり,この組織を通じて地盤技術の展開はという意見もあった。を行うことを考えているとの説明があった。現在,地盤人のつながりを作るということが,数年後~10 数年後施工学 WG で技術マップを作成し,廃炉基盤研究プラッに役立つ。デブリ取出しが 40~50 年後に完了しても,そトフォームで展開を図っている。の後の福島をどうするかといった問題は残り,地盤工学次に,再委託先である早稲田大学と千葉工業大学から分野の活躍が期待されている。特に原子力分野では地盤昨年度の研究報告があった。早稲田大学からは放射線遮工学の地位があまり認識されておらず,「廃炉地盤工学」蔽機能を有する超重泥水の開発状況,千葉工業大学からという言葉で世間に認知してもらえるようになることがは室内土層を用いた透水性の把握精度の検証と今年度実重要であり,若い方々への理解につながるとの発言があ施している現場実験の計画が説明された。った。最後に,1F 廃炉措置に対して地盤工学の貢献が期その後,座長より特別セッションにおける趣旨・意図・狙い等について説明が行われた後,フリーディスカ待されているので,それに応えるよう推進していきたいと総括された。(原稿受理November/December, 20162016.9.23)HP17 | ||||
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タイトル | 平成27年度道路保全地盤技術向上の調査・研究成果報告会(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 宮田 喜壽 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP18〜HP19 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070024 |
内容 | 表示 平成 27 年度道路保全地盤技術向上の調査・研究 成果報告会Debrief Session about Research and Studies on Improvement in Geotechnical Road Management宮 田 喜 壽(みやた よしひさ)(公社) 地盤工学会「平成 26 年度道路保全地盤技術向上の調査・研究助成審査委員会」委員長1.本報告会の背景地盤工学会は,道路保全技術センターからいただいた寄付を原資に,道路保全技術の向上に資する調査助成事業を平成 24 年にスタートさせた。この事業は公募制で,厳正な審査をパスした研究担当者には,最長2年間研究費が助成される。得られた成果は中間及び最終報告書として学会から公開され,研究担当者は研究発表会で実施される成果報告会で発表する流れとなっている。これま図-1 表面波探査の道路盛土への適用に関する研究(川尻ら)で,平成 24 年4件,25 年3件,26 年4件,27 年5件の助成が行われてきた。今年の報告会は5件の研究テーマが発表され,内容の質の高さ故,深いところまで踏み込んだ議論が交わされた。以下,発表の内容を簡単に紹介する。2.報告内容(1) 表面波探査の高度利用による積雪寒冷地における道路盛土の健全性評価手法の開発【担当:川尻峻三(北見工大),橋本 聖(寒地土研),川口貴之(北見工大),期間:平成 27 年度】道路の健全性を迅速に評価する技術の必要性が高まっ図-2 道路下の地中空洞崩壊メカニズムに関する研究(佐藤ら)ている。本研究では,締固め度の異なる2つの試験盛土を構築し,施工直後でのS波速度分布と乾燥密度及び含に関する研究では,多孔質領域と流体領域での流れを同水比の関連性の検討結果をもとに,盛土の健全性評価に時解析する解析法の精緻化を進め,既往の研究で提案さ対する表面波探査の適用性を検証している。さらに,降れた理論解と極めてよく一致する結果を得ている。模型雨前後で同様な検討を実施し,盛土の降雨時安定性評価実験に関する研究では,複雑な現象を室内で再現するたに対する表面波探査の適用性を検証している。以上の検めの知見を多く蓄積する成果を得ている。この研究は 28討より,表面波探査が盛土の密度条件,降雨浸透や凍結・年度が最終年度であり,模型実験と数値解析の更なる進融解に伴う盛土の状態変化を評価できることを明らかに展によって,道路陥没メカニズムの全容解明につながるしている。本研究の成果は,対象とした積雪寒冷地はも多大な成果が期待される。ちろん,様々な地域の道路盛土の健全性評価の高度化に貢献するものとして評価される。(3) 真空圧密を併用した盛土の施工における泥炭の強度増加とその推定に関する研究【担当:荻野俊寛(秋田大),(2) 外部応力による地中空洞崩落メカニズムの解明【担当:佐藤真理(島根大),藤澤和謙(京都大),期間:平成 27 年~ 28 年度】期間:平成 26 年~ 27 年度】道路は様々な地盤に構築されるが,泥炭地盤上の盛土の安定問題は古くからの技術的課題として残されている。近年,道路陥没事故が度々報じられているが,そのメ本研究では,近年施工実績を伸ばしている真空圧密を併カニズムは十分に解明されているとはいえない。本研究用した盛土工法の有効性に着目し,これを模擬した三軸では,道路陥没の要因として埋設管破損部からの土砂流試験から,真空圧及び盛土荷重によって有効応力変化を出現象に着目し,新しい浸透流解析の開発と,メカニズ受ける泥炭がどのように最終的な強度や剛性の発現に至ム解明を目的とした模型実験が実施された。浸透流解析るのかについて,実験的検討を行っている。一連の検討HP18地盤工学会誌,64―11/12(706/707)図-5 道路陥没対策に関する研究(椋木ら)図-3 道路盛土真空圧密に関する研究(荻野)(5) 下水道管渠の老朽化に起因する道路陥没の対策工法の提案に関する研究【担当:椋木俊文(熊本大),大谷 順(熊本大),期間:平成 26 年度】道路陥没の問題については,現象のメカニズムの解明とともに効果的な対策技術の確立が求められる。本研究では,道路陥没の被害を防ぐための地盤補強技術の確立を目的に,産業用 X 線 CT スキャナ装置内での補強材料の土中引抜試験と,空洞上部に補強材を配置した模型載荷実験を実施した。一連の実験では,ジオグリッド,不織布,補強・排水両機能を有するジオコンポジットが用いられた。引抜き試験では,材料の種類によって異なる図-4 道路盛土内地下水位予測に関する研究(西村ら)の結果,軸応力と真空圧の両方を載荷した場合,両者の相乗効果によって,強度と剛性の増加は顕著になることや,載荷速度が大きい場合,一時的な強度低下が生じることを明らかにしている。本研究の成果は,真空圧密を併用する道路盛土工法の設計・施工の合理化に大きく貢献するものと評価される。(4) 気候変動への対応を視野に入れた盛土内水位予測モデルの開発【担当:西村 聡(北海道大),所 哲也(苫小牧工専),泉 典洋(北海道大),山田朋人(北海道大),期間:平成 26 年~ 27 年度】気候変動によって水理作用条件が変化し,道路盛土の安定性が損なわれる問題が懸念されている。本研究では,降雨浸透・蒸発散・築造履歴などを考慮した不飽和浸透流解析により,盛土内間隙水圧の長期・短期変動を再現・予測する手法について検討している。一連の検討の結果,間隙水圧あるいは浸潤線位置の変動形態を3つに分類し,異なる時間窓に対して浸潤線位置を推定する簡易な方法を確立している。さらに,北海道・札幌の近年の降水特性の分析を行い,盛土安定性に関わる長期リスクの有無破壊形態の違いを明らかにし,模型実験では,土中の水分分散まで考慮した効果的な補強材配置の有効性を明らかにしている。地盤補強技術はこれまで擁壁や盛土を中心に用いられてきたが,今回の研究によって陥没問題にも有効であることが明らかになった。3.おわりに以上紹介した5件の研究成果の詳細は,地盤工学会ホームページ(http://goo.gl/aryVS3)に掲載しているので,是非参照いただきたい。地盤工学会ホームページには過去の助成研究の報告書も掲載されているので,道路保全に関わる皆様には是非とも目をとおしていただきたい。新しい技術の社会実装には,研究者だけでは限界があり,様々な立場の人が関わる必要がある。地盤工学会は伝統的に立場の異なる方々が集まって,ひとつのことを成し遂げる文化がある。道路保全の問題についても,この助成事業をきっかけに問題解決のための新しい動きがでることを期待している。来年で終わるこの事業の総括の方法を,学会として考えないといけないと考えている。(原稿受理2016.10.5)を明らかにしている。本研究の成果は,地盤工学と水工学の知識融合で,効率的な道路盛土の維持管理をより長期的視野で行うことに貢献するものと評価される。November/December, 2016HP19 | ||||
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タイトル | 第51回地盤工学研究発表会 優秀論文発表者賞(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 地盤工学会 調査・研究部 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP20〜HP23 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070025 |
内容 | 表示 第 51 回地盤工学研究発表会地盤工学会1.優秀論文発表者について優秀論文発表者賞調査・研究部2.第 51 回研究発表会の受賞者「地盤工学会優秀論文発表者賞」は,今後の地盤工学研究発表会終了後,座長から推薦された受賞候補者の分野を担う若手技術者及び若手研究者の活性化,研究意受賞対象資格を調査・研究部にて確認し,以下の 130 名欲の向上を目的として,第 40 回地盤工学研究発表会にの方々を受賞候補者として表彰委員会に報告し,表彰委創設され,今回で 12 回目を迎えます。員会が受賞者を決定しました。受賞者には心よりお祝い表彰の対象は,1)申し込み時点での発表者であり,か申し上げますとともに,今後の更なる活躍を期待いたしつ研究発表会において実際に発表した方,2)申込み時点ます。受賞者の皆様には賞状を送付し,学会誌及び学会で満 35 歳以下の方,3)前年度に当該表彰を受けていないHP にて公表いたします。また,今回は残念ながら受賞方,となっています。評価対象は,1)論文と発表の内容,を逃した方々も次回以降のご健闘を期待しております。発表方法,2)質疑における初回の回答内容,としていま最後になりましたが,セッションの座長,実行委員会す。2)について,初回の回答のみとしているのは,そのの皆様及び研究発表会に参加された皆様のご協力により,後の共同研究者からの補足や議論を評価対象から外すこ本研究発表会を無事に執り行うことができましたことをとで評価に囚われない参加者全体の自由闊達な討議を促深く感謝いたします。今後も,本表彰制度が若手会員のすためです。各セッションの座長には,「地盤工学会の発意欲向上につながりますよう,会員の皆様のご理解・ご展に貢献しうる優秀な論文を適切に口頭発表した」と認協力をお願い申し上げます。められる方を受賞候補者として推薦して頂きました。こ(文責:伊藤和也 東京都市大学)の受賞候補者より,対象資格を確認して受賞者を選定し(原稿受理2015.10.7)ております。第51回地盤工学研究発表会 優秀論文発表者賞発表者蘇綾三橋祐太後藤浩之古久根晋太郎鈴木彩華朝倉さや香瀬尾葵麻生勇人小湊祐輝AliMurtazaRasool木内大介樋原達夫山栗祐樹森河由紀弘杉浦陽子矢嶋貴大金成雅季HP20所属セッション名(申込情報・当時)中央開発DS-12 斜面動態モニタリング手法の現状と課題,今後の方向性構造計画研究所DS-10 断層の問題〜地盤工学は何ができるのか〜京都大学DS-7 地盤情報の整備と利活用信州大学粘性土①名古屋大学粘性土④山口大学中間土,メタンハイドレード京都大学補強材・排水材論文表題傾斜変化と土壌水分に基づく多点計測斜面崩壊早期警報システムの検証並列有限要素法を用いた断層変位を受ける地中構造物の解析的検討近年の地震観測とその工学的活用例吸水性高分子摩擦低減剤の有効応力に基づく摩擦角(その 2)載荷速度が異なる再構成粘土供試体の非排水三軸繰返しせん断挙動加熱法によるメタンハイドレート胚胎砂の分解実験および数値シミュレーション補強土壁に用いられるジオテキスタイルの引抜き抵抗特性に及ぼす熱の影響神戸大学特殊土デコルマ帯における固着メカニズムの解明鉄道総合技術研究所 不飽和土(強度)不飽和強度特性を使用した盛土耐震補強設計の技術課題整理埼玉大学不飽和土(変形・動的性 Effect of water infiltration on behavior of unsaturated compacted soil atconstant deviatoric stress質)東亜建設工業不飽和土(物理化学的 土試料の比抵抗値に関する基礎的検討 その 1 〜間隙水の種類と温性質)度,間隙率の影響〜竹中工務店改良土・軽量土(強度①) 広範囲薬液注入による礫地盤の遮水改良―その 2 原位置注入実験―金沢大学改良土・軽量土(強度②) 短繊維混合固化処理土の養生初期における力学特性名古屋工業大学改良土・軽量土(強度③) 製鋼スラグ改良土の力学特性東京都市大学改良土・軽量土(変形) 薬液を用いた自立削孔技術の開発前田建設工業改良土・軽量土(物理化 ソイルセメントへの電気浸透現象適用に向けた基礎的研究学的性質・動的性質)福島工業高等専門学校 液状化①被災確率に基づく液状化判定の構築地盤工学会誌,64―11/12(706/707)発表者戸田和秀所属セッション名(申込情報・当時)鉄道総合技術研究所 液状化②論文表題中間層支持した先端加工鋼矢板の支持力性能に関する実験:その 2支持力性状評価梅原由貴東京大学液状化③非塑性細粒分を含む砂質不撹乱試料のせん断波速度と液状化特性の関係DatNguyenDinh茨城大学液状化④1g 場振動台模型実験装置を用いた CSP 工法の地震時液状化抑制効果今井政之竹中土木液状化⑤表層に非液状化層が存在する液状化地盤と格子状地盤改良の遠心模型実験に関する考察中島晃司山口大学砂質土(強度)細粒分を含むメタンハイドレート胚胎砂の力学挙動田中将平長岡技術科学大学砂質土(動的性質)三軸試験機で長期圧密された砂の液状化強度中村礼山口大学礫質土サンゴ礫混じり土の礫含有率とせん断強度の関係濱田悠貴東京大学軟岩・硬岩(物理化学的 人工軟岩の有効拘束圧の除荷による強度低下の検討性質)佐藤芙美東京都市大学軟岩(強度・変形①)2 次元 DEM による固結粒状材料を用いた発破実験に伴う応力の検討王乾名古屋工業大学軟岩(強度・変形②)動的荷重を受ける自然堆積粘土の力学特性中瀬悠也明石工業高等専門学校 リサイクル材料(一般) 無機系廃棄物を原料としたシリカ系地盤改良材の開発とその硬化メカニズムの解明豊永麻依福岡大学リサイクル材料(強度 種々の暴露条件下におけるスラリー型石炭灰混合材料の力学・溶出①)特性諸冨鉄之助京都大学リサイクル材料(強度 非飛散性アスベスト含有建材の無害化処理過程で排出される高含水②)比残渣を用いた流動化処理土の強度変形特性米丸佳克福岡大学リサイクル材料(強度 竹チップ混合固化処理土の強度・変形特性に及ぼす竹添加量の影響③)稲毛孝章横浜国立大学環境調査・試験技術カラム試験に基づく土壌の吸着特性の評価方法に関する研究濱田浩志ナガオカ土壌・地下水汚染①接触酸化法を用いた第一鉄添加によるトンネル湧水中からのヒ素除去鎌田明秀明治大学土壌・地下水汚染②カラム透水試験による鉄鋼スラグ混合掘削岩・土砂からのヒ素浸透挙動辰巳鴻介京都大学土壌・地下水汚染③拡散輸送を考慮したソイルベントナイトの物質移行特性評価三村佳織兼松日産農林自然環境,その他水位変動の影響を受けた杭出し水制工の長期耐久性評価藤田隼平岐阜大学地下水移動,移流拡散 扇状地における河道状況を考慮した地下水流動解析藤名瑞耀京都大学浸透①粒子−流体連成計算による粘性土の内部侵食モデル吉川絵麻早稲田大学廃棄物処分場①放射線遮蔽性能を有する超重泥水の透過厚さによる線量低減効果の評価木村志照大林組廃棄物処分場②ベントナイト/砂混合土の締固め特性に及ぼす砂の粒度および粒子形状の影響Characteristics of landfill leachates in ASEAN countries and wasteペトヤスポンサイ 東京工業大学廃棄物処分場③managementsパニャ神戸泉慧東京理科大学廃棄物処分場④紐状の廃棄物を含む廃棄物処分場を貫通する杭の廃棄物の連込み特性新島悠斗群馬大学地震(斜面安定①)2015 年ネパール・ゴルカ地震における山地斜面の崩壊発生場の有限要素シミュレーション正岡翔山梨大学地震(斜面安定②)平成 25 年伊豆大島豪雨で発生した大規模表層崩壊の発生機構に関する地盤工学的研究西尾直哉東京工業大学地震(斜面安定③)補強材設置角度に着目した斜面補強に関する実験的研究住田啓輔群馬大学豪雨(斜面安定①)遠心模型実験を用いた降雨時の表層崩壊メカニズムの検討越村謙正大阪大学豪雨(斜面安定②)兵庫県丹波市において平成 26 年 8 月豪雨によって崩壊した斜面の地形分析南口優貴大阪大学豪雨(斜面安定④)模型土層におけるサイフォン径と排水量、水位の関係性に関する研究永田政司高速道路総合技術研究 豪雨(土石流)高速道路における土石流の流出土砂量の検証所高石孟北海道電力振動油圧ハンマーによる鋼管杭打設時の地盤振動実測髙木聖人東北大学地すべり・落石①荒砥沢ダム地すべりを起こしたシルトの非排水せん断特性の拘束圧依存性について宗形和洋ネクスコ東日本エンジ 地すべり・落石②高速道路におけるグラウンドアンカーの損傷事例と今後の維持管理ニアリングについて田中敬大名古屋工業大学地すべり・落石③砂と砕石の変形・応力伝播挙動が互層緩衝構造の緩衝効果に及ぼす影響田坂晃一名古屋工業大学地盤防災(一般①)交通荷重を想定した管渠周辺の空洞進展に及ぼす繰り返し載荷の影響大矢綾香立命館大学地盤防災(一般②)現地発生材を用いた改良地盤の応力状態の推定と改良効果の検証に関する研究志賀正崇横浜国立大学地震(一般①)ネパール山岳部における斜面のクリープ変形がもたらす重要幹線道路への影響栗林健太郎エイト日本技術開発 地震(一般②)2015 年ネパール・ゴルカ地震における蛇籠構造物に関する被害調査November/December, 2016HP21発表者所属(申込情報・当時)セッション名田中浩平鉄道総合技術研究所地盤震動②澤田茉伊京都大学辻本真横浜国立大学藤森弘晃佐藤貴亮佐藤真理水野弘二加藤一紀山梨大学北見工業大学京都大学東日本旅客鉄道大林組DS-6 歴史的地盤構造物の修復と保全DS-5 交通地盤工学における材料特性評価のイノベーションとリスク管理浸透②浸透③浸透④液状化⑥液状化⑦坂井公俊吉井拓海野口達也野中俊宏草竹真也張林松今出和成戴舒翼阪田暁熊田健太伊藤亮太小林優起井上紘一田中佑介大谷公貴赤坂幸洋RajivEldonAbdullah秋元宏仁俊成優太中出雄也ManhHungHo佐藤登IlyasAkram伊藤友哉澤村康生桑原拓馬佐野祥男深瀬直人宋白楊川内谷勇真青木信哉原田康弘納庄一希玉井礼子HP22論文表題(その 4 蛇籠中詰め材の施工方法)空間相関モデルに基づく地盤固有周期の面的推定古墳墳丘の熱伝導と石室の温度評価に関する研究路盤剛性変化箇所における軌道の動的応答及び不等沈下に関するシミュレーションMRI を用いた土の不飽和浸透挙動の把握と評価に関する研究浸透流による鉛直方向飽和度分布と細粒分変化に関する実験的研究Darcy-Brinkman 式を用いた非構造セルに寄る地中空洞浸透流解析脈状注入による液状化対策工法の注入率と算定改良率の関係セメント系固化材による表層改良と改良杭を併用した液状化対策工法の線状構造物に対する沈下抑制効果鉄道総合技術研究所 液状化⑧地盤全体系を対象とした液状化強度曲線の提案とその試算東北大学液状化⑨細粒分とせん断ひずみ振幅の大きさが液状化地盤の噴砂に与える影響竹中土木液状化⑩既設住宅の液状化対策としての格子状地盤改良工法に関する研究―その 6 埋設管横断部の影響―名古屋大学液状化⑪過剰間隙水圧消散工法の液状化対策効果の予測に関するマクロエレメント法の近似精度の検証三井住友建設液状化⑫流動閉塞杭の実証実験−その 1:施工性の確認および品質試験−大阪市立大学地盤調査,一斉試験長野県諏訪市における地盤調査一斉試験(その 1:調査概要とボーリング結果)岡山大学液状化判定CPT によるため池堤体の液状化確率評価東海大学調査手法の比較電気比抵抗を利用した杭周固定液の一軸圧縮強さの予測手法に関する研究鉄道・運輸機構地盤定数の設定手法コーン貫入試験(CPT)による地盤定数算定手法に関する研究(その 1)日本大学スウェーデン式サウン スウェーデン式サウンディング試験から得られる回転貫入抵抗の拘ディング束圧依存性−加圧土槽実験に基づく考察−応用地質空洞探査他路面下空洞の危険度評価に関する一事例川崎地質サンプリングサンプリング手法の違いが液状化強度比に及ぼす影響松江工業高等専門学校 地盤情報データベース 全国電子地盤図を用いた意宇平野の表層地盤特性①京都大学地盤情報データベース 地盤情報データベースと微動探査による地下構造推定法に関する基②礎的研究神戸大学盛土の点検・管理手法,既設道路盛土の広域点検管理手法に関する研究−その 2−点検管理手その他法実用例の報告−基礎地盤コンサルタン 地下水調査接地抵抗を利用した地下水位簡易測定法のため池調査への適用事例ツLearning the behavior of pile foundation under dynamic loading through東京工業大学規格・基準,その他simple centrifuge modelling東京都市大学地盤改良①模型実験による攪拌方法の違いが地盤改良強度に与える影響東京工業大学地盤改良②基盤層が斜面の杭式深層混合処理地盤の変形挙動SAVE-SP 工法研究会 地盤改良④砂圧入式静的締固め工法における珪石粉配合率の比較Effects of lateral boundary condition on the behavior of埼玉大学補強土①confined-reinforced earthヒロセ補強土②帯鋼補強土壁における動的遠心載荷実験Bearing Capacity Evaluation of Samples Prepared by Sand Pluviation埼玉大学補強土③日本大学補強土④ジオセル補強路盤の支持力に及ぼす材料特性の影響京都大学補強土⑤遠心模型実験に基づくチェーンを補強材とする補強土壁の耐震性に関する検討東亜建設工業圧密・沈下①分散剤添加による浚渫粘土の減容化効果の検証神戸大学圧密・沈下②宅地盛土の水浸沈下に対する性能評価に関する事例研究中央大学締固め礫質土の強度変形特性に及ぼす締固め効率の影響北見工業大学凍結・凍土①X 線 CT スキャンを用いた土の凍上過程の詳細な内部観察北見工業大学凍結・凍土②凍結融解履歴を受けた草本植物の根系を含む細粒土の一面せん断試験JFE 商事テールワン現地計測異なる観測技術による帯鋼補強土壁と帯状ジオシンセティックス補強土壁の動態観測日本地下技術グラウンドアンカーグラウンドアンカーの荷重計による緊張力観測および解析事例明石工業高等専門学校 格子状地盤改良,杭基 杭基礎の引抜孔が周辺地盤の動的挙動に及ぼす影響の解析的検討礎他大林組杭(現地試験)泥炭地におけるピンファウンデーション工法を用いたメガソーラー地盤工学会誌,64―11/12(706/707)発表者所属(申込情報・当時)セッション名山中龍東京工業大学杭(沈下・損傷)濱口隼人鳥居孝洋AnhTuanVu東京大学東京工業大学金沢大学杭(支持力特性)杭(模型実験②)杭(模型実験③)尾高大介後藤天志郎東京工業大学東北大学杭(一般①)杭(一般②)近藤明彦港湾空港技術研究所谷尻陽祐京都大学中村朋弘NB 研究所府川裕史藤澤和謙永井裕之佐藤友孝港湾空港技術研究所京都大学安藤ハザマ東京農工大学DS-14 新しい地盤工学のためのマルチスケール・マルチフィジックスDS-9 社会実装を視野に入れた新しい地盤環境管理のかたちDS-15 低透水性土質系材料の活用と性能評価技術に関する検討岸壁・護岸河川堤防のパイピングダム・堤防①ダム・堤防②マリアフェルナン 北海道大学ダリバスジェニシャシン 東京工業大学居上靖弘嶋本敬介松下麗菜吉川登代子品川大地植松尚大井上翔太和田一範飯田佳貴森下雄太西村謙吾高原祥西尾聡史鈴木健一中村淳谷美宏ダム・堤防③論文表題架台基礎に関する実験的検討液状化地盤における摩擦杭基礎建物の沈下被害と地盤条件の関係−その 2. 遠心模型実験−鉛直荷重を受ける杭基礎模型直下地盤における粒子破砕特性表層下部の軟弱粘性土が地震時杭応力に及ぼす影響Horizontal load tests on 6-pile pile foundation models with and withoutbatter piles (Part 2: Experimental results)粘性土における基礎根入れ部に作用する地震時土圧液状化地盤下において変動軸力と水平力を受ける円形中空断面杭の動座屈崩壊性状 その 1 液状化地盤における上屋・杭基礎−地盤系の遠心載荷実験土粒子配列構造の復元による DEM-SMAC 連成解析の実験的検証掘削ずりの破砕性がヒ素の溶出挙動に及ぼす影響現場散布粒状ベントナイト層の実証試験地震応答解析による胸壁の照査用震度算出に関する検討上向き浸透流によって運ばれる砂粒子の移動速度測定藤沼ダム建設工事における飽和度管理(その 2〜結果)振動台実験によるフィルダム模型の変形・破壊に対する間隙水圧の影響Analysis of the hydraulic behavior of Abukuma River dyke consideringinfiltration and evapotranspirationダム・堤防④Flooding-induced deformation analysis of levee reinforced with steeldrainage pipe徳島大学ダム・堤防⑤地震時変形を考慮した河川堤防の耐浸透性能評価 (その 2:遠心力場における浸透実験および解析)鉄道総合技術研究所 トンネル①地圧による変状トンネルの岩石の吸水膨張特性に関する一考察京都大学トンネル②,シールド 動的・静的解析による 2 ヒンジプレキャストアーチカルバートの損傷過程と破壊形態に関する検討大阪大学道路・鉄道盛土①鉄道盛土の地震時残留変形量に及ぼす各種 Newmark 法の差異に関する検討高知大学道路・鉄道盛土②海岸平野部における道路盛土の耐震性能評価神戸大学道路・鉄道盛土③鉄鋼スラグ混合土を用いて造成した実物大道路盛土の水理・力学挙動について九州大学路盤・路床,その他越流・浸透流を考慮した被覆材の安定重量に関する一考察鉄道総合技術研究所 基礎構造物一般地盤と鉄道橋の周期比に基づく減衰定数の簡易推定と車両走行性の概略評価への活用竹中工務店地中連続壁・ケーソン 破砕コンクリート塊を再生利用した転圧地盤の支持力基礎ジェイアール総研エン 直接基礎土の拘束圧が直接基礎の地盤反力係数に与える影響ジニアリング九州大学鋼管杭,鋼矢板他鋼矢板打設位置の違いによる防波堤の耐津波効果に関する検討神戸大学埋設管地盤のせん断変形を受ける埋設管たわみの予測について旭化成ホームズ抗土圧構造物①上載荷重に対する L 型擁壁の構造性能に関する実験的研究―支持地盤の影響について―東日本旅客鉄道抗土圧構造物②補強杭と連結した土留め壁の耐震性能に関する実験的検討早稲田大学土留め・山留め②高吸水性ポリマーを用いたポリマー混合土の遮水性向上と透水性の回復CPCダム・堤防⑥地震・津波外力に対する二重鋼矢板堤防の簡易設計手法の検証その 2:耐津波性能に関する評価November/December, 2016HP23 | ||||
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タイトル | 「サロン・土・カフェW」開催報告(<特集>第51回地盤工学研究発表会) | ||||
著者 | 藤澤 久子・高原 利幸 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | HP24〜HP24 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070026 |
内容 | 表示 「サロン・土・カフェ W」開催報告Meeting Report of “Salon "土" Cafe W”藤澤久子(ふじさわ日本工営(株)ひさこ )1. は じ め に高 原利金沢大学幸(たかはら としゆき)環境デザイン学系テーマ 2 では,外国人や若手,産休育休後のキャリアアップなどについて話し合って頂きました。色々な経験「第 51 回地盤工学研究発表会」初日に岡山大学津島キを積むことがキャリアアップに繋がるという意味で,働ャンパス大学会館1階談話室にて,男女共同参画及びダき方の選択肢の多い企業に入った方が良い,という意見イバーシティに関する委員会は,第 6 回目となる「サロが印象的でした。ン・土・カフェ W」を開催しました。これは元来,会員全最後に,テーマ 3 では,学会,委員会への要望として,体のわずか 3%を占める女性会員の横のつながりを深め土木,地盤の分野に入るきっかけとして,情報発信をしる事を目的としておりましたが,近年では,性別を問わていって欲しい,情報共有する場や参加する場が増えるず,ダイバーシティに関心のある様々な世代間の交流のと良いという意見が出されました。日本ではダイバーシ場となっております。ティへの考え方,理解が遅れているという厳しい意見とともに,メンター,メンティー制度については,日本に2. 開催状況合った制度を作っていって欲しいという要望がありまし今回のサロン・土・カフェ W の参加人数は 34 名,内訳た。活躍している女性技術者,研究者を PR して,次に続は男性 14 名,女性 20 名でした。ゼネコンやコンサルタくようにして欲しいという意見とともに,失敗事例を挙ント会社,大学等研究機関の先生や学生など,多くの方げていくのも面白いのでは,というご意見も頂き,今後に参加を頂きました。の活動に反映させていけるようにしたいと思います。サロン・土・カフェ W は,ワールドカフェ方式を採用しています。まず 5~6 名が1つのテーブルに集い,あるテ3. おわりにーマに関して 15 分ほど議論した後,席替えをし,また新ダイバーシティは自分の中に多様性を持つことからたなテーマに関して話をするという形式で,3 テーマに始まります。男性の中には,自分は関係がないと思ってついてディスカッションをして頂きました。いる方も少なくないかもしれません。ですが,このようテーマは,「1.就職時の企業等の見方のアドバイス」,な話し合いには,男性の参加がもっと必要だ,との声が,「2.多様な人材の育成方法」,「3.学会,ダイバーシテ参加した男性の中からも挙がっていました。開催後のアィ委員会に求めること」としました。各テーブルにはダンケートでは,楽しかった,また参加したい,と 8 割のイバーシティ委員会の委員が,席替えをしない書記とし方が回答しており,笑い声の混じる楽しい集まりとなって配置され,最後に総括が行われました。ています。来年,名古屋大会でも,たくさんの皆さまにテーマ 1 では,これから就職活動を行う学生に向けたメッセージについて話し合って頂きました。リクルータお会いできることを楽しみにしています。なお,今回のサロン・土・カフェ W の開催に際しては,ーは良いことしか言わないから,OB,OG 訪問をして,岡山大学の珠玖先生をはじめ,大会実行委員会の皆様に生の声を聞くことが大事だという意見や,インターンシ多大なご尽力を頂きました。この場をお借りして御礼申ップ制度を利用して,自分のこと,将来のことを考えるし上げます。また,当日,美味しいお菓子を差し入れてきっかけにしようというアドバイスがありました。下さった皆様,どうもありがとうございました。(原稿受理写真-1 会場の様子HP242016.10.7)写真-2 集合写真地盤工学会誌,64―11/12(706/707) | ||||
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タイトル | 長距離水中流動充填材「Hilo」(技術紹介) | ||||
著者 | 柳井 修司・大石 智広・佐藤 圭太・木田 洋 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 32〜33 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070027 |
内容 | 表示 技術紹介長距離水中流動充填材「Hilo」Antiwashout Special Material for Long Distance ``Hilo''柳井修司(やない株鹿島建設佐藤圭しゅうじ)大上席研究員太(さとう石智広(おおいし工事課長株カジマ・リノベイトけいた)株東京電力ホールディングス木田洋(きだ株東京パワーテクノロジー表―. は じ め にともひろ)ひろし)マネージャー充填材の仕様と基本配合の試験結果(例)水中で流動し,固化する材料は種々あげられるが,50 m を超えるような長距離を,水中で分離することなく流動し,狭隘な隙間にも確実に充填するような画期的なセメント系材料を開発・実用化した。本稿では,この長距離水中流動充填材「HiloHigh levering for longdistance(ヒーロー)」について紹介する。.長距離水中流動充填材の概要. 開発経緯本充填材は,もともと,被災した福島第一原子力発電所の海水配管トレンチ内に滞留した高濃度の汚染水を置換・除去するために開発されたものであり1),水中を長距離流動しても,品質低下が生じることなく,優れた充填性を発揮するセメント系材料である。. 材料の特長本充填材は,水,セメント,フライアッシュ(JIS 灰),及び特殊な混和剤(高性能減水剤,水中不分離性混和剤)で構成される。その仕様並びに試験結果の一例を表―写真―水中での流動状況に示す。◯高い水中不分離性水中に打ち込んだ際の水の濁りの指標となる懸濁物質量( JSCE D104 )は,通常の水中不分離性コンクリートの規格値 50 mg / l に対し,本充填材のそれは 10 mg / l程度と格段に少ない。同じく,水のアルカリ濃度の上昇もなく水質環境の変化を抑制することができる。また,水中気中強度比(気中で作製した供試体に対する水中で製作した供試体の強度比)が 0.9 以上であり,高い不分離性を有する。◯優れた流動性・自己充填性JIS R 5201 のモルタルフロー値は 400 mm 程度であ図―流動勾配と圧縮強度・単位容積質量の変化り,極めて高い流動性を有し,仕上がりの流動勾配が皆. 性能評価実験無となる。小隙間への充填性にも優れる。◯◯圧縮強度・透水係数長距離水中流動性N /mm2水中を長距離流動させた場合の流動性と不分離性を評程度,透水係数は 1.0 × 10-7 cm / s 程度である。これら価するために実施した実験の結果を写真―及び図―は,構成材料の比率により調整が可能である。圧縮強度に示す。本充填材は, 85 m を超える水中流動においての実績は,2.0~33 N/mm2となっている。も材料分離することなく,また,水を濁らせることなく,基本配合における圧縮強度は,材齢 28日で 5極めて良好な不分離性とセルフレベリング性を示した。32地盤工学会誌,―/(/)技術紹介また,水中流動に伴う強度や単位容積質量の変化も非常に小さいものであった。◯砕石層の間隙通過性・充填性砕石 4020 を敷き詰めた砕石層の間隙通過性・充填性を評価するために実施した実験結果の一例を写真―に示す。本充填材は,水中の砕石層をすべて通過・充填し,通過前後の圧縮強度や単位容積質量の変化もわずかであった。.福島第一原子力発電所での活用2). 海水配管トレンチ(トンネル部)海水配管トレンチ内に滞留した高濃度の汚染水約写真―7 200 m3 を本充填材で置換・除去し,内部の充填によ砕石層通過実験(6 m 水槽)って再滞留を防止した。作業に伴う被ばく量を最小限に抑えるために,既設立坑のみに打込み孔を設け,長距離水中流動させることで汚染水を除去した(図―)。. 海水配管トレンチ(立坑部)海水配管トレンチ立坑部の汚染水は,水中不分離性コンクリートで置換・除去したが,コンクリートと既設立坑との隙間やひび割れを埋めて止水性を高めるために,重量粉体(硫酸バリウム微粉末)を混和した本充填材を補助的に打ち込んだ。単位容積質量を重くし,自重のみで幅 0.15 mm の隙間にも簡単に入り込む性能を付与することができた(写真―)。図―. スクリーンポンプ室海水配管トレンチの施工イメージ海水配管トレンチからの汚染水の流入,港湾への流出経路となりうる状態を脱却し,放射能汚染の拡散を防ぐ目的で,スクリーンポンプ室の閉塞も行われた。水中での流動距離が最大でも 30 m であることを踏まえ,フライアッシュを石炭灰(非 JIS 灰)で代替し,練混ぜ水の一部をポンプ車等の洗い水で代替する等,副産物を有効に活用した。材料変更に伴う充填材としての性状変化は比較的小さく(表―),実施工においても良好な流動性と水中不分離性を発揮した。.様々な用途への展開写真―表―隙間への充填性評価実験結果石炭灰や回収水を用いた場合の性状変化(例)本充填材の水中での優れた流動性,充填性並びに施工性は,様々なフィールドへの展開が可能と思われる。例えば,プレパックドコンクリート用の充填材,使用済みとなった古い上・下水道管の充填,閉山した鉱山トンネルの充填,礫層の透水性改善のための充填等への活用があげられる。本充填材は,充填対象となる部材や地盤に続していく所存である。要求される品質や施工の条件に応じて,流動距離,圧縮強度,透水係数等を調整することが可能であり,様々なシーンで活用されることを期待している。. お わ り に新たに開発した長距離水中流動充填材について概説した。現在,構成材料をプレミックス化した製品の開発を進めており,現場で水だけを加えて練り混ぜることで,誰でも簡単に製造できるようになっている。本充填材が参考文献1)柳井修司・日比康生・西郡一雅・佐藤圭太福島第一原子力発電所海水配管トレンチ内部閉塞工事に使用した充填材に関する検討,コンクリート工学,Vol. 54, No. 4,pp. 362~370, 2016.2) 日比康生・柳井修司・西郡一雅・相馬 裕福島第一原子力発電所 汚染水対策工事 海水配管トレンチとスクリーンポンプ室の閉塞,コンクリート工学, Vol. 54,No. 6, pp. 628~634, 2016.(原稿受理2016.7.29)様々なシーンで活用されるよう,技術の改良・改善を継November/December, 201633 | ||||
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タイトル | アスファルト廃材を用いた土構造物の保護に関する研究(寄稿) | ||||
著者 | 横浜 勝司・佐藤 厚子 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 34〜35 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070028 |
内容 | 表示 アスファルト廃材を用いた土構造物の保護に関する研究Study on Protection of Soil Structure by Asphalt Waste Material横浜勝北海道大学司(よこはま助教しょうじ)大学院工学研究院. は じ め に佐藤厚子(さとうあつこ)国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所主任研究員拘束圧が 50 kPa での繰返し非排水三軸試験から得られた結果を,繰返し応力比 sd/2s ′c と両振幅軸ひずみが 5現在の土木工事では,建設副産物の再利用等によるコに達するまでの繰返し回数 Nc の関係として整理したスト縮減が積極的に図られている。道路舗装に関してもものである。試料は,豊浦砂,アスファルト廃材と豊浦アスファルト舗装廃材(本稿ではアスファルト廃材と称砂 の 混 合 材 ( 混 合 率 50 最 大 粒 径 9.5 mm と 0.425する)は道路舗装補修のために再利用されているが,廃mm の 2 パターン),及びアスファルト廃材である。図材発生量と消費量が釣り合わず,その在庫が増加し,保より,アスファルト廃材と豊浦砂との混合材の繰返し強管場所の確保が難しくなる状況も見られている。そこで,度は,豊浦砂のみでの値に比べて高いことが分かる。まアスファルト廃材を舗装以外の地盤材料として利用するた,他より相対密度が高いため直接の比較は困難である可能性を探る研究を実施している。が,アスファルト廃材のみの繰返し強度は他試料よりか本研究開始前に北海道内の指導林家が所有している敷なり高いことも分かった。次に,繰返し試験後における地を拝見する機会を得た。その現場では,道路舗装を切供試体の変形状況を検証する。写真―はアスファルト削したアスファルト廃材を重機で粉砕した材料を用いて,廃材と豊浦砂の混合材による供試体(混合率 50 ,最敷地内の地表面及び法面を被覆する保護工を実施してい大粒径 9.5 mm )の試験後の状況を示すが,試験後にメた。保護前には降雨や融雪水により敷地内の地盤が高含ンブレンを取り外しても,その円筒形状が保持されてい水状態になり車両や重機の出入りに難儀していたが,保ることが確認できた。このように,アスファルト廃材を護工以降は地盤の顕著な泥濘化が見られないというお話混合した砂では繰返しせん断を受けても顕著な流動変形を伺うことができた。を示さないことが分かった。このような効果が発揮され当該敷地内で実施されたアスファルト廃材を用いた保護工の一例を紹介する。写真―は当敷地内を通過する道道432号沿いの法面保護状況を示す。本箇所では2011年 6 月に法面表面をアスファルト廃材で被覆し,法面るメカニズム等を今後の研究により明らかにしたいと考えている。.屋外試験施工による利用可能性の検討からの土砂流出や崩壊を防ぐための保護工を実施した。アスファルト廃材を実際の施工に活用可能かを検討すその後,写真を撮影した 2016 年 6 月まで,降雨や融雪るために,一連の試験施工が実施されている。国立研究水等の供給を受けても,法面の顕著な変形や土砂流出は開発法人土木研究所寒地土木研究所が主体となり,北海見られなかった。この付近には落石防止網を法面に敷設道内の一般国道において,道路盛土法面をアスファルトした箇所も存在するが(写真―参照),落石防止網の廃材で被覆し,経過観察する試験施工が実施されている。網目から小石や土砂の幾分の流出が見られており,かつ,試験施工の一例として,写真―は 2015 年 11 月 27 日に落石防止網と斜面の間に隙間も見られた。この現場の状一般国道275号(深川市)において実施された道路法面況を踏まえ,アスファルト廃材単独又はアスファルト廃保護工の施工状況を示す。若干の積雪が見られる条件下材と土を混合した材料も土構造物の材料や地盤保護材とでの施工であったが,アスファルト廃材を重機のバケッして適用できそうだと期待を抱き,研究を開始した次第トを用いて法面表面に被覆する作業が実施された。写真である。―は写真―と同じ箇所を 2016 年 6 月 22 日に撮影し.繰返し非排水三軸試験による基礎的検討たものである。施工完了から約 7 ヶ月間,降雨や融雪水の供給,冬季間の凍結,春季の直射日光等,種々の気次に,アスファルト廃材と一般的な地盤材料を混合し象変化の影響を受けたと予想されるが,アスファルト廃た材料の力学特性の基礎的検討をするために,アスファ材の剥離等は見られず,法面保護効果は維持されているルト廃材と豊浦砂の混合材の繰返し強度1)を調べた。試ようである。また,アスファルト廃材敷設箇所では,雑験に用いたアスファルト廃材を写真―に示す。写真は草の生育が周囲に比べて幾分抑制されているようにも見9.5 mm ふるいに残留したアスファルト廃材を示すが,受けられ,夏季における道路脇の草刈り業務等,道路管いずれも黒色の粒状体であり,土粒子表面に固化したア理業務の軽減も期待できそうである。今後の経過観察やスファルトが付着していることが分かる。図―は有効状況分析を続け,アスファルト廃材の再利用推進と道路34地盤工学会誌,―/(/)寄写真―アスファルト廃材による法面保護(道道432号)写真―(2016年 6 月22日撮影)写真―稿落石防止網による法面保護(道道432号)(2016年 6 月22日撮影)アスファルト廃材写真―試験後の供試体図―写真―試験施工の実施状況(国道275号)写真―繰返し非排水三軸試験結果試験施工箇所の状況(国道275号)(2015年11月27日撮影)(2016年 6 月22日撮影)の維持管理の両立を図るべく研究を進められればと考え後も本研究を継続し,各種データの蓄積を図りたいと考ている。えている。. お わ り にアスファルト廃材を用いて土構造物を保護することが可能となれば,建設副産物のリサイクルと土構造物の耐久性向上の両立を図ることが可能になると思われる。今November/December, 2016参1)考文献横浜勝司・佐藤厚子アスファルト廃材と砂の混合物の繰返しせん断特性,地盤工学会北海道支部技術報告集,Vol. 56, pp. 125~130, 2016.(原稿受理2016.7.20)35 | ||||
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タイトル | Soils and Foundations の最近の動向と購読料改訂について(学会の動き) | ||||
著者 | 菊池 喜昭・渦岡 良介 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 36〜37 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070029 |
内容 | 表示 Soils and Foundations の最近の動向と購読料改訂についてRecent status and subscription revision of Soils and Foundations菊池喜昭(きくちよしあき)東京理科大学 教授Soils and Foundations 編集委員会渦岡良介(うずおかりょうすけ)徳島大学 教授公益出版部 部長委員長. は じ め に地盤工学会は, 2012 年より Elsevier 社と出版パートナーシップ契約を結び,同社のフルテキストデータベース Science Direct 上 の オ ン ラ イ ン ジ ャ ー ナ ル と し てSoils and Foundations ( 以 下 , S&F ) を 刊 行 し ま した1),2) 。この効果により S&F の利便性が飛躍的に増大し,国際論文誌としての地位が向上しております3) 。2012 年の契約以降, 2012 年 2 月号( Vol.52, No.1 )より,従来の冊子体を配布するのと同時に,掲載から 1年 を 経 過 し た も の に つ い て は , Elsevier 社 の ScienceDirect 上で論文をオープンアクセス(非購読者も全文アクセス可能)として PDF で掲載しています4) 。また,それ以前に刊行された論文は, J Stage5) から閲覧でき図―投稿論文数と掲載論文数るようになっています。以下では, S&F の最近の動向について紹介し,購読料改訂についてお知らせいたします。.投稿数とインパクトファクターS&F の投稿論文数と掲載論文数を図―に示します。2012 年の Science Direct への移行に伴い,年間投稿数は飛躍的な増加を遂げ,2014年以降はおよそ平均 1 日 1編の投稿数となっています。また,掲載論文数も増加傾向にあり,2015年は123編が掲載されています。編集委員会( 51 名,うち 18 名は外国人)では,投稿数の増加に対応するため公正・迅速な論文審査フローの改善を図り,投稿から概ね 4 カ月以内の採否決定を行っています。インパクトファクター(以下, IF )の推移を図―図―インパクトファクターの推移に示します。 IF は過去 2 年間に掲載された論文が当該年度の学術雑誌で引用された頻度を表したもので,トム表―主要雑誌のインパクトファクター(2015年)ソン・ロイター社のデータベース Web of Science6)に基づき算出されています。 2012 年以降の Science Directへの掲載に伴って, 2015 年の IF は 1.238 と大きく増加しました。なお,2014年の IF はトムソン・ロイター社の意向により公開されていません。主要雑誌のインパクト フ ァ ク タ ー を 表 ― に 示 し ま す 。 イ ギ リ ス の Geotechnique とはまだ差がありますが, ASCE の雑誌に迫る勢いです。投稿数の増加と質の高い掲載論文の増加により,IF のさらなる向上が期待されます。Science Direct 上の S&F の論文は掲載後 1 年で自由36地盤工学会誌,―/(/)学会の動きにダウンロードできます。ダウンロード数の国別統計で表―2017年からの年間購読料(改訂後)はアメリカが約半数を占めており,続いて中国,インドの順であり,その他はイギリス,日本,カナダ,オーストラリアなどが数を占めています。 2015 年の掲載論文の国別内訳では,日本からの投稿論文が約 3 割を占めており,続いて中国12,アメリカ 6,オーストラリア 5となっております。以上より,アメリカだけでなく,アジアやオセアニアを対象として定期購読の積極的案内を行い,定期購読者の増加を図る必要があることが分かります。. Geodisaster Report の新設S&F はこれまで 1995年兵庫県南部地震,2011年東北地方太平洋沖地震の特集号を発刊し,地盤災害に関する情報を発信してきました。今後,国内外で発生する地盤災害に関する調査結果をいち早く世界に発信するため,え置いています。.おわりにS&F の災害速報としての新たな原稿区分 ``GeodisasterS&F は地盤工学の学術研究成果を公開するだけでなReport'' を 2015 年に設けました。原則として編集委員く,地盤工学会が世界へ向けて情報を発信するための有会から調査団等に原稿を依頼し,迅速な審査の上で,力なツールです。今後もさまざまな展開を図りますので,Science Direct にてオープンアクセスで提供します。今回の購読料改訂にご理解頂き,学会員各位のご支援を2015年(Vol.55, No.5)には地盤工学会調査団によるネ賜れれば幸いです。パール・ゴルカ地震の調査速報を掲載しており,今後も2015 年 9 月関東・東北豪雨, 2016 年熊本地震の調査速報を掲載する予定です。.参1)オープンアクセス権の販売2)2017年 4 月より S&F において掲載直後からオープンアクセス(以下, OA)とする権利を著者に 8 万円で販売します。公的研究費を利用した論文は OA とするこ3)とが国際的な流れになっており,科研費でも OA が推奨されています7)。他の海外主要雑誌では,掲載後 1 年4)で OA となるものはなく,OA 権は高額となっていますが, S&F は掲載後 1 年間で OA となるため他誌より安5)価に設定しております。公的研究費による成果公開の折には是非ご検討ください。. 年からの年間購読料改訂2015 年にオンラインのみの購読料を設定し,冊子版の定期購読料を見直しました8)。その後,国内ではオン6)ライン購読への移行が徐々に進んでおり,冊子数減少に伴う印刷単価の上昇が見込まれます。そこで,今後のオ7)ンライン版購読者の増加に伴う冊子版購読者の減少並びに消費税の増税を踏まえて購読料の見直しを行います。表―の通り, 2017 年 4 月より会員の冊子版購読料を値上げさせて頂くとともに,全て税抜価格(別途消費税)に変更させて頂きます。何卒ご理解の程,よろしくお願8)考文献澁谷 啓SOILS AND FOUNDATIONS の電子ジャーナル化が実現,地盤工学会誌【会告】,Vol. 58, No. 4, p.79, 2010.村上 章 Soils and Foundations のオンラインジャーナル化,地盤工学会誌【会告】,Vol. 59, No. 10, p. 36,2011.村上 章 Soils and Foundations を通じた国際情報発信,地盤工学会誌【学会の動き】,Vol. 62, No. 1, pp. 38~40, 2014.「 Soils and Foundations 」 の 目 次 概 要 ( Science Directへのリンクページ,入手先〈 http:// www.sciencedirect.com/science/journal/00380806〉(参照2016.9.28)「Soils and Foundations」JSTAGE での公開ページVol. 112, Vol. 4651入手先〈https://www.jstage.jst.go.jp/browse/sandf〉(参照2016.9.28)Vol. 12 35 入 手 先 〈 https: // www.jstage.jst.go.jp /browse/sandf1972〉(参照2016.9.28)Vol. 35 45 入 手 先 〈 https: // www.jstage.jst.go.jp /browse/sandf1995〉(参照2016.9.28)Thomson Reuters: Web of Science, Journal CitationReports , 入 手 先 〈 https: // jcr.incites.thomsonreuters.com/〉(参照2016.9.28)日本学術振興会科学研究費助成事業,オープンアクセス,入手先〈 https: // www.jsps.go.jp / j grantsinaid / 01 _seido/08_openaccess/index.html〉(参照2016.9.28)風間基樹・木幡行宏 Soils and Foundations の購読料改訂について,地盤工学会誌【会告】,Vol. 63, No. 1, p.65, 2015.(原稿受理2016.9.1)い申し上げます。なお,海外の非会員向けの購読料は据November/December, 201637 | ||||
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タイトル | ISO/TC182 & CEN/TC341(地盤調査・試験法)会議(ISOだより-149,学会の動き) | ||||
著者 | 地盤工学会 ISO国内委員会 | ||||
出版 | 地盤工学会誌 Vol.64 No.11・12 No.706・707 | ||||
ページ | 38〜38 | 発行 | 2016/11/01 | 文書ID | jk201607070030 |
内容 | 表示 ISO/TC182 & CEN/TC341(地盤調査・試験法)会議地盤工学会 ISO 国内委員会. は じ め に.我が国からの提案内容標記の会議が平成 28 年 3 月 2 日~ 4 日にスイス・チISO/TC182会議において,「広域における地盤工学特ューリッヒのスイス道路・鉄道専門家協会で開催された。性の評価手法にかかわる新標準についての提案」という国際規格の算定に我が国の意見を反映させること, JISタイトルでプレゼンを行った。まず背景として,我が国あるいは JGS 基準の作成・改訂に必要となる最新の技で行われている広域強震動評価において,表層から地震術情報を入手すること,そして我が国で開発された広域基盤に至るまでの「広域地盤モデル」が構築されており,地盤特性の測定・解析技術を国際規格化するための準備そのモデルの構築方法は複数の地盤調査データ等を活用作業のために,地盤工学会 TC182 国内専門委員会(委し,半ば自動解析的に構築されている状況を説明した。員長木幡行宏)から 2 名が表記会議に参加した。国そのうえで,前述した広域地盤モデルに関して,以下の際規格の提案は防災科学技術研究所が担当している戦略3 項目について規格化作業を行う必要性を主張した。的イノベーション創造プログラムの一環でもあるので,a.同研究所が活動費を負担した。本稿では 2 つの会議のb.微動観測と解析手法に関する規格案概要と,今回の会議で新しく提案した我が国の広域地盤c.地下構造モデル構築手法に関する規格案特性の評価技術について報告する。a.については,熟練度に関わらず正確に観測できる微動.両会議の内容今回より, ISO / TC182 会議と CEN / TC341 会議が連微動計測ツールに関する規格案計の重要性や,この微動計を含む観測システムの有用性を示し,計測機器に必要とされる性能,観測記録精度のチェック方法,微動計の配置方法,観測方法について規続で開催されるようになった。また今回より,議長が英格化する必要性を主張した。b.については,微動観測の国の Dr. Powell に,幹事国が英国に,そして委員会構解析手法として単点( H / V スペクトル比)による解析成が, WG1土・岩の判別と分類(コンビナーProf.手法と微動アレイ観測の 1 つの手法である極小及び不Norbury,英国), WG2地盤工学におけるモニタリン規則アレイ観測の有用性を示し,データ解析方法,最終グ(コンビナーDr. Steiner,スイス),WG3地盤構成果物の内容(1 次元の S 波速度構造等)と精度等につ造物の試験(コンビナーDr. Mothersille,英国)のよいて規格化する必要性を主張した。最後に c. についてうに変更になった。英国規格協会は ISO や CEN の運用は,我が国で実用化されている微動観測システムを用いに長けており,今後この分野の動向にますます注意を払た地盤モデルの構築の流れと,解析例を示し,データ形う必要があるといえよう。式,分析方法,モデルの評価方法,最終成果物の内容とISO / TC182 の全体会議は約 6 年ぶりの開催で,今回精度等について規格化することを主張した。会議参加者の会議では,組織が新しくなったこともあり,各 WGは総じて我々の提案に賛同的で,正式な新規活動にするの役割確認が主だった。最も今後活発に活動がなされそために調整が必要な事項や検討すべき課題について非常うなのは WG2 で,地盤の収縮,傾斜,水位,土圧,沈に親切な意見をいただいた。下,ひずみ,荷重,測地,振動に関する調査法が相次いで規格化される予定が示された。議論がユーロコード前.おわりに提の内容に感じられたので,試験法の位置づけについて次回は 2017 年 3 月にフランスかロシアで開催予定と質問したところ,どのような設計法にも適用可能な範囲いうことになった。我が国からの提案案件については,で規格化するという説明があった。次回の会議までに賛同する P メンバーを確定させ,正CEN / TC341 会議では ISO / TC182 の構成変更をうけて,WG の活動計画,連絡調整をすべき他の TC の関係整理が行われた。土質試験はともかく,孔内載荷試験や杭の載荷試験等も制定が計画されている。今後も積極的に CEN/TC341会議に参加し,オブザーバーとして立場式な新規事業として審議されるように準備を進める予定である。(文責防災科学技術研究所先名重樹,防衛大学校宮田喜壽)(原稿受理2016.3.10)を理解したうえで意見を述べていく必要があると感じた。38地盤工学会誌,―/(/) | ||||
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